JP2019174087A - 環境形成装置及び環境形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また本発明は、空間内の湿度を目標環境の湿度に調整する環境形成方法に関するものである。
また本発明は、空間内の湿度を目標環境の湿度に調整する湿度制御装置、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体に関するものである。
特許文献1に開示された環境試験装置は、蒸発器の下流側に開度を変更可能な第二膨張手段を備えている。そして以下の工程を順次に実行して試験室内の環境を目標環境に調整する。
(1)圧縮機を駆動して冷却装置を運転し、主として試験室の温度を低下させる温度降下工程。
(2)第一膨張手段の開度を絞った状態で冷却装置を運転し、蒸発器の表面で水蒸気を凝縮させ、主として前記空間の相対湿度を低下させる湿度降下工程。
(3)第二膨張手段の開度を調節した状態で冷却装置を運転し、蒸発器の表面の温度を上昇させて蒸発器の表面に付着した水分の一部又は全部を蒸発又は昇華させる湿度調節工程。
続く湿度降下工程で試験室内の湿度を低下させる。湿度降下工程では、第一膨張手段の開度を絞った状態で冷却装置が運転されるので、冷媒の蒸発圧力が低下し、冷媒の温度が低下して蒸発器の表面温度が低下する。そのため蒸発器と接触する空気は、内包する水蒸気を凝縮させる。その結果、空気は水蒸気を奪われて水分量が低下し、相対湿度が急激に低下する。
湿度降下工程では、試験室内の湿度を目標湿度を下回るまで低下させる。即ち特許文献1に開示された環境試験装置では、試験室内の湿度を目標環境よりも大幅に降下させる。
続く湿度調節工程では、第二膨張手段の開度を調節した状態で冷却装置を運転し、蒸発器の表面温度を上昇させて蒸発器の表面に付着した水分を蒸発又は昇華させて試験室内の湿度を上昇させ、試験室内の湿度を目標湿度に至らせる。
即ち特許文献1に開示された環境試験装置では、環境形成の過程で、試験室内の湿度を目標環境よりも降下させる。そしてその後、蒸発器の表面に付着した水分を蒸発又は昇華させて試験室内の湿度を上昇させる。
特許文献1に開示された環境試験装置は、この様に試験室内の湿度を目標湿度を下回る湿度に低下させ、その後に目標湿度に戻すので、最終的に目標湿度に至るまでに時間がかかる場合がある。
そこでフロストフリー運転又はノンフロスト運転と称される運転が行われる場合がある。この運転方法では、蒸発器の表面温度を氷点温度を超える温度に維持する。その結果、蒸発器の表面で結露する場合があるものの凍結はせず、蒸発器に霜が付かない。
そのため特許文献1に開示された環境試験装置でフロストフリー運転を実行する場合は、前記した湿度降下工程においても時間を要する場合があり、最終的に目標湿度に至るまでに時間がさらにかかる場合がある。
しかしながら、現状の環境が例えば摂氏10度、相対湿度80パーセントという様な低温高湿環境であり、目標環境が摂氏10度、相対湿度30パーセントという様な低温低湿環境である様な場合には、試験室内を目標湿度に至らせるまでに時間がかかる場合がある。
即ちデシカント式の除湿装置は、吸湿した除湿剤を加熱して再生する必要がある。しかしながら、吸湿時に吸湿剤を通過する空気の温度が低い場合は、吸湿剤が過度に冷えており、再生のための昇温に時間がかかる。そのため試験室内の湿度を低下させるのに時間がかかる場合がある。
特に特許文献1に開示された環境試験装置にデシカント式の除湿装置を併用してフロストフリー運転を実行すると、最終的に目標湿度に至るまでに時間がかかる場合がある。
そのため現状環境の露点温度との差を十分に確保することができ、空気中の水蒸気が蒸発器と接して凝縮し、空気中の水分が奪われて空間内の湿度が急激に低下してゆく。
蒸発器の表面温度は氷点温度以下であるから、蒸発器の表面で凝縮水が凍結し、霜が付くこととなる。
