酸性ジルコ二ァゾル及びその製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、酸性で安定的なジルコユアゾル及びその製造方法に関する。
背景技術
[0002] 従来ジルコ二ァゾルを得る方法としては、ジルコニウム塩水溶液を加熱加水分解す る方法、ジルコニウム塩水溶液に過酸化水素水を加え加熱する方法、水酸化ジルコ -ゥムを塩基性領域で加熱する方法等がある。
炭酸ジルコニウムアンモ-ゥム及びキレートイ匕剤(例えば、ォキシフエノール類、アミ ノアルコール類、ォキシ酸類、ポリカルボン酸類、ォキシアルデヒド類、アミノ酸類及 び βージケトン類)との反応生成物を加水分解する方法が開示されて ヽる (特許文献 1参照)。
水酸ィヒジルコニウムを含有する水性懸濁液を 80°C以上の温度で、生成するジルコ ユアの結晶化度が 80%以上となるまで加熱状態で保持して結晶化ジルコユア含有 水性懸濁液を得て、前記水性懸濁液を窒素含有塩基性ィ匕合物(1級ァミン、 2級アミ ン、水酸化 4級アンモ-ゥム)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物を添 加する塩基性ジルコ二ァゾルの製造方法が開示されている (特許文献 2参照)。 ジルコニウム塩水溶液に塩基を加えて沈殿させ、アルカリ土類金属の水酸化物又 はその水溶液をカ卩え、得られる懸濁液を 90な ヽし 200°Cの温度に加熱熟成するジル コ-ァゾルの製造方法が開示されて ヽる (特許文献 3参照)。
陰イオン対金属のモル比で 0. 5: 1な!、し 4: 1の割合を有するジルコニウム塩の水 溶液を、 120ないし 300°Cに加熱した後、室温まで冷却し、 pHを 2ないし 6に調製す るジルコユアゾルの製造方法が開示されている(特許文献 4参照)。
濃度 0. 05ないし 2. 0モル Zリットルのジルコニウム塩水溶液に、溶液中のジルコ二 ゥムの量のモル比で約 1Z2以上の量の過酸化水素をカ卩え、 80ないし 300°Cにカロ熱 し、更にアンモニア等の塩基をカ卩える力、又はイオン交換榭脂等で処理するジルコ- ァゾルの製造方法が開示されて 、る (特許文献 5参照)。
ジルコニウム塩の水溶液を 80な ヽし 250°Cに加熱し加水分解して生成する結晶質 ジルコユア微粒子のうち、 2次凝集粒子径が平均約 1000 A以上の部分を沈殿法等 で分離したジルコユアゾルを製造し、これを単独で、又は他の金属の化合物と混合し 1000°C以下の温度で熱処理するジルコ二ァ系微粉末の製造方法が開示されている (特許文献 6参照)。
特許文献 1:特開平 3— 174325号公報
特許文献 2:特開昭 64— 83519号公報
特許文献 3 :特開昭 60— 176920号公報
特許文献 4:米国特許第 2984628号明細書
特許文献 5:特開昭 58 - 79818号公報
特許文献 6:特開昭 58— 217430号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] 種々のジルコユアゾルの製造方法が提案されている力 多くはジルコニウム塩を酸 性領域で加水分解し加熱する製造方法が提案されており、前記製造方法では生成 する微少粒子によって反応系が不安定になりゲルィ匕を起こしやすい。
また、炭酸アンモ-ゥムゃ水酸ィ匕アルカリを用いてアルカリ側でジルコニウム塩をカロ 水分解する方法では粒子が生成するものの、時間経過と共に多量の沈降物が発生 し、スラリー状になり、完全に安定なゾルを得ることは出来ない。
本発明の目的は、ジルコニァゾル、好ましくはアルカリ性のジルコ二ァゾルを原料に 用い、ジルコニウム塩を添加した液状媒体を水熱処理することにより、粒子性と結合 性を併せ持つ酸性ジルコユアゾル及びその製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0004] 本発明は第 1観点として、 20nm未満の粒子径を有するジルコユア粒子が全ジルコ ユア粒子中に 10な!、し 50質量%の割合で含有する酸性ジルコユアゾル、
第 2観点として、アルカリ性ジルコユアゾル (A)及びジルコニウム塩(B)を、アルカリ 性ジルコ-ァゾル (A)の ZrOに換算した固形分 (As)及びジルコニウム塩(B)の Zr
2
Oに換算した固形分 (Bs)の質量比 BsZAsが 0. 2ないし 5. 0の割合となる範囲で
混合する第一工程、及び得られた混合液を 80な ヽし 250°Cで反応させることにより、 酸性ジルコユアゾルを製造する第二工程を含む第 1観点に記載の酸性ジルコ -ァゾ ルの製造方法、
第 3観点として、前記第一工程のジルコニウム塩 (B)として、ジルコニウム塩水溶液 又は pH調整したジルコニウム塩水溶液を使用する第 2観点に記載の製造方法、 第 4観点として、前記第一工程のジルコニウム塩 (B)として、ォキシ塩ィ匕ジルコユウ ム、ォキシ硝酸ジルコニウム、ォキシ硫酸ジルコニウム、ォキシ酢酸ジルコニウム、又 はこれらの混合物の水溶液を使用する第 2観点に記載の製造方法、
第 5観点として、前記第一工程のジルコニウム塩 (B)として、炭酸ジルコニウムアン モニゥム水溶液と酸とを含有する水溶液を使用するか、又は炭酸ジルコニウムアンモ
-ゥム水溶液を使用した後にその混合系に酸を加えて使用する第 2観点に記載の製 造方法、
第 6観点として、前記第一工程のジルコニウム塩 (B)として、ォキシジルコニウム塩 の水溶液にアルカリを添加して得られる水溶液を使用する第 2観点に記載の製造方 法、
第 7観点として、前記第一工程のジルコニウム塩 (B)として、ォキシジルコニウム塩 の水溶液を陰イオン交換して得られる水溶液を使用する第 2観点に記載の製造方法 第 8観点として、前記第一工程のジルコニウム塩 (B)として、ォキシジルコニウム塩 の水溶液に水酸ィ匕ジルコニウム又はォキシ炭酸ジルコニウムを添カ卩して得られる水 溶液を使用する第 2観点に記載の製造方法、
第 9観点として、前記第一工程に用いるアルカリ性ジルコユアゾル (A)力 8ないし 12の pHを有するものである第 2観点ないし第 8観点のうちいずれか一つに記載の製 造方法、
第 10観点として、前記第一工程での混合が、ジルコニウム塩 (B)の水溶液中にァ ルカリ性ジルコ-ァゾル (A)を添加する方法で行われる第 2観点な 、し第 8観点のう ちいずれか一つに記載の製造方法、
第 11観点として、前記第一工程での混合が、ジルコニウム塩 (B)の水溶液中にァ
ルカリ性ジルコ-ァゾル (A)を添加する方法で行われる第 9観点に記載の製造方法 第 12観点として、前記第二工程で得られる酸性ジルコ -ァゾルカ 0. 1ないし 5. 0 の pHを有するものである第 2観点な 、し第 8観点、第 11観点の 、ずれか 1項に記載 の製造方法、
第 13観点として、前記第二工程で得られる酸性ジルコ -ァゾルカ 0. 1ないし 5. 0 の pHを有するものである第 9観点に記載の製造方法、
第 14観点として、前記第二工程で得られる酸性ジルコ -ァゾルカ 0. 1ないし 5. 0 の pHを有するものである第 10観点に記載の製造方法、
第 15観点として、前記第二工程で得られた酸性ジルコユアゾル溶液の脱塩及び濃 縮を行う第三工程をさらに含む第 2観点ないし第 8観点、第 11観点、第 13観点、第 1 4観点の 、ずれか 1項に記載の製造方法、
第 16観点として、前記第二工程で得られた酸性ジルコユアゾル溶液の脱塩及び濃 縮を行う第三工程をさらに含む第 9観点に記載の製造方法、
第 17観点として、前記第二工程で得られた酸性ジルコユアゾル溶液の脱塩及び濃 縮を行う第三工程をさらに含む第 10観点に記載の製造方法、及び
第 18観点として、前記第二工程で得られた酸性ジルコユアゾル溶液の脱塩及び濃 縮を行う第三工程をさらに含む第 12観点に記載の製造方法である。
発明の効果
本発明は、アルカリ性ジルコユアゾル及びジルコニウム塩を混合しそれらの液状媒 体を水熱処理する方法により得られる酸性ジルコユアゾルである。
アルカリ性ジルコユアゾル (A)及びジルコニウム塩(B)を、アルカリ性ジルコ -ァゾ ル (A)の ZrOに換算した固形分 (As)及びジルコニウム塩(B)の ZrOに換算した固
2 2 形分 (Bs)の質量比 BsZAsが 0. 2ないし 5. 0の割合となる範囲で混合する第一ェ 程、及び得られた混合液を 80な ヽし 250°Cで反応させる第二工程を含む製法によつ て得られる、 20nm未満の粒子径を有するジルコ-ァ粒子が全ジルコ-ァ粒子中に 1 0ないし 50質量%の割合で含有する酸性ジルコユアゾルである。即ち、 20nm未満 の粒子径を有するジルコ-ァ粒子(b)が全ジルコ-ァ粒子中に 10な!、し 50質量%
