WO2014050525A1

WO2014050525A1 - 対地作業車両、対地作業車両管理システム、対地作業情報表示方法

Info

Publication number: WO2014050525A1
Application number: PCT/JP2013/074252
Authority: WO
Inventors: 田部彩; 高原一浩; 松藤和憲; 井上大嗣
Original assignee: 株式会社クボタ
Priority date: 2012-09-26
Filing date: 2013-09-09
Publication date: 2014-04-03
Also published as: EP2902984A4; CN107256579A; US9870654B2; KR102113297B1; EP2902984A1; CN107256579B; KR20150060821A; US20150243114A1; US9639998B2; US20170200332A1; CN104737214B; CN104737214A

Abstract

　走行しながら作業ユニット１ａを用いて作業を行なう作業機１または作業機１を組み込んだ管理システムが、走行状態を表す走行情報を経時的に生成する走行情報生成部３１と、作業ユニット１ａによる作業状態を表す作業情報を経時的に生成する作業情報生成部４１と、走行情報と作業情報とに基づいて作業機の走行を非作業走行と実作業走行とに区分けする走行評価部９０ｃと、走行評価部９０ｃによる区分け結果を視覚化する視覚化データを生成するデータ視覚化部９０ｄとを備えている。

Description

対地作業車両、対地作業車両管理システム、対地作業情報表示方法

　本発明は、走行しながら作業装置を用いて作業を行なう対地作業車両及び対地作業車両における情報管理技術に関する。この情報管理技術には、対地作業車両の車内に持ち込まれた携帯通信端末のディスプレイと車載ディスプレイとの連携が含まれる。

　対地作業車両の運転状態データがネットワークを介して保守管理センタに送信され、保守管理センタでその運転状態データの蓄積が行われる対地作業車両管理システムが知られている。例えば、特許文献１に開示されたネットワーク型農業機械システムでは、農業機械側に、農業機械の動作状態を検出するセンサと、検出した動作状態データを農業機械に固有の機械識別情報を付加して送信する送信手段と、農業機械の位置情報を取得する位置情報取得手段と、農業機械の異常発生時を通報する異常状態通報ボタンとが備えられている。保守管理センタには、農業機械から送信された動作状態データを受信する受信手段と、受信した動作状態データを機械識別情報に基づいて農業機械毎に分類してデータベースに蓄積するデータ蓄積手段とが設けられている。さらに農業機械には、異常状態通報ボタンが押された場合に、蓄積している所定時間前までの動作状態データを位置情報および機械識別情報と共に異常状態通報データとして保守管理センタに送信する異常状態通報処理手段が備えられている。その際、運転状態データとして、作業クラッチの入切動作データ、走行距離と作業クラッチの入切動作から作業時間・作業距離計算データ、タンクシグナルデータから刈取量計算データ、各回転数データ、脱穀データ等が取り扱われている。このネットワーク型農業機械システムでは、異常発生時から所定時間前までの動作状態データが、異常状態が発生した農業機械の機械識別情報およびその農業用車両の位置情報と共に、異常状態通報データとして送信されるので、これらの情報から、サービスマンは、農業機械の状況を的確に認識できる。しかしながら、このネットワーク型農業機械システムでは、保守管理センタは、各農業機械の異常発生に応答して蓄積された運転状態データを送信する機能を有するだけであり、そのような蓄積された運転状態データを作業評価に利用するためのデータ処理機能を備えていない。

　また、農地を区画化し、区画単位で農作業車の作業を記録する農作業車両管理装置が、特許文献２から知られている。この管理装置では、作業車のコントローラと通信できる作業管理端末機に、地図データを記憶するＤＶＤ読取装置、ＧＰＳ受信機及びジャイロセンサが備えられ、地図データから農地の外形を取り込む。この取り込んだ作業場の地図データを区画化し、局所的な情報（電柱などの障害物の存在）を記憶する。例えば、農作業車がコンバインの場合、収穫作業で得られた籾の総排出量が、圃場全体の収穫量として入力される。また、農作業車がトラクタであれば、耕耘作業で得られた耕深センサ検出値が、圃場区画毎の耕深値として、自動で記録される。この管理装置でも、農地の局所的な情報や農産物の収穫量は取り扱われているが、農作業車の作業装置自体の動作状況を示すような情報は取り扱われていない。

　また、穀粒品質を検出する検出装置を搭載し、この検出装置による検出結果に基づいて採用するべきコンバイン運転状態を報知するコンバインが特許文献３から知られている。具体的には、穀粒の含有水分の検出結果に基づいて最適脱穀値を表示し、それに基づいてオペレータが扱胴の駆動速度などを調整することができるように構成されている。このコンバインにおいても、収穫作業中の各種作業装置自体の動作状況を示すような情報は取り扱われていない。

　情報を表示する車載ディスプレイを有する対地作業車両の車内に持ち込まれた携帯通信端末のディスプレイと車載ディスプレイとの連携技術に関して、以下のような従来技術が知られている。

　車内に持ち込まれる携帯情報端末と表示機能付き車載装置とを接続し、携帯情報端末及び車載装置をより効率的に利用するための車内通信システムが、特許文献４から知られている。この車内通信システムでは、車内に設けられた室内表示装置と、室内に持ち込まれた携帯情報端末との間の通信を中継する室内通信中継装置が備えられている。室内表示装置は、入力された入力信号を携帯情報端末に転送し、携帯情報端末は、室内表示装置で表示される第1表示信号及び自己の表示部で表示される第２表示信号を生成する。第１表示信号に基づく第1表示オブジェクトと第２表示信号に基づく第２表示オブジェクトとは、同じでもよいし、大きさ、形状、色、明るさ及び時間変化の少なくともいずれかが異なっていてもよい。例えば、室内表示装置の表示部と帯情報端末の表示部とに同じ地図情報などを表示させたり、互いに異なる情報を表示させたりすることが可能である。
　つまりこの車内通信システムでは、携帯情報端末が、室内表示装置から送られてきた入力信号に基づいて、携帯情報端末が有する情報から室内表示装置に表示される第1表示オブジェクトと帯情報端末に表示される第２表示オブジェクトを生成する。しかしながら、車両側の処理装置が、車両側が有する情報から室内表示装置または携帯情報端末に表示される表示オブジェクトを生成するという構成は開示されていない。

　車両用タッチパネルを備える車両用装置とタッチパネル式携帯電話機とを接続してタッチパネル式携帯電話機の画面を車両用タッチパネルで表示させる車両用装置が特許文献５から知られている。この車両用装置では、携帯電話機のタッチパネル部に待ち受け画面を表示している場合には、この待ち受け画面の画像データ携帯電話機から車両用装置へ送信され、同様の待ち受け画面が車両用タッチパネルに表示される。さらに、携帯電話機で電話の着信があった場合に、携帯電話機１のタッチパネル部１６に表示される着信画面も携帯電話機から車両用装置へ送信され、同様の着信画面が車両用タッチパネルに表示される。つまり、携帯電話機の表示画像と同等の表示画像が車両用タッチパネルに表示される。しかしながら、車両用タッチパネルの表示画像ないしはそれに関係する画像が携帯電話機に表示される構成は開示されていない。

　また、特許文献６には、車両情報を管理する自動車情報機器及び外部のコンテンツ提供サーバと通信可能な携帯端末が開示されている。この携帯端末を持ったユーザが自動車に乗り込むと、携帯端末が周辺にある自動車情報機器を検索し、検索された自動車情報機器と携帯端末との間で通信が行われる。さらに携帯通信部によってコンテンツ提供サーバとの間でも通信が行われ、取得したコンテンツは携帯端末のディスプレイに表示される。また、コンテンツをディスプレイに表示するのではなく、コンテンツデータを自動車情報機器に送信して、コンテンツをナビゲーション装置のディスプレイに表示することも開示されている。しかしながら、自動車情報機器から得られる情報を携帯端末のディスプレイやナビゲーション装置のディスプレイに振り分けて表示させる技術は開示されていない。

特開２００４－１３９４６９号公報特開２００４－２１３２３９号公報特開平１１－３２５５０号公報特開２０１１－１６６２９０号公報（図１）特開２０１２－２１３１４１号公報（図１、図６）特開２０１０－２１７９４４号公報（図１）

　上記実情に鑑み、走行しながら作業装置を用いて作業を行なっている間に、この対地作業車両が効率的に作業走行しているかどうかを客観的に評価できる情報を取得する技術が要望されている。

　さらに、上述した従来技術では、携帯通信端末を有する運転者が乗り込む先は乗用車などの一般車両となっているが、農業機械や土木機械などの対地作業車両の場合には、運転者に提供したい表示情報として対地作業に関する情報がある。この対地作業に関する情報は、多種多様であり、車載ディスプレイまたは携帯通信端末のディスプレイに単に表示するだけでは不十分である。このことから、対地作業に関する情報を含む表示情報を運転者に対して効果的に表示する技術が要望されている。

　走行しながら作業装置を用いて作業を行なう本発明による対地作業車両は、走行状態を表す走行情報を経時的に生成する走行情報生成部と、前記作業装置による作業状態を表す作業情報を経時的に生成する作業情報生成部と、前記走行情報と前記作業情報とに基づいて前記対地作業車両の走行を非作業走行と実作業走行とに区分けする走行評価部と、前記走行評価部による区分け結果を視覚化する視覚化データを生成するデータ視覚化部とを備えている。

　この構成によれば、単に作業走行中の作業装置の状態を取得するのではなく、対地作業車両の走行状態を表す走行情報と作業装置の作業状態を表す作業情報を経時的に生成し、さらにそれらの経時的な情報を評価することで対地作業車両の走行を非作業走行と実作業走行とに区分ける。これにより作業の開始から作業の終了までにおいて、有効作業走行である実作業走行と無効作業走行である非作業走行を比較することができ、作業走行が効率的であったかどうかの判定が可能となる。しかも、そのような非作業走行と実作業走行との区分け結果が視覚化されているので、人がその判定を行う際にその視覚化データを有効に利用することができる。

