明 細 書
熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂成形品
技術分野
[0001] 本発明は、導電性、強度、柔軟性、耐久性、表面平滑性に優れ、リサイクル可能な 燃料電池セパレータ用途に適した熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑性樹脂組成 物を成形してなる熱可塑性樹脂成形品とに関する。
背景技術
[0002] 従来、燃料電池セパレータは、黒鉛又は樹脂を含浸させた黒鉛の切削加工により 作製されてきたが、切削加工によるものでは、表面に複雑な燃料ガス流路ゃ冷却水 流路を形成するための加工コストが高いという欠点があった。そのため、切削加工に よらなレ、モールド成形可能なセパレータとして、金属材料を主材としたセパレータゃ、 樹脂に多量の黒鉛等の導電性フィラーを配合してプレス成形したセパレータなどが 提案されている。このうち、金属材料を主材としたセパレータは、鲭の発生やイオンの 溶出による燃料電池出力や長期耐久性の低下などの問題があるため、近年は樹脂 系材料の検討が多くなされている。
[0003] 導電性フィラーを配合した樹脂を用いてセパレータをモールド成形する方法として は、次のような方法が提案されている。
(1)フエノール樹脂に炭素材料を添加してモールド成形した後に炭化焼成する方法 (特開 2001— 143719)
(2)樹脂に多量 (樹脂 100重量部に対して 200重量部以上)の炭素粉末を添加して 顆粒状の複合材料を得、これを成形する方法 (特開 2000— 182630)
(3)熱硬化性樹脂に多量 (樹脂 100重量部に対して 250重量部以上)の炭素粉末を 混合した複合材料をプレス成形する方法(特開 2002—63913)
(4)熱可塑性樹脂にチョップした炭素繊維とカーボンナノチューブを混合した材料を 射出成形する方法(特開 2002-97375)
発明の開示
[0004] し力 ながら、特開 2001—143719に記載される方法では、成形後に炭化焼成す
る必要があり、黒鉛化工程での寸法収縮が避けられない上、収縮時の歪が残りやす いという問題点がある。特開 2000-182630に記載される方法では、樹脂に多量の 炭素粉末を添加するために材料の柔軟性が著しく損なわれ、少しの変形でも割れや すいという問題点がある。特開 2002—63913に記載される方法では、熱硬化性樹脂 を用いるために、材料のリサイクルが困難であるという問題点がある上に、成形時間 が長ぐ成形性に劣るという問題点がある。特開 2002-97375に記載される方法で は、チョップした炭素繊維を用いるため、成形品の表面平滑性が損なわれやすいと レ、う問題点がある。
[0005] 本発明は上記従来の問題点を解決し、導電性、強度、柔軟性、耐久性、表面平滑 性に優れ、かつリサイクル可能な、燃料電池セパレータ用途に適した熱可塑性樹脂 組成物と、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱可塑性樹脂成形品とを提供す ることを目的とする。
[0006] 本発明の第 1の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、ケッチェンブラック及び気 相成長炭素繊維を含むことを特徴とする。ケッチェンブラックと気相成長炭素繊維と を併用添加した熱可塑性樹脂組成物であれば、導電性、強度、柔軟性、耐久性、表 面平滑性に優れた熱可塑性樹脂成形品を提供することができる。また、熱可塑性樹 脂組成物であれば、リサイクルも容易である。
[0007] 本発明の第 1の熱可塑性樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂、ケッチェンブラ ック及び気相成長炭素繊維の合計に対して、ケッチェンブラックの配合量が 5— 30重 量%、気相成長炭素繊維の配合量が 10— 60重量%、特に、ケッチェンブラックの配 合量が 10— 25重量%、気相成長炭素繊維の配合量が 25— 50重量%であることが 好ましぐまた、気相成長炭素繊維としては繊維径が 50— 200nmのものが好ましい
[0008] 本発明の第 2の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、カーボンナノチューブ及 び気相成長炭素繊維を含むことを特徴とする。カーボンナノチューブと気相成長炭 素繊維とを併用添加した熱可塑性樹脂組成物であれば、導電性、強度、柔軟性、耐 久性、表面平滑性に優れた熱可塑性樹脂成形品を提供することができる。また、熱 可塑性樹脂組成物であれば、リサイクルも容易である。
[0009] 本発明の第 2の熱可塑性樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂、カーボンナノチ ユーブ及び気相成長炭素繊維の合計に対して、カーボンナノチューブの配合量が 1 一 20重量%、気相成長炭素繊維の配合量が 10— 70重量%、特に、カーボンナノチ ユーブの配合量が 4一 10重量%、気相成長炭素繊維の配合量が 30— 70重量%で あることが好ましぐまた、カーボンナノチューブとしては繊維径が 1一 50nmのものが 好ましぐ気相成長炭素繊維としては繊維径が 50 200nmのものが好ましい。