含有し、残部(90ないし 50質量%)は 20ないし 300nmの粒子径範囲を有するジル コ-ァ粒子(a)である。
第一工程で原料に用いるアルカリ性ジルコユアゾル (A)は、酸性ジルコユアゾル中 で 20ないし 300nmの粒子径範囲を有するジルコニァ粒子(a)に変化する。ジルコ二 ゥム塩(B)は酸性ジルコユアゾル中で一部は 20nm未満の粒子径を有するジルコ- ァ粒子 (b)となり、残りは原料のアルカリ性ジルコユアゾル (A)の粒子の周囲に被覆 され、ジルコユア粒子(a)に変化する。従って、得られる酸性ジルコユアゾル中のジル コ-ァ粒子は、 20nm未満の粒子径を有するジルコ-ァ粒子(b)が全ジルコ -ァ粒 子中に 10ないし 50質量%の割合で含有し、残部(90ないし 50質量%)は 20ないし 300nmの粒子径範囲を有するジルコニァ粒子(a)である。
前記酸性ジルコユアゾルは粒子性と結合性を有し、前記酸性ジルコユアゾルの硬 化物は大粒子と小粒子が緻密にパッキングされているために、被着物との密着性が 高く表面硬度も高い。
以上のように、本発明による酸性ジルコユアゾルは、粒子径分布が広く安定である という性質を有するので、各種耐火物の成型加工用バインダー、各種触媒用バイン ダー、含浸処理、コーティング用塗剤等、或いは セラミックス繊維等の無機繊維の 成形加工、精密铸造用铸型の造形、繊維の表面処理、燃料電池等の分野に利用す ることがでさる。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、 20nm未満の粒子径を有するジルコ-ァ粒子が全ジルコ-ァ粒子中に 10ないし 50質量%の割合で含有する酸性ジルコユアゾルである。
本発明の酸性ジルコユアゾルの製造方法では、アルカリ性ジルコユアゾル (A)及び ジルコニウム塩(B)をアルカリ性ジルコ-ァゾル (A)の ZrOに換算した固形分 (As)
2
及びジルコニウム塩(B)の ZrOに換算した固形分(Bs)の質量比 BsZAsが 0. 2な
2
いし 5. 0の割合となる範囲で混合する第一工程、及び得られた混合液を 80ないし 2 50°Cで反応させる第二工程を含む酸性ジルコユアゾルの製造方法である。
第一工程ではアルカリ性ジルコユアゾル (A)の ZrOに換算した固形分 (As)とジル
2
コニゥム塩(B)の ZrOに換算した固形分(Bs)の質量比 BsZAsが 0. 2ないし 5. 0、
好ましくは 0. 5ないし 3. 0、より好ましくは 0. 5ないし 2. 5の割合となる範囲で混合す ることが好ましい。
上記 BsZAsの値が 0. 5ないし 3. 0、より好ましくは 0. 5ないし 2. 5の範囲に設定 することで、より保存安定性の向上した酸性ジルコユアゾルを得ることができる。
本発明の原料として用いられるアルカリ性ジルコユアゾル (A)は、好ましくは pH8な いし 12のアルカリ性ジルコユアゾルを用いる事が出来る。前記アルカリ性ジルコユア ゾルは公知のジルコユアゾルを用いることが出来る力 以下に記載のアルカリ性ジル コ-ァゾルを好ましく用いることができる。
原料のアルカリ性ジルコユアゾル (A)は、例えば第 4級アンモ-ゥムの炭酸塩を含 む水性媒体中でジルコニウム塩を 60な!、し 110°Cで加熱する工程及び、 110な!、し 250°Cで水熱処理を行う工程を含む方法で得られる。
第 4級アンモ-ゥムの炭酸塩は、(NR ) CO、 NR HCOがあげられ、それらを単
4 2 3 4 3
独で用いる事も、混合物として用いる事も可能である。これら第 4級アンモ-ゥム炭酸 塩中の第 4級アンモ-ゥムイオンは炭素数 1ないし 18の炭化水素基を有するものが あげられ、それらの炭化水素基は飽和又は不飽和の鎖式炭化水素基、脂環式又は 芳香族の環式炭化水素基が例示される。例えば、飽和又は不飽和の鎖式炭化水素 基としてはメチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、ォクチル基、デシル基 、ォクタデシル基、ェチニル基、プロべ-ル基等があげられる。また、環式炭化水素 基としてはフ -ル基、トリル基、スチリル基、ベンジル基、ナフチル基、アントリル基 等があげられる。中でも、これら第 4級アンモ-ゥムイオンは炭素数 1ないし 4の炭化 水素基が好ましぐ例えばメチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基があげら れ、 4つのメチル基で構成される炭酸水素テトラメチルアンモ-ゥムが好ま 、。 上記の炭酸塩が第 4級アンモ-ゥムイオン以外のアンモ-ゥムイオンを含有する炭 酸塩を用いた場合は、やはり安定なジルコユアゾル (A)が得られない。例えば、(CH ) HN等の第 3級アンモ-ゥムイオン、(CH ) H N等の第 2級アンモ-ゥムイオン、(
3 3 3 2 2
CH ) H N等の第 1級アンモ-ゥムイオン、 NHとなるアンモ-ゥムイオンを用いた場
3 3 4
合は十分に安定なジルコ二ァゾル (A)が得られな!/、。
原料のアルカリ性ジルコユアゾル (A)の製造にお!、て、第 4級アンモ-ゥムの炭酸
塩は、 30ないし 60質量%の割合を有する水溶液の形態で入手可能であり、特に第 4 級アンモ-ゥムの炭酸塩を水酸ィ匕第 4級アンモ-ゥムに換算した割合で 44. 5質量 %含有する水溶液は市販品として容易に入手可能である。第 4級アンモニゥムの炭 酸塩の濃度は、水酸ィ匕第 4級アンモ-ゥムに換算して測定する方法によって得られる 原料のアルカリ性ジルコユアゾル (A)の製造に用いられるジルコニウム塩は、ォキ シ塩化ジルコニウム、ォキシ炭酸ジルコニウム等のォキシジルコニウム塩が用いられ る。特にォキシ炭酸ジルコニウムが好ましい。
第 4級アンモ-ゥムの炭酸塩を水性媒体に添加し、アルカリ性の水性媒体とする。 このとき、第 4級アンモ-ゥムの炭酸塩ではなぐ水酸ィ匕第 4級アンモ-ゥムを使用し た場合は、十分に安定なジルコユアゾルは得られず、スラリー状の二層分離した状態 になる。また、アルカリ性の水性媒体とするために、その他のアルカリ源、例えば水酸 化ナトリウム等を用いた場合は、やはり安定なジルコニウム塩の加水分解物が得られ ず、それらの加水分解物を水熱処理しても安定なジルコ二ァゾル (A)は得られない。 しかし、第 4級アンモ-ゥムの炭酸塩並びにその他のアルカリ源、例えば水酸ィ匕ナトリ ゥム、水酸ィ匕カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の水溶性無機塩、 n—プロピル ァミン、モノエタノールァミン、トリエタノールァミン等のァミン、水酸化モノメチルトリエ チルアンモ -ゥム及び水酸ィ匕テトラメチルアンモ -ゥム等の水溶性有機塩基等、並 びに第 4級アンモ-ゥムの炭酸塩以外の炭酸塩、例えば炭酸アンモ-ゥム等を併用 して使用することは可能である。アルカリ性物質を混合物で使用する場合は、第 4級 アンモ-ゥムの炭酸塩とその他のアルカリ性物質の質量割合は、(第 4級アンモ-ゥ ムの炭酸塩): (その他のアルカリ性物質) = 1 : 0. 01ないし 1が好ましい。
原料のアルカリ性ジルコユアゾル (A)を製造する第 (i)工程は第 4級アンモ-ゥムの 炭酸塩を含む水性媒体中でジルコニウム塩を 60な 、し 110°Cで加熱する工程であ る。
原料のアルカリ性ジルコユアゾル (A)を製造する第 (i)工程に用いられる水性媒体 の pHは 9ないし 12であり、前記水性媒体中では第 4級アンモ-ゥムの炭酸塩の含量 は、 10ないし 35質量%である。また、ジルコニウム塩はこの水性媒体中で ZrOとして
5ないし 20質量%である。第 (i)工程では加熱温度が 60°C以下では十分な加水分 解が進行せずに、これらを水熱処理しても安定なジルコユアゾル (A)は得られない。 また、第 (i)工程が 110°C以上では、加水分解の熟成時間がなくなり、直接に水熱処 理することとなり好ましくない。この第 (i)工程の時間は、通常は 1ないし 20時間行わ れる。
原料のアルカリ性ジルコユアゾル (A)を製造する第 (ii)工程は、第 (i)工程後に 11 0な 、し 250°Cで水熱処理を行う工程である。 110°C以下では十分な水熱処理となら ず、また 250°C以上では装置的に大が力りなものとなる。この水熱処理はオートタレ ーブ装置を用いて行われる。第 (ii)工程の時間は、通常は 1ないし 20時間行われる 。この水熱処理を経て、ジルコニウム塩の加水分解物がジルコユア粒子となる。第(ii )工程を経て得られるジルコユア粒子は、透過型電子顕微鏡観察により 20ないし 30 Onmの範囲のものである。
第 (ii)工程を経た液体は pH8ないし 12のアルカリ性である。このままでも十分にジ ルコ-ァゾル (A)として使用できるが、限外ろ過装置等を用いて純水による洗浄を行 う第 (iii)工程を付与することにより不要な塩類を除去することができ、高純度のアル カリ性ジルコユアゾル (A)を得ることが出来る。
