明 細 書
情報再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラム
技術分野
[0001] 本発明は、例えば記録媒体に記録された記録データの再生を行う情報再生装置 及び方法であって、特に記録媒体に記録された記録データを読み取ることで得られ る読取信号に対して PRML処理等の波形等化を行う情報再生装置及び方法、並び にコンピュータをこのような情報再生装置として機能させるコンピュータプログラムの 技術分野に関する。
背景技術
[0002] 記録データが高密度記録されて!、る記録媒体から読み取られた読取信号の再生 品質を向上させるため、特許文献 1によれば、線記録方向の記録密度の増大に伴つ て高域成分の振幅が劣化し、 SZN比が増大する再生系において、パーシャルレス ポンス方式を適用して、意図的に波形干渉を付加することにより高域成分を必要とし ない再生系を実現し、且つ波形干渉を考慮した確率計算により最も確からしい系列 を推定する最尤復号法を適用する技術 (いわゆる PRML処理に関する技術)が開示 されている。
[0003] 特許文献 1:特開第 2005— 93033号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] ここで、読取信号には波形歪みが生じ得る。波形歪みとは、本来とるべき信号レべ ルと実際に読取信号に現れた信号レベルとの間にずれが生じている状態を示す。こ のような波形歪みによって、再生品質が悪ィ匕してしまうおそれがある。このため、例え ばランレングスが相対的に長いマークを他のマークと誤判別してしまう不都合につな 力 Sりかねない。具体的には、例えば、ランレングスが 8Tのマークを、ランレングスが 4 Tのマークと、ランレングスが 2Tのスペースと、ランレングス力 ¾Τのマークとして誤判 別してしまう不都合につながりかねな!/、。
[0005] 本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば波形
歪みが生じている場合においても好適に記録データを再生することができる情報再 生装置及び方法、並びにコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
[0006] 上記課題を解決するために、本発明の情報再生装置は、記録媒体から読み取られ た読取信号のうち少なくとも長マークに対応する読取信号に生ずる波形歪みを補正 する補正手段と、前記波形歪みが補正された前記読取信号に対して、 PRML (Parti al Response Maximum Likelihood)処理を施す処理手段とを備える。
[0007] 上記課題を解決するために、本発明の情報再生方法は、記録媒体から読み取られ た読取信号のうち少なくとも長マークに対応する読取信号に生ずる波形歪みを補正 する補正工程と、前記波形歪みが補正された前記読取信号に対して、 PRML (Parti al Response Maximum Likelihood)処理を施す処理工程とを備える。
[0008] 上記課題を解決するために、本発明のコンピュータプログラムは、記録媒体から読 み取られた読取信号のうち少なくとも長マークに対応する読取信号に生ずる波形歪 みを補正する補正手段と、前記波形歪みが補正された前記読取信号に対して、 PR ML (Partial Response Maximum Likelihood)処理を施す処理手段とを備える情報再 生装置に備えられたコンピュータを制御する再生制御用のコンピュータプログラムで あって、該コンピュータを、前記補正手段及び前記処理手段の少なくとも一部として 機能させる。
[0009] 本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態力 明らかにされよう。
図面の簡単な説明
[0010] [図 1]本実施例に係る情報再生装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
[図 2]波形歪みの第 1の例を概念的に示す波形図である。
[図 3]波形歪みの第 2の例を概念的に示す波形図である。
[図 4]波形歪みの補正動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
[図 5]PRML信号処理回路が PR (1、 2、 1)方式を採用している場合の、波形歪みの 補正動作を、サンプル値系列 RS上で概念的に示す波形図である。
C
[図 6]PRML信号処理回路が PR (1、 2、 2、 1)方式を採用している場合の、波形歪 みの補正動作を、サンプル値系列 RS上で概念的に示す波形図である。
[図 7]PRML信号処理回路が PR (1、 2、 2、 2、 1)方式を採用している場合の、波形 歪みの補正動作を、サンプル値系列 RS上で概念的に示す波形図である。
C
[図 8]PRML信号処理回路が PR (1、 2、 2、 2、 2、 1)方式を採用している場合の、波 形歪みの補正動作を、サンプル値系列 RS上で概念的に示す波形図である。
C
圆 9]波形歪みの補正前後における読取信号の波形等を概念的に示す波形図であ る。
[図 10]第 1変形例に係る情報再生装置が備える波形歪み補正回路の構成を概念的 に示すブロック図である。
[図 11]第 1変形例に係る情報再生装置が備える波形歪み補正回路が備える波形歪 み検出回路の構成を概念的に示すブロック図である。
圆 12]第 1変形例に係る情報再生装置による動作の流れを概念的に示すフローチヤ ートである。
圆 13]第 2変形例に係る情報再生装置による波形歪みの補正動作を、第 1の読取信 号上で概念的に示すタイミングチャートである。
[図 14]第 2変形例に係る情報再生装置による波形歪みの補正動作を、第 2の読取信 号上で概念的に示すタイミングチャートである。
圆 15]第 2変形例に係る情報再生装置による第 1の動作の流れを概念的に示すフロ 一チャートである。
圆 16]第 2変形例に係る情報再生装置による第 2の動作の流れを概念的に示すフロ 一チャートである。
圆 17]第 2変形例に係る情報再生装置による第 3の動作の流れを概念的に示すフロ 一チャートである。
[図 18]PR(1、 2、 2、 1)方式における状態遷移図及び該状態遷移図を時間軸方向 に展開したトレリス線図である。
[図 19]PR(1、 2、 2、 1)方式を採用している場合において、第 1のゼロクロス点の 2つ 後ろに位置するサンプル値と、第 2のゼロクロス点の 2つ前に位置するサンプル値と の間の範囲に含まれるサンプル値を対象に行った波形歪みの補正動作を、サンプ ル値系列上で概念的に示す波形図である。
[図 20]PR(1、 2、 2、 1)方式を採用している場合において、第 1のゼロクロス点の 1つ 後ろに位置するサンプル値と、第 2のゼロクロス点の 1つ前に位置するサンプル値と の間の範囲に含まれるサンプル値を対象に行った波形歪みの補正動作を、サンプ ル値系列上で概念的に示す波形図である。
[図 21]再生専用型の光ディスクの記録面上のマークの様子を模式的に示す平面図 である。
符号の説明
[0011] 1、2 情報再生装置
10 スピンドノレモータ
11 ピックアップ
12 HPF
13 AZD変
14 プリイコライザ
15 PRML信号処理回路
17 復号回路
18 波形歪み補正回路
181 遅延調整回路
182 歪み補正値検出回路
183 マーク Zスペース長検出回路
184 タイミング生成回路
185 セレクタ
186 波形歪み検出回路
発明を実施するための最良の形態
[0012] 以下、発明を実施するための最良の形態として、本発明の情報再生装置及び方法
、並びにコンピュータプログラムに係る実施形態の説明を進める。
[0013] (情報再生装置の実施形態)
本発明の情報再生装置に係る実施形態は、記録媒体力 読み取られた読取信号 のうち少なくとも長マークに対応する読取信号に生ずる波形歪みを補正する補正手
段と、前記波形歪みが補正された前記読取信号に対して、 PRML (Partial Response Maximum Likelihood)処理を施す処理手段とを備える。
[0014] 本発明の情報再生装置に係る実施形態によれば、補正手段の動作により、少なく とも長マーク(例えば、記録媒体が DVDであればランレングス 7Tから 11T及び 14T のマークであり記録媒体が Blu— ray Discであればランレングス 6Tから 9Tのマーク )に対応する読取信号に生ずる波形歪みが補正される。ここでは、波形歪みが後述 の PRML処理に悪影響を与えなくなるように、波形歪みが(より具体的には、例えば 波形歪みの信号レベル等)が補正されることが好ま 、。
[0015] その後、処理手段の動作により、波形歪みが補正された読取信号 (以下、適宜"歪 み補正信号"と称する)に対して PRML処理が施される。尚、 PRML処理については 、上述した特許文献 1等に記載されているため、その詳細な説明については省略す る。
[0016] このように、 PRML処理が施される前に、読取信号に生ずる波形歪みが補正される ため、記録媒体力 読み取られた読取信号に波形歪みが生じていたとしても、該波 形歪みが PRML処理に悪影響を与えることは殆ど或いは全くなくなる。より具体的に は、例えば、長マークを他のマークと誤判別してしまう不都合を好適に防止することが できる。これにより、波形歪みが発生している読取信号に対しても、 PRML処理を好 適に施すことができ、その結果、好適に記録データを再生することができる。
[0017] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の一の態様は、前記補正手段は、信号レ ベルが増加する方向に向力つて前記波形歪みが生じて 、る場合 (言 、換えれば、波 形歪みの信号レベルが、本来取るべき信号レベルよりも大きい)、前記読取信号のう ち、リファレンスレベル以下の信号成分であって且つ前記 PRML処理におけるパスメ トリック選択を誤らせない範囲の信号成分を補正することにより、前記波形歪みを補 正する。
[0018] この態様によれば、このような信号成分を補正することで、 PRML処理に悪影響を 与えることなぐ波形歪みを好適に補正することができる。
