明 細 書
光学フィルムとその製造方法、偏光板及び液晶表示装置
技術分野
[0001] 本発明は光学フィルム、偏光板及び表示装置に関し、詳しくは幅広、或いは薄膜 の基材であっても、すべり性に優れ、正面コントラストが改善された光学フィルムとそ の製造方法、及びそれを用いた偏光板、表示装置に関する。
背景技術
[0002] 液晶表示装置に用いる偏光板の材料としてトリァセチルセルロースに代表されるセ ノレロースエステル系のフィルムや、シクロォレフイン系フィルム、ポリカーボネート系フ イルムなど、様々なフィルムが存在する力 近年、液晶表示装置の薄型、軽量化と偏 光板の生産性向上'コストダウンのため、これらのフィルムには更なる薄膜化、広幅化 、長尺化が求められている。
[0003] しかしながら、これらのフィルムをそのまま薄膜化'広幅化'長尺化を進めるとフィノレ ムを巻き取る際に様々な故障が発生してしまうことがある。そこで、すべり性を良くする フィルムを 1枚付ける力、、あるいはマット剤を増量するなどで対応する手段もある。しか し、マット剤を増量するとすベり性は改善するが、フィルムに入射した光が散乱するな どにより、表示装置の正面コントラストが低下するといつた問題が発生し、品質の低下 が起こってしまう。
[0004] また、 1枚すベり性を良くするフィルムを付けるのはすべり性向上や枚形状の改善 には有効な手段である力、部材のコストアップや、フィルムを巻いたときの大きさが大 きくなつてしまうという問題があり、あるいはすべり性を付与したフィルムを廃棄する場 合の環境問題等がある (例えば、特許文献 1〜3参照)。
特許文献 1:特開 2001— 183528号公報
特許文献 2:特開 2001— 64422号公報
特許文献 3:特開 2001 _ 83327号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 本発明は上記問題に鑑み、光学フィルム中のマット剤を減量しながらすべり性を向 上させ、広幅化 ·薄膜化 ·長尺化に対応しただけではなく正面コントラストの向上させ た光学フィルムとその製造方法、及びそれを用いた偏光板、表示装置を提供すること を課題とする。
課題を解決するための手段
[0006] 本発明に係る上記課題は、下記の手段によって解決される。
[0007] 1.透明基材フィルムの溶液流延製膜方法による光学フィルムの製造方法において 、ウェブ中の残留溶媒が 5〜400質量%である時に、少なくとも平均粒経が 25〜200 nmの微粒子を含有する微粒子分散液をインクジェットヘッドを用いて液滴として、吐 出し、ウェブの一方の面上に、着弾、付着させて、微細凸構造を形成し、かつ該微細 凸構造の凸部の高さ力 01—0. 5〃mである凸部を 10000〃m2当たり 〜 10000 個形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
[0008] 2.前記ウェブの一方の面に微細凸構造を形成する際の該ウェブ周囲の雰囲気含 有溶媒濃度が 50〜; !OOOOppmであることを特徴とする前記 1に記載の光学フィルム の製造方法。
[0009] 3.前記ウェブの一方の面を直径 50〜1000mmバックロールに当てた状態でもう 一方の面に前記微粒子分散液をインクジェットヘッドを用いて付着させることを特徴と する前記 1又は 2に記載の光学フィルムの製造方法。
[0010] 4.前記ウェブ上に微粒子分散液の付着を行ってから、 0.;!〜 240秒以内に該ゥェ ブ面を搬送ロールに接触させることを特徴とする前記 1〜3のいずれか一項に記載の 光学フィルムの製造方法。
[0011] 5.前記ウェブ上に微粒子分散液の付着を行ってから、;!〜 300秒以内に、該ゥェ ブを搬送方向と直行する方向に 1. 05-2. 5倍の延伸処理することを特徴とする前 記 1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
[0012] 6.微粒子分散液が付着したウェブ面が最初に搬送ロールに接触してから 0. 5〜2
40秒以内に、該ウェブを搬送方向と直行する方向に 1. 05-2. 5倍の延伸処理を行 うことを特徴とする前記 1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
[0013] 7.前記延伸処理の際の残留溶媒が 0. 5質量%〜; 100質量%であり、延伸処理前
後の残留溶媒差が 0. 4質量%〜99質量%であることを特徴とする前記 5又は 6に記 載の光学フィルムの製造方法。
[0014] 8.前記透明基材フィルムの幅が 1. 4〜5mであることを特徴とする前記;!〜 7のい ずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
[0015] 9.前記透明基材フィルムの巻き長さが 2000〜10000mであり、膜厚が 5〜55 mであることを特徴とする前記 1〜8のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方 法。
[0016] 10.前記透明基材フィルム力 セルロースエステル、シクロォレフイン系ポリマー、 ポリカーボネート、及びポリ乳酸から選ばれる高分子化合物の少なくとも一種を含有 することを特徴とする前記 1〜9のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
[0017] 11.前記 1〜9のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法によって製造さ れたフィルムであって、透明基材フィルム上の少なくとも一方の面に光学異方層を設 けたことを特徴とする光学フィルム。
[0018] 12.前記光学異方層が活性線硬化層であることを特徴とする前記 11に記載の光 学フィルム。
[0019] 13.波長 589nmにおける Roが;!〜 400nm、 Rtがー 400〜400nmであることを特 徴とする前記 11又は 12に記載の光学フィルム。
[0020] 14.前記光学フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層、防眩層、反射防止 層、帯電防止層から選択される層を設けたことを特徴とする前記 11〜; 13のいずれか 一項に記載の光学フィルム。
[0021] 15.前記 11〜; 13のいずれか一項に記載の光学フィルムを用いたことを特徴とする 偏光板。
[0022] 16.前記 11〜; 14のいずれか一項に記載の光学フィルムを用いたことを特徴とする 表示装置。
[0023] 17.前記 15に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
発明の効果
[0024] 本発明の上記手段により、光学フィルム中のマット剤を減量しながらすべり性を向上 させ、広幅化 ·薄膜化 ·長尺化に対応しただけではなく正面コントラストの向上させた
光学フィルムとその製造方法、及びそれを用いた偏光板、表示装置を提供することが 出来る。
[0025] なお、本発明の手段により部材コストの削減も出来る。
図面の簡単な説明
[0026] [図 1]透明基材フィルム上にインクジェット方式でブロッキング防止機能を有する微細 凸構造を設けた一例を示す模式図
[図 2]他の凸構造の一例を示す断面図
[図 3]微粒子分散液 (インク)の吐出角度、及び吐出方法を示す概略図
[図 4]本発明に係るインクジェット方法に用いることの出来るインクジェットヘッドの一 例を示す断面図
[図 5]本発明で用いることの出来るインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示 す概略図
[図 6]本発明で好ましく用いることの出来るインクジェット方式の一例を示す模式図 [図 7]インクジェット方式により、粒径の大きなインク液滴で微細凸構造を形成した後、 より粒径の小さなインク液滴で、更に微細な凸構造を形成した一例を表す模式図 [図 8]微粒子分散液 (インク)液滴の中に微粒子を含有させた凸部の一例を示す断面 図
[図 9]溶液流延で透明基材を製造する工程に、インクジェット方式により微細凸構造 を設ける工程を付加したフ口一を示す模式図
[図 10]溶融流延で透明基材を製造する工程に、インクジェット方式により微細凸構造 を設ける工程を付加したフ口一を示す模式図
[図 11]透明基材上にインクジェット方式により微細凸構造を設ける別の工程のフロー を示す模式図
符号の説明
[0027] 1、 14、 502 透明基材
2 機能性層
3 微粒子分散液 (インク)液滴
10 インクジェッ卜ヘッド、
11 支持体
12 流延ダイス
21 溶融ダイス
22 製膜ロール
501 フィルムロール
503 第 1コータ
504A、 B ノ ックローノレ
505A、B 乾燥ゾーン
506 紫外線照射部
508 インク供給タンク
509 インクジェット出射部
発明を実施するための最良の形態
[0028] 本発明の光学フィルムの製造方法は、透明基材フィルムの溶液流延製膜方法によ る光学フィルムの製造方法において、ウェブ中の残留溶媒が 5〜400質量%である 時に、少なくともマット剤を形成する微粒子(一次粒子)が凝集した二次粒子の平均 粒経が 25〜200nmの微粒子を含有する微粒子分散液をインクジェットヘッドを用い て液滴として、吐出し、ウェブの一方の面上に、着弾、付着させて、微細凸構造を形 成し、かつ該微細凸構造の凸部の高さが 0. 01—0. 5 mである凸部を 10000〃m 2当たり;!〜 10000個形成することを特徴とする。この、着弾 ·付着させることを本明細 書では塗布と!/、う範疇に含めるものとする。
[0029] なお、本発明の光学フィルム、それを用いた偏光板及び表示装置は、上記製造方 法の発明によって実現されたものである。
[0030] 以下、本発明とその構成要素等について詳細な説明をする。
[0031] (微粒子分散液)
本発明に係る微粒子分散液は、インクジェット方式により微細な凸構造を形成する 組成物を含有することを要する力 該組成物の成分としては、微粒子を必須とし、そ の他に、熱可塑性樹脂、活性光線硬化型樹脂、または熱硬化性樹脂を含有すること
が好ましい。
[0032] 〈微粒子〉
本発明に係る微粒子分散液は、平均粒経が 25〜200nmの微粒子を含有すること を特徴とする。当該平均粒径は、 50〜; 150nmであることが好ましい。更には、 80〜1 20nmであることがより好まし!/、。
[0033] なお、微粒子の平均粒径は、粒子の電子顕微鏡写真で観察し、 1 , 000個の任意 の粒子の粒径を測定し、その単純平均値 (個数平均)として求められる。ここで個々 の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものであ
[0034] 本発明において、微粒子分散液中に含有せしめることの出来る微粒子としては、例 えば、無機微粒子または有機微粒子を挙げることが出来る。
[0035] 無機微粒子としては、例えば、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム 、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケィ酸カル シゥム、水和ケィ酸カルシウム、ケィ酸アルミニウム、ケィ酸マグネシウム及びリン酸力 ルシゥム等が好ましぐ更に好ましくは、ケィ素を含む無機化合物や酸化ジルコユウ ムであるが、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。これらは球状、平板状、無定形 状等の形状の粒子が挙げられる。
[0036] 二酸化珪素の微粒子としては、例えば、ァエロジノレ R972、 R972V、 R972CF、 R 974、 R812、 50、 200、 200V, 300、 R202、 0X50、 TT600、 MOX170 (以上曰 本ァエロジル (株)製)等の市販品が使用出来る。
[0037] 酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、ァエロジル R976及び R811 (以上日 本ァエロジル (株)製)等の市販品が使用出来る。
[0038] また、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアタリレート樹脂微粒子、アタリ ノレスチレン系樹脂微粒子、ポリメチルメタタリレート樹脂微粒子、シリコン系樹脂微粒 子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹 脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、ポリオレフイン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂 微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子、ポリイミド系樹脂微粒子、またはポリ弗化工チレン 系樹脂微粒子、セルロースエステル系樹脂等を挙げることが出来る。例えば、ポリメ
チノレメタタリレート架橋粒子として MS— 300K、 MS— 300Χ(粒径 0. 1〃 m)、アタリ ル単分散粒子として MP1451 (いずれも綜研化学 (株)製)が好ましく用いられる。
[0039] 好ましくは微粒子分散液に含まれる樹脂と微粒子との屈折率差が ± 0. 02以内で ある、また微粒子分散液に含まれる樹脂と基材フィルムとの屈折率差も ± 0. 02以内 であることが好ましい。
[0040] 微粒子分散液に含まれる樹脂と微粒子の比率は、固形分全体の;!〜 99%が微粒 子であることが好ましぐ 5〜95%が微粒子であることがさらに好ましい。
[0041] 微粒子分散液はさらに希釈して用いることが好ましい。濃度はインクジェットヘッドの 塗布の液量と塗布液粘度および必要密度によって適宜調整して使用することが出来 る力 塗布密度は 50〜500 111四方に 1点程度であればよぐ微粒子の 2次粒経が 本発明の範囲であれば、 2次粒子は前記範囲に 1〜20個ほどあればすべり性が確 保できさらに最終的な表示装置の正面コントラストを高いまま維持することが出来る。 ヘッドのノズル間隔にもよる力 S、希釈液は微粒子分散液を 1000〜; 100万倍程度に 希釈すればよい。
[0042] 〈樹脂成分〉
本発明に係る微粒子分散液は、微粒子の他の成分として、熱可塑性樹脂、活性光 線硬化型樹脂、または熱硬化性樹脂を含有しても良い。
[0043] 始めに、本発明に用いられる熱可塑性樹脂について説明する。
[0044] 本発明に係る熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、セルロースエステル、 ポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロォレフインポリマー、ポリエステル、ポリビュル アルコールなどが好ましい例として挙げられるがこれらのみに限定されるものではな い。
[0045] 本発明の微粒子分散液に用いることが出来る熱可塑性樹脂は、特にセルロースェ ステルを主成分とすることが好ましぐ後述する透明基材フィルムに用いられるセル口 ースエステルが好ましく用いられる。即ち、セルロースアセテート、セルロースジァセ テート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セル ロースアセテートフタレート、セノレローストリアセテート、セノレロースナイトレート等のセ ルロースエステル類が好ましぐ特にセルロースアセテート、セルロースジアセテート、
セルロースアセテートプロピオネートが好ましい。総ァシル基置換度 2. 0〜3. 0のセ ルロースエステルが好ましく用レ、られる。透明基材フィルムにセル口ースエステルを用 いる場合は
、該セルロースエステルと同じ力、、それよりも低い置換度のセルロースエステルが好ま しく用いられる。特に凸部形成面をアルカリケン化処理して偏光子を貼合する場合は 該セルロースエステルが好ましく用いられる。セルロースエステルは後述する有機溶 媒に溶解させ、微粒子分散液組成物として用いることが出来る。
[0046] 次に、本発明に用いることが出来る活性光線硬化型樹脂について説明する。
[0047] 活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なも のとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂で あよい。
[0048] 紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外 線硬化型ポリエステルアタリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアタリレート系樹脂 、紫外線硬化型ポリオールアタリレート系樹脂または紫外線硬化型エポキシ樹脂等 を挙げることが出来る。
[0049] 具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリアタリレート、ジトリメチロールプ 口パンテトラアタリレート、ペンタエリスリトーノレトリアタリレート、ペンタエリスリトールテト ラアタリレート、ジペンタエリスリトールへキサアタリレート、アルキル変性ジペンタエリ スリトールペンタアタリレート等を挙げることが出来る。
[0050] 紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールにィ ソシァネートモノマー、若しくはプレボリマーを反応させて得られた生成物に更に 2— メタタリレートを包含するものとしてアタリレートのみを表示する)、 2—ヒドロキシプロピ ルアタリレート等の水酸基を有するアタリレート系のモノマーを反応させる容易に形成 されるものを挙げること力 S出来、特開昭 59— 151110号公報に記載のものを用いるこ とが出来る。
[0051] 紫外線硬化型ポリエステルアタリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオ ールに 2—ヒドロキシェチルアタリレート、 2—ヒドロキシアタリレート系のモノマーを反
応させる容易に形成されるものを挙げることが出来、特開昭 59— 151112号公報に 記載のものを用いることが出来る。
[0052] 紫外線硬化型エポキシアタリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアタリレート をオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成す るものを挙げること力 S出来、特開平 1— 105738号公報に記載のものを用いることが 出来る。
[0053] これらの光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及び誘導体、ァセトフエノ ン、ベンゾフエノン、ヒドロキシベンゾフエノン、ミヒラーズケトン、 α —アミ口キシムエス テル、チォキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。光増感剤と共に 使用してもよい。
[0054] 樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルァ タリレート、ェチルアタリレート、ブチルアタリレート、ベンジルアタリレート、シクロへキ シルアタリレート、酢酸ビュル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る
〇
[0055] 本発明にお!/、て使用し得る市販品の紫外線硬化樹脂としては、アデカオブトマー KR.BYシリーズ: KR— 400、 KR— 410、 KR— 550、 KR— 566、 KR— 567、 BY — 320B (旭電化(株)製);コーエイハード A— 101— KK、 A— 101— WS、 C— 302 、 C— 401— N、 C— 501、 M—皿、 M— 102、 T— 102、 D— 102、 NS—皿、 F T— 102Q8、 MAG— 1— P20、 AG— 106、 M—皿— C (広栄化学(株)製);セィ 力ビーム PHC2210 (S)、 PHCX— 9 (K— 3)、 PHC2213、 DP— 10、 DP— 20、 D P— 30、 P1000、 P1100、 P1200、 P1300、 P1400、 P1500、 P1600、 SCR900 ( 大曰精化工業(株)製); KRM7033、 KRM7039、 KRM7130、 KRM7131 , UV ECRYL29201、 UVECRYL29202 (ダイセノレ'ユーシービー(株)製); RC— 501 5、 RC— 5016、 RC— 5020、 RC— 5031、 RC— 5100、 RC— 5102、 RC— 5120 、 RC— 5122、 RC— 5152、 RC— 5171、 RC— 5180、 RC— 5181 (大曰本インキ 化学工業 (株)製);ォーレックス No. 340クリャ(中国塗料 (株)製);サンラッド H— 60 1、 RC700、 RC750 (三洋化成工業(株)製); SP— 1509、 SP— 1507 (昭和高分 子(株)製); RCC— 15C (グレース'ジャパン(株)製)、ァロニックス M— 6100、 M—
8030、 M— 8060 (東亞合成 (株)製)等を適宜選択して利用出来る。
[0056] これらの活性線硬化樹脂は公知の方法で硬化することが出来る力 本発明の場合 は塗布後第一ロールに接触する前に活性線照射処理を行うことが好ましい。
[0057] 紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させるための光源としては、紫外線を 発生する光源であれば制限なく使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高 圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ 等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なる力 照射光量 は 20〜; 10000mj/cm2程度あればよぐ好ましくは、 50〜2000mj/cm2である 紫外線硬化樹脂を含有する微粒子分散液に用いられる有機溶媒としては、例えば 、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他 の有機溶媒の中から適宜選択し、或いはこれらを混合し利用出来る。例えば、プロピ レンダリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として 1〜4)または プロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数 として 1〜4)等を 5質量%以上、より好ましくは 5質量%〜80質量%以上含有する上 記有機溶媒を用いるのが好ましレ、。
[0058] この他に、微粒子分散液にはフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、或!/、は ノユオン系界面活性剤等の界面活性剤を、 0. 0;!〜 5. 0%程度添加することが出来
[0059] 次いで、本発明に用いることが出来る熱硬化性樹脂について説明する。
[0060] 本発明で用いることの出来る熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ェ ポキシ樹脂、ビュルエステル樹脂、フエノール樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化 性ポリアミドイミドなどを挙げることが出来る。
[0061] 不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、オルソフタル酸系樹脂、イソフタル酸系 樹脂、テレフタル酸系樹脂、ビスフエノール系樹脂、プロピレングリコールーマレイン 酸系樹脂、ジシクロペンタジェンなレ、しその誘導体を不飽和ポリエステル組成に導入 して低分子量化した、或!/、は被膜形成性のワックスコンパウンドを添加した低スチレ ン揮発性樹脂、熱可塑性樹脂 (ポリ酢酸ビュル樹脂、スチレン 'ブタジエン共重合体 、ポリスチレン、飽和ポリエステルなど)を添加した低収縮性樹脂、不飽和ポリエステ
ノレを直接 Brでブロム化する、或いはへット酸、ジブロムネオペンチルグリコールを共 重合するなどした反応性タイプ、塩素化パラフィン、テトラブロムビスフエノール等のハ ロゲン化物と三酸化アンチモン、燐化合物の組み合わせや水酸化アルミニウムなど を添加剤として用いる添加タイプの難燃性樹脂、ポリウレタンやシリコーンとハイブリツ ド化、または IPN化した強靭性(高強度、高弾性率、高伸び率)の強靭性樹脂等があ
[0062] エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフエノール A型、ノポラックフエノール型、ビスフ ェノール F型、臭素化ビスフエノール A型を含むグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、 グリシジルァミン系、グリシジルエステル系、環式脂肪系、複素環式エポキシ系を含 む特殊エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
[0063] ビュルエステル樹脂としては、例えば、普通エポキシ樹脂とメタクリル酸等の不飽和 一塩基酸とを開環付加反応して得られるオリゴマーをスチレン等のモノマーに溶解し た物である。また、分子末端や側鎖にビュル基を持ちビュルモノマーを含有する等の 特殊タイプもある。グリシジルエーテル系エポキシ樹脂のビュルエステル樹脂として は、例えば、ビスフエノール系、ノポラック系、臭素化ビスフエノール系等があり、特殊 ビュルエステル樹脂としてはビュルエステルウレタン系、イソシァヌル酸ビュル系、側 鎖ビュルエステル系等がある。
[0064] フエノール樹脂は、フエノール類とフオルムアルデヒド類を原料として重縮合して得 られ、レゾール型とノポラック型がある。
[0065] 熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例えば、マレイン酸系ポリイミド、例えばポリマレイ ミドアミン、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミド ·〇, Of —ジァリルビスフエノール
—A樹脂、ビスマレイミド 'トリァジン樹脂等、またナジック酸変性ポリイミド、及びァセ チレン末端ポリイミド等がある。
[0066] また、上述した活性光線硬化型樹脂の一部も、熱硬化性樹脂として用いることが出 来る。
[0067] 尚、本発明に係る熱硬化性樹脂を含有する微粒子分散液には、酸化防止剤や紫 外線吸収剤を適宜用いてもょレ、。
[0068] 本発明にお!/、て、インクジェット方式により形成した凸部が熱硬化性樹脂を含む場
合、加熱方法としては、微粒子分散液の液滴を透明基体上に着弾させた直後に、加 熱処理を行うことが好ましレ、。
[0069] 本発明で!/、う微粒子分散液の液滴を透明基体上に着弾させた直後とは、具体的に は微粒子分散液の液滴が着弾と同時または 5秒以内に加熱が開始されることが好ま しぐ予め透明基材の温度を上げておくことが出来る。例えば、透明基材をヒートロー ル上に巻き付けて、これに微粒子分散液の液滴を着弾させることが出来、より好まし くは着弾と同時または 2. 0秒の間である。また、ノズル部と加熱部の距離が接近し過 ぎて、熱がヘッド部に伝達すると、ノズル部での硬化によりノズル詰まりを起こすため 注意が必要である。また、必要に応じて加熱間隔が 5. 0秒を超えることによって、着 弾した微粒子分散液の液滴の流動、変形させなだらかな凸構造を得ることも出来る。
[0070] 上記加熱時のノズル部への熱の伝達を防止するため、本発明のインクジェット方式 にお!/、ては、加熱部をインクジェットヘッドのノズノレ部に直接作用させな!/、位置に配 置することが好ましい。
