WO2018042962A1 - 洗濯機 - Google Patents

Abstract

蓋体（３）の蓋ヒンジ部（３１）に形成された空間部（６ａ）に設けられたダンパー保持体（１８）と、一端をダンパー保持体（１８）に遊嵌され、他端を蓋蝶番軸受（２４）に軸支された蓋体（３）の回転を減衰する回転式の衝撃緩和ダンパー（１９）とを備える。また、ダンパー保持体（１８）は、前端を蓋体にタッピングネジ（２０）にて螺合固定し、後端に形成した引掛け凸部（１８ａ）を蓋体（３）に形成した溝部（２２）に挿着して固定する構成とする。この構成により、蓋体（３）は衝突音も無く、円滑に開閉動作ができる。更には、組み立て時にダンパー保持体（１８）を仮固定できるので生産性が向上できると共に、ダンパー保持体（１８）が蓋体（３）に確実に固定されるので、ダンパー回転動作での衝撃力のよる変形、破損を抑え、信頼性を向上させることが出来る。

Description

洗濯機

　本発明は、上面の衣類投入口などを開閉自在に覆う蓋体を有する洗濯機に関するものである。

　従来、この種の洗濯機は、蓋体の閉時に大きな衝撃音が発生するのを防止するために、ダンパー機構を設ける構成が提案されている（例えば、特許文献１、特許文献２参照）。

　図２４は、特許文献１に記載された従来の洗濯機の一部破断した縦断面図である。図２５は、特許文献１に記載された従来の洗濯機の要部の一部切欠断面図である。図２６は、特許文献１に記載された従来の洗濯機の蓋体部の一部切欠断面図である。

　図２４、図２５、図２６において、本体２４１内に水槽２４２を弾性支持機構２４３により垂下支持しつつ収容し、水槽２４２の中央内底部に攪拌用の攪拌翼２４５を回転自在に配した洗濯兼脱水槽２４４を脱水回転可能に配設している。攪拌翼２４５および洗濯兼脱水槽２４４は、水槽２４２の外底部に固着したモータ２４７により回転駆動される。

　また、外箱２４１の最上部にはトップカバー２５５を装着し、トップカバー２５５の中央部に、洗濯兼脱水槽２４４内に臨む洗濯物出入口２５６を有し、洗濯物出入口２５６の上方に開閉自在に平面状の蓋体２５７を軸支している。蓋体２５７は、使用者が開閉操作する前蓋２５９と前蓋２５９を回動可能に連結した後方の後蓋２５８とからなっている。蓋体２５７は、開放した状態を、図２４中に、蓋体２５７ａで示しており、前蓋２５９ａは、後蓋２５８ａに対して平行状態に折れ曲がる。また、蓋体２５７は、蓋体２５７ａに示すように、開放時には略垂直状態に回動する。

　図２５に示すように、後蓋２５８の後端部には、左右の両側横向きの軸穴２６０を形成し、一方、トップカバー２５５には、軸穴２６０に摺動自在に軸２６１を横向きに突出するように設けた軸支持部２６２を突設し、軸２６１に後蓋２５８の軸穴２６０を遊嵌して蓋体２５７を回動自在に軸支している。

　後蓋２５８の軸穴２６０後下方には、扇形のギヤ部２６９を有するレバー体２６４を一体に形成し、レバー体２６４の下端に形成した扇形のギヤ部２６９は、トップカバー２５５の後部内を前後に移動可能に構成したラック２６５の平歯車２７１に噛み合っている。ラック２６５は、ピストンロッド２６６を連結してトップカバー２５５後部下方に固定配置した水平軸方向に抵抗力を有するダンパー本体２６７に連動している。

　また、レバー体２６４には、蓋体２５７を開放、または、閉じる方向に付勢力を与えるために、ねじりコイル部の腕を外方に延設したトグルばね２７０を係着し、蓋体２５７が水平状態では、蓋体２５７を閉じるように、レバー体２６４を、軸穴２６０を中心に反時計（矢印Ｆ）方向に付勢している。

　また、ダンパー本体２６７は、ピストンロッド２６６の後方（矢印Ｇ方向）への移動時にのみ抵抗を与える片利き構造となっており、反対方向の矢印Ｃ方向で示すピストンの前方向への移動については、抵抗を与えないように構成されている。

　よって、蓋体２５７を矢印Ａ方向に開放する時は、レバー体２６４を軸２６１中心にＢ方向への回転となり、扇形のギヤ部２６９に噛み合うラック２６５はＣ方向に移動するが、ダンパー本体２６７の抵抗は無い。一方、蓋体２５７を開放状態から閉じる場合（Ｅ方向）には、扇形のギヤ部２６９に噛み合うラック２６５は後方（Ｇ方向）に移動し、ダンパー本体２６７の抵抗を受け、蓋体２５７の回動を減衰するようになっている。

　また、従来の洗濯機は、洗濯物出入口を開閉自在に閉塞する蓋体が設けられており、ヒンジ構造により回動自在に支持している。蓋体の操作性を向上させるために、蓋体の開放力を低減させるための蝶番バネを備えている。蝶番バネは、蓋体に形成したヒンジ部に一旦を固定し、他端を洗濯機の上部枠体に取り付けることにより、蓋体に回動力を付勢している（例えば、特許文献３参照）。

　図２７および図２８は、従来の洗濯機の蓋体の分解斜視図である。

　蓋体３０２と上部枠体３０１を取り付ける際は、蓋体３０２の端部に形成されたヒンジ孔３０４ａに上部枠体３０１に形成したヒンジ軸３０５を挿入する。蓋体３０２のヒンジ部３０４に突出部を形成し、突出部に形成した取付け孔３０４ｂに蝶番バネ３０３の一端の係止部３０３ａを挿入し係止するとともに、蝶番バネ３０３の他端の係止部３０３ｂを上部枠体３０１に形成した係止孔３０７ａに挿入して係止している。また、上部枠体３０１には、ヒンジ部３０４が差し込まれる差込孔３０６が形成され、蝶番バネ３０３を支持するための凹部３０７が差込孔３０６に連続して形成されている。

