WO2013129091A1

WO2013129091A1 - 蓄電装置及び同蓄電装置を搭載した車両

Info

Publication number: WO2013129091A1
Application number: PCT/JP2013/053251
Authority: WO
Inventors: 厚志南形
Original assignee: 株式会社豊田自動織機
Priority date: 2012-02-27
Filing date: 2013-02-12
Publication date: 2013-09-06
Also published as: CN104137319B; JP5354042B2; CN104137319A; DE112013001165T5; US20150017517A1; US9979044B2; JP2013175407A

Abstract

　蓄電装置は、正電極シート、負電極シート及びセパレータを積層して形成された電極組立体を備える。正電極シートの表面において、正極塗工領域と正極未塗工領域との境界には正極境界が位置し、正極境界は正極第１縁と正極第２縁との間に位置している。負電極シートの表面において、負極塗工領域と負極未塗工領域との境界である負極境界は、負極第１縁と負電極タブの先端部との間に位置している。負極第１縁及び正極第１縁は、電極組立体における同じ側に位置する。正極境界は、負極第１縁と該負極第１縁の反対側に位置する負極第２縁との間に位置している。

Description

蓄電装置及び同蓄電装置を搭載した車両

　本発明は、蓄電装置及び同蓄電装置を搭載した車両に関する。

　従来から、蓄電装置の一種である二次電池として、リチウムイオン二次電池や、ニッケル水素二次電池が知られている。例えば、リチウムイオン二次電池では、正電極シート及び負電極シートを積層、或いは捲回して形成された電極組立体がケースに収容されている。電極組立体において、正電極シート及び負電極シートが層構造を形成する。正電極シート及び負電極シートの各々は金属薄板を含み、該金属薄板の一縁には電極タブが延在している。例えば、特許文献１参照。

　特許文献１の二次電池では、各電極シートの金属薄板の表面に活物質層が形成されるが、電極タブには活物質層が形成されない。当該電極タブと、ケースの外部に形成される外部端子（電極端子）とが集電端子（集電部材）により電気的に接続されている。そして、特許文献１の二次電池では、負電極シートよりも正電極シートを小さく形成することにより、活物質層の形成された領域（電極シート）の大きさの不均衡に起因する電池容量の低下が抑制されている。

特開平８－９６８３９号公報

　一般に、前述の活物質層は、活物質、導電剤、及びバインダを混合したペースト状の活物質合剤を金属薄板の表面に塗布して形成される。このため、活物質層を常に一定の領域に形成することが困難であり、通常、活物質層の形成領域（形成位置）に加工誤差が生じる。

　このため、例えば正電極シートにおいて、前記加工誤差によって電極タブにまで活物質層が形成される可能性のある場合には、正電極タブの側方にはみ出した活物質が無駄になる虞がある。さらにこの場合には、電極組立体における各電極シートの積層方向から見て、正電極タブに形成された正極活物質層をも負極活物質層に含ませるために、負電極シート（金属薄板）そのものを拡張する必要がある。

　しかしながら、このような構成を採用した場合、正電極タブの側方には、そもそも正極活物質層（金属薄板）そのものが存在しない。このため、負電極シートにおいて、正電極タブの側方に対応して配置される部位は、電池容量の向上に殆ど寄与することがなく、蓄電装置としてのエネルギ密度の低下を招く可能性もある。

　この発明の目的は、活物質の使用率を向上させつつ、エネルギ密度を向上できる蓄電装置及び同蓄電装置を搭載した車両を提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明の第１の態様は、正極第１縁及び該正極第１縁と反対側に位置する正極第２縁を有する正極金属薄板と、前記正極第１縁から延在する正電極タブとを有する正電極シートと、前記正極金属薄板に電気的に接続されるよう前記正電極タブに接続された正極集電部材と、負極第１縁及び該負極第１縁と反対側に位置する負極第２縁を有する負極金属薄板と、前記負極第１縁から延在する負電極タブとを有する負電極シートと、前記負極金属薄板に電気的に接続されるよう前記負電極タブに接続された負極集電部材と、前記正電極シートと前記負電極シートとの間に介在されて前記正電極シートと前記負電極シートとを互いに絶縁するシート状のセパレータと、前記正電極シート、前記負電極シート及び前記セパレータを積層して構成された電極組立体と、前記電極組立体を収容するケースとを備える。前記正電極シートの表面は、前記正極第２縁を含んで正極活物質が塗布された正極塗工領域を有する。前記正電極シートの表面は、前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工領域を有する。前記正極塗工領域と前記正極未塗工領域との境界である正極境界は、前記正極第１縁と前記正極第２縁との間に位置する。前記負電極シートの表面は、前記負極第２縁を含んで負極活物質が塗布された負極塗工領域を有する。前記負電極シートの表面は、前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工領域を有する。前記負極塗工領域と前記負極未塗工領域との境界である負極境界は、前記負極第１縁と前記負電極タブの先端部との間に位置する。前記負極第１縁及び前記正極第１縁は、前記電極組立体における同じ側に位置している。前記正極境界は、前記負極第１縁と前記負極第２縁との間に位置している電極組立体。

