WO2016185989A1

WO2016185989A1 - 貨幣管理システム及び貨幣管理方法

Info

Publication number: WO2016185989A1
Application number: PCT/JP2016/064089
Authority: WO
Inventors: 一也西野; 佳幸田中; 弥生名田; 航井原
Original assignee: グローリー株式会社
Priority date: 2015-05-15
Filing date: 2016-05-12
Publication date: 2016-11-24

Abstract

店舗に設置して貨幣を管理する貨幣管理システムを、手動で貨幣の出し入れを行うための開閉部及び該開閉部を施解錠して開閉を制御するロック部を有する収納部を複数個含む貨幣管理装置と、該貨幣管理装置の収納部に収納する貨幣の金額情報を入力する入力部、及び貨幣管理装置の少なくとも１つ以上の収納部に収納された貨幣の所有者を銀行として管理する貨幣管理端末とによって構成し、貨幣を厳密に管理する。

Description

貨幣管理システム及び貨幣管理方法

　この発明は、貨幣を保管するための複数の収納部を有し利用者が手作業で収納部内に貨幣を出し入れする貨幣管理装置と、該貨幣管理装置で出し入れされる貨幣を管理するための貨幣管理端末とを含み、ショッピングセンターやレジャー施設等の店舗で利用される貨幣管理システム及び貨幣管理方法に関する。

　従来、商品の販売やサービスの提供を行う店舗では、様々な貨幣処理装置が利用されている。店舗では、貨幣処理装置で利用する貨幣量が、予め定められた上限を超えると、貨幣集配業者に超過分の貨幣の回収を依頼する。また貨幣処理装置で利用する貨幣量が、予め定められた下限に達すると、貨幣を補充するために、貨幣集配業者に店舗への貨幣の配送を依頼する。貨幣処理装置から回収する貨幣や貨幣処理装置に補充する貨幣の運搬を依頼する際には、貨幣集配業者に手数料を支払う必要がある。このため、貨幣集配業者への依頼を最低限にすべく、貨幣処理装置から回収した貨幣や貨幣処理装置に補充する貨幣を店舗内に保管することができる貨幣管理システムが望まれている。

　貨幣を保管することができる貨幣管理システムの例として、例えば、特許文献１には、売上金や釣銭準備金を入出金する貨幣処理装置と、釣銭準備金を保管する釣銭準備金ロッカーとを含む貨幣管理システムが開示されている。このシステムを店舗内に設置して、翌日の営業に備えて作成した釣銭準備金を店舗内で保管することにより、貨幣集配業者への貨幣の運搬依頼を減らすことができる。

特開２００８－１９１８６１号公報

　しかしながら、店舗内で貨幣を保管する貨幣管理装置から貨幣の紛失や盗難があると、全て店舗の損害となるため、店舗にとって貨幣管理装置に係る導入リスクが高いという問題があった。また、店舗内の貨幣管理装置に貨幣を保管すると、この貨幣が店舗の売上金の一部であっても店舗の銀行口座の残高に反映できず、銀行口座による売上金の管理ができないという問題もあった。

　本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたもので、貨幣管理装置に保管する貨幣を厳密に管理して店舗にとっての貨幣管理装置の導入リスクを低減すると共に、貨幣管理装置の貨幣を店舗の銀行口座で管理することができる貨幣管理システム及び貨幣管理方法を提供することを目的とする。

　上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、店舗に設置して貨幣を管理する貨幣管理システムであって、手動で貨幣の出し入れを行うための開閉部及び該開閉部を施解錠して開閉を制御するロック部を有する収納部を複数個含む貨幣管理装置と、前記収納部に収納する貨幣の金額情報を入力する入力部、及び前記貨幣管理装置の少なくとも１つ以上の収納部に収納された貨幣の所有者を銀行として管理する貨幣管理端末とを備えることを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記店舗に属する利用者が、所有者を前記銀行とする収納部に貨幣を収納する際には、前記貨幣管理端末は、前記収納部に収納する前記貨幣の金額を前記入力部によって受け付けると共に前記収納部の開閉部を開き、前記開閉部が閉じられると前記貨幣が前記収納部に収納されたとみなして所有者を前記銀行として管理して、前記入力部により入力された貨幣金額を前記店舗の銀行口座に入金するよう指示する信号を出力することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記貨幣管理端末は、所有者を銀行とする収納部以外の収納部に収納された貨幣の所有者を前記店舗として管理し、前記店舗に属する利用者が、所有者を前記店舗とする収納部に貨幣を収納する際には、前記貨幣管理端末は、前記収納部に収納する前記貨幣の金額を前記入力部によって受け付けると共に前記収納部の開閉部を開き、前記開閉部が閉じられると前記貨幣が前記収納部に収納されたとみなして所有者を前記店舗として管理することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、貨幣処理を行う貨幣処理装置をさらに備え、前記貨幣管理端末は、前記貨幣処理装置から回収された貨幣が前記貨幣管理装置に収納された場合には、前記貨幣処理装置から回収された前記貨幣の金額と、前記貨幣管理装置に収納された前記貨幣の金額とを照合することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記銀行に属する利用者が、所有者を前記銀行とする収納部に貨幣を収納する際には、前記貨幣管理端末は、前記収納部に収納する前記貨幣の金額を前記入力部によって受け付けると共に前記収納部の開閉部を開き、前記開閉部が閉じられると前記貨幣が前記収納部に収納されたとみなして所有者を前記銀行として管理することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記店舗に属する利用者が銀行を所有者とする収納部から貨幣を取り出す際には、前記貨幣管理端末は、前記貨幣管理装置で前記収納部の開閉部を開き、前記開閉部が閉じられると前記収納部に収納されていた前記貨幣が取り出されたとみなして、前記貨幣の所有者を前記店舗に変更して、前記収納部から取り出された前記貨幣の金額を前記店舗の銀行口座から出金するよう指示する信号を出力することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、貨幣処理を行う貨幣処理装置をさらに備え、前記貨幣管理端末は、前記貨幣管理装置の収納部から取り出された貨幣が前記貨幣処理装置に補充された場合には、前記貨幣管理装置から取り出された前記貨幣の金額と、前記貨幣処理装置で計数された前記貨幣の補充金額とを照合することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記貨幣管理端末は、前記貨幣管理装置の各収納部を利用できる利用者を管理することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、利用者が前記店舗に属する担当者であるか前記銀行に属する担当者であるかを区別して認証する認証部をさらに備えることを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記貨幣管理端末は、前記銀行に属する利用者と、前記店舗に属する利用者とを区別して、各利用者が利用できる収納部を管理することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記貨幣管理装置の各収納部に収納された貨幣の所有者の設定は変更可能であることを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記貨幣管理装置が前記貨幣管理端末から離れた場所に設置されている場合には、前記貨幣管理端末は、前記貨幣管理装置で収納部を利用するためのアクセスコードを発行して前記貨幣管理装置へ送信し、前記貨幣管理装置は、アクセスコードの入力を受け付けて、入力されたアクセスコードと前記貨幣管理端末から受信したアクセスコードとが一致する場合にのみ前記収納部の利用を許容することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記アクセスコードは所定時間を経過すると無効になることを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記貨幣管理装置の収納部は、該収納部に収納された貨幣に関する情報を表示するための情報表示部をさらに有することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記貨幣管理端末は、前記貨幣管理端末で所定の操作が行われた場合には、前記貨幣管理装置の収納部に収納されている貨幣の所有者を変更することなく、前記収納部の開閉部を開くことを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記貨幣管理装置の収納部は、貨幣を収納する専用ケースの有無を検知する検知センサをさらに有することを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記貨幣管理装置は、内部に貨幣を投入するための開口を有する収納部を含むことを特徴とする。

　また、本発明は、上記発明において、前記貨幣管理装置は、堅牢性の異なる収納部を含むことを特徴とする。

　また、本発明は、店舗に設置された貨幣管理装置及び貨幣管理端末を含む貨幣管理システムによって貨幣を処理する貨幣管理方法であって、複数の収納部を有する前記貨幣管理装置の少なくとも１つ以上の収納部で、ロック部によって施解錠される開閉部を開閉して貨幣を収納する貨幣収納工程と、前記貨幣管理端末が、前記貨幣収納工程で収納された前記貨幣を銀行の所有する貨幣として管理する工程とを含んだことを特徴とする。

　本発明によれば、複数の収納部を有する貨幣ロッカー等の貨幣管理装置で、各収納部に収納された貨幣の所有者を設定することができる。店舗に設置した貨幣管理装置で、店舗の従業者が、銀行を所有者とする収納部に貨幣を収納すれば、この貨幣を銀行所有の貨幣とすることができる。また、店舗の従業者が、銀行を所有者とする収納部から貨幣を取り出せば、この貨幣を店舗所有の貨幣とすることができる。貨幣管理装置の各収納部への貨幣の収納及び各収納部からの貨幣の取り出しを管理することができるので、貨幣を厳密に管理することが可能となり、店舗にとっての貨幣管理装置の導入リスクを低減することができる。

　また、本発明によれば、店舗で貨幣が不足した場合には貨幣管理装置から貨幣を取り出して利用することが可能であり、店舗で余剰分の貨幣が発生した場合には貨幣管理装置に収納して保管することができるので、貨幣集配業者に店舗へ貨幣の配送を依頼する回数を抑制することができる。

　また、本発明によれば、貨幣管理装置の収納部の所有権を銀行に設定することにより、この収納部への貨幣の収納及び収納部からの貨幣の取り出しを、銀行口座への入金（預け入れ）及び銀行口座からの出金（引き落とし）として取り扱って銀行口座に反映させることができる。

図１は、本実施形態に係る貨幣管理システムの構成概略を示すブロック図である。図２は、貨幣ロッカーの外観を示す模式図である。図３は、貨幣管理端末の操作表示部に表示されるメニュー画面の例を示す図である。図４は貨幣ロッカーで入金処理を行う際に表示される画面の例を示す図である。図５は貨幣ロッカーで入金処理を行う際に発行されるレシートの例を示す図である。図６は貨幣ロッカーで出金処理を行う際に表示される画面の例を示す図である。図７は貨幣ロッカーで出金処理を行う際に発行されるレシートの例を示す図である。図８は貨幣ロッカーで装填処理を行う際に表示される画面の例を示す図である。図９は貨幣ロッカーで装填処理を行う際に発行されるレシートの例を示す図である。図１０は貨幣ロッカーで回収処理を行う際に表示される画面の例を示す図である。図１１は貨幣ロッカーで回収処理を行う際に発行されるレシートの例を示す図である。

　以下に、添付図面を参照して、本発明に係る貨幣管理システム及び貨幣管理方法について詳細に説明する。まず、本実施形態に係る貨幣管理システムの構成について説明する。図１は、本実施形態に係る貨幣管理システムの構成概略を示すブロック図である。貨幣管理システムは、貨幣管理端末１０と、貨幣ロッカー２０（貨幣管理装置）と、貨幣処理装置３０と、プリンター４０とを含んでいる。貨幣ロッカー２０、貨幣処理装置３０及びプリンター４０は、貨幣管理端末１０と通信可能に接続されている。

　貨幣管理システムは、例えば、店舗のバックオフィスに設置され、店舗で利用される複数のキャッシュレジスターから回収した貨幣や、キャッシュレジスターへ補充する貨幣を管理するために利用される。例えば、貨幣管理端末１０を操作しながら、貨幣管理端末１０の近傍に設置された貨幣ロッカー２０、貨幣処理装置３０及びプリンター４０を利用して貨幣処理を行う。なお、貨幣ロッカー２０を、貨幣管理端末１０から離れた別の部屋等に設置してリモートモードで利用することもできるが、これについては後述する。

