JP2004043895A - 銅エッチング液 - Google Patents
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Abstract
【課題】銅(合金)とニッケル(合金)との積層体において銅を選択的にエッチングし、極めて精度良く、銅薄膜パターンを形成できるエッチング液を提供する。
【解決する手段】銅または銅合金と、ニッケル又はニッケル合金との積層体用銅エッチング液であって、過酸化水素、硝酸、及び水を含み、過酸化水素の濃度が1〜10wt%、硝酸の濃度が0.01〜10wt%であって、且つ過酸化水素濃度と硝酸濃度の比が0.5以上である銅エッチング液。
【選択図】 なし
【解決する手段】銅または銅合金と、ニッケル又はニッケル合金との積層体用銅エッチング液であって、過酸化水素、硝酸、及び水を含み、過酸化水素の濃度が1〜10wt%、硝酸の濃度が0.01〜10wt%であって、且つ過酸化水素濃度と硝酸濃度の比が0.5以上である銅エッチング液。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置、液晶表示素子装置等の半導体デバイスや、プリント基板、ICカード等の製造に用いられる、ウエットエッチング法により薄膜をパターニングするためのエッチング液に関する。詳しくは半導体装置や液晶表示素子装置等の半導体デバイス製造の際に用いるエッチング液に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置、液晶表示素子装置等の半導体デバイスや、プリント基板、ICカード等は、一般的に基板上に金属薄膜等をパターン形成して、金属薄膜素子や電極配線素子等を構成し、製造される。
金属薄膜をパターン形成する加工技術としては、フォトグラフィー技術によって、基板上の金属薄膜表面上にフォトレジストパターンをマスクとし、化学薬品を用いて加工するウエットエッチング法や、その他、イオンエッチングやプラズマエッチング等のドライエッチング法がある。ウエットエッチング法は、ドライエッチング法に比べて高価な装置を必要とせず、比較的安価な薬品を用いるので、経済的に有利である。
【0003】
また大面積の基板をエッチングする際、単位時間当たりの処理基板枚数を増やして生産効率を上げても均一なエッチングが可能であり、そしてエッチング対象の形状に左右され難いので、3次元構造を有するもののエッチングに適していることから、薄膜パターンの製造方法として多用されている。
近年、半導体及び液晶用表示装置等に用いられる金属薄膜素子や電極配線、その他の素子等に用いられる材料に対しては、加工パターンの微細化精度の向上に伴い、配線遅延がないこと、断線しにくい等の物性要求が益々厳しくなっている。
【0004】
この様な状況下、この様な素子等の材料としては、低い電気抵抗値を有し、加えて薄膜パターンとする際の加工性が良好であること等の、諸特性に優れた材料が望まれている。
最近になって、この様な素子材料として銅が注目され、その使用が増えつつある。銅を用いて素子等を形成する際に用いられるエッチング液としては、一般的にアミンやアンモニア類等のアルカリ性エッチング液や、塩化鉄若しくは過酸化水素と硫酸を混合した酸性エッチング液が用いられてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし銅は、一般的なエッチング液、例えば硝酸・硫酸等の酸と、過酸化水素水等を含むエッチング液に対して比較的容易にエッチングを受けることが問題であった。銅は他の金属と積層された場合、他の金属をエッチングせず、銅のみをエッチングする、即ち銅エッチング選択性が低いという問題があった。従って銅を用いて素子等を形成する際、銅のみを選択的にエッチングすることは困難であった。
【0006】
例えば銅を用いた素子を作成する際には、シリコン、ガラス、金属、アルミナ等の金属酸化物、又は高分子樹脂等の有機物からなる基板の上に、ニッケル(Ni)やNi合金等の他の金属薄膜を介した積層構造とすることがある。この積層構造から銅のみをエッチングし、銅が除去された部分に他の金属を埋め込んで素子等を作成する場合、銅のみを選択的にエッチングすることは困難であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述したような課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硝酸、過酸化水素、及び水を含むエッチング液に於いて、これらが特定の濃度で、且つ特定の濃度比率の際、他の金属、特にNiやNi合金が存在する様な、銅(合金)とNi(合金)との積層構造の場合でも、選択的に銅をエッチングするエッチング液となることを見出し、本発明を完成させた。