JP2014037911A - カスケードヒートポンプサイクル - Google Patents

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隆宏 秋月
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Abstract

【課題】各冷媒回路における冷媒の流量は高負荷条件でも低負荷条件でも略同じに保つことができるとともに、低負荷条件において各圧縮機の圧縮比を所定値以上に保ち、信頼性を確保することができるカスケードヒートポンプサイクルを提供する。
【解決手段】圧縮機制御機構5が、水媒体について測定される測定出湯温度が設定出湯温度となるように前記高段圧縮機21を制御するとともに、前記カスケード熱交換器Cにおける前記低段冷媒又は前記高段冷媒について測定される圧力又は温度である測定中間パラメータが、測定出湯温度又は設定出湯温度である出湯温度及び外気温度の組み合わせごとに設定される目標中間パラメータとなるように前記低段圧縮機11を制御するよう構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、低段冷媒回路と高段冷媒回路とがカスケード熱交換器により連結されたカスケードヒートポンプサイクルに関するものである。
例えば寒冷地において給湯や暖房を行うために、カスケードヒートポンプサイクルが用いられている。前記カスケードヒートポンプサイクルは、低段冷媒回路と高段冷媒回路とをカスケード熱交換器で連結するとともに、前記高段冷媒回路の凝縮器の放熱により水媒体回路を流れる水媒体を加熱するように構成されたものである。
このようにカスケードヒートポンプサイクルは、2つの冷媒回路を連結することにより、外気温度が低く、水媒体回路における出湯温度が高温であるような高負荷条件においても効率よく運転できるように構成されている。
ところで、前記カスケードヒートポンプサイクルは外気温度が高く、出湯温度も低い低負荷条件では、各冷媒回路の圧縮機の吐出容量をそれほど大きくしなくても水媒体を十分に加熱できてしまうことがある。このような場合、低段圧縮機及び高段圧縮機の圧縮比は規定の圧縮比よりも低い状態で運転が継続されることになる。
各圧縮機が規定の圧縮比よりも低い値で運転していると、例えば故障の原因となる等、圧縮機の信頼性を保つことができなくなってしまう。そこで、特許文献1に記載のカスケードヒートポンプサイクルでは、低負荷条件においても各圧縮機の圧縮比が所定の値以上となるように膨張弁の開度を負荷条件に応じて制御するよう構成されている。
より具体的には、特許文献1のカスケードヒートポンプサイクルは、低負荷条件においては膨張弁の開度を高負荷条件に比べて小さくすることで、各圧縮機の圧縮比が所定値以上に保たれるようしている。
しかしながら、このような制御方法では低負荷条件においても各圧縮機の圧縮比は所定値以上にできるものの、膨張弁を絞り、開度を小さくすることで循環する冷媒の流量も低下してしまうことになる。さらに、冷媒流量低下しているので、低負荷条件におけるカスケードヒートポンプサイクルの運転効率や性能も低下することになってしまう。
特開2010−196951号公報
そこで、本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、各冷媒回路における冷媒の流量は高負荷条件でも低負荷条件でも略同じに保つことができるとともに、低負荷条件において各圧縮機の圧縮比を所定値以上に保ち、信頼性を確保することができるカスケードヒートポンプサイクルを提供することを目的とする。