　貨幣管理端末１０は、例えばコンピュータ装置であり、各種情報の入力を行うための操作部及び各種情報の出力表示を行うための表示部から成る操作表示部１１と、貨幣ロッカー２０、貨幣処理装置３０及びプリンター４０を制御して以下に説明する各機能及び各動作を実現する制御部１２と、制御部１２が各部を制御するために必要な各種設定及びデータが保存された記憶部１３とを有している。プリンター４０は、貨幣管理端末１０によって制御され、各種情報を印字したレシートを発行出力する機能を有する。

　貨幣処理装置３０は、貨幣を入出金する機能を有する。貨幣処理装置３０を利用して紙幣を入金する入金処理では、入金口に投入された紙幣を１枚ずつ装置内に繰り出して識別部によって識別計数し、入金可能な紙幣を装置内に設けられた複数の収納部に金種別に収納しながら、識別部によって識別できない紙幣、偽の紙幣等は入金できないリジェクト紙幣としてリジェクト口へ排出する。また、貨幣処理装置３０を利用して紙幣を出金する出金処理では、出金するよう指定された金種及び枚数の紙幣を装置内の収納部から繰り出して出金口へ排出する。また、貨幣処理装置３０を利用して、例えば２０ドル紙幣を入金して１ドル札２０枚を出金するというように、両替処理を行うこともできる。また、貨幣処理装置３０を利用して、入金口に投入された紙幣を識別部によって識別計数して、装置内に収納せずに出金口に排出することにより、紙幣の計数のみを行う計数処理を行うこともできる。また、貨幣処理装置３０を利用して、入金口に投入された複数金種の紙幣を１枚ずつ装置内に繰り出して識別し、所定金種の紙幣のみを出金口へ排出すると共に、他金種の紙幣をリジェクト口に排出したり、他金種の紙幣を一旦装置内の一時保留部に収納した後に出金口に排出したりすることにより、所定金種の紙幣と他金種の紙幣とを分ける分類処理を行うこともできる。また、貨幣処理装置３０では、硬貨についても同様の処理を行うことができる。このような貨幣処理を行う貨幣処理装置３０は従来利用されているため詳細な説明は省略する。また、貨幣管理システムでは、紙幣及び硬貨を処理することができるが、以下で貨幣処理について説明する場合には、主に紙幣を例に説明する。

　貨幣を収納して管理する貨幣管理装置として機能する貨幣ロッカー２０は、複数の収納部２１と、例えばタッチパネル式の液晶表示装置から成る操作表示部２２と、貨幣管理端末１０からの指示を受けて各部を制御する制御部２３と、収納部２１に関する情報を保存するための記憶部２４とを有している。

　図２は、貨幣ロッカー２０の外観を示す模式図である。貨幣ロッカー２０の前面には操作表示部２２が設けられている。操作表示部２２の隣の縦方向の列を１列目として４列の収納部２１が設けられている。各列は５つの収納部２１で構成されている。すなわち、図２は、４列５段の２０個の収納部２１を有する貨幣ロッカー２０の例である。ただし、これは一例であって、収納部２１の数や、列の数がこれに限定されるものではない。なお、以下では、収納部２１の位置を特定する際には、４列の左端の列を１列目、右端の列を４列目とし、５段の最上段を第１段、最下段を第５段として記載する。

　収納部２１は、図１に示すように、ドアロック部２１ａ、情報表示部２１ｂ及び表示灯２１ｃを有する構成を基本構成としている。ドアロック部２１ａは、例えば電磁ロック機構から成り、各収納部２１のドア（開閉部）２１ｆを施解錠する機能を有する。ドアロック部２１ａは、貨幣管理端末１０から指示を受けた制御部２３によって制御される。情報表示部２１ｂは、例えば液晶ディスプレイから成り、文字、記号、色等により各種情報を表示する機能を有する。表示灯２１ｃは、例えばＬＥＤランプから成り、点灯、消灯及び点滅の違いや、点灯時の色の違いや点滅時の色の違いによって、各種情報を報知する機能を有する。

　基本構成を有する収納部２１では、図２の１列目第３段に示すように、ドア２１ｆ上に、情報表示部２１ｂと、表示灯２１ｃと、把手２１ｄとが設けられている。ドアロック部２１ａは、図２の４列目第１段に示すように、収納部２１の本体側に設けられており、ドアロック部２１ａによるロックを解錠することにより、収納部２１の本体に対してドア２１ｆが開くようになっている。

　ドア２１ｆの開閉については、ドアロック部２１ａはロックを解錠するのみで、把手２１ｄによってドア２１ｆを手動で開く態様であってもよいし、ドアロック部２１ａがロックを解錠すると、収納部本体内部の収納空間が開放されるようにドア２１ｆが自動で開く態様であっても構わない。なお、図２では、収納部２１に貨幣を収納する際に開閉する開閉部としてドア２１ｆを示しているが、収納部２１への貨幣の収納及び収納部２１からの貨幣の取り出しができれば開閉部の形状等は特に限定されず、例えば、収納部２１がドロア形状を有し該ドロアを開閉部とする態様であっても構わない。

　貨幣ロッカー２０では、構成を変更した複数種類の収納部２１を組み合わせて利用できるようになっている。具体的には、ドア２１ｆに、情報表示部２１ｂ、表示灯２１ｃ及び把手２１ｄを設けない構成とすることもできるし、いずれか１つ又は２つを選択して設けることもできる。

　また、ドアロック部２１ａに加えて又はこれに代えて、鍵穴に鍵を差して手動で施解錠するロック機構を利用することもできる。手動で施解錠するロック機構を採用する収納部２１では、例えば停電した場合に、停電中も、鍵穴に鍵を差して施解錠することにより貨幣ロッカー２０を継続して利用することができる。なお、貨幣ロッカー２０には緊急用のバッテリーが内蔵されており、停電した後も、各収納部２１のドア２１ｆが開閉された日時を、開閉履歴として記憶部２４に記録できるようになっている。

　また、情報表示部２１ｂとして、液晶ディスプレイに代えて、７セグメントディスプレイを利用したり、収納部２１内の収納物に関する情報を記載した紙製や樹脂製のプレートを挿入可能なフレームを利用したりすることもできる。

　また、図１に示す構成に加えて、収納部２１の内部に、ロードセルを利用した重量検出部を設けた構成とすることもできる。重量検出部は、収納部２１に収納された貨幣の重量を検出する機能を有する。収納部２１に収納する貨幣の金種を予め設定して、収納部２１に貨幣が収納された際の重量の変化を重量検出部によって検出することにより、収納された貨幣の枚数、すなわち貨幣の金額を認識して処理に利用することができる。また、重量検出部は、収納部２１内に貨幣が収納されているか否かを検知する残留検知部としても機能する。

　図２に示す１列目第１段の収納部２１には、ドアロック部２１ａは設けられているが、情報表示部２１ｂ、表示灯２１ｃ及び把手２１ｄは設けられていない。この収納部２１のドア２１ｆには、収納部２１の内部へ紙幣を投入できる投入口２１ｅが設けられており、貨幣処理装置３０で発生したリジェクト紙幣を投入できるようになっている。なお、図２では、紙幣等の紙葉類のみを投入できるような細長い形状の投入口２１ｅを示しているが、投入口２１ｅの形状は投入する対象によって適宜設定されるもので、例えば硬貨や棒金等を投入する場合には、これらを投入可能な円形状等の形状にしてもよい。

　貨幣処理装置３０で入金処理を行う際にリジェクト口にリジェクト紙幣が排出されると、貨幣処理装置３０の利用者は、リジェクト紙幣を目視確認する。リジェクト紙幣が真の紙幣であることを確認できた場合には、利用者は、貨幣処理装置３０や貨幣処理装置３０に接続された操作端末を利用して、この紙幣の金種を手入力して識別計数結果に反映させる。そして、利用者は、リジェクトされた紙幣を、貨幣ロッカー２０の収納部２１のドア２１ｆに設けられた投入口２１ｅから投入して保管する。すなわち、貨幣ロッカー２０では、一部の収納部２１を、貨幣処理装置３０で発生したリジェクト紙幣用の収納部として利用することができる。また、投入口２１ｅを有する収納部２１を、小切手やクーポン等の収納に利用することもできる。貨幣処理装置３０や貨幣処理装置３０に接続された操作端末を利用して小切手やクーポンの金額を手入力して管理すると共に、小切手やクーポン等の現物は投入口２１ｅから収納部２１へ投入して保管する。収納部２１に収納されたリジェクト紙幣等は、所定のタイミングで回収されるが、回収処理の詳細は後述する。

　図２に示す５段目（最下段）の４つの収納部２１は他の段の収納部２１に比べて縦方向のサイズが大きく、収納空間の容量が大きいこれら５段目の収納部２１には、他の段の収納部２１に比べて多くの貨幣を収納できるようになっている。また、これら最下段の４つの収納部２１は、収納空間を形成する壁面及びドア２１ｆに頑丈な部材を採用して他の収納部２１に比べて堅牢性を高めた構造を有している。すなわち、貨幣ロッカー２０では、一部の収納部２１の堅牢性を高めて、金庫として利用することができる。例えば、貨幣処理装置３０が故障して利用できなくなると、店舗の営業に必要な貨幣が不足する。このような非常時に備えて、１日の営業に必要となる大量の紙幣及び硬貨を、堅牢性の高い最下段の収納部２１に収納できるようになっている。

　次に、貨幣ロッカー２０の機能及び動作について説明する。貨幣ロッカー２０の各収納部２１に設けられたドアロック部２１ａは、貨幣管理端末１０からの指示を受けた制御部２３によって制御される。具体的には、情報を入力する入力部として機能する貨幣管理端末１０の操作表示部１１で、貨幣ロッカー２０の収納部２１を指定する操作を行うと、この操作を受けた貨幣管理端末１０の制御部１２から貨幣ロッカー２０の制御部２３へ、指定された収納部２１のドア２１ｆを開くよう指示する信号が送信される。指示を受けた制御部２３は、指定された収納部２１のドアロック部２１ａを制御してドア２１ｆを開く。

　また、貨幣管理端末１０でドア２１ｆを開く収納部２１を指定した後、情報を入力する入力部として機能する貨幣ロッカー２０の操作表示部２２で所定の操作を行った場合に、ドア２１ｆが開くようにすることもできる。具体的には、貨幣管理端末１０の操作表示部１１で、貨幣ロッカー２０の収納部２１を指定する操作を行うと、制御部１２は、アクセスコードを発行して操作表示部１１に表示すると共に、指定された収納部２１を示す情報及びアクセスコードを貨幣ロッカー２０の制御部２３へ送信する。そして、貨幣ロッカー２０で、操作表示部２２を操作してアクセスコードを入力すると、先に貨幣管理端末１０で指定した収納部２１のドア２１ｆが開く。ただし、アクセスコードには制限時間が設定されており、制限時間を過ぎるとアクセスコードが無効となり、アクセスコードを入力してもドア２１ｆが開かないようになっている。

　この他、所定の権限を有する担当者は、貨幣管理端末１０を操作することなく、貨幣ロッカー２０の操作表示部２２を操作して所定の認証処理を行った後、収納部２１を指定してドア２１ｆを開くことができる。