[0019] 尚、本実施形態における「リファレンスクロス点」とは、読取信号の信号レベルがリフ アレンスレベルと交わる点を示す。リファレンスレベルがゼロレベルである場合には、リ
ファレンスクロス点は、ゼロクロス点に相当する。
[0020] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記補正手段は、信号レ ベルが減少する方向に向力つて前記波形歪みが生じて 、る場合 (言 、換えれば、波 形歪みの信号レベルが、本来取るべき信号レベルよりも小さい)、前記読取信号のう ち、リファレンスレベル以上の信号成分であって且つ前記 PRML処理におけるパスメ トリック選択を誤らせない範囲の信号成分を補正することにより、前記波形歪みを補 正する。
[0021] この態様によれば、このような信号成分を補正することで、 PRML処理に悪影響を 与えることなぐ波形歪みを好適に補正することができる。
[0022] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記処理手段が、 PR (C1 、 C21、 C22、 · · ·、 C2k、 CI)方式を採用している場合、前記補正手段は、第 1のリ ファレンスクロス点から (k+ l)Z2つ後に出現するサンプル値と、前記第 1のリファレ ンスクロス点の次に位置する第 2のリファレンスクロス点の(k+ 1) Z2つ前に出現する サンプル値との間の信号成分を補正することにより、前記波形歪みを補正する。
[0023] この態様によれば、このような信号成分を補正することで、 PRML処理に悪影響を 与えることなぐ波形歪みを好適に補正することができる。
[0024] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記処理手段が、 PR (1、 2、 1)方式を採用している場合、前記補正手段は、第 1のリファレンスクロス点から 1つ 後ろに出現するサンプル値と、前記第 1のリファレンスクロス点の次に位置する第 2の リファレンスクロス点の 1つ前に出現するサンプル値との間の信号成分を補正すること により、前記波形歪みを補正する。
[0025] この態様によれば、このような信号成分を補正することで、 PR(1、 2、 1)方式を採用 している PRML処理に悪影響を与えることなぐ波形歪みを好適に補正することがで きる。
[0026] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記処理手段が、 PR (1、 2、 2、 1)方式を採用している場合、前記補正手段は、第 1のリファレンスクロス点から 2つ後ろに出現するサンプル値と、前記第 1のリファレンスクロス点の次に位置する第 2のリファレンスクロス点の 2つ前に出現するサンプル値との間の信号成分を補正する
ことにより、前記波形歪みを補正する。
[0027] この態様によれば、このような信号成分を補正することで、 PR(1、 2、 2、 1)方式を 採用している PRML処理に悪影響を与えることなぐ波形歪みを好適に補正すること ができる。
[0028] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記処理手段が、 PR (1、 2、 2、 2、 1)方式を採用している場合、前記補正手段は、第 1のリファレンスクロス点 力 2つ後ろに出現するサンプル値と、前記第 1のリファレンスクロス点の次に位置す る第 2のリファレンスクロス点の 2つ前に出現するサンプル値との間の信号成分を補正 することにより、前記波形歪みを補正する。
[0029] この態様によれば、このような信号成分を補正することで、 PR(1、 2、 2、 2、 1)方式 を採用している PRML処理に悪影響を与えることなぐ波形歪みを好適に補正するこ とがでさる。
[0030] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記処理手段が、 PR (1、 2、 2、 2、 2、 1)方式を採用している場合、前記補正手段は、第 1のリファレンスクロス 点から 3つ後ろに出現するサンプル値と、前記第 1のリファレンスクロス点の次に位置 する第 2のリファレンスクロス点の 3つ前に出現するサンプル値との間の信号成分を補 正することにより、前記波形歪みを補正する。
[0031] この態様によれば、このような信号成分を補正することで、 PR(1、 2、 2、 2、 2、 1)方 式を採用している PRML処理に悪影響を与えることなぐ波形歪みを好適に補正す ることがでさる。
[0032] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記補正手段は、信号レ ベルが増加する方向に向力つて前記波形歪みが生じている場合、前記波形歪みの 信号レベルを、前記 PRML処理における予測最小値に補正する。
[0033] この態様によれば、波形歪みの信号レベルを好適な信号レベルに補正することが できる。つまり、波形歪みを好適に補正することができる。
[0034] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記補正手段は、信号レ ベルが減少する方向に向力つて前記波形歪みが生じている場合、前記波形歪みの 信号レベルを、前記 PRML処理における予測最大値に補正する。
[0035] この態様によれば、波形歪みの信号レベルを好適な信号レベルに補正することが できる。つまり、波形歪みを好適に補正することができる。
[0036] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記波形歪みを検出する 検出手段を更に備え、前記補正手段は、前記検出手段により前記波形歪みが検出 された場合に、前記波形歪みを補正する。
[0037] この態様によれば、波形歪みが検出された場合に、選択的に波形歪みが補正され る。従って、情報再生装置の負荷を低減させつつ、上述した各種効果を享受すること ができる。
[0038] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記補正手段は、(0前記 読取信号のエラー訂正 (より具体的には、読取信号力 得られる記録データのエラー 訂正)が不能である場合、 GO前記読取信号のエラーレート (より具体的には、読取信 号力 得られる記録データの読取エラーレート)が所定の閾値以上である場合、又は (m)記録データに含まれるユーザデータを読み取るために用いられ且つ前記記録デ ータに含まれる同期データに相当する読取信号を読み取ることができな 、場合に、 前記波形歪みを補正する。
[0039] この態様によれば、このような場合に選択的に波形歪みを補正することで、情報再 生装置の負荷を低減させつつ、上述した各種効果を享受することができる。
[0040] 特に、シーケンシャル記録のみが許可されて 、る記録媒体とは異なって、ランダム 記録が許可されている記録媒体においては、様々な記録状態が混在している。この 場合、波形歪みが不連続にな 、しは離散的に分布したり或いはして 、な力 たりす る読取信号を読み取ったり、大小様々な信号レベルを有する読み取り信号を読み取 る必要がある。従って、通常は波形歪みを補正することなく記録データを再生し、上 述した場合に選択的に波形歪みを補正しながら記録データを再生することで、情報 再生装置の負荷を低減させつつ、上述した各種効果を享受することができる。
[0041] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様では、前記補正手段は、記録 データに含まれるユーザデータを読み取るために用いられ且つ前記記録データに含 まれる同期データに相当する前記読取信号に生ずる前記波形歪みを補正する。
[0042] この態様によれば、記録データを再生する際に重要な同期データに相当する読取
信号は少なくとも確実に読み取ることができるため、記録データを好適に再生するこ とがでさる。
[0043] 上述の如く同期データに相当する読み取り信号に生ずる波形歪みを補正する情報 再生装置の態様では、前記補正手段は、前記読取信号のうち前記同期データを構 成するマークと対をなすスペースの前、該スペースの後、及び該スペースを基点とし て前記同期データの周期性を満たす位置の少なくとも一つにおいて、前記波形歪み を補正するように構成してもよい。具体的には、例えば記録媒体が Blu— ray Disc であれば、同期データを構成するランレングスが 9Tのマークと対をなすランレングス 力 S9Tのスペースを検出し、該ランレングスが 9Τのスペースの前後の少なくとも一方に おいて、波形歪みを補正するように構成してもよい。或いは、同期データの周期性に 着目し、ランレングスが 9Τのスペースから、 1932Tに相当する時間が経過した時点 付近において、波形歪みを補正するように構成してもよい。或いは、例えば記録媒体 が DVDであれば、同期データの周期性に着目し、ランレングスが 14Tのスペースか ら、 1488Tに相当する時間が経過した時点付近において、波形歪みを補正するよう に構成してもよい。
[0044] このように構成すれば、同期データが出現する周期性に着目して、比較的容易に 同期データに相当する読み取り信号の波形歪みを補正することができる。
[0045] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記長マークは、信号レ ベルが最大振幅となるマークである。
[0046] この態様によれば、このような長マークに対応する読取信号に生ずる波形歪みを好 適に補正することができる。
[0047] 本発明の情報再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記処理手段は、前記読 取信号に含まれる区域周波数成分を抑制できるような意図的な波形干渉を基準に、 該読取信号をパーシャルレスポンス (Partial Response)等化する等化手段と、前記等 化手段の出力に対し、最も確からしい系列を推定する最尤(Maximum Likelihood)復 号手段とを備える。
[0048] この態様によれば、等化手段及び最尤復号手段の動作により、波形歪みが補正さ れた読取信号に対して PRML処理を好適に施すことができる。
