WO2013121578A1

WO2013121578A1 - 靴およびその製造方法

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Publication number: WO2013121578A1
Application number: PCT/JP2012/053817
Authority: WO
Inventors: 谷口　憲彦; 健太森安
Original assignee: 株式会社アシックス
Priority date: 2012-02-17
Filing date: 2012-02-17
Publication date: 2013-08-22
Also published as: EP2815668B1; JPWO2013121578A1; EP2815668A1; JP5652930B2; US20150013187A1; EP2815668A4

Abstract

アッパーの一部を形成するソック状のベース材１を幅木５１と足型部分５２とを有する中子５０の足型部分５２に装着する工程と、中子５０を外型６１，６２に装着する工程と、外型６１，６２とベース材１との間に補強材２および／またはソール材３，４となる溶融樹脂７１，７２を供給する工程と、溶融樹脂７１，７２を硬化させて、ベース材１に補強材２および／またはソール材３，４が一体に形成される工程とを備える靴の製造方法。

Description

靴およびその製造方法

　本発明はソック状のアッパー材を用いた靴およびその製造方法に関する。

　近年、編み機ないし織機によってソック状のアッパー材を形成することが提案されている（特許文献１）。

ＪＰ２００４－１０５３２３Ａ（要約書）

　この種のソック状のアッパー材は一般に剛性が小さく、補強が必要である。しかし、アッパー材がソック状であるため、補強材を縫着するのが難しい。
　かかる問題は剛性の小さいソック状のアッパー材であれば、前記編み機等で生成したアッパー材以外においても生じる。

　したがって、本発明の目的は剛性の小さいソック状のアッパー材を用いた靴の前記アッパー材を補強し易い構造および製造方法を提供することである。

本発明の第１の態様の靴は編み物、編状物および／または織物で形成されたソック状のベース材１と、
　前記ベース材１に本質的に縫い付けられておらず、かつ、前記ベース材１の表面に接着および／または溶着された補強材２とが一体のアッパー１２を備える。ここで、「本質的に縫い付けられておらず」とは、「補強材のハトメの周辺または近傍やループの周辺または近傍はベース材１に縫い付けていてもよい」ことを意味する。また、補強材が複数である場合には、その一部だけが縫われていてもよい。

本態様においては、アッパー１２が補強材２で補強されると共に、ソック状のベース材１に補強材２が縫い付けられることなく、接着または溶着されている。そのため、保形しにくい編み物、編状物および／または織物で形成されたソック状のベース材１をラストに装着し、前記ベース材１に補強材２を接着または溶着で一体にし易く、したがって、アッパー１２の製作が容易である。

　本発明において、ソック状の編み物や織物は周知の編み機や織機で生成することができる。
　編状物とは布帛の構造がマクロの編目状、つまり、格子構造のものを意味し、この場合も、ベース材１が柔軟で剛性が小さいので、本発明に包含される。

　ソック状とは、少なくとも履き口が開口した筒状のものを意味するが、ラストに装着できる形状であれば履き口以外の部分、たとえば甲や爪先の一部が開口していてもよいことを意味する。

　補強材２とは、ソック状のベース材１よりも伸縮しにくく、一般に、非伸縮材を用いることができる。

　本発明の第２の態様の靴は、編み物、編状物および／または織物で形成されアッパー１２の一部を形成するソック状のベース材１と、前記ベース材１の底面に接着および／または溶着された樹脂からなるソール材３，４とを備える。

