以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態に係る有価媒体処理装置およびこのような有価媒体処理装置による有価媒体処理方法を示す図である。
図1等に示す有価媒体処理装置10は、商業施設等において自動券売機や電子マネーチャージ機の内部に搭載されるものであり、紙幣や商品券等の有価媒体の入金処理や出金処理等の様々な処理を行うようになっている。図1は、このような有価媒体処理装置10の内部構成を概略的に示す構成図である。ここで、図1における有価媒体処理装置10の右側の面が当該有価媒体処理装置10を正面側から見たときの前面となり、図1における左方向が有価媒体処理装置10の奥行き方向となっている。
図1に示すように、有価媒体処理装置10を正面側から見たときの前面には入金部12および払出部18がそれぞれ設けられている。ここで、顧客等の操作者が有価媒体処理装置10に紙幣等の有価媒体を入金したい場合には、当該操作者は入金部12に有価媒体をまとめて投入するようになっている。また、入金部12には繰出機構12aが設けられており、入金部12に投入された有価媒体は繰出機構12aにより1枚ずつ後述する搬送部14に繰り出されるようになっている。また、図1に示すように、搬送部14における入金部12の近傍には入金識別部13が設けられており、入金部12から繰出機構12aにより搬送部14に繰り出された有価媒体は入金識別部13により識別されるようになっている。このような入金識別部13は後述する識別部16と略同一の機能を果たすようになっている。一方、有価媒体処理装置10から紙幣等の有価媒体が出金される場合には、出金されるべき有価媒体が後述する搬送部14により払出部18に送られてこの払出部18に集積されるようになっている。そして、出金されるべき有価媒体が全て払出部18に集積されると、払出部18から束状態の有価媒体が操作者側に(すなわち、図1における右方向に)飛び出すようになっている。このことにより、操作者は払出部18から飛び出した束状態の有価媒体を取り出すことができるようになる。
また、図1に示すように、有価媒体処理装置10の筐体の内部において入金部12や払出部18の下方にはリジェクト部20および3つのカセット装着部22、24、26が鉛直方向に沿って並ぶよう設けられている。リジェクト部20は、有価媒体の出金処理において、後述する識別部16による識別結果に基づいて有価媒体処理装置10から払い出されるべきではないと判定された有価媒体が収納されるようになっている。なお、「識別部16による識別結果に基づいて有価媒体処理装置10から払い出されるべきではないと判定される」とは、搬送異常により識別不可の場合以外にも、出金対象の種類の紙幣や商品券ではない場合も有価媒体処理装置10から払い出されるべきではないと判定されることをいう。また、リジェクト部20に収納された有価媒体は、有価媒体処理装置10の筐体の側面に設けられた扉(図示せず)を開くことによって取り出すことができるようになっている。また、このような扉は特定の権限を有する者(例えば、商業施設等の管理者)のみが開くことができるようになっている。
また、各カセット装着部22、24、26にはそれぞれ有価媒体を収納する収納カセット32、34、36が着脱可能に装着されるようになっている。各カセット装着部22、24、26に装着される収納カセット32、34、36に収納されるべき有価媒体の種類の詳細については後述する。また、図1に示すように、有価媒体処理装置10の筐体の内部には搬送部14が設けられており、当該搬送部14により入金部12、払出部18、リジェクト部20、各カセット装着部22、24、26に装着されている収納カセット32、34、36の間で有価媒体が1枚ずつ搬送されるようになっている。また、搬送部14には識別部16が設けられており、この識別部16は、当該識別部16を通過する有価媒体をイメージセンサ等によって撮像することにより当該有価媒体の画像に基づいて有価媒体の識別を行うようになっている。具体的には、搬送部14により搬送される有価媒体が例えば紙幣である場合には、識別部16は当該紙幣の金種、真偽、正損、新旧、搬送状態等の識別を行うようになっている。また、搬送部14により搬送される有価媒体が例えば商品券である場合には、識別部16は当該商品券の発行元の会社名、商品券の種類、金額、搬送状態等の識別を行うようになっている。
各カセット装着部22、24、26に着脱可能に装着される収納カセット32、34、36には複数の有価媒体が積層状態で収納されるようになっている。なお、各収納カセット32、34、36に収納されている有価媒体を図1において参照符合Pで示す。ここで、収納カセット32、34、36がカセット装着部22、24、26に装着されているときに、搬送部14から収納カセット32、34、36に送られた有価媒体が当該収納カセット32、34、36に収納されるようになっている。また、収納カセット32、34、36にはそれぞれ繰出機構32a、34a、36aが設けられており、収納カセット32、34、36がカセット装着部22、24、26に装着されているときに、有価媒体処理装置10の本体側から収納カセット32、34、36の繰出機構32a、34a、36aに動力が与えられることにより、これらの繰出機構32a、34a、36aによって収納カセット32、34、36に収納されている有価媒体が1枚ずつ搬送部14に繰り出されるようになっている。また、収納カセット32、34、36には、当該収納カセット32、34、36に収納されている有価媒体に関する情報等の様々な情報を記憶するICタグ等の記憶媒体(図示せず)が設けられている。
また、収納カセット32、34、36が着脱可能に装着されるカセット装着部22、24、26は、ロック機構22a、24a、26aおよびリーダライタ22b、24b、26bをそれぞれ有している(図2参照)。各ロック機構22a、24a、26aは、各カセット装着部22、24、26に収納カセット32、34、36が装着されているときに当該収納カセット32、34、36がカセット装着部22、24、26から外れないようロックするようになっている。また、このような各ロック機構22a、24a、26aによるロックが解除されると、商業施設の店員等の操作者はカセット装着部22、24、26から収納カセット32、34、36を取り出すことができるようになる。また、各リーダライタ22b、24b、26bは、各カセット装着部22、24、26に収納カセット32、34、36が装着されているときに当該収納カセット32、34、36に設けられた記憶媒体から情報を読み取ったり当該記憶媒体に情報を書き込んだりするようになっている。
