明 細 書
電動パワーステアリング装置
技術分野
[0001] 本発明は、操舵トルクが伝達されるステアリングシャフトを内装するステアリングコラ ムと、該ステアリングコラムに減速ギヤボックス内の減速機構を介して操舵補助力を伝 達する電動モータとを備えた電動パワーステアリング装置に関する。
背景技術
[0002] 従来の電動パワーステアリング装置としては、例えばラック軸が摺動自在に収容あ るいは装着されるラックケース又はステアリングギヤボックスの一部にモータが収容さ れ、前記モータを駆動制御する制御基板が収容されるハウジングカ^ックケース又は ステアリングギヤボックスに形成され、ハウジングの開口に対向する底部に形成され た取付ボスに前記開口カゝら挿入された制御基板が当接されると、モータからハウジン グに突設されたモータ側接続端子に制御基板に設けられた基板接続端子が互いに 接触して電気的に接続される電動パワーステアリング装置が提案されている(例えば 特開 2005— 329866号公報(以下、特許文献 1と称す)、特開 2005— 329867号 公報 (以下、特許文献 2と称す)、特開 2005— 329868号公報 (以下、特許文献 3と 称す)及び特開 2005 - 329869号公報 (以下、特許文献 4と称す)参照)。
[0003] ここで、制御基板には、表面側に CPUが取付けられ、裏面側にコンデンサ、パワー リレー等が配設されていると共に、ヒートシンクである支持基板が突設され、この支持 基板に FET (電界効果トランジスタ)が取付けられて 、る。
また、外部からの電力供給や信号の入出力のためのコネクタは、ステアリングギヤ ボックスの近傍で飛び石などが当たらないようにハウジングの上面カバーにステアリン グギヤボックスの入力軸と平行に突出形成され、コネクタ接続を上方力 行うように構 成されている。
[0004] 一方、従来のコラム型の電動パワーステアリング装置としては、例えば入力軸と出 力軸とをトーシヨンバーを介して接続し、ハウジング内に、電動モータの回転力を出 力軸に伝達するウォームギヤ機構と、このウォームギヤ機構のステアリングコラム側位
置に配置した操舵トルクを検出する磁気センサと、この磁気センサの外周側に設置さ れたスイッチングトランジスタとを装着し、ハウジングの磁気センサ側開放端部を閉塞 するカバーに制御基板を配設した構成を有する電動パワーステアリング装置が提案 されている(例えば特開 2004— 106703号公報 (以下、特許文献 5と称す)参照)。 発明の開示
[0005] し力しながら、上記特許文献 1〜4に記載された従来例にあっては、 1つの制御基 板に、 CPU、 FET、コンデンサ、パワーリレー等を配置しているので、 FETやコンデ ンサ等の発熱部材と、温度上昇を嫌う CPUなどが混載されているので、制御基板を 収容するハウジングが大型化すると共に、発熱部材で発生する熱が制御基板を収容 するハウジング内にこもりやすぐさらに FETをヒートシンクである支持基板に取付け ているが、支持基板自体のヒートマスは小さいので、十分な放熱効果発揮することが できな 、と!/、う未解決の課題がある。
[0006] また、上記特許文献 1〜4に記載された従来例にあっては、ラックケースのモータケ ースとステアリングギヤボックスとの間にモータを駆動制御する制御基板を収容する ハウジングが形成された構成を有するので、外部からの電力供給や信号の入出力の ためのコネクタをステアリングギヤボックス寄りの上方に配置せざるを得ず、コネクタ位 置で水滴や塵埃が侵入し易!、と共に、ステアリングギヤボックスの近傍位置であるの で、コネクタ接続の方向が一意に決まってしまうと共に、コネクタ接続の作業性が悪い という未解決の課題がある。
[0007] さらに、上記特許文献 5に記載された従来例にあっては、ハウジング及びカバー内 にウォームギヤ機構、磁気センサ、制御基板の順に配置するようにしているので、ノヽ ウジング及びカバーの軸方向長さが長くなると共に、制御基板がステアリングコラムに 近い位置となるので、ステアリングコラムに所定のコラプスストロークを確保するために は電動パワーステアリング装置全体の長さが長くなり、電動パワーステアリング装置の 小型化するためには、所定のコラブスストロークを確保できなくなるという未解決の課 題がある。
[0008] そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、発 熱部材の放熱効果を十分に発揮しながら制御ユニットの全体構成を小型化すること
ができる電動パワーステアリング装置を提供することを第 1の目的としている。
また、本発明は、コラム形の電動パワーステアリング装置で、コネクタ接続が容易で 、水滴や塵埃の侵入を防止することができ、コネクタ接続の接続方向の自由度が高
V、上、コネクタがモータの発熱の影響も受けけることがな 、ようにした電動パワーステ ァリング装置を提供することを第 2の目的としている。
[0009] さらに、本発明は、所定のコラプスストロークを確保しながら小型な電動パワーステ ァリング装置を提供することを第 3の目的としている。
上記第 1の目的を達成するために、請求項 1に係るモータ制御装置は、操舵トルク が伝達されるステアリングシャフトを内装するステアリングコラムと、前記ステアリングシ ャフトに連結された減速ギヤボックスと、該減速ギヤボックス内の減速機構を介して前 記ステアリングシャフトに操舵補助力を伝達する電動モータとを備えた電動パヮース テアリング装置であって、前記減速ギヤボックスは、前記ステアリングシャフトと交差す る方向の端面に形成したモータ装着部に前記電動モータを装着すると共に、該モー タ装着部に近接した外表面に形成した制御ユニット装着部に当該電動モータを駆動 制御する制御ユニットを装着することを特徴としている。
[0010] この請求項 1に係る発明では、減速ギヤボックスに形成したモータ装着部に電動モ ータが装着されると共に、モータ装着部に近接した外表面に形成した制御ユニット装 着部に制御ユニットが装着されるので、制御ユニットで発生する発熱をヒートマスの大 き 、減速ギヤボックスに放熱することができる。
また、第 1の目的を達成するために、請求項 2に係る電動パワーステアリング装置は 、請求項 1に係る発明において、前記制御ユニットは、前記電動モータの駆動指令 値を演算する指令値演算部を実装した制御基板と、前記指令値演算部からの駆動 指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御する発熱を伴うパワーモジュールを実 装したパワーモジュール基板とを少なくとも含み、前記パワーモジュール基板が直接 前記減速ギヤボックスの制御ユニット装着部に装着されて 、ることを特徴として 、る。
