WO2016159179A1 - ヒト血清アルブミンを含む神経幹細胞増殖培地 - Google Patents
ヒト血清アルブミンを含む神経幹細胞増殖培地 Download PDFInfo
- Publication number
- WO2016159179A1 WO2016159179A1 PCT/JP2016/060554 JP2016060554W WO2016159179A1 WO 2016159179 A1 WO2016159179 A1 WO 2016159179A1 JP 2016060554 W JP2016060554 W JP 2016060554W WO 2016159179 A1 WO2016159179 A1 WO 2016159179A1
- Authority
- WO
- WIPO (PCT)
- Prior art keywords
- medium
- serum albumin
- cells
- human serum
- stem cells
- Prior art date
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N5/00—Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
- C12N5/06—Animal cells or tissues; Human cells or tissues
- C12N5/0602—Vertebrate cells
- C12N5/0618—Cells of the nervous system
- C12N5/0623—Stem cells
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2500/00—Specific components of cell culture medium
- C12N2500/30—Organic components
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2500/00—Specific components of cell culture medium
- C12N2500/30—Organic components
- C12N2500/36—Lipids
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2500/00—Specific components of cell culture medium
- C12N2500/50—Soluble polymers, e.g. polyethyleneglycol [PEG]
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2500/00—Specific components of cell culture medium
- C12N2500/90—Serum-free medium, which may still contain naturally-sourced components
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2501/00—Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
- C12N2501/10—Growth factors
- C12N2501/115—Basic fibroblast growth factor (bFGF, FGF-2)
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2501/00—Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
- C12N2501/20—Cytokines; Chemokines
- C12N2501/23—Interleukins [IL]
- C12N2501/235—Leukemia inhibitory factor [LIF]
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2501/00—Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
- C12N2501/998—Proteins not provided for elsewhere
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2506/00—Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells
- C12N2506/45—Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells from artificially induced pluripotent stem cells
Abstract
Description
本発明は、ヒト血清アルブミンを含む、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞増殖培地、及び当該培地を用いた神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞増殖方法等に関する。
非特許文献1には、神経幹細胞のインビトロでの培養方法として、ニューロスフィア(neurosphere)培養が記載されている。該文献では、上皮細胞成長因子(EGF)および塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む無血清培地中で神経幹細胞を浮遊培養することにより、神経幹細胞の未分化状態を維持し複分化能を保持したまま増殖させることが可能であることが示されている。
上記の接着単層培養においては、神経幹細胞は対称分裂を行い、自己複製することが報告されており、ニューロスフィア培養と比較して均一な細胞集団を提供可能であるという利点を有する。
[1] ヒト血清アルブミンを含む神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞用培地。
[2] 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化維持用である、上記[1]に記載の培地。
[3] 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の増殖促進用である、上記[1]又は[2]に記載の培地。
[4] 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化維持かつ増殖促進用である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の培地。
[5] 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞が多能性幹細胞由来である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の培地。
[6] ヒト血清アルブミンがリコンビナントのヒト血清アルブミンである、上記[1]~[5]のいずれかに記載の培地。
[7] ヒト血清アルブミンがヒト血漿由来である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の培地。
[8] 培地中に脂肪酸を含む、上記[1]~[7]のいずれかに記載の培地。
[9] 培地中の脂肪酸量が50μM以下である、上記[1]~[8]のいずれかに記載の培地。
[10] 培地中の脂肪酸量が20μM以下である、上記[1]~[9]のいずれかに記載の培地。
[11] 培地中のヒト血清アルブミン量が0.2mg/mL以上20mg/mL以下である、上記[1]~[10]のいずれかに記載の培地。
[12] 培地中のヒト血清アルブミン量が0.5mg/mL以上10mg/mL以下である、上記[1]~[11]のいずれかに記載の培地。
[13] 浮遊培養用である、上記[1]~[12]のいずれかに記載の培地。
