WO2011037180A1

WO2011037180A1 - 自動二輪車

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Publication number: WO2011037180A1
Application number: PCT/JP2010/066540
Authority: WO
Inventors: 靖野村; 雅徳柴田; 由成池西
Original assignee: ヤマハ発動機株式会社
Priority date: 2009-09-25
Filing date: 2010-09-24
Publication date: 2011-03-31
Also published as: EP2347948A1; ES2552798T3; CN102300764A; EP2347948B1; CN102300764B; EP2347948A4; JP2012245795A

Abstract

　本発明に係る自動二輪車において、ラジエーター（１７）は、エンジン（１５）のクランクシャフト（１５ａ）の車幅方向における外方に配置される。サイドカバー（２０ｄ）は、ラジエーター（１７）の少なくとも一部を車幅方向における外方から覆う。左下カバー（２１ｄ１）は、下フレーム部（９ｃ）の少なくとも一部を左側方から覆う。右下カバー（２１ｄ２）は、下フレーム部の少なくとも一部を右側方から覆う。また、車幅方向において左下カバー（２１ｄ１）と右下カバー（２１ｄ２）との間、かつ、足載せ部（２１ａ）の下方に、導風通路（２１ｅ）が形成されている。導風通路（２１ｅ）は、サイドカバー（２０ｄ）とラジエーター（１７）との間の空間に空気を導く。

Description

自動二輪車

　本発明は自動二輪車に関する。詳細には、本発明は、クランクシャフトの車幅方向における外方に配置されている所謂サイドラジエーターを有する自動二輪車に関する。

　従来、例えば下記の特許文献１などに、所謂サイドラジエーターを有する自動二輪車が開示されている。ここで、サイドラジエーターとは、クランクシャフトの車幅方向における外方に配置されているラジエーターのことをいう。サイドラジエーターは、通常、自動二輪車の車幅方向寸法が大きくならないように、空気流を受ける風受け面が車幅方向における外方を向くように配置されている。なお、本明細書において、車幅方向における外方とは、車幅方向に沿って、車幅方向における車体の中心から離れる方向を意味する。また、車幅方向における内方とは、車幅方向に沿って、車幅方向における車体の中心に近づく方向を意味する。

　サイドラジエーターを用いた場合、シリンダヘッドとラジエーターとの間の距離、或いは、シリンダボディとラジエーターとの間の距離が短くなる。このため、シリンダヘッドとラジエーターとを接続する冷却液通路、或いは、シリンダボディとラジエーターとを接続する冷却液通路を短くすることができる。また、サイドラジエーターを用いた場合、クランクシャフトによりラジエーターファンを直接駆動することができる。従って、サイドラジエーターを用いることにより、ラジエーター周りの構成をシンプルにすることができる。さらに、サイドラジエーターを用いた場合、エンジンよりも前方にラジエーター及び冷却液通路の配置スペースを確保する必要がない。よって、サイドラジエーターは、排気量が小さい自動二輪車をはじめ、種々の自動二輪車に広く用いられるようになってきている。

　上述のように、サイドラジエーターは、風受け面が車幅方向における外方を向くように配置されている。このため、平面視において前方を向いている通常のラジエーターとは異なり、サイドラジエーターは空気流を直接受けにくい。よって、通常、サイドラジエーターの車幅方向における内方にラジエーターファンが設けられている。サイドラジエーターへの冷却風は、ラジエーターファンによってサイドラジエーターの車幅方向における外方から吸引され供給される。よって、ラジエーターにおける冷却液の高い冷却効率を実現するためには、サイドラジエーターの車幅方向における外方にサイドカウルを配置しないことが好ましい。そうすることにより、サイドラジエーターへの冷却風の供給効率を向上させることができるためである。

　しかしながら、例えば、タンデムフートレストを配置する場合など、サイドカウルを後方にまで延ばす必要があることがある。また、他の理由でサイドカウルを後方にまで延ばす必要がある場合がある。そのような場合においては、サイドラジエーターの前部がサイドカウルにより覆われてしまう場合がある。サイドラジエーターの前部の一部がサイドカウルにより覆われている場合、サイドラジエーターへの冷却風の供給効率が低くなる傾向にある。このため、サイドラジエーターへの冷却風の供給効率を向上する何らかの方策を講じる必要がある。

　サイドラジエーターへの冷却風の供給効率を向上する方策のひとつとして、例えば特許文献１には、図１７に示すように、車幅方向における外方に延びるフィン１０１を設けることが記載されている。フィン１０１を設けることにより、後方に向かって流れる空気流がサイドラジエーター１００に導かれる。その結果、サイドラジエーター１００への冷却風の供給効率を向上することができる。

特開２００７－１０６３８２号公報

　しかしながら、近年、エンジンの排気量を大きくしたいという要望などがあり、ラジエーターに要求される冷却効率が高まってきている。このため、サイドラジエーターを採用した自動二輪車においては、空気流のサイドラジエーターへのより高い供給効率が求められるようになってきている。