　本発明の好適な実施形態の１つとして、前記走行情報には走行距離データが含まれ、前記作業情報には前記作業装置の駆動時と非駆動時を示す駆動状態データが含まれるように構成されると、前記走行評価部は駆動状態データに基づいて前記非作業走行と前記実作業走行とを簡単に区分けすることができ、しかも非作業走行距離と実作業走行距離を算出することもできる。さらに、走行距離が得られると、対地作業車両の走行速度から非作業走行時間と実作業走行時間を算出することも可能となる。そのような区分けされた走行距離や走行速度の可視化データとして、対地作業車両の表示パネルのための表示データを採用すると、作業者は表示パネルも見ることで作業効率を確認することができる。このことは、作業効率の向上の動機付けとなる。

　さらに好適な実施形態の１つでは、燃料消費量を表す燃費情報を経時的に生成する燃費情報生成部が備えられ、さらに前記燃費情報に前記走行情報及び前記作業情報に関係付けることで、作業走行時の燃料消費量及び非作業走行時の燃料消費量を算出する燃費評価部が備えられている。この構成では、作業走行時の燃料消費量と非作業走行時の燃料消費量とを比較することで、今後の作業における最適作業走行軌跡の選定に役立たせることができる。

　なお、単位作業当たりの燃費を考慮することで、燃費に関するさらに密な評価を行うことができる。従って、前記作業情報には作業量が含まれており、単位作業量当たりの燃費を算出する燃費評価部が備えられている実施形態も好適である。

　農作業車や土木作業車においては、走行や作業の一時的な停止を繰り返しながら行なう作業が少なくない。従って、そのような作業車が効率的に使用されているかどうかを判定するためには、走行や作業に関する機器の動作挙動を明確にする必要がある。このため、本発明の好適な実施形態の１つでは、前記走行情報には走行用操作機器の作動時間または作動回数あるいはその両方が含まれており、前記作業情報には作業用操作機器の作動時間または作動回数あるいはその両方が含まれており、各作動時間または各作動回数あるいはその両方を積算する機器作動評価部が備えられている。例えば、走行用操作機器が走行クラッチの場合、走行クラッチのＯＮ時間とＯＦＦ時間とを、好ましくは経時的に比較することで、走行の効率を判定するための有力な情報が得られることになる。同じように、作業用操作機器が作業クラッチの場合、作業クラッチのＯＮ時間とＯＦＦ時間とを、好ましくは経時的に比較することで、作業の効率を判定するための有力な情報が得られることになる。特にそのような情報を操作パネル等に表示すると、運転者に対する仕事効率化の同期付けとなる。

　対地作業車両が米麦、とうもろこしなどの収穫機の場合、作業装置が穀桿処理装置として形成されるが、そのような実施形態においては、前記作業情報には穀粒収穫量が含まれることが提案される。走行情報と穀粒収穫量とを関係付けることにより、単位走行距離当たりの穀粒収穫量といった、作業効率を判定するための重要な指標を得ることができる。さらに、そのような指標を可視化データ化することにより、わかりやすい表示形態で操作パネル等に表示することができる。その際、作業情報に穀粒品質データも含まれているならば、単位走行距離当たりの穀粒収穫量だけでなく、その品質も付与することができるので、さらに効果的な指標を得ることができる。

　本発明の好適な実施形態の１つでは、ＧＰＳモジュールから出力される機体の位置を示す測位データを、前記走行情報及び前記作業情報に関係付けるデータリンク部が備えられている。この構成によれば、上述したような、走行情報と作業情報とから導出される評価情報を絶対的な位置情報であるＧＰＳ測位データと関係付けることで、例えば、複数の区画からなる作業地において区画毎の評価を得ることができる。さらに、この区画毎の評価を地図上に展開するような視覚化を行なうことで、対地作業車両の効率な使用に関する分かり易い視覚化情報が得られることになる。

　このように、作業車の走行評価は、絶対的な位置情報であるＧＰＳ測位データと関係づけることでより好適なものとなる。従って、本発明による、走行しながら作業装置を用いて作業を行なう対地作業車両の他の一つでは、機体の位置を示す測位データを出力するＧＰＳモジュールと、前記作業装置による作業状態を表す作業情報を経時的に生成する作業情報生成部と、前記測位データと前記作業情報とに基づいて前記対地作業車両の走行軌跡を非作業走行軌跡と実作業走行軌跡とに区分けする走行評価部と、前記走行評価部による区分け結果を視覚化する視覚化データを生成するデータ視覚化部とを備えている。

　ＧＰＳモジュールを搭載することにより、そのＧＰＳ測位データから、経時的な自車位置、つまり走行軌跡が得られる。従って、ＧＰＳモジュールを搭載した上記対地作業車両の好適な実施形態の１つでは、前記走行評価部は、前記非作業走行軌跡から非作業走行距離を算定するとともに、前記実作業走行軌跡から実作業走行距離を算定し、かつ前記データ視覚化部は前記非作業走行距離と前記実作業走行距離との比率を可視化する図表を生成する。そのような図表は、対地作業車両が効率的に作業走行しているかどうかを客観的に評価できる優れた情報である。

　上述した対地作業車両における、特に評価系の機能部、例えば走行評価部やデータ視覚化部などは、対地作業車両に搭載する必要はない。対地作業車両に装備されたコンピュータ端末をクライアントとし、管理センタのコンピュータを管理サーバとするようなネットワークコンピュータシステムを構築しても、上述した本発明の作用効果を得ることができる。なお、ここでいうコンピュータシステムはサーバ・クライアントシステムのような狭義なシステムに限定されるのではなく、クラウドシステムなど広義なシステムを意味している。そのようなネットワークコンピュータシステムを採用することで、本発明はそのまま、走行しながら作業装置を用いて作業を行なう対地作業車両と、前記対地作業車両を管理する管理サーバとからなる管理システムに適用可能である。この管理システムは、前記対地作業車両が、走行状態を表す走行情報を経時的に生成する走行情報生成部と、前記作業装置による作業状態を表す作業情報を経時的に生成する作業情報生成部とを備え、かつ前記管理サーバが、前記走行情報と前記作業情報を含む対地作業車両情報を通信回線を介して受け取るデータ入力部と、前記走行情報と前記作業情報とに基づいて前記対地作業車両の走行を非作業走行と実作業走行とに区分けする走行評価部と、前記走行評価部による区分け結果を視覚化する視覚化データを生成するデータ視覚化部と、前記視覚化データを要求先に送信するデータ出力部を備えている。このような管理システムでは、本発明の対地作業車両に関して上述された作用効果が得られるだけでなく、多数の対地作業車両をクライアントとすることで、特定の地域における多数の対地作業車両や特定メーカの多数の対地作業車両のための効率的な利用に関する評価が可能となる。

　情報を表示する車載ディスプレイを有する、本発明による対地作業車両は、対地作業に関する情報である内部生成作業情報を生成する作業情報生成部と、運転者が携帯する携帯通信端末との間でデータ交換可能なデータ入出力部と、前記内部生成作業情報から、前記車載ディスプレイに表示される第１表示データを生成する第１表示データ生成部と、前記内部生成作業情報から、前記携帯通信端末のディスプレイに表示される第２表示データを生成する第２表示データ生成部と、遠隔地の管理センタで生成されるとともに前記携帯通信端末を中継として前記データ入出力部で取得した対地作業に関する外部生成作業情報から、前記車載ディスプレイに表示される第３表示データを生成する第３表示データ生成部とを備えている。

　この構成によれば、対地作業に関する情報である内部生成作業情報から、車載ディスプレイに表示される第１表示データと携帯通信端末のディスプレイに表示される第２表示データとに分けられ、それぞれのディスプレイに表示される。これにより、対地作業車両を通常運転している運転者による視認性に優れている車載ディスプレイには、通常運転に必要とされる情報が表示され、必要に応じて運転者が手に取って注視することができる携帯通信端末のディスプレイには、短い距離で注視してほしい情報が表示されるように構成することができる。つまり、車載ディスプレイと携帯通信端末のディスプレイとが有する運転者に対する表示特性の違いを利用した、情報表示の仕分けが可能となる。また、携帯通信端末の通信機能を利用して遠隔地の管理センタから送られてきた、対地作業依頼内容などの外部生成情報を車載ディスプレイに表示することも可能であり、対地作業に関する情報を含む表示情報を効果的に運転者に対して表示することができる。

　管理センタから送られてきた外部生成情報の中にも、運転者が身近で視認できる携帯通信端末のディスプレイに表示した方が好ましい表示内容が含まれていることもある。したがって、前記外部生成作業情報から、前記携帯通信端末のディスプレイに表示される第４表示データを生成する第４表示データ生成部が備えられていることが好ましい。

　対地作業車両の運転者には熟練者もいれば非熟練者もいるし、また遠視や近視といったように運転者の視覚的能力にも違いがある。このため、運転者によって、車載ディスプレイに標示する内容と携帯通信端末のディスプレイに標示すべき内容とを変更することは好都合である。本発明の好適な実施形態の１つでは、前記データ入出力部を通じてデータ伝送可能に接続される携帯通信端末のＩＤ情報に基づいて前記運転者を認識する運転者認識部が備えられ、認識された前記運転者の登録情報に基づいて前記車載ディスプレイまたは前記携帯通信端末のディスプレイあるはその両方における表示内容が変更される。

