WO2018003839A1 - 絶縁材料および配線部材 - Google Patents
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Abstract
有機樹脂5と、金属元素を含む微小粒子6と、を含む複合樹脂材料により構成される絶縁材料。有機樹脂5は、ポリエステルを主骨格とし、アルコキシ基を有する樹脂材料を含む。微小粒子6は、0.5nm以上50nm以下の平均粒径を有する。このような絶縁材料を、導体1と、導体1を被覆する絶縁層2とを有する配線部材(配線基板、被覆電線等)の絶縁層2として用いる。
Description
本発明は、絶縁材料および配線部材に関する。
絶縁性の有機樹脂材料は、電子部品において、電線の絶縁被覆、配線基板の絶縁層等として用いられ、種々の材料が存在する。電子部品の使用環境は、電子機器の小型化などにより、高温化している。これらの電子部品には、高温の環境下でも長時間にわたり安定な耐熱性が要求されている。
耐熱性に優れる絶縁性の材料として、例えば特許文献1では、ポリアリレート系材料に金属アルコキシドを導入した有機-無機ハイブリッド高分子材料が提案されている。
本開示の絶縁材料は、有機樹脂と、金属元素を含む微小粒子と、を含む複合樹脂材料により構成され、前記有機樹脂は、ポリエステルを主骨格とし、アルコキシ基を有する樹脂材料を含み、前記微小粒子は、0.5nm以上50nm以下の平均粒径を有する。
本開示の配線部材は、導体と、該導体を被覆する絶縁層と、を有し、該絶縁層は、上記の絶縁材料を含む。
本実施形態の配線部材は、図1A~図2Cに示すように、導体1と、導体1を被覆する絶縁層2と、を有する。
図1Aは、配線部材である配線基板の一例の断面を模式的に示したものである。図1Bは、配線基板の別の例の断面を模式的に示したものである。
図1Aのプリント基板では、板状の基体3(以下、単に基体3という場合もある)の表面に回路配線として導体1が形成され、その導体1上に絶縁層2が設けられている。絶縁層2は、例えば、電子部品を接続する導体1の接続部のみがプリント基板の表面上に露出するように、設けられている。
図1Bは、多層基板の例を示す断面図である。図1Bの多層基板では、板状の基体3の表面に回路配線として導体1aが形成され、その導体1a上に絶縁層2aが設けられている。絶縁層2a上には、さらに回路配線として導体1bが形成され、導体1b上に絶縁層2bが設けられている。導体1aと導体1bとは、絶縁層2aに設けられたビアホールまたはスルーホールにより電気的に接続されていてもよい。絶縁層2bは、例えば、電子部品を接続する導体1bの接続部のみが多層基板の表面上に露出するように、設けられている。
これらの配線基板内には、例えばインダクタ、コンデンサ、抵抗器などの受動部品が埋め込まれていてもよく、これらの受動部品が回路配線に接続されていてもよい。また、絶縁層2、および導体1を有する層を、それぞれ2層よりも多く備えていてもよい。さらに、回路配線および絶縁層2以外の他の層を有していてもよい。
図2A~図2Cは、被覆電線の断面を模式的に示したものであり、いずれも導体1である電線(電線1ともいう)が絶縁層2に被覆されている。なお、本開示の電線とは、電力用に限られたものではなく、電気機器用、通信用のものを含む。図2Aは、1本の電線1が絶縁層2で被覆されたものである。図2Bは、複数の(撚り合わされた)電線1が、まとめて絶縁層2で被覆されたものである。図2Cは、複数の電線1が互いに離間して配置された状態で、まとめて絶縁層2で被覆されたものであり、複数の電線1の間には、絶縁層2が介在して隣接する電線1同士を絶縁している。これらの被覆された電線1(被覆電線)も、導体1と絶縁層2との配線部材である。絶縁層2には、通常エナメル、ポリ塩化ビニルなどが使用されている。
本実施形態では、絶縁層2は、主として図3、図4に示すような複合樹脂材料により構成される、絶縁材料を含んでいる。複合樹脂材料は、図4に模式的に示すように、有機樹脂5と、微小粒子6と、を含んでいる。有機樹脂5は、ポリエステルを主骨格とし、アルコキシ基を有する樹脂材料を含んでいる。微小粒子6は、金属元素を含み、0.5nm以上50nm以下の平均粒径を有している。
ポリエステルを主骨格とする樹脂材料としては、例えばポリカーボネート、ポリアリレート、およびこれらの重合体が挙げられる。以下、これらを総称して、ポリカーボネートおよびポリアリレートという。ポリカーボネートおよびポリアリレートは、耐熱性、機械的特性、電気的特性(絶縁性、誘電特性)に優れた樹脂材料であり、絶縁層2を構成する有機樹脂5として好適に用いることができる。特に、ポリアリレートは比誘電率が高く、コンデンサとしての利用も可能である。