　本発明の第２の態様は、第１の態様の蓄電装置を搭載する車両を提供する。
　上記各態様によれば、正電極シートの正極第１縁には、正電極タブが延在している。正電極シートの表面は、正極第１縁とは反対側の縁である正極第２縁を含んで正極活物質が塗布された正極塗工領域を有する。そして、正電極シートにおいて、正極塗工領域と正極活物質が塗布されていない正極未塗工領域との境界である正極境界は、正極第１縁と正極第２縁との間に位置する。このため、正電極タブ、及び正極金属薄板における正極第１縁近傍には、正極未塗工領域が設けられることになる。したがって、正電極タブの側方へのはみ出しによって正極活物質が無駄になってしまうことを抑制し、活物質の使用率を向上させることができる。また、負電極シートにおいて、負極活物質が塗布された負極塗工領域と、負極活物質が塗布されていない負極未塗工領域との境界である負極境界は、負電極タブが延在した負極第１縁と負電極タブの先端部との間に位置する。そして、正極境界は、負極第１縁と、当該負極第１縁とは反対側の縁である負極第２縁との間に位置する。このため、負電極シートの負極第１縁が正電極シートにおける正極境界に対して負極第２縁寄りに配置されない範囲で、負電極シートの負極第１縁を正電極シートにおける正極境界に近接させることができる。したがって、負電極シートを構成する金属薄板を小型化して、エネルギ密度を向上させることができる。

一実施形態に係る二次電池を模式的に示す斜視図。電極組立体を模式的に示す分解斜視図。（ａ）は、正電極シートの正面図、（ｂ）は、負電極シートの正面図。別の実施形態における電極組立体を模式的に示す斜視図。

　以下、本発明を具体化した一実施形態を図１～図３（ｂ）にしたがって説明する。
　図１に示すように、蓄電装置としての二次電池１０は、例えば産業車両や乗用車両のような車両１に搭載される。二次電池１０は、全体として扁平な略直方体状のケース１１を備えている。ケース１１は、閉塞された一端を有する筒状（本実施形態では四角筒状）の本体部材１２と、本体部材１２の開口部１２ａを密閉するように、本体部材１２に組み付けられる平板状（本実施形態では矩形平板状）の蓋部材１３とを含む。本体部材１２、及び蓋部材１３は、何れも金属（例えばステンレスやアルミニウム）である。以下の説明では、矢印Ｙ１で示されるケース１１の長手方向を左右方向又は横方向と定義し、矢印Ｙ２で示されるケース１１の高さ方向を上下方向又は垂直方向と定義し、図３（ａ）で矢印Ｙ３で示されるケース１１の短手方向を前後方向と定義する。

　蓋部材１３の外面（上面）には、略円柱状の正極端子１５、及び負極端子１６が突出している。なお、正極端子１５及び負極端子１６は、ケース１１（本体部材１２及び蓋部材１３）から絶縁されている。

　また、図１及び図２に示すように、ケース１１（本体部材１２）には、全体として横方向に扁平な略直方体状をなす電極組立体１８が収容されている。この電極組立体１８は、複数の正電極シート２１と、複数の負電極シート３１と、正電極シート２１及び負電極シート３１の間にそれぞれ介在された複数のセパレータ（隔膜）１９とを有する。電極組立体１８は、複数の正電極シート２１、複数の負電極シート３１及び複数のセパレータ１９を積層して層状に形成されている。各セパレータ１９は、隣接する正電極シート２１と負電極シート３１とを互いに電気的に絶縁する。なお、電極組立体１８は、絶縁材料からなる図示しない絶縁袋に覆われた状態でケース１１に収容されている。また、ケース１１内には、例えばリチウムイオン二次電池や、ニッケル水素二次電池というように、二次電池１０の種類に応じた電解質（電解液）が充填されている。

