JP2649179B2 - 空液冷エンジン - Google Patents

空液冷エンジン

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は例えばスクータ等に搭載される空液冷エンジ
ンに関するものである。
〔従来の技術〕
スクータなどのように車体カバーで覆われた空間に搭
載されるエンジンにおいては、冷却送風ファンを用いて
エンジンの冷却を行うのが一般的である。この種のエン
ジンとしては例えば実公昭62−45993号公報(考案の名
称,自動二輪車等のエンジン冷却装置)に開示されたも
のがある。これは、エンジンを水冷式にし、エンジン側
方に冷却用のラジエータを配設すると共に、このラジエ
ータとエンジンとの間にエンジンにより駆動される冷却
送風ファンを配設したものであり、ラジエータを通過し
た空気を冷却ファンで車体カバー内に排出するように構
成されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、このような構造では、シリンダヘッドとシリ
ンダ本体とが平均的に冷却されてしまい、エンジンのシ
リンダヘッドおよびシリンダ本体を最適な温度に冷却す
るのが困難であった。一方、エンジン性能を高める見地
からは、吸気温度を下げて吸気効率を高めるなどのため
にシリンダヘッドの温度を低くすると共に、熱効率を向
上させピストンリング,シリンダ間の摩擦損失を軽減す
るなどのためにシリンダ本体の温度をシリンダヘッドに
比較して高くするのが好ましい。また、従来の冷却装置
においては、シリンダヘッドおよびシリンダ本体を冷却
する大きなラジエータとそれに対応した大きな冷却送風
ファンを必要とするためにエンジン全体が大型化すると
いう問題もあった。本発明はこのような事情に鑑みなさ
れたもので、エンジンのシリンダヘッドおよびシリンダ
本体を最適な温度に冷却すると共にコンパクト化するこ
とができる空液冷エンジンを提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に係る空液冷エンジンは、外周面に冷却フィン
が突設されたシリンダ本体と、内部に冷却液通路を有す
るシリンダヘッドと、前記シリンダ本体の周囲を覆い冷
却風通路を形成するシュラウドと、冷却風通路に冷却風
を導く冷却送風ファンと、前記冷却風が通過しシリンダ
ヘッドの冷却液通路に接続されたラジエータとを備えた
ものである。
〔作用〕
本発明の空液冷エンジンにおいては、冷却送風ファン
で冷却風通路を流れる冷却風によってシリンダ本体が冷
却されると共に、前記冷却風で冷却されるラジエータを
流れる冷却液によってシリンダヘッドが冷却される。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を図により詳細に説明する。
第1図は本発明に係る空液例エンジンを示す平面視断面
図、第2図は第1図のII−II線断面図、第3図はエンジ
ンが搭載されたスクータ全体を示す側面図である。第3
図において符号1で示すものはスクータを示し、このス
クータ1は前輪2と後輪3との間に運転者の足を載せる
低床な略平板状の足載せ台4が備えられている。足載せ
台4の前方には前輪2を転向する操向ハンドル5および
レッグシールド6が配設され、足載せ台4の後方には後
輪3を駆動する駆動ユニット7、この駆動ユニット7を
覆う車体カバー8、運転者用のシート9が配設されてい
る。11はスクータ1の前後方向に延在する車体フレーム
であり、1本の管体からなる前部フレーム11aと、この
前部フレーム11aの後端部から左右に分岐された2本の
管体からなる後部フレーム11bとなどから構成されてい
る。
前記駆動ユニット7は後部フレーム11bの下方に揺動
自在に枢支されたユニットスイング式エンジンであり、
本発明に係るエンジン12と、このエンジン12の動力を後
方へ伝達するVベルトなどを備えた動力伝達機構と、こ
の動力伝達機構を収容し後輪3を支持する伝動ケース13
とから構成されている。14は駆動ユニット7を支持する
ためのブラケットである。15は駆動ユニット7の上下方
向の揺動を吸収する緩衝装置であり、伝動ケース13の後
端面と後部フレーム11bとの間に介装されている。16は
クランク軸であり、クランクケース17によってスクータ
1の車幅方向に支持されている。
前記エンジン12は、空水冷式の4サイクルエンジンで
あり、ピストン21を保持するシリンダ孔22aを有するシ
リンダ本体22が略水平方向に前傾されている。23はシリ