　本第２の態様においては、ソック状のベース材１の底面にソール材３，４が接着または溶着されている。そのため、靴の制作が容易である。

図１Ａ、図１Ｂおよび図１Ｃは、それぞれ、本発明の実施例１にかかるベース材、補強材およびソール材を示す側面図である。図２Ａおよび図２Ｂは、それぞれ、同実施例１の靴を示す側面図および横断面図である。図３Ａおよび図３Ｂは、それぞれ、実施例２の靴を示す側面図および平面図である。図４Ａおよび図４Ｂは、それぞれ、実施例３および４の靴を示す側面図である。図５Ａ、図５Ｂおよび図５Ｃは、それぞれ、本発明の実施例５にかかるベース材、ソール材および靴を示す側面図である。図６Ａ、図６Ｂおよび図６Ｃは、それぞれ、実施例６にかかる靴の側面図、平面図および横断面図であり、図６Ｄは実施例７にかかる靴の横断面図である。図７Ａおよび図７Ｂは、それぞれ、実施例８にかかる靴の側面図および平面図である。図８Ａ、図８Ｂ、図８Ｃ、図８Ｄおよび図８Ｅは、それぞれ、本発明の製造方法の一例を示す工程図である。図９Ａ、図９Ｂ、図９Ｃ、図９Ｄおよび図９Ｅは、それぞれ、本発明の製造方法の別の例を示す工程図である。図１０Ａ、図１０Ｂおよび図１０Ｃは、それぞれ、同別の一例を示す工程図である。図１１は更に別の製造方法の理解に役立つ側面図である。

前記第１の態様の好的な実施例においては、前記補強材２が足の側面の一部を覆う。

　前記第１の態様の更に好的な実施例においては、前記補強材２が両側面の各々において前足、中足および後足の各々の一部を覆う。

この場合、ベース材１の側面が前足、中足および後足において補強材２によって補強され、剛性の小さいベース材１であっても足をアッパー１２で支えることができる。

　前記第１の態様の更に好的な実施例においては、前記補強材２が足の底面の一部を覆い、底面から両側面に連なる。

　この場合、底面から側面に連なった補強材２は、足囲方向に連なっており、足の支持が安定する。

前記第１の態様の更に好的な実施例においては、前記補強材２が中足の底面を覆う。

前記第１の態様の更に好的な実施例においては、前記補強材２が中足において、底面から両側面に連なる。
　この場合、中足において足囲方向に連なった補強材２は、足の支持を更に安定させる。

前記第１の態様の更に好的な実施例においては、前記補強材２の上縁に紐通し用のループ２０が一体に形成されている。
　この場合、中足の上縁のループ２０にシューレースが挿通され、前記中足の底面から両側面に連なる補強材２を介してアッパー材１２が足にフィットする。したがって、ベース材１の剛性が小さくても、アッパー材１２によって足の支持が安定する。

前記第１の態様の更に好的な実施例においては、前記補強材２の上縁にハトメ飾り２１が一体に形成されている。
この場合、中足の上縁のハトメ飾りに形成された紐通し孔にシューレースが挿通され、前記中足の底面から両側面に延びる補強材２を介してアッパー材１２が足にフィットする。したがって、ベース材１の剛性が小さくても、アッパー材１２によって足の支持が安定する。

前記第１の態様の更に好的な実施例においては、前記補強材２は履き口の周囲を覆う。
この場合、履き口の周囲が補強材２に補強され、履き口が変形しにくく、足の支持が更に安定する。

　前記第１の態様の更に好的な実施例においては、前記補強材２が足の中足の内側面および外側面において、前記各側面に沿って上下に延びる一対の側面部２ｆ，２ｆと、前記側面の下部において前後方向に延びる下部２ｅと、足の甲に沿って前後方向に延び複数の紐通し孔２０Ａを有するハトメ飾り２１とを備え、前記一対の側面部２ｆ，２ｆと下部２ｅとハトメ飾り２１とで前記ベース材１の一部の周囲がその全周にわたって囲まれている。

　この場合、ベース材１の一部が中足において補強材２に囲まれているので、中足の支持が安定する。

　この場合、更に好的な例においては、前記各側面部２ｆ，２ｆが前記下部２ｅから前記ハトメ飾り２１に向って延びた上端の近傍に前記紐通し孔２０Ａが設けられている。

　前記紐通し孔２０Ａに通されたシューレースにより各側面部２ｆ，２ｆを介して下部２ｅが上方に引き上げられるが、前述のように、ベース材１の一部が補強材２に囲まれており、そのため、ベース材１および補強材２を包含するアッパー１２が中足において足にフィットし易い。

前記第２の態様の好的な実施例においては、前記樹脂はエチレン‐酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、ウレタン系、スチレン系、オレフィン系等の発泡体で、前記ソール材はミッドソール材３である。
　この場合、ＥＶＡ等からなるミッドソール材３をアッパーの底面に容易に形成し得る。