[0071] 加熱方法としては、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルへッ ド、或いは着弾した微粒子分散液表面に熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが 好ましい。また、インクジェット出射部の透明支持体を挟んで反対側に設けるバック口 ールを、ヒートロールとして、連続的に加熱を施してもよい。加熱温度としては、使用 する熱硬化性樹脂の種類により一概には規定出来ないが、透明基材への熱変形等 の影響を与えない温度範囲であることが好ましぐ 30〜200°Cが好ましぐ更に 50〜 120°Cが好ましく、特に好ましくは 70〜; 100°Cである。
[0072] 本発明に係る微粒子分散液にお!/、ては、組成物として、上述した熱可塑性樹脂、 活性光線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂のレ、ずれも用いることが出来るが、好まし くは熱可塑性樹脂を用いることである。
[0073] 本発明に係る上記微粒子分散液には、必要に応じて 0〜99. 9質量%の溶媒を含 有させることが出来る。例えば、水系溶媒に前記熱可塑性樹脂成分、活性光線硬化 型樹脂モノマー成分、或いは熱硬化性樹脂モノマー成分を溶解若しくは分散させて もよぐ、或いは有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒は低沸点のものでも高沸点のもの でも適宜選択して用いることが出来、これらの溶媒の添加量や種類、組成は微粒子
分散液の粘度を調整するため適宜調整することが好ましい。さらにインクジェット塗布 の際にはこの微粒子分散液をさらに希釈して用いることが好ましい。
[0074] 本発明に係る微粒子分散液で用いることが出来る溶媒としては、例えば、メタノー ノレ、エタノーノレ、 1—プロノ ノーノレ、 2—プロノ ノーノレ、ブタノーノレ等のァノレコーノレ類; アセトン、メチルェチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへキサノン等のケトン類 ;ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳 香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール 等のグリコール類;ェチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、ェチルカルビトール、プチ ノレカノレビトーノレ、ジェチノレセノレソノレブ、ジェチノレカノレビトーノレ、プロピレングリコーノレ モノメチルエーテル等のグリコールエーテル類; N—メチルピロリドン、ジメチルフオル ムアミド、乳酸メチル、乳酸ェチル、酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸アミル等のエステ ル類;ジメチルエーテル、ジェチルエーテル等のエーテル類、水等が挙げられ、それ らを単独または 2種以上混合して使用することが出来る。また、分子内にエーテル結 合をもつものが特に好ましぐグリコールエーテル類も好ましく用いられる。
[0075] グリコールエーテル類としては、具体的には下記の溶媒が挙げられる力 特にこれ らに限定されない。プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモ ノエチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモノブチノレエーテノレ、ジエチレングリコ一ノレ ジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメ チノレエーテノレ Ac、エチレングリコーノレモノブチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノ ェチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノェチノレエーテノレ Ac、エチレングリコーノレジ ェチルエーテル等を挙げることが出来る、尚 Acはアセテートを表す。本発明に係る 微粒子分散液においては、上記溶媒の中でも、沸点力 100°C未満の溶媒が好ましく 用いられる。これらの溶媒は、インクジェットヘッドから吐出された直後から揮発され、 着弾後も所望の凸形状が維持される程度に速やかに揮発、乾燥されることが望まし V、。或いは揮発性の異なる溶媒を混合してその比率を変更することで凸形状を制御 することも出来る。
[0076] 微粒子分散液に使用する溶媒は基材フィルムを溶解する溶媒と溶解しない溶媒と を混合して用いることが好ましぐ混合比率は 1 : 9〜9 : 1であることが好ましぐ比率は
適宜調整される
(微細凸構造の形成)
本発明に係る微細凸構造は、透明基材フィルムの溶液流延製膜方法による光学フ イルムの製造方法において、ウェブ中の残留溶媒が 5〜400質量%である時に、少 なくとも平均粒経が 25〜200nmの微粒子を含有する微粒子分散液をインクジェット ヘッドを用いて液滴として、吐出し、ウェブの一方の面上に、着弾、付着させて、形成 することを特徴とする。
[0077] 尚、ここで言う微細凸構造とは層を形成してもよぐまた層構造を有さず基材上に微 粒子分散液の液滴による微細凸部が点在する状態でもよい。
[0078] 本発明に係る上記ウェブ中の残留溶媒は、 20〜300質量%であることが好ましい。
更には、 50〜; 150質量%であることが好ましい。ウェブの一方の面に微細凸構造を 形成する際の該ウェブ周囲の雰囲気含有溶媒濃度は、 50〜; !OOOOppmであること を要する。雰囲気の溶媒濃度が低すぎると微粒子分散液 (塗布液)のウェブに対する なじみカ良 <なレ、場合力ぁり、 500〜8000ppm程度カ好まし <、 1000〜7000ppm 程度がさらに好ましい
雰囲気の溶媒濃度の測定は、通常溶液流延の際にはエンクロージャー内で、塗布 のヘッドから、透明基材(ウェブ)搬送方向に、 30cm離れたところで雰囲気の空気を 1000cm3集気を行い、ガスクロマトグラフ法で測定することが出来る。
[0079] 本発明における微粒子含有溶液の付着(塗布)は透明基材フィルム(ウェブ)の一 方の面をバックロールに当てた状態でもう一方の面に付着(塗布)を行うことが好まし く、該バックローノレの直径は 50mm〜1000mmが好ましく、 95mm〜950mmがより 好ましい。直径が小さくなるとウェブの曲がりが大きくなること、あるいは付着(塗布)面 とインクジェットヘッドとの距離が安定する部分が狭くなり付着(塗布)が偏りを生じて しまうことやシヮガ発生してしまうといった問題が発生してしまう。バックロールの直径 が大きすぎると、設置場所の問題以外にも、バックロールの温度制御が煩雑になるた め安定性の確保が困難になる。
[0080] 付着(塗布)を行ってから付着(塗布)面を搬送ロールに接触させるまでの時間は短 すぎると付着(塗布)部分がウェブとなじむ前に接触することから、剥れてしまうことが
ある。また時間が長すぎると乾燥が進んでしまレ、付着(塗布)部分が剥れてしまうこと がある。従って、ウェブ上に微粒子分散液の付着(塗布)を行ってから、 0.;!〜 240秒 以内に該ウェブ面を搬送ロールに接触させることを要する。この時間は、好ましくは 0 . 1秒〜 150秒、より好ましくは 0. 1秒〜 65秒の範囲である。
[0081] ウェブ上に微粒子分散液の付着(塗布)を行ってから、;!〜 300秒以内、好ましくは
5〜200秒、より好ましくは 5〜; 180秒以内に、該ウェブを搬送方向と直行する方向に 1. 05倍〜 2. 5倍の延伸処理することが本発明に係る課題解決の観点から好ましい 。また、微粒子分散液が付着したウェブ面が最初に搬送ロールに接触してから 0. 5 〜240秒以内に、該ウェブを搬送方向と直行する方向に 1. 05倍〜 2. 5倍の延伸処 理を行うことが好ましい。なお、前記延伸処理の際の残留溶媒が 0. 5質量%〜; 100 質量%であり、延伸処理前後の残留溶媒差が 0. 4質量%〜99質量%であることが 好ましい。
[0082] インクジェット方式による上記微粒子分散液の液滴としては、 1種類の微粒子分散 液を用いてもよ!/、が、 2種以上の組成の異なる微粒子分散液の液滴を用いてもよぐ 或いは 2種以上の粒径の異なる微粒子分散液液滴を用いてもよい。或いは、微粒子 分散液の液滴中に微粒子を含有させることが好ましぐまた微粒子分散液中の溶媒 含有量や微粒子分散液の表面エネルギー、微粒子分散液付着面の表面エネルギ 一(接触角)を制御することも好ましぐこれらにより本発明の目的効果がより一層発 揮される。
[0083] また、本発明の光学フィルムは、透明基材フィルム上に上記で規定する該微細凸 構造を直接形成する構成、或いは 1層以上の予め設けられた機能性層を有する透 明基材フィルム上に、本発明の該微細凸構造を設ける構成のいずれでもよい。
[0084] 本発明に係る微細凸構造は、例えば、すべり性を向上する場合は凸部の数を増や す、または同じ数なら高さを高くする、凸部の傾斜をきつくするなどの調整が可能で ある。また、本発明によればフィルムの幅手方向で簡単に凸部の数を変更することも 出来る。例えば、端部の凸部数を多ぐフィルム中央を少なくすることや、その逆も可 能である。或いはフィルムの長尺方向で凸部数を変更することも出来る。例えば押さ れ変形やブロッキング故障が発生し易い巻きの中心部では凸部の数を増やしたり、
凸部の高さを高くすることが出来、巻きの外側になるにつれて凸部の数や高さを変更 していくといったことが可能になる。特にフィルム幅が 1. 4〜4mといった広幅になつ た場合、従来の方法では十分に対応出来なかったが、本発明によって著しく改良す ることが出来たのである。本発明によれば、フィルムに様々な加工を施した後に、適 切なすベり性を追加で簡便に付与することが出来る点でも優れている。また、フィノレ ムの品種に応じて凸部数を変更することも簡単であり、生産性も著しく向上する。この ような制御が簡単に行える点でインクジェット方式は極めて優れている。
[0085] 本発明で形成される凸部は、高さ a (図 1参照)が 0. 01 -0. 5 111の凸部が10〜1 0000個/ 10000 m2であることを要する。 1個以下ではブロッキング防止効果が不 十分となる場合があり、 10000個以上だとブロッキング防止効果は問題ないが、生産 性が低下し、ヘイズが悪化する場合がある。好ましくは 10〜; 10000個/ 10000〃m2 である。
[0086] また高さ aが 0. 02—0. 3〃 mの凸部カ 0〜; 10000個/ 10000〃 m2であること力 S 好ましく、 0. 02〜0. 2〃111の凸咅力 0〜; ΙΟΟθί固/ lOOOO ^ m2であることカ更に 好ましい。
[0087] また凸部の直径 b (図 1参照)は 0· 01〜1 111カ好ましく、更に好ましくは 0· 0;!〜 0 . 3〃mである。凸部の高さ aと直径 bの関係は b/aが;!〜 100であることが好ましぐ 1 . 5〜30であることが更に好ましぐ 2〜; 10であることが特に好ましい。 1未満では形 成した凸部が剥がれ落ちて異物故障となることがあり、 100を超えるとブロッキング防 止性が不足したり、基材フィルムが変形し易くなる。
[0088] 図 1は、透明基材フィルム上に、インクジェット方式でブロッキング防止機能を有す る微細凸構造を設けた一例を示す模式図である。
[0089] 図 1の(a)は、微細凸構造の斜視図であり、図 1の(b)は断面図である。
[0090] 図 1の(b)において、透明基材フィルム 1の上に、インクジェット方式により微粒子分 散液の液滴 3により形成された微細凸構造の一例を示してあるが、本発明で規定す る凸部の高さ aとは、下地である透明基材フィルム表面を底部として、凸構造の頂部 までの高さ m)と定義し、同様に直径 bは基材に接している凸部底の最大長と定 義する。
[0091] 表面の微細な凸部は、市販の触針式表面粗さ測定機或いは市販の光学干渉式表 面粗さ測定機等によって測定することが出来る。例えば、光学干渉式表面粗さ測定 機 ίこよって、約 10000 11 m2の範囲 (ΙΟΟ , ΐη Χ ΙΟΟ , ΐη)〖こつ!/ヽて 2次元白勺 ίこ視 IJ定 し、凸部を底部側より等高線のごとく色分けして表示する。
[0092] ここでフィルム面を基準とした高さ aが 0· Ol ^ m—O. 5 mである凸部の数をカウ ントし、 10000 m2の面積当たりの数で示した。測定は、光学フィルムの該当箇所の 任意の 10点を測定してその平均値として求める。
[0093] 本発明において、ブロッキング防止加工の為の凸構造の形状として、図 1の(b)で はコニーデ型の凸部を着弾させた微粒子分散液の液滴によって形成された凸部の 一例を示している力 S、本発明は上記の形状の凸構造に限定されるものではない。
[0094] 図 1の(c)は予め設けられた機能性層の上に本発明のインクジェット方式による微 細な凸構造を付与した模式図である。機能性層は特に限定されるものではなぐバッ クコート層、アンチカール層、帯電防止層、下引き層、光散乱層、接着層等が挙げら れる。
[0095] 図 2は、他の微細凸構造の例を示す断面図である。
[0096] 図 2の(a)は、球体形状で着弾させた凸構造の一例であり、出射する微粒子分散液 の液滴の粘度や、微粒子分散液吐出速度、微粒子分散液の液滴と微粒子分散液着 弾面との接触角、インクジェットヘッドと基材との距離等を適宜調整することにより、こ の様な形状の凸構造を形成することが出来る。インクジェットヘッドと基材との距離は 0. 2〜100mmが好ましぐ形成する凸の形状に応じて変更することが出来る。微粒 子分散液の液滴と微粒子分散液着弾面との接触角は 0〜; 180° の範囲で適宜調整 される。好ましくは 5〜; 120° である。また、微粒子分散液吐出速度を上げるなどによ り吐出後の微粒子分散液の液滴を分裂させて微粒子分散液の液滴としてより微細な 凸部を形成したり、吐出速度を抑制して大きめの凸部、或いは形状が整った凸部を 形成することが出来る。インクジェット部のこれらの条件は、印刷用のインクジェットで 用いられている条件を参考にして設定することが出来る。また、微粒子分散液吐出速 度を上げて着弾の衝撃によって微粒子分散液液滴による凸部を潰すことも出来る。
[0097] 微粒子分散液吐出速度は、微粒子分散液の液滴先端の速度 VIをピエゾ式のイン
クジェット装置のピエゾ素子に印加する電圧を増減させることにより一般に 0.;!〜 20 m/sの範囲で制御出来る。好ましくは l〜20m/sの範囲である。更に、上記微粒子 分散液液滴先端の速度 VIの好ましい下限は 5m/s、好ましい上限は 12m/sであ る。微粒子分散液液滴後端の速度 V2は微粒子分散液液滴先端の速度 VIよりも小 さぐ一般には 0. ;!〜 10m/Sである。上記微粒子分散液液滴後端の速度 V2は、微 粒子分散液液滴の分離状態、即ち、微粒子分散液の表面張力や粘度により決まる。
[0098] 吐出時間 tは、ピエゾ素子に印加する電圧の制御条件に応じて 3 s〜lmsに設定 される。ピエゾ素子に印加する電圧の制御条件は、安定的に微粒子分散液液滴を吐 出できるように、波形制御条件、微粒子分散液液滴の表面張力や粘度等に応じて設 定される。
[0099] 液滴は後述するように柱状に吐出され、基板に着弾するまでに分裂しない場合と分 裂する場合とがある。分裂しない場合であって、着弾するまでに空中で球状の液滴 になる場合は、着弾時の液滴先端速度と後端速度はほぼ同じとなる。柱状の液滴が 球状になっていくので着弾時の液滴速度は吐出時の液滴先端速度や後端速度と厳 密には異なるが、その差は液滴速度に対して小さい。一方、数個の液滴に分裂する 場合には、吐出時の液滴先端速度が着弾時の先頭液滴の速度となり、吐出時の液 滴後端速度が着弾時の最後尾の液滴の速度となると考えられる。尚、通常は、液滴 先端速度が 3m/s以下の場合には液滴は分裂しないことが多ぐ液滴先端速度が 3 〜20m/sの場合には液滴は分裂することが多い。
[0100] 本発明のインクジェット方式による凸構造の形成方法は、従来のフィルム中にマット 剤を添加する方式や微粒子を含むバックコート層を塗設する方式に比較し、任意の 形状の凸構造を形成出来、特に幅手方向でも長尺方向でも異なる凸形状としたり、 付着量を変更することが出来ることが、大きな特徴である。しかも、生産中に形成する ノ ターンを変更出来るため様々な品種に迅速に対応可能である。また、反対側の面 の加工に応じて追加するという自由度もある。
[0101] 図 2の(b)は、半円状の凸構造からなるブロッキング防止加工の一例を示す断面図 である。
[0102] 上記凸構造の配置として、上図の説明では凸部を間隔をあけて着弾させた一例を
示しているが、図 2の(c)に示すように、間隙を設けずに、着弾面全体を凸部で被覆 した構成でもよい。本発明ではこのような凸部の大きさや形状を変化させて微細凸構 造を異ならせることが出来る。
[0103] 微粒子分散液液滴によって形成された凸部である 3は、フィルムの法線方向から見 た時に略円の形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。例えば縦横比 X I . 0 1〜X 10の比の楕円でもよい。微粒子分散液を付着させる際にフィルム側、若しくは インクジェットのヘッド部を高速で搬送させながら行うことで、楕円状の凸部を形成す ること力 S出来る。
[0104] 図 3は微粒子分散液の吐出角度、及び吐出方法を示す概略図である。
[0105] 図 3の(a)で示す、インクジェットヘッドから微粒子分散液をフィルムに向けて吐出す る時の角度は、フィルムの法線方向を 90° 、微粒子分散液が付着したフィルムが搬 送されていく方向を 0° 、フィルムが搬送されてくる方向を 180° とすると、 0° 〜; 180 ° の範囲で設定することが出来る。好ましくは 0° 〜90° とすることで、微粒子分散 液の飛翔速度とフィルムの搬送の相対速度の差が小さく出来、所望の凸形状が形成 し易くなる為好ましい。更に好ましくは 5° 〜85° である。
[0106] 図 3の(b)はフィルム面に対し、種々な角度をつけたインクジェットヘッドを複数個配 置し、連続的に微粒子分散液を吐出する方法を示している。その際、角度のみなら ずフィルム面からの高さも任意に変えることが可能である。
[0107] 図 3の(c)は、バックロールを抱かせて搬送しているフィルム面に、複数個のインクジ エツトヘッドをその周りに配置し、微粒子分散液液滴を吐出している状態を示している 。このように、微粒子分散液液滴を着弾させるフィルム面は、平面、曲面どちらでも構 わない。
[0108] 次!/、で、本発明に係るインクジェット方式につ!/、て説明する。
[0109] 図 4は、本発明に係るインクジェット方法に用いることの出来るインクジェットヘッドの 一例を示す断面図である。
[0110] 図 4 (a)はインクジェットヘッドの断面図であり、図 4 (b)は図 4 (a)の A— A線矢視拡 大図である。図中、 11は基板、 12は圧電素子、 13は流路板、 13aは微粒子分散液 流路、 13bは壁部、 14は共通液室構成部材、 14aは共通液室、 15は微粒子分散液
供給パイプ、 16はノズルプレート、 16aはノズル、 17は駆動用回路プリント板 (PCB) 、 18ίまリード、咅 ^ 19ίま馬区動電極、 20ίま?冓、 21 (ま保護板、 22(ま流体抵抗、 23、 24(ま 電極、 25は上部隔壁、 26はヒータ、 27はヒータ電源、 28は伝熱部材、 10はインクジ エツトへッドである。
[0111] 集積化されたインクジェットヘッド 10において、電極 23、 24を有する積層された圧 電素子 12は、流路 13aに対応して、該流路 13a方向に溝加工が施され、溝 20と駆動 圧電素子 12bと非駆動圧電素子 12aに区分される。溝 20には充填剤が封入されて いる。溝加工が施された圧電素子 12には、上部隔壁 25を介して流路板 13が接合さ れる。即ち、前記上部隔壁 25は、非駆動圧電素子 12aと隣接する流路を隔てる壁部 13bとで支持される。駆動圧電素子 12bの幅は流路 13aの幅よりも僅かに狭ぐ駆動 用回路プリント板 (PCB)上の駆動回路により選択された駆動圧電素子 12bはパルス 状信号電圧を印加すると、該駆動圧電素子 12bは厚み方向に変化し、上部隔壁 25 を介して流路 13aの容積が変化し、その結果ノズルプレート 16のノズル 16aより微粒 子分散液液滴を吐出する。
[0112] 流路板 13上には、伝熱部材 28を介してヒータ 26がそれぞれ接着されている。伝熱 部材 28はノズル面にまわり込んで設けられている。伝熱部材 28は、ヒータ 26力、らの 熱を効率良く流路板 13に伝え、かつ、ヒータ 26からの熱をノズル面近傍に運びノズ ル面近傍の空気を温めることを目的としており、従って、熱伝導率の良い材料が用い られる。例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス等の金属、或いは、 SiC、 BeO、 A1N等のセラミックス等が好まし!/、材料として挙げられる。
[0113] 圧電素子を駆動すると、流路の長手方向に垂直な方向に変位し、流路の容積が変 化し、その容積変化によりノズルから微粒子分散液液滴となって噴射する。圧電素子 には常時流路容積が縮小するように保持する信号を与え、選択された流路に対して 流路容積を増大する向きに変位させた後、再び流路の容積が縮小する変位を与える ノ ルス信号を印加することにより、流路と対応するノズルより微粒子分散液が微粒子 分散液液滴となって噴射する。
[0114] 図 5は、本発明で用いることの出来るインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例 を示す概略図である。
[0115] 図 5において、図 5の(a)はヘッド部の断面図、図 5の(b)はノズノレプレートの平面図 である。図中、 1は透明基材、 31は微粒子分散液液滴、 32はノズルである。ノズル 3 2より噴射した微粒子分散液液滴 31は透明基材 1方向に飛翔して付着する。透明基 材 1上に着弾した微粒子分散液液滴は、乾燥によって凸部が形成される。
[0116] 本発明においては、図 5の(b)に記載のように、インクジェットヘッド部のノズルは、 千鳥状に配置することが好ましぐまた、透明基材 1の搬送方向に並列に多段に設け ること力 S好ましい。また、微粒子分散液吐出の際にインクジェットヘッド部に微細な振 動を与え、微粒子分散液滴がランダムに透明基材上に着弾するようにすることが好ま しい。これによつて、干渉縞の発生を抑制することが出来る。微細な振動は、高周波 電圧、音波、超音波などによって与えることが出来る力 特にこれらに限定されない。 また、インクジェット法により出射された微粒子分散液滴 31が移動してくる透明基材 1 の周辺空気によって乱されて偏ったり、意図しないムラとならないように空気の流れを 制御して行われる。
[0117] インクジェットヘッドとしては特開 2004— 58505号公報記載の静電吐出型インクジ エツトヘッドを本発明のブロッキング防止加工に転用することも出来、特開 2004— 58 532号公報記載の液体吐出ヘッド、特開 2004— 54271号公報記載のインクジェット ノ ターニング装置を本発明のブロッキング防止加工に転用することも出来、特開 200 4— 55520号公報記載の噴射ヘッドを転用することも出来、登録 3, 5000, 636号公 報号記載のインクジェットヘッドを転用することも出来、登録 3, 501 , 583号記載のィ ンクジェット記録システムを本発明のブロッキング防止加工に転用することも出来る。
[0118] また、凸部を形成するための微粒子分散液を吐出する前に、テスト吐出を実施して ヘッドの目詰まりの有無を確認することが好ましぐ 目詰まりが確認された場合、或い は生産開始時には、ヘッドクリーニングを実施することが好ましい。ヘッドクリーニング は使用する微粒子分散液で実施しても、溶媒を主体とするクリーニング液で実施して もよレ、。クリーニング液の溶媒は微粒子分散液に使用出来るものが好ましく用いられ る。必要に応じて界面活性剤(ノニオン系、フッ素系、シリコン系等)を 0. 01〜; 1 %程 度含有させてもよい。
[0119] 凸部を形成するための微粒子分散液吐出密度は、適宜調整することが好ましぐ例
えば、大きな凸部を形成するための微粒子分散液吐出密度に対して、小さな凸部を 形成するための微粒子分散液吐出密度を大きくすることが好ましい。
[0120] 生産中にヘッドの目詰まりが検出された場合は、そのヘッドへの微粒子分散液供給 を停止することが好ましい。それによつて形成する凸部にむらが生じないように、他の ヘッドからの微粒子分散液吐出量を増やすことも好まし!/、。多段のインクジェットへッ ドを使用している場合には、生産を継続しながら目詰まりしたインクジェットヘッドのへ ッドクリーニングを行うことが好ましぐその場合、クリーニング液が被処理基材フィノレ ムに付着しないように微粒子分散液吐出方向を切り替える力、、クリーニング液を受け 止める別の部材に向けて吐出させることが好ましい。ヘッドクリーニング中は、別のィ ンクジェットヘッドの微粒子分散液吐出量を増加させる力、、予備のインクジェットヘッド を用いて生産を継続することが好まし!/、。
[0121] また、生産中にヘッドの目詰まりなど何らかの異常が確認された場合、フィルム基材 の端部にインクジェットでマーキングを施すことが好ましい。マーキングは着色微粒子 分散液で行うことが好ましぐ異常個所を明確にすることで後でその部分を製品から 取り除くことが容易になる。
[0122] 本発明に用いられる微細凸構造の形成方法は、多ノズルから微粒子分散液小液 滴を吐出して形成するインクジェット方式を用いることが好ましぐ図 6に、本発明で好 ましく用いることの出来るインクジェット方式の一例を示す。
[0123] 図 6において、図 6の a)は、インクジェットヘッド 10を透明基材 1の幅手方向に配置 し、透明基材 1を搬送しながらその表面に微細凸構造を形成する方法 (ラインヘッド 方式)であり、図 6の b)はインクジェットヘッド 10が副走査方向に移動しながらその表 面に微細凸構造を形成する方法(フラットヘッド方式)であり、図 6の c)はインクジエツ トヘッド 10が、透明基材 1上の幅手方向を走査しながらその表面に微細凸構造を形 成する方法 (キヤプスタン方式)であり、いずれの方式も用いることが出来る力 本発 明においては、生産性の観点からラインヘッド方式が好ましい。この様な方式のイン クジェットヘッドを用いることで、透明基材上に任意の位置で、かつ任意のパターンの 凸部を容易に形成することが出来る。その為従来のマット剤添加の方式と比べてイン クジェットによる方法は自由度が高く優れている。
[0124] 尚、図 6の a)〜c)に記載の 29は、微粒子分散液として後述の活性光線硬化型樹 脂を用いる場合に使用する活性光線照射部である。微粒子分散液に熱可塑性樹脂 を用いる場合は 29は不用である。
[0125] また、本発明においては、図 6の a)、 b)、 c)の透明基材の搬送方向の下流側に、 別の活性光線照射部を設けてもょレ、。インクジェットヘッド部と活性光線照射部の間 隔は 0. ;!〜 20m程度が好ましく適宜設定される。また、必要に応じて設置位置を変 更或いは調整出来るようになって!/、ること力 S好ましレ、。
[0126] 本発明において、微細な凸部を形成するため、微粒子分散液液滴としては 0. 01 〜; !OOplが好ましぐ 0. ;!〜 50pl力 り好ましく、 0· 1〜; !Oplが特に好ましい。上記 条件で微粒子分散液液滴を出射することにより、ヘイズにも優れる微細な凸部を有 する光学フィルムを得ることが出来る。
[0127] 本発明では、インクジェットヘッドから吐出される微粒子分散液を当該微粒子分散 液の先端部に続いて微粒子分散液が延びた柱状の状態で前記インクジェットヘッド 力、ら分離しないうちに凸部形成面上に付着させてもよいが、好ましくは微粒子分散液 力 Sインクジェットヘッドから分離した後の微粒子分散液液滴として付着させることが好 ましい。ヘッドから吐出された微粒子分散液液滴が分裂せずに凸部形成面上に付着 させることが好ましぐ或いは意図的に分裂するような吐出条件にすることで微小な微 粒子分散液液滴とし、これを付着させることでより微細な凸部形成を行うことが好まし ぐ形成する凸部形状に応じて適宜調整することが出来る。
