JP6075379B2 - 情報再生装置及び情報再生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された情報記録媒体に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、前記光学レーザスポットからの反射光に基づいて前記データを再生する情報再生装置及び情報再生方法を提供するものである。
現在、映像又はデータなどを保存する情報記録媒体として、DVD又はBlu−ray(登録商標) Disc(以下、BDとする)などの多くの種類の光ディスクが使用されている。これらの光ディスクは、ハードディスク装置(以下、HDDとする)又は磁気テープに比べると保存信頼性が高い。そのため、光ディスクの用途は、従来の映像又は音声などのAV(Audio Video)データを記録する用途からデータを長期間保存する用途へ拡大されつつある。
しかしながら、光ディスクの体積あたりに保存できるデータの容量は、HDD又は磁気テープに比べると1/3程度しかない。そのため、保存時のスペース効率の観点から、光ディスクのコストを上げずに、体積あたりに保存できるデータの容量を向上させる技術開発が求められており、精力的に研究開発が続けられている。最近では、BDの中でもBDXL(1層あたり約33.4GBの記録密度)が最も体積記録密度の高い光ディスクとして発売されている。
これらの光ディスクは、50年以上の保存信頼性があり、データの長期保存の観点では、HDDの5年程度の寿命に比べると、10倍以上の保存信頼性がある。そのため、長期保存用のデータをHDDから光ディスクへ移動させることで、長期の保存信頼性と保存コストの削減とを両立させることが可能となる。特に、データ保管時に電力を消費するHDDに比べて、データ保管時に電力を必要としない光ディスクは、グリーンストレージとして二酸化炭素の排出量を削減できると共に、近年大きな問題となっているデータセンターの消費電力を削減することにもつながる。
しかしながら、光ディスクの中でも最も記録密度の高いBDXLでも、体積あたりに保存できるデータの容量は、HDDの1/3程度である。そのため、データ保管時における光ディスクの保管スペースは、HDDに比べると多く必要となり、特にデータセンターのような保管スペースに対するコスト要求が高い用途では、光ディスクの体積あたりの記録密度を向上させることが求められている。
光ディスクの体積あたりの記録密度を向上させるための技術としては、トラックの記録密度を向上させることができるランド(溝間)−グルーブ(溝)記録再生技術がある。これは、DVD−RAMで用いられている技術であり、従来、グルーブ又はランドのみに記録されていたデータを、グルーブとランドとの両方に記録することでトラックの記録密度を向上させる。
通常、光ディスクのトラックの記録密度を向上させると、光ビームがトラックであるグルーブをトレース制御するために必要なグルーブからの回折光が小さくなり、トラックを光ビームがトレースできなくなる。光ディスクに照射される光ビームの波長をλとし、光ビームを形成するレンズの開口数をNAとすると、グルーブ又はランドの間隔Lが、λ/NA×0.6より小さくなると、グルーブからの回折光が検出できなくなり、トラックをトレースするための制御が不可能となる。開口数NAが0.6であり、光ビームの波長λが650nmであるDVDでは、回折光を検出可能なトラック間隔Lの限界は650nmとなる。DVD−RAMでは、ランドとグルーブとの両方にデータを記録することで、615nmのトラックピッチを実現してトラック密度を向上させている(例えば、特許文献1参照)。
このようなランドとグルーブとの両方にデータを記録する光ディスクでは、特にデータを記録する位置にアクセスするために、光ディスク上に記録されたアドレスに関して、特別な工夫が必要となる。これは、ランドとグルーブとの両方にデータを記録するために、高密度にアドレスを配置する必要があるためである。従来のアドレス配置技術としては、DVD−RAMで用いられているCAPA(Complementary Allocated Pit Address)(例えば、特許文献2参照)、又は片側の溝壁だけをウォブリングさせてアドレス情報を記録する技術がある。
また、BDで用いられている、グルーブのみを記録トラックとして用いる方式がある(例えば、特許文献3参照)。ここで、図31を使って、BDにおけるトラックのウォブリングによるアドレス構造と記録データ構造との関係について簡単に説明する。図31は、従来の別の光ディスクのフォーマットについて説明するための図である。
図31において、記録トラック1502は、光ディスク1501上にグルーブによって形成される。データ記録領域1503には、データが記録され、アドレス情報領域1504,1505,1506には、データ記録領域1503にアクセスするためのアドレス情報が記録される。アドレス情報は、記録データと同じ領域に配置され、記録データは、アドレス情報に重畳して記録される。1つの記録データは、3個のアドレス情報AD1(Z05)、AD2(Z06)及びAD3(Z07)で構成された領域に記録され、3個のアドレス情報で構成された領域がデータの記録単位であるデータ記録領域1503となる。3個のアドレス情報で構成されたデータ記録領域1503の長さの整数倍は、トラックの円周の長さと一致しない。そのため、図31に示すように、隣接する記録トラック間で、データ記録領域1503の円周上の位置は、光ディスクの1周毎にずれながら配置される。
記録トラック1502には、一定周期でウォブリングさせたグルーブの波形を部分的に変化させることでアドレス情報AD1,AD2,AD3の1ビットが記録されている。図31の下部に拡大して示す領域1507が、アドレスビットに相当する部分で、MSK(Minimum Shift Keying)と呼ばれる変調が施されている。また、図31の下部に示すように、ウォブル周期の整数倍と記録トラックの1周の長さとが一致しないために、隣接する記録トラック間でウォブルの位相は一定量ずつ変化する。
このように構成された光ディスクにおいて、アドレス情報AD1,AD2,AD3を基準に、データを記録するトラックの位置を特定して、データの記録を開始したり、データが記録されたトラックの位置を特定して、データの再生を開始したりする。
図32を使って、図31に示す光ディスクに対して、データの記録及び再生を実現する情報記録再生装置の構成例を説明する。図32は、従来の情報記録再生装置の構成を示す図である。
図32において、光ディスク101は、図31に示すようなウォブリングしたトラックを有している。トラック上には情報が記録されている。光ヘッド103は、光ディスク101に光ビームを照射し、光ディスク101からの反射光の光量に応じた電気信号を出力する。光ヘッド103の光検出器は、ウォブル信号、データ信号及びサーボエラー信号を生成する。光検出器については、後述する。スピンドルモータ102は、光ディスク101を回転させる。サーボ制御器104は、サーボエラー信号に基づいて、光ヘッド103が光ディスク101のトラックに光ビームを照射する位置と、スピンドルモータ102の回転数とを制御する。
アナログ処理部105は、光ヘッド103からのデータ信号に対して、所定のDC変動を抑制するHPF(High Pass Filter)処理、データ再生に不要な高域ノイズを除去するLPF(Low Pass Filter)処理、データ信号の振幅変動を抑制するAGC(Automatic Gain Control)処理、データPLL(Phase Locked Loop)回路106から供給されるクロック信号を用いて、アナログ信号をディジタル信号に変換するAD変換処理を行う。データPLL回路106は、アナログ処理部105で処理されたデータ信号から、再生信号に同期したクロック信号を生成する。
適応等化フィルタ107は、例えば、FIR(有限長インパルス応答)型フィルタで構成され、アナログ処理部105で処理されたデータ信号が所望のPR(パーシャルレスポンス)特性となるように、フィルタの係数を適応的に更新する。データ復号器108は、適応等化フィルタ107の出力を2値ディジタルデータに復号する。ここでは図示されていないが、データ復号器108による復号結果に対して復調処理及びエラー訂正処理が行われることにより、記録されたデータが再生される。PR方式は、記録符号と記録線密度とによって、最適な方式を選択すればよい。PR方式には、例えば、PR1221方式又はPR12221方式がある。
PR等化誤差検出器109は、データ復号器108によって復号された2値ディジタルデータから生成される所望のPR期待値波形と、適応等化フィルタ107の出力波形との差分からPR等化誤差信号を生成する。適応等化フィルタ107は、PR等化誤差検出器109によって生成されるPR等化誤差信号が小さくなるようにフィルタの係数を変更する。
アナログ処理部111は、光ヘッド103からのウォブル信号に対して、所定のDC変動を抑制するHPF処理、ウォブル信号の再生に不要な高域ノイズを除去するLPF処理、ウォブル信号の振幅変動を抑制するAGC処理、ウォブルPLL回路113から供給されるクロック信号を用いてアナログ信号をディジタル信号に変換するAD変換処理を行う。バンドパスフィルタ(BPF)112は、ウォブル信号から所定の周波数帯域の信号を抽出する。ウォブルPLL回路113は、BPF112によって処理されたウォブル信号から、ウォブル信号に同期したクロック信号を生成する。アドレス復調器114は、ウォブルPLL回路113によって生成されたクロック信号を基準にサンプリングされたウォブル信号からアドレス情報を復調する。
システムコントローラ115は、各ブロックの全体制御を行うとともに、ホストとの通信を制御する。記録データ変調器116は、ユーザデータを光ディスク101に記録できる記録データパターンに変調する。レーザ駆動器117は、記録データ変調器116によって変調された記録データパターンを、光ディスク101上に正確にマークを形成するための光パルスに変換して光ヘッド103へ出力する。光ヘッド103のレーザ光源は、光パルスに応じたレーザ光を照射する。ホストインターフェース(I/F)118は、ホストとの記録データ及び再生データの受け渡しを行う。
図33及び図34を用いて、図32に示す光ヘッド103に組み込まれた光検出器で生成されるデータ信号とウォブル信号とについて説明する。
図33は、レーザ照射スポットが、記録トラックを走査する様子を示す図である。図33では、3つの記録トラック1701,1702,1703上に記録マーク1704及びスペース1705が形成されており、レーザ照射スポット1706が、真ん中の記録トラック1702上で、矢印の方向に走査している。
図34は、記録データを再生するための従来の光検出器1800の構成を示す図である。光検出器1800は、4分割された受光部1801,1802,1803,1804と、受光部1801,1802,1803,1804からの出力信号を増幅する増幅器1805,1806,1807,1808と、増幅器1805,1806,1807,1808から出力されたA信号、B信号、C信号及びD信号を全て加算する加算器1809とを備える。加算器1809からの出力に基づいて再生データ信号が生成される。
一方、図示していないが、トラックのウォブリングデータの再生信号であるウォブル信号は、光検出器1800の受光部1801,1802,1803,1804において、トラック走査方向に対する左右のバランス信号として検出される。そのため、ウォブル信号は、4つの増幅器1805,1806,1807,1808から出力されたA信号、B信号、C信号及びD信号を全て加算するのではなく、増幅器1805からのA信号と増幅器1806からのB信号とを加算した値から、増幅器1807からのC信号と増幅器1808からのD信号とを減算することで検出される。図33に示すような記録トラックに、レーザ光を照射させ、図示した矢印方向にレーザ光を走査させ、図34に示すような光検出器で、反射光を受光することで、データ信号とウォブル信号とが再生される。
次に、図32を使って、図31に示す光ディスクに対してデータを記録する情報記録再生装置の記録動作例を説明する。ホストI/F118は、ホストから、記録要求と記録データと論理的なアドレスとを受け取る。システムコントローラ115は、情報記録再生装置の記録動作を開始する。システムコントローラ115は、論理的なアドレスを光ディスク101上の物理的なアドレスに変換し、スピンドルモータ102とサーボ制御器104とを制御して、光ヘッド103を指定アドレス付近に移動させる。アドレス復調器114は、指定アドレス付近の物理アドレス情報をウォブル信号から復調する。システムコントローラ115は、アドレス復調器114によって復調された物理アドレス情報に基づいて、光ヘッド103の位置を確認する。
システムコントローラ115は、復調された物理アドレスと、指定アドレスとの差分を計算し、トラックジャンプによって、光ヘッド103を移動させる。システムコントローラ115は、指定アドレスから記録を開始することができるように、指定アドレスの少し前のアドレスにトラックジャンプさせ、そのまま指定アドレスまで、光ヘッド103をトラックに沿って移動させ、指定アドレスから記録を開始させる。システムコントローラ115は、記録データ変調器116にホストからの記録データを変調させ、最適な記録パワーと記録パルス情報とをレーザ駆動器117に設定し、指定アドレス位置からレーザを発光させて記録を開始し、指定の記録データの記録を実行する。
次に、図32を使って、図31に示す光ディスクに対してデータを再生する情報記録再生装置の再生動作例を説明する。ホストI/F118は、ホストから、再生要求と論理的なアドレスとを受け取る。システムコントローラ115は、情報記録再生装置の再生動作を開始する。システムコントローラ115は、論理的なアドレスを光ディスク101上の物理的なアドレスに変換し、スピンドルモータ102とサーボ制御器104とを制御して、光ヘッド103を指定アドレス付近に移動させる。アドレス復調器114は、指定アドレス付近の物理アドレス情報をウォブル信号から復調する。システムコントローラ115は、アドレス復調器114によって復調された物理アドレス情報に基づいて、光ヘッド103の位置を確認する。このとき、記録されたデータに重畳されたアドレス情報が、データ復号器108によって再生された場合、データ復号器108によって再生されたアドレス情報を基準としてもよい。
システムコントローラ115は、復調された物理アドレスと、指定アドレスとの差分を計算し、トラックジャンプによって、光ヘッド103を移動させる。システムコントローラ115は、指定アドレスから再生を開始することができるように、指定アドレスの少し前のアドレスにトラックジャンプさせ、そのまま指定アドレスまで、光ヘッド103をトラックに沿って移動させ、指定アドレスから再生を開始させる。システムコントローラ115は、データ信号をアナログ処理部105、適応等化フィルタ107及びデータ復号器108で処理し、記録データを再生し、再生データをホストI/F118を介して、ホストに転送する。
一方、再生時の読み取りレーザ光のビームスポット径が十分に小さくない場合、上記のように、体積あたりの記録密度を向上させるためにトラック間隔を小さくすると、隣接するトラックからの信号の漏れこみ(クロストーク)が大きくなり、記録された信号を再生する場合、再生品質が劣化するという課題がある。
この課題を解決するために、例えば、特許文献4では、CAV(Constant Angular Velocity)方式において、メモリ又は遅延素子を用いて、光ディスクのラジアル方向で同期させた3本のトラックの再生信号(即ち、再生トラックの再生信号と、再生トラックに隣接するトラックの再生信号)に適当な係数をかけ、加算することで、トラック間のクロストークを削減する技術が示されている。
また、特許文献5では、光検出器の受光領域は、記録トラック上を光スポットが走査する方向に対して3分割されている。光スポットが照射される記録トラックからの反射光は、メイン受光領域によって受光され、記録トラックに隣接するトラックからの反射光は、2つのサブ受光領域によって受光される。そして、信号処理部によって、メイン受光領域からの出力信号は、サブ受光領域からの出力信号と相関しないように波形等化される。この結果、メイン受光領域からの出力信号は、サブ受光領域からの出力信号によって干渉されることがないので、クロストークの影響を除去することができる。
また、特許文献6では、データ検出装置は、クロストークキャンセル信号処理((1)チャネルクロック精度での隣接トラックの再生信号の同期化と(2)隣接トラックからメイン再生トラックへのクロストークの周波数特性の再現)を行うために、複数の適応イコライザユニットを有している。記録媒体から読み出される再生情報信号として、データ検出対象としている対象トラックからの再生情報信号と、該再生情報信号に対してクロストーク成分となる上記対象トラックに近接する近接トラックからの再生情報信号とのそれぞれが、上記適応イコライザユニットのそれぞれに入力される。
データ検出装置は、各適応イコライザユニットの出力を演算して等化信号として出力する多入力適応イコライザ部と、多入力適応イコライザ部から出力される等化信号について2値化処理を行って2値データを得る2値化部と、2値化部の2値検出結果に基づいて得られる等化目標信号と、多入力適応イコライザ部から出力される等化信号とから等化誤差を求め、該等化誤差を、各適応イコライザユニットに適応等化のためのタップ係数制御信号として供給する等化誤差演算部とを備える。
また、データ検出装置は、記録媒体から読み出される再生情報信号を記憶するメモリ部を備える。メモリコントローラは、各時点で、メモリ部から、対象トラックからの再生情報信号と、近接トラックからの再生情報信号とを読み出して、複数の適応イコライザユニットのそれぞれに供給する。また、データ検出装置は、メモリ部から読み出されて複数の適応イコライザユニットに入力される各再生情報信号の位相差を検出し、検出した位相差に基づいて、メモリ部からの各再生情報信号の読み出しタイミングの補正のための補正信号を出力する位相差検出部をさらに備える。