[14] 無血清培地である、上記[1]~[13]のいずれかに記載の培地。
[15] 塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を含む、上記[1]~[14]のいずれかに記載の培地。
[16] 培地中のbFGF量が1ng/mL以上200ng/mL以下である、上記[15]に記載の培地。
[17] ヒト血清アルブミンを培地に添加することを特徴とする神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を増殖させる方法。
[18] ヒト血清アルブミンを培地に添加することを特徴とする神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化維持方法。
[19] ヒト血清アルブミンを培地に添加することを特徴とする神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を未分化維持させながら増殖促進する方法。
[20] 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞が多能性幹細胞由来である、上記[17]~[19]のいずれかに記載の方法。
[21] ヒト血清アルブミンがリコンビナントのヒト血清アルブミンである、上記[17]~[20]のいずれかに記載の方法。
[22] ヒト血清アルブミンがヒト血漿由来である、上記[17]~[20]のいずれかに記載の方法。
[23] 培地に脂肪酸が含まれることを特徴とする、上記[17]~[22]のいずれかに記載の方法。
[24] 培地中の脂肪酸量が50μM以下である、上記[17]~[23]のいずれかに記載の方法。
[25] 培地中の脂肪酸量が20μM以下である、上記[17]~[24]のいずれかに記載の方法。
[26] 培地中のヒト血清アルブミン量が0.2mg/mL以上20mg/mL以下である、上記[17]~[25]のいずれかに記載の方法。
[27] 培地中のヒト血清アルブミン量が0.5mg/mL以上10mg/mL以下である、上記[17]~[26]のいずれかに記載の方法。
[28] 該培地中で神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を浮遊培養することを特徴とする、上記[17]~[27]のいずれかに記載の方法。
[29] 上記[1]~[16]のいずれかに記載の培地並びに神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を含んでなる培養組成物。
アルブミンとは、卵白、血清、乳汁などに含まれる凝固しやすいタンパク質の総称である。アルブミンは、弱酸性から弱アルカリ性溶液(希酸、水、希アルカリ)に可溶であるが、50%の硫酸アンモニウムで塩析されず、高濃度の硫酸アンモニウムで沈殿する。分子量数万以下(45,000程度)で多くの物は等電点pI4.5~6の球状タンパク質であることが知られている。代表的なものとしては、オボアルブミン、ラクトアルブミン、血清アルブミン、パルブアルブミンなどが挙げられる。
ヒト血清アルブミンの脂肪酸担持量の測定は、当分野で通常実施されている方法またはそれに準じた方法を用いて実施することができ、例えば、遊離脂肪酸をメチルエステル化後GC-MSによる検出や、赤外分光による定量に加えてDuncombeの抽出法、アシル-CoAシンセターゼ(ACS)とアシル-CoAオキシダーゼ(ACOD)を使用したACS-ACOD法などが挙げられる。いずれも測定キットとして市販されているものを利用することができる。本発明に使用するヒト血清アルブミンは、脂肪酸担持量が高いHSAを、例えばWO2014/192938等に記載の方法により、結合する脂肪酸量を上記範囲に低減させたものであってもよく、市販の脂肪酸フリーヒト血清アルブミン(例、Essentially fatty acid free(~0.005%)、Sigma Aldrich等)を用いてもよい。組成が不明確な脂肪酸の培地への混入を避けるという観点から、脂肪酸と結合したヒト血清アルブミンを使用する場合、ヒト血清アルブミンは、(1)脂肪酸担持量の低い(通常0.02%以下、好ましくは0.005%以下)ヒト血清アルブミン、(2)(1)のヒト血清アルブミンに組成が明確な脂肪酸(例えばリノール酸)を担持させたヒト血清アルブミンのいずれかを用いることが好ましい。
上記脂肪酸担持量の低いヒト血清アルブミンを用いた場合であっても、ヒト血清アルブミンは培地中の脂肪酸と結合し得るため、培地中のヒト血清アルブミンの脂肪酸担持量は上記の値から変化し得る。
糖化反応(メイラード反応)により形成される最終糖化生成物は種々の毒性があることが知られているため、ヒト血清アルブミンは、最終糖化生成物でないことが好ましい。
本発明に使用するヒト血清アルブミンは、単量体であってもよく、多量体を形成していても良い。好ましくは、ヒト血清アルブミンは単量体である。
ヒト血清アルブミンとしては、
1)上記ヒト血清アルブミンのアミノ配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の増殖促進するタンパク質、
2)上記ヒト血清アルブミンのアミノ配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化維持効果を有するタンパク質、
などが含まれる。
上記タンパク質が神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の増殖促進効果を有するか否かは、例えば、該タンパク質を添加した培地中又はタンパク質を添加していない培地中で、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を播種し、該培地中で14日間培養後の神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の数を測定し比較することで判定できるが、これに限定されない。また、培養期間は13日以下、15日以上など適宜選択可能である。また、タンパク質が神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化維持効果を有するか否かは、例えば、該タンパク質を添加した培地中又はタンパク質を添加していない培地中で、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を播種し、該培地中で14日間培養後の神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を後述の神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞マーカーで染色し、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞マーカーで染色される細胞数を測定し比較することで判定できるが、これに限定されない。なお、上記タンパク質にはヒト血清アルブミンが含まれる。
本明細書中、神経幹細胞とは、神経系細胞(神経細胞及びグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイトなど)、並びにそれらの前駆細胞)への複分化能(multipotency)を維持し、自己複製能を有する未分化な細胞を意味する。具体的には、神経幹細胞とは、神経細胞及びグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイトなど)を最終的に生み出す能力を有し、かつ、初期化などの特別な操作を加えない限りにおいて、表皮系細胞、血球系細胞、筋肉細胞等の神経系以外の細胞を実質的に生み出さない細胞である。実質的に生み出さないとは、神経幹細胞の生み出す細胞のうち、90%以上が、神経細胞及びグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイトなど)、並びにそれらの前駆細胞(神経幹細胞を含む)のいずれかである状態を指す。