特開２０００－１６７２９０号公報 特開２００９－２０７６５１号公報 特開平６－３１５５９７号公報

　しかしながら、図２４～図２６に示す従来の構成では、蓋体２５７を開放から閉じる際には、急激な衝撃音などは一定程度解消されるが、閉じた状態から開放する際は、ばね類の抵抗に加えギヤ部２６９とラック２６５との噛み合いによる回動力への抵抗も同時に生じるため、使用者にとり重たい蓋体の開き作業になる。さらに、後蓋２５８が開いてトップカバー２５５に対し略垂直近くで停止する時に、ダンパー本体２６７の抵抗がないために、後蓋２５８とトップカバー２５５のストッパー部とに激しい衝突音が発生するという課題があった。

　また、従来例では、蓋体２５７を前蓋２５９と後蓋２５８とに分割した構成を示したが、最近のデザイン傾向として、大型で１枚構造の蓋が多用されることが多い。この場合には、閉じた状態から開放のために持ち上げた際、トグルばね２７０の開放付勢力に蓋体全体の慣性力が加わって強く開き、より強い衝撃音や使い勝手上の不快感を生じるという課題があった。

　本発明は、蓋体の開放時に発生する衝突音が抑制され、かつ、円滑に開閉動作ができるとともに、ダンパー保持体と蓋体の確実な固定によるダンパー保持体周りの変形防止を図り、作業の安定化による生産性向上を図り得る洗濯機を提供する。

　本発明の洗濯機は、洗濯機本体上部に載置したトップカバーと、トップカバーに形成された衣類投入口と、衣類投入口を開閉自在に覆うように設けられた蓋体と、トップカバーに軸支された蓋体の回転を減衰する回転式の衝撃緩和ダンパーとを備える。さらに、蓋体の緩衝緩和ダンパー保持部には、空間部を形成し、ダンパー保持体は、一端を蓋体にネジ固定し、他端を引掛け凸部を蓋体に形成した係合部に係合して固定する。

　この構成により、蓋体は衝突音を抑制でき、円滑に閉じることができる。また、蓋体を開けるときは、衝撃緩和ダンパーの抵抗力を蝶番バネの付勢力で減少させるために、開けるときと同様に、衝突音も抑制され、円滑に開けることができる。

　また、組み立て時にダンパー保持体を仮固定できるので生産性が向上できるとともに、ダンパー保持体が蓋体に確実に固定されるので、ダンパー回転動作での衝撃力による変形、破損を抑え、信頼性を向上することができる。

　また、他の従来の洗濯機における蓋構造では、ダンパーを収納するダンパー保持体の取付けが片持ちになっており、取付け部に大きな荷重がかかるので蓋の重量アップにより、蓋またはダンパー保持体が変形、破損する虞があった。

　本発明は、蓋の重量が重くなっても蓋またはダンパーの変形、破損を防止する洗濯機を提供する。

　本発明の洗濯機は、洗濯機本体上部に載置したトップカバーと、トップカバーの上方に蓋蝶番軸で開閉自在に軸支した蓋体と、蓋体を開き側に付勢する蓋ばねと、蓋ばねを支持するばね軸と、蓋体の回動を減衰する回転式の衝撃緩和ダンパーと衝撃緩和ダンパーを収納するダンパー保持体と、を備える。また、ダンパー保持体には、蓋体とネジ等で固定するための取付け用リブと、取付け用リブの略反対方向に位置決め用リブと、が形成され、蓋体には、取付け用リブとネジ等で取付けられる取付け部と、位置決めリブが挿入される溝とを有する構成とする。

　この構成により、蓋閉時に衝撃緩和ダンパーにかかる力を、取付け用リブと位置決めリブで受けることができるので、蓋またはダンパーの変形、破損を防ぐことができる。

　また、図２７、図２８に示す従来の構成では、蝶番バネ３０３を固定するために、組立時に蝶番バネ３０３を自由長の状態から取付状態まで撓ませながら、蓋体３０２の取付け孔３０４ｂと上部枠体３０１の係止孔３０７ａに取り付ける必要があり、作業性が悪いという課題があった。

　本発明は、蓋体と上部枠体との組み立てが容易に行える洗濯機を提供する。

　本発明は、筐体と、筐体の上部に取り付けられ略中央に洗濯物を出し入れする衣類投入口を有する上部枠体と、上部枠体に回動可能に設けられ、衣類投入口を開閉可能に覆う蓋体と、を備える。また、蓋体後方には、蓋蝶番軸が設けられ、上部枠体後方には、蓋体の回動を支持するヒンジ部が形成され、ヒンジ部には蓋蝶番軸を受ける軸受けを有し、蓋体後方には、固定部材により板金が固定されており、その板金は曲げ加工により略垂直に折り曲げられた折り曲げ部を有する。さらに、折り曲げ部には貫通孔が形成され、貫通孔には蓋体を開方向に付勢する蝶番バネを軸支するバネ軸が挿入され、固定部材が、バネ軸の軸方向両端に位置する構成とした。