　対地作業に関する情報である内部生成作業情報の具体的な内容は、装備されている対地作業装置の動作状態データや車両走行状態データであるが、対地作業装置の種別によって、車両の走行状態を示すデータが重要となる場合と、対地作業装置の動作状態を示すデータが重要となる場合がある。このことから、前記内部生成作業情報には、装備されている対地作業装置の動作状態データまたは車両走行状態データあるいはその両方が含まれることが好適である。また、特に農作業などでの同一の対地作業地に対して時期を変えて繰り返し対地作業を行うことが少なくない。したがって、過去の対地作業結果データや、そのような過去の対地作業結果データに裏付けられた対地作業目標データは、対地作業車両の運転にとって重要となる。このことから、前記外部生成作業情報には、対象対地作業地における過去の対地作業結果データまたは外部で決定された対地作業目標データあるいはその両方が含まれることが好適である。

　対地作業の種類、対地作業地の特性、対地作業地の環境等などによって、装備されている対地作業装置も異なり、またその運転方法を異なってくる。したがって、そのような情報を含む対地作業属性情報に基づいて、内部生成作業情報から第１表示データに含まれる内容と第２表示データに含まれる内容とを区分けすることは利点がある。

　携帯通信端末は通信機能を有するので、それを利用すれば、少なくともおおよその端末の存在位置を検知することができる。特に、作業時において端末の存在位置が作業地から離れていることが検知されて場合には、何か特別な事態が生じたことも考えられる。そのようなことを考慮すれば、前記携帯通信端末の存在場所に基づいて、前記携帯通信端末に送られる表示データの内容が変更されることは好適である。特に携帯通信端末の存在位置を正確に把握できる場合、例えば、携帯通信端末を持って運転者が対地作業車両から降りているか、もしくは車載ディスプレイを見ることができない位置にいることが検知されて場合には、すべての情報を携帯通信端末のディスプレイで表示させると好都合である。

　上述したような、対地作業車両の車内に持ち込まれた携帯通信端末のディスプレイと車載ディスプレイとの連携は、携帯通信端末にインストールされる対地作業情報表示プログラム、そのようなプログラムを記録した記録媒体、さらにはそのような連携を実施する方法によって実現可能であることから、プログラム、記録媒体、方法もこの発明の権利の対象となる。例えば、対地作業情報表示プログラムに関しては、遠隔地の管理センタで生成されるとともにデータ通信回線を通じて受信された対地作業に関する外部生成作業情報から、内蔵ディスプレイに表示される内部表示データを生成する内部表示データ生成機能と、前記外部生成作業情報から、前記車載ディスプレイに表示される外部表示データを生成する外部表示データ生成機能と、前記外部表示データを前記データ入出力部に送信する機能とをコンピュータに実現させる対地作業情報表示プログラムが提案される。
　また、上述した、種々の好適な実施形態で得られる作用効果を得るように、対地作業情報表示プログラムを構成することも可能である。例えば、前記対地作業車両の内部で生成されるとともに前記対地作業車両から送られてきた対地作業に関する内部生成作業情報から、前記内蔵ディスプレイに表示される表示データを生成する機能をさらにコンピュータに実現させるように対地作業情報表示プログラムを構成することができる。内部に記録されている所有者のＩＤ情報を用いて前記対地作業車両または前記管理センタに問い合わせることで取得した前記所有者の登録情報に基づいて前記車載ディスプレイまたは前記携帯通信端末のディスプレイあるはその両方における表示内容を変更するように対地作業情報表示プログラムを構成することができる。同様に、上述した本発明の農作業管理プログラムを記録した記録媒体や、本発明の対地作業情報表示方法においても同様の作用効果を得ることができる。なお、ここでの記録媒体は、ＵＳＢメモリやＳＤカード（商標名）などの一時的でない有形の媒体である。

本発明の対地作業車両ないしは対地作業車両管理システムの基本的な構成を模式的に示す基本構成図である。図１の基本構成における情報の流れを模式的に示す説明図である。図１の基本構成にいくつかのオプション機能を追加した基本構成図である。図３の基本構成における情報の流れを模式的に示す説明図である。対地作業車両の一例としてのコンバインの側面図である。コンバインの運転室の内部空間を概略的に示す模式図である。コンバインの作業評価データが図表化され、ディスプレイに表示された画面図である。町村レベルの大きな地域において、農作評価データが図表化され、ディスプレイに表示された画面図である。畦で囲まれた農地において、微小区画単位に農作評価データが図表化され、ディスプレイに表示された画面図である。本発明による対地作業車両と携帯通信端末との間で協調された情報表示の基本構成の１つを示す模式図である。本発明による対地作業車両と携帯通信端末との間で協調された情報表示の基本構成の他の１つを示す模式図である。本発明による対地作業車両と携帯通信端末との間で協調された情報表示の基本構成のさらに別な１つを示す模式図である。コンバインとスマートフォンと管理センタとに構築された、本発明に関する機能部を示す機能ブロック図である。コンバインとスマートフォンと管理センタとの間のデータの流れを示すチャート図である。コンバインとスマートフォンとの間のデータの流れを示すチャート図である。

　本発明の第１の実施形態における、対地作業車両ないしは対地作業車両管理システムの基本的な仕組みを説明する。図１は、対地作業車両及び対地作業車両管理システムの基本的な構成を模式的に示す。図２は図１の基本構成における情報（データ）の流れを模式的に示す。

　ここでの対地作業車両１は、直線走行と旋回走行を組み合わせて作業地全体を走行しながら、作業装置１ａを作動させて作業を行う。図１では、対地作業車両１が、情報処理系として、互いに車載ＬＡＮによって接続された第１コントロールユニットＣ１と第２コントロールユニットＣ２とを搭載しているように描かれている。しかしながら、これは、車載ＬＡＮをインターネットなどのＷＡＮに置き換えると、第１コントロールユニットＣ１を搭載した対地作業車両と、当該第１コントロールユニットＣ１と無線回線を介してＷＡＮ接続される第２コントロールユニットＣ２を構築した管理コンピュータとからなる対地作業車両管理システムとみなすことも可能である。

　対地作業車両１には、走行用クラッチなどの走行用操作機器１０Ａ、作業用クラッチなどの作業用操作機器１０Ｂ、走行状態を検出する走行状態検出センサ２１、作業状態を検出する作業状態検出センサ２２が備えられている。対地作業車両１の運転室には、運転者に種々の情報を視覚的に報知する表示ユニット６２が設けられている。

　第１コントロールユニットＣ１には、走行情報生成部３１、作業情報生成部４１、情報管理部３３、データ入出力部６０ａが構築されている。走行情報生成部３１は、走行状態検出センサ２１から送られてくる走行に関する検出データに基づいて走行情報を生成する。例えば、走行情報には、走行用クラッチの操作状態別時間や操作回数などの経時的な操作データや、車輪の回転数から算定できる走行距離データなどを含めることができる。作業情報生成部４１は、作業状態検出センサ２２から送られてくる作業に関する検出データに基づいて作業情報を生成する。例えば、作業情報には、作業用クラッチの操作状態別時間や操作回数などを示す経時的な操作データなどを含めることができる。情報管理部３３は、経時的に生成された走行情報と作業情報とを関係付け、必要に応じて、次の処理過程での処理に適するようにデータの変換を行う。データ入出力部６０ａは、第１コントロールユニットＣ１と第２コントロールユニットＣ２との間でデータ交換を行なうための第１コントロールユニットＣ１側のデータ入出力部である。第１コントロールユニットＣ１と第２コントロールユニットＣ２とがインターネットなどのＷＡＮで接続される場合には、データをＩＰ化するデータ変換部としても機能する。そのような形態では、データ入出力部６０ａは、例えばハードウエアである通信デバイスとソフトウエアであるＷｅｂブラウザとが統合された通信モジュールとみなされる。

　第２コントロールユニットＣ２には、データ入出力部９ａ、アプリケーション実行モジュール９ｂ、データベースモジュール９ｃが構築されている。データ入出力部９ａには、第１コントロールユニットＣ１からの情報を受け取るデータ入力部９０ａと、第１コントロールユニットＣ１へ情報を送るデータ出力部９０ｂが含まれている。アプリケーション実行モジュール９ｂは第１コントロールユニットＣ１からの情報を処理する機能を有し、通常はプログラムとプログラム実行環境から構成されている。このアプリケーション実行モジュール９ｂには、走行評価部９０ｃと、データ視覚化部９０ｄがプログラムの実行によって構築される。走行評価部９０ｃは、互いに関係付けられた、あるいは関係付け可能な走行情報と作業情報とに基づいて対地作業車両の走行を非作業走行と実作業走行とに区分けする機能を有する。データ視覚化部９０ｄは、走行評価部９０ｃによる区分け結果を視覚化する視覚化データを生成する機能を有するが、その視覚化とは、データのグラフ化やイラスト化である。例えば、区分け結果が作業走行距離と非作業走行距離であれば、作業走行距離と非作業走行距離の比率を示す円グラフや帯グラフが視覚化データとして生成される。データベースモジュール９ｃは、メモリから構成されるデータ記録部である。このデータベースモジュール９ｃには、第１コントロールユニットＣ１から送られてきた情報を実質的にそのまま記録する一次データベース部９０ｈ、走行評価部９０ｃやデータ視覚化部９０ｄからから出力された評価データや視覚化データを記録する処理結果データベース部９０ｉ、作業地等の地図データを格納している地図データベース部９０ｊが含まれている。

　図２には、上述のように構成された第１コントロールユニットＣ１と第２コントロールユニットＣ２とにおける情報の流れが例示されている。図２では、第１コントロールユニットＣ１において、時間経過と走行距離を示す走行距離データを含む走行情報と、作業装置の駆動時間と非駆動時間とのタイムチャートを示す駆動状態データを含む作業情報が実時間でリンクされるか、リンク可能な形式に変換されて、第２コントロールユニットＣ２に送られる。第２コントロールユニットＣ２では、送られてきた走行情報と作業情報とを評価して、作業走行距離及び非作業走行距離、または作業走行時間及び非作業走行時間あるいはそれら全てが評価データとして算定される。これらの評価データは、データ視覚化部９０ｄで帯グラフ化され、視覚化データとして第１コントロールユニットＣ１に送られ、表示ユニット６２に、その他の運転情報とともに表示される。