このような樹脂材料の主骨格(ポリエステル)に、アルコキシ基が結合していることにより、樹脂材料の絶縁性(耐電圧)をさらに向上させることができる。
一般的に、電気絶縁性は物質の極性と相関があり、極性が低いほど電気絶縁性(耐電圧)が高く、極性が高いほど電気絶縁性(耐電圧)が低い傾向がある。ポリカーボネートおよびポリアリレートは、比較的極性の高い化学構造を有しており、アルコキシ基は、極性の低い官能基である。したがって、極性の高いポリカーボネートおよびポリアリレートの分子中、特に主骨格に、極性の低い官能基であるアルコキシ基を導入することで、ポリカーボネートおよびポリアリレートの耐電圧を向上させることができる。
なお、ポリカーボネートおよびポリアリレート以外の樹脂材料についても、ポリエステルを主骨格とする樹脂材料であれば、主骨格(ポリエステル)に、アルコキシ基が結合していることにより、同様に絶縁性(耐電圧)を向上することができる。
ポリエステルを主骨格とする樹脂材料の主骨格と、アルコキシ基とは、エステル結合により結合しているのがよい。重合体と金属アルコキシドとを反応させると、通常は重合体の官能基と金属アルコキシドとが加水分解および重縮合することにより架橋される。その結果、反応した重合体は、分子内の主骨格に金属アルコキシド基を有するものとなる。
一方、本実施形態では、樹脂材料の主骨格には、金属アルコキシドが分解したアルコキシ基が結合しており、樹脂材料の主骨格には金属元素を含まない。したがって、樹脂材料の優れた耐熱性、機械的特性、電気的特性が維持される。この場合、樹脂材料の主骨格とアルコキシ基とは、エステル結合により結合することになる。
有機樹脂5中のアルコキシ基の含有量は、有機樹脂5が有する全エステル結合に対するモル比率で0.05%以上11%以下、さらに0.5%以上5.0%以下、特には1.0%以上3.5%以下であるのがよい。アルコキシ基の含有量をこのような範囲とすることで、有機樹脂5の耐熱性および機械特性を維持したまま、有機樹脂5自体の絶縁性を向上できる。
樹脂材料とアルコキシ基との結合状態、および有機樹脂5中におけるアルコキシ基の含有量(有機樹脂5が有する全エステル結合に対する、アルコキシ基のモル比率)は、核磁気共鳴分光法(NMR)により確認することができる。具体的には、1H-NMR(プロトンNMR)測定、13C―NMR測定、及び二次元相関NMRのHMQC(Heteronuclear Multiple Quantum Coherence)測定、HMBC(Heteronuclear Multiple Bond Connectivity)測定を行うことにより、確認することができる。
本実施形態において、金属元素を含有する微小粒子6(以下、単に微小粒子6という場合もある)とは、複数の金属元素が微小な範囲に近接して集合したものであるともいえる。微小粒子6は、絶縁材料(複合樹脂材料)の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察したとき、白く見える金属元素が、図3のように例えば直径数nmの範囲内に近接した集合体として見えるものである。換言すれば、微小粒子6とは、複数の金属元素が微小な範囲に集合し、粒子状をなしているものである。また、微小粒子6とは、複数の金属元素が微小なクラスタを形成しているものであるともいえる。
このように、本実施形態の絶縁層2(絶縁材料)は、そのTEM(STEM)写真において、白く見える複数の金属元素が直径0.5nm~50nmの範囲に近接して集合したクラスタである微小粒子6を含む。このような微小粒子6が複数、有機樹脂5中に分散している。
金属元素を含有する微小粒子6の存在は、上述のように絶縁材料(複合樹脂材料)の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察することにより確認できる。観察する試料は、たとえば厚さ100nm以下に加工したものがよい。観察倍率は、たとえば150万倍~300万倍とすればよい。特に、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて、高角環状暗視野(HAADF)像を観察するのがよい。
従来より、有機樹脂中に金属元素を含む無機化合物粒子のフィラーを分散させることで、有機樹脂中を移動する電荷が無機化合物粒子にトラップされ、局所的な電界集中を抑制する効果が得られることが知られている。通常は、平均粒径が数十nm~数百nm程度の無機化合物粒子のフィラーを有機樹脂に混合し、分散させている。このような構造において、電荷のトラップに寄与するのは無機化合物粒子に含まれる金属元素であると考えられる。
