JP5299344B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、操舵系に対して操舵補助力を付与する電動モータと、該電動モータへの通電を前記操舵系の操舵トルクに応じて制御する制御ユニットとを備えた電動パワーステアリング装置に関する。
操舵トルクが伝達されるステアリングシャフトに減速ギヤボックス内の減速機構を介して操舵補助力を伝達し、前記減速ギヤボックスに電動モータを駆動制御する制御回路を実装した制御基板を含む制御ユニットを装着した機電一体型の電動パワーステアリング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、電動モータと制御ユニットとの間の電気的接続は、電動モータに形成された接続端子を制御ユニットに形成された端子台にビス止めするようにしている。
特開2007−276740号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、電動モータの接続端子と制御ユニットの端子台とを接触させてビス止めするので、ビス止めの際に応力が発生するため、寸法管理が必要になるとともに、制御ユニットの構成する強度の高い樹脂材が必要になり、また、減速ギヤボックスのサイズ変更によって制御ユニットの端子台位置も変更する必要があり、出力か高いモータを搭載すると、接続ができなくなり、設計変更が必要となり、さらに端子台がL型であるため、接続部が電動モータの半径方向に飛び出す構造となり、搭載性が悪化する等の未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、モータと制御ユニットとの電気的接続時に応力の発生を回避することができるとともに、ハウジングのサイズ変更や出力が高いモータの搭載時に設計変更を伴うことがなく、さらに半径方向の突出長さを低減して搭載性を向上させることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、操舵系に対して操舵補助力を付与する電動モータと、前記操舵系に伝達される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、前記電動モータへの通電を前記操舵トルクセンサで検出した操舵トルクに応じて制御する制御ユニットとが減速機構を格納するハウジングに一体的に取付けられた電動パワーステアリング装置であって、前記制御ユニットは、前記電動モータのモータ側給電部と近接して配置されたユニット側給電部を備え、前記モータ側給電部から、先端にコネクタを有する給電用ハーネスを導出し、前記ユニット側給電部に前記コネクタを接続するコネクタ接続部が形成され、前記制御ユニットは、平板部の上面中央部に設けられた、ねじ孔を形成した連結筒部及び前記平板部の電動モータに近接する位置に配設された前記ユニット側給電部としての前記コネクタ接続部を備えた内側カバーと、該内側カバーを覆う保護板部を備え、該保護板部には、前記内側カバーに設けた前記コネクタ接続部を外部に露出させる開放窓と、前記内側カバーに設けられた連結筒部に対向するねじ用の挿通孔とが形成されたユニットカバーとを備えており、前記ユニットカバーの保護板部が、固定ねじによって前記内側カバーの前記連結筒部に連結されるとともに、前記給電用ハーネスのコネクタが前記ユニットカバーの保護板部に設けた開放窓を介して前記コネクタ接続部に接続することを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記給電用ハーネスの基部が、グロメットを介して内部接点に接続されていることを特徴としている。
また、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項2に係る発明において、前記グロメットに、前記給電用ハーネスを前記コネクタが接続される前記ユニット側給電部側に屈曲させる屈曲案内部材が形成されていることを特徴としている。
また、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1乃至3の何れか1つに係る発明において、前記給電用ハーネスが、前記モータ側給電部から導出され、前記コネクタが前記ユニット側給電部に形成されたコネクタ接続部に接続され、前記制御ユニットの前記電動モータのモータ側給電部に近接する位置に前記給電用ハーネスの素線を案内する素線ガイド溝が形成され、前記素線ガイド溝が前記電動モータのモータ側給電部に向かって形成されていることを特徴としている。
