明 細 書
電子部品ハンドリング装置用のインサート、プッシャ、テストヘッド用のソケ ットガイドおよび電子部品ハンドリング装置
技術分野
[0001] 本発明は、電子部品ハンドリング装置で用いられるインサートおよびプッシャ、テスト ヘッドで用いられるソケットガイドならびに電子部品ハンドリング装置に関するもので ある。
背景技術
[0002] ICデバイス等の電子部品の製造課程では、最終的に製造された電子部品の試験 をするための試験装置が必要である。試験装置では、 ICデバイスが収納されるテスト トレイが用意されており、テストトレイには、インサートと呼ばれる ICデバイスの搭載具 が取り付けられる。従来のインサートは、図 12 (a)に示されるように、その中央部に IC デバイスを収納するための電子部品収納部 Aを備えているとともに、一方の端部に形 成された位置決め用の基準孔 Bと、他方の端部に形成された位置決め用のガイド孔 Cとを備えている。テストトレイでは、このようなインサートが例えば 32個装着され、各 インサートに ICデバイスを収納できるようになって 、る。
[0003] 試験装置では、テストトレイに取り付けられたインサートに ICデバイスを収納し、ハン ドラと称される電子部品ハンドリング装置によって当該テストトレィをテストヘッド上方 に搬送する。その後、テストトレイに装着された状態のインサートをテストヘッド上のソ ケットガイドに位置決めし、この状態でインサートに収納された各 ICデバイスをテスト ヘッド上のソケットにプッシャで押圧する。すると、 ICデバイスの接続端子とソケットの 接続端子とが電気的に接触する状態になり、試験用メイン装置 (テスタ)で試験が行 われる。試験が終了すると、各 ICデバイスは、電子部品ハンドリング装置によってテス トヘッドから搬出されて、試験結果に応じたトレイに載せ替えられ、良品や不良品など の各カテゴリへと仕分けられる。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] ところで、近年、一つのテストトレイに装着するインサートの数を 32個、 64個、さらに は 128個と増加させることによってより多くの被試験 ICデバイスを同時に試験できるよ うにし、これによりスループットを向上させることが行われている。ところが、一つのテス トトレイに装着するインサートの数を増加させると、テストトレイおよび電子部品ハンドリ ング装置が大型化する。装置が大型になると、装置の取り扱いが難しくなつたり、設 置スペースの確保が難しくなつて設置場所が制限されるおそれがある。
[0005] また、 ICデバイス収納部を複数有するインサートを用いることでテストトレイにおける 単位面積あたりの ICデバイスの搬入数を増加させ、これにより同時に試験できる被試 験 ICデバイスの数を増加させてスループットを向上させることが考えられる。具体的 には、図 12 (b)に示されるように、インサート中央部の電子部品収納部 Aの数を 2つ にするという方法である。ところが、この場合には、どうしても各インサートの大きさが 大型になる。 ICデバイスの試験では、 ICデバイスに熱ストレス (加熱または冷却)を与 えた状態で行う試験がある力 この試験においては、インサートが大型であるほど熱 膨張や熱収縮に起因してより大きな寸法変化が生ずる。大きな寸法変化が生ずると、 インサートに収納された ICデバイスのソケットに対する位置ずれが生じやすくなり、位 置ずれに起因したコンタクトミスが発生しやすくなる。
[0006] 本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、単位面積あたりの被試験電 子部品の同時測定数の増加によりスループットの向上または装置の小型化が図られ 、し力も、被試験電子部品の位置ずれに起因するコンタクトミスの発生を抑制し得る 電子部品ハンドリング装置用のインサートを提供すること、および当該インサートが用 いられた電子部品ハンドリング装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0007] 上記目的を達成するために、第 1に本発明は、被試験電子部品を収納し、その状 態でテストヘッドのコンタクト部に装着されるインサートであって、前記インサートの中 央部に形成された、当該インサートを位置決めする基準孔と、前記インサートの両端 部に形成された、当該インサートの前記基準孔に対する回転方向の位置ずれを抑止 する少なくとも 1つのガイド孔と、前記基準孔を挟む位置に配置された、被試験電子 部品を収納する少なくとも 2つの電子部品収納部と、を備えることを特徴とするインサ
ートを提供する (発明 1)。
[0008] 上記発明(発明 1)によれば、複数の電子部品収納部を相互に近づけて形成するこ とができ、単位面積あたりの被試験電子部品の同時測定数を増加させることができる ため、スループットの向上または装置の小型化を図ることができる。また、上記発明( 発明 1)によれば、電子部品収納部が基準孔を挟む位置に配置されているので、各 電子部品収納部を基準孔の近くに位置させることができる。前述したようにインサート の中央部に電子部品収納部を 2つ並べて形成すると(図 12 (b)参照)、基準孔に近 V、位置の電子部品収納部と、基準孔から離れた位置の電子部品収納部とが存在す ることになるが、上記発明(発明 1)によれば、このようなことがない。全ての電子部品 収納部が基準孔の近くに位置して 、ると、インサートの熱膨張や熱収縮に起因する 電子部品収納部の位置ずれが最小限に留められることとなる。また、上記インサート のガイド孔によって、インサートの基準孔に対する回転方向の位置ずれも抑止される 。したがって、上記発明(発明 1)によれば、被試験電子部品の位置ずれに起因する コンタクトミスの発生が抑制される。
[0009] 上記発明(発明 1)において、前記ガイド孔は、前記インサートの長手方向が長径と なる長孔になって 、ることが好ま U、 (発明 2)。ガイド孔が力かる形状となって 、ること により、熱膨張や熱収縮によってインサートに寸法変化が生じたとしても(特にインサ 一トの長手方向は短手方向よりも寸法変化は大きくなる)、ガイド孔にソケットガイドの ガイドブッシュや、プッシャのガイドピンを挿入させることができ、インサートとプッシャ およびソケットとを嵌合することができる。また、ガイド孔の幅方向に関しては、インサ ートは 2つのガイド孔によって係止され、インサートの基準孔を中心とする回転方向の 位置ずれが抑制される。
