明 細 書
スライドバルブ
技術分野
[0001] 本発明は、スライドバルブに関し、特に、ボデー内に振り子式のプレートを流路軸に 対して水平に横移動自在に設け、全閉位置で弁口の流路を弁体で閉止する振り子 式タイプのスライドバルブに関する。
背景技術
[0002] 一般に、この種のバルブは、扁平中空形状の弁箱内を横移動または水平移動しな がら、全閉位置と全開位置に移動して開閉または制御するスライドバルブである。 このバルブの従来例として、弁箱に弁座シール用のエア駆動部が装着され、弁座 シール用のシールリングが弁箱内に着脱自在に取り付けられ、移動可能なスイング プレートが弁閉位置に移動した状態でシールリングをスイングプレートに押圧すること により、弁座がシールできるようにした構造のスライドバルブが提案されている(特許 文献 1参照)。この特許文献 1は、シールリングの弁座シール用の oリングと摺動 oリン グの径の差分の面積にのみ背圧が加わる構造のため、小さな弁推力で大気圧と真 空差圧の推力に耐えてシールすることができる利点を有して 、る。
[0003] また、このスイングプレートの円周部に凹凸或いは溝を形成して、ミニマム流量の制 御性を良好にした構造のスライドバルブも提案されて ヽる (特許文献 2参照)。この制 御性を良好にする他方式として、スライドプレートに接触リングを取り付け、スライドプ レートが閉止位置にあるときスプリングの付勢力によりボデ一の接触面に押圧接触さ せる構造のバルブも知られて!/ヽる (特許文献 3参照)。
[0004] 従来の他例として、弁体締切り時に弁体とその背面に設置したプレートをコロを使 用したカムにより両側に押し広げてボデ一の内面に押圧し、弁体締切りの荷重をプレ ートで受けて弁体を締切る構造のゲートバルブが提案されて ヽる(特許文献 4参照) 。このゲートバルブは、弁体とその背面に設置したプレートをコロを使用したカムによ り両側に押し広げて弁座シール Oリングを押圧しコ口がカムの水平位置に乗り越える ことにより、大気圧と真空差圧の推力が弁開方向に力が変換されないためシールを
保持することができる構造である。
[0005] 特許文献 1 :特開平 9-178000号公報
特許文献 2 :特開平 9-210222号公報
特許文献 3:特開 2005 - 9678号公報
特許文献 4:特開 2002— 295695号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] し力しながら、特許文献 1および特許文献 2は、シールリングがボデー側に設けられ ており、スライドプレートが流路の流れを阻止する閉鎖位置でシールリングと係合して 弁閉する構造であり、スライドプレート側が大気圧でシールリング側が真空に排気さ れた場合、差圧の荷重によりスライドプレートが橈み、弁体締切シリンダの推力は差 圧荷重より小さぐさらにシールリングを作動ストローク分押し上げてストツバとなるた め、スライドプレートを橈ませる量を大きく設定する必要があり、スライドプレートの剛 性が弱くなると、弁を閉じて弁推力と差圧荷重を受けた場合にスライドプレートのァー ムが塑性変形で曲がりボデ一と接触する。その結果、スライドプレートとボデ一の隙 間を狭く設定することが不可能であるため、ミニマム制御コンダクタンスが大きくなり、 したがって、ミニマム制御性が悪くなる。その対策として、特許文献 3に開示されてい るスライドプレートに接触リングを取り付けてミニマム制御性を改善して 、るが、接触し てスライドする構造であるから却ってパーティクルが発生しやすくなるという事情があ る。
[0007] 特許文献 4は、弁体とその背面のプレートを押し広げてシールする構造のため、ス イングプレートのアーム部に曲げ荷重は発生しないが、荷重を受けるプレートの駆動 部にカム等の機構が必要であるから、構造が複雑になると共に、パーティクルの発生 原因となる。また、真空中の作動や加熱(150°C)の作動は、カム機構部のカジリを発 生しやすい。さらに、弁座シール Oリングをシールする荷重は、例えば 320Aでは 15 Okg以上の荷重が必要であるから、カムを作動させるには 20〜30kg程度のカム移 動推力が必要であり、そのため、回転軸力もスライドプレート中心距離でその推力を 発生させるには大きなトルクを必要とする事情がある。