　図３には、作業効率化のために有効なさらに多くの情報を表示ユニット６２に表示するため、図１に示された基本構成にいくつかのオプション機能が追加された基本構成図が示されている。この基本構成図では、図１とは異なり、第１コントロールユニットＣ１と、図１での第２コントロールユニットとして機能する管理コンピュータシステム（サーバシステム）Ｃ３とが互いに無線回線を介してインターネットなどのＷＡＮによって接続されているように描かれている。つまり、第１コントロールユニットＣ１がクライアントとして機能し、管理コンピュータシステムＣ３がサーバとして機能する、サーバ・クライアントシステムとして構成されている。もちろん、図１のように第１コントロールユニットＣ１と管理コンピュータシステムＣ３とを車載ＬＡＮで接続する構成を採用すると、このシステムは、第１コントロールユニットＣ１と第２コントロールユニットＣ２とからなる、対地作業車両１内で閉じられたコンピュータシステムとみなすことができる。図４には、図３に示す基本構成における情報の流れが示されている。

　対地作業車両１には、経度値、緯度値、標高値を示す測位データを出力するＧＰＳモジュール２３が追加されている。この測位データはリアルタイムの走行位置ないしは作業位置を示す位置データとして走行情報生成部３１に、場合によっては作業情報生成部４１に送られる。なおここでは、対地作業車両１は、農産物の収穫を行なう農作業車両として構成されており、対地作業車両１または作業装置１ａには、収穫物の収穫量を測定する収量センサ２５と収穫物の品質を測定する品質センサ２６が追加装備されている。収量センサ２５と品質センサ２６とによる測定データは経時的に作業情報生成部４１に送られ、収穫物情報が生成され、作業情報に組み込まれる。

　第１コントロールユニットＣ１には、エンジン制御ユニット２４から燃費に関するエンジン制御データを受け取り、このエンジン制御データに基づいて燃費情報を生成する燃費情報生成部３５が追加構築されている。対地作業車両１に搭載されているエンジンがコモンレール式エンジンであれば、エンジン制御ユニット２４から、燃料噴射量や噴射回数が送られてくるので、これらから燃料消費量を算定することができる。

　ここでも、情報管理部３３は、走行情報、作業情報、燃費情報などを互いに関係付けて送信用の情報を生成し、データ入出力部６０ａを介して管理コンピュータシステムＣ３に送信（アプロード）する。管理コンピュータシステムＣ３のデータ入出力部９ａは入出力サーバとして構築され、アプリケーション実行モジュール９ｂは、複数のアプリケーションプログラムを備えたアプリケーションサーバとして構築され、データベースモジュール９ｃはデータベースサーバとして構築される。入出力サーバ９ＡがＷｅｂサーバである場合、第１コントロールユニットＣ１のデータ入出力部６０ａはＷｅｂブラウザとして機能する。

　アプリケーションサーバ（アプリケーション実行モジュール）９ｂには、走行評価部９０ｃとデータ視覚化部９０ｄ以外に、燃費評価部９０ｅと機器作動評価部９０ｆと収穫物評価部９０ｇが追加されている。燃費評価部９０ｅは、燃費情報と作業情報と走行情報とに基づいて、作業走行と燃費の関係を評価する。燃費評価部９０ｅは、作業走行と燃費との関係として、例えば、走行評価部９０ｃで導出された実作業走行時間または実作業走行距離と、非作業走行時間または非作業走行距離と、燃料消費量とを用いて、実作業中の燃費と非作業中の燃費とに関する燃費評価データを導出する。他の好適な燃費評価データの１つは作業量当たりの燃費である。この燃費評価データは視覚化データに変化され、データ入出力部（Ｗｅｂブラウザ）３４を通じて表示ユニット６２に表示される。さらに、走行評価部９０ｃによって評価される収穫機１の走行軌跡が実作業走行軌跡と非作業軌跡とに区分けされる場合、実作業走行軌跡ないしは非作業軌跡と燃費を比較評価することで、効率的な作業走行のための指標を作り出すことができる。作業と非作業との区別は、例えば、刈り取りクラッチ等の入り切りを検出して判断する。

　機器作動評価部９０ｆは、走行情報や作業情報に基づいて、走行用操作機器１０Ａや作業用操作機器１０Ｂの操作回数や操作時間を統計的に評価する。この評価結果は、走行や作業が効率的かどうかを判定する指標となる。さらに、操作回数や操作時間はデータベースサーバ６に過去のデータを含めて積算されることで、このような操作機器メンテナンスデータが導出されることになる。操作機器メンテナンスデータは対地作業車両１ごとに記録され、メンテナンス会社によるメンテナンスサービスに利用される。

　収穫物評価部９０ｇは、対地作業車両１から送られてくる作業情報から、収穫物の収穫量や品質を示す収穫物情報を取り出し、収穫量や品質に関する統計的評価を行うことで収穫評価データを生成する。例えば、この収穫評価データを、走行評価部９０ｃによって算定される対地作業車両１の走行軌跡と関係付けることで、農地における収穫量分布データや品質分布データも生成することもできる。

　次に、図面を用いて、本発明による対地作業車両１の具体的な実施形態の１つを説明する。この実施形態は図３と図４を用いて説明された対地作業車両管理システムの基本構成に準じている。対地作業車両としての収穫機はクローラ式の自脱型のコンバイン１である。図５はコンバイン１の側面図であり、エンジンによって回転駆動されるクローラ走行装置１１を備えており、中間部に運転室１３が形成されている。機体の前部に刈取部１２、後部に脱穀装置１４と穀粒タンク１５が作業装置１ａとして装備されている。模式的にしか示されていないが、脱穀装置１４から穀粒タンク１５へ穀粒を搬送する搬送コンベヤの排出口に穀粒の排出量を検出する収量センサ２５と、品質センサ２６の一例である食味計２６が装備されている。食味計２６からは、品質データとして穀粒の水分値とタンパク値の測定データが出力される。走行クラッチや変速クラッチなどの走行用操作機器１０Ａの操作状態を検出する走行状態検出センサ２１、及び刈り取りクラッチや脱穀クラッチや穀粒排出クラッチ、各種油圧シリンダ、アンローダ旋回用モータなどの作業用操作機器１０Ｂの操作状態を検出する作業状態検出センサ２２も従来通りに装備されている。

　図６は運転室１３の内部空間を概略的に示す模式図である。運転室１３には、運転席１６、各種操縦レバー、操作スイッチ、表示ユニットの一例であるメータ表示パネル６２などが配置されている。この実施形態では、第１コントロールユニットＣ１は、コンバイン１の各種ＥＣＵ及び各種センサと、これらの各種ＥＣＵやセンサと車載ＬＡＮを通じてデータ交換可能なポータブルなタブレット型コンピュータまたはスマートフォンとから構成されている。このタブレット型コンピュータまたはスマートフォンは、運転席１６の近くに設けられている装着部３Ａに装着して用いられる。この装着部３Ａは、タブレット型コンピュータまたはスマートフォンのための給電接続部及びデータ交換接続部として機能する。なお、タブレット型コンピュータまたはスマートフォンはタッチパネル式の比較的大きなディスプレイを有しているので、メータ表示パネル６２として、またはメータ表示パネル６２のサブモニタとして利用可能である。

　ここでは第１コントロールユニットＣ１を構成するタブレット型コンピュータまたはスマートフォンには、ＧＰＳモジュール２３や携帯電話回線を介してインターネットに接続可能なデータ入出力部６０ａが組み込まれている。また、走行情報生成部３１、作業情報生成部４１、情報管理部３３、燃費情報生成部３５として機能するアプリケーションがインストールされている。従って、装着部３Ａを介して、収量センサ２５からの収穫量データ、食味計２６からの水分値データやタンパク値データ、エンジン制御ユニット２４からエンジン制御データ、走行状態検出センサ２１や作業状態検出センサ２２から検出データがタブレット型コンピュータまたはスマートフォンに送られる。

　このコンバイン１は、収穫作業対象となる所定の農地に投入されると、農地を走行しながら、連続的に刈り取り処理と脱穀処理を行う。その際、第１コントロールユニットＣ１のＧＰＳモジュール２３でコンバイン１の現在位置を示す測位データ（緯度・経度・標高）を含む位置情報が生成され、実時刻と測位データからなる測位情報が第１コントロールユニットＣ１に経時的に送られる。同時に、収穫量データと品質データ（穀粒の水分値及びタンパク値）、エンジン制御データ、各種測定データも第１コントロールユニットＣ１に経時的に送られる。

　第１コントロールユニットＣ１の走行情報生成部３１では、受け取った測位データは収穫走行位置ないしは収穫作業位置を示す位置データとなり、走行情報に組み込まれる。その際、緯度と経度とからなる測位データを農地に設定された所定位置を原点とする座標系に変換して、収穫位置データをｘ座標値とｙ座標値とからなる位置データとすることができる。走行情報生成部３１では、走行距離データや走行状態検出センサ２１の機器操作データなどを位置データとともに組み込んで走行情報を生成する。作業情報生成部４１では、作業装置１ａの駆動状態を示す駆動状態データや作業状態検出センサ２２の機器操作データ、さらには収穫量データと品質データなども含めて位置データとともに組み込んで作業情報を生成する。燃費情報生成部３５は、エンジン制御データから算定した燃料消費データを位置データとともに組み込んで燃費情報を生成する。なお分かり易い説明のために、走行情報、作業情報、燃費情報を分けて説明したが、もちろん実際にはこれらの情報を全て端末情報として一体化してもよい。測位データを含むそのような各情報の関係付けは統合化あるいはさらなる分散化は情報管理部３３において行なわれる。つまり、情報管理部３３は測位データを走行情報や作業情報などと関係付けるデータリンク部としても機能する。その際、農地における特定エリアにおける、走行情報と作業情報と燃費情報に含まれた各種データの割り付けのために、例えば、収穫作業位置の測定時点とその位置で収穫された穀粒の品質測定の時間的なずれなどが、刈り取り処理と脱穀処理との時間を考慮して補正される。走行情報と作業情報と燃費情報との関係付けは、サーバとしての管理コンピュータシステムＣ３側で行なわれても良い。