[0010] 上記発明(発明 1, 2)において、前記電子部品収納部は、テストヘッドのコンタクト 部に配設された、被試験電子部品の端子と電気的にコンタクトする接続端子を備え るソケットに対応する位置に設けられ、前記基準孔は、前記ソケットと当該インサートと を位置決めするために前記コンタクト部に固定されたソケットガイドの基準ブッシュに 嵌合する位置に設けられ、前記ガイド孔は、前記ソケットガイドのガイドブッシュに嵌 合する位置に設けられることが好ましい (発明 3)。
[0011] 上記発明(発明 3)において、前記インサートの両端部には、前記ソケットガイドに形 成された凸形状又は凹形状のガイド部に嵌合し、前記ソケットガイドに対する回転方 向の位置ずれを抑止することのできる、凹形状又は凸形状のガイド部が形成されて いてもよい (発明 4)。かかる発明(発明 4)によれば、インサートの 2つのガイド孔を、ソ ケットガイドのガイドブッシュの径よりも若干大き ヽ径で形成しても、インサートの回転 方向の位置ずれを防止することができるため、ガイド孔の形成に高い寸法精度を必 要としない。
[0012] 上記発明(発明 3, 4)において、前記電子部品収納部に収納された被試験電子部 品は、プッシャの押圧子により前記ソケットの接続端子に押圧され、前記インサートの 基準孔が嵌合する前記ソケットガイドの基準ブッシュの中空部には、前記プッシャの 基準ピンが挿入され、前記インサートのガイド孔が嵌合する前記ソケットガイドのガイ ドブッシュの中空部には、前記プッシャのガイドピンが挿入されることが好ましい (発 明 5)。
[0013] 第 2に本発明は、被試験電子部品を収納し、その状態でテストヘッドのコンタクト部 に装着されるインサートであって、被試験電子部品を収納する電子部品収納部を有 する複数のコア部と、前記複数のコア部をそれぞれ独立して遊動可能に保持する保 持部と、を備えることを特徴とするインサートを提供する (発明 6)。
[0014] 上記発明(発明 6)によれば、複数の電子部品収納部を相互に近づけて形成するこ とができ、単位面積あたりの被試験電子部品の同時測定数を増加させることができる ため、スループットの向上または装置の小型化を図ることができる。また、上記発明( 発明 1)によれば、各コア部は、保持部に遊動可能に保持されているため、インサート が熱膨張や熱収縮したとしても、各コア部を微小移動させながらその位置を適宜規 定することにより、電子部品収納部の位置ずれを最小限に留めることができる。
[0015] 上記発明(発明 6)において、前記各コア部には、テストヘッドのコンタクト部側に設 けられた個別位置決めピンと嵌合する位置に、個別位置決め孔が設けられているこ とが好ましい (発明 7)。かかる発明(発明 7)によれば、各コア部をテストヘッドのコンタ タト部に確実に位置決めすることができるため、被試験電子部品の位置ずれに起因 するコンタクトミスの発生を抑制することができる。
[0016] 上記発明(発明 6, 7)において、前記保持部には、テストヘッドのコンタクト部に固 定されたソケットガイドのガイドブッシュに嵌合する位置に、ガイド孔が形成されて 、る ことが好ましい (発明 8)。かかる発明(発明 8)によれば、保持部、ひいては各コア部を テストヘッドのコンタクト部に確実に位置決めすることができるため、被試験電子部品 の位置ずれに起因するコンタクトミスの発生を抑制することができる。
[0017] 上記発明(発明 1一 8)において、前記インサートには、当該インサートをテストトレイ に取り付けるための取付け用孔が少なくとも 2つ形成されており、前記インサートは、 前記取付け用孔において、前記テストトレイに設けられた取付け片に対して遊動可能 に取り付けられることが好ましい (発明 9)。かかる発明(発明 9)によれば、テストトレイ に取り付けられたインサートは、最初の段階で多少位置がずれていたとしても、ソケッ トガイドに強制的に嵌合されて位置決め保持され得る。
[0018] 第 3に本発明は、少なくとも 2つの電子部品収納部と基準孔とガイド孔とを備えたィ ンサートをテストヘッドのソケットに装着するにあたり、前記インサートを位置決めする ソケットガイドであって、前記ソケットに設けられて ヽる接続端子を前記ソケット上に搬 送されてきた被試験電子部品側に露出させる少なくとも 2つの窓孔と、前記インサート を位置決めするとき前記インサートの基準孔に挿入される基準ブッシュと、前記イン サートを位置決めするとき前記インサートのガイド孔に挿入されるガイドブッシュとを 備え、前記窓孔は前記基準ブッシュを挟む位置に配置されている、ことを特徴とする ソケットガイドを提供する (発明 10)。
[0019] 上記発明(発明 10)によれば、先に説明した発明(発明 1一 5)に係るインサートに 嵌合し得るソケットガイドを提供することができるので、インサートとソケットガイドとが 一対一で対応するようにテストヘッド上にソケットガイドを設置でき、インサートをソケッ トガイドに位置決めする際の位置決め精度の確保がより容易になる。そうなれば、ス ループットの向上または装置の小型化とともに、被試験電子部品の位置ずれに起因 するコンタクトミスの発生の抑制を図ることができる。
[0020] 第 4に本発明は、電子部品収納部を有する複数のコア部と前記複数のコア部をそ れぞれ独立して遊動可能に保持する保持部とを備えたインサートが装着される、テス トヘッドのコンタクト部の構造であって、前記コンタクト部には、前記インサートの前記
各コア部に設けられた個別位置決め孔と嵌合し得る個別位置決めピンと、前記イン サートの前記保持部に設けられたガイド孔と嵌合し得るガイドブッシュとが設けられて
V、ることを特徴とするコンタクト部の構造を提供する (発明 11)。
[0021] 上記発明(発明 11)によれば、先に説明した発明(発明 6— 8)に係るインサートに 嵌合し得るコンタクト部を提供することができるので、インサートをコンタクト部に位置 決めする際の位置決め精度の確保がより容易になる。そうなれば、スループットの向 上または装置の小型化とともに、被試験電子部品の位置ずれに起因するコンタクトミ スの発生の抑制を図ることができる。
