JP2007066587A - 複合材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 受動素子を直接、プリント配線板の表面あるいは内部に形成するために有用であり、高誘電率、低誘電正接および高体積抵抗率を呈する、複合材料とその製造方法を提供すること。
【解決手段】 有機樹脂マトリクス5内に無機粒子10が分散されてなり、前記無機粒子10は絶縁体粒子20をシランカップリング剤で表面処理してなる平均粒子径1μm以下の粒子であり、絶縁体粒子20は酸化物を含む表層部2を有する、複合材料。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機樹脂マトリクス内に無機粒子が分散されてなる複合材料およびその製造方法に関する。
高密度表面実装を実現させるため、基板においては、バイアホールの微細化、配線ピッチの狭隘化、ビルドアップ方式の採用等の検討が行われている。さらにICパッケージの小型化、多ピン化、およびコンデンサや抵抗等の受動部品の小型化、表面実装化も行われている。一方、受動素子の小型化の進展とともに製造や実装時の取り扱いがより困難となりつつあり、従来のやり方ではその限界が明らかになってきた。その解決方法として、受動素子を直接、プリント配線板の表面あるいは内部に形成することが提案されている。これによって、受動素子のチップ部品をプリント配線板上に搭載する必要がなくなり、高密度化とともに信頼性の向上も図ることができる。セラミック基板で行われているような、金属や絶縁体のペーストを用い塗布焼結する方法は、特に耐熱的に劣る有機基板上にはそのまま適用できない。
上記のような受動素子を有機基板上に形成する方法としては、すでに有機高分子と高誘電率フィラとの混合物を塗布する方法(非特許文献1、2)、チタン酸バリウム等の無機フィラを高充填化する技術(特許文献1)、低温で成膜可能な電子サイクロトロン共鳴化学気相生長法(ECR−CVD)を用いる方法(非特許文献3)等が提案されている。また、特許文献2には、金属粉を絶縁処理および表面処理して得られる無機フィラを有機樹脂に分散してなる高誘電率複合材料が開示されている。
特開平6−172618号公報 特開2002−334612号公報 P. Chanel ほか、第46回Electric Componets and Technology Conference, 第125−132頁,1996年 Y. Rao ほか、2000 Electric Componets and Technology Conference,第615−618頁,2000年 松井輝仁ほか、サーキットテクノロジ,第9巻,第497−502頁,1994年
有機樹脂との複合材として比誘電率を高めるには無機微粒子を高充填しなくてはならない。しかし、樹脂中に上記無機微粒子を高充填化すると、無機微粒子と樹脂との相溶性が悪いため、樹脂硬化時に空隙が発生しやすい。また、無機微粒子と樹脂との界面の接着性が低いため、界面での剥離が発生し易い。そのため無機微粒子を高充填化した樹脂複合材料を絶縁材料として使用する際に絶縁耐圧またはリーク電流の観点から信頼性に乏しいという問題がある。また、ECR−CVDを用いる方法は、特殊な装置が必要であること、バッチ処理で安価に誘電体薄膜を形成できないこと、形状の複雑な誘電体薄膜の形成が困難であることなどに問題があった。一方、高誘電率化する方法として、金属粉末の一般的なサイズである平均粒径数十μm以上の金属粉末を有機樹脂中に充填する方法が考えられる。それら複合材料の比誘電率は数十以上の値と良好な数値を示すが、表皮効果による誘電正接が0.1以上の大きな値を示す上に、さらに大きな問題として、有機樹脂/金属の複合材は絶縁性が極めて悪い。また、有機樹脂と金属との混合性が無機材料と同様に悪い。
本発明の目的は、受動素子を直接、プリント配線板の表面あるいは内部に形成するために有用であり、高誘電率、低誘電正接(tanδ)、高抵抗を呈する、複合材料とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは複合材料における無機粒子に特定の表面処理を施すことで、無機粒子が有機樹脂内で良好な分散性を示すことを見出して本発明を完成した。
本発明の特徴は以下のとおりである。
(1)有機樹脂マトリクス内に無機粒子が分散されてなる複合材料であって、前記無機粒子は絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理してなる平均粒子径1μm以下の粒子であり、絶縁体粒子は酸化物を含む表層部を有する、複合材料。
(2)絶縁体粒子が、金属粒子とそれを被覆するシリカ含有組成物からなる表層部とを有し、金属粒子100重量部に対し0.5〜5重量部のシリカを含む、(1)記載の複合材料。
(3)絶縁体粒子がチタン酸バリウム粒子である(1)記載の複合材料。
(4)シランカップリング剤が式(1)

Figure 2007066587


(式中、R〜Rは各々独立にC1−3アルキルを示し、nは2〜4の整数を示す)で示される化学構造をもつ、(1)〜(3)のいずれかに記載の複合材料。
(5)1MHzの周波数における比誘電率が10以上である(1)〜(4)のいずれかに記載の複合材料。
(6)金属粒子が、Al、Mn、Si、Mg、Cr、Ni、Mo、Cu、Fe、Zn、Sn、Ag、TiおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる(2)記載の複合材料。
(7)上記無機粒子は一次粒子のサイズに対して平均の凝集サイズがメートル単位で一次粒子の平均サイズと(3×10−13/一次粒子の平均サイズ)との和より小さい、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の複合材料。
(8)酸化物を含む表層部を有する絶縁体粒子を分散化処理液中で攪拌することにより前記絶縁体粒子を表面処理して平均粒子径1μm以下の無機粒子を得て、得られた無機粒子を有機樹脂マトリクス内に分散させる、複合材料の製造方法であって、
分散化処理液は、式(1)

Figure 2007066587