[0049] (情報再生方法の実施形態)
本発明の情報再生方法に係る実施形態は、記録媒体力 読み取られた読取信号 のうち少なくとも長マークに対応する読取信号に生ずる波形歪みを補正する補正ェ 程と、前記波形歪みが補正された前記読取信号に対して、 PRML (Partial Response
Maximum Likelihood)処理を施す処理工程とを備える。
[0050] 本発明の情報再生方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報再生装 置に係る実施形態が享受することができる各種効果と同様の効果を享受することが できる。
[0051] 尚、上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態における各種態様に対応し て、本発明の情報再生方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
[0052] (コンピュータプログラムの実施形態)
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態は、記録媒体力 読み取られた読 取信号のうち少なくとも長マークに対応する読取信号に生ずる波形歪みを補正する 補正手段と、前記波形歪みが補正された前記読取信号に対して、 PRML (Partial Re sponse Maximum Likelihood)処理を施す処理手段とを備える情報再生装置(即ち、 上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態 (但し、その各種態様を含む))に 備えられたコンピュータを制御する再生制御用のコンピュータプログラムであって、該 コンピュータを、前記補正手段及び前記処理手段の少なくとも一部として機能させる
[0053] 本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、当該コンピュータプログ ラムを格納する ROM、 CD-ROM, DVD-ROM,ハードディスク等の記録媒体か ら、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、 当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた 後に実行させれば、上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態を比較的簡単 に実現できる。
[0054] 尚、上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態における各種態様に対応し て、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能で ある。
[0055] 本発明のコンピュータプログラム製品に係る実施形態は、記録媒体力 読み取られ た読取信号のうち少なくとも長マークに対応する読取信号に生ずる波形歪みを補正 する補正手段と、前記波形歪みが補正された前記読取信号に対して、 PRML (Parti al Response Maximum Likelihood)処理を施す処理手段とを備える情報再生装置(即 ち、上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態 (但し、その各種態様を含む)) に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現ィ匕し、該コ ンピュータを、前記補正手段及び前記処理手段のうち少なくとも一部として機能させ る。
[0056] 本発明のコンピュータプログラム製品に係る実施形態によれば、当該コンピュータ プログラム製品を格納する ROM、 CD-ROM, DVD-ROM,ハードディスク等の 記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或い は、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコン ピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態を 比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は 、上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態として機能させるコンピュータ読 取可能なコード (或 、はコンピュータ読取可能な命令)力も構成されてよ 、。
[0057] 尚、上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態における各種態様に対応し て、本発明のコンピュータプログラム製品に係る実施形態も各種態様を採ることが可 能である。
[0058] 本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らか にされよう。
[0059] 以上説明したように、本発明の情報再生装置に係る実施形態によれば、補正手段 と、処理手段とを備える。本発明の情報再生方法に係る実施形態によれば、補正ェ 程と、処理工程とを備える。本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれ ば、コンピュータを本発明の情報再生装置に係る実施形態として機能させる。従って 、波形歪みが生じて 、る場合にぉ 、ても好適にデータを再生することができる。
実施例
[0060] 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
[0061] (1) 基本構成
初めに、図 1を参照して、本発明の情報再生装置に係る実施例について説明を進 める。ここに、図 1は、本実施例に係る情報再生装置の基本構成を概念的に示すブ ロック図である。
[0062] 図 1に示すように、本実施例に係る情報再生装置 1は、スピンドルモータ 10と、ピッ クアップ(PU : Pick Up) 11と、 HPF (High Pass Filter) 12と、 AZD変^^ 13と、プリ イコライザ(pre Equalizer) 14と、 PRML信号処理回路 15と、復号回路 17と、波形歪 み補正回路 18とを備えている。
[0063] ピックアップ 11は、スピンドルモータ 10によって回転する光ディスク 100の記録面に レーザ光 LBを照射した際の反射光を光電変換して読取信号 R を生成する。
RF
[0064] HPF12は、ピックアップより出力される読取信号 R の低域成分を除去し、その結
RF
果得られる読取信号 R を AZD変換器 13へ出力する。
HC
[0065] A/D変換器 13は、不図示の PLL (Phased Lock Loop)等から出力されるサンプリ ングクロックに応じて読取信号をサンプリングし、その結果得られる読取サンプル値系 列 RSをプリイコライザ 14へ出力する。
[0066] プリイコライザ 14は、ピックアップ 11及び光ディスク 100から構成される情報読取系 の伝送特性に基づく符号間干渉を除去し、その結果得られる読取サンプル値系列 R
Sを波形歪み補正回路 18へ出力する。
C
[0067] 波形歪み補正回路 18は、本発明における「補正手段」の一具体例を構成しており 、読取サンプル値系列 RS に生じている波形歪み(つまり、読取信号 R に生じてい
C RF
る波形歪み)を補正する。その結果得られる、歪み補正読取サンプル値系列 RS
CAM
は、 PRML信号処理回路 15へ出力される。
[0068] PRML信号処理回路 15は、歪み補正読取サンプル値系列 RS に対して PRM
CAM
L処理を施し、その結果得られる 2値ィ匕信号を、復号回路 17へ出力する。
[0069] 尚、 PRML信号処理回路 15は、 FIR (Finite Impulse Response)フィルタやトランス バーサルフィルタ等に代表される PR (Partial Response :パーシャルレスポンス)等化 回路 151と、ビタビ復号器等に代表される最尤復号回路 152とを備えている。 PR等 化回路 151は、歪み補正読取サンプル値系列 RS に対して、高域雑音の抑制と
意図的な符号間干渉を付加するためのパーシャルレスポンス等化処理を施す。最尤 復号回路 152は、パーシャルレスポンス等化処理が施された歪み補正読取サンプル 値系列 RS に対して、付加された符号的規則に基づいて尤も確力もしい系列を推
CAM
定することで、 2値化信号を生成する。このような PRML処理については、従来の PR
ML処理を用いることができるため、その詳細な説明につ 、ては省略する。
[0070] 復号回路 17は、 2値化信号に対して復号処理等を行い、その結果得られる再生信 号を、ディスプレイやスピーカ等の外部再生機器へ出力する。その結果、光ディスク 1
00に記録されたデータ (例えば、映像データや音声データ等)が再生される。
[0071] 本実施例に係る情報再生装置 1では特に、波形歪みを補正した後に、 PRML信号 処理回路 15において、 PRML処理が行われる。以下、波形歪み補正の具体例につ いて、詳細に説明を進める。
[0072] (2)波形歪み
初めに、図 2及び図 3を参照して、波形歪みについて説明する。ここに、図 2は、波 形歪みの第 1の例を概念的に示す波形図であり、図 3は、波形歪みの第 2の例を概 念的に示す波形図である。
[0073] 図 2 (a)に示すように、波形歪みは、本来とるべき信号レベルと実際に読取信号 R
RF
に現れた信号レベルとの差を示す。この波形歪みは、読取信号 R の最大振幅 Aに
RF
対する歪み量 D及びゼロレベルから波形歪みの頂点までの信号レベルである波形歪 み量 D'で定量的に定義される。図 2 (a)において、太い点線は、波形歪みが発生し て!ヽな 、ときに本来とるべき信号レベルを示して 、る。波形歪みが発生して!/、な!/、場 合には、当然に波形歪み量 Dはゼロである。
[0074] 尚、図 2 (a)に示す波形歪みは、読取信号 R の前端部及び後端部の信号レベル
RF