多能性幹細胞由来の神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞は自体公知の方法により、入手できる。多能性幹細胞由来の神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の作成方法としては、多能性幹細胞の浮遊培養を行い胚葉体形成を経由して神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を形成させる方法(Bain Gら,Dev Biol.1995 Apr;168(2):342-57など)、ストローマ細胞等をフィーダー細胞として使い多能性幹細胞を培養する方法、bFGFを含む無血清培地中で多能性幹細胞を浮遊培養を行う方法(Watanabe Kら,Nat Neurosci.2005 Mar;8(3):288-96など)、SMADシグナル阻害剤Noggin及びSB431542の存在下で多能性幹細胞(ES細胞等)を接着培養する方法(Chambers SMら,Nat Biotechnol.2009 Mar;27(3):275-80)、単層培養した多能性幹細胞(ES細胞等)を、glycogen synthase kinase 3(GSK3)阻害剤、transforming growth factor β(TGF-β)阻害剤、Notchシグナル阻害剤存在下で培養する方法(Li Wら,Proc Natl Acad Sci USA.2011 May 17;108(20):8299-304)などが挙げられる。
好ましくは、本発明に用いられる神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞は、ES細胞又は人工多能性幹細胞由来であり、より好ましくは人工多能性幹細胞由来である。
また、神経幹細胞は、神経幹細胞で発現することが知られている遺伝子、その転写産物、タンパク質など(神経幹細胞マーカー)により確認することもできる。
神経幹細胞マーカーとしては、細胞骨格タンパク質であるネスチン(Nestin;Science,276,66(1997))、SOX1(SRY(sex determining region Y)-box1)、SOX2(SRY(sex determining region Y)-box2)、Pax6(paired box 6)、Ki67、増殖細胞核抗原(PCNA)、脂肪酸結合タンパク質7(Fabp7、BLBPともいう)などが知られており、当業者は、これらのマーカーを適宜組み合わせて所望の神経幹細胞であることを確認することができる。本発明に適した神経幹細胞としては、例えば、SOX2陽性かつネスチン陽性である細胞が挙げられるが、これに限定されない。
神経前駆細胞で発現する遺伝子としては、Tbr2(T-box brain protein 2)、MASH1(Mammalian achaete-scute homolog 1)、ネスチン等が挙げられる。本発明に適した神経前駆細胞としては、SOX2陰性かつネスチン陽性である細胞が挙げられるが、これに限定されない。
分化した神経細胞のマーカーの例としては、βIIIチューブリン、MAP2(microtubule-associated protein)等が挙げられる。
本明細書中、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の分化が抑制されるとは、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞が生み出す全細胞のうち、分化した細胞(例えば神経細胞)の占める割合が減少することを言う。分化の抑制は、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞から神経細胞などへの分化抑制であってもよい。分化抑制されているか否かは、例えば、上述の分化マーカー(例えばβIIIチューブリン等の神経細胞マーカー)により確認することができる。
本発明の一実施形態として、本発明は、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の培養用の培地を提供する。本発明の培地は、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化性及び複分化能を維持させ、増殖を促進させる効果を有する。本発明の一実施形態として、本発明の培地は、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化維持用であり、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の増殖促進用であり、あるいは、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化維持かつ増殖促進用である。
本発明の培地をヒト神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞に用いる場合、異種由来の成分の混入を避けるという観点から、ウシ血清アルブミン等のヒト以外の動物由来の血清アルブミンを含まないことが好ましい。
本発明の培地がヒト以外の動物由来のアルブミンを含む場合であっても、異種由来の成分の混入を避けるという観点から、その量は可能な限り低減されていることが好ましい。具体的には、本発明の培地中のヒト以外の動物由来のアルブミンの量は、通常1000ng/mL以下、好ましくは500ng/mL以下、より好ましくは100ng/mL以下、さらに好ましくは10ng/mL以下、さらにより好ましくは0ng/mLである。
本発明の培地は、必須アミノ酸(L-リジン、L-ロイシン、L-イソロイシン、L-トレオニン、L-バリン、L-フェニルアラニン、L-ヒスチジン、L-トリプトファン)を含む。本発明の培地は、好ましくは、L-セリン、L-シスチン、グリシン、L-システイン、L-プロリン、L-メチオニン、L-グルタミン酸、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸及びL-アラニン、L-グルタミン、L-アルギニン、L-チロシンを含む。
本発明の培地は、イノシトール、塩化コリン、葉酸、D-パントテン酸カルシウム、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、ナイアシンアミド、ビタミンB12、リボフラビン(ビタミンB2)、D-ビオチン、D-グルコース、ピルビン酸ナトリウム、ヒポキサンチン、チミジン、リポ酸、プトレシン塩酸塩から成る群より選択される培地添加物を1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上含む。
本発明において培地中のbFGFの量の上限値は、所望の効果を達成し得る限り制限されないが、好ましくは1000ng/mL以下、より好ましくは500ng/mL以下、さらに好ましくは200ng/mL以下である。
本発明において培地中のbFGFの量の下限値は、所望の効果を達成し得る限り制限されないが、好ましくは0.1ng/mL以上、より好ましくは1ng/mL以上、さらに好ましくは10ng/mL以上である。
本発明において培地中のbFGFの量は、所望の効果を達成し得る限り制限されないが、好ましくは0.1ng/mL~1000ng/mL、より好ましくは1ng/mL~200ng/mL、さらに好ましくは10ng/mL~200ng/mLである。
一態様として、本発明の培地は、bFGF(終濃度10ng/mL~200ng/mL)を含む。
また、本発明の培地は、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の分化を促進させる効果を有する物質(本明細書中、神経分化促進物質ともいう)を実質的に含まないことが好ましい。