　各収納部２１でドア２１ｆが開閉されると、開閉日時を示す情報が、貨幣ロッカー２０の記憶部２４に開閉履歴として保存され、記憶部２４を参照することにより各収納部２１のドア２１ｆの開閉履歴を確認できるようになっている。また、ドア２１ｆの開閉情報は、貨幣ロッカー２０の制御部２３から貨幣管理端末１０の制御部１２に送信され、貨幣管理端末１０の記憶部１３でも各収納部２１のドア２１ｆの開閉履歴が保存されるようになっている。

　収納部２１に設けられた情報表示部２１ｂは、収納部２１に収納される貨幣に関する情報を表示するために利用される。例えば、貨幣ロッカー２０の各列に金種を割り当てて、１列目第２～５段の収納部２１を１ドル紙幣用、２列目の収納部２１を５ドル紙幣用、３列目の収納部２１を１０ドル紙幣用、４列目の収納部２１を２０ドル紙幣用の収納に利用する。このような場合に、情報表示部２１ｂに、金種を認識可能な情報を表示する。

　また、例えば、貨幣ロッカー２０の各列に所有権を設定して、１～３列目の収納部２１に収納された貨幣は銀行所有の貨幣として、４列目の収納部２１に収納された貨幣は店舗所有の貨幣とする場合に、情報表示部２１ｂに、収納された貨幣の所有者を認識可能な情報を表示する。

　また、例えば、１列目を１ドル紙幣、２列目を５ドル紙幣、３列目を１０ドル紙幣、４列目を２０ドル紙幣として、さらに、２段目及び３段目の収納部２１の所有権を店舗、４段目及び５段目の収納部２１の所有権を銀行、１段目を予備というように、各収納部２１に金種及び所有権を設定することができる。この場合も、情報表示部２１ｂに、貨幣の金種及び所有者を認識可能な情報を表示することによって、各収納部２１についての情報を容易に認識することができる。

　この他、収納部２１の内部に収納されている貨幣の金種、金種別の枚数及び金額、貨幣の合計金額等を情報表示部２１ｂに表示することもできる。情報表示部２１ｂにどのような情報を表示するかは、貨幣管理端末１０を操作して設定できるようになっている。また、この他、各収納部２１に名称を付けて、情報表示部２１ｂにこの名称を表示するように設定することもできる。

　予め設定された情報を情報表示部２１ｂに表示するタイミングについても、設定により変更できるようになっている。具体的には、情報表示部２１ｂに常に情報を表示する他、貨幣ロッカー２０への貨幣の収納及び貨幣ロッカー２０からの貨幣の取り出しを行う間だけ情報を表示するように設定することもできるし、貨幣ロッカー２０の操作表示部２２で所定の操作を行った場合に、所定時間の間だけ情報を表示するように設定することもできる。

　なお、情報表示部２１ｂでの情報表示は、文字や数字によって行う他、グラフィック表示や色表示を利用することもできる。例えば、店舗や銀行のロゴをグラフィック表示したりイメージカラーを色表示したりすることにより、収納部２１に収納された貨幣の所有権を示すことができる。また、金種や所有権を示すように予め設定したグラフィックや色を表示することにより、収納部２１に収納された貨幣の金種や所有権を示すことができる。情報表示部２１ｂに表示する情報の表示態様についても設定により変更できるようになっている。

　収納部２１に設けられた表示灯２１ｃは、収納部２１に収納される貨幣に関する情報を表示するために利用される。例えば、内部に貨幣が収納されていない間は消灯され、貨幣が収納されている間は点灯する。また、収納部２１への貨幣の収納及び収納部２１からの貨幣の取り出しを行う際に、作業の対象となる収納部２１の位置を報知するために、表示灯２１ｃを点滅させる。ただし、情報の報知は、表示灯２１ｃの消灯、点灯及び点滅によって行う態様の他、表示灯２１ｃの色を変更することにより行う態様であってもよい。収納部２１がどのような状態になったときに、表示灯２１ｃをどのように点灯させるかについても設定により変更できるようになっている。また、表示灯２１ｃによる情報報知のタイミングについても、情報表示部２１ｂと同様に、設定により変更できるようになっている。

　各収納部２１に関する設定は貨幣管理端末１０で管理されている。各収納部２１に金種や所有権を設定すると、貨幣管理端末１０で、貨幣を収納する収納部２１や、貨幣を取り出す収納部２１を選択する際に、設定に基づいて、選択可能な収納部２１が表示されるようになっている。また、貨幣管理端末１０では、各収納部２１で行われた各種の処理内容、処理された貨幣の金額、処理日時等の情報が、各収納部２１と関連付けて記憶部１３に保存されて管理されるようになっている。

　また、貨幣管理端末１０は銀行口座に関する処理を行う銀行サーバと通信可能に接続されており、貨幣ロッカー２０への貨幣の収納や、貨幣ロッカー２０からの貨幣の取り出しが行われた際には、これを店舗の銀行口座に反映できるようになっている。

　例えば、店舗の従業者である貨幣管理システムの利用者が、店舗の営業に必要な貨幣量を超える超過分の貨幣や売上金を貨幣ロッカー２０に収納する際に、銀行口座の更新が行われる。具体的には、店舗に属する利用者が、貨幣管理端末１０の操作表示部１１を操作して、銀行口座に入金したい貨幣の金額を入力すると共に、所有権が銀行に設定された収納部２１の中から売上金収納用の収納部２１を指定する。収納部２１の指定及び貨幣金額の入力を受け付けた貨幣管理端末１０の制御部１２は、指定された収納部２１のドア２１ｆを開くよう指示する信号を貨幣ロッカー２０へ送信する。貨幣ロッカー２０では、指示を受けた制御部２３が、指定された収納部２１のドアロック部２１ａを制御してドア２１ｆを開く。利用者が、ドア２１ｆが開いた収納部２１に貨幣を収納してドア２１ｆを閉じると、貨幣ロッカー２０の制御部２３は、ドア２１ｆが閉じたことを示す信号を貨幣管理端末１０へ送信する。貨幣管理端末１０では、ドア２１ｆが閉じられたことを認識すると、先に入力された金額分の貨幣が指定された収納部２１に収納されたとみなして、制御部１２が、先に入力された貨幣金額を店舗の銀行口座へ入金するよう指示する信号を銀行サーバへ送信する。これを受けて銀行サーバでは、収納部２１に収納された貨幣の金額を店舗の銀行口座へ入金する（預け入れる）ために口座を更新する処理が実行される。

　銀行が所有権を有する所定の収納部２１に収納された貨幣は、銀行からの依頼を受けた貨幣集配業者によって回収されて銀行へ運搬される。具体的には、店舗の従業者が、銀行が所有権を有する収納部２１へ貨幣を収納すると、この収納部２１に収納された貨幣の金額を銀行で確認するために、貨幣集配業者によって、収納部２１からの貨幣の回収が行われる。銀行では、収納部２１へ貨幣が収納された際に店舗の銀行口座へ入金した貨幣の金額と、貨幣集配業者によって回収された貨幣の実際の金額とを比較照合して一致することを確認する。両者が一致しない場合には、銀行で、銀行口座への入金金額を修正する処理が行われる。貨幣集配業者が貨幣ロッカー２０から貨幣を回収するタイミングについては、所定タイミングとすることもできるし、貨幣ロッカー２０から回収すべき貨幣の金額又は枚数が所定量に達した際に、貨幣管理システムから銀行へ回収タイミングを通知する信号が送信されるようにしてもよい。

　貨幣ロッカー２０で、収納部２１に金種別に貨幣を収納して、収納部２１内に設けられた重量検出機構によって貨幣金額を検出できるようになっている場合は、貨幣管理端末１０が、収納部２１に収納された貨幣量を検証する。具体的には、貨幣管理端末１０は、貨幣ロッカー２０の収納部２１で検出した貨幣の金額と、操作表示部１１から入力された貨幣の金額とを比較照合して、両者が一致しない場合には、貨幣管理端末１０の操作表示部１１又は貨幣ロッカー２０の操作表示部２２を利用して、これを報知する。これにより、店舗で、貨幣管理端末１０に入力した金額及び収納部２１に収納する貨幣の金額を確認する作業を行うことができる。

　店舗の従業者である貨幣処理システムの利用者が、貨幣ロッカー２０で、銀行が所有権を有する収納部２１から貨幣を取り出した場合には、取り出された貨幣の金額が、店舗の銀行口座に反映されるようになっている。例えば、利用者が、貨幣処理装置３０への補充用として銀行によって準備されていた貨幣を貨幣ロッカー２０から取り出す際に、店舗の銀行口座が更新される。

　まず、銀行によって、店舗内に、補充用の貨幣を準備する方法について説明する。銀行は、補充用の貨幣を貨幣ロッカー２０に収納するよう貨幣集配業者に依頼する。依頼を受けた貨幣集配業者の担当者は、補充用の貨幣を店舗まで配送して、銀行に属する利用者として貨幣管理端末１０の操作表示部１１を操作して、貨幣の金額を入力すると共に、所有権が銀行に設定された収納部２１の中から、この貨幣を収納する収納部２１を指定する。この操作を受けて、貨幣ロッカー２０では、指定された収納部２１のドアロック部２１ａが制御されてドア２１ｆが開く。貨幣集配業者は、ドア２１ｆが開いた収納部２１に貨幣を収納してドア２１ｆを閉じて作業を完了する。貨幣管理端末１０では、ドア２１ｆが閉じられたことを認識すると、先に入力された金額分の銀行所有の貨幣が、指定された収納部２１に収納されたとみなして、関連する情報を記憶部１３に保存して管理を開始する。すなわち、貨幣ロッカー２０の収納部２１に収納された補充用の貨幣の所有者は変更されず、所有者を銀行とする貨幣として管理される。

　店舗の貨幣処理装置３０で利用する貨幣が不足した場合に、補充用として貨幣ロッカー２０に収納されている貨幣を取り出して利用する。店舗の従業者は、店舗に属する利用者として貨幣管理端末１０の操作表示部１１を操作して、銀行が所有権を有し補充用の貨幣が収納されている収納部２１内の貨幣の金種や金額を確認して、収納部２１を指定する。例えば、貨幣ロッカー２０の収納部２１に金種別に貨幣が収納されている場合には、貨幣処理装置３０で不足した金種の貨幣が収納されている収納部２１を指定する。収納部２１の指定を受けた貨幣管理端末１０の制御部１２は、指定された収納部２１のドア２１ｆを開くよう指示する信号を貨幣ロッカー２０へ送信する。貨幣ロッカー２０では、指示を受けた制御部２３が、指定された収納部２１のドアロック部２１ａを制御してドア２１ｆを開く。利用者が、ドア２１ｆが開いた収納部２１から貨幣を取り出してドア２１ｆを閉じると、貨幣ロッカー２０の制御部２３は、ドア２１ｆが閉じたことを示す信号を貨幣管理端末１０へ送信する。貨幣管理端末１０では、ドア２１ｆが閉じられたことを認識すると、この収納部２１に保管していた貨幣が収納部２１から取り出されたとみなして、制御部１２が、収納部２１内に保管されていた貨幣の貨幣金額を、店舗の銀行口座から出金するよう指示する信号を銀行サーバへ送信する。これを受けて銀行サーバでは、収納部２１に収納されていた貨幣の金額を店舗の銀行口座から出金する（引き落とす）ために口座を更新する処理が実行される。また、貨幣管理端末１０では、関連する情報の保存や更新等の処理が行われる。