更にこのエッチング液に、錯化剤及び/又は金属塩を含有することによって、この銅エッチング液のライフと安定性が向上することをも見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち本発明の要旨は、銅または銅合金と、ニッケル又はニッケル合金との積層体用銅エッチング液であって、過酸化水素、硝酸、及び水を含み、過酸化水素の濃度が1〜10wt%、硝酸の濃度が0.01〜10wt%であって、且つ過酸化水素濃度と硝酸濃度の比が0.5以上である銅エッチング液に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の銅エッチング液によってエッチングする対象は、純銅のみではなく、銅の含有量が50%以上の銅合金をも含むものである。また本発明の銅エッチング液は、銅または銅合金と、ニッケル又はニッケル合金との積層体用銅エッチング液である。
【0010】
本発明の銅エッチング液は、過酸化水素、硝酸、水を含む。過酸化水素の濃度は1〜10wt%、好ましくは3〜6wt%である。過酸化水素濃度が低すぎると銅のエッチングに多大な時間を要する場合がある。逆に濃度が高すぎると、過酸化水素が分解した際に、エッチング液の急速な発熱や多量の酸素が発生するなど、安全上に問題が生ずる場合がある。
【0011】
エッチング液中の硝酸の濃度は0.01〜10wt%、中でも0.05〜8wt%、特に0.2〜5wt%であることが好ましい。硝酸濃度が低すぎると銅のエッチングに多大な時間を要する場合があり、逆に濃度が高すぎると銅エッチング選択性が低下する場合がある。
これらの濃度は、必要とされるエッチング速度によって適宜調整して決定すればよい。
【0012】
本発明の銅エッチング液においては、エッチング液中の過酸化水素濃度と硝酸濃度の濃度比([過酸化水素水濃度]/[硝酸濃度])が0.5以上であることを特徴とする。
この比が0.5に満たない場合には、銅エッチング選択性が低下し、Ni等の他の金属までをもエッチングしてしまう場合がある。この濃度比は、過酸化水素濃度と硝酸濃度とが先述の範囲内で有れば任意だが、一般的には20以下である。よって過酸化水素濃度と硝酸濃度の濃度比は0.5〜20、中でも1〜15、特に2〜15であることが好ましい。
【0013】
本発明の銅エッチング液においては、液中の水分濃度は任意だが、一般的には95wt%以下である。また水分濃度は一般的には80wt%以上であり、中でも85wt%以上が好ましい。但し、水分濃度が多すぎると銅のエッチングに多大な時間を要する場合があるので、本発明の銅エッチング液における水分濃度は、80〜95wt%、中でも85〜95wt%、特に90〜95wt%であることが好ましい。
本発明の銅エッチング液においては、更に、錯化剤及び/又は金属塩を含有することで、銅エッチング液のライフと安定性が向上するので好ましい。
【0014】
エッチングが進行すると、エッチング液中の銅イオン濃度が高くなり、これがエッチング液中の過酸化水素を分解させる方向に働くので、この働きを抑制する為に、例えば銅イオンを捉える錯体や、イオン交換して銅イオンを銅塩として析出させる金属塩を共存させることが好ましい。
具体的には例えば、錯体としては銅と錯化合物を形成し、水溶性又は水溶性の高いもので有れば任意のものを使用でき、各種の有機カルボン酸等の有機化合物や、尿素等が挙げられる。また金属塩としては、エッチング処理後に被エッチング処理物を水リンス洗浄する際、(溶解)除去できる水溶性塩であればよく、具体的には硝酸、リン酸、硫酸等鉱酸類のアルカリ(土類)金属塩等が挙げられる。中でもリン酸塩、特にリン酸ナトリウムが好ましい。
【0015】
これら錯化剤や金属塩の含有量は任意だが、少ない添加量で効果を奏するものが好ましい。一般的には、添加濃度として1〜30000ppm、中でも5〜5000ppm、特に10〜1000ppmであることが好ましい。
本発明のエッチング液を用いるエッチング方法は、従来公知の方法に沿って行えばよい。例えばエッチング液の温度については任意だが、エッチング液の温度が高くなるほど、銅のエッチング速度も上昇するので、適宜調整すればよい。一般的にはエッチング液の温度は10〜60℃、中でも室温〜50℃が好ましい。
【0016】
本発明のエッチング液は、銅(合金)とNi(合金)とが共存する薄膜積層構造等において、銅を選択的にエッチング出来ることを特徴とする。この様な積層構造の場合、積層構造の下方にスパッタ法等により設けられたNi(合金)層があり、この上に銅をスパッタ法等で積層した構造であることが一般的であるが、本発明の銅エッチング液は、この様な構造に限定されず、任意の積層形態に適応できる。