　前記第２の態様の更に好的な実施例においては、前記ミッドソール材３は足の両側面の各々において一部を覆う。
この場合、ミッドソール材３で足の両側面が支持されて足の支持が安定し、かつ、ミッドソール材３が足の側面に巻き上がった靴を容易に形成し得る。

前記第２の態様の更に好的な実施例においては、前記ミッドソール材は中足の両側面を覆い、前記ミッドソール材３の上縁に紐通し孔が形成されている。

この場合、ミッドソール材３は一般にベース材１よりも剛性の大きく、紐通し孔が前記剛性の大きいミッドソール材３の上縁に形成されているから、ミッドソール材３をシューレース等で引き上げて、ミッドソール材３と共にベース材１を足にフィットさせることができる。したがって、剛性の小さいベース材１であってもアッパーおよびソールが足にフィットし易く、また、ミッドソール材３によって足を両側面から支持するので、足の支持が安定する。

前記第２の態様の更に好的な実施例においては、前記ミッドソール材３にヒールカウンタ３３が一体に形成されている。
この場合、ヒールカウンタ３３がミッドソール材３によってソールと一体に連なって形成されているから、剛性の小さいベース材１であっても、足の踵の安定した支持が得られる。

前記第２の態様の更に好的な実施例においては、前記ミッドソール材３が履き口の周囲を覆う。
　この場合、ベース材１に比べ剛性の大きいミッドソール材３によって履き口の周囲が覆われているから、履き口の形状を保形し易い。

　前記第２の態様の更に好的な実施例においては、前記ソール材３が足の中足の内側面および外側面において、前記各側面に沿って上下に延びる一対の側面部３ｆ，３ｆと、前記側面の下部において底面から巻き上がると共に前後に延びる巻上げ下部３ｅと、足の甲に沿って前後方向に延び複数の紐通し孔３０Ａを有する上縁部３１とを備え、前記一対の側面部３ｆ，３ｆと前記巻上げ下部３ｅと前記上縁部３１とで前記ベース材１の一部の周囲がその全周にわたって囲まれている。

　この場合、ベース材１の一部が中足においてソール材３に囲まれているので、中足の支持が安定する。

　この場合、更に好的な例においては、前記各側面部３ｆ，３ｆが前記下部３ｅから前記上縁部３１に向って延びた上端の近傍に前記紐通し孔３０Ａが設けられている。

　前記紐通し穴３０Ａに通されたシューレースにより各側面部３ｆ，３ｆを介して下部３ｅが上方に引き上げられるが、前述のように、ベース材１の一部がソール材３に囲まれており、そのため、ベース材１およびソール材３を包含するアッパー１２が中足において足にフィットし易い。

　前記各靴は、たとえば、以下の製造方法によって作成される。
　すなわち、本発明方法のある態様は、アッパーの一部を形成するソック状のベース材１を幅木５１と足型部分５２とを有する中子５０の前記足型部分５２に装着する工程と、
　前記中子５０を外型６１，６２に装填する工程と、
　前記外型６１，６２と前記ベース材１との間に補強材２および／またはソール材３，４となる溶融樹脂７１，７２を供給する工程と、
　前記溶融樹脂７１，７２を硬化させて、前記ベース材１に補強材２および／またはソール材３，４が一体に形成される工程とを備える。

　この場合、ベース材１を幅木５１付のラスト（中子５０）に装着し、更に、中子５０を外型６１，６２に装填するという作業を行うだけで、補強材２またはミッドソール材３がベース材１に一体となった靴を製造することができる。したがって、靴の製造が機械化され、製造のコストダウンを図り得る。
　なお、ベース材１は伸縮性があり、かつ、熱で収縮しないソックでも用いることができる。つまり、ベース材１はラストに装着できて、かつ、ラストにフィットすれば用いることができる。

　なお、本態様は、ベース材１に伸縮性があり、かつ、熱で収縮しない例えば綿で編んだソックでも適用でき、つまり、ラストに装着できて、かつ、ラストにフィットするアッパー材であれば、本態様を適用し得る。

　好ましくは、前記幅木５１（Ｃｏｒｅ　ｐｒｉｎｔ）は前記中子５０における前記ベース材１の履き口から突出した状態で、前記中子５０の装填工程において前記外型６１，６２に支持される。