(式中、R〜Rは各々独立にC1−3アルキルを示し、nは2〜4の整数を示す)で示される化学構造をもつシランカップリング剤とアルコールと水とを含み、前記シランカップリング剤の濃度が0.01〜10wt%であり、水の量は前記シランカップリング剤の加水分解反応当量の0.1〜1.1倍である、
前記製造方法。
(9)絶縁体粒子を分散化処理液中で攪拌する際に、ボールミル、ミックスロータ、超音波ミキサー、ビーズミルおよびフィルミックス分散装置からなる群から選ばれる少なくとも一つにより機械的な力を付与する、(8)記載の製造方法。
本発明の複合材料は、無機粒子が有機樹脂マトリクス中で良好な分散性を示すため、この複合材料を受動素子としてプリント配線板の表面あるいは内部に形成した場合に高周波に対しても安定して高い比誘電率を呈することが期待される。特に、酸化物の表層部をもつ絶縁体粒子にシランカップリング剤による表面処理を施してなることで、従来法よりも絶縁体粒子の凝集の抑制が可能であり、絶縁体粒子を所定量分散した樹脂ワニスは低粘度になるために作業性が良好になり、薄い膜厚の複合体の形成ができる。
本発明によれば、複合材料は、有機樹脂マトリクスと、このマトリクス内に分散している無機粒子とを含有する。無機粒子を分散させている分散媒体の材料が後述する有機樹脂であるため、本明細書では、該有機樹脂からなる分散媒体を有機樹脂マトリクスと呼ぶ。図1は、本発明の複合材料の模式的な断面図である。有機樹脂マトリクス5内に分散している無機粒子10は、絶縁体粒子20をシランカップリング剤で表面処理して得られる。シランカップリング剤を用いた表面処理により絶縁体粒子20の周囲に形成される膜を、本明細書では表面処理膜と呼び、図1では符号3で表現する。シランカップリング剤で表面処理して得られる無機粒子10の平均粒子径は1μm以下である。絶縁体粒子20は酸化物を含む表層部2を有する。ここで、絶縁体粒子20は、酸化物以外の材料からなる粒子に酸化物を含むコーティングが施された粒子でもよいし、絶縁体粒子全体が主として酸化物からなる粒子であってもよい。
本発明によれば、有機樹脂マトリクス5の材料としては、回路基板など電子部品の分野で通常用いられる有機樹脂などを適宜用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂といった熱硬化性樹脂;ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフォンといった熱可塑性樹脂;あるいはこれらの混合物;などが挙げられる。場合によってはメチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブといった溶媒に有機樹脂を分散させてペースト状にして、スクリーン印刷やスピンコートなどを適用してもよい。好ましくは、有機樹脂マトリクスは、硬化したエポキシ樹脂等である。
本発明によれば、無機粒子10は、絶縁体粒子20をシランカップリング剤で表面処理して得られる。この表面処理により、シランカップリング剤の少なくとも一部が加水分解してなる化学種が絶縁体粒子20の表面を被覆する。図1には、シランカップリング剤を用いた表面処理により絶縁体粒子20の周囲に形成された表面処理膜3も表現されている。シランカップリング剤とはアルコキシル基、アセトキシ基、ハロゲン原子、アミノ基などの加水分解性基がケイ素原子に直結した化学構造をもち、かつ、有機樹脂とも結合し得る官能基を有する化合物をいう。本発明では、公知のシランカップリング剤を用いることができる。好ましくは、エポキシ基を有するシランカップリング剤が用いられ、より好ましくは下記式(1)で示される化学構造をもつシランカップリング剤が用いられる。
Figure 2007066587
上記式(1)において、R〜Rは各々独立にC1−3アルキルを示し、nは2〜4の整数を表す。好ましくは、R〜Rは全てメチルであり、nは3である。
絶縁体粒子20をシランカップリング剤で表面処理する方法としては、好ましくは、所定量のシランカップリング剤とアルコールと水とを含む処理液(分散化処理液ともいう)を調製して、分散処理液中で絶縁体粒子20を攪拌することにより、シランカップリング剤の一部を加水分解させて絶縁体粒子の表面に結合する表面処理膜3を形成する方法が挙げられる。より好ましくは、分散化処理液のアルコールはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等である。より好ましくは、分散化処理液に含まれるシランカップリング剤の濃度は0.01〜10wt%、さらに好ましくは0.1〜10wt%である。シランカップリング剤の濃度を上記範囲内にすることにより、分散化処理剤としての効果を確保するとともに、カップリング剤同士の不所望な重合反応が無視できる程度に抑制できる。カップリング剤同士の重合反応が起こると、無機粒子同士の橋架けが生じて結果として粒子が凝集し易くなってしまう。分散化処理液に含まれる水の量は、シランカップリング剤の加水分解反応当量の、好ましくは1/10〜11/10倍である。水の量を上記範囲内にすることで、絶縁体粒子とシランカップリング剤との結合に必要なOH基の濃度が十分に確保されかつ過大にはならないので、結果として、無機粒子を良好に分散させることができる。シランカップリング剤のOH基の濃度が過大になると、カップリング剤同士の相互作用によりカップリング剤が高分子化して、最終的にはそのカップリング剤に多数の絶縁体粒子が結合して見かけ上の凝集が生じるおそれがある。
好ましくは、絶縁体粒子20の表面をシランカップリング処理する際に、ボールミル、ミックスロータ、超音波ミキサー、ビーズミルおよびフィルミックス分散装置からなる群から選ばれる少なくとも一つにより機械的な力が付与される。このような機械的な力は、微粒子の小さなサイズの凝集体を好適に解くことができる。
シランカップリング剤の好ましい使用量としては、絶縁体粒子の表面をシランカップリング剤が0.8〜1.5分子層を形成する程度の量が挙げられる。
本発明によれば、無機粒子10の平均粒子径は1μm以下である。無機粒子10の平均粒子径が1μmより大きいと膜厚の薄い複合材料の作製が困難になってしまう。本発明では、無機粒子10の平均粒子径は、以下のようにして求められる粒度分布のD50の値である。
粒度分布は、レーザー回折・散乱法(いわゆるマイクロトラック法)で測定される。平均粒子径は、前記測定により算出されるD50の値である。具体的な測定では、日機装社製のmicrotrac UPA MODEL9340 を用いる。