また、本実施の形態では、カセット装着部22に装着される収納カセット32には概して一万円札が収納されるようになっており、カセット装着部24に装着される収納カセット34には概して五千円札が収納されるようになっており、カセット装着部26に装着される収納カセット36には概して千円札が収納されるようになっている。そして、有価媒体処理装置10における紙幣の入金処理において、操作者によって入金部12に紙幣が投入された場合には、入金部12の繰出機構12aにより搬送部14に繰り出された紙幣が入金識別部13によって識別された後に各カセット装着部22、24、26に装着されている収納カセット32、34、36に紙幣が金種毎に送られるようになっている。なお、紙幣の入金処理において、入金部12の繰出機構12aにより搬送部14に繰り出された紙幣が入金識別部13によって識別される代わりに識別部16により識別されるようになっていてもよい。
また、有価媒体処理装置10における釣銭としての紙幣の出金処理においては、各カセット装着部24、26に装着されている収納カセット34、36から五千円札や千円札が搬送部14に繰り出され、この繰り出された紙幣は識別部16によって識別された後に払出部18に送られるようになっている。
本実施の形態の有価媒体処理装置10では、概して、各収納カセット32、34、36の容量は同一となっている。しかしながら、有価媒体処理装置10から釣銭として紙幣が出金される際に、このような釣銭としての紙幣は概ね千円札であることから、千円札が収納される収納カセット36の最大収納量を、一万円札や五千円札が収納される収納カセット32、34の最大収納量よりも大きくする場合もある。この場合には、千円札の収納カセット36のサイズが、一万円札の収納カセット32や五千円札の収納カセット34のサイズよりも大きくなる。以下の説明では、千円札が収納される収納カセット36の最大収納量が、一万円札や五千円札が収納される収納カセット32、34の最大収納量よりも大きいような態様について述べるが、本発明の範囲はこのような態様に限定されることはなく、各収納カセット32、34、36の容量が同一である態様も本発明の範囲に含まれるものとする。
また、有価媒体処理装置10に収納されている紙幣を回収する際には、カセット装着部22、24、26に装着されている収納カセット32、34、36が当該カセット装着部22、24、26から取り外されるようになっている。ここで、有価媒体処理装置10における紙幣の回収処理についての詳細については後述する。
次に、このような有価媒体処理装置10の制御系の構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、有価媒体処理装置10にはCPU(中央演算処理ユニット)等の制御部50が設けられており、入金部12(具体的には、繰出機構12a)、入金識別部13、搬送部14、識別部16、カセット装着部22、24、26(具体的には、ロック機構22a、24a、26aやリーダライタ22b、24b、26b)等がそれぞれ当該制御部50に接続されている。そして、入金識別部13や識別部16による有価媒体の識別結果や、各リーダライタ22b、24b、26bにより収納カセット32、34、36の記憶媒体から読み取られた情報が入金識別部13、識別部16、各リーダライタ22b、24b、26bから制御部50に送られるようになっている。また、制御部50は、入金部12、搬送部14、カセット装着部22、24、26等の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。
また、図2に示すように、制御部50には操作表示部52、報知部53、記憶部54および通信部56がそれぞれ接続されている。操作表示部52は例えば有価媒体処理装置10の前面や上面に設けられたタッチパネルから構成されており、当該操作表示部52は、各カセット装着部22、24、26に装着されている収納カセット32、34、36に収納されている有価媒体の枚数や合計金額等の様々な情報を表示するようになっている。また、操作者は操作表示部52により制御部50に対して様々な指令を入力することができるようになっている。
また、報知部53は、後述する紙幣の回収処理が行われる際に回収された紙幣が収納されている収納カセット32、34、36に関する情報の報知を行うようになっている。具体的には、有価媒体処理装置10を正面側から見たときの前面において、各カセット装着部22、24、26に対応して3つのLEDランプが上下方向に並ぶよう設けられている。そして、後述する紙幣の回収処理が行われる際に、回収された紙幣が収納されている収納カセット32、34、36が装着されているカセット装着部22、24、26に対応するLEDランプが点灯するようになる。このことにより、回収された紙幣が収納されている収納カセット32、34、36に関する情報の報知が操作者に対して行われるようになる。また、各カセット装着部22、24、26に対応して設けられた3つのLEDランプにより操作者に対して報知が行われる代わりに、回収された紙幣が収納されている収納カセット32、34、36に関する情報が操作表示部52にイラストや文字等によって表示されることにより操作者に対する報知が行われるようになっていてもよい。この場合には、操作表示部52が、紙幣の回収処理が行われる際に回収された紙幣が収納されている収納カセット32、34、36に関する情報の報知を行う報知部として機能するようになる。また、記憶部54およびリーダライタ22b、24b、26bには、各カセット装着部22、24、26に装着されている収納カセット32、34、36に収納されている有価媒体の枚数や合計金額等の様々な情報が記憶されるようになっている。