　本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、自動二輪車において、空気流のサイドラジエーターへの供給効率を向上することにある。

　本発明に係る自動二輪車は、車体フレームと、足載せ部と、エンジンと、ラジエーターと、サイドカバーと、左下カバーと、右下カバーと、を備える。車体フレームは、ヘッドパイプ部と、ダウンフレーム部と、下フレーム部と、リアフレーム部と、を有する。ダウンフレーム部は、ヘッドパイプ部から下方に向かって延びる。下フレーム部は、ダウンフレーム部の下端部から後方に向かって延びる。リアフレーム部は、下フレーム部の後端部から上方に向かって延びる。足載せ部は、下フレーム部の上方に配置され、車幅方向に渡って平坦な形状に形成されている。エンジンは、車幅方向に延びるクランクシャフトを有し、リアフレーム部に揺動可能に支持されている。ラジエーターは、クランクシャフトの車幅方向における外方に配置される。サイドカバーは、ラジエーターの少なくとも一部を車幅方向における外方から覆う。左下カバーは、下フレーム部の少なくとも一部を左側方から覆う。右下カバーは、下フレーム部の少なくとも一部を右側方から覆う。また、車幅方向において左下カバーと右下カバーとの間、かつ、足載せ部の下方に、導風通路が形成されている。導風通路は、サイドカバーとラジエーターとの間の空間に空気を導く。

　本発明によれば、自動二輪車において、空気流のサイドラジエーターへの供給効率を向上することができる。

実施形態に係る自動二輪車の略図的左側面図である。実施形態に係る自動二輪車の略図的平面図である。車体フレームを説明するための自動二輪車の略図的右側面図である。エンジンの一部分を表す略図的断面図である。エンジンの左側面図である。実施形態に係る自動二輪車の略図的正面図である。但し、フロントフォーク、前輪、ハンドル等は描画を省略している。図６におけるＶＩＩ－ＶＩＩ矢視図である。図１におけるＶＩＩＩ－ＶＩＩＩ矢視図である。図１におけるＩＸ－ＩＸ矢視図である。導風部材の側面図である。導風部材の正面図である。図１０におけるＸＩＩ－ＸＩＩ矢視図である。図１０におけるＸＩＩＩ－ＸＩＩＩ矢視図である。他の実施形態に係る自動二輪車の車体フレーム及び底カバーの平面図である。他の実施形態に係る自動二輪車の導風部材の側面図である。他の実施形態に係る自動二輪車の一部を示す略図的斜視図である。特許文献１に記載されているエンジンの断面図である。

　以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について、図１から図３に示すスクーターとしての自動二輪車１を例に挙げて説明する。但し、本発明において、自動二輪車は、スクーターに限定されない。本発明において自動二輪車とは、広義のモーターサイクルを意味する。本発明において、自動二輪車には、オンロードタイプの狭義のモーターサイクル、スクーター、モペット、オフロード車などが含まれる。また、本発明の自動二輪車には、前輪及び後輪のうちの少なくとも一方が複数の車輪により構成されているものも含まれるものとする。

　なお、以下の説明において、前後左右の方向は、シート１０に着座したライダーから視たときの方向をいう。

　図３に示すように、本実施形態に係る自動二輪車１は、車体フレーム９を備えている。車体フレーム９には、ヘッドパイプ部９ａが含まれている。ヘッドパイプ部９ａには、ステアリングシャフト９ｅが回転可能に挿入されている。ステアリングシャフト９ｅの下端部には、前輪１１が回転可能に支持されている。一方、ステアリングシャフト９ｅの上端部には、ハンドル１２が取り付けられている。

　ヘッドパイプ部９ａには、ダウンフレーム部９ｂが接続されている。ダウンフレーム部９ｂは、ヘッドパイプ部９ａから下方に向けて延びている。ダウンフレーム部９ｂの下端部には、下フレーム部９ｃが接続されている。下フレーム部９ｃは、ダウンフレーム部９ｂの下端部からほぼ水平に、後方に向かって延びている。下フレーム部９ｃの後端部には、リアフレーム部９ｄが接続されている。リアフレーム部９ｄは、下フレーム部９ｃの後端部から、後方に向かって斜め上方に延びている。より詳細には、図２に示すように、ダウンフレーム部９ｂは、右ダウンフレーム部９ｂ１と左ダウンフレーム部９ｂ２とを有している。下フレーム部９ｃは、右下フレーム部９ｃ１と左下フレーム部９ｃ２とを有している。リアフレーム部９ｄは、右リアフレーム部９ｄ１と左リアフレーム部９ｄ２とを有している。また、右リアフレーム部９ｄ１と左リアフレーム部９ｄ２とは連結フレーム部９ｆ１，９ｆ２によって連結されている。