[0022] 第 5に本発明は、基準孔およびガイド孔を備えたインサートに収納された被試験電 子部品をテストヘッドのコンタクト部に押圧する電子部品ハンドリング装置のプッシャ であって、被試験電子部品を前記コンタクト部に押し付ける少なくとも 2つの押圧子と 、押圧時にインサートの基準孔に挿入されて位置決めをする基準ピンと、押圧時にィ ンサートのガイド孔に挿入されて位置決めをするガイドピンとを備え、前記押圧子は 前記基準ピンを挟む位置に配置されている、ことを特徴とするプッシャを提供する (発 明 12)。
[0023] 上記発明(発明 12)によれば、先に説明した発明(発明 1一 5)〖こ係るインサートの 電子部品収納部と同数の押圧子を有するプッシャを提供することができるので、イン サートとプッシャとが一対一で対応するように電子部品ハンドリング装置にプッシャを 設置することができる。
[0024] 第 6に本発明は、複数の被試験電子部品をインサートに収納してテストヘッドのコン タクト部に搬送し電気的に接続させて試験を行う電子部品ハンドリング装置であって 、前記インサート (発明 1一 9)を備えることを特徴とする電子部品ハンドリング装置を 提供する (発明 13)。
[0025] 上記発明(発明 13)においては、被試験電子部品を収納した複数の前記インサー トを所定の温度に加熱又は冷却した状態を維持するテストチャンバと、前記インサー トに収納された被試験電子部品をテストヘッドのコンタクト部に押圧する複数のプッシ ャと、前記複数のプッシャが前記複数のインサートに収納された被試験電子部品を 一括して押圧し得るように、前記複数のプッシャを保持し駆動する駆動装置と、を備
えることが好ましい (発明 14)。
発明の効果
[0026] 本発明の電子部品ハンドリング装置用インサート、プッシャ、テストヘッド用のソケッ トガイドおよび上記インサートが用いられた電子部品ハンドリング装置によれば、単位 面積あたりの被試験電子部品の同時測定数を増力!]させてスループットの向上または 装置の小型化を図ることができ、しかも、被試験電子部品の位置ずれに起因するコン タクトミスの発生が抑制される。
発明を実施するための最良の形態
[0027] 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第 1の実施形態〕
図 1は本発明の一実施形態に係る電子部品ハンドリング装置 (以下「ノ、ンドラ」という 。)を含む ICデバイス試験装置の全体側面図、図 2は同実施形態に係るハンドラの斜 視図、図 3は同実施形態に係るハンドラのテストチャンバ内の要部断面図、図 4は、 ハンドラで用いられるテストトレィを示す分解斜視図、図 5は同実施形態に係るハンド ラにおけるソケット付近の構造を示す分解斜視図、図 6は同実施形態に係るハンドラ におけるプッシャの部分断面図である。
[0028] まず、本発明の実施形態に係るハンドラを備えた ICデバイス試験装置の全体構成 について説明する。
[0029] 図 1に示すように、 ICデバイス試験装置 10は、ハンドラ 1と、テストヘッド 5と、試験用 メイン装置 6とを有する。ハンドラ 1は、試験すべき ICデバイス (電子部品の一例)をテ ストヘッド 5に設けたソケットに順次搬送し、試験が終了した ICデバイスをテスト結果 に従って分類して所定のトレイに格納するという動作を実行する。
[0030] テストヘッド 5に設けたソケットは、ケーブル 7を通じて試験用メイン装置 6に電気的 に接続してあり、ソケットに脱着可能に装着された ICデバイスをケーブル 7を通じて試 験用メイン装置 6に接続し、試験用メイン装置 6からの試験用電気信号により ICデバ イスをテストする。
[0031] ハンドラ 1の下部には、主としてハンドラ 1を制御する制御装置が内蔵してあるが、 一部に空間部分 8が設けてある。この空間部分 8に、テストヘッド 5が交換自在に配置
してあり、ハンドラ 1に形成した貫通孔を通して ICデバイスをテストヘッド 5上のソケット に装着することが可能になって 、る。
[0032] このハンドラ 1は、試験すべき電子部品である ICデバイスを、常温よりも高い温度状 態(高温)または低い温度状態 (低温)で試験するための装置である。そして、ハンド ラ 1は、図 2に示すように、恒温槽 101とテストチャンバ 102と除熱槽 103とで構成され るチャンバ 100を有する。図 1に示すテストヘッド 5の上部は、図 3に示すようにテスト チャンバ 102の内部に挿入され、そこで ICデバイス 2の試験が行われるようになって いる。
[0033] 図 2に示すように、本実施形態のハンドラ 1は、これ力も試験を行う ICデバイスを格 納し、また試験済の ICデバイスを分類して格納する IC格納部 200と、 IC格納部 200 力も送られる被試験 ICデバイスをチャンバ部 100に送り込むローダ部 300と、テスト ヘッドを含むチャンバ部 100と、チャンバ部 100で試験が行われた試験済の ICを取り 出して分類するアンローダ部 400とから構成されて 、る。
[0034] ハンドラ 1にセットされる前の ICデバイスは、図示しないカスタマトレィ内に多数収納 してあり、その状態で、図 2に示すノヽンドラ 1の IC収納部 200へ供給される。 ICデバイ スは、ここで、カスタマトレイカもハンドラ 1内での搬送に用いられる後述のテストトレイ TST (図 4参照)に載せ替えられる。ハンドラ 1の内部では、図 3に示すように、 ICデバ イスは、テストトレイ TSTに載せられた状態で移動し、高温または低温の温度ストレス が与えられ、適切に動作するか否か試験 (検査)され、当該試験結果に応じて分類さ れる。
[0035] 以下、ハンドラ 1の内部について、個別に詳細に説明する。
[0036] 第 1に、 IC格納部 200に関連する部分について説明する。
図 2に示すように、 IC格納部 200には、試験前の ICデバイスを格納する試験前 IC ストッカ 201と、試験の結果に応じて分類された ICデバイスを格納する試験済 ICスト ッカ 202とが設けてある。
[0037] これらの試験前 ICストッカ 201および試験済 ICストッカ 202は、枠状のトレィ支持枠
203と、このトレィ支持枠 203の下部から侵入して上部に向力つて昇降可能とするェ レベータ 204とを具備している。トレイ支持枠 203には、カスタマトレイが複数積み重
ねられて支持され、この積み重ねられたカスタマトレイのみがエレベータ 204によって 上下に移動される。
[0038] 図 2に示す試験前 ICストッカ 201には、これ力も試験が行われる ICデバイスが収納 されたカスタマトレイが積層されて保持してある。また、試験済 ICストッカ 202には、試 験を終えて分類された ICデバイスが収納されたカスタマトレイが積層されて保持して ある。