本実施形態では、金属元素を含む微小粒子6が有機樹脂5中を移動する電荷をトラップし、局所的な電界集中を抑制すると考えられる。金属元素を含有する微小粒子6は、金属元素を含む無機化合物であってもよいが、金属元素を含む有機化合物、または無機化合物と有機化合物との混合物に金属元素が含まれたものであるのがよい。金属元素を含有する微小粒子6が、金属元素を含む有機化合物、または無機化合物と有機化合物との混合物に金属元素が含まれたものであることにより、金属元素をより微小な集団として有機樹脂5中に分散させることができ、局所的な電界集中を抑制する効果を高めることができる。
金属元素を含有する微小粒子6の直径の平均値(平均粒径)は、0.5nm以上50nm以下、さらに0.5nm以上10nm以下、特には1nm以上3nm以下であるのがよい。金属元素を含有する微小粒子6の平均粒径は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型透過電子顕微鏡(STEM)で撮影した断面写真の画像解析、または小角X線散乱測定により得られたプロファイルを解析することにより確認できる。
このような金属元素を含有する微小粒子6による、局所的な電界集中を抑制する効果の発現は、微小粒子6が、複数の金属元素が微小な範囲に近接して存在していることに起因すると考えられる。例えば、上述のように、樹脂材料の官能基と金属アルコキシドとを、加水分解および重縮合することにより架橋し、樹脂材料の主骨格に金属元素を導入することが行われている(特許文献1を参照)。この場合、主骨格に金属元素が導入されているだけであり、このように樹脂材料の主骨格が金属アルコキシドにより架橋されているだけでは、有機樹脂5中で、複数の金属元素が微小な範囲に近接する状態にはなり得ず、絶縁性を向上する効果が得られにくい。たとえば、特許文献1に開示された材料は、耐電圧(絶縁破壊電界)が最大で330V/μm程度である。
本実施形態では、絶縁層2を構成する絶縁材料中に、複数の金属元素が微小な範囲に近接する微小粒子6が存在する。そして、その微小粒子6が複数、有機樹脂5中に分散していることで、さらに絶縁材料(絶縁層2)の絶縁性(耐電圧、絶縁破壊電界)を高めることができる。
複合樹脂材料中に含まれる金属元素の含有量は、0.05質量%以上5.0質量%以下、さらに0.1質量%以上4.0質量%以下、特には0.2質量%以上3.0質量%以下であるのがよい。この金属元素は、有機樹脂5の分子間に存在する微小粒子6に含有されているのがよい。
複合樹脂材料中で、金属元素を含む微小粒子6が占める体積分率は、0.4体積%以上40体積%以下、さらに2体積%以上20体積%以下、特には5体積%以上18体積%以下であるのがよい。複合樹脂材料(絶縁材料)中で、金属元素を含む微小粒子6が占める体積分率は、例えば小角X線散乱測定により得られたプロファイルを解析することにより確認できる。
絶縁材料に含まれる金属元素としては、例えばSi、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、Al、Ge、Ta、W等が挙げられる。なお、本開示では、Si、Geも金属元素に含まれるものとする。絶縁材料に含まれる金属元素は、特に、Si、Ti、ZrおよびAlから選択される少なくとも1種であるのがよい。複合樹脂材料を作製するとき、これらの金属元素群(Si、Ti、ZrおよびAl)の金属アルコキシドを用いると、有機樹脂5中に金属元素を含有する微小粒子6が形成されやすい。
絶縁材料に含まれる金属元素は、1種だけでなく2種以上であってもよい。絶縁材料に含まれる金属元素の種類および含有量は、例えば高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により確認できる。
有機樹脂5は、ポリフェニレンエーテル(PPE)、環状オレフィン(COP)系、ポリエーテルイミド(PEI)系等の耐熱性・耐候性に優れた樹脂材料を含んでいてもよい。特に、PPE、COP系、およびPEI系からなる樹脂材料群から選ばれる少なくとも1種を有機樹脂5が含むのがよい。これらの耐熱性・耐候性に優れた樹脂材料を含むことで、絶縁材料の耐熱性・耐候性が向上する。PPE、COP系、およびPEI系からなる樹脂材料群は、有機溶剤に可溶で金属アルコキシドとの混合が容易な点からも、好適に使用できる。
本実施形態の配線部材は、上記の複合樹脂材料により構成される絶縁層2以外に、他の材料により構成される層を備えていてもよい。また、導体1と絶縁層2との間に間隙を有していてもよいし、導体1と絶縁層2とが互いに密着しいてもよい。また、導体1と絶縁層2とが例えば接着剤により接着されていてもよい。
(製法)
