図1~図5に示すように、車体前部構造10は、正面視矩形状に形成されたフロントバルクヘッド31を含んでいる。フロントサイドフレーム16は、フロントバルクヘッド31の車幅方向外側で車体の前後方向に向けて延びている。フロントサブフレーム18は、フロントサイドフレーム16の下部に支持されてエンジン(不図示)やギヤボックス(不図示)を搭載している。
アッパフレーム(アッパメンバ)17は、フロントサイドフレーム16の外側に並設され、車体後方に向けて上方に湾曲されている。アッパフレーム17の後端部17bは、車室(キャビン)12の側前部の骨格をなすフロントピラー19に接続されている。ダッシュボード14は、エンジンルーム13とキャビン12とを仕切る。ダンパ部33は、ダンパユニット(不図示)を支持する。ダンパ部32の下部は、フロントサイドフレーム16に接続されている。
車幅方向内側の衝撃吸収部材(内側バンパビームエクステンション)21は、フロントサイドフレーム16の前端に設けられている。車幅方向外側の衝撃吸収部材(外側バンパビームエクステンション)22は、バンパビームエクステンション21の外側に配置され、且つアッパフレーム17の前端に設けられている。連結プレート23は、内側衝撃吸収部材21及び外側衝撃吸収部材22を車幅方向に並列するよう連結している。バンパビーム24(図3)は、内側衝撃吸収部材21及び外側衝撃吸収部材22の前端に取り付けられている。フロントバルクヘッドアッパサポート32は、フロントバルクヘッド31とアッパフレーム17との間に延びるよう設けられている。
車体前部構造10は、フロントサイドフレーム16、アッパフレーム17、内側の衝撃吸収部材21、外側の衝撃吸収部材22及びフロントバルクヘッド31廻りの結合構造である。
フロントサイドフレーム16、アッパフレーム17、フロントピラー19、内側の衝撃吸収部材21、外側の衝撃吸収部材22、連結プレート23、フロントバルクヘッドアッパサポート32およびダンパ部33は、車幅方向に関して左右対称に一対設けられている。ダンパ部33は、図示されていないダンパ(ダンパユニット)が取付けられるダンパベース55と、このダンパベース55の廻りに形成されるダンパハウジング56とからなる。
フロントサイドフレーム16の前端部16aは、フロントバルクヘッド31のサイドステー47の後面47bと車体前後方向で同位置に配置される。サイドステー47の後面47bに沿うように下方に延出する第1延出部41は、フロントサイドフレーム16の前端部16aに設けられている。第1延出部41は、前面41a、後面41b、外面41c、内面41d及び下面41eを有し、フロントサイドフレーム16の下面16cに結合されることでボックス形状部52を形成している。
フロントサイドフレーム16の前端部16aとアッパフレーム17の前端部17aとは、各々の前端面が面一となるよう結合されている。すなわち、フロントサイドフレーム16は、その前端部16aにフランジ53を有し、アッパフレーム17は、その前端部17aにフランジ54を有している。フランジ53,54は連続的に面一になるよう形成されている。
フロントサイドフレーム16のフランジ53は、車幅方向内側に延びており、フロントバルクヘッド31の左右のサイドを構成するサイドステー47の閉断面と車体前後方向及び車幅方向で重なり合っている。つまり、フランジ部53のオーバラップ部53aは、サイドステー47に重なり合っている。フロントサイドフレーム16は、上面16b、下面16c、外面16d及び内面16eにより閉断面形状に形成されている。
第1延出部41は、ボックス形状部52内にサブフレーム18を支持するサポート部材44(図5を参照)を有する。サポート部材44は、ボックス形状部52内を補強する剛体として機能する。
フロントピラー19は、フロントサイドフレーム16の後方に設けられる。アッパフレーム17は、フロントピラー19の中間部19aから車体前方に向けて延びている。フロントサイドフレーム16の前端部16aとアッパフレーム17の前端部17aとは各々の前端面が面一となるよう結合され、フロントサイドフレーム16の前端部16a及びアッパフレーム17の前端部17aに、車幅方向に延びる横長形状の取付部51が形成される。この取付部51は、フロントサイドフレーム16のフランジ53と、アッパフレーム17のフランジ54とから構成される。
内側衝撃吸収部材21は、フロントサイドフレーム16の前端部16aに設けられ、フロントバルクヘッド31よりも前方に延びる。さらに、衝撃吸収部材21の前端は車幅方向外側に向けて僅かに湾曲している。これにより、バンパビーム24に車幅方向の外方から斜めに前突荷重が作用する場合に、内側衝撃吸収部材21に円滑に潰れを発生させ、衝撃の吸収を促進することができる。
外側衝撃吸収部材22は、アッパフレーム17の前端部17aに設けられ、車体前方に向けて直線状に延びている。これにより、バンパビーム24に前突荷重が作用した際に、外側衝撃吸収部材22に円滑に潰れを発生させ、衝撃の吸収を促進することができる。