[0039] 第 2に、ローダ部 300に関連する部分について説明する。
試験前 ICストッカ 201に格納してあるカスタマトレィは、図 2に示すように、 IC格納部 200と装置基板 105との間に設けられたトレイ移送アーム 205によって、装置基板 10 5の下側からローダ部 300の窓部 306に運ばれる。そして、このローダ部 300におい て、カスタマトレイに積み込まれた被試験 ICデバイスを、 X— Y搬送装置 304によって ー且プリサイサ(preciser) 305に移送し、ここで被試験 ICデバイスの相互の位置を修 正した後、さらにこのプリサイサ 305に移送された被試験 ICデバイスを再び X— Y搬送 装置 304を用いて、ローダ部 300に停止して!/、るテストトレイ TSTに積み替える。
[0040] カスタマトレイカもテストトレイ TSTにへと被試験 ICデバイスを積み替える X-Y搬送 装置 304は、図 2に示すように、装置基板 105の上部に架設された 2本のレール 301 と、この 2本のレール 301によってテストトレイ TSTとカスタマトレイとの間を往復する( この方向を Y方向とする)ことができる可動アーム 302と、この可動アーム 302によつ て支持され、可動アーム 302に沿って X方向に移動できる可動ヘッド 303とを備えて いる。
[0041] この X— Y搬送装置 304の可動ヘッド 303には、吸着ヘッドが下向に装着されており
、この吸着ヘッドによって、カスタマトレイカも被試験 ICデバイスを吸着し、その被試 験 ICデバイスをテストトレイ TSTに積み替える。
[0042] 第 3に、チャンバ 100に関連する部分について説明する。
上述したテストトレイ TSTにはローダ部 300にて被試験 ICデバイスが積み込まれる
。その後、テストトレイ TSTはチャンバ 100に送り込まれ、ここでテストトレイ TSTに搭 載された状態の各被試験 ICデバイスはテストされる。
[0043] 図 2に示すように、チャンバ 100は、テストトレイ TSTに積み込まれた被試験 ICデバ
イスに目的とする高温または低温の熱ストレスを与える恒温槽 101と、この恒温槽 10 1で熱ストレスが与えられた状態にある被試験 ICデバイスがテストヘッド上のソケット に装着されるテストチャンバ 102と、テストチャンバ 102で試験された被試験 ICデバイ スから、与えられた熱ストレスを除去する除熱槽 103とで構成されて 、る。
[0044] 除熱槽 103では、恒温槽 101で高温を印加した場合は、被試験 ICデバイスを送風 により冷却して室温に戻し、また恒温槽 101で低温を印加した場合は、被試験 ICデ バイスを温風またはヒータ等で加熱して結露が生じな!/、程度の温度まで戻す。そして 、この除熱された被試験 ICデバイスをアンローダ部 400に搬出する。
[0045] 図 3に示すように、テストチャンバ 102の下部には、テストヘッド 5が配置されている。
ICデバイス 2が収納されたテストトレイ TSTは、このテストヘッド 5の上に運ばれる。テ ストヘッド 5では、テストトレイ TSTに収納された全ての ICデバイス 2を順次テストへッ ド 5に電気的に接触させ、テストトレイ TST内の全ての ICデバイス 2について試験を 行う。そして、試験が終了すると、テストトレイ TSTは、除熱槽 103で除熱され、 ICデ バイス 2の温度を室温に戻したのち、図 2に示すアンローダ部 400に排出される。
[0046] また、図 2に示すように、恒温槽 101と除熱槽 103の上部には、装置基板 105から テストトレイ TSTを送り込むための入口用開口部と、装置基板 105へテストトレイ TST を送り出すための出口用開口部とがそれぞれ形成してある。装置基板 105には、こ れら開口部力もテストトレイ TSTを出し入れするためのテストトレイ搬送装置 108が装 着してある。これら搬送装置 108は、例えば回転ローラなどで構成してある。この装置 基板 105上に設けられたテストトレイ搬送装置 108によって、除熱槽 103から排出さ れたテストトレイ TSTは、アンローダ部 400に搬送される。
[0047] 図 4に示されるように、テストトレイ TSTは、矩形フレーム 12を有し、フレーム 12内に は複数の桟 (さん) 13が平行かつ等間隔に設けてある。これら桟 13の両側と、これら 桟 13と平行なフレーム 12の辺 12aの内側とには、それぞれ複数の取付け片 14が長 手方向に等間隔に突出して形成してある。これら桟 13の間、および桟 13と辺 12aと の間に設けられた複数の取付け片 14の内の向力 、合う 2つの取付け片 14によって、 各インサート収納部 15が構成されている。
[0048] 各インサート収納部 15には、それぞれ 1個のインサート 16が収納されるようになつ
ており、このインサート 16は、取付け用孔 21においてファスナ 17を用いて 2つの取付 け片 14にフローティング状態で取り付けられている。本実施形態において、インサー ト 16は、 1つのテストトレイ TSTに 4 X 16個取り付けられるようになつている。このイン サート 16に被試験 ICデバイス 2を収納することで、テストトレイ TSTに被試験 ICデバ イス 2を積み込むことができるようになる。
[0049] 図 5に示すように、インサート 16は、その中央部に、後述するソケットガイド 41の基 準ブッシュ 41 laが挿入される円形の基準孔 20aを備えて 、る。基準孔 20aの両側に は、平面視略矩形の IC収納部 19が 1つずつ形成されている。つまり、 2つある IC収 納部 19は基準孔 20aを挟む位置に配置されている。そして、基準孔 20aの位置は、 より正確には両 IC収納部 19の中間位置である。
[0050] また、インサート 16の両端中央部には、温度ストレス下でもソケットガイド 41のガイド ブッシュ 411bが挿入されるように、熱膨張'熱収縮を考慮して小判形の長孔力 なる ガイド孔 20bが形成されている。各ガイド孔 20bは、図 5に示すように、インサート 16 の長手方向が長径となるように小判形に形成されている。ガイド孔 20bをこのような形 状にしておくと、熱膨張や熱収縮によってインサート 16に寸法変化が生じたとしても、 ガイド孔 20bにソケットガイド 41のガイドブッシュ 41 lbや、図 6に示すプッシャ 30のガ イドピン 35bを挿入させることができ、基準孔 20aを基準としつつ、当該基準孔 20aと ガイド孔 20bによってインサート 16とプッシャ 30およびソケット 40とを嵌合することが できる。
