JP4941335B2 - エッチング液及びエッチング方法 - Google Patents
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下地層の材料としては、基板との密着性に優れたものを選定する必要があり、基板がシリコンやガラスなどの場合、従来は、モリブデンが用いられていた。しかしながら、モリブデンは水分に弱く腐食しやすいために合金化が必要なこと、及び、近年のモリブデン価格の高騰に伴い、シリコンやガラスとの密着性が良く、合金化が不要なチタンを使用するケースが増えてきている。
即ち本発明は以下を要旨とする。
[1] チタンを主成分とする層とアルミニウムを主成分とする層とを含んでなる積層体中のチタンを主成分とする層及びアルミニウムを主成分とする層を同時にエッチングするのに用いるエッチング液であって、珪フッ化水素酸、水、及び珪フッ化水素酸塩を含有することを特徴とするエッチング液。
[2] 前記珪フッ化水素酸塩がアンモニウム塩であることを特徴とする[1]に記載のエッチング液。
[3] 前記珪フッ化水素酸塩のアンモニウム塩がヘキサフルオロ珪酸アンモニウム又はヘキサフルオロ珪酸のテトラメチルアンモニウムであることを特徴とする[1]及び/又は[2]に記載のエッチング液。
[4] 前記珪フッ化水素酸塩の含有量が前記珪フッ化水素酸に対し、モル比で0.5〜4.0であることを特徴とする[1]乃至[3]の何れかに記載のエッチング液。
[5] 前記珪フッ化水素酸の濃度が0.5〜40重量%であり、前記珪フッ化水素酸塩の濃度が0.3〜50重量%であることを特徴とする[1]乃至[4]の何れかに記載のエッチング液。
[6] チタンを主成分とする層とアルミニウムを主成分とする層とを含んでなる積層体中のチタンを主成分とする層及びアルミニウムを主成分とする層をエッチング液により同時にエッチングする方法であって、該エッチング液が珪フッ化水素酸、水、及び珪フッ化水素酸塩を含有することを特徴とするエッチング方法。
[7] 前記積層体がチタンを主成分とする層を2層以上含み、各層におけるチタンの酸化状態が互いに異なることを特徴とする[6]記載のエッチング方法。
[8] 前記珪フッ化水素酸塩がアンモニウム塩であることを特徴とする[6]又は[7]に記載のエッチング方法。
[9] 前記珪フッ化水素酸塩のアンモニウム塩がヘキサフルオロ珪酸アンモニウム及び/又はヘキサフルオロ珪酸のテトラメチルアンモニウムであることを特徴とする[6]乃至[8]の何れかに記載のエッチング方法。
[10] 前記珪フッ化水素酸塩の含有量が前記珪フッ化水素酸に対し、モル比で0.5〜4.0であることを特徴とする[6]乃至[9]の何れかに記載のエッチング方法。
[11] 前記珪フッ化水素酸の濃度が0.5〜40重量%であり、前記珪フッ化水素酸塩の濃度が0.3〜50重量%であることを特徴とする[6]乃至[10]の何れかに記載のエッチング方法。
[12] チタンを主成分とする層とアルミニウムを主成分とする層とを含んでなる積層体中のチタンを主成分とする層及びアルミニウムを主成分とする層を珪フッ化水素酸、水、及び珪フッ化水素酸塩を含有するエッチング液によりエッチングする工程を含むことを特徴とする半導体デバイス用基板の製造方法。
本発明のエッチング液は、珪フッ化水素酸、水及び珪フッ化水素酸塩を含有する。
珪フッ化水素酸は、以下の反応式の通り、フッ酸と珪素又は酸化珪素との反応により生成させることができる。従って、本発明のエッチング液は、当然に、このように液中で珪フッ化水素酸を生じているものも含むこととする。
6HF+SiO2→2H2O+H2SiF6(2)
本発明のエッチング液に含まれる珪フッ化水素酸の濃度は、チタン及びアルミニウムのエッチング速度を支配すると考えられる。その下限は、0.5重量%であるのが好ましく、1.0重量%であるのが更に好ましく、3.0重量%であるのが特に好ましく、上限が40重量%であるのが好ましく、20重量%であるのが更に好ましく、10重量%であるのが特に好ましい。珪フッ化水素酸濃度が上記範囲内であると、珪フッ化水素酸濃度に比例してチタン及びアルミニウムのエッチング速度が速くなる傾向にある。珪フッ化水素酸濃度が上記上限以下であると、珪フッ化水素酸の分解等によるエッチング液の不安定化が起こりにくい。また、特に、珪フッ化水素酸濃度が40重量%以下であると入手が容易である点でも好ましい。更に、後述の通り、含シリコン基板の上に配線を形成させる際に作製する「チタン層/アルミニウム層/チタン層/基板」中の上側チタン層は、酸化されやすいが、本発明のエッチング液に含まれる珪フッ化水素酸の濃度が上記上限以下であると、エッチング後の断面形状のテーパ角Dが大きくなるため好ましい(図3参照)。
チタンとアルミニウムは、イオン化電位が非常に近く(チタン−1.63V、アルミニ
