JP2005105411A - 銅エッチング液及びエッチング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】他の金属が共存する場合であっても銅又は銅合金を選択的にかつ均一にエッチングする。
【解決手段】少なくとも蓚酸アンモニウム、過酸化水素、及びアミノ酸を含有し、pHが6.0〜8.5である銅エッチング液。蓚酸アンモニウム及びアミノ酸は、銅を銅錯体として溶解させるための錯化剤として機能し、過酸化水素は、銅表面を酸化するための酸化剤として機能する。配線又は電極用の良導電性を有する金属の共存下において、銅又は銅合金を均一かつ選択的にエッチングすることができる。
【解決手段】少なくとも蓚酸アンモニウム、過酸化水素、及びアミノ酸を含有し、pHが6.0〜8.5である銅エッチング液。蓚酸アンモニウム及びアミノ酸は、銅を銅錯体として溶解させるための錯化剤として機能し、過酸化水素は、銅表面を酸化するための酸化剤として機能する。配線又は電極用の良導電性を有する金属の共存下において、銅又は銅合金を均一かつ選択的にエッチングすることができる。
Description
本発明は、銅又は銅合金をウエットエッチング法により選択的にエッチングするためのエッチング液と、このエッチング液を用いた銅又は銅合金のエッチング方法に関する。詳しくは、半導体装置、液晶表示装置等の半導体デバイスや、プリント基板、ICカード等の製造における銅又は銅合金薄膜等のエッチングに好適な銅エッチング液とエッチング方法に関する。
半導体装置、液晶表示装置等の半導体デバイスや、プリント基板、ICカード等は、一般的に基板上に金属薄膜等をパターン形成することにより、金属薄膜素子や電極配線素子等を構成して製造される。
このような金属薄膜を、配線等の微細構造にパターン形成する加工技術としては、フォトリソグラフィー技術によって金属薄膜表面上に形成したフォトレジストパターンをマスクとして用い、化学薬品によるエッチングによってパターン加工を行うウエットエッチング法と、イオンエッチングやプラズマエッチング等のドライエッチング法が挙げられる。
このうち、ウエットエッチング法は、ドライエッチング法と比較して高価な装置を必要とせず、比較的安価な薬品を用いるので経済的に有利である。また、大面積の基板であっても、また単位時間あたりの生産性を高くしても(即ち、処理基板枚数を増やしても)、均一なエッチングを行うことができ、更には、エッチング対象の形状に左右され難く、3次元構造を有するものにも適用可能であるなどの利点を有することから、現状では、薄膜パターンの製造方法としてウエットエッチング法が多用されている。
近年、半導体及び液晶表示装置等に用いられる金属薄膜素子や電極配線、その他素子等に用いられる材料に対しては、加工パターンの微細化精度の向上に伴い、配線遅延がないこと、断線しにくい等の物性面での要求が益々厳しくなっている。この様な状況下、この様な素子等の材料としては、電気抵抗値が低く、かつ薄膜パターンとする際の加工性が良好であること等の諸特性に優れた材料が望まれているが、最近になって、この様な材料として銅又は銅合金が注目され、その使用が増えつつある。
従来、銅又は銅合金を用いて素子等をパターン形成する際に用いられるエッチング液としては、一般的にアミンやアンモニア水等のアルカリ性エッチング液や、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸塩水溶液、硫酸と過酸化水素を混合した酸性エッチング液が用いられてきた(例えば、特許文献1〜5等)。
これらのエッチング液を用いてウエットエッチング法により銅又は銅合金の素子をパターン形成する際、エッチング液には、銅又は銅合金の均一エッチング性のみならず、銅又は銅合金の選択的エッチング性が要求される。即ち、銅又は銅合金を用いた素子を作成する際には、例えばシリコン、ガラス、アルミナ、又は高分子樹脂等の有機物からなる絶縁性基板の上に、ニッケルやニッケル合金等の銅又は銅合金以外の金属薄膜を介して、銅又は銅合金を積層した積層膜とし、この積層膜から銅又は銅合金薄膜のみをエッチング除去し、銅又は銅合金薄膜が除去された部分に他の金属を埋め込んで素子等を作成したり、はんだバンプ形成のための下地金属として銅又は銅合金薄膜のみを選択的にエッチングしたりする場合がある。このような場合には、他の金属はエッチングすることなく、銅又は銅合金のみを選択的にかつ均一にエッチングし得るエッチング液が必要となる。
特開2002−266087号公報
特開平10−96088号公報
特開平8−60386号公報