[0128] また、微粒子分散液液滴の粘度は、 25mPa ' s以下であることが好ましぐ lOmPa - s以下であることが更に好まし!/、。着弾時の微粒子分散液粘度は吐出時の微粒子分 散液粘度より高いことが好ましぐ 15mPa ' s以上であることが好ましぐ更に好ましく は 25mPa ' s以上である。着弾時の粘度が高いほど Raが大きな凸部を形成し易く、 所望の凸部形状を形成するために粘度は適宜調整することが好ましい。
[0129] 次!/、で、本発明に係る微細凸構造を形成するインクジェット方式で用いる微粒子分 散液について説明する。
[0130] 図 7は、透明基材上にインクジェット方式により、粒径の大きな微粒子分散液液滴で 微細凸構造 71を形成した後、より粒径の小さな微粒子分散液液滴で、更に微細な凸
構造 72を形成した一例を表す模式図である。
[0131] 図 7の(a)は、比較的低粘度の微粒子分散液を用いて、コニーデ型の凸部 71を設 けた後、その表面及び未着弹部により微小の凸部 72を設けた一例であり、図 7の(b) は、微粒子分散液液滴と基材表面との接触角を制御し、球体状の凸部 7 を設け た後、その表面及び未着弹部により微小の凸部 72を設けた一例である。
[0132] この場合も粒径の大きな液滴で形成される凸部の高さ、直径及び形成個数は本発 明の範囲内に制御する必要がある。
[0133] このようにして、凸構造を形成する微粒子分散液として粒径の異なる微粒子分散液 液滴を用いて形成することにより、ブロッキング防止効果に優れる微細な凸部を形成 することが出来る。各々の微粒子分散液液滴は、 0. 0;!〜 lOOplが好ましぐ 0.;!〜 5 Oplが更に好ましぐ 0·;!〜 10plが特に好ましい。 2種以上の大きさの異なる微粒子 分散液液滴を用いる場合、平均粒径が最も大き!/、粒径の微粒子分散液液滴に対し 、平均粒径が最も小さな粒径の微粒子分散液液滴の容量としては、 0. ;!〜 80体積 %、更に好ましくは;!〜 60体積%、特に好ましくは 3〜 50体積%であることが好まし!/、 。また、 3種以上の容量が異なる微粒子分散液液滴を組み合わせることがより好まし い態様である。
[0134] また、 2種以上の微粒子分散液液滴を用いる場合、固形分濃度が異なる各微粒子 分散液液滴を用いることが出来る。例えば、微小な液滴の固形分濃度を低く設定し、 微粒子分散液が飛翔している間や着弾後に溶媒を揮発させることで、より微細な凸 部を形成することが出来る。この様な各微粒子分散液液滴の固形分濃度を適宜調整 することにより、微細な凸構造の形成や形状を容易に制御することが出来る。
[0135] 更に、本発明においては、異なる容量の微粒子分散液滴を組み合わせて凸構造を 形成する場合、大きな微粒子分散液液滴を透明基材上に着弾させた後、より微細な 微粒子分散液液滴をその上に着弾させることが好ましい。
[0136] 本発明における微細凸構造の他の好まし!/、例として、微粒子分散液液滴が微粒子 を含有することも好ましい。
[0137] 図 8は、微粒子分散液液滴の中に微粒子を含有させた凸部の一例を示す断面図 である。
[0138] 次いで、本発明の光学フィルムの製造方法について説明する。
[0139] 図 9は、溶液流延で透明基材を製造する工程に、インクジェット方式により微細凸構 造を設ける工程を付加したフ口一を示す模式図である。
[0140] 図 9において、 11はエンドレスで走行する支持体を示す。支持体としては鏡面帯状 金属が使用されている。 12は透明基材形成樹脂を溶媒に溶解したドープを、支持体 11に流延するダイスを示す。 13は支持体 11に流延されたドープが固化したフィルム を剥離する剥離ロールを示し、 14は剥離されたフィルムを示す。 5はテンター搬送' 乾燥工程を示し、 51は排気口を示し、 52は乾燥風取り入れ口を示す。尚、排気口 5 1と乾燥風取り入れ口 52は逆であっても良い。 6は張力カット手段を示す。張力カット 手段としてはニップロール、サクシヨンロール等が挙げられる。尚、張力カット手段は 各工程間に設けても力、まわない。
[0141] 8はロール搬送 ·乾燥工程を示し、 81は乾燥箱を示し、 82は排気口を示し、 83は 乾燥風取り入れ口を示す。尚、排気口 82と乾燥風取り入れ口 83は逆であっても良!/、 。 84は上部搬送用ロールを示し、 85は下部搬送用ロールを示す。該搬送用ロール 8 4、 85は上下で一組で、複数組から構成されている。 7は巻き取られたロール状のフ イノレムを示す。
[0142] 本発明に係る微粒子分散液液滴を出射するインクジェットヘッド部 10は、ドープ流 延部、剥離〜テンター部間、テンター〜乾燥部間、乾燥箱内のいずれの位置に設置 してもよく、具体的には図中、 10A〜Hの位置に設けることが出来る。その際、フィノレ ム面の片側、両側のどちらにインクジェットヘッド部を設けてもよい。インクジェットへッ ド部 10の設置数に特に制限はなく一つでも複数でもよいが、好ましくは複数のインク ジェットヘッド部を設置することである。
[0143] 図 10は、溶融流延で透明基材を製造する工程に、インクジェット方式により微細凸 構造を設ける工程を付加したフ口一を示す模式図である。
[0144] 図 10において、 21は溶融流延用のダイスであり、ここから後述する溶融されたポリ マーが押し出されされ、製膜ロール 22を通してフィルム Fとなる。引き続きテンター搬 送 ·乾燥工程 5により延伸され、ロールを介して巻き取られロール状のフィルム 7となる
〇
[0145] 本発明に係る微粒子分散液液滴を出射するインクジェットヘッド部 10は、図中、 10 I〜Kの位置に設けることが出来る。その際、フィルム面の片側、両側のどちらにインク ジェットヘッド部を設けてもよい。インクジェットヘッド部 10の設置数に特に制限はなく 一つでも複数でもよいが、好ましくは複数のインクジェットヘッド部を設置することであ
[0146] 図 11は、透明基材上にインクジェット方式により微細凸構造を設ける別の工程のフ ローを示す模式図である。詳しくは、透明基材上に紫外線硬化樹脂層、反射防止層 等の機能性層を塗布方式で塗設した後、インクジェット方式で裏面側に微細凸構造 を形成するフローを示してある。
[0147] 図 11において、ロール 501より繰り出された透明基材 502は、搬送されて、第 1コー タステーション Αで、第 1コータ 503により機能性層を塗設する。このとき、機能性層は 単層構成でも、複数から構成されている層でもよい。機能性層を塗設した透明基材 5 02は、次いで乾燥ゾーン 505Aで乾燥が行われる。乾燥は、透明基材 502の両面よ り、温湿度が制御された温風により乾燥が施される。
[0148] 次いで、インクジェット方式を用いた微細凸構造を設ける第 2コータステーション Bに 搬送される。インクジェット出射部 509には、微粒子分散液供給タンク 508が接続さ れており、そこから微粒子分散液液が供給される。インクジェット出射部 509は、図 5 の(b)で示すような複数のインクジェットノズルを透明基材の幅全域に千鳥状に配置 し、微粒子分散液液滴を機能性層上に出射して、その表面に凸構造を形成する。ま た、 2種以上の微粒子分散液液滴を出射する場合には、 2列以上配置したインクジェ ットノズルより、各々の微粒子分散液液滴を出射してもよいし、或いはランダムに任意 のインクジェットノズルより微粒子分散液液滴を出射してもよい。また、インクジェット出 射部を複数配置し、各々の微粒子分散液出射部より異なる微粒子分散液液滴を出 射してもよい。本発明においては、 0. 01〜; 100pl、好ましくは 0. 01〜; !Oplという微 細な液滴を出射するため、微粒子分散液液滴の飛翔性に対し、外気の気流の影響 を受け易くなるため、第 2コータステーション B全体を、隔壁等で覆って気圧の乱れを 防止することが好ましい。また、 lpl以下の極めて微細な液滴を精度高く飛翔させるた め、インクジェット出射部 509と透明基材 502或いはバックロール 504B間に電圧を
印加し、微粒子分散液液滴に電荷を与えて電気的に微粒子分散液液滴の飛翔安定 性を補助する方法も好ましい。或いはフィルムの帯電によるムラが生じないように、全 工程を通じてフィルムの搬送に伴う帯電を防止する為除電バーを設けるなどの除電 対策を行うことが好ましい。また、着弾した微粒子分散液液滴の変形を防止するため 、透明基材を冷却して着弾後の微粒子分散液液滴の流動を速やかに低下させる方 法を用いることも好ましい。或いは、微粒子分散液液滴が出射後、着弾するまでの飛 翔中に含有する溶媒を揮発させて、微粒子分散液液滴中の含有溶媒量が減少した 状態で着弾させることが、より微細な凸構造を形成する上で好ましい。その為、微粒 子分散液飛翔空間の温度を高くしたり、或いは気圧を、 1気圧以下、例えば 20〜; 10 OkPaに制御する方法も好まし!/、。例えば微粒子分散液液滴中の含有溶媒量を出射 時の溶媒含有量に対して、 1/100〜99/100となるように減少させて着弾させるこ とが出来る。
[0149] また、着弾による衝撃によって凸部の形状が大きく変形したり、つぶれないようにゆ るやかに着弾させることも好ましぐ例えば微粒子分散液出射部と着弾部の距離を離 したり、重力や電荷に逆らって出射して着弾の衝撃を柔らげることも好ましい。或いは 、フィルムに向かって流れる気流中に微粒子分散液液滴を吐出し、この微粒子分散 液液滴を有する空間にフィルムを配置することで、フィルム上に微粒子分散液液滴を 付着させることも好ましい。
[0150] 微粒子分散液液滴が熱硬化性樹脂を用いて!/、る場合には、バックロール 504Bをヒ 一トロールとして加熱する方法も好ましレヽ。
[0151] 着弾した微粒子分散液液滴により形成された凸構造が維持出来る程度に硬化処 理を行った透明基材 502は、乾燥ゾーン 505Bで不要な有機溶媒等を蒸発させ硬化 を完了させる。
[0152] 本発明の微粒子分散液液滴を付着させてすべり性を付与する方法は、フィルム基 材を;!〜 200m/min、好ましくは 3〜150m/minで移送しながら形成することが好 ましい。
[0153] 微粒子分散液を着弾させる際の基材フィルムは帯電に斑がないことが好ましぐ直 前で徐電することが好ましく、或!/、は均一に帯電させてもよ!/、。
[0154] また、微粒子分散液を着弾させて形成した凸部をヘイズ、透過鮮明度などの物性 を測定し、所定の値であることを確認し、ずれや変動が確認された場合、その結果を フィードバックして微粒子分散液の吐出条件や硬化条件を変更して制御することが 好ましい。測定は、全ての凸部を形成し樹脂を硬化させた後に行うことが好ましぐ凸 部形成の途中で行ってもよい。例えば、比較的大きな凹凸を形成した後とその後のよ り微細な凸部を形成した後の測定を行うことで、更に適切なフィードバック制御を行う ことが出来る。
[0155] 本発明では、上記で説明したインクジェット記録装置、画像形成方法に限定される ことはなく、この他、特開平 9—118024号公報記載の微粒子分散液吐出量測定方 法及びその装置を流用することも好ましぐ広い範囲で均一な凸部を形成することが 出来る。また、特開平 10— 151748号公報記載のインクジェットヘッド及び反り調整 方法を流用することも好ましい。特開 2006— 3511号、特開 2006— 36865号、特 開 2005— 306022号、特開 2001— 260368号等公報に記載のインクジェッ卜式記 録ヘッドを用いる画像形成装置及び画像形成方法を流用することも好まし!/、。特開 2 003— 136740号公報記載のインクジェットプリンタ及びインクジェット記録方法を流 用することも好ましい。特開 2003— 154671号公報記載のタリーユング機構を備え たインクジェット記録装置を流用することも好ましい。特開 2003— 165232号、特開 2 003— 182092号、特開 2003— 182093号、特開 2003— 182097号、特開 2003 — 182098号、特開 2003— 182121号、特開 2003— 191478号、特開 2003— 19 1479号等公報などに記載されているインクジェット記録装置を流用することも好まし い。
[0156] 更に、特開 2003— 191594号公報に記載の画像形成方法、インク、記録装置など を流用することが好ましぐ特に選択的に微粒子分散液滴の吐出制御可能な複数の ノズルを有する記録ヘッドで、活性光線照射により硬化する微粒子分散液を吐出す る画像形成方法において、記録材料の種類によって、微粒子分散液着弾後の活性 光線照射条件を変えることを特徴とする画像形成方法を本発明に流用することも好 ましい。或いは、特開 2003— 211651号公報記載のインクジェット記録方法、インク ジェット記録装置を本発明に流用することも好まし!/、。
或いは、特開 2003— 213183号公報記載の放射線硬化性インクジェット用インク 及びインクジェット記録方法を本発明に流用することも好ましレ、。或!/、は特開 ZOOS- SSI 267号公報記載のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を本発明 に流用することも好ましい。或いは、特開 2003— 237061号公報記載の画像形成方 法、インク、記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開 2003— 251 796号公報記載の画像形成方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開 2003— 261799号公報記載の活性光線硬化型インク及びそれを用いたインクジェ ット記録方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開 2003— 260790号 公報記載の画像形成方法及び記録装置を本発明に流用することも好ましレ、。或いは 、特開 2003— 276175号公報記載の画像形成方法、記録装置、インクを本発明に 流用することも好ましい。或いは、特開 2003— 276256号公報記載の画像形成方 法、インク及び画像形成装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開 200 3— 277654号公報記載の画像形成方法、印刷物及び記録装置を本発明に流用す ることも好ましい。或いは、特開 2003— 292837号公報記載のインクジェット用インク 、画像形成方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開 2003— 305839 号公報記載の画像形成方法、インク及び記録装置を本発明に流用することも好まし い。或いは、特開 2003— 312120号公報記載の画像形成方法、及び記録装置を本 発明に流用することも好ましい。或いは、特開 2003— 313464号公報記載の画像形 成方法、及び記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開 2003— 3 27875号公報記載の画像形成方法、及び記録装置を本発明に流用することも好ま しい。或いは、特開 2004— 9360号公報記載の活性光線硬化型インクジェット記録 方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開 2004— 25480号公報記載 の画像形成方法及びそれに用いるインクジェット記録装置を本発明に流用することも 好ましい。或いは、特開 2004— 34543号公報記載のインクジェットプリンタを本発明 に流用することも好ましい。或いは、特開 2004— 34545号公報記載のインクジェット 記録方法、インク及びインクジェットプリンタを本発明に流用することも好ましい。或い は、特開 2004— 51656号公報記載の画像形成方法、印刷物及び記録装置を本発 明に流用することも好ましい。或いは、特開 2004— 51922号公報記載の活性光線
硬化型インク、画像形成方法、記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは 、特開 2004— 51923号公報記載の活性光線硬化型インク、画像形成方法、記録装 置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開 2004— 51924号公報記載のィ ンクジェット記録用インクの保存方法及び画像形成方法を本発明に流用することも好 ましい。或いは、特開 2004— 37855号公報記載のインクジェット装置、インク吐出条 件を本発明に流用することも好まし!/、。
[0158] (透明基材フィルム)
本発明においては光学フィルムの透明基材フィルムとして熱可塑性樹脂フィルムを 用いることが好ましい。
[0159] 本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、セルロースエス テル、シクロォレフインポリマー、ポリカーボネート、ポリ乳酸系ポリマー、アクリル樹脂 、ポリエステルなどが好ましい例として挙げられるがこれらのみに限定されるものでは な!/、。これらは溶液流延製膜で作製されたフィルムでも溶融流延で作製されたフィノレ ムであっても好ましく用いられる。
[0160] 本発明に用いられる熱可塑性樹脂フィルムは、少なくとも、セルロースエステル、シ クロォレフィンポリマー、ポリカーボネート、及びポリ乳酸から選ばれる高分子を含有 すること力 S好ましい。また、これらのフィルムは偏光板保護フィルム或いは位相差フィ ルムであることが好ましい。
[0161] なお、本発明においては、連続生産適性の観点から、透明基材フィルムの幅は、 1 • 4m〜5mであり、巻き長さは 2000m〜; 10000mであり、膜厚は 5 μ m〜55 μ mで あることが好ましい。
[0162] 〈セルロースエステル〉
本発明に用いられるセルロースエステルの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量 (Mn)の比 Mw/Mnのィ直は、 1. 4〜3. 0であることが好ましい。尚、本発明におい ては、セルロースエステルフィルム力 材料として、 Mw/Mnの値が 1. 4〜3. 0であ るセルロースエステルを含有すればよいが、フィルムに含まれるセルロースエステル( 好ましくはセルローストリアセテートまたはセルロースアセテートプロピオネート)全体 の Mw/Mnの値は 1. 4〜3. 0の範囲であることがより好ましい。セルロースエステル
の合成過程で 1. 4未満とすることは困難であり、ゲル濾過などによって分画すること で分子量の揃ったセルロースエステルを得ることは出来る。し力、しな力 この方法はコ ストが著しくかかる。また、 3. 0以下であると平面性が維持されやすく好ましい。尚、よ り好ましく ίま 1. 7〜2. 2である。
[0163] 本発明に用いられるセルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Μη)で 8000 0〜200000のものを用いることカ好まし!/ヽ。 100000〜200000のものカ更に好まし <、 150000〜200000カ特に好ましレヽ。
[0164] セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィー を用いて公知の方法で測定することが出来る。これを用いて数平均分子量、重量平 均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することが出来る。
[0165] 測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806, K805, K803G (昭和電工(株)製を 3本接続して使用 した)
カラム温度: 25°C
試料濃度: 0. 1質量%
検出器: RI Model 504 (GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000 (日立製作所 (株)製)
1. 0ml/ min
校正曲線: 標準ポリスチレン STK standard ポリスチレン(東ソ一(株)製) Mw= 1000000〜500迄の 13サンプノレ ίこよる校正曲泉を使用した。 13サンプノレ (ま、 ίま (ま、 等間隔に得ることが好ましい。
[0166] 本発明に用いられるセルロースエステルは、炭素数 2〜22程度の脂肪族カルボン 酸エステルまたは芳香族カルボン酸エステル或いは脂肪族カルボン酸エステルと芳 香族カルボン酸エステルの混合エステルが好ましく用いられ、特にセルロースの低級 脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低 級脂肪酸とは炭素原子数力 以下の脂肪酸を意味する。具体的には、セルロースァ セテート、セノレロースプロピオネート、セノレロースブチレート、セノレロースアセテートフ
タレート等や、特開平 10— 45804号公報、同 8— 231761号公報、米国特許第 2, 3 19, 052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロー スアセテートプチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。上記記載の 中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリ アセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステル は混合して用いることも出来る。
[0167] セルローストリアセテートの場合には、総ァシル基置換度(ァセチル基置換度) 2. 5 力、ら 2. 9のものが好ましく用いられる。
[0168] セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数 2〜22 のァシル基を置換基として有し、ァセチル基の置換度を Xとし、炭素原子数 3〜22の ァシル基の置換度を Yとした時、下記式(I)及び(Π)を同時に満たすセルロースエス テノレである。
[0169] 式(I) 2. 5≤X + Y≤2. 9
式(Π) 0≤Χ≤2. 5
中でも 1. 9≤Χ≤2. 5、 0. 1≤Υ≤1. 0のセルロースアセテートプロピオネート(総 ァシル基置換度 =Χ + Υ)が好まし!/、。ァシル基で置換されて!/、な!/、部分は通常水 酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することが出来る。
[0170] これらァシル基置換度は、 ASTM— D817— 96に規定の方法に準じて測定するこ とが出来る。
[0171] セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成された セルロースエステルを単独或いは混合して用いることが出来る。特に綿花リンター(以 下、単にリンターとすることがある)、木材パルプから合成されたセルロースエステルを 単独或いは混合して用いることが好ましレ、。
[0172] また、これらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用す ることカ出来る。これらのセルロースエステルは、セルロース原料をァシル化剤が酸 無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有 機酸ゃメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて 常法により反応させて得ることが出来る。
[0173] ァセチルセルロースの場合、酢化率を上げようとすれば、酢化反応の時間を延長す る必要がある。但し、反応時間を余り長くとると分解が同時に進行し、ポリマー鎖の切 断ゃァセチル基の分解などが起こり、好ましくない結果をもたらす。従って、酢化度を 上げ、分解をある程度抑えるためには反応時間はある範囲に設定することが必要で ある。反応時間で規定することは反応条件が様々であり、反応装置や設備その他の 条件で大きく変わるので適切でない。ポリマーの分解は進むにつれ、分子量分布が 広くなつてゆくので、セルロースエステルの場合にも、分解の度合いは通常用いられ る重量平均分子量 (Mw) /数平均分子量 (Mn)の値で規定出来る。即ちセルロース トリアセテートの酢化の過程で、余り長過ぎて分解が進み過ぎることがなぐかつ酢化 には十分な時間酢化反応を行わせしめるための反応度合いの一つの指標として用 いられる重量平均分子量 (Mw) /数平均分子量 (Mn)の値を用いることが出来る。
[0174] セルロースエステルの製造法の一例を以下に示すと、セルロース原料として綿化リ ンター 100質量部を解砕し、 40質量部の酢酸を添加し、 36°Cで 20分間前処理活性 化をした。その後、硫酸 8質量部、無水酢酸 260質量部、酢酸 350質量部を添加し、 36°Cで 120分間エステル化を行った。 24%酢酸マグネシウム水溶液 11質量部で中 和した後、 63°Cで 35分間ケン化熟成し、ァセチルセルロースを得た。これを 10倍の 酢酸水溶液 (酢酸:水 = 1: 1 (質量比) )を用いて、室温で 160分間攪拌した後、濾過 、乾燥させてァセチル置換度 2. 75の精製ァセチルセルロースを得た。このァセチル セノレロースは Mn力 92000、 Mwカ 156000、 Mw/Mnは 1. 7であった。同様にセ ルロースエステルのエステル化条件 (温度、時間、攪拌)、加水分解条件を調整する ことによって置換度、 Mw/Mn比の異なるセルロースエステルを合成することが出来
[0175] 尚、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去したり、未酢 化または低酢化度の成分を濾過で取り除くことも好ましく行われる。
[0176] また、混酸セルロースエステルの場合には、特開平 10— 45804号公報に記載の 方法で得ることが出来る。ァシル基の置換度の測定方法は ASTM— D817— 96の 規定に準じて測定することが出来る。
[0177] また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影
響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられる力 不溶性 の核となり得るような成分は少ない方が好ましぐ鉄、カルシウム、マグネシウム等の 金属イオンは、有機の酸性基を含んで!/、る可能性のあるポリマー分解物等と塩形成 する事により不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄 (Fe)成分につ いては、 lppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、地下水 や河川の水等に多く含まれ、これが多いと硬水となり、飲料水としても不適当である 1S カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物即ち 、錯体を形成し易ぐ多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を 形成する。
[0178] カルシウム(Ca)成分は 60ppm以下、好ましくは 0〜30ppmである。マグネシウム( Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、 0〜70ppmであること が好ましぐ特に 0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウムお a)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステ ルをマイクロダイジェスト湿式分解装置 (硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行つ た後、 ICP— AES (誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析を行うことに よって求めることが出来る。
[0179] 本発明で用いられるセルロースエステルフィルムの屈折率は 550nmで 1. 45—1.