[0008] 更には、圧力制御は、弁体が開く位置力 制御範囲として利用できるので、制御範 囲は広く利用できるが、シール用 Oリングの接触防止のため、弁体を開く隙間を大き く設定する必要がある。この弁体シール用 Oリングは、締切荷重や熱の影響で変形し やすくボデ一と Oリングの隙間で制御させると、隙間が不安定であり、弁体が流路軸 方向に開閉する制御範囲とスライドプレートがスライドして制御する範囲にコンダクタ ンス特性の変化ゃ不感帯が生じやすぐ特に、カム機構のバックラッシュや摩耗等も 加わると、ミニマム制御領域がさらに不安定になる。また、特許文献 1乃至 4は、弁体 を締切る駆動部が弁箱側に形成されていたり、駆動部分を複雑なカム機構で駆動さ せて 、るので、駆動部を含むすべてのメンテナンスを容易にできな!/、等の事情があ る。
[0009] 本発明の技術的課題は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的 とするところは、最少領域のコンダクタンスを高精度に制御可能にして安定した制御 ができるようにし、さらに、スライドプレートが塑性変形を生じないようにして最少流量 の制御性を良好に行うことができ、弁体およびエア駆動部をスライドプレートと一体で 取り外しを可能とし、もって、メンテナンスを容易にするスライドバルブを提供すること にある。
課題を解決するための手段
[0010] 上記の目的を達成するため、請求項 1に係る発明は、流路を有するボデー内に、前 記流路の流れを阻止する閉鎖位置と該流れを許容する開放位置との間を流路軸に 対して垂直で水平又は直線上に移動するスライドプレートを設けたスライドバルブに ぉ 、て、前記スライドプレート内に組み込んだ弁体を流路軸方向に作動させて開閉 可能に設け、前記弁体が開いている状態で、前記ボデ一と前記スライドプレートの上 下面に微少な隙間を設け、前記弁体が閉じて差圧荷重が発生した場合に、前記スラ イドプレートの上下面のいずれかをストッパとし、前記弁体が開いたときに前記スライ ドプレートの弾性により微少な隙間を一定に保持したスライドバルブである。すなわち 、弁体を閉じている状態では、スライドプレートが微少な隙間分弾性変形しストツバに なることで差圧荷重を受けても塑性変形しないようにしている。なお、制御用のスライ ドバルブの場合、ボデ一とスライドプレートの上下面に微少な隙間を設けてミニマムコ
ンダクタンス制御を可能にして 、る。
[0011] 請求項 2に係る発明は、前記弁体が閉じて前記スライドプレートが微少な隙間分弾 性変形している状態で、前記スライドプレートの上下面の何れかがストツバとなり、前 記ストツバにより差圧荷重を受けても塑性変形しない構造としたスライドバルブである
[0012] 請求項 3に係る発明は、前記スライドプレートの外周にストツバを突設し、前記ストッ パのストッパ面よりやや内方に前記弁体を格納し、前記ストッパ面を、前記スライドプ レートの上下面の隙間間の一方又は双方でミニマム流量の制御を可能にする制御 面としたスライドバルブである。
[0013] 請求項 4に係る発明は、流路を有するボデー内に、前記流路の流れを阻止する閉 鎖位置と該流れを許容する開放位置との間を流路軸に対して垂直で水平上に移動 するスライドプレートを設けたスライドバルブにおいて、前記スライドプレート内に組み 込んだ弁体を流路軸方向に移動させて前記弁体を開閉自在に設けると共に、前記 スライドプレートの基端部を前記ボデ一に軸装した回転軸に着脱可能に取り付けた スライドバルブである。
[0014] 請求項 5に係る発明は、前記スライドプレートの基端部に台形形状を形成し、前記 回転軸に前記基端部の台形形状が嵌合する台形部を設け、前記基端部の台形形 状と前記回転軸の台形部とを嵌合するように前記スライドプレートの基端部を前記回 転軸に接続したスライドバルブである。
[0015] 請求項 6に係る発明は、前記スライドプレートの基端部を前記回転軸のねじ部にナ ットを介して着脱自在に締結すると共に、前記スライドプレートを前記ボデー内に無 摺動状態で水平移動させたスライドバルブである。
[0016] 請求項 7に係る発明は、前記回転軸のねじ部の途中に、前記ナットの抜脱を回避 するよう空回りするねじの未カ卩ェ部分を設けたスライドバルブである。
[0017] 請求項 8に係る発明は、前記スライドプレートに設けた基端部と前記回転軸を接続 する際に、前記回転軸の接続部位に設けた連通孔と排気路と、前記スライドプレート に設けたエア供給排気ポートと排気ポートとの両者を同時に Oリングを介してシール 着脱できるようにしたスライドバルブである。