　図２に示すように、正電極シート２１は、矩形のシート状の正極金属薄板としての正極金属箔２２を備えている。また、負電極シート３１は、矩形のシート状の負極金属薄板としての負極金属箔３２を備えている。正極金属箔２２及び負極金属箔３２は、例えばリチウムイオン二次電池や、ニッケル水素二次電池というように、二次電池１０の種類に応じた金属である。また、正電極シート２１の正極金属箔２２と、負電極シート３１の負極金属箔３２とは、互いに異なる種類の金属からなる。本実施形態において、正極金属箔２２は、例えばアルミニウムからなる一方で、負極金属箔３２は、例えば銅からなる。

　図３（ａ）に示すように、正電極シート２１は、正極金属箔２２の上縁である正極上縁２３から上方へ向かって延在した台形状（略矩形）の正電極タブ２４を備えている。本実施形態の正電極タブ２４は、正電極シート２１において正極金属箔２２と一体である。また、正電極タブ２４は、正極上縁２３の左端に位置する。本実施形態では、矢印Ｙ２に示す垂直方向のうち上方へ向かう方向が、正電極タブ２４の延在する方向であり、正電極タブ２４の基端部を有する正極上縁２３が正極第１縁に対応する。

　また、正電極シート２１の両表面（前面及び後面）には、正電極タブ２４の延在方向における正極上縁２３の反対側の縁である正極下縁２５を含むように正極活物質層２６を有する。正極活物質層２６では、当該正極下縁２５から一定の長さ（一定高さ）で、横方向の全幅にわたり正極活物質が塗布されている。本実施形態では、正極活物質層２６の形成された領域が、正極活物質の塗布された正極塗工領域２６ａに対応する。

　また、正電極シート２１の両表面は、正電極タブ２４全体を含み、正電極タブ部２４の先端部２４ａから一定の長さ（一定高さ）で、横方向の全幅にわたり正極活物質が塗布されていない、即ち正極活物質層２６を有さない正極未塗工領域２６ｂを有する。正極未塗工領域２６ｂは、正電極タブ２４全体及び正極上縁２３近傍に位置する。そして、正電極シート２１の両表面は、正極塗工領域２６ａと正極未塗工領域２６ｂとの境界である正極境界２６ｃを有する。本実施形態では、正極下縁２５が正極第２縁に対応する。

　正電極シート２１において、正極下縁２５から正極上縁２３までの長さ（正極金属箔２２の高さ）Ｌ１ａは、正極下縁２５から正極境界２６ｃまでの長さ（正極塗工領域２６ａの高さ）Ｌ２ａより大きい。なお、本実施形態の正電極シート２１において、正極上縁２３及び正極下縁２５と、正極境界２６ｃとは、略平行である。

　したがって、正電極シート２１には、正極金属箔２２の正極上縁２３に沿って正極未塗工領域２６ｂが延設されているとともに、正電極タブ２４は、正極活物質層２６を有さない。即ち、正極境界２６ｃは、正極金属箔２２において正極上縁２３と正極下縁２５との間に位置する。

　また、図３（ｂ）に示すように、負電極シート３１は、当該負電極シート３１における負極金属箔３２の上縁である負極上縁３３から上方へ向かって延在した台形状（略矩形）の負電極タブ３４を備えている。本実施形態の負電極タブ３４は、負電極シート３１において負極金属箔３２と一体である。また、負電極タブ３４は、負極上縁３３の右端に位置する。本実施形態では、矢印Ｙ２に示す垂直方向のうち上方へ向かう方向が、負電極タブ３４の延在する方向である。負電極タブ３４の基端部を有する負極上縁３３が負極第１縁に対応する。

　また、負電極シート３１の両表面（前面及び後面）は、負極活物質層３６を有する。負極活物質層３６では、負電極タブ３４の延在方向に位置する負極上縁３３とは反対側の縁である負極下縁３５から一定の長さ（一定高さ）で、横方向の全幅にわたり負極活物質が塗布されている。本実施形態では、負極活物質層３６の形成された領域が、負極活物質の塗布された負極塗工領域３６ａに対応する。

