以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(1−1)基本構成
初めに、図1を参照して、本発明の情報再生装置に係る本実施例について説明を進める。ここに、図1は、本実施例に係る情報再生装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図1に示すように、本実施例に係る情報再生装置1は、スピンドルモータ10と、ピックアップ(PU:Pick Up)11と、HPF(High Pass Filter)12と、A/D変換器13と、プリイコライザ(Pre Equalizer)14と、リミットイコライザ(Limit Equalizer)15と、2値化回路16と、復号回路17と、波形歪み補正回路18と、再生特性判定回路20とを備えている。
ピックアップ11は、スピンドルモータ10によって回転する光ディスク100の記録面にレーザ光LBを照射した際の反射光を光電変換して読取信号RRFを生成する。
HPF12は、ピックアップより出力される読取信号RRFの低域成分を除去し、その結果得られる読取信号RHCをA/D変換器13へ出力する。
A/D変換器13は、不図示のPLL(Phased Lock Loop)等から出力されるサンプリングクロックに応じて読取信号をサンプリングし、その結果得られる読取サンプル値系列RSをプリイコライザ14へ出力する。
プリイコライザ14は、ピックアップ11及び光ディスク100から構成される情報読取系の伝送特性に基づく符号間干渉を除去し、その結果得られる読取サンプル値系列RSCを波形歪み補正回路18へ出力する。
再生特性判定回路20は、本発明における「判定手段」の一具体例を構成しており、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしているか否かを、復号回路17からの出力に基づいて判定する。この判定結果は、波形歪み補正回路18へ出力される。
波形歪み補正回路18は、本発明における「補正手段」の一具体例を構成しており、読取サンプル値系列RSCに生じている波形歪み(つまり、読取信号RRFに生じている波形歪み)を補正する。その結果得られる、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMは、リミットイコライザ15へ出力される。
特に、波形歪み補正回路18は、再生特性判定回路20により、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていないと判定された場合に、読取サンプル値系列RSCに生じている波形歪み(つまり、読取信号RRFに生じている波形歪み)を補正する。言い換えれば、波形歪み補正回路18は、再生特性判定回路20により、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていると判定された場合には、読取サンプル値系列RSCに生じている波形歪み(つまり、読取信号RRFに生じている波形歪み)を補正しない。
尚、波形歪み補正回路18の具体的な構成及び動作については後に詳述する(図6以降参照)。
リミットイコライザ15は、符号間干渉を増加させることなく歪み補正読取サンプル値系列RSCAMに対して高域強調処理を施し、その結果得られる高域強調読取サンプル値系列RSHを、2値化回路16へ出力する。
2値化回路16は、高域強調読取サンプル値系列RSHに対して2値化処理を行い、その結果得られる2値化信号を復号回路17へ出力する。
復号回路17は、2値化信号に対して復号処理等を行い、その結果得られる再生信号を、ディスプレイやスピーカ等の外部再生機器へ出力する。その結果、光ディスク100に記録されたデータ(例えば、映像データや音声データ等)が再生される。
続いて、図2を参照して、リミットイコライザ15のより詳細な構成について説明する。
図2は、リミットイコライザ15の構成を概念的に示すブロック図である。図2に示すように、リミットイコライザ15は、振幅制限値設定ブロック151と、振幅制限ブロック152と、高域強調ブロック153とを備えている。
振幅制限値設定ブロック151は、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMに基づいて、振幅制限ブロック152において用いられる振幅制限値の上限及び下限を設定する。振幅制限ブロック152は、振幅制限値設定ブロック151において設定された振幅制限値の上限及び下限に基づいて、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMの振幅制限処理を行う。振幅制限処理が行われたサンプル値系列RSLIMは、高域強調ブロック153へ出力される。高域強調ブロック153は、振幅制限処理が行われたサンプル値系列RSLIMに対して、高域を強調するためのフィルタリング処理を行う。その結果、高域強調読取サンプル値系列RSHが得られる。
より具体的には、リファレンスサンプルタイミング検出回路1511により、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMに基づいて、リファレンスサンプルタイミングが検出される。検出されたリファレンスサンプルタイミングは、1クロックの遅延を付与する遅延器1512及びOR回路1513を介してサンプルホールド回路1514へ出力される。サンプルホールド回路1514においては、遅延器1512及びOR回路1513を介して出力されるリファレンスサンプルタイミングに応じて、補間フィルタ1522より出力される読取サンプル値系列RSPがサンプルホールドされる。
尚、補間フィルタ1522は、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMに対して補間演算処理を施すことにより、光ディスク100から読み取られた読取信号RRFを、A/D変換器14において用いられるサンプリングクロックによるクロックタイミングの中間タイミングでサンプリングした際に得られる補間サンプル値系列を生成する。生成された補間サンプル値系列は、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMに含められて、読取サンプル値系列RSPとして、リミッタ1523及びサンプルホールド回路1514へ出力される。
サンプルホールドされた読取サンプル値系列RSPは、減算器1515においてリファレンスレベルRfが減算される。但し、リファレンスレベルRfとしてゼロレベルを用いている場合は、Rf=0となる。減算結果は、平均化回路1516へ出力される。平均化回路1516においては、サンプル値の絶対値の平均値が算出される。算出されたサンプル値の平均値は、振幅制限値の上限及び下限として設定される。具体的には、リファレンスレベルに平均値を加算した値が、振幅制限値の上限、減算した値が振幅制限値の下限として設定される。リファレンスレベルとしてゼロレベルを用いている場合は、算出されたサンプル値の平均値に正の符号を付した値を振幅制限値の上限として設定し、算出されたサンプル値の平均値に負の符号を付した値を振幅制限値の下限として設定する。以下の説明では、説明の簡略化のために、リファレンスレベルRfとしてゼロレベルを用いた構成を説明する。
具体的に、図3を参照して、振幅制限値設定ブロック151において設定される振幅制限値の上限及び下限について説明する。ここに、図3は、振幅制限値の上限及び下限の設定動作を、歪み補正読取サンプル値系列RSCAM上で概念的に示す波形図である。
図3には、読取信号のうち、ランレングスが相対的に短いデータ(具体的には、光ディスク100がBlu−ray Discである場合においては、ランレングスが2T、3T及び4Tのデータ)を読み取った際に得られる読取信号RRFとその歪み補正読取サンプル値系列RSCAMを示す。図3に示すように、ゼロクロス点の前(つまり、時間的に前)に位置する補間サンプル値(つまり、補間フィルタ1522において生成されたサンプル値)と、ゼロクロス点の後(つまり、時間的に後)に位置する補間サンプル値の絶対値の平均値Lが、振幅制限値の上限及び下限の絶対値として設定される。つまり、振幅制限値の上限はLと設定され、振幅制限値の下限が−Lと設定される。
再び図2において、リミッタ1523は、振幅制限値設定ブロック151において設定された上限及び下限に基づいて、サンプル値系列RSPに対して振幅制限を行う。具体的には、サンプル値系列RSPに含まれるサンプル値が、上限Lよりも小さく且つ下限−Lよりも大きい場合には、そのサンプル値をそのままサンプル値系列RSLIMとして出力する。一方、サンプル値系列RSPに含まれるサンプル値が、上限L以上である場合には、上限Lをサンプル値系列RSLIMとして出力する。他方、サンプル値系列RSPに含まれるサンプル値が、下限−L以下である場合には、下限−Lをサンプル値系列RSLIMとして出力する。
高域強調ブロック153においては、サンプル値系列RSLIM中における最もランレングスが短いデータ(例えば、光ディスク100がDVDであればランレングス3Tのデータであり、光ディスク100がBlu−ray Discであればランレングス2Tのデータ)に対応するサンプル値系列RSLIMのみ、その信号レベルを増大させる。
具体的には、高域強調ブロック153へ入力されるサンプル値系列RSLIMは、そのまま又は1クロックの遅延を付加する遅延器1532、1533及び1534を介して、乗算係数−kを有する係数乗算器1535及び1538、並びに乗算係数kを有する係数乗算器1536及び1537へ入力される。係数乗算器1535、1536、1537及び1538の出力は、加算器1539において加算される。その加算結果である高域読取サンプル値RSHIGは、加算器1531において、3クロックの遅延を付加する遅延器1530を介して加算器1531に入力される歪み補正読取サンプル値系列RSCAMと加算される。その結果、高域強調読取サンプル値系列RSHが得られる。
ここで、図4を参照して、高域強調読取サンプル値系列RSHの取得動作についてより詳細に説明する。ここに、図4は、高域強調読取サンプル値系列RSHの取得動作を、歪み補正読取サンプル値系列RSCAM上で概念的に示す波形図である。
図4(a)に示すように、加算器1531から出力される高域読取サンプル値RSHIGは、サンプル値系列RSLIM中における時点D(−1.5)、D(−0.5)、D(0.5)及びD(1.5)の夫々でのサンプル値に基づいて算出される。具体的には、サンプル値系列RSLIM中における時点D(−1.5)、D(−0.5)、D(0.5)及びD(1.5)の夫々でのサンプル値を、Sip(−1)、Sip(0)、Sip(1)及びSip(2)とすると、RSHIG=(−k)×Sip(−1)+k×Sip(0)+k×Sip(1)+(−k)×Sip(2)となる。
このとき、図4(b)に示すように、ランレングス2Tのデータに対応する時点D(−1.5)及びD(−0.5)におけるサンプル値Sip(−1)及びSip(0)は、互いに略同一となる。また、ランレングス2Tのデータに対応する時点D(0.5)及びD(1.5)におけるサンプル値Sip(1)及びSip(2)は、互いに略同一となる。
また、図4(c)に示すように、ランレングス3T及び4Tの夫々のデータに対応する時点D(−1.5)及びD(−0.5)におけるサンプル値Sip(−1)及びSip(0)は、振幅制限ブロック152による振幅制限により、共に振幅制限値の上限Lとなる。同様に、ランレングス3T及び4Tの夫々のデータに対応する時点D(0.5)及びD(1.5)におけるサンプル値Sip(1)及びSip(2)は、振幅制限ブロック152による振幅制限により、共に振幅制限値の下限−Lとなる。つまり、リファレンスサンプル点前後のサンプル値のばらつきが強制的に抑制される。
このため、高域強調を強くかけるために、係数乗算器1535、1536、1537及び1538の係数kの値を大きくしても、ゼロクロス点D(0)において得られる高域読取サンプル値RSHIGは一定値に維持される。従って、符号間干渉は生じない。このように、リミットイコライザ15を備える情報再生装置1によれば、高域強調した際に、符号間干渉が生ずる原因となるところの読取信号中におけるゼロクロス点前後のサンプル値のばらつきが強制的に抑えられる。このため、高域強調ブロック153において十分な高域強調を行っても符号間干渉が生ずることはない。
本実施例に係る情報再生装置1では特に、波形歪みを補正した後に、リミットイコライザ15において、振幅制限及び高域強調が行われる。以下、波形歪み補正の具体例について、詳細に説明を進める。
(1−2)波形歪み
初めに、図5及び図6を参照して、波形歪みについて説明する。ここに、図5は、波形歪みの第1の例を概念的に示す波形図であり、図6は、波形歪みの第2の例を概念的に示す波形図である。
図5(a)に示すように、波形歪みは、本来とるべき信号レベルと実際に読取信号RRFに現れた信号レベルとの差を示す。この波形歪みは、読取信号RRFの最大振幅Aに対する歪み量D及びゼロレベルから波形歪みの頂点までの信号レベルである波形歪み量D’で定量的に定義される。図5(a)において、太い点線は、波形歪みが発生していないときに本来とるべき信号レベルを示している。波形歪みが発生していない場合には、当然に波形歪み量Dはゼロである。