空間内の湿度が目標環境の湿度又はその近傍に至ると、蒸発器の温度を上昇させる。本態様では、蒸発器温度上昇工程を実施して蒸発器の温度を氷点温度を超える温度に上昇させる。
その結果、蒸発器の表面に付着していた霜が融解する。また蒸発器の表面が現状の露点温度以上であるならば、蒸発器の表面で水分が蒸発又は昇華し、空気中に水分を供給することとなり、空間の湿度を上昇させる要因となる。
ここで本態様の環境形成装置は、冷却装置とは別に除湿装置を有している。本態様の環境形成装置は、除湿装置によって水分の蒸発等による湿度上昇を抑制し、空間内の湿度を目標環境の湿度に維持する。
本態様の環境形成装置によると、空間内の湿度を過度に下げることなく、目標湿度に至らせることができるので、目標湿度に至るまでに要する時間が比較的短い。
本態様の環境形成装置では、蒸発器の温度を目標環境の露点温度以下に調整して空間内の湿度を低下させる。本工程では、蒸発器の温度が露点温度以下に調整されるので、空気中の水蒸気が蒸発器と接して凝縮し、空気中の水分が奪われて空間内の湿度が急激に低下してゆく。
空間内の湿度が前記目標環境の湿度又はその近傍に至ると、蒸発器の温度を上昇させる。本態様では、蒸発器温度上昇工程を実施して蒸発器の温度を露点温度を超える温度に上昇させる。
その結果、蒸発器の表面に付着していた凝縮水や霜が蒸発又は昇華し、空気中に水分を供給することとなり、空間の湿度を上昇させる要因となる。
ここで本態様の環境形成装置は、冷却装置とは別に除湿装置を有している。本態様の環境形成装置は、除湿装置によって水分の蒸発等による湿度上昇を抑制し、空間内の湿度を目標環境の湿度に維持する。
本態様の環境形成装置によると、空間内の湿度を過度に下げることなく、目標湿度に至らせることができるので、目標湿度に至るまでに要する時間が比較的短い。
その結果、空間内の温度が目標環境の温度に収斂してゆく。
冷却器の表面温度は、目標環境の露点温度以下であって且つ氷点温度以下であるから、空気中の水蒸気が蒸発器と接して凝縮し、空気中の水分が奪われて空間内の湿度が急激に低下してゆく。また蒸発器の表面で凝縮水が凍結し、霜が付くこととなる。
空間内の湿度が前記目標環境の湿度又はその近傍に至ると、蒸発器の温度を上昇させる。本態様では、蒸発器温度上昇工程を実施して蒸発器の温度を氷点温度よりも上であって且つ目標環境の露点を超える温度に上昇させる。
その結果、蒸発器の表面に付着していた霜が蒸発又は昇華し、空気中に水分を供給することとなり、空間の湿度を上昇させる要因となるが、除湿装置によって水分の蒸発等による湿度上昇が抑制され、空間内の湿度を目標環境の湿度に維持する。
本態様の環境形成方法によると、空間内の湿度を過度に下げることなく、目標湿度に至らせることができるので、目標湿度に至るまでに要する時間が比較的短い。
本実施形態の環境試験装置1は、特有の湿度制御を行うものである。湿度制御の概要は、次の通りである。
即ち本実施形態の環境試験装置1では、試験室6内の湿度を下げて設定環境の湿度に調整する際に、蒸発器(冷却器)25の表面温度を目標環境の露点温度以下であって且つ氷点温度以下に低下させ、蒸発器25の表面に霜を発生させる。
その間、試験室6内の湿度を監視し、目標環境の湿度に至るのを待つ。試験室6内の湿度が目標環境の湿度に到達すると、蒸発器25の表面温度を氷点温度よりも上であって且つ目標環境の露点を超える温度に上昇させ、蒸発器25の表面に付着した霜を蒸発又は昇華させる。そして霜の蒸発又は昇華による湿度上昇を除湿装置によって抑制する。
本実施形態の環境試験装置1は、図1に示すように、断熱壁2で覆われた断熱筐体3を有している。断熱筐体3の一面には扉5が設けられている。
断熱筐体3は、内部が仕切壁8によって試験室6と空調用通路7とに区分されている。仕切壁8の上下のそれぞれに、試験室6と空調用通路7とを連通する空気吹き出し口11と、空気吸い込み口12が設けられている。