本実施形態の絶縁材料および配線部材は、例えば以下のようにして得ることができる。ポリエステルを主骨格とする樹脂材料(有機樹脂)を有機溶剤に溶解し、第1の樹脂溶液を作製する。同様に金属アルコキシドを有機溶剤に溶解し、金属アルコキシド溶液を作製する。不活性雰囲気中において、作製した第1の樹脂溶液に、金属アルコキシド溶液を混合し、24時間以上撹拌する。これらの工程を不活性雰囲気中(乾燥窒素など)で行うことにより、金属アルコキシドの加水分解を抑制し、金属アルコキシド同士を縮合反応させる。この反応により、金属元素を含有する微小粒子6が形成され、有機樹脂5と、金属元素を含有する微小粒子6とを含む複合樹脂溶液が得られる。
本実施形態の絶縁材料および配線部材は、例えば以下のようにして得ることができる。ポリエステルを主骨格とする樹脂材料(有機樹脂)を有機溶剤に溶解し、第1の樹脂溶液を作製する。同様に金属アルコキシドを有機溶剤に溶解し、金属アルコキシド溶液を作製する。不活性雰囲気中において、作製した第1の樹脂溶液に、金属アルコキシド溶液を混合し、24時間以上撹拌する。これらの工程を不活性雰囲気中(乾燥窒素など)で行うことにより、金属アルコキシドの加水分解を抑制し、金属アルコキシド同士を縮合反応させる。この反応により、金属元素を含有する微小粒子6が形成され、有機樹脂5と、金属元素を含有する微小粒子6とを含む複合樹脂溶液が得られる。
ここで、ポリエステルを主骨格とするポリカーボネート、ポリアリレートなどの重合体では、金属アルコキシドが重合体のエステル結合を分解し、そのエステル結合が分解した部分に金属アルコキシドのアルコキシ基が付加反応により結合する。
PPE、COP系、PEI系等の他の樹脂材料と混合する場合は、あらかじめこれらの樹脂材料を有機溶剤に溶解した第2の樹脂溶液を作製しておき、上述の複合樹脂溶液と混合して混合樹脂溶液として用いればよい。
この複合樹脂溶液または混合樹脂溶液(以下、単に複合樹脂溶液という)を用いて、例えば、導体1の回路配線を形成した板状の基体3の上に、複合樹脂被膜を成膜し、絶縁層2を形成することで、配線基板が得られる。成膜法としては、ドクターブレード法、ダイコータ法およびナイフコータ法等周知の成膜法から選ばれる一種の成形法を用いることができる。
また、被覆電線を作製する場合は、複合樹脂溶液に電線1(導体1)を浸漬し、引き上げる(ディッピング)ことにより、作製すればよい。電線1(導体1)に、複合樹脂溶液をスプレーすることにより複合樹脂被膜を形成し、被覆電線を作製してもよい。
さらに、複合樹脂溶液を、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムなどの成形用支持体の上に製膜することで、フィルム状に成形してもよい。得られた絶縁材料のフィルムを、基体3に積層したり、電線1に巻き付けて用いることもできる。
本実施形態の絶縁層2は、例えば平均厚みが5μm以下、特には、1~5μmの薄層の絶縁層2としても好適に用いることができる。
上述のポリエステルを主骨格とする樹脂材料として、例えば、ポリカーボネートであれば一般式(1)、ポリアリレートであれば一般式(2)または(3)で表される繰り返し単位を有するポリマーが、一例として挙げられる。
一般式(1)、(2)、または(3)中、Xは、脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、一般式(4)で表される2価基から選ばれる少なくとも1種を示す。一般式(3)中、Yは、置換もしくは無置換のアリレン基を示す。
一般式(4)中、R1、R2は、それぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、またはハロゲン原子を示す。Aは、単結合、炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状、または環状のアルキレン基を示す。
上記一般式(1)、(2)、(3)中のXの具体例としては、例えば一般式(5a)~(5n)で表される2価基が挙げられる。
ポリフェニレンエーテルとしては、例えば、核置換フェノールの重合体または共重合体、および必要に応じてスチレン系重合体、ゴム変性スチレン系重合体を含んだものが挙げられる。これらフェニレンエーテル構造を有する樹脂材料は、耐熱性、絶縁性に優れており、種々の構造部品および電気・電子部品として用いられている。
環状オレフィン系の樹脂材料としては、ノルボルネン系開環重合体、ノルボルネン系のビニル共重合体が挙げられる。また、ノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体の水素添加物、ノルボルネン環を有するモノマーとα-オレフィン類との付加重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンの付加重合体の水素添加物、環状ジエンの付加重合体及び環状ジエンの付加重合体の水素添加物などを、環状オレフィン系の樹脂材料として用いることもできる。