　これにより、簡単な構成でバネ軸が蝶番バネから抜けることを防止できるとともに、蓋体と上部枠体との組み立てを容易に行うことができる。

図１は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体が閉じた状態の外観図である。 図２は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体が開いた状態の外観図である。 図３は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体の開閉状態を示す側面図である。 図４は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体の構造を示す分解斜視図である。 図５は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体とトップカバーユニットの構造を示す分解斜視図である。 図６は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体の衝撃緩和ダンパーの構造を示す分解斜視図である。 図７Ａは、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体の要部横断面図である。 図７Ｂは、図７ＡのＨ部拡大図である。 図８は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体の要部縦断面図である。 図９は、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の外観斜視図である。 図１０は、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の蓋体の開閉動作を示す一部切欠側面図である。 図１１Ａは、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の蓋体部分の構造を示す要部断面図である。 図１１Ｂは、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の蓋体が開いた状態を示す要部断面図である。 図１２は、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の上部枠体と蓋体との取付けを示す分解斜視図である。 図１３は、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の蓋体の分解斜視図である。 図１４は、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の蓋体の衝撃緩和ダンパーの構造を示す分解斜視図である。 図１５は、図１２における１５－１５断面図である。 図１６は、図１５における１６－１６断面図である。 図１７は、本発明の第３の実施の形態における洗濯機の縦断面図である。 図１８は、本発明の第３の実施の形態における洗濯機の上部枠体と蓋体の要部縦断面図である。 図１９は、本発明の第３の実施の形態における洗濯機の上部枠体と蓋体の上面図である。 図２０は、本発明の第３の実施の形態における洗濯機の下部蓋枠体の裏面図である。 図２１は、図２０の要部拡大図である。 図２２は、図２１の２２－２２拡大断面図である。 図２３は、本発明の第３の実施の形態における洗濯機の上部枠体と下部蓋枠体とが取り付けられた状態を示す側面断面図である。 図２４は、従来の洗濯機の一部切欠縦断面図である。 図２５は、従来の洗濯機の要部の一部切欠断面図である。 図２６は、従来の洗濯機の蓋体部の一部切欠断面図である。 図２７は、従来の洗濯機の蓋体の分解斜視図である。 図２８は、従来の洗濯機の蓋体の分解斜視図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

　（第１の実施の形態）
　図１は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体が閉じた状態の外観図である。図２は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体が開いた状態の外観図である。図３は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体の開閉状態を示す側面図である。図４は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体の構造を示す分解斜視図である。図５は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体とトップカバーユニットの構造を示す分解斜視図である。図６は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体の衝撃緩和ダンパーの構造の分解斜視図である。図７Ａは、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体の要部横断面図である。図７Ｂは、図７ＡのＨ部拡大図である。図８は、本発明の第１の実施の形態における洗濯機の蓋体の要部縦断面図である。

　図１、図２、図３において、洗濯機本体１の上部にトップカバー２を載置し、トップカバー２の略中央部には、衣類投入口３０が形成され、衣類投入口３０を覆うようにトップカバー２に軸支された蓋体３が上方に開閉自在に配されている。

　トップカバー２には、蓋体３の後方位置に各種の入力設定を行ない、設定内容を表示する操作表示部４を配設している。操作表示部４の内方には、洗濯機の運転制御を行う制御装置（図示せず）が収設されている。

　蓋体３は、上下に二分割して、蓋上体５と蓋下体６により構成され、蓋上体５の上方には、蓋窓７を装着している。また、蓋下体６の左右には、蓋ヒンジ部３１を形成し、蓋ヒンジ部３１には、内部構造を覆うために蓋蝶番カバー９を載設して、外観デザイン形状を蓋下体６と合わせている。

　蓋体３は、トップカバー２に蓋ヒンジ軸１０により軸支されており、蓋ヒンジ軸１０を回転中心に、閉塞状態ＬＯの位置から、全開の略垂直に近い角度の開放状態ＬＨの位置まで回動する構造である。蓋体３を開放状態ＬＨから閉じる時には、傾斜状態Ｌ１の位置を過ぎてから、後述する蓋ヒンジ軸１０に備えたダンパー構造により、回転動作を緩和させて急激な衝撃を蓋体３に与えないで閉塞状態ＬＯの位置に至る。

　図４に示すように、蓋上体５の上には、蓋窓７を両面テープ１１で固定しており、蓋上体５の前方部には、蓋飾り板８が蓋窓７を挟んで保持固定されている。

　蓋体３の一対の蓋ヒンジ部３１の間には、蓋体３の開き力を低減させて操作性を向上させるように、蝶番取付板１４を配しており、蝶番取付板１４には、開き方向の付勢力を備えた蝶番バネ１２と、回転支持する蓋蝶番軸１３とを左右対称に各２ケ取り付けている。

　蝶番取付板１４は、金属鋼板等で構成されており、蓋蝶番軸１３を支持するために曲げて形成した両側面には、軸孔１５を設けている。蓋蝶番軸１３は、蝶番取付板１４の軸孔１５の両側を貫通して支持し、その間に蝶番バネ１２のコイル中心に貫通して保持している。蓋蝶番軸１３と蝶番バネ１２が取付けられた蝶番取付板１４は、タッピングネジ１６にて蓋下体６に一体成形したネジボス１７に締結固着により取付けている。蓋体３は、以上の部品にて構成され、ユニット化されている。

　図５、図６、図７Ａ、図７Ｂにおいて、蓋体３の左右の蓋ヒンジ部３１に形成された空間部６ａには、衝撃緩和ダンパー１９を保持するダンパー保持体１８を備えており、ダンパー保持体１８の引掛け凸部１８ａを蓋下体６の溝部２２にツメ嵌合により係合して取り付けている。

　また、蓋蝶番軸受２４は、複数個の取付けタッピングネジ２５にて、トップカバー２に一体成形したネジボス２６に締結固定されている。

　衝撃緩和ダンパー１９は、図６に示す矢印Ｍの回転方向に抵抗力を与えるようになっており、ダンパー軸１９ａと相対的な回転動作に対して、衝撃緩和ダンパー１９内部に封入した粘性油の抵抗力によって、蓋体３の閉じる方向の回転の動きを緩衝する減衰作用が働く。これにより、蓋体３は衝突音も無く、円滑に閉じることができる。また、蓋体３を開ける時は、衝撃緩和ダンパー１９の抵抗力を蝶番バネ１２の付勢力で減少させるために、衝突音も無く、円滑に開けることができる。