また、多入力適応イコライザ部は、3つの適応イコライザユニットを有している。3つの各適応イコライザユニットには、対象トラックからの再生情報信号と、対象トラックの一方側に隣接する近接トラックからの再生情報信号と、対象トラックの他方側に隣接する近接トラックからの再生情報信号とが、それぞれ入力される。また、多入力適応イコライザ部は、対象トラックからの再生情報信号についてパーシャルレスポンス等化処理を行う。2値化部は、多入力適応イコライザ部の等化信号についての2値化処理として最尤復号処理を行う。等化誤差演算部は、最尤復号による2値検出結果の畳込処理で得られる等化目標信号と、多入力適応イコライザ部から出力される等化信号とを用いた演算により等化誤差を求める。
記録容量を向上させるために、トラックピッチを狭くすると、隣接トラックからのクロストークにより対象トラック再生時の再生信号が劣化する。再生信号は、記録された情報を再生した再生信号(RF信号)と、トラックを所定方式でウォブリングさせて、アドレス情報として付加されたアドレス信号とを含む。
RF信号に対するクロストーク課題を解決するために、クロストークキャンセル信号処理が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5及び特許文献6参照)。クロストークキャンセル信号処理における性能改善のポイントは、(1)チャネルクロック精度での隣接トラックの再生信号の同期化と、(2)隣接トラックからメイン再生トラックへ影響するクロストークの周波数特性の再現とを考慮したキャンセル処理である。これは、隣接トラックからのクロストーク量が、記録マーク長によって異なるため、単純な引き算処理では、十分な性能改善が得られないためである。
特許文献4で提案されているクロストークキャンセル信号処理は、CAV記録方式を前提としているため、上記(1)の隣接トラックの再生信号の同期化の実現は比較的容易に実現できると考えられるが、この記録方式では、記録容量を向上させることはできない。
特許文献5で提案されているクロストークキャンセル信号処理は、記録トラック上を光スポットが走査する方向に対して、受光領域が3分割された光検出器を用いるため、対象トラックに記録された再生信号と隣接トラックからのクロストーク信号とを同時に検出できる。そのため、特許文献5では、上記(1)の隣接トラックの再生信号の同期化の課題は、発生しない。一方、特許文献5では、上記(2)に対する考慮がされていないため、十分なクロストークキャンセル効果が得られないことがある。
特許文献6で提案されているクロストークキャンセル信号処理は、(1)チャネルクロック精度での隣接トラックの再生信号の同期化と、(2)隣接トラックからメイン再生トラックへ影響するクロストークの周波数特性の再現とを考慮したキャンセル処理である。上記(1)の隣接トラックの再生信号の同期化を行うために、特許文献6では、所定のタイミングで隣接トラックの再生信号がメモリに保持される。このような構成のため、特許文献6には、大きく以下の4つの課題がある。
課題1:隣接トラックの影響を除去するために、再生トラックの再生信号と、隣接トラックの再生信号とが必要である。そのため、最初の読み出し時に、隣接トラックの再生信号がメモリに保持されるまでは、クロストークキャンセル処理が実施できず、再生性能が悪化したままになっている。すなわち、特許文献6では、常にクロストークキャンセル信号処理の効果を得ることができない。
課題2:隣接トラックの再生信号をメモリに確保する必要があるため、光ディスクの外周側ほど大量の情報をメモリに確保する必要があり、回路規模の増大に繋がっている。
課題3:RAMディスクのような、ランドとグルーブとの両方にデータを記録する光ディスクで、ランドとグルーブとの中間部にCAPAアドレスを持つことにより、シングルスパイラルの構成を持つ光ディスクではなく、ランドとグルーブとの両方にデータを記録する光ディスクでダブルスパイラルの構成を持つ光ディスクの場合は、隣接するトラックの情報を得るためには、トラックジャンプするか、もしくは、複数の光ピックアップを備える構成が必要である。隣接するトラックの情報を得るために、アクセスする毎に、トラックジャンプする場合は、システムの転送レートが向上しないという新たな課題が発生する。また、複数の光ピックアップを備える構成では、システムのコストアップとなる。
課題4:トラックピッチが狭くなると、RF信号へのクロストーク量の増大だけでなく、トラックを所定方式でウォブリングさせてアドレス情報として付加されたアドレス信号も劣化する。アドレス信号が劣化すると、光ディスクの位置を特定するアドレスの取得が困難となり、光ディスクのアクセス性能が低下し、最悪の場合、光ディスクへの記録又は再生ができなくなる。アドレス情報が、クロストークにより劣化した場合、記録又は再生する位置を特定することが困難となる。記録済み光ディスクからデータを再生する場合、記録されているデータにアドレス情報が重畳されるため、RF信号から再生位置を特定すればよい。しかしながら、未記録光ディスクへデータを記録する場合、RF信号が記録されていないため、アドレス信号の再生は非常に重要である。特に、隣接するトラックが記録済み領域である場合に、記録する位置を特定することが困難となる。特許文献4、5、6では、アドレス信号のクロストークキャンセル信号処理に関しては、記載されていない。
特許第3059026号明細書 特許第3560410号明細書 特許第4534387号明細書 特許第3225611号明細書 特許第2710709号明細書 特開2012−79385号公報
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、再生性能を向上させることができる情報再生装置及び情報再生方法を提供することを目的とするものである。
本発明の一局面に係る情報再生装置は、隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された情報記録媒体に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、前記光学レーザスポットからの反射光に基づいて前記データを再生する情報再生装置であって、前記記録トラックの中心部の反射光を受光する第1の受光部と、前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向に隣接する部分の反射光を受光する第2の受光部とに、記録トラック走査方向に平行な分割線により分割された光学検出器と、前記第1の受光部からの出力信号を波形等化する第1の適応等化フィルタと、前記第2の受光部からの出力信号を波形等化する第2の適応等化フィルタと、前記第1の適応等化フィルタからの出力波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形とに基づいて再生データを復号するデータ復号器と、を備える。
本発明によれば、一つの光学レーザスポットから、光学レーザスポットの中心が走査する自トラックの信号成分と、自トラックに隣接するトラックからのクロストーク成分とが検出され、大規模な回路を実装することなく、所定の周波数を有するクロストーク成分を除去しつつ、所望のPR特性に等化することができるので、再生データのエラーレートを低減させることができ、再生性能を向上させることができる。
本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
本発明の実施形態1における情報記録再生装置の構成を示す図である。 本発明の実施形態1における再生データ検出用光学検出器の構成を示す図である。 本発明の実施形態1におけるウォブル検出用光学検出器の構成を示す図である。 本発明の実施形態1における適応等化フィルタの構成を示す図である。 隣接トラックからのクロストーク量を示す図である。 A+D信号を処理した適応等化フィルタのタップ係数と、B+C信号を処理した適応等化フィルタのタップ係数とを示す図である。 図6のタップ係数の周波数特性を示した図である。 本発明の実施形態2における情報記録再生装置の構成を示す図である。 本発明の実施形態2における適応等化フィルタのタップ係数と係数値との関係を示す図である。 本発明の実施形態3における情報記録再生装置の構成を示す図である。 本発明の実施形態3における光学ヘッドの光学検出器の構成を示す図である。 本発明の実施形態3の第1の変形例における光検出器の構成を示す図である。 本発明の実施形態3の第1の変形例における情報記録再生装置の構成を示す図である。 トラック走査方向に平行な分割線により3分割された光学検出器と、レーザ光の光強度分布と、3つのトラックの記録信号との関係を示す図である。 本発明の実施の形態3の第2の変形例における光検出器の構成を示す図である。 本発明の実施形態3の第2の変形例における情報記録再生装置の構成を示す図である。 (A)は、レンズシフトが発生していない場合の3分割受光部と4分割受光部とを示す図であり、(B)は、所定量のレンズシフトが発生した場合の3分割受光部と4分割受光部とを示す図である。 光ヘッドが記録トラックにレーザ光を照射した場合において、記録トラックから反射光を受光する光学検出器の3つの受光部と、3つのトラックとを模式的に示す図である。 信号SのMij特性を示す図である。 信号SのMij特性を示す図である。 信号SのMij特性を示す図である。 ij特性とトラック信号とを畳み込み演算した波形と、信号Sの光学シミュレーション波形とを比較した図である。 ij特性とトラック信号とを畳み込み演算した波形と、信号Sの光学シミュレーション波形とを比較した図である。 ij特性とトラック信号とを畳み込み演算した波形と、信号Sの光学シミュレーション波形とを比較した図である。 本発明の実施形態4における情報記録再生装置の構成を示す図である。 本発明の実施形態4におけるウォブル信号の周波数特性を示す図である。 本発明の実施形態5における情報記録再生装置の構成を示す図である。 本発明の実施形態5における情報記録媒体の構成を示す図である。 本発明の実施形態5におけるアドレス情報のデータ配置構造を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態5において、複数のアドレスユニットビットで構成されたアドレス情報の構造を示す図である。 従来の別の光ディスクのフォーマットについて説明するための図である。 従来の情報記録再生装置の構成を示す図である。 レーザ照射スポットが、記録トラックを走査する様子を示す図である。 記録データを再生するための従来の光学検出器の構成を示す図である。
以下本発明の実施の形態における情報記録媒体に情報を記録又は再生する装置について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素については同じ符号を用いて、説明の繰り返しは省略する。また、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における情報記録再生装置の構成を示す図である。図2は、本発明の実施形態1における再生データ検出用光学検出器の構成を示す図である。図3は、本発明の実施形態1におけるウォブル検出用光学検出器の構成を示す図である。
情報記録再生装置は、隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された光ディスク101に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、光学レーザスポットからの反射光に基づいてデータを再生する。
図1に示す情報記録再生装置は、スピンドルモータ102、光ヘッド103、サーボ制御器104、アナログ処理部105、データPLL回路106、適応等化フィルタ107、データ復号器108、PR等化誤差検出器109、アナログ処理部111、BPF112、ウォブルPLL回路113、アドレス復調器114、システムコントローラ115、記録データ変調器116、レーザ駆動器117、ホストI/F118、アナログ処理部119、適応等化フィルタ120及び加算器121を備える。
まず、図32に示す従来の情報記録再生装置との差分を説明する。本実施の形態1における光ヘッド103が備える再生データ検出用光学検出器200A及びウォブル検出用光学検出器200Bは、図2及び図3に示すような構成である。図34で説明した光学検出器とは異なり、レーザ光を受光する受光部が、トラック走査方向に平行な分割線により分割されている。トラック走査方向は、光ディスク101の半径方向に垂直な方向である。
まず、図2を用いて、再生データ検出用光学検出器200Aについて説明する。図2では、再生データ検出用光学検出器200Aは、トラック走査方向に平行な分割線により分割された4つの受光部201,202,203,204を備えており、情報記録媒体から反射された光スポット211が図2の点線のように照射される。4つの受光部201,202,203,204の幅(トラック走査方向に垂直な方向の長さ)は、クロストークキャンセルの効果、再生信号のノイズ及び周波数特性劣化などを考慮して、最適な設計値を選択すればよい。例えば、受光部201,202,203,204の幅は、2:1:1:2の比で分割されてもよい。
受光部202,203は、記録トラックの中心部の反射光を受光する。受光部201,204は、中心部に対して光ディスク101の半径方向に隣接する部分の反射光を受光する。
さらに、4つの受光部201,202,203,204から出力された信号は、ぞれぞれ、増幅器205,207,208,206で増幅される。さらに、増幅器205,206から出力された信号が加算器209で加算され、増幅器207,208から出力された信号が加算器210で加算される。図2では、増幅器205,206,207,208から出力された信号がそれぞれ、A信号、D信号、B信号及びC信号として定義され、加算器209の出力はA+D信号となり、加算器210の出力はB+C信号となる。B+C信号は、再生レーザスポットの中央付近の領域の再生信号であり、A+D信号は、再生レーザスポットの端付近の領域の再生信号である。4つの増幅器205,206,207,208の増幅量は、それぞれ最適な設計値を選択すればよい。例えば、増幅器205,206,207,208の増幅量は、6:1:1:6の比に設定されてもよい。
次に、図3を用いて、ウォブル検出用光学検出器200Bについて説明する。図3における受光部201,202,203,204は、再生データ用検出器と共用されるため、図2と同じ構成である。4つの受光部201,202,203,204で検出された信号は、ぞれぞれ、増幅器212,214,215,213で増幅される。増幅器212,213,214,215から出力された信号がそれぞれ、A’信号、D’信号、B’信号及びC’信号として定義される。4つの増幅器212,213,214,215の増幅量は、それぞれ最適な設計値を選択すればよい。例えば、増幅器212,213,214,215の増幅量は、2:1:1:2の比に設定されてもよい。
図1において、A+D信号及びB+C信号が、光ヘッド103から出力され、ぞれぞれ、アナログ処理部119及びアナログ処理部105に入力される。同様に、A’信号、B’信号、C’信号及びD’信号が、光ヘッド103から出力され、アナログ処理部111に入力される。アナログ処理部111は、A’信号とB’信号とを加算した値から、C’信号とD’信号とを減算することにより(A’+B’−C’−D’)、ウォブル信号を検出する。
アナログ処理部105は、光ヘッド103からのB+C信号に対して、所定のDC変動を抑制するHPF処理、データ再生に不要な高域ノイズを除去するLPF処理、データ信号の振幅変動を抑制するAGC処理、及びデータPLL回路106から供給されるクロック信号を用いてアナログ信号をディジタル信号に変換するADC処理を行う。
アナログ処理部119は、光ヘッド103からのA+D信号に対して、所定のDC変動を抑制するHPF処理、データ再生に不要な高域ノイズを除去するLPF処理、データ信号の振幅変動を抑制するAGC処理、及びデータPLL回路106から供給されるクロック信号を用いてアナログ信号をディジタル信号に変換するADC処理を行う。
データPLL回路106は、アナログ処理部105で処理されたデータ信号及びアナログ処理部119で処理されたデータ信号から、再生信号に同期したクロック信号を生成する。
適応等化フィルタ107は、受光部202,203からの出力信号を波形等化する。適応等化フィルタ107は、例えばFIR(有限長インパルス応答)型フィルタを含む。適応等化フィルタ107には、アナログ処理部105で処理されたデータ信号が入力される。適応等化フィルタ107は、適応等化フィルタ107において処理されたデータ信号と、アナログ処理部119及び適応等化フィルタ120において処理されたデータ信号との加算結果が所望のPR(パーシャルレスポンス)特性となるように、フィルタの係数を適応的に更新する。
図4は、本発明の実施形態1における適応等化フィルタ107の構成を示す図である。図4に示す適応等化フィルタ107は、7タップのFIR型フィルタ401と、係数更新部402とを備える。入力Xは、アナログ処理部105からの出力信号であり、入力Yは、PR等化誤差検出器109からの出力信号である。FIR型フィルタ401は、6つの遅延素子4011〜4016と、7つの乗算器4017〜4023と、加算器4024とを備える。6つの遅延素子4011〜4016は、例えば、入力された信号をデータチャネル間隔で遅延する。遅延素子4011〜4016の遅延量は、所望のフィルタ特性を実現するように選択すればよい。
係数更新部402は、例えば、LMS(The least−mean−square)アルゴリズムによって、PR等化誤差検出器109からの出力が小さくなるように、係数を演算及び更新する。7つの乗算器4017〜4023は、係数更新部402によって更新された7つ係数と、入力Xを6つの遅延素子4011〜4016で遅延させた7つの信号とをそれぞれ乗算する。そして、加算器4024は、乗算器4017〜4023の7つの乗算結果を加算して、適応フィルタ出力Zとして出力する。
適応等化フィルタ120は、受光部201,204からの出力信号を波形等化する。適応等化フィルタ120は、例えばFIR型フィルタを含む。適応等化フィルタ120には、アナログ処理部119で処理されたデータ信号が入力される。適応等化フィルタ120は、適応等化フィルタ120において処理されたデータ信号と、アナログ処理部105及び適応等化フィルタ107において処理されたデータ信号との加算結果が所望のPR(パーシャルレスポンス)特性となるように、フィルタの係数を適応的に更新する。
