WO2006095630A1 - 電動機の取付け構造 - Google Patents

Abstract

　ワイパ用の電動モータ１が取付けられたブラケット１１を車両ボデイ１６ａにラバーマウント２１を介して防振的に取付けるにあたり、電動モータ１が作動する際に発生する振動が、ナット２４による緊締がない部分が自由端となってボデイ側に伝達するのを防止する。 　ラバーマウント２１のボデイ側に当接する側の部位を、先端２１ｄ側ほど小径となる円錐台状部２１ｃとして、ラバーマウント２１のボデイ側に当接する先端２１ｄを、ナット緊締のなされない部分がないようにし、これによってナット緊締がなく、自由端となってしまう部位を無くし、振動伝達の抑制機能を一段と高めるようにした。

Description

明 細 書

電動機の取付け構造

技術分野

[0001] 本発明は、ワイパモータ等の電動機が取付けられたケースフレームを保持するため の板状のブラケットを車両のボディ側に取付けるための電動機の取付け構造の技術 分野に属するものである。

背景技術

[0002] 一般に、ワイパモータ等の電動モータが取付けられたケースフレームを保持するた めの板状のブラケットを車両のボディ側に取付ける場合、該ブラケットとボディ側との あ!、だにマウントラバー（グロメット）を介在し、これによつて特にワイパモータが作動し たときに発生する振動が車体側に伝達しづらくし、これによつて騒音の要因となる特 定周波数の発生を低減するようにしたものがある。

つまり、ワイパモータを車体へ取付ける際には、ワイパモータと車体との間に、金属 板をプレス等によって成形したブラケットを介して取付けられるため、ワイパモータの 作動によって発生する振動は、ブラケットを経由して車体側に伝達されることになる。 このため、ブラケットと車体との間には、ゴム等の弾性体によって成形されたマウントラ バーを介した取付がなされ、これによつて、ワイパモータ作動時の振動がブラケットか ら車体へ伝達されるのを抑制するようにして ヽる（特許文献 1参照)。

特許文献 1 :特開 2000— 182725号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] ところがこの場合、図 8に示すように、従来のマウントラバー 30は、全体が筒軸方向 に長い円筒形状で、その外周面に全周に亘つて設けられた溝 30aにブラケット 31を 嵌め、内周面に円筒状のカラー 32が嵌め込んだ状態でマウントラバー 31の一端面 3 lbを、車両のボディ側パネル 29 (—般にはボディの裏面側に施されるインナパネル )に当接した状態で、他端面 31cからヮッシャ 33を有する状態でカラー 32に挿通せし めたボルト 34をナット 35を用いて緊締するようにして!/、る。 この場合、マウントラバー 30は、防振性を高めるためナット 35の外径よりも大きくす ることが要求され、このようにしたものでは、マウントラバー 31のボディ側当接面のうち 、ナットによって緊締されている部位は剛体状態となっていてブラケットから伝達され た振動はマウントラバーに反射することができる力 マウントラバーのナット径よりも大 きくはみ出した部分については、ナット緊締が無く自由状態となってしまうため、ブラ ケットに伝達された振動をボディ側へ伝えてしまうことになつて騒音の発生の原因とな るという問題があり、ここに本発明が解決しょうとする課題がある。

課題を解決するための手段

本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作さ れたものであって、請求項 1の発明は、電動モータに一体的に取付けられたケースフ レームを保持する板状のブラケットを、マウントラバーを介して車両のボディに取付け る電動機の取付け構造であって、前記マウントラバーは、前記ブラケットに保持される 円筒状の本体部と、該本体部の円筒軸の一方の端部に配され、前記車両のボディ に接する側ほど小径になった円錐台状部とを一体に備えて形成されていることを特 徴とする電動機の取付け構造である。

請求項 2の発明は、電動モータと、この電動モータに一体的に取付けられたケース フレームと、このケースフレームを保持する板状のブラケットと、このブラケットと車両 のボディの間に配置されたマウントラバーと、前記ブラケットと前記マウントラバーとを 前記車両のボディに保持する保持部材を備えている電動機の取付け構造であって、 前記マウントラバーは、前記ブラケットに保持される円筒状の本体部と、該本体部の 円筒軸の一方の端部に配され、前記車両のボディに接する側ほど小径になった円 錐台状部とを一体に備えて形成され、前記保持部材は前記本体部と前記円錐台状 部とを挿通して配置された第一の緊締部材と、車両のボディに固定された第二の緊 締部材とにより構成されていることを特徴とする電動機の取付け構造である。