　衝撃緩和ダンパーには、平面部１９ｂが形成され、同様形状で形成されたダンパー保持体１８の開口孔１８ｂと遊嵌しており、回転方向の位置決めとなっている。

　また、ダンパー軸１９ａにも、ダンパー軸平面部１９ｃが形成され、蓋蝶番軸受２４のダンパー軸受孔２４ａと遊嵌しており、回転方向の位置決めとなっている。

　ユニット化された蓋体３をトップカバー２に取り付ける時には、まず蝶番バネ１２の端部をトップカバー２のバネ挿入孔２３に挿入し、係合するために、蓋体３を略垂直に近い角度から下方向にトップカバー２に載せて設置する。ここでは、蝶番バネ１２の反発力のない自由状態で容易にバネ挿入孔２３に挿入できる。次に、衝撃緩和ダンパー１９を保持するダンパー保持体１８の引掛け凸部１８ａを蓋下体６の溝部２２に挿着させた後、外側に向けてスライドさせて、トップカバー２に設置された蓋蝶番軸受２４のダンパー軸受孔２４ａに、衝撃緩和ダンパー１９のダンパー軸１９ａを係合させた状態にして、複数個のタッピングネジ２０によりダンパー保持体１８を蓋下体６に一体成形したネジボス２１に締結固定して取り付ける。最後に、蓋蝶番カバー９を取り付ける。

　図８において、蓋体３を閉じた状態では、衝撃緩和ダンパー１９の抵抗力が大きく、蓋体３を開く方向である、矢印Ｍ２方向のトルク力が加わっているが、蓋体３の重心バランスにより閉じた状態で安定している。

　ここで、衝撃緩和ダンパー１９の抵抗力は、ダンパー保持体１８を蓋下体６から引き離す方向である、矢印Ｍ３方向にトルク力が加わった状態になっているが、ダンパー保持体１８の一端をタッピングネジ２０によるネジ固定と、もう一端の引掛け凸部１８ａを、蓋下体６の溝部２２に挿着することで、ダンパー保持体１８の両端が蓋体３に固定されるため、ダンパー回転動作での衝撃力のよる変形、破損を抑えることができる。これにより、蓋動作の信頼性を向上することができる。また、組み立て時に、ネジ固定前にツメ嵌合により仮固定ができるため、生産性を向上することができる。

　以上のように、本実施の形態においては、蓋体３の蓋ヒンジ部３１に形成された空間部６ａに設けられたダンパー保持体１８と、一端をダンパー保持体１８に遊嵌され、他端を蓋蝶番軸受２４に軸支された蓋体３の回転を減衰する回転式の衝撃緩和ダンパー１９とを備える。また、ダンパー保持体１８は、前端を蓋体にタッピングネジ２０にて螺合固定し、後端に形成した引掛け凸部１８ａを蓋体３に形成した溝部２２に挿着して固定する構成とした。この構成により、蓋体３は衝突音も無く、円滑に閉じることができる。また、蓋体３を開ける時は、衝撃緩和ダンパー１９の抵抗力を蝶番バネ１２の付勢力で減少させるために、同様に、衝突音も無く、円滑に開けることができる。

　更には、組み立て時にダンパー保持体１８を仮固定できるので生産性が向上できると共に、ダンパー保持体１８が蓋体３に確実に固定されるので、ダンパー回転動作での衝撃力のよる変形、破損を抑え、信頼性を向上することが出来る。

　（第２の実施の形態）
　図９は本発明の第２の実施の形態における洗濯機の外観斜視図である。図１０は、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の蓋体の開閉動作を示す一部切欠側面図である。図１１Ａは、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の蓋体部分の構造を示す要部断面図である。図１１Ｂは、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の蓋体が開いた状態を示す要部断面図である。

　図９の外観図に示すように、洗濯機本体５１の上部にトップカバー５２を載置し、トップカバー５２上面略中央部に開閉自在に蓋体５３を配し、トップカバー５２の前方には洗濯機の運転制御を行う制御板５５を配置する。

　蓋体５３は、デザイン的美観の優れた平面形状を略円形に形成すると共に、中央部に内部を目視できるように略円形の透明窓５４を有する構成し、使用者が、蓋体５３を開く場合にはトップカバー５２の前方に形成した凹部５６から持ち上げる事になる。

　図１０の蓋体５３の開閉動作を示す図のように、蓋体５３は軸穴５７を回動中心に、閉塞状態Ｌ０の位置から全開の略垂直に近い角度の開放状態ＬＨの位置にまで開放する構造である。

　使用者の蓋体５３の開き作業は、蓋体５３を閉塞状態Ｌ０から後述する蓋ばね６９の付加力で軽い力で開放状態ＬＨまで持ち上げることができる。

　開放状態ＬＨから閉じる場合は、蓋体５３を少し閉じて手を離すと、蓋体５３は自重によって閉まるが、蓋ばね６９の付加力と後述する衝撃緩和ダンパー７２が、閉じる回動動作を緩和させて、蓋体５３がトップカバー５２に急激な衝撃を与えないで閉塞状態Ｌ０の位置に閉じる。

　衝撃緩和ダンパー７２は、蓋体５３を開くときには働かず、蓋体５３を閉じるときに働く。このため、蓋体５３を開けるときには、軽い力で持ち上げることができ、蓋体５３を閉じるときには、回動動作が緩和されてゆっくりと蓋体５３が閉じる。

　図１１Ａ、図１１Ｂに示すように、蓋体５３は、平面形状が略円形で断面が凸球面状の蓋本体５８を、蓋本体５８の外周部を下方から支持する平面形状略ドーナツ形状の蓋下枠体５９、および蓋本体５８の外周部を上面から被覆する平面形状が略馬蹄形状の蓋上枠体６０を重ね合わせて構成し、特に蓋本体５８は、例えば透明樹脂部材等で形成して、使用者が内部の洗濯衣類の状態等を視認出来るようになっている。

　蓋本体５８の後方には段差部６１を形成し、上方より非透明材で形成した平板上の蓋カバー６２を取付けて、馬蹄形状の蓋上枠体６０の連結構成部材とする共に、後述する内部構造が透明樹脂部材の蓋本体５８から見えないようにデザイン的に配慮した構成としている。

　蓋下枠体５９の後方には、蝶番部６３を一体形成し、蓋体５３の開閉の回動動作中心である軸穴５７等を構成する。

　蓋本体５８の後方に蓋下枠体５９を取付けた際に形成した空間部９０内部に、蓋ばね６９、蓋ばね６９を支持するばね軸８０、蓋ばね６９の一端がばね圧力を加圧する金属鋼板等で構成され、蓋下枠体５９に固着した蓋補強板７９、等を内設する。