また、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1乃至4の何れか1つに係る発明において、前記モータ側給電部及び前記ユニット側給電部間に、前記給電用ハーネスの案内及び固定を兼ねたハーネス支持部材が配設されていることを特徴としている。
本発明によれば、モータと制御ユニットとの電気的接続時に応力の発生を回避することができるとともに、ハウジングのサイズ変更や出力が高いモータの搭載時に設計変更を伴うことがなく、さらに半径方向の突出長さを低減して搭載性を向上させることができる電動パワーステアリング装置を提供できるという効果を有する。
本発明に係る電動パワーステアリング装置の第1の実施形態を示す斜視図である。 電動パワーステアリング装置を構成する減速ギヤボックスの要部を示す縦断面図である。 図1の減速ギヤボックスの正面図である。 図3の一部を断面として示す平面図である。 制御ユニットの分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態を示す減速ギヤボックスの正面図である。 図6の一部を断面として示す平面図である。 本発明の第3の実施形態を示す減速ギヤボックスの正面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置を運転席側から見た斜視図である。
図中、1はコラム型の電動パワーステアリング装置であり、この電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール(図示せず)が先端に連結されるステアリングシャフト2を回転自在に内装するステアリングコラム3を有する。このステアリングコラム3に、減速ギヤボックス4が連結され、この減速ギヤボックス4に、軸方向がステアリングコラム3の軸方向と直交する方向に延長された電動モータ5が配設されている。
ステアリングコラム3は、内管3a及び外管3bの2重管構造となっている。そして、ステアリングコラム3の内管3a及び減速ギヤボックス4が、アッパ取付けブラケット6及びロア取付けブラケット7によって車体側部材に取付けられている。
ロア取付けブラケット7は、車体側部材に取付けられる取付け板部7aと、この取付け板部7aの下面から左右方向に所定間隔を保って平行に延長する一対の支持板部7bとで形成されている。そして、支持板部7bの下端が、減速ギヤボックス4の車体前方側に一体形成された支持部4bに枢軸7cを介して回動自在に連結されている。
アッパ取付けブラケット6は、一対のフランジ6aと、これらフランジ6aの下端に固定されて左右(車幅)方向に離間している1対の支持板部6cと、これら一対の支持板部6cに形成されたステアリングコラム3の外管3bを支持するチルト機構6dとを備えている。フランジ6aにはスリット6a1が形成されており、このスリット6a1に離脱用カプセル6bが嵌め込まれている。この離脱用カプセル6bにはボルト貫通孔6b1が形成されており、離脱用カプセル6bの下方からボルト貫通孔6b1に貫通した固定ボルト(図示せず)を車体側部材(図示せず)にねじ込むことで、フランジ6aが車体側部材に取付けられている。
そして、チルト機構6dのチルトレバー6gを回動させ、外管3bの挟持状態を解除することにより、ステアリングコラム3をロア取付けブラケット7の枢軸7cを中心として上下にチルト位置調整可能とされている。
ステアリングシャフト2は、図2に示すように、上端がステアリングホイールに連結される入力軸2aと、この入力軸2aの下端でトーションバー2bを介して連結されたトーションバー2bを覆う出力軸2cとで構成されている。
減速ギヤボックス4は、図1及び図2に示すように、ハウジング10を有し、このハウジング10に、電動モータ5の出力軸(図示せず)に連接されてステアリングシャフト2と直交して延長するウォーム11を収納するウォーム収納部12と、このウォーム収納部12の下側にその中心軸と直交する中心軸を有しウォーム11に噛合し且つステアリングシャフト2の出力軸2cに取付けられたウォームホイール13を収納するウォームホイール収納部14と、このウォームホイール収納部14の車体後方側に一体に同軸的に連結されたトルクセンサ15をステアリングシャフト2に対向させて収納するトルクセンサ収納部16とが形成されている。