尚、図5(a)に示す波形歪みは、読取信号RRFの前端部及び後端部の信号レベルと比較して、中間部の信号レベルが変化してしまった波形歪みを示している。このような波形歪み以外にも、図5(b)に示すように、読取信号RRFの後端部の信号レベルと比較して、前端部及び中間部の信号レベルが変化してしまった波形歪みや、図5(c)に示すように、読取信号RRFの前端部の信号レベルと比較して、中間部及び後端部の信号レベルが変化してしまった波形歪みも存在しえる。いずれの波形歪みを対象としていても、後述する構成及び動作を採用することができることは言うまでもない。
また、図5(a)から図5(c)においては、マークを形成することによって、レーザ光LBの反射率が減少する光ディスク100に生ずる波形歪みについて説明した。つまり、ゼロレベル以下の信号レベルにおいて、信号レベルが意図せず増加するような波形歪みが発生する例について説明した。しかしながら、図6(a)に示すように、例えば色素膜を記録層として用いたBlu−ray Disc等の光ディスクのように、データを記録することによって、レーザ光LBの反射率が増加する光ディスク(いわゆる、Low to Highディスク)100に生ずる波形歪みも存在し得る。つまり、ゼロレベル以上の信号レベルにおいて、信号レベルが意図せず減少するような波形歪みも発生し得る。尚、ゼロレベル以上の信号レベルにおいて、信号レベルが意図せず減少するような波形歪みが発生する場合においても、ゼロレベル以上の信号レベルにおいて、図5(b)において示した信号レベルが意図せず減少するような波形歪みが発生する場合と同様に、図6(b)に示すように、読取信号RRFの後端部の信号レベルと比較して、前端部及び中間部の信号レベルが変化してしまった波形歪みが存在し得る。また、図5(c)において示した信号レベルが意図せず減少するような波形歪みが発生する場合と同様に、図6(c)に示すように、読取信号RRFの前端部の信号レベルと比較して、中間部及び後端部の信号レベルが変化してしまった波形歪みも存在し得る。
また、本実施例においては、ランレングスが相対的に長いマーク(以降、適宜“長マーク”と称し、例えば、光ディスク100がDVDであればランレングス7Tから11T又は14Tのデータであり、光ディスク100がBlu−ray Discであればランレングス6Tから9Tのデータ)に対応する読取信号に発生する波形歪みに着目することが好ましい。或いは、同期データ(つまり、syncデータ)の重要性を考慮すれば、同期データに対応するマーク(例えば、光ディスク100がDVDであればランレングス14Tのデータであり、光ディスク100がBlu−ray Discであればランレングス9Tのデータ)に対応する読取信号に発生する波形歪みに着目することが好ましい。
(1−3)波形歪み補正回路の動作例
続いて、図7から図9を参照して、波形歪み補正回路18の具体的な動作例について説明する。ここに、図7は、波形歪み補正回路18の動作の流れを概念的に示すフローチャートであり、図8は、波形歪み補正回路18の構成を概念的に示すブロック図であり、図9は、波形歪み補正回路18による波形歪みの補正動作を、サンプル値系列RSC上で概念的に示す波形図である。
図7に示すように、まず、光ディスク100に記録されたデータの再生動作が行われる(ステップS101)。
再生動作の際には、再生特性判定回路20の動作により、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしているか否か(言い換えれば、読取信号の再生特性が所望値であるか否か)が判定される(ステップS102)。
具体的には、シンボルエラーレート(SER:Symbol Error Rate)が所定閾値(例えば、概ね0.001)以下であるか否か、例えばECC(Error Correction Code)等を用いたエラー訂正が可能であるか否か、又は同期データが読取可能であるか否かが逐次判定される。シンボルエラーレートが所定閾値(例えば、概ね0.0001%)以下であり、例えばECC等を用いたエラー訂正が可能であり、且つ同期データが読取可能であると判定された場合には、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていると判定される。他方、シンボルエラーレートが所定閾値(例えば、概ね0.0001%)以下でない、例えばECC等を用いたエラー訂正が可能でない、又は同期データが読取可能でないと判定された場合には、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていないと判定される。
尚、シンボルエラーレートの判定基準である所定閾値は、好適な再生動作が行われているか否かに基づいて設定されることが好ましい。具体的には、好適な再生動作が行われなくなるシンボルエラーレートの値を所定閾値として設定することが好ましい。
ステップS102における判定の結果、シンボルエラーレートが所定閾値以下である、且つエラー訂正が可能である、且つ同期データが読取可能であると判定された場合には(ステップS102:Yes)、ステップS107へ進む。
他方、ステップS102における判定の結果、シンボルエラーレートが所定閾値以下でない、エラー訂正が可能でない、又は同期データが読取可能でないと判定された場合には(ステップS102:No)、続いて、長マークの波形歪みが測定される(ステップS103)。ここでは、例えば、読取信号RRFの最大振幅Aに対する波形歪み量D(又はD’)の比率を示す波形歪み率(つまり、D/A×100)が測定される。
その後、波形歪みが所定値以上であるか否かが判定される(ステップS104)。例えば、波形歪み率が概ね30%以上であるか否かが判定される。
ステップS104における判定の結果、波形歪みが所定値以上でない(例えば、波形歪み率が概ね30%以下である)と判定された場合には(ステップS104:No)、ステップS107へ進む。
他方、ステップS104における判定の結果、波形歪みが所定値以上である(例えば、波形歪み率が概ね30%以上である)と判定された場合には(ステップS104:Yes)、続いて、波形歪みの補正レベルや補正範囲等の波形歪み補正条件が設定される(ステップS105)。波形歪み補正条件については、後に詳述する(図9等参照)。
その後、ステップS105において設定された波形歪み補正条件に基づいて、長マークの波形歪みが補正される(ステップS106)。
その後、再生動作を終了するか否かが判定され(ステップS107)、再生動作を終了しない場合には(ステップS107:No)、ステップS101へ戻り、再度ステップS101以降の動作が繰り返される。
図7に示す動作は、主として、波形歪み補正回路18により行われる。ここで、波形歪み補正回路の具体的な回路構成について説明する。
図8に示すように、波形歪み補正回路18は、遅延調整回路181と、歪み補正値検出回路182と、マーク/スペース長検出回路183と、タイミング生成回路184と、セレクタ185とを備えている。
プリイコライザ14から出力される読取サンプル値系列RSCは、遅延調整回路181、歪み補正値検出回路182及びマーク/スペース長検出回路183の夫々へ出力される。
歪み補正値検出回路182は、ゼロクロス点から、minTに相当する時間が経過した時点におけるサンプル値S(k)をホールドして、歪み補正値amdとしてセレクタ185へ出力する。
また、遅延調整回路181は、記録データの最長ランレングスに応じた遅延量を設定し、所望のタイミングで読取サンプル値系列RSCをセレクタ185へ出力する。具体的には、光ディスク100がBlu−ray Discである場合には、最長ランレングスである9Tに相当する遅延量を設定し、光ディスク100がDVDである場合には、最長ランレングスである14Tに相当する遅延量を設定する。
尚、minTは、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRF(より具体的には、該読取信号RRFに対応する読取サンプル値系列RSC)を示している。例えば、光ディスク100がDVDであれば、minTは、ランレングスが3Tの記録データに対応する読取信号RRFを示している。例えば、光ディスク100がBlu−ray Discであれば、minTは、ランレングスが2Tの記録データに対応する読取信号RRFを示している。
マーク/スペース長検出回路183は、例えばゼロクロス点の間隔や、符号ビットの連続回数等を検出することで、マーク/スペース長を検出する。その検出結果は、タイミング生成回路184へ出力される。
タイミング生成回路184は、マーク/スペース長検出回路183において検出されるマーク/スペース長に基づいて、タイミング信号SWを生成し、該生成したタイミング信号SWをセレクタ185へ出力する。
具体的には、タイミング生成回路184は、(i)マーク/スペース長検出回路183において検出されるマーク/スペース長が、波形歪み補正の対象となる長マークであり、且つ(ii)第1のゼロクロス点からminTに相当する時間が少なくとも経過した時点T1から、第1のゼロクロス点の次に位置する第2のゼロクロス点からminTに相当する時間を遡った時点T2までの間の期間には、ハイレベルのタイミング信号SW(SW=1)を生成し、該生成したタイミング信号SWをセレクタ185へ出力する。他方、タイミング生成回路184は、(i)マーク/スペース長検出回路183において検出されるマーク/スペース長が、波形歪み補正の対象となる長マーク以外のマークであるか、又は(ii)第1のゼロクロス点からminTに相当する時間が少なくとも経過した時点T1から、第1のゼロクロス点の次に位置する第2のゼロクロス点からminTに相当する時間を遡った時点T2までの間の期間以外の期間には、ローレベルのタイミング信号SW(SW=0)を生成し、該生成したタイミング信号SWをセレクタ185へ出力する。
セレクタ185は、ハイレベルのタイミング信号SWがタイミング生成回路184から出力されている場合には、歪み補正値検出回路182から出力される歪み補正値amdを、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMとして、リミットイコライザ15へ出力する。他方、セレクタ185は、ローレベルのタイミング信号SWがタイミング生成回路184から出力されている場合には、遅延調整回路181から出力される読取サンプル値系列RSCを、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMとして、リミットイコライザ15へ出力する。
尚、図7のステップS105において設定される波形歪み補正条件は、実質的には、歪み補正値検出回路182において検出される歪み補正値amd及びタイミング生成回路184において生成されるタイミング信号SWに相当する。
このような波形歪み補正回路18による動作を、サンプル値系列RSCを示す波形図上でより明確に説明する。
図9に示すように、第1のゼロクロス点からminTに相当する時間が少なくとも経過した時点T1から、第1のゼロクロス点の次に位置する第2のゼロクロス点からminTに相当する時間を遡った時点T2までの間の期間(つまり、タイミング信号SWがハイレベルである期間)には、サンプル値系列RSCに含まれるサンプル値が、波形歪み補正値検出回路182において検出される歪み補正値amdに補正される。その結果、波形歪みが補正される。
この波形歪みを補正することで得られる効果について、図10から図12を参照しながら説明する。ここに、図10は、波形歪みの補正前後における読取信号RRFの波形等を概念的に示す波形図であり、図11は、波形歪みが補正されない場合及び波形歪みが補正される場合の夫々における高域強調読取サンプル値系列RSHの取得動作を、サンプル値系列RSC上で概念的に示す波形図であり、図12は、波形歪み率に対するシンボルエラーレートの変化を示すグラフである。
図10の左側に示すように、読取信号RRFに波形歪みが生じている場合には、該波形歪みを通常のマーク(例えば、ランレングスが相対的に短いマーク)と誤認識してしまいかねない。従って、読取信号RRFを2値化した後の2値化波形には、波形歪みに起因した誤信号が含まれてしまう。この結果、元の記録データとの整合性がとれずに、2値化エラーが発生してしまう。
他方で、図10の右側に示すように、読取信号RRFに生じた波形歪みを補正した場合には、読取信号RRFを2値化した後の2値化波形には、波形歪みに起因した誤信号が含まれることはなくなる。従って、元の記録データとの整合性を取ることができ、2値化エラーは発生しない。
より具体的に説明すると、波形歪みの大きさ等の条件によっては、図11(a)に示すように、波形歪みがリミットイコライザ15における振幅制限値の下限−Lを上回る信号レベルを有しかねない。この場合、高域強調ブロック153から出力される高域強調読取サンプル値系列RSHは、高域強調読取サンプル値系列RSHIGとS(0)との和であり、RSHIGは、(−k)×Sip(−1)+k×Sip(0)+k×Sip(1)+(−k)×Sip(2)にて示されることは前述した。ここで、Sip(−1)とSip(2)は、下限−Lに抑制されるため、RSH=S(0)+k×(−2×−L+Sip(0)+Sip(1))となる。これでは、下限−LとSip(0)とSip(1)の和をK倍した値だけ、高域強調読取サンプル値系列RSHの値が大きくなってしまう。これは、本来発生するべきでない波形歪みを強調してしまっているため好ましくない。更には、波形歪みが強調されることに起因して、例えばPRMLを採用する情報再生装置においては、例えば波形歪みが生じているランレングスが相対的に長いマークを他のマークと誤判別してしまう不都合につながりかねない。その結果、2値化エラーが発生してしまう。