また、制御部50は通信部56(具体的には、通信インターフェース)により外部装置に対して有線または無線により上位端末等の外部装置と様々な信号の送受信を行うようになっている。なお、別の例として、通信部56が設けられておらず、有価媒体処理装置10がスタンドアローンタイプのものとして用いられるようになっていてもよい。
また、制御部50には、有価媒体処理装置10で実行される各種処理を制御部50による制御にて実現するためのプログラム59が記憶された記憶媒体58が接続されている。このような記憶媒体58はROMやRAMなどのメモリー、フラッシュメモリ、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどのディスク状記憶媒体、その他の公知な記憶媒体から構成され得る。記憶媒体58は有価媒体処理装置10に内蔵されていてもよいし、あるいは、有価媒体処理装置10に対して取り付け可能な外部装置であってもよい。記憶媒体58が制御部50に接続されると、制御部50は記憶媒体58に記憶されているプログラム59に基づいて有価媒体処理装置10の各構成部材に処理を実行させるようになっている。
次に、このような有価媒体処理装置10において有価媒体(具体的には、紙幣)の入金処理、出金処理、回収処理等の様々な処理が行われるときの動作について説明する。なお、以下に示すような動作は、制御部50が記憶媒体58に記憶されているプログラム59に基づいて有価媒体処理装置10の各構成部材を制御することによって行われるようになっている。
まず、有価媒体処理装置10における有価媒体の入金処理の動作について説明する。顧客等の操作者が入金部12に有価媒体を投入すると、入金部12に投入された有価媒体は繰出機構12aにより1枚ずつ搬送部14に繰り出される。そして、搬送部14に繰り出された有価媒体は当該搬送部14により1枚ずつ搬送される。この際に、搬送部14により搬送される有価媒体は入金識別部13により識別される。ここで、入金識別部13により識別された有価媒体が紙幣であり、かつこの紙幣が正常なものである場合には、当該紙幣は搬送部14により各カセット装着部22、24、26に装着されている収納カセット32、34、36に金種毎に送られ、各収納カセット32、34、36に収納される。一方、入金識別部13により識別された有価媒体が紙幣であるが、この紙幣が偽券や損券等であったり搬送異常であったりすることにより正常なものではない場合には、当該紙幣は搬送部14により払出部18に送られ、この払出部18に集積される。そして、払出部18に集積された紙幣は当該払出部18から操作者側に飛び出すことにより、操作者は払出部18から飛び出した紙幣を入金部12に再投入することができるようになる。また、制御部50においてカセット装着部22に装着されている収納カセット32に一万円札以外にも商品券を収納することが設定されているときには、入金識別部13により識別された有価媒体が商品券である場合に当該商品券は搬送部14によりカセット装着部22に装着されている収納カセット32に送られ、当該収納カセット32に収納される。一方、制御部50においてカセット装着部22に装着されている収納カセット32に商品券を収納することが設定されていないときには、入金識別部13により識別された有価媒体が商品券である場合に当該商品券は搬送部14により払出部18に送られ、この払出部18に集積される。払出部18に集積された商品券は当該払出部18から操作者側に飛び出すことにより、操作者は払出部18から飛び出した商品券を取ることができるようになる。そして、入金部12に投入された有価媒体が全て各カセット装着部22、24、26に装着されている収納カセット32、34、36等に収納されると、有価媒体の入金処理が完了する。
次に、有価媒体処理装置10における有価媒体(具体的には、紙幣)の出金処理の動作について説明する。有価媒体処理装置10から釣銭としての紙幣が出金される際に、出金されるべき五千円札や千円札が各カセット装着部24、26に装着されている収納カセット34、36から搬送部14に1枚ずつ繰り出される。そして、搬送部14に繰り出された紙幣は当該搬送部14により1枚ずつ搬送される。この際に、搬送部14により搬送される紙幣は識別部16により識別される。ここで、識別部16により識別された紙幣が正常なものである場合には、当該紙幣は搬送部14により払出部18に送られ、この払出部18に集積される。一方、識別部16により紙幣の識別を行うことができなかったり、識別部16により識別された紙幣が搬送異常などにより正常なものではなかったりした場合には、当該紙幣は搬送部14によりリジェクト部20に送られ、このリジェクト部20に集積される。そして、出金されるべき五千円札や千円札が全て払出部18に集積されると、払出部18から束状態の紙幣が操作者側に(すなわち、図1における右方向に)飛び出す。このことにより、操作者は払出部18から飛び出した束状態の紙幣を取り出すことができるようになる。
次に、有価媒体処理装置10における有価媒体(具体的には、紙幣)の回収処理の動作について図4乃至図7を参照して説明する。なお、図4は、図1に示す有価媒体処理装置10における有価媒体の回収処理の動作を示すフローチャートであり、図5乃至図7は、それぞれ、図1に示す有価媒体処理装置10における有価媒体の回収処理の動作の様々な例を示す説明図である。