請求項 3の発明は、請求項 1または 2において、マウントラバーのボディ側当接面の 径は、保持部材のボディ側径と略同径であることを特徴とする電動機の取付け構造 である。

発明の効果 [0005] 請求項 1または 2の発明とすることにより、マウントラバーのボディ側に当接する側ほ ど小径になった先端がボディ側に当接するため、マウントラバーにおけるナット緊締 された緊締部材がボディに接し、一方、ナット緊締がない自由部位がボディに接する ことがなくなって電動モータ側からの振動がマウントラバーを介してボディ側に伝達し てしまうことを抑制できることになる。

請求項 3の発明とすることにより、一段と高い防振性能を有したものとなる。 図面の簡単な説明

[0006] [図 1]ブラケットをボディ側に取付けた状態を示す斜視図である。

[図 2]電動モータにブラケットを取付けた状態を示す正面図である。

[図 3]電動モータにブラケットを取付けた状態を示す側面図である。

[図 4]ブラケットをボディ側に取付けた状態を示す側面図である。

[図 5] (A)はグロメットの正面図、（B)はグロメットの一部を断面側面図、（C)はブラケ ットの斜視図である。

[図 6]グロメットの取付け状態を示す要部断面図である。

[図 7]グロメットの第二の取付け状態を示す要部断面図である。

[図 8]従来例を示す断面図である。

符号の説明

1 電動モータ

11 ブラケット

16 ボディ

16a インナパネル

21 ゴムマウント

21b 本体部

21c 円錐台状部

21e 先端

22 カラー

23 ボルト (第一の緊締部材)

24 ナット (第二の緊締部材) 発明を実施するための最良の形態

[0008] 次ぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図中、 1は車 両用の電動モータであって、該電動モータ 1は、有底筒状のヨーク 2に回動自在に軸 承されるモータ軸 3、該モータ軸 3に止着されるァーマチュアコア 4、該ァーマチュア コア 4に卷装されるコイル 5、ヨーク 2の内周面に互いに対向するようにして止着される 一対の永久磁石 6、モータ軸 3に止着されるコンミテータ 7、該コンミテータ 7に摺接す る刷子 8などの各種部材を用いて構成されており、これらの基本的構成は従来通りで ある。

[0009] 一方、 9は前記ヨーク 2の開口側端縁部に一体的に取付けられるケースフレームで あって、前記モータ軸 3の先端部は、ヨーク 2から突出してケースフレーム 9内に収納 される力 該モータ軸 3の先端部には、一連の減速用部材が設けられ、減速された状 態で出力軸 10に出力される構成となっており、これも従来通りの構成となっている。 尚、出力軸 10は、車両のボディ外板 (アウターパネル） 16に連設されるウィンドガラス 17に設けられた貫通孔 17aを貫通し、マウントラバー 18、キャップ 19を用いて水密 状に支持されると共に、該出力軸 10の車外に突出する先端部にワイパアーム 15が ナット等（図示せず)の取付部材を用いて取付けられる。

[0010] そして、前記電動モータ 1およびケースフレーム 9が、本発明が実施された板状の ブラケット 11に取付けられている。つまりブラケット 11は、電動モータ 1およびケース フレーム 9が取付けられる第一板面部 11aの両端部に、側面視で電動モータ取付け 面側に向けてそれぞれ L字形状に連続するよう折曲した第二、第三の板面部 l lb、 1 lcを備えており、そしてケースフレーム 9側の第二板面部 l ibと第一板面部 11aとの あいだにカプラー取付け部 12が形成されている。つまりカプラー取付け部 12は、第 二の板面部 l ib側に膨出するよう第一板面部 11aに凹陥状に形成されたカプラー収 容室 13を、第二板面部 l ibにまで至るよう形成したもので、これによつてカプラー収 容室 13は、第一板面部 11aの第二板面部 l ibが折曲する側とは反対側と、第二板 面部 l ibの第一板面部 11aが折曲するとは反対側とがそれぞれ開口した構成になつ ていると共に、カプラー収容室 13を構成する側壁部 13aが第一、第二板面部 l la、 1 lbとの折曲部を補強するビード (補強用リブ)としての機能を果すようになっている。 そしてカプラー収容室 13の底壁部 13cには、カプラー 14に設けた係止突起 14aを無 理嵌め状に貫通して該カプラー 14を取付ける取付け孔 13bが穿設されており、この 様にすることでカプラー 14は、カプラー収容室 13に内嵌するようにして取付けられる 力 該取り付けられたカプラー 14は、カプラー収容室 13の両側壁部 13aに当ること で回り止めされる設定になっている。尚、 14bはカプラー 14に結線されるリード線で ある。

