JP5355540B2 - ヒートポンプ装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施の形態1に係るヒートポンプ装置の概略図である。図1及び後述の各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
ヒートポンプ装置1は、圧縮機2、四方弁3、凝縮器4、膨張機5及び蒸発器6を備え、これらを順次配管で接続した冷媒回路を備えている。ヒートポンプ装置1は更に、凝縮器4に外気を送る凝縮器用ファン7と、蒸発器6に外気を送る蒸発器用ファン8と、デシカント材9と、加熱装置10と、加熱装置制御部11と、圧縮機回転検出部12と、圧縮機回転数調整部13を備えている。このヒートポンプ装置1は、空気調和機又は給湯機として構成される。
図2は、本発明の実施の形態1に係るヒートポンプ装置の吸着モードにおける外気温度と吸着後温度それぞれの時間変化を示した図である。図2を参照してデシカント材9の飽和判定について説明する。
吸着モード時のデシカント材9の飽和判定は、外気温度検出部15で検知した外気温度(以下、吸着前温度という)と蒸発器吸込空気温度検出部16で検知した吸着後温度とに基づき実施する。図2に示すようにデシカント材9が水分を吸着して飽和してくると、吸着前温度と吸着後温度との差が縮まってくる。よって、図3に示すように、吸着モード初期における、吸着前後の空気の温度差を学習してΔTi_Aとして記憶しておき、現在の吸着前後の空気の温度差が、吸着モード初期時に比べて所定の割合α(0≦α<1)まで小さくなったとき(つまり、ΔTi_A×αまで小さくなったとき)、デシカント材9が飽和したと判定する。
図4は、本発明の実施の形態1に係るヒートポンプ装置の脱着モードにおける外気温度と脱着後温度それぞれの時間変化を示した図である。
脱着モード時の脱着終了判定も、外気温度検出部15で検知した外気温度(以下、脱着前温度という)と蒸発器吸込空気温度検出部16で検知した脱着後温度とに基づき実施する。図4に示すようにデシカント材9の脱着が進み、デシカント材9に水分が無くなってくると、脱着による空気温度低下が少なくなり加熱装置10による加熱量がそのまま空気の温度上昇として現れてくる。よって、脱着前温度と脱着後温度との差が大きくなってくる。したがって、脱着モード初期の脱着前後の空気の温度差を学習してΔTi_Dと記憶しておき、現在の脱着前後の空気の温度差が、脱着モード初期時に比べて所定の割合β(β>1)まで大きくなったとき(つまり、ΔTi_D×βまで大きくなったとき)、デシカント材9の脱着が終了したと判定する。
蒸発器6の蒸発温度が0℃以下の場合、空気中に存在している水分が蒸発器6に付着し、霜となって堆積する。その堆積量は時間とともに増加する。その結果、蒸発器6の一部であるフィンに付着した霜により熱抵抗が増加すると共に通風抵抗も増加し、図5に示すように時間と共に暖房能力が低下する。そのため、定期的に除霜運転を行う必要がある。
図7は、吸着モード時の吸着前後それぞれの空気変化を空気線図と共に示した図である。なお、図7の空気線は飽和線を示している。
図7に示すように、吸着後の空気(水分を吸着した空気)は、吸着熱によって吸着前よりも温度が上昇する。また、吸着後空気はデシカント材9を通過したことによって水分が除去されているため、絶対湿度が低下する。その結果、吸着後空気の露点温度Tdは、吸着前空気の露点温度Td0よりも低下する。吸着前後の空気の露点温度の低下幅は、デシカント材9による吸着能力に依存するが、十分な吸着能力を有するデシカント材9を使用することにより、吸着後空気の露点温度Tdを蒸発温度ET以下となるまで低下させることができる。これにより、無着霜とすることができる。なお、仮に吸着後空気の露点温度Tdが蒸発温度ETよりも高くても、デシカント材9の通過によって吸着前に比べて絶対湿度を下げることができるため、デシカント材9を通過させない場合に比べて着霜を抑制することができる。