また、減速ギヤボックス4のハウジング10は、ウォーム収納部12の開放端面に形成された電動モータ5を取付けるモータ取付け部17と、トルクセンサ収納部16の車体後端に形成された筒状のコラム取付け部18と、ウォーム収納部12とウォームホイール収納部14の一部に跨がって形成された制御ユニット19を装着する制御ユニット装着部20とが形成されている。そして、減速ギヤボックス4のコラム取付け部18に、ステアリングコラム3の車体前端部が外嵌されて連結されている。
ここで、トルクセンサ15は、図2に示すように、ステアリングシャフト2の入力軸2a及び出力軸2c間の捩じれ状態を磁気的に検出してステアリングシャフト2に伝達された操舵トルクを一対の検出コイル15a及び15bで検出するように構成されている。これら一対の検出コイル15a,15bの巻き始め及び巻き終わりに夫々ステアリングコラム3の中心軸と直交する方向に平行に外部に突出する外部接続端子15c,15d及び15e,15fが接続され、これら外部接続端子15c〜15fの突出部が中央部でステアリングコラム3の中心軸と平行に折り曲げられてL字状に形成されている。
電動モータ5は、図3及び図4に示すように、その取付けフランジ5bに近い位置における制御ユニット装着部20に装着された制御ユニット19に近接対向する位置に取付けられたグロメット8を通じて、一端が図示しないがモータ側給電部となるアーマチュア挿通孔を有する合成樹脂製のブラシ支持体内の内部接点としてのブラシに互いに絶縁されて接続された素線9a及び9bを有する給電用ハーネス9が導出されている。
ここで、給電用ハーネス9の各素線9a及び9bのそれぞれは、導体を絶縁被覆層で被覆した構成を有し、グロメット8に形成された嵌合孔8a及び8b内に締め代を持って嵌合されている。また、グロメット8は、ダンパー効果のあるゴム材料で形成され、設定された締め代を保つために圧縮永久歪みの小さいゴム材料が選定されている。
給電用ハーネス9の各素線9a及び9bの他端には、雄コネクタ9cが取付けられている。
減速ギヤボックス4に形成された制御ユニット装着部20は、図2に示すように、ウォーム収納部12とその下側のウォームホイール収納部14の上部側とで車体後方側を向いて形成されている平坦取付け面と、この平坦取付け面及びトルクセンサ収納部16の上面に形成した平坦取付け面に対して直交し、左右方向に長尺方向が延在する矩形状のユニット載置面とで左右方向から見てL字状に形成されている。
ここで、制御ユニット装着部20のユニット載置面の左右方向の中央部には、図2に示すように、トルクセンサ15を収納しているトルクセンサ収納部16の内部空間に連通する開口部20aが形成されており、この開口部20aを通過してトルクセンサ15の外部接続端子15c〜15fがユニット載置面の上方に突出して設けられている。
また、モータ取付け部17の車体後端面にも、車体後方側を向いて形成されている平坦取付け面と平行でこの平坦取付け面より車体後方側の位置に幅狭のフレーム取付け面(図示せず)が形成されている。
制御ユニット装着部20に装着される制御ユニット19は、図5に示すように、放熱プレート21と、パワー基板22と、長方形枠状のフレーム23と、制御基板24と、内側カバー25と、外側の金属製のユニットカバー26とを備えている。
放熱プレート21は、制御ユニット装着部20の平坦取付け面に放熱グリースを介して直接固定される。
パワー基板22は、電動モータ5を駆動制御する電界効果トランジスタ等のパワースイッチング素子で構成されるHブリッジ回路やこのHブリッジ回路のパワースイッチング素子を駆動するパルス幅変調回路等の集積回路22a,22bが実装される。
制御基板24は、内側カバー25の裏面に取付けられ、トルクセンサ15の外部接続端子15c〜15fを直接挿通するスルーホール24a〜24dが穿設され、トルクセンサ15からのトルク検出値や図示しない車速センサからの車速検出値に基づいて操舵補助電流指令値を算出し、この操舵補助電流指令値と電動モータ5に出力するモータ電流の検出値とに基づいて電流フィードバック制御を行ってパワー基板22のパルス幅変調回路への電圧指令値を算出することにより、電動モータ5で発生させる操舵補助力を制御するマイクロコントロールユニット(MCU)やその周辺機器等のほか、コンデンサ、コイル、リレー等のディスクリート部品24eが実装される。