これら、ポリカーボネート、ポリアリレート等の樹脂材料は、1種だけでもよいし2種以上を併用してもよい。また、さらにポリフェニレンエーテル、環状オレフィン系、ポリエーテルイミド系等を含む複数成分の共重合体でもよい。
金属アルコキシドとしては、例えば一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
BpM (6)
ここで、一般式(6)中、Bは炭素数1~8、好ましくは1~4のアルコキシ基、MはSi、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、Al、Ge、Ta、W等の金属元素、pは2~6の整数を示す。
BpM (6)
ここで、一般式(6)中、Bは炭素数1~8、好ましくは1~4のアルコキシ基、MはSi、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、Al、Ge、Ta、W等の金属元素、pは2~6の整数を示す。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、テトラn-プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類、テトラn-プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム類、およびジメトキシ銅、トリブトキシアルミニウム、テトラエトキシゲルマニウム、ペンタn-プロポキシタンタル、ヘキサエトキシタングステン等の金属アルコキシド類が挙げられる。
金属アルコキシドの他の例としては、例えば一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
R3kBlM(R4mZ)n (7)
一般式(7)中、R3は水素か炭素数1~12、好ましくは1~5のアルキル基またはフェニル基、Bは炭素数1~8、好ましくは1~4のアルコキシ基、MはSi、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、Al、Ge、Ta、W等の金属元素、R4は炭素数1~4、好ましくは2~4のアルキレン基またはアルキリデン基、Zはイソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、アミノ基、 チオール基、ビニル基、メタクリル基、ハロゲン基等の一般的な官能基、kは0~5の整数、lは1~5の整数、mは0または1、nは0~5の整数を示す。
R3kBlM(R4mZ)n (7)
一般式(7)中、R3は水素か炭素数1~12、好ましくは1~5のアルキル基またはフェニル基、Bは炭素数1~8、好ましくは1~4のアルコキシ基、MはSi、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、Al、Ge、Ta、W等の金属元素、R4は炭素数1~4、好ましくは2~4のアルキレン基またはアルキリデン基、Zはイソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、アミノ基、 チオール基、ビニル基、メタクリル基、ハロゲン基等の一般的な官能基、kは0~5の整数、lは1~5の整数、mは0または1、nは0~5の整数を示す。
樹脂材料を溶解する有機溶剤と、金属アルコキシドを溶解する有機溶剤とは、同じ有機溶剤を用いるのがよい。有機溶剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン又は、これらから選択された2種以上の混合物を含んだ有機溶剤を用いる。
第1の樹脂溶液および第2の樹脂溶液における樹脂材料の濃度(樹脂濃度)は、例えば10質量%以上40質量%以下、さらには20質量%以上30質量%以下とするのがよい。金属アルコキシド溶液における金属アルコキシドの濃度(金属アルコキシド濃度)は、例えば1質量%以上50質量%以下、さらには2質量%以上30質量%以下とするのがよい。また、第1の樹脂溶液と金属アルコキシド溶液を混合する際、樹脂材料100質量部に対する金属アルコキシドの比率は、例えば0.05質量部以上10質量部以下、さらには0.1質量部以上6.0質量部以下とするのがよい。