神経分化促進物質の例としては、BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)、GDNF(Glial cell line-derived neurotrophic factor)、cAMP(Cyclic adenosine monophosphate)、dbcAMP(dibutyryl cAMP)、DAPT(tert-butyl (2S)-2-[[(2S)-2-[[2-(3,5-difluorophenyl)acetyl]amino]propanoyl]amino]-2-phenylacetate)、compound E(N-[(1S)-2-[[(3S)-2,3-Dihydro-1-methyl-2-oxo-5-phenyl-1H-1,4-benzodiazepin-3-yl]amino]-1-methyl-2-oxoethyl]-3,5-difluorobenzeneacetamide)、SU5402(2-[(1,2-Dihydro-2-oxo-3H-indol-3-ylidene)methyl]-4-methyl-1H-pyrrole-3-propanoic acid)、SU6668(3-[2,4-dimethyl-5-[(E)-(2-oxo-1H-indol-3-ylidene)methyl]-1H-pyrrol-3-yl]propanoic acid; Orantinib; 3-[2, 4-dimethyl-5-[(E)-(2-oxo-1H-indol-3-ylidene)methyl]-1H-pyrrol-3-yl] propanoic acid)が挙げられる。
神経分化促進物質を実質的に含まないとは、神経分化促進物質が含まれていても神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の分化を促進し得ない量であり、用いる神経分化促進物質の種類によって適宜設定される。
より好ましくは、本発明の培地に含まれる神経分化促進物質の濃度は、0μMである。
所望の効果を達成し得る限り限定されるものではないが、培地には通常リノール酸が使用されている。
本発明において、培地中の脂肪酸の量は、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の増殖促進及び未分化性の維持等の所望の効果を達成し得る限り、あるいは所望の効果に悪影響を及ぼさない限り特に限定されないが、50μM以下、好ましくは25μM以下、より好ましくは22μM以下、更に好ましくは20μM以下、更により好ましくは20μM未満である。脂肪酸の濃度が60μMの場合では、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞のうち、その多数が通常よりも増殖能が低い黒色の異形スフィアを形成する細胞となる点で望ましくなく、培地中の脂肪酸の量は50μM以下が望ましく、量が少ないほど黒色の異形スフィアが形成されにくくなるので望ましい。
本発明の培地は、通常の基礎培地に含まれる程度の量の脂肪酸を含むことが好ましく、その量は、好ましくは0.01μM以上、より好ましくは0.05μM以上、さらに好ましくは0.1μM以上である。
本発明において培地中の脂肪酸濃度は、所望の効果を達成し得る限り制限されないが、好ましくは0.01μM~50μM、より好ましくは0.05μM~25μM、さらに好ましくは0.05μM~22μM、さらにより好ましくは0.1μM~22μM、最も好ましくは0.1μM~20μMである。
本発明の培地が脂肪酸と結合しているヒト血清アルブミンを含む場合、上記「培地中の脂肪酸の量」は、培地中の遊離脂肪酸の量に加え、ヒト血清アルブミンと結合している脂肪酸の量も含む。
脂肪酸と結合したヒト血清アルブミンを添加して本発明の培地を作製する場合、所望の培地脂肪酸量を達成できるよう、脂肪酸担持量が適切なヒト血清アルブミンを使用して本発明の培地を作製することが望ましい。
2種以上の脂肪酸が本発明の培地中に含まれている場合には、その合計量が上記範囲となるように設定されることが好ましい。
本発明の一実施形態として、本発明は、ヒト血清アルブミンを培地に添加することを特徴とする神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の培養方法を提供する。当該方法は、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を増殖させ、未分化を維持する方法でもある。
神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を4日以上続けて培養する場合、3日に一回、好ましくは2日に一回培地を交換することが好ましい。
また、接着培養により神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を培養する場合においても、培養器は細胞接着性であることが好ましい。細胞接着性の培養器は、培養器の表面の細胞との接着性を向上させる目的で、細胞外マトリックス(ECM)等の任意の細胞支持用基質又はそれらの機能をミミックする人工物でコーティングされたものであり得る。細胞支持用基質は、幹細胞又はフィーダー細胞(用いられる場合)の接着を目的とする任意の物質であり得る。
本発明はさらに上記本発明の培地並びに神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を含んでなる、培養組成物(本明細書中、本発明の培養組成物ともいう)を提供する。該培養組成物は、細胞を培養することにより得られる結果物を含む。本発明の培養組成物に関連する各用語の定義及び態様は、上記に記載したものと同一である。
(1)ヒト多能性幹細胞からニューロスフィアへの誘導
B27サプリメント(1x;Life Technologies)、bFGF(PeproTech inc.)、hLIF(Millipore)、Y27632(和光純薬工業)を添加したMedia hormone mix(MHM)培地を作成し、iPS細胞をTrypLETM Selectで単一細胞に分散したものを該培地中で、37℃、5% CO2、4%O2環境下で浮遊培養を行った。培地の交換は7日に一回、行った。培養後、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞は球状の細胞塊であるニューロスフィアを形成した。
B27サプリメント(1x;Life Technologies)、bFGF(最終濃度20ng/mL;PeproTech inc.)、hLIF(最終濃度10ng/mL;Millipore)を添加したMedia hormone mix(MHM)培地(Life Technologies)を作成し、ヒト多能性幹細胞より誘導した神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を該培地中で、37℃、5% CO2、4%O2環境下で浮遊培養を行った。培地の交換は7日に一回、行った。培養後、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞は球状の細胞塊であるニューロスフィアを形成した。
(2)で培養したニューロスフィアを用いて培地の機能評価を行った。bFGF(最終濃度20ng/mL)、hLIF(最終濃度10ng/mL)を添加したMedia hormone mix(MHM)培地(Life Technologies)を作成し被検基礎培地とした。この被検基礎培地にヒト血清アルブミン(Essentially fatty acid free(~0.005%)、Sigma Aldrich)をそれぞれ最終濃度0.2、1、2.1mg/mLとなるように添加した培地(ヒト血清アルブミン添加培地)又は未添加な培地(コントロール培地)中でニューロスフィア培養を行い、ヒト血清アルブミンの機能評価を行った。7日に一度培地交換を行い、14日間培養後、顕微鏡下で形成されたニューロスフィアの形態の観察を行った。結果を図1に示す。(尚、(3)の培養開始前に、(3)に記載の培養前に用いた培地の持ち込みを極力抑えられるよう、培養前に用いた培地を希釈し十分に取り除いた。)
コントロール培地で培養したニューロスフィアは、14日間の培養後に、球状の形態を失い、分化した神経細胞に見られる突起の伸びた細胞形態を示した。一方、1mg/mLヒト血清アルブミン添加培地、2.1mg/mLヒト血清アルブミン添加培地中で培養したニューロスフィアは、14日間の培養後も球状の形態を維持し、培養前と比較してニューロスフィアが大きくなっていた。これらの培地中で培養したニューロスフィアでは分化した細胞に見られる突起の伸びた細胞形態は示さなかった。0.2mg/mLヒト血清アルブミン添加培地で培養したニューロスフィアは、一部において分化した細胞に見られる突起の伸びた細胞形態が観察されたが、コントロール培地と比較して突起の数が少なく球状形態を維持しているニューロスフィアも多数観察された。