内側衝撃吸収部材21と外側衝撃吸収部材22とは、車幅方向に連続的に形成されるものであってもよい。すなわち、内側及び外側の衝撃吸収部材21,22は、横長形状の取付部51に配置されるとともに、車幅方向に関して、アッパフレーム17の前端部17aと重なり合うように配置される(図3)。
連結プレート23は、車幅方向に延び、内側衝撃吸収部材21と外側衝撃吸収部材22とを一体的に連結している。
フロントバルクヘッド31は、車幅方向に延びるアッパステー45及びロアステー46と、車体上下方向に延びる左右一対のサイドステー47とからなる。ロアステー46は、閉断面形状に形成されている。ロアステー46は、サイドステー47を超えてフロントサイドフレーム16の第1延出部41の下方位置まで車幅方向外側に延出する第2延出部42を有する。具体的には、ロアステー46は、略水平に延びている本体部46aと、この本体部46aの端部側に車幅方向外方に向けて上向きに傾斜した傾斜部46bと、該傾斜部46bの外方に形成された第2延出部42とを有する。
第2延出部42の上面42aは、第1延出部41の下面41eと略面一に形成されている。図4に示すように、第1延出部41の前面41a、第2延出部42の上面42a、及びサイドステー47の外側面47aの3面を結合して結合部(3面結合部)49が形成される。結合部49に、フロントサイドフレーム16よりも剛性の低い内側及び外側の衝撃吸収部材21,22の配置領域S1が確保される。すなわち、結合部49は、車幅方向に延びる横長形状に形成されている。
フロントサイドフレーム16の前端部16aがフロントバルクヘッド31のサイドステー47の後面47bと略面一となるようフロントサイドフレーム16の前後方向の長さを短くするとともに、フロントサイドフレーム16の前端部16aから下方に延びる第1延出部41の前面41a、サイドステー47の外側面47a、第2延出部42の上面42aの3面をそれぞれ結合する。これにより、結合部49の結合剛性を確保する。さらに、内側及び外側の衝撃吸収部材21,22の必要前後長を確保した配置領域S1を設けた。
フロントサイドフレーム16の前端部16aからフロントバルクヘッド31を超えて前方に延びる内側及び外側の衝撃吸収部材21,22が設けられている。これにより、配置領域S1に確保された前後長を、内側及び外側の衝撃吸収部材21,22による軽衝突対策領域とすることができる。さらに、フロントバルクヘッド31を超えて前方に延びているため、前突荷重を内側及び外側の衝撃吸収部材21,22で受け、フロントバルクヘッド31への軽衝突荷重の入力を遅らせるようにした。
フロントサイドフレーム16の前端部16aは、車幅方向中央に向けて延びるフランジ53を有する。このフランジ53は、サイドステー47の閉断面と前後でラップする位置まで延びている。これにより、フロントサイドフレーム16とフロントバルクヘッド31との結合剛性をより高める。これにより、前突時のフロントバルクヘッド31からフロントサイドフレーム16への荷重伝達効率を向上する。さらに、このフランジ53により、フロントサイドフレーム16とフロントバルクヘッド31とを結合するためのスポット溶接代を確保できる。従って、スポット溶接代確保のために、フロントサイドフレーム16の断面を縮小する必要がない。すなわち、フロントサイドフレーム16の大断面化が可能となる。
フロントサイドフレーム16の前端部16aとアッパフレーム17の前端部17aは、各々の前端面が面一となるように結合して、当該前端面に横長形状の取付部51を形成する。これにより、結合部49とロアフレームの端部とが協働して、結合部49の結合剛性をより高めることができる。ロアフレームの端部とは、サイドステー47の連結部分をいう。
内側及び外側の衝撃吸収部材21,22は、アッパフレーム17の前端部17aと車幅方向で重なり合うように横長形状の取付部51に配置される。これにより、内側及び外側の衝撃吸収部材21,22の車幅領域が拡大し、軽衝突性能が向上する。また、前突荷重がアッパフレーム17側へ早期に入力され、荷重伝達効率が向上し、結合部49に入力する荷重値も低減する。
フロントサイドフレーム16と第1延出部41とでボックス形状部52を形成する。これにより、フロントサイドフレーム16とフロントバルクヘッド31との結合部49周辺の剛性をより一層高める。
ボックス形状部52は、その内部にサブフレーム18を支持する剛体からなるサポート部材44を備える。これにより、フロントサイドフレーム16とフロントバルクヘッド31との結合部49周辺の剛性をより一層高める。
ロアステー46は、閉断面形状に形成され、第2延出部42の上面42aが、第1延出部41の下面41eと略面一に形成されている。これにより、フロントサイドフレーム16とフロントバルクヘッド31との結合部49周辺の剛性をより一層高める。
図1~図3に示すように、車体前部構造10では、正面視矩形状に形成されるフロントバルクヘッド31と、フロントバルクヘッド31の車幅外側で前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム16と、前突荷重の衝撃の吸収を図る内側及び外側の衝撃吸収部材21,22とを備える。