本実施の形態の有価媒体処理装置10では、各収納カセット32、34、36に収納されている全ての有価媒体を回収するような全回収処理、および各収納カセット32、34、36に収納されている有価媒体のうち出金処理で用いられる釣銭としての紙幣(具体的には、五千円札および千円札)を各収納カセット34、36に残してそれ以外の有価媒体を回収するような残置回収処理のうちいずれか一方の回収処理を行うことができるようになっている。具体的には、商業施設の店員等の操作者が有価媒体の回収処理を行う旨の指令を操作表示部52により制御部50に入力する際に(STEP1の「YES」)、回収処理の種類も入力する(STEP2)。ここで、操作者により入力された回収処理の種類が残置回収処理である場合には、各収納カセット32、34、36に収納されている有価媒体のうち出金処理で用いられる釣銭としての紙幣(具体的には、五千円札および千円札)が各収納カセット34、36に残され、それ以外の有価媒体が一万円札の収納カセット32により回収される。このような動作について図5を用いて説明する。図5(a)は、残置回収処理が行われる前における各収納カセット32、34、36に収納されている有価媒体の状態を示す図である。このような状態において操作者によって操作表示部52により有価媒体の残置回収処理を行う旨の指令が制御部50に入力されると、図5(b)の矢印に示すように、五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36に収納されている紙幣のうち、残置回収処理において回収されるべき紙幣(すなわち、出金処理で用いられる釣銭としての紙幣以外の紙幣)が、一万円札の収納カセット32に送られる(STEP3参照)。このことにより、図5(c)に示すように、五千円札の収納カセット34および千円札の収納カセット36には、それぞれ、出金処理で用いられる釣銭としての紙幣が残され、一方、一万円札の収納カセット32には、残置回収処理において回収されるべき有価媒体が収納された状態となる。
残置回収処理において回収されるべき有価媒体(具体的には、紙幣)が五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36から一万円札の収納カセット32に送られた後、カセット装着部22においてロック機構22aによる収納カセット32のロックが解除される。このことにより、図5(c)において矢印で示すように、操作者は一万円札の収納カセット32をカセット装着部22から取り出すことができるようになる(STEP4)。また、残置回収処理された有価媒体が一万円札の収納カセット32に収納されていることが報知部53により操作者に報知される(STEP5)。具体的には、一万円札の収納カセット32が装着されているカセット装着部22に対応するLEDランプが点灯する。このことにより、残置回収処理された有価媒体が、カセット装着部22に装着されている一万円札の収納カセット32に収納されていることを操作者は容易に気づくことができるようになる。また、残置回収処理された有価媒体が、カセット装着部22に装着されている一万円札の収納カセット32に収納されていることを示すイラストや文字等が操作表示部52に表示されるようになっていてもよい。また、カセット装着部22においてロック機構22aによる収納カセット32のロックが解除された後、当該収納カセット32が有価媒体処理装置10の筐体の前面から操作者側(すなわち、図1における右方向)に自動的に飛び出すようになっていてもよい。この場合でも、残置回収処理された有価媒体が、カセット装着部22に装着されている一万円札の収納カセット32に収納されていることを操作者は容易に気づくことができるようになる。
このように、本実施の形態の有価媒体処理装置10によれば、残置回収処理を行う際に、釣銭として出金すべき数量が多い千円札が収納されている収納カセット36ではなく、この収納カセット36よりも釣銭として出金すべき数量が少ない(例えば、釣銭として出金すべき数量が0である)一万円札の収納カセット32に有価媒体(具体的には、紙幣)を送り、この収納カセット32により有価媒体を回収するようになっている。なお、「出金すべき数量」とは、あくまで残置回収処理等の様々な処理が行われる際に各収納カセット32、34、36から繰り出される紙幣の数量のことをいい、各収納カセット32、34、36の最大収納量とは無関係である。上述したように、各収納カセット32、34、36の容量が同一である場合にも、一万円札の収納カセット32は、千円札の収納カセット36よりも出金すべき紙幣の数量が少なくなる。
ここで、上述したように、釣銭として出金すべき数量が多い千円札が収納されている収納カセット36が、釣銭としての紙幣の出金処理において出金紙幣が不足してしまうことを防止するために、最大収納量が他の収納カセット(具体的には、一万円札の収納カセット32や五千円札の収納カセット34)よりも大きいときには、千円札の収納カセット36のサイズは一万円札の収納カセット32や五千円札の収納カセット34のサイズよりも大きくなるため、残置回収処理を行う際に千円札の収納カセット36により有価媒体を回収した場合には操作者にとって大きな負担となる。これに対し、本実施の形態では、残置回収処理を行う際に、一万円札の収納カセット32により有価媒体を回収しているため、カセット装着部22から一万円札の収納カセット32を操作者が取り出した後に当該操作者が収納カセット32を運搬する際の負担を軽減することができるようになる。
なお、上述した残置回収処理が行われる際に、五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36に収納されている紙幣のうち、残置回収処理において回収されるべき紙幣が一万円札の収納カセット32に送られる途中で、この収納カセット32がフル状態となった場合には、五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36から一万円札の収納カセット32への紙幣の送り動作が中断される。また、カセット装着部22においてロック機構22aによる収納カセット32のロックが解除される。このことにより、操作者はフル状態の一万円札の収納カセット32をカセット装着部22から取り外し、空状態の別の収納カセット32をカセット装着部22に装着させることにより、五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36から一万円札の収納カセット32への紙幣の送り動作を再開させることができるようになる。