すなわち、本発明のカスケードヒートポンプサイクルは、低段圧縮機、低段凝縮器、低段膨張弁、低段蒸発器が回路をなし、低段冷媒が循環する低段冷媒回路と、高段圧縮機、高段凝縮器、高段膨張弁、高段蒸発器が回路をなし、高段冷媒が循環する高段冷媒回路と、前記高段凝縮器において加熱される水媒体が循環する水媒体回路と、前記低段圧縮機及び前記高段圧縮機を制御する圧縮機制御機構と、を備え、前記低段凝縮器及び前記高段蒸発器でカスケード熱交換器が構成されており、前記圧縮機制御機構が、前記水媒体について測定される測定出湯温度が設定出湯温度となるように前記高段圧縮機を制御するとともに、前記カスケード熱交換器における前記低段冷媒又は前記高段冷媒について測定される圧力又は温度である測定中間パラメータが、測定出湯温度又は設定出湯温度である出湯温度及び外気温度の組み合わせごとに設定される目標中間パラメータとなるように前記低段圧縮機を制御するよう構成されていることを特徴とする。
このようなものであれば、目標中間パラメータが出湯温度及び外気温度に基づいて設定されるものであり、測定中間パラメータが目標中間パラメータとなるように前記圧縮機制御機構が前記低段圧縮機を制御するように構成されているので、出湯温度及び外気温に応じて低段冷媒回路の高圧又は凝縮温度、高段冷媒回路の低圧又は蒸発温度を所望の値にして前記低段圧縮機と前記高段圧縮機の圧縮比を所定の値に保つことができるようになる。
より具体的には、出湯温度が低いために前記高段冷媒回路の高圧が通常よりも低くなり、外気温度が高いために前記低段冷媒回路の低圧が通常よりも高くなると、前記高段冷媒回路の高圧と前記低段冷媒回路の低圧の圧力差が小さくなる。従来は、出湯温度と外気温度が変化しても前記カスケード熱交換器における低段冷媒又は高段冷媒の圧力を変化させていなかったので、低段冷媒回路においては低圧が高圧に近づき前記低段圧縮機の圧縮比が所定値以下になる、あるいは、高段冷媒回路においては高圧が低圧に近づき前記高段圧縮機の圧縮比が所定値以下になることがあった。
一方、本願発明は、出湯温度及び外気温度の組み合わせごとに設定される目標中間パラメータとなるように前記低段圧縮機が制御され、出湯温度及び外気温度に応じて、前記低段冷媒回路の高圧及び前記高段冷媒回路の低圧を変化させるので、例えば、前記低段冷媒回路の低圧と、前記高段冷媒回路の高圧との中間程度の圧力に前記低段圧縮機の高圧及び前記高段圧縮機の低圧を保つことができ、前記低段圧縮機及び前記高段圧縮機の圧縮比を所定値以上に保ち、信頼性を確保することができる。
さらに、このような制御方法であれば前記低段膨張弁及び前記高段膨張弁のいずれも開度を変化させなくても圧縮比を保つことができるので、低負荷条件においても冷媒流量が低下することがなく、カスケードヒートポンプサイクルとしての効率及び性能をどのような負荷条件でも常に一定に保つことができるようになる。
出湯温度及び外気温度の組み合わせごとに常に所望の圧縮比を確保できる目標中間パラメータを設定できるようにするには、目標中間パラメータが、出湯温度及び外気温度の組み合わせごとにおいて前記低段圧縮機及び前記高段圧縮機が所定の圧縮比以上となったときの測定目標中間パラメータの値に基づいて設定されていればよい。このようなものであれば、出湯温度及び外気温度に応じた目標中間パラメータを実験的に決めることができる。
前記低段冷媒回路及び前記高段冷媒回路の機差等も考慮して圧縮比を所定値以上に保つことができ、より信頼性を高められるようにするには、目標中間パラメータが、外気温度、設定出湯温度及び前記高段圧縮機の駆動周波数に基づいて設定されるものであればよい。
カスケードヒートポンプサイクルを運転中に、負荷条件が変化したとしても適宜最適な目標中間パラメータに変更されて常に圧縮比が所定値以上に保たれるようにするには、少なくとも出湯温度及び外気温度を取得して、取得された値に変化があった場合に前記圧縮機制御機構に設定されている目標中間パラメータを別の値に変更して設定する目標中間パラメータ設定部をさらに備えたものであればよい。