　車体フレーム９には、シート１０が取り付けられている。シート１０は、リアフレーム部９ｄの上方に配置されている。シート１０の下方には、図２に示すように、後足載せ部としての、右タンデムフートレスト１８ａと左タンデムフートレスト１８ｂとが配置されている。これらのタンデムフートレスト１８ａ、１８ｂは、後述するサイドカバー２０ｄの車幅方向における外方に配置されている。

　また、図１に示すように、シート１０の下方には、ユニットスイング式のエンジン１５が配置されている。エンジン１５は、車体フレーム９に揺動可能に支持されている。具体的には、エンジン１５は、リアフレーム部９ｄに揺動可能に支持されている。車体フレーム９には、ピボット軸８が取り付けられている。このピボット軸８に、エンジン１５の懸架部１５ｈが揺動可能に取り付けられている。

　図４は、エンジン１５の一部分を表す略図的断面図である。図４に示すように、エンジン１５は、クランクシャフト１５ａを備えている。クランクシャフト１５ａは、車幅方向に延びている。すなわち、クランクシャフト１５ａの軸線は、車幅方向に対して平行である。クランクシャフト１５ａには、コンロッド１５ｂを介して、図示しないピストンが接続されている。ピストンは、シリンダボディ１５ｃに形成されている円筒状のシリンダ１５ｃ１内に配置されている。

　クランクシャフト１５ａの左側端部は、変速装置１５ｄに接続されている。この変速装置１５ｄを介して、クランクシャフト１５ａの回転が出力軸１５ｅに伝達される。その結果、出力軸１５ｅに取り付けられている後輪１６が回転する。

　一方、図４及び図５に示すように、クランクシャフト１５ａの車幅方向における外方には、ラジエーター１７が配置されている。具体的には、ラジエーター１７は、クランクシャフト１５ａの右方に配置されている。ラジエーター１７は、図５に示すシリンダボディ１５ｃやシリンダヘッド１５ｇなどを冷却するための冷却液を冷却するための装置である。冷却液としては例えば、水が用いられてもよい。

　ラジエーター１７は、空気流を受ける風受け面１７ａを有している。ラジエーター１７は、風受け面１７ａが車幅方向における外方を向くように配置されている。すなわち、風受け面１７ａの法線は、車幅方向における外方を向いている。換言すれば、ラジエーター１７は、前後方向に沿って配置されている。本実施形態では、風受け面１７ａの法線は、車幅方向と平行である。

　なお、風受け面１７ａが車幅方向における外方を向くとは、風受け面１７ａの法線と車幅方向における外方とのなす角度が４５°以下であることをいう。

　本実施形態では、クランクシャフト１５ａの右側端部に設けられているラジエーターファン１５ｆが回転することにより、ラジエーター１７の右側から左側への気流が形成される。この気流によって、ラジエーター１７及びラジエーター１７内の冷却液が冷却される。

　図１に示すように、車体フレーム９及びエンジン１５は、車体カバー２０によって覆われている。車体カバー２０は、フロントカバー２０ａと、図６に示すインナーパネル２０ｂと、図１に示すレッグシールド２０ｃと、サイドカバー２０ｄと、足載せ部２１ａと、図９に示す右下カバー２１ｄ１と、左下カバー２１ｄ２と、底カバー２１ｃと、を備えている。フロントカバー２０ａは、ヘッドパイプ部９ａ（図３参照）の前方と、車両前部の一部の側方とを覆っている。図６及び図７に示すように、インナーパネル２０ｂは、フロントカバー２０ａの下部の前方に取り付けられている。一方、レッグシールド２０ｃは、フロントカバー２０ａの後方に取り付けられている。

　図１に示すように、サイドカバー２０ｄは、シート１０の下方に配置されている。このサイドカバー２０ｄにより、エンジン１５及びラジエーター１７の前方と、エンジン１５及びラジエーター１７の前部の少なくとも一部の車幅方向における外方が覆われている。本実施形態では、エンジン１５とラジエーター１７との前部の一部がサイドカバー２０ｄにより覆われている。

　車両前後方向においてレッグシールド２０ｃとサイドカバー２０ｄとの間の部分には、足載せ部２１ａが配置されている。足載せ部２１ａは、エンジン１５及びラジエーター１７の前方に配置されている。足載せ部２１ａは、下フレーム部９ｃの上方に配置されている。足載せ部２１ａは、ライダーが走行中に足を載せるための部分である。図２及び図９に示すように、足載せ部２１ａは、車幅方向における一端から他端に至って延びるように平坦に形成されている。

　ここで、「足載せ部２１ａが平坦である」とは、足載せ部２１ａの車幅方向における中央にトンネル部を形成するための凸部がないことをいう。「足載せ部２１ａが平坦である」とは、ライダーが足載せ部のいずれの部分にも足をのせることができる程度に平坦であることを意味する。すなわち、足載せ部２１ａには、例えば滑り止めのためなどの凹凸が形成されていてもよい。