金属元素を含有する微小粒子6の大きさは、金属アルコキシド溶液の金属アルコキシド濃度により調整できる。金属アルコキシド濃度が高いほど大きい微小粒子6が形成される傾向がある。また、微小粒子6の大きさは、金属アルコキシドの反応性にも影響される。金属アルコキシドは、種類により反応性が異なる。例えばジルコニウム含むジルコニウム(IV)ブトキシド(Zr-n-but)は比較的反応性が低く、比較的小さい微小粒子6を形成する傾向がある。それに対し、チタニウムを含むチタニウム(IV)ブトキシド(Ti-n-but)は比較的反応性が高く、比較的大きい微小粒子6を形成する傾向がある。
第1の樹脂溶液と金属アルコキシド溶液との混合(撹拌)条件は、例えば温度10℃~30℃、スターラ、ミックスロータなどを用いて回転数100rpm~500rpmとすればよい。撹拌時間は、24時間~96時間とすればよい。温度および撹拌条件を適宜調整することでも、種々の大きさの微小粒子6を得ることができる。これらの工程、すなわち第1の樹脂溶液および第2の樹脂溶液、金属アルコキシド溶液の作製、混合・撹拌工程は、全て乾燥窒素の雰囲気中で行ってもよい。
本実施形態の絶縁材料の用途は、導体1と絶縁層2との配線部材に限定されるものでは無い。本実施形態の絶縁材料は、例えば配線間にスペーサとして配置したり、絶縁性接着剤の成分として配合したり、導電性フィラーを分散させて異方導電性フィルムとして用いるなど、種々の用途に適用可能である。また、電子部品・電子機器・電化製品において封止材、充填材、外装材、塗料として用いてもよい。
(実施例1)
樹脂材料として、特開2013-76042号公報の製造例1に記載された、ポリエステルを主骨格とするポリアリレート樹脂を用いた。金属アルコキシドとして、ジルコニウム(IV)ブトキシド(Zr-n-but)、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート(Al-M)、およびチタニウム(IV)ブトキシド(Ti-n-but)を用いた。
樹脂材料として、特開2013-76042号公報の製造例1に記載された、ポリエステルを主骨格とするポリアリレート樹脂を用いた。金属アルコキシドとして、ジルコニウム(IV)ブトキシド(Zr-n-but)、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート(Al-M)、およびチタニウム(IV)ブトキシド(Ti-n-but)を用いた。
作製したポリアリレート樹脂を、120℃で3時間真空加熱し、ポリアリレート樹脂に吸着した水分を除去した。得られたポリアリレート樹脂を、トルエンに溶解させ、樹脂濃度25質量%の第1の樹脂溶液を得た。また、金属アルコキシドをそれぞれトルエンに溶解させ、金属アルコキシド濃度5質量%の各金属アルコキシド溶液、および金属アルコキシド濃度50質量%のZr-n-but溶液を得た。作製した第1の樹脂溶液に、各金属アルコキシド溶液を添加し、混合溶液とした。金属アルコキシド溶液の添加量は、100質量部のポリアリレートに対する金属アルコキシドの比率(質量部)が、表1に示す比率となるように調整した。得られた混合溶液を、スターラを用いて300rpmで24時間撹拌し、複合樹脂溶液を得た。なお、溶液作製工程はすべて室温の乾燥窒素の雰囲気中で行った。
この複合樹脂溶液を、コータを用いてポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの成形用支持体(以下、単にPETフィルムという)上に塗布し、180℃で1時間乾燥して溶剤を除去し、絶縁フィルム(試料No.1~12)を作製した。なお、試料No.1の絶縁フィルムは、金属アルコキシドを含まない樹脂溶液を用いて作製し、試料No.8は50質量%のZr-n-but溶液を用いて作製した。絶縁フィルムの厚さはいずれも3.5μmであった。
(特性評価)
作製した絶縁フィルムについて、1H-NMR(プロトンNMR)測定を行った。得られた1H-NMRスペクトルには、ポリアリレートに基くピーク以外にピークが観測された。このピークは二次元相関NMR法のHMQC測定及びHMBC測定により、各アルコキシ基の酸素原子に隣接する炭素原子に結合した水素によるものであることがわかった。これは、アルコキシ基が、金属元素を介さずに、直接有機樹脂の主骨格にエステル結合していることを示している。未反応の金属アルコキシドによるピークは確認できなかった。また、得られた1H-NMRスペクトルから、絶縁フィルムに含まれる全エステル結合に対するアルコキシ基の比率を算出し、アルコキシ基含有量として表1に記載した。