本実施形態では、室内温度検知手段15及び室内湿度検知手段16は、試験室6の上部側であって、空気吹き出し口11の近傍に配されている。
膨張弁36並びに下流側絞り手段37は、それぞれ開度を調整可能なものである。下流側絞り手段37は、通常、膨張弁として使用されている弁を流用したものであり、構造的には電子式の膨張弁と同一である。下流側絞り手段37は、信号電圧に応じて開度を無段階に変えることができる。膨張弁36についても同様であり、信号電圧に応じて開度が無段階に変わるものが使用されている。
下流側絞り手段37は、蒸発器25の下流側にあり、開度を調節することができる下流側開度調整手段である。
一方、蒸発器25の下流側には、第二冷媒温度検知手段41と、冷媒圧力検知手段42が設けられている。第二冷媒温度検知手段41は、第一冷媒温度検知手段40と同じく、従来公知の熱電対や温度センサーである。第二冷媒温度検知手段41は、蒸発器25を通過した後の冷媒ガスの温度を検知できる。第二冷媒温度検知手段41は、蒸発器25の蒸発器出口温度を検知できる。
冷媒圧力検知手段42は、蒸発器25内の冷媒の圧力を検知するものであり、冷媒の蒸発圧力を知るための手段である。
冷媒圧力検知手段42は、例えば、従来公知の圧力センサーである。
冷媒循環回路30の圧縮機33を起動すると、気相状態の冷媒が圧縮され、凝縮器35で冷却されて、液化される。そして、その液状の冷媒は、膨張弁36を経て蒸発器25に入り、気化される。そして蒸発器25が冷媒により温度降下され、空調用通路7を通過する空気を冷却することができる。蒸発器25に流れこむ冷媒の温度は、蒸発器25の上流側に設けられた第一冷媒温度検知手段40で検知される。
また膨張弁36の開度を絞った状態で冷却装置23を運転すると、冷媒の蒸発圧力が低下し、蒸発器25の表面温度が低下する。その一方で、冷媒循環回路30を循環する冷媒の量が減少し、冷凍能力は低下する。本明細書では、この状態を「除湿運転」と称する。即ち前記した「冷房運転」が実行されている状態で、膨張弁36を絞ると、膨張弁36を経て放出される冷媒は、極めて低温となる。その結果、蒸発器25の表面温度が露点以下まで低くなって、蒸発器25の表面で空気に含まれている水蒸気が凝縮し、結露する。また蒸発器25の表面温度が氷点温度以下である場合には、凝縮水が凍結して霜となり、蒸発器25の表面に付着する。
換言すれば、蒸発器25が「略加湿装置」の役割を果たすものである。
本明細書では、蒸発器25の表面温度を上昇させて行う加湿運転を「冷凍機による加湿運転」と称する。
「湿度調節プログラム」は、蒸発器温度上昇工程を実行するプログラムであり、試験室6内の湿度が目標環境の湿度に至った後に蒸発器25の温度を上昇させる動作を実現するものである。
上記した各プログラムは、制御装置60(図2参照)の図示しない記憶手段に記憶されている。
除湿装置50は、公知の様にハウジング内の空間を仕切って、除湿処理用の空気を流す処理側流路51と再生用の外気を流す再生側流路52を有し、両流路に跨って吸湿剤を保持した除湿ロータ55を回転可能に設けたものである。
また再生側流路52には、図示しないヒータと送風機61が接続されている。
除湿装置50を使用して除湿を行う場合には、ダンパ62を開いて空調用通路7を通過する空気を分流し、分流空気を除湿装置50に通過させた後、空調用通路7に戻す。この際、除湿ロータ55の吸湿剤に水蒸気が吸着される。
またこのとき、除湿ロータ55を回転しつつ、再生側流路52に熱風を供給し、除湿ロータ55の吸湿剤から水蒸気を除いて吸湿剤を再生させる。
即ち断熱筐体3内の空気は、送風機20によって仕切壁8の下部側の空気吸い込み口12から空調用通路7側に吸入され、空調用通路7を鉛直上方に向けて通過して、仕切壁8の上部側に設けられた空気吹き出し口11から試験室6側に吐出される。
