WO2015064561A1 - 貯蔵安定性の改善されたポリマー微粒子含有硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献3には、硬化性樹脂とグリシジル基を有するビニル単量体と架橋性単量体を共重合させたグラフト共重合体から成る硬化性樹脂組成物が開示されている。該組成物は経時での粘度上昇が抑制され、得られる硬化物は耐衝撃性、接着強度に優れる旨の記載がある。特許文献3では、貯蔵後の組成物の粘度が上昇する機構として、グラフト部とマトリックス樹脂との親和性が高い為に経時でグラフト部が膨潤傾向を示して粘度が高くなる旨の記載があり、貯蔵後の組成物の粘度上昇を、グラフト部に架橋性モノマーを共重合して改善する技術が開示されている。しかし、特許文献3では、特定の無機充填材との組み合わせに起因する組成物の粘度上昇については示唆していない。また、グラフト部のグリシジル基を有するビニル単量体と、組成物の粘度上昇率との関係について記載されていない。また、特許文献3の実施例の硬化物の耐衝撃性(シャルピー衝撃強さ)は、比較例の衝撃強さと比較して、必ずしも向上していない。更に、特許文献3では、耐衝撃剥離接着強さに関して、なんら記載されていない。なお、耐衝撃剥離接着強さの様な動的剥離接着性とT字剥離強度の様な静的剥離接着性との間には相関がない。
ところが、特定の量のエポキシ基を含有し、ジエン系ゴムをコア層に有するグラフト共重合体であるポリマー微粒子と、ヒュームドシリカを含有するエポキシ樹脂組成物は、貯蔵後に組成物の粘度が上昇するという課題が存在することが判明した。このような貯蔵安定性の課題は、ヒュームドシリカ無添加系では見られず、特許文献3に記載されている結晶性シリカや溶融シリカ等のヒュームドシリカ以外の無機充填剤を添加しても貯蔵後の粘度上昇は見られなかった。
一般に、車両用構造接着剤は一液型で使用される場合が多く、耐衝撃剥離接着性と貯蔵安定性との両立が極めて重要な課題であった。
しかしながら、前記特許文献に記載の前記改質剤と、ポリマー微粒子とを含有する硬化性樹脂組成物は、貯蔵安定性が悪かったり、耐衝撃剥離接着性が十分ではない場合があり、耐衝撃剥離接着性と貯蔵安定性との両立が極めて重要な課題であった。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)100質量部と、コア層がジエン系ゴムであるコアシェル構造を有し、エポキシ基の含有量が0.01~0.2mmol/gであるポリマー微粒子(B)1~100質量部を含有することを特徴としており、好ましくは第一の態様及び第二の態様のいずれかに分けられる。
第二の態様は、(A)成分が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、ゴム変性エポキシ樹脂および/またはウレタン変性エポキシ樹脂とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物(II)である。
第一の態様は、特に高いチキソ性が得られる点で有利であり、第二の態様は、特に良好な接着性を示す点で有利である。
本発明の硬化性樹脂組成物の主成分として、エポキシ樹脂(A)を使用する。
本発明の第一の態様である硬化性樹脂組成物(I)では、エポキシ樹脂としては特に制限はないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA(又はF)型エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテルなどの難燃型エポキシ樹脂、p-オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m-アミノフェノール型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジル-o-トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンジオキシド、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリコールジグリシジルエーテル、脂肪族多塩基酸のジグリシジルエステル、グリセリンのような二価以上の多価脂肪族アルコールのグリシジルエーテル、キレート変性エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂などのような不飽和重合体のエポキシ化物、含アミノグリシジルエーテル樹脂や、上記のエポキシ樹脂にビスフェノールA(又はF)類または多塩基酸類等を付加反応させて得られるエポキシ化合物などが例示されるが、これらに限定されるものではなく、一般に使用されているエポキシ樹脂が使用され得る。
(A)成分中キレート変性エポキシ樹脂の使用量は、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~3質量%である。
前記のエポキシ樹脂の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂は、得られる硬化物の弾性率が高く、耐熱性および接着性に優れ、比較的安価である為好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。
ゴム変性エポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ウレタン変性エポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)成分100質量部に対して、コア層がジエン系ゴムであるコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)1~100質量部を使用する。(B)成分の靱性改良効果により、得られる硬化物は靱性および耐衝撃剥離接着性に優れる。
なお、体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)は、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製)を用いて測定し、MvをMnで除することによって求めることができる。
(B)成分は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