と比較して、中間部の信号レベルが変化してしまった波形歪みを示している。このよう な波形歪み以外にも、図 2 (b)に示すように、読取信号 R の後端部の信号レベルと
RF
比較して、前端部及び中間部の信号レベルが変化してしまった波形歪みや、図 2 (c) に示すように、読取信号 R の前端部の信号レベルと比較して、中間部及び後端部
RF
の信号レベルが変化してしまった波形歪みも存在しえる。 、ずれの波形歪みを対象 としていても、後述する構成及び動作を採用することができることは言うまでもない。
[0075] また、図 2 (a)力も図 2 (c)においては、マークを形成することによって、レーザ光 LB の反射率が減少する光ディスク 100に生ずる波形歪みについて説明した。つまり、ゼ ロレベル以下の信号レベルにぉ 、て、信号レベルが意図せず増加するような波形歪 みが発生する例について説明した。し力しながら、図 3 (a)に示すように、例えば色素 膜を記録層として用いた Blu— ray Disc等の光ディスクのように、データを記録する ことによって、レーザ光 LBの反射率が増加する光ディスク(いわゆる、 Low to Hig hディスク) 100に生ずる波形歪みも存在し得る。つまり、ゼロレベル以上の信号レべ ルにおいて、信号レベルが意図せず減少するような波形歪みも発生し得る。尚、ゼロ レベル以上の信号レベルにぉ 、て、信号レベルが意図せず減少するような波形歪み が発生する場合においても、ゼロレベル以上の信号レベルにおいて、図 2 (b)におい て示した信号レベルが意図せず減少するような波形歪みが発生する場合と同様に、 図 3 (b)に示すように、読取信号 R の後端部の信号レベルと比較して、前端部及び
RF
中間部の信号レベルが変化してしまった波形歪みが存在し得る。また、図 2 (c)にお いて示した信号レベルが意図せず減少するような波形歪みが発生する場合と同様に 、図 3 (c)に示すように、読取信号 R の前端部の信号レベルと比較して、中間部及
RF
び後端部の信号レベルが変化してしまった波形歪みも存在し得る。
[0076] また、本実施例においては、ランレングスが相対的に長いマーク(以降、適宜"長マ ーク"と称し、例えば、光ディスク 100が DVDであればランレングス 7Tから 11T又は 1 4Tのデータであり、光ディスク 100が Blu— ray Discであればランレングス 6Tから 9 Τのデータ)に対応する読取信号に発生する波形歪みに着目することが好ましい。或 いは、同期データ(つまり、 syncデータ)の重要性を考慮すれば、同期データに対応 するマーク(例えば、光ディスク 100が DVDであればランレングス 14Tのデータであり 、光ディスク 100が Blu— ray Discであればランレングス 9Tのデータ)に対応する読 取信号に発生する波形歪みに着目することが好ましい。
[0077] (3)波形歪みの補正動作例
続いて、図 4を参照して、波形歪みの具体的な補正動作例について説明する。ここ に、図 4は、波形歪みの補正動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
[0078] 図 4に示すように、まず、光ディスク 100に記録されたデータの再生動作が行われる
(ステップ S 101)。
[0079] 再生動作の際には、シンボルエラーレート(SER: Symbol Error Rate)が所定閾値 以上であるか否か、例えば ECC (Error Correction Code)等を用いたエラー訂正が 不可能であるか否力、又は同期データが読取不可能である力否かが逐次判定される (ステップ S 102)。ここでは、好適な再生動作が行われているか否かに基づいて、所 定閾値が設定されることが好ましい。具体的には、好適な再生動作が行われなくなる シンボルエラーレートの値 (例えば、概ね 0. 001以上)を所定閾値として設定すること が好ましい。
[0080] ステップ S102における判定の結果、シンボルエラーレートが所定閾値以上でない 、且つエラー訂正が不可能でない、且つ同期データが読取不可能でないと判定され た場合には(ステップ S 102 : No)、ステップ S 107へ進む。
[0081] 他方、ステップ S102における判定の結果、シンボルエラーレートが所定閾値以上 である、エラー訂正が不可能である、又は同期データが読取不可能であると判定さ れた場合には (ステップ S 102 : Yes)、続いて、長マークの波形歪みが測定される (ス テツプ S103)。ここでは、例えば、読取信号 R の最大振幅 Aに対する波形歪み量 D
RF
(又は D' )の比率を示す波形歪み率 (つまり、 D/AX 100)が測定される。
[0082] その後、波形歪みが所定値以上である力否かが判定される (ステップ S 104)。例え ば、波形歪み率が概ね 30%以上である力否かが判定される。
[0083] ステップ S104における判定の結果、波形歪みが所定値以上でな 、(例えば、波形 歪み率が概ね 30%以下である)と判定された場合には (ステップ S 104 : No)、ステツ プ S 107へ進む。
[0084] 他方、ステップ S104における判定の結果、波形歪みが所定値以上である(例えば 、波形歪み率が概ね 30%以上である)と判定された場合には (ステップ S104 :Yes) 、続いて、波形歪みの補正レベルや補正範囲等の波形歪み補正条件が設定される( ステップ S105)。波形歪み補正条件については、後に詳述する(図 5等参照)。
[0085] その後、ステップ S105において設定された波形歪み補正条件に基づいて、長マ ークの波形歪みが補正される (ステップ S 106)。尚、波形歪みの補正動作は、後に 詳述するように、 PRML信号処理回路 15において施される PRML処理におけるパ
スメトリック演算に悪影響を与えな 、ように行われる必要がある。
[0086] その後、再生動作を終了する力否かが判定され (ステップ S107)、再生動作を終了 しない場合には(ステップ S107 :No)、ステップ S101へ戻り、再度ステップ S101以 降の動作が繰り返される。
[0087] このような波形歪みの補正動作を、図 5から図 8を参照して、サンプル値系列 RSを
C
示す波形図上でより明確に説明する。ここに、図 5は、 PRML信号処理回路 15が PR (1、 2、 1)方式を採用している場合の、波形歪みの補正動作を、サンプル値系列 RS 上で概念的に示す波形図であり、図 6は、 PRML信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、
C
1)方式を採用している場合の、波形歪みの補正動作を、サンプル値系列 RS上で
C
概念的に示す波形図であり、図 7は、 PRML信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、 2、 1) 方式を採用している場合の、波形歪みの補正動作を、サンプル値系列 RS上で概念 c 的に示す波形図であり、図 8は、 PRML信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、 2、 2、 1) 方式を採用している場合の、波形歪みの補正動作を、サンプル値系列 RS
C上で概念 的に示す波形図である。
[0088] 図 5に示すように、 PRML信号処理回路 15が PR(1、 2、 1)方式を採用している場 合には、パーシャルレスポンス等化後の補間サンプル値力 Ref— H、 Ref— L、 0 (Z L :Zero Level)、—Ref— L及び—Ref— Hの 5値に分かれる(但し、最短マーク Z スペースが 2T以上のランレングス制約がある場合、 0を除く 4値に分かれる)。ここで、 補間サンプル値 Sip (k)は、 Ref— Hとなるのが正しい(つまり、尤も確からしい)。こ のため、 PRML処理におけるパスメトリック演算に影響を与えないように波形歪みを 補正するためには、第 1のゼロクロス点 S (k—1. 5)の 1つ後ろに位置するサンプル 値であるサンプル値 S (k— 0. 5)と、第 1のゼロクロス点 S (k— 1. 5)の次に位置する 第 2のゼロクロス点 S (k+6. 5)の 1つ前に位置するサンプル値であるサンプル値 S ( k+ 5. 5)との間の範囲において、波形歪みの補正動作を行うことが好ましい。そして 、補正後の信号レベルが、 PRML処理における予測最小値(つまり、 Ref— H)と なるように、波形歪みの補正動作を行うことが好ましい。まとめると、 PRML信号処理 回路 15が PR(1、 2、 1)方式を採用している場合には、第 1のゼロクロス点 S (k—1. 5)の 1つ後ろに位置するサンプル値 S (k— 0. 5)と、第 2のゼロクロス点 S (k+6. 5)
の 1つ前に位置するサンプル値 S (k+5.5)との間の範囲に含まれるサンプル値(つ まり、 S(k— 0.5)、 S(k+0.5)、 S(k+1.5)、 S(k+2.5)、 S(k+3.5)、 S(k+4 .5)及び S (k+5.5))の信号レベル力 PRML処理における予測最小値(つまり、 -Ref_H)となるように、波形歪みの補正動作を行うことが好ましい。
[0089] 図 6に示すように、 PRML信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、 1)方式を採用している 場合には、パーシャルレスポンス等化後のサンプル値力 Ref— H、 Ref— M、 Ref— L、0(ZL:Zero Level)、— Ref— L、— Ref— M及び— Ref— Hの 7値に分かれる 。ここで、 PRML信号処理回路 15が PR (1、 2、 1)方式を採用している場合と同様に 、第 1のゼロクロス点 S (k- 1)の 1つ後ろに位置するサンプル値 S (k)の信号レベル を予測最小値(一 Ref— H)に補正してしまうと、 PRML処理のパスメトリック演算に悪 影響を与えることになつてしまう。同様に、第 2のゼロクロス点 S(k+ 7)の 1つ前に位 置するサンプル値 S (k+6)の信号レベルを予測最小値(一 Ref— H)に補正してしま うと、 PRML処理のパスメトリック演算に悪影響を与えることになつてしまう。従って、 P RML信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、 1)方式を採用している場合には、第 1のゼロ クロス点 S (k— 1)の 2つ後ろに位置するサンプル値 S (k+ 1)と、第 2のゼロクロス点 S (k+7)の 2つ前に位置するサンプル値 S (k+5)との間の範囲に含まれるサンプル 値(つまり、 S(k+1)、 S(k+2)、 S(k+3)、 S(k+4)及び S (k+5))の信号レベル 1S PRML処理における予測最小値(つまり、—Ref— H)となるように、波形歪みの 補正動作を行うことが好まし ヽ。