適応等化フィルタ120の構成は、図4に示す適応等化フィルタ107の構成と同様である。但し、適応等化フィルタ107及び適応等化フィルタ120のそれぞれにおいて、図4におけるFIR型フィルタ401の最適なタップ数及び係数更新部402の最適な係数更新応答特性が選択される。
加算器121は、適応等化フィルタ107からの出力信号と、適応等化フィルタ120からの出力信号とを加算する。加算器121の出力信号が所望のPR特性となるように、PR等化誤差検出器109は、共通の誤差を適応等化フィルタ107と適応等化フィルタ120とに出力し、それぞれのフィルタの係数を更新する。本実施の形態の場合、所望のPR特性に近くなるように、且つクロストークが最小となるように、適応等化フィルタ107と適応等化フィルタ120とにおけるタップ係数が演算され、更新される。加算器121は、クロストークの影響が軽減された信号を出力する。そのため、データ復号器108によって復号された2値化データ(再生データ)のエラーレートは低減される。
データ復号器108は、適応等化フィルタ107からの出力波形と適応等化フィルタ120からの出力波形とに基づいて再生データを復号する。データ復号器108は、適応等化フィルタ107からの出力波形と適応等化フィルタ120からの出力波形との加算結果を2値化処理する。
PR等化誤差検出器109は、データ復号器108による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、適応等化フィルタ107からの出力波形と適応等化フィルタ120からの出力波形との加算結果との誤差を算出する。適応等化フィルタ107の係数更新部402は、PR等化誤差検出器109によって算出された誤差に基づいて適応等化フィルタ107において用いられる係数を演算する。適応等化フィルタ120の係数更新部402は、PR等化誤差検出器109によって算出された誤差に基づいて適応等化フィルタ120において用いられる係数を演算する。
なお、本実施の形態1において、情報記録再生装置が情報再生装置の一例に相当し、光学検出器200Aが光学検出器の一例に相当し、受光部202,203が第1の受光部の一例に相当し、受光部201,204が第2の受光部の一例に相当し、適応等化フィルタ107が第1の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ120が第2の適応等化フィルタの一例に相当し、データ復号器108がデータ復号器の一例に相当し、PR等化誤差検出器109が誤差検出器の一例に相当し、係数更新部402が第1の係数演算部及び第2の係数演算部の一例に相当する。
ここで、本実施の形態のクロストークキャンセル信号処理のポイントについて説明する。図1の光ヘッド103から出力されるA+D信号は、自トラック(光スポットの中央が走査している再生対象トラック)の再生信号の成分と、自トラックの両側の隣接トラック(光スポットの中央が走査している再生対象トラックの両隣のトラック)からのクロストーク成分とを含む。自トラックの再生信号成分と隣接トラックのクロストーク成分との比率は、図2の受光部の面積で決定される。
図5は、隣接トラックからのクロストーク量を示す図である。図5に示すクロストーク量は、隣接トラックにはデータが記録されているとともに自トラックにはデータが記録されていない状態で自トラックを再生した際に得られる再生信号である。クロストーク量は、自トラックの再生信号の1/10の信号振幅であり、自トラックの再生に大きな影響を与えることが分かる。また、クロストーク量が一定ではないのは、両側の隣接トラックの記録パターンが同一ではなく、隣接トラックからのクロストーク量が記録マーク長によって異なるためである。すなわち、クロストークは、ある周波数特性を持つため、クロストーク量が一定ではないことは、単純な加算演算又は引き算演算では十分にクロストークを除去できないことを意味している。そのため、周波数特性を考慮したクロストークの除去が必要となる。適応等化フィルタ120は、自トラックの再生信号成分とPR等化出力との相関性と、クロストーク成分とPR等化出力との無相関性(クロストーク成分を打ち消す)とが両立するようにタップ係数を演算する。
図6は、図1における、A+D信号を処理した適応等化フィルタ120のタップ係数と、B+C信号を処理した適応等化フィルタ107のタップ係数とを示す図である。図7は、図1における、A+D信号を処理した適応等化フィルタ120のタップ係数の周波数特性と、B+C信号を処理した適応等化フィルタ107のタップ係数の周波数特性とを示す図である。図6は、適応等化フィルタの収束したタップ係数を示している。適応等化フィルタ107及び適応等化フィルタ120のタップ数は両方とも15タップの例である。図7は、図6のタップ係数の周波数特性を示した図である。図7において、縦軸はゲイン比を示し、横軸は所定の周波数で規格化した規格化周波数を示している。ここでは、図2の増幅器205,206,207,208の比率が1:1:1:1である場合の周波数特性に換算した数値を図示している。
隣接トラックのクロストーク成分を含むA+D信号は、高域特性を持ち上げることで、よりクロストーク成分を除去できる。また、一つのスポット(一度の再生動作)で、自トラックの信号成分と隣接トラックからのクロストーク成分とが検出される本実施の形態の構成では、自トラックの信号成分とクロストーク成分との位相が大きくずれることが無いため、位相ずれを大きく補正する必要は無い。よって、適応等化フィルタ107又は適応等化フィルタ120のタップ数を増やして位相ずれ補正対策を施す必要は無いため、回路規模の増大を引き起こすことは無い。
以上のように、本発明の実施の形態によれば、一つのスポット(一度の再生動作)で、自トラックの信号成分と隣接トラックからのクロストーク成分とが検出され、大規模な回路を実装することなく、所定の周波数を持つクロストークを除去しつつ、所望のPR特性に等化することができる。そのため、データ復号器108からの出力信号のエラーレートを低減させることができる。
なお、図2におけるA信号とD信号との信号位相(遅延)と、B信号とC信号との信号位相(遅延)は、ほとんど無い状態にしなければならない。しかしながら、A+D信号と、B+C信号との信号位相(遅延)は、適応等化フィルタ107及び適応等化フィルタ120で補正することができる。
なお、データPLL回路106において、クロストークの影響が大きい場合、安定に再生信号に同期したクロックを抽出することが困難な場合がある。この場合、PLLのループに、クロストーク成分を除去できる適応等化フィルタ107と適応等化フィルタ120と加算器121とデータ復号器108とPR等化誤差検出器109と同等の機能を挿入してもよい。
なお、図2及び図3における受光部の分割方法は、本実施の形態における4分割に限定されない。再生データ検出用光学検出器200Aとウォブル検出用光学検出器200Bとを分けて備える場合は、図2の再生データ検出用光学検出器200Aは、3分割された受光部を備え、ウォブル検出用光学検出器200Bは、4分割された受光部を備えてもよく、分割数を検出される信号ごとに分けてもよい。さらに、この場合、ウォブル検出用光学検出器200Bは、フォーカス制御及びトラッキング制御などを行うためのサーボ信号を検出する信号検出部と共用するために、図34に示すような分割方法でもよい。
このように、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットが照射され、光学レーザスポットの反射光から信号成分とクロストーク成分とが分離され、クロストーク成分のみが除去され、記録データの再生性能の向上(データエラーレートの低減)と、アドレス情報の再生性能の向上(アドレスエラーレートの低減)とを実現することができる。
また、光ディスクの体積容量を上げるための一つの方法である、記録トラックの狭トラック化によって影響が大きくなる隣接トラックからのクロストークキャンセル処理を記録データにだけでなく、アドレス情報にも適応することで、システムの安定化を実現することができる。
さらに、隣接トラックの再生データと自トラックの再生データとの位相を合わせる大規模な回路が不要となり、アクセス性能を向上させることができるとともに、回路規模の増大化を抑制することができる。これにより、光ディスクの体積密度を向上させることができるとともに、不要な処理による転送レートの低下を抑えることができ、再生性能の向上により安定なシステムを実現できる。
さらにまた、データを高い信頼性により長期間保存するアーカイブストレージ分野において、データを保存するスペースの効率化と、転送レートの安定化とを実現できる。また、データセンターでの消費電力の削減及び二酸化炭素の排出量の削減に、大きな効果が期待できる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における情報記録再生装置の構成を示す図である。まず、図1の実施の形態1との差分を説明する。大きな差分は、クロストーク成分を除去するための波形整形(等化)目標が異なる点である。実施の形態1では、クロストーク成分除去後の波形等化の目標が、所望のPR方式への等化であった。これに対して、実施の形態2では、クロストーク成分除去後の波形等化の目標が、クロストーク成分が無い再生信号への等化である。再生信号の周波数特性に対して、目標のPR方式の周波数特性の高域特性が不足している場合は、適応等化フィルタで高域成分を強調する必要がある。これは、波形を歪ませる原因となる。さらに、図6及び図7で説明したようにクロストーク成分を除去する場合、高域成分を強調する特性である必要がある。よって、不必要に再生波形の高域成分を強調すると、クロストーク成分を十分に除去できない場合がある。
そこで、実施の形態2では、所望のPR特性に再生波形を等化することで高域成分を強調する前に、クロストーク成分を除去し、クロストーク成分が除去された信号に対して、所望のPR特性に再生波形を等化する。これにより、データ復調器の2値化性能が向上し、エラーレートを低減できる。すなわち、目標とする周波数特性が異なる場合は、無理に同一処理しないで、分離して処理するという考え方である。
図8に示す情報記録再生装置は、スピンドルモータ102、光ヘッド103、サーボ制御器104、アナログ処理部105、データPLL回路106、適応等化フィルタ107、データ復号器108、PR等化誤差検出器109、アナログ処理部111、BPF112、ウォブルPLL回路113、アドレス復調器114、システムコントローラ115、記録データ変調器116、レーザ駆動器117、ホストI/F118、アナログ処理部119、適応等化フィルタ122、加算器123、遅延器124、加算器125及び適応等化フィルタ126を備える。
図8において、適応等化フィルタ122は、図4に示す適応等化フィルタ107と同じ構成である。但し、適応等化フィルタ122における入力Yは、PR等化誤差検出器109からではなく、加算器125から出力される信号である。加算器125からは、クロストーク成分が出力される。適応等化フィルタ122は、クロストーク成分が除去されるように係数を演算し、更新する。
適応等化フィルタ107は、受光部202,203からの出力信号の波形と適応等化フィルタ122からの出力波形との加算結果を波形等化する。データ復号器108は、適応等化フィルタ107からの出力波形を2値化処理する。
加算器123は、アナログ処理部105からの再生信号と、適応等化フィルタ122からの再生信号とを加算する。適応等化フィルタ122において、クロストーク成分を除去するように波形等化されるので、加算器123の出力波形は、クロストーク成分が除去された波形となる。クロストーク成分が除去された加算器123の出力は、適応等化フィルタ107によって、所望のPR特性となるとともに、高域成分が強調されるように、波形等化される。もちろん、PR方式の設定によっては、ゲイン変更させる帯域は異なる。
遅延器124は、適応等化フィルタ126から出力される波形と位相が合うように遅延調整されている。遅延器124は、適応等化フィルタ107と、データ復号器108と、適応等化フィルタ126とにおいて必要な信号処理遅延分を遅延させる。
適応等化フィルタ126は、データ復号器108による2値化処理結果と、受光部202,203からの出力信号の波形と適応等化フィルタ122からの出力波形との加算結果とに基づいて目標となる理想的な再生波形を出力する。
適応等化フィルタ126は、再生信号からノイズ成分及びクロストーク成分が無い理想的な再生信号を生成する。すなわち、適応等化フィルタ126によって生成される再生信号は、再生信号のOTF(Optical Transfer Function)特性を再現した波形となる。適応等化フィルタ126は、図4に示す適応等化フィルタ107と同じ構成である。但し、適応等化フィルタ126における入力Yは、PR等化誤差検出器109からではなく、加算器125から出力される信号である。また、適応等化フィルタ126における入力Xは、再生波形ではなく、データ復号器108から出力される2値データである。
適応等化フィルタ107の係数更新部402は、データ復号器108による2値化処理結果に基づいて求められる等化目標波形と、適応等化フィルタ107からの出力波形との誤差信号に基づいて、適応等化フィルタ107において用いられる係数を演算する。適応等化フィルタ122の係数更新部402は、受光部202,203からの出力信号の波形と適応等化フィルタ122からの出力波形との加算結果と、適応等化フィルタ126からの出力波形との誤差信号に基づいて、適応等化フィルタ122において用いられる係数を演算する。
なお、本実施の形態2において、情報記録再生装置が情報再生装置の一例に相当し、光学検出器200Aが光学検出器の一例に相当し、受光部202,203が第1の受光部の一例に相当し、受光部201,204が第2の受光部の一例に相当し、適応等化フィルタ107が第1の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ122が第2の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ126が第3の適応等化フィルタの一例に相当し、データ復号器108がデータ復号器の一例に相当し、PR等化誤差検出器109が誤差検出器の一例に相当し、係数更新部402が第1の係数演算部及び第2の係数演算部の一例に相当する。
図9は、本発明の実施形態2における適応等化フィルタ126のタップ数と係数値との関係を示す図である。図9は、適応等化フィルタ126において、収束した15タップの係数値の例を示している。適応等化フィルタ126において、求められるタップ係数は、1チャネルビットを再生した場合の再生信号とほぼ等価な波形となる。1チャネルビットとは、図33で説明した記録マークの基準幅(基準データ)である。図4で説明すると、求められた波形(乗算器4017〜4023の係数値)とデータ復号器108からの2値データ(入力X)とが、FIR型フィルタ401で演算されると、再生信号のOTF特性を考慮したノイズ成分及びクロストーク成分が無い理想的な再生信号を出力することができる。係数更新部402は、再生された2値信号(入力X)と、再生信号と理想波形との差分(入力Y)との相関性を利用して、1チャネルビットを再生した場合の再生信号とほぼ等価な波形(係数)を算出する。
以上のように、本発明の実施の形態2によれば、一つのスポット(一度の再生動作)で、自トラックからの信号成分と隣接トラックからのクロストーク成分とが検出され、大規模な回路を実装することなく、所定の周波数を持つクロストークを除去した後、所望のPR特性に等化することができる。そのため、データ復号器108からの出力信号のエラーレートを低減させることができる。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における情報記録再生装置の構成を示す図である。まず、図1の実施の形態1との差分を説明する。大きな差分は、光ヘッドから3分割された再生信号が出力され、3つの再生信号からクロストーク成分を除去する点である。光ヘッドと光ディスクとの傾きによって発生するラジアルチルト、及びレーザスポットがトラックの中心を走査しないオフトラックなどにより、A信号のクロストーク成分とD信号のクロストーク成分とに偏りが発生する場合がある。この場合、偏りを除去できるように両隣のトラックからの漏れこみ信号を別々に処理する構成が望ましい。
本実施の形態3は、上記のような偏りがあるクロストーク成分に対応することができる構成である。但し、この場合、光ヘッドと信号処理装置(または信号処理回路)との接線が増加し、さらに、信号処理回路の規模も増大するおそれがある。そのため、性能及び回路規模のバランスを考慮して、本実施の形態3を選択する必要がある。また、一般的に、再生信号(高帯域信号)の伝送は、耐ノイズ特性を考慮し、差動信号として伝送されることがある。その場合は、信号線は倍増する。
図10に示す情報記録再生装置は、スピンドルモータ102、光ヘッド103、サーボ制御器104、データ復号器108、PR等化誤差検出器109、アナログ処理部111、BPF112、ウォブルPLL回路113、アドレス復調器114、システムコントローラ115、記録データ変調器116、レーザ駆動器117、ホストI/F118、アナログ処理部127、アナログ処理部128、アナログ処理部129、データPLL回路130、適応等化フィルタ131、適応等化フィルタ132、適応等化フィルタ133及び加算器134を備える。
図11は、本発明の実施の形態3における光学ヘッドの光学検出器の構成を示す図である。図10の光ヘッド103の光学検出器200Cは、図11のように構成されており、A信号、D信号及びB+C信号を出力する。なお、受光部201〜204と増幅器205〜208と加算器210とは、図2と同じ特性及び構成である。増幅器205から出力されたA信号は、アナログ処理部127へ出力され、増幅器206から出力されたD信号は、アナログ処理部129へ出力され、加算器210から出力されたB+C信号は、アナログ処理部128へ出力される。
受光部201は、中心部に対して光ディスク101の半径方向の一方に隣接する部分の反射光を受光する。受光部204は、中心部に対して光ディスク101の半径方向の他方に隣接する部分の反射光を受光する。
