WO2005035275A1 - 牽引力が高く低振動のトレッド構造 - Google Patents

Abstract

　地面に対して牽引カが要求され、しかも走行時に振動の発生が少ないトレッド配置に係るものであり、予想される使用状況を考慮することなく、或いは、予想される使用状況とは異なる状況下でも、牽引力があり、振動の小さいトレッド配置を提供する。 【解決手段】　進行方向に対し、接地面を左右幅方向に二分し、夫々の面にトレッドが配置されたトレッド構造であって、夫々の面の隣り合うトレッドの間隔において長ピッチと中ピッチと短ピッチを織り交ぜ、かつ、左右のトレッドを非対称に配置し、更に、左右のトレッドの接地面の合計面積をほぼ等しくした牽引力が高く低振動のトレッド構造。１、１1 、１2 、１3 ‥トレッド、Ｌ1 ‥長トレッドピッチ、Ｌ2 ‥中トレッドピッチ、Ｌ3 ‥短トレッドピッチ。

Description

明 細 書

牽引力が高く低振動のトレッド構造

技術分野

[0001] 本発明は、車両に装着されて走行に供されるタイヤゃクローラのトレッドの配置構造 に関するもので、特に、牽引力が高ぐ振動の発生を低減したトレッド構造に係るもの である。

背景技術

[0002] トラクタ一等、地面に対して牽引力を要求される農機、建機等の走行装置に用いら れるタイヤゃクローラにおいては、表面にトレッドを配置し、トレッドのピッチを広げるこ とによって牽引力を上げる試みがなされている。

[0003] 以下、本発明を、クローラのトレッドを例として説明する。通常はクローラを幅方向の 左右の領域に分け、左右の面に夫々トレッドを分離して配置する。このトレッドのピッ チを広げると牽引力は上がる。しかし、この場合、振動が大きくなると共に、トレッドの 耐久性が悪くなることが指摘されて 、る。

[0004] 逆にトレッドのピッチを狭めると、振動の発生は減少し、トレッドの耐久性も上がる。

しかし、この場合、牽引力が出ず、トレッド間に泥詰まりしやすくなるという欠点がもた らされる。

[0005] 従って、従来例の場合、トレッドのピッチに関しては、クローラがどのような状況で使 用されることが多いかを考慮した上で、牽引力を重視するか、振動の低減を重視する か等の点で妥協点を見出して製品化しているのが実情である。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] 本発明は、地面に対して牽引力が要求され、し力も走行時に振動の発生が少ないト レッド配置に係るものであり、予想される使用状況を考慮することなぐ或いは、予想 される使用状況とは異なる状況下でも、牽引力があり、し力も振動の小さいトレッド配 置を提供するものである。

課題を解決するための手段 [0007] 本発明は、その主要な特徴において、進行方向に対して接地面が左右幅方向に 二分されると共に夫々の面にトレッドが配置されたトレッド構造であって、夫々の面の 隣り合うトレッドの間隔において長ピッチと中ピッチと短ピッチを織り交ぜ、かつ、左右 のトレッドを非対称に配置し、更に、左右のトレッドの接地面の合計面積をほぼ等しく したことを特徴とする牽引力が高く低振動のトレッド構造を提供する。

発明の効果

[0008] 本発明は以上のようなトレッド配置構造とするものであり、牽引力が高く低振動の車 両の提供を可能にする。

図面の簡単な説明

[0009] [図 1]長ピッチ〖こよるクローラの外表面図である。

[図 2]中ピッチによるクローラの外表面図である。

[図 3]短ピッチによるクローラの外表面図である。

[図 4]本発明のトレッド配置のクローラの外表面図である。

[図 5]本発明のトレッド配置のタイヤの斜視図である。

発明の実施のための最良の形態

[0010] 本発明は、進行方向に対して接地面が左右幅方向に二分され、夫々の面にトレッ ドが配置されたトレッド構造であって、夫々の面の隣り合うトレッドの間隔を違えて織り 交ぜ、かつ、左右のトレッドのピッチを非対称に配置したものであり、左右のトレッドの 接地面の合計面積をほぼ等しくしたものに関する。