ウム−1.66V)、共にアルカリ金属、アルカリ土類金属を除いた金属の中では、非常
に低い。そこで、両元素ともに還元雰囲気下でも十分にイオン化され、エッチングされると推定される。
アルミニウムは、アルミニウムカチオンとアルミン酸アニオンの形態をとることが可能である。また、チタンは、チタンカチオンとチタン酸アニオンの形態をとることが可能である。即ち、チタン(0価)は、還元雰囲気下の酸により、以下の(3)式のように、チタンカチオンを溶解させることができる。
また、チタン酸化物は、塩(カチオン)の存在により、以下の(4)式のように、チタン酸アニオンとしても溶解させることができる((4)式では、塩としてヘキサフルオロ珪酸アンモニウムを用いた例を示す)。
TiO2+H2O+(NH4)2SiF6→(NH4)2TiO3+H2SiF6 (4)
このように、珪フッ化水素酸塩を含む珪フッ化水素酸水溶液は、酸化状態の異なるチタン層を均一にエッチングさせることができると推定される。このため、エッチング残りやエッチング完了部分の下側層への影響を小さくすることができ、「チタン層(部分酸化)/アルミニウム層/チタン層(金属)」を断面がきれいになるようにエッチングすることが可能となり、レジスト側チタン層のエッチング残部が庇状に残る、エッチング断面がギザギザになる、等の現象が生じにくくなるものと推定される。レジスト側チタン層が庇状になったり、垂れたりすると、その下側に隙間ができ、エッチング液や水分がそこに取り込まれたり、レジスト剥離後に、レジスト側チタン層上に絶縁膜を付ける際に庇が影響してヒビが入る、庇が垂れた隙間に異物が入る等のことがあるが、本発明のエッチング液を用いれば、こうした現象が起こりにくくなることから、デバイスの製造の収率が大幅に向上すると期待される。
ム)及びヘキサフルオロ珪酸のテトラメチルアンモニウム(別称:珪フッ酸テトラメチルアンモニウム)が更に好ましく、また、安価であることから、ヘキサフルオロ珪酸アンモニ
ウムが特に好ましい。本発明のエッチング液に含まれる珪フッ化水素酸塩は、1種類でも、2種類以上の混合物でもよい。
本発明のエッチング液には、本発明の効果を著しく損なわない限り、珪フッ化水素酸、水及び珪フッ化水素酸塩以外の成分を含んでいても構わない。これらのその他成分としては、例えば、アルコール等の溶媒、酸化剤、界面活性剤、酸などが挙げられる。
アルコールを使用する場合は、1価でも2価以上でもよく、例えば、メタノール,エタノール,プロパノール及びグリコール類等が挙げられる。これらの内、エッチング速度等から、エーテル結合を有するアルコール(珪フッ化水素酸水溶液に溶解し、エーテル結合と水酸基を有しているもの)が好ましく、特に、本発明のエッチング液を液晶系のゲート配線作製に用いる場合は、レジストを溶解しにくいこと等から、下記一般式(5)の構造を有するアルコールが更に好ましい。
(式中、R1は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは2〜6の整数を示す。
上記一般式(5)におけるアルキレン基R1の炭素数の下限は、2以上が好ましい。また、同上限は4以下が好ましく、3以下が更に好ましく、R1の炭素数は2が最も好ましい。アルキレン基R1の炭素数が上記下限以上であると、化合物としての安定性の点で好ましく、また、上記上限以下であると、分子量が小さいことによる、粘度低下の起こり難さ、蒸留精製のし易さ、水への溶解性等から好ましい。
R1は、界面活性能及び水への溶解性を大幅に損なわなければ、置換基を有していても構わない。
本発明のエッチング液は、硝酸等の酸化剤を含有しても良いが、安全性の点からは少ない方が好ましい。また、特に、本発明のエッチング液でシリコン又はシリコン酸化物基板上のチタン層とアルミニウム層のみをエッチングする場合は、シリコン又はシリコン酸化物基板をエッチングしない範囲とする必要がある。以上の理由から、本発明のエッチング液は、酸化剤濃度を10重量%以下とするのが好ましく、7重量%以下とするのが更に好
ましく、1重量%以下とするのが特に好ましく、0.1重量%以下とするのが最も好まし
い。また、本発明のエッチング液中における酸化剤濃度が低いと、危険性が低い分、多様な添加剤を含むことが可能となる。
られる。
本発明のエッチング液中の粒子に関しては、近年の基板上のパターンサイズの微細化に伴う均一エッチングを阻害する危険性があるので少ないことが望ましい。具体的には、粒径0.5μm以上の微粒子数は、1000個/ミリリットル以下とすることが好ましい。エッチング液中に粒子がふくまれる場合は、例えば、精密フィルターを用いて濾過するなどして除くことができる。この場合、濾過の方式はワンパス式でも良いが、微粒子の除去効率の点からは、循環式がより好ましい。