特開2002−348685号公報
特開2000−248386号公報
しかし、従来の銅又は銅合金用の一般的なエッチング液、例えば硫酸等の酸と過酸化水素水等を含む酸性エッチング液では、銅又は銅合金がこれらのエッチング液により比較的容易にエッチングを受け易い上に、これらのエッチング液が水を主成分とするため銅又は銅合金との濡れ性が十分に得られないことから、微細加工においてはエッチング遅れやエッチング残渣が生じ易い。また、従来のエッチング液では、他の金属が共存する系において、他の金属をエッチングせずに銅又は銅合金のみをエッチングするエッチング選択性が低い。このようなことから、銅又は銅合金を用いて微細な素子等を形成する際、銅又は銅合金を選択的にかつ均一にエッチングすることが困難であった。
本発明は上記従来の問題点を解決し、他の金属が共存する場合であっても銅又は銅合金を選択的にかつ均一にエッチングすることができる銅又は銅合金用エッチング液と、このエッチング液を用いた銅又は銅合金のエッチング方法を提供することを目的とする。
本発明の銅エッチング液は、銅又は銅合金をエッチングするためのエッチング液であって、少なくとも蓚酸アンモニウム、過酸化水素、及びアミノ酸を含有し、pHが6.0〜8.5であることを特徴とする。
即ち、本発明者らは上述したような課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、蓚酸アンモニウム、過酸化水素及びアミノ酸を含有した、特定pHのエッチング液が、良導電性を有する他の金属、特にアルミニウム、チタン、ニッケル、錫、鉛、銀、金、パラジウムやこれらを主成分とする合金が共存する微細なデバイス構造の場合であっても、選択的かつ均一に銅又は銅合金のみをエッチングすることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明のエッチング液中の各成分の含有量は、蓚酸アンモニウムが0.05〜5重量%、過酸化水素が0.2〜10重量%、アミノ酸が0.2〜25重量%であることが好ましく、このアミノ酸としてはグリシンが好ましい。
本発明の銅エッチング液によれば、配線又は電極用の良導電性を有する金属、特にアルミニウム、チタン、ニッケル、錫、鉛、銀、金、パラジウム及びこれらを主成分とする合金からなる群より選ばれた金属の共存下において、銅又は銅合金を均一かつ選択的にエッチングすることができる。このエッチング液は20〜50℃の温度で用いることが好ましい。
本発明の銅エッチング液は、少なくとも蓚酸アンモニウム、過酸化水素、及びアミノ酸を含む有効成分と水とを混合して調製銅エッチング液を調製する際に、過酸化水素以外の有効成分と水とを混合した後、この混合物に過酸化水素を添加混合して調製されることが好ましい。
本発明のエッチング方法は、配線又は電極用の良導電性を有する金属の共存下において、銅又は銅合金を選択的にエッチングする方法であって、このような本発明のエッチング液を用いることを特徴とするものであり、銅又は銅合金を均一かつ選択的にエッチングすることができる。
本発明の銅エッチング液及びエッチング方法によれば、半導体装置や液晶表示装置の薄膜トランジスタの電極や配線、又はバンプの製造等に伴う、銅又は銅合金と他の良導電性金属との積層構造を有した基板において、基板上の電子部材、各種積層膜等を腐食させるこなく、微細部に残渣のない均一な銅又は銅合金の選択的エッチングを行うことができる。これにより、従来法と比較して格段に寸法制御性の高い選択的な高精密エッチングを達成し、デバイスの電気特性及び動作特性を改善することにより、半導体素子等の各種装置の性能向上を図ることが可能となる。
以下に本発明の銅エッチング液及びエッチング方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の銅エッチング液のエッチング対象は、純銅のみに限らず、銅合金であっても良い。銅合金としては、銅の含有量が50重量%以上のものが適当であり、銅合金中の合金化金属に特に制限はないが、例えば、錫、鉛、亜鉛、ニッケル、マンガン等の1種又は2種以上が挙げられる。
本発明の銅エッチング液は、通常、蓚酸アンモニウム、過酸化水素、及びアミノ酸と水を含む水溶液として調製される。
蓚酸アンモニウムは、銅を銅錯体として溶解させるための錯化剤として機能し、エッチング液中の濃度は0.05〜5重量%、特に1.5〜4重量%であることが好ましい。蓚酸アンモニウムの濃度が低すぎると銅のエッチングが不均一になると共に、多大なエッチング時間を要する場合がある。逆に蓚酸アンモニウム濃度が高すぎると、蓚酸アンモニウムの溶解度からエッチング装置内等に蓚酸アンモニウムが析出する可能性がある。
