JP2004190054A - エッチング液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】硫酸1〜50重量%、塩酸0.1〜20重量%、銅イオン捕捉機能を有する銅エッチング抑制成分0.01〜20重量%を水に配合してエッチング液とする。前記銅エッチング抑制成分としては、例えば、
硫黄原子を含み、かつアミノ基、イミノ基、カルボキシル基、カルボニル基および水酸基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含む炭素原子数7以下の化合物、
チアゾール、
チアゾール系化合物、
ベンザルコニウム、ならびに
アルキロールアミド等がある。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金をエッチングするエッチング液に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電気製品や電子機器の配線用部材としてプリント配線基板が広く用いられている。プリント配線基板は、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の絶縁性基材の表面に銅による配線パターンが形成された部品である。その中でも、ポリイミドフィルム等の可撓性フィルムを絶縁性基材として用いたフレキシブル基板は、折り曲げ可能ゆえにモーター周辺部などの可動部分にも使用でき、その薄さや軽さなどの利点から、需要が増大している。また、液晶モジュール用パッケージの基材としてもフレキシブル基板の需要が増大している。フレキシブル基板の製法には種々の製法が知られているが、これらの中で、微細配線を形成しやすいなどの点でスパッタ−めっき法が注目されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記スパッタ−めっき法は、つぎの工程からなる。まず、ポリイミドフィルム等の基材上に、基材と銅との接着剤的な働きをする薄いニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金層を形成し、その上の配線回路を構成する部分にのみ電解めっきにより銅層を形成する。次いで、銅層が形成されていない部分のニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金層をエッチングにより除去して配線回路を形成する。前記ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金層の余分な部分を除去するためのエッチングには、一般に、塩化第二鉄を主成分とするエッチング液が使用されている。
【0004】
しかし、塩化第二鉄を主成分とするエッチング液を用いてニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金層をエッチングしようとすると、銅層がエッチングされてしまうという問題がある。銅層がやせ細ると、完成した配線回路の電気抵抗が増大したり、断線を生じやすいという問題がある。また、銅層がやせ細ると、収率が低下して製造コストが増大する、という問題もある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−252625号公報(第2−3頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金をエッチングするエッチング液であって、銅のエッチングが抑制されたエッチング液を提供することを、その目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のエッチング液は、ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金を溶解する酸成分と、銅イオン捕捉機能を有する銅エッチング抑制成分とを含むという構成をとる。
【0008】
本発明者等は、前記課題を解決するために、エッチング液の組成成分を中心に一連の研究を行った。その結果、ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金を溶解する成分として、塩化第二鉄に代えて酸成分とし、これに加えて銅エッチング抑制成分として銅イオン補足機能を有する成分を配合すれば、ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金を溶解しても銅の溶解を抑制できることを突き止め、本発明に至った。なお、エッチング液中に溶け出した銅イオンは、さらに銅の溶解を促進するため、前記銅エッチング抑制成分は、この銅イオンを捕捉することにより、銅の溶解を抑制する。
【0009】
【発明の実施の形態】
前記銅エッチング抑制成分は、
硫黄原子を含み、かつアミノ基、イミノ基、カルボキシル基、カルボニル基および水酸基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含む炭素原子数7以下の化合物、
チアゾール、
チアゾール系化合物、
ベンザルコニウム、ならびに
アルキロールアミド
からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
前記硫黄原子を含み、かつアミノ基、イミノ基、カルボキシル基、カルボニル基および水酸基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含む炭素原子数7以下の化合物の具体例としては、例えばチオ尿素、二酸化チオ尿素、N−メチルチオ尿素、1,3−ジメチルチオ尿素、1,3−ジエチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−チオバルビツール酸等の硫黄原子含有尿素系化合物、
チオグリコール酸、β−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、2,2’−チオジグリコール酸、チオリンゴ酸、メルカプトコハク酸、L−システイン、L(−)−シスチン等の硫黄原子含有カルボン酸、
チオグリコール等の硫黄原子含有アルコール等がある。
前記チアゾール系化合物の具体例としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール等がある。
前記ベンザルコニウムの具体例としては、例えば塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等の塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム等がある。