　なお、貨幣管理端末１０では、銀行サーバとの間で通信障害が発生した場合には、銀行口座の更新を指示する情報を記憶部１３に蓄積しておいて、銀行サーバとの間で通信可能となった際に、蓄積しておいた情報を送信する。これにより、通信障害が発生した場合でも、銀行サーバで、銀行口座の処理を確実に行えるようになっている。

　また、銀行口座を更新する処理については、銀行が、手数料を設定することも可能となっている。例えば、貨幣管理端末１０の記憶部１３に、曜日毎に異なる手数料を設定したり、貨幣ロッカー２０を利用して入出金する貨幣の金額に応じて異なる手数料を設定したりした設定情報を予め準備しておくことにより、口座更新が必要な処理が行われると、設定情報を参照して、自動的に店舗の銀行口座から所定の手数料が引き落とされるように設定することができる。

　貨幣ロッカー２０の各収納部２１に収納する貨幣については、金種を設定する他、収納可能な貨幣金額の上限又は下限を設定することもできる。そして、収納部２１に収納する貨幣の金額として貨幣管理端末１０に入力された金額や収納部２１で検出した金額が、予め設定された上限を超える場合や下限を下回る場合には、これを報知するよう設定することもできる。

　また、貨幣ロッカー２０の各収納部２１を利用できる利用者を設定することもできる。利用者によって、収納部２１を１つしか利用できないように設定したり、複数の収納部２１を利用できるように設定したりすることができる。また、１回の作業で連続して開閉できる収納部２１の数を設定することも可能となっている。

　具体的には、例えば、店舗と銀行との間で受け渡される貨幣を収納する収納部２１については、店舗の従業者及び銀行から依頼を受けた貨幣集配業者の両方が利用できるように設定する。店舗で保管する貨幣を収納するために店舗が所有権を有している収納部２１については、店舗の従業者のみが利用して、貨幣集配業者は利用できないように設定する。また、店舗の従業者が利用する収納部２１について、従業者の権限に応じて、利用できる従業者を収納部毎に制限する設定を行うこともできる。

　貨幣管理システムの利用者がどの収納部２１を利用できるかについては、事前に行われる認証処理で取得される認証情報に基づいて判定される。具体的には、貨幣管理端末１０の記憶部１３には、予め、利用者を認証するための利用者ＩＤ及びパスワードから成る認証情報と、各利用者が利用可能な収納部２１とが関連付けて保存されており、貨幣管理端末１０で処理を開始する際に利用者が認証処理を行うと、この利用者が利用権限を有する収納部２１を特定できるようになっている。認証処理は、貨幣管理端末１０の操作表示部１１を操作して、利用者ＩＤ及びパスワードを入力することによって行われるが、認証方法は特に限定されず、貨幣管理端末１０や貨幣ロッカー２０にカードリーダを設けて、このカードリーダによって、各利用者に配布したＩＣカードの情報を読み取って認証する態様であってもよい。なお、貨幣ロッカー２０でも、同様に、記憶部２４に認証情報を保存しておいて、操作表示部２２により認証処理を行うことができる。すなわち、貨幣ロッカー２０の制御部２３、操作表示部２２及び記憶部２４と、貨幣管理端末１０の制御部１２、操作表示部１１及び記憶部１３とが、それぞれ認証部として機能するようになっている。

　また、利用者毎に、貨幣ロッカー２０に収納する貨幣の金額や貨幣ロッカー２０から取り出す貨幣の金額を予め設定しておいて、利用者が認証されると、この金額が貨幣管理端末１０に自動入力されるように設定することもできる。同様に、利用者毎に、貨幣の収納や取り出しを行う収納部２１を予め設定しておいて、利用者が認証されると、この収納部２１を指定する情報が貨幣管理端末１０に自動入力されるように設定することもできる。この場合、利用者は、認証処理で認証された後、金額の入力や収納部２１の指定を行わずに貨幣の収納や取り出しの作業を行うことができる。また、利用者は、貨幣管理端末１０の操作表示部１１を操作して、自動入力された金額や収納部２１を変更してから作業を行うことも可能となっている。

　貨幣管理端末１０は、各収納部２１に関する設定内容、各収納部２１で行われた処理、各収納部２１で処理された貨幣金額等の情報を、収納部毎に個別に管理しており、収納部２１が故障した場合には、故障した収納部２１の利用を停止して、利用可能な収納部２１のみで貨幣ロッカー２０の利用を続けることができる。具体的には、貨幣管理端末１０で、故障した収納部２１を指定すると、指定後は、貨幣の収納や取り出しを行う際に、故障した収納部２１を指定できないように制御される。

　貨幣ロッカー２０のメンテナンス作業等を行う際には、貨幣管理端末１０又は貨幣ロッカー２０の操作表示部１１、２２で所定の操作を行うことにより、全ての収納部２１のドア２１ｆを開くことができる。収納部２１の開放は、収納部２１を指定して１つずつ行うこともできるし、全ての収納部２１を同時に開放することもできる。また、収納部２１への貨幣の収納又は収納部２１からの貨幣の取り出しを行う際に、誤って、貨幣の収納又は取り出しを行わずにドア２１ｆを閉じてしまった場合には、貨幣管理端末１０又は貨幣ロッカー２０の操作表示部１１、２２で所定の操作を行うことにより、誤って閉じた収納部２１のドア２１ｆを再度開くことができる。貨幣ロッカー２０では、ドア２１ｆが閉じられると貨幣の収納又は取り出しが行われたとみなして貨幣の所有権を判定して貨幣を管理するが、メンテナンス作業や、誤って閉じたドア２１ｆを開く場合には、収納部２１のドア２１ｆが開閉されても、貨幣の収納又は取り出しが行われたとはみなさず、ドア２１ｆが開閉する前の管理状態を維持するようになっている。

　貨幣ロッカー２０では、各収納部２１のドア２１ｆの開閉を監視して開閉履歴を記録するようになっているが、収納部２１のドア２１ｆが開いてから所定時間が経過してもドア２１ｆが閉じられない場合に、アラーム音を発するなどしてこれを報知できるようになっている。

　貨幣ロッカー２０に、貨幣ロッカー２０の利用者を撮像するカメラを設けて、収納部２１が開閉された瞬間とその前後の所定時間分の画像を記録して、記憶部２４に保存することも可能となっている。例えば、操作表示部２２の近傍にカメラを設けて貨幣ロッカー２０の利用者を撮像する。貨幣ロッカー２０の各収納部２１の開閉履歴と、カメラで撮像された画像の日時とに基づいて、貨幣ロッカー２０に貨幣を収納した利用者及び貨幣ロッカー２０から貨幣を取り出した利用者を特定することができる。カメラによって撮像した画像の保存は、通常の利用時にも行うよう設定する他、停電時にのみ行うように設定することもできる。

　貨幣ロッカー２０への貨幣の収納方法については、箱や袋に収納した状態で収納する態様であってもよいし結束紙幣や包装硬貨をそのまま収納する態様であってもよく、特に限定されない。例えば、貨幣用の専用のバッグを利用して、専用バッグ内に貨幣を入れた状態で収納部２１に収納する態様であってもよい。収納部２１内の専用バッグの有無を検知できるように、各収納部２１に、投光部及び受光部から成る検知部を設けることもできる。専用バッグは、収納部２１の収納空間に合わせた形状を有しているため、検知部によって、収納部２１内の専用バッグの有無を確実に検知することができる。また、検知部を設けることにより、ドア２１ｆの開閉に加えて検知部による検知結果を利用して、各収納部２１への貨幣の収納や各収納部２１からの貨幣の取り出しを精度よく認識することができる。

　次に、貨幣管理端末１０の操作表示部１１に表示される画面例を示しながら、貨幣ロッカー２０を利用して行われる処理について具体的に説明する。図３は、貨幣管理端末１０の操作表示部１１に表示されるメニュー画面を示す図である。貨幣管理端末１０で認証処理を行うと、認証された利用者に対して、この利用者が実行可能な処理内容を示すメニュー画面が表示される。図３は、認証された利用者が店舗の従業者である場合に貨幣管理端末１０の操作表示部１１に表示されるメニュー画面の例である。このメニュー画面では、貨幣処理装置３０又は貨幣ロッカー２０を利用して入金処理を行う「Ｄｅｐｏｓｉｔ（Ｄｒｏｐ）」と、貨幣処理装置３０又は貨幣ロッカー２０を利用して出金処理を行う「Ｗｉｔｈｄｒａｗａｌ（Ｃａｓｈ　Ｏｕｔ）」と、貨幣処理装置３０を利用して両替処理を行う「Ｅｘｃｈａｎｇｅ」と、貨幣処理装置３０を利用して計数処理を行う「Ｃｏｕｎｔ」と、貨幣処理装置３０を利用して分類処理を行う「Ｓｏｒｔ」とを選択できるようになっている。

　図４（ａ）は、入金処理を行うために、図３に示すメニュー画面で「Ｄｅｐｏｓｉｔ（Ｄｒｏｐ）」を選択した際に表示される画面を示す図である。この画面で、「Ｍａｃｈｉｎｅ」を選択すると、貨幣処理装置３０を利用して入金処理を行うことができる。また、この画面で「Ｌｏｃｋｅｒ」を選択すると、貨幣ロッカー２０による入金処理を行うことができる。

　図４（ｂ）は、図４（ａ）に示す画面で「Ｌｏｃｋｅｒ」を選択した際に表示される画面を示す図である。利用者は、この画面上で、貨幣ロッカー２０の収納部２１を指定すると共に、入金する貨幣の金額、すなわち指定した収納部２１へ収納する貨幣の金額を入力する。図４（ｂ）の画面にある「Ｂｏｘ　Ｎｏ．」の項目は、貨幣ロッカー２０の収納部２１の位置を示している。「Ｂｏｘ　Ｎｏ．」は、列と段の番号を結合したもので、例えば画面上の「Ｂｏｘ　Ｎｏ．１－４」は１列目第４段の収納部２１を示している。画面上の「Ｄｅｓｃｒｉｐｔｉｏｎ」の項目は、収納部２１に設定された名称を示しており、「Ｖａｌｕｅ（＄）」の項目は、指定した収納部２１に収納する貨幣金額を示している。

　入金処理時に表示される画面では、既に貨幣が収納されており入金処理に利用できない収納部２１と、貨幣が収納されておらず入金処理に利用できる収納部２１とが区別可能に表示される。また、利用者が入金処理に利用できる収納部２１が事前に設定されている場合には、この利用者が利用可能な収納部２１が、他の収納部２１と区別可能に表示される。また、利用者が入金処理に利用可能な収納部２１が１つしかない場合には、自動的にこの収納部２１が指定された画面となる。図４（ｂ）を含め本実施形態で示す画面例では、利用可能な収納部２１の情報を他と区別するために太字で示しているが、情報を区別可能に表示する態様は特に限定されず、例えば、画面上で色を変えたり色を反転させたりして表示してもよい。

　図４（ｂ）は、１列目第４段の「Ｂｏｘ　Ｎｏ．１－４」の収納部２１を指定して、この収納部２１に収納する貨幣の金額を２８９１ドルと入力した際の画面例を示している。このように、収納部２１を指定して金額を入力した後、画面上のＳＴＡＲＴボタンを押すと、貨幣管理端末１０の制御部１２は、貨幣ロッカー２０の制御部２３へ、指定された収納部２１のドア２１ｆを開くよう指示する信号を送信する。貨幣管理端末１０から信号を受けた貨幣ロッカー２０では、制御部２３が、指定された収納部２１のドアロック部２１ａを制御してドア２１ｆを開く。

