明 細 書
チタン含有層用エッチング液およびチタン含有層のエッチング方法 技術分野
[0001] 本発明は、チタン含有層用エッチング液およびこのエッチング液を使用したチタン 含有層のエッチング方法に関し、詳しくは、本発明は、半導体デバイス、液晶表示装 置、 ICカード等の製造において、シリコンウェハやガラス基板の上に金属配線材を設 置する際に、基板と金属配線材との密着性向上のために形成される下地層としての チタン、チタン酸化物、チタン窒化物およびチタン酸窒化物の群から選ばれる 1種ま たは 2種以上を主成分とするチタン含有層のエッチングに好適なチタン含有層用エツ チング液およびこのチタン含有層用エッチング液を用いたチタン含有層のエッチング 方法に関する。
背景技術
[0002] チタンは容易に不働体化する金属であり、空気中に放置しておくだけでも表面に酸 化被膜が形成される。例えば、チタン下地膜の上に金属を載せるケースの場合、チタ ン膜を空気中に曝した場合と曝さない場合とでは、エッチングする際に、上部金属と の密着性に差がでてくる程、チタン膜は、空気程度の酸化力で酸化されて強固な酸 化被膜となることが知られている。この様なチタン膜は、通常、酸化性の強い酸には 溶解しなレ、。従って、チタン又はチタン酸化物をエッチングするには、熱濃リン酸、熱 濃硫酸、熱濃塩酸をベースとした強酸類による過酷条件を採用するか、フッ酸/硝 酸混合液、フッ酸/過水混合液、フッ化アンモン/フッ酸混合液などのようなフッ酸 をベースとした混合液を用いることが知られている。
[0003] しかし、シリコン基板やガラス基板上に形成されたチタン層またはチタン酸化物層を エッチングする場合、フッ酸系のエッチング液を使用すると、エッチング液がシリコン 基板やガラス基板も侵してしまレ、、チタン層またはチタン酸化物層のみを選択的にェ ツチングすることが困難である。
[0004] この問題を解決するため、エッチング液のフッ酸濃度を低くすることによりチタン又 はチタン酸化物エッチングの選択性を発現させることも考えられる。し力しながら、こ
の場合には所望のエッチング速度を得ることが出来ない。また、フッ酸系以外のリン 酸、硫酸、塩酸などをベースとするエッチング液を使用した場合は、相当に過酷な条 件でないと所望のエッチング速度を得ることが困難である。この様に、シリコン基板や ガラス基板上のチタン層及び Z又はチタン酸化物層のエッチングには、未だ実用的 な方法が提供されていない。
[0005] シリコン基板やガラス基板上の下地層としては、チタン層またはチタン酸化物層だ けでなく、チタン窒化物層やチタン酸窒化物層を使用する場合がある。チタン窒化物 層やチタン酸窒化物層は、チタン層またはチタン酸化物層よりも堅固な膜であり、チ タン窒化層またはチタン酸窒化層のエッチングは、チタン層またはチタン酸化層のェ ツチングの場合よりもより過酷な条件でないと実用的なエッチングを行うことが出来な レ、。更に、シリコン基板やガラス基板に対する選択性を示すエッチング性能を発現さ せることが困難であり、未だ実用的な方法が提供されていない。
[0006] ところで、半導体デバイス、液晶表示装置、 ICカード等の製造にぉレ、て、シリコンゥ ェハゃガラス基板の上に金属配線材を設置する際は、基板と金属配線材などとの密 着性が極めて重要である。従って、基板との密着性が悪い金属配線材より成るパタ ーンを基板上に形成する場合は、基板と金属配線材との密着性を向上させるために 、下地金属層の形成が行われている。この下地金属層の金属材としては、基板との 密着性に優れた金属を選定する必要があるが、基板との密着性に優れる金属材は、 基板の材質に応じて限られている力 例えば、 Al、 Cr、 Ti等が挙げられ、これらに続 いて密着力を示すものとしては、 Mo、 W、 Ta等が挙げられる。これらの金属材のうち 、 A1はヒロック発生の問題、 Crは毒性の問題がある。
[0007] Mo、 W、 Taは、 Tiと同様に空気で酸化膜を形成して安定する金属である。しかし ながら、 Moは耐食性が悪ぐ単独での使用より合金化して使用するケースが多い。
Wも同様に単独使用よりは、 Ti一 Wの様に Wに Tiを合金化した形態で使用される。 T aは、フッ酸 ·王水でしかエッチングできない点で、加工性に問題があり不都合が多い 上に、さらに、高価であるため、下地金属材として汎用性に欠けている。
[0008] このようなこと力、ら、下地金属として、 Tiが腐食に強く電気抵抗が大きい(電気が通り 難レ、)点において期待されている力 前述の如ぐシリコン基板やガラス基板上の Ti
層は、その選択エッチングが困難であると共に、金属配線材料である貴金属材を積 層した場合、電喰が起こり易ぐ成型上の問題もある。このため、従来、金属配線材の 下地金属としては、 Crが主流であり、 Tiの採用例は少なかった。し力 ながら、今後 は、 Crの毒性の問題から、 Tiの上述の問題を解決した上で、 Crの下地金属の代替と して Tiを適用することが望まれてレ、る。
[0009] Ti金属を使用した下地層の処理方法として、白金メッキ処理前のチタン層表面の 前処理の粗面化表面処理剤として、ヨウ素と珪フッ化水素酸を含む処理剤を使用す ることが例示されている(特許文献 1参照)。この処理剤は、ヨウ素との併用で効果を 奏するものである上に、本技術は粗面化に関する技術であり、チタン層を完全に取り 去るエッチング技術に関するものではなレ、。また、基板から(Ni, Co, Fe) CrAl (Ti) 皮膜を除去する際に、珪フッ化水素酸を使用することが例示されている(特許文献 2 参照)。ここで使用される基板は、超合金やポリマーから成り、且つ、シリコン基板や ガラス基板上のチタン層の選択エッチングにつレ、ては何ら触れられてレ、なレ、。
特許文献 1 :特開平 08 - 218185号公報
特許文献 2:特開 2002 - 53985号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シリコン基板または 珪酸系ガラス基板上に形成された、チタン、チタン酸化物、チタン窒化物およびチタ ン酸窒化物の群から選ばれる 1種または 2種以上を主成分とするチタン含有層を速 いエッチング速度で、しかも、基板を侵すことなく選択的にエッチングすることが出来 るチタン含有層用エッチング液およびこのチタン含有層用エッチング液を使用したチ タン含有層のエッチング方法を提供することにある。