[0090] 図 7に示すように、 PRML信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、 2、 1)方式を採用して いる場合には、パーシャルレスポンス等化後の補間サンプル値力 Ref— H、 Ref— MH、 Ref— ML、 Ref— L、 0(ZL:Zero Level)、— Ref— L、— Ref— ML、—Ref —MH及び Ref— Hの 9値に分かれる。ここで、 PRML信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、 1)方式を採用している場合と同様に、第 1のゼロクロス点 S(k— 1)の 2つ後ろ に位置するサンプル値 S (k+ 1)の信号レベルを予測最小値(一 Ref— H)に補正し たとしても、 PRML処理のノ スメトリック演算に悪影響を与えることはない。同様に、第 2のゼロクロス点 S (k+7)の 2つ前に位置するサンプル値 S (k+5)の信号レベルを 予測最小値(一 Ref— H)に補正したとしても、 PRML処理のノ スメトリック演算に悪
影響を与えることはない。従って、 PRML信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、 2、 1)方 式を採用している場合には、第 1のゼロクロス点 S (k—1)の 2つ後ろに位置するサン プル値 S (k+ 1)と、第 2のゼロクロス点 S (k+ 7)の 2つ前に位置するサンプル値 S (k + 5)との間の範囲に含まれるサンプル値(つまり、 S (k+ 1)、 S (k+ 2)、 S (k+ 3)、 S (k + 4)及び S (k + 5) )の信号レベルが、 PRML処理における予測最小値(つまり、 -Ref_H)となるように、波形歪みの補正動作を行うことが好ましい。
[0091] 図 8に示すように、 PRML信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、 2、 2、 1)方式を採用し ている場合には、パーシャルレスポンス等化後のサンプル値力 Ref— H、 Ref— M H、 Ref— MM、 Ref— ML、 Ref— L、 0 (ZL :Zero Level)、— Ref— L、—Ref— ML、— Ref— MM、— Ref— MH及び— Ref— Hの 11値に分かれる。ここで、 PRM L信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、 2、 1)方式を採用している場合と同様に、第 1の ゼロクロス点 S (k— 1)の 2つ後ろに位置するサンプル値 S (k+ 1)の信号レベルを予 測最小値(一 Ref— H)に補正してしまうと、 PRML処理のノ スメトリック演算に悪影響 を与えることになつてしまう。同様に、第 2のゼロクロス点 S (k+ 7)の 2つ前に位置する サンプル値 S (k+ 5)の信号レベルを予測最小値(一 Ref— H)に補正してしまうと、 P RML処理のパスメトリック演算に悪影響を与えることになつてしまう。従って、 PRML 信号処理回路 15が PR(1、 2、 2、 2、 2、 1)方式を採用している場合には、第 1のゼロ クロス点 S (k— 1)の 3つ後ろに位置するサンプル値 S (k+ 2)と、第 2のゼロクロス点 S (k+ 7)の 3つ前に位置するサンプル値 S (k+4)との間の範囲に含まれるサンプル 値(つまり、 S (k+ 2)、 S (k+ 3)及び S (k+4) )の信号レベル力 PRML処理におけ る予測最小値 (つまり、 Ref— H)となるように、波形歪みの補正動作を行うことが好 ましい。
[0092] 以上まとめると、以下のような関係を見出すことができる。 PRML信号処理回路 15 が PR(1、 2、 · · ·、 2、 1)方式 (但し、 2が m個続く)を採用している場合には、第 1のゼ 口クロス点の (m+ 1) Z2つ後ろに位置するサンプル値と、第 2のゼロクロス点の(m+ 1)Z2つ前に位置するサンプル値との間の範囲に含まれるサンプル値の信号レベル 力 PRML処理における予測最小値となるように、波形歪みの補正動作を行うことが 好ましい。
[0093] 尚、図 4のステップ S105において設定される波形歪み補正条件は、図 5から図 8に おいて説明した、補正後の信号レベル (ここでは、 PRML処理における予測最小値) 及び波形歪みの補正動作を行う範囲(つまり、タイミング)に相当する。
[0094] この波形歪みを補正することで得られる効果について、図 9を参照しながら説明す る。ここに、図 9は、波形歪みの補正前後における読取信号 R の波形等を概念的に
RF
示す波形図である。
[0095] 図 9の左側に示すように、読取信号 R に波形歪みが生じている場合には、該波形
RF
歪みを通常のマーク (例えば、ランレングスが相対的に短いマーク)と誤認識してしま いかねない。従って、読取信号 R を 2値ィ匕した後の 2値ィ匕波形には、波形歪みに起
RF
因した誤信号が含まれてしまう。この結果、元の記録データとの整合性がとれずに、 2 値ィ匕エラーが発生してしまう。
[0096] 他方で、図 9の右側に示すように、読取信号 R に生じた波形歪みを補正した場合
RF
には、読取信号 R を 2値ィ匕した後の 2値ィ匕波形には、波形歪みに起因した誤信号
RF
力 S含まれることはなくなる。従って、元の記録データとの整合性を取ることができ、 2値 化工ラーは発生しない。
[0097] 以上説明したように、本実施例に係る情報再生装置 1によれば、 PRML処理を施 すことで、記録データを安定的に且つ精度よく再生することができる。
[0098] 特に、本実施例に係る情報再生装置 1によれば、波形歪みを補正した後に、 PRM
L信号処理回路 15における PRML処理を施している。このため、例えばランレングス が相対的に長いマークを他のマークと誤判別してしまう不都合を好適に防止すること ができる。その結果、波形歪みに起因して 2値ィ匕エラーが発生することは殆どなくなり
、好適な再生動作を行うことができる。
[0099] 尚、上述の説明では、ゼロクロス点を用いて説明を行っている。しかしながら、ゼロ レベルに代えてリファレンスレベルを用いている場合は、 「ゼロクロス点」が「リファレン スクロス点」に代えられることは 、うまでもな!/、。
[0100] (4)変形例
続いて、図 10から図 17を参照して、本実施例に係る情報再生装置 1の変形例につ いて説明を進める。
[0101] (4 1)第 1変形例
続いて、図 10から図 12を参照して、本実施例に係る情報再生装置 1の第 1変形例 について説明する。ここに、図 10は、第 1変形例に係る情報再生装置 laが備える波 形歪み補正回路 18aの構成を概念的に示すブロック図であり、図 11は、第 1変形例 に係る情報再生装置 laが備える波形歪み補正回路 18aが備える波形歪み検出回路 186aの構成を概念的に示すブロック図であり、図 12は、第 1変形例に係る情報再生 装置 laの動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
[0102] 図 4に示した動作例では、読取信号 R が所望の再生特性を満たしていない場合
RF
には常に波形歪みを補正していた。し力しながら、第 1変形例においては、読取信号 R が所望の再生特性を満たしていない場合であっても、波形歪みが実際に検出さ
RF
れた場合に選択的に波形歪み補正を行うように構成されている。以下、第 1変形例の 具体的構成及び動作例について説明する。
[0103] 図 10に示すように、波形歪み補正回路 18aは、遅延調整回路 181aと、波形歪み 検出回路 186aと、マーク Zスペース長検出回路 183aと、タイミング生成回路 184aと
、セレクタ 185aと、 AND回路 187aとを備えている。
[0104] プリイコライザ 14から出力される読取サンプル値系列 RSは、遅延調整回路 181a
C
、波形歪み検出回路 186a及びマーク Zスペース長検出回路 183aの夫々へ出力さ れる。
[0105] 遅延調整回路 181aは、記録データの最長ランレングスに応じた遅延量を設定し、 所望のタイミングで読取サンプル値系列 RSをセレクタ 185aへ出力する。具体的に c
は、光ディスク 100が Blu— ray Discである場合には、最長ランレングスである 9Tに 相当する遅延量を設定し、光ディスク 100が DVDである場合には、最長ランレングス である 14Tに相当する遅延量を設定する。
[0106] マーク Zスペース長検出回路 183aは、例えばゼロクロス点の間隔や、符号ビットの 連続回数等を検出することで、マーク Zスペース長を検出する。その検出結果は、タ イミング生成回路 184aへ出力される。
[0107] タイミング生成回路 184aは、マーク Zスペース長検出回路 183aにおいて検出され るマーク Zスペース長に基づいて、タイミング信号 SWを生成し、該生成したタイミン
グ信号を AND回路 187aへ出力する。