　また、負電極シート３１の両表面は、負電極タブ部３４において先端部３４ａから一定の長さ（一定高さ）で、横方向の全幅にわたり負極活物質が塗布されていない、即ち負極活物質層３６を有さない負極未塗工領域３６ｂを有する。負極未塗工領域３６ｂは、負電極タブ３４の先端部３４ａを含む負電極タブ３４の一部のみに有する。そして、負電極シート３１の両表面は、負極塗工領域３６ａと負極未塗工領域３６ｂとの境界である負極境界３６ｃを有する。本実施形態では、負極下縁３５が負極第２縁に対応する。

　負電極シート３１において、負極下縁３５から負極上縁３３までの長さ（負極金属箔３２の高さ）Ｌ１ｂは、負極下縁３５から負極境界３６ｃまでの長さ（負極塗工領域３６ａの高さ）Ｌ２ｂより小さい。また、負電極シート３１において、負極下縁３５から負極境界３６ｃまでの長さＬ２ｂは、負極下縁３５から負電極タブ３４の先端部３４ａまでの長さ（負電極シート３１の高さ）Ｌ３より小さい。なお、本実施形態の負電極シート３１において、負極上縁３３及び負極下縁３５と、負極境界３６ｃとは、略平行である。

　したがって、負電極シート３１は、負極金属箔３２の両表面の全面に負極活物質層３６をそれぞれ有する。そして、負電極タブ３４の基端部の一部に負極活物質層３６を有する一方で、先端部３４ａには、正極活物質層２６を有さない。即ち、負極境界３６ｃは、負極上縁３３と負電極タブ３４の先端部３４ａとの間に位置する。

　そして、図３（ａ）及び図３（ｂ）に示すように、正電極シート２１の面上において、正電極タブ２４の延在方向と直交する方向（横方向）の長さＬ４は、負電極シート３１の面上において、負電極タブ３４の延在方向と直交する方向（横方向）の長さＬ５よりも小さい。また、負電極シート３１における負極下縁３５から負極上縁３３までの長さＬ１ｂは、正電極シート２１における正極下縁２５から正極上縁２３までの長さＬ１ａより大きい。また、負電極シート３１は、負極上縁３３が正極上縁２３から上方に突出するように配置されている。

　また、負電極シート３１における負極下縁３５から負極上縁３３までの長さＬ１ｂは、正電極シート２１における正極下縁２５から正極境界２６ｃまでの長さＬ２ａよりも大きい。なお、正電極シート２１における正極下縁２５から正極上縁２３までの長さＬ１ａは、負電極シート３１における負極下縁３５から負極境界３６ｃまでの長さＬ２ｂより小さい。

　また、セパレータ１９は、絶縁性を有する樹脂材料からなり、極めて微細な空孔構造を有する矩形の多孔性シートである。図３（ｂ）に示すように、セパレータ１９の垂直方向の長さ（高さ）Ｌ６は、負電極シート３１における負極下縁３５から負極境界３６ｃまでの長さＬ２ｂより大きい。また、セパレータ１９の横方向の長さＬ７は、負電極シート３１の面上において、負電極タブ３４の延在方向と直交する方向（横方向）の長さＬ５より大きい。

　そして、図２に示すように、電極組立体１８は、正電極シート２１及び負電極シート３１の間にセパレータ１９を挟んだ状態で、正電極シート２１及び負電極シート３１を前後方向（厚さ方向）に積層して形成されている。詳しく言えば、電極組立体１８において、正電極シート２１及び負電極シート３１は、…→正電極シート２１→負電極シート３１→正電極シート２１…のように、交互に配置されている。本実施形態では、矢印Ｙ３に示す前後方向が電極組立体１８（正電極シート２１及び負電極シート３１）の積層方向である。また、負電極シート３１において負電極タブ３４が延在する負極上縁３３、及び正電極シート２１において正電極タブ２４が延在する正極上縁２３は、電極組立体１８における同じ側（本実施形態では蓋部材１３の位置する上側）に配置されている。

　このため、図１に示すように、電極組立体１８において上縁の左端には、複数の正電極タブ２４がセパレータ１９を間に挟まない状態で積層して層状構造を有する集電部（タブ群）としての正極集電部２８が上方に向かって延在している。また、電極組立体１８において上縁の右端には、複数の負電極タブ３４がセパレータ１９を間に挟まない状態で積層して層状構造（層状）を有する集電部（タブ群）としての負極集電部２９が上方に向かって延在している。

　そして、図３（ａ）及び図３（ｂ）に示すように、電極組立体１８において、正電極シート２１における正極境界２６ｃは、負極上縁３３と負極下縁３５との間に対応する位置に有する。