≪コア層≫
コア層は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物の靱性を高める為に、ゴムとしての性質を有する弾性コア層であることが好ましい。ゴムとして性質を有するためには、本発明の弾性コア層は、ゲル含量が60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。なお、本明細書でいうゲル含量とは、凝固、乾燥により得られたクラム0.5gをトルエン100gに浸漬し、23℃で24時間静置した後に不溶分と可溶分を分別したときの、不溶分と可溶分の合計量に対する不溶分の比率を意味する。
本発明では、必要により、中間層を形成させてもよい。特に、中間層として、以下のゴム表面架橋層を形成させてもよい。得られる硬化物の靱性改良効果および耐衝撃剥離接着性改良効果の点からは、中間層を含有しない事、特に以下のゴム表面架橋層を含有しないことが好ましい。
中間層が存在する場合、コア層100質量部に対する中間層の割合は、0.1~30質量部が好ましく、0.2~20質量部がより好ましく、0.5~10質量部がさらに好ましく、1~5質量部が特に好ましい。
ポリマー微粒子の最も外側に存在するシェル層は、シェル層形成用モノマーを重合したものであるが、ポリマー微粒子(B)成分と(A)成分との相溶性を向上させ、本発明の硬化性樹脂組成物、又はその硬化物中においてポリマー微粒子が一次粒子の状態で分散することを可能にする役割を担うシェルポリマーからなる。
エポキシ基を有するモノマーは、シェル層の形成に使用することが好ましく、シェル層のみに使用することがより好ましい。
これらのモノマー成分は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シェル層は、上記モノマー成分の他に、他のモノマー成分を含んで形成されてもよい。
(コア層の製造方法)
本発明で用いるポリマー微粒子を構成するコア層の形成は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などによって製造することができ、例えばWO2005-028546号パンフレットに記載の方法を用いることができる。
中間層は、中間層形成用モノマーを公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。コア層を構成するゴム弾性体をエマルジョンとして得た場合には、ラジカル重合性二重結合を2以上有するモノマーの重合は乳化重合法により行うことが好ましい。
本発明の第一の態様である硬化性樹脂組成物(I)では、(A)成分100質量部に対して、無機充填材(C)を0.5~30質量部含有することが必須である。その中でも特に、平均粒子径が5~500nmのケイ酸および/またはケイ酸塩である無機充填材を使用することが好ましい。本発明の第一の態様である硬化性樹脂組成物(I)では、ヒュームドシリカを含有することが必須である。
なお、(C)成分は、本発明の第二の態様である硬化性樹脂組成物(II)においても、必要に応じて使用することができる。
湿式シリカの表面処理剤としては、前記疎水性ヒュームドシリカの表面処理剤として記載した前述の各化合物が挙げられる。
(C)成分は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
本発明では、必要に応じてエポキシ樹脂硬化剤(D)を使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を仮に一成分型組成物(一液型硬化性樹脂組成物など)として使用する場合、80℃以上、好ましくは140℃以上の温度まで加熱すると接着剤が急速に硬化するように(D)成分を選択するのが好ましい。逆に、室温(約22℃)や少なくとも50℃までの温度では硬化するとしても非常にゆっくりとなるよう、(D)成分および後述の(E)成分を選択するのが好ましい。
上記硬化剤(D)の中でも、潜在性エポキシ硬化剤は、本発明の硬化性樹脂組成物を一液化できるため好ましい。
(D)成分は、組成物を硬化させるのに十分な量で使用する。典型的には、組成物中に存在するエポキシド基の少なくとも80%を消費するのに十分な硬化剤を供給する。エポキシド基の消費に必要な量を超える大過剰量は、通常必要ない。(D)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、1~80質量部が好ましく、2~40質量部がより好ましく、3~30質量部が更に好ましく、5~20質量部が特に好ましい。1質量部未満では、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化性が悪くなる場合がある。80質量部より多いと、本発明の硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が悪く、取り扱い難くなる場合がある。
本発明では、必要に応じて硬化促進剤(E)を使用することができる。
(E)成分は、エポキシ基と、硬化剤や接着剤の他の成分上のエポキシド反応性基との反応)を促進するための触媒である。
なお、三級アミン類やイミダゾール類は、(D)成分のアミン系硬化剤と併用することにより、硬化速度、硬化物物性、耐熱性などを向上させることができる。
(E)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.2~5質量部がより好ましく、0.5~3質量部が更に好ましく、0.8~2質量部が特に好ましい。0.1質量部未満では、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化性が悪くなる場合がある。10質量部より多いと、本発明の硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が悪く、取り扱い難くなる場合がある。
本発明では、必要に応じて酸化カルシウム(F)を使用することができる。
(F)成分は、硬化性樹脂組成物中の水分との反応により水分を除去し、水分の存在により引き起こされる種々の物性上の問題を解決する。例えば、水分除去による気泡防止剤として機能し、接着強度の低下を抑制する。