平均粒径が1μm以下の無機粒子を得るためには、原材料として粒径の小さな粒子を用いたり、上述した好ましい処理液によって絶縁体粒子20の表面をシランカップリング処理に供したり、金属粒子1に対して後述する条件でシリカを含むコーティングを施すことが重要である。
好ましくは、無機粒子は一次粒子のサイズに対して平均の凝集サイズがメートル単位で一次粒子の平均サイズと(3×10−13/一次粒子の平均サイズ)との和より小さい。一般に、微粒子はサイズが小さくなると単位質量当たりの凝集力が大きくなる。本発明は種々の分散化処理を鋭意検討した結果完成したものであり、樹脂の性質に適した微粒子分散化処理法の新たな知見に基くものであるが、分散化処理済微粒子間の凝集力を小さくすることもできた。本発明で扱う粒子にはまだ凝集力が残存しているものの、一次粒子のサイズに対して平均の凝集サイズがメートル単位で一次粒子の平均サイズと(3×10−13/一次粒子の平均サイズ)との和より小さくなる程度にまで良好に分散させることができた。
本発明によれば、シランカップリングによる表面処理を施す前の絶縁体粒子20は、酸化物を含む表層部2を有する。絶縁体粒子20が酸化物を含む表層部2を有するということは、この粒子20の最表面が主として酸化物から構成される必要があり、粒子の内部の材質や構造は任意でよいということである。酸化物を含む表層部2を有する粒子は、例えば、金属粒子などに比べれば絶縁性が高いので、本明細書では、このような粒子を「絶縁体粒子」と呼んでいる。酸化物を含む表層部2を有する粒子は2つの形態に大別できる。第1の形態では、絶縁体粒子全体が酸化物から基本的に構成される。第2の形態では、酸化物以外の粒子の表面に酸化物を含むコーティングが施される。いずれの形態であっても、通常は、絶縁体粒子20が有する表層部2と、上述のシランカップリング剤を用いる表面処理によって形成される表面処理膜3とが直接的に結合する。その結果、表面処理膜3が安定化して、結果として、有機マトリクス内での無機粒子の分散性が向上する。
絶縁体粒子が酸化物から基本的に構成される場合、該酸化物は、好ましくはチタン酸バリウムである。チタン酸バリウムはそれ自体が高い比誘電率をもつ。チタン酸バリウム粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜1μmである。図4は、絶縁体粒子としてのチタン酸バリウム粒子4にシランカップリング剤による表面処理を施して表面処理膜3が被覆されてなる無機粒子10の模式断面である。図4には、表層部2を明示していないが、チタン酸バリウムの表面を含む領域が上述した表層部であるとみなすことができる。
絶縁体粒子が、酸化物以外の粒子の表面に酸化物を含むコーティングが施されてなる粒子である場合、好ましくは、該絶縁体粒子はシリカ含有組成物で被覆された金属粒子である。図3は、金属粒子1、シリカ含有組成物からなる表層部2、さらにシランカップリング剤による表面処理により形成された表面処理膜3を有する無機粒子10の模式断面図である。この場合に、原料となる金属粒子1の粒径は、好ましくは0.1〜1μmである。金属は、好ましくは、Al、Mn、Si、Mg、Cr、Ni、Mo、Cu、Fe、Zn、Sn、Ag、TiおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、銅、亜鉛およびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
金属粒子1へのシリカ含有組成物の被覆は、好ましくは、アルコキシル基含有シロキサン化合物を含む溶液へ金属粒子1を分散した状態で、アルコキシル基含有シロキサン化合物を加水分解して金属粒子の表面に主にシリカを含む組成物を生成させることで行われる。この処理に用いる溶液(以下、絶縁層形成処理液ともいう)は、アルコールを主成分として、0.1〜10wt%の濃度のアルコキシル基含有シロキサン化合物、加水分解に要する水を含む。アルコキシル基含有シロキサン化合物の使用量を設定して、加水分解の結果として得られるシリカの量が金属粒子100重量部に対して好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは1〜5重量部となるようにする。金属粒子に対するシリカの量を上記範囲にすることで、絶縁性の確保と複合材料中の無機粒子の充填量の向上が両立し得る。加水分解の具体的な条件は公知の条件を援用してよい。例えば、絶縁層形成処理液に金属粒子を分散して、溶媒を真空下除去した後に、加熱処理に供してアルコキシル基含有シロキサン化合物を加水分解させて金属粒子上にシリカ含有組成物からなる表層部を形成することができる。
好ましくは、アルコキシル基含有シロキサン化合物化合物は、一般式、RO−(Si(OR−O)−R(R〜Rは各々独立にC1−3アルキルを示し、mは3〜5の整数を示す)で表される化合物である。好ましくは、R〜Rは全てメチル基である。
本発明の複合材料は、上述した種々の無機粒子の1種類のみを含んでいてもよいし、複数種類の無機粒子を併せて含んでいてもよい。本発明の複合材料において、有機マトリクス100重量部に対して含まれる無機粒子の量は特に限定ない。また、複合材料全体に占める無機粒子の割合は、好ましくは10〜80vol%であり、より好ましくは20〜40vol%である。上記範囲内であれば、シート化する際の耐クラック性や曲げ性を良好にできる点で好ましい。有機マトリクス内に無機粒子を分散させる手段は特に限定はなく、公知の分散手段を適宜用いることができる。
上述した本発明の複合材料は高周波領域においても高誘電率、低誘電損失を呈する。具体的には、1MHzでの測定において、比誘電率が好ましくは10以上、より好ましくは20以上である。また、この周波数での測定において、誘電正接(tanδ)は、好ましくは0.1以下である。また、本発明の複合材料の体積抵抗率は、好ましくは1×1012Ω・cm以上であり、より好ましくは1×1013Ω・cm以上である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳しく説明するが、これらの例は本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1)