　蓋ばね６９の他端９１は、下方に指向し、トップカバー５２に取付けたトップカバー補強板７６に上方から挿入係着する。

　蓋体５３が閉じた閉塞状態を示す図１１Ａにおいては、蓋ばね６９は、略９０度に屈曲して蓋補強板７９を介して蓋体５３を開放しようとする反発力を、ばね軸８０の回転中心（蓋体５３の回転中心の蓋蝶番軸７７も同一）周りに時計方向に付加している。このとき、蓋ばね６９の蓋を開放しようとする反発力は、蓋体５３自体の重量による加重よりも小さく設定しているので、蓋体５３は、閉じ状態を保持している。

　蓋体５３を略垂直まで持ち上げて図１１Ｂのように開放した開放状態では、蓋ばね６９は略垂直のほぼ自由形状に伸びた状態で、若干の付勢力で蓋が倒れない構成としている。

　近年の蓋体５３は、図１１Ａ、図１１Ｂでも説明したように、透明樹脂部材の蓋本体５８と蓋下枠体５９や蓋上枠体６０の結合等により比較的堅牢かつ重量のある構成になっており、蓋体５３を開こうと作業する際の負荷を少なくする為に、蓋体５３が閉じた閉塞状態で蓋ばね６９のバネ力が最も強くなるように構成している。上記のように、比較的強いばね力を支持するために、蓋補強板７９は横長形状の金属鋼板等で構成され、蓋ばね６９の一端がばね圧力を直接、蓋下枠体５９に与えないように構成し、かつ蓋下枠体５９の後方部を補強し、蓋開閉動作に耐えうる構成としている。

　上記のように蓋体５３の重量に対して、蓋ばね６９のバネ力を強くなるように構成しているが、蓋開時には蓋ばね６９に大きな力がかからないようにしているので、蓋を閉める途中段階では、ダンパー保持体８１には大きな力がかかることになる。

　図１２は、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の上部枠体と蓋体との取付けを示す分解斜視図である。図１３は、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の蓋体の分解斜視図である。図１４は、本発明の第２の実施の形態における洗濯機の蓋体の衝撃緩和ダンパーの構造を示す分解斜視図である。図１５は、図１２における１５－１５断面図である。図１６は、図１５における１６－１６断面図である。

　図１２の分解斜視図において、蓋本体５８を蓋下枠体５９および蓋上枠体６０で上下より狭持するように一体構成した蓋体５３は、蝶番部６３および蓋ばね６９の他端９１、衝撃緩和ダンパー７２（後に構成を詳述）、等の動作部分を下方に指向させつつ、トップカバー５２上方より蓋設置部７０に装着する。

　トップカバー５２の蓋設置部７０後方には、蓋下枠体５９の軸穴５７に対応するトップカバー側軸支持穴７１や、蓋ばね６９を挿入保持する蓋ばね挿入孔７５を有する鋼板等で構成したトップカバー補強板７６及び、衝撃緩和ダンパー７２を装着する略Ｙ字形状の受け部７４を有する衝撃緩和のダンパー受け構造７３等を構成している。

　蓋ばね６９は、図１１Ｂでも説明したように、蓋体５３をトップカバー５２に組立てる前では、バネの反発力のほぼ無い自由状態で他端９１が下方を指向し、この状態でトップカバー５２に配したトップカバー補強板７６に他端９１を挿入係着する。

　蓋体５３を上方からトップカバー５２に装着し、蓋蝶番軸７７を水平方向から軸穴５７及びトップカバー側軸支持穴７１に挿入保持することで、蓋体５３はトップカバー５２に開閉自在に構成される。

　図１３の蓋体の分解図において、平面形状が略円形の蓋本体５８は、その周囲に馬蹄形状段差部７８を形成し、その後方に段差部６１を形成し、平面形状が略馬蹄形状の蓋上枠体６０及び平板上の蓋カバー６２を、それぞれ嵌め込みあるいは溶着、接着等で固定する。

　また、略ドーナツ形状の蓋下枠体５９は、蓋本体５８の下方より複数個の取付けねじ８２にて馬蹄形状段差部７８の裏面に一体形成したボス８３に締結固着により取付ける。

　蓋本体５８の後方の段差部６１の下方の、蓋下枠体５９を取付けた空間部９０（図１１Ａ参照）には、蓋ばね６９、蓋ばね６９を支持するばね軸８０、蓋ばね６９の蓋補強板７９、衝撃緩和ダンパー７２を回動自在に挿入保持するダンパー保持体８１等を内設する。

　ばね軸８０と、図１２で示した蓋体５３の回転中心の蓋蝶番軸７７の軸芯と、衝撃緩和ダンパー７２の回転軸とは、略同一の回転軸芯となるように構成している。

　使用者にとって、これら蓋体５３内部の蓋ばね６９や蓋補強板７９等の、実使用上視認することが不必要な内部構造が、透明樹脂部材の蓋本体５８を介して見えないように、蓋カバー６２を構成してデザイン的に配慮した構成とし、かつ、上述のように各部材を組込んだ蓋体５３は、図１２で示したように一体のユニット部材として準備構成して、上方よりトップカバー５２に装着する構成としている。

　蓋体５３は、曲面を有する複雑なデザインや強度を高めた構成で、バネ構造や衝撃緩和ダンパー７２の構造を組込んでユニット一体化しているので、予め準備工程等で構成でき、トップカバー５２への組立ても簡単に装着ができるので、生産工程に柔軟性が確保でき、生産性の高い蓋構造となっている。

　図１４の衝撃緩和ダンパーの分解図において、蓋を閉じる回転方向に抵抗力を与える衝撃緩和ダンパー７２は、有底円筒形状のダンパー本体８４と、ダンパー軸８５と、ダンパー本体８４の底部外底に一体形成した凸状部８６とで構成し、矢印Ｍで示したダンパー軸８５とダンパー本体８４との相対的な回転動作に対し、回転の動きを緩衝する減衰作用が働く。