この結果から、ヒト血清アルブミン濃度依存的なニューロスフィアの分化抑制傾向が示された。ヒト血清アルブミンの量が0.2mg/mL以上で球状形態を維持しているニューロスフィアが多数観察されるが、特にヒト血清アルブミン1mg/mL以上で良好なニューロスフィア像の形成が確認された。
ヒト血清アルブミン添加培地中で培養したニューロスフィアが神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞としての性質を維持していることを実証する。
実施例1と同様に、ヒト多能性幹細胞由来のニューロスフィアを2.1mg/mLヒト血清アルブミン添加培地中で14日間培養し、その後分化誘導培養を行った。分化誘導培養のため、ヒト血清アルブミン添加培地中で培養したニューロスフィアの分散処理を行った。分散処理には、TrypLE Select(Life Technologies)を用いた。ニューロスフィア培養中の培養皿から培地を除去し、TrypLE Selectに置き換えた。TrypLE Select内で37℃、10分間インキュベートを行い、その後ピペッティングを行って、単一の細胞とした。細胞数測定は、血球計算盤を用いて行った。分散させた細胞は、1.5x105cells/wellとなるようにポリ-L-オルニチン/フィブロネクチンでコートした48ウェルプレートに播種し、B27サプリメント(1x;Life Technologies)を添加したMedia hormone mix(MHM)(Life Technologies)培地中で20日間培養した。37℃、5%CO2環境下で培養を行い、培地交換は2日に一度行った。
培養後、細胞を固定し、神経細胞マーカーであるβIIIチューブリンに対する抗体を用いて免疫染色を行った。結果を図2に示す。
分化誘導培養した細胞は、βIIIチューブリン陽性の神経細胞を多数含んでいた。ヒト血清アルブミン添加培地中で培養したニューロスフィアは効率的に神経細胞に分化し得ることが示された。
ヒト血清アルブミン添加培地にさらに脂肪酸を添加し機能評価を行った。実施例3の目的は、脂肪酸担持量の多いヒト血清アルブミンの作用を確認することである。
実施例1と同様に2.1mg/mLヒト血清アルブミン添加培地を作成した。この培地に、それぞれ最終濃度20μM、60μMとなるようにオレイン酸(東京化成工業)を添加した培地、又はオレイン酸を添加していない培地を作成し、これらの培地中でニューロスフィア培養を行った。(尚、脂肪酸及びヒト血清アルブミンを含む培地は、脂肪酸をあらかじめ所定の濃度のヒト血清アルブミン溶液と混合し、該混合液を培地に添加することによっても作製できる。)培地中のオレイン酸のほぼ100%がHSAと結合していると見積もられる。7日に一度培地交換を行い、14日間培養後、顕微鏡下で形成されたニューロスフィアの形態の観察を行った。結果を図3に示す。
20μMオレイン酸添加培地中で培養したニューロスフィアは、脂肪酸を添加していない培地中で培養したニューロスフィアと同様の良好なニューロスフィアの形態を示した。一方、60μMオレイン酸添加培地中で培養したニューロスフィアでは、黒色の異形スフィアの形態を示すものが多数確認された。
(1)Long-term self-renewing neuro epithelial-like stem cells(以下LtNES細胞)誘導法
iPS細胞よりEBを形成し、E6培地(Life TechnologiesまたはSTEMCELL Technologies)からアスコルビン酸及びトランスフェリンを除いた組成に相当する培地にトランスフェリン(終濃度0.5~10μg/mL)、エタノールアミン(終濃度5~50μM)を添加した培地中にて、4日間培養した。ポリLオルニチン(PO)コートしたdishにEBを播種し、上記培地中で10日程度培養し、Rosette様の構造が形成されることを確認した。Rosette部分をくり抜き、ニューロスフィアとして上記培地中で浮遊培養を7日程度行った。ニューロスフィアをトリプシン/EDTAにて分散し、PO/ラミニンコートしたdish上で上記培地中にて培養し、LtNES細胞を作成した。LtNES細胞は、神経幹細胞及び神経前駆細胞が混在したものである。
なお、上記E6培地(Essential 6培地)については、Life Technologies社ホームページ<URL:http://www.lifetechnologies.com/order/catalog/product/A1516401>において、E8培地をベースとした製法で作られ、bFGFとTGFβを含まないことが記載されている。なお、E8培地(Essential 8培地)については、Nat Methods 2011 May;8(5):424-429に記載されている。
また、上記E6培地の成分は、Stem Cells.2014 Apr;32(4),1032-42の要約中にも記載されている。
E6培地(Life TechnologiesまたはSTEMCELL Technologies)からアスコルビン酸及びトランスフェリンを除いた組成に相当する培地に、トランスフェリン(終濃度0.5~10μg/mL)、エタノールアミン(終濃度5~50μM)、bFGF(終濃度5~100ng/mL)を添加して、被検基礎培地を作成した。
被検基礎培地に、ヒト血清由来アルブミン(Sigma Aldrich)を終濃度0、0.21、1、2.1mg/mLとなるように添加した被検培地を作成した。
各被検培地を用い、ヒト多能性幹細胞より誘導したLtNES細胞(1.5×105細胞)を培養した。細胞の培養は、37℃、5%CO2雰囲気下のインキュベーター内で行った。2日に一度培地交換を行い、4~5日間培養した。培養後、被検培地の代わりにTrypLE Selectを添加し、37℃、1分間インキュベートして細胞分散処理を行った。TrypLE Selectを培地で希釈後、ピペッティングを行い、単一の細胞とし、細胞数をカウントし、評価した。細胞数測定は、トリパンブルー(ライフテクノロジーズ社)による死細胞染色を行った上で、血球計算盤で行った。
結果を図4に示す。1mg/mLヒト血清アルブミン添加培地において細胞数が最も増加し、0.21、2.1mg/mLヒト血清アルブミン添加培地においても細胞は良好な増殖を示した。
Claims (29)
- ヒト血清アルブミンを含む神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞用培地。
- 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化維持用である、請求項1に記載の培地。
- 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の増殖促進用である、請求項1又は2に記載の培地。
- 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化維持かつ増殖促進用である、請求項1に記載の培地。
- 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞が多能性幹細胞由来である、請求項1~4のいずれか一項に記載の培地。
- ヒト血清アルブミンがリコンビナントのヒト血清アルブミンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の培地。
- ヒト血清アルブミンがヒト血漿由来である、請求項1~5のいずれか一項に記載の培地。
- 培地中に脂肪酸を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の培地。
- 培地中の脂肪酸量が50μM以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の培地。
- 培地中の脂肪酸量が20μM以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の培地。
- 培地中のヒト血清アルブミン量が0.2mg/mL以上20mg/mL以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の培地。