前記ブラケット 11の各板面部 l la、 l ib, 11cには、一部に切欠き l ieを形成の取 付け孔 l lfが設けられた 3力所の取付け部 l idがブラケット 11の外側方向に突出す るようにして設けられ、該 3力所の取付け部 l idの取付け孔 l lfに、貫通孔 21aを有 するマウントラバー 21が嵌め込まれている力 それぞれのマウントラバー 21の貫通孔 21aには円筒状のカラー 22がさらに嵌め込まれ、該カラー 22には、電動モータ 1の 取付け面側とは反対側力もボルト 23が各々挿通されて 、る。そして該ボルト 23は、 車両のァウタパネル 16の裏面側に施されるインナパネル 16aに揷通され、ナット 24 を介して結合される。また、この取付け部 l idにおける車両の内側には、モータ 1を覆 うように車両の室内面を形作る内装板 20が被せられ、数力所でインナパネル 16aに 固定されている。尚、 25はボルト頭 23aとマウントラバー 21との間に介装されるヮッシ ャである。

前記マウントラバー（グロメット）21は、ゴム質弹性材を用い、外径 F1がナット 24の 径（ ボルト頭の径) F2よりも大径 (F1 >F2)になった円筒状の本体部 21bと、円筒 軸方向両端部が、先端側ほど小径となって、その先端 21eの径 F3が前記ナット 24の 径と略同径 (F3 F2)になるよう設定された円錐台状部 21cとを一体に備えて形成さ れている。そしてマウントラバー 21の内周面は前述したようにカラー 22が揷通される 貫通孔 21aとなっている。さらに本体部 21bの外周面には、前記ブラケット取付け部 1 Idに設けた取付け孔 1 Ifに嵌入するための取付け溝 21dが周回り方向全周に亘っ て形成されている。そしてマウントラバー 21は、前記円錐台状部 21cの小径となった 先端 21eがインナパネル 16aに当接する状態でナット 24により緊締されている。しか も本実施の形態では、取付け溝 21dの溝底部の外径 F4が円錐台状部先端 21eの径 F3とほぼ同径（F3 F4)になっている。 [0012] 前記マウントラバー 21は、通常知られた加硫ゴムが採用される力 ゴム材としては 特に限定されず、天然ゴム（NR)、イソプレンゴム（IR)、ブタジエンゴム（BR)、スチレ ン—ブタジエン共重合ゴム（SBR)、アクリロニトリル—ブタジエン共重合ゴム（NBR) 、クロロプレンゴム（CR)、フッ素ゴム（FKM)、ブチノレゴム（IIR)、エチレン一プロピレ ン共重合ゴム（EPM)、エチレン プロピレン ジェン三元共重合ゴム（EPDM)、水 素化-トリルゴム（水素化 NBR)、シリコーンゴム、ェピクロロヒドリンゴム（CO、 ECO) 、多硫ィ匕ゴム (T)、ウレタンゴム (U)の単独または複数混合したものを例示することが できる。そしてこのゴム材に、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤、 シランカップリング剤、シリカ、カーボンブラック等の通常知られた添加剤を配合したも のをプレス加硫等の従来公知の方法により加硫して製造したマウントラバー 21を挙 げることができる。特に低騒音化を重視した場合にはブチルゴム、ワイパ作動音の低 騒音化とワイパのシステム剛性 (大きさ）との両立を考慮した場合はクロロプレンゴム が好適である。