本実施例では、原料である平均粒径0.20μmの銅粉(三井金属鉱業(株)製、品番1020Y)に対してシリカ含有組成物をコートして絶縁体粒子を得た。このコートのために用いた絶縁層形成処理液は以下のものを混合して、25℃にて2昼夜放置して得た。
CHO−(Si(OCH−O)−CH (mは3〜5であり平均は4である)
0.05ml、
水 0.0095ml、
脱水メチルアルコール 0.95ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0005ml、
絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 0.0515ml、
水 0.0059ml、
脱水メチルアルコール 1.55ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0005ml、
尚、用いたシランカップリング剤、S510は、チッソ(株)製のエポキシ型のシランカップリング剤であり、上記式(1)において、R〜Rがいずれもメチル基でありnが3である化学構造を有する。
本実施例にて無機粒子を得るための表面処理の具体的な操作は以下のとおりである。
(1)上記銅粉5gに対して絶縁層形成処理液を加えて攪拌した後、真空にして溶媒を除去して、30分間、150℃の熱処理に供した。このようにしてシリカ含有組成物による表層部2で銅粉1を被覆してなる絶縁体粒子20が得られた。図2にこの絶縁体粒子を模式的に示す。
(2)この絶縁体粒子5gと直径3mmのアルミナボール200gと60mlの脱水メチルアルコールとを250mlのポリビンに入れ、井内盛栄堂製ミックスローターMR−5で100rpmにて3時間攪拌した後、上記の分散化処理液をポリビンに添加して、ミックスローターで100rpmにて3時間攪拌した。このようにして、絶縁体粒子20をシランカップリング剤で表面処理してなる無機粒子10を得た。図3にこの無機粒子を模式的に示す。この無機粒子のD50値は0.50μmであった。
この実施例では、100重量部の銅粉を1重量部のシリカを含む組成物で被覆して絶縁体粒子を得た。表面処理の際に、シランカップリング剤の加水分解当量の0.5当量の水が用いられた。
無機微粒子を分散するための有機ワニスは以下のようにして得た。
エポキシ樹脂であるジシクロペンタジエン型のHP−7200(大日本インキ化学工業(株)製)と、エポキシ樹脂の硬化剤であるX1−225−L(三井化学(株)製)とを、硬化反応の当量になるように量り取り、100重量部のエポキシ樹脂に対して0.5重量部の硬化促進剤であるトリフェニルホスフィン(和光純薬工業(株)製)を添加した。これらをメチルエチルケトンに溶解して有機ワニスを得た。有機ワニス中の、HP−7200、X1−225−Lおよびトリフェニルホスフィンの合計量は70wt%になるように調節した。
得られた無機粒子を有機ワニスに以下のように分散した。
篩を用いて、(2)で得られた無機粒子を回収し、残存溶媒が10wt%になるまで溶媒を除去した。そのようにして得られた無機粒子10を上述の樹脂ワニスと混合した。混合の際には、アズワン社製スーパーミキサーAR−250を用いた。混合後には脱泡処理を施した。樹脂ワニスに対する無機粒子の量は、樹脂硬化後に得られる複合材料中に占める無機粒子の体積割合が40vol%となるようにした。後述する塗工に適した粘度になるように、適宜、メチルエチルケトンを添加したり溶媒を真空除去した。
無機粒子を分散した有機ワニスを以下のように、塗布、硬化させて複合材料を得た。
ロールコータ((株)ヒラノテクシード製)を用いて、2枚の1oz銅箔の上に、上記のように無機粒子を分散した有機ワニスを塗布した。塗布量は、有機ワニスの溶剤を除去した後の塗布厚が約50μmになるように調節した。有機ワニスを塗布した2枚の銅箔を120℃にて5分間放置して、ワニス中の溶剤を除去した。2枚の銅箔を、有機ワニスの塗布面どうしが内側で接触するように重ね合わせて、約5MPaの圧力をかけながら、150℃にて30分間、次いで、200℃にて2時間の熱圧着に供することで有機ワニス中のエポキシ樹脂を硬化させた。その後、2つの銅箔のうちの1つだけを湿式エッチングで除去することで、エポキシ樹脂からなるマトリクス内に無機粒子が分散した複合材料が銅箔上に積層している、評価用シートを得た。
(実施例2)
本実施例では、絶縁体粒子として、平均粒径0.30μmのチタン酸バリウム粉(堺化学工業(株)製、品番BT−03)そのまま用いた。
絶縁体粒子(チタン酸バリウム粉)をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 0.475ml、
水 0.0109ml、
脱水メチルアルコール 4.75ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0048ml
本実施例にて無機粒子を得るための表面処理の具体的な操作は以下のとおりである。
この絶縁体粒子(チタン酸バリウム粉)12gと直径1mmのアルミナボール240gと85mlの脱水メチルアルコールと上記分散化処理液とをフリッチェ社製新型P−5遊星ボールミル用のポットに入れ、公転350rpm、自転760rpmにて1時間、攪拌して、絶縁体粒子4をシランカップリング剤で表面処理してなる無機粒子10を得た。図4にこの無機粒子を模式的に示す。この無機粒子のD50値は0.60μmであった。
この実施例では、表面処理の際に、シランカップリング剤の加水分解当量の0.1当量の水が用いられた。
無機微粒子を分散するための有機ワニス、該ワニスへの無機粒子の分散方法および、無機粒子を分散した有機ワニスを用いた評価用シートの調製方法は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
本実施例では、絶縁体粒子は、原料である平均粒径0.8μmの亜鉛粉(堺化学工業(株)製、#3、平均粒径4μmの粉末を分級処理)に対してシリカ含有組成物をコートして得た。このコートのために用いた絶縁層形成処理液は以下のものを混合して、25℃にて2昼夜放置して得た。
CHO−(Si(OCH−O)−CH (mは3〜5であり平均は4である)
0.025ml、
水 0.0048ml、