フレーム23はパワー基板22を囲繞する合成樹脂製の絶縁部材であって、長方形枠状のフレーム本体23aと、このフレーム本体23aの右端に形成され、減速ギヤボックス4のフレーム取付け面に固定される取付け板部23bと、フレーム本体23aの右端に固定された雌型コネクタ45とを備えている。雌型コネクタ45は、バッテリに電源用雄型コネクタを介して接続される電源コネクタ45aと、車体の各部の制御機器とのデータの授受を行うCANなどのネットワークに接続する信号コネクタ45bとを備えている。パワー基板22と制御基板24及び雌型のコネクタ25eとは、接続端子22cを介して接続されている。
内側カバー25は樹脂製の部材であり、矩形状の平板部25aと、この平板部25aの縁部に形成したねじ挿通穴25bと、これらねじ挿通穴25bに対応する平板部25aの下面に固定された中空円筒形状の複数の脚部25cと、平板部25aの上面中央部に固定され、ねじ穴25d1を形成した連結筒部25dと、電動モータ5に近接する位置に配設されたユニット側給電部のコネクタ接続部としての雌型のコネクタ25eとを備えた部材である。この雌型のコネクタ25eは、前述した電動モータ5のグロメット8から導出された給電用ハーネス9の素線9a及び9bの先端に取付けられた雄型のコネクタ9cが結合されて電気的に接続され、給電路が形成される。
また、内側カバー25の電動モータ5側端部には、図3〜図5に示すように、給電用ハーネス9の素線9a及び9bを、ユニットカバー26の外側で所定間隔を保って嵌合案内し、電動モータ5のモータ側給電部としてのグロメット8に向かって形成された素線ガイド溝25fを形成した素線ガイド部材25gが設けられている。
そして、内側カバー25は、その平板部25aの上方から各ねじ挿通穴25b、脚部25cのねじ挿通穴に挿通した固定ねじ40を、フレーム23に形成した内側カバー固定用のねじ穴41にねじ込むことで、パワー基板22及び制御基板24を覆った状態でフレーム23に固定される。
ユニットカバー26は導電性金属製の部材であり、内側カバー25を覆う矩形状の第1保護板部28と、この第1保護板部28の長尺方向の縁部から直交して延在している第2及び第3保護板部29,30と、第1保護板部28の短尺方向の縁部から第2及び第3保護板部29,30と同一方向に延在している第4及び第5保護板部31,32と、第2保護板部29、第4及び第5保護板部31,32の端部からカバー外方に直交する方向に形成されているねじ挿通孔を有する複数の固定片34とを備えている。
第1保護板部28には、内側カバー25に設けた雌型のコネクタ25eを外部に露出させる開放窓28aと中央部に設けた内側カバー15に形成した連結筒部25dに対向する挿通孔28bが形成され、第4保護板部31には、雌型コネクタ45の外周を囲む切欠き31aが形成されている。
そして、制御ユニット19の放熱プレート21及びフレーム23を減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20に固定し、ユニットカバー26も、図3に示すように、固定片34のねじ挿通孔に挿通した固定ねじ43を制御ユニット装着部20のねじ穴(図示せず)にねじ込むことで、減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20に、制御ユニット19が装着される。
また、電動モータ5のグロメット8から導出された先端に雄型のコネクタ9cを装着した給電用ハーネス9の素線9a,9bを素線ガイド部材25gの素線ガイド溝25fに嵌合させながら雄型のコネクタ9cを内側カバー25に形成された雌型のコネクタ25eに接続することにより、給電用ハーネス9によってユニット側給電部とモータ側給電部とを確実に接続することができる。また、給電用ハーネス9の素線9a及び9bは互いに平行に配設されている。そして、給電用ハーネス9の素線9a及び9bの電動モータ5のグロメット8と先端の雄型のコネクタ9cとの間の長さは、素線ガイド溝25fを介して両者間の距離を最短距離で結ぶ長さに所定の余裕代すなわち取り付け誤差等を考慮した長さを加算した長さに選定されている。
次に、上記構成を有する電動パワーステアリング装置1の組立方法を説明する。
先ず、減速ギヤボックス4のハウジング10におけるトルクセンサ収納部16内にトルクセンサ15を配設し、その外部接続端子15c〜15fを、開口部20aを介して上方に突出させる。次いで、ウォームホイール13を取り付けたステアリングシャフト2をトルクセンサ収納部16及びウォームホイール収納部14内に装着した後、ウォーム収納部12にウォーム11をウォームホイール13に螺合させながら装着する。