アナログ処理部127,128,129は、図1のアナログ処理部105,119と同じ構成である。アナログ処理部127,128,129は、A信号、B+C信号及びD信号の3つの再生信号に対して、所定のDC変動を抑制するHPF処理、データ再生に不要な高域ノイズを除去するLPF処理、データ信号の振幅変動を抑制するAGC処理、及びデータPLL回路130から供給されるクロック信号を用いてアナログ信号をディジタル信号に変換するADC処理を行う。
データPLL回路130は、アナログ処理部127,128,129で処理された3つの再生信号から、再生信号に同期したクロック信号を生成する。適応等化フィルタ131,132,133は、図4に示す適応等化フィルタ107と同じ構成である。
適応等化フィルタ131は、受光部201からの出力信号を波形等化する。適応等化フィルタ132は、受光部202,203からの出力信号を波形等化する。適応等化フィルタ133は、受光部204からの出力信号を波形等化する。
加算器134は、3つの適応等化フィルタ131,132,133からの出力波形を加算する。3つの適応等化フィルタ131,132,133のそれぞれは、加算器134からの出力波形が所望のPR特性となるように、PR等化誤差検出器109から共通の誤差信号を用いて最適な係数を演算し、更新する。
データ復号器108は、適応等化フィルタ132からの出力波形と適応等化フィルタ131からの出力波形と適応等化フィルタ133からの出力波形との加算結果を2値化処理する。
PR等化誤差検出器109は、データ復号器108による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、適応等化フィルタ131からの出力波形と適応等化フィルタ132からの出力波形と適応等化フィルタ133からの出力波形との加算結果との誤差を算出する。
適応等化フィルタ132の係数更新部402は、PR等化誤差検出器109によって算出された誤差に基づいて適応等化フィルタ132において用いられる係数を演算する。適応等化フィルタ131の係数更新部402は、PR等化誤差検出器109によって算出された誤差に基づいて適応等化フィルタ131において用いられる係数を演算する。適応等化フィルタ133の係数更新部402は、PR等化誤差検出器109によって算出された誤差に基づいて適応等化フィルタ133において用いられる係数を演算する。
なお、本実施の形態3において、情報記録再生装置が情報再生装置の一例に相当し、光学検出器200Cが光学検出器の一例に相当し、受光部202,203が第1の受光部の一例に相当し、受光部201が第3の受光部の一例に相当し、受光部204が第4の受光部の一例に相当し、適応等化フィルタ132が第1の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ131が第3の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ133が第4の適応等化フィルタの一例に相当し、データ復号器108がデータ復号器の一例に相当し、PR等化誤差検出器109が誤差検出器の一例に相当し、係数更新部402が第1の係数演算部、第2の係数演算部及び第3の係数演算部の一例に相当する。
以上のように、本発明の実施の形態3によれば、一つのスポット(一度の再生動作)から検出された3つの再生信号から、自トラックからの信号成分と隣接トラックからのクロストーク成分とが検出され、所定の周波数を持つクロストークを除去しつつ、所望のPR特性に等化することができる。そのため、データ復号器108からの出力信号のエラーレートを低減させることができる。特に、ラジアルチルト、オフトラック又はレンズシフトなどによって発生する、2つの隣接トラックからのクロストーク成分の偏りに対して、エラーレートを低減できる。
なお、本実施の形態3では、光ヘッド103の光学検出器200Cは、4分割された受光部を備えているが、本発明は特にこれに限定されず、3分割された受光部を備えてもよい。ここで、図10の光ヘッド103の光学検出器が、3分割された受光部を備える場合を説明する。
3分割された受光部を備える光学検出器200Dは、図12のように構成される。図12は、本発明の実施の形態3の第1の変形例における光検出器の構成を示す図である。光学検出器200Dは、トラック走査方向に平行な分割線により分割された3つの受光部201,202,203を備えており、情報記録媒体から反射された光スポット211が図12の点線のように照射される。光学検出器200Dは、A信号、B信号及びC信号を出力する。増幅器205〜207は、受光部201〜203から出力された信号をそれぞれ増幅する。なお、受光部201〜203及び増幅器205〜207は、図11に示す受光部201〜203及び増幅器205〜207と同じ特性及び構成である。図12の光学検出器200Dと図11の光学検出器200Cとの差分は、光スポット211の中央部分に相当する受光部が分割されているか否かである。
図12に示す光学検出器200Dを用いる場合、本発明の実施の形態3の第1の変形例における情報記録媒体に情報を記録又は再生する情報記録再生装置は、図13のように構成される。図13は、本発明の実施の形態3の第1の変形例における情報記録再生装置の構成を示す図である。
図13に示す情報記録再生装置は、スピンドルモータ102、光ヘッド103、サーボ制御器104、データ復号器108、PR等化誤差検出器109、アナログ処理部111、BPF112、ウォブルPLL回路113、アドレス復調器114、システムコントローラ115、記録データ変調器116、レーザ駆動器117、ホストI/F118、アナログ処理部127、アナログ処理部128、アナログ処理部129、データPLL回路130、適応等化フィルタ131、適応等化フィルタ132、適応等化フィルタ133及び加算器134を備える。
受光部201は、中心部に対して光ディスク101の半径方向の一方に隣接する部分の反射光を受光する。受光部203は、中心部に対して光ディスク101の半径方向の他方に隣接する部分の反射光を受光する。
適応等化フィルタ131は、受光部201からの出力信号を波形等化する。適応等化フィルタ132は、受光部202からの出力信号を波形等化する。適応等化フィルタ133は、受光部203からの出力信号を波形等化する。
データ復号器108は、適応等化フィルタ131からの出力波形と適応等化フィルタ132からの出力波形と適応等化フィルタ133からの出力波形との加算結果を2値化処理する。
ウォブルPLL回路113は、受光部201からの出力信号と受光部203からの出力信号との差分からウォブル信号を検出する。アドレス復調器114は、ウォブルPLL回路113によって検出されたウォブル信号からアドレスを復調する。
なお、本実施の形態3の第1の変形例において、情報記録再生装置が情報再生装置の一例に相当し、光学検出器200Dが光学検出器の一例に相当し、受光部202が第1の受光部の一例に相当し、受光部201が第3の受光部の一例に相当し、受光部203が第4の受光部の一例に相当し、適応等化フィルタ132が第1の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ131が第3の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ133が第4の適応等化フィルタの一例に相当し、データ復号器108がデータ復号器の一例に相当し、PR等化誤差検出器109が誤差検出器の一例に相当し、係数更新部402が第1の係数演算部、第2の係数演算部及び第3の係数演算部の一例に相当し、ウォブルPLL回路113がウォブル検出部の一例に相当し、アドレス復調器114がアドレス復調器の一例に相当する。
図13に示す情報記録再生装置と図10に示す情報記録再生装置との差分は、光学検出器200DからのA信号、B信号及びC信号から、光ディスク101に記録されているデータを再生し、A信号及びC信号から光ディスク101に予め記録されているアドレス情報を再生することである。
この構成のメリットは、受光部の分割数が少ないため、複数の再生信号を加算する加算部の削減による伝送路のSN比(Signal to Noise ratio)を改善することができることである。受光部201〜203の分割比を最適化すれば、再生信号に含まれる隣接トラックからのクロストーク成分を除去しつつ、A信号とC信号との差分信号であるウォブル信号からアドレス情報を安定に再生することができる。しかし、受光部201,203の受光領域の面積を小さくしすぎると、再生信号のSN比の低下だけでなく、各種再生ストレス耐性が劣化する可能性がある。そのため、受光部の分割比は慎重に設定する必要がある。
例えば、クロストークキャンセル性能とアドレス再生性能とのバランスを考慮して、受光部202の領域面積は、受光部201の領域面積と受光部203の領域面積との合計よりも小さくすればよい。
スポットサイズ及びトラックピッチなどの光ディスクの設計パラメータと、記録動作によって形成される記録マークの半径方向幅とによって、隣接トラックからのクロストーク量は異なる。スポットサイズ及びトラックピッチなどの光ディスクの設計パラメータが決まれば、自トラックの再生信号と隣接トラックからのクロストーク信号とを分離できる分割幅が必然的に決まる。
図14は、トラック走査方向に平行な分割線により3分割された光学検出器と、レーザ光の光強度分布と、3つのトラックの記録信号との関係を示す図である。受光部201,202,203及び光スポット211は、上記と同じ定義とする。スポットサイズの半値幅は0.25μmであり、トラックピッチは0.23μmであり、記録マークの半径方向の幅(マーク幅)は0.19μmである。トラックピッチはスポットサイズの半値幅より狭いため、レーザ光の光強度分布の領域R1及び領域R2には、隣接トラックからの信号が漏れこむことが分かる。
光学シミュレーションで計算すると、スポットサイズに対する隣接トラックの影響は、スポットサイズの27%程度になる。そのため、自トラックの信号と隣接トラックの信号とを分離するための受光部201,202,203の分割幅の比は、27:46:27と見積もることができる。
Blu−Ray Discとの互換を確保しつつ、新しい種類の光ディスクの再生を可能とするためには、スポットサイズの半値幅は変更しないで、トラックピッチのみを変更し、本実施の形態で提案しているクロストークキャンセル信号処理を導入する必要がある。クロストークキャンセル信号処理の効果が発揮できるトラックピッチは、半値幅の80%程度であることから、トラックピッチの候補は、光ディスクの面密度と再生性能とを考慮して決定すればよい。例えば、トラックピッチは、0.24μm〜0.2μm程度とすればよい。
この場合、クロストークキャンセルの効果が発揮できる中央部の受光部と端部の受光部との分割比は、1.5〜4.5が望ましい。つまり、中央部の受光部(第1の受光部)の半径方向の幅を一方の端部の受光部(第3の受光部)の半径方向の幅で割った値及び中央部の受光部(第1の受光部)の半径方向の幅を他方の端部の受光部(第4の受光部)の半径方向の幅で割った値は、0.75〜2.25の範囲であることが好ましい。
例えば、中央部の受光部と端部の受光部との分割比が2である場合、受光部201,202,203の分割幅の比は、1:2:1(端部:中央部:端部)となる。また、換言すると、中央部の受光部の幅/(2×端部の受光部の幅)の値は、0.75〜2.25が望ましい。つまり、中央部の受光部(第1の受光部)の半径方向の幅を両方の端部の受光部(第2の受光部)の半径方向の幅で割った値は、0.75〜2.25の範囲であることが好ましい。
ここでは、3分割のみの分割幅について、説明しているが、4分割又は5分割とした場合も、同様の考え方で分割幅を決定すればよい。
さらに、上記の分割割合で、アドレス性能を確保できるウォブル信号のCN比(Carrier to Noise ratio)が所定以上確保できればよい。上記の分割幅で、所定以上のCN比が確保できない場合は、スポットサイズ又はトラックピッチを変更するか、形成される記録マークの半径方向の幅を小さくでき且つSN比を維持できる記録膜に変更する必要がある。
ここで、光ヘッド103の光学検出器が4分割された受光部を備え、4分割された信号を用いてクロストークキャンセル処理を行う場合を説明する。4分割された受光部を備える光学検出器は、図15のように構成される。図15は、本発明の実施の形態3の第2の変形例における光検出器の構成を示す図である。
図15に示す光学検出器200Eは、受光部201,202,203,204と、増幅器2401,2402,2403,2404,2405,2406,2407,2408と、加算器2409,2410とを備える。
増幅器2401は、受光部201から出力された信号を増幅したA信号を出力する。増幅器2402は、受光部202から出力された信号を増幅したB信号を出力する。増幅器2403は、受光部203から出力された信号を増幅したC信号を出力する。増幅器2404は、受光部204から出力された信号を増幅したD信号を出力する。増幅器2405は、受光部201から出力された信号を増幅したE信号を出力する。増幅器2406は、受光部202から出力された信号を増幅したF信号を出力する。増幅器2407は、受光部203から出力された信号を増幅したH信号を出力する。増幅器2408は、受光部204から出力された信号を増幅したI信号を出力する。
加算器2409は、増幅器2405から出力されたE信号と増幅器2406から出力されたF信号とを加算し、J信号(E+F)を出力する。加算器2410は、増幅器2407から出力されたH信号と増幅器2408から出力されたI信号とを加算し、K信号(H+I)を出力する。
光検出器は、A信号、B信号、C信号、D信号、J信号及びK信号を出力する。なお、受光部201〜204と増幅器2401〜2408と加算器2409,2410とは、図11に示す受光部201〜204と増幅器205〜208と加算器210と同じ特性及び構成である。但し、それぞれの増幅器2401〜2408の特性は、構成によって、最適化されてもよい。また、J信号及びK信号は、ウォブル信号を生成するための信号として出力される。また、受光部201と受光部204との分割割合がウォブル信号を検出するのに十分な分割割合であれば、ウォブル信号を生成するための信号としてE信号及びI信号を出力してもよい。
図15の光学検出器200Eを用いた場合、本発明の実施の形態3の第2の変形例における情報記録媒体に情報を記録又は再生する情報記録再生装置は、図16のように構成される。図16は、本発明の実施形態3の第2の変形例における情報記録再生装置の構成を示す図である。図15に示す光学検出器200Eと図11に示す光学検出器200Cとの差分は、受光部202からの信号と受光部203からの信号とを加算しないで出力することと、ウォブル信号を検出するための信号を生成するための信号として、受光部201からの信号と受光部202からの信号とを加算した信号と、受光部203からの信号と受光部204からの信号とを加算した信号とを出力することである。
図16に示す情報記録再生装置と図10に示す情報記録再生装置との差分は、光学検出器200EからのA信号、B信号、C信号及びD信号に基づいて、光ディスク101に記録されているデータを再生し、光学検出器200EからのJ信号及びK信号に基づいて、光ディスク101に予め記録されているアドレス情報を再生することである。
図16に示す情報記録再生装置は、スピンドルモータ102、光ヘッド103、サーボ制御器104、データ復号器108、PR等化誤差検出器109、アナログ処理部111、BPF112、ウォブルPLL回路113、アドレス復調器114、システムコントローラ115、記録データ変調器116、レーザ駆動器117、ホストI/F118、アナログ処理部127、アナログ処理部128、アナログ処理部129、データPLL回路130、適応等化フィルタ131、適応等化フィルタ132、適応等化フィルタ133、加算器134、アナログ処理部2301及び適応等化フィルタ2302を備える。
図16に示す情報記録再生装置では、光ヘッド103からの再生信号が4つに増加されたため、クロストークキャンセル処理に必要なアナログ処理部2301と適応等化フィルタ2302とが追加されている。また、データPLL回路130は、アナログ処理部127,128,129,2301からの4つの信号から同期処理を行う。
加算器134は、適応等化フィルタ131,132,133,2302からの4つの信号を加算し、PR等化誤差検出器109へ出力する。PR等化誤差検出器109は、4つの信号を加算した信号とPR等化の期待値との差分から誤算信号を生成し、生成した誤算信号を4つの適応等化フィルタ131,132,133,2302へ出力する。
なお、本実施の形態3の第2の変形例において、情報記録再生装置が情報再生装置の一例に相当し、光学検出器200Eが光学検出器の一例に相当し、受光部201が第3の受光部の一例に相当し、受光部204が第4の受光部の一例に相当し、受光部202が第5の受光部の一例に相当し、受光部203が第6の受光部の一例に相当し、適応等化フィルタ131が第3の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ2302が第4の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ132が第5の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ133が第6の適応等化フィルタの一例に相当し、データ復号器108がデータ復号器の一例に相当し、PR等化誤差検出器109が誤差検出器の一例に相当し、係数更新部402が第1の係数演算部、第2の係数演算部、第3の係数演算部及び第4の係数演算部の一例に相当し、ウォブルPLL回路113がウォブル検出部の一例に相当し、アドレス復調器114がアドレス復調器の一例に相当する。
この構成のメリットは、図15の光スポット211の中心が、光ディスク101の記録トラックの中心からずれ、光学検出器200Eに再生光が適切に照射されない場合に、受光部の分割数を増やすことで、クロストークキャンセル効果を維持することができることである。
光学検出器200Eに再生光が適切に照射されない要因としては、再生時において、オフトラックが発生した場合、ラジアルチルトが発生した場合、及びレンズシフトが発生した場合などがある。これらは、再生時において一般的に発生し得る要因である。これらの要因に対して、4分割された受光部を備える光学検出器200Eは、再生耐性を向上させることができる。