フロントバルクヘッド31が、車幅方向に延びるアッパステー45及びロアステー46と、車体上下方向に延びる左右一対のサイドステー47とからなる。フロントサイドフレーム16の前端部16aに、サイドステー47の後面47bと車体前後方向で同位置に配置されるとともに、サイドステー47の後面47bに沿うように下方に延出する第1延出部41を備え、ロアステー46に、サイドステー47を超えて第1延出部41の下方位置まで車幅外側に延出する第2延出部42を備える。
第1延出部41の前面41a、第2延出部42の上面42a、及びサイドステー47の外側面47aの3面を結合して結合部49を形成し、結合部49が、フロントサイドフレーム16よりも剛性の低い内側及び外側の衝撃吸収部材21,22の配置領域S1を画成するように構成したので、エンジンルームの前後長を短くしてショートオーバハング化することができるとともに、衝撃吸収部材21,22の前後長を十分に確保することができる。言い換えれば、内側及び外側の衝撃吸収部材21,22による軽衝突対策領域(前後長)を最大限に広くすることができる。さらに、フロントサイドフレーム16とフロントバルクヘッド31との結合部49の結合強度を十分に確保することができる。
図2に示すように、車体前部構造10では、フロントサイドフレーム16の前端部16aは、フロントバルクヘッド31よりも前方に延びる内側及び外側の衝撃吸収部材21,22を備えるので、フロントバルクヘッド31を超えて前方に内側及び外側の衝撃吸収部材21,22を延ばすことができる。この結果、フロントバルクヘッド31への軽衝突荷重の入力を遅らせることができる。
図1に示すたように、車体前部構造10では、サイドステー47は、閉断面形状の部材であり、フロントサイドフレーム16の前端部16aに、車幅方向内側に向けて延びてサイドステー47の閉断面と車体前後方向で且つ車幅方向にラップするフランジ53を備えるので、サイドステー47とフロントサイドフレーム16との結合剛性をより高めることができるとともに、前突時のフロントバルクヘッド31からフロントサイドフレーム16への荷重伝達効率を向上することができる。
さらに、フランジ53により、フロントサイドフレーム16とフロントバルクヘッド31とを結合するためのスポット溶接代を確保できる。これにより、スポット溶接代確保のためにフロントサイドフレーム16の断面が狭められることを回避できる。この結果、フロントサイドフレーム16の大断面化が可能となる。
図1、図2に示すように、車体前部構造10は、フロントサイドフレーム16の後方に設けたフロントピラー19と、フロントピラー19の中間部19aから前方に延びてフロントサイドフレーム16の外側に配置されるアッパフレーム17とを備える。フロントサイドフレーム16の前端部16aとアッパフレーム17の前端部17aは、各々の前端面が面一となるよう結合されて、当該前端面に車幅方向に延びる横長形状の取付部51が形成されるので、結合部(3面結合部)49とアッパフレーム17の前端部17aとが協働して、結合部49の結合剛性をより高めることができる。
図2~図4に示されたように、車体前部構造10では、内側及び外側の衝撃吸収部材21,22は、横長形状の取付部51に配置されるとともに、アッパフレーム17の前端部17aと車幅方向で重なり合うように配置されているので、内側及び外側の衝撃吸収部材21,22の車幅領域が拡大され、軽衝突性能を向上することができる。さらに、前突荷重の入力がアッパフレーム17側へ早期に行われるので、荷重伝達効率が向上し、結合部49に入力する荷重を低減することができる。
図1に示すように、車体前部構造では、フロントサイドフレーム16は、上面16b、下面16c、外面16d及び内面16eを有する閉断面形状に形成され、第1延出部41は、前面41a、後面41b、外面41c、内面41d及び下面41eを有し、フロントサイドフレーム16の下面16cに結合されることでボックス形状部52が形成されるので、フロントサイドフレーム16とフロントバルクヘッド31との結合部49周辺の剛性をより一層高めることができる。
図2、図5に示すように、車体前部構造では、ボックス形状部52内に、サブフレーム18を支持するサポート部材44を備えているので、第1延出部41のボックス形状部52の剛性を向上することができる。これにより、フロントサイドフレーム16とフロントバルクヘッド31との結合部49周辺の剛性をより一層高められる。
図1に示すように、車体前部構造では、ロアステー46は、閉断面形状に形成され、第2延出部42の上面42aは、第1延出部41の下面41eと略面一に形成されているので、第1延出部41のボックス形状部52と、ロアステー46の閉断面とが強固に結合される。これにより、フロントサイドフレーム16とフロントバルクヘッド31との結合部49周辺の剛性をより一層高めることができる。