[0051] そして、各ガイド孔 20bに隣接する位置には、インサート 16をテストトレイ TSTに取 り付けるときに用いられる取付け用孔 21が形成されている。
[0052] 上記のように、 1つのインサート 16に IC収納部 19を 2つ形成すると、基準孔 20aな どの位置決め手段を設けるスペースを複数の IC収納部 19で共用できるので、テスト トレイ TSTにおける単位面積あたりの ICデバイス 2の収納数が増加する。例えば、図 7 (a)に示すテストトレィは、 IC収納部 19を 2つ有する本実施形態のインサート 16が 装着されるテストトレイであり、図 7 (b)に示すテストトレィは、 IC収納部を 1つだけ有す る従来のインサート 16が装着されるテストトレイである。いずれのテストトレイとも、装着 できるインサートの数は 64個(=4行 X 16列)と同じであるが、搬送できる ICデバイス
の数は IC収納部 19を 2つ有するインサートが装着される前者のテストトレイの方が 2 倍の 128個となる。他方、各インサートの占有面積を比較すると、縦寸法は前者のテ ストトレイの方が 114mm大きい(従来比で 1. 39倍で済む)が、幅寸法はほぼ等しい 。したがって、本実施形態のテストトレイ TSTによれば、 ICデバイス 2を高密度で搭載 することができる。このように、テストトレイ TSTにおける単位面積あたりの ICデバイス 2の収納数が増加する結果、スループットが向上することとなり、試験効率が向上する
[0053] 図 5に示すように、テストヘッド 5の上にはソケットボード 50が配置されており、その 上には、複数のソケット 40が 2つずつ隣接するようにして固定されている。各ソケット 4 0は接続端子であるプローブピン 44を有する。プローブピン 44は図外のスプリングに よって上方に向けてパネ付勢されている。そして、プローブピン 44の数およびピッチ は、試験対象である ICデバイス 2の接続端子の数およびピッチに対応して 、る。
[0054] また、ソケットボード 50の上にはソケットガイド 41が固定されている。ソケットガイド 4 1は、その中央部に、インサート 16の基準孔 20aに挿入される基準ブッシュ 41 laを 有する。そして、基準ブッシュ 41 laの両側には、ソケット 40のプローブピン 44を上側 に露出させる窓孔 410が 1つずつ形成されている。つまり、ソケットガイド 41は 1つの インサート 16における IC収納部 19の数に対応する数の窓孔 410を有しており、 2つ ある窓孔 410は基準ブッシュ 41 laを挟む位置に配置されている。また、基準ブッシュ 41 laの位置は、より正確には 2つある窓孔 410の中間位置である。
[0055] ソケットガイド 41の両端中央部には、それぞれ、インサート 16のガイド孔 20bに挿入 されるガイドブッシュ 41 lbが設けられており、各ガイドブッシュ 41 lbに隣接する位置 には、後述するプッシャ 30の下方移動限界を規定するストッパ部 412が 2つずつ、都 合 4つ形成されている。
[0056] ここで、インサート 16の基準孔 20aは、ソケットガイド 41の基準ブッシュ 41 laとの嵌 合において、両者間でがたつきが無いように形成される。一方、インサート 16の 2つ の小判形のガイド孔 20bは、ソケットガイド 41のガイドブッシュ 41 lbとの嵌合にお!ヽ て、インサート 16の長手方向についてはガイドブッシュ 411bとの間に隙間が存在す るように、インサート 16の短手方向についてはガイドブッシュ 41 lbとの間でがたつき
が生じな!/、程度の孔幅で形成される。
[0057] テストヘッド 5の上方には、試験対象である ICデバイス 2をソケット 40に押し付けるプ ッシャ 30が設けられている。図 6に示すように、プッシャ 30は、板状のプッシャベース 31と、プッシャベース 31の上に設けられた上部ブロック 32とを備えており、プッシャ ベース 31の下面中央部には、下方に延びる基準ピン 35aが設けられている。この基 準ピン 35aはインサート 16の基準孔 20aに挿入されるものである。そして、基準ピン 3 5aの両側には、押圧子 33が 1つずつ形成されている。このように、プッシャ 30は 1つ のインサート 16における IC収納部 19の数に対応する数の押圧子 33を有しており、 2 つある押圧子 33は基準ピン 35aを挟む位置に配置されて 、る。基準ピン 35aの位置 は、より正確には 2つある押圧子 33の中間位置である。
[0058] また、プッシャベース 31の下面の両端中央部には、それぞれ、下方に延びるガイド ピン 35bが設けられている。このガイドピン 35bは、インサート 16のガイド孔 20bに揷 入されるものであり、各ガイドピン 35bに隣接する位置には、プッシャ 30の下降移動 の限界位置を規定するストッパピン 36が 2つずつ、都合 4つ形成されている。
[0059] このプッシャ 30は、図 3に示すように、上部ブロック 32の上端周縁部がマッチプレー ト 60の開口周縁部に係合することにより、マッチプレート 60に保持される。このマッチ プレート 60は、テストヘッド 5の上部に位置するように、かつプッシャ 30とソケット 40と の間にテストトレイ TSTが挿入可能となるように駆動プレート 72に支持されている。か 力るマッチプレート 60に保持されたプッシャ 30は、テストヘッド 5方向および駆動プレ ート 72方向、すなわち Z軸方向に移動自在となっている。
[0060] そして、駆動プレート 72の下面には、プッシャ 30の上部ブロック 32の上面を押圧可 能なように、押圧部 74が固定されている。駆動プレート 72には駆動軸 78が固定して あり、駆動軸 78にはモータ等の駆動源(図示せず)が連結してあり、駆動軸 78を Z軸 方向に沿って上下移動させることができるようになって!/、る。
[0061] なお、チャンバ 100において、テストトレイ TSTは、図 3における紙面直交方向(X軸 )から、プッシャ 30とソケット 40との間に搬送されるものである。チャンバ 100内部での テストトレイ TSTの搬送手段としては、搬送用ローラなどが用いられる。テストトレイ TS Tの搬送移動に際しては、 Z軸駆動装置 70の駆動プレートは、 Z軸方向に沿って上