図17(A)及び図17(B)は、レンズシフトが発生した場合の3分割受光部を備える光学検出器と4分割受光部を備える光学検出器とを比較する図である。図17(A)は、レンズシフトが発生していない場合の3分割受光部と4分割受光部とを示す図であり、図17(B)は、所定量のレンズシフトが発生した場合の3分割受光部と4分割受光部とを示す図である。
レンジシフトが発生した場合、3分割の受光部を備える光学検出器の場合、光スポット211の中心が大きくずれ、受光部203にほとんど光が照射されていない。そのため、隣接トラックからのクロストーク成分と自トラックの信号とを分離することができないため、十分にクロストークキャンセル効果を発揮することができない。一方、4分割の受光部を備える光学検出器の場合、光スポット211の中心が大きくずれて、受光部204にほとんど光が照射されていない場合であっても、受光部203と受光部204との分離によって、隣接トラックからのクロストーク成分と自トラックの信号とを分離することができるため、クロストークキャンセル効果を発揮することができる。
受光部の分割数を増やせば、光学検出器に再生光が適切に照射されないことに対する耐性は増すが、光学検出器の受光部のSN比は低下する。分割数による再生耐性とSN比とはトレードオフの関係にあるため、最適な分割数及び分割構成を選択する必要がある。ここでは、4分割の例を示したが、光学検出器に再生光が適切に照射されない状況に耐性を増すために、受光部を5分割又は6分割してもよく、分割数を増やしてもよい。
ここで、3分割の受光部を備える光学検出器を用いた場合のクロストークキャンセル信号処理の原理を説明する。図18は、光ヘッドが記録トラックにレーザ光を照射した場合において、記録トラックから反射光を受光する光学検出器2601の3つの受光部2602,2603,2604と、3つのトラックT,T,Tとを模式的に示す図である。受光部2602,2603,2604は、それぞれ信号S,S,Sを出力する。3つの信号S,S,Sは、トラックT,T,Tから異なった特性で影響を受ける。
そのため、信号S,S,Sは、下記の行列演算の式(1)で表すことができる。式(1)において、Mijは、各信号に対する各トラックからの影響を表す量であり、iは受光部の番号を表し、jはトラック番号を表す。δ、δ及びδは、単純な加算信号では表現できない誤差を表す。
Figure 0006075379
下記の式(2)に示す式(1)の逆行列演算の式が成立するように、δ、δ及びδが最小となるMijを求めると、信号S,S,Sは、図19、図20及び図21に示す特性となった。図19は、信号SのMij特性を示す図であり、図20は、信号SのMij特性を示す図であり、図21は、信号SのMij特性を示す図である。Mij特性は、各信号S,S,Sにおける3つのトラックからの影響を示している。
Figure 0006075379
ここで、式(1)において、δ、δ及びδを0として、Mij特性とトラック信号とを畳み込み演算した波形と、信号S,S,Sの光学シミュレーション波形とを比較した。図22は、Mij特性とトラック信号とを畳み込み演算した波形と、信号Sの光学シミュレーション波形とを比較した図であり、図23は、Mij特性とトラック信号とを畳み込み演算した波形と、信号Sの光学シミュレーション波形とを比較した図であり、図24は、Mij特性とトラック信号とを畳み込み演算した波形と、信号Sの光学シミュレーション波形とを比較した図である。
図22〜図24において、2つの波形がほぼ一致することから、信号S,S,Sは線形な畳み込み演算で表現できる。すなわち、再生信号としては、自トラックからの信号と隣接トラックからの信号とが混ざり合って出力されるが、3つの受光部からの信号S,S,Sを所定特性のフィルタに通すことで、隣接トラックからの信号を除去できる。
例えば、所定のPR特性に等化する場合は、下記の式(3)で表現され、信号S,S,Sに乗算される項M’10/PR,M’11/PR,M’12/PRがフィルタを意味する。
Figure 0006075379
上記でも説明したが、所定のPR特性であり、かつ、隣接トラックからのクロストーク成分を除去できるフィルタ係数は、LMSアルゴリズムを使った適応フィルタで算出することができる。
図18に示すモデルは、3トラックのみの影響に限定したモデルであるが、5トラックの影響までを考慮したモデルでもよい。また、図18に示すモデルは、トラック走査方向に平行な分割線により3分割した光学検出器を用いたモデルであるが、他の分割数及び分割構成であってもよい。この場合、各受光部への影響量が線形な畳み込み演算で表現できれば、再生信号を所定のフィルタに通すことにより、各受光部への影響を除去又は軽減することができる。
(実施の形態4)
図25は、本発明の実施の形態4における情報記録再生装置の構成を示す図である。まず、図1の実施の形態1〜3との差分を説明する。大きな差分として、実施の形態1〜3のクロストークキャンセル処理は、記録されたデータ信号に対してのみのクロストークをキャンセルしているが、実施の形態4のクロストークキャンセル処理は、図31で説明したトラック溝をウォブリングすることによって形成されたアドレス情報に対してもクロストークをキャンセルする。アドレス情報の再生性能の評価方法の一つとして、CN比(信号のキャリアレベルとノイズレベルとの比)の評価がある。
図26は、本発明の実施形態4におけるウォブル信号の周波数特性を示す図である。図26では、CN比を測定した例を示している。周波数f0は、ウォブル信号の基準周波数であり、C値は、周波数f0の振幅レベル(キャリアレベル)であり、N0値及びN1値は、周波数f0のノイズレベルである。さらに、N0値は、隣接トラック及び自トラックが未記録である場合のノイズレベルであり、N1値は、隣接トラックが記録済みである場合のノイズレベルである。C値とN値との差が小さくなるほどアドレス情報の再生性能が劣化することを意味している。
図31の例で説明したように、アドレス情報は、トラック溝がMSK変調されたウォブリング情報として挿入されている。この変調された情報を再生するためには、基準となるウォブル信号(変調されていないウォブル信号)を基に、MSK変調部が検出されるため、基準となるウォブル信号の品質が劣化すると、MSK変調部の検出性能も劣化する。このため、図26で説明したベースノイズの低下(クロストーク成分の除去)は非常に重要なポイントである。図26に示すように、隣接トラックにデータが記録されているトラックは、クロストーク成分によりノイズレベルが上昇する。また、トラック幅を狭くするほど、隣接トラックからのクロストーク成分によるノイズレベルは上昇する傾向がある。そこで、本実施の形態4では、ウォブル信号に対して、クロストーク成分を除去できる信号処理方法を提供する。本実施の形態4の信号処理を適用すれば、図26のN1値のノイズレベルが、N0値に近くなるまで低下し、アドレス情報の再生性能が改善する。
図25に示す情報記録再生装置は、スピンドルモータ102、光ヘッド103、サーボ制御器104、アナログ処理部105、データPLL回路106、適応等化フィルタ107、データ復号器108、PR等化誤差検出器109、アナログ処理部111、BPF112、ウォブルPLL回路113、アドレス復調器114、システムコントローラ115、記録データ変調器116、レーザ駆動器117、ホストI/F118、アナログ処理部119、適応等化フィルタ120、加算器121、加算器135、WBL誤差検出器136及び適応等化フィルタ137を備える。
図25に示す情報記録再生装置は、クロストーク成分を含むA+D信号を用いて、ウォブル信号に漏れ込んだクロストーク成分を除去する。適応等化フィルタ137の構成は、図4に示す適応等化フィルタ107の構成と同様である。但し、適応等化フィルタ137において、図4におけるFIR型フィルタ401の最適なタップ数及び係数更新部402の最適な係数更新応答特性が選択される。適応等化フィルタ137において、入力Xは、A+D信号をアナログ処理部119で処理した信号であり、入力Yは、WBL誤差検出器136からの信号である。WBL誤差検出器136から適応等化フィルタ137に、クロストーク成分を含む誤差信号が入力される。適応等化フィルタ137のタップ係数は、クロストーク成分が除去されるように演算され、更新される。
加算器135は、アナログ処理部111からのウォブル信号と、適応等化フィルタ137からの信号とを加算する。加算器135の出力は、クロストーク成分が除去されたウォブル信号となり、アドレス復調器114に入力される。WBL誤差検出器136は、加算器135の出力と、BPF112の出力信号との差分を出力する。BPF112は、PLLのためのフィルタであるため、ウォブル成分のみを抽出するためのフィルタ特性とする。BPF112によりノイズは低減されるが、フィルタ通過帯域であるクロストーク成分は除去できないままである。また、BPF112によって、MSK変調などの信号も除去される。BPF112の出力信号は、アドレス変調用の信号としては使用できないが、フィルタ通過帯域外のクロストーク成分が除去された信号であるため、ウォブル信号の目標値信号として使用できる。
以上のように、本発明の実施の形態4によれば、一つのスポット(一度の再生動作)から検出された4つの再生信号から、自トラックからの信号成分と隣接トラックからのクロストーク成分とが検出され、所定の周波数を持つクロストークを除去しつつ、所望のPR特性に等化することができる。そのため、データ復号器108の出力信号のエラーレートを低減させることができる。
さらに、隣接トラックからのクロストーク成分を持つデータ信号を用いて、ウォブル信号に含まれるクロストーク成分を除去することができ、アドレスエラーレートも改善することができる。
なお、図25の光ヘッド103の光検出器の構成は、図11のような構成にしてもよい。この場合、光ヘッド103は、A信号、B+C信号及びD信号の3つの信号を出力する。情報記録再生装置は、A信号及びD信号を用いて、ウォブル信号のクロストーク成分を除去させる。この場合、適応等化フィルタ137と同じ構成の回路を一つ追加すればよい。この構成により、特に、ラジアルチルト又はオフトラックなどによって発生する、隣接トラックからのクロストーク成分の偏りに対して、アドレスエラーレートを低減できる。
(実施の形態5)
図27は、本発明の実施の形態5における情報記録再生装置の構成を示す図であり、図28は、本発明の実施の形態5における情報記録媒体の構成を示す図である。まず、従来技術の課題について説明する。上記「発明が解決しようとする課題」の項において、特許文献6の4つの課題を説明した。仮に、課題1〜課題3を許容するシステムであっても、隣接トラックの再生データと自トラックの再生データとをメモリに入力するタイミングが課題となる。特許文献6において、隣接トラックのクロストーク成分と同期させるために、所定のタイミングで隣接トラックの再生信号がメモリに保持される。メモリに保持する隣接トラックの再生信号のタイミングのずれをある程度許容するために、特許文献6では、適応イコライザのタップ係数を増やして対応している。特許文献6では、数十クロックのタイミングずれを許容するために、256タップのイコライザが示されている。特許文献6の構成では、少なくとも多段のタップ係数を保有するイコライザを両隣接トラック分の2つ必要とする。そのため、回路規模の増大及び回路の複雑化が課題となっている。
また、特許文献6において、隣接トラックの再生信号をメモリに保持するタイミングのずれをある程度許容するのは、アドレスフォーマットなどに起因している。ここで、図31を使って、Blu−rayにおけるアドレスと記録データとの関係を説明する。また、アドレス情報と記録データとを同一領域に重畳して記録する場合、隣接するアドレス情報と記録データ基準位置とが光ディスクの中心を基準として半径方向に伸びる直線からずれるため、精度良く隣接トラックの再生信号をメモリに保持するタイミングを得ることが困難な理由について説明する。
図31において、記録トラック1502は、光ディスク1501上にグルーブによって形成される。データ記録領域1503には、データが記録され、アドレス情報領域1504,1505,1506には、データ記録領域1503にアクセスするためのアドレス情報が記録される。アドレス情報は、記録データと同じ領域に配置され、記録データは、アドレス情報に重畳して記録される。1つの記録データは、3個のアドレス情報AD1(Z05)、AD2(Z06)及びAD3(Z07)で構成された領域に記録され、3個のアドレス情報で構成された領域がデータの記録単位であるデータ記録領域1503となる。3個のアドレス情報で構成されたデータ記録領域1503の長さの整数倍は、トラックの円周の長さと一致しない。そのため、図31に示すように、隣接する記録トラック間で、データ記録領域1503の円周上の位置は、光ディスクの1周毎にずれながら配置される。
記録トラック1502には、一定周期でウォブリングさせたグルーブの波形を部分的に変化させることでアドレス情報AD1,AD2,AD3の1ビットが記録されている。図31の下部に拡大して示す領域1507が、アドレスビットに相当する部分で、MSKと呼ばれる変調が施されている。また、図31の下部に示すように、ウォブル周期の整数倍と記録トラックの1周の長さとが一致しないために、隣接する記録トラック間でウォブルの位相は一定量ずつ変化する。
このように構成された光ディスクにおいて、アドレス情報AD1,AD2,AD3を基準に、隣接する記録トラックの記録データをメモリに保持すると、隣接する記録トラックの記録データと自記録トラックの記録データとは互いにずれるため、メモリに記録データを保持するタイミングを調整するための処理及び処理回路が必要であった。タイミングを調整するための処理を施しても、数十チャネルクロックはずれるため、良好なチャネルクロック精度を確保するためには、多段のタップ係数を保有するイコライザが必要であった。
本発明の実施の形態5では、隣接トラックの再生データをメモリに保持するタイミング精度を半径方向に対して数チャネルクロック以下に向上させ、回路規模の増大を抑えることができる。そのために、本発明の実施の形態5では、アドレス情報を構成するウォブル周期の整数倍と記録トラックの1周の長さとを一致させるためのアドレスフォーマットと、当該アドレスフォーマットを利用して最適なクロストークキャンセル信号処理とを実現できる。
本実施の形態5の光ディスクにおいて、アドレス情報は、CAV(Constant Angular Velocity)方式で記録されており、記録データは、CLV(Constant Linear Velocity)方式で記録される。
図27に示す情報記録再生装置は、スピンドルモータ102、光ヘッド103、サーボ制御器104、アナログ処理部105、データPLL回路106、データ復号器108、PR等化誤差検出器109、アナログ処理部111、BPF112、ウォブルPLL回路113、アドレス復調器114、システムコントローラ115、記録データ変調器116、レーザ駆動器117、ホストI/F118、適応等化フィルタ131、適応等化フィルタ132、適応等化フィルタ133、加算器134、タイミング制御器138及びメモリ139を備える。
図27に示す光ヘッド103の光学検出器は、図34に示す光学検出器と同等の構成である。光学検出器は、A+B+C+D信号を再生信号として出力する。アナログ処理部105は、再生信号を、データPLL回路106からのクロックに同期したディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換された再生信号をメモリ139に保存する。本実施の形態5では、クロストークキャンセルの効果を発揮するために、隣接トラックの再生波形データが必要である。そのため、再生する領域の再生波形データYと、再生する領域に隣接する半径方向に内周側のトラックの再生波形データXと、再生する領域に隣接する半径方向に外周側のトラックの再生波形データZとが、メモリ139に保存される。メモリ139に保存するタイミング信号は、タイミング制御器138から供給される。タイミング制御器138から出力されるタイミング信号は、アドレス復調器114によって復調されたアドレス情報を使って生成される。
アドレス復調器114は、光ディスク101のアドレス情報を復調する。タイミング制御器138は、アドレス復調器114によって復調されたアドレス情報に基づいて、半径方向に位相の合ったタイミング信号を生成する。メモリ139は、タイミング信号に基づいて、データの再生を所望する第1の記録トラックに記録されたデータの再生波形と、第1の記録トラックに対して光ディスク101の半径方向の一方に隣接する第2の記録トラックに記録されたデータの再生波形と、第1の記録トラックに対して光ディスク101の半径方向の他方に隣接する第3の記録トラックに記録されたデータの再生波形とを保持する。
適応等化フィルタ132は、メモリ139に保持された第1の記録トラックからの再生波形を波形等化する。適応等化フィルタ131は、メモリ139に保持された第2の記録トラックからの再生波形を波形等化する。適応等化フィルタ133は、メモリ139に保持された第3の記録トラックからの再生波形を波形等化する。
データ復号器108は、適応等化フィルタ132からの出力波形と適応等化フィルタ131からの出力波形と適応等化フィルタ133からの出力波形との加算結果を2値化処理する。PR等化誤差検出器109は、データ復号器108による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、加算結果との誤差を算出する。
適応等化フィルタ132の係数更新部402は、PR等化誤差検出器109によって算出された誤差に基づいて適応等化フィルタ132において用いられる係数を演算する。適応等化フィルタ131の係数更新部402は、PR等化誤差検出器109によって算出された誤差に基づいて適応等化フィルタ131において用いられる係数を演算する。適応等化フィルタ133の係数更新部402は、PR等化誤差検出器109によって算出された誤差に基づいて適応等化フィルタ133において用いられる係数を演算する。
