JP2018004104A - 空気調和機 - Google Patents

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陽平 秋山
Yohei Akiyama
陽平 秋山
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Abstract

【課題】低負荷時でも適切に空調を行う空気調和機を提供する。【解決手段】空気調和機100は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、膨張弁21と、室内熱交換器22と、が環状に順次接続されてなる冷媒回路Rと、圧縮機11及び膨張弁21を制御する室外機制御装置14と、を備え、室外機制御装置14は、室内熱交換器22の入口側における冷媒の温度が第1閾値以上であるとともに、空調対象空間の設定温度に対する実測温度の差が所定閾値以下であるという第1条件が成立した場合、膨張弁21によって、圧縮機11の吐出側における冷媒の過熱度を徐々に上昇させる。【選択図】図1

Description

本発明は、空気調和機に関する。
低負荷時に圧縮機の発停頻度を低減する技術として、例えば、特許文献1には、「圧縮機が停止させられた回数が所定の時間内に所定の値に達すると、過熱度目標値を標準値(例えば、5℃)から強制的に引き上げる」ことが記載されている。
特開2009−229012号公報
特許文献1に記載の技術では、過熱度目標値の引き上げに伴って、圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度が急激に上昇するため、場合によっては、冷凍サイクルが不安定になる可能性がある。
そこで、本発明は、低負荷時でも適切に空調を行う空気調和機を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、蒸発器の入口側における冷媒の温度若しくは圧力、又は、前記蒸発器の出口側における冷媒の温度若しくは圧力である状態量が第1閾値以上であるとともに、空調対象空間の設定温度に対する前記空調対象空間の実測温度の差が所定閾値以下であるという第1条件が成立した場合、膨張弁によって、圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度を徐々に高めることを特徴とする。
本発明によれば、低負荷時でも適切に空調を行う空気調和機を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る空気調和機の構成図である。 本発明の第1実施形態に係る空気調和機の制御装置が実行する処理のフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る空気調和機の圧縮機の吐出側における冷媒の目標過熱度、及び実際の過熱度の変化を示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係る空気調和機の制御装置が実行する処理のフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る空気調和機の圧縮機の吐出側における冷媒の目標過熱度、及び実際の過熱度の変化を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る空気調和機の制御装置が実行する処理のフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る空気調和機の圧縮機の吐出側における冷媒の目標過熱度、及び実際の過熱度の変化を示す説明図である。
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、第1実施形態に係る空気調和機100の構成図である。
空気調和機100は、室内(空調対象空間)の冷房等を行う機器であり、例えば、サーバルームの冷房に用いられる。図1に示すように、空気調和機100は、冷媒回路Rと、室外ファン13と、室内ファン23と、温度センサ31,32と、室外機制御装置14(制御部)と、室内機制御装置24(制御部)と、を備えている。
冷媒回路Rは、冷凍サイクルで冷媒が循環する回路である。図1に示すように、冷媒回路Rは、圧縮機11と、室外熱交換器12(凝縮器)と、膨張弁21と、室内熱交換器22(蒸発器)と、が環状に順次接続された構成になっている。
圧縮機11は、ガス状の冷媒を圧縮する機器である。圧縮機11のモータ(図示せず)の巻線には、インバータ(図示せず)が接続されている。そして、室外機制御装置14からインバータに所定の指令信号が出力されることによって、圧縮機11が駆動するようになっている。