[0108] 具体的には、タイミング生成回路 184aは、(0マーク Zスペース長検出回路 183aに おいて検出されるマーク Zスペース長が、波形歪み補正の対象となる長マークであり 、且つ GO第 1のゼロクロス点の(m+ l)Z2つ後ろに位置するサンプル値と、第 2のゼ 口クロス点の(m+ 1) Z2つ前に位置するサンプル値との間の範囲のサンプル値が入 力されている期間には、ハイレベルのタイミング信号 SW(SW= 1)を生成し、該生成 したタイミング信号 SWを AND回路 187aへ出力する。他方、タイミング生成回路 184 aは、(0マーク Zスペース長検出回路 183において検出されるマーク Zスペース長が 、波形歪み補正の対象となる長マーク以外のマークであるか、又は GO第 1のゼロクロ ス点の(m+ 1) Z2つ後ろに位置するサンプル値と、第 2のゼロクロス点の(m+ 1) / 2つ前に位置するサンプル値との間の範囲以外のサンプル値が入力されている期間 には、ローレベルのタイミング信号 SW(SW=0)を生成し、該生成したタイミング信号 SWを AND回路 187aへ出力する。
[0109] 波形歪み検出回路 186aは、波形歪みを検出し、且つ波形歪みを検出したことを示 す波形歪み検出信号 DTを AND回路 187aへ出力する。より具体的には、波形歪み 検出回路 186aは、波形歪みが検出されている場合には、ハイレベルの波形歪み検 出信号 DT(DT= 1)を AND回路 187aへ出力し、波形歪みが検出されていない場 合には、ローレベルの波形歪み検出信号 DT(DT=0)を AND回路 187aへ出力す る。
[0110] AND回路 187aは、タイミング生成回路 184a及び波形歪み検出回路 186aの夫々 の出力に基づいて、波形歪みが検出された場合 (つまり、タイミング生成回路 184aか ら出力されるタイミング信号 SW及び波形歪み検出回路 186aから出力される波形歪 み検出信号 DTの夫々がハイレベルである場合)には、ハイレベルのタイミング信号 S W0を生成する。他方、 AND回路 187aは、タイミング生成回路 184a及び波形歪み 検出回路 186aの夫々の出力に基づ 、て、波形歪みが検出されて 、な 、場合 (つま り、タイミング生成回路 184aから出力されるタイミング信号 SW及び波形歪み検出回 路 186aから出力される波形歪み検出信号 DTのいずれか一方がローレベルである 場合)には、ローレベルのタイミング信号 SW0を生成する。つまり、第 1変形例におい
ては、波形歪みが検出されている場合に、選択的に波形歪みが補正される。
[0111] セレクタ 185aは、ハイレベルのタイミング信号 SWOが AND回路 187aから出力され ている場合には、 PRML信号処理回路 15から出力される予測最小値 (つまり、 -Re f H)を、歪み補正読取サンプル値系列 RS として、 PRML信号処理回路 15へ
CAM
出力する。他方、セレクタ 185aは、ローレベルのタイミング信号 SWOが AND回路 18 7aから出力されている場合には、遅延調整回路 181aから出力される読取サンプル 値系列 RSを、歪み補正読取サンプル値系列 RS として、 PRML信号処理回路 1
C CAM
5へ出力する。
[0112] 波形歪み検出回路 186aは、図 11に示すように、シフトレジスタ 1831aと、セレクタ 1
832aと、最大値検出回路 1833aと、最小値検出回路 1834aと、減算器 1835aと、判 定回路 1836aとを備える。
[0113] 波形歪み検出回路 186aに入力される読取サンプル値系列 RSは、シフトレジスタ c
1831aに出力される。シフトレジスタ 1831aは、入力される読取サンプル値系列 RS c を 1クロックずつシフトさせながら、出力 DOから D14としてセレクタ 1832aへ出力する
[0114] セレクタ 1832aは、マーク Zスペース長検出回路 183aから出力されるタイミングで 、出力 DOから D14のうち力 マーク Zスペース長に基づいて、 3つの出力を選択的 にサンプルホールドし、最大値検出回路 1833a及び最小値検出回路 1834aの夫々 に出力する。
[0115] より具体的には、セレクタ 1832aは、マーク Zスペース長検出回路 183aから出力さ れるマーク Zスペース長が 6Tである場合には、出力 DOから D14のうちから 3つの出 力 D2、 D3及び D4を選択的にサンプルホールドし、最大値検出回路 1833a及び最 小値検出回路 1834aの夫々に出力する。セレクタ 1832aは、マーク Zスペース長検 出回路 183aから出力されるマーク Zスペース長が 7Tである場合には、出力 DOから D14のうち力も 3つの出力 D2、 D3及び D5を選択的にサンプルホールドし、最大値 検出回路 1833a及び最小値検出回路 1834aの夫々に出力する。セレクタ 1832aは 、マーク Zスペース長検出回路 183aから出力されるマーク Zスペース長が 8Tである 場合には、出力 DOから D14のうち力 3つの出力 D2、 D4及び D6を選択的にサン
プルホールドし、最大値検出回路 1833a及び最小値検出回路 1834aの夫々に出力 する。セレクタ 1832aは、マーク Zスペース長検出回路 183aから出力されるマーク Zスペース長が 9Tである場合には、出力 DOから D14のうちから 3つの出力 D2、 D4 及び D7を選択的にサンプルホールドし、最大値検出回路 1833a及び最小値検出 回路 1834aの夫々に出力する。セレクタ 1832aは、マーク Zスペース長検出回路 18 3aから出力されるマーク Zスペース長が 10Tである場合には、出力 DOから D14のう ちから 3つの出力 D2、 D5及び D8を選択的にサンプルホールドし、最大値検出回路 1833a及び最小値検出回路 1834aの夫々に出力する。セレクタ 1832aは、マーク Zスペース長検出回路 183aから出力されるマーク Zスペース長が 11Tである場合 には、出力 DOから D14のうち力も 3つの出力 D2、 D5及び D9を選択的にサンプルホ 一ルドし、最大値検出回路 1833a及び最小値検出回路 1834aの夫々に出力する。 セレクタ 1832aは、マーク Zスペース長検出回路 183aから出力されるマーク Zスぺ ース長が 14Tである場合には、出力 DOから D14のうちから 3つの出力 D2、 D7及び D 12を選択的にサンプルホールドし、最大値検出回路 1833a及び最小値検出回路 1834aの夫々に出力する。このようなセレクタ 1832aの動作は、実質的には、図 2 (a )から図 2 (c)及び図 3 (a)から図 3 (c)に示す波形歪みの、前端部の信号レベル、中 間部の信号レベル及び後端部の信号レベルを選択的に出力する動作に相当する。
[0116] その後、最大値検出回路 1833aにおいては、セレクタ 1832aより出力される 3つの 出力の最大値 (つまり、最大信号レベル)が検出され、該検出された最大値が減算器 1835aへ出力される。
[0117] 同様に、最小値検出回路 1834aにおいては、セレクタ 1832aより出力される 3つの 出力の最小値 (つまり、最小信号レベル)が検出され、該検出された最小値が減算器 1835aへ出力される。
[0118] その後、減算器 1835aにおいて、最大値検出回路 1833aにおいて検出された最 大値から、最小値検出回路 1834aにおいて検出された最小値が減算されることで、 波形歪み量 Dが算出される。
[0119] その後、判定回路 1836aにおいて、減算器 1835aより出力される波形歪み量が所 定値 X以上である力否かが判定される。波形歪み量 Dが相対的に小さい場合には、
波形歪みを検出したとはみなさず、ローレベルの波形歪み検出信号 DTを出力する。 他方、波形歪み量 Dが相対的に大きい場合 (例えば、波形歪み率が概ね 30%以上 である場合)には、波形歪みを検出したとみなして、ハイレベルの波形歪み検出信号 DTを出力する。
[0120] このときの動作の流れは、図 12に示すように、まず、光ディスク 100に記録されたデ ータの再生動作が行われる (ステップ S 101)。再生動作の際には、読取信号 R 力 S
RF
所望の再生特性を満たして!/、るか否かが判定される (ステップ S 102)。
[0121] ステップ S102における判定の結果、読取信号 R が所望の再生特性を満たしてい
RF
ると判定された場合には (ステップ S102 :Yes)、ステップ S107へ進む。
[0122] 他方、ステップ S102における判定の結果、読取信号 R が所望の再生特性を満た
RF
していないと判定された場合には (ステップ S 102 : No)、続いて、波形歪み検出回路 186aにおいて波形歪みが実際に検出されている力否かが判定される (ステップ S 20 D o
[0123] ステップ S201における判定の結果、波形歪みが検出されていないと判定された場 合には (ステップ S201 :No)、波形歪みを補正することなく(つまり、ステップ S103か らステップ S106の動作を行うことなく)、ステップ S107へ進む。
[0124] 他方、ステップ S201における判定の結果、波形歪みが検出されていると判定され た場合には (ステップ S201 : Yes)、波形歪みを補正した後に(つまり、ステップ S103 力 ステップ S106の動作を行った後に)、ステップ S107へ進む。
[0125] このように、波形歪みが検出された場合に選択的に波形歪みを補正することで、情 報再生装置 laの負荷を低減させつつ、上述した各種効果を享受することができる。
[0126] カロえて、波形歪みが実際に発生している場合に、選択的に波形歪み補正回路 18 による波形歪みの補正が行われる。ここで、特に、シーケンシャル記録のみが許可さ れている光ディスク 100とは異なって、ランダム記録が許可されている光ディスク 100 においては、様々な記録状態が混在している。この場合、波形歪みが不連続にない しは離散的に分布したり或いはしていな力つたりする読取信号 R を読み取ったり、
RF
大小様々な信号レベルを有する読取信号 R を読み取る必要がある。従って、通常
RF
は波形歪みを補正することなく記録データを再生し、波形歪みが実際に発生してい
る場合に選択的に波形歪みを補正しながら記録データを再生することで、情報再生 装置 1の負荷を低減させつつ、上述した各種効果を享受することができる。
[0127] (4 2)第 2変形例