[0011] この請求項 2に係る発明では、発熱を伴うパワーモジュールを実装したパワーモジ ユール基板を減速ギヤボックスの制御ユニット装着部に直接装着することにより、放 熱効果をより向上させることができる。
さらに、上記第 1の目的を達成するために、請求項 3に係る電動パワーステアリング 装置は、請求項 1に係る発明において、前記制御ユニットは、前記電動モータの駆動 指令値を演算する指令値演算部を実装した制御基板と、前記指令値演算部からの 駆動指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御する発熱を伴うパワーモジユー ルを実装したパワーモジュール基板とを少なくとも含み、前記パワーモジュール基板 が高熱伝導板部を介して前記減速ギヤボックスの制御ユニット装着部に装着されて 、ることを特徴として 、る。
[0012] この請求項 3に係る発明では、発熱を伴うパワーモジュールを実装したパワーモジ ユール基板を高熱伝導板部を介して減速ギヤボックスの制御ユニット装着部に装着 することにより、高熱伝導板部を介して発熱をヒートマスの大きい減速ギヤボックスに 放熱することができる。
さらにまた、上記第 1の目的を達成するために、請求項 4に係る電動パワーステアリ ング装置は、請求項 1〜3の何れか 1つに係る発明において、前記減速ギヤボックス は高熱伝導性材料で構成されて 、ることを特徴として 、る。
[0013] この請求項 4に係る発明では、減速ギヤボックスが高熱伝動性材料で構成されてい るので、熱容量を大きくすることができ、放熱効果を向上させることができる。
なおさらに、上記第 1の目的を達成するために、請求項 5に係る電動パワーステアリ ング装置は、請求項 4に係る発明において、前記減速ギヤボックスはアルミ-ユーム、 アルミ-ユーム合金、マグネシウム及びマグネシウム合金の何れ力 1つをダイキャスト 成形することにより構成されて 、ることをと特徴として 、る。
[0014] この請求項 5に係る発明では、減速ギヤボックスの製作を高熱伝導性を保ちながら 容易に行うことができる。
また、上記第 1の目的を達成するために、請求項 6に係る電動パワーステアリング装 置は、請求項 1〜5の何れか 1つに係る発明において、前記制御ユニットは、前記減 速ギヤボックスに直接装着されたパワーモジュール基板を囲繞すると共に、当該パヮ 一モジュール基板に対して所定間隔を保って前記制御基板を保持する合成樹脂製 フレームと、該合成樹脂製フレームを覆うカバーとを備え、前記カバーが前記減速ギ ャボックスの制御ユニット装着部に取付けられていることを特徴としている。
[0015] この請求項 6に係る発明では、カバーを減速ギヤボックスの制御ユニット装着部に 取付けるので、カバーを導電性材で構成することにより電磁シールド効果を発揮する ことができる。
さらに、上記第 1の目的を達成するために、請求項 7に係る電動パワーステアリング 装置は、請求項 2〜6の何れか 1項に係る発明において、前記制御基板は、リレー、 コンデンサ等の大型部品を上部側に配置して前記減速ギヤボックスにおける制御ュ ニット装着部の上部側空スペースを有効利用するようにしたことを特徴として ヽる。
[0016] この請求項 7に係る発明では、制御ユニット装着部の上部側空きスペースに大形部 品を配置することにより、空きスペースを極力小さくして制御ユニット自体を小型化す ることがでさる。
さらにまた、上記第 1の目的を達成するために、請求項 8に係る電動パワーステアリ ング装置は、請求項 1〜7の何れか 1つに係る発明において、前記減速ギヤボックス は、前記電動モータの出力軸に連結されるウォームを収納するウォーム収納部と、前 記ステアリングシャフトに連結されるウォームホイールを収納するウォームホイール収 納部と、該ウォームホイール収納部と連接して前記トルクセンサを収納し且つステアリ ングコラムと連結するトルクセンサ収納部とを少なくとも有し、前記ウォーム収納部、ゥ オームホイール収納部及びトルクセンサ収納部の外周部に前記制御ユニットを装着 する制御ユニット装着部が形成されて 、ることを特徴として 、る。
[0017] この請求項 8に係る発明では、制御ユニット装着部がウォーム収納部、ウォームホイ ール収納部及びトルクセンサ収納部の外周部に形成されて 、るので、制御ユニットを 電動モータ及びトルクセンサと近接させることができ、制御ユニットと電動モータ及び トルクセンサとの電気的接続を容易に行うことができる。
また、上記第 2の目的を達成するために、請求項 9に係る電動パワーステアリング装 置は、請求項 1〜8の何れか 1つに係る発明において、前記制御ユニットの車両内側 及び車両外側の一方に前記電動モータが配設され、前記制御ユニットの車両内側 及び車両外側の他方に外部接続コネクタと接続する接続コネクタが配設されている ことを特徴としている。
[0018] この請求項 9に係る発明では、接続コネクタを制御ユニットの車両内側又は車両外
側に配設したので、外部接続コネクタの接続方向の自由度を大きくすることができ、 さらにコネクタ接続が容易で、コネクタ側で電動モータの発熱の影響を受けることがな い。
さらに、上記第 2の目的を達成するために、請求項 10に係る電動パワーステアリン グ装置は、請求項 9に係る発明において、前記接続コネクタは、前記外部接続コネク タとの接続方向が車両幅方向に設定されて 、ることを特徴として 、る。
[0019] この請求項 10に係る発明では、接続コネクタの外部接続コネクタとの接続方向が車 両幅方向に設定されているので、水滴や塵埃の侵入を防止することができる。
さらにまた、上記第 2の目的を達成するために、請求項 11に係る電動パワーステア リング装置は、請求項 9又は 10に係る発明において、前記接続コネクタは、互いに隣 接する電源コネクタと信号コネクタとで構成されて 、ることを特徴として 、る。
この請求項 11に係る発明では、接続コネクタが電源コネクタと信号コネクタとで構成 されているので、制御ユニットへの電源系統及び信号系統の接続を共に同一方向か ら行うことができる。
[0020] なおさらに、上記第 2の目的を達成するために、請求項 12に係る電動パワーステア リング装置は、請求項 9〜: L 1の何れ力 1つに係る発明において、前記制御ユニットの 車両内側に電動モータが配設され、当該制御ユニットの車両外側に前記接続コネク タが配設されて 、ることを特徴として 、る。
この請求項 12に係る発明では、接続コネクタが制御ユニットの車両外側となるので 、アースポイントとの接続距離を短くすることができる。