本実施の形態5のアドレスフォーマットは、アドレス情報を格納するアドレスブロックの境界が半径方向に揃っている。そして、アドレス情報が再生され、アドレスブロックの境界が検出され、アドレスブロックの境界の検出信号から再生波形データをメモリ139に保存するタイミング信号が生成される。これにより、自トラックの再生波形データの位置と、隣接トラックの再生波形データの位置とを高精度に揃えることが可能となる。すなわち、自トラックの再生波形データに隣接する再生波形データをメモリ139に保存することができるので、位置を補正する回路の規模を小さくすることができる。
例えば、図27の適応等化フィルタ131,132,133のタップ数は、再生波形データの符号間干渉量を考慮して設計すればよいことになる。符号間干渉量は、ビームスポットと記録線密度との関係で決まる。例えば、10チャネルビット程度の干渉がある場合は、チルト又は収差などの他の干渉も考慮して、適応等化フィルタ131,132,133のタップ数は、10数タップ程度に設計される。但し、この場合、タップ数の間隔は、チャネルビット間隔とする。
なお、本実施の形態5において、情報記録再生装置が情報再生装置の一例に相当し、アドレス復調器114がアドレス復調器の一例に相当し、タイミング制御器138がタイミング制御器の一例に相当し、メモリ139がメモリの一例に相当し、適応等化フィルタ132が第1の適応等化フィルタの一例に相当し、適応等化フィルタ131又は適応等化フィルタ133が第2の適応等化フィルタの一例に相当し、データ復号器108がデータ復号器の一例に相当し、PR等化誤差検出器109が誤差検出器の一例に相当し、係数更新部402が第1の係数演算部及び第2の係数演算部の一例に相当する。
次に、本発明の実施の形態5における情報記録媒体のフォーマットについて、図28を用いて説明する。図28は、本発明の実施の形態5における光ディスクのフォーマットを説明するための図である。図28において、光ディスク1401は両面に記録層を有している。なお、図28では、光ディスク1401の一方の面のみを図示しており、他方の面も同様の構造である。グルーブトラック1405,1407は、光ディスク1401上のグルーブにより形成される記録トラックである。ランドトラック1406は、光ディスク1401上のランドにより形成される記録トラックである。アドレスブロック1402,1403,1404は、グルーブトラック1405,1407及びランドトラック1406を光ディスク1401の中心から放射線状に伸びる直線により分割して形成される。
グルーブトラック1405とグルーブトラック1407とは、ランドトラック1406を挟んで半径方向に交互に繰り返される。グルーブトラック1405,1407及びランドトラック1406は記録トラックを形成している。放射線状に3箇所に分割されたアドレスブロック1402,1403,1404は、それぞれ3個の独立したアドレス情報1408,1409,1410,1411,1412,1413を有している。アドレス情報1408,1409,1410,1411,1412,1413は、グルーブトラック1405,1407をウォブリングすることによって記録されている。3個のアドレス情報1408,1409,1410が1つのセットとなり、3個のアドレス情報1408,1409,1410のアドレス値は順次増加する。また、3個のアドレス情報1411,1412,1413が1つのセットとなり、3個のアドレス情報1411,1412,1413は順次アドレス値が増加する。
光ディスク1401は、グルーブトラック1405,1407と、隣接する2つのグルーブトラック1405,1407の間に形成されたランドトラック1406とを備える。グルーブトラック1405,1407は、光ディスク1401の記録面内の位置情報を示すアドレス情報を、グルーブのウォブリングによる所定のパターンによって記録している。なお、グルーブトラック1405,1407は、記録面上に螺旋状に形成された1本のグルーブで構成されてもよい。また、グルーブトラック1405,1407は、記録面上に同心円状に形成された複数のグルーブで構成されてもよい。
図28の下部には、トラックの一部を拡大した模式図を示している。図28の下部に示されるように、本実施の形態5の光ディスク1401は、隣接するグルーブ間でウォブルの位相が揃っていることを特徴としている。すなわち、グルーブトラックの一周の長さがウォブルの周期の整数倍になるように構成している。これによって、グルーブトラック1405及び1407で挟まれたランドトラック1406の幅は、変化せず、一定の幅を保つことができる。
記録トラック(グルーブトラック1405,1407)のアドレス情報以外の部分のウォブリングの周期の整数倍が記録トラックの一周の長さと一致する。また、アドレス情報の周期の整数倍が記録トラックの一周の長さと一致する。
一方、図31に示したBlu−rayディスクのような従来の光ディスクでは、記録トラックの1周の長さがウォブルの周期の整数倍と一致しないため、隣接する記録トラックのウォブルの位相が記録トラック毎に徐々にずれる。このため、グルーブトラックの幅は一定に保てるが、ランドトラックの幅は頻繁に変化してしまい、ランドトラックは、記録トラックとして適さない形状となっている。
さらに、図31に示す従来の光ディスクでは、隣接するグルーブのウォブル位相が記録トラックごとに変化している。そのため、ウォブル信号にビートが発生し、アドレスの再生性能又はウォブルに基づいてPLL回路によって生成される記録クロックの生成性能を悪化させる原因ともなっている。ランドを記録トラックとして使用する際には、この現象は更に顕著になる。ランドの壁面はウォブリングした隣接する2つのグルーブで構成されるため、ランドの位相は完全に非同期に変化しており、ウォブル信号を検出することすらできず、記録クロックが生成できない。そのため、ランドにはデータを記録することができない。
これらの従来の課題に対して、本実施の形態5の第1のポイントである光ディスクの構造について以下に説明する。本実施の形態5の光ディスクでは、隣接するグルーブのウォブルの周期が、光ディスクの全面で揃う構成とすることで、ランドのウォブルによるビート現象を解消することを可能としている。これによって、ランドでも安定なウォブル信号を検出可能となる。
さらに、本実施の形態5の光ディスクでは、ランドトラック1406の両側のグルーブトラック1405とグルーブトラック1407とで異なったアドレスビットパターンを用いてグルーブのウォブルを変調することにより、アドレス情報が記録される。これにより、グルーブトラック1405とグルーブトラック1407に挟まれたランドトラック1406でもアドレス情報を取得可能となる。このランドでのアドレス情報の取得を可能とするアドレスデータの配置構造について、以下に詳しく説明する。
図29は、本実施の形態5におけるアドレス情報のデータ配置構造を説明するための模式図である。アドレス情報を記録するためには、アドレス情報の1ビットに対応するデータを、ウォブルの変化として光ディスク上に予め記録する必要がある。本実施の形態5の光ディスクは、一周毎に交互に切り替わる2種類のグルーブトラック1405及びグルーブトラック1407で構成され、グルーブトラック1405とグルーブトラック1407とで、アドレス情報を記録するデータのパターンを変化させたところに大きな特徴がある。
図29に示すように、アドレスデータの1ビットは、56個のウォブルで構成されたアドレスユニットビット1900で構成されている。図29において、アドレスデータ1902,1903は、それぞれグルーブトラック1405における1/0の記録形式(Type1)のアドレスデータであり、アドレスデータ1904,1905は、それぞれグルーブトラック1407における1/0の記録形式(Type2)のアドレスデータである。アドレスユニットビット1900中には、2箇所にウォブルの形状が変化したMSKウォブル1906(図29の斜線部)という特殊なウォブルが存在する。特殊なウォブルパターンを有するMSKウォブル1906以外は、通常のウォブルパターンを有する通常ウォブル1907で構成される。この特殊なウォブルパターンを有するMSKウォブル1906の出現位置を変えることで、複数のタイプの1/0データを表現できる。
MSKウォブル1906のウォブル信号は、cos(1.5ωt)、−cos(ωt)及び−cos(1.5ωt)で表され、通常ウォブル1907のウォブル信号は、cos(ωt)で表される。
本実施の形態5では、図29に示すように、グルーブトラック1405とグルーブトラック1407とで共通に用いる同期パターン1901と、それぞれのグルーブトラック1405,1407に対応した0/1のパターンのアドレスデータ1902,1903,1904,1905とが用いられる。アドレスデータ1902,1903,1904,1905のパターンは、MSKウォブル1906の位置がそれぞれのパターン毎に異なっている。そのため、互いに干渉せずにアドレスデータ1902,1903,1904,1905の復調が可能となる。よって、ランドに隣接するグルーブのアドレスデータ1902,1903,1904,1905のパターンが、互いに干渉をしないパターンで構成されることで、ランドがトレースされる時にもアドレスデータを復調することが可能となる。これは、アドレスデータ1902,1903,1904,1905のパターンがトラック走査方向に異なることで実現可能となっている。
一方、アドレス情報の中には、隣接するグルーブトラック1405とグルーブトラック1407とで異なるデータと同一のデータとが存在する。例えば、アドレスの開始位置を識別するための情報である同期パターン1901は、隣接するグルーブトラック間で同じ情報であり、共通の干渉が生じないため、共通のパターンを用いることができる。
図30は、本発明の実施の形態5において、複数のアドレスユニットビット1900で構成されたアドレス情報1408,1409,1410,1411,1412,1413の構造を示す図である。
図30において、同期パターン1901は、隣接するグルーブトラック1405とグルーブトラック1407とで共通のデータになるため、共通のパターンを用いている。本実施の形態5では、1個の同期パターン1901が用いられるが、複数個の同期パターン1901が用いられることにより、同期の信頼性を上げることもできる。また、本実施の形態5における同期パターンは1種類であるが、MSKウォブル1906の位置が異なるパターンを同期パターンに併用することも可能である。この際も、隣接するグルーブトラック1405とグルーブトラック1407との間で同期パターンは共通になるため、グルーブトラック1405とグルーブトラック1407とにそれぞれ個別の同期パターンを用意する必要はない。このように、隣接するグルーブトラック間で共通するデータに対しては、共通するウォブルパターンが用いられることで、必要なウォブルパターンの数を減らすことができる。
図30において、アドレスデータ2001は、グルーブトラック1405に用いられるアドレスデータであり、エラー訂正コード2002は、アドレスデータ2001のエラーを訂正するために付加されたエラー訂正コードであり、共にType1の記録形式が用いられる。また、図30において、アドレスデータ2003は、グルーブトラック1407に用いられるアドレスデータであり、エラー訂正コード2004はアドレスデータ2003のエラーを訂正するために付加されたエラー訂正コードであり、共にType2の記録形式が用いられる。
続いて、図28を用いて、図27の情報記録再生装置におけるクロストークキャンセル信号処理の動作例を説明する。光ディスク1401には、データが記録されており、ランドトラック1406のアドレスブロック1403に記録されたデータが再生される。
まず、ホストから、再生する位置を指定する指定アドレスと再生長を含む再生要求とがホストI/F118を介してシステムコントローラ115に入力される。システムコントローラ115は、アドレス復調器114からの再生アドレス情報に基づいて、スピンドルモータ102、光ヘッド103及びサーボ制御器104を制御して、光ヘッド103のスポットをグルーブトラック1405に移動させ、アドレスの再生を開始する。
タイミング制御器138は、システムコントローラ115からのタイミング信号生成指示と、アドレス復調器114で再生されるアドレス情報であるアドレスブロック1402,1404とに基づいて、タイミング信号を生成し、生成したタイミング信号をメモリ139へ出力する。この場合、タイミング信号は、図28に示すように、アドレスブロック1404とアドレスブロック1403との境界部で出力が開始され、ホストから指示された再生長だけ出力される。メモリ139は、グルーブトラック1405のアドレスブロック1403に記録されている再生データを保持する。
次に、システムコントローラ115は、アドレス復調器114からの再生アドレス情報に基づいて、スピンドルモータ102、光ヘッド103及びサーボ制御器104を制御して、光ヘッド103のスポットをランドトラック1406に移動させ、アドレスの再生を開始する。タイミング制御器138は、システムコントローラ115からのタイミング信号生成指示と、アドレス復調器114で再生されるアドレス情報であるアドレスブロック1402,1404とに基づいて、タイミング信号を生成し、生成したタイミング信号をメモリ139へ出力する。この場合、タイミング信号は、図28に示すように、アドレスブロック1404とアドレスブロック1403との境界部で出力が開始され、ホストから指示された再生長だけ出力される。メモリ139は、ランドトラック1406のアドレスブロック1403に記録されている再生データを保持する。
次に、システムコントローラ115は、アドレス復調器114からの再生アドレス情報に基づいて、スピンドルモータ102、光ヘッド103及びサーボ制御器104を制御して、光ヘッド103のスポットをグルーブトラック1407に移動させ、アドレスの再生を開始する。タイミング制御器138は、システムコントローラ115からのタイミング信号生成指示と、アドレス復調器114で再生されるアドレス情報であるアドレスブロック1402,1404とに基づいて、タイミング信号を生成し、生成したタイミング信号をメモリ139へ出力する。この場合、タイミング信号は、図28に示すように、アドレスブロック1404とアドレスブロック1403との境界部で出力が開始され、ホストから指示された再生長だけ出力される。メモリ139は、グルーブトラック1407のアドレスブロック1403に記録されている再生データを保持する。
上記の手順により、メモリ139には、半径方向に位相が揃った、グルーブトラック1405のアドレスブロック1403に記録された再生波形データと、ランドトラック1406のアドレスブロック1403に記録された再生波形データと、グルーブトラック1407のアドレスブロック1403に記録された再生波形データとが保存される。3つの記録トラックの再生波形データがメモリ139に保持されると、上記実施の形態2で説明した処理によりクロストーク成分が除去でき、データ復号器108で復調されるデータのエラーレートを低下させることができる。
なお、メモリ139に再生波形データを保存する手順は、上記に限定されない。また、3つの記録トラックの再生波形データがメモリ139に保存されなくてもよく、2つの記録トラックの再生波形データがメモリ139に保存され、クロストークキャンセル処理を実行してもよい。2つの再生波形データが使用される場合、3つの再生波形データが使用されるよりも、クロストーク成分を除去できる効果は減少するが、一方に隣接する記録トラックのクロストーク成分は除去できる。
このように、光ディスクの記録面内の位置情報を示すアドレス情報が、記録トラックのウォブリングによる所定のパターンによって記録され、記録トラックのアドレス情報以外の部分のウォブリングの周期の整数倍が、記録トラックの一周の長さと一致し、アドレス情報の周期の整数倍が、記録トラックの一周の長さと一致する。以上のような光ディスクのフォーマット構成でアドレスが配置され、アドレスの境界部を検出するタイミング制御器が設けられ、タイミング制御器のタイミング信号を使用して、3つの記録トラックの記録データの再生波形データがメモリに保存される。これにより、半径方向に位相が揃った状態で再生波形データを保存できるため、位相を大きく補正する必要が無くなる。その結果、数十チャネルビットもの位相を補正する位相補正回路が不要となり、クロストーク成分を除去する信号処理回路を小規模で構成することができる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る情報再生装置は、隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された情報記録媒体に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、前記光学レーザスポットからの反射光に基づいて前記データを再生する情報再生装置であって、前記記録トラックの中心部の反射光を受光する第1の受光部と、前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向に隣接する部分の反射光を受光する第2の受光部とに、記録トラック走査方向に平行な分割線により分割された光学検出器と、前記第1の受光部からの出力信号を波形等化する第1の適応等化フィルタと、前記第2の受光部からの出力信号を波形等化する第2の適応等化フィルタと、前記第1の適応等化フィルタからの出力波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形とに基づいて再生データを復号するデータ復号器と、を備える。
この構成によれば、光学検出器は、記録トラックの中心部の反射光を受光する第1の受光部と、中心部に対して情報記録媒体の半径方向に隣接する部分の反射光を受光する第2の受光部とに、トラック走査方向に平行な分割線により分割されている。第1の適応等化フィルタは、第1の受光部からの出力信号を波形等化する。第2の適応等化フィルタは、第2の受光部からの出力信号を波形等化する。データ復号器は、第1の適応等化フィルタからの出力波形と第2の適応等化フィルタからの出力波形とに基づいて再生データを復号する。