作製した絶縁フィルムについて、1H-NMR(プロトンNMR)測定を行った。得られた1H-NMRスペクトルには、ポリアリレートに基くピーク以外にピークが観測された。このピークは二次元相関NMR法のHMQC測定及びHMBC測定により、各アルコキシ基の酸素原子に隣接する炭素原子に結合した水素によるものであることがわかった。これは、アルコキシ基が、金属元素を介さずに、直接有機樹脂の主骨格にエステル結合していることを示している。未反応の金属アルコキシドによるピークは確認できなかった。また、得られた1H-NMRスペクトルから、絶縁フィルムに含まれる全エステル結合に対するアルコキシ基の比率を算出し、アルコキシ基含有量として表1に記載した。
絶縁フィルムに含まれる金属元素の種類および含有量は、ICP発光分光分析により確認した。絶縁フィルムに含まれる金属元素は、樹脂材料に添加した金属アルコキシドを構成する金属元素と同じであった。金属元素の含有量を表1に示す。
絶縁フィルムをミクロトームにて100nm以下の厚さに加工し、その断面を走査型透過電子顕微鏡(STEM、日本電子、JEM―ARM200F、HAADF像、加速電圧:200kV)で倍率300万倍にて観察した。観察試料の支持膜として、カーボングリッドメッシュを用いた。その結果、試料No.2~12の絶縁フィルム中に金属元素を含む微小粒子が存在することを確認した。
微小粒子の平均粒径は、小角X線散乱測定により得られたプロファイルを解析することにより確認した。微小粒子の平均粒径を表1に示す。
絶縁フィルムの絶縁性(絶縁破壊電界、BDE)は、以下のように測定した。絶縁フィルムからPETフィルムを剥がし、絶縁フィルムの両面に真空蒸着法により平均厚みが75nmのAlの金属膜を形成し、金属膜付きフィルムを得た。
得られた金属膜付きフィルムの絶縁破壊電圧を測定し、絶縁破壊電界(BDE)を求めた。絶縁破壊電圧は、絶縁フィルムを挟んだ金属膜間に、毎秒10Vの昇圧速度で直流電圧を印加し、漏れ電流値が1.0mAを越えた瞬間の電圧値とした。絶縁フィルムの絶縁破壊電界(BDE)を表1に示す。
試料No.2~12は、主骨格にアルコキシ基が結合した有機樹脂中に、金属元素を含有する微小粒子を含み、微小粒子の平均粒径が0.5nm以上50nm以下の範囲内であることから、絶縁破壊電界が高く、優れた絶縁性を示すものであった。
(実施例2)
樹脂材料として、ポリエステルを主骨格とするポリアリレート(U-100、ユニチカ製)、およびポリフェニレンエーテル(ザイロン(登録商標)のPPE Powder、旭化成ケミカルズ製、以下、PPEという)を用いた。
樹脂材料として、ポリエステルを主骨格とするポリアリレート(U-100、ユニチカ製)、およびポリフェニレンエーテル(ザイロン(登録商標)のPPE Powder、旭化成ケミカルズ製、以下、PPEという)を用いた。
U-100をクロロホルムに溶解させ、樹脂濃度20質量%の第1の樹脂溶液とした。PPEをクロロホルムに溶解させ、樹脂濃度20質量%の第2の樹脂溶液とした。
金属アルコキシドとして、ジルコニウム(IV)ブトキシド(Zr-n-but)、チタニウム(IV)イソプロポキシド(Ti-i-Pr)、またはアルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート(Al-M)を用いた。
Zr-n-but、Ti-i-PrまたはAl-Mをそれぞれクロロホルムに溶解させ、金属アルコキシド濃度10質量%の各種金属アルコキシド溶液とした。
作製した第1の樹脂溶液に、金属アルコキシド溶液を添加し、混合溶液とした。このとき、100質量部のU-100に対して金属アルコキシドが表2に示す比率になるように調整した。スターラを用いて混合溶液を300rpmで24時間撹拌し、複合樹脂溶液を得た。
U-100とPPEとの比率が表2に示す比率となるように、複合樹脂溶液と第2の樹脂溶液とを混合し、スターラを用いて300rpmで24時間撹拌し、混合樹脂溶液を得た。なお、溶液作製工程はすべて露点-50℃以下の乾燥空気中で行った。
この混合樹脂溶液を、コータを用いてPETフィルム上に塗布し、180℃で1時間乾燥して溶剤を乾燥させ、試料No.13~21の絶縁フィルムを作製した。なお、試料No.13、18の絶縁フィルムは、金属アルコキシドを含まない第1の樹脂溶液と第2の樹脂溶液とを混合した混合溶液を用いて作製した。絶縁フィルムの厚さはいずれも3.5μmであった。
作製した絶縁フィルムについて、1H-NMR(プロトンNMR)測定を行った。U-100のイソフタル酸部位に由来する-H(9.0ppm、9.1ppm~8.87ppm)のピークの積分値I1と、PPEのベンゼン部位に由来する-H(6.4ppm~6.9ppm)のピークの積分値I2とから、それぞれの含有量(I1/(I1+I2)、I2/(I1+I2))を算出した。その結果、U-100とPPEの含有比率はそれぞれ、表2に示したものと同様であった。