　また、電極組立体１８において、正電極シート２１における横方向の両縁は、負電極シート３１における横方向の両縁よりも内側に配置されている。また、正電極シート２１における正極下縁２５は、負電極シート３１における負極下縁３５に対して上方、即ち負極下縁３５に対して正電極タブ２４及び負電極タブ３４寄りに配置されている。

　したがって、本実施形態の電極組立体１８では、電極組立体１８の積層方向から見て、正電極シート２１における正極塗工領域２６ａ全体が、負電極シート３１における負極塗工領域３６ａに含まれている。より詳しく言えば、電極組立体１８の積層方向から見た場合において、正電極シート２１の正極塗工領域２６ａ全体は、負電極シート３１の負極塗工領域３６ａによって包含されている。

　また、セパレータ１９の上縁１９ａは、電極組立体１８における横方向の全幅において、正電極シート２１における正極上縁２３に対して先端部２４ａ寄りであって、且つ負電極シート３１における負極上縁３３（負極境界３６ｃ）に対して先端部３４ａ寄りに配置されている。なお、セパレータ１９の上縁１９ａは、正電極タブ２４及び負電極タブ３４が延在する方向の縁である。また、本実施形態の電極組立体１８では、電極組立体１８における前記積層方向から見て、正電極シート２１における正極塗工領域２６ａ、及び負電極シート３１における負極塗工領域３６ａがセパレータ１９に含まれている。

　本実施形態の正電極シート２１は、正極金属箔２２を上述した形状に打ち抜き加工した後、正極活物質、導電剤、及びバインダを混合したペースト状の正極用の活物質合剤を正極金属箔２２上に塗布して正極活物質層２６を形成することにより、得ることができる。同様に、負電極シート３１は、負極金属箔３２を上述した形状に打ち抜き加工した後、負極活物質、導電剤、及びバインダを混合したペースト状の負極用の活物質合剤を負極金属箔３２上に塗布して負極活物質層３６を形成することにより、得ることができる。また、本実施形態の正電極シート２１は、帯状（長尺のシート状）の正極金属箔２２に対して正極用の活物質合剤を塗布した後、上述した形状に打ち抜き加工して得ることもできる。同様に、本実施形態の負電極シート３１は、帯状の負極金属箔３２に対して負極用の活物質合剤を塗布した後、上述した形状に打ち抜き加工して得ることもできる。

　そして、図１に示すように、正極集電部２８（正電極タブ２４）には、正極集電部材としての正極集電端子４０が接合され、正極集電端子４０は正極集電部２８と電気的に接続されているとともに、正極集電端子４０は、上述した正極端子１５と電気的に接続されている。また、負極集電部２９（負電極タブ３４）には、負極集電部材としての負極集電端子４１が接合され、負極集電端子４１は負極集電部２９と電気的に接続されているとともに、負極集電端子４１は、上述した負極端子１６と電気的に接続されている。

　次に、本実施形態の二次電池１０の作用について説明する。
　正電極シート２１において正極境界２６ｃは、正電極タブ２４の形成された正極第１縁としての正極上縁２３に対して正極第２縁としての正極下縁２５寄りに位置する。このため、正電極シート２１において、正電極タブ２４、及び正極金属箔２２における正極上縁２３近傍には、正極未塗工領域２６ｂが設けられている。

　例えば、正極金属箔２２の正極上縁２３まで正極活物質層２６（正極塗工領域２６ａ）を形成する場合には、前述した正極用の活物質合剤を塗布する際の加工誤差によって、正電極タブ２４にまで正極活物質層２６が形成されてしまう可能性が生じる。この場合には、正極金属箔２２からはみ出す分だけ、正極活物質に無駄が生じる。このような問題は、打ち抜き加工後の正極金属箔２２に正極用の活物質合剤を塗布して正電極シート２１を製造する場合、及び正極活物質層２６を形成した正極金属箔２２を打ち抜き加工して正電極シート２１を製造する場合の何れであっても生じ得る問題である。

　さらに、この場合には、電極組立体１８における正電極シート２１及び負電極シート３１の面に沿った方向と直交する方向（積層方向）から見て、正電極タブ２４に有する正極活物質層２６をも負電極シート３１の負極塗工領域３６ａに含ませるため、負電極シート３１の負極金属箔３２そのものを上方へ拡張する必要が生じてしまう。なお、上記積層方向から見て、負電極シート３１の負極塗工領域３６ａに正電極シート２１の正極塗工領域２６ａが含まれない場合には、金属リチウムが負電極シート３１周りで析出する可能性が高くなる。