過酸化水素は、銅表面を酸化するための酸化剤として機能し、その濃度は0.2〜10重量%、特に0.5〜5重量%であることが好ましい。過酸化水素の濃度が低すぎると、銅のエッチングに多大な時間を要する場合がある。逆に過酸化水素濃度が高すぎると、過酸化水素が分解した際に、エッチング液の急激な発熱や多量の酸素の発生があるなど、安全性の面で問題が生ずる場合がある。従って、過酸化水素は、本発明の銅エッチング液を調製する際に、他の有効成分と水とを混合後、最後に添加することが好ましい。
エッチング液中の蓚酸アンモニウム及び過酸化水素の濃度は、上記範囲において、必要とされるエッチング速度によって適宜調整して決定すればよい。
アミノ酸の添加効果として、次の(1)〜(3)が挙げられる。
(1) 蓚酸アンモニウムと同様に銅を銅錯体として溶解させるための錯化剤として機能し、特に、アミノ酸と蓚酸アンモニウムとの組み合わせによって、飛躍的に銅を多量に溶解させ、且つ、そのエッチング速度も速いまま維持することを可能とする。
(2) 酸化剤である過酸化水素濃度のエッチング速度に与える影響を小さくする。即ち、経時的な過酸化水素の分解は不可避的なものであるが、アミノ酸添加系では、エッチング速度が過酸化水素濃度に、あまり影響を受けないため、経時的な過酸化水素の分解によるエッチング速度の急激な低下を回避することができる。また、アミノ酸無添加系においては、不安定な過酸化水素の濃度でエッチング速度が決定されるため、エッチング速度の安定性に問題があったが、アミノ酸添加系においては、過酸化水素濃度の影響が小さいため、エッチング液濃度の調整でエッチング速度を安定的に任意の速度に調整することができる。
(3) 後述のpH緩衝作用により、エッチング液のpHの変動幅を小さくし、エッチング液のpHを安定化させる。
(1) 蓚酸アンモニウムと同様に銅を銅錯体として溶解させるための錯化剤として機能し、特に、アミノ酸と蓚酸アンモニウムとの組み合わせによって、飛躍的に銅を多量に溶解させ、且つ、そのエッチング速度も速いまま維持することを可能とする。
(2) 酸化剤である過酸化水素濃度のエッチング速度に与える影響を小さくする。即ち、経時的な過酸化水素の分解は不可避的なものであるが、アミノ酸添加系では、エッチング速度が過酸化水素濃度に、あまり影響を受けないため、経時的な過酸化水素の分解によるエッチング速度の急激な低下を回避することができる。また、アミノ酸無添加系においては、不安定な過酸化水素の濃度でエッチング速度が決定されるため、エッチング速度の安定性に問題があったが、アミノ酸添加系においては、過酸化水素濃度の影響が小さいため、エッチング液濃度の調整でエッチング速度を安定的に任意の速度に調整することができる。
(3) 後述のpH緩衝作用により、エッチング液のpHの変動幅を小さくし、エッチング液のpHを安定化させる。
アミノ酸としては、例えばグリシン等を用いることができ、本発明の銅エッチング液中のアミノ酸の含有量は、0.2〜25重量%、特に1〜15重量%程度とすることが好ましい。
本発明の銅エッチング液のpHは6.0〜8.5、好ましくは6.5〜8である。銅エッチング液のpHがこの範囲よりも低すぎたり、高すぎたりした場合、共存金属とのエッチング選択性が低下する場合がある。銅エッチング液のpHは、必要に応じて、酸、アルカリ成分を用いて調整することができる。使用される酸成分としては、酢酸等の有機酸や、塩酸、硝酸等の無機酸が挙げられるが、特に、蓚酸水溶液を用いることが好ましい。一方、アルカリ成分としては、アンモニア水や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液等を用いることができるが、特に、アンモニア水を用いることが好ましい。
銅エッチング液のpH調整は、調液時のみならず、エッチング中にも行うことが好ましい。即ち、エッチングによって、pHが変動することがあるが、好ましいpH範囲を逸脱すると、共存金属に対する銅エッチング選択性が低下する場合があり、また、特に、銅エッチング液のpHが高くなると、酸化剤である過酸化水素の分解速度が速くなり、その結果として、銅エッチング液のライフが短くなる場合があるためである。なお、本発明の銅エッチング液はアミノ酸を含有しているため、アミノ酸のpH緩衝作用によりpHの変動幅が小さくなり、pH調整を頻繁に行う必要がない点において、非常に有利である。