さらにまた、マウントラバー 21の使用温度が、成形条件も考慮すると 35°C〜70°C、 好適には 40°C〜60°Cであり、その場合、マウントラバー 21を成形するゴム材の硬度 は 35〜65度、圧縮率は 0〜20%、好ましくは 1〜5%であることが好ましい。

[0013] 叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、電動モータ 1が取付けられ るブラケット 11は、マウントラバー 21を介して車両ボディであるインナパネル 16aに防 振的に取付けられることになるが、該マウントラバー 21は、ナット径よりも大径の本体 部 21bを有していて防振性能が優れたものでありながら、車両のボディ 16aに当接す る先端 21e側ほど小径となった円錐台状部 21cの該先端 21eがボディ側に当接する ことになり、この結果、マウントラバー 21のボディ側に当接してはいる力 ナット 24に よって緊締されない自由状態となる部分のない状態になることになつて電動モータの 作動により発生する振動がボディ側に伝達してしまうことが低減することになつて騒音 発生が抑制される。

[0014] しかもこのものでは、円錐台状部先端 21eの径力 ナット 24の径と略同径になって いるため、一段と高い防振機能を有するものになる。さらにまた、マウントラバー 21取 り付け溝 21dの径 F4および円錐台状部 21cが両側に同じようにして形成されている ため、天地違いが無く何れの側力 の組込みができることになつて組み付け性が向 上する。

し力もこのものでは、マウントラバー 21の取付け溝 21dの径 F4力 ボディ側に当接 する先端 21eの径 F3と略同径になっている結果、ブラケット 11の振動は、ボルト—ナ ット 23、 24による緊締部位の外側に外れた部位であって、し力も両端が円錐台状部 21cとなっていてヮッシャ 25やボディ側 16aに当接しないラバー部位を振動すること になるため、ブラケット 11が緊締部位まで入り込んだ状態で組付けられることがな ヽ ため、剛体部位での振動が低減し、一段と優れた振動防止性能を発揮することにな る。

[0015] 尚、本発明は前記実施の形態に限定されないものであることは勿論であって、保持 部材としてのナット ボルトは逆の緊締構造となっても良ぐまた円錐台状部を形成 する傾斜面としては、直線状でなく曲線状等、必要において適宜の形状を採用する ことができる。さらには、図 7に示す第二の実施の形態のようにポップナット 26を用い 、マウントラバー 21がボディ側 16aに直接当接しない状態で緊締するようにしたもの でもよい。

産業上の利用可能性

[0016] 以上のように、本発明に力かる電動機の取付け構造は、ワイパモータ等の電動機が 取付けられたケースフレームを保持するための板状のブラケットを、車両のボディ側 に取付けるための電動機の取付け構造として有用であり、特にブラケットに伝達され た振動がボディ側に伝わることによる騒音の発生を防止するのに適している。

Claims

請求の範囲

[1] 電動モータに一体的に取付けられたケースフレームを保持する板状のブラケットを

、マウントラバーを介して車両のボディに取付ける電動機の取付け構造であって、前 記マウントラバーは、前記ブラケットに保持される円筒状の本体部と、該本体部の円 筒軸の一方の端部に配され、前記車両のボディに接する側ほど小径になった円錐 台状部とを一体に備えて形成されていることを特徴とする電動機の取付け構造。

[2] 電動モータと、この電動モータに一体的に取付けられたケースフレームと、このケー スフレームを保持する板状のブラケットと、このブラケットと車両のボディの間に配置さ れたマウントラバーと、前記ブラケットと前記マウントラバーとを前記車両のボディに保 持する保持部材を備えている電動機の取付け構造であって、前記マウントラバーは、 前記ブラケットに保持される円筒状の本体部と、該本体部の円筒軸の一方の端部に 配され、前記車両のボディに接する側ほど小径になった円錐台状部とを一体に備え て形成され、前記保持部材は前記本体部と前記円錐台状部とを挿通して配置された 第一の緊締部材と、車両のボディに固定された第二の緊締部材とにより構成されて

V、ることを特徴とする電動機の取付け構造。

[3] 請求項 1または 2において、マウントラバーのボディ側当接面の径は、保持部材の ボディ側径と略同径であることを特徴とする電動機の取付け構造。