脱水メチルアルコール 0.48ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.00025ml
絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 0.0137ml、
水 0.0031ml、
脱水メチルアルコール 6.85ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.00013ml
本実施例にて無機粒子を得るための表面処理の具体的な操作は以下のとおりである。
(1)上記亜鉛粉5gに対して絶縁層形成処理液を加えて攪拌した後、真空にして溶媒を除去して、30分間、150℃の熱処理に供した。このようにしてシリカ含有組成物で亜鉛粉を被覆してなる絶縁体粒子が得られた。
(2)この絶縁体粒子5gと直径3mmのアルミナボール200gと60mlの脱水メチルアルコールとを250mlのポリビンに入れ、井内盛栄堂製ミックスローターMR−5で100rpmにて3時間攪拌した後、上記の分散化処理液をポリビンに添加して、ミックスローターで100rpmにて3時間攪拌した。このようにして、絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理してなる無機粒子を得た。この無機粒子のD50値は0.95μmであった。
この実施例では、100重量部の亜鉛粉を0.5重量部のシリカを含む組成物で被覆して絶縁体粒子を得た。表面処理の際に、シランカップリング剤の加水分解当量の1.0当量の水が用いられた。
無機微粒子を分散するための有機ワニス、該ワニスへの無機粒子の分散方法および、無機粒子を分散した有機ワニスを用いた評価用シートの調製方法は、実施例1と同様にした。
(実施例4)
本実施例では、絶縁体粒子は、原料である平均粒径0.15μmのニッケル粉(川鉄鉱業(株)製、品番NFP101)に対してシリカ含有組成物をコートして得た。ニッケル粉はボールミルを用いて粉砕して得た。このコートのために用いた絶縁層形成処理液は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
CHO−(Si(OCH−O)−CH (mは3〜5であり平均は4である)
0.25ml、
水 0.048ml、
脱水メチルアルコール 0.75ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0025ml
絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 0.0925ml、
水 0.0106ml、
脱水メチルアルコール 2.78ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0009ml
本実施例にて無機粒子を得るための表面処理の具体的な操作は以下のとおりである。
(1)上記ニッケル粉5gに対して絶縁層形成処理液を加えて攪拌した後、真空にして溶媒を除去して、30分間、150℃の熱処理に供した。このようにしてシリカ含有組成物でニッケル粉を被覆してなる絶縁体粒子が得られた。
(2)この絶縁体粒子5gと直径3mmのアルミナボール200gと60mlの脱水メチルアルコールとを250mlのポリビンに入れ、井内盛栄堂製ミックスローターMR−5で100rpmにて3時間攪拌した後、上記の分散化処理液をポリビンに添加して、ミックスローターで100rpmにて3時間攪拌した。このようにして、絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理してなる無機粒子を得た。この無機粒子のD50値は0.40μmであった。
この実施例では、100重量部のニッケル粉を5重量部のシリカを含む組成物で被覆して絶縁体粒子を得た。表面処理の際に、シランカップリング剤の加水分解当量の0.5当量の水が用いられた。
無機微粒子を分散するための有機ワニス、該ワニスへの無機粒子の分散方法および、無機粒子を分散した有機ワニスを用いた評価用シートの調製方法は、実施例1と同様にした。
(実施例5)
本実施例では、無機粒子として、2種類の粒子を混用した。
第1の無機粒子は、原料である平均粒径0.15μmのニッケル粉(川鉄鉱業(株)製、品番NFP101)に対してシリカ含有組成物をコートして得た絶縁体粒子に対してシランカップリング剤による表面処理を施して得た。シリカ含有組成物のコートのために用いた絶縁層形成処理液は以下のものを混合して、25℃にて2昼夜放置して得た。
CHO−(Si(OCH−O)−CH (mは3〜5であり平均は4である)
0.05ml、
水 0.0095ml、
脱水メチルアルコール 0.95ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0005ml
ニッケル粉由来の絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液(処理液Aと呼ぶ)は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 0.0515ml、
水 0.0059ml、
脱水メチルアルコール 1.55ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0005ml
第2の無機粒子は、絶縁体粒子としての平均粒径0.30μmのチタン酸バリウム粉(堺化学工業(株)製、品番BT−03)に対してシランカップリング剤による表面処理を施して得た。
絶縁体粒子(チタン酸バリウム粉)をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液(処理液Bと呼ぶ)は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 1.34ml、
水 0.185ml、
脱水メチルアルコール 16.1ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.016ml
本実施例の具体的な操作は以下のとおりである。
(1)上記ニッケル粉5gに対して絶縁層形成処理液を加えて攪拌した後、真空にして溶媒を除去して、30分間、150℃の熱処理に供した。このようにしてシリカ含有組成物でニッケル粉を被覆してなる絶縁体粒子が得られた。