エッチング速度については、エッチング工程の高速化の点では速い方が好ましいが、エッチングの均一性の点からは、遅い方が制御しやすい。本発明のエッチング方法におけるエッチング速度は、酸化されたチタン層をエッチングする場合等は、その酸化の程度等によっても変わるため、一概に言えないが、上述の観点から、下限が、50nm/分であるのが好ましく、100nm/分であるのが更に好ましく、150nm/分であるのが特に好ましく、200nm/分であるのが最も好ましく、また、同上限は、1000nm/分であるのが好ましい。
<エッチング用積層体の作製>
真空スパッタ装置(株式会社アルバック製高周波スパッタリング装置「SH−350」)中で、ガラス基板(50mm×50mm×0.7mm)(図1の1)の表面全面上に膜厚30nmでチタンをスパッタにより膜付けし(図1の2)、その上に続けてアルミニウムを膜厚216nmスパッタし(図1の3)、その上に続けてチタンを膜厚116nmスパッタして(図1の4)膜付けしたものを真空スパッタ装置から取り出した。この上にレジスト(東京応化工業株式会社製フォトレジスト「OFPR800−20CP」)を塗布した後、ラインアンドスペース標準パターンマスク(10μmライン幅/10μmスペース形状)を用いて、紫外線を照射して、現像液(水酸化テトラメチルアンモニウム溶液:東京応化工業株式会社製の現像液「PMER P−7G」)でパターン抜きを行ってから(図1の5)、140℃で5分間ポストベークしたものを4分割して「エッチング用積層体」(50mm×12.5mm×0.7mm)とした。エッチング用積層体の層構成は、「(部分)レジスト層/チタン層(膜厚116nm)/アルミニウム層(膜厚216nm)/チタン層(膜厚30nm)」/基板」(図1)。ここで、レジスト側のチタン層は、表面が部分酸化されている。
<エッチング速度の測定>
「チタン層(膜厚116nm)/アルミニウム層(膜厚216nm)/チタン層(膜厚30nm)」(3層の合計膜厚362nm)のエッチング速度は、以下の実施例又は比較例に示す35℃の液を入れたビーカー内に評価用サンプルを入れ、その端を保持して遥動させ、目視にて、「チタン層/アルミニウム層/チタン層」がエッチング除去されガラス基板が見えた時点をエッチングの終点(ジャストエッチング)として、エッチング時間と「チタン層/アルミニウム層/チタン層」の膜厚から計算した。
<エッチング形状の観察及びテーパ角の測定>
「エッチング用積層体」を上記のジャストエッチングに要する時間の1.2倍の時間、エッチング液に浸漬させた後、水洗してから乾燥させ、基板上のデバイス配線部分の断面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、図3に示す方法で、テーパ角(図3のD)を算出した。
面のレジストを剥離させてから、水洗、乾燥させたものの斜め上からの形状を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、上側チタン層の形状を確認した。
(比較例1)
4.8重量%珪フッ酸水溶液200gが入った200cm3ガラスビーカーを恒温水槽に入れて、35℃に保持した。これに、上記の「エッチング用積層体」を入れ、手で振って遥動させながらエッチングを行った。「チタン層/アルミニウム層/チタン層」のエッチング速度は、271nm/分であった。また、「エッチング用積層体」を同液にてジャストエッチングの1.2倍の時間エッチングした後、水洗、乾燥させたものの断面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、エッチング断面の形状を調べ、そのCD(Critical Dimension:微小寸法。加工したい素子の設計寸法のうち素子の性能に最も大きく寄与する寸法。多くの場合、配線の幅を指す)ロスを計測した。また、ジ
ャストエッチングの1.2倍の時間エッチングした表面のレジストを80℃のジメチルスルホキシド(和光純薬製)により剥離除去したものを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察
し、上側チタン層の状態を確認した(図5)。
(実施例1)
4.8重量%の珪フッ酸及び8.9重量%の珪フッ酸アンモニウム塩を含んだ水溶液(珪フッ酸アンモニウム塩/珪フッ酸のモル比は1.5)200gが入った200cm3ガラスビーカーを恒温水槽に入れて、35℃に保持した。これに、上記の「エッチング用積層体」を入れ、手で振って遥動させながらエッチングを行った。「チタン層/アルミニウム層/チタン層」のエッチング速度は、271nm/分であった。また、「エッチング用積層体」を同液にてジャストエッチングの1.2倍の時間エッチングした後、水洗、乾燥させたものの断面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、エッチング断面の形状を調べ、CDロスを計測した。また、ジャストエッチングの1.2倍の時間エッチングした表面のレジストを80℃のジメチルスルホキシド(和光純薬製)により剥離除去したものを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、上側チタン層の状態を確認した(図6)。