　図９に示すように、下カバー２１ｄ１，２１ｄ２は、足載せ部２１ａの下方に配置されている。下カバー２１ｄ１，２１ｄ２は、下フレーム部９ｃの少なくとも一部の車幅方向における外方を覆っている。具体的には、右下カバー２１ｄ１は、下フレーム部９ｃの右側方を覆っている。左下カバー２１ｄ２は、下フレーム部９ｃの左側方を覆っている。底カバー２１ｃは、足載せ部２１ａ及び下カバー２１ｄ１，２１ｄ２の下方に配置されている。底カバー２１ｃは、下フレーム部９ｃの下方に配置されており、下フレーム部９ｃの下方を覆っている。なお、本実施形態では、右下カバー２１ｄ１と左下カバー２１ｄ２と底カバー２１ｃとは、一体的に形成された一部品として構成されているが、それぞれ別体の部品として形成されてもよい。

　これら足載せ部２１ａと、底カバー２１ｃと、下カバー２１ｄ１，２１ｄ２とによって、導風通路２１ｅが形成されている。すなわち、導風通路２１ｅは、車幅方向において下カバー２１ｄ１，２１ｄ２の間、かつ、足載せ部２１ａの下方に形成されている。この導風通路は、以下に詳細に説明するように、サイドカバー２０ｄの内方の空間のラジエーター１７が配置されている部分に前方からの空気流を導くための通路である。

　図７に示すように、導風通路２１ｅの前端部は、インナーパネル２０ｂとレッグシールド２０ｃとの間の空間２０ｅに接続されている。図６に示すように、インナーパネル２０ｂには、２つの上部開口（以下、「第１上部開口２０ｂ１」及び「第２上部開口２０ｂ２」と呼ぶ）と、２つの下部開口（以下、「第１下部開口２０ｂ３」及び「第２下部開口２０ｂ４」と呼ぶ）とが形成されている。

　第１上部開口２０ｂ１と第２上部開口２０ｂ２とは車幅方向に離れて配置されている。前輪１１は、インナーパネル２０ｂのうち第１上部開口２０ｂ１と第２上部開口２０ｂ２との間の部分に前面視において重なるように配置されている。より詳細には、第１上部開口２０ｂ１の車幅方向における内方の端部と、第２上部開口２０ｂ２の車幅方向における内方の端部とが正面視において前輪１１と重なっている。一方、第１上部開口２０ｂ１と第２上部開口２０ｂ２との他の部分は、正面において前輪１１と重なっていない。第１上部開口２０ｂ１と第２上部開口２０ｂ２とのうち正面視において前輪１１と重ならない部分の面積は、前輪１１と重なる部分の面積よりも大きい。また、第１上部開口２０ｂ１と第２上部開口２０ｂ２とは、足載せ部２１ａよりも上方に位置している。

　第１下部開口２０ｂ３と第２下部開口２０ｂ４とは車幅方向に離れて配置されている。前輪１１は、インナーパネル２０ｂのうち第１下部開口２０ｂ３と第２下部開口２０ｂ４との間の部分に前面視において重なるように配置されている。より詳細には、第１下部開口２０ｂ３の車幅方向における内方の端部と、第２下部開口２０ｂ４の車幅方向における内方の端部とが正面視において前輪１１と重なっている。一方、第１下部開口２０ｂ３と第２下部開口２０ｂ４との他の部分は、正面において前輪１１と重なっていない。第１下部開口２０ｂ３と第２下部開口２０ｂ４とのうち正面視において前輪１１と重ならない部分の面積は、前輪１１と重なる部分の面積よりも大きい。また、第１下部開口２０ｂ３と第２下部開口２０ｂ４とは、足載せ部２１ａよりも下方に位置する部分を有する。本実施形態では、第１下部開口２０ｂ３と第２下部開口２０ｂ４との全体が、足載せ部２１ａよりも下方に位置している。ただし、第１下部開口２０ｂ３と第２下部開口２０ｂ４との一部のみが、足載せ部２１ａよりも下方に位置してもよい。

　上述した上部開口２０ｂ１，２０ｂ２と下部開口２０ｂ３，２０ｂ４とによってインナーパネル２０ｂの後方の空間２０ｅが、インナーパネル２０ｂの前方と連通されている。従って、導風通路２１ｅは、空間２０ｅと、上部開口２０ｂ１，２０ｂ２及び下部開口２０ｂ３，２０ｂ４とを介してインナーパネル２０ｂの前方と連通している。

　一方、導風通路２１ｅの後端部は、エンジン１５やラジエーター１７が配置されているサイドカバー２０ｄの内方の空間に接続されている。このため、空気流は、上部開口２０ｂ１，２０ｂ２及び下部開口２０ｂ３，２０ｂ４と空間２０ｅと導風通路２１ｅとを経由してサイドカバー２０ｄの内方の空間に導かれる。その結果、空気流がエンジン１５及びラジエーター１７に供給される。