前記第 (iii)工程を経たアルカリ性のジルコユアゾル (A)は、 pH8ないし 12、比表面 50m2/gな!ヽし 300m2/g、 30な!ヽし 60 ¾0/0、 2000な!ヽし 10000 μ SZcm、粘度 1ないし 30mPa'sの物性値を有するものである。また、粒子径分布 は 20な!、し 300nmの範囲である。
前記アルカリ性のジルコユアゾル (A)は 50°Cの条件下で 1ヶ月以上の期間、安定 的に存在する。
前記第 (iii)工程を経た原料となるアルカリ性のジルコユアゾル (A)は、所望により 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の水溶性無機塩、 n —プロピルァミン、モノエタノールァミン、トリエタノールァミン等のァミン、水酸化モノメ チルトリェチルアンモ-ゥム、水酸ィ匕テトラメチルアンモ -ゥム等の水溶性有機塩基 等の添加剤を含有することができる。
前記アルカリ性ジルコユアゾル (A)は、 pH8ないし 12、濃度 1ないし 20質量%の範
囲で本発明の第一工程に使用することができる。
本発明のジルコ-ァゾル製造の第一工程ではジルコニウム塩(B)は、ジルコニウム 塩水溶液又は pH調整したジルコニウム塩水溶液として使用するものである。
第一工程のジルコニウム塩(B)は、ォキシ塩化ジルコニウム、ォキシ硝酸ジルコユウ ム、ォキシ硫酸ジルコニウム、ォキシ酢酸ジルコニウム、又はこれらの混合物の水溶 液としてアルカリ性ジルコユアゾル (A)との混合に使用する場合 (B- 1)では、例え ばォキシ塩化ジルコニウム〔ZrOCl〕、ォキシ硝酸ジルコニウム〔ZrO (NO )〕、ォキ
2 3 2 シ硫酸ジルコニウム〔ZrOSO〕、ォキシ酢酸ジルコニウム〔ZrO (CH COO)〕等のォ
4 3 2 キシジルコニウム塩の酸性水溶液が用いられる。 (B- 1)の場合では、ォキシジルコ -ゥム塩水溶液の pHは 0. 1ないし 3. 0で、濃度は 1ないし 20質量%で用いられる。 第一工程のジルコニウム塩 (B)は、炭酸ジルコニウムアンモ-ゥム水溶液と酸とを 含有する水溶液としてアルカリ性ジルコユアゾル (A)との混合に使用するカゝ、又は炭 酸ジルコニウムアンモ-ゥム水溶液としてアルカリ性ジルコ-ァゾル (A)との混合に 使用した後にその混合系に酸を加える(B— 2)がある。 (B— 2)の場合では、炭酸ジ ルコユウムアンモ-ゥム〔(?《1 ) ZrO (CO )〕に酸を添カ卩して得られるォキシジルコ
4 2 3 2
-ゥム塩の酸性水溶液としてアルカリ性ジルコユアゾル (A)との混合に使用する場合 と、炭酸ジルコニウムアンモ-ゥム〔(^^1 ) ZrO (CO )〕をアルカリ性ジルコユアゾル
4 2 3 2
(A)との混合に使用した後に、更に酸をその混合系に添加する方法があげられる。こ こで用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、蟻酸、酢酸等の有機酸、 等が上げられる力 特に塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸を用いるのが好ましい。 (B- 2 )の場合では、炭酸ジルコニウムアンモ-ゥム水溶液の濃度は 1ないし 15質量%で用 V、られる。炭酸ジルコニウムアンモ-ゥムに酸を添カ卩して得られるォキシジルコニウム 塩の酸性水溶液の pHは 0. 1ないし 4. 0である。また炭酸ジルコニウムアンモ-ゥム〔 (NH ) ZrO (CO )〕を混合に使用した後に、更に酸をその混合系に添加する場合
4 2 3 2
では、その混合系の pHが 0. 1ないし 4. 0の範囲に入るまで酸の添カ卩が行われる。 第一工程のジルコニウム塩(B)は、ォキシジルコニウム塩の水溶液にアルカリを添 カロして得られる水溶液としてアルカリ性ジルコユアゾル (A)との混合に使用する場合 (B- 3)では、ォキシジルコニウム塩の水溶液にアルカリ成分を添カ卩して得られたォ
キシジルコニウム塩の酸性水溶液が用いられる。ここで用いるォキシジルコニウム塩 は(B— 1)に記載の 1種を選択することも、 2種以上を混合して使用することも可能で ある。またアルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウム、水酸化リチウム、 アンモニア等の水溶性無機塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、水酸化モ ノメチルトリェチルアンモ-ゥム、水酸ィ匕テトラメチルアンモ -ゥム等の水溶性有機塩 基等が上げられる。(B— 3)の場合の水溶液の pHは 0. 1ないし 4. 0で、濃度は 1な V、し 15質量%で用いられる。
第一工程のジルコニウム塩(B)は、ォキシジルコニウム塩の水溶液を陰イオン交換 して得られる水溶液としてアルカリ性ジルコユアゾル (A)との混合に使用する場合 (B -4)では、ォキシジルコニウム塩の水溶液を陰イオン交換して得られる粒子径が 20 nm未満の極微小な酸ィ匕ジルコニウムの酸性コロイド溶液を用いる。ここで用いるォキ シジルコニウム塩は (B—1)に記載の 1種を選択することも、 2種以上を混合して使用 することも可能である。また陰イオン交換は、陰イオン交換樹脂と接触することで達成 することができる。例えば水酸基型陰イオン交換榭脂を充填したカラムに上記ォキシ ジルコニウム塩の水溶液を通液する方法で行われる。 (B-4)の場合の極微小コロイ ド溶液の ρΗは 0. 1ないし 4. 0で、濃度は 1ないし 20質量%である。
第一工程のジルコニウム塩(B)は、ォキシジルコニウム塩の水溶液に水酸化ジルコ -ゥム又はォキシ炭酸ジルコニウムを添カ卩して得られる水溶液としてアルカリ性ジル コ-ァゾル (A)との混合に使用する場合 (B— 5)では、(B— 1)に記載のォキシジル コ -ゥム塩の水溶液に水酸化ジルコニウム〔ZrO (OH)〕又はォキシ炭酸ジルコユウ
2
ム〔ZrOCO〕を添加して得られる酸性の水溶液を用いる。 (B- 5)の場合の水溶液
3
の pHは 0. 1ないし 4. 0で、濃度は 1ないし 20質量%である。
アルカリ性ジルコユアゾル (A)とジルコニウム塩(B)とを混合する方法では、ジルコ -ゥム塩 (B)の使用は(B— 1)な 、し (B 5)の中から 1種の方法を選択することも、 又は(B— 1)な 、し (B— 5)の中から数種類の方法を選択しそれらを組み合わせて使 用することちでさる。
上記ジルコニウム塩(B)の使用方法では、塩基性の炭酸ジルコニウムアンモ-ゥム 〔(NH ) ZrO (CO )〕に硝酸あるいは塩酸等の酸を添加し、酸性にする方法 (B— 2
)が用いられる。また、ジルコニウム塩(B)にアンモニア等のアルカリを添カ卩したもの、 あるいはイオン交換樹脂で処理したもの、あるいは水酸ィ匕ジルコニウムあるいはォキ シ炭酸ジルコニウムを添カ卩する方法(B— 3ないし B— 5)が用いられる。ジルコニウム 塩(B)にこれら該処理(B - 2な!、し B - 5)を行うことにより、ジルコニウム塩(B)のォ キシジルコニウムイオンと酸イオンのバランスが変化し、加水分解反応が促進される。 また、ジルコニウム塩 (B)にアンモニア等のアルカリを添加する場合、又はイオン交 換榭脂で処理する場合には、これら該処理した後に得られるジルコニウム塩は、ォキ シジルコニウムイオンの電荷がプラスのままである必要があるので、処理後の PHとし ては、 pH5以下、好ましくは pH4以下、更に好ましくは pH3以下とすることが望ましい 。また、ジルコニウム塩 (B)に水酸ィ匕ジルコニウム又はォキシ炭酸ジルコニウムを添 加する場合には、水酸化ジルコニウム又はォキシ炭酸ジルコニウムの ZrOに換算し
2 た固形分 (Bs ' )とジルコニウム塩 (B)の ZrOに換算した固形分 (Bs)の質量比 BsZ
2
Bs,が 1. 0ないし 10. 0の割合、好ましくは 2. 0ないし 10. 0とするのがよい。更には 、ジルコニウム塩(B)に水酸化ジルコニウムあるいはォキシ炭酸ジルコニウムを添カロ した後に加熱処理すると、更に加水分解反応が促進されるのでなお好ましい。
前記ジルコニウム塩 (B)は水溶液の状態でアルカリ性ジルコユアゾル (A)と混合す る方法が好ましい。ジルコニウム塩 (B)の水溶液の濃度は、 1ないし 20質量%範囲で 用いることが好ましい。
本発明の第一工程では、アルカリ性ジルコユアゾル (A)及びジルコニウム塩(B)を 、アルカリ性ジルコ-ァゾル (A)の ZrOに換算した固形分 (As)及びジルコニウム塩(
2
B)の ZrOに換算した固形分 (Bs)の質量比 BsZAsが 0. 2ないし 5. 0の割合に混合