ンダ本体22のシリンダ孔22aを閉塞して燃焼室を形成す
るシリンダヘッドであり、吸気ポートおよび排気ポート
が形成されると共に、これらポートの周囲には冷却水を
流す冷却水通路26が形成されている。27は吸気弁および
排気弁を駆動するカム軸であり、左側端部には吐出側が
前記冷却水通路26に連通された冷却水ポンプ28が連結さ
れている。29はカム軸27とクランク軸16との間に掛け渡
されたタイミングチェーンである。
31はシリンダ本体22の熱を放散させる冷却フィンであ
る。この冷却フィン31はシリンダ本体22の外周面に多数
個外径方向に突設されており、シリンダ本体22の軸線方
向と直交する方向、すなわちシリンダ孔22aの径方向に
延在する板状に形成されている。32はエンジン12に備え
られたシュラウドである。このシュラウド32はシリンダ
本体22の周囲を覆い前記冷却フィン31に沿ってシリンダ
本体22の径方向に延在する冷却風通路33を形成してい
る。また、シュラウド32の右側には吸入口32aが右側方
に向かって開口され、左側には排出口32bが下方に向か
って開口されている。
35は前記シュラウド32の吸入口32aの外側に設けられ
らラジエータである。このラジエータ35の下部タンクは
供給管36で冷却水ポンプ28の吸込側に接続され、上部タ
ンクは回収管37でシリンダヘッド23の冷却水通路26に接
続されている。38はラジエータ35とシリンダ本体22との
間に配設された冷却送風用の軸流ファンである。この軸
流ファン38はシュラウド32で回転自在に支持された回転
軸39上に固定され、外周部にはクランク軸16に軸装され
た駆動歯車41に噛合する歯車部38aが設けられている。
すなわち、軸流ファン38は、エンジン12の動力で駆動さ
れ外気をラジエータ35を通過させると共に、冷却フィン
31方向に送風する。なお、前記車体カバー8のラジエー
タ35に対向する部位には、外気を車体カバー8内に取入
れる取入口が開口されている。
43は伝動ケース13の上方に配設されたエアクリーナ、
44はエアクリーナ43とシリンダヘッド23との間に設けら
れ気化器である。45は車体カバー8内に収容されシート
9で上部開口を開閉される収納ボックスである。この収
納ボックス45は後部フレーム11bで支持され、ヘルメッ
ト46を収納する内部寸法を有している。なお、47はバッ
テリを収容したバッテリボックス、48は燃料タンクであ
る。
このように構成された空液冷エンジンにおいては、エ
ンジンが始動されると、クランク軸16が回転し、クラン
ク軸16の回転に伴って軸流ファン38および冷却水ポンプ
28を駆動することができる。そのため、車体カバー8内
の空気を吸入口32aからシュラウド32内に導き冷却風通
路33を冷却フィン31に沿って冷却風として流した後に排
出口32bから排出することができると共に、ラジエータ3
5内の冷却水を冷却水ポンプ28で冷却水通路26に供給し
た後に再びラジエータ35内に循環させることができる。
しかも、前記冷却風通路33を流れる冷却風によってラジ
エータ35を冷却することができる。
したがって、低温である方が好ましいシリンダベッド
23を冷却効率の良い冷却液で効果的に冷却することがで
きる。また、シリンダヘッド23に比較して高温である方
が好ましいシリンダ本体22を冷却風で適度に冷却し、過
冷却になるのを防止することができる。
また、実施例においては、ラジエータ35と軸流ファン
38とをエンジン12ではクランク軸方向に狭いシリンダ本
体22の側方に配設したから、エンジン全体をコンパクト
にすることができる。しかも、ラジエータ35がシリンダ
ヘッド23に近づけられているから、冷却水の配管もコン
パクトにまとめることができる。
第4図は第2の実施例を示す断面図、第5図は第3の
実施例を示す断面図、第6図は第5図のVI−VI線断面
図、第7図は第4の実施例を示す断面図で、これらの図
において第1図に示すものと同一あるいは同等な部材に
は同一符号を付しその説明は省略する。第4図に示す第
2の実施例においては、クランク軸16上に軸装された発
電機51に固定した遠心ファン52で送風を行うように構成
されている。このため、シュラウド32はシリンダ本体22
の側方およびクランクケース17の側方を一体的に覆うよ
うに大型に形成されている。
また、第5図および第6図に示す第3の実施例におい
ては、ラジエータ35がシリンダ本体22の右側に配設さ
れ、軸流ファン38がシリンダ本体22の左側に配設されて