- 培地中のヒト血清アルブミン量が0.5mg/mL以上10mg/mL以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の培地。
- 浮遊培養用である、請求項1~12のいずれか一項に記載の培地。
- 無血清培地である、請求項1~13のいずれか一項に記載の培地。
- 塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の培地。
- 培地中のbFGF量が1ng/mL以上200ng/mL以下である、請求項15に記載の培地。
- ヒト血清アルブミンを培地に添加することを特徴とする神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を増殖させる方法。
- ヒト血清アルブミンを培地に添加することを特徴とする神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の未分化維持方法。
- ヒト血清アルブミンを培地に添加することを特徴とする神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を未分化維持させながら増殖促進する方法。
- 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞が多能性幹細胞由来である、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
- ヒト血清アルブミンがリコンビナントのヒト血清アルブミンである、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
- ヒト血清アルブミンがヒト血漿由来である、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
- 培地に脂肪酸が含まれることを特徴とする、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
- 培地中の脂肪酸量が50μM以下である、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
- 培地中の脂肪酸量が20μM以下である、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
- 培地中のヒト血清アルブミン量が0.2mg/mL以上20mg/mL以下である、請求項17~25のいずれか一項に記載の方法。
- 培地中のヒト血清アルブミン量が0.5mg/mL以上10mg/mL以下である、請求項17~26のいずれか一項に記載の方法。
- 該培地中で神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を浮遊培養することを特徴とする、請求項17~27のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1~16のいずれかに記載の培地並びに神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を含んでなる培養組成物。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
CN201680019208.5A CN107429234A (zh) | 2015-03-30 | 2016-03-30 | 含人血清白蛋白的神经干细胞增殖培养基 |
EP16773060.5A EP3279318A4 (en) | 2015-03-30 | 2016-03-30 | Human serum albumin-containing culture medium for growth of neural stem cells |
CA2981277A CA2981277A1 (en) | 2015-03-30 | 2016-03-30 | Human serum albumin-containing culture medium for growth of neural stem cells |
JP2017510155A JP6780638B2 (ja) | 2015-03-30 | 2016-03-30 | ヒト血清アルブミンを含む神経幹細胞増殖培地 |
SG11201707858TA SG11201707858TA (en) | 2015-03-30 | 2016-03-30 | Human serum albumin-containing culture medium for growth of neural stem cells |
KR1020177031294A KR20170132281A (ko) | 2015-03-30 | 2016-03-30 | 사람 혈청 알부민을 포함하는 신경 줄기세포 증식 배지 |
US15/718,445 US20180016554A1 (en) | 2015-03-30 | 2017-09-28 | Human serum albumin-containing culture medium for growth of neural stem cells |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015069979 | 2015-03-30 | ||
JP2015-069979 | 2015-03-30 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
US15/718,445 Continuation US20180016554A1 (en) | 2015-03-30 | 2017-09-28 | Human serum albumin-containing culture medium for growth of neural stem cells |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
WO2016159179A1 true WO2016159179A1 (ja) | 2016-10-06 |
Family
ID=57006861
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
PCT/JP2016/060554 WO2016159179A1 (ja) | 2015-03-30 | 2016-03-30 | ヒト血清アルブミンを含む神経幹細胞増殖培地 |
Country Status (8)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20180016554A1 (ja) |
EP (1) | EP3279318A4 (ja) |
JP (1) | JP6780638B2 (ja) |
KR (1) | KR20170132281A (ja) |
CN (1) | CN107429234A (ja) |
CA (1) | CA2981277A1 (ja) |
SG (1) | SG11201707858TA (ja) |
WO (1) | WO2016159179A1 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017141900A1 (ja) * | 2016-02-16 | 2017-08-24 | 学校法人慶應義塾 | 多能性幹細胞の神経幹細胞への分化用培地及びその使用 |
CN107663516A (zh) * | 2017-11-02 | 2018-02-06 | 北京全式金生物技术有限公司 | 一种人神经干细胞培养基及应用 |
CN108070558A (zh) * | 2017-11-24 | 2018-05-25 | 吉林省拓华生物科技有限公司 | 一种临床级神经干细胞的制备方法 |
WO2021235377A1 (ja) * | 2020-05-18 | 2021-11-25 | 株式会社マイオリッジ | 目的細胞の生産方法、目的細胞による生産物の生産方法、および無血清培地 |
US11697796B2 (en) * | 2017-01-23 | 2023-07-11 | Stemcell Technologies Canada Inc. | Media and methods for enhancing the survival and proliferation of stem cells |