(F)成分は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
本発明では、靭性、耐衝撃性、せん断接着性、及び、剥離接着性などの性能を更に向上させる目的で、(B)成分やゴム変性エポキシ樹脂やウレタン変性エポキシ樹脂以外の強化剤を、必要に応じて使用することができる。
-R1-O- (1)
(式中、R1は、炭素原子数1から14の直鎖状もしくは分岐アルキレン基である。)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、一般式(1)におけるR1は、炭素原子数1から14の、さらに好ましくは2から4の、直鎖状もしくは分岐状アルキレン基が好ましい。一般式(1)で示される繰り返し単位の具体例としては、-CH2O-、-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、-CH2CH(C2H5)O-、-CH2C(CH3)2O-、-CH2CH2CH2CH2O-等が挙げられる。ポリエーテル系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特に、プロピレンオキシドの繰り返し単位を50質量%以上有するプロピレンオキシド重合体を主成分とする重合体から成るものは、比較的低粘度である点から好ましい。また、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレングリコール(PTMG)は、Tgが低い為に低温特性に優れ、かつ、耐熱性が高いことから好ましい。
前記ブロック剤は、それが結合する末端がもはや反応性基を有しないような態様で、ウレタンプレポリマーのポリマー鎖の末端に結合していることが好ましい。
前記強化剤は、架橋剤の残基、鎖延長剤の残基、または、その両方を含有していてもよい。
前記架橋剤の分子量は750以下が好ましく、より好ましくは50~500であり、かつ、1分子当たり少なくとも3個のヒドロキシル基、アミノ基および/またはイミノ基を有するポリオールまたはポリアミン化合物である。架橋剤は強化剤に分岐を付与し、強化剤の官能価(即ち、キャップされたイソシアネート基の1分子当たりの数)を増加させるのに有用である。
A-(NR2-C(=O)-X)a (2)
(式中、a個のR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1~20の炭化水素基である。aはキャップされたイソシアネート基の1分子当たりの平均数を表し、1.1個以上が好ましく、1.5~8個がより好ましく、1.7~6個が更に好ましく、2~4個が特に好ましい。Xは、前記ブロック剤から活性水素原子を除いた残基である。Aは、イソシアネート末端化プレポリマーから末端イソシアネート基を除いた残基である。)で表される。
強化剤は単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
本発明では、分子内に2個以上の二重結合を有するラジカル硬化性樹脂を、必要に応じて使用することができる。また、必要により、分子内に少なくとも1個の二重結合を有する分子量300未満の低分子化合物を添加することができる。前記低分子化合物は、前記ラジカル硬化性樹脂との併用により、粘度や硬化物物性や硬化速度を調整する機能を有し、ラジカル硬化性樹脂の所謂反応性希釈剤として機能するものである。更に、本発明の硬化性樹脂組成物には、ラジカル重合開始剤を添加することができる。ここで、ラジカル重合開始剤は、温度を上げる(好ましくは、約50℃~約150℃)と活性化される潜在的なタイプであることが好ましい。
本発明では、必要に応じて、モノエポキシドを使用することができる。モノエポキシドは反応性希釈剤として機能しうる。モノエポキシドの具体例としては、例えばブチルグリシジルエーテルなどの脂肪族グリシジルエーテル、あるいは例えばフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテルなどの芳香族グリシジルエーテル、例えば2-エチルヘキシルグリシジルエーテルなどの炭素数8~10のアルキル基とグリシジル基とからなるエーテル、例えばp-tertブチルフェニルグリシジルエーテルなどの炭素数2~8のアルキル基で置換され得る炭素数6~12のフェニル基とグリシジル基とからなるエーテル、例えばドデシルグリシジルエーテルなどの炭素数12~14のアルキル基とグリシジル基とからなるエーテル;例えばグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルマレエートなどの脂肪族グリシジルエステル;バーサチック酸グリシジルエステル、ネオデカン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステルなどの炭素数8~12の脂肪族カルボン酸のグリシジルエステル;p-t-ブチル安息香酸グリシジルエステルなどが挙げられる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物を光硬化する場合には、光重合開始剤を添加してもよい。かかる光重合開始剤としては、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフェニルボレートなどのアニオンとの芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩などのオニウム塩や、芳香族ジアゾニウム塩、メタロセン塩などの光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)などが挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、必要に応じて、その他の配合成分を使用することができる。その他の配合成分としては、アゾタイプ化学的発泡剤や熱膨張性マイクロバルーンなどの膨張剤、アラミド系パルプなどの繊維パルプ、顔料や染料等の着色剤、体質顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定化剤(ゲル化防止剤)、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、減粘剤、低収縮剤、有機質充填剤、熱可塑性樹脂、乾燥剤、分散剤等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)成分を主成分とする硬化性樹脂組成物中に、ポリマー微粒子(B)を含有する組成物であり、好ましくは、ポリマー微粒子(B)が1次粒子の状態で分散した組成物である。