(実施例2)
エッチング液中の珪フッ酸アンモニウム塩濃度を17.8重量%(珪フッ酸アンモニウム塩/珪フッ酸のモル比3.0)にした以外は、実施例1と同様にエッチングを実施した。この結果、エッチング速度は271nm/分であった。また、「エッチング用積層体」を同液にてジャストエッチングの1.2倍の時間エッチングした後、水洗、乾燥させたものの断面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、エッチング断面の形状を調べ、CDロスを計測した。また、ジャストエッチングの1.2倍の時間エッチングした表面のレジストを80℃のジメチルスルホキシド(和光純薬製)により剥離除去したものを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、上側チタン層の状態を確認した(図7)。
2 下側チタン層
3 アルミニウム層
4 上側チタン層
5 レジスト層
A 上側チタン層、アルミニウム層及び下側チタン層の合計膜厚
B レジスト膜の下側チタン層の下部に対するはみ出し長さ
C レジスト膜の上側チタン層の上部に対するはみ出し長さ
D テーパ角
Claims (12)
- チタンを主成分とする層とアルミニウムを主成分とする層とを含んでなる積層体中のチタンを主成分とする層及びアルミニウムを主成分とする層を同時にエッチングするのに用いるエッチング液であって、珪フッ化水素酸、水、及び珪フッ化水素酸塩を含有することを特徴とするエッチング液。
- 前記珪フッ化水素酸塩がアンモニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載のエッチング液。
- 前記珪フッ化水素酸塩がヘキサフルオロ珪酸アンモニウム及び/又はヘキサフルオロ珪酸のテトラメチルアンモニウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエッチング液。
- 前記珪フッ化水素酸塩の含有量が前記珪フッ化水素酸に対し、モル比で0.5〜4.0であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のエッチング液。
- 前記珪フッ化水素酸の濃度が0.5〜40重量%であり、前記珪フッ化水素酸塩の濃度が0.3〜50重量%であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のエッチング液。
- チタンを主成分とする層とアルミニウムを主成分とする層とを含んでなる積層体中のチタンを主成分とする層及びアルミニウムを主成分とする層をエッチング液により同時にエッチングする方法であって、該エッチング液が珪フッ化水素酸、水、及び珪フッ化水素酸塩を含有することを特徴とするエッチング方法。
- 前記積層体がチタンを主成分とする層を2層以上含み、各層におけるチタンの酸化状態が互いに異なることを特徴とする請求項6記載のエッチング方法。
- 前記珪フッ化水素酸塩がアンモニウム塩であることを特徴とする請求項6又は7に記載のエッチング方法。
- 前記珪フッ化水素酸塩のアンモニウム塩がヘキサフルオロ珪酸アンモニウム及び/又はヘキサフルオロ珪酸のテトラメチルアンモニウムであることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載のエッチング方法。
- 前記珪フッ化水素酸塩の含有量が前記珪フッ化水素酸に対し、モル比で0.5〜4.0であることを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載のエッチング方法。
- 前記珪フッ化水素酸の濃度が0.5〜40重量%であり、前記珪フッ化水素酸塩の濃度が0.3〜50重量%であることを特徴とする請求項6乃至10の何れかに記載のエッチング方法。
- チタンを主成分とする層とアルミニウムを主成分とする層とを含んでなる積層体中のチタンを主成分とする層及びアルミニウムを主成分とする層を珪フッ化水素酸、水、及び珪フッ化水素酸塩を含有するエッチング液によりエッチングする工程を含むことを特徴とする半導体デバイス用基板の製造方法。
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