前記低段圧縮機を制御することにより測定中間パラメータを目標中間パラメータに追従させるには、前記圧縮機制御機構が、測定中間パラメータが目標中間パラメータよりも大きい場合には前記低段圧縮機の駆動周波数を低下させ、測定中間パラメータが目標中間パラメータよりも小さい場合には前記低段圧縮機の駆動周波数を増加させるように構成されていればよい。
前記低段圧縮機及び前記高段圧縮機の圧縮比を所定値以上に保つために適した目標中間パラメータの変化傾向としては、前記目標中間パラメータが、前記高段圧縮機の駆動周波数に比例して設定されるものが挙げられる。
簡単な構成で各圧縮機の圧縮比を所定値以上に保つことができる目標中間パラメータの具体例及びそのための構成としては、前記目標中間パラメータが、前記カスケード熱交換器における前記高段冷媒の目標高段蒸発温度であり、前記高段冷媒回路が、前記高段膨張弁と前記高段蒸発器の間に測定中間パラメータである測定高段蒸発温度を取得するための中間温度センサを更に備え、前記圧縮機制御部が、測定高段蒸発温度が目標高段蒸発温度となるように前記低段圧縮機を制御するように構成されたものであればよい。
例えば極端な低負荷条件であるために、測定中間パラメータが目標中間パラメータとなるように制御を継続しても圧縮比が所定値以上にならない場合にも対応できるようにし、信頼性をより高めるには、測定中間パラメータ前記高段圧縮機の圧縮比を測定する圧縮比測定機構と、前記低段膨張弁の開度を制御する膨張弁制御機構とをさらに備え、前記目標中間パラメータが所定時間以上変更されずに前記圧縮機制御機構が前記低段圧縮機を所定時間以上継続して制御しており、かつ、前記圧縮比測定機構で測定される前記高段圧縮機の圧縮比が所定値以下の場合には、前記膨張弁制御機構が、前記低段膨張弁の開度を減少させるものであればよい。このようなものであれば、特殊な場合のみ冷媒の流量を減少させて圧縮比を所定値に保つことができ、ほとんどの場合は冷媒の流量を変化させずに圧縮比を所定値に保つことができる。
このように本発明のカスケードヒートポンプサイクルによれば、測定中間パラメータが出湯温度及び外気温度に応じて設定される目標中間パラメータとなるように前記低段圧縮機が制御されるように構成されているので、高段冷媒回路の高圧の低下、又は、低段冷媒回路の低圧の上昇に応じてカスケード熱交換器における各冷媒の圧力を調節し、低負荷条件においても冷媒の流量を減少させることなく、前記低段圧縮機及び前記高段圧縮機の圧縮比を所定値以上に保つことができる。従って、推奨された圧縮比での運転が常時可能となり、故障等を起こりにくくして前記低段圧縮機及び前記高段圧縮機の信頼性を高めることができる。
本発明の一実施形態に係るカスケードヒートポンプサイクルの模式的回路図。 同実施形態における制御部の機能ブロック図。 外気温度及び出湯温度の変化に対するカスケードヒートポンプサイクルの状態変化と、本発明の制御による中間圧力の変化を示す模式的グラフ。 同実施形態におけるカスケードヒートポンプサイクルの動作を示すフローチャート。
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態のカスケードヒートポンプサイクル100は、例えば給湯及び暖房のために用いられるものであって、図1に示すように室外機ユニットを主に構成する低段冷媒回路1と、室内ユニットを主に構成する高段冷媒回路2と、水媒体が循環する水媒体回路3とから構成してある。そして、前記低段冷媒回路1の低段凝縮器13と前記高段冷媒回路2の高段蒸発器25は、カスケード熱交換器Cを形成しており、前記低段冷媒回路1の放熱により高段冷媒回路2の高段冷媒が加熱されるようにしてある。また、前記高段冷媒回路2の高段凝縮器23に対して前記水媒体回路3の一部が流入するようにしてあり、前記高段凝縮器23の放熱により水媒体が加熱されるように構成してある。さらに、このカスケードヒートポンプサイクル100は、前記低段冷媒回路1、前記高段冷媒回路2、前記水媒体回路3における冷媒及び水媒体の流通を制御する制御部4を備えている。