更に好ましくは、前記中子５０は前記幅木５１が前記足型部分５２の下方に配置された状態で、前記装填工程が実行される。

この場合、幅木５１が外型６１に支持され、中子５０が外型６１によって安定して支持される。

更に好ましくは、前記外型６１，６２は前記幅木５１が装着される第１外型６１と前記第１外型６１に歯合する第２外型６２とを包含し、
　前記第１外型６１および第２外型６２と前記足型部分５２との間に前記補強材２となる第１溶融樹脂７１を供給する第１供給工程と、
　前記第１溶融樹脂７１を硬化させて、前記ベース材１に補強材２が一体に形成される工程と、
　前記第２外型６２に代えて前記第１外型６１に歯合する第３外型６３を前記第１外型６１に歯合させる工程と、
　前記第３外型６３と前記足型部分５２との間に前記ソール材３，４となる第２溶融樹脂７２を供給する第２供給工程と、
　前記第２溶融樹脂７２を硬化させて、前記ベース材１にソール材３，４が一体に形成される工程とを備える。

　この場合、補強材２およびミッドソール材３がベース材１に一体に形成された靴の製造を機械化することができ、したがって、製造の大幅なコストダウンを図り得る。

　更に好ましくは、前記第１供給工程の後の前記歯合させる工程において、前記幅木５１が前記第１外型６１に装着された状態のままで、前記第２外型６２を取り外して、前記第２外型６２に代えて前記第１外型６１に前記第３外型６３を歯合させる。

　この場合、第１外型６１に幅木５１を装着したままで、補強材２に続きミッドソール材３をベース材１に一体に成形することができる。

本発明の別の態様は、アッパーの一部を形成する編み物および／又は織物からなるソック状のベース材１を足型に装着して加熱し、ソック部を形成する工程と、
　前記ベース材１と一体の編み物および／又は織物からなるソール材３を前記加熱時に加熱させて溶融させる工程とを備える。

この場合、ベース材１を足型に装着して加熱するだけで、ソールがベース材１に一体の靴を製造でき、製造コストの更なるダウンが可能になる。

本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。

以下、本発明の実施例が図面に従って説明される。
図１Ａ～図２Ａは実施例１を示す。

図１Ａ～図１Ｃに示すように、この靴は、ベース材１と補強材２とミッドソール材３とアウトソール４とで構成される。なお、以下の図において、ベース材１には格子模様が付され、補強材２には網点が付され、アウトソール４は黒く塗りつぶされている。

図１Ａの前記ベース材１は編み物、編状物および／または織物でソック状に形成されている。
ここで、編み物や織物は周知の編み機や織機により生成することができ、熱で収縮する合成樹脂の繊維で形成することができる。ベース材１の一例としてはＪＰ２００４－１０５３２３Ａに開示されたものを用いることができ、その記述の全てがここに組み込まれる。

例えば、ベース材１は織機によってソック状に織られた後にラストに装着されて加熱され該ラストに合致した形状に熱収縮したものがアッパーの一部として用いられる。

前記編状物とは編状に成形された原反を用いるが、この場合、編状であるためにラストの形状に容易にフィットする。

前記補強材２は前記ベース材１に本質的に縫い付けられておらず、かつ、前記ベース材１の表面に接着および／または溶着され、図２Ａのベース材１と一体のアッパー１２を形成する。かかる補強材２はダイカットにより型抜きした平面的なものを用いてもよいし、当該補強材２を所定の形状に予め立体成形したものを用いてもよいし、あるいは、後述するように、成形時にベース材１をインサート成形してもよい。
また、補強材２はベース材１に接着剤で接着されてもよいし、溶着されてもよいし、あるいは、一部の補強材２をベース材１に接着し、別の一部の補強材２をベース材１に溶着してもよい。

前記補強材２は伸縮性のある素材であってもよいし、あるいは、伸縮し難い素材であってもよいし、更には、ミッドソールに用いられるＥＶＡ等の発泡体などであってもよい。一般に、補強材２はベース材１に比べ伸縮しにくい素材が採用される。
すなわち、補強材２はベース材１よりも大きな剛性を有し、たとえば、補強材２の引っ張り剛性はベース材１のそれよりも大きい。