なお、圧縮機11の種類は特に限定されず、スクロール式、ピストン式、ロータリ式、スクリュー式、遠心式等の圧縮機を用いることができる。また、冷媒を気液分離するアキュムレータ(図示せず)を圧縮機11の吸込側に設けてもよい。
室外熱交換器12は、外気と冷媒との間で熱交換が行われる熱交換器である。
室外ファン13は、室外熱交換器12に外気を送り込むファンであり、室外熱交換器12の付近に設置されている。
膨張弁21は、室外熱交換器12から室内熱交換器22に向かう冷媒を減圧する機能や、冷媒回路Rを循環する冷媒の流量を調整する機能を有している。
室内熱交換器22は、室内空気(空調対象空間の空気)と冷媒との間で熱交換が行われる熱交換器である。
室内ファン23は、室内熱交換器22に室内空気を送り込むファンであり、室内熱交換器22の付近に設置されている。
温度センサ31は、室内熱交換器22の入口側における冷媒の温度(「入口温度」という)を検出するセンサであり、膨張弁21と室内熱交換器22との間に設置されている。
温度センサ32は、室内ファン23の吸込温度(空調対象空間の実測温度)を検出するセンサであり、室内ファン23の吸込側に設置されている。
その他、図1では省略したが、圧縮機11の吸込圧力・吐出圧力・吐出温度等を検出する各センサが設置されている。温度センサ31,32等の検出値は、室内機制御装置24を介して、室外機制御装置14に出力される。
室外機制御装置14は、圧縮機11や室外ファン13等を制御する装置である。室外機制御装置14は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を備えている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
室内機制御装置24は、膨張弁21や室内ファン23等を制御する装置である。室内機制御装置24は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を備え、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。なお、室内機制御装置24と室外機制御装置14との間では、通信線(図示せず)を介して、所定のデータがやり取りされる。
以下では、室内機制御装置24及び室外機制御装置14を単に「制御装置」という。
図1に示す例では、圧縮機11、室外熱交換器12、室外ファン13、及び室外機制御装置14が、室外機10に設置されている。また、膨張弁21、室内熱交換器22、室内ファン23、室内機制御装置24等が、室内機20に設置されている。そして、リモコン(図示せず)からの操作信号や温度センサ31,32等の検出値に基づいて、制御装置が各機器を制御するようになっている。
例えば、制御装置は、温度センサ31,32を含む各センサの検出値に基づいて空調負荷を算出し、この空調負荷に基づいて、圧縮機11のモータ(図示せず)の回転速度指令値を設定する。
また、制御装置は、圧縮機11の吐出側の過熱度SHが、所定の目標過熱度SHgになるように膨張弁21の開度を制御する。前記した「過熱度SH」とは、冷媒の圧力に対応する飽和温度を基準として、冷媒の実際の温度が何度高いかを示す数値である。つまり、圧縮機11の吐出圧力に対応する飽和温度を、圧縮機11の吐出温度から減算した値が「過熱度SH」である。また、「目標過熱度SHg」とは、過熱度SHの目標値である。
<制御装置の処理>
図2は、空気調和機100の制御装置が実行する処理のフローチャートである(適宜、図1を参照)。
なお、図2の「START」時には、冷房運転が行われているものとする。
ステップS101において制御装置は、室内熱交換器22の入口温度Te(状態量)を読み込む。つまり、制御装置は、室内熱交換器22の入口側に設置された温度センサ31の検出値を読み込む。
ステップS102において制御装置は、ステップS101で読み込んだ入口温度Teが第1閾値T1以上であるか否かを判定する。ここで、第1閾値T1(例えば、2℃)とは、目標過熱度STgを高める(S105)か否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。第1閾値T1は、空気中の水蒸気が室内熱交換器22に水滴として付着し、さらに凍結が生じ得る温度よりも高い値に設定されている。
ステップS102において入口温度Teが第1閾値T1未満である場合(S102:No)、制御装置の処理は「START」に戻る(「RETURN」)。仮に、過熱度SHを徐々に高めるために膨張弁21の開度を小さくすると(S106)、膨張弁21で減圧された冷媒の温度が低くなりすぎて、室内熱交換器22が凍結する可能性があるからである。
一方、ステップS102において入口温度Teが第1閾値T1以上である場合(S102:Yes)、制御装置の処理はステップS103に進む。