　図３では、第２コントロールユニットＣ２が第１コントロールユニットＣ１に対するサーバとなる管理コンピュータシステムで構成されているので、ＷＡＮ（広域通信回線）を通じて端末から送られてきた走行情報、作業情報、燃費情報は、図１のデータベースモジュールとして機能するデータベースサーバ９ｃの一次データベース部９０ｈに記録されるとともに、図１のアプリケーション実行モジュールとして機能するアプリケーションサーバ９ｂの各アプリケーションによる処理結果としてのデータは処理結果データベース部９０ｉに記録されている。従って、ユーザからのリクエストに応じて、作業走行の効率化に関する各種情報を視覚化した視覚化データがユーザに与えられる。その際、データ視覚化部９０ｄは、地図データベース部９０ｊに格納されている地図データを用いて、地図をベースとして走行挙動や作業挙動をマクロ的またはミクロ的に図表化したグラフィカルな情報を生成することができる。この実施形態では、データ入出力部９ａは、Ｗｅｂサーバとして構築されている。Ｗｅｂサーバは、ＨＴＴＰ（HyperText Transfer Protocol）と呼ばれる通信プトローコルを用いて、第１コントロールユニットＣ１にインストールされているＷｅｂブラウザとの間でデータの送受信を行う。互いのデータの送受信のために、ＨＴＭＬ(HyperText Markup Language)やＸＭＬ(Extensible Markup Language)などによって記述された文書が用いられるが、その文書には画像や音声、さらには何らかの処理を行うプログラムを含ませることができる。

　ＨＴＭＬファイルやＸＭＬファイルではグラフィカルなイメージを簡単に扱うことができる。図７には、第１コントロールユニットＣ１のデータ入出力部６０ａを構成するＷｅｂブラウザによって表示ユニット６２に表示される作業走行評価画面の一例が示されている。なおこの表示ユニット６２に表示される内容は、装着部３Ａに装着されたタブレット型コンピュータまたはスマートフォンのディスプレイにも表示することができる。この農作評価画面のトップ画面は、畦で境界付けられた多数の農地を含む地域の地図である。各農地は、色分けされており、その内訳は、選択によって変更可能である。第１の選択では、農地は収穫作業の作業完了農地と作業未完農地で色分けされている。第２の選択では、農地は、目標収穫量以上の農地と目標収穫量未満の農地で色分けされている。

　さらに、図７のトップ画面には、さらに農作管理センタに登録されている複数のコンバイン１の現在位置を示すアイコンも表示されている。特定のコンバインをクリックすることによりそのコンバイン１及びそのコンバインによって実施されているコンバイン作業に関する情報を表示するサブウインドウが示されている。ここでは、サブウインドウには、コンバイン１の機体番号、機体位置、作業者名、作業ステータス、アワーメータ、燃料消費量、燃料費、燃料残量、作業時間、既作業面積と未作業面積の比、エンジンセット回転数、最高水温、平均作業速度、これらに基づいて判断された作業効率レベルが含まれている。このようなコンバイン作業に関する情報農作業車両情報は、コンバイン１の第１コントロールユニットＣ１から管理コンピュータシステムＣ３に送られて処理され、リアルタイムにデータベースサーバ６に記録されているものである。

　図８には、表示ユニット６２に表示される農作評価画面の一例が示されている。この農作評価画面のトップ画面も、畦で境界付けられた多数の農地を含む地域の地図である。このトップ画面において、特定の農地をクリックすることによりその農地に関する、農地情報と農作物情報、さらにオプションとしての農作業車両情報を表示するサブウインドウが示されている。ここでは、農地情報には、農地名、面積、作物、作業進捗、肥料（種別や量）、農薬（種別や量）が含まれており、農作物情報には、玄米収穫量、平均タンパク、平均水分が含まれている。なお、農作業車両情報には、消費燃料、作業時間、エンジンセット回転数、最高水温、平均作業速度が含まれている。この農作業車両情報は、コンバイン１に搭載された第１コントロールユニットＣ１から農作に関する管理コンピュータシステムＣ３に送られてデータベースサーバ６に記録されたものである。

　図９には、図８のトップ画面で示された多数の農地から選択された特定の農地ＺＺＺが示されており、この農地ＺＺＺは所定の大きさで分割して得られた多数の微小区画から構成されている。つまり、図８のトップ画面における地域全体が図９における１つの選択された特定の農地ＺＺＺに対応しており、図８のトップ画面における多数の農地が図９における微小区画に対応している。従って、図９の画面上で特定の微小区画Ａ１をクリックすることにより、その微小区画Ａ１に関する、農地情報と農作物情報が表示される。この情報に基づいて、精密な農作管理が可能となる。さらに、本発明は、クローラ式の自脱型コンバインのみあらず、普通型のコンバインにも、また、ホイール式のコンバインにも適用可能である。

　次に、本発明の第２の実施形態における、対地作業車両ないしは対地作業車両管理システムの基本的な仕組み、特には、対地作業車両と携帯通信端末との間で協調された情報表示の基本構成を図１０と図１１と図１２とを用いて説明する。
　対地作業車両１には、コンバインや田植機やトラクタなどの農作業車両または、バケットローダやバックホウなどの土木作業車両などが含まれる。この発明で取り扱われる対地作業車両１は、第１コントロールユニットＣ１として、走行制御ＥＣＵ（電子制御ユニット）３と、作業装置ＥＣＵ４と、表示情報管理モジュール５と、表示ユニット６２とを備えている。表示ユニット６２は、表示制御部６２ａと車載ディスプレイ６２ｂとからなる。データ入出力部６０ａ各制御系構成要素は車載ＬＡＮ等のデータ伝送ラインを介して互いに接続されている。この対地作業車両１と情報表示に関して連携する携帯通信端末Ｃ２には、対地作業車両１との間でＷｉ－Ｆｉやブルートゥース(登録商標)を通じてデータ交換可能な機能、かつ遠隔地の管理センタ９との間で電話回線やインターネットなどのＷＡＮを通じてデータ交換可能な機能を有するノートパソコン、タブレットパソコン、携帯電話（特にスマートフォン）などを含む。この実施形態における第２コントロールユニットＣ２として機能する携帯通信端末（以後この携帯通信端末には符号Ｃ２を付与する）は、表示制御部６３と、ディスプレイ６４と、データ入出力部６０ｂ、回線通信部としての６５、所有者ＩＤ管理部７といった本来的に備わっている機能部以外に、実質的にプログラムによって実現する表示情報管理モジュール８を備えている。対地作業車両１のデータ入出力部６０ａと携帯通信端末Ｃ２のデータ入出力部６０ｂとは、Ｗｉ－Ｆｉやブルートゥース(登録商標)などの比較的近距離での通信、好ましくは無線通信が可能な通信部である。

　対地作業車両１の走行制御ＥＣＵ３は、車両走行に関する種々の制御情報を取り扱うＥＣＵであり、例えば、車載ＬＡＮを通じて獲得した、走行速度、エンジン回転数、走行距離、燃費などのデータを走行情報化する走行情報生成部３１を備えている。作業装置ＥＣＵ４は、装着された対地作業装置を制御するＥＣＵであり、対地作業装置の操作状態や稼働状態を示すデータを対地作業情報化する作業情報生成部４１を備えている。なお、作業情報には、管理センタ９など対地作業車両１以外で作成されるものもあるので、ここでは区別する必要がある場合には、作業情報生成部４１で生成された作業情報を内部生成作業情報と称する。

　表示情報管理モジュール５は、運転者に知らせたい情報を表示データ化して、車載ディスプレイ６２ｂあるいは携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ６４に表示する。なお、表示情報管理モジュール５で取り扱う作業情報には、作業情報生成部４１によって生成された内部生成作業情報以外に、管理センタ９から携帯通信端末Ｃ２によって中継されて受け取る外部生成作業情報も含まれている。このため、表示情報管理モジュール５は、第１表示データ生成部５１と、第２表示データ生成部５２と、第３表示データ生成部５３と、第４表示データ生成部５４とを備えている。第１表示データ生成部５１は、内部生成作業情報から車載ディスプレイ６２ｂに表示させるための第１表示データを生成する。第２表示データ生成部５２は、内部生成作業情報から携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ６４に表示させるための第２表示データを生成する。第３表示データ生成部５３は、外部生成作業情報から車載ディスプレイ６２ｂに表示させるための第３表示データを生成する。さらに、第４表示データ生成部５４は、外部生成作業情報から携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ６４に表示させるための第４表示データを生成する。

　つまり、表示情報管理モジュール５は、内部生成作業情報及び外部生成作業情報を受け取り、その内容に応じて車載ディスプレイ６２ｂで表示すべきものと携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ６４で表示すべきものとに区分けし、それぞれのディスプレイ特性に適した形態で表示されるべく第１表示データ、第２表示データ、第３表示データ、第４表示データを生成する。もちろん、場合によっては、車載ディスプレイ６２ｂで表示される内容と携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ６４で表示される内容とは重複してもよいし、まったく同一であってもよい。