また、図示はしないが、図6(a)から図6(c)に示すマークを形成することによって、レーザ光LBの反射率が減少する光ディスク100についても同様に、Sip(−1)とSip(2)は、上限Lに抑制されるため、RSH=S(0)+k×(−2×L+Sip(0)+Sip(1))となる。これでは、上限LとSip(0)とSip(1)の和をK倍した値だけ、高域強調読取サンプル値系列RSHの値が大きくなってしまう。これは、本来発生するべきでない波形歪みを強調してしまっているため好ましくない。
他方、図11(b)に示すように、波形歪みが補正される場合には、波形歪みの信号レベルを、リミットイコライザ15における振幅制限値の下限−L以下の信号レベルに補正することができる。この場合、Sip(−1)とSip(0)と、Sip(1)とSip(2)は、下限−Lに抑制されるため、RSH=S(0)となる。このため、波形歪みを強調する不都合を防ぐことができ、その結果、2値化エラーが発生してしまうという不都合を防ぐことができる。
また、図示はしないが、図6(a)から図6(c)に示すマークを形成することによって、レーザ光LBの反射率が減少する光ディスク100についても同様に、波形歪みが補正される場合には、Sip(−1)とSip(0)と、Sip(1)とSip(2)は、上限Lに抑制されるため、RSH=S(0)となる。このため、波形歪みを強調する不都合を防ぐことができ、その結果、2値化エラーが発生してしまうという不都合を防ぐことができる。
このように、波形歪みを補正することによる効果は、波形歪み率に対するシンボルエラーレートの変化からも分かる。図12に示すように、波形歪みが補正されない場合におけるSERの値と比較して、波形歪みが補正される場合におけるSERの値は改善している。
以上説明したように、本実施例に係る情報再生装置1によれば、高域強調した際に、符号間干渉が生ずる原因となるところの読取信号中におけるリファレンスサンプル点前後のサンプル値のばらつきが強制的に抑えられる。このため、高域強調ブロック153において十分な高域強調を行っても符号間干渉が生ずることはない。
特に、本実施例に係る情報再生装置1によれば、波形歪みを補正した後に、リミットイコライザ15における振幅制限及び高域強調を行っている。このため、リミットイコライザ15において、本来発生するべきでない波形歪みを強調してしまう不都合を好適に防止することができる。更には、波形歪みが強調されることに起因して、例えばPRMLを採用する情報再生装置においては、例えばランレングスが相対的に長いマークを他のマークと誤判別してしまう不都合を好適に防止することができる。その結果、波形歪みに起因して2値化エラーが発生することは殆どなくなり、好適な再生動作を行うことができる。
加えて、再生特性判定回路20により読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていないと判定された場合に、選択的に波形歪み補正回路18による波形歪みの補正が行われる。ここで、特に、シーケンシャル記録のみが許可されている光ディスク100とは異なって、ランダム記録が許可されている光ディスク100においては、様々な記録状態が混在している。この場合、波形歪みが不連続にないしは離散的に分布したり或いはしていなかったりする読取信号RRFを読み取ったり、大小様々な信号レベルを有する読取信号RRFを読み取る必要がある。従って、通常は波形歪みを補正することなく記録データを再生し、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていない(つまり、波形歪みが発生している可能性が高い)場合に選択的に波形歪みを補正しながら記録データを再生することで、情報再生装置1の負荷を低減させつつ、上述した各種効果を享受することができる。
尚、読取信号RRFの再生特性としてSERを用いる場合には、上述の復号回路17は、復号処理に加えてエラー訂正処理を行うことが好ましい。つまり、読取信号RRFの再生特性としてSERを用いる場合には、上述の復号回路17は、復号/訂正回路17となることが好ましい。
(2)第1変形例
続いて、図13から図15を参照して、本実施例に係る情報再生装置1の第1変形例について説明する。ここに、図13は、第1変形例に係る情報再生装置1aが備える波形歪み補正回路18aの構成を概念的に示すブロック図であり、図14は、第1変形例に係る情報再生装置1aが備える波形歪み補正回路18aが備える波形歪み検出回路186aの構成を概念的に示すブロック図であり、図15は、第1変形例に係る情報再生装置1aの動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
図7に示した動作例では、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていない場合には常に波形歪みを補正していた。しかしながら、第1変形例においては、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていない場合であっても、波形歪みが実際に検出された場合に選択的に波形歪み補正を行うように構成されている。以下、第1変形例の具体的構成及び動作例について説明する。
図13に示すように、波形歪み補正回路18aは、遅延調整回路181と、波形歪み検出回路186aと、マーク/スペース長検出回路183と、タイミング生成回路184と、セレクタ185と、AND回路187aとを備えている。
この態様では、マーク/スペース長検出回路183によるマーク/スペース長の検出結果は、タイミング生成回路184に加えて、波形歪み検出回路186aへ出力される。
波形歪み検出回路186aは、波形歪みを検出し、且つ波形歪みを検出したことを示す波形歪み検出信号DTをAND回路187aへ出力する。より具体的には、波形歪み検出回路186aは、波形歪みが検出されている場合には、ハイレベルの波形歪み検出信号DT(DT=1)をAND回路187aへ出力し、波形歪みが検出されていない場合には、ローレベルの波形歪み検出信号DT(DT=0)をAND回路187aへ出力する。
AND回路187aは、タイミング生成回路184及び波形歪み検出回路186aの夫々の出力に基づいて、波形歪みが検出された場合(つまり、タイミング生成回路184から出力されるタイミング信号SW及び波形歪み検出回路186aから出力される波形歪み検出信号DTの夫々がハイレベルである場合)には、ハイレベルのタイミング信号SW0を生成する。他方、AND回路187aは、タイミング生成回路184及び波形歪み検出回路186aの夫々の出力に基づいて、波形歪みが検出されていない場合(つまり、タイミング生成回路184から出力されるタイミング信号SW及び波形歪み検出回路186aから出力される波形歪み検出信号DTのいずれか一方がローレベルである場合)には、ローレベルのタイミング信号SW0を生成する。つまり、第6変形例においては、波形歪みが検出されている場合に、選択的に波形歪みが補正される。
波形歪み検出回路186aは、図14に示すように、シフトレジスタ1831aと、セレクタ1832aと、最大値検出回路1833aと、最小値検出回路1834aと、減算器1835aと、判定回路1836aとを備える。
波形歪み検出回路186aに入力される読取サンプル値系列RSCは、シフトレジスタ1831aに出力される。シフトレジスタ1831aは、入力される読取サンプル値系列RSCを1クロックずつシフトさせながら、出力D0からD14としてセレクタ1832aへ出力する。
セレクタ1832aは、マーク/スペース長検出回路183から出力されるタイミングで、出力D0からD14のうちからマーク/スペース長に基づいて、3つの出力を選択的にサンプルホールドし、歪み補正量検出回路1837a、最大値検出回路1833a及び最小値検出回路1834aの夫々に出力する。
より具体的には、セレクタ1832aは、マーク/スペース長検出回路183から出力されるマーク/スペース長が6Tである場合には、出力D0からD14のうちから3つの出力D2、D3及びD4を選択的にサンプルホールドし、歪み補正量検出回路1837a、最大値検出回路1833a及び最小値検出回路1834aの夫々に出力する。セレクタ1832aは、マーク/スペース長検出回路183から出力されるマーク/スペース長が7Tである場合には、出力D0からD14のうちから3つの出力D2、D3及びD5を選択的にサンプルホールドし、歪み補正量検出回路1837a、最大値検出回路1833a及び最小値検出回路1834aの夫々に出力する。セレクタ1832aは、マーク/スペース長検出回路183から出力されるマーク/スペース長が8Tである場合には、出力D0からD14のうちから3つの出力D2、D4及びD6を選択的にサンプルホールドし、歪み補正量検出回路1837a、最大値検出回路1833a及び最小値検出回路1834aの夫々に出力する。セレクタ1832aは、マーク/スペース長検出回路183から出力されるマーク/スペース長が9Tである場合には、出力D0からD14のうちから3つの出力D2、D4及びD7を選択的にサンプルホールドし、歪み補正量検出回路1837a、最大値検出回路1833a及び最小値検出回路1834aの夫々に出力する。セレクタ1832aは、マーク/スペース長検出回路183から出力されるマーク/スペース長が10Tである場合には、出力D0からD14のうちから3つの出力D2、D5及びD8を選択的にサンプルホールドし、歪み補正量検出回路1837a、最大値検出回路1833a及び最小値検出回路1834aの夫々に出力する。セレクタ1832aは、マーク/スペース長検出回路183から出力されるマーク/スペース長が11Tである場合には、出力D0からD14のうちから3つの出力D2、D5及びD9を選択的にサンプルホールドし、歪み補正量検出回路1837a、最大値検出回路1833a及び最小値検出回路1834aの夫々に出力する。セレクタ1832aは、マーク/スペース長検出回路183から出力されるマーク/スペース長が14Tである場合には、出力D0からD14のうちから3つの出力D2、D7及びD12を選択的にサンプルホールドし、歪み補正量検出回路1837a、最大値検出回路1833a及び最小値検出回路1834aの夫々に出力する。このようなセレクタ1832aの動作は、実質的には、図5(a)から図5(c)及び図6(a)から図6(c)に示す波形歪みの、前端部の信号レベル、中間部の信号レベル及び後端部の信号レベルを選択的に出力する動作に相当する。
その後、歪み補正量検出回路1837aにおいては、セレクタ1832aから出力される3つの出力(つまり、前端部の信号レベル、中間部の信号レベル及び後端部の夫々の信号レベル)のうち所望の1つの信号レベルが歪み補正量amdとして出力される。具体的には、図5(a)及び図6(a)に示すように中間部の信号レベルが変化してしまった波形歪みに対しては、例えば前端部の信号レベル又は後端部の信号レベルが歪み補正量amdとして出力される。図5(b)及び図6(b)に示すように前端部の信号レベルが変化してしまった波形歪みに対しては、例えば後端部の信号レベルが歪み補正量amdとして出力される。図5(c)及び図6(c)に示すように後端部の信号レベルが変化してしまった波形歪みに対しては、前端部の信号レベルが歪み補正量amdとして出力される。
また、最大値検出回路1833aにおいては、セレクタ1832aより出力される3つの出力の最大値(つまり、最大信号レベル)が検出され、該検出された最大値が減算器1835aへ出力される。
同様に、最小値検出回路1834aにおいては、セレクタ1832aより出力される3つの出力の最小値(つまり、最小信号レベル)が検出され、該検出された最小値が減算器1835aへ出力される。
その後、減算器1835aにおいて、最大値検出回路1833aにおいて検出された最大値から、最小値検出回路1834aにおいて検出された最小値が減算されることで、波形歪み量Dが算出される。
その後、判定回路1836aにおいて、減算器1835aより出力される波形歪み量が所定値x以上であるか否かが判定される。波形歪み量Dが相対的に小さい場合には、波形歪みを検出したとはみなさず、ローレベルの波形歪み検出信号DTを出力する。他方、波形歪み量Dが相対的に大きい場合(例えば、波形歪み率が概ね30%以上である場合)には、波形歪みを検出したとみなして、ハイレベルの波形歪み検出信号DTを出力する。 このときの動作の流れは、図15に示すように、まず、光ディスク100に記録されたデータの再生動作が行われる(ステップS101)。再生動作の際には、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしているか否かが判定される(ステップS102)。
ステップS102における判定の結果、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていると判定された場合には(ステップS102:Yes)、ステップS107へ進む。
他方、ステップS102における判定の結果、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていないと判定された場合には(ステップS102:No)、続いて、波形歪み検出回路186aにおいて波形歪みが実際に検出されているか否かが判定される(ステップS201)。