金属アルコキシドを添加した試料No.14~17、19~21の1H-NMRスペクトルには、U-100およびPPEに基くピーク以外に4.4ppm付近(4.43ppm~4.23ppm)にピークが観測された。このピークは、試料No.13、18では観測されなかった。さらにこのピークは、二次元相関NMR法のHMQC(Heteronuclear Multiple Quantum Coherence)測定及びHMBC(Heteronuclear Multiple Bond Connectivity)測定を行い、アルコキシ基(-OCH2CH2CH2CH3、-OCH(CH3)2)の酸素原子に隣接する炭素原子に結合した水素によるものであることがわかった。これは、アルコキシ基が、金属元素を介さずに、直接有機樹脂の主骨格にエステル結合していることを示している。未反応の金属アルコキシドによるピークは確認できなかった。また、得られた1H-NMRスペクトルから、絶縁フィルムに含まれる全エステル結合に対するアルコキシ基の比率を算出し、アルコキシ基含有量として表2に記載した。
絶縁フィルムに含まれる金属元素の種類および含有量は、ICP発光分光分析により確認した。絶縁フィルムに含まれる金属元素は、樹脂材料に添加した金属アルコキシドを構成する金属元素と同じであった。金属元素の含有量を表2に示す。
絶縁フィルムをミクロトームにて100nm以下の厚さに加工し、その断面を、走査型透過電子顕微鏡(STEM、日本電子、JEM―ARM200F、HAADF像、加速電圧:200kV)で倍率300万倍にて観察した。観察試料の支持膜として、カーボングリッドメッシュを用いた。その結果、試料No.14~17、19~21の絶縁フィルム中に金属元素を含む微小粒子が存在することを確認した。
微小粒子の平均粒径は、STEMを用いて撮影した絶縁フィルムの断面写真を画像解析することにより確認した。微小粒子の平均粒径を表2に示す。
絶縁フィルムの絶縁性(絶縁破壊電界、BDE)は以下のようにして評価した。絶縁フィルムからPETフィルムを剥がし、絶縁フィルムの両面に真空蒸着法により平均厚みが75nmのAlの金属膜を形成し、金属膜付きフィルムを得た。
得られた金属膜付きフィルムの絶縁破壊電圧を測定し、絶縁破壊電界(BDE)を求めた。絶縁破壊電圧は、絶縁フィルムを挟んだ金属膜間に、毎秒10Vの昇圧速度で直流電圧を印加し、漏れ電流値が1.0mAを超えた瞬間の電圧値とした。絶縁フィルムの絶縁破壊電界(BDE)を表2に示す。
試料No.14~17、19~21は、ポリエステル構造を主骨格としアルコキシ基を含む樹脂材料(変性U-100)と、金属元素を含有する微小粒子とを含み、微小粒子の平均粒径が0.5nm以上50nm以下の範囲内であることから、絶縁破壊電界が高く、優れた絶縁性を示すものであった。
1、1a、1b・・導体(回路配線、電線)
2、2a、2b・・絶縁層
3・・・・・・・・基体
5・・・・・・・・有機樹脂
6・・・・・・・・金属元素を含む微小粒子
2、2a、2b・・絶縁層
3・・・・・・・・基体
5・・・・・・・・有機樹脂
6・・・・・・・・金属元素を含む微小粒子
Claims (10)
- 有機樹脂と、金属元素を含む微小粒子と、を含む複合樹脂材料により構成され、
前記有機樹脂は、ポリエステルを主骨格とし、アルコキシ基を有する樹脂材料を含み、
前記微小粒子は、0.5nm以上50nm以下の平均粒径を有する、絶縁材料。 - 前記樹脂材料が、ポリアリレートである、請求項1に記載の絶縁材料。
- 前記アルコキシ基と、前記樹脂材料の前記主骨格とが、エステル結合により結合している、請求項1または2に記載の絶縁材料。
- 前記複合樹脂材料に含まれる全エステル結合に対する、前記アルコキシ基のモル比率が、0.05%以上11%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の絶縁材料。
- 前記複合樹脂材料中に、0.05質量%以上5.0質量%以下の前記金属元素を含む、請求項1~4のいずれかに記載の絶縁材料。
- 前記金属元素が、Si、Ti、ZrおよびAlからから選択される少なくとも1種である、請求項1~5のいずれかに記載の絶縁材料。
- 前記有機樹脂が、ポリフェニレンエーテル、環状オレフィン系およびポリエーテルイミド系の樹脂材料群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~6のいずれかに記載の絶縁材料。
- 導体と、該導体を被覆する絶縁層と、を有し、該絶縁層は、請求項1~7のいずれかに記載の絶縁材料を含む、配線部材。
- 前記導体が、基体上に設けられた回路配線である、請求項8に記載の配線部材。
- 前記導体が、電線である、請求項8に記載の配線部材。
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