【0017】
積層構造を設ける基板は任意のものを使用でき、シリコンウエハー、ガラス、耐薬品性を有するプラスチックなどが好適である。
尚、本発明のエッチング液を用いてエッチングする際に、エッチング液中に存在する微粒子等の不溶不純物を除去するため、エッチング液を事前に精密フィルターを介して濾過することが好ましい。濾過の方式はワンパス式でもよいが、微粒子除去効率の点から、循環式がより好ましい。精密フィルターの孔径は適宜選択すればよいが、一般的には0.2μm以下、特に0.1μm以下のものが好ましい。フィルターの素材は、濾過するエッチング液に対して化学的・物理的に安定しているものであれば任意であり、例えば高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等のテフロン(R)系素材等が挙げられる。
【0018】
この様な不溶不純物は、特にエッチング加工するパターンサイズが微細化するに伴って均一なエッチングを阻害するおそれがあるので除去しておくことが望ましく、例えば直径0.5μm以上の微粒子は1000個/ml以下であることが好ましい。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実験サンプルとして以下▲1▼〜▲3▼の、3種類の基板を使用した。エッチングテスト用試料には、これらの基板を約1センチ×5センチ角の小片に切断したものを使用した。
【0020】
▲1▼ニッケル基板:
シリコンウエハー上に金属薄膜として純ニッケル(膜厚5000Å)をスパッタリン グ法にて作成した基板。
▲2▼銅単層基板:
シリコンウエハー上に金属薄膜として純銅(膜厚15000Å)をスパッタリング法 にて作成した基板。
【0021】
▲3▼銅ニッケル積層基板
シリコンウエハー上に金属薄膜層として純ニッケル(膜厚5000Å)をスパッタリ ング法によって形成させ、更にその上に金属薄膜として純銅(膜厚15000Å)をス パッタリング法にて作成した基板。
【0022】
(実施例1〜3)
200mlのビーカーに表1に記載のエッチング液200gを入れ、更にこのビーカーは恒温浴に入れ、エッチング液の温度を25℃に調節した。尚、いずれのエッチング液も、表1記載のエッチング液構成要素以外に、リン酸ナトリウムを20ppm含む。
【0023】
これに上述した▲1▼〜▲3▼各種の基板を浸積し、基板を上下左右に動かしながらエッチングを行った。ニッケル基板の上面は灰白色であるが、完全にシリコンウエハー基板(鏡面)までエッチングされたエッチング時間(分)でニッケル層の厚み(5000Å)を割った値がニッケルのエッチング速度(Å/分)である。
銅基板の上面は赤褐色であるが、完全にシリコンウエハー基板(鏡面)までエッチングされたエッチング時間(分)で銅の厚み(15000Å)を割った値が銅のエッチング速度(Å/分)である。
【0024】
銅のエッチング速度と、ニッケルのエッチング速度の比を、銅エッチング液の銅選択比とし、この値が大きい程、銅を選択的にエッチングすることを示す。
また銅ニッケル積層基板に対し、上部の銅薄膜が完全にエッチングされるに要する時間を予め測定し、得られた時間の2倍のエッチング時間をかけて、銅ニッケル基板をエッチングした。エッチング終了後、基板にニッケル層が残存しているかどうかを目視で判別した。ニッケル層が目視で均一に残存している場合の評価を◯、ニッケル層が目視で一部でも溶解し、下部のシリコンウエハーまで見えた場合には、評価を×と記した。結果を表1に記した。
【0025】
(比較例1、2)
表1に記載の液組成のエッチング液を用いた以外は、上述の実施例1と同様に実験を行い、同様に評価した。結果を表1に記した。
表1から明らかなとおり、本発明のエッチング液では、銅へのエッチング選択性に優れており、過剰なまでの時間を掛けてエッチング液と接触させてもNiはエッチングされないことが明白である。つまり、このようなエッチング液によって実際の半導体装置等の作成に用いる基板をエッチングすることによって、極めて選択的に銅をエッチングすることが可能となり、製品の歩留まりが向上することは明らかである。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