仮に蒸発器25の表面温度が露点温度以下であれば、空気中の水蒸気が蒸発器25と接して凝縮し、除湿される。
さらに加えて、送風の一部を分岐して処理側流路51に流し、除湿装置50を使用して試験室6内を除湿することもできる。
一方、制御装置60には、出力機器として、圧縮機33、膨張弁36、下流側絞り手段37、加熱ヒータ27、加湿装置26及び除湿装置50等が接続されている。そのため、制御装置60は、前記機器を制御することで、試験室6内の温度と湿度を制御することができる。
具体的には、室内温度検知手段15と室内湿度検知手段16の検出値をフィードバックして空調機器21や除湿装置50を駆動し、試験室6内の温度及び湿度を目標環境のそれになるように制御する。
あるいは蒸発器25に導入される冷媒の温度と、蒸発器25内における冷媒の蒸発圧力と、蒸発器25の表面温度の関係を予め実験によって求め、この実験データに照らして蒸発器25の表面温度を演算してもよい。
また単に、蒸発器25の導入側における冷媒の温度と出口側の冷媒の温度から蒸発器25の表面温度を求めてもよい。
他の方策として、膨張弁36及び下流側絞り手段37の開度と、蒸発器25の表面温度との関係を予め実験で求め、膨張弁36及び下流側絞り手段37の開度から蒸発器25の表面温度を演算等で求めてもよい。
またこの際に、圧縮機33の回転数、冷媒圧力検知手段42の検知圧や雰囲気温度を参酌することが推奨される。
演算によることなく、センサー等によって蒸発器25の表面温度を直接検出してもよい。
「湿度急降下プログラム」が実行されると、膨張弁36の開度が絞られ。下流側絞り手段37の開度が広げられる。
その結果、蒸発器25に導入される冷媒量が減少し、且つ下流側絞り手段37による背圧が減少して冷媒の蒸発圧力が低下し、蒸発器22の表面温度が低下する。
「湿度急降下プログラム」では、前記した様に、蒸発器25の表面温度が「氷点温度以下であり、且つ目標環境の露点温度以下」となる様に膨張弁36及び下流側絞り手段37が制御される。
その結果、蒸発器25に導入される冷媒量が増加し、且つ下流側絞り手段37による背圧が少しずつ上昇して冷媒の蒸発圧力が序々に増加し、蒸発器25の表面温度がゆっくりと時間をかけて上昇してゆく。
「湿度調節プログラム」では、蒸発器25の表面温度が、最終的に「氷点温度を超え、且つ目標環境の露点を超える温度」となる様に、膨張弁36と下流側絞り手段37が制御される。なお本実施形態では、「湿度調節プログラム」では、蒸発器25の表面温度が、最終的に試験室6の設定温度となる様に制御される。
環境試験装置1では、制御装置60によって、試験室6内を目標の温度と相対湿度に自動制御する。
以下、タイムチャートの「設定湿度」欄の様に、最初に試験室6内の目標環境が低温高湿環境となる様に制御し、続いて目標環境を低温低湿運転に切り換える場合を例として、環境試験装置1の動作を説明する。
以下の説明は、湿度制御を中心に行うが、もちろん温度も目標環境の温度に調節される。
即ち本実施形態の環境試験装置1では、前記した様に空調機器21及び除湿装置50は、制御装置60によって制御され、空調機器21等は、試験室6が設定の湿度となる様に自動制御される。そのため試験室6内の湿度が目標湿度よりも低い場合には加湿装置26が自動的に駆動し、試験室6内を加湿する。また試験室6内の湿度が目標湿度よりも高い場合には冷却装置23又は除湿装置50によって除湿される。
なお空調機器21及び除湿装置50の自動制御は、途切れることなく常時実行されており、試験室6内の湿度が目標湿度よりも下がると加湿装置26が自動的に駆動して試験室6内を加湿し、湿度が目標湿度よりも上がると冷却装置23又は除湿装置50によって除湿される。