[0011] 本発明者らは、上記課題を解決すベぐ鋭意検討を重ねた結果、珪フッ化水素酸( H SiF )を主成分とするエッチング液は、チタン材に対して、同濃度のフッ酸系のェ
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ツチング液のエッチング速度には及ばないが、例えば、従来のリン酸、硫酸、塩酸系 のエッチング液のエッチング速度よりも格段に速いエッチング速度を有しており、且 つ、チタンの選択的エッチングに有効であることを見出した。即ち、珪フッ化水素酸は
、フッ酸と珪素または酸化珪素との反応で生成する物質であって、シリコンや珪酸系 ガラスに対しては不活性である力 S、チタンに対しては十分なエッチング性能を持ち、 シリコン基板または珪酸系ガラス基板上のチタンのエッチングに関して、十分な選択 性を有する。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、本発明のチタン含有層用 エッチング液は、シリコン基板または珪酸系ガラス基板上に形成された、チタン、チタ ン酸化物、チタン窒化物およびチタン酸窒化物の群から選ばれる 1種または 2種以上 を主成分とするチタン含有層をエッチングするエッチング液であって、珪フッ化水素 酸を含有する。
[0013] また、本発明のチタン含有層用エッチング液は、チタン窒化物及び/又はチタン酸 窒化物を主成分とするチタン含有層をエッチングするエッチング液であって、珪フッ 化水素酸、さらに酸化剤を含有する。
[0014] 本発明のチタン含有層のエッチング方法は、シリコン基板または珪酸系ガラス基板 上に形成された、チタン、チタン酸化物、チタン窒化物およびチタン酸窒化物の群か ら選ばれる 1種または 2種以上を主成分とするチタン含有層をエッチング液によって エッチングする方法であって、エッチング液として、上述のチタン含有層用エッチング 液を使用する。
発明の効果
[0015] 本発明によれば、シリコン基板または珪酸系ガラス基板上のチタン含有層を速いェ ツチング速度で、し力も、基板を侵すことなく選択的にエッチングすることが出来る。 発明を実施するための最良の形態
[0016] 本発明の実施の形態について説明する。先ず、チタン含有層用エッチング液につ いて述べる。なお、本発明のエッチング液は、チタン、チタン酸化物、チタン窒化物 およびチタン酸窒化物の群から選ばれる 1種または 2種以上を主成分とするチタン含 有層をエッチング対象とするものである。ここで、「主成分」とは、層中の含有量が 50 一 100重量%であることを指す。このような「チタン含有層」としては、チタン層、チタ ン酸化物層、チタンとチタン酸化物との混合層、チタン窒化物層、チタン酸化物とチ
タン窒化物との混合層、チタンとチタン窒化物との混合層、チタン酸窒化物などが挙 げられる。以下においては、説明の便宜上、チタン含有層を構成するチタン、チタン 酸化物、チタン窒化物、チタン酸窒化物またはこれらの混合物を単に「チタン」と総称 する場合がある。
[0017] エッチング液の有効成分として用いる珪フッ化水素酸は、一般に、以下の反応式に 従って製造される。
[0018] [化 1]
6 HF + S i 02→2 H20 + H2S i F6 (1)
6 HF + S i →2H2+H2S i F6 (2)
[0019] そして、珪フッ化水素酸水溶液中に、以下の反応式に従ってチタンが溶解すること
[0020] [化 2]
T i +02→T i 02 (3)
T i 02+ 2H2S i F6→T i (S i F6) 2+ 2 H20 (4)
[0021] 反応式(1)及び(2)において、フッ酸が Si、 SiOと可逆的に反応する。フッ酸溶液 中で Si、 SiOが過剰条件であれば、 HFが完全消費され、珪フッ化水素酸は水に溶 解して強酸として機能する。即ち、水中で H SiFは H+と SiF 2の形で解離しており、 この点において、 BHF (フッ酸/フッ化アンモニゥム水溶液)における F—イオンの解 離とは全く異なる。
[0022] ただし、珪フッ化水素酸水溶液は、その濃度にも依るが、温度を 60°C以上に上げ ると、珪フッ化水素酸自身が分解して HF (フッ酸ガス)と SiF (フッ化珪素ガス)が発 生する。そして、 SiFは、水と素早く反応して Si〇を生成し、 SiOは、水溶液中に析 出する。このため、珪フッ化水素酸水溶液は、高濃度条件や高温条件のような過酷 な条件では使用できないが、過酷条件以外では、 SiF 2イオンにより、フッ酸とは作 用が異なるものの、フッ酸と同様にチタンの選択的エッチング機能を得ることが出来 る。
[0023] 一方、チタンは、酸の存在下において還元雰囲気領域にイオンィ匕による溶解ゾー
ンが存在する。反応式(3)の酸素供給源としては、空気中の酸素で十分に寄与でき るが、酸化剤として硝酸や過酸化水素を適宜添加することにより、エッチング速度の 調節を行うことも可能である。
[0024] 反応式(3)及び (4)に示す如ぐチタンは、一旦酸化物となり、その後に酸などにて 溶解するエッチングスキームからも示される力 エッチングでは必ず酸化物の形態を 経て溶解していることから、本発明においては、チタン単体だけではなくて、チタン酸 化物の単体についても珪フッ化水素酸にて溶解させることが出来、エッチングが可能 である。チタン酸化物としては、白色の二酸化チタンから、チタンブラックと称する低 次酸化チタン (Ti O :Xは 1以上の整数)化合物に対して、本発明のエッチング液
X 2X-1
によるエッチングが可能である。
[0025] 反応式(1)、(2)、(3)及び (4)から、珪フッ化水素酸は、シリコン基板または珪酸系 ガラス基板には不活性であるが、チタンに対しては活性を示すことから、チタンの選 択的エッチングを行うことができる。
[0026] 本発明のチタン含有層用エッチング液は、上述の如ぐ酸化剤を含有していてもよ ぐ酸化剤によりエッチング速度の調節が可能である。この酸化剤としては硝酸また は過酸化水素が好適である。