(2)このニッケル粉由来の絶縁体粒子5gと直径3mmのアルミナボール200gと60mlの脱水メチルアルコールとを250mlのポリビンに入れ、井内盛栄堂製ミックスローターMR−5で100rpmにて3時間攪拌した後、上記の処理液Aをポリビンに添加して、ミックスローターで100rpmにて3時間攪拌した。このようにして、ニッケル粉由来の絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理してなる第1の無機粒子を得た。この第1の無機粒子のD50値は0.45μmであった。
(3)上記(1)、(2)とは別に、上述のチタン酸バリウム粉(絶縁体粒子)12gと直径1mmのアルミナボール240gと73mlの脱水メチルアルコールと上記の処理液Bとをフリッチェ社製新型P−5遊星ボールミル用のポットに入れ、公転350rpm、自転760rpmにて1時間、攪拌して、チタン酸バリウム粉をシランカップリング剤で表面処理してなる第2の無機粒子を得た。この第2の無機粒子のD50値は0.60μmであった。
この実施例では、100重量部のニッケル粉を1重量部のシリカを含む組成物で被覆して絶縁体粒子を得ており、シランカップリング剤の加水分解当量の0.5当量の水が用いられた。
無機微粒子を分散するための有機ワニス、該ワニスへの無機粒子の分散方法および、無機粒子を分散した有機ワニスを用いた評価用シートの調製方法は、実施例1と同様にした。但し、樹脂ワニスに対して、第1の無機粒子と第2の無機粒子の量が、樹脂硬化後に得られる複合材料中に20vol%ずつ占めるようにした。図5にこの実施例の複合材料を模式的に示す。
(比較例1)
本比較例では、絶縁体粒子は、原料である平均粒径0.20μmの銅粉(三井金属鉱業(株)製、品番1020Y)に対してシリカ含有組成物をコートして得た。このコートのために用いた絶縁層形成処理液は以下のものを混合して、25℃にて2昼夜放置して得た。
CHO−(Si(OCH−O)−CH (mは3〜5であり平均は4である)
0.5ml、
水 0.0475ml、
脱水メチルアルコール 0.5ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0005ml
絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 0.0515ml、
水 0.0059ml、
脱水メチルアルコール 1.55ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0005ml
本比較例にて無機粒子を得るための表面処理の具体的な操作は以下のとおりである。
(1)上記銅粉5gに対して絶縁層形成処理液を加えて攪拌した後、真空にして溶媒を除去して、30分間、150℃の熱処理に供した。このようにしてシリカ含有組成物で銅粉を被覆してなる絶縁体粒子が得られた。但し、この処理で粉体は著しく凝集して、平均粒径が100μmになった。
(2)この絶縁体粒子5gと直径3mmのアルミナボール200gと60mlの脱水メチルアルコールとを250mlのポリビンに入れ、井内盛栄堂製ミックスローターMR−5で100rpmにて3時間攪拌した後、上記の分散化処理液をポリビンに添加して、ミックスローターで100rpmにて3時間攪拌した。このようにして、絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理してなる無機粒子を得た。この無機粒子のD50値は5μmであった。
この比較例では、100重量部の銅粉を10重量部のシリカを含む組成物で被覆して絶縁体粒子を得た。表面処理の際に、シランカップリング剤の加水分解当量の0.5当量の水が用いられた。
無機微粒子を分散するための有機ワニス、該ワニスへの無機粒子の分散方法および、無機粒子を分散した有機ワニスを用いた評価用シートの調製方法は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
本比較例では、絶縁体粒子として、平均粒径0.30μmのチタン酸バリウム粉(堺化学工業(株)製、品番BT−03)をそのまま用いた。
絶縁体粒子(チタン酸バリウム粉)をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 0.792ml、
水 0.091ml、
脱水メチルアルコール 7.2ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.008ml
本比較例にて無機粒子を得るための表面処理の具体的な操作は以下のとおりである。
(1)この絶縁体粒子(チタン酸バリウム粉)12gと直径1mmのアルミナボール240gと82mlの脱水メチルアルコールと上記分散化処理液とをフリッチェ社製新型P−5遊星ボールミル用のポットに入れ、公転350rpm、自転760rpmにて1時間、攪拌して、絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理してなる無機粒子を得た。この無機粒子は凝集しており、D50値は5.0μmであった。
この比較例では、表面処理の際に、シランカップリング剤の加水分解当量の0.5当量の水が用いられた。
無機微粒子を分散するための有機ワニス、該ワニスへの無機粒子の分散方法および、無機粒子を分散した有機ワニスを用いた評価用シートの調製方法は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
本比較例では、絶縁体粒子は、原料である平均粒径0.8μmの亜鉛粉(堺化学工業(株)製、#3、平均粒径4μmの粉末を分級処理)に対してシリカ含有組成物をコートして得た。このコートのために用いた絶縁層形成処理液は以下のものを混合して、25℃にて2昼夜放置して得た。
CHO−(Si(OCH−O)−CH (mは3〜5であり平均は4である)
0.005ml、
水 0.001ml、
脱水メチルアルコール 0.495ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.00005ml
絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 0.086ml、
水 0.0019ml、