低温高湿運転では、膨張弁36は開度が広く、図5の「下流側絞り手段開度」欄の様に下流側絞り手段37は中程度の開度に調節して冷却装置23が運転される。
その結果、蒸発器25の表面温度(冷媒の蒸発温度)は、図4の「蒸発温度」欄に示す様に比較的高い温度となる。
低温高湿運転では、目標湿度が高いため、図4の「除湿装置駆動量」欄の様に除湿装置50は停止状態となっている。
試験室6内の水蒸気量は、図5の「空気中の水蒸気量」欄の様に多い。
低温高湿運転では、図4の「試験室内湿度」欄の様に、試験室6内は高湿度状態を維持している。
低温低湿運転が開始されると、試験室6の目標湿度が10パーセントに変更される。
そして膨張弁36による温度制御を行いながらステップ5で湿度急降下プログラムが起動して蒸発器温度降下工程が実行される。具体的には、蒸発器25の表面温度が氷点温度以下であり、且つ目標環境の露点温度以下となる様に、冷却装置23が制御される。
蒸発器温度降下工程では、ステップ6で下流側絞り手段37が広げられる。下流側絞り手段37の開度は、図5の「下流側絞り手段開度」欄に示す通りである。
試験室6内の環境に注目すると、図4の「試験室内湿度」欄の様に相対湿度は急速に低下してゆく。
試験室6内の水蒸気量は、図5の「空気中の水蒸気量」欄の様に減少してゆく。
低温低湿運転では、目標湿度が低いため、図4の「除湿装置駆動量」欄の様に除湿装置50が駆動される。
図4の「試験室内湿度」欄の様に、試験室6内の湿度が、目標湿度に到達すると、ステップ8に移行し、湿度急降下プログラムが終了し、代わって湿度調節プログラムが起動して蒸発器温度上昇工程が実行される。具体的には、蒸発器25の表面温度が氷点温度を超え、且つ目標環境の露点温度を超える様に、冷却装置23が制御される。なお本実施形態では、蒸発器25の表面温度が目標環境の温度となる様に制御される。
この際には図4の「加湿装置駆動量」欄の様に加湿装置26が自動的に駆動し、設定湿度のアンダーシュートが極力抑制される。
除湿装置50の運転量は、図4の「除湿装置駆動量」欄の様に次第に減少してゆく。
下流側絞り手段37の開度が絞られることによって、図4の「蒸発温度」欄の様に蒸発器25の表面温度はゆっくりと上昇してゆく。
蒸発器25の表面温度が氷点温度を超えると、霜の融解が始まる。蒸発器25の表面温度が露点を超えると、図5の「凝縮量・蒸発量(単位時間)」欄の様に凝縮水や霜がゆっくりと蒸発又は昇華する。
その結果、図5の「蒸発器周りの水量」欄の様に蒸発器25の表面に積層された水分が失われる。
凝縮水や霜の蒸発又は昇華は、試験室6内の湿度を上昇させる要因となる。
本実施形態の環境試験装置では、蒸発器25の表面から空気中に拡散される水蒸気が、除湿装置50で捕捉される。そのため蒸発器25の表面から水蒸気が発生するにもかかわらず、試験室6内の湿度は図4の「試験室内湿度」欄の様にそれほど変動しない。
前記したステップ8で、蒸発器25の表面温度が氷点温度を超える温度に設定され、それ以降は蒸発器25の表面温度が氷点温度を超える温度に維持されるので、通常運転に移行した後は蒸発器25に霜が発生しない。そのため本実施形態の環境試験装置1によると、フロストフリー運転を行うことができる。
本実施形態の環境形成装置1は、加湿装置26の消費電力が抑制されるので省エネルギーに寄与する。
しかしながら、目標環境の温度が比較的高い場合には、必ずしも蒸発器25の表面温度を氷点温度以下に下げなくても試験室6内の湿度を急激に低下させることができる。従って、蒸発器温度降下工程において蒸発器25の表面温度を氷点温度以下に調節することは必須ではなく、目標環境の露点温度以下であればよい。
例えば蒸発器25の目標温度を氷点下の温度とした結果、当該目標温度が意図せず目標環境の露点温度以下となっていてもよい。
この制御方法によると、蒸発器25に霜付きが起こらず、フロストフリー運転を行うことができる点で推奨される。
