JP4749179B2 - チタン、アルミニウム金属積層膜エッチング液組成物 - Google Patents

チタン、アルミニウム金属積層膜エッチング液組成物 Download PDF

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本発明は、液晶ディスプレイのゲート、ソースおよびドレイン電極に使用される金属積層膜のエッチング液組成物に関するものである。
アルミニウムまたはアルミニウムにネオジムやシリコンや銅等の不純物を添加した合金は安価で抵抗が非常に低いため、液晶ディスプレイのゲート、ソースおよびドレイン電極材料に使用される。
しかし、アルミニウムまたはアルミニウム合金は下地膜であるガラス基板との密着性が若干悪いこと、薬液や熱により腐食され易いため、アルミニウムまたはアルミニウム合金の上部および/または下部にモリブデンまたはモリブデン合金の膜を用いて積層膜として電極材料に使用され、りん酸等を用いたエッチング液により、積層膜一括エッチングを行っていた。
近年、モリブデンまたはモリブデン合金の価格が高騰していること、薬液や熱による腐食性の更なる改善を目的にチタンまたはチタン合金が注目されている。モリブデンエッチング用のりん酸等は、チタンまたはチタン合金のエッチングは不可能であり、半導体基板ではチタン−アルミニウム系の金属積層膜のエッチング方法としてハロゲン系ガスを用いたリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)等の乾式エッチングが行われている。RIEでは異方性エッチングによりテーパー形状を有る程度コントロールしているが、高価な真空装置や高周波発生装置が必要となり、コスト面で不利であるため、より安価で処理時間も低減できる一括エッチング液の開発が望まれている。
一方、半導体装置の製造工程においてチタンを主成分とする金属薄膜をエッチングする場合、一般的にふっ化水素酸系エッチング液を使用することが知られている(例えば、特許文献1)。また、アンモニア水−過酸化水素水を用いたエッチング液によりチタンもしくはチタン合金のエッチングが可能であることも知られている(例えば特許文献2)。
しかしながら、ふっ化水素酸系エッチング液を用いた場合、下地のガラス基板およびシリコン基板、化合物半導体基板に対しダメージを与えるため使用できない。また、アンモニア水−過酸化水素水を用いた場合、過酸化水素水の分解により気泡が発生し、気泡の基板への付着によりエッチングが不完全となったり、液寿命が短いことから使用が困難である。
この他、ガラス基板等のエッチング液として用いられる本願発明とは用途が異なるが、装飾品や電子部品に用いられるチタンまたはチタン合金の表面スケール除去および平滑化を目的とするエッチング液として、過酸化水素、フッ化物、無機酸類およびフッ素系界面活性剤を必須成分とする組成物が開示されているものの(特許文献3)、チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層とアルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜をエッチングすることについて教示するものではない。また、チタン層と銅層からなる金属積層膜のエッチング液として、ペルオキソ二硫酸塩とフッ化物を含有する水溶液が開示されているが(特許文献4)、アルミ層とチタン層からなる金属積層膜についてエッチングするものではない。
このように、チタン−アルミニウム金属積層膜を一括してエッチングする好適な手段は開発されていない。
特開昭59−124726号公報 特開平6−310492号公報 特開2004−43850号公報 特開2001−59191号公報
すなわち本発明の課題は、上記問題点を解決したチタン−アルミニウム系金属積層膜を、一括エッチングすることができるエッチング液を提供することにある。
上記課題を解決するため鋭意検討する中で、ふっ化水素酸を除くふっ素化合物と酸化剤を組みあわせたエッチング液が、チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層とアルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜を好適に一括エッチングできることを見いだすに至り、更に研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ふっ素化合物(ただし、ふっ化水素酸を除く)と酸化剤を含むエッチング液組成物であって、チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層と、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜を、一括エッチングするのに用いられる、前記エッチング液組成物に関する。
又、本発明は、ふっ素化合物が、ヘキサフルオロケイ酸、およびふっ化水素酸またはヘキサフルオロケイ酸と金属またはアンモニアとの塩の中から選ばれる1種または2種以上である、前記エッチング液組成物に関する。
本発明は、酸化剤が、硝酸、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過よう素酸、過よう素酸ナトリウム、過よう素酸カリウム、メタンスルホン酸、過酸化水素水、硫酸および硫酸エチレンジアミンの中から選ばれる1種または2種以上である、前記エッチング液組成物に関する。
本発明は、ふっ素化合物の濃度が、0.01〜5質量%、酸化剤の濃度が0.1〜50質量%である、前記エッチング液組成物に関する。
本発明は、また、酸化剤が、硝酸またはメタンスルホン酸である、前記エッチング液組成物に関する。
さらに本発明は、酸化剤として、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過よう素酸、過よう素酸ナトリウム、過よう素酸カリウム、過酸化水素水、硫酸および硫酸エチレンジアミンの中から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、前記エッチング液組成物に関する。