ステップS103において制御装置は、室内空気の設定温度Tsに対する実測温度Trの差ΔTを算出する。つまり、制御装置は、実測温度Trから設定温度Tsを減算することによって、差ΔTを算出する。なお、設定温度Tsは、ユーザによってリモコン(図示せず)で設定される室内温度である。また、実測温度Trは、温度センサ32の検出値である。
ステップS104において制御装置は、ステップS103で算出した差ΔTが所定閾値ΔTh以下であるか否かを判定する。ここで、所定閾値ΔThとは、目標過熱度STgを高める(S105)か否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。
前記した所定閾値ΔThは、例えば、圧縮機11のモータ(図示せず)の回転速度をさらに大きくする必要がない値に設定されている。具体例を挙げると、サーバルームの冷房において、室内の実測温度Trが設定温度Tsよりも1[K]以上高い場合、制御装置によって、圧縮機11のモータの回転速度が高められるとする。このような制御において、仮に、実測温度Trが設定温度Tsよりも1[K]以上高い状態で膨張弁21が絞られると(S106)、冷媒の循環量が少なくなるため、室温が上昇する。その結果、圧縮機11の回転速度がさらに高められるため、無駄な電力が消費される。このようなことを防止するために、ステップS104の判定処理が行われる。
なお、温度差に関する所定閾値ΔThは、正の値(例えば、0.5[K])であってもよいし、0[K]であってもよいし、また、負の値(例えば、−1[K])であってもよい。
ステップS104において差ΔTが所定閾値ΔThよりも大きい場合(S104:No)、制御装置の処理は「START」に戻る(「RETURN」)。この場合、設定温度Tsに対する実測温度Trが比較的高く、その後に圧縮機11の回転速度を大きくする可能性があるからである。
一方、ステップS104において差ΔTが所定閾値ΔTh以下である場合(S104:Yes)、制御装置の処理はステップS105に進む。すなわち、入口温度Teが第1閾値T1以上であるとともに(S102:Yes)、設定温度Tsに対する実測温度Trの差ΔTが所定閾値ΔTh以下である(S104:Yes)という「第1条件」が成立した場合、制御装置の処理はステップS105に進む。
ステップS105において制御装置は、目標過熱度SHgを高める。すなわち、制御装置は、圧縮機11の吐出側における冷媒の目標過熱度SHgを、前記した「第1条件」の成立直前よりも高い値に変更する。
図3は、圧縮機11の吐出側における冷媒の目標過熱度SHg、及び実際の過熱度SHの変化を示す説明図である。
図3に示す例では、「第1条件」が成立した時刻t1において、一点鎖線で示す目標過熱度SHgが、値SH1から値SH2(>値SH1)に変更されている。なお、変更後の目標過熱度SHgは、冷媒によって圧縮機11の温度上昇を適切に抑制できる(つまり、空気調和機100の信頼性を確保できる)高さに設定されている。
図2のステップS106において制御装置は、膨張弁21によって、圧縮機11の吐出側における冷媒の過熱度SHを徐々に高める。すなわち、制御装置は、変更後の目標過熱度SHgに過熱度SHを徐々に近づけるように膨張弁21を制御する。例えば、制御装置は、膨張弁21の開度を所定の変化速度vで徐々に小さくしつつ、前記した過熱度SHを算出する処理を繰り返す。そして、図2では省略したが、過熱度SHが目標過熱度SHgに達した場合、制御装置は、膨張弁21の開度を小さくする動作を停止する。
なお、室内熱交換器22に送り込まれる空気の温度・風量が一定であると仮定すると、膨張弁21の開度が小さいほど、圧縮機11の吐出側における冷媒の過熱度SHは高くなる。
また、過熱度SHの変化速度vは、0.1[K/min]≦v≦10.0[K/min]であることが好ましく、0.25[K/min]≦v≦6.0[K/min]であることがさらに好ましい。このような変化速度vで過熱度SHを徐々に高めることによって、低負荷時でも冷凍サイクルの不安定化を招くことなく、圧縮機11を駆動し続けることができるからである。
図3に示す例では、「第1条件」が成立した時刻t1以後、膨張弁21が徐々に絞られることによって、実線で示す過熱度SHが徐々に高くなっている。仮に、過熱度SHを急激に高くすると、冷凍サイクルが不安定になり、圧縮機11において回転速度のオーバーシュート・アンダーシュートが交互に繰り返される可能性がある。これに対して本実施形態では、空調負荷が非常に小さいときでも、膨張弁21を徐々に絞ることによって冷媒の循環量を減らし、空調能力を低下させることができる。また、膨張弁21を徐々に絞ることによって、冷凍サイクルの不安定化を招くことなく、圧縮機11を駆動し続けることができる。
また、図3に示す例では、過熱度SHが目標過熱度SHgの値SH2に達した時刻t2から、後記する「第2条件」が成立する時刻t3までは、過熱度SHが略一定に保たれている。