脱水メチルアルコール 6.91ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.00008ml
本比較例にて無機粒子を得るための表面処理の具体的な操作は以下のとおりである。
(1)上記亜鉛粉5gに対して絶縁層形成処理液を加えて攪拌した後、真空にして溶媒を除去して、30分間、150℃の熱処理に供した。このようにしてシリカ含有組成物で亜鉛粉を被覆してなる絶縁体粒子が得られた。
(2)この絶縁体粒子5gと直径3mmのアルミナボール200gと60mlの脱水メチルアルコールとを250mlのポリビンに入れ、井内盛栄堂製ミックスローターMR−5で100rpmにて3時間攪拌した後、上記の分散化処理液をポリビンに添加して、ミックスローターで100rpmにて3時間攪拌した。このようにして、絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理してなる無機粒子を得た。この無機粒子は凝集しており、D50値は3.0μmであった。
この比較例では、100重量部の亜鉛粉を0.1重量部のシリカを含む組成物で被覆して絶縁体粒子を得た。表面処理の際に、シランカップリング剤の加水分解当量の1.0当量の水が用いられた。
無機微粒子を分散するための有機ワニス、該ワニスへの無機粒子の分散方法および、無機粒子を分散した有機ワニスを用いた評価用シートの調製方法は、実施例1と同様にした。
(比較例4)
本比較例では、絶縁体粒子は、原料である平均粒径0.15μmのニッケル粉(川鉄鉱業(株)製、品番NFP101)に対してシリカ含有組成物をコートして得た。このコートのために用いた絶縁層形成処理液は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
CHO−(Si(OCH−O)−CH (mは3〜5であり平均は4である)
0.25ml、
水 0.048ml、
脱水メチルアルコール 0.75ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0025ml
絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 0.049ml、
水 0.0006ml、
脱水メチルアルコール 1.48ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0005ml
本比較例にて無機粒子を得るための表面処理の具体的な操作は以下のとおりである。
(1)上記ニッケル粉5gに対して絶縁層形成処理液を加えて攪拌した後、真空にして溶媒を除去して、30分間、150℃の熱処理に供した。このようにしてシリカ含有組成物でニッケル粉を被覆してなる絶縁体粒子が得られた。
(2)この絶縁体粒子5gと直径3mmのアルミナボール200gと60mlの脱水メチルアルコールとを250mlのポリビンに入れ、井内盛栄堂製ミックスローターMR−5で100rpmにて3時間攪拌した後、上記の分散化処理液をポリビンに添加して、ミックスローターで100rpmにて3時間攪拌した。このようにして、絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理してなる無機粒子を得た。この無機粒子は凝集しており、D50値は4.0μmであった。
この比較例では、100重量部のニッケル粉を5重量部のシリカを含む組成物で被覆して絶縁体粒子を得た。表面処理の際に、シランカップリング剤の加水分解当量の0.05当量の水が用いられた。
無機微粒子を分散するための有機ワニス、該ワニスへの無機粒子の分散方法および、無機粒子を分散した有機ワニスを用いた評価用シートの調製方法は、実施例1と同様にした。
(比較例5)
本比較例では、無機粒子として、2種類の粒子を混用した。
第1の無機粒子は、原料である平均粒径0.15μmのニッケル粉(川鉄鉱業(株)製、品番NFP101)に対してシリカ含有組成物をコートして得た絶縁体粒子に対してシランカップリング剤による表面処理を施して得た。シリカ含有組成物のコートのために用いた絶縁層形成処理液は以下のものを混合して、25℃にて2昼夜放置して得た。
CHO−(Si(OCH−O)−CH (mは3〜5であり平均は4である)
0.05ml、
水 0.0095ml、
脱水メチルアルコール 0.95ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0005ml
ニッケル粉由来の絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液(処理液Aと呼ぶ)は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 0.0515ml、
水 0.024ml、
脱水メチルアルコール 1.55ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.0005ml
第2の無機粒子は、絶縁体粒子としての平均粒径0.30μmのチタン酸バリウム粉(堺化学工業(株)製、品番BT−03)に対してシランカップリング剤による表面処理を施して得た。
絶縁体粒子(チタン酸バリウム粉)をシランカップリング剤で表面処理するための分散化処理液(処理液Bと呼ぶ)は以下のものを混合して、25℃にて1昼夜放置して得た。
シランカップリング剤S510 1.34ml、
水 0.74ml、
脱水メチルアルコール 15.6ml、
ジラウリン酸ジブチル錫 0.016ml
本比較例にて無機粒子を得るための表面処理の具体的な操作は以下のとおりである。
(1)上記ニッケル粉5gに対して絶縁層形成処理液を加えて攪拌した後、真空にして溶媒を除去して、30分間、150℃の熱処理に供した。このようにしてシリカ含有組成物でニッケル粉を被覆してなる絶縁体粒子が得られた。
(2)このニッケル粉由来の絶縁体粒子5gと直径3mmのアルミナボール200gと60mlの脱水メチルアルコールとを250mlのポリビンに入れ、井内盛栄堂製ミックスローターMR−5で100rpmにて3時間攪拌した後、上記の処理液Aをポリビンに添加して、ミックスローターで100rpmにて3時間攪拌した。このようにして、ニッケル粉由来の絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理してなる第1の無機粒子を得た。この第1の無機粒子は著しく凝集しており、D50値は2.5μmであった。