　また、貨幣管理端末１０の制御部１２は、操作表示部１１の画面上に、開いた収納部２１に貨幣を収納するよう指示する情報とＯＫボタンとを表示する。利用者は、貨幣管理端末１０の画面に表示された指示情報を確認してＯＫボタンを押した後、入金する貨幣を、ドア２１ｆが開いた収納部２１内に収納してドア２１ｆを閉じる。ドア２１ｆが閉じられたことを検知した貨幣ロッカー２０の制御部２３は、これを示す情報を貨幣管理端末１０の制御部１２へ送信する。

　貨幣ロッカー２０から信号を受けた貨幣管理端末１０の制御部１２は、指定された貨幣ロッカー２０のドア２１ｆが閉じられたことを認識すると、収納部２１に貨幣が収納されたものとみなして入金処理を確定し、関連する情報を記憶部１３に保存すると共に、先に貨幣管理端末１０に入力された貨幣金額を入金金額として店舗の銀行口座へ反映するよう指示する信号を銀行サーバへ送信する。銀行サーバでは、貨幣ロッカー２０の収納部２１に収納された貨幣が銀行を所有者とする貨幣とされることから、店舗の銀行口座へ入金されたものとして取り扱い、貨幣管理端末１０から受信した入金金額に基づいて店舗の銀行口座の残高情報を更新する。

　入金処理を確定した貨幣管理端末１０の制御部１２は、プリンター４０を制御して入金処理に関する情報を印字したレシートを発行する。図５（ａ）は、入金処理時に発行されたレシートの例を示す図である。レシートには、貨幣ロッカー２０が設置された店舗を特定可能な店舗名等の店舗情報（図中「Ｓｔｏｒｅ」）と、貨幣管理端末１０を特定可能な装置番号等の装置情報（図中「Ｍａｃｈｉｎｅ　Ｎｕｍｂｅｒ」）と、入金処理を行った利用者を特定可能な利用者名や利用者ＩＤ等の利用者情報（図中「Ｏｐｅｒａｔｏｒ　Ｎａｍｅ」）と、入金処理を実行した日時を示す日時情報と、貨幣管理端末１０を利用して行われた各取引を識別するために入金処理に付与された取引番号（図中「Ｔｒａｎｓ．　Ｎｏ．」）と、入金処理が実行された収納部２１を特定する識別番号（図中「Ｂｏｘ　Ｎｏ．」）や収納部２１に設定された名称等の収納部情報（図中「Ｂｏｘ　Ｎａｍｅ」）と、入金処理で入金された入金金額（図中「Ｖａｌｕｅ」）とが印字される。図５（ａ）の例では、「Ｂｏｘ　Ｎｏ．１－４」の収納部２１に、２８９１ドルの貨幣が入金されたことを示している。

　貨幣管理システムでは、貨幣管理端末１０から離れた場所に貨幣ロッカー２０を設置して利用することができる。貨幣管理端末１０での操作を行った後、すぐに収納部２１に貨幣を収納できない場所に貨幣ロッカー２０を設置した場合には、貨幣管理システムがリモートモードで動作するように、貨幣管理端末１０で予め設定しておく。

　貨幣管理システムがリモートモードで動作するように設定されている場合には、貨幣管理端末１０を操作して、図４（ｂ）に示すように収納部２１を指定して入金する貨幣の金額を入力した後、画面上のＳＴＡＲＴボタンを押すと、この段階でプリンター４０からレシートが発行される。また、リモートモードでは、貨幣管理端末１０が、貨幣ロッカー２０で入金処理を行うために利用するアクセスコードを発行する。貨幣管理端末１０の制御部１２は、発行したアクセスコード及び指定された収納部２１を示す情報を、貨幣ロッカー２０へ送信する。

　図５（ｂ）は、リモートモードで入金処理を行う際に発行されるレシートの例を示す図である。図５（ｂ）に示すように、リモートモードで発行されたレシートには、図５（ａ）に示す情報に加えて、貨幣管理端末１０で発行されたアクセスコードにより収納部２１へ貨幣を収納することができる制限時間と、利用者が行うべき作業内容とが印字される。図５（ｂ）の例は、上部に印字されている取引日時から３０分後にアクセスコードが無効になることを示し、この３０分の間に「Ｉｎｓｔｒｕｃｔｉｏｎ」として記載された１～４の作業を行う必要があることを示している。

　利用者は、レシートに印字された指示に従って、離れた場所に設置された貨幣ロッカー２０の所へ移動して、貨幣ロッカー２０の操作表示部２２を操作して、レシートに印字されたアクセスコードを入力する。

　貨幣ロッカー２０の制御部２３は、先に貨幣管理端末１０の制御部１２から受信したアクセスコードと、利用者によって入力されたアクセスコードとが一致することを確認する。そして、両者が一致する場合には、制御部２３は、指定された収納部２１のドアロック部２１ａを制御してドア２１ｆを開く。なお、所定時間を経過すると、アクセスコードが無効となり、アクセスコードを入力しても収納部２１のドア２１ｆを開くことができなくなる。図５（ｂ）の例では３０分経過するとアクセスコードが無効となる。

　指定した収納部２１のドア２１ｆが開くと、利用者は、入金する貨幣を収納部２１に収納してドア２１ｆを閉じる。ドア２１ｆが閉じられたことを検知した貨幣ロッカー２０の制御部２３は、これを示す情報を貨幣管理端末１０の制御部１２へ送信する。貨幣ロッカー２０から信号を受けた貨幣管理端末１０の制御部１２は、貨幣ロッカー２０が閉じられたことを認識すると、収納部２１に貨幣が収納されたものとみなして入金処理を確定し、関連する情報を記憶部１３に保存すると共に、先に貨幣管理端末１０に入力された貨幣金額を入金金額として店舗の銀行口座へ反映するよう指示する信号を銀行サーバへ送信する。銀行サーバでは、貨幣ロッカー２０の収納部２１に収納された貨幣が銀行を所有者とする貨幣とされることから、店舗の銀行口座へ入金されたものとして取り扱い、貨幣管理端末１０から受信した入金金額に基づいて店舗の銀行口座の残高情報を更新する。

　なお、リモートモードでは、貨幣管理端末１０での入金指示時に発行するレシートには金額情報を印字せずに制限時間及び作業内容のみを印字して、貨幣ロッカー２０の収納部２１が開閉された後、入金処理が完了したものとみなして、図５（ａ）に示すように、金額情報を印字したレシートを発行する態様であってもよい。この場合は、貨幣管理端末１０の近傍に設置されたプリンター４０とは別に、もう１台のプリンターを貨幣ロッカー２０の近傍に設置して該プリンターで金額情報を含むレシートを発行する態様であってもよいし、貨幣ロッカー２０がプリンターを内蔵して該プリンターでレシートを発行する態様であっても構わない。

　このように、貨幣管理システムでは、貨幣管理端末１０及び貨幣ロッカー２０を利用して貨幣を店舗内に保管することができる。また、貨幣を店舗内で保管しながら、この貨幣を、店舗の銀行口座に入金したものとして管理することができる。例えば、複数の収納部２１に貨幣を収納して、これ以上貨幣を収納できないという状態になるまでは貨幣集配業者に貨幣の回収を依頼する必要がないので、貨幣集配業者への依頼回数を抑制することができる。

　図６（ａ）は、出金処理を行うために図３に示すメニュー画面で「Ｗｉｔｈｄｒａｗａｌ（Ｃａｓｈ　Ｏｕｔ）」を選択した際に表示される画面を示す図である。この画面で、「Ｍａｃｈｉｎｅ　Ｎｅｗ　Ｍｉｘ」を選択すると、貨幣処理装置３０を利用して、出金する貨幣の金種や枚数を新たに指定して出金処理を行うことができる。また、「Ｍａｃｈｉｎｅ　Ｐｒｅｄｅｔｅｒｍｉｎｅｄ　Ｍｉｘ」を選択すると、貨幣処理装置３０を利用して、予め設定された出金パターンで出金処理を行うことができる。また、「Ｌｏｃｋｅｒ」を選択すると、貨幣ロッカー２０による出金処理を行うことができる。

　図６（ｂ）は、図６（ａ）に示す画面で「Ｌｏｃｋｅｒ」を選択した際に表示される画面を示す図である。利用者は、この画面上で、貨幣ロッカー２０の収納部２１を指定する。図６（ｂ）の画面では、収納部２１の位置と、各収納部２１の名称と、各収納部２１に収納されている貨幣金額とが表示される。

　出金処理時に表示される画面では、出金処理に利用できる収納部２１と、出金処理に利用できない収納部２１とが区別可能に表示される。また、利用者が出金処理に利用可能な収納部２１が事前に設定されている場合には、この利用者が利用可能な収納部２１が、他の収納部２１と区別可能に表示される。また、利用者が出金処理に利用可能な収納部２１が１つしかない場合には、自動的この収納部２１が指定されるようになっている。

　図６（ｂ）に示す画面で、収納部２１を指定すると、貨幣管理端末１０の制御部１２は、貨幣ロッカー２０の制御部２３へ、指定された収納部２１のドア２１ｆを開くよう指示する信号を送信する。貨幣管理端末１０から信号を受けた貨幣ロッカー２０では、制御部２３が、指定された収納部２１のドアロック部２１ａを制御してドア２１ｆを開く。

　また、貨幣管理端末１０の制御部１２は、操作表示部１１の画面上に、開いた収納部２１から貨幣を取り出すよう指示する情報とＯＫボタンとを表示する。利用者は、貨幣管理端末１０の画面に表示された指示情報を確認してＯＫボタンを押した後、ドア２１ｆが開いた収納部２１から貨幣を取り出してドア２１ｆを閉じる。ドア２１ｆが閉じられたことを検知した貨幣ロッカー２０の制御部２３は、これを示す情報を貨幣管理端末１０の制御部１２へ送信する。

　貨幣ロッカー２０から信号を受けた貨幣管理端末１０の制御部１２は、指定された貨幣ロッカー２０のドア２１ｆが閉じられたことを認識すると、収納部２１から貨幣が取り出されたものとみなして出金処理を確定し、関連する情報を記憶部１３に保存すると共に、収納部２１に収納されていた貨幣の金額を出金金額として店舗の銀行口座へ反映するよう指示する信号を銀行サーバへ送信する。銀行サーバでは、貨幣ロッカー２０の収納部２１に収納されていた、銀行を所有者とする貨幣が、店舗の従業者である利用者によって取り出されたことから、店舗の銀行口座から出金されたものとして取り扱い、収納部２１に収納されていた貨幣の金額を出金金額として、店舗の銀行口座の残高情報を更新する。

　出金処理を確定した貨幣管理端末１０の制御部１２は、プリンター４０を制御して出金処理に関する情報を印字したレシートを発行する。図７（ａ）は、出金処理時に発行されたレシートの例を示す図である。レシートには、貨幣ロッカー２０が設置された店舗を特定可能な店舗名等の店舗情報と、貨幣管理端末１０を特定可能な装置番号等の装置情報と、貨幣ロッカー２０で出金処理を行った利用者を特定可能な利用者名や利用者ＩＤ等の利用者情報と、出金処理を実行した日時を示す日時情報と、貨幣管理端末１０を利用して行われた各取引を識別するために出金処理に付与された取引番号と、出金処理が実行された収納部２１を特定するＢｏｘ　Ｎｏ．や収納部２１に設定された名称等の収納部情報と、出金処理で出金された出金金額とが印字される。図７（ａ）の例では、「Ｂｏｘ　Ｎｏ．１－２」の収納部２１から２００ドルの貨幣が出金されたことを示している。