[0021] また、上記第 2の目的を達成するために、請求項 13に係る電動パワーステアリング 装置は、請求項 9〜12の何れか 1つに係る発明において、前記電動モータと前記制 御ユニットとは接続端子及び端子台によって電気的に直接接続されていることを特 徴としている。
この請求項 13に係る発明では、電動モータと制御ユニットとが接続端子及び端子 台によって直接電気的に接続されているので、電動モータ及び制御ユニット間の電 気的接続がモータハーネスを介することなく最短距離でモータハーネスを介すること なく行える。
[0022] さらに、上記第 3の目的を達成するために、請求項 14に係る電動パワーステアリン グ装置は、請求項 1〜13の何れか 1つに係る発明において、前記制御ユニットは、前 記減速ギヤボックスのステアリングコラムのコラブスストローク時における移動部材と干 渉しな 、位置に配設されて 、ることを特徴として!/、る。
この請求項 14に係る発明では、制御ユニットを減速ギヤボックスのコラプスストロー ク時における移動部材と干渉しな 、位置に配設したので、ステアリングコラムの所定 のコラプスストロークを確保すると共に、コラプス時に安定した設定値通りのエネルギ 一吸収量を得ることができる。
[0023] さらにまた、上記第 3の目的を達成するために、請求項 15に係る電動パワーステア リング装置は、請求項 14に係る発明において、前記減速ギヤボックスは、前記電動 モータの出力軸に連結されたウォームを収納するウォーム収納部と、前記ステアリン グシャフトに連結されたウォームホイールを収納するウォームホイール収納部と、該ゥ オームホイール収納部と連接して前記トルクセンサを収納し且つステアリングコラムと 連結するトルクセンサ収納部とを少なくとも有し、前記ウォーム収納部、ウォームホイ ール収納部及びトルクセンサ収納部の外周部に前記制御ユニットを装着する制御ュ ニット装着部が形成され、前記トルクセンサ収納部の先端をコラブス時のステアリング コラムの収縮ストツバとし、前記制御ユニット装着部に装着された制御ユニットの収縮 ストツバ側端面位置が収縮ストツバよりウォームホイール収納部側に設定されているこ とを特徴としている。
[0024] この請求項 15に係る発明では、トルクセンサ収納部の先端をコラブス時のステアリ ングコラムの収縮ストツバとし、制御ユニット装着部に装着された制御ユニットの収縮 ストツバ側端面位置が収縮ストツバよりウォームホイール収納部側に設定されている ので、コラプス時にステアリングコラムなどの移動体と制御ユニットとの干渉を確実に 防止することができる。
本発明によれば、制御ユニットを減速ギヤボックスに装着し、制御ユニットを構成す る発熱部となるパワーモジュールをパワーモジュール基板に実装し、他の制御素子 を制御基板に実装することにより、パワーモジュール基板での発熱が直に制御基板 に伝達されることを防止することができ、し力もパワーモジュール基板は直接減速ギ
ャボックスの制御ユニット装着部に取付けられて 、るので、減速ギヤボックスがヒート マスとなって、パワーモジュール基板で発生する熱の放熱効果を向上させることがで きるという効果が得られる。
[0025] また、制御ユニットに、前記減速ギヤボックスに直接装着されたパワーモジュール基 板を囲繞すると共に、当該パワーモジュール基板に対して所定間隔を保って前記制 御基板を保持する合成樹脂製フレームと、該合成樹脂製フレームを覆うカバーとを 備え、カバーを前記減速ギヤボックスの制御ユニット装着部に取付けることにより、力 バーを電磁シールドとして使用することができ、パワーモジュール基板に実装したモ ータ駆動回路を構成するスイッチング素子の高周波スイッチングによる電磁ノイズが 外部に漏洩することを防止することができるという効果が得られる。
[0026] さらに、制御基板に、リレー、コンデンサ等の大型部品を上部側に配置して前記減 速ギヤボックスにおける制御ユニット装着部の上部側空スペースを有効利用すること により、制御ユニットを小型化することができると共に、コンデンサなどの発熱が下部 側の制御素子に影響することを防止することができるという効果が得られる。
さらにまた、本発明によれば、制御ユニットを減速ギヤボックスに設け、この制御ュ ニットの車両内側及び外側の一方に電動モータを取付け、制御ユニットの車両内側 及び外側の他方に外部接続コネクタを設けるようにしたので、水滴や塵埃の侵入を 防止することができると共に、外部接続コネクタの接続方向の自由度を大きくすること ができ、さらに、コネクタ接続が容易で、コネクタ側で電動モータの発熱の影響も受け ることがな 、と 、う効果が得られる。
[0027] なおさらに、通常の車両ではエンジンルームの車室寄りの左右位置にアースポイン トを設けるようにしているので、電源コネクタを車体外側に設けることにより、アースポ イントとの接続距離を短くすることができる。
また、本発明によれば、制御ユニットを減速ギヤボックスのステアリングコラムのコラ ブスストローク時における移動部材と干渉しな 、位置に配設したので、ステアリングコ ラムの所定のコラブスストロークを確保すると共に、コラブス時に安定した設定値通り のエネルギー吸収量を得ることができる。
[0028] さらに、減速ギヤボックスにおけるトルクセンサ収納部の上部に制御ユニットを配置
することで、減速ギヤボックス全体の軸方向長さを短縮して小型化を図ることができる という効果が得られる。
図面の簡単な説明
[0029] [図 1]本発明による電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す斜視図である。
[図 2]本発明による電動パワーステアリング装置の正面図である。
[図 3]図 2の左側面図である。
[図 4]図 2の平面図である。
[図 5]本発明の要部の分解斜視図である。
[図 6]図 5とは逆方向から見た本発明の要部の分解斜視図である。
[図 7]減速ギヤボックス位置における要部を拡大して示す縦断面図である。
[図 8]電動モータのバスバー構造を示す正面図である。
[図 9]減速ギヤボックスと制御基板との関係を示す斜視図である。
[図 10]減速ギヤボックスにおけるトルクセンサの外部接続端子を制御基板に挿通した 状態を示す斜視図である。
[図 11]電動モータと制御ユニットとの接続関係を示す要部を拡大して示す斜視図で ある。
[図 12]コラブス時の電動パワーステアリング装置を示す斜視図である。
[図 13]コラプス時の電動パワーステアリング装置の左側面図である。
[図 14]コラプス時の電動パワーステアリング装置の平面図である。
[図 15]電動モータのバスバーの変形例を示す斜視図である。
発明を実施するための最良の形態
[0030] 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図 1は、本発明の一実施形態を右ハンドル車に適用した場合の一例を示す斜視図 、図 2は正面図、図 3は左側面図、図 4は平面図、図 5及び図 6は要部の分解斜視図 である。