また、操作者により入力された回収処理の種類が全回収処理である場合には、所定の条件が満たされるときに(STEP6の「YES」)、五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36に収納されている有価媒体(具体的には、紙幣)が全て一万円札の収納カセット32に送られ、この一万円札の収納カセット32により有価媒体が全て回収される。このような動作について図6を用いて説明する。なお、所定の条件としては様々な条件があるが、以下の説明では、所定の条件が、「全回収処理において回収されるべき有価媒体の数量が、カセット装着部22に装着された一万円札の収納カセット32の最大収納量以下である」ような態様について述べる。
図6(a)は、全回収処理が行われる前における各収納カセット32、34、36に収納されている有価媒体の状態を示す図である。このような状態において操作者によって操作表示部52により有価媒体の全回収処理を行う旨の指令が制御部50に入力されると、所定の条件が満たされるときに(STEP6の「YES」)、すなわち、全回収処理において回収されるべき有価媒体の数量が、カセット装着部22に装着された一万円札の収納カセット32の最大収納量以下であるときに、図6(b)の矢印に示すように、五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36に収納されている紙幣のうち、全回収処理において回収されるべき紙幣(すなわち、五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36に収納されている全ての紙幣)が、一万円札の収納カセット32に送られる(STEP7参照)。このことにより、図6(c)に示すように、五千円札の収納カセット34および千円札の収納カセット36は空状態となり、一方、一万円札の収納カセット32には、全回収処理において回収されるべき有価媒体が収納された状態となる。
全回収処理において回収されるべき有価媒体(具体的には、紙幣)が五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36から一万円札の収納カセット32に送られた後、カセット装着部22においてロック機構22aによる収納カセット32のロックが解除される。このことにより、図6(c)において矢印で示すように、操作者は一万円札の収納カセット32をカセット装着部22から取り出すことができるようになる(STEP8)。また、全回収処理された有価媒体が一万円札の収納カセット32に収納されていることが報知部53により操作者に報知される(STEP9)。具体的には、一万円札の収納カセット32が装着されているカセット装着部22に対応するLEDランプが点灯する。このことにより、全回収処理された有価媒体が、カセット装着部22に装着されている一万円札の収納カセット32に収納されていることを操作者は容易に気づくことができるようになる。また、全回収処理された有価媒体が、カセット装着部22に装着されている一万円札の収納カセット32に収納されていることを示すイラストや文字等が操作表示部52に表示されるようになっていてもよい。なお、全回収処理における操作者への報知の態様が、上記の残置回収処理における操作者への報知の態様と異なるようになっていてもよい。また、カセット装着部22においてロック機構22aによる収納カセット32のロックが解除された後、当該収納カセット32が有価媒体処理装置10の筐体の前面から操作者側(すなわち、図1における右方向)に自動的に飛び出すようになっていてもよい。この場合でも、全回収処理された有価媒体が、カセット装着部22に装着されている一万円札の収納カセット32に収納されていることを操作者は容易に気づくことができるようになる。
このように、本実施の形態の有価媒体処理装置10によれば、全回収処理を行う際にも、所定の条件が満たされるときには、すなわち、全回収処理において回収されるべき有価媒体の数量が、カセット装着部22に装着された一万円札の収納カセット32の最大収納量以下であるときには、最大収納量が比較的少ない一万円札の収納カセット32に有価媒体を送り、この収納カセット32により有価媒体を回収するようになっている。全回収処理を行う際に、千円札の収納カセット36よりも容量が小さい一万円札の収納カセット32により有価媒体を回収する場合には、カセット装着部22から一万円札の収納カセット32を操作者が取り出した後に当該操作者が収納カセット32を運搬する際の負担を軽減することができるようになる。
また、操作者により入力された回収処理の種類が全回収処理である場合において、所定の条件が満たされないときには(STEP6の「NO」)、一万円札の収納カセット32や五千円札の収納カセット34に収納されている有価媒体が全て千円札の収納カセット36に送られ、この千円札の収納カセット36により有価媒体が全て回収される。このような動作について図7を用いて説明する。以下の説明でも、所定の条件が、「全回収処理において回収されるべき有価媒体の数量が、カセット装着部22に装着された一万円札の収納カセット32の最大収納量以下である」ような態様について述べる。
図7(a)は、全回収処理が行われる前における各収納カセット32、34、36に収納されている有価媒体の状態を示す図である。このような状態において操作者によって操作表示部52により有価媒体の全回収処理を行う旨の指令が制御部50に入力されると、所定の条件が満たされないときには(STEP6の「NO」)、すなわち、全回収処理において回収されるべき有価媒体の数量が、カセット装着部22に装着された一万円札の収納カセット32の最大収納量より多いときに、図7(b)の矢印に示すように、一万円札の収納カセット32に収納されている有価媒体や五千円札の収納カセット34に収納されている紙幣のうち、全回収処理において回収されるべき有価媒体(すなわち、一万円札の収納カセット32に収納されている全ての有価媒体や五千円札の収納カセット34に収納されている全ての紙幣)が、千円札の収納カセット36に送られる(STEP10参照)。このことにより、図7(c)に示すように、一万円札の収納カセット32および五千円札の収納カセット34は空状態となり、一方、千円札の収納カセット36には、全回収処理において回収されるべき有価媒体が収納された状態となる。