　本実施形態において、正電極タブ２４の側方（本実施形態では右側方）には、そもそも正極金属箔２２や正極活物質層２６そのものが存在しない。このため、負電極シート３１において、正電極タブ２４の側方に対応して配置される部位（領域）は、二次電池１０としての電池容量の向上に殆ど寄与することがなく、却って二次電池１０としてのエネルギ密度の低下を招く。

　しかしながら、本実施形態の二次電池１０では、正電極シート２１において、正電極タブ２４、及び正極金属箔２２における正極上縁２３近傍に正極未塗工領域２６ｂが設けられている。

　このため、本実施形態では、打ち抜き加工した正極金属箔２２に対して正極活物質層２６を形成する場合、正電極タブ２４の側方へ活物質合剤がはみ出すことに起因する正極活物質の無駄を抑制し、活物質の使用率を向上できる。同様に、本実施形態では、正極金属箔２２に正極活物質層２６を形成してから打ち抜き加工する場合であっても、正電極シート２１とならない領域に有する正極活物質層２６が無駄となってしまうことを抑制し、活物質の使用率を向上できる。そして、本実施形態によれば、上述した構成を採用することにより、負電極シート３１において、正電極シート２１に形成した正極活物質層２６（正極未塗工領域２６ｂ）と対応しない領域が生じることを抑制し、エネルギ密度を向上させることができる。

　また、負電極シート３１における負極境界３６ｃは、負電極タブ３４を有する負極上縁３３と負電極タブ３４の先端部３４ａとの間に位置することから、負極活物質層３６が負極金属箔３２において負極上縁３３を含んでいる。そして、正電極シート２１における正極活物質層２６の正極境界２６ｃは、負電極シート３１における負極境界３６ｃと負極下縁３５との間、かつ負極上縁３３と負極下縁３５との間に位置する。このため、負電極シート３１の負極上縁３３が正電極シート２１における正極境界２６ｃに対して負極下縁３５寄りに配置されない範囲で、負電極シート３１の負極上縁３３を正電極シート２１における正極境界２６ｃに近接させることができる。したがって、負電極シート３１を構成する負極金属箔３２を小型化して、エネルギ密度を向上させることができる。

　したがって、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
　（１）正電極シート２１の正極上縁２３は、正電極タブ２４を有する。正電極シート２１の表面は、正極上縁２３とは反対側の縁である正極下縁２５を含んで正極活物質の塗布された正極塗工領域２６ａを有する。そして、正電極シート２１において、正極塗工領域２６ａと正極未塗工領域２６ｂとの境界である正極境界２６ｃは、正極上縁２３と正極下縁２５との間に位置する。このため、正電極タブ２４、及び正極金属箔２２における正極上縁２３近傍には、正極未塗工領域２６ｂが設けられている。したがって、正電極タブ２４の側方へのはみ出しによって正極活物質が無駄になってしまうことを抑制し、活物質の使用率を向上させることができる。

　また、負電極シート３１において、負極塗工領域３６ａと負極未塗工領域３６ｂとの負極境界３６ｃは、負電極タブ３４を有する負極上縁３３と負電極タブ３４の先端部３４ａとの間に位置する。そして、正極境界２６ｃは、負極上縁３３と、当該負極上縁３３とは反対側の縁である負極下縁３５との間に対応する位置に位置する。このため、負電極シート３１の負極上縁３３が正電極シート２１における正極境界２６ｃに対して負極下縁３５寄りに配置されない範囲で、負電極シート３１の負極上縁３３を正電極シート２１における正極境界２６ｃに近接させることができる。したがって、負電極シート３１を構成する負極金属箔３２を小型化して、エネルギ密度を向上させることができる。

　（２）セパレータ１９の上縁１９ａは、正極上縁２３に対して正電極タブ２４の先端部２４ａ寄りに配置されているとともに、負極上縁３３に対して負電極タブ３４の先端部３４ａ寄りに配置されている。このため、正電極タブ２４と負電極シート３１との間、及び負電極タブ３４と正電極シート２１との間における絶縁性を好適に確保することができる。

　（３）二次電池１０として活物質の使用率を向上させつつ、エネルギ密度を向上できるとともに、これに伴って１回の満充電で利用可能な電力量を向上させたり、或いは二次電池１０を小型化したりできる。