　ダンパー本体８４部分は、円筒形状のダンパー保持体８１に挿入され、ダンパー本体８４の底部に突設した凸状部８６は、ダンパー保持体８１の端部に形成した開口部８７に回転を規制するように勘合する。ダンパー本体８４を挿入したダンパー保持体８１は、ダンパー保持体８１に一体に形成した取付け用リブ８８とその略反対方向の位置決め用リブ８９を有しており、位置決め用リブ８９を蓋下枠体５９の後部に形成した溝６６に挿入すると共に取付け用リブ８８を蓋下枠体５９にネジで固定される。よって、ダンパー軸８５をトップカバー５２のダンパー受け構造７３で回転方向に回動不可に固定し、蓋体５３を開閉動作した場合にダンパー保持体８１が回転すると、回転規制角度部分は回転動作に減衰作用が働く。

　このとき、ダンパー保持体８１、ネジ部、溝６６に力がかかるが、ダンパー保持体８１の取付け用リブ８８と位置決め用リブ８９の２ケ所で力を受けるので、ダンパー保持体８１等の変形、破損を防止することができる。

　また、衝撃緩和ダンパー７２のダンパー軸８５を、トップカバー側のダンパー受け構造７３への回転不可に装着する構成は、略Ｙ字形状の受け部７４に、ダンパー軸８５の先端部の平面部９５を装着係止する構成であり、図４でも説明したように、蓋体５３を上方からトップカバー５２に装着するだけで組立て作業が完了するもので、生産性を高める構成である。

　図１５の蓋体５３の回転軸まわりの断面図において、蓋本体５８と蓋下枠体５９との組立てで構成した空間部９０内部の、蓋本体５８および蓋カバー６２の略中心箇所（１６－１６線で示す）には、円筒形状のダンパー保持体８１に回転自在に挿入された衝撃緩和ダンパー７２を配し、さらに衝撃緩和ダンパー７２をはさんで同一軸線（Ｊ－Ｊで示す）上で左右側にそれぞれ蓋ばね６９およびばね軸８０を配する。

　蓋ばね６９の左右外側には、蓋体５３をトップカバー５２に対し開閉可能に軸支する蓋蝶番軸７７を、ばね軸８０に同一軸線上になるように、蓋下枠体５９の枠体蝶番部６３の軸穴５７およびトップカバー側軸支持穴７１に挿入保持する。

　また、蓋ばね６９は、ばねのコイル中心にばね軸８０を貫通せしめて支持し、ばね軸８０は、金属鋼板等で構成された蓋補強板７９の複数個の切越し片９２の小孔９３に軸支する。

　衝撃緩和ダンパー７２を通る１６－１６断面を示す図１６にて、衝撃緩和ダンパー７２の取付けを説明すると、ダンパー保持体８１に一体に３～１０ｍｍ延設した位置決め用リブ８９を蓋下枠体５９の後部に設けた溝６６に挿入した後、取付け用リブ８８を蓋下枠体５９に一体形成した複数個のボス９５の１つと、タッピングネジ９４とで狭持固定する。

　このとき、位置決め用リブ８９の先端が蓋下枠体５９の外側に出ないように長さを３～１０ｍｍの範囲で設定している。また、溝６６は蓋下枠体の蓋閉時の後方に配置しているので、蓋閉時には後方、蓋開時には下方に位置し使用者から見えることはない。

　蓋補強板７９は、上記のように、衝撃緩和ダンパー７２の左右に配した蓋ばね６９を覆うように横長に形成し、複数個のタッピングネジ９４にて蓋下枠体５９に固定し、蓋体５３の後方の空間部９０内部に構成した、衝撃緩和ダンパー７２、蓋ばね６９、蓋蝶番軸７７等から荷重を受ける蓋体５３の補強部材としての働きをする。

　また、蓋体５３の蓋蝶番軸７７、衝撃緩和ダンパー７２のダンパー軸８５、蓋ばね６９のばね軸８０の軸線を、図１５で示す様に、Ｊ－Ｊ線で示した略同一線に設定し、蓋体５３の蓋蝶番軸７７周りの開閉の動作と、衝撃緩和ダンパー７２の回動動作や、蓋ばね６９の回動動作を同一軸にする。この構成により、動作が単純化し、蓋ばね６９のばね荷重の蓋体５３への付加や蓋体５３の回動動作への減衰力の伝達に回転伝達以外の別構造を必要としない。

　以上のように、本実施の形態においては、ダンパー保持体８１に形成した取付け用リブ８８と位置決め用リブ８９の２箇所で蓋閉時にかかる力を支持するので、ダンパー保持体８１と蓋体５３の１箇所にかかる力を軽減でき、取付け部の変形、破損を防止することができる。

　また、位置決め用リブ８９の長さを３から１０ｍｍにして溝６６に挿入する構成にしているので、ダンパー保持構成の小型化を図ることができデザイン性を損なうことがない。

　（第３の実施の形態）
　図１７は本発明の第３の実施の形態における洗濯機の縦断面図である。

　図１７において、洗濯機の本体１１１（筺体）は、内部に水槽１１３をサスペンション１１２により懸垂防振支持している。水槽１１３の内部には、洗濯槽と脱水槽を兼ねた洗濯兼脱水槽１１５が回転可能に設けられている。洗濯兼脱水槽１１５の内底部には、パルセータ１１９が回転自在に配設されている。

　水槽１１３の外底部には、伝達機構部１２０が配設されている。伝達機構部１２０は、内部に洗濯時の減速ギア（図示せず）、洗濯・脱水軸１１４の切り換えクラッチ（図示せず）、および洗濯兼脱水槽１１５を停止するためのブレーキ（図示せず）を内蔵している。