昇しており、プッシャ 30とソケット 40との間には、テストトレイ TSTが挿入される十分な 隙間が形成してある。
[0062] また、本実施形態では、上述したように構成されたチャンバ 100において、図 3に示 すように、テストチャンバ 102を構成する密閉されたケーシング 80の内部に、温度調 節用送風装置 90が装着してある。温度調節用送風装置 90は、ファン 92と、熱交換 部 94とを有し、ファン 92によりケーシング内部の空気を吸い込み、熱交換部 94を通 してケーシング 80の内部に吐き出して循環させることで、ケーシング 80の内部を、所 定の温度条件(高温または低温)にする。
[0063] 第 4に、アンローダ部 400に関連する部分について説明する。
図 2に示すアンローダ部 400にも、ローダ部 300に設けられた X— Y搬送装置 304と 同一構造の X—Y搬送装置 404, 404力 S設けられ、この X—Y搬送装置 404, 404によ つて、アンローダ部 400に運び出されたテストトレイ TST力も試験済の ICデバイスが カスタマトレイに積み替えられる。
[0064] アンローダ部 400の装置基板 105には、当該アンローダ部 400へ運ばれたカスタ マトレイが装置基板 105の上面に臨むように配置される一対の窓部 406, 406力ニ 対開設してある。
[0065] それぞれの窓部 406の下側には、カスタマトレィを昇降させるためのエレベータ 20 4が設けられており、ここでは試験済の被試験 ICデバイスが積み替えられて満杯にな つたカスタマトレィを載せて下降し、この満杯トレィをトレイ移送アーム 205に受け渡 す。
[0066] 次に、以上説明した ICデバイス試験装置 10において、 ICデバイス 2を試験する方 法について説明する。
[0067] ICデバイス 2は、テストトレイ TSTに搭載された状態、すなわち、図 5に示すインサ ート 16の IC収納部 19に落とし込まれた状態で、恒温槽 101にて所定の設定温度に 加熱され、その後、図 3に示すテストチャンバ 102内に搬送されてくる。
[0068] テストチャンバ 102に搬入されたテストトレイ TSTがテストヘッド 5上で停止すると、 Z 軸駆動装置 70が駆動し、駆動プレート 72に固定された押圧部 74がプッシャ 30を下 降移動させる。すると、プッシャ 30の基準ピン 35aがインサート 16の基準孔 20aおよ
びソケットガイド 41の基準ブッシュ 411aに挿入されるとともにプッシャ 30の 2本のガイ ドビン 35bが対応するインサート 16のガイド孔 20bおよびソケットガイド 41のガイドブ ッシュ 4 l ibに挿入される。それと同時に、インサート 16の基準孔 20aにソケットガイド 41の基準ブッシュ 411aが挿入されるとともにインサート 16のガイド孔 20bにソケット ガイド 41のガイドブッシュ 41 lbが挿入される。ソケットガイド 41はソケット 40に対して 位置決めされたものであるので、ここで説明した動作の結果、プッシャ 30、インサート 16およびソケット 40が相互に位置決めされる。
[0069] そして、プッシャ 30の押圧子 33は、 ICデバイス 2のパッケージ本体をソケット 40側 に押し付け、その結果、 ICデバイス 2の外部端子がソケット 40のプローブピン 44に接 続される。
[0070] ここで、インサート 16に収納された ICデバイス 2は、チャンバ部 100にて加熱(冷却 )されるので、インサート 16は熱膨張 (熱収縮)によって寸法変化する。しかし、本実 施形態のインサート 16のように、 2つの IC収納部 19のいずれもが基準孔 20aに隣接 する位置に形成されているものでは、仮に寸法変化が生じたとしても、 IC収納部 19 の位置ずれが最小限に抑制される。この結果、 ICデバイス 2の接続端子とソケット 40 のプローブピン 44とを接続できる位置関係が確保されるので、 IC収納部 19の数を増 やしたにも拘らず、位置ずれに起因するコンタクトミスが発生しやすくなる、ということ がない。他方、図 12 (b)に示されるように、インサートの中央部に電子部品収納部 A を 2つ並べて形成したインサートでは事情が異なる。このインサートでは、基準孔 Bに 近!、位置 (距離 X)の電子部品収納部 Aと、基準孔 Bから離れた位置 (距離 の電子 部品収納部 Aとが存在する。この場合、基準孔 Bから離れた電子部品収納部 Aでは 、熱膨張や熱収縮に起因してより大きな位置ずれが発生するので、位置ずれに起因 するコンタクトミスが発生しやすくなる。
[0071] また、インサート 16の 2つの小判形のガイド孔 20bの長手方向は、ソケットガイド 41 のガイドブッシュ 41 lbとの間に隙間が存在するように形成されて!、るため、両者間で 熱膨張の違 、が生じてもガイド孔 20bとガイドブッシュ 41 lbとは嵌合することができる 。一方、小判形のガイド孔 20bの短手方向は、ガイドブッシュ 41 lbとの間でがたつき が生じない程度の孔幅で形成されているため、インサート 16は 2つのガイド孔 20bに
よって係止され、インサート 16の基準孔 20aを中心とする回転方向の位置ずれが解 消できる。この結果、 ICデバイス 2の外部端子と、対応するプローブピン 44との回転 方向の位置ずれに伴うコンタクトミスが低減される。
[0072] さらに、インサート 16は、テストトレイ TSTに対してフローティング状態で取り付けら れているので、インサート 16は微小に遊動可能となっている。この結果、テストトレイ T ST上に存在する多数のインサート 16は、各々対応するソケットガイド 41の基準ブッ シュ 41 laに強制的に嵌合されて位置決め保持される。したがって、基準ブッシュ 41 1 aに隣接配置された 2つの IC収納部 19も、各々対応するソケット 40に適正に位置 決めされた状態になる。これによれば、テストチャンバ 102の設定温度 (例えば 30 °C一 + 120°C)の変更等に伴って生じるソケットボード 50群の全体寸法が変動しても 、インサート 16とソケットガイド 41とは互いに嵌合され、 2つの IC収納部 19に収納さ れる各々の ICデバイス 2は、対応するソケット 40のプローブピン 44に的確にコンタクト することができる。