図2のステップS107において制御装置は、室内熱交換器22の入口温度Teを再び読み込む。
ステップS108において制御装置は、ステップS107で読み込んだ入口温度Teが第2閾値T2以下であるか否かを判定する。ここで、第2閾値T2(例えば、−2℃)とは、目標過熱度STgを低くする(S109)か否かの判定基準となる閾値であり、前記した第1閾値T1(S102)よりも低い値として、予め設定されている。この第2閾値T2は、例えば、室内熱交換器22が凍結し始める可能性がある温度である。
ステップS108において入口温度Teが第2閾値T2よりも高い場合(S108:No)、制御装置の処理は「START」に戻る(「RETURN」)。この場合、現状の空調運転を継続しても、室内熱交換器22が凍結する可能性は低いからである。
一方、ステップS108において入口温度Teが第2閾値T2以下であるという「第2条件」が成立した場合(S108:Yes)、制御装置の処理はステップS109に進む。
ステップS109において制御装置は、目標過熱度SHgを低くする。すなわち、制御装置は、圧縮機11の吐出側における冷媒の目標過熱度SHgを、前記した「第2条件」の成立直前よりも低い値に変更する。図3に示す例では、「第2条件」が成立した時刻t3において、目標過熱度SHgが、値SH2から値SH3(<値SH2)に変更されている。
図2のステップS110において制御装置は、膨張弁21によって、過熱度SHを徐々に低くする。すなわち、制御装置は、変更後の目標過熱度SHgに過熱度SHを徐々に近づけるように膨張弁21を制御する。例えば、制御装置は、膨張弁21の開度を所定の変化速度vで徐々に大きくしつつ、過熱度SHを算出する処理を繰り返す。そして、図2では省略したが、過熱度SHが目標過熱度SHg(図3に示す値SH3)まで低下した場合、制御装置は、膨張弁21の開度を大きくする動作を停止する。
なお、ステップS110の処理に関して、過熱度SHの変化速度vの大きさ(絶対値)は、過熱度SHを徐々に高める場合(S106)の変化速度vと同様であってもよい。
図3に示す例では、「第2条件」が成立した時刻t3以後、制御装置が、膨張弁21の開度を徐々に大きくすることによって、圧縮機11の吐出側における冷媒の過熱度SHが徐々に低下している。これによって、冷凍サイクルの不安定化を招くことなく、室内熱交換器22の凍結を抑制できる。
なお、過熱度SHを徐々に高くする過程で(S106)、変更後の目標過熱度SHgに過熱度SHが達していない状態であっても、「第2条件」が成立した場合には(S108:Yes)、ステップS109,S110の処理が行われる。
ステップS110の処理を行った後、制御装置の処理は「START」に戻る(RETURN)。
<効果>
第1実施形態によれば、「第1条件」が成立した場合(S102:Yes、S104:Yes)、制御装置は、目標過熱度SHgを高くし(S105)、膨張弁21によって過熱度SHを徐々に高める(S106)。これによって、空調負荷が非常に低い状態でも、サーモオンからサーモオフに切り替わることなく、冷凍サイクルが安定した状態で圧縮機11を駆動し続けることができる。例えば、圧縮機11の容量の20%以下の運転範囲でも冷房運転を継続できるため、圧縮機11の発停頻度を従来よりも低減し、快適な空調を行うことができる。また、サーバルームを冷房している場合には、サーバ等の機器を適温に保つことができるため、機器の故障を防止でき、また、室温変動に伴う警報の発報頻度を従来よりも低減できる。
また、前記した「第1条件」には、室内熱交換器22の入口温度Teが第1閾値T1以上である(S102:Yes)という条件が含まれるため、室内熱交換器22の凍結を抑制できる。
また、「第2条件」が成立した場合(S108:Yes)、制御装置は、目標過熱度SHgを低くし(S109)、さらに、膨張弁21によって過熱度を徐々に低くする(S110)。これによって、室内熱交換器22の凍結を抑制し、ひいては、空気調和機100の信頼性を従来よりも高めることができる。
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、前記した「第1条件」が成立した場合、目標過熱度SHgを徐々に高くする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他(空気調和機100の構成等:図1参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図4は、第2実施形態に係る空気調和機の制御装置が実行する処理のフローチャートである。なお、図4において、第1実施形態(図2参照)と同様の処理には、同一のステップ番号を付している。