　水槽１１３の外底部にはモータ１２１が取り付けられており、モータ１２１にはモータ側プーリ１２２が取り付けられている。洗濯・脱水軸１１４にはメカ側プーリ１２３が連結しており、モータ側プーリ１２２とメカ側プーリ１２３は、ベルト１２４により互いに連結されている。上記構成により、モータ１２１の動力は、ベルト１２４を介して洗濯・脱水軸１１４に伝達する。また、切り替えクラッチを制御することで、モータ１２１を用いて、パルセータ１１９が回転したり、パルセータ１１９および洗濯兼脱水槽１１５を同時に回転したりしている。

　洗濯機の本体１１１の上部には、上部枠体１２５を配している。上部枠体１２５の略中央部には、洗濯兼脱水槽１１５と外部とを連通するための洗濯物投入取出口１２６（衣類投入口）を形成し、洗濯物投入取出口１２６は蓋体１２７にて開閉自在に覆われている。上部枠体１２５の後方側の上部には、制御装置１２８が配設されており、制御装置１２８の上部は、各種の入力設定を行ない、設定内容を表示する操作パネル１２９により覆われている。上部枠体１２５の後方側の内部には、電磁力により開閉可能な給水弁１３０や注水ケース１３１等を有している。

　制御装置１２８は、モータ１２１等を制御し、洗い、すすぎ、脱水の一連の工程を逐次制御する制御手段（図示せず）を有している。

　水槽１１３の外底部には、加熱水生成装置１３２が取り付けられている。加熱水生成装置１３２には、洗濯水を加熱するヒータ（図示せず）等が設けられている。水槽１１３と加熱水生成装置１３２は、流入経路（図示せず）及び流出経路（図示せず）を介して連通接続されている。

　図１８は、本実施の形態における洗濯機の上部枠体と蓋体の要部前後縦断面図である。図１９は、本実施の形態における洗濯機の上部枠体と蓋体の上面図である。図２０は、本実施の形態における洗濯機の下部蓋枠体の裏面図である。図２１は、図２０の要部拡大図である。図２２は、図２１の２２－２２拡大断面図である。図２３は、本実施の形態における洗濯機の上部枠体と下部蓋枠体とが取り付けられた状態での側面断面図である。

　図１８に示すように、蓋体１２７は、洗濯物投入取出口１２６を覆うように開閉可能に設けられており、前方へ向けて下方に傾斜している。図１８、図１９に示すように、蓋体１２７は、上部を構成する上部蓋枠体１２７ａと、上部蓋枠体１２７ａの前部、後部、及び両側部に下方から取り付けられ縦断面において略凹状形状の下部蓋枠体１２７ｂと、ガラス板１２７ｃとから構成される。

　図２０に示すように、下部蓋枠体１２７ｂの後方両側には、蓋蝶番軸１３５が設けられている。上部枠体１２５の後方には、蓋体１２７の回動を支持するヒンジ部（図示せず）が設けられている。ヒンジ部には、蓋蝶番軸１３５を受ける軸受け部（図示せず）が形成されており、蓋蝶番軸１３５が軸受け部に挿入支持されることにより、蓋体１２７は、上部枠体１２５に対して回動自在に開閉できる。

　図２０～図２３に示すように、下部蓋枠体１２７ｂの裏側後方では、下部蓋枠体１２７ｂと板金１３８とがネジ１３９（固定部材）により締結固定されている。板金１３８は、曲げ加工により略垂直に折り曲げられた折り曲げ部１４０が複数箇所に形成されている。折り曲げ部１４０には貫通孔（図示せず）が形成され、貫通孔には蝶番バネ１３６を軸支するバネ軸１３７が挿入される。蝶番バネ１３６は、蓋体１２７を開方向に付勢する。ネジ１３９は、バネ軸１３７の軸方向両端に配設されている。

　上記構成により、バネ軸１３７は、貫通孔に挿入支持されるとともに、ネジ１３９のネジ頭１３９ｂによって、バネ軸１３７が軸方向に移動することを抑制している。このため、バネ軸１３７が貫通孔及び蝶番バネ１３６から外れることを防止できる。従来構成では、バネ軸に溝を加工してＥリングを嵌めるなどする必要があったが、本実施の形態では、このようなことをする必要がなく、少ない工程で容易にバネ軸１３７の移動を抑制できる。

　蓋体１２７と上部枠体１２５とを組み立てる際は、蓋蝶番軸３１５を上部枠体１２５の軸受け部に接続するとともに、蝶番バネ１３６の一端を上部枠体１２５後方のバネ挿入孔（図示せず）に挿入する。蝶番バネ１３６の他端は、下部蓋枠体１２７ｂに固定されている。このため、従来構成のように蝶番バネを自由長の状態から取付状態まで撓ませながら、上部枠体の係止孔と蓋体の取付け孔に取り付ける不安定な作業が必要なく、容易に組み立てることができる。また、組み立て途中に蝶番バネと上部枠体とが擦れ、上部枠体が傷付く虞を低減できる。

　なお、本実施の形態では、蓋体１２７と板金１３８とをネジ締結で固定する構成を説明したが、本発明はこれに限られず、他の方法で固定してもよい。

　また、本実施の形態は、蝶番バネ１３６及びバネ軸１３７をそれぞれ２つ設ける構成で説明したが、本発明はこれに限られず、蝶番バネ１３６及びバネ軸１３７をそれぞれ１つで構成し、バネ軸１３７の両端にネジ１３９を配設しても同様の効果を得ることができる。

　また、本発明は二槽式洗濯機で構成されていてもよい。

　以上説明したように、本発明は、洗濯機本体上部に載置したトップカバーと、トップカバーに形成された衣類投入口と、衣類投入口を開閉自在に覆うように設けられた蓋体と、トップカバーに軸支された蓋体の回転を減衰する回転式の衝撃緩和ダンパーとを備える。また、蓋体の緩衝緩和ダンパー保持部には、空間部を形成し、ダンパー保持体は、一端を蓋体にネジ固定し、他端を引掛け凸部を蓋体に形成した係合部に係合して固定する。

　これにより、蓋体は衝突音を抑制でき、円滑に閉じることができる。また、蓋体を開ける時は、衝撃緩和ダンパーの抵抗力を蝶番バネの付勢力で減少させるために、同様に、衝突音も抑制され、円滑に開けることができる。