本発明は、また、アミド硫酸、酢酸および塩酸の中から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、前記エッチング液組成物に関する。
本発明は、下地基板が、液晶ディスプレイ用ガラス基板である、前記エッチング液組成物に関する。
本発明は、また、下地基板が、半導体装置用シリコン基板または化合物半導体基板である、前記エッチング液組成物に関する。
さらに本発明は、チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層と、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜のエッチング後のテーパー角度を、30〜90度にするのに用いられる、前記エッチング液組成物に関する。
本発明のエッチング液は、下地基板に悪影響を及ぼすことなく、チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層と、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜を一括エッチングできるため、経済性に特に優れるものである。また、テーパー角度のコントロールも容易に行うことができるため、ゲート電極の被覆性の向上により、高品質な製品の製造を可能とするものである。
以下に本発明の実施の形態について詳述する。
本発明のエッチング液組成物は、ふっ素化合物(ただしふっ化水素酸を除く)、酸化剤および水にて構成されることを要旨とするものである。
本発明のエッチング液に使用されるふっ素化合物は、本エッチング液の成分である酸化剤により酸化された金属積層膜上の酸化チタンを溶解することにより、主としてエッチングするものと考えられる。本発明のエッチング液に使用されるふっ素化合物は、ふっ化水素酸以外のふっ素化合物であればいずれを用いてもよいが、ヘキサフルオロケイ酸、およびふっ化水素酸またはヘキサフルオロケイ酸と金属またはアンモニアとの塩の中から選ばれる1種または2種以上であり、たとえば、ふっ化アンモニウム、ふっ化カリウム、ふっ化カルシウム、ふっ化水素アンモニウム、ふっ化水素カリウム、ふっ化ナトリウム、ふっ化マグネシウム、ふっ化リチウム、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム、ヘキサフルオロケイ酸カリウムが好ましく、特にふっ化アンモニウム、ふっ化水素アンモニウムが好ましい。
また、本発明のエッチング液に使用される酸化剤は、金属積層膜上のチタンまたはチタン合金を酸化することにより、エッチング開始剤としての役割を担う。本発明のエッチング液に使用される酸化剤は、硝酸、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過よう素酸、過よう素酸ナトリウム、過よう素酸カリウム、メタンスルホン酸、過酸化水素水、硫酸およびエチレンジアミン硫酸塩から選ばれる1種又は2種以上であり、このうち硝酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、メタンスルホン酸が好ましい。
硫酸アンモニウム、硫酸エチレンジアミン以外の含窒素有機化合物硫酸塩、例えばピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−アミノーメチルピペラジン等の硫酸塩も酸化剤として使用できるが、入手性の点で硫酸アンモニウム、硫酸エチレンジアミンが好ましい。
硝酸またはメタンスルホン酸は、低濃度においてもテーパー角度を低く、例えば40度以下とすることができるので特に好ましい。硝酸およびメタンスルホン酸以外の酸化剤は、テーパー角度を低減する効果は低いものの、レジストへのダメージが小さく、サイドエッチング量を制御することができるので好ましい。前記ふっ素化合物と、硝酸またはメタンスルホン酸を含むエッチング液は、テーパー角度を40度以下に制御することが可能であり、さらに硝酸およびメタンスルホン酸以外の酸化剤、またはアミド硫酸、酢酸、塩酸から選択される少なくとも1種以上を加えることにより、テーパー角度を30〜90度の間で制御することができる。
本発明のエッチング液組成物として好ましい組み合わせとしては、ふっ化アンモニウムと硝酸、ふっ化アンモニウムとメタンスルホン酸の他、酸化剤を2種以上使用する組み合わせとして、ふっ化アンモニウムと硝酸および過塩素酸、ふっ化アンモニウムと硝酸および硫酸、ふっ化アンモニウムと硝酸、過塩素酸およびメタンスルホン酸、ふっ化アンモニウムと硝酸、過塩素酸および硫酸が好ましい。
又、基板との濡れ性を高める目的で、本エッチング液に、一般的に使用されている界面活性剤や有機溶剤を添加して使用しても良い。
本発明のエッチング液は、ガラス基板等からなる絶縁基板上およびシリコン、化合物半導体基板上にスパッタリング法にて形成された、チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層と、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜、例えば、チタン/アルミニウム、アルミニウム/チタン、チタン/アルミニウム/チタンからなる金属積層膜をエッチングするのに好適であり、該エッチング液のふっ素化合物の濃度は0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜1質量%、酸化剤の濃度は0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。