(A)成分は、23℃で液状であると、前記第3工程が容易となる為、好ましい。「23℃で液状」とは、軟化点が23℃以下であることを意味し、23℃で流動性を示すものである。
(B)成分、(C)成分は、それぞれA液、B液のどちらか少なくとも一方に含まれていればよく、例えば、A液にのみ、B液にのみでもよく、A液とB液の両方に含まれていてもよい。
本発明には、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が含まれる。ポリマー微粒子が一次粒子の状態で分散している硬化性樹脂組成物の場合には、これを硬化することによって、ポリマー微粒子が均一に分散した硬化物を容易に得ることができる。また、ポリマー微粒子が膨潤し難く、硬化性樹脂組成物の粘性が低いことから、硬化物を作業性よく得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、任意の方法によって塗布可能である。室温程度の低温で塗布可能であり、必要に応じて加温して塗布することも可能である。本発明の硬化性樹脂組成物は、貯蔵安定性に優れる為に、加温して塗布する工法に特に有用である。
本発明の樹脂組成物を使用して、様々な基板同士を接着させる場合、例えば、木材、金属、プラスチック、ガラス等を接合することができる。自動車部品を接合することが好ましく、自動車フレーム同士の接合または自動車フレームと他の自動車部品との接合がより好ましい。基板としては、冷間圧延鋼や溶融亜鉛メッキ鋼などの鋼材、アルミニウムや被覆アルミニウムなどのアルミニウム材、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック、CFRPやGFRP等の複合材料、等の各種のプラスチック系基板が挙げられる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、航空宇宙用の構成材、特に、外装金属構成材の接合にも使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化温度は、特に限定はないが、一液型硬化性樹脂組成物として使用する場合には、50℃~250℃が好ましく、80℃~220℃がより好ましく、100℃~200℃が更に好ましく、130℃~180℃が特に好ましい。二液型硬化性樹脂組成物として使用する場合には、特に限定はないが、0℃~150℃が好ましく、10℃~100℃がより好ましく、15℃~80℃が更に好ましく、20℃~60℃が特に好ましい。
本発明の組成物は、取扱い性の点から、一液型の硬化性樹脂組成物であるのが好ましい。
本発明の組成物は、車両や航空機向けの構造用接着剤、風力発電用構造接着剤などの接着剤、塗料、ガラス繊維との積層用材料、およびプリント配線基板用材料、ソルダーレジスト、層間絶縁膜、ビルドアップ材料、FPC用接着剤、半導体・LED等電子部品用封止材等の電気絶縁材料、ダイボンド材料、アンダーフィル、ACF、ACP、NCF、NCP等の半導体実装材料、液晶パネル、OLED照明、OLEDディスプレイ等の表示機器・照明機器用封止材の用途に好ましく用いられる。特に、車両用構造接着剤として有用である。
先ず、実施例および比較例によって製造した硬化性樹脂組成物の評価方法について、以下説明する。
水性ラテックスに分散しているポリマー粒子の体積平均粒子径(Mv)は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定した。脱イオン水で希釈したものを測定試料として用いた。測定は、水の屈折率、およびそれぞれのポリマー粒子の屈折率を入力し、計測時間600秒、Signal Levelが0.6~0.8の範囲内になるように試料濃度を調整して行った。
硬化性樹脂組成物の粘度は、BROOKFIELD社製デジタル粘度計DV-II+Pro型を用いて測定した。スピンドルCPE-52を使用し、23℃で測定した。
製造例1-1;ポリブタジエンゴムラテックス(R-1)の調製
100L耐圧重合機中に、脱イオン水200質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、リン酸二水素カリウム0.25質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002質量部、硫酸第一鉄・7水和塩(FE)0.001質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS)1.5質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン(BD)100質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.015質量部、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.04質量部を投入し重合を開始した。重合開始から4時間目に、PHP0.01質量部、EDTA0.0015質量部およびFE0.001質量部を投入した。重合10時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴム粒子を含むラテックス(R-1)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.10μmであった。
耐圧重合機中に、製造例1-1で得たポリブタジエンゴムラテックス(R-1)を21質量部(ポリブタジエンゴム7質量部を含む)、脱イオン水185質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、EDTA0.002質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン(BD)93質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。PHP0.02質量部、続いてSFS0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から24時間目まで3時間おきに、それぞれ、PHP0.025質量部、及びEDTA0.0006質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.003質量部を投入した。重合30時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴムを主成分とするポリブタジエンゴムラテックス(R-2)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.20μmであった。