[0018] 請求項 9に係る発明は、前記スライドプレートの排気ポートは、前記弁体の締切り用 シリンダ用ピストン軸の二重シール構造の中間部位と連通させたスライドバルブであ る。
[0019] 請求項 10に係る発明は、前記弁体を前記スライドプレートの下流側に組み込んだ スライドバルブである。
[0020] 請求項 11に係る発明は、前記ボデーを、装置チャンバ一の開口部に直接装着した スライドバルブである。
発明の効果
[0021] 請求項 1に係る発明によると、ボデ一とスライドプレートの上下面の隙間をミニマムコ ンダクタンス制御可能な隙間程度に精度を出して設定することができ、その上下面の 二箇所、或はその一方側の隙間面で制御することが可能になるため、ミニマム流量 の制御性を従来のスライドバルブに比較して、例えば、 1Z2以下程度にまで高精度 に制御することができる。
[0022] 請求項 2に係る発明によると、前記スライドプレート内にエアシリンダ駆動で流路軸 方向に開閉する弁体を組み込み、この弁体をスライドプレートの上端面より下方に格 納し、ボデ一とスライドプレートの上下面に微小の隙間を設定し、スライドプレート内 にエアシリンダ駆動で流路軸方向に開閉する弁体を み込み、弁体は、スライドプレ ートの上端面 (ストツバ面)より例えば lmm程度下方へ格納することができ、弁体に装 着したシールリング (Oリング)の変形で制御の隙間が変化しな!、ため安定した制御 が可能となる。
[0023] 請求項 3に係る発明によると、前記スライドプレートの外周にストッパを突設し、この ストツバのストッパ面よりやや内方に弁体を格納し、ストッパ面をスライドプレートの上 下面の隙間間でミニマム流量を制御する制御面としたから、ストッパ面とボデ一面と の隙間を最小にすることができ、微小な圧力制御を可能とし、従来例に比して著しく 高精度に制御することができる。
[0024] 例えば、弁体が閉じて大気圧力と真空の圧力差力スライドプレートに発生した場合 、スライドプレートは弾性変形内で橈み、差圧荷重の方向によりボデ一とスライドプレ ートの上下面力ストツバ(図面状、 X部と Y部)となり、弁推力と差圧荷重を受けても塑
性変形しない構造にしたから、スライドプレートは、自重による橈みを例えば 0. lmm 以下程度に抑え、ボデ一とスライドプレートの隙間を最小に設定することができ、また 、スライドプレートの剛性を高めれば、圧力制御中のスライドプレートに発生する最高 使用圧力差を高くすることができる。
[0025] 請求項 4、 6、 8に係る発明によると、スライドプレートに設けた基端部と回転軸を接 続する際に、この回転軸の接続部位に設けたエア供給排気ポートとシリンダピストン に設けた排気ポートとの両者を同時にシール着脱できるようにしたので、弁体および エア駆動部をスライドプレートと一体で容易に取り外しができるため、洗浄時等のメン テナンスを容易にすることができると共に、特に、回転軸からスライドプレートを上部か らのナット等の締め付けだけでエア供給と排気ポートの二箇所のシールとスライドプ レートの取り付け位置出しが可能であり、その着脱するための作業性が頗る良好であ る。
[0026] 請求項 5に係る発明によると、スライドプレートと回転軸との嵌合部を台形状にしたこ とで、スライドプレートは、回転軸の台形部のテーパー面に案内され、確実かつ容易 に接続する。
[0027] 請求項 7に係る発明によると、回転軸のねじ部の途中にねじの未加工部分を設け、 ねじが空回りすることで、緩みによるナットの抜脱を防止することができる。
[0028] 請求項 9に係る発明によると、弁体の締切り用シリンダのピストン軸を二重シール構 造とし、その二重シールの中間部位を排気ポートと連結したので、中間をピストン背 面側の排気ポートと連結して大気に開放することにより操作圧力の差圧が加わらない ため、ピストン作動時のシール部からの外部リークを最小にでき、弁体を確実に作動 させることがでさる。
[0029] 請求項 10に係る発明によると、弁体をスライドプレート内の下流側に組み込んだの で、流体流れの影響を受けにくぐ弁体の浸食が抑えられる。
[0030] 請求項 11に係る発明によると、ボデーを、装置チャンバ一の開口部に直接装着し たので、配管の節約ができ、装置のコンパクトィ匕が図られる。
図面の簡単な説明
[0031] [図 1]本発明の一実施の形態に係るスライドバルブを装着した圧力制御システムの構
成図である。