初めに、図 13から図 17を参照して、第 2変形例に係る情報再生装置 lbについて 説明する。ここに、図 13は、第 2変形例に係る情報再生装置 lbによる波形歪みの補 正動作を、第 1の読取信号 R 上で概念的に示すタイミングチャートであり、図 14は、
RF
第 2変形例に係る情報再生装置 lbによる波形歪みの補正動作を、第 2の読取信号 R 上で概念的に示すタイミングチャートであり、図 15は、第 2変形例に係る情報再生
RF
装置 lbによる第 1の動作の流れを概念的に示すフローチャートであり、図 16は、第 2 変形例に係る情報再生装置 lbによる第 2の動作の流れを概念的に示すフローチヤ ートであり、図 17は、第 2変形例に係る情報再生装置 lbによる第 3の動作の流れを 概念的に示すフローチャートである。
[0128] 光ディスク 100に記録される記録データには、通常のユーザデータに加えて、該ュ 一ザデータを再生する際の同期をとるために用いられる同期データ (例えば、光ディ スク 100が DVDであればランレングス 14Tの記録データであり、光ディスク 100が B1 u-ray Discであればランレングス 9Tの記録データ)が含まれている。第 3変形例に おいては、このような同期データが記録データに含まれていることを考慮して、同期 データに限定して波形歪みを補正するように構成されて 、る。
[0129] より具体的には、図 13に示すように、光ディスクが Blu— ray Discである場合には 、同期データは 9Tマークと 9Tスペースとにより構成されているため、まず、 9Tスぺー スを検出し、該検出された 9Tスペースの前又は後の波形歪みを補正するように構成 してもよい。また、同期データが出現する周期性に着目して、検出された 9Tスペース から、 1932T (或いは、 1932T士 α 1 : α 1は所定の定数)に相当する時間が経過し た位置 (或いは、該位置から j8 1Tだけずれた位置: β 1は所定の定数)付近の波形 歪みを補正するように構成してもよ 、。
[0130] また、図 14に示すように、光ディスクが DVDである場合には、同期データは 14Tマ ーク又は 14Tスペースであるため、まず、 14Tスペースを検出し、該検出された 14T スペースから、 1488T (或いは、 1488Τ± α 2 : α 2は定数)に相当する時間が経過
した位置 (或いは、該位置から j8 2Tだけずれた位置: β 2は所定の定数)付近の波 形歪みを補正するように構成してもよ ヽ。
[0131] 光ディスク 100が Blu— ray Discである場合の動作の流れ (第 1の動作の流れ)に ついて、図 15を参照して説明する。
[0132] 図 15に示すように、まず、光ディスク 100に記録されたデータの再生動作が行われ る(ステップ S 101)。
[0133] 再生動作の際には、 9Tスペースが検出されるか否かが判定される(ステップ S401
) o
[0134] ステップ S401〖こおける判定の結果、 9Tスペースが検出されないと判定された場合 には(ステップ S401 :No)、再度ステップ S401に戻り、 9Tスペースが検出される力 否かの判定動作が繰り返される。
[0135] 他方、ステップ S401〖こおける判定の結果、 9Tスペースが検出されたと判定された 場合には (ステップ S401 : Yes)、続いて、 9Tスペースの直前又は直後の記録デー タ(言 、換えれば、読取信号 R )が 9Tマークであるか否かが判定される (ステップ S
RF
402)。
[0136] ステップ S402〖こおける判定の結果、 9Tスペースの直前又は直後の記録データが 9Tマークであると判定された場合には (ステップ S402 : Yes)、そのまま動作を終了 する。
[0137] 他方、ステップ S402〖こおける判定の結果、 9Tスペースの直前又は直後の記録デ ータが 9Tマークでないと判定された場合には(ステップ S402 : No)、 9Tスペースの 直前若しくは直後又はその両方の位置付近の波形歪みが補正される (ステップ S40 4)。ステップ S404における波形歪みの補正については、図 4におけるステップ 103 力もステップ S106の動作と同様に行われる。
[0138] 続いて、光ディスク 100が Blu— ray Discである場合の他の動作の流れ(第 2の動 作の流れ)について、図 16を参照して説明する。
[0139] 図 16に示すように、まず、光ディスク 100に記録されたデータの再生動作が行われ る(ステップ S 101)。
[0140] 再生動作の際には、 9Tスペースが検出されるか否かが判定される(ステップ S401
) o
[0141] ステップ S401〖こおける判定の結果、 9Tスペースが検出されないと判定された場合 には(ステップ S401 : No)、再度ステップ S401に戻り、 9Tスペースが検出される力 否かの判定動作が繰り返される。
[0142] 他方、ステップ S401〖こおける判定の結果、 9Tスペースが検出されたと判定された 場合には(ステップ S401 : Yes)、続いて、検出された 9Tスペースから、 1932T (或 いは、 1932T士 a 1)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置から j8 ITだ けずれた位置)の記録データが 9Tマークであるか否かが判定される(ステップ S 502)
[0143] ステップ S502における判定の結果、検出された 9Tスペースから、 1932T (或いは 、 1932T士 a 1)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置から j8 1Tだけず れた位置)の記録データが 9Tマークであると判定された場合には (ステップ S402: Y es)、そのまま動作を終了する。
[0144] 他方、ステップ S502における判定の結果、検出された 9Tスペースから、 1932T ( 或いは、 1932T士 a 1)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置から j8 IT だけずれた位置)の記録データが 9Tマークでな ヽと判定された場合には (ステップ S 502 : No)、検出された 9Tスペースから、 1932T (或いは、 1932T士 α 1)に相当す る時間が経過した位置 (或いは、該位置から j8 1Tだけずれた位置)付近の波形歪み が補正される(ステップ S404)。
[0145] 続、て、光ディスク 100が DVDである場合の動作の流れ (第 3の動作の流れ)につ いて、図 17を参照して説明する。
[0146] 図 17に示すように、まず、光ディスク 100に記録されたデータの再生動作が行われ る(ステップ S 101)。
[0147] 再生動作の際には、 14Tスペースが検出されるか否かが判定される(ステップ S60 D o
[0148] ステップ S601における判定の結果、 14Tスペースが検出されないと判定された場 合には(ステップ S601 : No)、再度ステップ S601に戻り、 14Tスペースが検出される か否かの判定動作が繰り返される。
[0149] 他方、ステップ S601における判定の結果、 14Tスペースが検出されたと判定され た場合には(ステップ S601 : Yes)、続いて、検出された 14Tスペースから、 1488T ( 或いは、 1488T士 a 2)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置から j8 2T だけずれた位置)の読取信号 R が 14Tマークまたは 14Tスペースであるか否かが
RF
判定される(ステップ S602)。
[0150] ステップ S602における判定の結果、検出された 14Tスペースから、 1488T (或い は、 1488T士 a 2)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置から j8 2Tだけ ずれた位置)の読取信号 R 力 マークまたは 14Tスペースであると判定された場
RF
合には (ステップ S602 : Yes)、そのまま動作を終了する。
[0151] 他方、ステップ S602における判定の結果、検出された 14Tスペースから、 1488T ( 或いは、 1488T士 a 2)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置から j8 2T だけずれた位置)の読取信号 R が 14Tマークまたは 14Tスペースでな ヽと判定され
RF
た場合には(ステップ S602 : No)、検出された 14Tスペースから、 1488T (或いは、 1 488T士 a 2)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置から j8 2Tだけずれ た位置)付近の波形歪みが補正される (ステップ S604)。ステップ S604における波 形歪みの補正については、図 4におけるステップ 103からステップ S106の動作と同 様に行われる。
[0152] このように、同期データが記録データに含まれていることを考慮しながら波形歪みを 補正することで、ユーザデータよりもその重要性が高い同期データの高域強調を好 適に行うことができ、その結果同期データの再生を好適に行うことができる。これによ り、再生動作の安定性をより一層高めることができる。
[0153] (5) PR (1、 2、 2、 1)方式におけるパスメトリック演算への影響
続いて、図 6を参照して説明した PR (1、 2、 2、 1)方式において、波形歪みの補正 が PRML処理のパスメトリック演算に与える影響について、図 18から図 20を参照し て、参考までに記載する。ここに、図 18は、 PR (1、 2、 2、 1)方式における状態遷移 図及び該状態遷移図を時間軸方向に展開したトレリス線図であり、図 19は、 PR (1、 2、 2、 1)方式を採用している場合において、第 1のゼロクロス点の 2つ後ろに位置す るサンプル値と、第 2のゼロクロス点の 2つ前に位置するサンプル値との間の範囲に
含まれるサンプル値を対象に行った波形歪みの補正動作を、サンプル値系列 RS
C