脱イオン水200質量部、SDS1.0質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1.0質量部、平均分子量2000の末端ヒドロキシポリジメチルシロキサン97.5質量部およびγ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン2.5質量部の混合物をホモミキサーにより10000rpmで5分間撹拌後、高圧ホモジナイザーに500barの圧力下で3回通過させてシロキサンエマルジョンを調製した。このエマルジョンを速やかに温度計、撹拌器、還流冷却器、窒素流入口、モノマーと乳化剤などの副原料の添加装置を有するガラス反応器に一括して投入した。系を撹拌しながら、30℃で反応を開始させた。6時間後、23℃に冷却して20時間放置後、系のpHを炭酸水素ナトリウムで6.8に戻して重合を終了し、ポリオルガノシロキサンゴム粒子を含むラテックス(R-3)を得た。得られたラテックスに含まれるポリオルガノシロキサンゴム粒子の体積平均粒子径は0.28μmであった。
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、モノマーと乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180質量部、EDTA0.002質量部、FE0.001質量部、SFS0.04質量部およびSDS0.5質量部を仕込み、窒素気流中で撹拌しながら45℃に昇温した。次にn-ブチルアクリレート(BA)98質量部、アリルメタクリレート(ALMA)2質量部およびクメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.02質量部の混合物を3時間要して滴下した。また、前記のモノマー混合物の添加とともに、1質量部のSDSを5質量%濃度の水溶液にしたものを3時間にわたり連続的に追加した。モノマー混合物の添加終了から1時間撹拌を続けて重合を完結し、アクリルゴム粒子を含むラテックス(R-4)を得た。得られたラテックスに含まれるアクリルゴム粒子の体積平均粒子径は0.09μmであった。
製造例2-1;コアシェルポリマーラテックス(L-1)の調製
3Lガラス容器に、製造例1-1で得たラテックス(R-1)1575質量部(ポリブタジエンゴム粒子510質量部相当)および脱イオン水315質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.024質量部、FE0.006質量部、SFS1.2質量部を加えた後、グラフトモノマー(スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)5質量部、メチルメタクリレート(MMA)35質量部)、およびクメンヒドロパーオキサイド(CHP)0.3質量部の混合物を2時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、コアシェルポリマー(B-1)のラテックス(L-1)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.11μmであった。
製造例2-1において、グラフトモノマーとして<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)5質量部、メチルメタクリレート(MMA)35質量部>の代わりに<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)10質量部、メチルメタクリレート(MMA)30質量部>を用いたこと以外は製造例2-1と同様にして、コアシェルポリマー(B-2)のラテックス(L-2)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.11μmであった。
製造例2-1において、グラフトモノマーとして<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)5質量部、メチルメタクリレート(MMA)35質量部>の代わりに<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)20質量部、メチルメタクリレート(MMA)20質量部>を用いたこと以外は製造例2-1と同様にして、コアシェルポリマー(B-3)のラテックス(L-3)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.11μmであった。
製造例2-1において、グラフトモノマーとして<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)5質量部、メチルメタクリレート(MMA)35質量部>の代わりに<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)40質量部、メチルメタクリレート(MMA)0質量部>を用いたこと以外は製造例2-1と同様にして、コアシェルポリマー(B-4)のラテックス(L-4)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.11μmであった。
製造例2-1において、グラフトモノマーとして<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)5質量部、メチルメタクリレート(MMA)35質量部>の代わりに<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)0質量部、メチルメタクリレート(MMA)40質量部>を用いたこと以外は製造例2-1と同様にして、コアシェルポリマー(B-5)のラテックス(L-5)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.11μmであった。