図 1において、 1はコラム型の電動パワーステアリング装置であり、ステアリングホイ ール(図示せず)を装着するステアリングホイール装着部 2aを有するステアリングシャ フト 2を回転自在に内装するステアリングコラム 3に、減速ギヤボックス 4が連結され、
この減速ギヤボックス 4に、軸方向がステアリングコラム 3の軸方向と直交する方向に 延長されたブラシモータで構成される電動モータ 5が配設されている。
[0031] ここで、ステアリングコラム 3は、減速ギヤボックス 4との連結部にコラブス時の衝撃ェ ネルギを吸収して所定のコラブスストロークを確保する内管 3a及び外管 3bの 2重管 構造となっている。そして、ステアリングコラム 3の外管 3b及び減速ギヤボックス 4がァ ッパ取付ブラケット 6及びロア取付ブラケット 7によって車体側に取付けられて 、る。口 ァ取付ブラケット 7は、車体側部材(図示せず)に取付けられる取付板部 7aと、この取 付板部 7aの下面に所定間隔を保って平行に延長する一対の支持板部 7bとで形成さ れている。そして、支持板部 7bの先端が、図 7に示すように、減速ギヤボックス 4の下 端側即ち車両前方側に配設したカバー 4aに一体形成された支持部 4bに枢軸 7cを 介して回動自在に連結されて!、る。
[0032] また、アツパ取付ブラケット 6は、車体側部材(図示せず)に取付けられる取付板部 6 aと、この取付板部 6aに一体に形成された方形枠状支持部 6bと、この方形枠状支持 部 6bに形成されたステアリングコラム 3の外管 3bを支持するチルト機構 6cとを備えて いる。ここで、取付板部 6aは、車体側部材(図示せず)に取付けられる左右一対の力 プセル 6dと、これらカプセル 6dに榭脂インジェクション 6eによって固定された摺動板 部 6fとで構成され、衝突時にステアリングコラム 3に車両前方に移動させる衝撃力が 作用することにより、カプセル 6dに対して摺動板部 6fが車両前方に摺動して榭脂ィ ンジェクシヨン 6eが剪断され、その剪断荷重がコラブス開始荷重となるように構成され ている。そして、チルト機構 6cのチルトレバー 6gを回動させることにより、支持状態を 解除することにより、ステアリングコラム 3をロア取付ブラケット 7の枢軸 7cを中心として 上下にチルト位置調整可能とされている。
[0033] また、ステアリングシャフト 2は、図 7に示すように、上端がステアリングホイール(図 示せず)に連結される入力軸 2aと、この入力軸 2aの下端にトーシヨンバー 2bを介して 連結されたトーシヨンバー 2bを覆う出力軸 2cとで構成されて 、る。
さらに、減速ギヤボックス 4は、図 5〜図 7に示すように、高熱伝導性を有する材料例 えばアルミ-ユーム、アルミ-ユーム合金、マグネシウム及びマグネシウム合金の何れ 力 1つを例えばダイキャスト成型することにより形成されている。この減速ギヤボックス
4は、電動モータ 5の出力軸 5aに連接されたウォーム 11を収納するウォーム収納部 1 2と、このウォーム収納部 12の下側にその中心軸と直交する中心軸を有しウォーム 1 1に嚙合するウォームホイール 13を収納するウォームホイール収納部 14と、このゥォ ームホイール収納部 14の後方側に一体に同軸的に連結されたトルクセンサ 15を収 納するトルクセンサ収納部 16と、ウォーム収納部 12の開放端面に形成された電動モ ータ 5を取付けるモータ装着部 17と、トルクセンサ収納部 16の後端面に形成された ステアリングコラム 3の前端部に形成された取付フランジ 3cを取付けるコラム取付部 1 8と、ウォーム収納部 12とウォームホイール収納部 14の一部に跨がってウォームホイ ール収納部 14及びトルクセンサ収納部 16の中心軸線と直交する平面内に形成され た制御ユニット 19を装着する制御ユニット装着部 20とを備えている。そして、減速ギ ャボックス 4力 コラム取付部 18にステアリングコラム 3の取付フランジ 3cを当接させ た状態でボルト 18aによってステアリングコラム 3に固定されている。
[0034] ここで、トルクセンサ 15は、図 7に示すように、ステアリングシャフト 2の入力軸 2a及 び出力軸 2c間の捩じれ状態を磁気的に検出してステアリングシャフトに伝達された 操舵トルクを一対の検出コイル 15a及び 15bで検出するように構成され、これら一対 の検出コイル 15a及び 15bの巻き始め及び巻き終わりに夫々ステアリングコラム 3の 中心軸と直交する方向に平行に外部に突出する外部接続端子 15c, 15d及び 15e, 15fが接続され、これら外部接続端子 15c〜 15fの突出部が中央部でステアリングコ ラム 3の中心軸と平行に折り曲げられて L字状に形成されて ヽる。
[0035] また、電動モータ 5には、その取付フランジ部 5bに近い位置における制御ユニット 装着部 20に装着された制御ユニット 19に近接対向する位置に、内蔵するブラシに直 結する接続端子としてのバスバー 5c及び 5dが電動モータ 5の軸心方向と直角な車 体後方に向け且つステアリングコラム 3の中心軸と略平行となるように突出形成されて いる。これらバスバー 5c及び 5dの先端部には固定ネジを揷通する長孔 5eが穿設さ れている。ここで、バスバー 5c及び 5dの夫々は、図 8に示すように、底部中央にァー マチュア揷通孔を有する合成樹脂製のブラシ支持体 5f内に互いに絶縁されて配設 されて、 2組のブラシ 5g, 5hに個別に接続された円弧状導体部 5i及び 5jと、これら円 弧状導体部 5i及び ¾の互いに対向する一端から外方に平行に延長する端子部 5m
及び 5nとから構成されている。そして、電動モータ 5がその取付フランジ部 5bを減速 ギヤボックス 4のモータ装着部 17に、その出力軸 5aにウォーム 11を連結すると共に、 バスバー 5c及び 5dを車体後方に延長させて取付けられている。
[0036] さらに、減速ギヤボックス 4に形成された制御ユニット装着部 20は、図 9を参照して 明らかなように、ウォーム収納部 12とその下側のウォームホイール収納部 14の上部 側とで平坦取付面 20aが形成され、これとトルクセンサ収納部 16の上面に形成した 平坦取付面 20aと直交する平坦面 20bとで左側面から見て L字状に形成されている 。また、モータ装着部 17の後端面にも平坦取付面 20aと平行でこの平坦取付面より 後方側位置に幅狭のフレーム取付面 20cが形成されている。そして、トルクセンサ収 納部 16における平坦面 20bの左右方向の中央部からトルクセンサ 15の外部接続端 子 15c〜15fが突出されている。