2
するものである。
アルカリ性ジルコ-ァゾル (A)及びジルコニウム塩(B)水溶液の混合は、ジルコ- ゥム塩 (B)水溶液にアルカリ性ジルコユアゾル (A)を添加する方法によって達成され る。
質量比 BsZAsが 0. 2未満ではアルカリ性ジルコユアゾル (A)の使用量が多くなり 、製造コストが高くなることが懸念され、また 5. 0を越える場合には
20nm未満の粒子径範囲を有する粒子 (b)の割合が多くなり、ゾル
の安定性が低下する。
[0012] 本発明の第二工程では第一工程で得られた混合液を 80な 、し 250°Cで反応させ ることである。 80°C未満では十分な水熱処理とならず、また 250°Cを越える温度では 装置的に大がかりなものとなる。この水熱処理はオートクレーブ装置を用いて行われ る。第二工程の時間は、通常 1ないし 20時間で行われる。この水熱処理を経て本発 明の酸性ジルコ二ァゾルが得られる。
第二工程を経て得られる酸性ジルコユアゾルの pHは 0. 1ないし 5. 0、好ましくは 0 . 1ないし 2. 0である。
[0013] アルカリ性ジルコユアゾル (A)のジルコユア粒子は、第二工程を経て生成した酸性 ジルコユアゾル中では、若干の粒子成長があるものの、概ね 20ないし 300nmの粒子 径範囲に入るジルコユア粒子(a)であり、ジルコニウム塩 (B)が第二工程を経て生成 した酸性ジルコユアゾル中で 20nm未満の粒子径範囲のジルコユア粒子(b)と、一 部は原料のアルカリ性ジルコユアゾル (A)の粒子に被覆してジルコユア粒子(a)とな る。粒子径は透過型電子顕微鏡を用いて確認することが可能である。ジルコニァ粒 子 (a)とジルコユア粒子 (b)の割合は、生成した酸性ジルコユアゾルを遠心分離装置 で処理し、上澄み液がジルコユア粒子 (b)を含む液となり、その固形分を測定するこ とにより定量することが出来る。ジルコユア粒子 (a)は沈殿物の固形分を測定すること により定量することができる
酸性ジルコユアゾル中のジルコユア粒子 (b)は電子顕微鏡で確認できる小粒子径 のジルコユア粒子もある力 電子顕微鏡で確認できな 、成分は酸ィ匕ジルコニウムの 極微小コロイドと考えられる。
[0014] 本発明の製法によって得られる酸性ジルコユアゾルは 20nm未満の粒子径を有す るジルコ-ァ粒子(b)が全ジルコ-ァ粒子中に 10ないし 50質量%に含有し、残部(9 0な!、し 50質量%)は 20な!、し 300nmの粒子径範囲を有するジルコ-ァ粒子(a)で ある。
20nm未満の粒子径を有するジルコユア粒子(b)を含む液は、小粒子径のジルコ ユア粒子であるカゝ、又は電子顕微鏡でも判別が難 、酸ィ匕ジルコニウムの極微小コ ロイドである。しかし、電子顕微鏡でも判別が難しいほどの物質であっても、その液を
蒸発乾固したものは、 X線回折により酸ィ匕ジルコニウムであることを確認できるので、 酸ィ匕ジルコニウムの極微小コロイドであると考えられる。
20な!、し 300nmの粒子径範囲を有するジルコユア粒子(a)を有するジルコ -ァゾ ルは単独でも安定的に存在するが、 20nm未満の粒子径を有するジルコ-ァ粒子(b )を有するジルコ -ァゾルな 、し酸化ジルコニウムの極微小コロイドは単独で安定に 存在することは難しぐその製造過程でゲルィ匕を起こし易い。従って、 20ないし 300η mの粒子径範囲を有するジルコニァ粒子(a)のジルコ二ァゾル及び 20nm未満の粒 子径を有するジルコ-ァ粒子(b)のジルコ-ァゾルな!、し酸化ジルコニウムの極微小 コロイドとをただ単に混合する方法では、本発明の酸性ジルコユアゾルは得られな!/ヽ 本発明に用いられるアルカリ性ジルコ-ァゾル (A)は、そのジルコ-ァ粒子の表面 がアルカリ側ではマイナスに帯電している。一方、ジルコニウム塩(B)、例えばォキシ 硝酸ジルコニウムではォキシジルコニウムイオン Zr02+はプラスに帯電して!/、る。例え ば、アルカリ性ジルコユアゾル (A)及びォキシ硝酸ジルコニウム(B)を混合する第一 工程では、ォキシ硝酸ジルコニウム(B)水溶液中にアルカリ性ジルコユアゾル (A)を 添カ卩することにより、アルカリ性ジルコ-ァゾル (A)のジルコ-ァ粒子表面に、ォキシ 硝酸ジルコニウム(B)のォキシジルコニウムイオン Zr02+が吸着し、第二工程でその 混合液を水熱処理することにより、アルカリ性ジルコユアゾル (A)に由来するジルコ- ァ粒子表面に微少なジルコユア粒子が生成する。この微少なジルコユア粒子の一部 は、水熱反応時にアルカリ性ジルコユアゾル (A)に由来するジルコユア粒子と化学 結合を起こし、その微少なジルコユア粒子が被覆された分だけジルコユア粒子は粒 子成長を起こすが、他の微少なジルコユア粒子はアルカリ性ジルコユアゾル (A)に由 来するジルコユア粒子カゝら離れ、液中に単独で存在するか、又は微少なジルコユア 粒子同士が水熱反応により結合して粒子成長してゆく。
ところが、第一工程でアルカリ性ジルコユアゾル (A)にォキシ硝酸ジルコニウム(B) の水溶液を添加する場合は、ォキシ硝酸ジルコニウム (B)の水溶液が酸性水溶液で あるため、アルカリ性ジルコユアゾル (A)の pHが低下し、場合によっては酸性となり、 ジルコユア粒子の表面のマイナス電荷が低下し、場合によってはプラスの電荷を帯
びてくるため、その粒子表面にジルコニウム塩(B)に由来するォキシジルコニウムィ オン Zr02+を吸着する能力が低下するので、ジルコユア粒子表面にぉ 、てォキシジ ルコ -ゥムイオン Zr02+から微少なジルコユア粒子への変化が起こり難ぐむしろジル コニァ粒子に固定されず液中にフリーな状態で水熱反応時に Zr0 2+が加水分解を生 ずるので微少なジルコユア粒子や極微小コロイド同士がゲル化を起こし易い。
し力し、この様なゲル化を克服できれば、アルカリ性ジルコ-ァゾル (A)にジルコ- ゥム塩 (B)の水溶液を添加する方法でも本発明はなし得る。即ち、このようなゲルィ匕 を抑制するためには、ディスパ一等のせん断力のある羽根を使用して、回転数の高 い攪拌の条件下で、アルカリ性ジルコユアゾル (A)に例えばォキシ硝酸ジルコニウム (B)の水溶液を添加する方法で酸性ジルコユアゾルを製造することができる。このよう な条件下で添加することにより、ォキシジルコニウムイオン Zr02+がジルコユア粒子表 面に均一に吸着しやすくなるため、微小なジルコユア粒子や極微小コロイド同士のゲ ルイ匕が起こりにくくなる。
[0016] 本発明によれば、得られた酸性ジルコユアゾルは、原料として用いたアルカリ性ジ ルコニァゾルよりも、より粒子径分布が広ぐ大粒子ジルコニァないし小粒子ジルコ二 ァ、及びジルコ-ァ極微小コロイドが存在した酸性ジルコ二ァゾルとなる。小粒子のジ ルコ-ァゃジルコ-ァ極微小コロイドのみからなる酸性ジルコ-ァゾルの場合は安定 性が低 ヽが、本発明による大粒子のジルコユアの存在下に形成した小粒子のジルコ 二了、及びジルコユア極微小コロイドを含む酸性ジルコユアゾルは安定性が高!、。 原料のアルカリ性ジルコ-ァゾル (A)の存在下に、ジルコニウム塩(B)を加熱加水 分解することにより、大粒子のジルコユア粒子(a)及び酸化ジルコニウム極微小コロイ ドを含む小粒子のジルコユア粒子 (b)を含有する本発明の酸性ジルコユアゾルが得 られる。
原料のアルカリ性ジルコ-ァゾル (A)を用いず、ジルコニウム塩(B)の水溶液のみ で本発明の第二工程を行っても、ゲル状物質が生成するのみであり、安定なジルコ ニァゾノレは製造できな!/、。
[0017] 本発明では、第二工程の後、脱塩及び濃縮を行う第三工程を行うことが出来る。脱 塩は限外ろ過膜を用いて行う方法が上げられ、水洗浄を行いながら濃度 10ないし 4
0質量%まで濃縮を行うことが可能である。
得られる酸性ジルコ-ァゾルは pHO. 1ないし 5. 0、好ましくは 1. 5ないし 4. 5の酸 性ジルコユアゾルである。
前記酸性ジルコ二ァゾルは、 pH調整剤として塩酸、硝酸、酢酸 等 の酸性物質を添加して pHを下げることや、水酸化ナトリウム、アンモニア、第四級ァ ンモ -ゥム等のアルカリ性物質を添カ卩して pHを上げることやアルカリ性ジルコ -ァゾ ノレとすることちでさる。
実施例
[0018] (酸性ジルコユアゾル中の 20nm未満粒子径範囲を有するジルコユア粒子含有量 の測定方法)
酸性ジルコユアゾルを純水で希釈して、 ZrOとして 0. 5質量%含有する希釈液を 3
2
Og調製した。前記希釈液を所定の容器に 15gずつ 2本測り取った。