したがって、一つの光学レーザスポットから、光学レーザスポットの中心が走査する自トラックの信号成分と、自トラックに隣接するトラックからのクロストーク成分とが検出され、大規模な回路を実装することなく、所定の周波数を有するクロストーク成分を除去しつつ、所望のPR特性に等化することができるので、再生データのエラーレートを低減させることができ、再生性能を向上させることができる。
また、上記の情報再生装置において、前記データ復号器は、前記第1の適応等化フィルタからの出力波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理し、前記データ復号器による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、前記加算結果との誤差を算出する誤差検出器と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第1の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第1の係数演算部と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第2の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第2の係数演算部とをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、データ復号器は、第1の適応等化フィルタからの出力波形と第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理する。誤差検出器は、データ復号器による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、加算結果との誤差を算出する。第1の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第1の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。第2の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第2の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。
したがって、クロストーク成分が最小となるように第1の適応等化フィルタ及び第2の適応等化フィルタの係数が演算されることにより、クロストーク成分を除去した再生データを出力することができ、再生データのエラーレートを低減させることができる。
また、上記の情報再生装置において、前記第1の適応等化フィルタは、前記第1の受光部からの出力信号の波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を波形等化し、前記データ復号器は、前記第1の適応等化フィルタからの出力波形を2値化処理し、前記データ復号器による2値化処理結果と、前記第1の受光部からの出力信号の波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果とに基づいて理想的な再生波形を出力する第3の適応等化フィルタと、前記データ復号器による2値化処理結果に基づいて求められる等化目標波形と、前記第1の適応等化フィルタからの出力波形との誤差信号に基づいて、前記第1の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第1の係数演算部と、前記第1の受光部からの出力信号の波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果と、前記第3の適応等化フィルタからの出力波形との誤差信号に基づいて、前記第2の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第2の係数演算部とをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、第1の適応等化フィルタは、第1の受光部からの出力信号の波形と第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を波形等化する。データ復号器は、第1の適応等化フィルタからの出力波形を2値化処理する。第3の適応等化フィルタは、データ復号器による2値化処理結果と、第1の受光部からの出力信号の波形と第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果とに基づいて理想的な再生波形を出力する。第1の係数演算部は、データ復号器による2値化処理結果に基づいて求められる等化目標波形と、第1の適応等化フィルタからの出力波形との誤差信号に基づいて、第1の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。第2の係数演算部は、第1の受光部からの出力信号の波形と第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果と、第3の適応等化フィルタからの出力波形との誤差信号に基づいて、第2の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。
したがって、一つの光学レーザスポットから、光学レーザスポットの中心が走査する自トラックの信号成分と、自トラックに隣接するトラックからのクロストーク成分とが検出され、大規模な回路を実装することなく、所定の周波数を有するクロストーク成分を除去した後、所望のPR特性に等化することができるので、再生データのエラーレートを低減させることができ、再生性能を向上させることができる。
また、上記の情報再生装置において、前記第1の受光部の半径方向の幅を前記第2の受光部の半径方向の幅で割った値は、0.75〜2.25の範囲であることが好ましい。
この構成によれば、第1の受光部の半径方向の幅を第2の受光部の半径方向の幅で割った値が、0.75〜2.25の範囲である場合、隣接トラックからのクロストーク成分を高精度に除去することができる。
また、上記の情報再生装置において、前記第2の受光部は、前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向の一方に隣接する部分の反射光を受光する第3の受光部と、前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向の他方に隣接する部分の反射光を受光する第4の受光部とを含み、前記第2の適応等化フィルタは、前記第3の受光部からの出力信号を波形等化する第3の適応等化フィルタと、前記第4の受光部からの出力信号を波形等化する第4の適応等化フィルタとを含み、前記データ復号器は、前記第1の適応等化フィルタからの出力波形と前記第3の適応等化フィルタからの出力波形と前記第4の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理し、前記データ復号器による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、前記加算結果との誤差を算出する誤差検出器と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第1の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第1の係数演算部と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第3の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第2の係数演算部と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第4の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第3の係数演算部とをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、第2の受光部は、中心部に対して情報記録媒体の半径方向の一方に隣接する部分の反射光を受光する第3の受光部と、中心部に対して情報記録媒体の半径方向の他方に隣接する部分の反射光を受光する第4の受光部とを含む。第2の適応等化フィルタは、第3の受光部からの出力信号を波形等化する第3の適応等化フィルタと、第4の受光部からの出力信号を波形等化する第4の適応等化フィルタとを含む。データ復号器は、第1の適応等化フィルタからの出力波形と第3の適応等化フィルタからの出力波形と第4の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理する。誤差検出器は、データ復号器による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、加算結果との誤差を算出する。第1の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第1の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。第2の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第3の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。第3の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第4の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。
したがって、3つの受光部からの出力信号を用いて、隣接トラックからのクロストーク成分を除去することができる。
また、上記の情報再生装置において、前記第2の受光部は、前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向の一方に隣接する部分の反射光を受光する第3の受光部と、前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向の他方に隣接する部分の反射光を受光する第4の受光部とを含み、前記第2の適応等化フィルタは、前記第3の受光部からの出力信号を波形等化する第3の適応等化フィルタと、前記第4の受光部からの出力信号を波形等化する第4の適応等化フィルタとを含み、前記データ復号器は、前記第1の適応等化フィルタからの出力波形と前記第3の適応等化フィルタからの出力波形と前記第4の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理し、前記第3の受光部からの出力信号と前記第4の受光部からの出力信号との差分からウォブル信号を検出するウォブル検出部と、前記ウォブル検出部によって検出された前記ウォブル信号からアドレスを復調するアドレス復調器とをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、第2の受光部は、中心部に対して情報記録媒体の半径方向の一方に隣接する部分の反射光を受光する第3の受光部と、中心部に対して情報記録媒体の半径方向の他方に隣接する部分の反射光を受光する第4の受光部とを含む。第2の適応等化フィルタは、第3の受光部からの出力信号を波形等化する第3の適応等化フィルタと、第4の受光部からの出力信号を波形等化する第4の適応等化フィルタとを含む。データ復号器は、第1の適応等化フィルタからの出力波形と第3の適応等化フィルタからの出力波形と第4の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理する。ウォブル検出部は、第3の受光部からの出力信号と第4の受光部からの出力信号との差分からウォブル信号を検出する。アドレス復調器は、ウォブル検出部によって検出されたウォブル信号からアドレスを復調する。
したがって、3つの受光部からの出力信号を用いて、隣接トラックからのクロストーク成分を除去しつつ、ウォブル信号からアドレス情報を安定に再生することができる。
また、上記の情報再生装置において、前記第1の受光部の半径方向の幅を前記第3の受光部の半径方向の幅で割った値及び前記第1の受光部の半径方向の幅を前記第4の受光部の半径方向の幅で割った値は、1.5〜4.5の範囲であることが好ましい。
この構成によれば、第1の受光部の半径方向の幅を第3の受光部の半径方向の幅で割った値及び第1の受光部の半径方向の幅を第4の受光部の半径方向の幅で割った値が、1.5〜4.5の範囲である場合、隣接トラックからのクロストーク成分を高精度に除去することができる。
また、上記の情報再生装置において、前記第2の受光部は、前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向の一方に隣接する部分の反射光を受光する第3の受光部と、前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向の他方に隣接する部分の反射光を受光する第4の受光部とを含み、前記第1の受光部は、前記第3の受光部に対して前記情報記録媒体の半径方向の前記中心部側に隣接する第5の受光部と、前記第4の受光部に対して前記情報記録媒体の半径方向の前記中心部側に隣接する第6の受光部とを含み、前記第2の適応等化フィルタは、前記第3の受光部からの出力信号を波形等化する第3の適応等化フィルタと、前記第4の受光部からの出力信号を波形等化する第4の適応等化フィルタとを含み、前記第1の適応等化フィルタは、前記第5の受光部からの出力信号を波形等化する第5の適応等化フィルタと、前記第6の受光部からの出力信号を波形等化する第6の適応等化フィルタとを含み、前記データ復号器は、前記第3の適応等化フィルタからの出力波形と前記第4の適応等化フィルタからの出力波形と前記第5の適応等化フィルタからの出力波形と前記第6の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理し、前記データ復号器による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、前記加算結果との誤差を算出する誤差検出器と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第5の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第1の係数演算部と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第6の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第2の係数演算部と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第3の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第3の係数演算部と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第4の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第4の係数演算部とをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、第2の受光部は、中心部に対して情報記録媒体の半径方向の一方に隣接する部分の反射光を受光する第3の受光部と、中心部に対して情報記録媒体の半径方向の他方に隣接する部分の反射光を受光する第4の受光部とを含む。第1の受光部は、第3の受光部に対して情報記録媒体の半径方向の中心部側に隣接する第5の受光部と、第4の受光部に対して情報記録媒体の半径方向の中心部側に隣接する第6の受光部とを含む。第2の適応等化フィルタは、第3の受光部からの出力信号を波形等化する第3の適応等化フィルタと、第4の受光部からの出力信号を波形等化する第4の適応等化フィルタとを含む。第1の適応等化フィルタは、第5の受光部からの出力信号を波形等化する第5の適応等化フィルタと、第6の受光部からの出力信号を波形等化する第6の適応等化フィルタとを含む。データ復号器は、第3の適応等化フィルタからの出力波形と第4の適応等化フィルタからの出力波形と第5の適応等化フィルタからの出力波形と第6の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理する。誤差検出器は、データ復号器による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、加算結果との誤差を算出する。第1の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第5の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。第2の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第6の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。第3の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第3の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。第4の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第4の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。
したがって、4つの受光部からの出力信号を用いて、隣接トラックからのクロストーク成分を除去することができる。
また、上記の情報再生装置において、前記第3の受光部からの出力信号と前記第5の受光部からの出力信号とを加算した第1の加算信号と、前記第4の受光部からの出力信号と前記第6の受光部からの出力信号とを加算した第2の加算信号との差分からウォブル信号を検出するウォブル検出部と、前記ウォブル検出部によって検出された前記ウォブル信号からアドレスを復調するアドレス復調器とをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、ウォブル検出部は、第3の受光部からの出力信号と第5の受光部からの出力信号とを加算した第1の加算信号と、第4の受光部からの出力信号と第6の受光部からの出力信号とを加算した第2の加算信号との差分からウォブル信号を検出する。アドレス復調器は、ウォブル検出部によって検出されたウォブル信号からアドレスを復調する。