ステップS102において室内熱交換器22の入口温度Teが第1閾値T1以上であり、(S102:Yes)、ステップS104において差ΔTが所定閾値ΔTh以下である場合(S104:Yes)、制御装置の処理はステップS205に進む。すなわち、第1実施形態で説明した「第1条件」が成立した場合、制御装置の処理はステップS205に進む。
ステップS205において制御装置は、圧縮機11の吐出側における冷媒の目標過熱度SHgを徐々に高める。
図5は、圧縮機11の吐出側における冷媒の目標過熱度SHg、及び実際の過熱度SHの変化を示す説明図である。
図5に示す例では、「第1条件」が成立した時刻t1以後、制御装置が、目標過熱度SHgを所定の値SH1から値SH2へと徐々に高くしている。そして、目標過熱度SHgが値SH2に達した時刻t2以後であって、「第2条件」が成立する時刻t3までは、目標過熱度SHgが値SH2で維持されている。
図4のステップS206において制御装置は、膨張弁21によって、過熱度SHを高める。すなわち、制御装置は、徐々に高くなる目標過熱度SHgに基づいて、過熱度SHを目標過熱度SHgに近づけるように膨張弁21の開度を調整する。これによって、低負荷時でも、冷凍サイクルが安定した状態で圧縮機11を駆動し続けることができる。
また、ステップS108において、室内熱交換器22の入口温度Teが第2閾値T2以下であるという「第2条件」が成立した場合(S108:Yes)、制御装置の処理はステップS209に進む。
ステップS209において制御装置は、目標過熱度SHgを徐々に低くする。すなわち、制御装置は、圧縮機11の吐出側における冷媒の目標過熱度SHgを、「第2条件」の成立時から徐々に低下させる。図5に示す例では、「第2条件」が成立した時刻t3以後、制御装置が、目標過熱度SHgを値SH2から値SH3へと徐々に低下させている。
図4のステップS210において制御装置は、膨張弁21によって、過熱度SHを低くする。すなわち、制御装置は、徐々に低くなる目標過熱度SHgに基づいて、過熱度SHを目標過熱度SHgに近づけるように膨張弁21の開度を調整する。これによって、室内熱交換器22の凍結を抑制できる。
ステップS210の処理を行った後、制御装置の処理は「START」に戻る(「RETURN」)。
<効果>
第2実施形態によれば、「第1条件」が成立した場合(S102:Yes、S104:Yes)、制御装置は、目標過熱度SHgを徐々に高くし(S205)、膨張弁21によって過熱度SHを高める(S206)。このように過熱度SHを徐々に上昇させることで、低負荷時でも冷凍サイクルが安定した状態で圧縮機11を駆動し続けることができる。
また、第2実施形態によれば、「第2条件」が成立した場合(S108:Yes)、制御装置は、目標過熱度SHgを徐々に低くし(S209)、膨張弁21によって過熱度SHを低くする(S210)。これによって、室内熱交換器22の凍結を抑制し、ひいては、空気調和機100の信頼性を従来よりも高めることができる。
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、室内熱交換器22の入口温度Teが第3閾値T3以下になった場合、過熱度SHを維持する点が第1実施形態とは異なっている。なお、その他(空気調和機100の構成等:図1参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図6は、第3実施形態に係る空気調和機100の制御装置が実行する処理のフローチャートである。なお、図6において第1実施形態(図2参照)と同様の処理には、同一のステップ番号を付している。
ステップS102において入口温度Teが第1閾値T1未満である場合(S102:No)、制御装置の処理はステップS301に進む。また、ステップS104において差ΔTが所定閾値ΔThよりも大きい場合や(S104:No)、ステップS108において入口温度Teが第2閾値T2よりも高い場合にも(S108:No)、制御装置の処理はステップS301に進む
ステップS301において制御装置は、室内熱交換器22の入口温度Teが所定閾値T3以下であるか否かを判定する。ここで、第3閾値T3(例えば、0℃)とは、過熱度SHを維持する(S302)か否かの判定基準となる閾値である。第3閾値T3は、第1閾値T1(S102)よりも低く、かつ、第2閾値T2(S108)よりも高い値として、予め設定されている。
ステップS301において入口温度Teが第3閾値T3以下であるという「第3条件」が成立した場合(S301:Yes)、制御装置の処理はステップS302に進む。
ステップS302において制御装置は、過熱度SHを維持する。すなわち、「第3条件」が成立した場合(S301:Yes)、制御装置は、前記した「第1条件」又は「第2条件」が成立するまでは、過熱度SHを「第3条件」の成立時の高さで維持する。言い換えると、ステップS302において制御装置は、膨張弁21を「第3条件」の成立時の開度で維持する。