その後、ハウジング10の制御ユニット装着部20に制御ユニット19を装着し、トルクセンサ15の外部接続端子15c〜15fを制御基板24のスルーホール24a〜24d内に挿通して例えば半田付けによって電気的に接続して固定する。その後又はその前にハウジング10のモータ装着部17に、電動モータ5を、そのグロメット8が制御ユニット19と対向するとともに、出力軸がウォーム11を装着したウォーム軸(図示せず)に結合するように装着する。
電動モータ5及び制御ユニット19のハウジング10への装着が完了したら、電動モータ5から導出された給電用ハーネス9における素線9a及び9bの雄形のコネクタ9c側をの素線9a,9bを制御ユニット19の内側カバー25における素線ガイド部材15gの素線ガイド溝25f内に嵌合案内させて先端の雄型のコネクタ9cをユニットカバー26の開放窓28aを通じて内側カバー25に取り付けた雌型のコネクタ25eに挿入して電動モータ5のモータ側給電部と制御ユニット19のユニット側給電部とを電気的に接続する。このとき、給電用ハーネス9の素線9a及び9bの長さに多少の余裕代を持たせることにより、電動モータ5及び制御ユニット19の取付位置に誤差が生じてもこの誤差分を吸収することができる。このため、給電用ハーネス9に圧縮又は引張応力が作用することを回避することができる。
この給電用ハーネス9の制御ユニット19に対する電気的接続が完了したのち、電動パワーステアリング装置1の組立てを完了する。
このようにして電動パワーステアリング装置1の組立てが完了すると、電動モータ5と制御ユニット19の雌型のコネクタ25eとの電気的接続が電動モータ5から導出された給電用ハーネス9の先端に取付けられた雄型のコネクタ9cと、制御ユニット19の内側カバー25に取り付けた雌型のコネクタ25eとを結合するだけでよく、この電気的接続を行う場合に、電動モータ5の半径方向に突出する部材を必要としないとともに、電気的接続部を覆う専用の保護カバーも必要がないので、電動モータ5から半径方向に突出する高さを給電用ハーネス9の厚みに素線ガイド部材25gの高さ分を加算した値のみに抑制することができ、電動パワーステアリング装置1のステアリング機構への搭載性を向上させることができる。
このように電動パワーステアリング装置1の装着が完了してから、車両の図示しないイグニッションスイッチをオン状態としてパワー基板22及び制御基板24にバッテリから電力を供給すると、マイクロコントロールユニット(MCU)によって操舵補助制御処理が実行されて、トルクセンサ15及び図示しない車速センサの検出値に基づいて操舵補助電流指令値が算出される。この操舵補助電流指令値とモータ電流検出部で検出したモータ電流とに基づいて電流フィードバック処理を実行して、電圧指令値を算出する。この電圧指令値をパワー基板22のゲート駆動回路に供給してHブリッジ回路を制御することにより、電動モータ5にモータ駆動電流が流れて電動モータ5を正転又は逆転方向に必要とする操舵補助力を発生するように駆動する。
このため、電動モータ5からステアリングホイールの操舵トルクに応じた操舵補助力が発生され、この操舵補助力がウォーム11及びウォームホイール13を介してステアリングシャフト2の出力軸2cに伝達されることにより、ステアリングホイールを軽い操舵力で操舵することができる。
上記第1の実施形態によれば、バスバー接続仕様のモータ設計を行う必要がなくなり、既存のモータからの設計変更箇所がハーネス長さ及び接続部(端子)のみの変更で可能となり、従来のモータ生産設備を使用できるので、段取り換えが不要となる。
また、給電用ハーネス9を制御ユニット19の内部に設けた雌型のコネクタ25eに給電用ハーネス9の雄型のコネクタ9cが制御ユニット19のユニットカバー26に設けた開放窓28aを介して接続するので、従来例のようにバスバー端子と端子台への異物侵入防止用のカバーを設ける必要がなく、この分構成を簡易化することができる。
さらに、従来例のようにバスバー接続では端子台が電動モータの半径方向に突出する構成となり、搭載性に影響を与えるが、本実施形態では給電用ハーネス9のせいぜい倍程度の厚み分だけでよく、半径方向の突出部を省略することができるので、電動パワーステアリング装置1や電動モータ5の搭載性を向上させることができる。
さらにまた、従来例のようにバスバー接続では、電動モータのバスバー部の信頼性を高めるために制御ユニットの端子台と電動モータのバスバーとの間の隙間を小さく設定して、ねじ止めの際に生じる応力を低減させる必要があり、溶接部の強度や、高い材料、高精度の部品が必要になるが、本実施形態では、給電用ハーネス9のグロメット8と雄型のコネクタ9cとの長さに多少余裕を持たせるだけで、長さの誤差分を吸収することができ、応力の発生を抑制することができる。