以上の様に、本発明の銅エッチング液は、銅(合金)とニッケル(合金)との積層体において銅を選択的にエッチングすることが可能であり、極めて精度良く、銅薄膜パターンを形成できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置、液晶表示素子装置等の半導体デバイスや、プリント基板、ICカード等の製造に用いられる、ウエットエッチング法により薄膜をパターニングするためのエッチング液に関する。詳しくは半導体装置や液晶表示素子装置等の半導体デバイス製造の際に用いるエッチング液に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置、液晶表示素子装置等の半導体デバイスや、プリント基板、ICカード等は、一般的に基板上に金属薄膜等をパターン形成して、金属薄膜素子や電極配線素子等を構成し、製造される。
金属薄膜をパターン形成する加工技術としては、フォトグラフィー技術によって、基板上の金属薄膜表面上にフォトレジストパターンをマスクとし、化学薬品を用いて加工するウエットエッチング法や、その他、イオンエッチングやプラズマエッチング等のドライエッチング法がある。ウエットエッチング法は、ドライエッチング法に比べて高価な装置を必要とせず、比較的安価な薬品を用いるので、経済的に有利である。
【0003】
また大面積の基板をエッチングする際、単位時間当たりの処理基板枚数を増やして生産効率を上げても均一なエッチングが可能であり、そしてエッチング対象の形状に左右され難いので、3次元構造を有するもののエッチングに適していることから、薄膜パターンの製造方法として多用されている。
近年、半導体及び液晶用表示装置等に用いられる金属薄膜素子や電極配線、その他の素子等に用いられる材料に対しては、加工パターンの微細化精度の向上に伴い、配線遅延がないこと、断線しにくい等の物性要求が益々厳しくなっている。
【0004】
この様な状況下、この様な素子等の材料としては、低い電気抵抗値を有し、加えて薄膜パターンとする際の加工性が良好であること等の、諸特性に優れた材料が望まれている。
最近になって、この様な素子材料として銅が注目され、その使用が増えつつある。銅を用いて素子等を形成する際に用いられるエッチング液としては、一般的にアミンやアンモニア類等のアルカリ性エッチング液や、塩化鉄若しくは過酸化水素と硫酸を混合した酸性エッチング液が用いられてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし銅は、一般的なエッチング液、例えば硝酸・硫酸等の酸と、過酸化水素水等を含むエッチング液に対して比較的容易にエッチングを受けることが問題であった。銅は他の金属と積層された場合、他の金属をエッチングせず、銅のみをエッチングする、即ち銅エッチング選択性が低いという問題があった。従って銅を用いて素子等を形成する際、銅のみを選択的にエッチングすることは困難であった。
【0006】
例えば銅を用いた素子を作成する際には、シリコン、ガラス、金属、アルミナ等の金属酸化物、又は高分子樹脂等の有機物からなる基板の上に、ニッケル(Ni)やNi合金等の他の金属薄膜を介した積層構造とすることがある。この積層構造から銅のみをエッチングし、銅が除去された部分に他の金属を埋め込んで素子等を作成する場合、銅のみを選択的にエッチングすることは困難であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述したような課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硝酸、過酸化水素、及び水を含むエッチング液に於いて、これらが特定の濃度で、且つ特定の濃度比率の際、他の金属、特にNiやNi合金が存在する様な、銅(合金)とNi(合金)との積層構造の場合でも、選択的に銅をエッチングするエッチング液となることを見出し、本発明を完成させた。更にこのエッチング液に、錯化剤及び/又は金属塩を含有することによって、この銅エッチング液のライフと安定性が向上することをも見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち本発明の要旨は、銅または銅合金と、ニッケル又はニッケル合金との積層体用銅エッチング液であって、過酸化水素、硝酸、及び水を含み、過酸化水素の濃度が1〜10wt%、硝酸の濃度が0.01〜10wt%であって、且つ過酸化水素濃度と硝酸濃度の比が0.5以上である銅エッチング液に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の銅エッチング液によってエッチングする対象は、純銅のみではなく、銅の含有量が50%以上の銅合金をも含むものである。また本発明の銅エッチング液は、銅または銅合金と、ニッケル又はニッケル合金との積層体用銅エッチング液である。