[0037] この制御ユニット装着部 20に装着される制御ユニット 19は、図 5、図 6及び図 10に 示すように、電動モータ 5を駆動制御する電界効果トランジスタ等のパワースィッチン グ素子で構成される Hブリッジ回路やこの Hブリッジ回路のパワースイッチング素子を 駆動するパルス幅変調回路等のパワーモジュールを実装し、平坦取付面 20aに放熱 グリースを介して直接固定する熱伝導率の高い金属製のパワーモジュール基板 23と 、このパワーモジュール基板 23を囲繞する長方形枠状の合成樹脂製フレーム 24と、 この合成樹脂製フレーム 24の正面に取付けられるトルクセンサ 15の外部接続端子 1 5c〜 15fを直接揷通するスルーホール 25a〜25dが穿設され、トルクセンサ 15から のトルク検出値や図示しない車速センサからの車速検出値に基づいて操舵補助電 流指令値を算出し、この操舵補助電流指令値と電動モータ 5に出力するモータ電流 の検出値とに基づいて電流フィードバック制御を行ってパワーモジュール基板 23の パルス幅変調回路への電圧指令値を算出することにより、電動モータ 5で発生させる 操舵補助力を制御するマイクロコントロールユニット (MCU)やその周辺機器を実装 した制御基板 25と、パワーモジュール基板 23、合成樹脂製フレーム 24、制御基板 2 5を後方側から覆い制御ユニット装着部 20に直接ビス止めされた導電性材で形成さ れた保護カバー 26とで構成されて 、る。
[0038] ここで、合成樹脂製フレーム 24は、長方形枠状のフレーム本体 24aと、このフレー
ム本体 24aの左端における電動モータ 5のバスバー 5c及び 5dに対向する位置に突 出形成された減速ギヤボックス 4のフレーム取付面 20cに固定する取付板部 24bと、 この取付板部 24bから L字状に突出された電動モータ 5のバスバー 5c及び 5dを電気 的に接続すると共にパワーモジュール基板 23と電気的に接続される接続端子部を 有する端子台 24cと、フレーム本体 24aの右端における中央位置に配設されたバッ テリ(図示せず)に接続される電源コネクタ 24d及び車体の各部の制御機器とのデー タの授受を行う CANなどのネットワークに接続する信号コネクタ 24eとが一体に構成 されている。これら電源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eの夫々は、これらに接続す る外部の接続コネクタの挿入方向が車体の右側面側から行うように右端側に接続コ ネクタ挿入開口が形成されて!ヽる。
[0039] また、制御基板 25は、図 5及び図 6に示すように、パワーモジュール基板 23と対向 する前面側における上部側にコンデンサ 25e、パワーリレー 25f等の大型部品が左 右方向に整列されて配置され、その背面側には下部側にマイクロコントロールュ-ッ ト(MCU) 25gやその周辺機器が下部側に配設されている。
ここで、コンデンサ 25e、パワーリレー 25f等の大型部品の配置位置は、図 7に示す ように、制御基板 25を合成樹脂製フレーム 24に取付けたときに、コンデンサ 25e、パ ヮーリレー 25f等のディスクリート部品でなる大型部品が減速ギヤボックス 4に形成し た制御ユニット装着部 20の上端縁より上方の位置となり、これら大型部品の先端がパ ヮーモジュール基板 23の上部に形成した切欠部 23aを通じてウォーム収納部 12の 上方に突出した状態となるように設定され、これら大型部品の突出部分が部分カバ 一 27で覆われている。
[0040] このように、コンデンサ 25e、パワーリレー 25f等の大型部品を制御基板 25の上方 で、ウォーム収納部 12の上方側に突出させて配置することで、減速ギヤボックス 4に おけるウォーム収納部 12の上部側の空きスペースを有効利用することができると共 に、制御ユニット 19のパワーモジュール基板 23から保護カバー 26の後端面までの 厚みを薄くすることができ、制御ユニット 19を小型化することができる。
そして、上記構成を有する制御ユニット 19の組立は以下のように行われる。先ず、 減速ギヤボックス 4の制御ユニット装着部 20における平坦取付面 20aのパワーモジュ
ール基板 23の装着位置に放熱グリースを塗布してから、パワーモジュール基板 23を 放熱グリース上に載置して平坦取付面 20aにビス止めする。次いで、合成樹脂製フ レーム 24を、パワーモジュール基板 23の周囲を囲繞するように平坦取付面 20a及び フレーム取付面 20cに載置する。そして、合成樹脂製フレーム 24の取付板部 24bを 減速ギヤボックス 4のフレーム取付面 20cに同様にビス止めする。その後又はその前 に合成樹脂製フレーム 24の正面側に制御基板 25を、そのスルーホール 25a〜25d にトルクセンサ 15の外部接続端子 15c〜 15fを揷通させてからビス止めする。次!、で
、外部接続端子 15c〜 15fとスルーホール 25a〜25dとを半田付けして力も最後に保 護カバー 26を平坦取付面 20aに装着すると共に、部分カバー 27を保護カバー 26に 前面側から大型部品を覆うように装着する。
[0041] その後、ステアリングコラム 3、ステアリングシャフト 2、ウォーム 11、ウォームホイール
13を^ &立て、最後に電動モータ 5を糸且付け、バスバー 5c及び 5cを制御ユニット 19の 端子台 24cにビス止めする。
このように、減速ギヤボックス 4の制御ユニット装着部 20に制御ユニット 19を装着し た状態で、制御ユニット 19のカバー 26の後端面位置と、減速ギヤボックス 4の最後端 位置でコラプス時のステアリングコラム収縮時のストッパとなるステアリングコラム 3の 取付フランジ 3cを固定するボルト 18aの頭部より前方側に位置するように制御ュ-ッ ト 19の厚さ及び制御ユニット装着部 20の平坦取付面 20aの位置が設定されて、後述 するコラプス時に制御ユニット 19がコラプス時の移動部材と干渉しない位置に制御ュ ニット 19が装着されている。
[0042] また、電動モータ及び制御ユニット間にモータハーネスを設ける必要がないので、 モータハーネスカゝら放射されるノイズが少なくなり、ラジオノイズに対する影響を軽減 させることがでさる。
また、制御ユニット 19の電動モータ 5と反対側即ち車両の右側面側に電源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eが配設されており、電動モータ 5、制御ユニット 19及び電 源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eとが一直線上に配置されていることになり、電源 コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eへのバッテリ側コネクタ及びネットワーク側コネクタ の接続が容易であると共に、電源コネクタ 24dにつ!/、ては通常車両のエンジンルー