また、第1の実施形態によると、ユニットカバー26の挿通孔28a位置も取付ねじ42によって固定されるので、不快な音の発生を防止して静音性の高い電動パワーステアリング装置1を提供することができる。
すなわち、減速ギヤボックス4には、車両から車両振動が伝達されたり、或いは電動モータ5からモータ振動が伝達されたりするので、制御ユニット19のユニットカバー26が共振して大きな振幅で振動してビビリ音等の不快な音を発生しやすいが、本実施形態のように、ユニットカバー26の第1保護板部28一部が、固定ねじ42によって内側カバー25の連結筒部25dに連結されるので、ユニットカバー26に車両振動、モータ振動等が伝達されても小さな振幅で振動し、伝達された振動に対する共振を抑制しやすい構造となる。したがって、本実施形態のユニットカバー26は、車両振動、モータ振動が伝達しても不快な音が発生しにくい構造となるので、静音性を高めた電動パワーステアリング装置1を提供することができる。
次に、本発明の第2の実施形態を図6及び図7について説明する。
この第2の実施形態では、制御ユニット19側に素線ガイド部材を設ける場合に代えて、電動モータ5及び制御ユニット19の中間部に素線ガイド部材を設けるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態においては、図6及び図7に示すように、前述した第1の実施形態における素線ガイド部材25gが省略され、これに代えて減速ギヤボックス4における電動モータ5及び制御ユニット19間におけるウォーム収納部12にハーネス支持部材50が固定されていることを除いては前述した第1の実施形態における図3及び図4と同様の構成を有し、図3及び図4との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
ここで、ハーネス支持部材50は、図7で拡大図示するように、断面エ字状に形成された部材本体51と、この部材本体51の側面に形成された給電用ハーネス9のグロメット8及び雄型のコネクタ9cとの間の素線9a,9bを嵌合して案内する素線ガイド溝52と、前記部材本体51の背面側から後方に突出形成された固定ねじ部53とで構成されている。
素線ガイド溝52は、部材本体51の上下面から内方に向かう断面略方形の凹部で構成され、制御ユニット19側が前上がりとなるように傾斜延長されている。
そして、部材本体51に突出形成された固定ねじ部53をウォーム収納部12に形成した雌ねじ54に螺合させてハーネス支持部材50を固定することより、図7で見て、素線ガイド溝52が、電動モータ5側が低く、制御ユニット19側が高くなるように固定されている。
そして、このハーネス支持部材50の電動モータ5側端部と対向するグロメット8位置に、グロメット8から導出された給電用ハーネス9の素線9a,9bを例えば80度近く屈曲させる屈曲案内部材60が形成されている。この屈曲案内部材60は、グロメット8の嵌合孔8a及び8bの制御ユニット19側とは反対側に沿って延長する突出板部61と、この突出板部61の自由端から制御ユニット19側に屈曲する屈曲板部62とで断面L字状に形成され、屈曲板部62の先端のグロメット8側にC面取り部63が形成されている。
そして、屈曲案内部材60によって、グロメットの嵌合孔8a及び8bから導出された給電用ハーネス9の素線9a,9bが屈曲板部62のC面取り部63によって案内されて例えば80度程度屈曲されてハーネス支持部材50に向かい、このハーネス支持部材50の素線ガイド溝52で嵌合案内されて、給電用ハーネス9の先端の雄型のコネクタ9cが制御ユニット19のユニットカバー26の開口28aを通じて内側カバー25に設けられた雌型のコネクタ25eに結合固定される。