各部について説明する。
前記低段冷媒回路1は、低段圧縮機11、低段四方弁12、低段凝縮器13、低段膨張弁14、低段蒸発器15がこの順で回路をなし、低段冷媒が循環するように構成してある。前記低段圧縮機11は、低段インバータ16によりインバータ制御されるものであり、前記制御部4の指令に応じてその駆動周波数を変えられるように構成してある。前記低段膨張弁14は、通常運転時には、その開度は略一定に保たれているが、低負荷条件のなかでも特殊な場合にのみ開度が絞られるようにしてある。前記低段蒸発器15は、外気との間で熱交換が生じやすいように送風ファン17が設けてあり、さらに、外気温度を測定するための外気温度センサT2を備えている。
前記高段冷媒回路2は、高段圧縮機21、高段四方弁22、高段凝縮器23、高段膨張弁24、高段蒸発器25がこの順で回路をなし、高段冷媒が循環するように構成してある。前記高段圧縮機21は、高段インバータ26によりインバータ制御されるものであり、前記制御部4の指令に応じてその駆動周波数を変えられるように構成してある。さらに、この高段冷媒回路2は、前記高段蒸発器25の入口、すなわち高段冷媒の前記カスケード熱交換器C入口における高段冷媒の温度を測定するための中間温度センサT3と、前記高段凝縮器23の出口における高段冷媒の温度を測定するための高段凝縮器出口温度センサT4と、を備えている。
前記水媒体回路3は、前記高段凝縮器23に低温の水媒体を供給し、前記高段凝縮器23により加熱された水媒体を貯留する暖房給湯端末と、当該水媒体回路3において水媒体を循環させるためのポンプと、を備えたものである。さらにこの水媒体回路3は、加熱された後の水媒体の温度(測定出湯温度)を測定するための出湯温度センサT1と、加熱される前の水媒体の温度を測定する水温度センサT5と、を備えたものである。
前記制御部4は、CPU、メモリ、入出力端末、等を備えたいわゆるコンピュータであって、図2の機能ブロック図に示すように少なくとも圧縮機制御機構5、目標中間パラメータ設定部6、圧縮比測定機構7、膨張弁制御機構8としての機能を前記メモリに格納されたプログラムを実行することにより実現するものである。
各部について説明する。
前記圧縮機制御機構5は、前記高段圧縮機21及び前記低段圧縮機11の駆動周波数を前記低段インバータ16及び前記高段インバータ26を介して制御するものである。そして、この圧縮機制御機構5は、前記高段圧縮機21を制御する高段圧縮機制御部52と、前記低段圧縮機11を制御する低段圧縮機制御部51から構成してあり、前記低段圧縮機11と前記高段圧縮機21をそれぞれ異なる制御ロジックによりフィードバック制御するように構成してある。
前記高段圧縮機制御部52は、前記水媒体について前記出湯温度センサT1により測定される測定出湯温度がユーザにより設定される設定出湯温度となるように前記高段圧縮機21の駆動周波数を制御するものである。すなわち、前記高段圧縮機制御部52は、外気温度や前記低段冷媒回路1における物理量はフィードバックされておらず、前記水媒体回路3における水媒体の温度のみをフィードバックすることで高段冷媒回路2における高段冷媒の状態を制御するようにしてある。
前記低段圧縮機制御部51は、前記カスケード熱交換器Cにおける前記高段冷媒について測定される温度又は圧力である測定中間パラメータが、測定出湯温度又は設定出湯温度である出湯温度及び外気温度の組み合わせごとに設定される目標中間パラメータとなるように前記低段圧縮機11を制御するものである。本実施形態では、測定中間パラメータとしては前記中間温度センサT3により測定される測定高段蒸発温度を用いており、目標中間パラメータとしては前記目標中間パラメータ設定部6により設定される目標高段蒸発温度を用いている。