　図８及び図９に示すように、導風通路２１ｅには、通路内部材としての壁部２１ｆが形成されている。この壁部２１ｆは、導風通路２１ｅの風受け面１７ａよりも車幅方向における内方に位置している部分に流入した空気流をラジエーター１７に導く。

　壁部２１ｆは、底カバー２１ｃから上方に向かって延びている。また、図８に示すように、壁部２１ｆは、後方に向かって延びている。詳細には、壁部２１ｆは、後方に向かうほど車幅方向における外方に位置するように傾斜している。

　具体的には、壁部２１ｆは、第１の壁部２１ｆ１及び第２の壁部２１ｆ２を含む。第１及び第２の壁部２１ｆ１，２１ｆ２のそれぞれは、風受け面１７ａよりも車幅方向における内方の位置から、後方に且つ車幅方向における外方に向かって延びている。換言すれば、第１及び第２の壁部２１ｆ１，２１ｆ２のそれぞれの前端は、風受け面１７ａよりも車幅方向における内方に位置している。第１及び第２の壁部２１ｆ１，２１ｆ２のそれぞれの後端は、第１及び第２の壁部２１ｆ１，２１ｆ２のそれぞれの前端よりも車幅方向における外方に位置している。これら第１及び第２の壁部２１ｆ１，２１ｆ２により、導風通路２１ｅ内を通過する空気流がラジエーター１７に効率的に案内される（図８の矢印Ｗ１参照）。また、導風通路２１ｅ内を通過する空気流の一部は、ラジエーター１７ではなく、エンジン１５のオイルパン１５ｉへ案内される（図８の矢印Ｗ２参照）。

　なお、本実施形態では、壁部２１ｆは、底カバー２１ｃに対して垂直である。但し、壁部２１ｆは、底カバー２１ｃから斜め上方に延びていてもよい。

　また、図１及び図８に示すように、ラジエーター１７の車幅方向における外方には、導風部材３０が配置されている。詳細には、図８に示すように、導風部材３０は、ラジエーター１７の車幅方向における外方であって、かつサイドカバー２０ｄの後端部よりも車幅方向における内方に位置している。すなわち、導風部材３０は、サイドカバー２０ｄの内方に位置する空間において、ラジエーター１７の車幅方向における外方に配置されている。

　導風部材３０は、導風通路２１ｅを経由してサイドカバー２０ｄの内方の空間に流入した空気流をラジエーター１７に案内する部材である。なお、導風部材３０が設けられていない場合でも、導風通路２１ｅを通過した空気流の一部は、ラジエーター１７に供給される。このため、本発明において、導風部材３０は、必須の部材ではない。

　以下、図８及び図１０～図１３を主として参照しながら、導風部材３０の構成について詳細に説明する。導風部材３０は、複数のフィン３１ａ～３１ｅを備えている。これら第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅは、図８に示すように、ラジエーター１７の車幅方向における外方に配置されている。また、第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅは、サイドカバー２０ｄの車幅方向における外端よりも車幅方向における内方に配置されている。第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅのそれぞれは、前方に、且つ、車幅方向における外方に向かって延びている。すなわち、第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅのそれぞれは、後部が前部よりもラジエーター１７に近づくように、傾斜している。

　より詳細には、図８、図１０、図１２及び図１３に示すように、第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅは、車体前後方向に沿って配列されている。そして、図７～図１２に示すように、第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅのうち、後方に配置されているフィンの車幅方向における外端は、前方に配置されているフィンの車幅方向における外端よりも車幅方向における外方に位置している。

　具体的には、最も前方に配置されている第１のフィン３１ａの車幅方向における外端が車幅方向における最も内方に位置している。第１のフィン３１ａの後方に位置している第２のフィン３１ｂの車幅方向における外端は、第１のフィン３１ａの車幅方向における外端よりも車幅方向における外方に位置している。第２のフィン３１ｂの後方に位置している第３のフィン３１ｃの車幅方向における外端は、第２のフィン３１ｂの車幅方向における外端よりも車幅方向における外方に位置している。第３のフィン３１ｃの後方に位置している第４のフィン３１ｄの車幅方向における外端は、第３のフィン３１ｃの車幅方向における外端よりも車幅方向における外方に位置している。第４のフィン３１ｄの後方に位置している第５のフィン３１ｅの車幅方向における外端は、第４のフィン３１ｄの車幅方向における外端よりも車幅方向における外方に位置している。

　なお、図１０に示すように、第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅのそれぞれは、上下方向における中間部が上端部及び下端部よりも後方に位置するように屈曲した形状を有している。第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅは、中間部において鋭い角をなすように直線的に屈曲した形状を有している。また、第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅのそれぞれは、連結部３２ａ，３２ｂによって連結されている。連結部３２ａ，３２ｂは、第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅに交差するように概ね前後方向に沿って配置されている。