　貨幣管理システムがリモートモードで動作するように設定されている場合には、図６（ｂ）に示す画面で収納部２１を指定した後、プリンター４０からレシートが発行される。また、リモートモードでは、貨幣管理端末１０が、貨幣ロッカー２０で出金処理を行うために利用するアクセスコードを発行する。貨幣管理端末１０の制御部１２は、発行したアクセスコード及び指定された収納部２１を示す情報を、貨幣ロッカー２０へ送信する。

　図７（ｂ）は、リモートモードで出金処理を行う際に発行されるレシートの例を示す図である。図７（ｂ）に示すように、リモートモードで発行されたレシートには、図７（ａ）に示す情報に加えて、貨幣管理端末１０で発行されたアクセスコードにより収納部２１から貨幣を取り出すことができる制限時間と、利用者が行うべき作業内容とが印字されている。

　貨幣ロッカー２０の制御部２３は、先に貨幣管理端末１０の制御部１２から受信したアクセスコードと、利用者によって入力されたアクセスコードとが一致することを確認する。そして、両者が一致する場合には、制御部２３は、指定された収納部２１のドアロック部２１ａを制御してドア２１ｆを開く。なお、所定時間を経過すると、アクセスコードが無効となり、アクセスコードを入力しても収納部２１のドア２１ｆを開くことができなくなる。図７（ｂ）の例では３０分経過するとアクセスコードが無効となる。

　指定した収納部２１のドア２１ｆが開くと、利用者は、出金する貨幣を収納部２１から取り出してドア２１ｆを閉じる。ドア２１ｆが閉じられたことを検知した貨幣ロッカー２０の制御部２３は、これを示す情報を貨幣管理端末１０の制御部１２へ送信する。貨幣ロッカー２０から信号を受けた貨幣管理端末１０の制御部１２は、貨幣ロッカー２０が閉じられたことを認識すると、収納部２１から貨幣が取り出されたものとみなして出金処理を確定し、関連する情報を記憶部１３に保存すると共に、収納部２１に収納されていた貨幣の金額を出金金額として店舗の銀行口座へ反映するよう指示する信号を銀行サーバへ送信する。銀行サーバでは、貨幣ロッカー２０の収納部２１に収納されていた、銀行を所有者とする貨幣が、店舗の従業者である利用者によって取り出されたことから、店舗の銀行口座から出金されたものとして取り扱い、収納部２１に収納されていた貨幣を出金金額として、店舗の銀行口座の残高情報を更新する。

　なお、出金処理については、各利用者が１日のうちに出金可能な上限金額が設定されており、１日のうちに上限金額を超える貨幣を出金しようとした場合には、貨幣管理端末１０がこれを認識して、出金処理を実行できないようになっている。

　また、４段目の収納部２１等、所定金額を超える貨幣が収納されている収納部２１から貨幣を出金しようとした場合には、二者認証を要求されるようになっている。具体的には、認証された利用者が、所定金額を超える貨幣が収納されている収納部２１を指定して貨幣を出金しようとすると、管理者による認証処理を実行する画面が表示される。そして、この画面で管理者が認証されない限り、収納部２１から貨幣を取り出せないようになっている。管理者による認証には、例えば、ワンタイムパスワードを利用する。

　また、リモートモードでは、貨幣管理端末１０での出金指示時に発行するレシートには金額情報を印字せずに制限時間及び作業内容のみを印字して、貨幣ロッカー２０の収納部２１が開閉された後、出金処理が完了したものとみなして、図７（ａ）に示すように、金額情報を印字したレシートを発行する態様であってもよい。この場合は、貨幣管理端末１０の近傍に設置されたプリンター４０とは別に、もう１台のプリンターを貨幣ロッカー２０の近傍に設置して該プリンターで金額情報を含むレシートを発行する態様であってもよいし、貨幣ロッカー２０がプリンターを内蔵して該プリンターでレシートを発行する態様であっても構わない。

　このように、貨幣管理システムでは、貨幣管理端末１０及び貨幣ロッカー２０を利用して、店舗内に保管されていた貨幣を取り出して利用することができる。また、店舗内で保管されていた貨幣を利用しながら、この貨幣を、店舗の銀行口座から出金したものとして管理することができる。例えば、貨幣集配業者が１回の運搬で店舗に持ち込んだ貨幣を複数の収納部２１に分けて収納しておくことで、店舗で貨幣が不足した際には、収納部２１から貨幣を取り出して利用することができるので、貨幣集配業者への貨幣運搬の依頼回数を抑制することができる。

　次に、銀行から依頼を受けた貨幣集配業者によって行われる貨幣ロッカー２０への貨幣の装填処理及び貨幣ロッカー２０からの貨幣の回収処理について説明する。図８は、貨幣集配業者が、貨幣ロッカー２０に貨幣を装填する装填処理時に表示される画面例を示す図である。貨幣集配業者の担当者は、銀行に属する利用者として、この画面上で貨幣ロッカー２０の収納部２１を指定すると共に、この収納部２１に装填する貨幣の金額を入力する。図８に示す画面では、収納部２１の位置を示すＢｏｘ　Ｎｏ．と、各収納部２１の名称と、各収納部２１に収納されている貨幣の金額とが表示される。

　装填処理時に表示される画面では、貨幣を装填できる収納部２１と、既に貨幣が収納されており貨幣を装填できない収納部２１とが区別可能に表示される。また、貨幣集配業者が装填可能な収納部２１が事前に設定されている場合には、この貨幣集配業者が利用可能な収納部２１が、他の収納部２１と区別可能に表示される。例えば、貨幣処理装置３０で貨幣が不足した場合に貨幣処理装置３０に補充するための貨幣を収納するよう設定した収納部２１が、貨幣集配業者による装填処理の対象として表示される。

　図８に示す画面で、収納部２１を指定して、この収納部２１に装填する貨幣の金額を入力した後、画面上のＳＴＡＲＴボタンを押すと、貨幣管理端末１０の制御部１２は、貨幣ロッカー２０の制御部２３へ、指定された収納部２１のドア２１ｆを開くよう指示する信号を送信する。貨幣管理端末１０から信号を受けた貨幣ロッカー２０では、制御部２３が、指定された収納部２１のドアロック部２１ａを制御してドア２１ｆを開く。

　また、貨幣管理端末１０の制御部１２は、操作表示部１１の画面上に、開いた収納部２１に貨幣を装填するよう指示する情報とＯＫボタンとを表示する。貨幣集配業者の担当者は、貨幣管理端末１０の画面に表示された指示情報を確認してＯＫボタンを押した後、ドア２１ｆが開いた収納部２１に、装填する貨幣を収納してドア２１ｆを閉じる。ドア２１ｆが閉じられたことを検知した貨幣ロッカー２０の制御部２３は、これを示す情報を、貨幣管理端末１０の制御部１２へ送信する。

　貨幣ロッカー２０から信号を受けた貨幣管理端末１０の制御部１２は、貨幣ロッカー２０で、指定された収納部２１のドア２１ｆが閉じられたことを認識すると、この収納部２１への貨幣の装填を完了したものとみなす。そして、制御部１２は、関連する情報を記憶部１３に保存すると共に、図８に示す画面を更新して、貨幣が装填された収納部２１を、貨幣を装填可能な収納部２１から除外する。貨幣集配業者の担当者は、更新後の画面で、次に貨幣を装填する収納部２１を指定して、装填金額を入力し、ドア２１ｆが開いた収納部２１に貨幣を装填する作業を繰り返す。

　例えば、貨幣集配業者の担当者は、金種別に準備した貨幣を、順に、対応する収納部２１へ装填する。収納部２１には名称を設定することができるので、各金種の貨幣を装填する収納部２１を認識できるように、各収納部２１の名称を設定して、装填作業を効率よく行えるようになっている。収納部２１を指定して貨幣を装填する処理を繰り返し、全ての貨幣の装填を終えると、貨幣集配業者の担当者は、画面上のＦＩＮＩＳＨボタンを押して装填処理を完了する。

　装填処理が完了すると、貨幣管理端末１０の制御部１２は、プリンター４０を制御して装填処理に関する情報を印字したレシートを発行する。図９（ａ）は、装填処理時に発行されたレシートの例を示す図である。レシートには、貨幣ロッカー２０が設置された店舗を特定可能な店舗名等の店舗情報と、貨幣管理端末１０を特定可能な装置番号等の装置情報と、貨幣ロッカー２０で装填処理を行った貨幣集配業者の担当者を特定可能な利用者名や利用者ＩＤ等の利用者情報と、装填処理を実行した日時を示す日時情報と、貨幣管理端末１０を利用して行われた各取引を識別するために装填処理に付与された取引番号と、装填された貨幣がいずれの銀行口座の貨幣として処理されるかを示す銀行口座情報と、貨幣が装填された全ての収納部２１及び各収納部２１に装填された貨幣の金額を示す装填貨幣情報と、貨幣ロッカー２０に装填された貨幣の合計金額とが印字される。図９（ａ）の例は、Ｂｏｘ　Ｎｏ．が１－２、１－３、２－１、２－２の４つの収納部２１に合計１８９１ドルの貨幣が装填されたことを示している。

　貨幣集配業者の担当者は、貨幣ロッカー２０に加えて、貨幣処理装置３０にも貨幣を装填する場合がある。この場合は、貨幣集配業者の担当者が、貨幣ロッカー２０及び貨幣処理装置３０に貨幣を装填する装填処理を完了した後、貨幣ロッカー２０及び貨幣処理装置３０に装填した貨幣に関する情報を印字したレシートが発行される。図９（ｂ）は、貨幣ロッカー２０及び貨幣処理装置３０に貨幣を装填した際に発行されるレシートの例を示す図である。この例では、貨幣処理装置３０に３６０ドル分の紙幣と４．１ドル分の硬貨とが装填され、貨幣ロッカー２０に１８９１ドル分の貨幣が装填され、合計で２２５５．１ドル分の貨幣が貨幣管理システムに装填されたことを示している。

　貨幣集配業者の担当者が貨幣ロッカー２０で装填処理を行う際にも、リモートモードで処理を行うことができる。リモートモードで装填処理を行う場合は、貨幣管理端末１０で、貨幣を装填する全ての収納部２１の指定と、各収納部２１に装填する貨幣金額の入力とを終えた後、ＦＩＮＩＳＨボタンを押すと、プリンター４０から、貨幣を装填する全ての収納部２１を示すＢｏｘ　Ｎｏ．と、装填する貨幣金額とが印字されたレシートが発行される。また、レシートには、作業内容が印字されるので、貨幣集配業者の担当者は、レシートに印字された作業内容に従って、各収納部２１に貨幣を収納する装填作業を行う。この場合も、他の処理時と同様に、貨幣管理端末１０の操作時に発行するレシートには金額情報を印字せずに制限時間及び作業内容のみを印字して、貨幣ロッカー２０での処理完了後に、プリンター４０、貨幣ロッカー２０の近傍に設置されたプリンター又は貨幣ロッカー２０が内蔵するプリンター等によって、金額情報を印字したレシートを発行する態様であってもよい。

　なお、貨幣集配業者の担当者が、貨幣管理端末１０の操作表示部１１を利用して、貨幣ロッカー２０に貨幣を装填するための情報を入力する例を示したが、情報を自動入力することも可能となっている。具体的には、貨幣集配業者の担当者が保持するＩＣカードに、担当者を認証するための認証情報と、貨幣を装填する全ての収納部２１を指定するための情報と、各収納部２１に装填する貨幣の金種及び金額を示す情報とを予め書き込んでおく。そして、貨幣管理端末１０にカードリーダを設けて、貨幣集配業者が保持するＩＣカードに書き込まれている情報をカードリーダで読み取らせることにより、貨幣集配業者の担当者の認証処理と、貨幣を装填する全ての収納部２１を指定する処理と、各収納部２１に装填する貨幣の金種及び金額を入力する処理とが自動的に行われるようにしてもよい。