この第2の実施形態によると、電動モータ5のグロメット8から導出される先端に雄型のコネクタ8cを配置した給電用ハーネス9がグロメット8に設けられた屈曲案内部材60によって約80度程度屈曲されてハーネス支持部材50に向かう。このハーネス支持部材50では、上下面に内方に延長する凹部でなる素線ガイド溝52が形成されているので、この素線ガイド溝52に素線9a,9bを外側から内側に押し込むことにより、嵌合した状態で前上がりに案内する。そして、先端の雄型のコネクタ9cを制御ユニット19のユニットカバー26の開放窓28aを通じて内側カバー25に配置された雌型のコネクタ25eに挿通して固定する。このように、給電用ハーネス9が、グロメット8側で屈曲案内部材60によって屈曲され、次いでハーネス支持部材50の素線ガイド溝52によって嵌合案内され、最後に先端の雄型のコネクタ9cが制御ユニット19のユニットカバー26に形成された開放窓28aを通じて内側カバー25に設けた雌型のコネクタ25eに装着するので、給電用ハーネス9の素線9a,9bが中間部でハーネス支持部材50によって確実に案内されてバラバラとなることなく、案内することができる。しかも、給電用ハーネス9の素線9a及び9bが素線ガイド溝52内に確実に収納保持されるので、外力から保護することができる。さらに、給電用ハーネス9の素線9a,9bのグロメット8からの導出部が、屈曲案内部材60で覆われており、給電用ハーネス9のグロメット8からの導出部に外力が作用することを防止することができるので、給電用ハーネス9の断線を防止することができる。
なお、上記第2の実施形態においては、ハーネス支持部材50の素線ガイド溝52を上下面に形成した場合について説明したが、ハーネス支持部材50の前面側又は背面側に平行に素線ガイド溝52を形成することもできる。
また、上記第2の実施形態においては、ハーネス支持部材50及び屈曲案内部材60を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ハーネス支持部材50を省略して、前述した第1の実施形態における素線ガイド部材25gを設けるようにしてもよい。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、電動モータ5のモータ側給電部に設けたグロメット8から給電用ハーネス9の素線9a,9bを導出した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図8に示すように、制御ユニット19のユニットカバー26を省略し、内側カバー25から一端をパワー基板22のHブリッジ回路の出力側に接続された給電用ハーネス70の素線70a及び70bをグロメット71の嵌合孔71a,71bを介して導出し、他端に雄型のコネクタ70cを装着し、逆に電動モータ5のモータ側給電部にコネクタ接続部としての雌型のコネクタ72を設けて、この雌型のコネクタ72に給電用ハーネス70の雄型のコネクタ70cを接続するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、給電用ハーネス9又は70に雄型のコネクタ9c又は72を装着する場合について説明したが、逆に雌型のコネクタを接続し、他方に雄型のコネクタを設けるようにしてもよい。
また、上記第1〜第3の実施形態ではユニットカバー26が、減速ギヤボックス4に固定されているが、フレーム23の取付け板部23bに固定しても同様の効果が得られる。
また、上記実施形態においては、電動モータ5、制御ユニット19及び雌型コネクタ45がステアリングコラム3の中心軸と直交する線に沿って一直線に配置されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステアリングコラム3の中心軸と交差する線に沿って一直線に配置するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、電動モータ5としてブラシモータを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブラシレスモータを適用するようにしてもよく、この場合には、3本の素線を有する給電用ハーネス9の各素線の一端を電動モータ5又は制御ユニットのモータ側給電部(又はユニット側給電部)に接続すると共に、他端に3端子コネクタに接続し、この3端子雄型コネクタをユニット側給電部(又はモータ側給電部)に設けた3端子雌型コネクタに電気的に接続し、さらにパワー基板22にブラシレスモータを駆動する例えば電界効果トランジスタ(FET)を有するインバータ回路及びインバータ回路の電界効果トランジスタのゲートをパルス幅変調信号で駆動するゲート駆動回路を実装すればよい。なお、電動モータ5にレゾルバ等の回転角検出手段を内蔵する場合には、レゾルバの外部接続信号線と制御ユニットの信号線とを例えばコネクタで接続するようにしてもよい。