いる。軸流ファン38はシリンダ本体22に支持された回転
軸53で支持され、回転軸53の端部にはタイミングチェー
ン29に添接するスプロケット54が設けられている。
第7図に示す第4の実施例においては、クランクケー
ス17から上方へ一体に突設されたステー61で軸流ファン
38が回転自在に支持されている。すなわち、62はステー
61の上端部に設けられた軸受筒、63はこの軸受筒62で回
転自在に支持された回転軸である。この回転軸63は軸流
ファン38に連結されており、外側にはプーリ溝の一方を
形成する傾斜面64が一体に形成されている。65は回転軸
63にねじで固定されプーリ溝を形成するプーリ半体、66
はこのプーリ溝に添接されたVベルトである。67はこの
Vベルト66の他端側が添接されるプーリ部材であり、ク
ランク軸16および発電機51の外周面に固定されている。
このように本発明は、シリンダヘッド23を水冷式に
し、シリンダ本体22を強制空冷式にすると共に、強制空
冷に使用するファンを利用してラジエータ35を冷却する
ことをその内容とするものであるから、ファンおよびラ
ジエータ35の配設位置は上述した実施例のものに限定さ
れるものではなく、ファンおよびラジエータ35をともに
シリンダ本体22の左側に配設したり、あるいはラジエー
タ35のみをシリンダ本体22の左側に配設しファンを右側
に配設したりするなど、適宜変更することができる。
また、シュラウド32をシリンダヘッド23を一体的に覆
うような形状にしてもよく、このようにすれば、シリン
ダヘッド23の冷却水による冷却効果を冷却風によってよ
り一層高めることができる。
なお、上記実施例においては、冷却水を用いた例につ
いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、冷却水の代わりにオイルを用いることもできる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、外周面に冷却フ
ィンが突設されたシリンダ本体と、内部に冷却液通路を
有するシリンダヘッドと、前記シリンダ本体の周囲を覆
い冷却風通路を形成するシュラウドと、冷却風通路に冷
却風を導く冷却送風ファンと、前記冷却風が通過しシリ
ンダヘッドの冷却液通路に接続されたラジエータとを備
えたから、冷却風によってシリンダ本体を冷却し、冷却
風で冷却されるラジエータを流れる冷却液によってシリ
ンダヘッドを冷却することができる。
したがって、低温である方が好ましいシリンダヘッド
を強く冷却し、シリンダヘッドに比較して高温である方
が好ましいシリンダ本体を弱く冷却することができる。
そのため、エンジンのシリンダ本体とシリンダヘッドと
をそれぞれ最適な温度に冷却することができるから、エ
ンジン性能を向上させることができる。また、シリンダ
ヘッドおよびシリンダ本体を液で冷却する従来のものに
比較して、ラジエータを小型化し、それに伴って冷却送
風ファンも小型化することができ、さらに一個の冷却装
置ファンをラジエータとシリンダ本体との冷却に共用し
ているから、エンジン全体をコンパクトにまとめること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る空液冷エンジンを示す平面視断面
図、第2図は第1図のII−II線断面図、第3図はエンジ
ンが搭載されたスクータ全体を示す側面図、第4図は第
2の実施例を示す断面図、第5図は第3の実施例を示す
断面図、第6図は第5図のVI−VI線断面図、第7図は第
4の実施例を示す断面図である。 7……駆動ユニット、12……エンジン、22……シリンダ
本体、23……シリンダヘッド、26……冷却水通路、31…
…冷却フィン、32……シュラウド、35……ラジエータ、
38……軸流ファン、52……遠心ファン。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周面に冷却フィンが突設されたシリンダ
    本体と、内部に冷却液通路を有するシリンダヘッドと、
    前記シリンダ本体の周囲を覆いシリンダ本体の径方向に
    延在する冷却風通路を形成するシュラウドと、冷却風通
    路に冷却風を導く冷却送風ファンと、この冷却送風ファ
    ンで生じた冷却風が通過し前記シリンダヘッドの冷却液
    通路に接続されたラジエータとを備えてなる空液冷エン
    ジン。
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