図２Ａに示すように、前記補強材２が内側面および外側面の各々において前足、中足および後足の各々の一部を覆う前足部２ａ，中足部２ｂおよび後足部２ｃを有する。また、図２Ｂに示すように、前記補強材２は中足の底面の一部を覆う底部２ｄを有し、図２Ｂに示すように前記中足において底面から両側面に連なっている。前記底部２ｂは中足の底面において完全に横断した連なった状態であってもよい。
なお、補強材２がベース材１に成形で溶着される場合、補強材２はベース材１の全面を覆っていてもよい。

図２Ａおよび図２Ｂに示すように、前記補強材２の上縁には紐通し用の例えばループ２０が一体に形成されている。
なお、内側面と外側面とは本質的に近似した構造となっており、各側面図においては、一方の側面のみを図示している。

なお、図３Ａおよび図３Ｂに示すように、前記補強材２の上縁にはハトメ飾り２１が一体に形成されていてもよい。この場合、ハトメ飾り２１には紐通し孔２０Ａとなるハトメ孔が形成されていてもよい。また、補強材２の一部は踵の背面を覆う、たとえば月形芯を形成してもよい。

　図３Ａおよび図３Ｂの実施例の場合、補強材２はベース材１の被囲い部１１の全周囲を取り囲むようにループ状の部位が前足および中足に設けられており、したがって、剛性の小さいベース材１であっても補強材２によって足の安定した支持が得られる。

前記補強材２のループ状の部位は、ハトメ飾り２１と下部２ｅと、前記ハトメ飾り２１と下部２ｅとを繋ぐ一対の側面部２ｆとで形成されることで、ベース材１の被囲い部１１の周囲を取り囲む。

図４Ａおよび図４Ｂに示すように、補強材２は履き口の側面や背面を覆う履き口部２ｇを有していてもよい。
また、図４Ｂのように、履き口部２ｇと下部２ｅの間を後足部２ｃおよび側面部２ｆで連ねて、後足部２ｃにおいてもベース材１が補強材２で取り囲まれた被囲い部１１が形成されていてもよい。

図５Ａ～図５Ｃにおいて、この実施例ではミッドソール材３によってベース材１が補強されている。すなわち、この実施例の場合、靴は編み物、編状物および／または織物で形成されアッパー１２の一部を形成するソック状のベース材１と、前記ベース材１の底面に接着および／または溶着された樹脂からなるミッドソール材３とアウトソール４とを備える。前記ミッドソール材３を形成する前記樹脂はエチレン‐酢酸ビニル共重合体ＥＶＡ等の発泡体からなる。

　前記ミッドソール材３にはヒールカウンタ３３が一体に形成されている。このヒールカウンタ３３は足の後足において足の背面および両側面を覆う。本ミッドソール材３はベース材１よりも大きな剛性を有し、たとえば、ミッドソール材３の引っ張り剛性はベース材１のよりも大きい。

図６Ａ～図６Ｄに示すように、前記ミッドソール材３はたとえば中足において足の両側面を覆う。前記ミッドソール材３の上縁には紐通し孔３０Ａが形成された上縁部３１が一体に形成されていてもよい。

図６Ａおよび図６Ｂの実施例の場合、ミッドソール材３はベース材１の被囲い部１１の全周囲を取り囲むようにループ状の部位がたとえば中足に設けられており、したがって、剛性の小さいベース材１であってもミッドソール材３によって足の安定した支持が得られる。

　前記ミッドソール材３のループ状の部位は、上縁部３１と巻上げ下部３ｅと、前記上縁部３１と巻上下部３ｅとを繋ぐ一対の側面部３ｆとで形成されることで、ベース材１の被囲い部１１の周囲を取り囲む。

図６Ｄに示すように、前記紐通し孔３０Ａはベース材１に形成された紐通し孔１０Ａと合致していてもよい。この場合、ベース材１に予め紐通し孔１０Ａが形成されると共に、上縁部３１がベース材１に接着ないし溶着される。

一方、図６Ｃに示すように、前記紐通し孔３０Ａを含む上縁部３１がベース材１の上方に張り出し、上縁部３１がベース材１に接合されていない状態であってもよい。この場合、ミッドソール材３の紐通し孔３０Ａにはハトメ部材が装着されてもよい。
なお、図６Ｃおよび図６Ｄにおいてシューレース８は２点鎖線で示される。