ステップS201における判定の結果、波形歪みが検出されていないと判定された場合には(ステップS201:No)、波形歪みを補正することなく(つまり、ステップS103からステップS106の動作を行うことなく)、ステップS107へ進む。
他方、ステップS201における判定の結果、波形歪みが検出されていると判定された場合には(ステップS201:Yes)、波形歪みを補正した後に(つまり、ステップS103からステップS106の動作を行った後に)、ステップS107へ進む。
このように、波形歪みが検出された場合に選択的に波形歪みを補正することで、情報再生装置1aの負荷を低減させつつ、上述した各種効果を享受することができる。
加えて、波形歪みが実際に発生している場合に、選択的に波形歪み補正回路18による波形歪みの補正が行われる。ここで、特に、シーケンシャル記録のみが許可されている光ディスク100とは異なって、ランダム記録が許可されている光ディスク100においては、様々な記録状態が混在している。この場合、波形歪みが不連続にないしは離散的に分布したり或いはしていなかったりする読取信号RRFを読み取ったり、大小様々な信号レベルを有する読取信号RRFを読み取る必要がある。従って、通常は波形歪みを補正することなく記録データを再生し、波形歪みが実際に発生している場合に選択的に波形歪みを補正しながら記録データを再生することで、情報再生装置1の負荷を低減させつつ、上述した各種効果を享受することができる。
加えて、第1変形例に係る情報再生装置1aによれば、波形歪みの信号レベルを、前端部の信号レベル、中間部の信号レベル及び後端部の夫々の信号レベルのうち所望の1つの信号レベルに補正することができる。このため、様々な形状の波形歪みを好適に補正することができる。具体的には、図7から図9を参照して説明した構成では、波形歪みの信号レベルを、前端部の信号レベルに補正しているため、特に図5(b)及び図6(b)に示すような前端部の信号レベルが変化してしまった波形歪みを好適に補正することができない。しかるに、第1変形例に係る情報再生装置1aによれば、このような波形歪みをも好適に補正することができる。
(3)第2変形例
続いて、図16を参照して、本実施例に係る情報再生装置1の第2変形例について説明する。ここに、図16は、第2変形例に係る情報再生装置1bの動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
図7に示した動作例では、波形歪み補正条件がただ1つ設定されている。しかしながら、第2変形例においては、複数の波形歪み補正条件を設定しておき、それらを順に適用しながら波形歪み補正を行うように構成されている。
このときの動作の流れは、図16に示すように、まず、光ディスク100に記録されたデータの再生動作が行われる(ステップS101)。再生動作の際には、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしているか否かが判定される(ステップS102)。
ステップS102における判定の結果、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていると判定された場合には(ステップS102:Yes)、ステップS107へ進む。
他方、ステップS102における判定の結果、読取信号RRFが所望の再生特性を満たしていないと判定された場合には(ステップS102:No)、続いて、波形歪み検出回路186aにおいて波形歪みが実際に検出されているか否かが判定される(ステップS201)。
ステップS201における判定の結果、波形歪みが検出されていないと判定された場合には(ステップS201:No)、波形歪みを補正することなく(つまり、ステップS103からステップS106の動作を行うことなく)、ステップS107へ進む。
他方、ステップS201における判定の結果、波形歪みが検出されていると判定された場合には(ステップS201:Yes)、長マークの波形歪みが測定される(ステップS103)。その後、波形歪みが所定値以上であるか否かが判定される(ステップS104)。
ステップS104における判定の結果、波形歪みが所定値以上でない(例えば、波形歪み率が概ね30%以下である)と判定された場合には(ステップS104:No)、ステップS107へ進む。
他方、ステップS104における判定の結果、波形歪みが所定値以上である(例えば、波形歪み率が概ね30%以上である)と判定された場合には(ステップS104:Yes)、続いて、波形歪みの補正レベルや補正範囲等の波形歪み補正条件#x(但し、xは、1を初期値とする、1以上の整数)が設定される(ステップS301)。その後、ステップS301において設定された波形歪み補正条件#xに基づいて、長マークの波形歪みが補正される(ステップS106)。
続いて、波形歪みを補正した回数であるリトライ回数が所定値以上であるか否かが判定される(ステップS302)。
ステップS302における判定の結果、リトライ回数が所定値以上でないと判定された場合には(ステップS302:No)、xを1だけインクリメントした後に、ステップS102へ戻り、ステップS102以降の動作を繰り返す。つまり、波形歪み補正条件を適宜変更しながら波形歪みの補正が繰り返される(言い換えれば、リトライされる)。
他方、ステップS302における判定の結果、リトライ回数が所定以上であると判定された場合には(ステップS302:Yes)、ステップS107へ進む。
尚、複数の波形歪み補正条件としては、図22から図45を参照して以下に詳述する変形例における動作で用いられる波形歪み補正条件を用いることが好ましい。
(4)第3変形例
続いて、図17から図21を参照して、第3変形例に係る情報再生装置1cについて説明する。ここに、図17は、第3変形例に係る情報再生装置1cが備える波形歪み補正回路18cによる波形歪みの補正動作を、第1の読取信号RRF上で概念的に示すタイミングチャートであり、図18は、第3変形例に係る情報再生装置1cが備える波形歪み補正回路18cによる波形歪みの補正動作を、第2の読取信号RRF上で概念的に示すタイミングチャートであり、図19は、第3変形例に係る情報再生装置1cによる第1の動作の流れを概念的に示すフローチャートであり、図20は、第3変形例に係る情報再生装置1cによる第2の動作の流れを概念的に示すフローチャートであり、図21は、第3変形例に係る情報再生装置1cによる第3の動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
光ディスク100に記録される記録データには、通常のユーザデータに加えて、該ユーザデータを再生する際の同期をとるために用いられる同期データ(例えば、光ディスク100がDVDであればランレングス14Tの記録データであり、光ディスク100がBlu−ray Discであればランレングス9Tの記録データ)が含まれている。第3変形例においては、このような同期データが記録データに含まれていることを考慮して、同期データに限定して波形歪みを補正するように構成されている。
より具体的には、図17に示すように、光ディスクがBlu−ray Discである場合には、同期データは9Tマークと9Tスペースとにより構成されているため、まず、9Tスペースを検出し、該検出された9Tスペースの前又は後の、波形歪みを補正するように構成してもよい。また、同期データが出現する周期性に着目して、検出された9Tスペースから、1932T(或いは、1932T±α1:α1は所定の定数)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置からβ1Tだけずれた位置:β1は所定の定数)付近の波形歪みを補正するように構成してもよい。
また、図18に示すように、光ディスクがDVDである場合には、同期データは14Tマークまたは14Tスペースであるため、まず、14Tスペースを検出し、該検出された14Tスペースから、1488T(或いは、1488T±α2:α2は定数)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置からβ2Tだけずれた位置:β2は所定の定数)付近の波形歪みを補正するように構成してもよい。
光ディスク100がBlu−ray Discである場合の動作の流れ(第1の動作の流れ)について、図19を参照して説明する。
図19に示すように、まず、光ディスク100に記録されたデータの再生動作が行われる(ステップS101)。
再生動作の際には、9Tスペースが検出されるか否かが判定される(ステップS401)。
ステップS401における判定の結果、9Tスペースが検出されないと判定された場合には(ステップS401:No)、再度ステップS401に戻り、9Tスペースが検出されるか否かの判定動作が繰り返される。
他方、ステップS401における判定の結果、9Tスペースが検出されたと判定された場合には(ステップS401:Yes)、続いて、9Tスペースの直前又は直後の記録データ(言い換えれば、読取信号RRF)が9Tマークであるか否かが判定される(ステップS402)。
ステップS402における判定の結果、9Tスペースの直前又は直後の記録データが9Tマークであると判定された場合には(ステップS402:Yes)、そのまま動作を終了する。
他方、ステップS402における判定の結果、9Tスペースの直前又は直後の記録データが9Tマークでないと判定された場合には(ステップS402:No)、9Tスペースの直前若しくは直後又はその両方の位置付近の波形歪みが補正される(ステップS404)。ステップS404における波形歪みの補正については、図7におけるステップ103からステップS106の動作又は図15におけるステップS201からステップS106の動作と同様に行われる。
続いて、光ディスク100がBlu−ray Discである場合の他の動作の流れ(第2の動作の流れ)について、図20を参照して説明する。
図20に示すように、まず、光ディスク100に記録されたデータの再生動作が行われる(ステップS101)。
再生動作の際には、9Tスペースが検出されるか否かが判定される(ステップS401)。
ステップS401における判定の結果、9Tスペースが検出されないと判定された場合には(ステップS401:No)、再度ステップS401に戻り、9Tスペースが検出されるか否かの判定動作が繰り返される。
他方、ステップS401における判定の結果、9Tスペースが検出されたと判定された場合には(ステップS401:Yes)、続いて、検出された9Tスペースから、1932T(或いは、1932T±α1)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置からβ1Tだけずれた位置)の記録データが9Tマークであるか否かが判定される(ステップS502)。
ステップS502における判定の結果、検出された9Tスペースから、1932T(或いは、1932T±α1)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置からβ1Tだけずれた位置)の記録データが9Tマークであると判定された場合には(ステップS402:Yes)そのまま動作を終了する。
他方、ステップS502における判定の結果、検出された9Tスペースから、1932T(或いは、1932T±α1)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置からβ1Tだけずれた位置)の記録データが9Tマークでないと判定された場合には(ステップS502:No)、検出された9Tスペースから、1932T(或いは、1932T±α1)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置からβ1Tだけずれた位置)付近の波形歪みが補正される(ステップS504)。ステップS504における波形歪みの補正については、図7におけるステップ103からステップS106の動作又は図15におけるステップS201からステップS106の動作と同様に行われる。
続いて、光ディスク100がDVDである場合の動作の流れ(第3の動作の流れ)について、図21を参照して説明する。
図21に示すように、まず、光ディスク100に記録されたデータの再生動作が行われる(ステップS101)。
再生動作の際には、14Tスペースが検出されるか否かが判定される(ステップS601)。
ステップS601における判定の結果、14Tスペースが検出されないと判定された場合には(ステップS601:No)、再度ステップS601に戻り、14Tスペースが検出されるか否かの判定動作が繰り返される。
他方、ステップS601における判定の結果、14Tスペースが検出されたと判定された場合には(ステップS601:Yes)、続いて、検出された14Tスペースから、1488T(或いは、1488T±α2)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置からβ2Tだけずれた位置)の読取信号RRFが14Tマーク又は14Tスペースであるか否かが判定される(ステップS602)。
ステップS602における判定の結果、検出された14Tスペースから、1488T(或いは、1488T±α2)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置からβ2Tだけずれた位置)の読取信号RRFが14Tマーク又は14Tスペースであると判定された場合には(ステップS602:Yes)、そのまま動作を終了する。