60であるものが好ましく用いられる。フィルムの屈折率の測定方法は、アッベ屈折率 計を使用し、 日本工業規格 JIS K 7105に基づき測定する。また後述する反射防 止層の各層の屈折率は各層ごとに塗布した薄膜の 5° 正反射の反射スペクトルから 算出する。セルロースエステルフィルムには可塑剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、 マット剤等の添加剤を含有させることが出来る。
[0180] 〈可塑剤〉
可塑剤は特に限定されないが、多価アルコールエステル系可塑剤、リン酸エステル 系可塑剤、フタル酸エステル、クェン酸エステル、脂肪酸エステル、グリコレート系可 塑剤、多価カルボン酸エステル等から選択される可塑剤を少なくとも 1種含むことが 好ましい。そのうち、少なくとも 1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが 好ましい。
[0181] 多価アルコールエステル系可塑剤は 2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカル ボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を 有することが好ましい。好ましくは 2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである
〇
[0182] 本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
[0183] 一般式(1) R (OH)
1 n
但し、 Rは n価の有機基、 nは 2以上の正の整数、〇H基はアルコール性、及び/ま
1
たはフエノール性水酸基を表す。
[0184] 好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来 る力 本発明はこれらに限定されるものではない。アド二トール、ァラビトール、ェチレ ングリコーノレ、ジエチレングリコーノレ、トリエチレングリコーノレ、テトラエチレングリコー ノレ、 1 , 2 プロパンジオール、 1 , 3 プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリ プロピレングリコーノレ、 1 , 2 ブタンジォーノレ、 1 , 3 ブタンジォーノレ、 1 , 4 ブタン ジオール、ジブチレングリコール、 1 , 2, 4 ブタントリオール、 1 , 5 ペンタンジォー ノレ、 1 , 6—へキサンジォーノレ、へキサントリオ一ノレ、ガラクチトーノレ、マンニトーノレ、 3 ーメチルペンタン 1 , 3, 5—トリオ一ノレ、ピナコーノレ、ソノレビトーノレ、トリメチロールプ 口パン、トリメチロールェタン、キシリトール等を挙げることが出来る。特に、トリエチレ ングリコーノレ、テトラエチレングリコーノレ、ジプロピレングリコーノレ、 トリプロピレングリコ ール、ソノレビトーノレ、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
[0185] 本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限 はなぐ公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン 酸等を用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いる と透湿性、保留性を向上させる点で好ましレ、。
[0186] 好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることが出来る力 本 発明はこれに限定されるものではない。
[0187] 脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数 1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸 を好ましく用いることが出来る。炭素数は 1〜20であることが更に好ましぐ;!〜 10で あること力 S特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増す
ため好ましぐ酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
[0188] 好まし!/、脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプ ロン酸、ェナント酸、力プリル酸、ペラルゴン酸、力プリン酸、 2—ェチル キサン酸 、ゥンデシノレ酸、ラウリン酸、トリデシノレ酸、ミリスチン酸、ペンタデシノレ酸、パルミチン 酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、ァラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン 酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラタセル酸等の飽和脂肪 酸、ゥンデシレン酸、ォレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、ァラキドン酸等 の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
[0189] 好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロへ キサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが 出来る。
[0190] 好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルィル酸等の安息香酸 のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフエ二ルカルボン酸、ナフタレン力ノレ ボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を 2個以上有する芳香族モノカルボン 酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に安息香酸が好ましい。
[0191] 多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、 300〜; 1500であること力 S 好ましぐ 350 750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなる ため好ましぐ透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい
[0192] 多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は 1種類でもよいし、 2種以上の 混合であってもよい。また、多価アルコール中の OH基は、全てエステル化してもよい し、一部を OH基のままで残してもよい。
[0193] 以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
[0194] [化 1]
ο ο
$ 〜 、 - 6Η
ο ο
ΒΗ*0-0」( Ο - 0-■ 。 Ο - -ο -
6Η*0 S
f§6S90//.00Zdf/X3d ζε 9蘭 ΟΟί OAV
CT] [96ΐ0]
£S6S90/.00Zdf/X3d 88 9蘭 OO OAV
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート 類が好ましく用いることが出来る。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、
が挙げられる。
[0199] フタル酸エステル系可塑剤としては、ジェチルフタレート、ジメトキシェチルフタレー ト、ジメチノレフタレート、ジ才クチノレフタレート、ジブチノレフタレート、ジー 2—ェチノレへ キシルフタレート、ジォクチルフタレート、ジシクロへキシルフタレート、ジシクロへキシ ルテレフタレート等が挙げられる。
[0200] クェン酸エステル系可塑剤としては、クェン酸ァセチルトリメチル、クェン酸ァセチ ルトリエチル、タエン酸ァセチルトリブチル等が挙げられる。
[0201] 脂肪酸エステル系可塑剤として、ォレイン酸ブチル、リシノール酸メチルァセチル、 セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
[0202] 多価カルボン酸エステル系可塑剤も好ましく用いることが出来る。具体的には特開 2002— 265639号公報の段落番号 [0015]〜 [0020]記載の多価カルボン酸エス テルを可塑剤の一つとして添加することが好ましい。
[0203] リン酸エステル系可塑剤としては、トリフエニルホスフェート、トリクレジルホスフェート 、クレジノレジフエニノレホスフェート、オタチノレジフエニノレホスフェート、ジフエニノレビフエ ニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
[0204] セルロースエステルフィルム中の可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、 5〜30 質量%含有させることが好ましい。更に 5〜20質量%が好ましぐ 6〜; 16質量%がよ り好ましぐ特に好ましくは 8〜; 13質量%である。また、 2種の可塑剤の含有量は各々 少なくとも 1質量%以上であり、好ましくは各々 2質量%以上含有することである。
[0205] 〈紫外線吸収剤〉
本発明に係るセルロースエステルフィルムは紫外線吸収剤を含有してもよレ、。紫外 線吸収剤は 400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的 としており、特に波長 370nmでの透過率が 10%以下となるように添加されていること が好ましぐより好ましくは 5%以下、更に好ましくは 2%以下である。
[0206] 本発明に用いることができる紫外線吸収剤は特に限定されな!/、が、例えばォキシ ベンゾフエノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合 物、ベンゾフエノン系化合物、シァノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッ
ケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
[0207] 本発明に用いられるセルロースエステルフィルムには、微粒子を含有させることが 出来る。
[0208] 本発明の方法で凸部を形成することでフィルム中に添加する微粒子の量を少なく することが出来る。これによつて透明性に優れかつ取り扱い性にも優れたフィルムを 提供することが出来る。
[0209] 二酸ィ匕挂素の微粒子は、 列えば、、ァエロジノレ R972、 R972V, R974、 R812、 200 、 200V, 300、R202、 0X50、 TT600 (以上曰本ァエロジル(株)製)の商品名で巿 販されており、使用することが出来る。
[0210] 酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、ァエロジル R976及び R811 (以上日本ァ エロジル (株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
[0211] ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、架橋アクリル樹脂及び架橋ポリス チレン樹脂を挙げることが出来る。シリコーン樹脂が好ましぐ特に三次元の網状構 造を有するものが好ましぐ例えば、トスノく一ノレ 103、同 105、同 108、同 120、同 14 5、同 3120及び同 240 (以上東芝シリコーン (株)製)の商品名で市販されており、使 用することが出来る。
[0212] これらの中でもァエロジル 200V、ァエロジル R972Vがセルロースエステルフィルム の濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられ る。本発明で用レ、られるセル口ースエステルフィルムにお!/、ては活性線硬化樹脂層 の裏面側の動摩擦係数が 1. 0以下であることが好ましぐ 0. ;!〜 0. 8であることが更 に好ましい。また、活性線硬化樹脂層を設ける面の動摩擦係数が 1. 0以下であるこ とが好ましい。
[0213] 〈染料〉
本発明で用いられるセルロースエステルフィルムには、色味調整のため染料を添加 することも出来る。例えば、フィルムの黄色味を抑えるために青色染料を添加してもよ V、。好ましレ、染料としてはアンスラキノン系染料が挙げられる。
[0214] アンスラキノン系染料は、アンスラキノンの 1位から 8位迄の任意の位置に任意の置 換基を有することが出来る。好ましい置換基としてはァニリノ基、ヒドロキシル基、アミ
ノ基、ニトロ基、または水素原子が挙げられる。特に特開 2001— 154017号公報の 段落番号 [0034]〜[0037]記載の青色染料、特にアントラキノン系染料を含有する ことが好ましい。また、赤外吸収染料を含有することが好ましぐ特に特開 2001— 15 4017号公報のチォピリリウムスクァリリウム染料、チォピリリウムクロコニゥム染料、ピリ リウムスクァリリウム染料、ピリリウムクロコニゥム染料の内のいずれかであることが好ま しい。具体的には該公報の一般式(1)若しくは一般式(2)で示されている赤外吸収 染料を好ましく添加することが出来る。
[0215] 各種添加剤は製膜前のセルロースエステル含有溶液であるドープにバッチ添カロし てもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子は 濾過材への負荷を減らすために、一部または全量をインライン添加することが好まし い。
[0216] 添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量 のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は
、溶媒 100質量部に対して;!〜 10質量部で、より好ましくは、 3〜5質量部である。
[0217] 本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー( 東レエンジニアリング製)、 SWJ (東レ静止型管内混合器 Hi— Mixer)等のインライ ンミキサー等が好ましく用いられる。
[0218] 〈セルロースエステルフィルムの製造方法〉
次に、本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの製造方法につ!/、て説明 する。
[0219] 本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの製造は、セルロースエステル及 び添加剤を溶媒に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラ ム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、 金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕 上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
[0220] ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、 濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、セ ルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。
これらを両立する濃度としては、 10〜35質量%が好ましぐ更に好ましくは、 15-25 質量%である。
[0221] 本発明のドープで用いられる溶媒は、単独で用いても 2種以上を併用してもよいが 、セルロースエステルの良溶媒と貧溶媒を混合して使用することが生産効率の点で 好ましく、良溶媒が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶媒と 貧溶媒の混合比率の好ましい範囲は、良溶媒が 70〜98質量%であり、貧溶媒が 2 〜30質量%である。良溶媒、貧溶媒とは、使用するセルロースエステルを単独で溶 解するものを良溶媒、単独で膨潤する力、または溶解しな!/、ものを貧溶媒と定義してレ、 る。その為、セルロースエステルのァシル基置換度によっては、良溶媒、貧溶媒が変 わり、例えばアセトンを溶媒として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル (ァセチル基置換度 2· 4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶媒になり、 セルロースの酢酸エステル(ァセチル基置換度 2. 8)では貧溶媒となる。
[0222] 本発明に用いられる良溶媒は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハ ロゲン化合物ゃジォキソラン類、アセトン、酢酸メチル、ァセト酢酸メチル等が挙げら れる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
[0223] また、本発明に用いられる貧溶媒は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタ ノール、 n—ブタノール、シクロへキサン、シクロへキサノン等が好ましく用いられる。ま た、ドープ中には水が 0. 0;!〜 2質量%含有していることが好ましい。
[0224] 上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般 的な方法を用いることが出来る。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以 上に加熱出来る。溶媒の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶媒が沸騰しなレ、範囲 の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発 生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶媒と混合して湿潤或い は膨潤させた後、更に良溶媒を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
[0225] 加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶媒の蒸気圧を 上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましぐ例えばジ ャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
[0226] 溶媒を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から
好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。 好ましいカロ熱温度は 45〜 20。Cであり、 60〜 10。Cカより好ましく、 70。C〜; 105。C が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶媒が沸騰しないように調整される。
[0227] 若しくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによつて酢酸メチルなどの溶媒にセル ロースエステルを溶解させることが出来る。
[0228] 次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。
濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが 、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。こ の為絶対濾過精度 0. 008mm以下の濾材が好ましぐ 0. 001—0. 008mmの濾材 カより好ましく、 0. 003〜0. 006mmの滤材力更に好まし!/、。
[0229] 濾材の材質は特に制限はなぐ通常の濾材を使用することが出来る力 ポリプロピ レン、テフロン (登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金 属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステル に含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
[0230] 輝点異物とは、 2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロース エステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から 観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が 0. 01mm 以上である輝点数が 200個 /cm2以下であることが好ましい。より好ましくは 100個/ cm2以下であり、更に好ましくは 50個/ m2以下であり、更に好ましくは 0〜; 10個/ cm 2以下である。また、 0. 01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
[0231] ドープの濾過は通常の方法で行うことが出来る力 溶媒の常圧での沸点以上で、か つ加圧下で溶媒が沸騰しな!/、範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前 後の濾圧の差 (差圧という)の上昇が小さぐ好ましい。好ましい温度は 45〜120°Cで あり、 45〜70°Cがより好ましぐ 45〜55°Cであることが更に好ましい。
[0232] 濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は 1. 6MPa以下であることが好ましぐ 1. 2MPa 以下であること力 り好ましく、 1. OMPa以下であることが更に好ましい。
[0233] ここで、ドープの流延について説明する。
[0234] 流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく
、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは铸物で表面をメツキ仕上 げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は l〜4mとすることが出来る。流延ェ 程の金属支持体の表面温度は 50°C〜溶媒が沸騰して発泡しない温度以下に設 定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速く出来るので好ましいが、余り高過 ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度として は 0〜; 100°Cで適宜決定され、 5〜30°Cが更に好ましい。或いは、冷却することによ つてウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ま しい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風ま たは冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。 温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定に なるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの 温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的 の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支 持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好まし!/、。
[0235] セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からゥェ ブを剥離する際の残留溶媒量は 10〜150質量%が好ましぐ更に好ましくは 20〜4 0質量%または60〜130質量%でぁり、特に好ましくは、 20〜30質量%または 70〜 120質量%である。
[0236] 本発明にお!/、ては、残留溶媒量は下記式で定義される。
[0237] 残留溶媒量 (質量%) = { (M-N) /N} X 100
尚、 Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試 料の質量で、 Nは Mを 115°Cで 1時間の加熱後の質量である。本発明で言う残留溶 媒とは前記処理によって蒸発する溶媒のことを言い、以下に限定されないが、具体 的な例としてはメチレンクロライド、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルァ ノレコーノレ、酢酸メチル、酢酸ェチノレ、アセトン、メチルェチルケトン、プロピレングリコ ールモノメチルエーテル(PGME)、などの一般に言われている有機溶媒のことを指 している力、フィルムに性能を持たせるために添加した物質が蒸発などした場合には 、これに含めることとする。
[0238] また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程にお!/、ては、ウェブを金属支持体より 剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を 1質量%以下にすることが好ましぐ更に好ましく は 0. 1質量%以下であり、特に好ましくは 0〜0. 01質量%以下である。
[0239] フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをゥヱ ブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する 方式が採られる。
[0240] 本発明の光学フィルム用のセルロースエステルフィルムを作製するためには、金属 支持体より剥離した直後のウェブの残留溶媒量の多いところで搬送方向に延伸し (M D延伸)、更にウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を 行うことが好ましい。縦方向、横方向ともに好ましい延伸倍率は 1. 05〜; 1. 3倍であり 、 1. 05〜; 1. 15倍が更に好ましい。縦方向及び横方向延伸により面積が 1. 12倍〜 1. 44倍となっていることカ好ましく、 1. 15倍〜1. 32倍となっていることカ好ましい。 これは縦方向の延伸倍率 X横方向の延伸倍率で求めることが出来る。
[0241] 剥離直後に縦方向に延伸するために、剥離張力及びその後の搬送張力によって 延伸することが好ましい。例えば剥離張力を 210N/m以上で剥離することが好まし ぐ特に好まし <は 220〜300N/mである。
[0242] ウェブを乾燥させる手段は特に制限なぐ一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マ イク口波等で行うことが出来る力 S、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
[0243] ウェブの乾燥工程における乾燥温度は 30〜180°Cで段階的に高くしていくことが 好ましぐ 50〜; 140°Cの範囲で行うことが寸法安定性を良くするため更に好ましい。
[0244] セルロースエステルフィルムの膜厚の変動は幅方向、長手方向とも ± 3%以内が好 ましぐ更に好ましくは ± 2%以内であり、特に好ましくは ± 0. 5%以内である。
[0245] 本発明の光学フィルムは、幅 l〜4mのものが好ましく用いられる。本発明によれば 、特に幅 1. 4〜4mの広幅フィルムの取り扱い性を著しく改善することが出来る。
[0246] 〈物性〉
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの透湿度は、 40°C、 90%RHで 8 50g/m2' 24h以下であり、好ましくは 20〜800g/m2' 24hであり、 20〜750g/m2 •24hであることが特に好ましい。透湿度は JIS Z0208に記載の方法に従い測定す
ること力 S出来る。
[0247] 本発明に用いられるセルロースエステルフィルムは下記測定による破断伸度は 10
〜80%であることが好ましく 20〜50%であることが更に好ましい。
[0248] (破断点伸度の測定)
任意の残留溶媒を含むフィルムを試料幅を 10mm、長さ 130mmに切り出し、 23°C
、 55%RHで 24時間保管した試料を、チャック間距離 100mmにして引っ張り速度 1
00mm/分で引っ張り試験を行い求めることが出来る。
[0249] 本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの下記測定による可視光透過率 は 90%以上であることが好ましぐ 93%以上であることが更に好ましい。
[0250] (透過率の測定)
透過率 Tは、分光高度計 U— 3400 (日立製作所 (株))を用い、各試料を 350〜70
Onmの波長領域で lOnmおきに求めた分光透過串 τ ( λ )力、ら、 380、 400、 500η mの透過率を算出することが出来る。
[0251] 本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの下記測定によるヘイズは 1 %未 満であることが好ましぐ 0. 5%未満であることが更に好ましぐ 0〜0. 1 %であること が特に好ましい。可視光の透過率は 90%以上が好ましぐより好ましく 92%以上であ り、更に 94%以上であることが好ましい。
[0252] (ヘイズ値)
JIS K7105に従って、ヘイズメーター(1001DP型、 日本電色工業(株)製)を用 いて測定し、透明性の指標とすることが出来る。
[0253] レターデーシヨン値 (Ro) (Rt)は以下の式によって求めることが出来る。
[0254] Ro = (nx-ny) X d
Rt= ( (nx+ny) /2 -nz) X d
ここにおいて、 dはフィルムの厚み(nm)、屈折率 nx (フィルムの面内の最大の屈折 率、遅相軸方向の屈折率ともいう)、 ny (フィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折 率)、 nz (厚み方向におけるフィルムの屈折率)である。
[0255] 尚、レターデーシヨン値 (Ro)、 (Rt)、遅相軸角度は自動複屈折率計を用いて測定 することが出来る。例えば、 KOBRA— 21ADH (王子計測機器 (株))を用いて、 23
°C、 55%RHの環境下で、波長が 590nmで求めることが出来る。
[0256] また、遅相軸はフィルムの幅手方向 ± 1° 若しくは長尺方向 ± 1° にあることが好ま しい。
[0257] 本発明では、共流延または逐次流延若しくは塗布によって 2層以上の多層構成とし た熱可塑性樹脂フィルムを用いてもょレ、。
[0258] また、特開 2000— 352620号公幸段落番号 [0036]〜[0105]記載のセノレロース エステルフィルムも好ましく用いることが出来る。或いは特開 2004— 29199号公報 段落番号 [0013]〜 [0124]記載のセルロースエステルフィルムも好ましく用!/、られる
[0259] 本発明においては、市販のセルロースエステルフィルムを使用することも出来る。例 えば、コニカミノルタタック KC8UX、 KC8UY、 LC4UX、 KC4UY、 KC8UCR3、 K C8UCR4、 KC8UX— H (コニ力ミノルタ(株)製)等のセルロースエステルフィルムが 用いられる。
[0260] 〈シクロォレフィンポリマー〉
本発明に用いられるシクロォレフインポリマーは脂環式構造を含有する重合体樹脂 からなるものである。
[0261] 好ましいシクロォレフインポリマーは、環状ォレフィンを重合または共重合した樹脂 である。環状ォレフィンとしては、ノルボルネン、ジシクロペンタジェン、テトラシクロド
4. 0. 110, 13. 02, 7〕トリデカ一 2, 4, 6, 11 テトラエンなどの多環構造の不飽和 炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロへキセン、 3, 4—ジ メチルシクロペンテン、 3 メチルシクロへキセン、 2—(2 メチルブチル) 1ーシク 口へキセン、シクロオタテン、 3a, 5, 6, 7a—テトラヒドロ一 4, 7—メタノ一 1H—インデ ン、シクロヘプテン、シクロペンタジェン、シクロへキサジェンなどの単環構造の不飽 和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。これら環状ォレフィンには置換基として 極性基を有していてもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アル コキシル基、エポキシ基、グリシジル基、ォキシカルボニル基、カルボニル基、ァミノ 基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、特に、エステル基、カルボキ
シル基またはカルボン酸無水物基が好適である。