[0011] 更に言えば、本発明は、各種トレッドピッチの中力も以下の 3種類（3条件）のトレッド のみを選択し、これらを規則的に (左右非対称に）並べることによって所定の効果をも たらすものである。

[0012] 即ち、長ピッチトレッドは大きな牽引力の達成を主眼とする構成であり、トレッド間に ほとんど泥詰まり等が発生せず、所定の牽引力がもたらされる。中ピッチトレッドにお いては、中程度の牽引力が発揮されると共に、長ピッチよりもトレッド間が狭まってい るため振動の発生はさほどでない。短ピッチトレッドは、泥詰まりが生じて牽引力はあ まりないが、振動の面では問題がなくなる構成である。

[0013] 本発明は、これらの各種ピッチトレッドを組み合わせることによって所望の効果を得 るものである。

[0014] 本発明のトレッド構造においては、このように長ピッチ、中ピッチ、短ピッチのトレッド を織り混ぜてトレッドを構成すると共に、該トレッドを左右非対称に配置し、更に、左右 のトレッドの接地面の合計面積をほぼ等しくする。

[0015] 左右トレッドを非対称にする理由は、牽引力と振動防止の機能を適当に分散させる ためである。もし左右が対称であった場合、ある部位では牽引力がある力 ある部位 では牽引力が極めて低下するような事態が生じる。

[0016] また、振動の面で言えば、左右共に短ピッチのトレッドで構成した場合振動の発生 は殆どなくなる力 一方、左右共に長ピッチのトレッドの場合、振動の発生が極めて 大きくなる。つまり、左右のトレッドの構成が対称だと、ピッチの種類によって振動低減 効果に大きな差異が発生する。

[0017] 本発明はこのような結果をなくすために左右のトレッドの配置を非対称としたもので ある。ただし、その牽引力や振動の発生について左右トレッドのバランスを取る必要 があることから、左右に配置したトレッドの設置面の合計面積をほぼ等しくしてバラン スを取ったものである。

[0018] 左右でバランスを取るという意味合いでは、左右の面に配置されたトレッドが幅方向 中央で切ったときの側面視で実質的に重なり合わな 、配置としたものがよ!、。

[0019] 具体的なトレッド配置としては、長ピッチを挟んで中ピッチ及び短ピッチとしたトレッ ド配置がバランス上好まし 、ものである。左右幅方向に配置される一方側のトレッドを このように配置した場合、他方のトレッド配置はこれとは逆ピッチ配置をなす構造のも のが好ましい。

[0020] 尚、本発明において、短ピッチとは実質的にピッチ間の隙間がない構成を指し、例 えば、短ピッチを大きなひとつのトレッドに合体させることもできる。勿論、本発明にあ つて、トレッド単体の形状は任意である。

実施例 1

[0021] 以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説明する。

[0022] (クローラの実施例）

図 1一図 3は、トレッドの配置は左右幅方向に二分されているものの、夫々長ピッチ (L 、図 1)、中ピッチ（L、図 2 )、短ピッチ（L、図 3 )のみ力 なるトレッド 1 , 1 , 1

1 2 3 1 2 3 にて構成されたクロ-ラ 10の外平面図である。これらの例において、トレッド 1 , 1 , 1

1 2 3 は左右幅方向よりも約 30度傾斜配置されており、トレッド中心間の距離 L は 225m

1 m、 L i i50mm、 L【ま 75mmである。

2 3

[0023] これらのクローラが走行に供された場合、図 1の構成においては、トレッド 1 , 1間が

1 1 大きく開いていることから、この間に泥が詰まってしまうという現象は極めて少なぐ牽 引力という点では優れたものとはなる力 逆に、図示しない転輪がクロ-ラの内周面を 転動した場合、左右のトレッド 1の上に交互に乗り上げる現象が起こり、左右方向へ