ふっ素化合物濃度が5質量%より低い場合、下地ガラスにダメージを与えず、また、チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層と、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜のサイドエッチング量が抑制され、0.01質量%より高い場合、チタンまたはチタン合金のエッチングむらが少なくなり、エッチング後の形状が良好となる。酸化剤の含量が50質量%より低い場合、チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層と、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜のサイドエッチング量が抑制され、また、レジストへのダメージも発生せず、0.1質量%より高い場合、チタンまたはチタン合金のエッチング速度がはやく効率的である。
また、テーパー角度を適宜制御するには、とくに30〜90度とするためには、硝酸またはメタンスルホン酸と、他の酸化剤を単独で用いることまたは適宜組みあわせることにより行う。この場合、硝酸またはメタンスルホン酸は、0.1〜30質量%、とくに0.5〜15質量%とすることが好ましく、他の酸化剤は、0.1〜20質量%、とくに0.5〜15質量%とすることが好ましい。
とくに、テーパー角度を40度以下にするためには、硝酸またはメタンスルホン酸を用いることが好ましい。
また、アミド硫酸、酢酸または塩酸から選ばれる少なくとも1種をさらに含む場合は、これらの濃度は、0.01〜10質量%、特に0.5〜5質量%が好ましい。
本発明のエッチング液がエッチングする金属積層膜の下地基板は、特に限定されないが、チタン、アルミニウム金属積層膜が液晶ディスプレイに用いられる場合にはガラス基板が好ましく、半導体装置に用いられる場合には、シリコン基板と化合物半導体基板が好ましい。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
実施例1〜25
図1に示すように、ガラス基板(1)上にスパッタリング法によりチタン(700Å)/アルミニウム(2500Å)/チタン(200Å)を成膜した基板を準備した。
次に、チタン/アルミニウム/チタン金属積層膜上に、レジスト(4)を用いてパターニングし、表1の実施例1〜25のエッチング液に浸漬した(エッチング温度30℃)。その後、超純水で洗浄し、窒素ブローで乾燥後基板形状を電子顕微鏡にて観察した。結果を表1に示す。
比較例1〜2
実施例で用いたガラス基板上にスパッタリング法によって形成されたチタン/アルミニウム/チタンを表1の比較例1〜2の各成分からなるエッチング液に浸漬し、実施例と同様にして処理を行った。結果を表1に併せて示す。
Figure 0004749179
表1から明らかに、本発明のエッチング液を用いてエッチングすることにより、スパッタリング法によって形成されたチタン/アルミニウム/チタン積層膜を短時間で一括でエッチングすることができた。
本発明のエッチング液は、半導体装置ならびに液晶ディスプレイ等の電子装置の製造工程において、配線または電極等を形成する際の金属積層膜のエッチング液として使用することが可能である。
絶縁性基板上に形成された、チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層とアルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜の配線工程を表す。
符号の説明
(1)ガラス基板
(2)チタンまたはチタン合金膜
(3)アルミニウムまたはアルミニウム合金膜
(4)レジスト
(a)本願発明のエッチング液によりエッチングした後のゲート電極(略一様なテーパー形状と40度以下のテーパー形状)
(b)本願発明のエッチング液によりエッチングした後のソースまたはドレイン電極(90度のテーパー角度)

Claims (9)

  1. ヘキサフルオロケイ酸、およびふっ化水素酸またはヘキサフルオロケイ酸と金属またはアンモニアとの塩の中から選ばれるふっ素化合物1種または2種以上と酸化剤を含むエッチング液組成物であって、チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層とアルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜を一括エッチングするのに用いられる、前記エッチング液組成物。
  2. 酸化剤が、硝酸、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過よう素酸、過よう素酸ナトリウム、過よう素酸カリウム、メタンスルホン酸、過酸化水素水、硫酸および硫酸エチレンジアミンの中から選ばれる1種または2種以上である、請求項に記載のエッチング液組成物。
  3. ふっ素化合物の濃度が、0.01〜5質量%、酸化剤の濃度が0.1〜50質量%である、請求項1または2に記載のエッチング液組成物。
  4. 酸化剤が、硝酸またはメタンスルホン酸である、請求項1〜のいずれか一項に記載のエッチング液組成物。
  5. 酸化剤として、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過よう素酸、過よう素酸ナトリウム、過よう素酸カリウム、過酸化水素水、硫酸および硫酸エチレンジアミンの中から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、請求項に記載のエッチング液組成物。
  6. アミド硫酸、酢酸および塩酸の中から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のエッチング液組成物。
  7. 下地基板が、液晶ディスプレイ用ガラス基板である、請求項1〜のいずれか一項に記載のエッチング液組成物。
  8. 下地基板が、半導体装置用シリコン基板または化合物半導体基板である、請求項1〜のいずれか一項に記載のエッチング液組成物。
  9. チタンまたはチタンを主成分とする合金からなる層と、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる層とを含む金属積層膜のエッチング後のテーパー角度を、30〜90度にするのに用いられる、請求項1〜のいずれか一項に記載のエッチング液組成物。
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