[0262] 好ましいシクロォレフィンポリマーは、環状ォレフィン以外の単量体を付加共重合し たものであってもよい。付加共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、 1 ーブテン、 1 ペンテンなどのエチレンまたは α—ォレフイン; 1 , 4一へキサジェン、 4ーメチルー 1 , 4一へキサジェン、 5—メチルー 1 , 4一へキサジェン、 1 , 7 ォクタ ジェンなどのジェン等が挙げられる。
[0263] 環状ォレフィンは、付加重合反応或いはメタセシス開環重合反応によって得られる 。重合は触媒の存在下で行われる。付加重合用触媒として、例えば、バナジウム化 合物と有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられる。開環重合用触 媒として、ルテユウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属 のハロゲン化物、硝酸塩またはァセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる重合触 媒;或いは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属 のハロゲン化物またはァセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる 重合触媒などが挙げられる。重合温度、圧力等は特に限定されないが、通常 50°C 〜; 100°Cの重合温度、 0〜490N/cm2の重合圧力で重合させる。
[0264] 本発明に用いるシクロォレフインポリマーは、環状ォレフィンを重合または共重合さ せた後、水素添加反応させて、分子中の不飽和結合を飽和結合に変えたものである ことが好ましい。水素添加反応は、公知の水素化触媒の存在下で、水素を吹き込ん で行う。水素化触媒としては、酢酸コバルト/トリェチルアルミニウム、ニッケルァセチ ルァセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/ n ブチルリチウ ム、ジルコノセンジクロリド/ sec—ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチ ルマグネシウムの如き遷移金属化合物/アルキル金属化合物の組み合わせからな る均一系触媒;ニッケル、パラジウム、白金などの不均一系金属触媒;ニッケル/シリ 力、ニッケル/けい藻土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/ シリカ、ノ ラジウム/けい藻土、ノ ラジウム/アルミナの如き金属触媒を担体に担持 してなる不均一系固体担持触媒などが挙げられる。
[0265] 或いは、シクロォレフインポリマーとして、下記のノルボルネン系ポリマーも挙げられ る。ノルボルネン系ポリマーは、ノルボルネン骨格を繰り返し単位として有していること
が好ましぐその具体例としては、特開昭 62— 252406号公報、特開昭 62— 25240 7号公報、特開平 2— 133413号公報、特開昭 63— 145324号公報、特開昭 63— 2 64626号公報、特開平 1— 240517号公報、特公昭 57— 8815号公報、特開平 5— 39403号公報、特開平 5— 43663号公報、特開平 5— 43834号公報、特開平 5— 7 0655号公報、特開平 5— 279554号公報、特開平 6— 206985号公報、特開平 7— 62028号公報、特開平 8— 176411号公報、特開平 9— 241484号公報等に記載さ れたものが好ましく利用出来るが、これらに限定されるものではない。また、これらは、 1種単独で使用してもよいし、 2種以上を併用してもよい。
[0266] 本発明においては、前記ノルボルネン系ポリマーの中でも、下記構造式(I)〜(IV) の!/、ずれかで表される繰り返し単位を有するものが好まし!/、。
[0267] [化 5]
[0268] 前記構造式 (I)〜(IV)中、 A、 B、 C及び Dは、各々独立して、水素原子または 1価
の有機基を表す。
[0269] また、前記ノルボルネン系ポリマーの中でも、下記構造式 (V)または(VI)で表され る化合物の少なくとも 1種と、これと共重合可能な不飽和環状化合物とをメタセシス重 合して得られる重合体を水素添加して得られる水添重合体も好ましい。
[0270] [化 6]
[0271] 前記構造式中、 A、 B、 C及び Dは、各々独立して、水素原子または 1価の有機基を 表す。
[0272] ここで、上記 A、 B、 C及び Dは特に限定されないが、好ましくは水素原子、ハロゲン 原子、一価の有機基、または、少なくとも 2価の連結基を介して有機基が連結されて もよく、これらは同じであっても異なっていてもよい。また、 Aまたは Bと Cまたは Dは単 環または多環構造を形成してもよい。ここで、上記少なくとも 2価の連結基とは、酸素 原子、ィォゥ原子、窒素原子に代表されるへテロ原子を含み、例えばエーテル、エス テル、カルボニル、ウレタン、アミド、チォエーテル等が挙げられる力 これらに限定さ れるものではない。また、上記連結基を介し、上記有機基は更に置換されてもよい。
[0273] また、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、 エチレン、プロピレン、 1—ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 1—オタテン、 1—デ セン、 1ードデセン、 1ーテトラデセン、 1一へキサデセン、 1ーォクタデセン、 1 エイ コセンなどの炭素数 2〜20の α—ォレフイン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シ クロペンテン、シクロへキセン、シクロオタテン、 3a, 5, 6, 7a—テトラヒドロー 4, 7—メ タノ一 1H—インデンなどのシクロォレフイン、及びこれらの誘導体; 1 , 4—へキサジェ ン、 4ーメチルー 1 , 4一へキサジェン、 5—メチルー 1 , 4一へキサジェン、 1 , 7—オタ タジェンなどの非共役ジェン;などが用いられる。これらの中でも、 α—ォレフイン、特
にエチレンが好ましい。
[0274] これらの、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ 単独で、或いは 2種以上を組み合わせて使用することが出来る。ノルボルネン系モノ マーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加共重 合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー 由来の構造単位との割合力 質量比で通常 30: 70-99: 1、好ましくは 50: 50-97 : 3、より好ましくは 70: 30-95: 5の範囲となるように適宜選択される。
[0275] 合成したポリマーの分子鎖中に残留する不飽和結合を水素添加反応により飽和さ せる場合には、耐光劣化ゃ耐候劣化性などの観点から、水素添加率を 90%以上、 好ましくは 95%以上、特に好ましくは 99%以上とする。
[0276] この他、本発明で用いられるシクロォレフィンポリマーとしては、特開平 5— 2108号 公報段落番号 [0014]〜 [0019]記載の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂、特開 2 001— 277430号公報段落番号 [0015]〜 [0031]記載の熱可塑性ノルボルネン系 ポリマー、特開 2003— 14901号公報段落番号 [0008]〜 [0045]記載の熱可塑性 ノルボルネン系樹脂、特開 2003— 139950号公報段落番号 [0014]〜 [0028]記 載のノルボルネン系樹脂組成物、特開 2003— 161832号公報段落番号[0029]〜
[0037]記載のノルボルネン系樹脂、特開 2003- 195268号公報段落番号 [0027 コ〜 [0036]記載のノルボルネン系樹脂、特開 2003— 211589号公報段落番号 [00 09]〜[0023]脂環式構造含有重合体樹脂、特開 2003— 211588号公報段落番 号 [0008]〜 [0024]記載のノルボルネン系重合体樹脂若しくはビュル脂環式炭化 水素重合体樹脂などが挙げられる。
[0277] 具体的には、 日本ゼオン (株)製ゼォネックス、ゼォノア、 JSR (株)製アートン、三井 ィ匕学(株)製ァぺノレ(APL8008T、 APL6509T, APL6013T, APL5014DP, AP L6015T)などが好ましく用いられる。
[0278] 本発明で使用されるシクロォレフィンポリマーの分子量は、使用目的に応じて適宜 選択されるが、シクロへキサン溶液(重合体樹脂が溶解しな!/、場合はトルエン溶液) のゲル.パーミエーシヨン.クロマトグラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレ ン換算の重量平均分子量で、通常、 5000—500000,好まし <は 8000〜200000
、より好ましくは 10000〜; 100000の範囲である時に、成形体の機械的強度、及び成 形加工性とが高度にバランスされて好適である。
[0279] また、シクロォレフインポリマー 100質量部に対して、低揮発性の酸化防止剤を 0.
0;!〜 5質量部の割合で配合すると、成形加工時のポリマーの分解や着色を効果的 に防止することが出来る。
[0280] 酸化防止剤としては、 20°Cにおける蒸気圧が 10— 5Pa以下、特に好ましくは 10— 8Pa 以下の酸化防止剤が望ましい。蒸気圧が 10— 5Paより高い酸化防止剤は、押出成形 する場合に発泡したり、また、高温にさらされた時に成形品の表面から酸化防止剤が 揮散するという問題が起こる。
[0281] 本発明で使用出来る酸化防止剤としては、例えば、次のようなものを挙げることが 出来、これらの内の一種または数種を組み合わせて用いてもよい。
[0282] ヒンタードフエノール系: 2 , 6 ジ tーブチルー 4 メチルフエノール、 2, 6 ジー t ブチルフエノーノレ、 4ーヒドロキシメチルー 2, 6 ジー t ブチルフエノール、 2, 6 ージ tーブチルー α—メトキシー ρ ジメチルーフエノール、 2, 4 ジ t—アミルフ エノーノレ、 tーブチノレー m クレゾ一ノレ、 4— tーブチノレフエノーノレ、スチレンィ匕フエノ ール、 3— t ブチルー 4ーヒドロキシァニソール、 2, 4 ジメチルー 6— t ブチルフ ェノール、ォクタデシルー 3—(3, 5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピ ォネート、 3, 5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシベンジルフォスフォネートージェチル エステル、 4, A' —ビスフエノール、 4, A' —ビス一(2, 6 ジ一 t ブチルフエノー ノレ)、 2, 2' —メチレン一ビス一(4 メチル 6— t ブチルフエノール)、 2, 2' —メ チレン一ビス一(4—メチル 6— a—メチルシクロへキシルフエノーノレ)、 4 , A' —メ チレン一ビス一(2 メチル 6— t ブチルフエノール)、 4, A' —メチレン一ビス一( 2, 6 ジー t ブチルフエノール)、 1 , 1' ーメチレン ビス一(2, 6 ジ tーブチ ノレナフトーノレ)、 4, A' ーブチリデン一ビス一(2, 6 ジ tーブチノレーメタークレゾ 一ル)、 2, 2' —チオービス一(4 メチル 6— t ブチルフエノール)、ジ一 o—タレ ゾールスルフイド、 2, 2' ーチオービス一(2 メチルー 6— t ブチルフエノール)、 4 , 4' —チオービス(3—メチル 6—t ブチルフエノール)、 4, 4' —チオービス一 (2, 3 ジ一 sec ァミルフエノール)、 1 , 1' —チオービス一(2 ナフトール)、 3, 5
ージー tーブチルー 4ーヒドロキシベンジルエーテル、 1 , 6—へキサンジオールービ スー〔3—(3, 5 ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオネート〕、 2, 4— ビス一(n ォクチルチオ)ー6 (4ーヒドロキシ 3, 5—ジ tーブチルァニリノ) 1 , 3, 5 トリアジン、 2, 2 チォージエチレンビス〔3—(3, 5 ジ tーブチノレー 4 ヒドロキシフエ二ノレ)プロピオネート〕、 2, 2 チォビス(4ーメチルー 6— t ブチルフ ェノール)、 N, N' —へキサメチレンビス(3, 5—ジ一 t ブチル 4—ヒドロキシ一ヒ ドロシンナマミド)、ビス(3, 5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシベンジルホスホン酸ェ チノレ)カノレシゥム、 1 , 3, 5 トリメチノレー 2, 4, 6 トリス一(3, 5 ジ tーブチノレー 4ーヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール ビス〔3—(3— t ブチノレ —5 メチル 4 ヒドロキシフエ二ノレ)プロピオネート〕、 1 , 3, 5 トリメチノレー 2, 4, 6, ートリス(3, 5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシベンジノレ)ベンゼン、トリスー(3, 5 ージ tーブチルー 4ーヒドロキシベンジル) イソシァヌレート、ペンタエリスリチルー テトラキス〔3—(3, 5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシジェニル)プロピオネート〕等。
[0283] ァミノフエノール類:ノルマルブチルー p ァミノフエノーノレ、ノルマルブチロイルー p ーァミノフエノーノレ、ノルマルぺラゴノイルー p ァミノフエノーノレ、ノルマルラウロイル —p ァミノフエノール、ノルマルステアロイル一 p ァミノフエノール、 2、 6 ジ一 t— ブチルー α—ジメチル、アミノー ρ タレゾール等。
[0284] ハイドロキノン系:ノヽイドロキノン、 2, 5 ジー t ブチルハイドロキノン、 2, 5 ジ t ーァミルハイドロキノン、ハイドロキノンメチルエーテル、ハイドロキノンモノベンジルェ 一テル等。
[0285] ホスファイト系トリホスファイト、トリス(3, 4 ジ一 t ブチルフエニル)ホスファイト、ト リス(ノユルフェ二ノレ)ホスファイト、テトラキス(2, 4 ジー t ブチルフエニル) 4, 4 ' —ビフエ二レンフォスファナイト、 2—ェチルへキシルォクチルホスフアイト等。
[0286] その他: 2—メルカプトべンゾチアゾール亜鉛塩、ジカテコールボレートージー o ト リルグァニジン塩、ニッケルージメチルジチォカーバメイト、ニッケル ペンタメチレン ンジチォカルバネート、メルカプトべンズイミダゾール、 2—メルカプトべンズイミダゾー ル亜鉛塩等。
[0287] シクロォレフインポリマーフィルムは、必要に応じて、プラスチックフィルムに一般的
に配合することが出来る添加剤を含有していてもよい。そのような添加剤としては、熱 安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、及び充填剤など が挙げられ、その含有量は本発明の目的を損ねない範囲で選択することが出来る。
[0288] シクロォレフインポリマーフィルムは、その表面の濡れ張力が、好ましくは 40mN/ m以上、より好ましくは 50mN/m以上、更に好ましくは 55mN/m以上である。表面 の濡れ張力が上記範囲にあると、フィルムと偏光子との接着強度が向上する。表面の 濡れ張力を調整するために、例えば、コロナ放電処理、オゾンの吹き付け、紫外線照 射、火炎処理、化学薬品処理、その他公知の表面処理を施すことが出来る。
[0289] 延伸前のシートは厚さが 50〜500 m程度の厚さが必要であり、厚さムラは小さい ほど好ましぐ全面において ± 8%以内、好ましくは ± 6%以内、より好ましくは ±4% 以内である。
[0290] 上記シクロォレフインポリマーフィルムはセルロースエステルフィルムと同様に、シー トをー軸方向に延伸することが出来、更にその方向と直交する方向に延伸する二軸 延伸であってもよ!/、。延伸するには前記テンター装置等を用いることが好まし!/、。
[0291] 延伸倍率は 1. ;!〜 10倍、好ましくは 1. 3〜8倍である。
[0292] 延伸は、通常、シートを構成する樹脂の Tg〜Tg+ 50°C、好ましくは Tg〜Tg + 40 °Cの温度範囲で行われる。延伸温度が低過ぎると破断し、高過ぎると分子配向しな い。
[0293] この様にして得たフィルムは、延伸により分子が配向されて、所望の大きさのリタ一 デーシヨンを持たせることが出来る。本発明にお!/、て好まし!/、リタ一デーシヨン値は、 R_t力ー 400〜400nm、: oカ;!〜 300nmである。
[0294] (ポリカーボネート系ポリマー)
ポリカーボネート系ポリマーを作製するのに用いられるポリカーボネート系樹脂とし ては種々があり、化学的性質及び物性の点から芳香族ポリカーボネートが好ましぐ 特にビスフエノール A系ポリカーボネートが好ましい。その中でも更に好ましくはビス フエノール Aにベンゼン環、シクロへキサン環、叉は脂肪族炭化水素基などを導入し たビスフエノール A誘導体を用いたものが挙げられる力 S、特に中央炭素に対して非対 称にこれらの基が導入された誘導体を用いて得られた、単位分子内の異方性を減少
させた構造のポリカーボネートが好ましい。例えばビスフエノール Aの中央炭素の 2個 のメチル基をベンゼン環に置き換えたもの、ビスフエノーノレ Aのそれぞれのベンゼン 環の一の水素をメチル基やフエニル基などで中央炭素に対し非対称に置換したもの を用いて得られるポリカーボネートが好ましい。
[0295] 具体的には、 4, 4' ージヒドロキシジフエニルアルカンまたはこれらのハロゲン置換 体からホスゲン法またはエステル交換法によって得られるものであり、例えば 4, 4' ージヒドロキシジフエニルメタン、 4, A' ージヒドロキシジフエニルェタン、 4, A' ージ ヒドロキシジフエニルブタン等をあげることができる。
[0296] 本発明に使用されるポリカーボネート樹脂よりなる位相差フィルムはポリスチレン系 樹脂あるいはメチルメタタリレート系樹脂あるいはセルロースアセテート系樹脂等の透 明樹脂と混合して使用しても良いし、またセルロースアセテート系フィルムの少なくと も一方の面にポリカーボネート樹脂を積層してもよい。本発明において使用できるポ リカーボネート系フィルムの作製方法は特に限定されるものではない。すなわち押出 法によるフィルム、溶媒キャスト法によるフィルム、カレンダ一法によるフィルムなどの V、ずれを使用してもよレ、。本発明にお!/、ては 1軸延伸あるいは 2軸延伸のどちらかを 使用し、セルロースエステルフィルムの好ましい製造法と同様な製造法により、本発 明の弾性率 £ と弾性率 ε の式(1 )の関係を満たし、かつ面内及び厚み方向の位相 f
差値の範囲を満たすポリカーボネート系フィルムが得られる。
[0297] 本発明において使用されるポリカーボネート系フィルムはガラス転移点 (Tg)が 1 10
°C以上であって、吸水率(23°C水中、 24時間の条件で測定した値)が 0. 3%以下の ものを使用するのがよい。より好ましくは Tgが 120°C以上であって、吸水率が 0· 2% 以下のものを使用するのがよ!/、。
[0298] (ポリ乳酸系ポリマー)
本発明では、ポリ乳酸系ポリマーを用いた透明基材フィルムを用いることも出来る。 ポリ乳酸系ポリマーとしては、ポリ乳酸、または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共 重合体があげられる。ポリ乳酸系重合体は 1種を単独で、または 2種以上の混合物と して用いられる。
[0299] 乳酸としては、 L 乳酸、 D 乳酸があげられる。乳酸としては、 L 乳酸が好まし
い。他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、 3—ヒドロキシ酪酸、 4ーヒドロ キシ酪酸、 3—ヒドロキシ吉草酸、 4ーヒドロキシ吉草酸、 6—ヒドロキシカプロン酸等が あげられる。なお、本発明において基材フィルムを構成するポリ乳酸系重合体は、重 合成分が乳酸のみからなるポリ乳酸が最も好ましい。
[0300] ポリ乳酸系重合体の重合方法は、特に制限されず、たとえば、縮合重合法、開環重 合法等の公知の!/、ずれの方法を採用することができる。ポリ乳酸系重合体の重量平 均分子量は、 10000〜; 1000000程度であるの力 s好ましい。また、ポリ乳酸系重合体 としては、さらには分子量増大のために、少量の鎖延長剤、例えばポリイソシァネート 化合物、ポリエポキシ化合物、酸無水物等の架橋剤を使用したものを用いてもよい。
[0301] ポリ乳酸系フィルムは、前記ポリ乳酸系重合体を主成分とするが、本発明の効果を 阻害しない範囲で、他の高分子材料が配合されていてもよい。他の高分子材料とし ては、ポリ乳酸 以外のポリエステル、ポリオレフイン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アタリ口 二トリル、セルロース系材料、ポリビュルアルコール、ポリアミド、ポリ酢酸ビュル、ポリ フエ二レンォキシド等があげられる。ただし、脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸系重合 体に配合しない方が好ましい。脂肪族ポリエステルを配合すると、加温'加湿条件で 保存された場合にポリ乳酸系フィルムに白濁が生じ易くなり本用途では好ましくない
〇
[0302] また、ポリ乳酸系フィルムには、成型加工性、フィルム物性を調整する目的で、可塑 剤、滑剤、無機フィラー、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の添加剤を添加することもで きる。
[0303] ポリ乳酸系フィルムの製法は特に制限されない。たとえば、前記ポリ乳酸系重合体 またはそれを主成分とする組成物を、溶融押出し法によりフィルム状に成形すること 力できる。さらにポリ乳酸系フィルムは、ロール法、テンター法等により、一軸または二 軸に延伸してもよい。延伸フィルムは強度に優れており好ましい。特に二軸延伸フィ ルムが好ましい。延伸倍率は特に制限されないが、 5倍以内、さらには 1. 5〜5倍と するのが好ましい。
[0304] 基材フィルムであるポリ乳酸系フィルムの厚さは、作業性 (保護フィルムの取扱い性 )の点から、一般に lO ^ m以上、好ましくは 15 111以上、より好ましくは 20〜200
mである。
[0305] 〈ハードコート層〉
本発明は前記熱可塑性樹脂フィルムの微細凸構造を設けた面若しくは反対の面上 にハードコート層を塗設することが好ましい。ハードコート層は、活性線硬化樹脂及 び微粒子を含有するハードコート層であることが好ましい。
[0306] 微粒子としては無機粒子及び有機粒子が挙げられる。本発明に使用することが出 来る無機微粒子としては酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化 インジウム、 ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化マグネシウム
、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケィ酸カルシ ゥム、水和ケィ酸カルシウム、ケィ酸アルミニウム、ケィ酸マグネシウム及びリン酸カル シゥム或レ、はこれらの複合酸化物等を挙げることが出来る。
[0307] これらの内で、酸化珪素、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、 ΙΤΟ、酸化ジノレ コユウム、酸化アンチモン或いはこれらの複合酸化物等が好ましく用いられる。
[0308] 有機微粒子としては、ポリ(メタ)アタリレート系樹脂、シリコン系樹脂、ポリスチレン系 樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、メ ラミン系樹脂、更にポリオレフイン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ イミド系樹脂、ポリ弗化工チレン系樹脂等が使用出来る。特に好ましくは導電性微粒 子を含有することである。
[0309] 粒径は 51 111〜10 111の微粒子が用いられる力 5nm〜5 mの粒子が好ましい。
特にハードコート層の平均膜厚よりも直径の大きな粒子は防眩性ハードコート層を形 成するのに有用である。防眩性を持たせない場合は、好ましくは 51 111〜1 111の粒 子を含有することである。異なる組成、粒径、屈折率の微粒子を組み合わせて用いる ことも出来る。例えば、酸化珪素と酸化ジルコニウム或いは酸化珪素と ITO微粒子を 組み合わせて用いることが出来る。
[0310] 活性線硬化樹脂とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て 硬化する樹脂をいう。例えば、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む 成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬 化させてハードコート層が形成される。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂
や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられる力、紫外線照射によって硬 化する樹脂が好ましい。
[0311] 紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアタリレート系樹脂、紫 外線硬化型ポリエステルアタリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアタリレート系樹 脂、紫外線硬化型ポリオールアタリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂 等が好ましく用いられる。
[0312] 紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシァ ネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に 2—ヒドロキ シェチルアタリレート、 2—ヒドロキシェチルメタタリレート(以下アタリレートにはメタタリ レートを包含するものとしてアタリレートのみを表示する)、 2—ヒドロキシプロピルアタリ レート等の水酸基を有するアタリレート系のモノマーを反応させることによって容易に 得ること力 S出来る。例えば、特開昭 59— 151110号公報に記載のものを用いることが 出来る。
[0313] 例えば、ュニディック 17— 806 (大日本インキ(株)製) 100部とコロネート L (日本ポ リウレタン (株)製) 1部との混合物等が好ましく用いられる。
[0314] 紫外線硬化型ポリエステルアタリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオ ールに 2—ヒドロキシェチルアタリレート、 2—ヒドロキシアタリレート系のモノマーを反 応させると容易に形成されるものを挙げることが出来、特開昭 59— 151112号公報 に記載のものを用いることが出来る。
[0315] 紫外線硬化型エポキシアタリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアタリレート をオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成す るものを挙げること力 S出来、特開平 1— 105738号公報に記載のものを用いることが 出来る。
[0316] 紫外線硬化型ポリオールアタリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロ ノ ントリアタリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアタリレート、ペンタエリスリトールト リアタリレート、ペンタエリスリトールテトラアタリレート、ジペンタエリスリトールへキサァ タリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアタリレート等を挙げることが出 来る。
[0317] これら紫外線硬化性樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及び その誘導体、ァセトフエノン、ベンゾフエノン、ヒドロキシベンゾフエノン、ミヒラーズケト ン、 α —アミ口キシムエステル、チォキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが 出来る。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用 出来る。また、エポキシアタリレート系の光反応開始剤の使用の際、 η—プチルァミン 、トリェチルァミン、トリ—η—ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。例え ば、ィルガキュア 184、ィルガキュア 907 (チバスペシャルティケミカルズ社製)などの 市販品が好ましく用いられる。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光反応開始剤ま た光増感剤は該組成物 100質量部に対して 0. ;!〜 15質量部であり、好ましくは 1〜 10質量部である。
[0318] 樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルァ タリレート、ェチルアタリレート、ブチルアタリレート、ベンジルアタリレート、シクロへキ シルアタリレート、酢酸ビュル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る 。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアタリレ ート、プロピレングリコーノレジアタリレート、ジビニノレベンゼン、 1 , 4ーシクロへキサンジ アタリレート、 1 , 4ーシクロへキシノレジメチノレジアタリレート、前出のトリメチローノレプロ パントリアタリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることが出来
[0319] 本発明において使用し得る紫外線硬化樹脂の市販品としては、アデカオブトマー KR.BYシリーズ: KR— 400、 KR— 410、 KR— 550、 KR— 566、 KR— 567、 BY — 320B (旭電化(株)製);コーエイハード A— 101— KK、 A— 101— WS、 C— 302 、 C— 401— N、 C— 501、 M—皿、 M— 102、 T— 102、 D— 102、 NS—皿、 F T— 102Q8、 MAG— 1— P20、 AG— 106、 M—皿— C (広栄化学(株)製);セィ 力ビーム PHC2210 (S)、 PHC X— 9 (K— 3)、 PHC2213、 DP— 10、 DP— 20、 DP— 30、 P1000、 P1100、 P1200、 P1300、 P1400、 P1500、 P1600、 SCR90 0 (大曰精化工業(株)製); KRM7033、 KRM7039、 KRM7130、 KRM7131 , U VECRYL29201 , UVECRYL29202 (ダイセノレ'ユーシービー(株)製); RC— 50 15、 RC— 5016、 RC— 5020、 RC— 5031、 RC— 5100、 RC— 5102、 RC— 512
0、 RC— 5122、 RC- 51
52、 RC— 5171、 RC— 5180、 RC— 5181 (大日本インキ化学工業(株)製);オーレ ックス No. 340クリャ(中国塗料(株)製);サンラッド H— 601、 RC— 750、 RC— 700 、 RC— 600、 RC— 500、 RC— 611、 RC— 612 (三洋化成工業(株)製); SP— 150 9、 SP— 1507 (昭和高分子(株)製); RCC— 15C (グレース.ジャパン (株)製)、ァロ ニックス M— 6100、 M— 8030、 M— 8060 (東亞合成(株)製)、 DPHA (日本化薬( 株)製)等を適宜選択して利用出来る。
[0320] また、具体的化合物例としては、トリメチロールプロパントリアタリレート、ジトリメチロ ールプロパンテトラアタリレート、ペンタエリスリトーノレトリアタリレート、ペンタエリスリト ールテトラアタリレート、ジペンタエリスリトールへキサアタリレート、アルキル変性ジぺ ンタエリスリトールペンタアタリレート等を挙げることが出来る。
[0321] この他、屈折率調整のため、酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有させたハードコ ート塗布液 デソライト Z— 7041、デソライト Z— 7042 (JSR (株)製)なども単独で若し くは他の紫外線硬化樹脂などに添加混合して使用することが出来る。
[0322] 本発明に用いられる活性線硬化性樹脂の硬化は、電子線または紫外線のような活 性線照射によって硬化することが出来る。例えば、電子線硬化の場合にはコックロフ トワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミト口 ン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される 50〜; 1000KeV、好ましくは 100〜300KeVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合に は超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタ ノレハライドランプ等の光線力 発する紫外線等が利用出来る。
[0323] 活性線硬化樹脂組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物 100質量部に対して、 0.