前記希釈液の入った容器を遠心分離機 (トミー精工製、商品名 SRX— 201)に掛け 、 20000r. p. mで 1時間遠心分離処理を行った。遠心分離処理後、容器内のサン プルは、ほぼ無色透明な上澄みの部分と白色をした沈降物の部分の 2つに分離され た。この上澄みの部分を透過型電子顕微鏡で観察したところ、 20nm未満のジルコ- ァ粒子のみが見られ、 20nm以上のジルコニァ粒子は見られなかった。その後、上澄 みの部分を全量回収し、回収した液の質量を測定した。この回収した液を全量、磁 性のるつぼに移し替え、 100°Cで水分を蒸発させた後、 800°Cの電気炉で 30分焼 成し、冷却後、るつぼに残った残渣の質量を測定した。 20nm未満の粒子径を有す るジルコユア粒子は、全てこの上澄み部分中に存在すると定義し、次に示す計算式 にて 20nm未満粒子径範囲を有するジルコユア粒子含有量を計算した。
20nm未満粒子径範囲を有するジルコユア粒子含有量(%) =〔(上澄みの部分の 焼成残渣) Z (容器に仕込んだ希釈液中の ZrOに換算した固形分)〕 X 100
2
[0019] 実施例 1
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 342. 9gと純水 1976. 8gを投入する。この溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユアゾル 8
0. 3g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径は 20ないし 300nm、動的光散乱法に よる粒子径は 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH)を 1. 0質 量%含有)を投入後 30分攪拌し、原料混合液とした。前記混合液は ZrOを 5質量%
2 含有し、そしてォキシ硝酸ジルコニウムの ZrOに換算した固形分とアルカリ性ジルコ
2
二ァゾルの ZrOに換算した固形分の混合比(固形分比)は 10 :4で、 pHO. 9であつ
2
た (第一工程)。この混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し 替え、攪拌下 140°Cで 3時間の水熱合成反応を行った (第二工程)。この反応後に得 られたものは、ゲルも見られず完全にゾル化しており、 ZrOを 5質量%含有し、 pHO
2
. 7であった。次いで、前記ゾルを限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添加しな がら、ゾルを洗浄、濃縮したところ、 ZrO濃度 20. 3質量%の酸性ジルコユアゾルを
2
得た。得られたゾルは、 ρΗ3. 5、 B型粘度 982mPa' s (No. 3のローターで 60秒後 の値)、 NOを 3. 5質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3ないし 300η
3
mの粒子が観測され、動的光散乱法による粒子径 108nmであり、 20nm未満粒子径 範囲を有するジルコユア粒子含有量は全ジルコユア粒子中で 46%であった。
また、前記ジルコユアゾルの ZrO固形分の収率は、第一工程の混合液の ZrO固
2 2 形分を 100%とすると、 90. 4%であった。
実施例 2
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 342. 9gと純水 1976. 8gを投入する。この溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユアゾル 8
2
0. 3g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径は 20ないし 300nm、動的光散乱法に よる粒子径は 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH)を 1. 0質 量%含有)を投入後 30分攪拌し、原料混合液とした。前記混合液は ZrOを 5質量%
2 含有し、そしてォキシ硝酸ジルコニウムの ZrOに換算した固形分とアルカリ性ジルコ
2
二ァゾルの ZrOに換算した固形分の混合比 (固形分比)は 10 :4で、 pHO. 9であった
2
(第一工程)。前記混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し 替え、攪拌下 140°Cで 3時間水熱合成反応を行った (第二工程)。この反応後に得ら れたものは、ゲルも見られず完全にゾル化しており、 ZrOを 5質量%含有し、 pHO. 7
であった。次いで、前記ゾルは限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添加しながら
、ゾルを洗浄、濃縮したところ、 ZrO濃度 23. 2質量%の酸性ジルコユアゾルを得た
2
。得られたゾルは、 PH2. 3、 B型粘度 18. 6mPa- s (No. 1のローターで 60秒後の値 ) , NOを 4. 3質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3ないし 300nmの
3
粒子が観測され、動的光散乱法による粒子径 85nmであり、 20nm未満粒子径範囲 を有するジルコユア粒子含有量は全ジルコユア粒子中で 47%であった。
また、前記ジルコユアゾルの ZrO固形分の収率は、第一工程の混合液の ZrO固
2 2 形分を 100%とすると、 96. 0%であった。
実施例 3
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 240. Ogと純水 2019. 5gを投入する。この溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユアゾル 1
2
40. 5g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径は 20ないし 300nm、動的光散乱法に よる粒子径は 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH)を 1. 0質 量%含有)を投入後 30分攪拌し、原料混合液とした。この混合液は ZrOを 5質量%
2 含有し、そしてォキシ硝酸ジルコニウムの ZrOに換算した固形分とアルカリ性ジルコ
2
二ァゾルの ZrOに換算した固形分の混合比(固形分比)は 10 : 10で、 pHl. 2であつ
2
た (第一工程)。前記混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し 替え、攪拌下 140°Cで 3時間の水熱合成反応を行った (第二工程)。前記反応後に 得られたものは、ゲルも見られず完全にゾルイ匕しており、 ZrOを 5質量%含有し、 pH
2
1. 0であった。次いで、このゾルは限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添カ卩しな がら、ゾルを洗浄、濃縮したところ、 ZrO濃度 25. 6質量%の酸性ジルコユアゾルを
2
得た。得られたゾルは、 pH3. 3、 B型粘度 13. 0mPa- s (No. 1のローターで 60秒後 の値)、 NOを 3. 3質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3ないし 300η
3
mの粒子が観測され、動的光散乱法による粒子径は 86nmであり、 20nm未満粒子 径範囲を有するジルコユア粒子含有量は全ジルコユア粒子中で 31 %であった。 また、前記ジルコユアゾルの ZrO固形分の収率は、第一工程の混合液の ZrO固
2 2 形分を 100%とすると、 97. 3%であった。
前記ゾルは室温で 3ヶ月保存後の粘度は、 B型粘度 34. 8mPa - s (No. 1のローター で 60秒後の値)であった。
[0022] 実施例 4
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 400. Ogと純水 1953. 2gを投入する。この溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユアゾル 4
2
6. 8g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径は 20ないし 300nm、動的光散乱法に よる粒子径は 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH) 1. 0質量 %含有)を投入後 30分攪拌し、原料混合液とした。前記混合液は ZrOを 5質量%含
2
有し、そしてォキシ硝酸ジルコニウムの ZrOに換算した固形分とアルカリ性ジルコ-
2
ァゾノレの ZrOに換算した固形分の混合比(固形分比)は 10 : 2で、 pHl . 0であった(
2