他方、ステップS602における判定の結果、検出された14Tスペースから、1488T(或いは、1488T±α2)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置からβ2Tだけずれた位置)の読取信号RRFが14Tマーク又は14Tスペースでないと判定された場合には(ステップS602:No)、検出された14Tスペースから、1488T(或いは、1488T±α2)に相当する時間が経過した位置(或いは、該位置からβ2Tだけずれた位置)の波形歪みが補正される(ステップS604)。ステップS604における波形歪みの補正については、図7におけるステップ103からステップS106の動作又は図15におけるステップS201からステップS106の動作と同様に行われる。
このように、同期データが記録データに含まれていることを考慮しながら波形歪みを補正することで、ユーザデータよりもその重要性が高い同期データの高域強調を好適に行うことができ、その結果同期データの再生を好適に行うことができる。これにより、再生動作の安定性をより一層高めることができる。
(5)第4変形例:波形歪み補正値amdの他の例
続いて、図22及び図23を参照して、第4変形例に係る情報再生装置1dについて説明する。ここに、図22は、第4変形例に係る情報再生装置1dが備える波形歪み補正回路18dによる波形歪みの補正動作を、サンプル値系列RSC上で概念的に示す波形図であり、図23は、第4変形例に係る情報再生装置1dが備える波形歪み補正回路18dの構成を概念的に示すブロック図である。
尚、上述した実施例における各種構成及び動作と同一の構成及び動作に関しては、同一の参照符号を付することで、それらの詳細な説明については省略する。
図22に示すように、第4変形例においては、歪み補正値amdとして、ランレングスが(min+3)Tのマークのセンターサンプル(つまり、図5(a)から図5(c)に示す波形歪みに対しては、(min+3)Tのマークの最小振幅値であり、図6(a)から図6(c)に示す波形歪みに対しては、(min+3)Tのマークの最大振幅値)の平均値が用いられる。
尚、(min+k)Tは、ランレングスがk+1(但し、kは1以上の整数)番目に短い記録データに対応する読取信号RRF(より具体的には、該読取信号RRFに対応する読取サンプル値系列RSC)を示している。従って、(min+3)Tは、ランレングスが4番目に短い記録データに対応する読取信号RRF(より具体的には、該読取信号RRFに対応する読取サンプル値系列RSC)を示している。例えば、光ディスク100がDVDであれば、(min+3)Tは、ランレングスが6Tの記録データに対応する読取信号RRFを示している。例えば、光ディスク100がBlu−ray Discであれば、(min+3)Tは、ランレングスが5Tの記録データに対応する読取信号RRFを示している。
この場合、波形歪み補正回路18dは、図23に示すように、遅延調整回路181と、歪み補正値検出回路182dと、マーク/スペース長検出回路183と、タイミング生成回路184と、セレクタ185とを備えている。
歪み補正値検出回路182dは、マーク/スペース長検出回路183より出力されるマーク/スペース長をモニタリングしながら、ランレングスが(min+3)Tである記録データが入力された場合に、そのセンターサンプル値をホールドして平均化し、歪み補正値amdとしてセレクタ185へ出力する。
このように、歪み補正値amdとして、ランレングスが(min+3)Tである記録データのセンターサンプルの平均値を用いても、上述した各種効果を好適に享受することができる。
更に、場合によっては、波形歪みが補正されることで、補正後の信号レベルが、元の信号レベル(つまり、補正前の信号レベル)よりも増加する。このため、波形歪みが補正されることで、信号レベルを、読取信号RRFの最大振幅に近づけることができる。その結果、特にPRML(Partial Response Maximum Likelihood)を採用する情報再生装置において、記録データをより好適に再生することができる。
尚、歪み補正値amdとして、ランレングスが(min+3)Tである記録データのセンターサンプルの平均値に代えて、他のランレングスを有する記録データのセンターサンプルの平均値を用いてもよい。この場合、他のランレングスを有する記録データとして、最大振幅を実現できる記録データであることが好ましい。
(6)第5変形例:波形歪み補正値amdの他の例
続いて、図24及び図25を参照しながら、第5変形例に係る情報再生装置1eについて説明する。ここに、図24は、第5変形例に係る情報再生装置1eが備える波形歪み補正回路18eによる波形歪みの補正動作を、サンプル値系列RSC上で概念的に示す波形図であり、図25は、第5変形例に係る情報再生装置1eが備える波形歪み補正回路18eの構成を概念的に示すブロック図である。
尚、上述した実施例における各種構成及び動作と同一の構成及び動作に関しては、同一の参照符号を付することで、それらの詳細な説明については省略する。
図24に示すように、第5変形例においては、歪み補正値amdとして、読取サンプル値系列RSHを示すためのデジタルコードの最大値又は最小値(具体的には、図5(a)から図5(c)に示す波形歪みに対しては、デジタルコードの最小値であり、図6(a)から図6(c)に示す波形歪みに対しては、デジタルコードの最大値)が用いられる。例えば、デジタルコードが8ビットであれば、デジタルコードの最大値は、2^(8−1)−1=127となり、デジタルコードの最小値は、−2^(8−1)=−128となる。
この場合、波形歪み補正回路18eは、図25に示すように、遅延調整回路181と、歪み補正値検出回路182eと、マーク/スペース長検出回路183と、タイミング生成回路184と、セレクタ185とを備えている。
歪み補正値検出回路182eは、デジタルコードの最大値又は最小値を、歪み補正値amdとしてセレクタ185へ出力する。
このように、歪み補正値amdとして、デジタルコードの最大値又は最小値を用いても、上述した各種効果を好適に享受することができる。
加えて、歪み補正値amdを逐次検出する必要がなくなるため、波形歪み補正回路18eの負荷(つまり、情報再生装置1eの負荷)を相対的に低減させることができる。
尚、デジタルコードの最大値又は最小値に限らず、所定の固定値を歪み補正値amdとして用いたとしても、波形歪み補正回路18eの負荷(つまり、情報再生装置1eの負荷)を相対的に低減させつつ、上述した各種効果を好適に享受することができる。
(7)第6変形例:波形歪み補正値amdの他の例
続いて、図26及び図27を参照して、第6変形例に係る情報再生装置1fについて説明する。ここに、図26は、第6変形例に係る情報再生装置1fが備える波形歪み補正回路18fによる波形歪みの補正動作を、サンプル値系列RSC上で概念的に示す波形図であり、図27は、第6変形例に係る情報再生装置1fが備える波形歪み補正回路18fの構成を概念的に示すブロック図である。
尚、上述した実施例における各種構成及び動作と同一の構成及び動作に関しては、同一の参照符号を付することで、それらの詳細な説明については省略する。
図26に示すように、第6変形例においては、歪み補正値amdとして、リミットイコライザ15における振幅制限値の上限L又は下限−L(具体的には、図5(a)から図5(c)に示す波形歪みに対しては、振幅制限値の下限−Lであり、図6(a)から図6(c)に示す波形歪みに対しては、振幅制限値の上限L)が用いられる。
この場合、波形歪み補正回路18fは、図27に示すように、遅延調整回路181と、マーク/スペース長検出回路183と、タイミング生成回路184と、セレクタ185とを備えている。
セレクタ185は、ハイレベルのタイミング信号SWがタイミング生成回路184から出力されている場合には、リミットイコライザ15の振幅制限値の上限L又は下限−Lを、歪み補正サンプル値系列RSCAMとして出力する。
このように、歪み補正値amdとして、リミットイコライザ15における振幅制限値の上限L又は下限−Lを用いても、上述した各種効果を好適に享受することができる。
加えて、波形歪みの信号レベルがリミットイコライザ15の振幅制限値の上限L又は下限−Lに補正されるため、リミットイコライザ15において、本来発生するべきでない波形歪みを強調してしまう不都合を確実に防止することができる。更には、波形歪みが強調されることに起因して、例えばPRMLを採用する情報再生装置においては、例えばランレングスが相対的に長いマークを他のマークと誤判別してしまう不都合を好適に防止することができる。その結果、波形歪みに起因して2値化エラーが発生することは殆どなくなり、好適な再生動作を行うことができる。
尚、歪み補正値amdとして、リミットイコライザ15における振幅制限値の上限L以上の値又は下限−L以下の値を用いるように構成してもよい。このように構成しても、上述した各種効果を好適に享受することができる。
(8)第7変形例:波形歪み補正値amdの他の例
続いて、図28及び図29を参照して、第7変形例に係る情報再生装置1gについて説明する。ここに、図28は、第7変形例に係る情報再生装置1gが備える波形歪み補正回路18gによる波形歪みの補正動作を、サンプル値系列RSC上で概念的に示す波形図であり、図29は、第7変形例に係る情報再生装置1gが備える波形歪み補正回路18gの構成を概念的に示すブロック図である。
尚、上述した実施例における各種構成及び動作と同一の構成及び動作に関しては、同一の参照符号を付することで、それらの詳細な説明については省略する。
図28に示すように、第7変形例においては、歪み補正値amdとして、リミットイコライザ15における振幅制限値の上限L又は下限−L(具体的には、図5(a)から図5(c)に示す波形歪みに対しては、振幅制限値の下限−Lであり、図6(a)から図6(c)に示す波形歪みに対しては、振幅制限値の上限L)の2倍の値(つまり、2L又は−2L)が用いられる。
この場合、波形歪み補正回路18gは、図21に示すように、遅延調整回路181と、増幅器182gと、マーク/スペース長検出回路183と、タイミング生成回路184と、セレクタ185とを備えている。
増幅器182gは、リミットイコライザ15の振幅制限値の上限L又は下限−Lを2倍に増幅した後に、歪み補正値amdとしてセレクタ185へ出力する。
このように、歪み補正値amdとして、リミットイコライザ15における振幅制限値の上限L又は下限−Lの2倍の値を用いても、上述した各種効果を好適に享受することができる。
加えて、波形歪みの信号レベルがリミットイコライザ15の振幅制限値の上限L又は下限−Lに補正されるため、リミットイコライザ15において、本来発生するべきでない波形歪みを強調してしまう不都合を確実に防止することができる。更には、波形歪みが強調されることに起因して、例えばPRMLを採用する情報再生装置においては、例えばランレングスが相対的に長いマークを他のマークと誤判別してしまう不都合を好適に防止することができる。その結果、波形歪みに起因して2値化エラーが発生することは殆どなくなり、好適な再生動作を行うことができる。
更には、読取信号RRFにノイズ成分が重畳してしまった場合であっても、波形歪みの信号レベルを振幅制限値の上限L又は下限−Lの2倍以下の信号レベルに補正するため、波形歪みが振幅制限値の上限L以下又は下限−L以上の値となる不都合を確実に防止することができる。この結果、例えば、長マークを他のマークと誤判別してしまう不都合を好適に防止することができる。その結果、波形歪みに起因して2値化エラーが発生することは殆どなくなり、好適な再生動作を行うことができる。
(9)第8変形例:プリイコライザにおける増幅率の増加
続いて、図30から図33を参照して、第8変形例に係る情報再生装置1hについて説明する。ここに、図30は、第8変形例に係る情報再生装置1hが備えるプリイコライザ14hの増幅率を増加させた場合と、該増幅率を増加させない場合との夫々における、アシンメトリに対するシンボルエラーレートの変化を示すグラフであり、図31は、波形歪みを補正した場合と波形歪みを補正しない場合との夫々における、プリイコライザ14hの増幅率に対するシンボルエラーレートの変化を示すグラフであり、図32は、アシンメトリの変化に応じたminTに対応する読取信号RRFの波形を概念的に示す波形図であり、図33は、波形歪みの補正前後における読取信号RRFの他の波形等を概念的に示す波形図である。
第8変形例においては、プリイコライザ14hは、プリイコライザ14hに予め設定されている基準増幅率と比較して、プリイコライザ14hの増幅率を任意に増加させる(或いは、更には減少させる)ことができる。つまり、第8変形例においては、プリイコライザ14hに予め設定されている基準増幅率と比較して、プリイコライザ14hの増幅率を増加させた後に、波形歪みを補正し、その後に、リミットイコライザ15において、振幅制限及び高域強調が行われる。
具体的には、プリイコライザ14hの増幅率は、minTスペースの信号レベル(より具体的には、minTスペースの頂点の信号レベルであって、つまりは、minTスペースの最大信号レベル)が、ゼロレベル以下である場合に、プリイコライザ14hに予め設定されている基準増幅率と比較して、プリイコライザ14hの増幅率を増加させる。