;!〜 40質量部となるように配合することが望ましい。
[0324] 本発明に用いられるハードコート層の屈折率は、 1. 5〜2. 0であり、より好ましくは 1 . 6〜; 1. 8である。透明支持体として用いられるセルロースエステルフィルムの屈折率 は約 1. 5である。ハードコート層の屈折率が小さ過ぎると反射防止性が低下する。更 に、これが大き過ぎると、光学フィルムの反射光の色味が強くなり、好ましくない。本発 明に用いられるハードコート層の屈折率は、低反射性フィルムを得るための光学設計
上から屈折率が 1. 60- 1. 70の範囲にあることが特に好ましい。ハードコート層の屈 折率は前記添加する微粒子の屈折率や含有量によって調製することが出来る。
[0325] 本発明に用いられるハードコート層の膜厚とは、断層電子顕微鏡写真で観察した 時のハードコート層の樹脂部分の膜厚 10ケ所の平均を本発明の膜厚としており、十 分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の膜厚は 0. 5 111〜10 . C^ mの範囲が好ましぐ更に好ましくは、 1. O ^ mである。またハードコ 一ト層は 2層以上から構成されて!/、てもよ!/、。
[0326] これらのハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ヮ ィヤーバーコ一ター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することが 出来る。塗布量はウエット膜厚として 0. ;!〜 30 mが適当で、好ましくは、 0. 5〜15 μ mであ^)。
[0327] 紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層を形成するための光 源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用出来る。例えば、低圧水 銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライド ランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによつ て異なる力 活性線の照射量は、 0. 5j/cm2以下であり、好ましくは 0. lj/cm2以 下である。
[0328] 活性線の照射量を得るための照射時間としては、 0. 1秒〜 1分程度がよぐ硬化性 樹脂の硬化効率または作業効率の観点から 0. ;!〜 10秒がより好ましい。また、これら 活性線照射部の照度は 50〜150mW/m2であることが好ましい。
[0329] また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うこと が好ましぐ更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する 張力は 30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バック ロール上で搬送方向に張力を付与してもよぐテンターにて幅方向、若しくは 2軸方 向に張力を付与してもよい。これによつて更に平面性優れたフィルムを得ることが出 来る。
[0330] ハードコート層の塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシ レン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロ
へキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルェチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ェ ステル類(酢酸メチル、酢酸ェチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の 有機溶媒の中から適宜選択し、或いはこれらを混合し利用出来る。プロピレングリコ ールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として 1〜4)またはプロピレン グリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として 1〜4 )等を 5質量%以上、より好ましくは 5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用い るのが好ましい。
[0331] また、ハードコート層の塗布液には、特にシリコン化合物を添加することが好ましい 。例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどが好ましく添加される。ポリエーテル 変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば、 1000〜; 100000、好ましくは、 2 000〜50000が適当であり、数平均分子量が 1000未満では、塗膜の乾燥性が低下 し、逆に、数平均分子量が 100000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしに《なる 頃向にある。
[0332] シリコン化合物の市販品としては、 DKQ8— 779 (ダウコーユング社製商品名)、 SF 3771、 SF8410, SF8411 , SF8419, SF8421 , SF8428、 SH200、 SH510、 S H1107、 SH3749、 SH3771、 BX16— 034、 SH3746, SH3749、 SH8400、 S H3771M、 SH3772M、 SH3773M、 SH3775M、 BY— 16— 837、 BY— 16— 8 39、 BY— 16— 869、 BY— 16— 870、 BY— 16— 004、 BY— 16— 891、 BY- 16
— 872、 BY— 16— 874、 BY22— 008M、 BY22— 012M、 FS— 1265 (以上、東 レ.ダウコーユングシリコーン社製商品名)、 KF— 101、 KF— 100T、 KF351、 KF3 52、 KF353、 KF354、 KF355、 KF615、 KF618、 KF945、 KF6004、シリコーン X— 22— 945、 X22— 160AS (以上、信越化学工業社製商品名)、 XF3940、 XF3 949 (以上、東芝シリコーン社製商品名)、ディスパロン LS— 009 (楠本化成社製)、 グラノーノレ 410 (共栄社油月旨ィ匕学工業(株)製)、 TSF4440、 TSF4441 , TSF4445 、 TSF4446、 TSF4452、 TSF4460 (GE東芝シリコーン製)、 BYK— 306、 BYK
— 330、 BYK— 307、 BYK— 341、 BYK— 344、 BYK- 361 (ビックケミ—ジヤノ ン社製)日本ュニカー(株)製の Lシリーズ({列免 iiL7001、 L 7006、 L 7604、 L — 9000)、 Yシリーズ、 FZシリーズ(FZ— 2203、 FZ— 2206、 FZ— 2207)等力 S挙
げられ、好ましく用いられる。
[0333] これらの成分は基材ゃ下層への塗布性を高める。積層体最表面層に添加した場合 には、塗膜の撥水、撥油性、防汚性を高めるば力、りでなぐ表面の耐擦り傷性にも効 果を発揮する。これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、 0. 0;!〜 3質量%の 範囲で添加することが好まし!/ヽ。
[0334] (反射防止層)
本発明に係る光学フィルムはハードコート層上に、更に反射防止層を設けることが できる。
[0335] 本発明では反射防止層を設ける方法は特に限定されず、スパッタ、大気圧プラズ マ処理、塗布などが挙げられるが、塗布により形成することが好ましい。
[0336] 反射防止層を塗布により形成する方法としては、溶媒に溶解したバインダー樹脂中 に金属酸化物の粉末を分散し、塗布乾燥する方法、架橋構造を有するポリマーをバ インダー樹脂として用いる方法、エチレン性不飽和モノマーと光重合開始剤を含有さ せ、活性線を照射することにより層を形成する方法等の方法を挙げることが出来る。
[0337] 本発明においては、ハードコート層を付与した透明基材フィルムの上に反射防止層 を設け、該反射防止層の少なくとも一層が低屈折率層である。
[0338] 好ましい光学フィルムの構成を下記に示す力 これらに限定されるものではない。
[0339] ここでハードコート層、防眩層とは、前述の活性線硬化樹脂層を意味する。尚、ここ では本発明のブロッキング防止加工を施した面をバックコート層と表記した。
[0340] ノ ックコート層/透明基材フィルム/クリアハードコート層/低屈折率層
ノ ックコート層/透明基材フィルム/クリアハードコート層/高屈折率層/低屈折 率層
ノ ックコート層/透明基材フィルム/クリアハードコート層/中屈折率層/高屈折 率層/低屈折率層
ノ ックコート層/透明基材フィルム/防眩層/低屈折率層
バックコート層/透明基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層 バックコート層/透明基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折 率層
また、中屈折率層若しくは高屈折率層が帯電防止層を兼ねてもよい。
[0341] 前記光学フィルムでは、最上層に低屈折率層を形成し、ハードコート層との間に高 屈折率層の金属酸化物層を形成したり、更にハードコート層と高屈折率層との間に 中屈折率層(金属酸化物の含有量或いは樹脂バインダーとの比率、金属の種類を 変更して屈折率を調整した金属酸化物層)を設けることは、反射率の低減のために 好ましい。
[0342] 本発明の低屈折率層には中空微粒子が含有されることが好ましい。
[0343] ここでいう中空微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層 とからなる複合粒子、または(Π)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または 多孔質物質で充填された空洞粒子である。尚、低屈折率層には(I)複合粒子または (II)空洞粒子の!/、ずれかが含まれて!/、ればよく、また双方が含まれて!/、てもよ!/、。
[0344] 尚、空洞粒子は、内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。
空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質などの内容物で充填 されている。この様な無機微粒子の平均粒子径が 5〜300nm、好ましくは 10〜200 nmの範囲にあることが望ましい。使用される無機微粒子の平均粒径は、形成される 透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、形成される低屈折率層などの透明被膜の膜 厚の 2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの無機微粒子は、低屈折率 層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒とし ては、水、アルコール(例えば、メタノーノレ、エタノール、イソプロピルアルコール)及 びケトン(例えば、メチルェチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例 えばジアセトンアルコール)が好ましい。
[0345] 複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、;!〜 20nm、好ましく は 2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが lnm未 満の場合は、粒子を完全に被覆することが出来ないことがあり、後述する塗布液成分 である重合度の低いケィ酸モノマー、オリゴマーなどが容易に複合粒子の内部に内 部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が十分得られないことがある 。また、被覆層の厚さが 20nmを越えると、前記ケィ酸モノマー、オリゴマーが内部に 進入することはな!/、が、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が
十分得られなくなること力ある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さ力 Slnm未満の場 合は、粒子形状を維持出来ないことがあり、また厚さが 20nmを越えても、低屈折率 の効果が十分に現れなレ、こと力ある。
[0346] 前記複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが 好ましい。また複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁には、シリカ以外の成分 が含まれていてもよぐ具体的には、 Al O、 B O、 TiO、 ZrO、 SnO、 CeO、 P O 、 Sb O、 MoO、 ZnO、 WOなどが挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子と しては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、 CaF、 NaF、 NaAlF、 MgFなどからなるものが挙げられる。この内特にシリカとシリカ以外 の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機 化合物としては、 A1 Ο、 B Ο、 TiO、 ZrO、 SnO、 CeO、 P O、 Sb O、 MoO、 Z nO、 WO等との 1種または 2種以上を挙げることが出来る。この様な多孔質粒子で は、シリカを SiOで表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOX)で表した時 のモノレ匕 MOX/SiO 、 0. 0001— 1. 0、好ましく (ま 0. 001—0. 3の範囲にある ことが望ましい。多孔質粒子のモル比 MOX/SiOが 0. 0001未満のものは得ること が困難であり、得られたとしても更に屈折率が低いものを得ることはない。また、多孔 質粒子のモル比 MOX/SiO 1S 1. 0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、 細孔容積が小さぐかつ屈折率の低い粒子を得られないことがある。
[0347] この様な多孔質粒子の細孔容積は、 0.;!〜 1. 5ml/g、好ましくは 0. 2〜; 1. 5ml
/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が 0. lml/g未満では、十分に屈折率の 低下した粒子が得られず、 1. 5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被 膜の強度が低下することがある。
[0348] 尚、この様な多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることが出来る。ま た、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質な どが挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反 応物、使用した触媒などが含まれていてもよい。また多孔質物質としては、前記多孔 質粒子で例示した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分 力、らなるものであってもよ!/、が、複数成分の混合物であってもよレ、。
[0349] この様な無機微粒子の製造方法としては、例えば特開平 7— 133105号公報の段 落番号 [0010]〜 [0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適 に採用される。具体的に、複合粒子が、シリカ、シリカ以外の無機化合物とからなる場 合、以下の第 1〜第 3工程から無機化合物粒子は製造される。
[0350] 〈偏光板〉
本発明に係る偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明の光学フィ ルムの裏面側をアルカリ鹼化処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬 延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹼化型ポリビュルアルコール 水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも該光学フィルムを用い ても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。反対面側に用いられる偏光板保護フ イルムとしては、市販のセルロースエステルフィルムとして、 KC8UX2M、 KC4UX、 KC5UX、 KC4UY、 KC8UY、 KC12UR、 KC8UCR— 1、 KC8UCR— 2、 KC8 UCR— 3、 KC8UCR— 4、 KC8UXW— H (コニ力ミノルタォプト(株)製)等が好まし く用いられる。これらは同種のフィルムを偏光子の両面に用いて偏光板化することも 出来、或いは異なる種類のフィルムを組み合わせて偏光板とすることも出来る。これら の偏光板は表示装置の表面若しくは裏面 (バックライト側)に使用することが出来る。 例えば、 KC8UY/偏光子/ KC12UR、 KC8UX2M/偏光子/ KC8UCR— 3、 KC8UXW— H/偏光子/ KC8UCR4、 KCUXW— H/偏光子/ KCUCR— 3等 と組み合わせて用いることが出来る。本発明の光学フィルムに対して、もう一方の面 に用いられる偏光板保護フィルムは面内リタ一デーシヨン Roが 590nmで、 20〜70n m、 Rtが 70〜400nmの位相差を有して!/、る光学補償フィルムであることが好まし!/ヽ 。これらは例えば、特開 2002— 71957号公報段落番号 [0014]〜[0078]、特開 2 003— 170492号公報段落番号 [0064]〜[0252]記載の方法で作製することが出 来る。
[0351] 〈光学異方層〉
本発明においては、更にディスコチック液晶などの液晶化合物を配向させて形成し た光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いるこ とが好ましい。例えば、特開 2003— 98348号公報段落番号 [0033]〜[0053]記
載の方法で光学異方層を形成することが出来る。本発明の光学フィルムと組み合わ せて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光 板を得ることが出来る。
[0352] 本発明において、光学異方層は前記透明基材上に直接または配向層を介して設 けられる。光学異方層は、好ましくは液晶性ディスコティック化合物を有し、該液晶性 ディスコティック化合物の光軸は、透明支持体の法線方向に対して傾斜角を形成す る。この傾斜角は光学異方層の透明支持体側から表面側に向かうにつれ増加してい ることが好ましい。このように本発明において光学異方層は、ディスコティック(円盤状 )構造単位を有する化合物からなる負の複屈折を有する層である。すなわち、光学異 方層は、液晶性ディスコティック化合物の層である力、、または重合性ディスコティック 化合物の硬化により得られるポリマー層である。本発明に適用できるディスコティック 化合物としては、たとえば、 C. Destradeらの研究報告、 Mol. Cryst. 71巻、 111頁 (1981年)に記載されているベンゼン誘導体、 Mol. Cryst. 122巻、 141頁(1985 年)、 Phyics. Lett, A、 78巻、 82頁(1990年)に記載されているトルキセン誘導体 、 B. Kohneらの研究報告、 Angew. Chem. Soc. 96巻、 70頁(1984年)に記載さ れたシクロへキサン誘導体および J. M. Lehnらの研究報告、 J. Chem. Commun. 1794頁(1985年)、 J. Zhangらの研究報告、 J. Am. Chem. Soc. 116巻、 2655 頁(1994年)に記載されているァザクラウン系やフエニルアセチレン系マクロサイクル などを挙げること力 Sできる。ディスコティック化合物は、一般にこのような芳香環を有す る分子を核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾィルォキシ基などが 側鎖としてその周りに放射状に置換した平板状構造を有しており、液晶性を示し、一 般にディスコティック液晶と呼ばれるものを含む。但し、分子自身が負の一軸性を有し 、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また本 発明においては、ディスコティック構造単位を有する化合物には、上記化合物の他に 、低分子ディスコティック液晶が熱や電離放射線などで架橋しうる官能基を有してお り、熱または電離放射線照射によって高分子量化して液晶性を失ったものも含まれる
〇
[0353] 光学異方層は、ディスコティック化合物および他の化合物を溶解した塗布液を配向
層上に塗布、乾燥した後、ディスコティックネマティック相形成温度まで加熱し、その 配向状態を維持しつつ冷却することにより形成することができる。また、ディスコテイツ タネマティック相形成温度まで加熱した後、電離放射線照射により重合させてもよ!/、。 ディスコティックネマティック液晶相一固相転移温度としては、好ましくは 50〜300°C 、より好ましくは 70〜; 170°Cが望ましい。
[0354] なお、光学異方層には、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、高分子化合物な ど、ディスコティック化合物の配向を阻害しない限り必要に応じていかなる化合物を 添加してもよい。重合性モノマーとしては、アタリロイル基、メタクリロイノレ基、ビュル基 およびビュルォキシ基を有するものが好ましぐディスコティック化合物に対して 1〜5 0質量%、好ましくは 5〜30質量%用いることができる。
[0355] 高分子化合物としては、ディスコティック化合物との相溶性を有していればよぐ好 ましくはセルロースエステル、より好ましくはセルロースアセテートブチレートが望まし い。高分子化合物はディスコティック化合物に対し、 0. ;!〜 10質量%、好ましくは 0. ;!〜 5質量0 /0用いることができる。また、セルロースアセテートブチレートのァセチル化 度は 30〜80%が好ましぐブチリル化度は 30〜80%が好ましい。
[0356] 本発明においては、記光学異方層が活性線硬化層であることが好ましい。
[0357] 〈偏光子〉
偏光子としては、ポリビュルアルコール系フィルムを延伸、染色したものが好ましく 用いられる。特に、エチレン単位の含有量 1〜4モル%、重合度 2000〜4000、けん 化度 99. 0—99. 99モル%のエチレン変性ポリビュルアルコールが好ましく用いられ る。中でも熱水切断温度が 66〜73°Cであるエチレン変性ポリビュルアルコールフィ ルムが好ましく用いられる。又、フィルムの TD方向に 5cm離れた二点間の熱水切断 温度の差が 1°C以下であることが、色斑を低減させるうえでさらに好ましぐさらにフィ ルムの TD方向に lcm離れた二点間の熱水切断温度の差が 0. 5°C以下であること 力 色斑を低減させるうえでさらに好ましい。
[0358] このエチレン変性ポリビュルアルコールフィルムを用いた偏光子は、偏光性能およ び耐久性能に優れているうえに、色斑が少なぐ大型液晶表示装置に特に好ましく 用いられる。
[0359] 本発明にお!/、て用いられるエチレン変性ポリビュルアルコール(エチレン変性 PVA )としては、エチレンとビュルエステル系モノマーとを共重合して得られたエチレン ビュルエステル系重合体をけん化し、ビュルエステル単位をビュルアルコール単位と したものを用いること力できる。このビュルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸 ビュル、酢酸ビュル、プロピオン酸ビュル、バレリン酸ビュル、ラウリン酸ビュル、ステ アリン酸ビュル、安息香酸ビュル、ビバリン酸ビュル、バーサティック酸ビュル等を挙 げること力 Sでき、これらのなかでも酢酸ビュルを用いるのが好ましい。
[0360] エチレン変性 PVAにおけるエチレン単位の含有量(エチレンの共重合量)は、;!〜
4モル0 /0であり、好ましくは 1 · 5〜3モル0 /0であり、より好ましくは 2〜3モル0 /0である。
[0361] エチレン単位の含有量がこの範囲にあると、偏光性能および耐久性能が向上し、 色斑が低減されるため好まし!/、。
[0362] さらに、エチレン変性ポリビュルアルコールには、ビュルエステル系モノマーに下記 のモノマーを共重合させることもできる。ビュルエステル系モノマーに共重合させる場 合、好ましい範囲は 15モル0 /0以下、より好ましくは 5モル0 /0以下である。
[0363] このようなビュルエステル系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、プ ロピレン、 1ーブテン、イソブテン等の炭素数 3〜30のォレフィン類;アクリル酸および その塩;アクリル酸メチル、アクリル酸ェチル、アクリル酸 n プロピル、アクリル酸 i プロピル、アクリル酸 n ブチル、アクリル酸 iーブチル、アクリル酸 tーブチル、アタリ ル酸 2—ェチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ォクタデシル等のアタリノレ 酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ェチル、メ タクリル酸 n プロピル、メタクリル酸 i プロピル、メタクリル酸 n ブチル、メタクリノレ 酸 iーブチル、メタクリル酸 tーブチル、メタクリル酸 2—ェチルへキシル、メタクリル酸ド デシル、メタクリル酸ォクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、 N メ チルァクリノレアミド、 N ェチルアクリルアミド、 N, N ジメチルアクリルアミド、ジァセ トンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロ ピルジメチルァミンおよびその塩、 N メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等 のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、 N メチルメタクリルアミド、 N ェチルメタク リルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピル
ジメチルァミンおよびその塩、 N—メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメ タクリルアミド誘導体; N—ビュルホルムアミド、 N—ビュルァセトアミド、 N—ビュルピ 口リドン等の N—ビュルアミド類;メチルビュルエーテル、ェチルビュルエーテル、 n— プロピノレビニノレエーテノレ、 i—プロピノレビニノレエーテノレ、 n—ブチノレビニノレエーテノレ、 i ーブチノレビニノレエーテノレ、 tーブチノレビニノレエーテノレ、 ドデシノレビニノレエーテノレ、ス テアリルビュルエーテル等のビュルエーテル類;アクリロニトリル、メタタリロニトリル等 の二トリル類;塩化ビュル、塩化ビニリデン、フッ化ビュル、フッ化ビニリデン等のハロ ゲン化ビュル類;酢酸ァリル、塩化ァリル等のァリル化合物;マレイン酸およびその塩 またはそのエステル;ィタコン酸およびその塩またはそのエステル;ビュルトリメトキシ シラン等のビュルシリル化合物;酢酸イソプロぺニル、 N—ビュルホルムアミド、 N—ビ ニルァセトアミド、 N—ビュルピロリドン等の N—ビュルアミド類を挙げることができる。