1

の揺れ (ねじれ)や上下動が激しくなつて、振動という面では著しく悪ィ匕することになる

[0024] 図 2の構成においては、トレッド 1 , 1の間隔が図 1の場合よりも小さい。従って、牽

2 2

引力を発揮する点および振動を低減する点の両方において中程度の効果がある。し かし、逆に言えば、牽引力の発揮および振動低減のいずれにおいても大きな効果は 期待できず、泥の詰まりも多くの箇所で発生する。

[0025] 図 3の場合は、トレッド 1 、 1 が近接しているため、この間に泥や石等の詰まりが激

3 3

しぐ牽引力を期待するという点では殆ど機能が発揮されないという欠点がある。ただ し、転輪の走行時には転輪が常に左右のトレッド 1上を転動するため、振動の発生

3

は極めて少、なくなるという長所がある。

[0026] 図 4は、上述の、左右の面に配置されたトレッドが（幅方向中央で切ったときの）側 面視で重なり合わな 、トレッド配置、長ピッチを挟んで中ピッチ及び短ピッチとしたト レッド配置、ならびに左右幅方向に配置されるトレッド配置が逆ピッチ配置をなすトレ ッド配置を含む構成をクローラの外表面に具現化した例を示す。

[0027] 左側のトレッド配置について述べれば、長ピッチ Lを形成したトレッド 1、 1と、これ

1 1 1 を挟んで中ピッチ Lを形成したトレッド 1、 1と、更に外側に短ピッチ Lを形成したトレ

2 2 2 3

ッド 1、 1とからなる配置である。従って、振動の点で言えば、転輪がクローラの内周

3 3

面を転動した場合、トレッド 1 、 1 間ではその落ち込みが大きくて振動の発生が大き

1 1

ぐトレッド 1 、 1間ではそれほどでもなぐトレッド 1 、 1間では殆ど振動力 sもたらさ

1 2 2 3

れない。牽引力はこの逆であり、トレッド 1 、 1は大きな牽引力を発揮し、トレッド 1 、 1はそれほどでもなぐトレッド 1 、 1は大きな牽引力を発揮しない。

2 2 3

[0028] しかるに、右側のトレッドの配置にあっては、左側トレッドのピッチ Lに対してトレッド

1

1、 1 が対応し、ピッチ Lに対してトレッド 1が対応して配置されている。従って、左

3 2 2 1

右両側のトレッドの内周面を転動する転輪は、振動の面で言えば、大きく落ち込む部 位がなぐ全体としてほぼ同じような振動状況が達成される。

[0029] 一方、牽引力の面で言えば、クローラのどの部位が設置した場合でも、牽引力に大 きな違いが出ない。

[0030] 尚、左右のトレッドの接地面の合計面積をほぼ等しくしたことにより、左右のトレッド による牽引力がほぼ同一となる。つまり、クローラの捩じれゃ斜行がないように設計さ れている。

[0031] 上記の例を含めて、長、中、短の各ピッチは必ずしも図示した順番で配置させる必 要は無ぐ左右のバランスが取れて 、ればよ 、ことは言うまでもな！/、。

[0032] 図 5は、図 4に示したトレッド配置をトラクタータイヤに適用した例を示すものであり、 図 4にて言及したと同様の効果を奏するものである。

産業上の利用可能性

[0033] 本発明は、振動は勿論のこと、牽引力にも優れたトレッド配置を提供できたものであ り、クローラは勿論のこと同様に接地面を転動するタイヤのトレッドについても適用する ことができ、その利用性は極めて高い。

符号の説明

[0034] 1、 1 、 1 、 1 …トレッド、

1 2 3

L …長トレッドピッチ、

1

L …中トレッドピッチ、

2

L …短トレッドピッチ。

Claims

請求の範囲

[1] 進行方向に対して接地面が左右幅方向に二分され、夫々の面にトレッドが配置さ れたトレッド構造であって、

夫々の面の隣り合うトレッドの間隔において長ピッチと中ピッチと短ピッチを織り交ぜ 、かつ、左右のトレッドを非対称に配置し、更に、左右各面のトレッドの接地面の合計 面積をほぼ等しくしたことを特徴とする牽引力が高く低振動のトレッド構造。