したがって、4つの受光部からの出力信号を用いて、隣接トラックからのクロストーク成分を除去しつつ、ウォブル信号からアドレス情報を安定に再生することができる。
本発明の他の局面に係る情報再生装置は、隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された情報記録媒体に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、前記光学レーザスポットからの反射光に基づいて前記データを再生する情報再生装置であって、前記情報記録媒体の記録面内の位置情報を示すアドレス情報が、前記記録トラックのウォブリングによる所定のパターンによって記録され、前記記録トラックの前記アドレス情報以外の部分のウォブリングの周期の整数倍が、前記記録トラックの一周の長さと一致し、前記アドレス情報の周期の整数倍が、前記記録トラックの一周の長さと一致し、前記情報記録媒体の前記アドレス情報を復調するアドレス復調器と、前記アドレス復調器によって復調された前記アドレス情報に基づいて、半径方向に位相の合ったタイミング信号を生成するタイミング制御器と、前記タイミング信号に基づいて、前記データの再生を所望する第1の記録トラックに記録されたデータの再生波形と、前記第1の記録トラックに隣接する第2の記録トラックに記録されたデータの再生波形とを保持するメモリと、前記メモリに保持された前記第1の記録トラックからの前記再生波形を波形等化する第1の適応等化フィルタと、前記メモリに保持された前記第2の記録トラックからの前記再生波形を波形等化する第2の適応等化フィルタと、前記第1の適応等化フィルタからの出力波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理するデータ復号器と、前記データ復号器による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、前記加算結果との誤差を算出する誤差検出器と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第1の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第1の係数演算部と、前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第2の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第2の係数演算部と、を備える。
この構成によれば、情報記録媒体の記録面内の位置情報を示すアドレス情報が、記録トラックのウォブリングによる所定のパターンによって記録されている。また、記録トラックのアドレス情報以外の部分のウォブリングの周期の整数倍が、記録トラックの一周の長さと一致する。さらに、アドレス情報の周期の整数倍が、記録トラックの一周の長さと一致する。そして、アドレス復調器は、情報記録媒体のアドレス情報を復調する。タイミング制御器は、アドレス復調器によって復調されたアドレス情報に基づいて、半径方向に位相の合ったタイミング信号を生成する。メモリは、タイミング信号に基づいて、データの再生を所望する第1の記録トラックに記録されたデータの再生波形と、第1の記録トラックに隣接する第2の記録トラックに記録されたデータの再生波形とを保持する。第1の適応等化フィルタは、メモリに保持された第1の記録トラックからの再生波形を波形等化する。第2の適応等化フィルタは、メモリに保持された第2の記録トラックからの再生波形を波形等化する。データ復号器は、第1の適応等化フィルタからの出力波形と第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理する。誤差検出器は、データ復号器による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、加算結果との誤差を算出する。第1の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第1の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。第2の係数演算部は、誤差検出器によって算出された誤差に基づいて第2の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する。
したがって、半径方向に位相が揃った状態で再生波形を保持できるため、位相を大きく補正する必要が無くなり、位相を補正する位相補正回路が不要となり、クロストーク成分を除去する信号処理回路を小規模で構成することができる。
本発明の他の局面に係る情報再生方法は、隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された情報記録媒体に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、前記光学レーザスポットからの反射光に基づいて前記データを再生する情報再生方法であって、前記記録トラックの中心部の反射光を受光する第1の受光ステップと、前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向に隣接する部分の反射光を受光する第2の受光ステップと、前記第1の受光ステップにおける出力信号を波形等化する第1の適応等化フィルタ処理ステップと、前記第2の受光ステップにおける出力信号を波形等化する第2の適応等化フィルタ処理ステップと、前記第1の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形と前記第2の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形とに基づいて再生データを復号するデータ復号ステップと、を含む。
この構成によれば、第1の受光ステップにおいて、記録トラックの中心部の反射光が受光される。第2の受光ステップにおいて、中心部に対して情報記録媒体の半径方向に隣接する部分の反射光が受光される。第1の適応等化フィルタ処理ステップにおいて、第1の受光ステップにおける出力信号が波形等化される。第2の適応等化フィルタ処理ステップにおいて、第2の受光ステップにおける出力信号が波形等化される。データ復号ステップにおいて、第1の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形と第2の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形とに基づいて再生データが復号される。
したがって、一つの光学レーザスポットから、光学レーザスポットの中心が走査する自トラックの信号成分と、自トラックに隣接するトラックからのクロストーク成分とが検出され、大規模な回路を実装することなく、所定の周波数を有するクロストーク成分を除去しつつ、所望のPR特性に等化することができるので、再生データのエラーレートを低減させることができ、再生性能を向上させることができる。
なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。
本発明は、再生性能を向上させることができ、隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された情報記録媒体に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、前記光学レーザスポットからの反射光に基づいて前記データを再生する情報再生装置及び情報再生方法に有用である。

Claims (5)

  1. 隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された情報記録媒体に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、前記光学レーザスポットからの反射光に基づいて前記データを再生する情報再生装置であって、
    前記記録トラックの中心部の反射光を受光する第1の受光部と、前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向に隣接する部分の反射光を受光する第2の受光部とに、記録トラック走査方向に平行な分割線により分割された光学検出器と、
    前記第1の受光部からの出力信号を波形等化する第1の適応等化フィルタと、
    前記第2の受光部からの出力信号を波形等化する第2の適応等化フィルタと、
    前記第1の適応等化フィルタからの出力波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形とに基づいて再生データを復号するデータ復号器と、
    を備え、
    前記第1の適応等化フィルタは、前記第1の受光部からの出力信号の波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を波形等化し、
    前記データ復号器は、前記第1の適応等化フィルタからの出力波形を2値化処理し、
    前記データ復号器による2値化処理結果と、前記第1の受光部からの出力信号の波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果とに基づいて理想的な再生波形を出力する第3の適応等化フィルタと、
    前記データ復号器による2値化処理結果に基づいて求められる等化目標波形と、前記第1の適応等化フィルタからの出力波形との誤差信号に基づいて、前記第1の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第1の係数演算部と、
    前記第1の受光部からの出力信号の波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果と、前記第3の適応等化フィルタからの出力波形との誤差信号に基づいて、前記第2の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第2の係数演算部と、
    をさらに備える情報再生装置。
  2. 前記第1の受光部の半径方向の幅を前記第2の受光部の半径方向の幅で割った値は、0.75〜2.25の範囲であることを特徴とする
    請求項1記載の情報再生装置。
  3. 隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された情報記録媒体に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、前記光学レーザスポットからの反射光に基づいて前記データを再生する情報再生装置であって、
    前記情報記録媒体の記録面内の位置情報を示すアドレス情報が、前記記録トラックのウォブリングによる所定のパターンによって記録され、
    前記記録トラックの前記アドレス情報以外の部分のウォブリングの周期の整数倍が、前記記録トラックの一周の長さと一致し、
    前記アドレス情報の周期の整数倍が、前記記録トラックの一周の長さと一致し、
    前記情報記録媒体の前記アドレス情報を復調するアドレス復調器と、
    前記アドレス復調器によって復調された前記アドレス情報に基づいて、半径方向に位相の合ったタイミング信号を生成するタイミング制御器と、
    前記タイミング信号に基づいて、前記データの再生を所望する第1の記録トラックに記録されたデータの再生波形と、前記第1の記録トラックに隣接する第2の記録トラックに記録されたデータの再生波形とを保持するメモリと、
    前記メモリに保持された前記第1の記録トラックからの前記再生波形を波形等化する第1の適応等化フィルタと、
    前記メモリに保持された前記第2の記録トラックからの前記再生波形を波形等化する第2の適応等化フィルタと、
    前記第1の適応等化フィルタからの出力波形と前記第2の適応等化フィルタからの出力波形との加算結果を2値化処理するデータ復号器と、
    前記データ復号器による2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、前記加算結果との誤差を算出する誤差検出器と、
    前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第1の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第1の係数演算部と、
    前記誤差検出器によって算出された前記誤差に基づいて前記第2の適応等化フィルタにおいて用いられる係数を演算する第2の係数演算部と、
    を備える情報再生装置。
  4. 隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された情報記録媒体に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、前記光学レーザスポットからの反射光に基づいて前記データを再生する情報再生方法であって、
    前記記録トラックの中心部の反射光を受光する第1の受光ステップと、
    前記中心部に対して前記情報記録媒体の半径方向に隣接する部分の反射光を受光する第2の受光ステップと、
    前記第1の受光ステップにおける出力信号を波形等化する第1の適応等化フィルタ処理ステップと、
    前記第2の受光ステップにおける出力信号を波形等化する第2の適応等化フィルタ処理ステップと、
    前記第1の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形と前記第2の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形とに基づいて再生データを復号するデータ復号ステップと、
    を含み、
    前記第1の適応等化フィルタ処理ステップは、前記第1の受光ステップにおける出力信号の波形と前記第2の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形との加算結果を波形等化し、
    前記データ復号ステップは、前記第1の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形を2値化処理し、
    前記データ復号ステップにおける2値化処理結果と、前記第1の受光ステップにおける出力信号の波形と前記第2の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形との加算結果とに基づいて理想的な再生波形を出力する第3の適応等化フィルタ処理ステップと、
    前記データ復号ステップにおける2値化処理結果に基づいて求められる等化目標波形と、前記第1の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形との誤差信号に基づいて、前記第1の適応等化フィルタ処理ステップにおいて用いられる係数を演算する第1の係数演算ステップと、
    前記第1の受光ステップにおける出力信号の波形と前記第2の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形との加算結果と、前記第3の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形との誤差信号に基づいて、前記第2の適応等化フィルタ処理ステップにおいて用いられる係数を演算する第2の係数演算ステップと、
    をさらに含む情報再生方法。
  5. 隣接する複数の記録トラック上にデータが記録された情報記録媒体に対して、一つの記録トラック上に一つの光学レーザスポットを形成して、前記光学レーザスポットからの反射光に基づいて前記データを再生する情報再生方法であって、
    前記情報記録媒体の記録面内の位置情報を示すアドレス情報が、前記記録トラックのウォブリングによる所定のパターンによって記録され、
    前記記録トラックの前記アドレス情報以外の部分のウォブリングの周期の整数倍が、前記記録トラックの一周の長さと一致し、
    前記アドレス情報の周期の整数倍が、前記記録トラックの一周の長さと一致し、
    前記情報記録媒体の前記アドレス情報を復調するアドレス復調ステップと、
    前記アドレス復調ステップにおいて復調された前記アドレス情報に基づいて、半径方向に位相の合ったタイミング信号を生成するタイミング制御ステップと、
    前記タイミング信号に基づいて、前記データの再生を所望する第1の記録トラックに記録されたデータの再生波形と、前記第1の記録トラックに隣接する第2の記録トラックに記録されたデータの再生波形とをメモリに保持する保持ステップと、
    前記メモリに保持された前記第1の記録トラックからの前記再生波形を波形等化する第1の適応等化フィルタ処理ステップと、
    前記メモリに保持された前記第2の記録トラックからの前記再生波形を波形等化する第2の適応等化フィルタ処理ステップと、
    前記第1の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形と前記第2の適応等化フィルタ処理ステップにおける出力波形との加算結果を2値化処理するデータ復号ステップと、
    前記データ復号ステップにおける2値化処理結果に基づいて算出される等化目標波形と、前記加算結果との誤差を算出する誤差検出ステップと、
    前記誤差検出ステップにおいて算出された前記誤差に基づいて前記第1の適応等化フィルタ処理ステップにおいて用いられる係数を演算する第1の係数演算ステップと、
    前記誤差検出ステップにおいて算出された前記誤差に基づいて前記第2の適応等化フィルタ処理ステップにおいて用いられる係数を演算する第2の係数演算ステップと、
    を含む情報再生方法。
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