[0073] 上記の状態で、試験用メイン装置 6からテストヘッド 5のプローブピン 44を介して被 試験 ICデバイス 2に対して試験用電気信号を供給する。 ICデバイス 2から出力される 応答信号は、テストヘッド 5を通じて試験用メイン装置 6に送られ、これにより ICデバイ ス 2の良否判定が行われる。
[0074] ICデバイス 2の試験が終了したら、 Z軸駆動装置 70が駆動し、マッチプレート 60 (プ ッシャ 30)を上昇させる。そして、 X-Y搬送装置 404は、テストトレイ TSTに搭載され た試験済みの ICデバイス 2を搬送し、試験結果に従ってカスタマトレイに格納する。
[0075] 〔第 2の実施形態〕
次に、本発明の第 2の実施形態に係るインサートに関して説明する。
図 10は本発明の第 2の実施形態に係るインサート、プッシャ、ソケットおよびソケット ガイドの斜視図、図 11は同実施形態に係るインサートの斜視図である。
[0076] 図 10および図 11に示すように、本実施形態に係るインサート 516は、 4個のインサ ートコア 518 (本発明のコア部に該当)と、それら 4個のインサートコア 518を遊動可能 に保持するトレイインサート 517 (本発明の保持部に該当)とを備えてなる。
[0077] 図 10に示すように、各インサートコア 518は、 1つの IC収納部 519を有するとともに
、IC収納部 519に収納した ICデバイスを揺動可能なラッチ部材 531によって保持ま たは解放するラッチ機構を有する。各 IC収納部 519の底板部には、後述するソケット 540に設けられた 2本の個別位置決めピン 550に嵌合し得る 2つの個別位置決め孔 551が形成されている。なお、本実施形態のインサートコア 518は、 SOPタイプの IC デバイスに対応した形状となっている力 これに限定されるものではない。
[0078] また、各インサートコア 518には、 2本のシャフト 532が摺動可能に貫通しており、そ れらシャフト 532はトレイインサート 517に対して遊びのある状態で取り付けられる。か 力る構造により、各インサートコア 518は、微小に遊動可能にトレイインサート 517に 係止される。ただし、インサートコア 518の遊動機構は、上記構造に限定されるもので はない。
[0079] トレイインサート 517の両端中央部には、円形のガイド孔 520が形成されている。こ のトレイインサート 517は、上記実施形態におけるインサート 16と同様にして、図 4に 示すテストトレイ TSTに遊動可能に取り付けられる。
[0080] テストヘッドのソケットボード上には、複数のソケット 540力 つずつ隣接するようにし て固定されている。図 10に示すように、各ソケット 540は、 ICデバイスの外部端子に 対応する接続端子 441を有するとともに、上記インサートコア 518に形成された個別 位置決め孔 551に挿入される個別位置決めピン 550を 2本ずつ備えている。
[0081] ソケット 540の周囲には、ソケットガイド 541が固定されている。本実施形態における ソケットガイド 541は、開口している 2つの窓孔を備えており、各窓孔から 2個ずつのソ ケット 540が露出している。そして、ソケットガイド 541の長手方向の両端中央部には 、上記トレイインサート 517のガイド孔 520に挿入されるガイドブッシュ 542が設けられ ている。
[0082] 被試験 ICデバイスをソケット 540に押し付けるためのプッシャのプッシャベース 600 は、 4つのソケット 540に対応する位置に 4つの押圧子 633を備えている。この押圧子 633は、所望により、個別に遊動可能なようにそれぞれフローティング状態でプッシャ ベース 600に取り付けられてもよい。これにより、熱膨張や熱収縮が生じたとしても、 確実に被試験 ICデバイスを押圧することが可能となる。また、プッシャベース 600の 下面の両端中央部には、トレイインサート 517のガイド孔 520に挿入されるガイドピン
635力設けられている。
[0083] 試験時には、トレイインサート 517のガイド孔 520にソケットガイド 541のガイドブッシ ュ 511が挿入され、プッシャベース 600に設けられたガイドピン 635がソケットガイド 5 41のガイドブッシュ 511に挿入され、それぞれの部材が嵌合した状態となる。このとき プッシャは、ガイドピン 635がソケットガイド 541のガイドブッシュ 511に挿入されること により、概略の位置決めがされる。
[0084] ここで、トレイインサート 517のガイド孔 520は、各部材の温度変化に伴う熱膨張を 考慮してソケットガイド 541のガイドブッシュ 511との間に僅かに隙間が存在するよう な大きさで形成されている。したがって、上記嵌合時に、トレイインサート 517とソケッ トガイド 541とは概略の位置決めがされた状態となる。
[0085] 一方で、 4つのインサートコア 518と、それらに対向する 4つのソケット 540とは、イン サートコア 518の個別位置決め孔 551と、ソケット 540の個別位置決めピン 550との 嵌合によって、インサートコア 518が微小移動されてソケット 540に対して位置決めさ れる結果、各 ICデバイスの外部端子とソケット 540の接続端子 441とを確実にコンタ タトさせることができる。したがって、温度変化に伴って各部材に熱膨張が発生したと しても、良好なコンタクトを実現することができる。
[0086] 以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであ つて、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態 に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物を も含む趣旨である。
[0087] 例えば、第 1の実施形態に係るインサート 16において基準孔 20aを挟む一方側の I C収納部 19の数は、必ずしも 1つである必要はなぐ図 8 (a) , (b)に示されるように、 2つでもよい。この場合には、より高密度で ICデバイスをテストトレイに搭載することが できる。また、位置ずれの許容量の大きな ICデバイスの場合には、基準孔 20aを挟 む一方側の IC収納部 19の数は、図 8 (c)に示されるように 3つでもよい。さらに、図 8 ( d)に示されるように、インサート 16の基準孔 20aに隣接する位置に、さらに別の IC収 納部 190を形成してもよい。この場合には、さらに高密度で ICデバイスをテストトレイ に搭載することができる。