このような本発明の銅エッチング液を用いてエッチングを行う際、エッチング液中に微粒子等の不溶性不純物が存在すると、特にエッチング加工するパターンサイズが微細化するに伴って均一なエッチングを阻害するおそれがあるので、銅エッチング液を事前に精密フィルターを介して濾過するなどの方法で、液中の微粒子等の不溶性不純物を除去しておくことが好ましい。濾過の方式はワンパス式でもよいが、微粒子除去効率の点から、循環式がより好ましい。精密フィルターの孔径は適宜選択すればよいが、一般的には0.2μm以下、特に0.1μm以下のものが好ましい。フィルターの素材は、濾過するエッチング液に対して化学的・物理的に安定しているものであれば任意であり、例えば高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂系素材等が挙げられる。銅エッチング液は、このような濾過処理により、例えば直径0.5μm以上の微粒子が1000個/ml以下となるように、微粒子等の不溶性不純物を除去しておくことが好ましい。
本発明の銅エッチング液を用いるエッチング方法は、15〜30℃程度の室温で実施しても良いが、エッチング速度を向上させる目的でエッチング液を加温しても良い。一般的にはエッチング液の温度は10〜60℃、中でも20〜50℃が好ましい。
本発明のエッチング方法は、例えば、シリコン、ガラス、アルミナ、又は高分子樹脂等の有機物からなる絶縁性基板上に形成されたアルミニウム、ニッケル、錫、鉛、銀、金、パラジウム及びこれらを主成分とする合金等の良導電性金属膜上に積層された銅又は銅合金薄膜のエッチングに適用される。
本発明の銅エッチング液を用いる本発明のエッチング方法は任意であり、従来公知の、ウエットエッチングで使用される機器、装置を用いて行えばよい。
例えばエッチング対象物とエッチング液との接触方法としては、エッチング槽にエッチング液を満たしてエッチング対象物を浸漬させるディップ方式等が挙げられる。この際には該エッチング対象物を揺動させたり、槽内のエッチング液を強制循環させることによりエッチングをより均一に行うことができるので好ましい。その他、エッチング液をエッチング対象物面へ噴霧するスプレー方式や、回転するエッチング対象物にノズルよりエッチング液を吐出させるスピン方式等が挙げられる。これらの処理方法もディップ方式と併せて好ましく用いられる。
本発明のエッチング方法においては、好ましくは、エッチングにより、銅又は銅合金薄膜が溶解除去されて、銅又は銅合金薄膜の下層の金属薄膜又は基板が表出するエンドポイントまでのジャストエッチングと、このジャストエッチング後更にエッチングを行うオーバーエッチングとを行う。この場合、オーバーエッチング時間には特に制限はないが、ジャストエッチング時間の5%以上200%以下、特に10%以上100%以下であることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、pHは、pHメーター((株)堀場製作所製「D−24」)を用いて測定した。
実施例1
厚さ0.5mmの銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、錫/銀(96.5重量%/3.5重量%)合金(Sn・Ag)、アルミニウム(Al)の板をそれぞれ幅10mm×長さ10mmにカットしたものを金属溶解速度評価用試験片とした。
厚さ0.5mmの銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、錫/銀(96.5重量%/3.5重量%)合金(Sn・Ag)、アルミニウム(Al)の板をそれぞれ幅10mm×長さ10mmにカットしたものを金属溶解速度評価用試験片とした。
水に3重量%の蓚酸アンモニウムと5重量%のグリシンと1.5重量%の過酸化水素を添加したエッチング液100gを300mlのビーカーに入れ、3重量%蓚酸水溶液と28重量%アンモニア水を用いて、pHを7.0に調整した後、エッチング液の温度を28℃に調整した。
このエッチング液に、各試験片を2時間浸漬させ、浸漬前後の重量差から各金属の溶解速度を算出した。また、銅に対するエッチング選択性として、エッチング速度比(銅の溶解速度/各金属の溶解速度)を算出した。これらの結果を表1に示した。
表1から明らかなように、本発明のエッチング液は、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、錫/銀(96.5/3.5重量%)合金(Sn・Ag)、アルミニウム(Al)に対して大きなエッチング選択性を有しており、これらの金属を侵すことなく銅のみを選択的にエッチングすることができることが分かる。
実施例2