[0010] 本発明の熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、 ポリフッ化ビニリデン、ポリフヱニレンサルファイド、ポリフヱニレンオキサイド、ポリアミド イミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン及びポリェ 一テルイミドよりなる群から選ばれる 1種又は 2種以上が好適に用いられ、ポリプロピ レン又はポリフエ二レンサルファイドが特に好適に用いられる。
[0011] 本発明の熱可塑性樹脂成形品は、このような本発明の熱可塑性樹脂組成物を成 形してなるものであり、導電性、強度、柔軟性、耐久性、表面平滑性に優れ、しかもリ サイクルも容易である。また、本発明の熱可塑性樹脂成形品は、特に燃料電池セパ レータとして有用である。
[0012] 本発明によれば、導電性、強度、柔軟性、耐久性、表面平滑性に優れ、かつリサィ クル可能な、燃料電池セパレータ用途に適した熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑 性樹脂組成物を成形してなる熱可塑性樹脂成形品が提供される。
発明を実施するための最良の形態
[0013] 以下に本発明の熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂成形品の実施の形態を 詳細に説明する。
[0014] 本発明の熱可塑性樹脂組成物には、第 1の態様及び第 2の態様がある。即ち、本 発明の第 1の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、ケッチェンブラック及び気相 成長炭素繊維を含むものであり、一方、本発明の第 2の熱可塑性樹脂組成物は、熱 可塑性樹脂、カーボンナノチューブ及び気相成長炭素繊維を含むものである。
[0015] 本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂としては、特に制限はない 、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフエ二レンサルファイド、ポリフエ二レン オキサイド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテル
サルホン及びポリエーテルイミドよりなる群から選ばれる 1種、又は 2種以上のブレンド 物が挙げられる。これらのうち化学的安定性の点から、ポリプロピレン及びポリフエ二 レンサルファイドが好ましレ、。
[0016] 本発明の第 1の熱可塑性樹脂組成物に用いるケッチェンブラックは、カーボンブラ ックの 1種であり、従来のカーボンブラックに比べて導電性の高いカーボンブラックで ある。ケッチェンブラックの優れた性能は、ケッチェンブラックが他のカーボンブラック とは異なり、中空シェル構造を有することによるものである。ケッチェンブラックの代表 的な種類としては、ケッチェンブラック EC、ケッチェンブラック EC—600JD等があり、 各々、次のような性状を示す。
[0018] 一方、本発明の第 2の熱可塑性樹脂組成物にかかわるカーボンナノチューブ(CN T)は、炭素原子が筒状に結合した巨大分子であり、高い導電性を有する。通常のグ ラフアイトは、蜂の巣状に結合した炭素原子が平面状に広がった層(グラフエンシート )が積み重なってできているが、 CNTはグラフエンシートが円筒状に丸まった構造を しており、グラフヱンシート 1層が筒状になったものを単層 CNT (SWNT)、 2層以上 が同心円状に筒状になったものを多層 CNT (MWNT)と呼ぶ。また、 SWNT及び M
WNTの中でも、直径、グラフエンシートの層数、グラフエンシートの卷き方(キラリティ 一)等の違いにより、さらに細力べ分類される場合もある。 CNTの製造方法としては、 アーク放電法、レーザー蒸発法、 CVD法等がある。
[0019] 本発明の第 2の熱可塑性樹脂組成物に用いる CNTは、上記のいずれの製法で製 造されたものでもよぐまた、 SWNT、 MWNTのいずれ力 4種、若しくは 2種以上の 混合物でもよレ、。本発明で用いる CNTは、アルぺクト比(長さ Z径比)が 10— 1000 程度であることが望ましぐまた、繊維径が 1一 50nmの範囲にあることが好ましい。
[0020] また、本発明の熱可塑性樹脂組成物にかかわる気相成長炭素繊維は、気相成長 法により得られる炭素繊維である。気相成長炭素繊維の生成法には、大きく分けて、 基板法と流動床法の 2種類がある。基板法は、金属触媒を基板に直接添付し、これ を炉心管内に設置し、電気炉を用いて高温にした状態で炭化水素ガスを流入させ基 板上に炭素繊維を生成させる方法である。この方法では、基板上に炭素繊維が生成 され、生成した炭素繊維が炉心内部で長時間反応条件下に置かれるため、繊維径 が大きくなる。一方、流動床法は、炭化水素ガスと金属触媒とを共に高温下の炉心内 部に流入させ、短時間の反応で炭素繊維を生成させる方法であり、繊維径が比較的 小さいものが得られる。