[0027] 特に、チタン窒化材、チタン酸窒化材は、チタン又はチタン酸化材よりも堅固である ため、通常は酸化剤の併用が好ましい。即ち、チタン窒化物、チタン酸窒化物が酸 化剤の作用で窒素を放出し、チタン酸ィ匕物が中間物として生成し、該チタン酸化物 が珪フッ化水素酸に溶解してエッチングが行われる。従って、チタン窒化物、チタン 酸窒化物の場合も、チタン酸化物の場合と全く同様に本発明のエッチング液にてェ ツチングが可能である。
[0028] また、本発明のチタン含有層用エッチング液は、さらに、アルコール類、グリコール 類、有機酸類および界面活性剤、好ましくは炭素数力 以下のアルコール類、炭素 数力 以下のグリコール類、炭素数が 4以下の有機酸類、ァニオン系界面活性剤お よびノニオン系界面活性剤の群から選ばれる少なくとも 1種を含有していてもよレ、。こ れらを含有することにより、エッチング液の表面張力を下げて微細部分のエッチング 性を向上させることが出来、また、後述のサイドエッチングを防止するなどの機能性を
得ることが出来る。
[0029] 以下に本発明のチタン含有層用エッチング液を詳細に説明する。本発明のチタン 含有層用エッチング液は、珪フッ化水素酸を含有する液であり、一般的には、珪フッ 化水素酸水溶液である。この珪フッ化水素酸水溶液中の珪フッ化水素酸濃度が 0. 1 一 40重量%の範囲であれば、チタンのエッチング速度に対して珪フッ化水素酸濃度 力 次関数的な関係を有することが分かっている。そして、珪フッ化水素酸水溶液の 珪フッ化水素酸濃度が 20重量%を超えても何ら支障はなレ、が、珪フッ化水素酸濃度 が 50重量%を超えると、珪フッ化水素酸の分解などによりチタン含有層用エッチング 液が不安定となる。また、珪フッ化水素酸水溶液は 40重量%濃度以下の水溶液とし て容易に入手できる。従って、珪フッ化水素酸水溶液中の珪フッ化水素酸の濃度は 、通常 0. 1 50重量%、好ましくは 1一 40重量%、より好ましくは 1一 20重量%の範 囲とされる。なお、珪フッ化水素酸濃度が 0. 1重量%未満の場合は、十分なエツチン グ速度を得ることができない。
[0030] チタン窒化物またはチタン酸窒化物をエッチングする場合を除いて、前述の如ぐ エッチング速度の調整のために、チタン含有層用エッチング液に酸化剤を添加して もよレ、。チタン含有層用エッチング液中の酸化剤濃度は、使用する酸化剤の種類に 依存する。例えば、酸化剤として硝酸を使用する場合、チタン含有層用エッチング液 中の硝酸濃度は、通常 20重量%以下、好ましくは 10重量%以下である。また、過酸 化水素を使用する場合、チタン含有層用エッチング液中の過酸化水素濃度は、通常 10重量%以下、好ましくは 5重量%以下、より好ましくは 3重量%以下である。酸化剤 を添加する場合、その濃度の下限値は、特に制限は無いが、通常 0. 1重量%である 。 0. 1重量%未満の場合は、エッチング速度の向上効果が発現しない。なお、本発 明においては、酸化剤を添加しなくても十分なエッチング速度を得ることが出来る場 合が多い。むしろ、酸化剤濃度が高すぎると、チタンの表面に堅固な酸化皮膜層が 形成され、形成された酸化膜の溶解に時間が掛かり、その結果、後述の機能剤の機 能を損なう恐れがある。従って、酸化剤を使用する場合は、低濃度で使用することが 好ましい。
[0031] 一方、チタン窒化物またはチタン酸窒化物をエッチングする場合、窒化物または酸
窒化物を酸化物に変える必要があることから、酸化剤を使用することが好ましい。例 えば、酸化剤として硝酸を使用する場合、チタン含有層用エッチング液中の硝酸濃 度の下限値は、通常 10重量%、好ましくは 20重量%であり、その上限値は、通常 50 重量%、好ましくは 40重量%である。また、過酸化水素を使用する場合、チタン含有 層用エッチング液中の過酸化水素濃度の下限値は、通常 5重量%、好ましくは 10重 量%であり、その上限値は、通常 20重量%、好ましくは 15重量%である。
[0032] 一般に、エッチング液の基本成分は、金属酸化物を溶解させる錯体または酸と金 属を酸化処理させる酸化剤と微細部分に液を導入するべくエッチング液の表面張力 を低下させる等の機能を有する機能剤との混合系が好適である。添加する機能剤と しては、通常、有機カルボン酸類の有機酸類、アルコール類、グリコール類および界 面活性剤の群から選択される。エッチング液中の酸化剤の強度が強い場合は、機能 剤が酸化剤で変質ないし劣化して、その機能を失する場合が多ぐ一般的には機能 剤の選択の余地が少なレ、。
[0033] そのため、機能剤として、酸化生成物に相当する有機酸類し力使用できない場合 が多い。し力しながら、前述の如ぐ珪フッ化水素酸を使用する本発明のチタン含有 層用エッチング液によるチタン又はチタン酸化物のエッチングの場合は、酸化剤が 殆ど不要であるか又は少量の酸化剤の添加で良いため、機能剤として、珪フッ化水 素酸水溶液に溶解可能であり、エッチング液の表面張力または接触角を下げる機能 を有し、且つ、微細加工処理の疎水性レジストに挟まれた間隙部分に親水系エッチ ング液を侵入させる機能を奏するものであれば、特に制限はなレ、が、例えば、アルコ ール類、グリコール類、有機酸類、界面活性剤などの水溶解性の化合物が挙げられ る。
[0034] ただし、チタン窒化物及び Z又はチタン酸窒化物のエッチング液としては、前述の 如ぐ所定量の酸化剤が使用されるため、機能剤としては、有機酸類が挙げられ、具 体的には、酢酸、メタンスルフォン酸、蓚酸などが使用できる。
[0035] 本発明のチタン含有層用エッチング液に添加される機能剤としてのアルコール類と しては、通常炭素数 4以下、好ましくは炭素数 1一 4のアルコール類が挙げられ、例え ば、メタノーノレ、エタノール、プロパノール等が挙げられる。グリコール類としては、通
常炭素数 4以下、好ましくは炭素数 2— 4のグリコール類が挙げられ、例えば、ェチレ ングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタ ンジオール、グリセリン、それらの水溶性グリコールエーテル類などが挙げられる。ま た、酸類としては、通常炭素数 4以下、好ましくは炭素数 1一 4の有機カルボン酸が挙 げられ、例えば、一塩基酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸などが挙げ られ、二塩基酸としては、蓚酸、マロン酸、クェン酸、コハク酸、グノレタル酸、リンゴ酸 などが挙げられる。