[図 2]図 1に示すスライドバルブの平面図である。
[図 3]図 2に示すスライドバルブ要部の縦断面図である。
[図 4]図 3に示すスライドプレートの平面図である。
[図 5]図 4のスライドプレートの縦断面図である。
[図 6]図 3に示すシリンダハウジングの平面図である
[図 7]図 6のシリンダハウジングの縦断面図である
[図 8]図 3に示すスライドバルブの回転軸の一部切欠き正面図である。
圆 9]スライドプレートの基端部を回転軸に取付ける状態を示す断面図である。
[図 10]図 9の取付け後の状態を示す断面図である。
[図 11]回転軸の他の例を示す要部正面図である。
[図 12]図 11の回転軸の平面図である。
[図 13]スライドプレートの他の例を示す要部底面図である。
圆 14]スライドプレートと回転軸との係合状態を示す平面図である。
[図 15]スライドプレートの固定に用いられるナットの平面図である。
[図 16]図 15のナットの縦断面図である。
[図 17]スライドプレートの固定に用いられるヮッシャの平面図である。
[図 18]図 17のヮッシャの使用時の正面図である。
[図 19]図 3に示すスライドプレートのモータ駆動の例を示す縦断面図である。
[図 20]図 3に示すスライドプレートのエアシリンダ駆動の例を示す縦断面図である。
[図 21]遅延切換バルブを用いた例を示す NCタイプシリンダ機構の回路図である。
[図 22]図 3において、スライドバルブの弁体開状態を示した A部拡大断面図である。
[図 23]図 3に示すスライドバルブの弁体閉状態を示した A部拡大断面図である。
[図 24]図 3に示すスライドバルブの弁体閉状態を示した A部拡大断面図である。 圆 25]スライドプレートの橈み説明図である。
圆 26]スライドプレートの橈み説明図である。
圆 27]カバー体を取り外してスライドプレートを着脱位置に回動した状態を示す平面 図である。
[図 28]他のスライドバルブにおけるスライドプレートの制御開度位置を示す要部縦断 面図である。
[図 29]図 28に示すスライドバルブにおけるスライドプレートの全閉位置を示す要部縦 断面図である。
[図 30]スライドバルブをチャンバ一に組み込んだ例を示す縦断面図である。
符号の説明
[0032] 1 スライドバルブ
2 流路
3 ボデー
4 スライドプレート
7 回転軸
13 弁体
14 ストッパ
15 弁座面
17, 18 隙間
19 制御リブ
20 ピストン
27 スプリング
30 弁体シリンダ
31 スイングシリンダ
36 モータ
発明を実施するための最良の形態
[0033] 本発明におけるスライドバルブの好ま 、実施の形態を図面に従って詳述する。
図 1は、本発明におけるスライドバルブを装着した一例を示す圧力制御の構成シス テム図であり、同図において、チャンバ CHにプロセスガスや N 2ガスを供給し、排気 側には、スライドバルブ 1と圧力センサ Sとバルブコントローラ Cとポンプ Pを設けてい る。
[0034] 図 2は、スライドバルブ 1の平面図であり、図 3は、スライドバルブ 1の要部を示す縦
断面図である。
図 2、 3において、前記スライドバルブ 1は、扁平形状のボデー 3を有し、このボデー 3は、ボデ一本体 3aとカバー体 3bより構成され、カバー体 3bは、ボルト等の締結手 段 12によりボデ一本体 3aに分離可能に設けられ、メンテナンス時に分離できるように なっている。
[0035] 前記ボデー 3は、流路 2を有し、ボデー 3内に、流路 2の流れを阻止する閉鎖位置と 、流れを許容する開放位置との間を流路軸に対して垂直で水平状態に移動するスラ イドプレート 4を設けている。本例におけるスライドプレート 4は、流路軸に垂直で水平 に移動する力 流路軸に対して直線上に移動するものであっても良い。なお、図中、 4A、 4Bは、スライドプレート 4の移動位置を示す。
[0036] このようなスライドプレート 4に、弁体 13を組み込み、円盤状のピストン 20の中心に 設けたピストン軸 20aにシリンダハウジング 21を Oリング 22, 22と Oリング 24, 25を介 して装着し、このピストン軸 20aの上部に、前記弁体 13をナット 23で固着している。