[0021] 本発明で用いる気相成長炭素繊維は、上記いずれの方法により製造されたもので あってもよいが、繊維径が 50— 200nmの範囲にあることが好ましレ、。気相成長炭素 繊維の繊維径が 50nm未満であると、凝集力が大きいために樹脂中の均一な分散が 困難であり、 200nmを超えると、樹脂と複合化した際に高い導電性が得られ難くなる 。なお、気相成長炭素繊維の繊維長さは、通常 1一 10 /i m程度であり、アスペクト比 (長さ Z径比)は、 10— 1000程度であることが好ましい。
[0022] このような、繊維径の細い気相成長炭素繊維を用いることにより、炭素繊維同士の ネットワークで、得られる成形品の導電性を高めると共に、強度、柔軟性、耐久性を 向上させることができる。しかも、このような細径の気相成長炭素繊維を用いるため、 得られる成形品の表面平滑性も良好なものとなる。
[0023] 本発明の第 1の熱可塑性樹脂組成物において、ケッチェンブラック及び気相成長 炭素繊維の配合量は、熱可塑性樹脂、ケッチェンブラック及び気相成長炭素繊維の
合計に対して、ケッチェンブラックを 5— 30重量%、特に 10— 25重量%、気相成長 炭素繊維を 10— 60重量%、特に 25— 50重量%とし、ケッチェンブラックと気相成長 炭素繊維との合計の配合量は 40— 75重量%、特に 50— 70重量%とすることが好ま しい。ケッチェンブラック及び気相成長炭素繊維の配合量が上記範囲よりも少ないと 、各々の添加効果を十分に得ることができず、多いと、成形性、強度等を損なう原因 となる。
[0024] 本発明の第 1の熱可塑性樹脂組成物においては、導電性、強度、柔軟性のバラン スに優れた成形品を得るために、ケッチェンブラックと気相成長炭素繊維とを併用し ており、ケッチェンブラックと気相成長炭素繊維との配合割合は、気相成長炭素繊維 100重量部に対して、ケッチェンブラック 10 300重量部とすることが好ましい。
[0025] 一方、本発明の第 2の熱可塑性樹脂組成物において、カーボンナノチューブ及び 気相成長炭素繊維の配合量は、熱可塑性樹脂、カーボンナノチューブ及び気相成 長炭素繊維の合計に対して、カーボンナノチューブを 1一 20重量%、特に 4一 10重 量%、気相成長炭素繊維を 10— 70重量%、特に 30— 70重量%とし、カーボンナノ チューブと気相成長炭素繊維との合計の配合量は、 15— 80重量%、特に 30— 75 重量%とすることが好ましい。カーボンナノチューブ及び気相成長炭素繊維の配合 量が上記範囲よりも少ないと、各々の添加効果を十分に得ることができず、多いと、 成形性、強度等を損なう原因となる。
[0026] なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ガ ラス繊維、チタン酸カリウムウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、硼酸アルミニウムウイスカ、ァ ラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コゥ繊 維及び金属繊維などの繊維状充填剤、ワラストナイト、ゼォライト、セリサイト、カオリン 、マイ力、クレー、パイロフイライト、ベントナイト、アスベスト、タノレク、アルミナシリケート などの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジノレコニゥム、酸化チタ ン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの 炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化 カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラ ミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素及びシリカなどの非繊維状充填剤等の 1種又は
2種以上を配合してもよい。また、より優れた機械的強度を得る目的でこれら繊維状 /非繊維状充填剤を、イソシァネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネー ト系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ系化合物などのカップリング剤で前処理 して使用してもよい。
[0027] 更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリ エーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒンダ一 ドフエノール、ヒンダードァミンなどの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、 染料や顔料などの着色剤、帯電防止剤などの機能剤を添加することができる。