また、上記第1〜第4の実施形態においては、制御ユニット19のユニットカバー26を導電性金属で形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、合成樹脂材等の絶縁材で形成するようにしてもよい。
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリングシャフト、2a…入力軸、2b…トーションバー、2c…出力軸、3…ステアリングコラム、3a…内管、3b…外管、4…減速ギヤボックス(ハウジング)、4b…支持部、5…電動モータ、5b…取付けフランジ、8…グロメット、9…給電用ハーネス、9a,9b…素線、9c,9d…圧着端子、11…ウォーム、12…ウォーム収納部、13…ウォームホイール、14…ウォームホイール収納部、15…トルクセンサ、15a,15b…検出コイル、15c〜15f…外部接続端子、16…トルクセンサ収納部、17…モータ取付け部、18…コラム取付け部、19…制御ユニット、20…制御ユニット装着部、21…放熱プレート、22…パワー基板、22a,22b…ディスクリート部品、22c…接続端子、23…フレーム、23a…フレーム本体、23b…取付け板部、24…制御基板、24a〜24d…スルーホール、25…内側カバー、25f…素線ガイド溝、25g…素線ガイド部材、26…ユニットカバー、28a…開放窓、50…ハーネス支持部材、51…部材本体、52…素線ガイド溝、53…固定ねじ部、60…屈曲案内部材、61…突出板部、62…屈曲板部、63…C面取り部、70…給電用ハーネス、70a,70b…素線、70c……雄型のコネクタ、71a,71b…嵌合孔、72…雌型のコネクタ

Claims (5)

  1. 操舵系に対して操舵補助力を付与する電動モータと、前記操舵系に伝達される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、前記電動モータへの通電を前記操舵トルクセンサで検出した操舵トルクに応じて制御する制御ユニットとが減速機構を格納するハウジングに一体的に取付けられた電動パワーステアリング装置であって、
    前記制御ユニットは、前記電動モータのモータ側給電部と近接して配置されたユニット側給電部を備え、前記モータ側給電部から、先端にコネクタを有する給電用ハーネスを導出し、前記ユニット側給電部に前記コネクタを接続するコネクタ接続部が形成され
    前記制御ユニットは、平板部の上面中央部に設けられた、ねじ孔を形成した連結筒部及び前記平板部の電動モータに近接する位置に配設された前記ユニット側給電部としての前記コネクタ接続部を備えた内側カバーと、該内側カバーを覆う保護板部を備え、該保護板部には、前記内側カバーに設けた前記コネクタ接続部を外部に露出させる開放窓と、前記内側カバーに設けられた連結筒部に対向するねじ用の挿通孔とが形成されたユニットカバーとを備えており、
    前記ユニットカバーの保護板部が、固定ねじによって前記内側カバーの前記連結筒部に連結されるとともに、前記給電用ハーネスのコネクタが前記ユニットカバーの保護板部に設けた開放窓を介して前記コネクタ接続部に接続することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記給電用ハーネスの基部は、グロメットを介して内部接点に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記グロメットに、前記給電用ハーネスを前記コネクタが接続される前記ユニット側給電部側に屈曲させる屈曲案内部材が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記給電用ハーネスは、前記モータ側給電部から導出され、前記コネクタが前記ユニット側給電部に形成されたコネクタ接続部に接続され、前記制御ユニットの前記電動モータのモータ側給電部に近接する位置に前記給電用ハーネスの素線を案内する素線ガイド溝が形成され、前記素線ガイド溝が前記電動モータのモータ側給電部に向かって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記モータ側給電部及び前記ユニット側給電部間に前記給電用ハーネスの案内及び固定を兼ねたハーネス支持部が配設されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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