[0037] スライドプレート 4は、ボデー 3内では、回転軸 7の摺動以外では無摺動で開閉する ことができる構造である。スライドプレート 4の上下面に設けたストッパ 14, 14は、スラ イドプレート 4の橈み量を最少に制御することができ、スライドプレート 4は、弾性変形 の橈み量で作動し、ボデー 3との接触を防止できる。すなわち、スライドプレート 4の 円形の長さ方向に交叉する中心部位にストツバを有し、ボデー 3との接触を確実に防 止している。
[0038] このように、ストッノ 14, 14をスライドプレート 4に配置したので、弁座シール後に真 空と大気圧との差異が発生してもスライドプレート 4に曲げ加重が加わらないため、塑 性変形を確実に防止できる。特に、スライドバルブが 300Aや 250Aの場合は、スライ ドプレート 4の下面の半円部分と他の半円部分に、 0. 3〜0. 4mm程度の段差面を 設けて、スライドプレート 4の中心部位に上下面のストッパ 14, 14が位置するようにす ると、スライドプレート 4の塑性変形を防止でき、スライドプレート 4とボデー 3との微少 間隙を一定に保持することが可能となる。
[0039] そして、このスライドプレート 4は、弁体 13が閉じて大気圧力と真空の圧力差カ^ラ イドプレート 4に発生した場合、スライドプレート 4は弾性変形内で橈み、差圧荷重の
方向によりボデー 3とスライドプレート 4の上下面がストッノ 14, 14となり、スライドプレ ート 4は、弁推力と差圧荷重を受けても塑性変形しない構造である。この弁体 13には 、複数個の穴 13aを均等にあけ、この穴 13aで圧力バランスを図っている。図中、 14a は、ストッパ 14のストッパ面を示す。
[0040] シリンダハウジング 21の外側で、弁体 13の下面と図 4、 5に示すスライドプレート 4の 上面に設けた装着穴 27aに、例えば 5〜7個の複数個のスプリング 27を配置している 。エア排気時のスプリング 27の弹発力で弁体 13を閉止するようにしている。また、弁 体 13は、締切用移動ガイド部 29aに弁座シール用ガスケット 28とほぼ同径の Oリング 29を装着し、この Oリング 29の摺動構造を採用することにより、正圧逆圧の着圧が発 生しても締め切り推力の反力として発生する加重は小さぐ弁座面 15を押圧シール するだけの最少加重のスプリング 27で弁座面 15を確実にシールすることができるよう に構成されている。
[0041] 図 4、 5において、円盤状のスライドプレート 4を支えるアーム部 5に切欠き部 5aを形 成することにより、弾性を持たせて弾性変形内で橈むように設けられており、このァー ム部 5の基端部 6に U字状の係合溝 6aを形成し、この係合溝 6aの下部に四角形状の 嵌合部 6bを連設し、この嵌合部 6bの奥部面にエア供給排気ポート 6cと排気ポート 6 dを設けている。このポート 6c, 6dは、スライドプレート 4に埋設され、先端部分を上面 にそれぞれ開口させている。
[0042] シリンダハウジング 21は、図 6、 7に示すように、スライドプレート 4のエア供給排気ポ ート 6cと連通する連通ポート 21aと排気ポート 6dと連通する排気孔 21bをそれぞれ形 成し、排気ポート 6dは、 Oリング 22, 22の中間位置に形成して、この排気孔 21bから 排気ポート 6dを通って、排気路 9より大気に開放することにより操作圧力の差圧が加 わらないため、ピストン作動時のシール部位力もの外部リークを最少にできる。上記 の連通ポート 21aの先端は、ピストン 20とシリンダハウジング 21で構成されるシリンダ 26内に連通している。
[0043] 回転軸 7は、図 8〜10に示すように、上端に前記係合溝 6aに係合する円形部 7aと 嵌合部 6bに嵌合する四角部 7bを形成し、円形部 7aと四角部 7bとの連接位置の肩 部位にテーパ部 7cを形成し、回転軸 7には、エア供給排気ポート 6cと排気ポート 6d
に連通する連通孔 8と排気路 9が形成され、エア供給排気ポート 6cと排気ポート 6dの 開口部位には Oリング 10が装着されている。この連通孔 8には、シーケンス制御され た後述するエアシリンダ駆動機構が設けられて 、る。
[0044] スライドプレート 4に設けたアーム部 5の基端部と回転軸 7を接続する際に、この回 転軸 7の接続部位に設けたエア供給排気ポート 6cと排気ポート 6dとの両者を同時に シール着脱できるように構成されている。装着した後に、ナット 11で回転軸 7にスライ ドプレート 4を固着し、取り外す際にもナット 11の取り外しにより回転軸 7よりスライドプ レート 4を外すことができる。