第一工程)。前記混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し替 え、攪拌下 140°Cで 3時間の水熱合成反応を行った (第二工程)。この反応後に得ら れたものは、ゲルも見られず完全にゾル化しており、 ZrOを 5質量%含有し、 pHO. 7
2
であった。次いで、このゾルを限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添カ卩しながら
、ゾルを洗浄、濃縮したところ、 ZrO濃度 17. 3質量%の酸性ジルコユアゾルを得た
2
。得られたゾルは、 pH3. 3、 B型粘度 193mPa' s、 NOを 3. 7質量%、透過型電子
3
顕微鏡による観測では粒子径 3な 、し 300nmの粒子が観測され、動的光散乱法に よる粒子径 96nmであり、 20nm未満粒子径範囲を有するジルコユア粒子含有量は 全ジルコ-ァ粒子中で 50%であった。
また、前記ジルコユアゾルの ZrO固形分の収率は、第一工程の混合液の ZrO固
2 2 形分を 100%とすると、 96. 9%であった。
前記ゾルは室温で 3ヶ月保存後の粘度は、 B型粘度 7500mPa ' s (No. 4のロータ 一で 60秒後の値)であった。
[0023] 実施例 5
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 342. 9gと純水 1976. 8gを投入する。この溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユアゾル 8
0. 3g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径 20ないし 300nm、動的光散乱法による 粒子径 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH)を 1. 0質量0 /0含 有)を投入後 30分攪拌し混合液とした。前記混合液は ZrOを 5質量%含有し、ォキ
2
シ硝酸ジルコニウムの ZrOに換算した固形分とアルカリ性ジルコ二ァゾルの ZrOに
2 2 換算した固形分の混合比(固形分比)は 10 :4で、 pHO. 9であった (第一工程)。前 記混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し替え、攪拌下 140 °Cで 8時間の水熱合成反応を行った (第二工程)。この反応後に得られたものは、ゲ ルも見られず完全にゾル化しており、 ZrOを 5質量%含有し、 pHO. 7であった。次い
2
で、前記ゾルを限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添加しながら、ゾルを洗浄、 濃縮したところ、 ZrO濃度 20. 5質量%の酸性ジルコユアゾルを得た。得られたゾル
2
は、 ρΗ3· 4、 Β型粘度 146mPa- s (No. 2のローターで 60秒後の値)、 NOを 3· 3
3 質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3な 、し 300nmの粒子が観測さ れ、動的光散乱法による粒子径は 104nmであり、 20nm未満粒子径範囲を有するジ ルコユア粒子含有量は全ジルコユア粒子中で 47%であった。
また、前記ジルコユアゾルの ZrO固形分の収率は、第一工程の混合液の ZrO固
2 2 形分を 100%とすると、 97. 3%であった。
前記ゾルは室温で 3ヶ月保存後の粘度は、 B型粘度 586mPa' s (No. 3のローター で 60秒後の値)であった。
実施例 6
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 96. 0gと純水 2079. 2gを投入する。前記溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユアゾル 2
2
24. 8g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径 20ないし 300nm、動的光散乱法によ る粒子径 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH)を 1. 0質量0 /0 含有)を投入後 30分攪拌し混合液とした。前記混合液は ZrOを 5質量%含有し、そ
2
してォキシ硝酸ジルコニウムの ZrOに換算した固形分とアルカリ性ジルコ二ァゾルの
2
ZrOに換算した固形分の混合比(固形分比)は 1 :4で、 pH2. 0であった (第一工程
2
)。前記混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し替え、攪拌
下 140°Cで 3時間の水熱合成反応を行った (第二工程)。反応後に得られたものは、 ゲルも見られず完全にゾルイ匕しており、 ZrOを 5質量%含有し、 pHl. 6であった。次
2
いで、このゾルを限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添カ卩しながら、ゾルを洗浄 、濃縮したところ、 ZrO濃度 30. 4質量%の酸性ジルコユアゾルを得た。得られたゾ
2
ルは、 ρΗ3· 5、 Β型粘度 7. 8mPa- s (No. 2のローターで 60秒後の値)、 NOを 2·
3
0質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3な 、し 300nmの粒子が観測 され、動的光散乱法による粒子径は 76nmであり、 20nm未満粒子径範囲を有する ジルコ-ァ粒子含有量は全ジルコ-ァ粒子中で 20%であった。
また、前記ジルコユアゾルの ZrO固形分の収率は、第一工程の混合液の ZrO固
2 2 形分を 100%とすると、 98. 7%であった。
実施例 7
3Lのガラス製容器に ZrOとして 13. 1質量0 /0を含有する炭酸ジルコニウムアンモ
2
-ゥム溶液 (第一稀元素化学工業製) 392. 4gと純水 1000. 9gを投入する。この溶 液を混合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユア
2
ゾル 48. 2g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径は 20ないし 300nm、動的光散乱 法による粒子径は 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH)を 1. 0質量%含有)を投入後 30分攪拌した。前記混合液中に攪拌下で 10質量%の硝酸 水溶液を断続的に添加した。硝酸を徐々に添加し、混合液の pHが 6付近になった時 点で急激に粘度が上昇し、多量のゲルが生成した。その後、更に硝酸を添加すると 徐々に粘度が低下し、ゲルの生成も抑制されるようになった。最終的に 10質量%の 硝酸水溶液を 950. 4g添加し 1時間攪拌し原料混合液とした。前記混合液は ZrOを
2
3質量0 /0を含有し、そして炭酸ジルコニウムアンモ-ゥムの ZrOに換算した固形分と
2
アルカリ性ジルコユアゾルの ZrOに換算した固形分の混合比(固形分比)は 10 :4で
2
、 pHl. 7であり、原料混合段階で生成したゲルはほとんどなくなつている状態であつ た (第一工程)。前記混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し 替え、攪拌下 140°Cで 3時間の水熱合成反応を行った (第二工程)。反応後に得られ たものは、ゲルも見られず完全にゾル化しており、 ZrOを 3質量%含有し、 pHl. 1で
2
あった。次いで、前記ゾルを限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添加しながら、
ゾルを洗浄、濃縮したところ、 ZrO濃度 20. 2質量%の酸性ジルコユアゾルを得た。
2
得られたゾルは、 ρΗ3. 2、 B型粘度 4. 8mPa - s (No. 2のローターで 60秒後の値) 、 NOを 1. 9質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3ないし 300nmの
3
粒子が観測され、動的光散乱法による粒子径は l lOnmであり、 20nm未満粒子径 範囲を有するジルコユア粒子含有量は全ジルコユア粒子中で 17%であった。
また、前記ジルコユアゾルの ZrO固形分の収率は、第一工程の混合液の ZrO固
2 2 形分を 100%とすると、 98. 7%であった。
[0026] 実施例 8