吸着モードの運転を継続していると、デシカント材9が飽和し水分を吸着できなくなってくる。このため、脱着モードに切替え、デシカント材9内にある水分を追い出す脱着モードの運転を行う。脱着モードでは、具体的には上述したように加熱装置10をONしてデシカント材9自体またはデシカント材9に流入する空気を加熱すると共に、蒸発器6の蒸発温度を、所定の条件を満たす目標蒸発温度以上に上昇させる。
デシカント材9中の水分が供給されて加湿された脱着後空気は、図8に示すように、加熱装置10による加熱により脱着前に比べて温度が上昇する。また、脱着後空気は、デシカント材9から脱着した水分を含むことにより、絶対湿度も脱着前に比べて上昇する。そこで、本例では、上述したように所定の条件を満たす目標蒸発温度以上に蒸発器6の蒸発温度を上げ、着霜量を低減するようにしている。
脱着モード時の着霜量を、脱着前空気をデシカント材9を介さずに蒸発器6を通過させたと仮定した場合に比べて低減するには、脱着後空気の絶対湿度と蒸発温度上昇後の蒸発器6表面の絶対湿度との絶対湿度差VHBが、脱着前空気の絶対湿度と蒸発温度上昇前の蒸発器6表面の絶対湿度との絶対湿度差VHAよりも小さくなるようにすればよい。これが、所定の条件である。本実施の形態1では、具体的にはこの条件を空気温度差の条件に置き換え、次の(1)式に示すように、脱着前後の空気温度の温度差の分、蒸発温度を現状よりも上昇させた温度を目標蒸発温度ETとして決定する。この目標蒸発温度ET以上に蒸発温度を上昇させることにより、絶対湿度差VHBが絶対湿度差VHAよりも小さくなり、脱着モード時の着霜を抑制することができる。
ここで、Ta0:脱着前の空気温度、Ta:脱着後の空気温度
脱着モードにおいて蒸発温度を上昇させることで、霜密度を上げることが可能となる。霜密度は、蒸発温度をET、空気の温度をTa、空気の露点温度をTdとすると、(Td−ET)/(Ta−ET)が小さいほど霜密度を上げることができる。蒸発温度をET0からETに上昇させることにより、
(Td−ET)/(Ta−ET)<(Td−ET0)/(Ta−ET0)
とすることができる。このように、霜密度を上げて霜の高さ方向の成長を抑制することで、蒸発器6を通過する風量低下を抑制することができる。また、霜密度が上がると、霜層熱伝導率が高くなる。霜層熱伝導率が高くなると、空気と接触する霜表面温度を蒸発温度に近づけることができるため、空気と蒸発器6との熱交換における熱抵抗増加も抑制することが可能となる。
先ず、制御装置17はヒートポンプ装置1の暖房・給湯運転を開始し、吸着モードで運転を実施する(S1)。このとき、加熱装置10はOFFとする。そして、制御装置17は、吸着モードの間、デシカント材9が飽和したかどうかを判定する(S2)。制御装置17は飽和していないと判定した場合は吸着モードで運転を継続し、飽和したと判定した場合は脱着モードに移行する(S3)。すなわち、脱着モードでは、制御装置17は加熱装置10をONにすると共に上述のようにして目標蒸発温度を決定し、圧縮機回転数調整部13により圧縮機2の回転数を低下させて蒸発温度を目標蒸発温度以上に上昇させる制御を行う。本例では、上述したように脱着前後の空気の温度差の分、蒸発器6の蒸発温度を上昇させるようにしている。
図12は、本発明の実施の形態2に係るヒートポンプ装置の概略図である。
実施の形態2のヒートポンプ装置100は、図1に示した実施の形態1に、外気湿度検出部101、蒸発器吸込空気湿度検出部102を追加したものであり、その他の構成は実施の形態1と同様である。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
図13は、本発明の実施の形態2に係るヒートポンプ装置の吸着モードにおける外気露点温度と吸着後露点温度それぞれの時間変化を示した図である。図13を参照してデシカント材9の飽和判定について説明する。
実施の形態2では、外気露点温度(以下、吸着前露点温度という)と吸着後露点温度とを用いてデシカント材9が飽和しているか否かを検出する。なお、吸着前露点温度は、外気湿度検出部101の検出値と外気温度検出部15の検出値とから求められる。また、吸着後露点温度は蒸発器吸込空気湿度検出部102の検出値と蒸発器吸込空気温度検出部16の検出値とから求められる。