製造例2-1において、グラフトモノマーとして<スチレン(ST)30質量部、アクリロニトリル(AN)20質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)5質量部、メチルメタクリレート(MMA)35質量部>の代わりに<スチレン(ST)3質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)12質量部、メチルメタクリレート(MMA)75質量部>を用いたこと以外は製造例2-1と同様にして、コアシェルポリマー(B-6)のラテックス(L-6)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.11μmであった。
3Lガラス容器に、製造例1-2で得たラテックス(R-2)1575質量部(ポリブタジエンゴム粒子510質量部相当)および脱イオン水315質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.024質量部、FE0.006質量部、SFS1.2質量部を加えた後、グラフトモノマー(スチレン(ST)42質量部、アクリロニトリル(AN)15質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)6質量部、メチルメタクリレート(MMA)27質量部)、およびクメンヒドロパーオキサイド(CHP)0.3質量部の混合物を2時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、コアシェルポリマー(B-7)のラテックス(L-7)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.21μmであった。
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、製造例1-3で得たポリオルガノシロキサンゴムラテックス(R-3)250質量部(ポリオルガノシロキサンゴム粒子83質量部を含む)、及び、脱イオン水65質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.004質量部、FE0.001質量部、及びSFS0.2質量部を加えた後、イソシアヌル酸トリアリル(TAIC)2質量部、及び、CHP0.07質量部を添加し60分間攪拌した。その後、スチレン(ST)7質量部、アクリロニトリル(AN)4質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)1質量部、メチルメタクリレート(MMA)5質量部、及び、CHP0.05質量部の混合物を110分間かけて連続的に添加した。添加終了後、CHP0.065質量部を添加し、さらに1時間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマー(B-8)を含む水性ラテックス(L-8)を得た。モノマー成分の重合転化率は99%以上であった。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.30μmであった。
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、製造例1-4で調整したアクリルゴムラテックス(R-4)250質量部(アクリルゴム粒子83質量部を含む)、及び、脱イオン水65質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.004質量部、FE0.001質量部、及びSFS0.2質量部を加えた後、スチレン(ST)7質量部、アクリロニトリル(AN)4質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)1質量部、メチルメタクリレート(MMA)5質量部、及び、CHP0.08質量部の混合物を110分間かけて連続的に添加した。添加終了後、CHP0.04質量部を添加し、さらに1時間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマー(B-9)を含む水性ラテックス(L-9)を得た。モノマー成分の重合転化率は99%以上であった。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.11μmであった。
製造例3-1~3-9;分散物(M-1~M-9)の調製
25℃の1L混合槽にメチルエチルケトン(MEK)132gを導入し、撹拌しながら、それぞれ前記製造例2-1~2-9で得られたコアシェルポリマー(B-1~B-9)の水性ラテックス(L-1~L-9)を132g(ポリマー微粒子40g相当)投入した。均一に混合後、水200gを80g/分の供給速度で投入した。供給終了後、速やかに撹拌を停止したところ、浮上性の凝集体および有機溶媒を一部含む水相からなるスラリー液を得た。次に、一部の水相を含む凝集体を残し、水相360gを槽下部の払い出し口より排出させた。得られた凝集体にMEK90gを追加して均一に混合し、コアシェルポリマーを均一に分散した分散体を得た。この分散体に、(A)成分であるエポキシ樹脂(A-1:三菱化学社製、JER828EL:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)80gを混合した。この混合物から、回転式の蒸発装置で、MEKを除去した。このようにして、エポキシ樹脂にポリマー微粒子が分散した分散物(M-1~M-9)を得た。
表1に示す処方にしたがって、(A)成分であるエポキシ樹脂(A-1)(三菱化学社製「JER828EL」:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、前記製造例3-1~3-7で得られた分散物(M-1~M-7)、各種無機充填材、反応性希釈剤、(D)成分であるエポキシ硬化剤、(E)成分である硬化促進剤をそれぞれ計量し、よく混合して硬化性樹脂組成物を得た。