3Lのガラス製容器に ZrOとして 17. 7質量0 /0を含有するォキシ塩化ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 481. 4gと純水 1838. 3gを投入する。この溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユアゾル 8
2
0. 3g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径は 20ないし 300nm、動的光散乱法に よる粒子径は 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH)を 1. 0質 量%含有)を投入後 30分攪拌し混合液とした。この混合液は ZrOを 5質量%含有し
2
、そしてォキシ塩ィ匕ジルコニウムの ZrOに換算した固形分とアルカリ性ジルコ -ァゾ
2
ルの ZrOに換算した固形分の混合比(固形分比)は 10 : 4で、 pHO. 6であった (第
2
一工程)。前記混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し替え 、攪拌下 140°Cで 3時間の水熱合成反応を行った (第二工程)。この反応後に得られ たものは、ゲルも見られず完全にゾル化しており、 ZrOを 5質量%含有し、 pHO. 4で
2
あった。次いで、前記ゾルを限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添加しながら、 ゾルを洗浄、濃縮したところ、 ZrO濃度 27. 5質量%の酸性ジルコユアゾルを得た。
2
得られたゾルは、 ρΗ2. 9、 B型粘度 6. 0mPa - s (No. 1のローターで 60秒後の値)、 C1を 1. 0質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3ないし 300nmの粒子 が観測され、動的光散乱法による粒子径は 102nmであり、 20nm未満粒子径範囲を 有するジルコユア粒子含有量は全ジルコユア粒子中で 11 %であった。
また、前記ジルコユアゾルの ZrO固形分の収率は、第一工程の混合液の ZrO固
2 2 形分を 100%とすると、 95. 4%であった。
[0027] 実施例 9
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 244. 8gと純水 1414. lgを投入する。この溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 44. 5質量%を含有するォキシ炭酸ジルコニウム粉
2
末 (第一稀元素化学工業製)を徐々に添加し、トータル 55. lg投入した。添加終了 後、攪拌しながら 100°Cまで加熱し、 100°Cで 3時間熟成した。熟成終了後、攪拌し ながら冷却した後に、更に混合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有する
2
アルカリ性ジルコユアゾル 80. 3g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径は 20な ヽし 300nm、動的光散乱法による粒子径は 82nm、 pH9. 5、水酸ィ匕テトラメチルアンモ -ゥム (TMAH)を 1. 0質量%含有)と純水 605. 7gを投入後、 30分攪拌し混合液と した。前記混合液は ZrOを 5質量%含有し、そしてォキシ硝酸ジルコニウムとォキシ
2
炭酸ジルコニウムの ZrOに換算した固形分と、アルカリ性ジルコ二ァゾルの ZrOに
2 2 換算した固形分との混合比(固形分比)は 10 :4で、 pHl. 0であった (第一工程)。前 記混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し替え、攪拌下 140 °Cで 3時間の水熱合成反応を行った (第二工程)。反応後に得られたものは、ゲルも 見られず完全にゾル化しており、 ZrOを 5質量%含有し、 pHO. 8であった。次いで、
2
前記ゾルを限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添加しながら、ゾルを洗浄、濃 縮したところ、 ZrO濃度 19. 6質量%の酸性ジルコユアゾルを得た。得られたゾルは
2
、 ρΗ3· 5、 Β型粘度 356mPa. s (No. 2のローターで 60秒後の値)、 NOを 3· 5質
3 量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3な 、し 300nmの粒子が観測され 、動的光散乱法による粒子径は 87nmであり、 20nm未満粒子径範囲を有するジル コ-ァ粒子含有量は全ジルコユア粒子中で 49 %であつた。
また、前記ジルコユアゾルの ZrO固形分の収率は、第一工程の混合液の ZrO固
2 2 形分を 100%とすると、 97. 4%であった。
比較例 1
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 342. 9gと純水 1942. 8gを投入する。この溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 30. 0質量%を含有する酸性ジルコユアゾル (透過型
2
電子顕微鏡観察による粒子径は 20な 、し 300nm、動的光散乱法による粒子径は 9
5nm、日産化学工業製、 pH4. 2) 114. 3gを投入後 30分攪拌し原料混合液とした。 前記混合液は ZrOを 5質量%を含有し、ォキシ硝酸ジルコニウムの ZrOに換算した
2 2 固形分と、酸性ジルコユアゾルの ZrOに換算した固形分との混合比(固形分比)は 1
2
0 : 4で、 pHl . 0であった。前記混合液をグラスライニングコートされたオートクレーブ 容器に移し替え、攪拌下 140°Cで 3時間水熱合成反応を行った。前記反応後に得ら れたものは、ゲルも見られず完全にゾル化しており、 ZrOを 5質量%含有し、 pHO. 7
2
であった。次いで、前記ゾルを限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添加しながら
、ゾルを洗浄、濃縮したところ、 ZrO濃度 21. 2質量%の酸性ジルコユアゾルを得た
2
。得られたゾルは、 pH3. 2、 B型粘度 32. 5mPa - s (No. 2のローターで 60秒後の 値)、 NOを 3. 7質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3ないし 300nm
3
の粒子が観測され、動的光散乱法による粒子径は l lOnmであった。また、前記ジル コ-ァゾルの ZrO固形分の収率は、第一工程の混合液の ZrO固形分を 100%とす
2 2
ると、 98. 7%であった。
し力し、 20nm未満粒子径範囲を有するジルコユア粒子含有量は全ジルコユア粒 子中で 52%であった。
また、透過型電子顕微鏡で粒子を観察すると、 20nm未満の粒子径を有するジル コ-ァ粒子同士が繋がってできた凝集粒子が多数見られた。これは、酸性ジルコ二 ァゾルの粒子表面がプラスに帯電しており、ジルコニウム塩(B)に由来するォキシジ ルコ -ゥムイオン Zr02+がジルコユア粒子表面にほとんど吸着されず、液中にフリーな 状態で水熱反応時に Zr02+が加水分解を生じ、微少なジルコユア粒子や極微小コロ イド同士で反応し、粒子成長したためと考えられる。
前記酸性ジルコユアゾルは常温で 40日後の粘度は、 B型粘度 149mPa' s (No. 2 のローターで 60秒後の値)であった。
比較例 2
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 342. 9gと純水 1976. 8gを投入する。この溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユアゾル 8
2
0. 3g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径 20ないし 300nm、動的光散乱法による
粒子径 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH)を 1. 0質量0 /0含 有)を投入後 30分攪拌し原料混合液とした。前記混合液は ZrOを 5質量%を含有し
2
、そしてォキシ硝酸ジルコニウムの ZrOに換算した固形分と、アルカリ性ジルコユア
2
ゾルの ZrOに換算した固形分との混合比(固形分比)は 10 :4で、 pHO. 9であった。
2