[2] 前記トレッドが、長ピッチを挟んで中ピッチ及び短ピッチとなるように配置された請求 項 1記載の牽引力が高く低振動のトレッド構造。

[3] 左右の面に配置された前記トレッド力 幅方向中央で切ったときの側面視で重なり 合わない配置である請求項 1記載の牽引力が高く低振動のトレッド構造。

[4] 前記トレッドは、長ピッチを挟んで中ピッチ及び短ピッチとなるように、且つ、一方の 面に配置されるトレッドが他方の面に配置されるトレッドに対して逆ピッチとなるように 配置される請求項 1記載の牽引力が高く低振動のトレッド構造。

[5] 短ピッチが実質的に間隔がない請求項 1記載の牽引力が高く低振動のトレッド構造

[6] 各トレッドが、前記左右幅方向に対して約 30° 傾斜して配置される請求項 1記載の 牽引力が高く低振動のトレッド構造。

[7] トレッド構造であって、

進行方向に対して左右幅方向に二分された接地面と、

前記接地面の左右各面に、前記左右幅方向に対して所定角度傾斜して設けられ た少なくとも一つのトレッドと、を含み、

前記左右各面の前記トレッド間のピッチが周方向に沿って変動すると共に、一方の 面に配置された前記トレッドが、他方の面に配置された前記トレッドから周方向にオフ セットされることを特徴とするトレッド構造。

[8] 前記左右各面の前記トレッドの接地面の合計面積がほぼ等 、請求項 7記載のト レッド構造。

[9] 前記左右各面の隣り合うトレッドの間隔が、長ピッチと中ピッチと短ピッチの三種類 から選択される請求項 7記載のトレッド構造。

[10] 前記トレッドは、長ピッチを中ピッチを介して短ピッチで挟むパターンが周方向に繰 り返されるように配置された請求項 9記載のトレッド構造。

[11] 前記一方の面に配置されるトレッドが他方の面に配置されるトレッドに対して逆ピッ チとなるように配置された請求項 10記載のトレッド構造。

[12] 短ピッチが実質的に間隔がない請求項 9記載のトレッド構造。

[13] 左右の面に配置された前記トレッド力 幅方向中央で切ったときの側面視で重なり 合わない配置である請求項 7記載のトレッド構造。

[14] 各トレッドが、前記左右幅方向よりも約 30° 傾斜して配置される請求項 7記載のトレ ッド構造。

[15] トレッド構造であって、

進行方向に対して左右幅方向に二分された接地面と、

前記接地面の左右各面に、前記左右幅方向に対して所定角度傾斜して設けられ た複数のトレッドであって、隣り合うトレッドの間隔が長ピッチと中ピッチと短ピッチの三 種類力 選択されるトレッドと、を含み、

前記左右各面の前記トレッドは、前記長ピッチを前記中ピッチを介して前記短ピッ チで挟むパターンが周方向に繰り返されるように配置されると共に、一方の面に配置 された前記トレッドが他方の面に配置された前記トレッド力 周方向にオフセットされ ることを特徴とするトレッド構造。

[16] 前記左右各面の前記トレッドの接地面の合計面積がほぼ等しい請求項 15記載のト レッド構造。

[17] 前記一方の面に配置されるトレッドが他方の面に配置されるトレッドに対して逆ピッ チとなるように配置された請求項 15記載のトレッド構造。

[18] 左右の面に配置された前記トレッド力 幅方向中央で切ったときの側面視で重なり 合わない配置である請求項 15記載のトレッド構造。

[19] 各トレッドが、前記左右幅方向よりも約 30° 傾斜して配置される請求項 15記載のト レッド構造。