全回収処理において回収されるべき有価媒体が一万円札の収納カセット32や五千円札の収納カセット34から千円札の収納カセット36に送られた後、カセット装着部26においてロック機構26aによる収納カセット36のロックが解除される。このことにより、図7(c)において矢印で示すように、操作者は千円札の収納カセット36をカセット装着部26から取り出すことができるようになる(STEP11)。また、全回収処理された有価媒体が千円札の収納カセット36に収納されていることが報知部53により操作者に報知される(STEP12)。具体的には、千円札の収納カセット36が装着されているカセット装着部26に対応するLEDランプが点灯する。このことにより、全回収処理された紙幣が、カセット装着部26に装着されている千円札の収納カセット36に収納されていることを操作者は容易に気づくことができるようになる。また、全回収処理された紙幣が、カセット装着部26に装着されている千円札の収納カセット36に収納されていることを示すイラストや文字等が操作表示部52に表示されるようになっていてもよい。また、カセット装着部26においてロック機構26aによる収納カセット36のロックが解除された後、当該収納カセット36が有価媒体処理装置10の筐体の前面から操作者側(すなわち、図1における右方向)に自動的に飛び出すようになっていてもよい。この場合でも、全回収処理された紙幣が、カセット装着部26に装着されている千円札の収納カセット36に収納されていることを操作者は容易に気づくことができるようになる。
このように、全回収処理を行う際に、所定の条件が満たされないときには、すなわち、全回収処理において回収されるべき有価媒体の数量が、カセット装着部22に装着された一万円札の収納カセット32の最大収納量よりも多いときには、最大収納量が比較的少ない一万円札の収納カセット32により有価媒体を回収しようとしても回収されるべき全ての有価媒体が収納カセット32に送られる前に当該収納カセット32がフル状態となってしまい、一回の処理で収納カセット32により全ての有価媒体を回収することができないという問題がある。このため、所定の条件が満たされないときには、最大収納量が比較的多い千円札の収納カセット36により有価媒体を回収することにより、一回の処理で全ての有価媒体を回収することができるようにする。
なお、上記の説明では、全回収処理が行われる際の「所定の条件」が、全回収処理において回収されるべき有価媒体の数量が、カセット装着部22に装着された一万円札の収納カセット32の最大収納量以下であるような態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。他の例では、「所定の条件」として、全回収処理において回収されるべき有価媒体が収納される収納カセットが装着されるカセット装着部が所定の位置であることが条件となっていてもよい。具体的には、所定の条件は、収納カセットをカセット装着部から取り出して運搬する操作者にとってアクセスしやすい位置(より詳細には、操作者が、かがまなくてもよい位置)に、全回収処理において回収されるべき有価媒体が収納される収納カセットが装着されるカセット装着部が存在することとしてもよい。また、更に別の例では、全回収処理において回収されるべき有価媒体が収納される収納カセットを操作者が操作表示部52等により指定することができるようになっていてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の有価媒体処理装置10やこのような有価媒体処理装置10による有価媒体処理方法によれば、着脱可能な一万円札の収納カセット32(第1のカセット)が装着された状態において、当該収納カセット32に収納されている第1の種別の有価媒体(具体的には、一万円札)が繰出可能であるカセット装着部22(カセット装着部)と、千円札の収納カセット36(第2のカセット)が接続された状態において、当該収納カセット36に収納されている第2の種別の有価媒体(具体的には、千円札)が繰出可能であるカセット装着部26(カセット接続部)がそれぞれ設けられている。そして、制御部50は、残置回収処理を行う際に、カセット装着部26(カセット接続部)に接続された千円札の収納カセット36(第2のカセット)に収納されている第2の種別の有価媒体のうち、残置回収処理において回収されるべき有価媒体を、カセット装着部22(カセット装着部)に装着された一万円札の収納カセット32(第1のカセット)に送るよう搬送部14の制御を行うようになっている。ここで、第2の種別の有価媒体は、第1の種別の有価媒体よりも出金すべき数量が多い。また、「出金すべき数量が多い」とは、例えば、釣銭として出金すべき数量が多いことをいい、有価媒体の入金処理において各収納カセット32、34、36に有価媒体が収納された後に操作者によって操作表示部52によりキャンセルの指令が制御部50に入力されることによって各収納カセット32、34、36から繰り出されて払出部18から払い出される有価媒体は含まないものとする。
このように、有価媒体の残置回収処理を行う際に、一万円札の収納カセット32に有価媒体を送り、この収納カセット32により有価媒体を回収するようになる。ここで、千円札の収納カセット36よりも出金すべき数量が少ない一万円札の収納カセット32により有価媒体を回収する場合には、有価媒体の残置回収処理を効率良く行うことができるようになる。
より詳細に説明すると、カセット装着部22から一万円札の収納カセット32を取り出した後も、千円札の収納カセット36はカセット装着部26に接続されたままとなるため、有価媒体処理装置10において有価媒体の入金処理や出金処理を引き続き行うことができるようになる。とりわけ、釣銭としての紙幣の出金処理を行う際に、千円札の収納カセット36はカセット装着部26に接続されたままとなるため、カセット装着部22から一万円札の収納カセット32が取り出されても釣銭としての紙幣の出金処理を問題なく行うことができるようになる。このように、本実施の形態では、一万円札の収納カセット32がカセット装着部22から取り外されている状態でも有価媒体の入金処理や出金処理を行うことができるため、有価媒体の残置回収処理を効率良く行うことができる。また、一万円札は釣銭として有価媒体処理装置10から出金されることはないため、カセット装着部22から一万円札の収納カセット32が取り出されても問題はない。なお、カセット装着部22から一万円札の収納カセット32が取り出された状態で有価媒体処理装置10において一万円札の入金処理が行われた場合には、当該一万円札は搬送部14によりリジェクト部20に送られ、このリジェクト部20に集積されるようになる。