但し、ここでは、リファレンスレベルとしてゼロレベルを用いている場合の動作例を説明しているため、リファレンスレベルがゼロレベルでない場合においては、minTスペースの信号レベルが、リファレンスレベル以下である場合に、プリイコライザ14hに予め設定されている基準増幅率と比較して、プリイコライザ14hの増幅率を増加させることが好ましい。
また、ここでは、マークを形成することによって、レーザ光LBの反射率が減少する光ディスク100を対象としている場合の動作例を説明している。従って、マークを形成することによって、レーザ光LBの反射率が増加する光ディスク100を対象としている場合には、minTスペースの信号レベル(より具体的には、minTスペースの頂点の信号レベルであって、つまりは、minTスペースの最小信号レベル)が、ゼロレベル(或いは、リファレンスレベル)以上である場合に、プリイコライザ14hに予め設定されている基準増幅率と比較して、プリイコライザ14hの増幅率を増加させる。
ここで、プリイコライザ14hは、プリイコライザ14hに予め設定されている基準増幅率を、概ね1dBから3dB程度増加させることが好ましい。具体的には、例えば、プリイコライザ14hに予め設定されている基準増幅率が5dBである場合には、概ね6dBから8dB程度の増幅率で、読取サンプル値系列RSに対して符号間干渉を除去(言い換えれば、波形整形)することが好ましい。
また、プリイコライザ14hは、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFの周波数及び該周波数の近傍付近の信号成分に対する波形整形を行う際に、上述した増幅率を増加させることが好ましい。他方、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFの周波数及び該周波数の近傍付近以外の信号成分に対する波形整形を行う際には、上述した基準増幅率を用いる(つまり、増幅率を増加させない)ことが好ましい。
このように、第8変形例に係る情報再生装置1hによれば、波形歪みを補正する前に、プリイコライザ14hにおいて増幅率を増加させているため、以下の図30から図33を用いた説明に示す効果を享受することができる。
尚、図30及び図31に示すグラフにおいては、プリイコライザ14hの基準増幅率(つまり、増幅率を増加させない場合の増幅率)は、5dBであるものとする。
図30(a)に示すように、増幅率を増加させない場合(つまり、増幅率が5.0dBである場合)におけるシンボルエラーレートと比較して、増幅率を7.4dBに増加させた場合におけるシンボルエラーレートは改善している。
尚、図30(b)に示すように、波形歪みを補正しない場合においては、増幅率を増加させない場合(つまり、増幅率が5.0dBである場合)におけるシンボルエラーレートと比較して、増幅率を7.4dBに増加させた場合におけるシンボルエラーレートは悪化している。これは、増幅率の増加によって波形歪みが増幅されたことに起因している。従って、増幅率を増加させた場合には、波形歪み補正を行うことが極めて好ましい。これにより、図30(a)に示すように、シンボルエラーレートを改善することができる。
まとめると、図30(a)に示すグラフから分かるように、プリイコライザ14hの増幅率を所定の場合に増加させることで、シンボルエラーレートの改善を図ることができる。つまり、再生特性の改善を図ることができる。特に、アシンメトリが相対的に大きくなった場合においても、増幅率を増加させる場合におけるシンボルエラーレートは増加しているものの、増幅率を増加させない場合におけるシンボルエラーレートと比較すると、依然その値は改善されている。
また、図31に示すように、アシンメトリを8%に固定して波形歪みを補正する場合においては、プリイコライザ14hの増幅率を、概ね1dBから3dB程度増加させれば、プリイコライザ14hの増幅率を増加させない場合(つまり、増幅率が5.0dBである場合)におけるシンボルエラーレートと比較して、シンボルエラーレートが改善している。
尚、図31に示すように、プリイコライザ14hの増幅率を、概ね3dB以上増加させた場合には、プリイコライザ14hの増幅率を増加させない場合におけるシンボルエラーレートと比較して、シンボルエラーレートが悪化している。このシンボルエラーレートの悪化は、増幅率を過度に増加させてしまったことによって波形歪みが過度に強調されてしまい、その結果、例えば波形歪みが生じているランレングスが相対的に長いマークを他のマークと誤判別してしまったことによる。
このように、プリイコライザ14hの増幅率を増加させることで、再生特性(例えば、シンボルエラーレート)が改善することは、以下のような理由から説明できる。
図32の上側に示すように、マークを形成することによって、レーザ光LBの反射率が減少する光ディスク100を対象としている場合には、minTスペースの信号レベルが、minTマークの信号レベルよりも大きくなる。この場合、アシンメトリが大きくなるにつれて、minTの信号波形が、全てのTのセンターレベル(つまり、リファレンスレベルないしはゼロレベル)に対して、徐々に下側(つまり、負の側)へシフトする。アシンメトリがある程度大きくなると、minTスペースの頂点の信号レベルが、全てのTのセンターレベルを下回ってしまいかねない。この場合、minTを波形歪みと誤認識してしまいかねない。その結果、図33に示すように、minTが波形歪みとして補正されることで、minTに相当する信号が2値化信号中に現れず、シンボルエラーレートの悪化につながってしまう。
同様に、図32の下側に示すように、マークを形成することによって、レーザ光LBの反射率が増加する光ディスク100を対象としている場合には、minTスペースの信号レベルが、minTマークの信号レベルよりも小さくなる。この場合、アシンメトリが大きくなるにつれて、minTの信号波形が、全てのTのセンターレベル(つまり、リファレンスレベルないしはゼロレベル)に対して、徐々に上側(つまり、正の側)へシフトする。アシンメトリがある程度大きくなると、minTスペースの頂点の信号レベルが、全てのTのセンターレベルを上回ってしまいかねない。この場合、minTを波形歪みと誤認識してしまいかねない。その結果、minTが波形歪みとして補正されることで、minTに相当する信号が2値化信号中に現れず、シンボルエラーレートの悪化につながってしまう。
しかるに、第8変形例によれば、プリイコライザ14hの増幅率を増加させる(特に、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFの周波数及び該周波数の近傍付近の信号成分に対する増幅率を増加させる)ことで、minTの信号波形をシフトさせることができる。その結果、上述したminTスペースの頂点の信号レベルが、全てのTのセンターレベルを下回る又は上回る不都合を好適に防止することができる。その結果、シンボルエラーレートの悪化を好適に防止することができる。
また、図1に示す構成では、プリイコライザ14は、A/D変換器13の後段に配置されている。つまり、プリイコライザ14がデジタル信号処理を行う構成が開示されている。しかしながら、プリイコライザ14をA/D変換器13の前段に配置するように構成してもよいことは言うまでもない。つまり、プリイコライザ14がアナログ信号処理を行うように構成してもよく、このように構成する場合であっても、プリイコライザ14がデジタル信号処理を行う構成と同様に、増幅率を増加させてもよいは言うまでもない。
(10)第9変形例:オフセットの付加
続いて、図34を参照して、第9変形例に係る情報再生装置1iについて説明する。ここに、図34は、第9変形例に係る情報再生装置1iの基本構成を概念的に示すブロック図である。
図34に示すように、第9変形例に係る情報再生装置1iは、スピンドルモータ10と、ピックアップ11と、HPF12と、A/D変換器13と、プリイコライザ14と、リミットイコライザ15と、2値化回路16と、復号回路17と、波形歪み補正回路18と、加算器19−1iと、オフセット生成回路19−2iと、再生特性判定回路20とを備えている。
尚、図34に示す構成においても、図1に示す構成と同様に、読取信号RRFの再生特性としてSERを用いる場合には、上述の復号回路17は、復号処理に加えてエラー訂正処理を行うことが好ましい。つまり、読取信号RRFの再生特性としてSERを用いる場合には、上述の復号回路17は、復号/訂正回路17となることが好ましい。
加算器19−1iは、プリイコライザ14より出力される読取サンプル値系列RSCに対して、オフセット生成回路において生成されたオフセット値OFSを加算する。オフセット値OFSが付加された読取サンプル値系列RSCは、波形歪み補正回路18へ出力される。
オフセット生成回路19−2iは、オフセット値OFSを生成する。尚、オフセット値OFSについては、後に詳述する(図35以降参照)。
より具体的には、再生動作の際には、オフセット生成回路19−2iの動作により、読取信号RRF(より具体的には、読取サンプル値系列RSC)に対してオフセット値OFSが付加される。この場合、例えば、後述のα値が概ね0でない場合に、オフセット値OFSを付加し、α値が概ね0であれば、オフセット値OFSを付加しないように構成してもよい。或いは、例えばシンボルエラーレートが所定閾値以上である、エラー訂正が不可能である、又は同期データが読取不可能である場合には、オフセット値OFSを付加し、例えば、シンボルエラーレートが所定閾値以上でない、且つエラー訂正が不可能でない、且つ同期データが読取不可能でない場合には、オフセット値OFSを付加しないように構成してもよい。
このように、第9変形例においては、波形歪みを補正する前に、読取信号RRF(より具体的には、読取サンプル値系列RSC)に対してオフセット値OFSが付加されるため、以下に示す効果を更に享受することができる。以下、図35から図43を参照して、オフセット値OFSを付加することによって得られる効果について、オフセット値OFSの生成動作と共に説明する。
(10−1)アシンメトリ値に基づくオフセット値OFSの付加
まず、図35から図38を参照して、アシンメトリ値に基づくオフセット値OFSの付加について説明する。ここに、図35は、アシンメトリ値を概念的に示す波形図であり、図36は、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSに対するシンボルエラーレートの変化を示すグラフであり、図37は、アシンメトリ値に対する読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値の変化を示すグラフであり、図38は、各ランレングスの記録データの出現確率を示す表である。
図35に示すように、アシンメトリ値は、ランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心に対する、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号の振幅中心のずれを示す。具体的には、ランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心をImaxCntとし、ImaxCntを基準とするランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFのトップ振幅の大きさをImaxHとし、ImaxCntを基準とするランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFのボトム振幅の大きさをImaxLとし、ImaxCntを基準とするランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFのトップ振幅の大きさをIminHとし、ImaxCntを基準とするランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFのボトム振幅の大きさをIminLとすると、アシンメトリ値Asy=((ImaxH+ImaxL)−(IminH+IminL))/(2×(ImaxH−ImaxL))にて示される。尚、ImaxCntは、ランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFのトップ振幅値とボトム振幅値との平均値である。
図36(a)に示すように、光ディスク100の一具体例であるBlu−ray Discにおいてアシンメトリ値が6%の場合には、オフセット値OFSを付加しない場合のシンボルエラーレートと比較して、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSが、0%から5%程度であれば、オフセット値OFSを付加した場合のシンボルエラーレートは改善している。特に、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSが概ね2%程度であるときに、シンボルエラーレートが最も小さくなる。
尚、シンボルエラーレートが最も小さくなるとき、後述する全体β値は9.3%であり、部分β値は10.0%であり、α値は−3.0%であることを付記しておく。