　本実施形態の自動二輪車１には、図１に示すように、タンデムフートレスト１８ａ、１８ｂが配置されている。このため、タンデムフートレスト１８ａ、１８ｂの内方にサイドカバー２０ｄを配置する必要がある。よって、本実施形態では、サイドカバー２０ｄが後方に大きく延びている。その結果、ラジエーター１７の前部の一部の車幅方向における外方がサイドカバー２０ｄによって覆われている。このため、ラジエーター１７の風受け面１７ａのサイドカバー２０ｄからの露出面積が小さい。従って、従来の自動二輪車のように、サイドカバー２０ｄの車幅方向における外方を流れる空気流をラジエーター１７に供給する場合には、ラジエーター１７への空気流の供給効率が低下し、ラジエーター１７における冷却液の冷却効率が低下することとなる。

　それに対して本実施形態の自動二輪車１では、図８に示すように、足載せ部２１ａの内部に導風通路２１ｅが形成されている。そして、この導風通路２１ｅを経由して、前方からの空気流がサイドカバー２０ｄ内の空間に供給される。その結果、前方からの空気流がラジエーター１７に効率的に供給される。従って、ラジエーター１７における冷却液の冷却効率を高めることができる。

　なお、通常の自動二輪車においては、足載せ部の下方の空間は、電子部品や配線などの配置スペースとして用いられることが多い。これは、配置スペースが非常に小さい自動二輪車において、足載せ部の下方に形成されるデッドスペースを有効利用することにより、自動二輪車の小型化を図るためである。

　また、一般的に、足載せ部の下方の空間に泥や水などが進入しないように、足載せ部の下方の空間は、実質的に閉鎖空間とすることが好ましいとされている。

　本実施形態の自動二輪車１では、足載せ部２１ａの下方の空間に、あえて電子部品等を配置せず、かつ、足載せ部２１ａの下方の空間を、閉鎖空間とせずに、導風通路２１ｅとして利用したところが大きな特徴のひとつである。この構成を採用することにより、上述のように、ラジエーター１７への空気流の高い供給効率を実現することができる。

　また、上述したように、従来の自動二輪車では、サイドカバーがラジエーターの一部の車幅方向における外方を覆っていると、ラジエーターの露出面積が小さくなることにより、ラジエーター１７への空気流の供給効率が低下する。しかし、本実施形態の自動二輪車１では、空気流が、導風通路２１ｅを通ってサイドカバー２０ｄの内方の空間に案内される。このため、サイドカバー２０ｄがラジエーター１７の一部を車幅方向における外方から覆うことにより、サイドカバー２０ｄの内方の空間を流れる空気流をラジエーター１７へ効率よく案内することができる。従って、本実施形態の自動二輪車１では、サイドカバー２０ｄがラジエーター１７の一部を車幅方向における外方から覆うことにより、ラジエーター１７への空気流の供給効率を向上させることができる。

　また、本実施形態では、導風通路２１ｅからの空気流をラジエーター１７に案内する導風部材３０が設けられている。このため、後方に向かって流れる空気流をラジエーター１７の風受け面１７ａに効率的に供給することができる。具体的には、本実施形態では、導風部材３０は、後方に向かうほど車幅方向においてラジエーター１７に近づくように傾斜した複数のフィン３１ａ～３１ｅを備えている。これらフィン３１ａ～３１ｅによって、導風通路２１ｅを後方に向かって流れている空気流の向きをラジエーター１７の風受け面１７ａに向かう方向に変更することができる。従って、フィン３１ａ～３１ｅを設けることにより、ラジエーター１７への空気流の供給効率をより効果的に高めることができる。

　さらに、本実施形態でフィン３１ａ～３１ｅのうち、後方に位置するフィンほど、車幅方向における外端が車幅方向における外方に位置している。このため、第１～第５のフィン３１ａ～３１ｅの全てに空気流が当たる。よって、ラジエーター１７の風受け面１７ａの全体に空気流を供給することができる。従って、ラジエーター１７への空気流の供給効率をさらに効果的に高めることができる。

　なお、導風部材３０を設けずに、サイドカバー２０ｄによってラジエーター１７の風受け面１７ａの車幅方向における外方の全体を覆うことも考えられる。この場合であってもラジエーター１７に空気流を効率的に供給することができる。

　しかしながら、この場合は、自動二輪車１の停止時や低速走行時におけるラジエーター１７からの放熱がサイドカバー２０ｄによって妨げられる。このため、自動二輪車１の停止時や低速走行時には、ラジエーター１７における冷却液の冷却効率が低くなってしまう。

　それに対して、本実施形態では、ラジエーター１７の前部の一部を除く部分の車幅方向における外方がサイドカバー２０ｄにより覆われていない。かつ、導風部材３０のフィン３１ａ～３１ｅ間には開口が形成されている。従って、本実施形態の自動二輪車１では、自動二輪車１の停止時や低速走行時におけるラジエーター１７からの放熱が効率的に行われる。従って、本実施形態の自動二輪車１では、空気流が豊富な高速走行時のみならず、低速走行時や停車時においてもラジエーター１７における冷却液の高い冷却効率を実現することができる。