また、図６Ｃの実施例においてミッドソール材３をベース材１に溶着する場合、前記上縁部３１とベース材１とが溶着されないように、ベース材１の上部に離型剤が塗布されてもよい。

図７Ａおよび図７Ｂに示すように、ミッドソール材３は履き口の側面や背面を覆う履き口部３２を有していてもよい。

つぎに、前記構造を有する靴の製造方法が説明される。
図８Ａ～図８Ｅは前記方法の一例を示す。

まず、図８Ａに示すアッパーの一部を形成するソック状のベース材１を用意し、前記ソック状のベース材１を図８Ｂの幅木５１と足型部分５２とを有する中子５０の前記足型部分５２に装着する。この装着時において、前記幅木５１（Ｃｏｒｅｐｒｉｔ）は前記中子５０における前記ベース材１の履き口から突出した状態となる。
なお、ベース材１が熱収縮する素材の場合、前記装着後にベース材１を加熱しベース材１が中子５０にフィットした状態であってもよい。

この状態で図８Ｃの前記中子５０が外型６１，６２に装填され、前記中子５０が前記外型６１，６２に支持される。
なお、前記中子５０は前記幅木５１（図８Ｂ）が前記足型部分５２の下方に配置された状態で、下方の外型６１に装填され、次いで上方の外型６２が外型６１に歯合して型締めが実行される。

前記型締め後、図８Ｄに示すように、前記外型６１，６２と前記ベース材１との間に補強材２またはミッドソール材３となる溶融樹脂７１または７２が供給される。その後、前記溶融樹脂７１または７２を冷却し硬化させて、前記ベース材１に補強材２またはミッドソール材３が一体に形成された靴の中間品を図８Ｅのように型から取り出す。
この場合、補強材２またはミッドソール材３の内表面に前記ベース材１が埋設された状態となり得る。したがって、前記ベース材１に部分的に強化繊維を織込んでおけば、補強材２またはミッドソール材３が当該繊維で強化され得る。
なお、前記成型後に、ハトメ飾り２１の部位に紐通し孔２０Ａが機械加工より形成されてもよい。

つぎに、図２Ａ～図４Ｂのように、ベース材１に補強材２が溶着され、前記補強材２に更に前記ミッドソール材３が溶着された靴の製造方法の一例が図９Ａ～図１０Ｃに従って説明される。

この場合、図８Ａ～図８Ｄに示したと同様の工程を図９Ａ～図９Ｄに示すように実行するが、前記溶融樹脂としては、補強材２を形成する溶融樹脂７１が供給され、まず、ベース材１に補強材２が溶着された状態となる。

すなわち、図９Ｃおよび図９Ｄに示すように、互いに歯合する前記第１外型６１および第２外型６２と前記足型部分５２との間に前記補強材２となる第１溶融樹脂７１を供給する第１供給工程を実行する。その後、前記第１溶融樹脂７１を硬化させて、前記ベース材１に補強材２が一体に形成される。

その後、図９Ｄおよび図９Ｅに示すように、前記第２外型６２を第１外型６１から取り外し、図１０Ａに示すように、前記第２外型６２に代えて前記第１外型６１に歯合する第３外型６３を前記第１外型６１に歯合させる。

前記第１供給工程の後の前記第３外型６３を歯合させる工程において、図９Ｂの前記幅木５１が前記第１外型６１に装着された状態のままで、図９Ｄの前記第２外型６２を取り外して、前記第２外型６２に代えて前記第１外型６１に図１０Ａの前記第３外型６３を歯合させる。

この歯合後、図１０Ｂのように、前記第３外型６３と前記足型部分５２との間に前記ミッドソール材３やアウトソール材４となる第２溶融樹脂７２を供給する第２供給工程を実行する。その後、前記第２溶融樹脂７２が硬化すると前記補強材２にミッドソール材３が一体に形成される。こうして、図１０Ｃのベース材１、補強材２およびミッドソール材３が一体の靴が得られる。なお、その後、ミッドソール材３の底面にアウトソールを接着する。