上で概念的に示す波形図であり、図 20は、 PR(1、 2、 2、 1)方式を採用している場 合において、第 1のゼロクロス点の 1つ後ろに位置するサンプル値と、第 2のゼロクロ ス点の 1つ前に位置するサンプル値との間の範囲に含まれるサンプル値を対象に行 つた波形歪みの補正動作を、サンプル値系列 RS 上で概念的に示す波形図である
c
[0154] 尚、図 18から図 20における説明は、光ディスク 100の一具体例として、 Blu— ray Discを用いた場合の例にっ 、ての説明である。
[0155] 光ディスク 100における記録データのデータパターンを、時間軸に対して連続した 3ビットで表現する(つまり、 NRZIで表現する)と、 (0、 0、 0)、 (0、 0、 1)、 (1、 0、 0)、 (0、 1、 1)、 (1、 1、 0)及び(1、 1、 1)の 6種類のデータパターンで示される。尚。ここ では、右側のビットが、時間軸上での新しいビット(つまり、最新入力ビット)となる。図 18 (a)の状態遷移図及び図 18 (b)のトレリス線図では、これら 6種類のデータパター ンを、次のように定義して ヽる。(0、 0、 0)を、 S000と定義し、(0、 0、 1)を、 S001と 定義し、(1、 0、 0)を、 S100と定義し、(0、 1、 1)を、 S011と定義し、(1、 1、 0)を、 S 110と定義し、(1、 1、 1)を、 S111と定義している。ここで、 Blu— ray Discにおいて は、ランレングスが最も短 、マーク Zスペースのマーク Zスペース長は 2Tであるため 、(1、 0、 1)や(0、 1、 0)というデータパターンは存在し得ない。従って、(0、 0、 1)と いうデータパターンからは(0、 1、 1)というデータパターンにしか遷移し得ず、また(1 、 1、 0)というデータパターンからは、(1、 0、 0)というデータパターンにしか遷移し得 ない。つまり、 S001は S011への状態遷移に限られ、 S110は S100への状態遷移 に限られるこのため、光ディスク 100における記録データの符号の状態の状態遷移 図及びトレリス線図は、夫々図 18 (a)及び図 18 (b)に示すものとなる。
[0156] PR(1、 2、 2、 1)方式を用いてパーシャルレスポンス等化した読取信号のサンプル 値 S (k)と、 PR(1、 2、 2、 1)方式における理想サンプル値とのユークリッド距離をブラ ンチメトリック(つまり、時刻 k毎の状態遷移の確力 しさ)と称する。このブランチメトリ ックを一連の経路 (パス)について累積したものがパスメトリックとなる。 PR (1、 2、 2、 1 )方式における理想サンプル値は、図 6を用いて示したように、 Ref_H、 Ref_M、 Ref_
L、 ZL、 一 Ref— L、 一 Ref— M、 一 Ref— Hの 7値となる。
[0157] ここで、時刻 kにおける状態 SOOO (k)のパスメトリック値を、 PMOOO (k)と定義し、 時刻 kにおける状態 SOOl(k)のパスメトリック値を、 PMOOl(k)と定義し、時刻 kにお ける状態 S 100 (k)のパスメトリック値を、 PM100(k)と定義し、時刻 kにおける状態 S 01 l(k)のパスメトリック値を、 PMOll(k)と定義し、時刻 kにおける状態 S 110 (k)の パスメトリック値を、 PMllO(k)と定義し、時刻 kにおける状態 S111 (k)のパスメトリツ ク値を、 PMlll(k)と定義する。このとき、 PM000(k)、 PM001(k)、 PM100(k)、 PM (011 (k)、 PM110 (k)及び PM111 (k)の夫々は、以下のように示される。 •PM111 (k) =min (PM111 (k— 1) + (S (k)—Ref— H) 2、 PM011 (k— 1) + (S (k)-Ref_M)2)
•PMllO(k) =min(PMlll (k— 1) + (S(k) Ref— M)2、 PM011 (k— 1) + ( S(k)-Ref_L)2)
參 PM011 (k) =PM001 (k-l) + (S (k)—ZL) 2
參 PM100 (k) =PM110 (k- 1) + (S (k)—ZL) 2
•PM001 (k) =min (PMOOO (k— 1) + (S (k) +Ref— M) 2、 PM100 (k— 1) + (
S(k)+Ref_L)2)
•PMOOO (k) =min (PMOOO (k— 1) + (S (k) +Ref— H) 2、 PMIOO (k— 1) + (S
(k)+Ref_M)2)
但し、ここで min(A、 B)とは、 A≤Bのときに Aを出力し、 A>Bのときに Bを出力す る関数であるとする。 図 18(b)に示すトレリス線図において、時刻 kの状態で交わる ブランチでは、パスメトリック値が小さいほうのブランチが選択される(言い換えれば、 マージされる)。例えば、時刻 kの状態 S000(k)では、 S100(k— 1)力ものブランチ a と、 S000(k— 1)力ものブランチ bとが交わっている。ここで、ブランチ aのパスメトリック 値 a— pmと、ブランチ bのパスメトリック値 b—pmとは以下のようになる。
[0158] a一 pm = PM000(k— 1) + (S(k) +Ref一 H)2
b_pm=PM100 (k 1) + (S (k) +Ref— M) 2
ブランチ aは、データパターン (0、 0、 0)の次に 0が新たに入力されるときのブランチ メトリックであるため、 S (k)と一 Ref Hの差の二乗からパスメトリック値が算出される。
ブランチ aの時刻 k 1におけるデータパターンは、(0、 0、 0、 0)と(1、 0、 0、 0)との 2 つのデータパターンが考えられるため、時刻 k— 1から時刻 kまでのブランチ aの経路 は、図 19における al及び a2のいずれ力となる。
[0159] ブランチ bは、データパターン(1、 0、 0)の次に 0が新たに入力されるときのブランチ メトリックであるため、 S (k)と一 Ref—Mの差の二乗力 ノ スメトリック値が算出される 。 Blu—ray Discにおけるランレングスが最も短いマーク Zスペースのマーク Zスぺ 一ス長は 2Tであると 、う制約を考慮すれば、ブランチ bの時刻 k 1におけるデータ パターンは、(1、 1、 0、 0)である。このデータパターンに対して PR (1、 2、 2、 1)方式 の演算を施すと、 1 X 1 + I X 2 + 0 X 2 + 0 X 1 = 3となる。全 Tのセンターレベルを Z L (ゼロレベル)としているため、 3=ZLとなる。従って、時刻 k— 1から時刻 kまでのブ ランチ bの経路は、図 19において bとして示すように、 ZL力 始まるパスとなる。
[0160] 図 19において、 S (k)は一 Ref— Mとなるのが正解のパスであり、 S (k+ 1)から S (k
+ 5)は、 Ref— Hとなるのが正解のパスである。このため、上述したように、第 1の ゼロクロス点の 2つ後ろのサンプル値 S (k+ 1)力も波形歪みを補正しておけば、ブラ ンチ bのパスメトリック値(つまり、サンプル値 S (k)と一 Ref— Mの差を二乗した値)の 方力 ブランチ aのパスメトリック値(つまり、サンプル値 S (k)と一 Ref— Hの差を二乗 した値)より小さくなるため、ブランチ bのパスが選択される確率が高くなる。
[0161] 一方、図 20に示すように、第 1のゼロクロス点の 1つ後ろのサンプル値 S (k)から波 形歪みを補正した場合、ブランチ bのパスメトリック値より、ブランチ aのパスメトリック値 の方が小さくなつてしまうため、ブランチ aのパスが選択される確率が高くなつてしまう 。これでは、 PRML処理による 2値ィ匕後のマーク長が本来のマーク長よりも長くなつて しまう確率が高くなるため好ましくない。従って、 PRML処理に悪影響を及ぼさないた めには、上述したように、 PRML (1、 2、 2、 1)方式を採用している場合には、第 1の ゼロクロス点の 2つ後ろに位置するサンプル値と、第 2のゼロクロス点の 2つ前に位置 するサンプル値との間の範囲に含まれるサンプル値を対象に波形歪みの補正動作 を行うことが好ましい。
[0162] 尚、図 18から図 20では、 PR (1、 2、 2、 1)方式における例を用いて説明した力 も ちろん PR(1、 2、 2、 1)方式以外の各方式(例えば、 PR(C1、 C21、 C22、 · · ·、 C2
k、 CI)方式)においても、同様の説明を適用することができることは言うまでもない。 その結果、 PR (C1、 C21、 C22、 · · ·、 C2k、 CI)方式においては、 PRML処理に悪 影響を及ぼさないために、上述したように、第 1のゼロクロス点の(k+ l)Z2つ後ろに 位置するサンプル値と、第 2のゼロクロス点の(k+ 1) Z2つ前に位置するサンプル値 との間の範囲に含まれるサンプル値を対象に波形歪みの補正動作を行うことが好ま しいという結論が導かれる。
[0163] 尚、波形歪みは、一般的には、光ディスク 100の記録面上に形成されるマークの形 状や長さ等のばらつきに起因して発生する。従って、例えば DVD— RZRWや、 DV D+RZRWや、 DVD—RAMや、 BD—RZRE等の記録型の光ディスク 100にお いて、波形歪みが発生しやすい。しかしながら、例えば DVD—ROMや、 BD-RO M等の再生専用型の光ディスク 100においても、図 21に示すように、相対的に長い マーク力も構成される同期データがトラッキング方向にぉ 、て隣接して!/、る場合には 、波形歪みが生ずる。このような再生専用型の光ディスク 100において発生する波形 歪みに対しても、上述した情報再生装置 1によれば、好適に補正することができること は言うまでもない。
[0164] 本発明は、上述した実施例に限られるものではなぐ請求の範囲及び明細書全体 力 読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、その ような変更を伴う情報再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発 明の技術的範囲に含まれるものである。