[0364] 偏光子を構成するエチレン変性 PVAの重合度は、偏光性能と耐久性の点から 20 00〜4000であり、 2200〜3500カ好ましく、 2500〜3000カ特に好ましレヽ。重合度 が 2000より小さい場合には、偏光子の偏光性能や耐久性能が低下し、好ましくない 。また、重合度が 4000以下であることが偏光子の色斑が生じに《好ましい。
[0365] エチレン変性 PVAの重合度は、 GPC測定から求めた重量平均重合度である。この 重量平均重合度は、単分散 PMMAを標品として移動相に 20ミリモル/リットルのトリ フルォロ酢酸ソーダを加えたへキサフルォロイソプロパノール(HFIP)を用い、 40°C で GPC測定を行って求めた値である。
[0366] 偏光子を構成するエチレン変性 PVAのけん化度は、偏光子の偏光性能および耐 久十生の点、力、ら 99. 0—99. 99モノレ0 /0であり、 99. 9—99. 99モノレ0 /0カより好ましく、 9 9. 95—99. 99モノレ0 /0カ特に好ましレヽ。
[0367] エチレン変性 PVAフィルムを製造する方法としては特に限定されないが、流延製 膜法および溶融押出製膜法が、良好なエチレン変性 PVAフィルムを得る観点から好 ましい。又、得られたエチレン変性 PVAフィルムは、必要に応じて乾燥および熱処理 が施される。
[0368] エチレン変性 PVAフィルムを製造する際に使用されるエチレン変性 PVAを溶解す る溶媒としては、例えば、ジメチノレスノレホキシド、ジメチノレホノレムアミド、ジメチノレアセト
アミド、 N—メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、 ジエチレングリコーノレ、トリエチレングリコーノレ、テトラエチレングリコーノレ、トリメチロー ルプロパン、エチレンジァミン、ジエチレントリァミン、グリセリン、水などを挙げることが でき、これらのうち 1種または 2種以上を使用することができる。これらのなかでも、ジメ チルスルホキシド、水、またはグリセリンと水の混合溶媒が好ましく使用される。
[0369] エチレン変性 PVAフィルムを製造する際に使用されるエチレン変性 PVA溶液また は水を含むエチレン変性 PVAにおけるエチレン変性 PVAの割合はエチレン変性 P VAの重合度に応じて変化する力 20〜70質量%が好ましぐ 25〜60質量%がより 好ましぐ 30〜55質量%がさらに好ましぐ 35〜50質量%が最も好ましい。エチレン 変性 PVAの割合が 70質量%を超えるとエチレン変性 PVA溶液または水を含むェチ レン変性 PVAの粘度が高くなり過ぎて、フィルムの原液を調製する際に濾過や脱泡 が困難となり、異物や欠点のないフィルムを得ることが困難となる。また、エチレン変 性 PVAの割合が 20質量%より低いとエチレン変性 PVA溶液または水を含むェチレ ン変性 PVAの粘度が低くなり過ぎて、 目的とする厚みを有する PVAフィルムを製造 すること力 S困難になる。また、このエチレン変性 PVA溶液または水を含むエチレン変 性 PVAには、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、二色性染料などを含有させてもよ い。
[0370] エチレン変性 PVAフィルムを製造する際に可塑剤として、多価アルコールを添カロ すること力 S好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリ ン、プロピレングリコーノレ、ジエチレングリコーノレ、ジグリセリン、トリエチレングリコーノレ 、テトラエチレンダリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、これらのう ち 1種または 2種以上を使用することができる。これらの中でも延伸性向上効果からジ グリセリンゃエチレンダリコールゃダリセリンが好ましく使用される。
[0371] 多価アルコールの添加量としてはエチレン変性 PVA100質量部に対し 1〜30質量 部が好ましぐ 3〜25質量部がさらに好ましぐ 5〜20質量部が最も好ましい。 1質量 部より少ないと、染色性や延伸性が低下する場合があり、 30質量部より多いと、ェチ レン変性 PVAフィルムが柔軟になりすぎて、取り扱!/、性が低下する場合がある。
[0372] エチレン変性 PVAフィルムを製造する際には、界面活性剤を添加することが好まし
い。界面活性剤の種類としては特に限定はないが、ァニオン性またはノニオン性の 界面活性剤が好ましい。ァニオン性界面活性剤としては、たとえば、ラウリン酸力リウ ムなどのカルボン酸型、ォクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルペン ゼンスルホネートなどのスルホン酸型のァニオン性界面活性剤が好まし!/、。ノニオン 性界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンォレイルエーテルなどのアルキ ノレエーテル型、ポリオキシエチレンォクチルフエニルエーテルなどのアルキルフエ二 ルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシ エチレンラウリルアミノエ一テルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン 酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルな どのポリプロピレングリコールエーテル型、ォレイン酸ジエタノールアミドなどのアル力 ノールアミド型、ポリオキシアルキレンァリルフエニルエーテルなどのァリルフエニルェ 一テル型などのノニオン性界面活性剤が好まし!/、。これらの界面活性剤の 1種または 2種以上の組み合わせで使用することができる。
[0373] 界面活性剤の添加量としては、エチレン変性 PVA100質量部に対して 0. 0;!〜 1 質量部が好ましぐ 0. 02-0. 5質量部がさらに好ましい。 0. 01質量部より少ないと 、製膜性や剥離性向上の効果が現れにくぐ 1質量部より多いと、界面活性剤がェチ レン変性 PVAフィルムの表面に溶出してブロッキングの原因になり、取り扱い性が低 下する場合がある。
[0374] 偏光子の作製に用いられる延伸前のエチレン変性 PVAフィルムは厚みが 10〜50 mであることが好ましぐ 20〜40 111であることがさらに好ましい。厚みが 10 m り小さいと、フィルム強度が低すぎて均一な延伸が行いにくぐ偏光子の色斑が発生 しゃすい。厚みが 50 mを超えると、エチレン変性 PVAフィルムを一軸延伸して偏 光子を作製した際に端部のネックインによる厚み変化が発生し易くなり、偏光子の色 斑が強調されやすレ、ので好ましくなレ、。
[0375] また、エチレン変性 PVAフィルムから偏光子を製造するには、例えばエチレン変性 PVAフィルムを染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処理をし、さらに必要に応じて熱処 理を行えばよぐ染色、一軸延伸、固定処理の操作の順番に特に制限はない。また、 一軸延伸を二回またはそれ以上行っても良い。
[0376] 染色は、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延伸後のいずれでも可能である。染色に 用いる染料としては、ヨウ素 ヨウ化カリウムや二色性染料など力 1種または 2種以 上の混合物で使用できる。通常染色は、 PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中 に浸漬させることにより行うことが一般的である力 PVAフィルムに混ぜて製膜するな ど、その処理条件や処理方法は特に制限されるものではない。
[0377] 一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法が使用でき、ホウ酸水溶液などの温水 中(前記染料を含有する溶液中や後記固定処理浴中でもよ!/、)または吸水後のェチ レン変性 PVAフィルムを用いて空気中で行うことができる。延伸温度は、特に限定さ れず、エチレン変性 PVAフィルムを温水中で延伸(湿式延伸)する場合は 30〜90°C が好ましぐまた乾熱延伸する場合は 50〜180°Cが好ましい。また一軸延伸の延伸 倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸倍率)は、偏光子の偏光性能の点か ら 4倍以上が好ましぐ特に 5倍以上が最も好ましい。延伸倍率の上限は特に制限は ないが、 8倍以下であると均一な延伸が得られやすいので好ましい。延伸後のフィル ムの厚さは、 5〜20〃111カ好ましく、 5〜; 15〃 mがより好ましい。
[0378] エチレン変性 PVAフィルムへの上記染料の吸着を強固にすることを目的に、固定 処理を行うことが多い。固定処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/また はホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理浴中にヨウ素化合物を添加し てもよい。
[0379] 得られた偏光子の乾燥処理は、 30〜; 150°Cで行うの力 S好ましく、 50〜; 150°Cで行 うのがより好ましい。
[0380] 以上のようにして得られた偏光子は、通常、その両面または片面に偏光板保護フィ ルムが貼合されて偏光板として使用される。貼合する際に用いられる接着剤としては 、 PVA系の接着剤やウレタン系の接着剤などを挙げることができる力 なかでも PVA 系の接着剤が好ましく用いられる。
[0381] 〈接着剤〉
本発明のポリエステルフィルム及びシクロォレフイン樹脂フィルムとポリビュルアルコ ール系偏光子とを貼り合わせるのに使用される接着剤としては、十分な接着性を持 ち、透明で、偏光機能を阻害しないものであって水性のものが好ましく用いられ、例
えば、ポリエステル系接着剤、ポリアクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シァノアクリ レート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリビュルアルコール、ポリビュルブチラー ル等のポリビュルアルコール系接着剤などが挙げられる。特にウレタン樹脂系の接着 剤が好ましい。
[0382] ウレタン樹脂としては、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、 アクリル系ウレタン樹脂などが挙げられる力 なかでも、ポリエステル系アイオノマー型 ウレタン樹脂が好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエス テル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分 (親水成分) が導入されたものである。力、かるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せず に直接、水中で乳化してェマルジヨンとなることから、水系の接着剤として好適である 。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知であり、例えば、特開平 7— 97504号公報に、フエノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分 散剤の例として記載されてレ、る。このようなポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹 脂は、例えば、以下の方法で製造することができる。
[0383] (1)親水性基含有化合物 (A)、ポリエステルポリオール (B)及びポリイソシァネート( C)を反応させて得られた親水性基含有ポリウレタン樹脂を水中に乳化して、アイオノ マー樹脂を得る方法;
(2)親水性基含有化合物 (A)、ポリエステルポリオール (B)及びポリイソシァネート( C)を反応させて親水性基が導入された末端イソシアナト基含有ウレタンポリマーを水 に分散させ、ポリアミンと反応させて、アイオノマー樹脂を得る方法など。
[0384] ここで用いる親水性基含有化合物 (A)としては、例えば、 2 ヒドロキシエタンスル ホン酸、スルホコハク酸、スルファニル酸、 2, 4 ジァミノトルエンスルホン酸のような スルホン酸基含有化合物、 2, 2—ジメチロールプロピオン酸、ジヒドロキシマレイン酸 、 3, 4—ジァミノ安息香酸のようなカルボン酸基含有化合物、ポリマー中に少なくとも
1個の活性水素を有するポリオキシエチレングリコール又はポリオキシエチレン ポリ ォキシプロピレン共重合体グリコールなどが挙げられる。
[0385] ポリエステルポリオール (B)は、グリコール成分と酸成分との脱水縮合反応によって 得られるポリエステルのほか、 ε—力プロラタトンのような環状エステル化合物の開環
重合反応によって得られるポリエステル、又はこれらの共重合ポリエステルであること ができる。ポリエステルポリオールに用いるグリコール成分には、エチレングリコール、 プロピレングリコーノレ、 1 , 3—プロパンジォーノレ、 1 , 4 ブタンジォーノレ、 1 , 5—ペン タンジオール、 3—メチルー 1 , 5—ペンタンジオール、 1 , 6—へキサンジオール、ネ ォペンチノレグリコーノレ、ジエチレングリコーノレ、トリエチレングリコーノレ、テトラエチレン グリコール、ポリエチレングリコール(分子量 300〜6, 000)、ジプロピレングリコー ノレ、トリプロピレングリコール、 2, 2 ジェチルー 1 , 3 プロパンジオール、 2 ブチ ノレー2 ェチルー 1 , 3 プロパンジオール、 2 ペンチルー 2 プロピル 1 , 3 プ 口パンジオール、 2 ブチルー 2 へキシルー 1 , 3 プロパンジオール、 2 ェチノレ 1 , 3—へキサンジォーノレ、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、 1 , 4ーシクロへキサン ジオール、 1 , 4ーシクロへキサンジメタノール、ビスフエノール A、水素添加ビスフエノ 一ル八、ハイドロキノン及びそれらのアルキレンォキシド付加体などがある。また酸成 分には、コハク酸、アジピン酸、ァゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マ レイン酸、フマル酸、 1 , 3—シクロペンタンジカルボン酸、 1 , 4ーシクロへキサンジカ ルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、 1 , 4 ナフタレンジカルボン酸、 2 , 5 ナフタレンジカルボン酸、 2, 6 ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフエ二 ルジカルボン酸、 1 , 2—ビス(フエノキシ)ェタン p, p'—ジカルボン酸、及びこれら ジカルボン酸の無水物やエステル形成性誘導体、 p ヒドロキシ安息香酸、 p—(2— ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘 導体などがある。
なお、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂は、上記のポリエステルポリオ一 ルに加えて、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の高分子量ポリオール成分 や低分子量の活性水素含有化合物を併用したものであってもよい。高分子量ポリオ ールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリア セタールポリオール、ポリアタリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリ チォエーテルポリオールなどが挙げられる。また低分子量の活性水素含有化合物と しては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、 1 , 6—へキサンジォ ール、グリセリン、トリメチロールプロパンの如きポリヒドロキシ化合物、エチレンジアミ
ン、ピぺラジンの如きジァミン化合物などが挙げられる。なかでも、低分子量の活性水 素含有化合物を併用することは、好ましい形態である。
[0387] 前記のポリイソシァネート(C)は、分子内にイソシアナト基を少なくとも 2個有する化 合物であって、具体的には例えば、 2, 4—トリレンジイソシァネート、フエ二レンジイソ シァネート、 4, 4 'ージフエニルメタンジイソシァネート、 1 , 6—へキサメチレンジイソシ ァネート、イソホロンジイソシァネートなどが挙げられる。
[0388] これら親水性基含有化合物 (A)、ポリエステルポリオール (B)及びポリイソシァネー HC)の反応は、無溶媒下で行うこともできる力 有機溶媒中で行ってもさしつかえな い。得られた樹脂は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような不揮発性塩基、トリエ チルアミンゃジメチルエタノールァミンのようなアミン類、又はアンモニアで中和し、そ こに水を添加することにより、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の水性分散 液が得られる。
[0389] ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂は、反応に有機溶媒を用いるなどして有 機溶媒を含有する状態で得られる場合には、その有機溶媒を蒸留などにより除去し てから用いるのが有利である。このウレタン樹脂はアイオノマー型のため、水中で極 めて微細でかつ安定なコロイドが形成でき、有機溶媒を含まな!/、水系接着剤となる。
[0390] ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂は、重量平均分子量が 5, 000以上であ ることが好ましぐさらに好ましくは重量平均分子量が 10, 000以上 300, 000以下で ある。その重量平均分子量が 5, 000以下では、接着層の強度が充分に得られず、 また、 300, 000より高いと、それを水分散液としたときの粘度が高くなり、取り扱いに くくなる。
[0391] 力、かるポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂が水中に分散した状態で、水系 接着剤とされる。この水系接着剤の粘度は、 2, OOOmPa ' sec以下であるのが取り扱 い上好ましぐさらには 1 , OOOmPa ' sec以下、とりわけ 500mPa ' sec以下であるのが 一層好ましい。粘度が低いほど接着剤の塗布が行いやすぐまた、得られた偏光板 の外観も良好なものとなる。この水系接着剤におけるポリエステル系アイオノマー型ゥ レタン樹脂の固形分濃度は、粘度と接着強度の観点から、 10〜70質量%の範囲が 好ましぐとりわけ、 20質量%以上、また 50質量%以下であるのが好ましい。
[0392] ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の水分散液にはさらに、ポリエチレング リコールやポリオキシエチレンなど、また界面活性剤などが添加されていてもよい。さ リル酸、ポリビュルアルコール系樹脂などの水溶性樹脂が添加されて!/、てもよレ、。
[0393] 本発明で用いるのに好適な市販のポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とし て、例えば、大日本インキ化学工業 (株)から販売されている"ハイドラン AP— 20"、 "ハイドラン APX— 101H"などが挙げられる。
[0394] 本発明では、以上説明したようなウレタン樹脂、好ましくはポリエステル系アイオノマ 一型ウレタン樹脂に加えて、ォキセタン化合物及びエポキシ化合物を含有する水系 接着剤を用いることができる。
[0395] 接着性向上のため、コロナ放電処理、グロ一放電処理、紫外線処理、火炎処理、 大気圧ガス中放電プラズマ処理、薬液処理などの各種表面処理を必要に応じて施 すこと力 Sできる。さらに接着性向上の為、下引層を塗設してもよい。下引層としては偏 光子との接着性に優れる親水性コロイド層が特に好ましい。
[0396] 例えば、偏光板保護フィルムとして偏光子との接着性を向上させるために特開 200 0— 356714号公報記載の方法等でプラズマ処理を行うことによって、接着性をさら に向上させること力 Sでさる。
[0397] 〈表示装置〉
本発明の偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発 明の表示装置を作製することが出来る。本発明の光学フィルムは反射型、透過型、 半透過型 LCD或いは TN型、 STN型、 OCB型、 HAN型、 VA型(PVA型、 MVA 型)、 IPS型等の各種駆動方式の LCDで好ましく用いられる。また、本発明の光学フ イルムは反射防止層の反射光の色むらやぎらつきが著しく少なぐまた、平面性に優 れ、プラズマディスプレイ、フィールドェミッションディスプレイ、有機 ELディスプレイ、 無機 ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。特 に画面が 30型以上、特に 30型〜 54型の大画面の表示装置では、色むら、ぎらつき や波打ちむらが少なぐ長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
[0398] 〈液晶表示装置〉
本発明に係る偏光板を、液晶セルの少なくとも一方の面に配置して貼合し、液晶表 示装置を作製することが出来る。
[0399] 上記のように作製した本発明に係る偏光板を液晶表示に使用した場合には、 15型 以上の大画面の液晶表示装置であっても、ムラを生じず、画面周辺部での白抜けな どもなく、安定した視野角特性が長期間維持され、かつ、正面コントラストも向上し、 特に MVA (マルチドメインバーティカルァライメント)型液晶表示装置では顕著な効 果が認められる。また、 TN, STN, VA, OCB, HAN、 IPS等の各種駆動方式を採 用した液晶表示装置の画像特性を向上させることが出来る。
実施例
[0400] 以下、実施例により本発明を説明する力 本発明はこれらに限定されるものではな い。
[0401] (微粒子分散液:インクジェット塗布液の調製)
(微粒子分散液)
二酸化珪素分散液 1
ァエロジル 972V (日本ァエロジル(株)製) 0· 12質量部
(一次粒子の平均径 16nm、見掛け比重 90g/リットル)
エタノーノレ 99· 88質量部
をディゾルバーで 30分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行い。二酸化珪 素分散液 1を作製した。
[0402] (分散希釈液 A)
二酸化珪素分散液 1を 0. 1質量部にエタノール 2000質量部を投入し、ディゾルバ 一で 30分間攪拌混合し、分散希釈液 Aを作製した。
[0403] 実施例の粒子径コントロールは希釈方法 (希釈時の分散方法と希釈率)によって表
1の値にコントロールした。
[0404] (インライン添加液 Aの作製)
1 , 3, 5トリァジン化合物(下記構造の化合物 D) 12質量部 メチレンクロライド 100質量部
[0406] 以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
[0407] これに二酸化珪素分散希釈液 Aを 36質量部、攪拌しながら加えて、更に 30分間 撹拌した後、セルロースアセテートプロピオネート(ァセチル基置換度 1. 9、プロピオ ニル基置換度 0. 8) 6質量部を攪拌しながら加えて、更に 60分間攪拌した後、アドバ ンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルター TCW— PPS— IN で濾過し、インライン添加液 Aを調製した。
[0408] 〈光学フィルム 1の作製〉
(ドープ液 Aの調製)
セルロースエステル(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート)
100質量部
(Mn= 148000、 Mw= 310000、 Mw/Mn = 2. 1、ァセチル基置換度 2. 9) トリメチロールプロパントリべンゾエート(下記化合物)
440質量部
エタノーノレ 40質量部
[0409] [化 8]
[0410] 以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙 (株)製 の安積濾紙 No. 24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。濾過したドープ液 Aを 1 00質量部に対し、前述のインライン添加液 Aを 2質量部加えて、インラインミキサー( 東レ静止型管内混合機 Hi— Mixer、 SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装 置を用い、温度 35°C、 1. 8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステン レスバンド支持体で、残留溶媒量が 120%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバ ンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを 40°Cで溶媒を蒸 発させ、 1. 6m幅にスリットし、ウェブの残留溶媒が 50質量%の時に、 250mm径の バックロール上でインクジェットヘッドにより分散希釈液 Aを 360 X 90dpi (dpiとは、 2 . 54cm当たりのドット数を表す。)となる速度で塗布した。インクジェット出射装置は、 ラインヘッド方式(図 5の(a) )を使用し、ノズル径が 3· 5 mのノズルを所定数有する インクジェットヘッドを 100基を準備した。インクジェットヘッドは図 4に記載の構成のも のを使用した。微粒子分散液供給系は、微粒子分散液供給タンク、フィルター、ピエ ゾ型のインクジェットヘッド及び配管から構成されており、微粒子分散液供給タンクか らインクジェットヘッド部までは、断熱及び加温 (40°C)し、出射温度は 40°C、駆動周 波数は 20kHzで行った。
[0411] 塗布のヘッドから、透明基材(ウェブ)搬送方向に、 30cm離れたところで雰囲気の 空気を 1000cm3集気を行い雰囲気のメチレンクロライドとエタノールの濃度をガスク 口マトグラフを用いて測定したところエタノールとメチレンクロライドの濃度の合計が 60 OOppmであった。塗布後 2. 5秒後に塗布面をロールに接触させ、塗布後 25秒で延 伸を開始し、 124°Cにて搬送方向と直行する方向に 1. 3倍に延伸処理を行った。延 伸開始時の残留溶媒は 60質量%、延伸終了時の残留溶媒は 5質量%であった。そ の後、 110°C、 120°Cの加熱ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了さ せ、 1. 45m幅にスリットし、フィルム両端に幅 15mm、平均高さ 10 mのナーリング 加工を施して巻き取り、セルロースエステルフィルムである光学フィルム 1を得た。光 学フィルム 1の残留溶剤量は 0. 1 %であり、平均膜厚は 38 m、巻数は 7400mであ つた。