　図１０に示された基本構成では、携帯通信端末Ｃ２の表示情報管理モジュール８は、対地作業車両１のデータ入出力部６０ａと携帯通信端末Ｃ２のデータ入出力部６０ｂとを介して送られてきた、第２表示データ及び第４表示データを表示制御部６３に転送して、第２表示データ及び第４表示データを携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ６４で表示させる機能だけを有している。このため、本発明に関して携帯通信端末Ｃ２に要求される処理能力は比較的低くてよい。

　次に、図１１に示された基本構成を説明する。この基本構成は、図１０に示された基本構成と相違する点は、対地作業車両１の表示情報管理モジュール５と携帯通信端末Ｃ２の表示情報管理モジュール８との機能が異なることである。その他の構成は実質的に同一なので、相違する点だけを以下に説明する。

　図１１に示された基本構成では、対地作業車両１の表示情報管理モジュール５の機能と携帯通信端末Ｃ２の表示情報管理モジュール８の機能とが、図１０に示された基本構成に比べて、逆転している。つまり、表示情報管理モジュール８は、第１表示データ生成部８１と、第２表示データ生成部８２と、第３表示データ生成部８３と、第４表示データ生成部８４とを備えている。第１表示データ生成部８１は、対地作業車両１の表示情報管理モジュール５から送られてきた内部生成作業情報から車載ディスプレイ６２ｂに表示させるための第１表示データを生成する。第２表示データ生成部８２は、内部生成作業情報から携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ６４に表示させるための第２表示データを生成する。第３表示データ生成部８３は、管理センタ９から送られてくる外部生成作業情報から車載ディスプレイ６２ｂに表示させるための第３表示データ（外部表示データ）を生成する。第４表示データ生成部８４は、外部生成作業情報から携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ（自己のディスプレイ）６４に表示させるための第４表示データ（内部表示データ）を生成する。

　つまり、携帯通信端末Ｃ２の表示情報管理モジュール８は、外部生成作業情報及び内部生成作業情報を受け取り、その内容に応じて携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ６４で表示すべきものと車載ディスプレイ６２ｂで表示すべきものとに区分けし、それぞれのディスプレイ特性に適した形態で表示されるべく第１表示データ、第２表示データ、第３表示データ、第４表示データを生成する。もちろん、ここでも場合によっては、車載ディスプレイ６２ｂで表示される内容と携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ６４で表示される内容とは重複してもよいし、まったく同一であってもよい。

　図１１に示された基本構成では、対地作業車両１の表示情報管理モジュール５は、携帯通信端末Ｃ２の表示情報管理モジュール８で振り分けられ転送されてきた第２表示データ及び第４表示データを車載ディスプレイ６２ｂで表示させる機能だけを有している。もちろん、対地作業車両１の表示情報管理モジュール５は、携帯通信端末Ｃ２が対地作業車両１に接続されていない場合には、内部生成作業情報を車載ディスプレイ６２ｂで表示させる機能を備えている。このため、対地作業車両１の表示情報管理モジュール５に要求される処理能力は比較的低くてよいが、携帯通信端末Ｃ２の表示情報管理モジュール８は、表示情報管理モジュール５より高い処理能力が要求される。

　さらに、図１２には、図１０と図１１で示された基本構成の混合タイプが示されている。すなわち、この基本構成では、内部生成作業情報は対地作業車両１の表示情報管理モジュール５がその割り振りを決定し、外部部生成作業情報は携帯通信端末Ｃ２の表示情報管理モジュール８がその割り振りを決定する。従って、対地作業車両１の表示情報管理モジュール５には、内部生成作業情報から車載ディスプレイ６２ｂに表示させるための第１表示データを生成する第１表示データ生成部５１と、内部生成作業情報から携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ６４に表示させるための第２表示データを生成する第２表示データ生成部５２が構築されている。また、携帯通信端末Ｃ２の表示情報管理モジュール８には、管理センタ９から送られてくる外部生成作業情報から車載ディスプレイ６２ｂに表示させるための第３表示データ（外部表示データ）を生成する第３表示データ生成部８３と、外部生成作業情報から携帯通信端末Ｃ２のディスプレイ（自己のディスプレイ）６４に表示させるための第４表示データ（内部表示データ）を生成する第４表示データ生成部８４とが構築されている。

　次に、図面を用いて、本発明に係る対地作業車両としてのコンバイン１と、このコンバイン１と連携する携帯通信端末Ｃ２の具体的な実施形態の１つを説明する。ここでは、コンバイン１は、図５で示されたようなコンバインであり、携帯通信端末Ｃ２は、電話機能、Ｗｉ－Ｆｉ機能、アプリケーション実行機能を有する、携帯通信端末であるスマートフォン（以後の説明ではスマートフォンに符号Ｃ２が付与される）である。

　スマートフォンＣ２は、運転者の体に装備されているが、運転席１６に設けられたクレードルに装着することも可能である。スマートフォンＣ２には、本発明を実現するために必要な種々の機能がアプリとしてインストールされている。スマートフォンＣ２は、その標準的に備えられている機能を用いて、携帯電話通信回線及びインターネットを介して、管理センタ９の管理コンピュータシステムＣ３とデータ交換可能に接続できるとともに、Ｗｉ－Ｆｉなどの無線通信プロトコルを用いてコンバイン１に搭載されたＥＣＵ（電子制御ユニット）とデータ交換可能に接続できる。

　図１３には、コンバイン１、スマートフォンＣ２、管理センタ９の管理コンピュータシステムＣ３に構築されている、特に本発明に関する機能を示す機能ブロック部が示されている。なお、この具体的な実施形態におけるコンバイン１とスマートフォンＣ２とに構築される本発明に関する基本構成は、図１０に示した基本構成を採用している。したがって、図１０を用いた説明と重複する内容の説明は省略される。

　コンバイン１には、上述した基本構成に含まれていた走行制御ＥＣＵ３、作業装置ＥＣＵ４、表示情報管理モジュール５、データ入出力部６０ａ、表示制御部６２ａ以外に、センサ信号評価部３０、運転者認識部３２、運転者登録部３２ａ、が備えられている。走行制御ＥＣＵ３と表示情報管理モジュール５の構成は、図１０による基本構成のものと同じであるが、作業装置ＥＣＵ４には、作業情報生成部４１以外に、作業モード設定部４２、作業用機器制御部４３が含まれている。作業モード設定部４２はコンバイン１がこれから行う農作業の作業モードを設定するものである。各作業モードには多数の作業装置に対する設定用のパラメータが含まれているので、作業モード設定部４２は、特定の作業モードを作り出すための作業装置のパラメータを作業用機器制御部４３に与える。作業用機器制御部４３は、与えられた作業装置のパラメータに基づいて作業装置を実施すべき作業モードに合うように調整する。この作業モードの設定に関する種々の情報も、作業情報生成部４１によって生成される内部生成作業情報に含めることができる。

　作業装置ＥＣＵ４は、さらに付加的な機能として、コンバイン１に装備されている種々の機器の状態を監視して、例えば、センサ不良、油圧不良、操作エラーなどを検知して、必要な指令を出力する機器監視機能を有している。従って、作業情報生成部４１によって生成される内部生成作業情報には、機器監視機能によって検出された不都合も含まれている。さらに、そのような不都合を解消するためのアドバイスや正しい操作手順などの情報も内部生成作業情報に含めることができる。上述したような、作業モードの設定に関する種々の情報、不都合を解消するためのアドバイスや正しい操作手順などの情報などは、対地作業装置の動作状態データとして運転者に表示すべき情報として取り扱われる。

　さらに、作業装置ＥＣＵ４は、走行制御ＥＣＵ３の走行情報生成部３１で生成された走行情報である車両走行状態データを受け取り、この車両走行状態データを内部生成作業情報として、表示情報管理モジュール５に与えることも可能である。

　センサ信号評価部３０は、収量センサ２５や食味計２６を含む各種センサと接続されており、各種測定データを必要とする機能部に転送する。運転者認識部３２は、スマートフォンＣ２から送られてきたスマートフォンＣ２のＩＤ情報に基づいて、このコンバイン１に乗り込んだ運転者を認識する。認識された運転者に関する情報、例えば、コンバイン１の操作に関する熟練度は、運転者登録部３２ａから読み出すことができる。この運転者に関する情報に基づいて、表示情報管理モジュール５は、内部生成作業情報や外部生成作業情報から車載ディスプレイ６２ｂまたはスマートフォンＣ２のディスプレイ６４あるはその両方に表示すべき内容を決定することができる。

　スマートフォンＣ２には、ＧＰＳモジュール７０、データ入出力部６５、データ入出力部６０ｂ、表示制御部６３、操作入力評価部６３ａなどが備えられている。ＧＰＳモジュール７０は、全地球方位システムの原理で絶対位置を経緯度で測定する機能を有するので、この測位データによりスマートフォンＣ２、すなわち実質的にはコンバイン１の地図上の位置を得ることができる。ＧＰＳモジュール７０はカーナビゲーションにも内蔵されているので、コンバイン１にカーナビゲーションが搭載され、ＥＣＵと接続されている場合には、コンバイン１からコンバイン位置を取得するように構成してもよい。操作入力評価部５６は、タッチパネル６４ａによる操作入力を評価して操作指令を出力する。

　管理センタ９の管理コンピュータシステムＣ３は、データ入出力部としての入出力サーバ９Ａとアプリケーション実行モジュールとしてのアプリケーションサーバ９Ｂとデータベースモジュールとしてのデータベースサーバ９Ｃとを備えている。入出力サーバ９Ａには、スマートフォンＣ２から受け取ったデータをアプリケーションサーバ９Ｂやデータベースサーバ９Ｃに転送するデータ入力処理機能、及びアプリケーションサーバ９Ｂで生成されたデータやデータベースサーバ９Ｃから抽出されたデータをスマートフォンＣ２に送信するデータ出力機能を備えており、この実施形態では、Ｗｅｂサーバとして構成されている。なお、入出力サーバ９Ａとアプリケーションサーバ９Ｂとデータベースサーバ９Ｃは１つの統合されたコンピュータシステムに構築されるのではなく、クラウドシステムのような分散化ないしは仮想化されたコンピュータシステムであってもよい。