ムの車室側左右位置に設けられているアースポイントに近い位置となり、電源コネク タ 24dとアースポイントとの間のアース線の長さを短縮することができる。し力も、電源 コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eは共に対となるコネクタとの接続方向が水平方向と なっており、水滴や塵埃の侵入を防止することができる。
[0043] 次に、上記実施形態の動作を説明する。
先ず、電動パワーステアリング装置 1を組み付けるには、減速ギヤボックス 4のトルク センサ収納部 16内に、トルクセンサ 15をその外部接続端子 15c〜 15fの先端がステ ァリングコラム 3の外周部に沿って車体後方に延長するように固定配置する。
次いで、減速ギヤボックス 4の制御ユニット装着部 20に制御ユニット 19を装着する。 この制御ユニット 19の装着は、先ず、平坦取付面 20aに放熱グリースを塗布してから 放熱グリース上にパワーモジュール基板 23を載置して平坦取付面 20aにビス止めす る。この状態で、パワーモジュール基板 23を囲繞するように合成樹脂製フレーム 24 を平坦取付面 20aに載置し、その取付板部 24bを減速ギヤボックス 4のフレーム取付 面 20cに接触させてビス止めする。さらに、合成樹脂製フレーム 24の正面即ち車体 後方側に制御基板 25をそのスルーホール 25a〜25dにトルクセンサ 15の外部接続 端子 15c〜15fを揷通させると共に、スルーホール 25a〜25dとトルクセンサ 15の外 部接続端子 15c〜15fとを半田付けして力もカバー 26を装着することにより、制御ュ ニット 19を構成する。
[0044] 次いで、減速ギヤボックス 4にステアリングシャフト 2、ステアリングコラム 3、ウォーム 11及びウォームホイール 13等を装着して力も最後に電動モータ 5を減速ギヤボック ス 4のモータ装着部 17に取付け、そのバスバー 5c及び 5dを制御ユニット 19の端子 台 24cにビス止めする。
上述したように制御ユニット 19を構成することにより、制御ユニット 19の端子台 24c に電動モータ 5のバスバー 5c及び 5dを、モータハーネスを介することなく直接電気 的に接続することができると共に、トルクセンサ 15の外部接続端子 15c〜 15fと制御 基板 25のスルーホール 25a〜25dとを信号ケーブルを介することなく直接電気的に 接続することができる。このため、制御ユニット 19と電動モータ 5及びトルクセンサ 15 との間の電気的接続長さを最小として、配線抵抗を最小とすることができ、電力損失
を抑制することができると共に、電気ノイズが乗ること低減することができる。
[0045] し力も、制御ユニット 19における合成樹脂製フレーム 24に形成した電動モータ 5の バスバー 5c及び 5dに接続される端子台 24cの近傍に取付板部 24bが形成され、こ の取付板部 24bが減速ギヤボックス 4のモータ装着部 17に形成したフレーム取付面 20cに固定されるので、車両の振動によって端子台 24cが減速ギヤボックス 4とは異 なる振動を生じて端子台 24cに応力集中が生じることを抑制して、端子台 24cの剛性 を向上させることができる。
[0046] また、制御ユニット 19を構成する発熱を伴うパワーモジュール基板 23がアルミ-ュ ーム、アルミ-ユーム合金、マグネシウム及びマグネシウム合金の何れ力 1つで形成 された減速ギヤボックス 4の制御ユニット装着部 20における平坦取付面 20aに放熱グ リースを介して直接接触されて ヽるので、パワーモジュール基板の発熱を放熱ダリー スを介して熱容量の大きいヒートマスとなる減速ギヤボックス 4に直接放散することが でき、パワーモジュール基板 23が過熱状態となることを確実に防止することができる 。このように、パワーモジュール基板 23と平坦取付面 20aとの間に放熱グリースを塗 布することにより、減速ギヤボックス 4への放熱効果をより向上させることができる。
[0047] し力も、発熱を伴う電界効果トランジスタなどで構成されるパワーモジュールをパヮ 一モジュール基板 23に実装し、熱を嫌うマイクロコントロールユニット 25gなどの制御 素子を制御基板 25に実装するようにしたので、制御基板 25にパワーモジュール基 板 23の発熱が直接伝達されることはなぐ制御基板 25に対してパワーモジュール基 板 23の発熱が影響することを確実に阻止することができる。そのうえ、制御基板 25に 実装されるコンデンサ 25eなどの発熱部材が上方に配置されているので、発熱部材 で発生する熱が下方で且つ反対側に配設された制御素子に影響することを確実に 防止することができる。し力も、リレー、コンデンサ等の大形部品を上部側の空きスぺ ースに収容するので、空きスペースを有効利用して制御ユニット自体を小型化するこ とがでさる。
[0048] さらに、保護カバー 26が導電性を有し、直接減速ギヤボックス 4の制御ユニット装着 部 20にビス止めされるので、電磁シールド効果を発揮することができ、 Hブリッジ回 路の電界効果トランジスタの高周波スイッチング時に発生する電磁ノイズが外部に漏
洩してラジオノイズとなることを防止することができる。
さらに、減速ギヤボックス 4のトルクセンサ収納部 16の上部に制御ユニット 19を配置 することにより、減速ギヤボックス 4全体の軸方向長さを短縮して小型化を図ることが できる。
[0049] そして、アツパ取付ブラケット 6及びロア取付ブラケット 7を車体側部材に取付けてか ら制御ユニット 19の電源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eに夫々バッテリ及びァー スポイントに接続された外部接続コネクタ及び CANなどのネットワークの接続コネクタ を車体右側面側力 装着することにより、電動パワーステアリング装置 1の組み付けを 完了する。
このように、電源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eへの外部接続コネクタの接続を 車体外側となる右側面側から行うことができるので、両者の接続を容易に行うことがで きる。し力も、電源コネクタ 24dについては通常車両のエンジンルームの車室側左右 位置に設けられて 、るアースポイントに近 、位置となり、電源コネクタ 24dとアースポ イントとの間のアース線の長さを短縮することができる。さらに、電源コネクタ 24d及び 信号コネクタ 24eは共に対となるコネクタとの接続方向が水平方向となっており、水滴 や塵埃の侵入を防止することができる。