銅のエッチング特性を評価するため、厚さ10nmの熱酸化膜(SiO2)を有する4インチのシリコン(Si)基板上にスパッタリング法によりチタン(Ti)を100nmの膜厚で堆積させたTi/SiO2/Si基板上に、更に銅(Cu)を300nmの膜厚で堆積させた基板を作成した(ベタ基板)。このベタ基板上にポジ型フォトレジスト樹脂(膜厚約1μm)をスピンコーティングし、このものをフォトリソグラフィー技術によりパターン形成し、5〜100μmのラインとスペースのパターンが存在する基板を作成した(パターン付き基板)。このパターン付き基板を長さ約50mm×幅約10mmに切断して評価用の試料を作製した。
銅のエッチング特性を評価するため、厚さ10nmの熱酸化膜(SiO2)を有する4インチのシリコン(Si)基板上にスパッタリング法によりチタン(Ti)を100nmの膜厚で堆積させたTi/SiO2/Si基板上に、更に銅(Cu)を300nmの膜厚で堆積させた基板を作成した(ベタ基板)。このベタ基板上にポジ型フォトレジスト樹脂(膜厚約1μm)をスピンコーティングし、このものをフォトリソグラフィー技術によりパターン形成し、5〜100μmのラインとスペースのパターンが存在する基板を作成した(パターン付き基板)。このパターン付き基板を長さ約50mm×幅約10mmに切断して評価用の試料を作製した。
実施例1と同様にして、水に3重量%の蓚酸アンモニウムと5重量%のグリシンと1.5重量%の過酸化水素を添加したエッチング液100gを300mlのビーカーに入れ、3重量%蓚酸水溶液と28重量%アンモニア水を用いて、pH7.0に調整した後、エッチング液の温度を28℃に調整した。このエッチング液に、攪拌しながら、銅粉末を徐々に添加し、銅粉末が溶解できなくなる、又は、沈殿物が生成するときの銅濃度(溶解度)を測定した。
その結果、銅濃度8400重量ppmで沈殿物が生成した。
この状態で、予め作製した評価用の試料をこのエッチング液中で上下左右に動かしながらエッチングを行い、ジャストエッチング時間を測定したところ、18秒であった。
なお、ジャストエッチング時間は、エッチング開始時点からエンドポイントまでの時間とした。エンドポイントは、基板上のエッチングすべき部分の金属が溶解して基板が露出する時点を目視で観察して決定した。
比較例1,2
表2に示すエッチング液組成としたこと以外は、実施例2と同様にしてpH調整を行って、エッチング液を得、このエッチング液を用いて、実施例2と同様にして銅粉末の溶解度とジャストエッチング時間を調べ、結果を実施例2の結果と共に表2に示した。
表2に示すエッチング液組成としたこと以外は、実施例2と同様にしてpH調整を行って、エッチング液を得、このエッチング液を用いて、実施例2と同様にして銅粉末の溶解度とジャストエッチング時間を調べ、結果を実施例2の結果と共に表2に示した。
表2から明らかなように、グリシンと蓚酸アンモニウムの組み合わせによって、飛躍的に銅を多量に溶解させることができ、且つ、そのエッチング速度も速いまま維持することができる。その理由は明らかではないが、銅とグリシンと蓚酸アンモニウムによる複合錯体の形成によるものと考えられる。また、実施例2の結果より、グリシンと蓚酸アンモニウムを組み合わせたものは、多量の銅を速い速度でエッチングできることから、銅薄膜のみならず銅厚膜の除去等も可能となることが分かる。
実施例3
水に5重量%のグリシンと3重量%の蓚酸アンモニウムと0.5重量%の過酸化水素を添加したエッチング液100gを300mlのビーカーに入れ、銅粉末を全体量に対して800ppmになるように溶解した後、実施例1と同様にしてpH7に調整した。
水に5重量%のグリシンと3重量%の蓚酸アンモニウムと0.5重量%の過酸化水素を添加したエッチング液100gを300mlのビーカーに入れ、銅粉末を全体量に対して800ppmになるように溶解した後、実施例1と同様にしてpH7に調整した。
その後、実施例2と同様にして、ジャストエッチング時間を測定した後、室温で、120時間保管し、また同様にジャストエッチング時間を測定したところ、初期速度に対する120時間後のエッチング速度(エッチング速度比)は、0.55倍になった。pHは、120時間後であっても、7.08と、ほぼ一定であった。
比較例3
表3に示すエッチング液組成としたこと以外は実施例3と同様の処理を行って、ジャストエッチング時間と120時間保管後のジャストエッチング時間とpHを測定し、エッチング速度比と24時間保管後のpHを表3に示した。