[0036] 界面活性剤としては、ァニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤が好適 であり、例えば、ァニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸が挙 げられ、ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレングリコールエーテル類が 挙げられる。これら界面活性剤のチタン含有層用エッチング液中の濃度の上限値は 、通常 500重量 ppm、好ましくは 200重量 ppmで、その下限値は、通常 10重量 ppm である。界面活性剤の濃度が多過ぎる場合は、発泡を起こすので好ましくなぐまた、 界面活性剤の濃度が 10重量 ppm未満の場合は、機能剤としての効能が発現されな レ、。これらの機能剤は、 1種を単独で使用しても良ぐまた、 2種以上の混合物として 添加してもよい。
[0037] このような機能剤の更なる効果について、以下に説明する。チタンは、電気抵抗が 大きく配線材料には向かないが、シリコン基板や珪酸系ガラス基板に対する密着性 が高いことから、基板に対する密着性の悪い金属配線材の下地金属材として用いら れるケースが多い。そして、チタン下地層上に他の金属材料よりなる配線パターンを 形成した積層構造が採用される。この様な場合においては、基板上に下地層として のチタン層を介して配線材としての金属層を形成し、この上に更にレジストパターンを 設け、配線材 (以下「上部金属」と称す場合がある。)のエッチングを行った後、チタン 層(以下「下部 Ti」と称す場合がある。 )のエッチングを行う。
[0038] シリコン基板または珪酸系ガラス基板上に直接形成した場合に十分な密着性が得 られず剥がれてしまう配線金属材としては、 Pt、 Au、 Ag、 Cu、 Pd等がある。しかしな がら、レジストパターンで覆った上部金属を別のエッチング液でエッチングし、下部 Ti が表出した後に、本発明のチタン含有層用エッチング液により、上部金属をマスクパ
ターンとして下部 Tiをエッチングすることが出来る。
[0039] この場合、上部金属と下部 Tiとの異なる金属の積層系においては、エッチング液が 両金属に同時に接触するので、酸化電位が低い(イオン化傾向の大きレ、)金属の方 が単膜の場合と比較して、エッチング速度が加速される現象が起こる。例えば、上部 金属が Auの場合、 Auのイオン化電位が + 1. 6Vであるのに対して、 Ti下地層のィ オン化電位は一 1. 6Vであり、 Tiと Auとの電位差は 3. 2Vと非常に大きレ、。この様に 、電位差が大きい程、エッチング時に分極して、酸化電位の高い部分が陰極となり、 酸化電位の低い下地金属の方は陽極酸化を受けた形で電喰される。 Auに対して電 位差が大きぐエッチング速度が加速され易い Tiでは、上部 Auのメタルマスク下では 、下部 Tiのサイドエッチングが進み、単層に比して積層では膜厚に対して通常 50— 100倍もサイドエッチング速度が加速される。例えば、厚さ 0. 1 z mの下部 Tiをエツ チングする間に、 5 10 a mものサイドエッチング(レジスト隙間横方向エッチング)現 象が起こる可能性がある。
[0040] 前述の機能剤は、このような問題を防止する効果も奏する。即ち、本発明のチタン 含有層用エッチング液において、珪フッ化水素酸が溶解できる範囲内で、機能剤濃 度を高めていくと、相対的に水分濃度が下がってくる。し力しながら、水分濃度が下 力 ¾と水素ガスが発生する過電圧が高くなり、その結果、積層金属間での電子移動 が起こりにくくなつて見かけ上電喰作用が小さくなり、サイドエッチングが抑制される。 従って、機能剤の選定には、水分濃度を規制し得ることも重要であり、珪フッ化水素 酸でチタンを溶かすことにより生成したチタン塩に対する溶解度も考慮することが重 要である。
[0041] なお、レジストパターンを形成した場合、レジストが機能剤に溶解することがあるの で、レジストがある場合には機能剤としてのアルコール類の添カ卩が制限される場合が ある。し力 ながら、レジストパターンは、前述の積層構造の上部金属のエッチングに は必要であるが、下部 Tiのエッチングの際には、上部金属がメタルマスクとなることも あので必ずしも必要とされなレ、。従って、チタンのエッチングと共に、レジストも除去し ても良い場合であれば、アルコール系機能剤の使用も可能である。
[0042] この様に、機能剤の使用により、エッチング液の表面張力の低減、サイドエッチング
の防止などの効果が得られる。本発明のチタン含有層用エッチング液中の界面活性 剤以外の機能剤濃度は、用レ、る機能剤の種類、要求性能によっても異なるが、通常
5— 90重量%、好ましくは 40— 80重量%の範囲である。
[0043] 本発明のチタン含有層用エッチング液は、珪フッ化水素酸と、必要に応じて、前述 の酸化剤及び Z又は機能剤とを含有し、好ましくは残部が実質的に水より成る。エツ チング液中のパーティクルに関しては、基板上のパターンサイズが微細化するに伴 い均一エッチングを阻害する怖れがあるので除去しておくことが好ましぐ具体的に は、粒径 0. 5 z m以上の微粒子数が通常 1000個 Zml以下である。エッチング液の 微粒子除去は、例えば、製造されたエッチング液を精密フィルターを介して濾過する ことによって行うことが出来る。この場合、濾過の方式はワンパス式でも良レ、が、微粒 子の除去効率の点から循環式がより好ましい。
[0044] 以下に、エッチング対象毎に本発明のチタン含有層用エッチング液の好適な組成 を示すが、本発明のチタン含有層用エッチング液は何ら下記組成に限定されるもの ではない。
[0045] <チタン及びチタン酸化物用エッチング液 >
珪フッ化水素酸:通常 0. 1— 40重量%、
酸化剤:通常 20重量%以下、好ましくは 10重量%以下、
機能剤:通常 90重量%以下、好ましくは 80重量%以下、
[0046] <チタン窒化物およびチタン酸窒化物用エッチング液 >