[0045] スライドプレート 4の U溝状の係合溝 6aを回転軸 7の四角部 7bに、図 9に示すように 約 2〜3mm上げて横方向力 挿入し、 Oリング 10, 10の当たり位置で少し斜めに上 げた状態で四角部 7bとテーパー部 7cに挿入する。そして、スライドプレート 4を水平 にすると、自重で Oリング 10, 10が圧縮されて取付位置も決定され、その結果、図 10 に示すように、スライドプレート 4の基端部が回転軸 7に嵌合された状態でナット 11で 締めて固定される。
[0046] 図 11は、回転軸の他の例を示す要部正面図であり、図 12は、回転軸の平面図を 示す。図 11、 12において、回転軸 41は、上端に円形部 43を形成すると共に、この 円形部 43の下部に隣接する四角部 42を形成し、回転軸 41には、エア供給排気ポ ート 6cと排気ポート 6dに連通する連通孔 8と排気路 9が形成されて 、る。円形部 43 には、ねじ部 43aが形成され、このねじ部 43aの途中には、小径のリング状凹部 43b が形成されている。また、四角部 42は、両側にテーパー面 42aを有する台形状に形 成されている。
[0047] 図 13は、スライドプレートの他の例を示す要部底面図である。同図において、円盤 状のスライドプレート 50のアーム部 53に U字状の係合溝 52を形成し、この係合溝 52 の下部に、両側にテーパー面 5 laを有し、回転軸 41の四角部 42と略整合する台形 状の嵌合部 51を連設している。
[0048] アーム部 53の嵌合部 51は、図 14に示すように、回転軸 41の四角部 42に横方向 から挿入される。この場合、嵌合部 51のテーパー面 51aが四角部 42のテーパー面 4 2aに案内されて、アーム部 53は回転軸 41に位置決めされ、スムーズかつ容易に揷
入され、アーム部 53の係合溝 52は回転軸 41の円形部 43にがたつきなく確実に嵌 合される。
[0049] このようなアーム部 53と回転軸 41とは、図 15、 16に示すナット 60によって締結固 定される。このナット 60は、その周方向に複数の貫通孔 61を有し、側面には溝 60aが 形成されている。図 17、 18は、ナット 60の締結時に用いられるヮッシャ 70である。こ のヮッシャ 70の外端部には、複数の係合片 71が所定角度間隔をおいて突設され、 使用時は、図 21に示すように、係合片 71の先端を上方に屈曲することで、ナット 60 の溝 60aに係合させ、ナット 60からの脱落を防止している。また、ナット 60が緩んでも 、ねじ部途中のリング状凹部 43bで空回りするので、回転軸 41からのナット 60の脱落 を防止することができる。
[0050] スライドプレート 4の駆動源は、図 19に示すように、モータ駆動による駆動例と、図 2 0、 21に示すように、エアシリンダ駆動による駆動例がある。
すなわち、図 19において、モータ駆動による駆動例によると、ステッピングモータ 36 の駆動力をベルト 37を介して後述する回転軸を回転駆動させてスライドプレート 4を 回転させる。この場合、ステッピングモータ 36は、図示しないコントローラにより制御さ れて弁体 13の開閉を制御しながら作動させ、制御用のスライドバルブ 1に用いる。
[0051] モータ駆動による制御用のスライドバルブの場合、ボデー 3の制御面に制御リブ 19 を着脱可能に取り付けている。この制御リブ 19は、スライドプレート 4が全閉位置の近 傍において流路 2の弁口が三日月形になった際に、微少圧力の制御を行うために、 スライドプレート 4の両面制御により微少圧力の制御性が良ぐし力も、所望な制御リ ブ 19を取り付けることにより制御特性を適宜に変えることができる。場合、スライドプレ ートの両面制御により微小圧力の制御性が良ぐし力も、所望な制御リブを取り付ける ことにより制御特性を変えることができる。
[0052] また、エアシリンダ駆動による駆動例は、図 20、 21に示すように、弁体シリンダ 30と スライドプレート 4用のスイングシリンダ 31の 2個のシリンダとエア作動用の遅延切換 バルブ 32を組み合わせて構成されている。この場合、弁体シリンダ 30の作動圧力範 囲より-一ドル 32aを有する遅延切換バルブ 32の作動圧力範囲を小さく設定してい る。