すなわち、この低段圧縮機制御部51は、前記低段冷媒回路1におけるパラメータを直接フィードバックするのではなく、前記高段冷媒回路2におけるパラメータである高段蒸発温度に基づいて前記低段圧縮機11を制御するように構成してある。
また、本実施形態の変形例として高段蒸発温度の代わりに気体の状態方程式等から対応が導かられる高段蒸発圧力や低段凝縮温度、低段凝縮圧力等を中間パラメータとして用いても構わない。
前記低段圧縮機制御部51の構成についてより詳細に説明すると、当該低段圧縮機制御部51は、目標高段蒸発温度よりも測定高段蒸発温度のほうが高い場合には、前記低段圧縮機11の駆動周波数を下げ、回転数を減少させるように構成してある。また、目標高段蒸発温度よりも測定高段蒸発温度の方が低い場合には前記低段圧縮機制御部51は、前記低段圧縮機11の駆動周波数を上昇させ、回転数を増加させるように構成してある。
前記目標中間パラメータ設定部6は、前記低段圧縮機制御部51に対して目標中間パラメータである目標高段蒸発温度を現在の出湯温度、外気温度、前記高段圧縮機21の駆動周波数に基づいて適宜変更していくように構成してある。この目標高段蒸発温度は、出湯温度、外気温度、前記高段圧縮機21の駆動周波数の組み合わせごとに、前記低段圧縮機11及び前記高段圧縮機21が所定値以上の圧縮比を保つことができる高段蒸発温度を探索して、各組み合わせの結果から作成される実験式により算出されるものである。前記実験式は例えば前記高段圧縮機制御部52から取得される駆動周波数と目標蒸発温度との間の関係式であり、前記外気温度センサT2から取得される外気温度、前記出湯温度センサT1から取得される出湯温度の組み合わせごとに、異なる係数を有するものである。前記目標中間パラメータ設定部6は、各値の組み合わせごとに目標中間パラメータを算出し、前記低段圧縮機制御部51に設定する。本実施形態では、目標高段蒸発温度と前記高段圧縮機21の駆動周波数との間には比例関係又は1次関数の関係があり、傾き又は切片が外気温度及び出湯温度の組み合わせごとに固有の値が与えられる。
前記圧縮比測定機構7は、水温度センサT5により測定される水温と、出湯温度センサT1により測定される出湯温度と、中間温度センサT3により測定される測定高段蒸発温度を変数とする相関式により前記高段圧縮機21における現在の圧縮比を算出するものである。
前記膨張弁制御機構8は、前記目標中間パラメータ設定部6により、目標高段蒸発温度を所定時間以上変更されておらず、前記低段圧縮機制御部51が前記低段圧縮機11を所定時間以上継続して制御しており、かつ、前記圧縮比測定機構7で測定される前記高段圧縮機21の圧縮比が所定値以下の場合には、前記低段膨張弁14の開度を減少させるものである。
次にこのように構成されたカスケードヒートポンプサイクル100の低負荷条件時の動作について図3及び図4を用いて説明する。
図3の低段冷媒回路1の上向き矢印に示すように外気温度が高くなるほど前記低段冷媒回路1の低圧は上昇することになる。また、図4の高段冷媒回路2の下向き矢印に示すように出湯温度が低くなるほど前記高段冷媒回路2の高圧は低下することになる。従って、従来であれば、低負荷条件では前記低段冷媒回路1の低圧が高圧側に近づき、低段圧縮機11の圧縮比が小さくなり、前記高段冷媒回路2の高圧が低圧側に近づき、高段圧縮機21の圧縮比が小さくなる。このような現象に対して本実施形態のカスケードヒートポンプサイクル100は、図4の中央部矢印に示すように低段凝縮圧力(低段凝縮温度)及び高段蒸発圧力(高段蒸発温度)である中間パラメータを適切な方向に移動させることで、前記低段冷媒回路1及び前記高段冷媒回路2の低圧と高圧の差を適度に保つようにしてある。言い換えると、前記低段冷媒回路1の低圧が上昇し、前記高段冷媒回路2の高圧が低下した場合に、その変化した状態において中間パラメータである低段凝縮圧力及び高段蒸発圧力を中央部に移動させ、各圧縮機の圧縮比が低負荷条件でも所定値以上に保てるようにしている。