　また、本実施形態では、導風通路２１ｅ内に、壁部２１ｆ１，２１ｆ２が配置されている。これら壁部２１ｆ１，２１ｆ２は、風受け面１７ａよりも車幅方向における内方から、後方に向かって車幅方向における外方に延びている。このため、これら壁部２１ｆ１，２１ｆ２により、導風通路２１ｅにおいて風受け面１７ａよりも車幅方向における内方に位置している部分に流入した空気流もラジエーター１７に導くことができる。従って、より多くの空気流をラジエーター１７に導くことができる。その結果、ラジエーター１７における冷却液の冷却効率をより高めることができる。

　なお、壁部２１ｆ１，２１ｆ２は、底カバー２１ｃなどと一体に形成されていてもよいし、他の部材と別体に形成されていてもよい。

　また、本実施形態では、インナーパネル２０ｂに、上部開口２０ｂ１，２０ｂ２と下部開口２０ｂ３，２０ｂ４とが設けられている。このため、上部開口２０ｂ１，２０ｂ２と下部開口２０ｂ３，２０ｂ４とから、空気流を導風通路２１ｅにより効率よく案内することができる。

　特に、下部開口２０ｂ３，２０ｂ４は、足載せ部２１ａよりも下方に位置する部分を有している。このため、下部開口２０ｂ３，２０ｂ４から、足載せ部２１ａの下方の導風通路２１ｅ内に、効率よく空気流を案内することができる。

　さらに、上部開口２０ｂ１，２０ｂ２とは、車幅方向に離れて配置されている。また、下部開口２０ｂ３，２０ｂ４も、車幅方向に離れて配置されている。このため、上部開口２０ｂ１，２０ｂ２と下部開口２０ｂ３，２０ｂ４との大部分が、正面視において前輪１１と重ならない。このため、空気流が、前輪１１によって妨げられずに、上部開口２０ｂ１，２０ｂ２と下部開口２０ｂ３，２０ｂ４に効率よく流入することができる。

　以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。

　例えば、導風通路２１ｅの全体の下方が底カバー２１ｃによって覆われていなくてもよい。図１４に示すように、底カバー２１ｃに凹部２１０が設けられもよい。凹部２１０は、底カバー２１ｃの後端部から前方へ向けて凹んだ形状を有している。或いは、底カバー２１ｃの前後方向の長さ、又は、車幅方向の長さが、導風通路２１ｅよりも短くてもよい。さらに、底カバー２１ｃが設けられなくてもよい。すなわち、導風通路２１ｅは、少なくとも下カバーと足載せ部とによって形成されればよい。

　導風部材の形状は、上述した導風部材３０の形状に限られない。例えば、図１５に示す導風部材３００が自動二輪車１に備えられてもよい。この導風部材３００は、第１～第５フィン３１０ａ～３１０ｅを有している。第１～第５フィン３１０ａ～３１０ｅは、上述した連結部３２ａ，３２ｂ（図１０参照）によって連結されていない。また、第１～第５フィン３１０ａ～３１０ｅは、中間部が曲線状の形状となるように、湾曲した形状を有している。さらに、導風部材３００の上部には、ラジエーター１７の一部との干渉を回避するために孔３２０が設けられている。

　上述した車体カバー２０を構成する各部分は、それぞれ複数の部品によって構成されてもよい。例えば、図１６に示すように、車体カバー２０は、第１～第６カバー部品４１－４６を有してもよい。これらのカバー部品はそれぞれ別体に形成された部品である。第１カバー部品４１は、シート１０の前端部の下方に位置している。また、第１カバー部品４１は、シート１０の前部の左右の両側部の下方に位置している。第１カバー部品４１は、上述したサイドカバー２０ｄの前面の上部を構成している。第２カバー部品４２は、第１カバー部品４１の後方、及び、シート１０の後部の下方に位置している。第２カバー部品４２は、上述したサイドカバー２０ｄの右側面の上部を構成している。第３カバー部品４３は、第２カバー部品４２と概ね左右対称に設けられている。第３カバー部品４３は、上述したサイドカバー２０ｄの左側面の上部を構成している。第４カバー部品４４は、第１カバー部品４１と第２カバー部品４２と第３カバー部品４３との下方に位置している。第４カバー部品４４は、サイドカバー２０ｄの左右の両側面の一部と、フートボード２１ａとを構成している。具体的には、第４カバー部品４４の右側面には、車幅方向における内方へと凹んだ凹部４４ａが形成されており、この凹部４４ａの底面は、上述したタンデムフートレスト１８ａが配置される段部２２ｃを構成している。第４カバー部品４４の左側面は、第４カバー部品４４の右側面と概ね左右対称な形状である。第５カバー部品４５は、第４カバー部品４４の下方に位置している。第５カバー部品４５は、上述した下カバー２１ｄ１の一部を構成している。第６カバー部品４６は、第４カバー部品４４の下方、及び、第５カバー部品４５の後方に位置している。第６カバー部品４６は、上述した下カバー２１ｄ１の一部、及び、サイドカバー２０ｄの右側面の下部を構成している。なお、図示していないが第５カバー部品４５及び第６カバー部品４６と左右対称に第７カバー部品及び第８カバー部品が設けられており、下カバー２１ｄ２とサイドカバー２０ｄの左側面の下部とを構成している。なお、車体カバー２０の複数の部品への分割の態様は上記のものに限られない。また、上記の第１～第６カバー部品４１－４６及び第７、第８カバー部品の全て或いは一部が一体的に形成されてもよい。