　実施形態は上記のように限定されるものではなく、例えば以下のように具体化してもよい。
　○　図４に示すように、電極組立体１８は、正電極シート２１、負電極シート３１、及びセパレータ１９を帯状（長尺のシート状）に形成するとともに、セパレータ１９を間に挟んだ状態で、正電極シート２１及び負電極シート３１を渦まき状に捲回し、正電極シート２１及び負電極シート３１が層状構造（層状）を有するように形成されてもよい。

　この場合、正電極シート２１の正極上縁２３には、正電極シート２１の長さ方向において所定間隔で正電極タブ２４が延在している。また、負電極シート３１の負極上縁３３には、負電極シート３１の長さ方向において所定間隔で負電極タブ３４が延在している。

　そして、正電極シート２１及び負電極シート３１を捲回して積層することにより、電極組立体１８において上縁の左側には、複数の正電極タブ２４がセパレータ１９を間に挟まない状態で積層して層状構造を有する正極集電部２８が上方に向かって延在している。

　また、電極組立体１８において上縁の右側には、複数の負電極タブ３４がセパレータ１９を間に挟まない状態で複数積層して層状構造を有する負極集電部２９を有する。
　このような構成であっても、上記実施形態と同様に、正電極シート２１を形成する際に正極活物質が無駄になってしまうことを抑制し、活物質の使用率を向上させることができる。そして、負電極シート３１において、正電極シート２１に有する正極活物質層２６（正極塗工領域２６ａ）と対応しない領域が生じることを抑制し、エネルギ密度を向上させることができる。

　○　負電極シート３１における負極下縁３５から負極上縁３３までの長さＬ１ｂは、正電極シート２１における正極下縁２５から正極上縁２３までの長さＬ１ａより小さくてもよい。ただし、この場合であっても、負電極シート３１における負極下縁３５から負極上縁３３までの長さＬ１ｂは、正電極シート２１における正極下縁２５から正極境界２６ｃまでの長さＬ２ａよりも大きい。

　○　負電極シート３１において、負極下縁３５から負極境界３６ｃまでの長さＬ２ｂは、セパレータ１９の垂直方向の長さＬ６より長くてもよい。即ち、セパレータ１９の垂直方向に、負極活物質層２６の一部が突出していてもよい。

　○　正電極タブ２４は、正極金属箔２２の正極上縁２３から延在した三角形状であってもよい。負電極タブ３４についても同様に変更できる。この場合、当該三角形状の正電極タブ２４、及び負電極タブ３４の頂点が先端部となる。

　○　正電極タブ２４及び負電極タブ３４は、電極組立体１８における横方向の縁や、下縁からするように形成されていてもよい。
　○　正極金属薄板として正極金属箔２２が使用され、負極金属薄板として負極金属箔３２が使用されているが、二次電池１０における電池容量（電気容量）の低下や電池作製時に影響しない程度の厚みのある薄板が正極金属薄板又は負極金属薄板として使用されてもよい。

　○　電極組立体１８は、セパレータ１９を間に挟んだ状態で正電極シート２１及び負電極シート３１を蛇腹状に折り曲げて積層されてもよい。
　○　電極組立体１８を構成する正電極シート２１、及び負電極シート３１の数は適宜変更されてもよい。電極組立体１８は、例えば、正電極シート２１、及び負電極シート３１をそれぞれ１つ備えてもよい。

　○　ケース１１の形状は、円柱状や、横方向に扁平な楕円柱状であってもよい。
　○　上記実施形態の二次電池１０を車両１（例えば産業車両や乗用車両）に搭載し、車両に装備された発電機により充電する一方で、二次電池１０から供給する電力によりエアコン用のコンプレッサや、車輪を駆動するための電動モータ、或いはカーナビゲーションシステムなどの電装品が駆動されてもよい。これによれば、二次電池１０として活物質の使用率を向上させつつ、エネルギ密度を向上できるとともに、これに伴って１回の満充電で利用可能な電力量を向上させたり、或いは二次電池１０を小型化したりできる。このため、車両としての充電サイクルを長くしたり、二次電池１０の設置部位に自由度を与えたりすることができる。