より具体的には、図4のフローチャートに示すように、前記高段圧縮機制御部52は、測定出湯温度と設定出湯温度の偏差が無くなるように前記高段圧縮機21の駆動周波数を制御する(ステップS1)。同時に前記目標中間パラメータ設定部6は、出湯温度、外気温度、高段圧縮機21の駆動周波数を取得し、これらの条件で前記低段圧縮機11及び前記高段圧縮機21の圧縮機が所定値以上となった時の高段蒸発温度を実験式から算出し、前記低段圧縮機制御部51に目標高段蒸発温度として設定する(ステップS2)。その後、前記低段圧縮機制御部51は、測定高段蒸発温度と目標高段蒸発温度の偏差が無くなるように前記低段圧縮機11の駆動周波数を制御する(ステップS3)。
ここで、出湯温度、外気温度、高段圧縮機21の駆動周波数に変化があった場合には、ステップS2に戻り、新たな目標蒸発温度が設定される(ステップS4)。これらの負荷条件に変化がない場合は、所定時間が経過するまでの間は設定された目標高段蒸発温度による前記低段圧縮機11の制御が継続される(ステップS5)。目標高段蒸発温度が設定されてから所定時間経過しても高段圧縮機21の圧縮比が所定値以下の状態が継続している場合には(ステップS6)、前記膨張弁制御機構8は、前記低段膨張弁14の開度を低下させる(ステップS7)。
このようにして、低負荷条件時においても前記低段圧縮機11及び前記高段圧縮機21の圧縮比が所定値以上となるように制御が行われる。なお、前記低段膨張弁14の開度が絞られてから圧縮比が所定値以上になった場合は再び元の開度に戻される。
このように本実施形態のカスケードヒートポンプサイクル100は、出湯温度、外気温度、前記高段圧縮機21の駆動周波数に基づいて、圧縮比を所定値以上に保つことができる目標高段蒸発温度に変更されていくので、極端な低負荷条件でない限り前記低段圧縮機11と前記高段圧縮機21の圧縮比を所定値以上に保ち、信頼性を確保することができる。しかもこの場合、低段膨張弁14又は高段膨張弁24の開度を変更していないので、冷媒流量に大きな変化はなく、カスケードヒートポンプサイクル100としての運転効率や性能を低下させることもない。
また、仮に極端な低負荷条件となり、中間パラメータの制御だけでは圧縮比を所定値以上に保つことができない事態が発生したとしても、前記膨張弁制御機構8により前記低段膨張弁14の開度を絞り、冷媒流量を低下させることにより圧縮比を所定値以上に戻すことができる。
その他の実施形態について説明する。
前記中間パラメータとしては高段蒸発温度を用いていたが、前記カスケード熱交換器の状態を示すパラメータであればその他のものを使用しても構わない。具体的には、高段蒸発圧力であってもよいし、低段凝縮温度、低段凝縮圧力であってもよい。また、これらのパラメータを測定するための温度センサや圧力センサは前記実施形態に示しただけでなく、各値を測定するのに適した位置に設置すればよい。
前記実施形態では、前記高段圧縮機の圧縮比は各温度センサの出力から推定していたが、例えば、前記圧縮比測定機構が圧力センサを備えるものであり、前記圧力センサからの出力に基づいて圧縮比を算出するものであっても構わない。
前記実施形態では目標中間パラメータは、外気温度及び出湯温度だけで設定してもよいし、出湯温度としては測定出湯温度又は設定出湯温度のいずれを使用してもよい。また、前記実施形態では膨張弁制御機構を設けていたが、負荷条件によっては各膨張弁の開度は固定されているものであってもよい。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
100 :カスケードヒートポンプサイクル
1 :低段冷媒回路
2 :高段冷媒回路
3 :水媒体回路
4 :制御部
5 :圧縮機制御機構
6 :目標中間パラメータ設定部
7 :圧縮比測定機構
8 :膨張弁制御機構
11 :低段圧縮機
12 :低段四方弁
13 :低段凝縮器
14 :低段膨張弁
15 :低段蒸発器