【0010】
本発明の銅エッチング液は、過酸化水素、硝酸、水を含む。過酸化水素の濃度は1〜10wt%、好ましくは3〜6wt%である。過酸化水素濃度が低すぎると銅のエッチングに多大な時間を要する場合がある。逆に濃度が高すぎると、過酸化水素が分解した際に、エッチング液の急速な発熱や多量の酸素が発生するなど、安全上に問題が生ずる場合がある。
【0011】
エッチング液中の硝酸の濃度は0.01〜10wt%、中でも0.05〜8wt%、特に0.2〜5wt%であることが好ましい。硝酸濃度が低すぎると銅のエッチングに多大な時間を要する場合があり、逆に濃度が高すぎると銅エッチング選択性が低下する場合がある。
これらの濃度は、必要とされるエッチング速度によって適宜調整して決定すればよい。
【0012】
本発明の銅エッチング液においては、エッチング液中の過酸化水素濃度と硝酸濃度の濃度比([過酸化水素水濃度]/[硝酸濃度])が0.5以上であることを特徴とする。
この比が0.5に満たない場合には、銅エッチング選択性が低下し、Ni等の他の金属までをもエッチングしてしまう場合がある。この濃度比は、過酸化水素濃度と硝酸濃度とが先述の範囲内で有れば任意だが、一般的には20以下である。よって過酸化水素濃度と硝酸濃度の濃度比は0.5〜20、中でも1〜15、特に2〜15であることが好ましい。
【0013】
本発明の銅エッチング液においては、液中の水分濃度は任意だが、一般的には95wt%以下である。また水分濃度は一般的には80wt%以上であり、中でも85wt%以上が好ましい。但し、水分濃度が多すぎると銅のエッチングに多大な時間を要する場合があるので、本発明の銅エッチング液における水分濃度は、80〜95wt%、中でも85〜95wt%、特に90〜95wt%であることが好ましい。
本発明の銅エッチング液においては、更に、錯化剤及び/又は金属塩を含有することで、銅エッチング液のライフと安定性が向上するので好ましい。
【0014】
エッチングが進行すると、エッチング液中の銅イオン濃度が高くなり、これがエッチング液中の過酸化水素を分解させる方向に働くので、この働きを抑制する為に、例えば銅イオンを捉える錯体や、イオン交換して銅イオンを銅塩として析出させる金属塩を共存させることが好ましい。
具体的には例えば、錯体としては銅と錯化合物を形成し、水溶性又は水溶性の高いもので有れば任意のものを使用でき、各種の有機カルボン酸等の有機化合物や、尿素等が挙げられる。また金属塩としては、エッチング処理後に被エッチング処理物を水リンス洗浄する際、(溶解)除去できる水溶性塩であればよく、具体的には硝酸、リン酸、硫酸等鉱酸類のアルカリ(土類)金属塩等が挙げられる。中でもリン酸塩、特にリン酸ナトリウムが好ましい。
【0015】
これら錯化剤や金属塩の含有量は任意だが、少ない添加量で効果を奏するものが好ましい。一般的には、添加濃度として1〜30000ppm、中でも5〜5000ppm、特に10〜1000ppmであることが好ましい。
本発明のエッチング液を用いるエッチング方法は、従来公知の方法に沿って行えばよい。例えばエッチング液の温度については任意だが、エッチング液の温度が高くなるほど、銅のエッチング速度も上昇するので、適宜調整すればよい。一般的にはエッチング液の温度は10〜60℃、中でも室温〜50℃が好ましい。
【0016】
本発明のエッチング液は、銅(合金)とNi(合金)とが共存する薄膜積層構造等において、銅を選択的にエッチング出来ることを特徴とする。この様な積層構造の場合、積層構造の下方にスパッタ法等により設けられたNi(合金)層があり、この上に銅をスパッタ法等で積層した構造であることが一般的であるが、本発明の銅エッチング液は、この様な構造に限定されず、任意の積層形態に適応できる。
【0017】
積層構造を設ける基板は任意のものを使用でき、シリコンウエハー、ガラス、耐薬品性を有するプラスチックなどが好適である。
尚、本発明のエッチング液を用いてエッチングする際に、エッチング液中に存在する微粒子等の不溶不純物を除去するため、エッチング液を事前に精密フィルターを介して濾過することが好ましい。濾過の方式はワンパス式でもよいが、微粒子除去効率の点から、循環式がより好ましい。精密フィルターの孔径は適宜選択すればよいが、一般的には0.2μm以下、特に0.1μm以下のものが好ましい。フィルターの素材は、濾過するエッチング液に対して化学的・物理的に安定しているものであれば任意であり、例えば高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等のテフロン(R)系素材等が挙げられる。
【0018】