[0050] 因みに、電源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eを制御ユニット 19の上方に設ける 場合には、車体側部材との間隔が狭くコネクタ接続の作業性が悪いと共に、水滴や 塵埃が侵入し易いという不都合がある力 電源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eを 車両外側方向に設けることにより、上記不都合を解消することができる。
また、電源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eを合成樹脂製フレーム 24の、電動モ ータ 4とは反対側に形成したので、発熱する電動モータ 5の熱の影響を受けることが 全くないと共に、合成樹脂製フレーム 24の熱伝導率は低いので、より確実に電動モ ータ 5の発熱の影響を遮断することができる。
[0051] この正常状態では、アツパ取付ブラケット 6では、図 1に示すように、取付板部 6aを 構成するカプセル 6dに摺動板部 6fが榭脂インジェクション 6eによって固定されてい る。
この電動パワーステアリング装置 1の組み付けが完了すると、アツパ取付ブラケット 6
のチルトレバー 6gを回動させることにより、チルトロック状態を解除し、この状態でステ ァリングコラム 3をロア取付ブラケットの 7の枢軸 7cを中心として回動させることにより、 チルト位置を調整することができる。
[0052] そして、車両の図示しないイダ-ッシヨンスィッチをオン状態としてパワーモジュール 基板 23及び制御基板 25にバッテリから電力を供給すると、マイクロコントロールュ- ッ HMCU)によって操舵補助制御処理が実行されて、トルクセンサ 15及び図示しな い車速センサの検出値に基づいて操舵補助電流指令値が算出される。この操舵補 助電流指令値とモータ電流検出部で検出したモータ電流とに基づいて電流フィード ノ ック処理を実行して、電圧指令値を算出する。この電圧指令値をパワーモジュール 基板 23のゲート駆動回路に供給して Hブリッジ回路を制御することにより、電動モー タ 5にモータ駆動電流が流れて電動モータ 5を正転又は逆転方向に必要とする操舵 補助力を発生するように駆動する。
[0053] このため、電動モータ 5からステアリングホイールの操舵トルクに応じた操舵補助力 が発生され、この操舵補助力がウォーム 11及びウォームホイール 13を介してステアリ ングシャフトの出力に伝達されることにより、ステアリングホイールを軽い操舵力で操 舟它することができる。
この状態で、コラブス発生時に図示しないステアリングホイールに乗員が接触して、 ステアリングコラム 3を前方に摺動させる衝撃力が作用すると、図 12〜図 14に示すよ うに、アツパ取付ブラケット 6のカプセル 6dと摺動板部 6fとの間の榭脂インジェクショ ン 6eが剪断されることにより、ステアリングコラム 3の取付フランジ 3c側で内管 3aに対 して外管 3bが衝撃力を吸収しつつ摺動して収縮ストッパとしてのボルト 18aの頭部に 当接することにより必要なコラブスストロークを確保してステアリングコラム 3が収縮す る。
[0054] このようにステアリングコラム 3が収縮すると、その周辺に取付けてある部材が制御 ユニット 19に近接することになる力 この制御ユニット 19は所定のコラプスストローク を確保した状態で移動部品と干渉しな 、位置に配置されて 、るので、コラブスを妨げ るように移動部品に干渉することはなぐ必要なコラブスストロークを確保することがで きる。
因みに、コラブス発生時のコラブスストロークを確保するために制御ユニット 19も潰 すことが考えられる力 この制御ユニット 19は前述したように合成樹脂製フレーム 24 の潰れのコントロールが困難であり、コラプス時のエネルギー吸収量にバラツキが出 てしまうという問題点がある力 本実施形態では、コラブスストロークの確保に制御ュ ニット 19の潰れを考慮して!/、な!/、ので、コラプス時に安定した設定値通りのエネルギ 一吸収量を確保することができる。
[0055] なお、上記実施形態にお!、ては、パワーモジュール基板 23が高熱伝導率を有する 金属基板で構成されている場合について説明したが、高熱伝導板部としての金属基 板を別体として、パワーモジュール基板 23を金属基板及び放熱グリースを介して制 御ユニット装着部 20の平坦取付面 20aに取付けるようにしてもよぐさらには、金属基 板で構成されたパワーモジュール基板 23をさらに別体の金属基板及び放熱グリース を介して平坦取付面 20aに装着するようにしてもょ 、。
[0056] また、上記実施形態にお!、ては、合成樹脂製フレーム 24の車両外側に電源コネク タ 24d及び信号コネクタ 24eを車両外側力もコネクタ接続するように設けた場合につ いて説明したが、これに限定されるものではなぐ外部コネクタの接続方向はステアリ ングコラム 3の軸方向に沿った前後方向や下これと交差する方向など任意の方向に 設定することができ、所望の接続方向に応じて電源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24 eをレイアウトすることができる。
[0057] さらに、上記実施形態においては、電動モータ 5のバスバー 5c及び 5dが直線的に 延長している場合について説明した力 これに限定されるものではなぐ図 15 (a)に 示すように、バスバー 5c及び 5dをー且外方に突出させ、次いで電動モータ 5の軸方 向に折り曲げて力 軸方向と直交する方向に外方に延長させるようにしてもよく、この 場合には、ノ スバー 5c及び 5dの折り曲げ部で弾性を確保することができるので、端 子と端子台の接続時に発生する残留応力を緩和することができ、バスバー 5c及び 5 dを長寿命化することができる。同様に、図 15 (b)に示すように、最初に電動モータ 5 の軸方向に突出させてから軸方向と直交する方向に外方に延長させるようにしてもよ い。
[0058] さらにまた、上記実施形態においては、電動モータ 5にバスバー 5c及び 5dを設け、
制御ユニット 19に端子台 24cを設ける場合について説明したが、これに限定されるも のではなぐ電動モータ 5に端子台を設け、制御ユニット 19にバスバーを設けるように してもよく、また外部接続端子としてはバスバーに限らず、任意の電気的接続端子を 適用することができる。