珪フッ化水素酸:通常 0. 1— 40重量%、
酸化剤:通常 10— 50重量%、好ましくは 20— 40重量%、
機能剤:酢酸またはメタンスルフォン酸の場合、通常 30重量%以下、好ましくは 2 0重量%以下、
[0047] 本発明のチタン含有層のエッチング方法は、チタン含有層用エッチング液を使用し て、シリコン基板または珪酸系ガラス基板上のチタン含有層をエッチングすることから 成る。すなわち、本発明のチタン含有層のエッチング方法は、基板上のチタン含有 層上にチタン以外の金属、好ましくは白金、金、銀、銅およびパラジウムの少なくとも 1種によるパターンが形成されている基板上のチタン含有層のエッチングに特に好適
であり、チタン含有層上の金属パターンを残して、且つ、基板を侵すことなぐ金属パ ターン間に表出するチタン含有層のみを効率的にエッチング除去することが出来る。
[0048] この場合、エッチング温度は、特に規制はなぐ常温が使用しやすいが、温度を上 げた方がチタンとエッチング液との反応活性は高くなる。しかし、温度を 60°Cを超え る高温に上げると、前述の如ぐ珪フッ化水素酸が分解を起こす。このため、エツチン グ温度の上限値は、通常 60°C、好ましくは 50°Cである。エッチング時の圧力は、特 別エッチング性能に影響しなレ、ので、通常常圧である。
[0049] エッチング方式としては、従来の公知方法を何れも好適に採用することができ、一 般的には、バッチ浸漬方式やスプレー方式などが挙げられる。なお、エッチング方式 はエッチング性能に特に影響するものではなレ、。エッチング処理中、エッチング液を 撹拌することは好ましい態様であり、また、エッチング液中の処理基板を揺動させるこ とも好ましい態様である。
[0050] なお、本発明によりエッチング処理されるシリコン基板または珪酸系ガラス基板上の チタン含有層の厚さは、特に制限されるものではなレ、が、前述の下地金属層としての チタン含有層の厚さは、通常 0. 05-0. 2 /i m程度である。また、このような下地チタ ン含有層上の金属配線材層の厚さは、通常 0. 05-0. 5 /i m程度である。
実施例
[0051] 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えな い限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[0052] 実施例 1 :
8Bシリコンウェハ上に熱酸化被膜を 0. 08 x m厚さに形成したものを短冊状(lcm X 5cm片)に切断してシリコンテストピースとした。それとは別に、該熱酸化皮膜が 0. 08 μ mの厚さに形成された 8Βシリコンウェハの上にスパッタにて 0. 1 μ mの厚みとな る様にチタン層を成膜したものを同様に短冊状に切断してエッチング速度測定用の チタンテストピースとした。このチタンテストピースを SEMで観察した力 チタン層はシ リコン熱酸化膜に相当に密着しており、機械的にも剥がれるようなものではなぐクロ ム層の密着性と全く同じであった。
[0053] これらのテストピースを調製した後に、 100ml容の 2つのビーカーに他の添加物が
何も入っていない 15重量%珪フッ化水素酸水溶液を各々 50mlずつ入れてスターラ 一にて撹拌し、温度 50°Cで一定になる様にセットした後に、珪フッ化水素酸水溶液 中にテストピースが浸漬する様にチタンテストピースとシリコンテストピースとを吊して セットした。チタンテストピースについては、 目視でチタン膜が無くなるまでの時間を 測定する方法でエッチング速度を調べた。他方、シリコンテストピースについては目 視測定ができないため、光干渉膜厚計で測定し、膜厚減少分を計算した傾きからェ ツチング速度を求めた。チタンのエッチング速度と酸化シリコンのエッチング速度の測 定結果を表 1に示す。
[0054] 比較例 1 :
実施例 1において、エッチング液としての珪フッ化水素酸水溶液の代わりに 80重量 %濃硫酸水溶液を用いたこと以外は、実施例 1と同様にして、チタンと酸化シリコンの 各エッチング速度を調べた。結果を表 1に示す。
[0055] 比較例 2 :
実施例 1において、エッチング液としての珪フッ化水素酸水溶液の代わりに 35重量 %濃塩酸水溶液を用いたこと以外は、実施例 1と同様にして、チタンと酸化シリコンの 各エッチング速度を調べた。結果を表 1に示す。
[0056] 比較例 3 :
実施例 1において、テフロン (登録商標)製のビーカーを用レ、、エッチング液としての 珪フッ化水素酸水溶液の代わりに 1重量%フッ酸水溶液を用いたこと以外は、実施 例 1と同様にして、チタンと酸化シリコンの各エッチング速度を調べた。結果を表 1に 示す。
[0057] [表 1]
エッチング速度 エッチング液
( n m/分) エッチング液成分 フノ J、遍又
·(皿日ズ 酸化シリ 濃度 チタン
(V) ン 実施例 1 珪フッ化水素酸 15 85 50 3500 13 比較例 1 硫酸 80 20 50 264 1 比較例 2 塩酸 35 65 50 160 1 比較例 3 フッ酸 1 99 50 2500 160
[0058] 表 1より、珪フッ化水素酸を含むチタン含有層用エッチング液であれば、シリコン基 板を殆ど浸すことなぐチタン層のみを選択的にエッチングすることが、しかも、エツ チング速度も非常に速レ、ことが分かる。
[0059] 実施例 2:
8Bシリコンウェハ上に熱酸化被膜を 0. 08 μ ΐηの厚さに形成し、この上にチタンを スパッタにより 0· 10 μ ΐηの厚さになる様に成膜し、スパッタのチタン面を空気に触れ ない様にして続けてその上に金をスパッタにて 0· 5 /i mの厚みとなる様に積層成膜 した。この積層膜の上に、更にレジスト膜を付けてパターユングしたテストピースを用 意した。即ち、シリコン基板/シリコン酸化膜層/チタン層/金層/パターンレジスト 層からなる積層テストピース(1 )を作成した。