[0053] 弁体シリンダ 30のエア供給口 33にオリフィス 34を装着してエアを排気してもスイン グシリンダ 31と遅延切換バルブ 32の圧力がほぼ同圧に保たれるように設けられてい る。弁体シリンダ 30とエア供給ポートには、逆止弁 35が装着され、エア供給と同時に 弁体シリンダ 30にエアが供給され、切換バルブ 32が作動すると、弁体シリンダ 30の エアが排気される。
[0054] 弁体シリンダ 30の作動圧力を 0. 4〜0. 6Mpa、スイングシリンダ 31の作動圧力を 0 . 25〜0. 30Mpa、遅延切換バルブ 32のシリンダの作動圧力を 0. 15〜0. 18Mpa と圧力により作動を切り換えられる構造にしたことで、シリンダ 30, 31の切換は、確実 に行える。例えば、弁開状態から操作圧力を排気した場合、スイングシリンダ 31のェ ァが排気され、 0. 2Mpaまで排気されると、弁閉位置までスイング動作する力 遅延 切換バルブ 32の操作圧力は、エア供給口 33のオリフィス 34で絞められているため、 同じ圧力が供給された状態であり、スイング動作中は遅延切換バルブ 32が作動する おそれはない。
[0055] さらに、 0. 2Mpa以下に排気されると、遅延切換バルブ 32が作動し、弁体シリンダ 30のエアが排気されて弁体 13が閉止される。弁体シリンダ 30は、長期間開状態でも 閉じないように常時エアを供給するが、遅延切換バルブ 32が作動するまでは、操作 圧力を保持する必要があるため、逆止弁 35を設けている。
[0056] スライドプレート 4に組み込んだ弁体 13をエアシリンダ機構で作動させる例以外に 次のような手段を採用しても良い。例えば、スライドプレート 4に流路 2を直角方向に 駆動するェアーシリンダ(図示しない)を内蔵し、このシリンダのエアー圧力またはス プリングの推力でカム(図示しない)を作動させて弁体 13を流路方向に開閉する構造 でも良ぐ或は、スライドプレート 4に組み込んだ弁体 13を、例えば、モータ等の電気 的駆動手段によって流路方向に開閉することも可能である。
[0057] 図 22〜図 26は、スライドプレート 4の撓みとストッパ 14, 14の説明図で、スライドプ レート 4内には、エアシリンダ駆動機構で流路軸方向に開閉する弁体 13を組み込み 、この弁体 13をスライドプレート 4の外周上端より突設させたストッパ 14のストッパ面 1 4aより lmm程度下方に格納し、ボデー 3の弁座面 15と内周面 16とスライドプレート 4 の上下面に、例えば、 0. 3〜0. 5mmの微小の隙間 17, 18を設けている。この場合
、ストッパ面 14aのみならず、スライドプレート 4の下面も同様に、ボデー 3の内周面と の間を 0. 3〜0. 5mmの隙間にして、スライドプレート 4の下面をストッパ面 14bとして いる。なお、図 22〜図 24は、図 3の A部拡大図である。
[0058] 図 22は、弁体 13が開状態を示したものであり、上下面の 2箇所のストッパ 14, 14で 制御することによりミニマム流量の制御性を向上させることができる。図 23は、弁体 1 3が閉状態であり、上部側が大気圧力で、下部側が真空状態であって、下面のストッ ノ 14がストッパ機能を発揮し、ガスケット 28で弁座シールされている。図 24は、弁体 13が閉状態であり、下部側が大気圧力で、上部側が真空状態であって、上面のスト ッパ 14がストッパ機能を発揮している。この場合、スライドプレート 4の上下面の微少 な隙間で制御するようにしているが、これに限ることなぐスライドプレート 4の下面が 制御面で、上面側は単にストッパとしての機能のみを発揮するようにしても良い。
[0059] また、スライドプレート 4のアーム部 5はスライドプレートユニットの自重による橈みを 0. 1mm以下程度に抑え、スライドプレート 4のアーム部 5が弁推力と差圧荷重を受 けて橈みが発生しても塑性変形をしな 、弾性を持たせたことで、ボデー 3とスライドプ レート 4の隙間 17, 18を最小に設定することができる。し力も、スライドプレート 4の剛 性を高めたことで圧力制御中のスライドプレート 4に発生する最高使用圧力差を大き くすることができる。例えば、 320Aの弁体面積は、 830cm2あり、 lOTorrの差圧で 1 lkgfのスライドプレート重量程度の荷重が加わることになる。すると、自重による橈み の倍の橈みとなるため、ボデー 3と接触しやすくなる力 スライドプレート 4の剛性を高 くすることで最高使用差圧を高くすることが可能となる。