JP7477983B2 (ja) | 2020-02-12 | 2024-05-02 | 株式会社カネカ | 細胞凝集抑制剤 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102218683B1 (ko) * | 2019-07-18 | 2021-02-22 | 한국과학기술원 | 실록산 중합체 기반 암줄기세포 제조 방법 |
CN110713982A (zh) * | 2019-11-25 | 2020-01-21 | 深圳科学之门生物工程有限公司 | 一种用于神经干细胞快速扩增的培养基 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003125759A (ja) * | 2001-08-10 | 2003-05-07 | Norio Sakuragawa | ヒト羊膜間葉細胞由来ヒト神経幹細胞 |
JP2008533995A (ja) * | 2005-04-01 | 2008-08-28 | エヌエスジーン・アクティーゼルスカブ | ヒト不死化神経前駆細胞系 |
WO2014192938A1 (ja) * | 2013-05-30 | 2014-12-04 | 味の素株式会社 | 幹細胞の培養用培地 |
Family Cites Families (20)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20030044977A1 (en) * | 2001-08-10 | 2003-03-06 | Norio Sakuragawa | Human stem cells originated from human amniotic mesenchymal cell layer |
CA2473360A1 (en) * | 2002-01-25 | 2003-08-07 | Genzyme Corporation | Serum-free media for chondrocytes and methods of use thereof |
JP4868199B2 (ja) * | 2004-09-10 | 2012-02-01 | 学校法人鈴鹿医療科学大学 | サルビアノール酸bを有効成分とする神経幹細胞増殖剤 |
CN101189327A (zh) * | 2005-04-01 | 2008-05-28 | Ns基因公司 | 人无限增殖神经前体细胞系 |
GB0615327D0 (en) * | 2006-03-30 | 2006-09-13 | Univ Edinburgh | Culture medium containing kinase inhibitors and uses thereof |
GB0623635D0 (en) * | 2006-11-27 | 2007-01-03 | Stem Cell Sciences Uk Ltd | Pluripotent cell growth media |
US20080213892A1 (en) * | 2007-03-02 | 2008-09-04 | The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University | Self-renewal of neural stem cells is promoted by wnt proteins |
WO2009011139A1 (ja) * | 2007-07-13 | 2009-01-22 | Mitsubishi Tanabe Pharma Corporation | 細胞の単離方法、細胞用無血清培養培地および細胞の培養方法 |
US8093053B2 (en) * | 2008-03-17 | 2012-01-10 | Uti Limited Partnership | Methods and compositions for culturing of neural precursor cells |
EP2105499A1 (en) * | 2008-03-28 | 2009-09-30 | Technische Universität Berlin | Methods for producing de novo papillae and hair microfollicles and their use for in vitro tests and in vivo implantations |
NZ593415A (en) * | 2008-12-05 | 2014-04-30 | Inviragen Inc | Compositions, methods and uses for inducing viral growth |
US9279107B2 (en) * | 2010-08-05 | 2016-03-08 | Wisconsin Alumni Research Foundation | Simplified basic media for human pluripotent cell culture |
CA2810488A1 (en) * | 2010-09-07 | 2012-03-15 | Technion Research & Development Foundation Limited | Novel methods and culture media for culturing pluripotent stem cells |
CN102127164B (zh) * | 2010-12-20 | 2013-01-30 | 武汉禾元生物科技有限公司 | 一种从水稻种子中提取重组人血清白蛋白的方法 |
PL2663638T3 (pl) * | 2011-01-12 | 2020-02-28 | Oligogen Inc. | Sposób hodowli w celu uzyskania i utrzymania czystej lub wzbogaconej populacji ssaczych nerwowych komórek macierzystych i/lub nerwowych komórek progenitorowych, które są podatne na różnicowanie w komórki linii oligodendrocytarnej in vitro |
RU2013142066A (ru) * | 2011-02-14 | 2015-03-27 | Интернэшнл Стем Селл Корпорейшн | Способы и композиции для получения персонифицированных мультипотентных нейрональных стволовых клеток |
KR102211266B1 (ko) * | 2013-01-31 | 2021-02-04 | 아지노모토 가부시키가이샤 | 다능성 줄기 세포의 안정한 미분화 유지 증식을 실시하기 위한 배양 방법 |
EP2956147B1 (en) * | 2013-02-12 | 2022-08-24 | Reneuron Limited | Method of producing microparticles |
US20140271584A1 (en) * | 2013-03-15 | 2014-09-18 | The Research Foundation For The State University Of New York | Methods and Compositions for Direct Reprogramming of Somatic Cells to Stem Cells, and Uses of these Cells |
CN104560875B (zh) * | 2014-12-26 | 2017-10-20 | 中国农业科学院特产研究所 | 一种哺乳动物三叉神经节细胞的体外分离培养方法及应用 |
-
2016
- 2016-03-30 KR KR1020177031294A patent/KR20170132281A/ko not_active Application Discontinuation