表3に示すエッチング液組成としたこと以外は実施例3と同様の処理を行って、ジャストエッチング時間と120時間保管後のジャストエッチング時間とpHを測定し、エッチング速度比と24時間保管後のpHを表3に示した。
表3より、グリシンの添加により、エッチング液の経時的な劣化、及びpHの変動が抑制されていることは明らかである。このような液安定性は、エッチング作業を数日間に渡って間欠的に行うような状況下において、非常に有利である。
実施例4〜8
水に蓚酸アンモニウムとグリシンとを表4に示す濃度で添加し、その後、過酸化水素を表4に示す濃度となるように添加した。このエッチング液100gを300mlのビーカーに入れ、実施例1と同様にしてpHを7.0に調整し、エッチング液の温度を28℃に調整した。このエッチング液について、実施例2と同様にして、ジャストエッチング時間を測定すると共にエッチング速度を求め、結果を表4に示した。
水に蓚酸アンモニウムとグリシンとを表4に示す濃度で添加し、その後、過酸化水素を表4に示す濃度となるように添加した。このエッチング液100gを300mlのビーカーに入れ、実施例1と同様にしてpHを7.0に調整し、エッチング液の温度を28℃に調整した。このエッチング液について、実施例2と同様にして、ジャストエッチング時間を測定すると共にエッチング速度を求め、結果を表4に示した。
比較例4〜8
グリシンを添加せず、表4に示すエッチング液組成としたこと以外は実施例4〜8と同様の処理を行ってジャストエッチング時間とエッチング速度を求め、結果を表4に示した。
グリシンを添加せず、表4に示すエッチング液組成としたこと以外は実施例4〜8と同様の処理を行ってジャストエッチング時間とエッチング速度を求め、結果を表4に示した。
表4から明らかなように、実施例4〜8に示したグリシン添加系では、過酸化水素濃度に対するエッチング速度への影響は小さく、従って、経時的に過酸化水素が分解して過酸化水素濃度が低下してもエッチング速度への影響は小さい。一方、比較例4〜8に示したグリシンの入っていない系では、過酸化水素濃度のエッチング速度への影響が大きく、ある濃度以上では、非線形的な挙動を示すため、好適な過酸化水素濃度が限定される。
本発明の銅エッチング液及びエッチング方法は、半導体装置、液晶表示装置等の半導体デバイスや、プリント基板、ICカード等の製造における、銅又は銅合金薄膜素子や電極配線素子等の形成に有用である。
Claims (9)
- 銅又は銅合金をエッチングするためのエッチング液であって、少なくとも蓚酸アンモニウム、過酸化水素、及びアミノ酸を含有し、pHが6.0〜8.5であることを特徴とする銅エッチング液。
- 請求項1において、アミノ酸の含有量が0.2〜25重量%であることを特徴とする銅エッチング液。
- 請求項2において、アミノ酸がグリシンであることを特徴とする銅エッチング液。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、蓚酸アンモニウムの含有量が0.05〜5重量%であり、過酸化水素の含有量が0.2〜10重量%であることを特徴とする銅エッチング液。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、配線又は電極用の良導電性を有する金属の共存下において、銅又は銅合金を選択的にエッチングするためのエッチング液であることを特徴とする銅エッチング液。
- 請求項5において、配線又は電極用の良導電性を有する金属が、アルミニウム、チタン、ニッケル、錫、鉛、銀、金、パラジウム及びこれらを主成分とする合金よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする銅エッチング液。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、20〜50℃の温度で使用されることを特徴とする銅エッチング液。
- 請求項1ないし7のいずれか1項において、少なくとも蓚酸アンモニウム、過酸化水素、及びアミノ酸を含む有効成分と水とを混合することにより調製された銅エッチング液であって、過酸化水素以外の有効成分と水とを混合した後、該混合物に過酸化水素を添加混合して得られることを特徴とする銅エッチング液。
- 配線又は電極用の良導電性を有する金属の共存下において、銅又は銅合金を選択的にエッチングする方法であって、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のエッチング液を用いることを特徴とするエッチング方法。
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