しかしながら、フロストフリー運転を行うことを目的としないのであれば、必ずしも蒸発器25の表面温度を氷点温度を超える温度に上げなくてよい。
蒸発器温度上昇工程において蒸発器25の表面温度を氷点温度を超える温度に調節することは必須ではなく、目標環境の露点温度を超えていればよい。
蒸発器温度上昇工程における蒸発器25の表面温度は、必ずしも目標環境の温度に一致させる必要は無いが、目標環境の温度に関連する値であることが望ましい。具体的には目標環境の温度に基づいて算定された温度に設定することが望ましい。例えば、目標環境の温度に係数を掛けたり、一定の数値を足し又は引いた数値とすることが望ましい。
例えば、湿度の降下速度が速い場合、目標湿度を境として蒸発器温度降下工程から蒸発器温度上昇工程に切り替えると、反応の遅れから試験室6内の湿度がアンダーシュートして目標湿度を下回る場合がある。
そこで反応の遅れに起因するアンダーシュートを見越して、試験室6内の湿度が目標湿度に至る直前で蒸発器温度降下工程から蒸発器温度上昇工程に切り替えてもよい。逆に、目標湿度を幾分下回ってから工程を切り替えてもよい。
例えばインターネット等の通信手段を利用して、外部のコンピュータから制御装置60を遠隔操作してもよい。この場合には、外部のコンピュータに冷却器や除湿装置60を動作させるコンピュータプログラムが格納されている。
コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体の例としては、ハードディスクの他、CD−ROM、DVD等がある。
6 試験室
7 空調用通路
15 室内温度検知手段
16 室内湿度検知手段
23 冷却装置
25 蒸発器(冷却器)
26 加湿装置
36 膨張弁(膨張手段)
37 下流側絞り手段(下流側開度調整手段)
50 除湿装置
60 制御装置
Claims (10)
- 所定の空間の湿度を目標環境の湿度に調整可能な環境形成装置であって、
冷却装置を備え、前記冷却装置は、圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、蒸発器と、下流側開度調整手段を有し、前記下流側開度調整手段は前記蒸発器の下流側にあり、前記冷却装置の内部に相変化する冷媒が充填されていて一連の冷凍サイクルを実現し、前記蒸発器の表面温度を低下させ、空気中の水蒸気を液化又は凍結させて除湿する機能を備え、且つ前記下流側開度調整手段の開度を調節して前記蒸発器内の冷媒の蒸発圧力を制御し、前記蒸発器の温度を調節可能な環境形成装置において、
前記冷却装置以外に除湿装置を有し、
前記空間内の湿度を低下させる際に、前記蒸発器の温度を氷点温度以下に調整して前記空間内の湿度を低下させ、
前記空間内の湿度が前記目標環境の湿度又はその近傍に至った後に前記蒸発器の温度を上昇させる蒸発器温度上昇工程を実施して前記蒸発器の温度を氷点温度を超える温度に上昇させ、
少なくとも前記蒸発器温度上昇工程において、前記除湿装置によって前記空間内の湿度上昇を抑制して前記空間内の湿度を前記目標環境の湿度に維持することを特徴とする環境形成装置。 - 所定の空間の湿度を目標環境の湿度に調整可能な環境形成装置であって、
冷却装置を備え、前記冷却装置は、圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、蒸発器と、下流側開度調整手段を有し、前記下流側開度調整手段は前記蒸発器の下流側にあり、前記冷却装置の内部に相変化する冷媒が充填されていて一連の冷凍サイクルを実現し、前記蒸発器の表面温度を低下させ、空気中の水蒸気を液化又は凍結させて除湿する機能を備え、且つ前記下流側開度調整手段の開度を調節して前記蒸発器内の冷媒の蒸発圧力を制御し、前記蒸発器の温度を調節可能な環境形成装置において、
前記冷却装置以外に除湿装置を有し、