前記アルキロールアミドの具体例としては、例えばラウリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等の脂肪族アルキロールアミドや芳香族アルキロールアミド等がある。
これらは、アンモニウム塩やナトリウム塩であっても良く、そして、単独で、若しくは2種類以上で併用してもよい。前記ベンザルコニウムおよび脂肪族アルキロールアミドは、溶解性の観点から分子量300以下、脂肪族側鎖炭素数22以下であることが好ましく、より好ましくは分子量200以下、脂肪族側鎖炭素数18以下である。銅エッチング抑制成分の割合は、エッチング液全体に対し、例えば、0.01〜20質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲であり、より好ましくは1〜5%の範囲である。
【0010】
前記酸成分は、例えば、硫酸、塩酸、フッ酸、有機酸等があげられ、このなかでも、硫酸、塩酸が好ましく、特に好ましくは、硫酸および塩酸を併用することである。硫酸および塩酸を併用する場合、硫酸のエッチング液全体に対する割合は、エッチング速度の点から1〜50質量%の範囲が好ましく、より好ましくは、3〜30質量%の範囲であり、特に好ましくは12.5〜20質量%の範囲であり、塩酸のエッチング液全体に対する割合は、エッチング速度の点から0.1〜20質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%の範囲であり、特に好ましくは7〜10質量%の範囲である。
【0011】
前記エッチング液は、前記の各成分を水に溶解させることにより容易に調製することができる。前記水としては、イオン交換水、純水、超純水などのイオン性物質や不純物を除去した水が好ましい。
【0012】
本発明のエッチング液には、さらに他の成分を適宜配合してもよい。その他の成分としては、例えば、被処理剤に対する濡れ性を向上させる界面活性剤、スプレー法で使用する際の泡立ちを抑制する消泡剤、銅の変色を防止する防錆剤などがあげられる。
【0013】
本発明のエッチング液は、例えば、浸漬法、スプレー法などにより使用することができる。また、エッチング液を使用する際の温度は、20〜40℃とするのが好ましい。
【0014】
本発明のエッチング液の使用対象の一つであるニッケル・クロム合金は、特に制限されず、例えば、ニッケル/クロムの原子比が、6/1、7/1、1/3等の合金があげられる。
【0015】
本発明のエッチング液は、ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金を速やかに溶解することができ、しかも銅の溶解がきわめて少ないため、ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金と銅とが共存する材料からの、ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金を選択的にエッチングするのに有用である。例えば、ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金上に銅配線を形成するプリント配線基板やLSIなどの製造に有用である。
【0016】
本発明のエッチング液を使用したプリント配線基板の製造方法の一例を以下に説明する。
【0017】
すなわち、まず、ポリイミドフィルム等の絶縁材料表面にニッケル・クロム合金層を形成し、ついで、めっきレジストを形成してニッケル・クロム合金層の回路になる部分のみを露出させたのち、ニッケル・クロム合金層に通電して電解銅めっき層を形成する。そして、めっきレジストを除去したのち、本発明のエッチング液を用いてニッケル・クロム合金層をエッチングする。エッチングの方法は、特に制限されず、スプレー法や浸漬法等がある。このエッチングにより、電解銅めっき層が形成されていない部分のニッケル・クロム合金層が除去されて、銅配線が形成される。本発明のエッチング液を用いると、銅の溶解がきわめて少ないため、電解銅めっき層の形状を変化させることなく、銅配線を形成することができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。
【0019】
下記表1に示す各成分を混合してエッチング液を調製した(実施例1〜6、比較例1,2)。そして、スパッタリング法により厚さ7.5nmのNi88・Cr12合金膜が形成されたポリイミドフィルムを、前記エッチング液中に40℃で浸漬してNi88−Cr12合金膜を溶解し、蛍光X線分析装置による測定でポリイミドフィルム表面のNiおよびCrが検出されなくなる時間を測定した。この結果も下記表1に併せて示す。また、下記表1に示されるエッチング液中に、縦40mm、横40mm、厚さ35μm、重さ0.50gの銅箔を40℃で60秒間浸漬し、重量変化により銅の溶解量を調べた。この結果も表1に併せて示す。
【0020】
【0021】
前記表1から明らかなように、本発明のエッチング液を用いた実施例1〜6では、ニッケル・クロム合金を速やかに溶解し、かつ銅箔の溶解は確認できなかった。これに対し、比較例1,2は、いずれもニッケル・クロム合金の溶解速度が遅く、かつ銅の溶解が認められた。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明のエッチング液によれば、ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金を速やかに溶解し、かつ銅のエッチングを抑制できる。したがって、本発明のエッチング液を、例えば、プリント配線基板に使用すれば、銅配線のやせ細りを防止しつつ、速やかにニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金を除去できる。
Claims (4)
- ニッケル、クロム若しくはニッケル・クロム合金を溶解する酸成分と、銅イオン捕捉機能を有する銅エッチング抑制成分とを含むエッチング液。
- 前記銅エッチング抑制成分が、
硫黄原子を含み、かつアミノ基、イミノ基、カルボキシル基、カルボニル基および水酸基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含む炭素原子数7以下の化合物、
チアゾール、
チアゾール系化合物、
ベンザルコニウム、ならびに
アルキロールアミド
からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1記載のエッチング液。 - 前記酸成分が、硫酸および塩酸の少なくとも一方である請求項1または2記載のエッチング液。
- エッチング液全体に対し、硫酸が1〜50質量%、塩酸が0.1〜20質量%および前記銅エッチング抑制成分が0.01〜20質量%の水溶液である請求項3記載のエッチング液。
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