[0412] (光学フィルム 2〜光学フィルム 9の作製)
光学フィルム 1の作製と同様にして、ウェブの残留溶媒量、分散希釈液種類、インク ジェット出射条件、バックロール直径、塗布〜バックロール接触までの時間、塗布〜 延伸までの時間、ロール接触〜延伸までの時間、延伸時の残留溶媒量を表 1〜3記 載のように変化させ、光学フィルム 2〜光学フィルム 9を作製した。
[0413] (光学フィルム 10の作製)
光学フィルム 1と同様にして表 1〜 3記載の光学フィルムを作製し、該光学フィルム をケン化処理し、インクジェット塗布液塗布面と反対の面に液晶化合物として大日本 インキ製 UCL— 018のキシレン溶液を乾燥膜厚が 0. 6 a mとなるように塗布 ·乾燥し て、 45°Cにて 35秒間熱処理し、酸素濃度 0. 5%にて、基材温度を 35°Cにて紫外線 を 350mJ照射し配向を固定化し、光学フィルム 10を作製した。
[0414] (光学フィルム 11の作製)
光学フィルム 1と同様にして表 1〜 3記載の光学フィルムを作製し、該光学フィルム のインクジェット塗布液塗布面と反対の面を長手方向と直行方向にラビング処理を行 い、続いてケン化処理し、液晶化合物として MERCK製の RMS03001のキシレン溶 液を乾燥膜厚が 0. 5 mとなるように塗布 '乾燥して、 65°Cにて 110秒間熱処理し、 酸素濃度 0. 5%にて、基材温度を 35°Cにて紫外線を 350mJ照射し配向を固定化し 、光学フィルム 11を作製した。
[0415] (光学フィルム I2の作製)
光学フィルム 1と同様にして表 1〜 3記載の光学フィルムを作製し、該光学フィルム のインクジェット塗布液塗布面と反対の面を長手方向と直行方向にラビング処理を行 い、続いてケン化処理し、液晶化合物として MERCK製の RMS03011のキシレン溶 液を乾燥膜厚が 1. ; 1 mとなるように塗布 '乾燥して、 65°Cにて 110秒間熱処理し、 酸素濃度 0. 5%にて、基材温度を 35°Cにて紫外線を 350mJ照射し配向を固定化し 、光学フィルム 12を作製した。
[0416] (光学フィルム 13〜光学フィルム 15の作製)
光学フィルム 1の作製と同様にして、ウェブの残留溶媒量、分散希釈液種類、インク ジェット出射条件、バックロール直径、塗布〜バックロール接触までの時間、塗布〜 延伸までの時間、ロール接触〜延伸までの時間、延伸時の残留溶媒量を表 1〜3記
載のように変化させ、光学フィルム 13〜光学フィルム 15を作製した。
[0417] (光学フィルム 16の作製)
光学フィルム 1と同様にして表 1〜 3記載の光学フィルムを作製し、該光学フィルム のインクジェット塗布液塗布面と反対の面に、特開 2005— 70745号公報の実施例 2 の溶液を乾燥膜厚が 3. 3 となるように塗布し、乾燥して光学フィルム 16を作製した
〇
[0418] (光学フィルム 17の作製)
光学フィルム 1と同様にして表 1〜 3記載の光学フィルムを作製し、該光学フィルム のインクジェット塗布液塗布面と反対の面に、 BASF社製 PaliocolorLC756に LC7 56を 4. 8質量%添加し、乾燥膜厚が 3. 3 となるように塗布し、乾燥して塗布表面 の温度を 70°Cにし、フィルム側の温度を 25°Cにして 120秒間熱処理を行い、続いて 紫外線硬化することで光学フィルム 17を作製した。
[0419] (光学フィルム 18の作製)
光学フィルム 1と同様にして表 1〜 3記載の光学フィルムを作製し、該光学フィルム のインクジェット塗布液塗布面と反対の面を長手方と直行する方向にラビング処理と ケン化処理を行い、続!/、て特開 2001— 66433号公報の段落番号 [0080]の化合 物 7のトルエン溶液(5質量%)を乾燥膜厚が 2. 2 111となるように塗布、熱処理を行 い、ホモジニァス配向の膜を連続的に作製し、光学フィルム 18を作製した。
[0420] (光学フィルム 19の作製)
ビスフエノール Aからなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量 52, 000) 15質量 部をジォキソラン 85質量部に少しずつ加えてドープを作製した。このドープを 60°C に保持したエンドレスベルト上にクリアランス 0· 8mmのドタク一ブレードで流延して、 80°C、風速 0. 9m/秒の風をあて乾燥、剥離後、残留溶媒が 20質量%、雰囲気の 溶媒濃度が 950ppmにて、前記実施例同様にインクジェットヘッドにて前記分散希 釈液 Aの塗布を行い、ついで 150秒後に塗布面にロールを接触させ、さらにその 5秒 後に 175°Cにて 1. 1倍の延伸を行い、その後 150°C、風速 lm/秒にて 60分加熱 処理を行レ、乾燥した。巻き長は 2300mであった。
[0421] 続いて、ステンレス製のエンドレスベルト上に、あらかじめ幅手方向にラビング処理
を行い、続いて特開 2001— 66433号公報の段落番号 [0080]の化合物 7のトルェ ン溶液(5質量%)を乾燥膜厚が 2. 2 111となるように塗布、熱処理を行い、ホモジニ ァス配向の膜を連続的に作製し、ポリカーボネートフィルムのインクジェット塗布液塗 布面と反対の面に、接着剤を用いて貼合し、光学フィルム 19を作製した。
[0422] (光学フィルム 22、 25、 26、 37の作製)
ゼォノア 1020R(日本ゼオン製) 100質量部、メチレンクロライド(第 1溶媒) 300質 量部をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ポリマー 溶液を調製した。続いてエンドレスベルトに塗布し、乾燥条件を変更して剥離残溶を 調整して剥離し、その後の乾燥を調整して前記インクジェットヘッドにより前記分散希 釈液 Aを塗布し、さらに表 3に記載の条件で延伸処理を行い光学フィルム 22、 25、 2 6、 37を作製した。
[0423] (光学フィルム 39の作製)
ポリ乳酸 100質量部、およびメチレンクロライド 400質量部をミキシングタンクに投入 し、加温、攪拌して溶解し、ポリマー溶液を調製した。続いてエンドレスベルトに塗布 し、乾燥、剥離し、その後の乾燥を調整して前記インクジェットヘッドによりマット剤の 分散希釈液を塗布し、さらに表 3に記載の条件で延伸処理を行い光学フィルム 39を 作製した。
[0424] (光学フィルム 20、 21、 23、 24、 27— 36, 38の作製)
光学フィルム 1の作製と同様にして、ウェブの残留溶媒量、分散希釈液種類、インク ジェット出射条件、バックロール直径、塗布〜バックロール接触までの時間、塗布〜 延伸までの時間、ロール接触〜延伸までの時間、延伸時の残留溶媒量を表 1〜3記 載のように変ィ匕させ、光学フイノレム 20、 21、 23、 24、 27—36, 38を作製した。
[0425] 《ハードコート層の塗布》
前記光学フィルム 1〜39上に、均一な塗布層となるように下記のハードコート層塗 布組成物をダイコーターで、インクジェット塗布液塗布面と反対の面に塗布し、熱風 の温度、風速を徐々に強め最終的に 85°Cで乾燥し、続いて活性光線照射部より 0. lj/cm2の照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚で 5 mのクリアハードコート層を設 けた。
[0426] 〈ノ、ードコート層塗布組成物〉
ジペンタエリスリトールへキサアタリレート単量体 60質量部 ジペンタエリスリトールへキサアタリレート 2量体 20質量部 ジペンタエリスリトールへキサアタリレート 3量体以上の成分 20質量部 光反応開始剤 4質 ^
(ィルガキュア 184 (チバスペシャルティケミカルズ (株)製) )
コー エーテノレ 75質量部
75質量部
次いで、上記ハードコート層の上に下記反射防止層を設け反射防止フィルムを作 し
[0427] 《反射防止層 (低屈折率層 1)の作製》
下記の低屈折率層組成物 1をダイコーターで塗布し、 80°Cで 5分間乾燥させた後、 更に 120°Cで 5分間熱硬化させ、更に紫外線を 175mj/cm2照射して硬化させ、厚 さ 95nmとなるように低屈折率層 1を設けた。尚、この低屈折率層 1の屈折率は 1. 45 であった。
[0428] 〈テトラエトキシシラン加水分解物 Aの調製〉
テトラエトキシシラン 580gとエタノール 1144gを混合し、これに酢酸水溶液を添加し た後に、室温(25°C)にて 1時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物 Aを 調製した。
[0429] 〈低屈折率層組成物 1〉
Jコーノレモノメチノレエー 303質量部
コール 305質量部
テトラエトキシシラン加水分解物 A 139質量部 7 -
(信越化学社製 KBM503)
10%FZ— 2207、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液
(日本ュニカー社製) 1 · 3質量部
但し、光学フイノレム 21、 23、 27、 28、 29には、硬ィ匕後の膜厚力 3〃 mとなるよう
'コーターを用いて下記組成の溶液を塗布し溶剤を蒸発乾燥後、高 圧水銀灯を用いて 0. 2j/cm2の紫外線照射により硬化させ防眩層を形成した後、反 射防止層を設けた。
[0430] ジペンタエリスリトールへキサアタリレート 70質量部
トリメチロールプロパントリアタリレート 30質量部
光反応開始剤 4質量部
(ィルガキュア 184 (チバスペシャルティケミカルズ (株)製) )
酢酸ェチル 150質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 150質量部 シリコン化合物 0. 4質量部
(BYK- 307 (ビックケミージャパン社製) )
上記組成物に形成した膜の屈折率が 1. 60となるように酸化ジルコニウム微粒子( 平均粒径 10nm)を添加した。酸化ジルコニウムは塗布液に添加する溶媒の一部を 用いてあらかじめ分散したものを使用した。
[0431] 次いで、各々の反射防止フィルム 1〜39を用いて偏光板を作製した。
[0432] 《偏光板の作製》
厚さ、 120 mのポリビニノレアノレコーノレフイノレムを、一軸延伸(温度 110°C、延伸倍 率 5倍)した。これをヨウ素 0. 075g、ヨウ化カリウム 5g、水 100gからなる水溶液に 60 秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム 6g、ホウ酸 7. 5g、水 100gからなる 68°Cの水溶液 に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
[0433] 次いで、下記工程 1〜5に従って偏光子と前記反射防止フィルム 1〜39、裏面側の セルロースエステルフィルムを貼り合わせて偏光板を作製した。裏面側の偏光板保 護フィルムには下記の方法で作製した位相差を有するセルロースエステルフィルム R (Ro = 43nm、 Rt= 132nm)を用いてそれぞれ偏光板とした。
[0434] 工程 1: 50°Cの 1モル/ Lの水酸化ナトリウム溶液に 60秒間浸漬し、次いで水洗し 乾燥して、偏光子と貼合する側を鹼化したセルロースエステルフィルムを得た。
[0435] 工程 2:前記偏光子を固形分 2質量%のポリビュルアルコール接着剤槽中に 1〜2 秒浸漬した。
[0436] 工程 3:工程 2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程 1で処 理したセルロースエステルフィルムの上にのせて、更に反射防止層が外側になるよう に積層し、配置した。
[0437] 工程 4:工程 3で積層した反射防止フィルムと偏光子とセルロースエステルフィルム 試料を圧力 20〜30N/cm2、搬送スピードは約 2m/分で貼合した。
[0438] 工程 5: 80°Cの乾燥機中に工程 4で作製した偏光子とセルロースエステルフィルム と反射防止フィルム 1〜39とを貼り合わせた試料を 2分間乾燥し、偏光板 1〜39を作 製した。尚、表示装置のバックライト側に用いられる偏光板には、偏光板保護フィルム としてハードコート層付きセルロースエステルフィルム(KC8UXW— H、コニカミノル タォブト (株)製)と前記セルロースエステルフィルム Rを用いて同様に作製した偏光 板を使用した。
[0439] 〈セルロースエステルフィルム Rの作製〉
(ドープ液 Rの調製)
セノレロースエステノレ(セノレロースアセテートプロピオネート ァセチノレ基置換度 1 · 9 、プロピオニル基置換度 0. 8) 100質量部
(Mn= 100000、 Mw= 220000、 Mw/Mn = 2. 2)
トリフエニルホスフェート 8質量部 メチレンクロライド 300質量部
エタノール 60質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙 (株)製 の安積濾紙 No. 24を使用して濾過し、ドープ液 Eを調製した。
[0440] (二酸化珪素分散液 R)
ァエロジル 972V (日本ァエロジル(株)製) 10質量部
エタノール 75質量部
以上をディゾルバーで 30分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。 二酸化珪素分散液に 75質量部のメチレンクロライドを攪拌しながら投入し、ディゾル バーで 30分間攪拌混合し、二酸化珪素分散希釈液 Rを作製した。
[0441] (インライン添加液 Rの作製)
メチレンクロライド 100質量部
チヌビン 109 (チバスペシャルティケミカルズ (株)製) 4質量部 チヌビン 171 (チバスペシャルティケミカルズ (株)製) 4質量部 チヌビン 326 (チバスペシャルティケミカルズ (株)製) 2質量部 以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
[0442] これに二酸化珪素分散希釈液 Rを 20質量部、攪拌しながら加えて、更に 30分間攪 拌した後、セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート ァセチル基置 換度 1. 9、プロピオニル基置換度 0. 8) 5質量部を攪拌しながら加えて、更に 60分間 攪拌した後、アドバンテック東洋 (株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルター T CW-PPS - 1Nで濾過し、インライン添加液 Eを調製した。
[0443] 濾過したドープ液 Rを 100質量部に対し、濾過したインライン添加液 Rを 4質量部加 えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi— Mixer、 SWJ)で十分混合し 、次いで、ベルト流延装置を用い、温度 35°C、 1. 8m幅でステンレスバンド支持体に 均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が 100%になるまで溶媒を 蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィ ルムのウェブを 55°Cで溶媒を蒸発させ、 1. 6m幅にスリットし、その後、テンターで T D方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に 130°Cで 1. 3倍に延伸した。このとき テンターで延伸を始めた時の残留溶剤量は 18%であった。その後、 120°C、 110°C の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、 1. 4m幅にスリット し、フィルム両端に幅 15mm、平均高さ 10 mのナーリング加工を施し、巻き取り、セ ルロースエステルフィルム Rを得た。残留溶剤量は 0. 1 %であり、平均膜厚は 80 m 、巻数は 3000mであった。このセルロースエステルフィルムの Ro = 43nm、 Rt= 13 2nmであり、幅方向に遅相軸を有し、幅方向に対する遅相軸のズレ角は ± 0. 6度以 内であった。
[0444] 《液晶表示装置の作製》
液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
[0445] 市販の 32型液晶テレビ(MVA型セル)の予め貼合されて!/、た表面の偏光板を剥
がして、上記作製した偏光板 1〜39をそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。
[0446] その際、その偏光板の貼合の向きは、光学補償フィルム(位相差フィルム)の面が、 液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が 向くように行い、液晶表示装置 1〜39を各々作製した。
[0447] 以上の様にして作製した試料フィルム、反射防止フィルム、偏光板、液晶表示装置 の各々について下記の評価を行った。
[0448] 《評価》
(レターデーシヨンの測定)
光学フィルムのレターデーシヨン値(Ro) (Rt)は以下の式によって求める。
[0449] Ro = (nx— ny) X d
Rt= ( (nx+ny) /2-nz) X d
ここにおいて、 dはフィルムの厚み(nm)、屈折率 nx (フィルムの面内の最大の屈折 率、遅相軸方向の屈折率ともいう)、 ny (フィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折 率)、 nz (厚み方向におけるフィルムの屈折率)である。
[0450] レターデーシヨン値 (Ro)、 (Rt)は自動複屈折率計を用いて測定する。 KOBRA— 21 ADH (王子計測機器 (株))を用いて、 23°C、 55%RHの環境下で、波長が 590η mで求めた。
[0451] (ブロッキング性の評価)
光学フィルムの原反を巻き長 3000〜12000mのまま倉庫内で 1ヶ月保管した後、 ブロッキングの発生を下記基準にて目視で評価した。
[0452] ◎ :ブロッキングなし
〇 :軽!/、剥離音がする程度でサンプルに跡、変形がな!/、
△ :変形はなレ、がサンプルに少し跡が残る
X :変形がありサンプルに凹凸が残る
偏光板試料作製時における、偏光子とフィルムとの貼合時の界面の微細な泡、異 物故障を目視で行うことで以下の指標で△、 Xは NGとし他にも、折れしわやカール が発生して!/、るものは NGとして、チップカットした偏光板の収率を求めた。
[0453] 〇:泡、異物は全く無し
Δ:泡、異物が少し認められた
X:泡、異物が多く認められた
続いて、偏光板 1〜39を 100セット準備し、淀川ヒユーテック製の偏光板貼合装置 を用いてパネルに貼合して、ズレ、気泡(100 m径以上)発生を NGとして収率を求 めた。
[0454] 表示装置の正面コントラスト測定は、喑所にて、トプコン製 BM— 5 Aを用い、白、黒 の輝度を測定し、その輝度比を計算し、正面コントラストとした。
[0455] 上記各種の実施例の内容と評価結果をまとめて表;!〜 5に示す。
[0456] [表 1]
光学フィルム 残留溶媒 粒径 凸部高さ 凸部個数 雰囲気溶媒濃度
No. (質量%) (nm) ( μ να ) (10000 m2あたり ) (ppm)
1 (本発明) 50 110 0.015 25 6000
2 (本発明) 50 195 0.5 500 6000
3 (本発明) 50 25 0.01 25 6000
4 (本発明) 100 80 0.01 500 6000
5 (本発明) 100 100 0.08 25 6000
6 (本発明) 100 120 0.02 500 6000
7 (本発明) 150 110 0.2 5000 6000
8 (本発明) 150 50 0.1 5000 6000
9 (本発明) 150 150 0.15 5000 6000
10 (本発明) 45 100 0.15 9800 10000
11(本発明) 45 25 0.15 9800 10000
12(本発明) 45 200 0.12 9800 2000
13 (本発明) 20 75 0.48 9000 2000 丄4(本癸明) 20 125 0.22 2000 2000
15(本発明) 20 200 0.22 2000 2000
16 (本発明) 160 120 0.01 2000 4000
17 (本発明) 160 55 0.02 6000 4000
18 (本発明) 160 130 0.04 100 4000
19(本発明) 300 110 0.04 100 950
20(本発明) 300 55 0.04 100 1000
21 (本発明) 300 165 0.1 200 500
22(本発明) 18 45 0.1 200 480
23 (本発明) 18 100 0.1 200 10900
24 (本発明) 18 160 0.1 6000 11000
25 (本発明) 5 160 0.1 6000 45
26(本発明) 5 130 0.1 6000 45
27(本発明) 5 120 0.1 6000 6000
28 (本発明) 320 110 0.25 7000 5000
29(本発明) 320 110 0.25 7000 5000
30 (本発明) 320 110 0.25 7000 5000
31 (本発明) 400 195 0.2 50 5000
32(本発明) 400 195 0.2 50 5000
33 (本発明) 400 195 0.2 50 5000
34(比 較) 4 100 0.2 200 5000
35(比 較) 4 100 0.2 200 5000
36(比 較) 4 100 0.2 200 5000
37(比 較) 420 110 0.2 200 5000
38(比 較) 0 100 0.01 5000 0
39 (本発明) 4 100 0.01 5000 40
R (塗布無し) - ― - ― ]
¾〕 D¾〔l0584
〕〔
光学フ ィルム 幅 膜厚 R 0 R t 基材フィルム
No . (m) (m) (nm) (nm
1 (本発明) 1.45 7400 38 セルロースエステ 45 120
2 (本発明) 1.45 7400 38 セノレロースエステ 45 120
3 (本発明) 1.45 7400 38 セノレロースエステノレ 60 120 (本発明) 1.45 7400 38 セノレロースエステ 60 250
5 (本発明) 1.45 7400 30 セルロースエステノレ 85 120
6 (本発明) 1.45 7400 30 セ ロースエステ 85 140
7 (本発明) 1.45 7400 30 セノレロースエステノレ 20 140
8 (本発明) 1.45 7400 30 セルロースエステノレ 35 120
9 (本発明) 1.45 7400 30 セノレロースエステノレ 15 350 (本発明) 1.45 10000 38 セ ロースエステ 15 -250 1 (本発明) 2.25 10000 38 セルロースエステル 350 752 (本発明) 2.25 10000 38 セ ロースエステ 120 1203 (本発明) 2.25 2200 20 セノレロースエステ 60 454 (本発明) 2.25 2200 20 セノレロースエステノレ 55 405 (本発明) 2.25 2200 20 セ ロースエステ 135 40 6 (本発明) 3.56 2200 20 セノレロースエステノレ 135 40 7 (本発明) 3.56 2200 15 セ ロースエステ 25 458 (本発明) 3.56 2200 15 セノレロースエステノレ 25 90 9 (本発明〉 3.56 2200 15 ポリカーボネート 135 400 0 (本発明) 3.56 2200 10 セノレロースエステノレ 50 85 1 (本発明) 3.56 200 4 セノレロースエステノレ 50 85 2 (本発明) 3.56 2000 5 シクロォレフィ ンポリマー 25 15 3 (本発明) 3.56 9500 44 セ ロースエステ 85 220 4 (本発明) 3.56 3900 46 セノレロースエステノレ 45 120 5 (本発明) 3.56 10000 30 シク口才レフィンポリマー 225 120 6 (本発明) 3.56 12000 75 シク口才レフィンポリマー 200 110 フ(本発明) 3.56 10400 30 セノレロースエステノレ 60 150 8 (本発明) 3.56 7400 30 セノレロースエステノレ 60 150 9 (本発明) 3.56 7400 30 セルロースエステノレ 60 150 0 (本発明) 3.56 7400 30 セルロースエステノレ 60 150 1 (本発明) 3.56 7400 30 セノレロースエステノレ 1 75 2 (本発明) 1.35 7400 28 セノレロースエステノレ 2 100 3 (本発明) 1.35 7400 28 セノレロースエステノレ 60 75 4(比 較) 1.35 7400 28 セノレロースエステル 60 125 5 (比 較) 1.35 7400 28 セノレロースエステノレ 70 135 6(比 較) 1.35 7400 28 セルロースエステノレ 75 135 7(比 較) 1.35 7400 28 シクロォレフィンポリマー 0 115 8(比 較) 1.35 7400 28 セ.ルロースエステノレ 45 120 9 (本発明) 1.35 7400 28 ポリ乳酸 200 250
R (塗布なし) 1.45 3900 80 セノレロースエステノレ 3 55 ]
光学フ ィルム 偏光板化収率 表示装置収率
巻き形状 正面コントラスト
No .
1 (本発明) ◎ 99 94 1480
2 (本発明) © 98 98 1480
3 (本発明) ◎ 98 98 1480
4 (本発明) ◎ 98 98 1480
5 (本発明) ◎ 100 99 1540
6 (本発明) ◎ 100 100 1540
7 (本発明) ◎ 100 100 1600
8 (本発明) ◎ 98 95 1540
9 (本癸明) ◎ 98 95 1480
10 (本発明) ◎ 90 95 1350
11 (本発明) ◎ 90 95 1350
12 (本発明) ◎ 90 95 1280
13 (本発明) ◎ 89 85 1250
14 (本発明) ◎ 90 88 1260
15 (本発明) ◎ 90 93 1280
16 (本発明) ◎ 90 93 1300
17 (本発明) ◎ 90 93 1320
18 (本発明) 〇 90 93 1150
19(本発明) ◎ 90 93 1250
20 (本発明) ◎ 90 93 1250
21 (本発明) 〇 88 93 1200
22 (本発明) ◎ 88 92 1400
23 (本発明) 〇 85 90 1180
24 (本発明) 〇 85 96 1120
25 (本発明) ◎ 88 96 1300
26 (本発明) △ 84 94 1300
27 (本発明) 〇 85 89 1150
28 (本発明) ◎ 88 95 1200
29 (本発明) ◎ 88 89 1150
30 (本発明) Δ 81 89 1150
31 (本発明) 〇 88 99 1130
32 (本発明) 〇 88 100 1150
33 (本発明) 〇 88 100 1130
34 (比 較) X 45 75 1050
35 (比 較) X 45 60 1050
36(比 較) X 30 77 1050
37 (比較) X 30 50 1100
38(比較) X 25 25 980
39 (本発明) 〇 85 70 1350
R (塗布なし) 〇 70 65 1100 上表より本発明の光学フィルムは、広幅の基材であっても、すべり性に優れ、ブロッ キング防止、異物故障が改善された光学フィルムであることが分かる。更に、本発明 の反射防止フィルム、偏光板についても異物故障が改善されており、表示品位の高 い液晶表示装置も提供出来ることが分かった。