仮に、過熱度SHを高めるために膨張弁21の開度を小さくすると(S106)、膨張弁21で減圧された冷媒の温度が低くなりすぎて、室内熱交換器22が凍結する可能性がある。また、過熱度SHを低くしなくても(S110)、その後の運転状況によっては、「第1条件」が成立する可能性がある。したがって、ステップS302では、過熱度SHを維持して、その後の冷凍サイクルの状態を見るようにしている。
なお、「第3条件」が成立した場合において(S301:Yes)、制御装置が、「第3条件」の成立直前の目標過熱度SHgを保持してもよいし(図7の時刻t2〜t3)、また、「第3条件」の成立時の過熱度SHと略同一の値に目標過熱度SHgを変更してもよい。
ステップ302の処理を行った後、制御装置の処理は「START」に戻る(RETURN)。また、ステップS301において入口温度Teが第3閾値T3よりも高い場合にも(S301:No)、制御装置の処理は「START」に戻る(RETURN)。
そして、「第3条件」の成立後に「第1条件」が成立した場合(S102:Yes、S104:Yes)、制御装置は、膨張弁21によって過熱度SHを徐々に高くする(S106)。また、「第3条件」の成立後に「第2条件」が成立した場合(S108:Yes)、制御装置は、膨張弁21によって過熱度SHを徐々に低くする(S110)。
図7は、圧縮機11の吐出側における冷媒の目標過熱度SHg、及び実際の過熱度SHの変化を示す説明図である。
図7に示す例では、過熱度SHを徐々に上昇させているとき(S106)、時刻t2において「第3条件」が成立している。その後、「第3条件」が成立している時刻t2〜t3において過熱度SHは値SH4で維持され、さらに、時刻t3で「第1条件」が再び成立して、過熱度SHが徐々に高められている。
<効果>
第3実施形態によれば、「第3条件」が成立した場合(S301:Yes)、制御装置は、過熱度SHを「第3条件」の成立時の高さで維持する(S302)。これによって、低負荷時に冷凍サイクルを不安定にすることなく圧縮機11の運転を継続でき、また、室内熱交換器22の凍結を防止できる。
≪変形例≫
以上、本発明に係る空気調和機100について各実施形態で説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、冷房専用の空気調和機100(図1参照)について説明したが、これに限らない。すなわち、圧縮機11からの冷媒の吐出先を室外熱交換器12及び室内熱交換器22の一方から他方に切り替える四方弁(図示せず)を備え、冷房運転や暖房運転を行う空気調和機にも各実施形態を適用できる。このような構成において、制御装置は、室外熱交換器12及び室内熱交換器22のうち「蒸発器」として機能する方の入口温度Teに基づいて、ステップS102、S108等(図2参照)の判定処理を行う。
また、空気調和機が四方弁(図示せず)を備える構成において、室内熱交換器22の付近に膨張弁を設けるとともに、室外熱交換器12の付近に別の膨張弁を設ける構成にも各実施形態を適用できる。このような構成において制御装置は、室内熱交換器22及び室外熱交換器12のうち、「蒸発器」として機能する方の付近に設置された膨張弁によって過熱度SHを調整する。
また、第1実施形態では、ステップS101,S102,S107,S108の処理(図2参照)において、室内熱交換器22の入口温度Teを用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、入口温度Teに代えて、室内熱交換器22の入口側に設けられる圧力センサ(図示せず)の検出値を用いてもよいし、また、室内熱交換器22の出口側に設けられる温度センサ(図示せず)又は圧力センサ(図示せず)の検出値を用いてもよい。つまり、室内熱交換器22(蒸発器)の入口側における冷媒の温度若しくは圧力、又は、室内熱交換器22の出口側における冷媒の温度若しくは圧力である「状態量」に基づいて、ステップS101等の処理を行うようにしてもよい。なお、第2、第3実施形態についても同様のことがいえる。
また、各実施形態では、「第1条件」が成立した場合、時間の経過とともに過熱度SHを直線的に上昇させる処理(図3の時刻t1〜t2)について説明したが、これに限らない。すなわち、所定時間(例えば、数分ごと)に過熱度SHを所定値だけ高くする処理を繰り返す処理も、「過熱度SHを徐々に高める」という事項に含まれる。なお、過熱度SHを低下させる場合についても同様のことがいえる。
また、各実施形態では、室内ファン23(図1参照)の吸込側に設けられた温度センサ32(図1参照)の検出値を「室内温度」として扱う場合について説明したが、これに限らない。すなわち、サーバルーム等の空調を行う場合において、室内ファン23の吹出側に設けられる温度センサ(図示せず)の検出値を「室内温度」として扱ってもよい。