[0088] インサートの IC収納部の形成パターンに関するこのようなバリエーションの考え方は 、ソケットガイドに窓孔を形成する場合や、プッシャに押圧子を設ける場合にも適用で きる。すなわち、ソケットガイドにおいて基準ブッシュを挟む一方側の窓孔の数は、 2 つまたは 3つであってもよぐソケットガイドの基準ブッシュに隣接する位置に、さらに 別の窓孔を形成してもよい。そして、プッシャにおいて基準ピンを挟む一方側の押圧 子の数も、 2つまたは 3つであってもよぐプッシャの基準ピンに隣接する位置に、さら に別の押圧子を設けてもよ!、。
[0089] また、インサート 16とソケットガイド 41との位置決めにおいては、インサート 16のガイ ド孔 20bおよびソケットガイド 41のガイドブッシュ 411をそれぞれ 1つとしてもよぐかか る構造によってもインサート 16とソケットガイド 41との位置決めが実用的に可能である 。この場合には、インサート 16の一方のガイド孔 20bおよびソケットガイド 41の一方の ガイドブッシュ 41 lbを省略でき、より一層小型化が図れる結果、更に高密度で ICデ バイス 2をテストトレイに搭載でき、し力もより安価にそれを実現することができる。
[0090] また、第 1の実施形態では、インサート 16の基準孔 20aの形状は円形としたが(図 5 参照)、インサート 16の短手方向に関しては、ガイド孔 20bにてソケットガイド 41のガ イドブッシュ 41 lbにより係止されるため、インサート 16の基準孔 20aは、少なくともィ ンサート 16の長手方向の位置を位置決めすれば足りる。したがって、インサート 16の 基準孔 20aは、所望により、インサート 16の長手方向については基準ブッシュ 41 la との間でがたつきが生じない孔幅となっており、インサート 16の短手方向については 基準ブッシュ 411aとの間に隙間が存在するような、小判状の長孔としてもよい。この 場合には、より容易にインサート 16を嵌脱することができる。
[0091] また、インサート 16とソケットガイド 41とは、図 9に示すような構造で嵌合させてもよ い。図 9に示す例では、ソケットガイド 41には、平面視において 2つのガイドブッシュ 4 1 lbの中心を通過する中心線上の両端部位に、側面視逆三角形状の凹状のガイド 凹溝 418a, 418bを形成する。そして、インサート 16には、ソケットガイド 41のガイド 凹溝 418a, 418bに対応する位置に、逆三角形状の凸状のガイド凸部 28a, 28bを 形成する。
[0092] 上記構造によれば、インサート 16とソケットガイド 41とは、それらの嵌合時に、インサ
ート 16のガイド凸咅 28a, 28bとソケットガイド 41のガイド四溝 418a, 418bと力 ^係合 し、両者により案内されながら嵌合される。これにより、インサート 16とソケットガイド 41 との両者間で熱膨張率の差異があっても、両者の位置決めは影響を受け難ぐイン サートの基準孔 20aを中心とする回転方向の位置ずれが解消できる。この結果、 IC デバイス 2の外部端子と対応するプローブピン 44の回転方向の位置ずれによるコン タクトミスが低減できる。
[0093] 上記の場合、インサート 16のガイド孔 20bは、小判形ではなぐソケットガイド 41の ガイドブッシュ 41 lbの径よりも若干大きな径の円形とすることができる。
[0094] さらに、第 2の実施形態に係るインサート 516は、 4個のインサートコア 518を備える ものであるが、これに限定されるものではなぐ例えば、 2個、 6個、 8個等のように、少 なくとも 2個のインサートコア 518を備えるものであればよぐそれにより本発明の目的 を達成することができる。
[0095] また、第 2の実施形態に係るインサート 516のインサートコア 518では、 IC収納部 5 19の底板部に個別位置決め孔 551を形成した力 これに限定されるものではなぐ 例えば、各インサートコア 518の角部底面側に凹状の穴を形成してもよい。この場合 には、 BGAタイプ等の ICデバイスにも対応することができる。なお、この場合には、 個別位置決めピン 550はソケットガイド 541に設けられることとなる。
産業上の利用可能性
[0096] 本発明の電子部品ハンドリング装置用インサート、プッシャ、テストヘッド用のソケッ トガイドおよび上記インサートが用いられた電子部品ハンドリング装置は、スループッ トの向上または装置の小型化を図るとともに、コンタクトミス発生を抑制するために有 用である。
図面の簡単な説明
[0097] [図 1]本発明の一実施形態に係るハンドラを含む ICデバイス試験装置の全体側面図 である。
[図 2]同実施形態に係るハンドラの斜視図である。
[図 3]同実施形態に係るハンドラのテストチャンバ内の要部断面図である。
[図 4]同実施形態に係るハンドラで用いられるテストトレィを示す分解斜視図である。
[図 5]同実施形態に係るハンドラにおけるソケット付近の構造を示す分解斜視図であ る。
[図 6]同実施形態に係るハンドラにおけるプッシャの部分断面図である。
[図 7]同実施形態に係るテストトレイおよび従来のテストトレイの平面図である。
[図 8]他の実施形態に係るインサートの構成を模式的に示す平面図である。
[図 9]別の実施形態に係るインサートおよびソケットガイドを示す図であり、 (a)はイン サートおよびソケットガイドの側面図、(b)はインサートの底面図およびソケットガイド の平面図である。
[図 10]本発明の第 2の実施形態に係るインサート、プッシャ、ソケットおよびソケットガ イドの斜視図である。
[図 11]同実施形態に係るインサートの斜視図である。
[図 12]従来のプッシャの断面構造を示す模式図である。
符号の説明
1…ハンドラ (電子部品ハンドリング装置)
10· · 'ICデバイス (電子部品)試験装置
16· ··インサート
19' ''IC (電子部品)収納部
20a…基準孔
20b…ガイド孑し
30· ··プッシャ
33…押圧子
35a…基準ピン
35b…ガイドピン
40· "ソケット
41…ソケットガイド
窓孔… 410
41 la…基準ブッシュ
41 lb…ガイドブッシュ