[0060] 100ml容ビーカーに、まず金層をエッチングすべぐ金エッチング液として、ヨウ素 3重量0 /0、ヨウ化カリウム 9重量0 /0の水溶液を 50ml入れて、スターラーにて撹拌し、 温度は 25°Cで一定になる様にセットした中に、該積層テストピース(1 )を浸漬する様 に吊してセットした。 目視にてレジスト隙間の金色が無くなるまでエッチングして、レジ スト隙間の金部分をエッチング除去した。その際、 目視でチタン層は該エッチング液 では全くエッチングされていないことを確認できたが、更に、積層膜に対して縦方向 に切断した面の SEM写真での厚み測定からもチタン層がエッチングされていないこ とを確認した。金除去した後の積層テストピース(1 ) (テストピース(2)と称する。)を使 用して、次に、 100ml容のビーカーに、他の添加物が何も入っていない 20重量%珪
フッ化水素酸水溶液を 50ml入れスターラーにて撹拌し、温度は 25°C—定になる様 にセットした中に、該テストピース(2)を該水溶液中にテストピースが浸漬する様に吊 してセットして、チタン層部分のエッチングを行った。 目視にてレジスト隙間のチタン 膜が無くなり下の酸化膜層(有色)が確認できたところでエッチングを止め、積層膜に 対して縦方向切断した面の SEM写真観察をして、以下の計算値を算出した。
[0061] 即ち、金層がメタルマスクになっているにもかかわらず、下地チタン層の横方向サイ ドエッチングが進んでいることを確認し、チタン層の膜厚方向のエッチング速度を求 めると共に、この膜厚方向のエッチング速度に対するサイドエッチング速度の割合を サイド Z膜厚エッチ比として求めた。結果を表 2に示す。その際、実施例 1でも確認し ていたが、厚み検査からチタン層のみが侵食エッチングされていて、シリコン酸化膜 層の侵食は実施例 1に比して温度を下げたこともあり、皆無であることが確認された。
[0062] 実施例 3 :
実施例 2において、チタン層のエッチング液として、珪フッ化水素酸 20重量%、プロ ピレンダリコール 55重量%、水 25重量%の水溶液を用いたこと以外は、実施例 2と 同様にしてエッチングを行レ、、チタン層の膜厚方向のエッチング速度とサイド/膜厚 エッチ比を求めた。結果を表 2に示す。
[0063] 実施例 4 :
実施例 2においてチタン層のエッチング液として、珪フッ化水素酸 10重量%、プロ ピレンダリコール 77重量%、水 13重量%の水溶液を用いたこと以外は、実施例 2と 同様にしてエッチングを行レ、、チタン層の膜厚方向のエッチング速度とサイド/膜厚 エッチ比を求めた。結果を表 2に示す。
[0064] [表 2]
チタン層のエツチン
エッチング液
グ速度 *
ァクノ エッチング液成分濃度
水濃度 膜厚方向 サイド Z 層上の (重量%) 温度
( %) 膜厚のエツ 金属種 珪フッ化 プロピレン CO
(!誦 分) チ比
グリコール
実施例 2 20 0 80 25 240 17 金 実施例 3 20 55 25 25 100 18 金 実施例 4 10 77 13 25 46 3 金
(注) * :何れの場合も、 酸化シリコンのエッチング速度は、 O nmZ分である。
[0065] 表 2より明らかな様に、チタン層上に金層を形成し、金層をエッチングし、次いで、 チタン層を珪フッ化水素酸の水溶液でエッチングした場合、厚みに対して約 17倍の サイドエッチングが進むが(実施例 2、 3)、機能剤の配合を調整することにより、この チタン層の厚みに対するサイドエッチングを 3倍まで抑制することが出来た(実施例 4 )。なお、金層は珪フッ化水素酸でエッチングされることはなかった。
[0066] 実施例 5 :
実施例 1において、チタン層の代りにチタン窒化物層を形成し、エッチング液として 、珪フッ化水素酸 15重量。 /0、硝酸 23重量%の水溶液を用いたこと以外は、実施例 1 と同様にして、チタン窒化層と酸化シリコンの各エッチング速度を調べた。結果を表 3 に示す。
[0067] [表 3]
[0068] 表 3より、本発明のエッチング液によれば、チタン窒化物と酸化シリコンとのエツチン
グ速度比が実施例 1ほどの差ではないものの、顕著に現われ、チタン窒化物層の選 択的エッチングも可能であることが分かる。
[0069] 実施例 6、 7 :
実施例 2及び 4において、チタン層上に金層の代わりに銀層を形成し、金エツチン グ液の代りに銀エッチング液として、リン酸 44重量%、硝酸 5重量%、酢酸 30重量% の混合酸水溶液を用いたこと以外は、それぞれ実施例 2 (実施例 6)、実施例 4 (実施 例 7)と全く同様にしてチタン層のエッチングを行レ、、同様に、チタン層の膜厚方向の エッチング速度とサイド/膜厚エッチ比を求めた。結果を表 4に示す。
[0070] [表 4]
(注) * :何れの場合も、 酸化シリコンのエッチング速度は、 O n mZ分である。
[0071] 表 4より明らかな様に、実施例 2の金層の場合と同様に銀とチタンとの異種金属間 でも電喰が起こっているために、サイドエッチングが進むことが確認された力 エッチ ング液中にプロピレングリコールを大量に添加することによりサイドエッチングを抑制 することが出来た。なお、銀層は酸化剤の無い珪フッ化水素酸ではエッチングされな かった。
[0072] 実施例 8、 9 :
実施例 2及び 4において、チタン層上に金層の代わりに銅層を形成し、金エツチン グ液の代りに銅エッチング液として、蓚酸アンモニゥム 3重量%と過酸化水素 0. 5重 量%を含む水溶液を用いたこと以外は、それぞれ実施例 2 (実施例 8)、実施例 4 (実 施例 9)と全く同様にしてチタン層のエッチングを行レ、、同様に、チタン層の膜厚方向
のエッチング速度とサイド/膜厚エッチ比を求めた。結果を表 5に示す。
[0073] [表 5]
(注) * :何れの場合も、 酸化シリコンのエッチング速度は、 O n mZ分である :
[0074] 表 5より明らかな様に、実施例 2の金層の場合と同様に銅とチタンとの異種金属間 でも電喰が起こっているために、サイドエッチングが進むことが確認された力 エッチ ング液中にプロピレングリコールを大量に添カ卩することによりサイドエッチングを抑制 することが出来た。なお、銅層は酸化剤の無い珪フッ化水素酸ではエッチングされな かった。
[0075] 実施例 10、 11 :