[0028] 本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に特に制限は無ぐ熱可塑性樹脂にケ ツチヱンブラック又はカーボンナノチューブと、気相成長炭素繊維と、その他必要に 応じて配合される添加成分を一括してドライブレンドした後、押出機、ニーダー、バン バリーミキサーなどで溶融混練して製造することができる。また、予め熱可塑性樹脂 及び気相成長炭素繊維を溶融押出したペレットと、ケッチェンブラック又はカーボン ナノチューブと、その他添加成分とを溶融混練して製造してもよいし、熱可塑性樹脂 にケッチェンブラック又はカーボンナノチューブを配合してなるマスターバッチと、気 相成長炭素繊維及びその他添加成分とを溶融混練して製造してもよレ、。熱可塑性榭 脂に気相成長炭素繊維とケッチェンブラック又はカーボンナノチューブとを均一に分 散混練するために、バッチ式の場合はラボプラストミキサを、連続式の場合は 2軸押 出機による混練等の方法を採用することが好ましい。
[0029] 本発明の熱可塑性樹脂成形品は、上記熱可塑性樹脂組成物を成形してなるもの であり、導電性、強度、柔軟性、耐久性、表面平滑性に優れ、し力もリサイクルも容易 である。なお、本発明の熱可塑性樹脂成形品の製造方法に特に制限は無ぐ射出成 形、射出圧縮成形、プレス成形などを用いることができる。この場合、熱可塑性樹脂、 ケツチヱンブラック又はカーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、及びその他必要 に応じて配合される添加成分を一括してドライブレンドした後、そのまま射出成形して もよレ、し、ー且全成分を溶融押出してペレタイズしてから射出成形してもよい。
[0030] 本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品としては、燃料電池セパ レータが特に好適であるが、その他、導電性や帯電防止機能が要求されるパレット、
トレイ、包装材料、基板等に用いることもできる。
[0031] <実施例 >
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は その要旨を超えない限り、以下の実施例により制限されるものではない。
[0032] なお、以下の実施例及び比較例において、用いた成形材料は以下の通りである。
PPS-1:ポリプラスチックス社製ポリフエ二レンサルファイド「フォートロン 0220A9」 PPS-2:大日本インキ社製ポリフエ二レンサルファイド「LR_03G」
PPS—3 :東ソ一社製ポリフエ二レンサルファイド「サスティール B_100」 PP-1 :日本ポリケム社製ポリプロピレン「BC6C」
KB:ライオン社製ケッチェンブラック「EC— 600JD」
VGCF:昭和電工社製気相成長炭素繊維「VGCF_R」,平均繊維径 150nm PP—2及び CNT:ハイペリオン社製 PP (ポリプロピレン)/ CNT (カーボンナノチュ ーブ)マスターバッチ「MB3020_01」, CNTの平均繊維径 10nm
[0033] 実施例 1一 6,比較例 1一 2
表 2又は表 3に示す配合で、東洋精機社製「ラボプラストミル R30」にて各成分を混 練して熱可塑性樹脂組成物を製造し、混練後、プレス成形により必要な試験片を作 製し、以下の特性評価を行って、結果を表 2又は表 3に示した。
[0034] [体積抵抗率]
lmm厚みのシート状試験片について、三菱化学社製「ロレスタ」により、 4端針法で 測定した。
[0035] [曲げ強度及び曲げ歪]
JIS K6911により、強度の指標として曲げ強度を、柔軟性の指標として曲げ歪を 測定した。
[0036] [耐久性]
而ォ圧容器に純水 lOOmLと、 80mm X 10mm X 4mmの試験片 6個を入れ、 150。C で 700時間経過後の試験片重量を測定し、初期重量力もの変化率を計算した。
[0037]
[0038] 表 2より、気相成長炭素繊維のみを用いた比較例 1では、曲げ強度と曲げ歪は良い 、体積抵抗率が大きすぎるため、導電性、強度、柔軟性を全て満足する材料には なっていないのに対して、ケッチェンブラックと気相成長炭素繊維とを併用して配合し た実施例 1一 3の熱可塑性樹脂組成物によれば、導電性、強度、柔軟性のすべてに おいて優れた特性を示す成形品を得ることができることが分かる。なお、これらの成 形品はレ、ずれも表面平滑性にっレ、ても良好であった。
表 3より、気相成長炭素繊維のみを用いた比較例 2では、曲げ強度と曲げ歪は良い が、体積抵抗率が大きすぎるため、導電性、強度、柔軟性を総て満足する材料には なっていないことが分かる。これに対して、カーボンナノチューブと気相成長炭素繊 維とを併用した実施例 4一 6の熱可塑性樹脂組成物によれば、導電性、強度、柔軟 性の総てにおいて優れた特性を示す成形品を得ることができることが分かる。