16 :低段インバータ
17 :送風ファン
21 :高段圧縮機
22 :高段四方弁
23 :高段凝縮器
24 :高段膨張弁
25 :高段蒸発器
26 :高段インバータ
51 :低段圧縮機制御部
52 :高段圧縮機制御部
C :カスケード熱交換器
T1 :出湯温度センサ
T2 :外気温度センサ
T3 :中間温度センサ
T4 :高段凝縮器出口温度センサ
T5 :水温度センサ

Claims (8)

  1. 低段圧縮機、低段凝縮器、低段膨張弁、低段蒸発器が回路をなし、低段冷媒が循環する低段冷媒回路と、
    高段圧縮機、高段凝縮器、高段膨張弁、高段蒸発器が回路をなし、高段冷媒が循環する高段冷媒回路と、
    前記高段凝縮器において加熱される水媒体が循環する水媒体回路と、
    前記低段圧縮機及び前記高段圧縮機を制御する圧縮機制御機構と、を備え、
    前記低段凝縮器及び前記高段蒸発器でカスケード熱交換器が構成されており、
    前記圧縮機制御機構が、前記水媒体について測定される測定出湯温度が設定出湯温度となるように前記高段圧縮機を制御するとともに、前記カスケード熱交換器における前記低段冷媒又は前記高段冷媒について測定される圧力又は温度である測定中間パラメータが、測定出湯温度又は設定出湯温度である出湯温度及び外気温度の組み合わせごとに設定される目標中間パラメータとなるように前記低段圧縮機を制御するよう構成されていることを特徴とするカスケードヒートポンプサイクル。
  2. 目標中間パラメータが、出湯温度及び外気温度の組み合わせごとにおいて前記低段圧縮機及び前記高段圧縮機が所定の圧縮比以上となったときの測定目標中間パラメータの値に基づいて設定されている請求項1記載のカスケードヒートポンプサイクル。
  3. 目標中間パラメータが、外気温度、設定出湯温度及び前記高段圧縮機の駆動周波数に基づいて設定される請求項1又は2いずれかに記載のカスケードヒートポンプサイクル。
  4. 少なくとも出湯温度及び外気温度を取得して、取得された値に変化があった場合に前記圧縮機制御機構に設定されている目標中間パラメータを別の値に変更して設定する目標中間パラメータ設定部をさらに備えた請求項1乃至3いずれかに記載のカスケードヒートポンプサイクル。
  5. 前記圧縮機制御機構が、測定中間パラメータが目標中間パラメータよりも大きい場合には前記低段圧縮機の駆動周波数を低下させ、測定中間パラメータが目標中間パラメータよりも小さい場合には前記低段圧縮機の駆動周波数を増加させるように構成されている請求項1乃至4いずれかに記載のカスケードヒートポンプサイクル。
  6. 前記目標中間パラメータが、前記高段圧縮機の駆動周波数に比例して設定される請求項1乃至5いずれかに記載のカスケードヒートポンプサイクル。
  7. 前記目標中間パラメータが、前記カスケード熱交換器における前記高段冷媒の目標高段蒸発温度であり、
    前記高段冷媒回路が、前記高段膨張弁と前記高段蒸発器の間に測定中間パラメータである測定高段蒸発温度を取得するための中間温度センサを更に備え、
    前記圧縮機制御部が、測定高段蒸発温度が目標高段蒸発温度となるように前記低段圧縮機を制御するように構成された請求項1乃至6いずれかに記載のカスケードヒートポンプサイクル。
  8. 前記高段圧縮機の圧縮比を測定する圧縮比測定機構と、
    前記低段膨張弁の開度を制御する膨張弁制御機構とをさらに備え、
    前記目標中間パラメータが所定時間以上変更されずに前記圧縮機制御機構が前記低段圧縮機を所定時間以上継続して制御しており、かつ、前記圧縮比測定機構で測定される前記高段圧縮機の圧縮比が所定値以下の場合には、前記膨張弁制御機構が、前記低段膨張弁の開度を減少させる請求項1乃至7いずれかに記載のカスケードヒートポンプサイクル。
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