図36(b)に示すように、光ディスク100の一具体例であるBlu−ray Discにおいてアシンメトリ値が8%の場合には、オフセット値OFSを付加しない場合のシンボルエラーレートと比較して、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSが、0%から7%程度であれば、オフセット値OFSを付加した場合のシンボルエラーレートは改善している。特に、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSが概ね3%程度であるときに、シンボルエラーレートが最も小さくなる。
尚、シンボルエラーレートが最も小さくなるとき、後述する全体β値は12.3%であり、部分β値は14.0%であり、α値は−4.4%であることを付記しておく。
図36(c)に示すように、光ディスク100の一具体例であるBlu−ray Discにおいてアシンメトリ値が11%の場合には、オフセット値OFSを付加しない場合のシンボルエラーレートと比較して、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSが、0%から9%程度であれば、オフセット値OFSを付加した場合のシンボルエラーレートは改善している。特に、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSが概ね4%程度であるときに、シンボルエラーレートが最も小さくなる。
尚、シンボルエラーレートが最も小さくなるとき、後述する全体β値は15.0%であり、部分β値は19.0%であり、α値は−5.4%であることを付記しておく。
このように、オフセット値OFSを付加しない場合のシンボルエラーレートと比較して、オフセット値OFSを付加した場合のシンボルエラーレートは改善していることが分かる。特に、アシンメトリと同一極性のオフセット値OFSを付加することで、シンボルエラーレートが改善していることが分かる。
図36(a)から図36(c)において示したシンボルエラーレートが最も小さくなるときの、アシンメトリ値とオフセット値OFSとをプロットしたグラフが、図37に示される。図15に示すように、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、OFS=0.3947×アシンメトリ−0.2895にて示される。
ここで、図38(a)及び図38(b)に示される、各ランレングスの記録データの、ランレングスを考慮しない出現確率に着目してみる。
図38(a)には、光ディスク100の一具体例であるBlu−ray Discにランダムデータを記録した場合の、1ECCブロック中の各ランレングスの記録データの、ランレングスを考慮した出現確率を示している。図38(a)に示すように、1ECCブロック中においては、ランレングスが2Tの記録データの出現確率は約38%であり、ランレングスが3Tの記録データの出現確率は約25%であり、ランレングスが4Tの記録データの出現確率は約16%であり、ランレングスが5Tの記録データの出現確率は約10%であり、ランレングスが6Tの記録データの出現確率は約6%であり、ランレングスが7Tの記録データの出現確率は約3%であり、ランレングスが8Tの記録データの出現確率は約1.6%であり、ランレングスが9Tの記録データの出現確率は約0.35%である。
尚、ここで示す出現確率(図中のT出現確率)は、ランレングスを考慮しない出現確率である。つまり、ランレングスが2Tの記録データと、ランレングスが3Tの記録データと、ランレングスが4Tの記録データと、ランレングスが5Tの記録データと、ランレングスが6Tの記録データと、ランレングスが7Tの記録データと、ランレングスが8Tの記録データと、ランレングスが9Tの記録データとの夫々の、出現確率を算出する際の重み付けは同一である。つまり、あるランレングスの記録データが1つ出現すれば、その出現回数が1回とカウントされる場合の出現確率を示している。
係る出現確率と図37に示すグラフ(或いは、数式)を考慮するに、図37に示すオフセット値を求めるための数式におけるアシンメトリに掛け合わせる係数0.3947と、ランレングスが2Tの記録データの出現確率38%(0.3809)とは、概ね同一の値であるとみなすことができる。このため、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、ランレングスが最も短い記録データの、ランレングスを考慮しない出現確率に、アシンメトリ値を乗じた値で近似することができる。つまり、光ディスク100の一具体例であるBlu−ray Discにおいては、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、0.3809×アシンメトリ値で近似することができる。
また、図38(b)には、光ディスク100の一具体例であるDVDにランダムデータを記録した場合の、1ECCブロック中の各ランレングスの記録データの、ランレングスを考慮しない出現確率を示している。図38(b)に示すように、1ECCブロック中には、ランレングスが3Tの記録データの出現確率は約32%であり、ランレングスが4Tの記録データの出現確率は約24%であり、ランレングスが5Tの記録データの出現確率は約17%であり、ランレングスが6Tの記録データの出現確率は約11.5%であり、ランレングスが7Tの記録データの出現確率は約7%であり、ランレングスが8Tの記録データの出現確率は約4%であり、ランレングスが9Tの記録データの出現確率は約2%であり、ランレングスが10Tの記録データの出現確率は約1.3%であり、ランレングスが11Tの記録データの出現確率は約0.24%であり、ランレングスが14Tの記録データの出現確率は約0.3%である。この場合も、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、ランレングスが最も短い記録データの、ランレングスを考慮しない出現確率に、アシンメトリ値を乗じた値で近似することができる。つまり、つまり、光ディスク100の一具体例であるDVDにおいては、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、0.3184×アシンメトリ値で近似することができる。
もちろん、Blu−ray DiscやDVD以外の光ディスクにおいても同様に、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、ランレングスが最も短い記録データの、ランレングスを考慮しない出現確率×アシンメトリ値で近似することができる。
以上説明したように、オフセット生成回路19−2iは、アシンメトリ値に基づいてオフセット値OFSを生成する。このように、オフセット値OFSを付加することで、再生特性(例えば、シンボルエラーレート)が改善することは、図32及び図33を用いて既に述べた理由と同様の理由から説明できる。具体的には、第9変形例によれば、オフセット値OFSを付加することで、minTの信号波形をシフトさせることができる。その結果、上述したminTスペースの頂点の信号レベルが、全てのTのセンターレベルを下回る又は上回る不都合を好適に防止することができる。その結果、シンボルエラーレートの悪化を好適に防止することができる。
(10−2)全体β値に基づくオフセット値OFSの付加
続いて、図39及び図40を参照して、全体β値に基づくオフセット値OFSの付加について説明する。ここに、図39は、全体β値を概念的に示す波形図であり、図40は、読取信号RRFの振幅で正規化された全体β値に対する読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値の変化を示すグラフである。
図39に示すように、全体β値は、全ての種類のランレングスの記録データ(例えば、光ディスク100がDVDであればランレングス3Tから11T及び14Tの夫々の記録データであり、光ディスク100がBlu−ray Discであればランレングス2Tから9Tの記録データ)に対応する夫々の読取信号RRFの振幅中心の平均位置を示す。具体的には、全ての種類のランレングスの記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心(つまり、全Tセンターレベル)を基準とする(つまり、原点又は基点とする)上側(正側)の最大振幅(トップ振幅)の大きさをA1とし、全ての種類のランレングスの記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心を基準とする下側(負側)の最大振幅(ボトム振幅)の大きさをA2とすると、全体β値=(A1+A2)/(A1−A2)にて示される。
図36(a)から図36(c)において示したシンボルエラーレートが最も小さくなるときの、全体β値とオフセット値OFSとをプロットしたグラフが、図40に示される。図40に示すように、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、OFS=0.3506×全体β値−1.2768にて示される。
ここで、図38に示す出現確率と図40に示すグラフ(或いは、数式)を考慮するに、図40に示すオフセット値を求めるための数式における全体β値に掛け合わせる係数0.3506と、ランレングスが2Tの記録データの出現確率38%(0.3809)とは、概ね同一の値であるとみなすことができる。このため、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、ランレングスが最も短い記録データの出現確率に全体β値を乗じた値で近似することができる。つまり、光ディスク100の一具体例であるBlu−ray Discにおいては、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、0.3809×全体β値で近似することができる。
同様に、光ディスク100の一具体例であるDVDにおいては、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、0.3184×全体β値で近似することができる。
もちろん、Blu−ray DiscやDVD以外の光ディスクにおいても同様に、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、ランレングスが最も短い記録データの、ランレングスを考慮しない出現確率×全体β値で近似することができる。
以上説明したように、オフセット生成回路19−2iは、全体β値に基づいてオフセット値OFSを生成する。このように全体β値に基づいてオフセット値OFSを生成しても、アシンメトリ値に基づいてオフセット値OFSを生成した場合と同様の効果を好適に享受することができる。
(10−3)部分β値に基づくオフセット値OFSの付加
続いて、図41及び図42を参照して、部分β値に基づくオフセット値OFSの付加について説明する。ここに、図41は、部分β値を概念的に示す波形図であり、図42は、読取信号RRFの振幅で正規化された部分β値に対する読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値の変化を示すグラフである。
図41に示すように、部分β値は、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RFの振幅中心と、ランレングスが2番目に短い記録データに対応する読取信号RFの振幅中心とのずれを示す。具体的には、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号の振幅中心をIminCntとし、IminCntを基準とするランレングスが2番目に短い記録データに対応する読取信号RRFのトップ振幅の大きさをImin+1Hとし、IminCntを基準とするランレングスが2番目に短い記録データに対応する読取信号RRFのボトム振幅の大きさをImin+1Lとすると、部分β値=(Imin+1H+Imin+1L)/(Imin+1H−Imin+1L)にて示される。尚、IminCntは、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFのトップ振幅値IminHとボトム振幅値IminLとの平均値である。
図36(a)から図36(c)において示したシンボルエラーレートが最も小さくなるときの、部分β値とオフセット値OFSとをプロットしたグラフが、図42に示される。図42に示すように、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、OFS=0.2213×部分β値−0.1721にて示される。
ここで、図38(a)及び図38(b)に示される、各ランレングスの記録データの、ランレングスを考慮した出現確率に着目してみる。
図38(a)には、光ディスク100の一具体例であるBlu−ray Discにランダムデータを記録した場合の、1ECCブロック中の各ランレングスの記録データの、ランレングスを考慮した出現確率を示している。図38(a)に示すように、1ECCブロック中においては、ランレングスが2Tの記録データの出現確率は約22%であり、ランレングスが3Tの記録データの出現確率は約22%であり、ランレングスが4Tの記録データの出現確率は約19%であり、ランレングスが5Tの記録データの出現確率は約14%であり、ランレングスが6Tの記録データの出現確率は約10%であり、ランレングスが7Tの記録データの出現確率は約6%であり、ランレングスが8Tの記録データの出現確率は約4%であり、ランレングスが9Tの記録データの出現確率は約0.9%である。