- 2016-03-30 JP JP2017510155A patent/JP6780638B2/ja active Active
- 2016-03-30 CN CN201680019208.5A patent/CN107429234A/zh active Pending
- 2016-03-30 EP EP16773060.5A patent/EP3279318A4/en not_active Withdrawn
- 2016-03-30 SG SG11201707858TA patent/SG11201707858TA/en unknown
- 2016-03-30 WO PCT/JP2016/060554 patent/WO2016159179A1/ja active Application Filing
- 2016-03-30 CA CA2981277A patent/CA2981277A1/en not_active Abandoned
-
2017
- 2017-09-28 US US15/718,445 patent/US20180016554A1/en not_active Abandoned
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003125759A (ja) * | 2001-08-10 | 2003-05-07 | Norio Sakuragawa | ヒト羊膜間葉細胞由来ヒト神経幹細胞 |
JP2008533995A (ja) * | 2005-04-01 | 2008-08-28 | エヌエスジーン・アクティーゼルスカブ | ヒト不死化神経前駆細胞系 |
WO2014192938A1 (ja) * | 2013-05-30 | 2014-12-04 | 味の素株式会社 | 幹細胞の培養用培地 |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
See also references of EP3279318A4 * |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017141900A1 (ja) * | 2016-02-16 | 2017-08-24 | 学校法人慶應義塾 | 多能性幹細胞の神経幹細胞への分化用培地及びその使用 |
JPWO2017141900A1 (ja) * | 2016-02-16 | 2019-01-24 | 学校法人慶應義塾 | 多能性幹細胞の神経幹細胞への分化用培地及びその使用 |
US11697796B2 (en) * | 2017-01-23 | 2023-07-11 | Stemcell Technologies Canada Inc. | Media and methods for enhancing the survival and proliferation of stem cells |
CN107663516A (zh) * | 2017-11-02 | 2018-02-06 | 北京全式金生物技术有限公司 | 一种人神经干细胞培养基及应用 |
CN108070558A (zh) * | 2017-11-24 | 2018-05-25 | 吉林省拓华生物科技有限公司 | 一种临床级神经干细胞的制备方法 |
CN108070558B (zh) * | 2017-11-24 | 2022-01-28 | 吉林省拓华生物科技有限公司 | 一种临床级神经干细胞的制备方法 |
JP7477983B2 (ja) | 2020-02-12 | 2024-05-02 | 株式会社カネカ | 細胞凝集抑制剤 |
WO2021235377A1 (ja) * | 2020-05-18 | 2021-11-25 | 株式会社マイオリッジ | 目的細胞の生産方法、目的細胞による生産物の生産方法、および無血清培地 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN107429234A (zh) | 2017-12-01 |
SG11201707858TA (en) | 2017-10-30 |
EP3279318A4 (en) | 2018-08-29 |
JP6780638B2 (ja) | 2020-11-04 |
JPWO2016159179A1 (ja) | 2018-01-25 |
KR20170132281A (ko) | 2017-12-01 |
EP3279318A1 (en) | 2018-02-07 |
CA2981277A1 (en) | 2016-10-06 |
US20180016554A1 (en) | 2018-01-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2016159179A1 (ja) | ヒト血清アルブミンを含む神経幹細胞増殖培地 | |
JP2009542247A (ja) | 細胞増殖培地 | |
JP6744084B2 (ja) | 幹細胞由来の分化細胞用培地、幹細胞からの分化細胞の製造及び該分化細胞を含む細胞医薬組成物の製造のための方法 | |
JP7445268B2 (ja) | 未分化維持培地添加剤 | |
US10968429B2 (en) | Chelated iron-containing culture medium for neural stem cells | |
JP2021106585A (ja) | 多能性幹細胞のための培養培地 | |
US20190024047A1 (en) | Medium for neural stem cells enhancing neural differentiation ability | |
WO2018193949A1 (ja) | ドパミン神経細胞の調製方法 | |
US20230002729A1 (en) | Cell culture medium composition | |
WO2017188082A1 (ja) | 培地添加剤 | |
WO2022215640A1 (ja) | 動物細胞培養用の培地添加剤、動物細胞培養用の培地添加剤の製造方法、および細胞の培養方法 | |
JP2023531963A (ja) | 多能性細胞懸濁物を培養するための方法及び組成物 | |
WO2019187918A1 (ja) | 分化コントロール化合物を用いて造腫瘍性をもつおそれのある未分化iPS細胞等の混入を除去する方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
121 | Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application |
Ref document number: 16773060 Country of ref document: EP Kind code of ref document: A1 |
|
ENP | Entry into the national phase |
Ref document number: 2017510155 Country of ref document: JP Kind code of ref document: A |
|
WWE | Wipo information: entry into national phase |
Ref document number: 11201707858T Country of ref document: SG |
|
ENP | Entry into the national phase |
Ref document number: 2981277 Country of ref document: CA |
|
NENP | Non-entry into the national phase |
Ref country code: DE |
|
ENP | Entry into the national phase |
Ref document number: 20177031294 Country of ref document: KR Kind code of ref document: A |