　　１　　　　　　自動二輪車
　　９　　　　　　車体フレーム
　１５　　　　　　エンジン
　１５ａ　　　　　クランクシャフト
　１７　　　　　　ラジエーター
　１８ａ、１８ｂ　タンデムフートレスト
　２０ｂ　　　　　インナーパネル
　２０ｂ１，２０ｂ２　上部開口
　２０ｂ３，２０ｂ４　下部開口
　２０ｄ　　　　　サイドカバー
　２１ａ　　　　　足載せ部
　２１ｄ１　　　　左下カバー
　２１ｄ２　　　　右下カバー
　２１ｅ　　　　　導風通路
　２１ｆ　　　　　壁部
　３０　　　　　　導風部材
　３１ａ　　　　　第１のフィン
　３１ｂ　　　　　第２のフィン

Claims

　ヘッドパイプ部と、前記ヘッドパイプ部から下方に向かって延びるダウンフレーム部と、前記ダウンフレーム部の下端部から後方に向かって延びる下フレーム部と、前記下フレーム部の後端部から上方に向かって延びるリアフレーム部と、を有する車体フレームと、
　前記下フレーム部の上方に配置され、車幅方向に渡って平坦な形状に形成された足載せ部と、
　車幅方向に延びるクランクシャフトを有し、前記リアフレーム部に揺動可能に支持されているエンジンと、
　前記クランクシャフトの車幅方向における外方に配置されるラジエーターと、
　前記ラジエーターの少なくとも一部を車幅方向における外方から覆うサイドカバーと、
　前記下フレーム部の少なくとも一部を左側方から覆う左下カバーと、
　前記下フレーム部の少なくとも一部を右側方から覆う右下カバーと、
を備え、
　車幅方向において前記左下カバーと前記右下カバーとの間、かつ、前記足載せ部の下方に、前記サイドカバーと前記ラジエーターとの間の空間に空気を導く導風通路が形成されている、
自動二輪車。
　前記導風通路からの空気流を前記ラジエーターに案内する導風部材をさらに備え、
　前記導風部材は、前記ラジエーターの車幅方向における外方であって、かつ前記サイドカバーよりも車幅方向における内方に位置している、
請求項１に記載の自動二輪車。
　前記導風部材は、第１のフィンと、前記第１のフィンの後方に配置されている第２のフィンとを有し、
　前記第１及び第２のフィンとのそれぞれは、後方に向かうほど車幅方向において前記ラジエーターに近づくように傾斜しており、
　前記第２のフィンの車幅方向における外端は、前記第１のフィンの車幅方向における外端よりも車幅方向における外方に位置している、
請求項２に記載の自動二輪車。
　前記導風通路に配置されている通路内部材をさらに備え、
　前記通路内部材は、前記導風通路のうち前記ラジエーターよりも車幅方向における内方に位置している部分に流入した空気流を前記ラジエーターに導く、
請求項１に記載の自動二輪車。
　前記下フレーム部を下方から覆う底カバーをさらに備え、
　前記通路内部材は、前記底カバーから上方に向かって延びる壁部であり、
　前記壁部の前端は、前記ラジエーターよりも車幅方向における内方に位置しており、前記壁部の後端は、前記壁部の前端よりも車幅方向における外方に位置している、
請求項４に記載の自動二輪車。
　前記足載せ部の前方に配置されているインナーパネルをさらに備え、
　前記インナーパネルには、前記導風通路に連通する開口が形成されている、
請求項１に記載の自動二輪車。
　前記開口の少なくとも一部は、前記足載せ部よりも下方に位置する、
請求項６に記載の自動二輪車。
　前記開口は、車幅方向に互いに離れて配置される第１開口及び第２開口を有する、
請求項６に記載の自動二輪車。
　前記エンジンは、前記足載せ部よりも後方に配置されている請求項１に記載の自動二輪車。
　前記サイドカバーの車幅方向における外方に配置されている後足載せ部をさらに備える請求項１に記載の自動二輪車。