実施例 2及び 4において、チタン層上に金層の代わりに白金層を形成し、金工ツチ ング液の代りに白金エッチング液として、硝酸 5重量%、塩酸 10重量%の王水液を 用いたこと以外は、それぞれ実施例 2 (実施例 10)、実施例 4 (実施例 11)と全く同様 にしてチタン層のエッチングを行い、同様に、チタン層の膜厚方向のエッチング速度 とサイド/膜厚エッチ比を求め、結果を表 6に示した。
[0076] [表 6]
チタン層のエッチ
エッチング液
ング速度 *
チ々ン エッチング液成分濃度 サイド
水濃度 膜厚方向 層上の 温度
( nm/ Z膜厚 金属種 珪フッ化 プロピレン (。c) ■のエツ
纏赫 分)
水素酸 グリコール チ比
実施例 10 20 0 80 25 220 11 白金 実施例 11 10 77 13 25 42 3 白金
(注) * :何れの場合も、 酸化シリコンのエッチング速度は、 O n m/分である c
[0077] 表 6より明らかな様に、実施例 2の金層の場合と同様に白金とチタンとの異種金属 間でも電喰が起こっているために、サイドエッチングが進むことが確認された力 エツ チング液中にプロピレングリコールを大量に添カ卩することによりサイドエッチングを抑 制することが出来た。なお、白金層は酸化剤の無い珪フッ化水素酸ではエッチングさ れなかった。
[0078] 実施例 12、 13 :
実施例 2及び 4において、チタン層上に金層の代わりにパラジウム(Pd)層を形成し 、金エッチング液の代りにパラジウムエッチング液として、硝酸 5重量%、塩酸 10重量 %の王水液を用いたこと以外は、それぞれ実施例 2 (実施例 12)、実施例 4 (実施例 1 3)と全く同様にしてチタン層のエッチングを行い、同様に、チタン層の膜厚方向のェ ツチング速度とサイド/膜厚エッチ比を求めた。結果を表 7に示す。
[0079] [表 7]
(注) * :何れの場合も、 酸化シリコンのエッチング速度は、 O n mZ分である <
[0080] 表 7より明らかな様に、実施例 2の金層の場合と同様にパラジウムとチタンとの異種 金属間でも電喰が起こっているために、サイドエッチングが進むことが確認されたが、 エッチング液中にプロピレングリコールを大量に添加することによりサイドエッチング を抑制することが出来た。なお、パラジウム層は酸化剤の無い珪フッ化水素酸ではェ ツチングされなかった。
[0081] 実施例 14 :
液晶用珪酸系ガラスにチタンをスパッタにより 0. 10 11 mの厚みになる様に成膜し、 その上にポジ型ノボラック系レジストを塗布して紫外線を照射することにより、パター ニングし、未露光部(可溶部)をアルカリ剤で除去した後に、空気存在下で 130°Cに てポストベータ加熱処理した。これにより、レジストの硬化膜の開口部から表出したチ タン部分の表面にチタン酸化物層が形成された。
[0082] テストピースとして、この様にしてチタン酸化物層を形成したテストピースと珪酸系ガ ラスのテストピースとを用いたこと以外は、実施例 1と同様にして酸化チタンのエッチ ング速度と珪酸系ガラスのエッチング速度を調べた。結果を表 8に示す。
[0083] [表 8]
エッチング速度 エッチング液
(腿 Z分) エッチング液成分) 水濃度
温度 チタン 珪酸系 濃度 (軍暈%)
CO 窒化物 ガラス
(s m
実施例 14 珪フッ化水素酸 15 85 50 3200 30
[0084] 表 8より明らかな様に、実施例 1におけるチタンのエッチング速度よりも酸化チタンの エッチング速度はわずかに遅くなた力 十分なエッチング速度でエッチングされた。 一方、珪酸系ガラスは殆どエッチングされず、シリコンウェハ上の酸化シリコン膜のェ ツチング性能と同等であった。従って、チタン酸化物層ではわずかにエッチング速度 が下がり、ガラス層のエッチング速度の方は上がるもののガラス層と酸化チタン層との 間に十分なエッチング速度差を取ることが出来、エッチング液の酸化チタンに対する 選択性も確認することが出来た。
[0085] 実施例 15 :
実施例 2において、チタンのエッチング液として、珪フッ化水素酸 20重量%と酢酸 1 0重量%のエッチング液を用いた以外は、実施例 2と同様にしてエッチングを行い、 チタン層の膜厚方向のエッチング速度とサイド Z膜厚エッチ比を求めた。結果を表 9 に示す。
[0086] [表 9]
(注) * :何れの場合も、 酸化シリコンのエッチング速度は、 O nmZ分である。 [0087] 表 9より明らかな様に、酢酸を含むエッチング液を用いることにより、チタンのエッチ
ング速度が上がり、一方、サイドエッチングは小さくなる傾向にあった。このエッチング 速度の上昇は、酢酸による濡れ性改善効果と酸強度向上効果によるものと考えられ る力 詳細な理論的説明はついていない。なお、酸化シリコン等のエッチング性に変 化は無かった。
[0088] 実施例 16 :
実施例 15において、チタンのエッチング液として、珪フッ化水素酸 20重量%、硝酸 10重量%のエッチング液を用いたこと以外は同様にして、チタン層の膜厚方向のェ ツチング速度と、サイド/膜厚比を求めた。結果を表 10に示す。なお、該基板 (シリコ ン基板/シリコン酸化膜層 Z金層 Zパターンレジスト層)で既に金が除去され実施例 方法にてチタン部分が除去された基板にて、レジストパターン残膜の隙間部分でシリ コン酸化膜が露出している部分において、ナノスペック非接触型光干渉膜厚測定装 置(ナノメトリックス社製 L—6100)を用いて酸化シリコン分の元基準膜厚をベースとし て測定処理後膜厚を出すことで、酸化シリコン部の浸食分を算出して、そこから酸化 シリコンのエッチング速度を調べた。結果を表 10に併記する。
[0089] 実施例 17 :
実施例 15において、チタンのエッチング液として、珪フッ化水素酸 20重量%、過酸 化水素 3重量%のエッチング液を用いたこと以外は同様にして、チタン層の膜厚方向 のエッチング速度と、サイド/膜厚比を求めた。結果を表 10に示す。なお、該基板( シリコン基板/シリコン酸化膜層/金層/パターンレジスト層)で既に金が除去され 実施例方法にてチタン部分が除去された基板にて、レジストパターン残膜の隙間部 分でシリコン酸化膜が露出してレ、る部分にぉレ、て、ナノスペック非接触型光干渉膜厚 測定装置けノメトリックス社製 L一 6100)を用いて酸化シリコン分の元基準膜厚をべ ースとして測定処理後膜厚を出すことで、酸化シリコン部の浸食分を算出して、そこ 力 酸化シリコンのエッチング速度を調べた。結果を表 10に併記する。