また、脱着モードにおいて蒸発温度を上昇させる際の目標蒸発温度ETは以下のようにして決定する。
脱着モード時の着霜量を、脱着前空気をデシカント材9を介さずに蒸発器6を通過させた仮定したと場合に比べて低減するための条件は上述の通りである。そこで、本実施の形態2では、具体的にはこの条件を露点温度差の条件に置き換え、図14に示すように脱着前後の空気の露点温度差の分、現状より蒸発温度を上昇させた温度を目標蒸発温度ETとして決定する。すなわち、目標蒸発温度ETを次の(2)式による温度とする。この目標蒸発温度ET以上に蒸発温度を上昇させることにより、脱着モード時の着霜を抑制することができる。
ここで、Td0:脱着前空気の露点温度、Td:脱着後空気の露点温度、ET0:蒸発温度上昇前(脱着モード直前つまり吸着モード終了時)の蒸発温度
図16は、本発明の実施の形態2に係るヒートポンプ装置の脱着モードにおける外気温度と脱着後温度それぞれの時間変化を示した図である。
脱着モード時の脱着終了判定も、脱着前空気の露点温度と脱着後空気の露点温度とに基づき実施する。図16に示すようにデシカント材9の脱着が進み、デシカント材9に水分が無くなってくると、脱着前露点温度と脱着後露点温度の差が小さくなってくる。したがって、脱着モード初期の露点温度差を学習してΔTdi_Dと記憶しておき、現在の吸着前後の空気の露点温度差が、脱着モード初期時に比べて所定の割合θ(0≦θ<1)まで小さくなったとき(つまり、ΔTdi_D×θまで小さくなったとき)、デシカント材9の脱着が終了したと判定する。
上記実施の形態1、2では加熱装置10を例えばヒーターとしていたが、加熱装置10はヒーターに限定されるものではない。以下、加熱装置の他の構成例として、圧縮機2からの高温高圧のガス冷媒を加熱源とした構成例を3例、順に説明する。なお、以下に説明する各構成例は、加熱装置の構成が異なるのみで、それ以外の構成は実施の形態1、2と同様である。また、後述の各図では、加熱装置の説明に必要な部分のみ図示し、各種検出部等の図示は省略している。
図18は、本発明の実施の形態3に係るヒートポンプ装置の加熱装置の構成例1を示す冷媒回路構成図である。
この構成例1のヒートポンプ装置200は、圧縮機2から吐出して凝縮器4に向かう高温高圧のガス冷媒の一部を凝縮器4をバイパスして膨張機5に流入させるバイパス回路201を有し、バイパス回路201によって加熱装置210を構成したものである。すなわち、加熱装置210は、圧縮機2から吐出して凝縮器4に向かう高温高圧のガス冷媒を熱源としている。バイパス回路201は第一の開閉弁202を有し、第一の開閉弁202の開閉により加熱装置210のON/OFFを行う。
図21は、本発明の実施の形態3に係るヒートポンプ装置の加熱装置の構成例2を示す冷媒回路構成図である。
この構成例2のヒートポンプ装置300は、実施の形態1の冷媒回路の膨張機5と凝縮器4との間に第二の開閉弁301を有すると共に、膨張機5と第二の開閉弁301との間から分岐し、第二の開閉弁301と凝縮器4との間に接続された加熱装置用配管302を有する。また、加熱装置用配管302は第三の開閉弁303を有する。以上により構成された加熱装置310は、凝縮器4を出て加熱装置用配管302に流入した高温高圧の二相冷媒または液冷媒を熱源としている。加熱装置310のON/OFFは、第二の開閉弁301と第三の開閉弁303の開閉により行う。
Claims (13)
- 圧縮機、凝縮器、膨張機及び蒸発器が順次接続されて冷媒が循環する冷媒回路と、
空気から水分を吸脱着可能なデシカント材と、
空気を加熱する加熱装置と、
前記蒸発器に空気を送るファンと、
前記デシカント材に水分を吸着させる吸着モードと前記デシカント材の水分を脱着する脱着モードとを交互に実施する制御装置とを備え、
前記蒸発器、前記デシカント材及び前記加熱装置は、前記吸着モードと前記脱着モードとで共通の風路内で前記加熱装置、前記デシカント材及び前記蒸発器の順に前記ファンによる空気が流れるように直線状に配置され、
前記制御装置は、