　更に、組み立て時にダンパー保持体を仮固定できるので生産性が向上できると共に、ダンパー保持体が蓋体に確実に固定されるので、ダンパー回転動作での衝撃力のよる変形、破損を抑え、信頼性を向上することができる。

　また、本発明は、洗濯機本体上部に載置したトップカバーと、トップカバーの上方に蓋蝶番軸で開閉自在に軸支した蓋体と、蓋体を開き側に付勢する蓋ばねと、蓋ばねを支持するばね軸と、蓋体の回動を減衰する回転式の衝撃緩和ダンパーと衝撃緩和ダンパーを収納するダンパー保持体と、を備える。また、ダンパー保持体には、蓋体とネジ等で固定するための取付け用リブと、取付け用リブの略反対方向に位置決め用リブと、が形成され、蓋体には、取付け用リブとネジ等で取付けられる取付け部と、位置決めリブが挿入される溝とを有する。

　この構成により、蓋閉時に衝撃緩和ダンパーにかかる力を、取付け用リブと位置決めリブで受けることができるので、蓋またはダンパーの変形、破損を防ぐことができる。

　また、本発明は、筐体と、筐体の上部に取り付けられ略中央に洗濯物を出し入れする衣類投入口を有する上部枠体と、上部枠体に回動可能に設けられ、衣類投入口を開閉可能に覆う蓋体と、を備える。また、蓋体後方には、蓋蝶番軸が設けられ、上部枠体後方には、蓋体の回動を支持するヒンジ部が形成され、ヒンジ部には蓋蝶番軸を受ける軸受けを有し、蓋体後方には、固定部材により板金が固定されており、板金は曲げ加工により略垂直に折り曲げられた折り曲げ部を備える。さらに、折り曲げ部には貫通孔が形成され、貫通孔には蓋体を開方向に付勢する蝶番バネを軸支するバネ軸が挿入され、固定部材が、バネ軸の軸方向両端に位置する。

　この構成により、簡単な構成でバネ軸が蝶番バネから抜けることを防止できるとともに、蓋体と上部枠体との組み立てを容易に行うことができる。

　以上のように、本発明にかかる洗濯機は、蓋体の開放時に衝突音の発生が抑制され、かつ、円滑に開閉動作ができるとともに、蓋体構造の信頼性向上と、生産性向上を図ることができるので、蓋体を有する他の電化機器の用途に適用できる。

　１　洗濯機本体
　２　トップカバー
　３　蓋体
　５　蓋上体
　６　蓋下体
　６ａ，９０　空間部
　１２　蝶番バネ
　１３，７７，１３５　蓋蝶番軸
　１８　ダンパー保持体
　１８ａ　引掛け凸部
　１９　衝撃緩和ダンパー
　１９ａ，８５　ダンパー軸
　２０，９４　タッピングネジ
　２２　溝部
　２４　蓋蝶番軸受
　３０　衣類投入口
　３１　蓋ヒンジ部
　５１　洗濯機本体
　５２　トップカバー
　５３　蓋体
　５８　蓋本体
　５９　蓋下枠体
　６６　溝
　６９　蓋ばね
　７２　衝撃緩和ダンパー
　７３　ダンパー受け構造
　７４　略Ｙ字形状の受け部
　７６　トップカバー補強板
　７９　蓋補強板
　８０　ばね軸
　８１　ダンパー保持体
　８６　凸状部
　８７　開口部
　８８　取付け用リブ
　８９　位置決め用リブ
　１１１　本体（筐体）
　１２５　上部枠体
　１２６　洗濯物投入取出口（衣類投入口）
　１２７　蓋体
　１３６　蝶番バネ
　１３７　バネ軸
　１３８　板金
　１３９　ネジ（固定部材）
　１４０　折り曲げ部

Claims (4)

1. 洗濯機本体上部に載置したトップカバーと、前記トップカバーに形成された衣類投入口と、前記衣類投入口を開閉自在に覆うように設けられた蓋体と、前記トップカバーに軸支された前記蓋体の回転を減衰する回転式の衝撃緩和ダンパーとを備え、前記蓋体の前記緩衝緩和ダンパー保持部には、空間部を形成し、前記ダンパー保持体は、一端を前記蓋体にネジ固定し、他端を引掛け凸部を前記蓋体に形成した係合部に係合して固定した洗濯機。
2. 前記係合部は、溝部により構成した請求項１記載の洗濯機。
3. 洗濯機本体上部に載置したトップカバーと、前記トップカバーの上方に蓋蝶番軸で開閉自在に軸支した蓋体と、前記蓋体を開き側に付勢する蓋ばねと、前記蓋ばねを支持するばね軸と、前記蓋体の回動を減衰する回転式の衝撃緩和ダンパーと前記衝撃緩和ダンパーを収納するダンパー保持体と、を備え、
   前記ダンパー保持体には、前記蓋体とネジ等で固定するための取付け用リブと、前記取付け用リブの略反対方向に位置決め用リブと、が形成され、
   前記蓋体には、前記取付け用リブとネジ等で取付けられる取付け部と、前記位置決めリブが挿入される溝と、を有する洗濯機。
4. 筐体と、
   前記筐体の上部に取り付けられ略中央に洗濯物を出し入れする衣類投入口を有する上部枠体と、
   前記上部枠体に回動可能に設けられ、前記衣類投入口を開閉可能に覆う蓋体と、を備え、前記蓋体後方には、蓋蝶番軸が設けられ、
   前記上部枠体後方には、前記蓋体の回動を支持するヒンジ部が形成され、前記ヒンジ部には前記蓋蝶番軸を受ける軸受けを有し、
   前記蓋体後方には、固定部材により板金が固定されており、前記板金は曲げ加工により略垂直に折り曲げられた折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部には貫通孔が形成され、前記貫通孔には前記蓋体を開方向に付勢する蝶番バネを軸支するバネ軸が挿入され、前記固定部材は、前記バネ軸の軸方向両端に位置する洗濯機。

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