　アプリケーションサーバ９Ｂには、圃場管理部９１と農作業管理部９２と運転者管理部９３と車両管理部９４とがソフトウエアで構築されている。圃場管理部９１は、農家や農業団体などからの情報入力に基づいて、圃場番号、圃場名称、圃場住所、圃場地図位置、圃場形状、圃場面積、圃場作付け種など圃場に関する情報である圃場情報をデータベースサーバ９Ｃと連携して管理する。農作業管理部９２は、主にコンバインなどの農作業車両ないしは農作業車両を使用している作業員のスマートフォンＣ２から送られてくる田植え、草取り、薬剤散布、施肥、刈取り収穫などの圃場別の農作業に関する情報である農作業情報をデータベースサーバ９Ｃと連携して管理する。運転者管理部９３は、この管理センタ９に登録されているコンバイン１の運転者に関する情報、例えば名前、住所、熟練度などをデータベースサーバ９Ｃと連携して管理する。車両管理部９４は、この管理センタ９に登録されているコンバイン１の情報、種別、走行履歴、作業履歴、故障履歴などをデータベースサーバ９Ｃと連携して管理する。

　この実施形態では、データベースサーバ９Ｃには、本発明に特に関係するデータベースとして農作業データベース９５、圃場地図データベース９６、作業評価データベース９７、運転者データベース９８、車両データベース９９が含まれている。農作業データベース９５は、上記の圃場情報や農作業情報を格納する。なお、農作業情報には、登録されたコンバイン１、ここではコンバイン１の設定された作業モードである登録作業モードを示すデータが含まれている。圃場地図データベース９６には、圃場番号や地図位置などにリンクされた圃場の地図が格納されており、圃場番号や圃場地図位置を検索条件として、適合する圃場及びその周辺の地図データを抽出して出力することができる。作業評価データベース９７は、コンバイン１からスマートフォンＣ２を介して送られてくる評価情報を圃場情報とリンクさせて格納する。評価情報は、圃場別に過去分のデータも含めて格納されているので、同一圃場の継時的評価を行うためにも利用される。運転者データベース９８は、登録されている運転者に関する各種情報を格納し、車両データベース９９は、登録されているコンバイン１に関する各種情報を格納している。

　従って、管理センタ９の管理コンピュータシステムＣ３から送り出される外部生成作業情報には、対象対地作業地における過去の対地作業結果データや外部で決定された対地作業目標データなども含まれている。さらには、対地作業それ自体の種類（耕耘作業、農作物収穫作業、田植え作業など）、対地作業地の特性（湿地、傾斜地など）、対地作業地の環境（風が強い、雨が多い、乾燥地など）といった情報も対地作業属性情報として、管理センタ９の管理コンピュータシステムＣ３から送り出される外部生成作業情報に含ませることができる。したがって、表示情報管理モジュール５は、受け取った対地作業属性情報に基づいて、外部生成作業情報や内部生成作業情報から、車載ディスプレイ６２ｂに表示するための情報（第１表示データ、第３表示データ）とスマートフォンＣ２のディスプレイ６４（第２表示データ、第４表示データ）に表示するため情報とを区分けすることができる。

　運転者が運転室１３から離れて、例えばコンバイン１の外にいることは、コンバイン側からはスマートフォンＣ２との間の受信強度、あるいはスマートフォンＣ２のＧＰＳモジュール７０による位置データと、コンバイン１の位置データとから判断可能である。コンバイン１の位置は、カーナビゲーションが搭載されていればそこから入手でき、また走行中のスマートフォンＣ２のＧＰＳモジュール７０による位置データをコンバイン１の位置とすることも可能である。したがって、表示情報管理モジュール５は、スマートフォンＣ２の存在場所に基づいて、スマートフォンＣ２のディスプレイ６４（第２表示データ、第４表示データ）に表示するため情報を選択することができる。特に運転者がコンバイン１の外にいることがわかると、運転者に与えるべく情報をすべてスマートフォンＣ２のディスプレイ６４に表示することも可能である。

　次に、図１４と図１５とのチャート図を用いて、コンバイン１とスマートフォンＣ２と管理コンピュータシステムＣ３との間のデータの流れを簡単な例を用いて説明する。
　まずは、図１４を用いて、作業対象となる圃場と作業内容とを確認する際の制御の流れを説明する。
　このコンバイン１が作業対象となる圃場の近辺に到着すると、作業者の操作入力に基づいて、作業装置ＥＣＵ４で作業確認イベントが発生し、この作業確認イベントが、スマートフォンＣ２に送られる（＃０１）。作業確認イベントを受け取ったスマートフォンＣ２は、現在位置を示す測位データ（緯度・経度）をＧＰＳモジュール７０から読み出し（＃０２）、作業確認イベントに組み込んで、管理センタ９の管理コンピュータシステムＣ３に転送する（＃０３）。管理コンピュータシステムＣ３では、圃場管理部９１が、受け取った作業確認イベントに応答して、圃場地図データベース９６から測位データに対応する圃場の圃場地図を抽出するとともに（＃０４）、農作業データベース９５から当該圃場に対する作業情報を抽出する（＃０５）。抽出された圃場地図と作業情報とは外部生成作業情報として送り出される（＃０６）。この外部生成作業情報は、スマートフォンＣ２を介してコンバイン１の表示情報管理モジュール５に転送される（＃０７）。

　コンバイン１の表示情報管理モジュール５は、受け取った外部生成作業情報を区分けする（＃０８）。外部生成作業情報から区分けされた圃場地図（第４表示データ）はスマートフォンＣ２に送られ、スマートフォンＣ２の表示情報管理モジュール８が、受け取った圃場地図をディスプレイ６４に表示させる（＃０９）。このディスプレイ６４に表示された圃場地図は、スマートフォンＣ２の標準機能によって拡大縮小が自在であり、運転者は簡単に作業すべき圃場を確認することができる（＃１０）。

　コンバイン１の表示情報管理モジュール５は、さらに、受け取った外部生成作業情報から作業情報を区分けし（＃１１）、この作業情報（第３表示データ）を車載ディスプレイ６２ｂに表示させる（＃１２）。この車載ディスプレイ６２ｂの表示画面には、作業内容、例えば稲収穫作業や刈取り高さなどが表示されるので、この表示画面から運転者は簡単に作業内容を確認し、刈取り高さなどを設定することができる（＃１３）。

　次に、図１５を用いて、しきい値を超える作業負荷が生じた際の制御の流れを説明する。この例では、作業負荷として脱穀負荷の増大が生じたことにする。
　コンバイン１による収穫作業の途中で、脱穀負荷の増加が生じると、作業装置ＥＣＵ４で脱穀負荷増加イベントが発生する（＃２１）。この脱穀負荷増加イベントの発生に基づいて、作業情報生成部４１が、生じた脱穀負荷に関する脱穀負荷情報を生成する（＃２２）。この脱穀負荷情報には、例えば、警告データと脱穀負荷詳細データが含まれる。脱穀負荷詳細データの内容は、脱穀回転数、走行速度、さらには脱穀負荷低減の対策などである。この脱穀負荷情報は、内部生成作業情報として、表示情報管理モジュール５に与えられ、コンバイン１の車載ディスプレイ６２ｂに表示される警告表示データ（第１表示データ）と、スマートフォンＣ２に送られる脱穀負荷詳細データ（第２表示データ）とに区分けされる（＃２３）。コンバイン１の車載ディスプレイ６２ｂには、警告表示データに基づいて、脱穀負荷の増大を示す警告が表示される（＃２４）。また、スマートフォンＣ２のディスプレイ６４には、脱穀負荷詳細データに基づいて、脱穀回転数、走行速度、さらには脱穀負荷低減の対策が、スマートフォンＣ２の頁めくり機能を用いて表示される（＃２５）。運転者は、スマートフォンＣ２のディスプレイ６４に表示される脱穀負荷の詳細から現在生じている脱穀負荷の増大に関する情報を確認することができ（＃２６）、適切に負荷低減の対策を講じることができる（＃２７）。

　上述したように、本発明では、対地作業に関する情報を含む表示情報を、運転室１３に配置されている車載ディスプレイ６２ｂと、運転者が持参して手に取ることができるスマートフォンＣ２のディスプレイ６４に区分けして表示できるので、運転者に対する効果的な表示が実現する。

　車載ディスプレイ６２ｂとスマートフォンＣ２のディスプレイ６４とに表示する情報は、作業情報や部分的な走行情報であったが、その他の種々の情報、さらには、道路情報やニュース情報や娯楽情報などを区分けながら表示してもよい。車載ディスプレイ６２ｂが複数台備えられている場合には、複数の車載ディスプレイ６２ｂの間で表示内容を区分けしてもよい。

　上述した実施形態では、携帯通信端末としてスマートフォンが取り扱われたが、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、ナビゲータ機器などのその他の携帯通信端末が利用可能である。

　本発明は、米、麦、とうもろこしなどの穀物収穫、ジャガイモ、ニンジン、大根などの野菜収穫、さらには林檎や蜜柑などの果物収穫などの収穫機としてのみならず、トラクタ、田植機、施肥機、薬剤散布機、草刈機などの種々の農作業に用いられる農作業車両、さらにはフロントローダなどの土木作業に用いられる産業用車両などの分野にも適用可能である。