なおさらに、上記実施形態においては、トルクセンサ 15の外部接続端子 15c〜15f を L字状に折り曲げて制御基板 25のスルーホール 25a〜25dに揷通する場合には ついて説明したが、これに限定されるものではなぐスルーホール 25a〜25dへの外 部接続端子 15c〜 15fの揷通を容易にするために、スルーホール 25a〜25dの外部 接続端子 15c〜 15fの揷通側に漏斗状の案内面を有するガイド部材を設けるように してよい。
[0059] また、上記実施形態においては、トルクセンサ 15の外部接続端子 15c〜15fを L字 状に形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなぐ外部接続端 子 15c〜 15fを直線状とし、制御基板 25に形成した接続ランドに沿わせて半田付け ゃヒユージングなどで電気的に接続するようにしたり、外部接続端子をクリップ端子と して制御基板 25に挟着したりするようにしてもよ!、。
さらに、上記実施形態においては、減速ギヤボックス 4の制御基板装着部 20の平 坦取付面 20aがステアリングコラム 3の中心軸と直交する平面である場合について説 明したが、これに限定されるものではなぐ平坦取付面 20aをステアリングコラム 3の中 心軸に対して直交する面に対して傾斜する面とするようにしてもょ ヽ。
[0060] さらに、上記実施形態においては、電動モータ 5、制御ユニット 19及びコネクタ 24d , 24eがステアリングコラム 3の中心軸と直交する線に沿って一直線に配置されている 場合について説明した力 これに限定されるものではなぐステアリングコラム 3の中 心軸と交差する線に沿って一直線に配置するようにしてもょ 、。
さらにまた、上記実施形態においては、制御ユニット 19の電源コネクタ 24d及び信 号コネクタ 24eがその接続用開口が右端側にある場合について説明した力 これに 限定されるものではなぐ接続用開口をステアリングコラム 3の軸方向に沿う方向とし て、外部コネクタをステアリングコラム 3の軸方向力も装着するようにしてもょ 、。
[0061] なおさらに、上記実施形態においては、制御ユニット 19を構成する場合に、先ず、
パワーモジュール基板 23を平坦取付面 20aにビス止めして力も合成樹脂製フレーム 24を固定し、この合成樹脂製フレーム 24に制御基板 25をビス止めするようにした場 合について説明したが、これに限定されるものではなぐ合成樹脂製フレーム 24にパ ヮーモジュール基板 23及び制御基板 25を取付けて力も合成樹脂製フレーム 24を平 坦取付面 20aに固定するようにしてもよぐさらには合成樹脂製フレーム 24の一部と パワーモジュール基板 23とを共締めするようにしてもよ!、。
[0062] また、上記実施形態にお!、ては、パワーモジュール基板 23が高熱伝導率を有する 金属基板で構成されている場合について説明したが、金属基板を別体として、パヮ 一モジュール基板 23を金属基板及び放熱グリースを介して制御ユニット装着部 20の 平坦取付面 20aに取付けるようにしてもよぐさら〖こは、金属基板で構成されたパワー モジュール基板 23をさらに別体の金属基板及び放熱グリースを介して平坦取付面 2 Oaに装着するようにしてもょ 、。
[0063] さらに、上記実施形態においては、制御ユニット 19を構成する場合に、先ず、パヮ 一モジュール基板 23を平坦取付面 20aにビス止めして力も合成樹脂製フレーム 24 を固定し、この合成樹脂製フレーム 24に制御基板 25をビス止めするようにした場合 について説明した力 これに限定されるものではなぐ合成樹脂製フレーム 24にパヮ 一モジュール基板 23及び制御基板 25を取付けて力も合成樹脂製フレーム 24を平 坦取付面 20aに固定するようにしてもよぐさらには合成樹脂製フレーム 24の一部と パワーモジュール基板 23とを共締めするようにしてもよ!、。
[0064] さらにまた、上記実施形態においては、電動モータ 5としてブラシモータを適用した 場合について説明した力 これに限定されるものではなぐブラシレスモータを適用 するようにしてもよぐこの場合には、バスバー 5c及び 5dを各相の励磁コイルの給電 側に接続すると共に、パワーモジュール基板 23にブラシレスモータを駆動する例え ば電界効果トランジスタ (FET)を有するインバータ回路及びインバータ回路の電界 効果トランジスタのゲートをパルス幅変調信号で駆動するゲート駆動回路とを実装す ればよい。
[0065] なおさらに、上記実施形態においては、本発明を右ハンドル車に適用した場合に ついて説明したが、これに限定されるものではなぐ左ハンドル車に適用する場合に
は、減速ギヤボックス 4、電動モータ 5及び制御ユニット 19の配置をステアリングコラム 1の中心軸を通る垂直面を挟んで面対称に即ち制御ユニット 19の右側に電動モータ 4を配置し、制御ユニット 19の電源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eを左側に配置 すればよぐさらには電動モータ 4を車両外側に、電源コネクタ 24d及び信号コネクタ 24eを車両内側に配置するようにしてもよ!、。
[0066] また、上記実施形態においては、制御ユニット 19の車両内側に電動モータ 5を配 置し、制御ユニット 19の車両外側にコネクタ 24d, 24eを設けた場合について説明し た力 これに限定されるものではなぐ車両のレイアウトによっては、制御ユニット 19に 対して電動モータ 5を車両外側に、コネクタ 24d, 24eを車両内側に設けるようにして もよぐ要は制御ユニット 19の電動モータ 5とは反対側にコネクタ 24d, 24eを設ける ようにすれば良 、ものである。
産業上の利用の可能性
[0067] 少なくとも、発熱を伴うパワーモジュール基板を含む制御ユニットをヒートマスの大き い減速ギヤボックスに直接取付けることにより、放熱効果を向上させることができる電 動パワーステアリング装置を提供することができる。
また、制御ユニットの車両内側及び外側の一方に電動モータを取付け、制御ュ-ッ トの車両内側及び外側の他方に外部接続コネクタを設けることにより、水滴や塵埃の 侵入を防止することができると共に、外部接続コネクタの接続方向の自由度を大きく することができ、さらに、コネクタ接続が容易で、コネクタ側で電動モータの発熱の影 響も受けることがない電動パワーステアリング装置を提供することができる。
[0068] さらに、制御ユニットを減速ギヤボックスのステアリングコラムのコラプスストローク時 における移動部材と干渉しない位置に配置することにより、ステアリングコラムの所定 のコラブスストロークを確保することができると共に、コラブス時に安定した設定値通り のエネルギー吸収量を得ることができる電動パワーステアリング装置を提供すること ができる。