この硬化性樹脂組成物を、40℃で14日間貯蔵する前後で、Shear Rate(ずり速度)が2(s-1)と10(s-1)における粘度を測定した。チクソ性は、『貯蔵前の2(s-1)の粘度/貯蔵前の10(s-1)の粘度』から評価した。この値が大きいほど、チクソ性が良いことを表す。貯蔵安定性として、『貯蔵前の2(s-1)の粘度を100としたときの、貯蔵後の2(s-1)の粘度』の値を測定した。この値が大きいほど、貯蔵安定性が悪いことを表す。試験結果を表1に示す。
硬化性樹脂組成物を、寸法:25×200×0.5mmの2枚のSPCC鋼板に塗布し、接着層厚み0.25mmとなるように重ね合せ、125℃×2時間の条件で硬化させ、JIS K6854に従って、T字剥離接着強さを測定した。試験結果を表1に示す。
硬化性樹脂組成物を2枚のSPCC鋼板に塗布し、接着層厚み0.25mmとなるように重ね合せ、170℃×1時間の条件で硬化させ、ISO 11343に従って、23℃での動的割裂抵抗力を測定した。試験結果を表1に示す。
なお、表1中の各種配合剤は、以下に示すものを使用した。
≪ヒュームドシリカ(C)≫
Aerosil R202(EVONIK製、ポリジメチルシロキサンで表面処理されたヒュームドシリカ、平均粒子径:14nm、比表面積:100m2/g)、
HDK H18(WACKER製、ポリジメチルシロキサンで表面処理されたヒュームドシリカ、比表面積:120m2/g)、
Aerosil R972(EVONIK製、ジメチルジクロロシランで表面処理されたヒュームドシリカ、平均粒子径:16nm、比表面積:110m2/g)、
Aerosil 130(EVONIK製、無処理ヒュームドシリカ、平均粒子径:16nm、比表面積:130m2/g)、
クリスタライト5X(龍森製、平均粒子径:1μm)
≪溶融シリカ≫
ヒューズレックスE1(龍森製、平均粒子径:11μm)
≪膠質炭酸カルシウム≫
白艶華CCR(白石工業製、飽和脂肪酸で表面処理された膠質炭酸カルシウム、平均粒子径:80nm)
≪重質炭酸カルシウム≫
ホワイトンSB赤(白石カルシウム製、無処理重質炭酸カルシウム、平均粒子径:1.8μm)
≪酸化カルシウム(F)≫CML#31(近江化学工業製、脂肪酸で表面処理した酸化カルシウム)
≪カーボンブラック≫
MONARCH 280(Cabot製)
Cardula E10P(Momentive製、バーサチック酸グリシジルエステル)
表1中の硬化促進剤(E-1)は以下の方法により調製した。
マルカリンカーM グレードS-2(丸善石油化学製、ポリパラビニルフェノール)600gをメタノール1050ml中に溶解し、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール660gを添加し、30分間よく撹拌した。そして、該混合物中のメタノールを真空ポンプで留去して得た固体を、乳鉢で粉砕したものを、硬化促進剤(E-1)として使用した。
表2に示す処方にしたがって、(A)成分であるエポキシ樹脂(A-1)、前記製造例3-1~3-5,3-8,3-9で得られた分散物(M-1~M-5,M-8,M-9)、各種無機充填材、反応性希釈剤、(D)成分であるエポキシ硬化剤、(E)成分である硬化促進剤、をそれぞれ計量し、よく混合して硬化性樹脂組成物を得た。
この硬化性樹脂組成物を、40℃で14日間貯蔵する前後で、Shear Rate(ずり速度)が2(s-1)における粘度を測定した。貯蔵安定性として、『貯蔵前の2(s-1)の粘度を100としたときの、貯蔵後の2(s-1)の粘度』の値を測定した。この値が大きいほど、貯蔵安定性が悪いことを表す。試験結果を表2に示す。
硬化性樹脂組成物を、寸法:25×200×0.5mmの2枚のSPCC鋼板に塗布し、接着層厚み0.25mmとなるように重ね合せ、170℃×1時間の条件で硬化させ、JIS K6854に従って、23℃でのT字剥離接着強さを測定した。試験結果を表2に示す。
硬化性樹脂組成物を2枚のSPCC鋼板に塗布し、接着層厚み0.25mmとなるように重ね合せ、170℃×1時間の条件で硬化させ、ISO 11343に従って、23℃での動的割裂抵抗力を測定した。試験結果を表2に示す。
表3に示す処方にしたがって、各成分をそれぞれ計量し、よく混合して硬化性樹脂組成物を得た。
この硬化性樹脂組成物を、60℃で7日間貯蔵する前後で、Shear Rate(ずり速度)が1(s-1)と2(s-1)と10(s-1)における粘度を測定した。チクソ性は、『貯蔵前の2(s-1)の粘度/貯蔵前の10(s-1)の粘度』から評価した。この値が大きいほど、チクソ性が良いことを表す。貯蔵安定性として、『貯蔵前の1(s-1)の粘度を100としたときの、貯蔵後の1(s-1)の粘度』の値を測定した。この値が大きいほど、貯蔵安定性が悪いことを表す。試験結果を表3に示す。
<エポキシ樹脂(A)>
EPON Resin 58005(Momentive製、ゴム変性エポキシ樹脂、エラストマー濃度:40質量%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂濃度:60質量%、エポキシ当量:325~375)
EPON Resin 58006(Momentive製、ゴム変性エポキシ樹脂、エラストマー濃度:40質量%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂濃度:60質量%、エポキシ当量:330~360)
表4に示す処方にしたがって、各成分をそれぞれ計量し、よく混合して硬化性樹脂組成物を得た。
表4の各組成物を用いて、T字剥離接着強さ、動的割裂抵抗力を測定した。結果を表4に示す。
硬化性樹脂組成物を、寸法:25×200×0.5mmの2枚のSPCC鋼板に塗布し、接着層厚み0.25mmとなるように重ね合せ、170℃×1時間の条件で硬化させ、JIS K6854に従って、23℃でのT字剥離接着強さを測定した。試験結果を表4に示す。なお、T字剥離接着強さを測定した後の試験片を観察し、破壊部分が、SPCC鋼板と樹脂硬化物との界面(界面破壊)、または樹脂硬化物での破壊(凝集破壊)のいずれであるかを評価した。全て界面破壊の場合、「界面破壊」と表4に表記した。界面破壊と凝集破壊が混在している場合は、「部分凝集破壊」と表4に表記した。
硬化性樹脂組成物を2枚のSPCC鋼板に塗布し、接着層厚み0.25mmとなるように重ね合せ、170℃×1時間の条件で硬化させ、ISO 11343に従って、23℃での動的割裂抵抗力を測定した。試験結果を表4に示す。