[0060] 次に上記実施形態の作用を説明する。
弁体シリンダ 30にエアを例えば 0. 4MPa供給すると、図 3において、ピストン 20の シリンダ 26内に流入してピストン 20を押圧すると共に、ピストン 20に連結している弁 体 13を同図において下方に引き込んで弁体 13が開く。この場合、遅延切換バルブ 3 2は-一ドル 32aでエア供給されるので、例えば 2秒間は動作しない。そして、 2秒後 に遅延切換バルブ 32が作動し、スイングシリンダ 31にエアが供給されると、スライド プレート 4が旋回し、 0. 3〜0. 4MPaで図 2に示すように、スライドプレート 4'の位置 で全開位置になる。
[0061] 次いで、エアが排気されると、スライドプレートが旋回し、 0. 2MPaで図 3に示すよう に全閉位置になる。更に、エアを排気すると、遅延切換バルブ 32が 0. 2MPa〜0. 1 MPaで作動し、一方、弁体シリンダ 30のエアが排気されると、スプリング 27の弹発カ で弁体 13が図 3にお 、て上方である閉止方向に作動し、弁体 13に装着したガスケッ ト 28が弁座面 15に押圧接触して弁体 13は閉止状態を保持する。図 19において、モ ータ駆動による制御用のスライドバルブの場合は、スライドプレート 4をモータ 36の駆 動によって旋回して、制御するものであって、弁体シリンダ 30については前述の例と 同様である。
[0062] 図 22において、弁体 13が開いている状態のスライドプレート 4は、スライドプレート 4 を支えるアーム部 5の弾性によりボデー 3の中央位置にボデー 3とスライドプレート 4の 上下面の隙間 17, 18がほぼ同程度に設定されている。したがって、弁体 13が閉じて 、図 23または図 24に示すように、大気圧力と真空の圧力差力スライドプレート 4に発 生した場合、スライドプレート 4は弾性変形内で橈み、図 25および図 26に示すように 、着圧荷重の方向によりボデー 3とスライドプレート 4の上下面がストッパ Xまたはストツ パ Yとなり、弁推力と着圧荷重を受けても塑性変形しない構造になっている。
[0063] また、図 2に示すボデー 3の連結手段 12を取り外してボデ一本体 3aからカバー体 3 bを外し、次いで、図 27に示す位置までスライドプレート 4を回転させる。この状態で、 回転軸 7のナット 11を外すと、弁体 13等を組み込んだスライドプレート 4を簡単に取り 外すことが可能となるため、洗浄やメンテナンスに極めて作業が良い。この場合、ナツ ト 11を外すのみでスライドプレート 4を取り外し可能であり、その後、ナット 23等を外す ことによってスライドプレート 4に組み込んだ弁体 13等の部品構成を分離させてメン テナンスを確実に行うことができる。一方、スライドプレート 4を取り付けるには、回転 軸 7にスライドプレート 4の基端部をナット 11で容易に装着できる。
[0064] なお、ボデー 3、弁体 13、スライドプレート 4などのように接ガス例の材料は、耐薬品 性を有するステンレスやアルミ材等が好まし 、。
[0065] 以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載 に限定されるものではなぐ本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神 を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
例えば、図 28、 29に示すスライドバルブ 80のように、弁体 81をスライドプレート 82 内の下流側に組み込むようにすれば、弁体 81に装着されたガスケット等のシール材 83は流体流の影響を受けに《なり、シール材 83の浸食が抑制される。さらには、プ ラズマや副生成物の影響も少なくなり、浸食が低減される。なお、図 28は、スライドプ レート 82の制御開度位置を示し、図 29は、スライドプレート 82の全閉位置を示す。 また、図 30に示すように、スライドバルブ 80を半導体製造装置のチャンバ一 90の 開口部 91に直接取り付けてもよい。これにより、配管が節約され、コンパクトな製造装 置が低コストで得られる。その際、弁体 81をスライドプレート 82の下流側に組み込め ば、弁体 81の浸食が抑制される。
産業上の利用可能性
本発明に係るスライドバルブは、半導体製造装置や液晶製造装置等の真空排気系 システムに適用することができる。