(3)上記(1)、(2)とは別に、上述のチタン酸バリウム粉(絶縁体粒子)12gと直径1mmのアルミナボール240gと73mlの脱水メチルアルコールと上記の処理液Bとをフリッチェ社製新型P−5遊星ボールミル用のポットに入れ、公転350rpm、自転760rpmにて1時間、攪拌して、チタン酸バリウム粉をシランカップリング剤で表面処理してなる第2の無機粒子を得た。この第2の無機粒子は著しく凝集しており、D50値は2.3μmであった。
この比較例では、100重量部のニッケル粉を1重量部のシリカを含む組成物で被覆して絶縁体粒子を得ており、シランカップリング剤の加水分解当量の2.0当量の水が用いられた。
無機微粒子を分散するための有機ワニス、該ワニスへの無機粒子の分散方法および、無機粒子を分散した有機ワニスを用いた評価用シートの調製方法は、実施例1と同様にした。但し、樹脂ワニスに対して、第1の無機粒子と第2の無機粒子の量が、樹脂硬化後に得られる複合材料中に20vol%ずつ占めるようにした。
(電気的評価)
横河・ヒューレット・パッカード(株)製、インピーダンス/ゲイン・フェーズ・アナライザー、型式HP4194Aおよび誘電特性測定用専用電極、型式HP16451Bを用いて、各複合材料の周波数1MHzにおける比誘電率および誘電正接を測定した。図6に測定法を模式的に示す。銅箔41上に複合材料30を形成してなる各評価用シートの、複合材料30の上に、金を蒸着することによってφ12の薄膜主電極43およびφ14の薄膜ガード電極42を形成した。これを、対電極51上置き、主電極53を薄膜主電極43に接触し、ガード電極52を薄膜ガード電極42に接触させて、測定を行った。また、東亜ディーケーケー(株)製のデジタル絶縁計、型式DSM−8103および抵抗測定用専用電極、型式SME−8311を用いて各複合材料の体積抵抗率(ρv)を求めた。これらの測定結果を表1にまとめる。
Figure 2007066587
表1から明らかなように、各実施例の複合材料は高い比誘電率、低い誘電正接および高い体積抵抗率を呈する。一方、各比較例の複合材料は、全般的に誘電正接が高く、体積抵抗率が低く、いくつかの例では、比誘電率も低かった。
実施例および比較例で用いた粒子について、一次粒子径を横軸に、シランカップリング剤で表面処理した後の平均粒子径(D50)を縦軸にプロットした(図7)。図7における縦軸および横軸はいずれも対数目盛りにしている。また、実験式として、一次粒子の平均サイズと(3×10−13/一次粒子の平均サイズ)との和を曲線で記載した。該曲線よりも、表面処理した後のD50の方が、実施例では小さくなり、比較例では大きくなった。
本発明の複合材料の模式断面図である。 第1の形態の絶縁体粒子の模式断面図である。 金属粒子由来の無機粒子の模式断面図である。 チタン酸バリウム粒子由来の無機粒子の模式断面図である。 本発明の複合材料の模式断面図である。 複合材料の比誘電率および誘電正接の測定法を模式的に示す。 実施例および比較例で用いた粒子について、一次粒子径を横軸に、シランカップリング剤で表面処理した後の平均粒子径(D50)を縦軸にプロットしてなる図である。
符号の説明
1 金属粒子
2 表層部
3 表面処理膜
4 チタン酸バリウム粒子
5 有機樹脂マトリクス
10 無機粒子
20 絶縁体粒子
30 複合材料
41 銅箔
42 薄膜ガード電極
43 薄膜主電極
51 対電極
52 ガード電極
53 主電極

Claims (9)

  1. 有機樹脂マトリクス内に無機粒子が分散されてなる複合材料であって、前記無機粒子は絶縁体粒子をシランカップリング剤で表面処理してなる平均粒子径1μm以下の粒子であり、絶縁体粒子は酸化物を含む表層部を有する、複合材料。
  2. 絶縁体粒子が、金属粒子とそれを被覆するシリカ含有組成物からなる表層部とを有し、金属粒子100重量部に対し0.5〜5重量部のシリカを含む、請求項1記載の複合材料。
  3. 絶縁体粒子がチタン酸バリウム粒子である請求項1記載の複合材料。
  4. シランカップリング剤が式(1)
    Figure 2007066587

    (式中、R〜Rは各々独立にC1−3アルキルを示し、nは2〜4の整数を示す)で示される化学構造をもつ、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料。
  5. 1MHzの周波数における比誘電率が10以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合材料。
  6. 金属粒子が、Al、Mn、Si、Mg、Cr、Ni、Mo、Cu、Fe、Zn、Sn、Ag、TiおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる請求項2記載の複合材料。
  7. 上記無機粒子は一次粒子のサイズに対して平均の凝集サイズがメートル単位で一次粒子の平均サイズと(3×10−13/一次粒子の平均サイズ)との和より小さい、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合材料。
  8. 酸化物を含む表層部を有する絶縁体粒子を分散化処理液中で攪拌することにより前記絶縁体粒子を表面処理して平均粒子径1μm以下の無機粒子を得て、得られた無機粒子を有機樹脂マトリクス内に分散させる、複合材料の製造方法であって、
    分散化処理液は、式(1)
    Figure 2007066587

    (式中、R〜Rは各々独立にC1−3アルキルを示し、nは2〜4の整数を示す)で示される化学構造をもつシランカップリング剤とアルコールと水とを含み、前記シランカップリング剤の濃度が0.01〜10wt%であり、水の量は前記シランカップリング剤の加水分解反応当量の0.1〜1.1倍である、
    前記製造方法。
  9. 絶縁体粒子を分散化処理液中で攪拌する際に、ボールミル、ミックスロータ、超音波ミキサー、ビーズミルおよびフィルミックス分散装置からなる群から選ばれる少なくとも一つにより機械的な力を付与する、請求項8記載の製造方法。
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