　○　本発明は、電気二重層キャパシタとして具体化してもよい。即ち、本発明は充電及び放電可能に形成された蓄電装置に適用することができる。

Claims

　蓄電装置であって、
　正極第１縁及び該正極第１縁と反対側に位置する正極第２縁を有する正極金属薄板と、前記正極第１縁から延在する正電極タブとを有する正電極シートと、
　前記正極金属薄板に電気的に接続されるよう前記正電極タブに接続された正極集電部材と、
　負極第１縁及び該負極第１縁と反対側に位置する負極第２縁を有する負極金属薄板と、前記負極第１縁から延在する負電極タブとを有する負電極シートと、
　前記負極金属薄板に電気的に接続されるよう前記負電極タブに接続された負極集電部材と、
　前記正電極シートと前記負電極シートとの間に介在されて前記正電極シートと前記負電極シートとを互いに絶縁するシート状のセパレータと、
　前記正電極シート、前記負電極シート及び前記セパレータを積層して構成された電極組立体と、
　前記電極組立体を収容するケースとを備え、
　前記正電極シートの表面は、前記正極第２縁を含んで正極活物質が塗布された正極塗工領域を有し、
　前記正電極シートの表面は、前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工領域を有し、
　前記正極塗工領域と前記正極未塗工領域との境界である正極境界は、前記正極第１縁と前記正極第２縁との間に位置し、
　前記負電極シートの表面は、前記負極第２縁を含んで負極活物質が塗布された負極塗工領域を有し、
　前記負電極シートの表面は、前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工領域を有し、
　前記負極塗工領域と前記負極未塗工領域との境界である負極境界は、前記負極第１縁と前記負電極タブの先端部との間に位置し、
　前記負極第１縁及び前記正極第１縁は、前記電極組立体における同じ側に位置しており、
　前記正極境界は、前記負極第１縁と前記負極第２縁との間に位置している、蓄電装置。
　前記セパレータは、前記電極組立体において前記正極第１縁及び前記負極第１縁と同じ側に位置する縁を有し、前記セパレータの縁は、前記正極第１縁に対して前記正電極タブの先端部寄りに配置されるとともに、前記負極第１縁に対して前記負電極タブの先端部寄りに配置されている、請求項１に記載の蓄電装置。
　前記正電極シートにおいて、前記正極第２縁から前記正極第１縁までの長さは、前記正極第２縁から前記正極境界までの長さより大きく、
　前記負電極シートにおいて、前記負極第２縁から前記負極第１縁までの長さは、前記負極第２縁から前記負極境界までの長さより小さい、請求項１又は２に記載の蓄電装置。
　前記正電極シートの前記正極塗工領域全体は、積層方向から見て前記負電極シートの前記負極塗工領域に含まれている、請求項１又は２に記載の蓄電装置。
　前記正極未塗工領域は前記正電極タブ全体及び前記正極第１縁近傍に位置し、前記負極未塗工領域は前記負電極タブの先端部を含む前記負電極タブの一部に位置する、請求項１又は２に記載の蓄電装置。
　蓄電装置を搭載した車両であって、
　前記蓄電装置は、
　正極第１縁及び該正極第１縁と反対側に位置する正極第２縁を有する正極金属薄板と、前記正極第１縁から延在する正電極タブとを有する正電極シートと、
　前記正極金属薄板に電気的に接続されるよう前記正電極タブに接続された正極集電部材と、
　負極第１縁及び該負極第１縁と反対側に位置する負極第２縁を有する負極金属薄板と、前記負極第１縁から延在する負電極タブとを有する負電極シートと、
　前記負極金属薄板に電気的に接続されるよう前記負電極タブに接続された負極集電部材と、
　前記正電極シートと前記負電極シートとの間に介在されて前記正電極シートと前記負電極シートとを互いに絶縁するシート状のセパレータと、
　前記正電極シート、前記負電極シート及び前記セパレータを積層して構成された電極組立体と、
　前記電極組立体を収容するケースとを備え、
　前記正電極シートの表面は、前記正極第２縁を含んで正極活物質が塗布された正極塗工領域を有し、
　前記正電極シートの表面は、前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工領域を有し、
　前記正極塗工領域と前記正極未塗工領域との境界である正極境界は、前記正極第１縁と前記正極第２縁との間に位置し、
　前記負電極シートの表面は、前記負極第２縁を含んで負極活物質が塗布された負極塗工領域を有し、
　前記負電極シートの表面は、前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工領域を有し、
　前記負極塗工領域と前記負極未塗工領域との境界である負極境界は、前記負極第１縁と前記負電極タブの先端部との間に位置し、
　前記負極第１縁及び前記正極第１縁は、前記電極組立体における同じ側に位置しており、
　前記正極境界は、前記負極第１縁と前記負極第２縁との間に位置している、車両。