<無機充填材>
≪ヒュームドシリカ≫
CAB-O-SIL TS-720(CABOT製、ポリジメチルシロキサンで表面処理されたヒュームドシリカ)
≪酸化カルシウム(F)≫
CML#35(近江化学工業製、表面無処理の酸化カルシウム)
Dyhard UR300(AlzChem製、1,1-ジメチル-3-フェニルウレア)
表5に示す処方にしたがって、各成分をそれぞれ計量し、よく混合して硬化性樹脂組成物を得た。
この硬化性樹脂組成物を、60℃で7日間貯蔵する前後で、Shear Rate(ずり速度)が1(s-1)と2(s-1)と5(s-1)における粘度を測定した。チクソ性は、『貯蔵前の1(s-1)の粘度/貯蔵前の5(s-1)の粘度』から評価した。この値が大きいほど、チクソ性が良いことを表す。貯蔵安定性として、『貯蔵前の2(s-1)の粘度を100としたときの、貯蔵後の2(s-1)の粘度』の値を測定した。この値が大きいほど、貯蔵安定性が悪いことを表す。試験結果を表5に示す。
なお、前述した各種配合剤以外の配合剤として、以下に示すものを使用した。
アデカレジン EPU-73B(ADEKA製、ウレタン変性エポキシ樹脂、エラストマー濃度:30~40質量%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂濃度:60~70質量%、エポキシ当量:245)
表6に示す処方にしたがって、各成分をそれぞれ計量し、よく混合して硬化性樹脂組成物を得た。
表6の各組成物を用いて、動的割裂抵抗力を測定した。結果を表6に示す。
硬化性樹脂組成物を2枚のSPCC鋼板に塗布し、接着層厚み0.25mmとなるように重ね合せ、170℃×1時間の条件で硬化させ、ISO 11343に従って、23℃での動的割裂抵抗力を測定した。試験結果を表6に示す。
YED216(三菱化学製、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)
Claims (16)
- エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、コア層がジエン系ゴムであるコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)1~100質量部、無機充填材(C)0.5~30質量部を含有する硬化性樹脂組成物であって、(B)成分中のエポキシ基の含有量が、0.01~0.2mmol/gであり、かつ、(C)成分が、ヒュームドシリカであることを特徴とする硬化性樹脂組成物(I)。
- エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、コア層がジエン系ゴムであるコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)1~100質量部を含有する硬化性樹脂組成物であって、(B)成分中のエポキシ基の含有量が、0.01~0.2mmol/gであり、かつ、(A)成分が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、ゴム変性エポキシ樹脂および/またはウレタン変性エポキシ樹脂とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物(II)。
- (A)成分100質量部に対して、更に、無機充填材(C)としてヒュームドシリカ0.5~30質量部を含有することを特徴とする請求項2に記載の硬化性樹脂組成物(II)。
- 一液型である請求項1から3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- (A)成分100質量部に対して、更に、エポキシ硬化剤(D)1~80質量部を含有する事を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- (A)成分100質量部に対して、更に、硬化促進剤(E)0.1~10質量部を含有する事を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- (A)成分100質量部に対して、更に、酸化カルシウム(F)0.1~10質量部を含有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ジエン系ゴムが、ブタジエンゴム、および/または、ブタジエン-スチレンゴムであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- (B)成分が、芳香族ビニルモノマー、ビニルシアンモノマー、および(メタ)アクリレートモノマーよりなる群から選択される1種以上のモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- (B)成分が、エポキシ基を有するモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- エポキシ基を有するモノマー成分が、グリシジルメタクリレートであることを特徴とする請求項10に記載の硬化性樹脂組成物。
- (B)成分が、該硬化性樹脂組成物中で1次粒子の状態で分散していることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- ゴム変性エポキシ樹脂がアクリロニトリル-ブタジエンゴム変性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項2から12のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1から13のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
- 請求項1から13のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる構造接着剤。
- 請求項1から13のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる車両用構造接着剤。
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