尚、ここで示す出現確率(図中のサンプル出現確率)は、ランレングスを考慮した出現確率である。つまり、ランレングスが2Tの記録データと、ランレングスが3Tの記録データと、ランレングスが4Tの記録データと、ランレングスが5Tの記録データと、ランレングスが6Tの記録データと、ランレングスが7Tの記録データと、ランレングスが8Tの記録データと、ランレングスが9Tの記録データとの夫々の、出現確率を算出する際の重み付けは、ランレングスに比例する。つまり、ランレングスがnTの記録データが1つ出現すれば(つまり、サンプリングすることでn個のサンプル値を含む記録データが1つ出現すれば)、その出現回数がn回とカウントされる場合の出現確率を示している。
係る出現確率と図42に示すグラフ(或いは、数式)を考慮するに、図42に示すオフセット値を求めるための数式における部分β値に掛け合わせる係数0.2213と、ランレングスが2Tの記録データの出現確率22%(0.2255)とは、概ね同一の値であるとみなすことができる。このため、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、ランレングスが最も短い記録データの、ランレングスを考慮した出現確率に、部分β値を乗じた値で近似することができる。つまり、光ディスク100の一具体例であるBlu−ray Discにおいては、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、0.2255×部分β値で近似することができる。
また、図38(b)には、光ディスク100の一具体例であるDVDにランダムデータを記録した場合の、1ECCブロック中の各ランレングスの記録データの、ランレングスを考慮した出現確率を示している。図38(b)に示すように、1ECCブロック中には、ランレングスが3Tの記録データの出現確率は約20%であり、ランレングスが4Tの記録データの出現確率は約20%であり、ランレングスが5Tの記録データの出現確率は約18%であり、ランレングスが6Tの記録データの出現確率は約14%であり、ランレングスが7Tの記録データの出現確率は約10%であり、ランレングスが8Tの記録データの出現確率は約7%であり、ランレングスが9Tの記録データの出現確率は約4.5%であり、ランレングスが10Tの記録データの出現確率は約3%であり、ランレングスが11Tの記録データの出現確率は約0.5%であり、ランレングスが14Tの記録データの出現確率は約0.9%である。この場合も、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、ランレングスが最も短い記録データの、ランレングスを考慮した出現確率に、部分β値を乗じた値で近似することができる。つまり、つまり、光ディスク100の一具体例であるDVDにおいては、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、0.2026×部分β値で近似することができる。
もちろん、Blu−ray DiscやDVD以外の光ディスクにおいても同様に、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSは、ランレングスが最も短い記録データの、ランレングスを考慮した出現確率×部分β値で近似することができる。
以上説明したように、オフセット生成回路19−2iは、部分β値に基づいてオフセット値OFSを生成する。このように部分β値に基づいてオフセット値OFSを生成しても、アシンメトリ値に基づいてオフセット値OFSを生成した場合と同様の効果を好適に享受することができる。
(10−4)α値に基づくオフセット値OFSの付加
続いて、図43を参照して、α値に基づくオフセット値OFSの付加について説明する。ここに、図43は、α値を概念的に示す波形図である。
図43に示すように、α値は、全ての種類のランレングスの記録データ(例えば、光ディスク100がDVDであればランレングス3Tから11T及び14Tの夫々の記録データであり、光ディスク100がBlu−ray Discであればランレングス2Tから9Tの記録データ)に対応する夫々の読取信号RRFの振幅中心(つまり、リファレンスレベルであり、本実施例においてはゼロレベル)に対する、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心の乖離率を示す。具体的には、全ての種類のランレングスの記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心(つまり、全Tセンターレベル)を基準とするランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFのトップ振幅の大きさをImaxHとし、全ての種類のランレングスの記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心(つまり、全Tセンターレベル)を基準とするランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFのボトム振幅の大きさをIminLとし、全ての種類のランレングスの記録データに対応する夫々の読取信号RRFの振幅中心に対する、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心のずれ量をΔRefとすると、α値=ΔRef/(ImaxH−ImaxL)にて示される。
この場合、オフセット生成回路19−2iは、α値をオフセット値OFSとして加算器19−1iへ出力する。つまり、オフセット生成回路19−2iは、α値そのものを生成する。このように、このようにα値に基づいてオフセット値OFSを生成しても、アシンメトリ値に基づいてオフセット値OFSを生成した場合と同様の効果を好適に享受することができる。
(11)第10変形例:オフセットの付加及び減算
続いて、図44及び図45を参照して、第10変形例に係る情報再生装置1jについて説明する。ここに、図44は、第10変形例に係る情報再生装置の基本構成を概念的に示すブロック図であり、図45は、オフセット値OFSを加算するのみの場合(つまり、オフセット値OFSを減算しない場合)と、オフセット値OFSを加算及び減算する場合の夫々における、読取信号RRFの振幅で正規化されたオフセット値OFSに対するシンボルエラーレートの変化を示すグラフである。
図44に示すように、第10変形例に係る情報再生装置1jは、スピンドルモータ10と、ピックアップ11と、HPF12と、A/D変換器13と、プリイコライザ14と、リミットイコライザ15と、2値化回路16と、復号回路17と、波形歪み補正回路18と、加算器19−1jと、オフセット生成回路19−2jと、減算器19−3jと、再生特性回路20とを備えている。
尚、図44に示す構成においても、図1や図34に示す構成と同様に、読取信号RRFの再生特性としてSERを用いる場合には、上述の復号回路17は、復号処理に加えてエラー訂正処理を行うことが好ましい。つまり、読取信号RRFの再生特性としてSERを用いる場合には、上述の復号回路17は、復号/訂正回路17となることが好ましい。
加算器19−1jは、プリイコライザ14より出力される読取サンプル値系列RSCに対して、オフセット生成回路において生成されたオフセット値OFSを加算する。オフセット値OFSが付加された読取サンプル値系列RSCは、波形歪み補正回路18へ出力される。
オフセット生成回路19−2jは、オフセット値OFSを生成する。
減算器19−3jは、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMから、オフセット生成回路19−2jにおいて生成されたオフセット値OFSを減算する。オフセット値OFSが減算された歪み補正読取サンプル値系列RSCAMは、リミットイコライザ15へ出力される。
より具体的には、再生動作の際には、オフセット生成回路19−2jの動作により、読取信号RRF(より具体的には、読取サンプル値系列RSC)に対してオフセット値OFSが付加される。この場合、例えば、α値が概ね0でない場合に、オフセット値OFSを付加し、α値が概ね0であれば、オフセット値OFSを付加しないように構成してもよい。或いは、例えばシンボルエラーレートが所定閾値以上である、エラー訂正が不可能である、又は同期データが読取不可能である場合には、オフセット値OFSを付加し、例えば、シンボルエラーレートが所定閾値以上でない、且つエラー訂正が不可能でない、且つ同期データが読取不可能でない場合には、オフセット値OFSを付加しないように構成してもよい。
第10変形例において生成されるオフセット値OFSは、図5(a)から図5(c)に示す波形歪みが生じている場合には、リファレンスレベルと、波形歪みが生じている長マークの信号レベルの最大値との差(つまり、波形歪み量D’)未満であることが好ましい。より好ましくは、リファレンスレベルと、波形歪みが生じている長マークの信号レベルの最大値との差(つまり、波形歪み量D’)の1/2であることが好ましい。つまり、波形歪みがリファレンスレベルに近づくオフセットが生成される。
第10変形例において生成されるオフセット値OFSは、図6(a)から図6(c)に示す波形歪みが生じている場合には、リファレンスレベルと、波形歪みが生じている長マークの信号レベルの最小値との差(つまり、波形歪み量−D’)未満であることが好ましい。より好ましくは、リファレンスレベルと、波形歪みが生じている長マークの信号レベルの最小値との差(つまり、波形歪み量−D’)の1/2であることが好ましい。つまり、波形歪みがリファレンスレベルに近づくオフセットが生成される。
そして、波形歪みが補正された後、このオフセット値OFSが、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMから減算される。つまり、波形歪みを補正する前に付加されたオフセット値OFSと同一のオフセット値OFSが、歪み補正読取サンプル値系列RSCAMから減算される。
このように、第10変形例においては、波形歪みを補正する前に、読取信号RRF(より具体的には、読取サンプル値系列RSC)に対してオフセット値OFSが付加され、波形歪みが補正された後に、付加されたオフセット値OFSが減算されるため、図45を参照して以下に説明する効果を更に享受することができる。
図45に示すように、オフセット値OFSを付加のみした場合におけるシンボルエラーレートが改善するオフセット値OFSの範囲と比較して、オフセット値OFSを付加及び減算した場合におけるシンボルエラーレートが改善するオフセット値OFSの範囲が広がっていることが分かる。つまり、オフセット値OFSを付加及び減算することで、シンボルエラーレートを好適に改善することができるオフセット値OFSの範囲を広げることができる。
更に、波形歪みを補正した後に同一のオフセット値OFSを減算するため、オフセット値OFSを比較的容易に生成することができるという効果をも享受することができる。
尚、上述の実施例では、波形歪みを補正する前に付加するオフセット値OFSと、波形歪みを補正した後に減算するオフセット値OFSとは同一である。しかしながら、波形歪みを補正する前に付加するオフセット値OFSと、波形歪みを補正した後に減算するオフセット値OFSとは、必ずしも同一でなくともよい。この場合、波形歪みを補正する前に付加するオフセット値OFSは、波形歪みを補正した後に減算するオフセット値OFSよりも、図39を参照して説明した全体β値にランレングス長を考慮しないminTの出現確率を乗じた値に相当する大きさ(或いは、図35を参照して説明したアシンメトリにランレングス長を考慮しないminTの出現確率を乗じた値に相当する大きさ、図41を参照して説明した部分β値にランレングス長を考慮したminTの出現確率を乗じた値に相当する大きさ、又は図43を参照して説明したα値に相当する大きさ)だけ大きいことが好ましい。
このように、波形歪みを補正する前に付加するオフセット値OFSを、波形歪みを補正した後に減算するオフセット値OFSよりも、アシンメトリ値や全体β値や部分β値に応じて定まる値に相当する大きさだけ大きくすることで、波形歪みを補正した後の歪み補正読取サンプル値系列RSCAMに上述したアシンメトリ値や全体β値や部分β値に応じて定まるに相当する大きさのオフセット成分を残すことができる。これにより、波形歪みが補正された後の歪み補正読取サンプル値系列RSCAMにおいて、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心を、リファレンスレベルに合わせることができる。
尚、波形歪みは、一般的には、光ディスク100の記録面上に形成されるマークの形状や長さ等のばらつきに起因して発生する。従って、例えばDVD−R/RWや、DVD+R/RWや、DVD−RAMや、BD−R/RE等の記録型の光ディスク100において、波形歪みが発生しやすい。しかしながら、例えばDVD−ROMや、BD−ROM等の再生専用型の光ディスク100においても、図46に示すように、相対的に長いマークから構成される同期データがトラッキング方向において隣接している場合には、波形歪みが生ずる。このような再生専用型の光ディスク100において発生する波形歪みに対しても、上述した情報再生装置1によれば、好適に補正することができることは言うまでもない。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。