次いで、前記混合液を加熱処理なしで限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添加 しながら、洗浄、濃縮したところ、 ZrO濃度 13. 8質量%の酸性ジルコユアゾルを得
2
た。この得られたゾルは、 ρΗ2. 7、 B型粘度 59. 5mPa- s (No. 1のローターで 60秒 後の値)、 NOを 2. 9質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3ないし 30
3
Onmの粒子が観測され、動的光散乱法による粒子径 129nmであった。
また、前記ジルコ二ァゾルの ZrO固形分の収率は、原料混合液の ZrO固形分を 1
2 2
00%とすると、 82. 8%であった。
し力し、 20nm未満粒子径範囲を有するジルコユア粒子含有量は全ジルコユア粒 子中で 62%であった。
また、前記ゾルは ZrO濃度が低い状態ではゾル状態を保っている力 ZrOを 15
2 2 質量%以上に濃縮すると急激に増粘しゲルィ匕した。これは加熱処理を行わな力つた ために 20nm未満の粒子径範囲 (b)が、ある程度の結晶化を生じず表面状態が化学 的に活性であるため、小粒子や極微小コロイド同士の相互作用が高ぐ容易に増粘 傾向を生ずるためと考えられる。
[0030] 比較例 3
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 480. 0gと純水 1920. 0gを投入し、原料混合液とし た。この混合液は ZrOを 5質量0 /0含有し、 pHO. 6であった。前記混合液をグラスライ
2
ユングコートされたオートクレープ容器に移し替え、攪拌下 140°Cで 3時間の水熱合 成反応を行った。前記反応後に得られたものは、ゲル状態であり、ゾルイ匕はできなか つた o
[0031] 比較例 4
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 43. 6gと純水 2100. 9gを投入する。前記溶液を混
合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユアゾル 2
2
55. 5g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径は 20ないし 300nm、動的光散乱法に よる粒子径は 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH)を 1. 0質 量%含有)を投入後 30分攪拌し、原料混合液とした。前記混合液は ZrOを 5質量%
2 含有し、そしてォキシ硝酸ジルコニウムの ZrOに換算した固形分と、アルカリ性ジル
2
コニァゾルの ZrOに換算した固形分との混合比(固形分比)は 1 : 10で、 ρΗ2· 5であ
2
つた (第一工程)。前記混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に 移し替え、攪拌下 140°Cで 3時間の水熱合成反応を行った (第二工程)。前記反応 後に得られたものは、ゲルも見られず完全にゾルイ匕しており、 ZrOを 5質量%含有し
2
、 pH2. 2であった。次いで、この混合液を限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に 添加しながら、洗浄、濃縮したところ、 ZrO濃度 26. 6質量%の酸性ジルコユアゾル
2
を得た。得られたゾルは、 PH3. 3、 B型粘度 18. 0mPa- s (No. 1のローターで 60秒 後の値)、 NOを 1. 2質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3ないし 30
3
Onmの粒子が観測され、動的光散乱法による粒子径 86nmであった。
また、前記ジルコ二ァゾルの ZrO固形分の収率は、原料混合液の ZrO固形分を 1
2 2
00%とすると、 98. 5%であった。
し力し、 20nm未満粒子径範囲を有するジルコユア粒子含有量は全ジルコユア粒 子中で 9%であった。
前記酸性ジルコ-ァゾルは 20nm未満のジルコ-ァ粒子の含有量が低!、ため、従 来の酸性ジルコユアゾルに近 、ものであり、バインダー特性を発揮できなかった。 比較例 5
3Lのガラス製容器に ZrOとして 25. 0質量0 /0を含有するォキシ硝酸ジルコニウム
2
溶液 (第一稀元素化学工業製) 436. 4gと純水 1938. lgを投入する。前記溶液を混 合しながら攪拌下に ZrOとして 42. 7質量%を含有するアルカリ性ジルコユアゾル 2
2
5. 5g (透過型電子顕微鏡観察による粒子径は 20ないし 300nm、動的光散乱法に よる粒子径は 82nm、 pH9. 5、水酸化テトラメチルアンモ -ゥム(TMAH)を 1. 0質 量%含有)を投入後 30分攪拌し、原料混合液とした。前記混合液は ZrOを 5質量%
2 含有し、そしてォキシ硝酸ジルコニウムの ZrOに換算した固形分と、アルカリ性ジル
コ-ァゾルの ZrOに換算した固形分との混合比(固形分比)は 10 : 1で、 pHO. 8であ
2
つた (第一工程)。前記混合液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に 移し替え、攪拌下 140°Cで 3時間の水熱合成反応を行った (第二工程)。この反応後 に得られたものは、ゲルも見られず完全にゾルイ匕しており、 ZrOを 5質量%含有し、 p
2
H0. 6であった。次いで、前記混合液を限外ろ過装置を使用して、純水を徐々に添 カロしながら、洗浄、濃縮したところ、 ZrO濃度 9. 1質量%の酸性ジルコユアゾルを得
2
た。得られたゾルは、 pH3. 2、 B型粘度 74. OmPa- s (No. 1のローターで 60秒後の 値)、 NOを 1. 9質量%、透過型電子顕微鏡による観察では粒子径 3ないし 300nm
3
の粒子が観測され、動的光散乱法による粒子径 96nmであった。
また、前記ジルコ二ァゾルの ZrO固形分の収率は、原料混合液の ZrO固形分を 1
2 2
00%とすると、 96. 4%であった。
し力し、 20nm未満粒子径範囲を有するジルコユア粒子含有量は 53%であり、小 粒子が大粒子より多ぐ酸性ジルコユアゾルを高濃度にした場合は安定なゾルには ならない。
本発明の比較例 1に記載したアルカリ性ジルコユアゾル (A)の代わりに酸性ジルコ 二ァゾルと、ジルコニウム塩 (B)に相当するォキシ硝酸ジルコニウムとを用いた場合 では、 20nm未満粒子径範囲を有するジルコユア粒子含有量が 50%を超えており、 また電子顕微鏡観察により 20nm未満の小粒子による凝集体が多数観測され、本件 発明の酸性ジルコ二ァゾルが得られなかつた。
本発明の比較例 2に記載したアルカリ性ジルコユアゾル (A)と、ジルコニウム塩 (B) に相当するォキシ硝酸ジルコニウムとを用いた場合でも、その後の工程で 80ないし 2 50°Cの水熱反応を行わな!/、場合には、 20nm未満粒子径範囲を有するジルコユア 粒子含有量が 50%を超えており、また生成した 20nm未満の小粒子の表面が活性 を持っていて、それらの粒子によりゲルィ匕を誘発する。
本発明の比較例 3に記載したアルカリ性ジルコユアゾル (A)を用いずに、ジルコ- ゥム塩 (B)に相当するォキシ硝酸ジルコニウムのみを用いた場合であるが、背景技 術に記載されて!ヽる様に、それらを酸性領域で加水分解し加熱を行って生成する微 小粒子を生ずるものであるが、反応系が不安定になりゲル化を起こした。
本発明の実施例 1ないし 9では、アルカリ性ジルコユアゾル (A)の存在下で、ジルコ -ゥム塩を加水分解する事により、アルカリ性ジルコユアゾル (A)に由来する大粒子 とともに、ジルコニウム塩(B)の加水分解に由来する小粒子が BZA=0. 2ないし 5. 0の範囲で存在することにより、粒子径範囲の広 、安定的な酸性ジルコユアゾルが得 られる。
し力し、比較例 4に記載したように、この BZAが 0. 2未満では、 20nm未満粒子径 範囲のジルコユア粒子含有量が 10%未満となり、所望とする酸性ジルコユアゾルが 得られず、また比較例 5に記載したように、 5. 0を越える場合には、 20nm未満粒子 径範囲を有するジルコユア粒子含有量が 50%を超え、所望とする酸性ジルコ -ァゾ ルが得られず、及び得られた酸性ジルコユアゾルを高濃度にした場合は安定なゾル にはならない。
産業上の利用可能性
本発明の酸性ジルコユアゾルは粒子分布が広く安定であり、各種耐火物の成型加 ェ用バインダー、各種触媒用バインダー、含浸処理、コーティング用塗剤等、或いは セラミックス繊維等の無機繊維の成形加工、精密铸造用铸型の造形、繊維の表面処 理、燃料電池等の分野において利用することができる。