前記吸着モードでは前記加熱装置をOFFし、前記蒸発器に吸い込まれる空気中の水分を前記デシカント材に吸着させ、前記脱着モードでは前記加熱装置をONし、加熱した空気を前記デシカント材に通過させて前記デシカント材の水分を脱着すると共に前記蒸発器の蒸発温度を上昇させ、前記脱着モードにおいて、前記デシカント材の水分を含んだ脱着後空気と蒸発温度上昇後の前記蒸発器の表面との絶対湿度差が、脱着前空気と蒸発温度上昇前の前記蒸発器の表面との絶対湿度差よりも小さくなるように目標蒸発温度を決定し、その目標蒸発温度以上に前記蒸発器の蒸発温度を上昇させることを特徴とするヒートポンプ装置。 - 前記目標蒸発温度を、蒸発温度上昇前の蒸発温度に、前記脱着モードにおいて前記デシカント材を通過する空気の通過前後の空気温度差を加算した温度としたことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ装置。
- 前記目標蒸発温度を、蒸発温度上昇前の蒸発温度に、前記脱着モードにおいて前記デシカント材を通過する空気の通過前後の露点温度差を加算した温度としたことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ装置。
- 前記制御装置は、前記脱着モード時において脱着後空気の露点温度が0℃より高い場合、前記蒸発器の蒸発温度が0℃よりも高く且つ脱着後空気の露点温度よりも低くすることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のヒートポンプ装置。
- 前記制御装置は、前記脱着モードと前記吸着モードの切替えタイミングを、前記デシカント材通過前後の空気温度に基づいて決定することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のヒートポンプ装置。
- 前記制御装置は、前記吸着モードにおいて前記デシカント材を通過する空気の通過前後の空気温度差が、吸着モード初期に比べて所定の割合まで小さくなった場合に、吸着モードから脱着モードに切替えることを特徴とする請求項5記載のヒートポンプ装置。
- 前記制御装置は、前記脱着モードにおいて前記デシカント材を通過する空気の通過前後の空気温度差が、脱着モード初期に比べて所定の割合まで大きくなった場合に脱着モードから吸着モードに切替えることを特徴とする請求項5又は請求項6記載のヒートポンプ装置。
- 前記制御装置は、前記脱着モードと前記吸着モードの切替えタイミングを、前記デシカント材通過前後の空気の露点温度に基づいて決定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のヒートポンプ装置。
- 前記制御装置は、吸着モードにおいて前記デシカント材を通過する空気の通過前後の露点温度差が、吸着モード初期に比べて所定の割合まで小さくなった場合に、吸着モードから脱着モードに切替えることを特徴とする請求項8記載のヒートポンプ装置。
- 前記制御装置は、脱着モードにおいて前記デシカント材を通過する空気の通過前後の露点温度差が、脱着モード初期における所定の割合まで小さくなった場合に脱着モードから吸着モードに切替えることを特徴とする請求項8又は請求項9記載のヒートポンプ装置。
- 前記加熱装置は、前記圧縮機から吐出された高温高圧のガス冷媒を熱源としていることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載のヒートポンプ装置。
- 前記加熱装置は、前記凝縮器を通過後の高温高圧の二相冷媒又は液冷媒を熱源としていることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載のヒートポンプ装置。
- 前記制御装置は、除霜運転中に前記加熱装置を動作させ、前記デシカント材内部の水分を脱着することを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載のヒートポンプ装置。
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