　１:対地作業車両（農作業車両、コンバイン）
１ａ：作業ユニット
１０Ａ：走行用操作機器
１０Ｂ：作業用操作機器
２３：ＧＰＳモジュール
３１：走行情報生成部
３２：作業情報生成部
３３：情報管理部（データリンク部）
３４：データ入出力部（Ｗｅｂブラウザ）
３５：燃費情報生成部
　４：作業装置ＥＣＵ
４１：作業情報生成部
６０ａ：データ入力部
６０ｂ：データ出力部
　５：表示情報管理モジュール
５１：第１表示データ生成部
５２：第２表示データ生成部
５３：第３表示データ生成部
５４：第４表示データ生成部
６２：車載ディスプレイ
６４：携帯通信機器のディスプレイ（携帯ディスプレイ）
　８：表示情報管理モジュール
８１：第１表示データ生成部
８２：第２表示データ生成部
８３：第３表示データ生成部
８４：第４表示データ生成部
　９：管理センタ
９０ａ：データ入力部
９０ｂ：データ出力部
９０ｃ：走行評価部
９０ｄ：データ視覚化部
９ａ：データ入出力部（ＷＥＢサーバ）
９ｂ：アプリケーション実行モジュール（アプリケーションサーバ）
９ｃ：データベースモジュール（データベースサーバ）
Ｃ１：第１コントロールユニット
Ｃ２：第２コントロールユニット
Ｃ３：管理コンピュータシステム

Claims

　走行しながら作業装置を用い作業を行なう対地作業車両であって、
　走行状態を表す走行情報を経時的に生成する走行情報生成部と、
　前記作業装置による作業状態を表す作業情報を経時的に生成する作業情報生成部と、
　前記走行情報と前記作業情報とに基づいて前記対地作業車両の走行を非作業走行と実作業走行とに区分けする走行評価部と、
　前記走行評価部による区分け結果を視覚化する視覚化データを生成するデータ視覚化部と、
を備えた対地作業車両。
　前記走行情報には走行距離データが含まれており、前記作業情報には前記作業装置の駆動時と非駆動時を示す駆動状態データが含まれており、
　前記走行評価部は駆動状態データに基づいて前記非作業走行と前記実作業走行とを区分けするともに、非作業走行距離と実作業走行距離を算出する請求項１に記載の対地作業車両。
　燃料消費量を表す燃費情報を経時的に生成する燃費情報生成部が備えられ、さらに前記燃費情報に前記走行情報及び前記作業情報に関係付けることで、作業走行時の燃料消費量及び非作業走行時の燃料消費量を算出する燃費評価部が備えられている請求項１または２に記載の対地作業車両。
　前記作業情報には作業量が含まれており、単位作業量当たりの燃費を算出する燃費評価部が備えられている請求項３に記載の対地作業車両。
　前記走行情報には走行用操作機器の作動時間または作動回数あるいはその両方が含まれており、前記作業情報には作業用操作機器の作動時間または作動回数あるいはその両方が含まれており、各作動時間または各作動回数あるいはその両方を積算する機器作動評価部が備えられている請求項１から４のいずれか一項に記載の対地作業車両。
　前記作業装置が穀桿処理装置であり、前記作業情報には穀粒収穫量が含まれている請求項１から５のいずれか一項に記載の対地作業車両。
　前記作業情報には穀粒品質データが含まれている請求項６に記載の対地作業車両。
　ＧＰＳモジュールから出力される機体の位置を示す測位データを、前記走行情報及び前記作業情報に関係付けるデータリンク部が備えられている請求項１から７のいずれか一項に記載の対地作業車両。
　走行しながら作業装置を用いて作業を行なう対地作業車両であって、
　機体の位置を示す測位データを出力するＧＰＳモジュールと、
　前記作業装置による作業状態を表す作業情報を経時的に生成する作業情報生成部と、
　前記測位データと前記作業情報とに基づいて前記対地作業車両の走行軌跡を非作業走行軌跡と実作業走行軌跡とに区分けする走行評価部と、
　前記走行評価部による区分け結果を視覚化する視覚化データを生成するデータ視覚化部と、
を備えた対地作業車両。
　前記走行評価部は、前記非作業走行軌跡から非作業走行距離を算定するとともに、前記実作業走行軌跡から実作業走行距離を算定し、かつ
　前記データ視覚化部は前記非作業走行距離と前記実作業走行距離との比率を可視化する図表を生成する請求項９に記載の対地作業車両。
　走行しながら作業装置を用いて作業を行なう対地作業車両と、前記対地作業車両を管理する管理サーバとからなる対地作業車両管理システムであって、
　前記対地作業車両が、走行状態を表す走行情報を経時的に生成する走行情報生成部と、前記作業装置による作業状態を表す作業情報を経時的に生成する作業情報生成部とを備え、かつ
　前記管理サーバが、前記走行情報と前記作業情報を含む対地作業車両情報を通信回線を通じて受け取るデータ入力部と、前記走行情報と前記作業情報とに基づいて前記対地作業車両の走行を非作業走行と実作業走行とに区分けする走行評価部と、前記走行評価部による区分け結果を視覚化する視覚化データを生成するデータ視覚化部と、前記視覚化データを要求先に送信するデータ出力部とを備えている対地作業車両管理システム。
　情報を表示する車載ディスプレイを有する対地作業車両であって、
　対地作業に関する情報である内部生成作業情報を生成する作業情報生成部と、
　運転者が携帯する携帯通信端末との間でデータ交換可能なデータ入出力部と、
　前記内部生成作業情報から、前記車載ディスプレイに表示される第１表示データを生成する第１表示データ生成部と、
　前記内部生成作業情報から、前記携帯通信端末のディスプレイに表示される第２表示データを生成する第２表示データ生成部と、
　遠隔地の管理センタで生成されるとともに前記携帯通信端末を中継として前記データ入出力部で取得した対地作業に関する外部生成作業情報から、前記車載ディスプレイに表示される第３表示データを生成する第３表示データ生成部と、
を備えた対地作業車両。
　前記外部生成作業情報から、前記携帯通信端末のディスプレイに表示される第４表示データを生成する第４表示データ生成部が備えられている請求項１２に記載の対地作業車両。
　前記データ入出力部を通じてデータ伝送可能に接続される携帯通信端末のＩＤ情報に基づいて前記運転者を認識する運転者認識部が備えられ、認識された前記運転者の登録情報に基づいて前記車載ディスプレイまたは前記携帯通信端末のディスプレイあるいはその両方における表示内容が変更される請求項１２または１３に記載の対地作業車両。
　前記内部生成作業情報には、装備されている対地作業装置の動作状態データまたは車両走行状態データあるいはその両方が含まれ、前記外部生成作業情報には、対象対地作業地における過去の対地作業結果データまたは外部で決定された対地作業目標データあるいはその両方が含まれている請求項１２から１４のいずれか一項に記載の対地作業車両。
　対地作業の種類、対地作業地の特性、対地作業地の環境等を含む対地作業属性情報に基づいて、第１表示データに含まれる内容と第２表示データに含まれる内容とが、前記内部生成作業情報から区分けされる請求項１２から１５のいずれか一項に記載の対地作業車両。
　前記携帯通信端末の存在場所に基づいて、前記携帯通信端末に送られる表示データの内容が変更される請求項１２から１６のいずれか一項に記載の対地作業車両。
　情報を表示する車載ディスプレイを有する対地作業車両のデータ入出力部との間でデータ伝送可能な携帯通信端末にインストールされる対地作業情報表示プログラムであって、
　遠隔地の管理センタで生成されるとともにデータ通信回線を通じて受信された対地作業に関する外部生成作業情報から、自己のディスプレイに表示される内部表示データを生成する内部表示データ生成機能と、
　前記外部生成作業情報から、前記車載ディスプレイに表示される外部表示データを生成する外部表示データ生成機能と、
　前記外部表示データを前記データ入出力部に送信する機能と、
をコンピュータに実現させる対地作業情報表示プログラム。
　前記対地作業車両の内部で生成されるとともに前記対地作業車両から送られてきた対地作業に関する内部生成作業情報から、前記自己のディスプレイに表示される表示データを生成する機能をさらにコンピュータに実現させる請求項１８に記載の対地作業情報表示プログラム。
　前記内部生成作業情報には、装備されている対地作業装置の動作状態データまたは車両走行状態データあるいはその両方が含まれ、前記外部生成作業情報には、対象対地作業地における過去の対地作業結果データまたは外部で決定された対地作業目標データあるいはその両方が含まれている請求項１９に記載の対地作業情報表示プログラム。
　内部に記録されている所有者のＩＤ情報を用いて前記対地作業車両または前記管理センタに問い合わせることで取得した前記所有者の登録情報に基づいて前記車載ディスプレイまたは前記携帯通信端末のディスプレイあるはその両方における表示内容を変更する請求項１８から２０のいずれか一項に記載の対地作業情報表示プログラム。
　情報を表示する車載ディスプレイを有する対地作業車両のデータ入出力部との間でデータ伝送可能な携帯通信端末にインストールされる対地作業情報表示プログラムを格納した記録媒体であって、
　遠隔地の管理センタで生成されるとともにデータ通信回線を通じて受信された対地作業に関する外部生成作業情報から、自己のディスプレイに表示される内部表示データを生成する内部表示データ生成機能と、
　前記外部生成作業情報から、前記車載ディスプレイに表示される外部表示データを生成する外部表示データ生成機能と、
　前記外部表示データを前記データ入出力部に送信する機能と、
をコンピュータに実行させる農作業管理プログラムが記録されている記録媒体。
　情報を表示する車載ディスプレイを有する対地作業車両のデータ入出力部との間でデータ伝送可能な携帯通信端末を用いて行われる対地作業情報表示方法であって、
　遠隔地の管理センタで生成されるとともにデータ通信回線を通じて受信された対地作業に関する外部生成作業情報から、自己のディスプレイに表示される内部表示データを生成する内部表示データ生成ステップと、
　前記外部生成作業情報から、前記車載ディスプレイに表示される外部表示データを生成する外部表示データ生成ステップと、
　前記外部表示データを前記データ入出力部に送信するステップと、
とからなる対地作業情報表示方法。