前記製造方法において、図６Ｃのように、ミッドソール材３の上縁部３１がベース材１に溶着されない状態とする場合は、ベース材１や足型部分５２の表面に離型剤を塗布してもよい。
一方、図６Ｄのように、ミッドソール材３の上縁部３１をベース材１に溶着する場合には、ベース材１にミッドソール材３と親和性の良い材質の糸を織り込んでおいてもよい。

つぎに、図１１を用いて別の製造方法が説明される。
まず、アッパーの一部を形成する編み物および／又は織物からなるソック状のベース材１と、前記ベース材１に一体の編み物および／又は織物からなるソール材３Ａとを備えたソック状の靴部材を用意する。

前記ソック状の靴部材は、足型に装着されて加熱され、ソック部が形成されると共に、前記加熱時に前記ソール材３Ａを加熱させて溶融させる。その後、前記足型から靴部材を取り出すことで繊維で強化された靴が生成される。

　以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
　たとえば、図１０Ｂのミッドソール材３を成型して溶着した後に、ウレタン樹脂等からなるアウトソール材４を同様の方法で成型溶着してもよい。
　また、ミッドソール材３に代えて、アウトソール材４を成型によりベース材１に溶着してもよい。
　また、補強材２やミッドソール材３は強化繊維が含まれたＦＲＰであってもよい。
　また、図８Ａ～図１０Ｃの成型方法としては、金型を用いる射出成型法や圧縮成型法の他に、バータム（ＶＡＲＴＭ）やＲＴＭと呼ばれる他の成型法を用いてもよい。更に、補強材や、ミッドソール材が成形される際に、たとえば中足のアーチを補強する別の補強部材がインサート成形されてもよい。
　したがって、以上のような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。

本発明は剛性の小さいベース材１を有する靴に適用できる。

１：ベース材
１０Ａ：紐通し孔　１１：被囲い部　１２：アッパー　　　　　　　　　　　　　　　
２：補強材　２ａ：前足部　２ｂ：中足部　２ｃ：後足部　２ｄ：底部　２ｅ：下部　
２ｆ：側面部　２ｇ：履き口部
２０：ループ　２０Ａ：紐通し孔　２１：ハトメ飾り
２２：履き口部
３：ミッドソール材　３ｅ：巻上げ下部　３ｆ：側面部　
３０Ａ：紐通し孔　３１：上縁部　３２：履き口部　３３：ヒールカウンタ
４：アウトソール材
５０：中子　５１：幅木　５２：足型部分
６１：第１外型　６２：第２外型　６３：第３外型
　７１：第１溶融樹脂　７２：第２溶融樹脂
　　　　　　　