この様な不溶不純物は、特にエッチング加工するパターンサイズが微細化するに伴って均一なエッチングを阻害するおそれがあるので除去しておくことが望ましく、例えば直径0.5μm以上の微粒子は1000個/ml以下であることが好ましい。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実験サンプルとして以下▲1▼〜▲3▼の、3種類の基板を使用した。エッチングテスト用試料には、これらの基板を約1センチ×5センチ角の小片に切断したものを使用した。
【0020】
▲1▼ニッケル基板:
シリコンウエハー上に金属薄膜として純ニッケル(膜厚5000Å)をスパッタリン グ法にて作成した基板。
▲2▼銅単層基板:
シリコンウエハー上に金属薄膜として純銅(膜厚15000Å)をスパッタリング法 にて作成した基板。
【0021】
▲3▼銅ニッケル積層基板
シリコンウエハー上に金属薄膜層として純ニッケル(膜厚5000Å)をスパッタリ ング法によって形成させ、更にその上に金属薄膜として純銅(膜厚15000Å)をス パッタリング法にて作成した基板。
【0022】
(実施例1〜3)
200mlのビーカーに表1に記載のエッチング液200gを入れ、更にこのビーカーは恒温浴に入れ、エッチング液の温度を25℃に調節した。尚、いずれのエッチング液も、表1記載のエッチング液構成要素以外に、リン酸ナトリウムを20ppm含む。
【0023】
これに上述した▲1▼〜▲3▼各種の基板を浸積し、基板を上下左右に動かしながらエッチングを行った。ニッケル基板の上面は灰白色であるが、完全にシリコンウエハー基板(鏡面)までエッチングされたエッチング時間(分)でニッケル層の厚み(5000Å)を割った値がニッケルのエッチング速度(Å/分)である。
銅基板の上面は赤褐色であるが、完全にシリコンウエハー基板(鏡面)までエッチングされたエッチング時間(分)で銅の厚み(15000Å)を割った値が銅のエッチング速度(Å/分)である。
【0024】
銅のエッチング速度と、ニッケルのエッチング速度の比を、銅エッチング液の銅選択比とし、この値が大きい程、銅を選択的にエッチングすることを示す。
また銅ニッケル積層基板に対し、上部の銅薄膜が完全にエッチングされるに要する時間を予め測定し、得られた時間の2倍のエッチング時間をかけて、銅ニッケル基板をエッチングした。エッチング終了後、基板にニッケル層が残存しているかどうかを目視で判別した。ニッケル層が目視で均一に残存している場合の評価を◯、ニッケル層が目視で一部でも溶解し、下部のシリコンウエハーまで見えた場合には、評価を×と記した。結果を表1に記した。
【0025】
(比較例1、2)
表1に記載の液組成のエッチング液を用いた以外は、上述の実施例1と同様に実験を行い、同様に評価した。結果を表1に記した。
表1から明らかなとおり、本発明のエッチング液では、銅へのエッチング選択性に優れており、過剰なまでの時間を掛けてエッチング液と接触させてもNiはエッチングされないことが明白である。つまり、このようなエッチング液によって実際の半導体装置等の作成に用いる基板をエッチングすることによって、極めて選択的に銅をエッチングすることが可能となり、製品の歩留まりが向上することは明らかである。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
以上の様に、本発明の銅エッチング液は、銅(合金)とニッケル(合金)との積層体において銅を選択的にエッチングすることが可能であり、極めて精度良く、銅薄膜パターンを形成できる。
Claims (3)
- 銅または銅合金と、ニッケル又はニッケル合金との積層体用銅エッチング液であって、過酸化水素、硝酸、及び水を含み、過酸化水素の濃度が1〜10wt%、硝酸の濃度が0.01〜10wt%であって、且つ過酸化水素濃度と硝酸濃度の比が0.5以上である銅エッチング液。
- 水分濃度が95wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の銅エッチング液。
- 更に錯化剤及び/又は金属塩を含有することを特徴とする請求請1または2に記載の銅エッチング液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002203468A JP2004043895A (ja) | 2002-07-12 | 2002-07-12 | 銅エッチング液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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