なお、上記の説明では、第1の種別の有価媒体(具体的には、一万円札)よりも出金すべき数量が多い第2の種別の有価媒体が繰出可能である第2のカセットとして千円札の収納カセット36を用いた態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。第1の種別の有価媒体(具体的には、一万円札)よりも出金すべき数量が多い第2の種別の有価媒体が繰出可能である第2のカセットとして五千円札の収納カセット34が用いられ、カセット接続部として収納カセット34が接続されるカセット装着部24が用いられるようになっていてもよい。
なお、本発明に係る有価媒体処理装置や有価媒体処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、図1等に示す有価媒体処理装置10は、複数のカセット装着部22、24、26を有するとともに各カセット装着部22、24、26に収納カセット32、34、36がそれぞれ着脱可能に装着されるようになっているが、このような態様に限定されることはない。他の例として、一万円札の収納カセット32は有価媒体処理装置10に対して着脱自在に装着されるが、五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36は有価媒体処理装置10の外部に取り外し不可となるよう設置されるようになっていてもよい。この場合には、有価媒体処理装置10は、五千円札の収納カセット34や千円札の収納カセット36がそれぞれ接続される2つのカセット接続部を有するようになる。
また、図3に示すように、上述した有価媒体処理装置10と、当該有価媒体処理装置10とは別に設けられ、この有価媒体処理装置10の管理を行う上位端末等の管理装置60とから、有価媒体処理システム1が構成されるようになっていてもよい。このような有価媒体処理システム1では、有価媒体処理装置10および管理装置60は無線または有線のLAN70により互いに通信可能に接続されるようになる。また、管理装置60には制御部62が設けられており、当該制御部62から有価媒体処理装置10にLAN70を介して指令信号が送られることにより有価媒体処理装置10の各構成部材が制御されるようになっている。より詳細には、制御部62には、有価媒体処理装置10で実行される各種処理を制御部62による制御にて実現するためのプログラムが記憶された記憶媒体64が接続されている。ここで、記憶媒体64に記憶されているプログラムは、上述した有価媒体処理装置10の記憶媒体58に記憶されたプログラム59と同様の内容となっている。このような記憶媒体64はROMやRAMなどのメモリー、フラッシュメモリ、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどのディスク状記憶媒体、その他の公知な記憶媒体から構成され得る。記憶媒体64は管理装置60に内蔵されていてもよいし、あるいは、管理装置60に対して取り付け可能な外部装置であってもよい。記憶媒体64が制御部62に接続されると、制御部62は記憶媒体64に記憶されているプログラムに沿って有価媒体処理装置10の各構成部材に処理を実行させるようになっている。
図3に示すような有価媒体処理システム1では、有価媒体処理装置10において残置回収処理を行う際に、管理装置60の制御部62は、有価媒体処理装置10のカセット装着部26(カセット接続部)に接続された千円札の収納カセット36(第2のカセット)に収納されている第2の種別の有価媒体(例えば、千円札)のうち、残置回収処理において回収されるべき有価媒体を、カセット装着部22(カセット装着部)に装着された一万円札の収納カセット32(第1のカセット)に送るよう搬送部14の制御を行うようになっている。より詳細に説明すると、有価媒体処理装置10の制御部50が当該有価媒体処理装置10の各構成部材の制御を行うのではなく、管理装置60の制御部62が有価媒体処理装置10に指令を送ることによって当該有価媒体処理装置10の各構成部材の制御を行うことにより、図4に示すフローチャートの流れに沿った動作を有価媒体処理装置10に行わせるようになっている。
また、上述した有価媒体処理装置10が搭載されるのは、商業施設等に設けられる自動券売機や電子マネーチャージ機に限定されることはない。本実施の形態による有価媒体処理装置10がショッピングセンターやコンビニエンスストア等の商業施設のフロント領域に設置されるATM、釣銭機、自動販売機、出納機等に搭載されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10が、商業施設等において電子マネーチャージ機能を備えた精算機の内部に搭載される場合には、当該有価媒体処理装置10の内部には、店舗の売上金としての紙幣と、チャージされた預かり金としての紙幣とが混在した状態で収納されるようになる。従来の有価媒体処理装置10では、このような有価媒体処理装置において、回収を行うに際しては、店舗の売上金としての紙幣と、チャージされた預かり金としての紙幣が混在した状態で、まとめて回収していた。しかしながら、店舗の売上金と、チャージされた預かり金は、回収する人物が異なる場合がある。この場合、舗の売上金と、チャージされた預かり金を別々に回収したい要望がある。この要望に対し、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、各収納カセット32、34、36において店舗の売上金としての紙幣とチャージされた預かり金としての紙幣とを混在した状態で収納するとともに、回収処理が行われる際に各収納カセット32、34、36間で紙幣を移動させることにより店舗の売上金としての紙幣とチャージされた預かり金としての紙幣とを分離して回収させるようになっている。このような技術的事項について以下に詳述する。