[0090] [表 10]
エッチング液 エッチング速度
(nmZ分)
エッチング液成分 サイド Z 珪フッ化 水濃度 ッ 酸化剤 ϊ皿/ ¾_
水素酸濃 O 酸化シ チ比 度 濃度 翻 チタン
リコン
(軍暈 ¾)
実施例
20 硝酸 10 70 25 600 2 7
1 6
実施例 過酸化
20 3 77 25 200 2 13 1 7 水素
[0091] 表 10より、硝酸を用いた実施例 16では、チタンのエッチング速度が上がり、サイド エッチングが小さくなる傾向にあった。この効果については 1つは硝酸による濡れ性 改善効果と酸強度向上効果によりエッチング速度上がると考えられているが、詳細な 理論的説明はついていなレ、。酸化シリコン等のエッチング性については、この程度の 硝酸濃度の添加と低い温度条件では変化無かった。
[0092] また、実施例 17では、チタンのエッチング速度が下がる傾向にあり、サイドエツチン グは抑制される傾向にあった。チタン材は酸化剤が多い条件では表面に酸化被膜が できて不働態を形成することが知られており、実施例 14にも示した如ぐ表面に酸化 皮膜ができるとエッチング速度は落ちるので、このエッチング速度の低下は、酸によ る除去効果と酸化皮膜の形成効果との相互作用によるものと考えられる。
[0093] 実施例 18 :
8Bシリコンウェハ上に熱酸化皮膜を 0. 08 μ ΐηの厚さに形成した上に、スパッタに て 0· 1 μ ΐηの厚みとなる様にチタン層を成膜し、このチタン層上にポジ型ノボラック系 レジストを塗布し、各種間隔を種々に設けた各種パターンを紫外線照射によりパター ン化した後アルカリ剤にて未露光部(可溶部)を除去し、その後、空気存在下で 130 °Cにてポストベータ処理した。この基板を短冊状に切断したものをテストピースとした 。本実施例では他の異種金属積層膜の形にはしておらず、 Si基板 Z酸化シリコン/ チタン zレジストの積層構造である。
[0094] チタンのエッチング液として、珪フッ化水素酸 20重量%水溶液 (基本液)を用いた
場合は、配線間隔が狭いものになると、レジストが疎水性でかつ該液が親水性のた めに、濡れ性が悪ぐ本来のエッチング性能を発揮することができず、見かけのエツ チング速度が遅くなつた。そこで、狭配線の場合でも、エッチング液が浸透できる様 に、エッチング液として、珪フッ化水素酸 20重量%水溶液に n—プロパノールを 10重 量%添加したエッチング液を用いたこと以外は、実施例 1と同様にエッチング処理を 行レ、、実施例 1と同様にして、チタンと酸化シリコンの各エッチング速度を調べた。結 果を表 11に示す。
[0095] なお、 n—プロパノールを 13重量%以上添カ卩した場合は、レジストが溶けて剥がれる ことも確認されている。本実施例では、 15 x m以下の隙間間隔を持つものについて も、エッチング液がスムーズに入って、基本液とは代わらない性能レベルに達するこ とを確認した。なお、このエッチング液に酸化剤としての硝酸または過酸化水素を共 存させると、 n—プロパノールが変質することも確認されており、このエッチング液では これらの酸化剤を用いな力 たため、エッチング液は安定であった。
[0096] 実施例 19 :
実施例 18において、エッチング液として、珪フッ化水素酸 20重量%水溶液に n—プ ロパノールの代わりにァニオン系界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(DB S) 200重量 ppmを添カ卩した水溶液を用いたこと以外は同様にしてエッチング処理を 行レ、、同様にチタンと酸化シリコンの各エッチング速度を調べた。結果を表 11に示す
[0097] なお、 DBSは 500重量 ppm以上添加すると、発泡が激しぐ 200重量 ppm添加で 少し発泡が納まる方向にある。本実施例では、 15 / m以下の隙間間隔を持つものに ついても、エッチング液がスムーズに入って、基本液とは代わらない性能レベルに達 することを確認した。なお、このエッチング液に酸化剤としての硝酸または過酸化水 素を共存させると、 DBSが酸化されて、時間が経つと効力を失うことも確認しており、 このエッチング液ではこれらの酸化剤を添加してレヽなレ、ので問題無かった。
[0098] 実施例 20 :
実施例 19において、チタンのエッチング液として、珪フッ化水素酸 20重量%水溶 液にァニオン系界面活性剤 DBSの代わりにノニオン系界面活性剤ポリオ-
ングリコールアルキルエーテル(POEG) 200重量 ppmを添加した水溶液を用いたこ と以外は同様にしてエッチング処理を行い、同様にチタンと酸化シリコンの各エッチ ング速度を調べた。結果を表 11に示す。
[0099] なお、 POEGは 500重量 ppm以上添加すると、発泡が激しぐ 200重量 ppm添カロ で少し発泡が納まる方向にある。本実施例では、 15 z m以下の隙間間隔を持つもの についても、エッチング液がスムーズに入って、基本液とは代わらない性能レベルに 達することを確認した。なお、このエッチング液に酸化剤としての硝酸または過酸化 水素を共存させると、 POEGが酸化されて、時間が経つと効力を失うことも確認して おり、このエッチング液ではこれらの酸化剤を添カ卩していないので問題無かった。
[0100] [表 11]
[0101] 本発明によれば、シリコン基板または珪酸系ガラス基板上に形成された、チタン、チ タン酸化物、チタン窒化物およびチタン酸窒化物よりなる群から選ばれる 1種または 2 種以上を主成分とするチタン含有層を選択的に速いエッチング速度で除去すること ができるため、シリコン基板または珪酸系ガラス基板に対して密着性の悪い白金、金 、銀、銅、パラジウム等のパターンを形成するに当たり、下地層としてチタン層、チタン 酸化物層、チタン窒化物層、またはチタン酸窒化物層を適用し場合でも、このチタン 系下地層を容易にエッチングカ卩ェすることが出来る。従って、本発明によれば、従来
のクロム下地金属の代替として、チタン、チタン酸化物、チタン窒化物、またはチタン 酸窒化物を下地金属として適用することが可能となり、その工業的価値は極めて大き レ、。