　次に回収処理について説明する。図１０は、貨幣集配業者が、貨幣ロッカー２０から貨幣を回収する際に表示される画面例を示す図である。貨幣集配業者の担当者は、この画面上で、貨幣を回収する収納部２１を指定する。図１０に示す画面では、貨幣ロッカー２０の収納部２１の位置を示すＢｏｘ　Ｎｏ．と、各収納部２１の名称と、各収納部２１に収納されている貨幣の金額と、回収処理中の状態とが表示される。

　回収処理時に表示される画面では、貨幣の回収対象となる収納部２１と、その他の収納部２１とが区別可能に表示される。また、貨幣集配業者が貨幣を回収する収納部２１が事前に設定されている場合には、この貨幣集配業者が利用可能な収納部２１と、他の収納部２１とが区別可能に表示される。

　例えば、店舗の売上金が収納される収納部２１や、貨幣処理装置３０で予め設定された貨幣量を超えて超過分とされた貨幣が収納される収納部２１が、貨幣集配業者による回収処理の対象として表示される。また、例えば、店舗が、店舗で利用する貨幣を保管して収納するように設定した収納部２１は、貨幣集配業者による回収対象から除外される。貨幣集配業者による回収処理の対象として設定されている収納部２１についても、回収処理時には、所定金額を超える貨幣が収納されている収納部２１のみを回収処理の対象として表示して、所定金額以下の貨幣が収納されている収納部２１は回収処理の対象から除外するように設定することもできる。

　図１０に示す画面で、収納部２１を指定して画面上のＳＴＡＲＴボタンを押すと、貨幣管理端末１０の制御部１２は、貨幣ロッカー２０の制御部２３へ、指定された収納部２１のドア２１ｆを開くよう指示する信号を送信する。貨幣管理端末１０から信号を受けた貨幣ロッカー２０では、制御部２３が、指定された収納部２１のドアロック部２１ａを制御してドア２１ｆを開く。

　貨幣管理端末１０の制御部１２は、操作表示部１１の画面上に、開いた収納部２１から貨幣を回収するよう指示する情報とＯＫボタンとを表示する。貨幣集配業者の担当者は、貨幣管理端末１０の画面に表示された指示情報を確認してＯＫボタンを押した後、ドア２１ｆが開いた収納部２１から貨幣を回収してドア２１ｆを閉じる。ドア２１ｆが閉じられたことを検知した貨幣ロッカー２０の制御部２３は、これを示す情報を、貨幣管理端末１０の制御部１２へ送信する。

　貨幣ロッカー２０から信号を受けた貨幣管理端末１０の制御部１２は、貨幣ロッカー２０で、指定された収納部２１のドア２１ｆが閉じられたことを認識すると、この収納部２１からの貨幣の回収が完了したものとみなす。そして、制御部１２は、関連する情報を記憶部１３に保存すると共に、図１０に示す画面を更新して、貨幣が回収された収納部２１の状態表示を変更して貨幣の回収対象から除外する。貨幣を回収した収納部２１については、画面上の「Ｓｔａｔｕｓ」の項目で「ｃｏｌｌｅｃｔｅｄ」と表示される。貨幣集配業者の担当者は、更新後の画面で、次に貨幣を回収する収納部２１を指定して、ドア２１ｆが開いた収納部２１から貨幣を回収する作業を繰り返す。なお、貨幣が回収されると、空になった収納部２１は貨幣を収納可能な収納部２１として管理されることになる。

　収納部２１には名称を設定することができるので、貨幣を回収する収納部２１を認識できるように、各収納部２１の名称を設定して、回収作業を効率よく行えるようになっている。収納部２１を指定して貨幣を回収する処理を繰り返して、全ての貨幣の回収を終えると、貨幣集配業者の担当者は、画面上のＦＩＮＩＳＨボタンを押して回収処理を完了する。

　回収処理が完了すると、貨幣管理端末１０の制御部１２は、プリンター４０を制御して回収処理に関する情報を印字したレシートを発行する。図１１（ａ）は、回収処理時に発行されたレシートの例を示す図である。レシートには、貨幣ロッカー２０が設置された店舗を特定可能な店舗名等の店舗情報と、貨幣管理端末１０を特定可能な装置番号等の装置情報と、回収処理を実行した日時を示す日時情報と、貨幣管理端末１０を利用して行われた各取引を識別するために回収処理に付与された取引番号と、貨幣が回収された全ての収納部２１及び各収納部２１から回収された貨幣の金額を示す回収貨幣情報と、貨幣ロッカー２０から回収された貨幣の合計金額とが印字される。図１１（ａ）の例は、Ｂｏｘ　Ｎｏ．が１－１、１－２、１－３、２－１、２－２の５つの収納部２１から合計２８９１ドルの貨幣が回収されたことを示している。このように、リジェクト紙幣等が収納されるＢｏｘ　Ｎｏ．１－１の収納部２１の紙幣も貨幣集配業者によって回収される。

　貨幣集配業者の担当者は、貨幣ロッカー２０に加えて、貨幣処理装置３０からも貨幣を回収する場合がある。この場合は、貨幣集配業者の担当者が、貨幣ロッカー２０及び貨幣処理装置３０から貨幣を回収する回収処理を完了した後、貨幣ロッカー２０及び貨幣処理装置３０から回収した貨幣に関する情報を印字したレシートが発行される。図１１（ｂ）は、貨幣ロッカー２０及び貨幣処理装置３０から貨幣を回収した際に発行されるレシートの例を示す図である。この例では、貨幣処理装置３０から１０００ドル分の紙幣と１０ドル分の硬貨とが回収され、貨幣ロッカー２０から２８９１ドル分の貨幣が回収され、合計で３９０１ドル分の貨幣が貨幣管理システムから回収されたことを示している。

　貨幣集配業者が貨幣ロッカー２０で回収処理を行う際にも、リモートモードで処理を行うことができる。リモートモードで回収処理を行う場合は、貨幣管理端末１０で、貨幣を回収する全ての収納部２１の指定を終えた後、ＦＩＮＩＳＨボタンを押すと、プリンター４０から、貨幣を回収する全ての収納部２１を示すＢｏｘ　Ｎｏ．と、回収すべき貨幣金額とが印字されたレシートが発行される。また、レシートには、作業内容が印字されるので、貨幣集配業者の担当者は、レシートに印字された作業内容に従って、各収納部２１から貨幣を回収することができる。この場合も、他の処理時と同様に、貨幣管理端末１０の操作時に発行するレシートには金額情報を印字せずに制限時間及び作業内容のみを印字して、貨幣ロッカー２０での処理完了後に、プリンター４０、貨幣ロッカー２０の近傍に設置されたプリンター又は貨幣ロッカー２０が内蔵するプリンター等によって、金額情報を印字したレシートを発行する態様であってもよい。

　なお、貨幣集配業者の担当者が、貨幣管理端末１０の操作表示部１１を利用して、貨幣ロッカー２０から貨幣を回収するための情報を入力する例を示したが、情報を自動入力することも可能となっている。具体的には、貨幣集配業者の担当者が保持するＩＣカードに、担当者を認証するための認証情報と、貨幣を回収する全ての収納部２１を指定するための情報とを予め書き込んでおく。そして、貨幣管理端末１０にカードリーダを設けて、貨幣集配業者が保持するＩＣカードに書き込まれている情報をカードリーダで読み取らせることにより、貨幣集配業者の担当者の認証処理と、貨幣を回収する全ての収納部２１を指定する処理とが自動的に行われるようにしてもよい。

　次に、店舗での貨幣ロッカー２０の利用例について説明する。例えば、店舗の従業者である利用者は、貨幣集配業者が貨幣ロッカー２０に装填した貨幣を、貨幣ロッカー２０から取り出す出金処理を行って、貨幣処理装置３０に補充する貨幣として利用する。このとき、貨幣管理端末１０では、貨幣ロッカー２０の収納部２１に収納されている貨幣の金額として管理していた金額と、収納部２１から取り出して貨幣処理装置３０に補充した際に貨幣処理装置３０で識別計数された補充貨幣の金額とを比較照合する処理が行われる。そして、両者が一致しない場合には、貨幣処理装置３０への補充処理がキャンセルされて、補充貨幣が貨幣処理装置３０から排出される。店舗の利用者は、排出された貨幣を、店舗が所有権を有する収納部２１へ収納したり貨幣ロッカー２０とは別の所定の貨幣収納庫へ収納したりするなどして保管して、貨幣処理装置３０には、別の収納部２１から取り出した貨幣を補充する。収納部２１へ収納されているとして貨幣管理端末１０で管理されていた貨幣金額と実際に収納部２１に収納されていた貨幣金額とが異なる原因は別途調査されることになる。銀行が所有権を有する収納部２１に貨幣集配業者によって装填された銀行所有の貨幣が、店舗従業者によって取り出されると、出金処理が行われたものとして、銀行サーバでは、取り出した貨幣の金額分を店舗の銀行口座の残高から減算する口座更新処理が行われる。

　貨幣ロッカー２０に収納されていたはずの装填貨幣の金額と、貨幣ロッカー２０から取り出して貨幣処理装置３０へ補充した補充貨幣の金額とが一致しなかった場合の処理について、貨幣管理システムでは、補充処理をキャンセルする他、装填貨幣と補充貨幣との間に差額があったことを記録した上で補充処理をキャンセルせずに完了することもできるし、装填貨幣と補充貨幣の差額分を銀行口座上で修正することも可能となっている。例えば、１万ドルとして管理されていた銀行所有の装填貨幣が、店舗従業者によって貨幣ロッカー２０から取り出されると、店舗の銀行口座の残高から１万ドルを減算する口座更新処理が行われる。ところが、取り出した貨幣を貨幣処理装置３０に補充して識別計数した補充貨幣の金額が実際には９９８０ドルであった場合には、これを示す情報を貨幣管理端末１０で記録して貨幣処理装置３０での補充処理をそのまま完了することもできるし、店舗の銀行口座の残高から９９８０ドルを減算した状態となるように先の口座更新の処理内容を修正するよう指示する信号を貨幣管理端末１０から銀行サーバへ送信することもできる。装填貨幣と補充貨幣の金額が一致しない場合に、これを記録して補充処理を完了するか、補充処理をキャンセルするか、口座上で修正するかについては、設定により変更できるようになっている。