本実施の形態の有価媒体処理装置10において一万円札の収納カセット32に例えば10枚の一万円札が収納されているときに、チャージされた預かり金としての紙幣の回収処理の指令が制御部50に入力された場合に、このチャージされた預かり金としての紙幣の金額が10万円であるときには、一万円札の収納カセット32に収納されている紙幣の合計金額と、チャージされた預かり金としての紙幣の金額とが同じであるため、カセット装着部22においてロック機構22aによる収納カセット32のロックが解除され、操作者は一万円札の収納カセット32をカセット装着部22から取り出すことができるようになる。このことにより、チャージされた預かり金としての10万円分の紙幣を一万円札の収納カセット32により回収することができるようになる。
一方、チャージされた預かり金としての紙幣の金額が9万5千円であるときには、一万円札の収納カセット32に収納されている紙幣の合計金額が、チャージされた預かり金としての紙幣の金額よりも多いため、まず、一万円札の収納カセット32から1枚の一万円札が五千円札の収納カセット34に送られ、その後、千円札の収納カセット36から5枚の千円札が一万円札の収納カセット32に送られる。その後、カセット装着部22においてロック機構22aによる収納カセット32のロックが解除され、操作者は一万円札の収納カセット32をカセット装着部22から取り出すことができるようになる。このことにより、チャージされた預かり金としての9万5千円分の紙幣を一万円札の収納カセット32により回収することができるようになる。その後、空の収納カセット32がカセット装着部22に装着されると、五千円札の収納カセット34から一万円札の収納カセット32に1枚の一万円札が戻される。
また、チャージされた預かり金としての紙幣の金額が10万5千円であるときには、一万円札の収納カセット32に収納されている紙幣の合計金額が、チャージされた預かり金としての紙幣の金額よりも少ないため、千円札の収納カセット36から5枚の千円札が一万円札の収納カセット32に送られる。その後、カセット装着部22においてロック機構22aによる収納カセット32のロックが解除され、操作者は一万円札の収納カセット32をカセット装着部22から取り出すことができるようになる。このことにより、チャージされた預かり金としての10万5千円分の紙幣を一万円札の収納カセット32により回収することができるようになる。
また、チャージされた預かり金としての紙幣の回収処理の指令が制御部50に入力される代わりに、店舗の売上金としての紙幣の回収処理の指令が制御部50に入力された場合でも、各収納カセット32、34、36間で紙幣を移動させることにより、例えば一万円札の収納カセット32に収納されている紙幣の金額を、回収されるべき店舗の売上金としての紙幣の金額と同じにする。このことにより、店舗の売上金としての紙幣を一万円札の収納カセット32により回収することができるようになる。
このように、上述した動作を行う有価媒体処理装置10によれば、1台の装置によって店舗の売上金としての紙幣とチャージされた預かり金としての紙幣とを分離させることができるため、現金管理の厳正化を図ることができる。また、チャージされた預かり金としての紙幣を収納カセット32により回収するため、操作者がこのチャージされた預かり金としての紙幣に手を触れることなく回収することができるようになる。また、上述した有価媒体処理装置10の動作において、店舗の売上金としての紙幣とチャージされた預かり金としての紙幣とを同時に回収する場合には、2つの収納カセット(例えば、一万円札の収納カセット32および五千円札の収納カセット34)を用いることにより両方の紙幣を同時に回収するようにしてもよい。
また、上記の説明では本発明に係る有価媒体処理装置が紙幣および商品券等を含む有価媒体を処理する場合について述べたが、このような例に限定されることはない。別の例として、本発明に係る有価媒体処理装置として、例えば、紙幣のみの処理を行う紙幣処理装置が用いられてもよい。
また、本発明に係る有価媒体処理装置において、有価媒体として硬貨の処理を行うものが用いられてもよい。具体的には、有価媒体として硬貨の処理を行う有価媒体処理装置では、着脱可能な第1の硬貨収納カセットが装着された状態において、当該第1の硬貨収納カセットに収納されている第1の金種の硬貨が繰出可能であるカセット装着部と、第2の硬貨収納カセットが接続された状態において、当該第2の硬貨収納カセットに収納されている、第1の金種の硬貨よりも出金すべき数量が多い第2の金種の硬貨が繰出可能であるカセット接続部とがそれぞれ設けられている。また、カセット装着部に装着された第1の硬貨収納カセットおよびカセット接続部に接続された第2の硬貨収納カセットから繰り出された硬貨を搬送する搬送部が設けられている。そして、残置回収処理を行う際に、カセット接続部に接続された第2の硬貨収納カセットに収納されている第2の金種の硬貨のうち、残置回収処理において回収されるべき硬貨を、カセット装着部に装着された第1の硬貨収納カセットに送るようになっている。
このような有価媒体として硬貨の処理を行う有価媒体処理装置によれば、残置回収処理を行う際に、第1の硬貨収納カセットに硬貨を送り、この硬貨収納カセットにより硬貨を回収するようになる。このように、第2の硬貨収納カセットよりも収納している硬貨を出金すべき数量が少ない第1の硬貨収納カセットにより硬貨を回収することによって、硬貨の残置回収処理を効率良く行うことができる。より詳細に説明すると、カセット装着部から第1の硬貨収納カセットを取り出した後も、第1の金種の硬貨よりも出金すべき数量が多い第2の金種の硬貨が収納される第2の硬貨収納カセットはカセット接続部に接続されたままとなるため、この第2の硬貨収納カセットを用いて硬貨の入金処理や出金処理を引き続き行うことができるようになる。とりわけ、硬貨の出金処理を行う際に、第2の硬貨収納カセットはカセット接続部に接続されたままとなるため、第1の硬貨収納カセットがカセット装着部から取り出されても出金すべき数量が多い第2の金種の硬貨の出金処理を問題なく行うことができるようになる。