Claims

靴であって、
　編み物、編状物および／または織物で形成されたソック状のベース材１と、
　前記ベース材１に本質的に縫い付けられておらず、かつ、前記ベース材１の表面に接着および／または溶着された補強材２とが一体のアッパー１２を備える。　　　　　　　　
　請求項１の靴において、
　前記補強材２が足の内側面および外側面のうち少なくとも一部を覆う。
　請求項２の靴において、
　前記補強材２が前記内側面において前足、中足および後足の各々の一部を覆い、かつ、前記外側面において前足、中足および後足の各々の一部を覆う。
　請求項３の靴において、
　前記補強材２が足の底面の一部を覆い、前記足の底面から前記足の両側面に連なる。
　請求項４の靴において、
　前記補強材２が前記中足の底面を覆う。
　請求項５の靴において、
　前記補強材２が前記中足において、前記底面から前記両側面に連なる。
　請求項６の靴において、
　前記補強材２の上縁に紐通し用のループ２０が一体に形成されている。
　請求項６の靴において、
　前記補強材２の上縁にハトメ飾り２１が一体に形成されている。
　請求項６の靴において、
　前記補強材２は履き口の周囲を覆う。
靴であって、
　編み物、編状物および／または織物で形成されアッパー１２の一部を形成するソック状のベース材１と、前記ベース材１の底面に接着および／または溶着された樹脂からなるソール材３，４とを備える。
　請求項１０の靴において、
　前記樹脂は発泡体で、前記ソール材はミッドソール材３である。
　請求項１１の靴において、
　前記ミッドソール材３は足の内側面および外側面において前記足の各側面の一部を覆う。
　請求項１２の靴において、
　前記ミッドソール材３は中足の両側面を覆い、前記ミッドソール材３の上縁に紐通し孔が形成されている。
　請求項１１～１３のいずれか１項の靴において、
　前記ミッドソール材３にヒールカウンタ３３が一体に形成されている。
　請求項１１～１３のいずれか１項の靴において、
　前記ミッドソール材３が履き口の周囲を覆う。
　靴の製造方法であって、
　アッパーの一部を形成するソック状のベース材１を幅木５１と足型部分５２とを有する中子５０の前記足型部分５２に装着する工程と、
　前記中子５０を外型６１，６２に装填する工程と、
　前記外型６１，６２と前記ベース材１との間に補強材２および／またはソール材３，４となる溶融樹脂７１，７２を供給する工程と、
　前記溶融樹脂７１，７２を硬化させて、前記ベース材１に前記補強材２および／または前記ソール材３，４が一体に形成される工程。
　請求項１６の製造方法において、
　前記幅木５１は前記中子５０における前記ベース材１の履き口から突出した状態で、前記中子５０の装填工程において前記外型６１，６２に支持される。
　請求項１７の製造方法において、
　前記中子５０は前記幅木５１が前記足型部分５２の下方に配置された状態で、前記装填工程が実行される。
　請求項１８の製造方法において、
　前記外型６１，６２は前記幅木５１が装着される第１外型６１と前記第１外型６１に歯合する第２外型６２とを包含し、
　前記第１外型６１および第２外型６２と前記足型部分５２との間に前記補強材２となる第１溶融樹脂７１を供給する第１供給工程と、
　前記第１溶融樹脂７１を硬化させて、前記ベース材１に前記補強材２が一体に形成される工程と、
　前記第２外型６２に代えて前記第１外型６１に歯合する第３外型６３を前記第１外型６１に歯合させる工程と、
　前記第３外型６３と前記足型部分５２との間に前記ソール材３，４となる第２溶融樹脂７２を供給する第２供給工程と、
　前記第２溶融樹脂７２を硬化させて、前記ベース材１にソール材３，４が一体に形成される工程とを備える。
　請求項１９の製造方法において、
　前記第１供給工程の後の前記歯合させる工程において、前記幅木５１が前記第１外型６１に装着された状態のままで、前記第２外型６２を取り外して、前記第２外型６２に代えて前記第１外型６１に前記第３外型６３を歯合させる。
　靴の製造方法であって、
　アッパーの一部を形成する編み物および／又は織物からなるソック状のベース材１を足型に装着して加熱し、ソック部を形成する工程と、
　前記ベース材１と一体の編み物および／又は織物からなるソール材３Ａを前記加熱時に加熱させて溶融させる工程とを備える。
　請求項１の靴において、
　前記補強材２が足の中足の内側面および外側面において、前記各側面に沿って上下に延びる一対の側面部２ｆ，２ｆと、前記側面の下部において前後方向に延びる下部２ｅと、足の甲に沿って前後方向に延び複数の紐通し孔２０Ａを有するハトメ飾り２１とを備え、
　前記一対の側面部２ｆ，２ｆと下部２ｅとハトメ飾り２１とで前記ベース材１の一部の周囲がその全周にわたって囲まれている。
　請求項２２の靴において、
　前記各側面部２ｆ，２ｆが前記下部２ｅから前記ハトメ飾り２１に向って延びた上端の近傍に前記紐通し孔２０Ａが設けられている。
　請求項１０の靴において、
　前記ソール材３が足の中足の内側面および外側面において、前記各側面に沿って上下に延びる一対の側面部３ｆ，３ｆと、前記側面の下部において底面から巻き上がると共に前後に延びる巻上げ下部３ｅと、足の甲に沿って前後方向に延び複数の紐通し孔３０Ａを有する上縁部３１とを備え、
　前記一対の側面部３ｆ，３ｆと前記巻上げ下部３ｅと前記上縁部３１とで前記ベース材１の一部の周囲がその全周にわたって囲まれている。
　請求項２４の靴において、
　前記各側面部３ｆ，３ｆが前記下部３ｅから前記上縁部３１に向って延びた上端の近傍に前記紐通し孔３０Ａが設けられている。