前記空間内の湿度を低下させる際に、前記蒸発器の温度を前記目標環境の露点温度以下に調整して前記空間内の湿度を低下させ、
前記空間内の湿度が前記目標環境の湿度又はその近傍に至った後に前記蒸発器の温度を上昇させる蒸発器温度上昇工程を実施して前記蒸発器の温度を前記目標環境の露点温度を超える温度に上昇させ、
少なくとも前記蒸発器温度上昇工程において、前記除湿装置によって前記空間内の湿度上昇を抑制して前記空間内の湿度を前記目標湿度に維持することを特徴とする環境形成装置。 - 前記蒸発器温度上昇工程において、前記蒸発器の温度を目標環境の温度に基づいて算定された温度に上昇させることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境形成装置。
- 前記蒸発器温度上昇工程おいては、前記下流側開度調整手段の開度を一定時間以上かけて狭めてゆくことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の環境形成装置。
- 前記除湿装置は、水蒸気吸着式の除湿装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の環境形成装置。
- 環境形成装置は、試験室を有する環境試験装置であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の環境形成装置。
- 表面温度を調節可能な冷却器と、水蒸気吸着式の除湿装置によって、環境形成空間内の湿度を目標環境の湿度に調整する環境形成方法において、
前記冷却器の表面温度を目標環境の露点温度以下であって且つ氷点温度以下に低下させて前記冷却器の表面に霜を生成させて前記環境形成空間内の湿度を目標環境の湿度又はその近傍まで低下させ、
その後、前記冷却器の表面温度を氷点温度よりも上であって且つ目標環境の露点を超える温度に上昇させて前記霜を蒸発又は昇華させ、
前記霜の蒸発又は昇華による湿度上昇を前記除湿装置によって抑制することを特徴とする環境形成方法。 - 表面温度を調節可能な冷却器と、水蒸気吸着式の除湿装置を制御して目標環境の湿度に調整する湿度制御装置において、
前記冷却器の表面温度を氷点温度以下に低下させて前記冷却器の表面に霜を生成させて湿度を目標環境の湿度又はその近傍まで低下させ、
その後、前記冷却器の表面温度を氷点温度を超える温度に上昇させて前記霜を蒸発又は昇華させ、
湿度上昇を前記除湿装置によって抑制することを特徴とする湿度制御装置。 - 表面温度を調節可能な冷却器と、水蒸気吸着式の除湿装置を制御して湿度を目標環境の湿度に調整する制御装置を動作させるためのコンピュータプログラムであって、
前記冷却器の表面温度を氷点温度以下に低下させて前記冷却器の表面に霜を生成させて湿度を目標環境の湿度又はその近傍まで低下させ、
その後、前記冷却器の表面温度を氷点温度を超える温度に上昇させて前記霜を蒸発又は昇華させ、
湿度上昇を前記除湿装置によって抑制する動作を前記制御装置に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 表面温度を調節可能な冷却器と、水蒸気吸着式の除湿装置を制御して湿度を目標環境の湿度に調整する制御装置を動作させるためのコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記冷却器の表面温度を氷点温度以下に低下させて前記冷却器の表面に霜を生成させて湿度を目標環境の湿度又はその近傍まで低下させ、
その後、前記冷却器の表面温度を氷点温度を超える温度に上昇させて前記霜を蒸発又は昇華させ、
湿度上昇を前記除湿装置によって抑制する動作を前記制御装置に実行させるコンピュータプログラムを記憶していることを特徴とする記憶媒体。
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