　なお、貨幣管理端末１０では、貨幣処理装置３０内の貨幣についても所有権を設定して管理できるようになっている。貨幣処理装置３０内の貨幣の所有権を銀行として管理している場合には、貨幣処理装置３０に貨幣が入金された際に、必要に応じて、店舗の銀行口座の残高を更新する口座更新処理が行われる。例えば、貨幣処理装置３０へ貨幣を補充するために、銀行が所有権を有する収納部２１から装填貨幣を取り出した際には、店舗の銀行口座から装填貨幣の金額分を減算する口座更新処理が行われるが、取り出された貨幣が貨幣処理装置３０へ補充されると、貨幣処理装置３０で識別計数された補充貨幣の金額を含む情報が貨幣管理端末１０から銀行サーバへ送信される。貨幣処理装置３０へ補充された貨幣は銀行所有の貨幣となるため、銀行サーバでは、補充貨幣の金額分が銀行口座へ入金されたものとして、店舗の銀行口座の残高に補充貨幣の金額を加算する口座更新処理が行われる。ただし、銀行が所有する貨幣を貨幣ロッカー２０から取り出して、貨幣処理装置３０へ補充して銀行が所有する貨幣とする場合には、口座更新を行わないように設定することもできる。具体的には、例えば、銀行が所有権を有する収納部２１から貨幣が取り出された場合には、所定時間待機して、この間に貨幣処理装置３０へ貨幣を補充する処理が行われた場合には口座更新処理を行わず、所定時間を超えても補充処理が行われない場合にのみ、取り出した貨幣の金額分を店舗の銀行口座の残高から減算する口座更新処理を行うようにする。また、例えば、図６（ａ）に示す画面上に、銀行が所有権を有する収納部２１から取り出した貨幣を貨幣処理装置３０へ補充するための専用のメニューを表示して、この専用メニューが選択され、予め設定された所定時間内に収納部２１から取り出した貨幣が貨幣処理装置３０へ補充された場合には、この貨幣に関する口座更新処理を行わず、所定時間を超えても補充処理が行われない場合にのみ口座更新処理を行うようにする。

　また、例えば、店舗の従業者である利用者は、翌日の営業で店舗のキャッシュレジスターで利用する釣銭準備金を貨幣ロッカー２０で保管する。例えば、１日の営業が終了すると、店舗の複数のキャッシュレジスターから回収した貨幣を、当日の売上金として貨幣処理装置３０に入金する。このとき、貨幣処理装置３０で、翌日の営業に必要な釣銭準備金を作成する。そして、利用者は、貨幣管理端末１０で、所有権が店舗に設定されておりかつ貨幣集配業者による回収処理の処理対象から除外されている収納部２１を、釣銭準備金を保管する収納部２１として指定すると共に、保管する釣銭準備金の金額を入力した後、指定した収納部２１へ釣銭準備金を収納して保管する。なお、貨幣管理端末１０に釣銭準備金の金額を入力した際に、貨幣管理端末１０で、利用者によって入力された貨幣金額と、貨幣処理装置３０で識別計数された釣銭準備金の貨幣金額とを比較照合して、比較結果を報知させることもできる。また、貨幣処理装置３０で釣銭準備金を作成した際に、釣銭準備金の金額を、貨幣処理装置３０から貨幣管理端末１０へ送信して、貨幣管理端末１０での貨幣金額の入力を省略するように設定することも可能となっている。

　貨幣ロッカー２０で釣銭準備金を保管する際には、貨幣管理端末１０で、釣銭準備金を収納する収納部２１と、キャッシュレジスターの識別番号又はレジ係のＩＤ情報とを関連付けて管理することにより、キャッシュレジスターの識別番号又はレジ係のＩＤ情報を操作表示部１１に入力すると、対応する収納部２１が自動的に指定されて、この収納部２１のドア２１ｆが開くように設定することができる。また、釣銭準備金を取り出す際にも、キャッシュレジスターの識別番号又はレジ係のＩＤ情報を操作表示部１１に入力すると、対応する収納部２１のドア２１ｆが開くように設定することもできる。

　なお、本実施形態では、収納部２１へ貨幣を収納すると、この収納部２１へはさらに貨幣を収納しない利用態様を示したが、本実施形態がこれに限定されるものではない。例えば、既に貨幣が収納されている収納部２１を指定して、収納する貨幣の金額を入力すると、既に収納されている貨幣の金額に、新たに収納する貨幣の金額を加算して管理する態様であっても構わない。

　上述してきたように、本実施形態に係る貨幣管理システムによれば、複数の収納部２１を有する貨幣ロッカー２０で、各収納部２１に収納された貨幣の所有者を設定することができる。例えば、店舗に設置した貨幣ロッカー２０で、店舗の従業者が、銀行を所有者とする収納部２１に貨幣を収納すれば、この貨幣を銀行所有の貨幣とすることができる。また、店舗の従業者が、銀行を所有者とする収納部２１から貨幣を取り出せば、この貨幣を店舗所有の貨幣とすることができる。このように、貨幣ロッカー２０の各収納部２１への貨幣の収納及び各収納部２１からの貨幣の取り出しを管理することができるので、貨幣を厳密に管理することが可能となり、店舗にとっての貨幣管理装置の導入リスクを低減することができる。

　また、店舗内に設置した貨幣ロッカー２０を利用して貨幣を保管することができるので、貨幣集配業者へ貨幣の回収や補充を依頼する回数を抑制することができる。また、貨幣ロッカー２０の各収納部２１に所有権を設定できるようになっており、所有権を銀行に設定することで、収納部２１への貨幣の収納を銀行口座への入金処理として処理したり、収納部２１からの貨幣の取り出しを銀行口座からの出金処理として処理したりすることができる。

　また、貨幣ロッカー２０に保管する貨幣の金額、保管先となる収納部２１等の情報を手入力する他、必要な情報が予め記録されたＩＣカードを利用して情報入力を行うことも可能となっている。ＩＣカードのような情報記録媒体を利用すれば、手入力による手間や入力ミスを回避することが可能となり、貨幣ロッカー２０を利用して貨幣を厳密に管理することができる。

　以上のように、本発明に係る貨幣管理システム及び貨幣管理方法は、店舗に設置された貨幣管理装置に保管された貨幣を厳密に管理して店舗にとっての貨幣管理装置の導入リスクを低減すると共に、貨幣管理装置への貨幣の収納及び貨幣管理装置からの貨幣の取り出しを店舗の銀行口座で管理するために有用である。

１０　貨幣管理端末
１１　操作表示部
１２　制御部
１３　記憶部
２０　貨幣ロッカー
２１　収納部
２１ａ　ドアロック部
２１ｂ　情報表示部
２１ｃ　表示灯
２１ｄ　把手
２１ｅ　投入口
２１ｆ　ドア
２２　操作表示部
２３　制御部
２４　記憶部
３０　貨幣処理装置
４０　プリンター

Claims

　店舗に設置して貨幣を管理する貨幣管理システムであって、
　手動で貨幣の出し入れを行うための開閉部及び該開閉部を施解錠して開閉を制御するロック部を有する収納部を複数個含む貨幣管理装置と、
　前記収納部に収納する貨幣の金額情報を入力する入力部、及び前記貨幣管理装置の少なくとも１つ以上の収納部に収納された貨幣の所有者を銀行として管理する貨幣管理端末と
を備えることを特徴とする貨幣管理システム。
　前記店舗に属する利用者が、所有者を前記銀行とする収納部に貨幣を収納する際には、
　前記貨幣管理端末は、
　前記収納部に収納する前記貨幣の金額を前記入力部によって受け付けると共に前記収納部の開閉部を開き、
　前記開閉部が閉じられると前記貨幣が前記収納部に収納されたとみなして所有者を前記銀行として管理して、
　前記入力部により入力された貨幣金額を前記店舗の銀行口座に入金するよう指示する信号を出力する
ことを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　前記貨幣管理端末は、所有者を銀行とする収納部以外の収納部に収納された貨幣の所有者を前記店舗として管理し、
　前記店舗に属する利用者が、所有者を前記店舗とする収納部に貨幣を収納する際には、
　前記貨幣管理端末は、
　前記収納部に収納する前記貨幣の金額を前記入力部によって受け付けると共に前記収納部の開閉部を開き、
　前記開閉部が閉じられると前記貨幣が前記収納部に収納されたとみなして所有者を前記店舗として管理する
ことを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　貨幣処理を行う貨幣処理装置
をさらに備え、
　前記貨幣管理端末は、
　前記貨幣処理装置から回収された貨幣が前記貨幣管理装置に収納された場合には、前記貨幣処理装置から回収された前記貨幣の金額と、前記貨幣管理装置に収納された前記貨幣の金額とを照合する
ことを特徴とする請求項２又は３に記載の貨幣管理システム。
　前記銀行に属する利用者が、所有者を前記銀行とする収納部に貨幣を収納する際には、
　前記貨幣管理端末は、
　前記収納部に収納する前記貨幣の金額を前記入力部によって受け付けると共に前記収納部の開閉部を開き、
　前記開閉部が閉じられると前記貨幣が前記収納部に収納されたとみなして所有者を前記銀行として管理する
ことを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　前記店舗に属する利用者が銀行を所有者とする収納部から貨幣を取り出す際には、
　前記貨幣管理端末は、
　前記貨幣管理装置で前記収納部の開閉部を開き、
　前記開閉部が閉じられると前記収納部に収納されていた前記貨幣が取り出されたとみなして、前記貨幣の所有者を前記店舗に変更して、
　前記収納部から取り出された前記貨幣の金額を前記店舗の銀行口座から出金するよう指示する信号を出力する
ことを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　貨幣処理を行う貨幣処理装置
をさらに備え、
　前記貨幣管理端末は、
　前記貨幣管理装置の収納部から取り出された貨幣が前記貨幣処理装置に補充された場合には、前記貨幣管理装置から取り出された前記貨幣の金額と、前記貨幣処理装置で計数された前記貨幣の補充金額とを照合する
ことを特徴とする請求項６に記載の貨幣管理システム。
　前記貨幣管理端末は、前記貨幣管理装置の各収納部を利用できる利用者を管理することを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　利用者が前記店舗に属する担当者であるか前記銀行に属する担当者であるかを区別して認証する認証部
をさらに備えることを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　前記貨幣管理端末は、前記銀行に属する利用者と、前記店舗に属する利用者とを区別して、各利用者が利用できる収納部を管理することを特徴とする請求項８に記載の貨幣管理システム。
　前記貨幣管理装置の各収納部に収納された貨幣の所有者の設定は変更可能であることを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　前記貨幣管理装置が前記貨幣管理端末から離れた場所に設置されている場合には、
　前記貨幣管理端末は、前記貨幣管理装置で収納部を利用するためのアクセスコードを発行して前記貨幣管理装置へ送信し、
　前記貨幣管理装置は、アクセスコードの入力を受け付けて、入力されたアクセスコードと前記貨幣管理端末から受信したアクセスコードとが一致する場合にのみ前記収納部の利用を許容する
ことを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　前記アクセスコードは所定時間を経過すると無効になることを特徴とする請求項１２に記載の貨幣管理システム。
　前記貨幣管理装置の収納部は、該収納部に収納された貨幣に関する情報を表示するための情報表示部をさらに有することを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　前記貨幣管理端末は、前記貨幣管理端末で所定の操作が行われた場合には、前記貨幣管理装置の収納部に収納されている貨幣の所有者を変更することなく、前記収納部の開閉部を開くことを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　前記貨幣管理装置の収納部は、貨幣を収納する専用ケースの有無を検知する検知センサをさらに有することを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　前記貨幣管理装置は、内部に貨幣を投入するための開口を有する収納部を含むことを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　前記貨幣管理装置は、堅牢性の異なる収納部を含むことを特徴とする請求項１に記載の貨幣管理システム。
　店舗に設置された貨幣管理装置及び貨幣管理端末を含む貨幣管理システムによって貨幣を処理する貨幣管理方法であって、
　複数の収納部を有する前記貨幣管理装置の少なくとも１つ以上の収納部で、ロック部によって施解錠される開閉部を開閉して貨幣を収納する貨幣収納工程と、
　前記貨幣管理端末が、前記貨幣収納工程で収納された前記貨幣を銀行の所有する貨幣として管理する工程と
を含んだことを特徴とする貨幣管理方法。