また、各実施形態は、適宜組み合わせることができる。例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせ、「第1条件」が成立した場合に過熱度SHを徐々に高め(S106)、「第2条件」が成立した場合に目標過熱度SHgを徐々に低くするようにしてもよい(S209)。
また、例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせ、目標過熱度SHg等を徐々に高める過程で(S205、S206)、室内熱交換器22の入口温度Teが第3閾値T3以下になった場合(S301:Yes)、過熱度SHを維持するようにしてもよい(S302)。
また、各実施形態では、空気調和機100(図1参照)が、室外機10及び室内機20を1台ずつ備える構成について説明したが、これに限らない。例えば、1台の室外機に複数台の室内機を接続したマルチ型の空気調和機にも各実施形態を適用できる。また、複数台の室外機Wtが並列接続された構成の空気調和機にも各実施形態を適用できる。また、圧縮機11が室内機20に設置された構成の空気調和機にも各実施形態を適用できる。
また、各実施形態で説明した空気調和機100は、パッケージエアコンやルームエアコンであってもよいし、室外機と室内機とを一体化させた一体型エアコンであってもよい。
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
100 空気調和機
10 室外機
11 圧縮機
12 室外熱交換器(凝縮器)
13 室外ファン
14 室外機制御装置(制御部)
20 室内機
21 膨張弁
22 室内熱交換器(蒸発器)
23 室内ファン
24 室内機制御装置(制御部)
31,32 温度センサ
R 冷媒回路

Claims (7)

  1. 圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、が環状に順次接続されてなる冷媒回路と、
    前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記蒸発器の入口側における冷媒の温度若しくは圧力、又は、前記蒸発器の出口側における冷媒の温度若しくは圧力である状態量が第1閾値以上であるとともに、空調対象空間の設定温度に対する前記空調対象空間の実測温度の差が所定閾値以下であるという第1条件が成立した場合、前記膨張弁によって、前記圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度を徐々に高めること
    を特徴とする空気調和機。
  2. 前記第1条件が成立した場合、前記制御部は、前記圧縮機の吐出側における冷媒の目標過熱度を前記第1条件の成立直前よりも高い値に変更し、変更後の前記目標過熱度に前記過熱度を徐々に近づけるように前記膨張弁を制御すること
    を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記第1条件が成立した場合、前記制御部は、前記圧縮機の吐出側における冷媒の目標過熱度を徐々に高くし、前記目標過熱度に基づいて、前記膨張弁を制御すること
    を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  4. 前記状態量が、前記第1閾値よりも低い第2閾値以下であるという第2条件が成立した場合、前記制御部は、前記膨張弁によって、前記過熱度を徐々に低下させること
    を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  5. 前記第2条件が成立した場合、前記制御部は、前記圧縮機の吐出側における冷媒の目標過熱度を前記第2条件の成立直前よりも低い値に変更し、変更後の前記目標過熱度に前記過熱度を徐々に近づけるように前記膨張弁を制御すること
    を特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
  6. 前記第2条件が成立した場合、前記制御部は、前記圧縮機の吐出側における冷媒の目標過熱度を徐々に低下させ、前記目標過熱度に基づいて、前記膨張弁を制御すること
    を特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
  7. 前記状態量が、前記第1閾値よりも低く、かつ、前記第2閾値よりも高い第3閾値以下であるという第3条件が成立した場合、前記制御部は、前記第1条件又は前記第2条件が成立するまでは、前記過熱度を前記第3条件の成立時の高さで維持すること
    を特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の空気調和機。
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