JPWO2008026542A1 - エッチング液及びエッチング方法 - Google Patents

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Abstract

金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングする。(1)金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングするためのエッチング液であって、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含み、ヨウ素に対するヨウ化物塩のモル濃度比率が9.5以上である、エッチング液。(2)金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが接触している場合に限り、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含むエッチング液のヨウ化物塩/ヨウ素のモル比を調整することにより、金を殆どエッチングすることなく、金よりイオン化電位の低い貴金属元素のみを選択的にエッチングすることが可能となる。

Description

発明の分野
本発明は、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物に対して、金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングするためのエッチング液及びエッチング方法に関する。本発明は特に、金とパラジウムとが互いに接触してなるエッチング対象物の、パラジウムを選択的にエッチングするためのエッチング液及びエッチング方法に関する。
発明の背景
半導体又は液晶関連のデバイス分野及びその周辺分野においては、酸化されにくく、軟らかいことから、金が電極または接点の材料として好適に用いられている。
金製の電極又は接点を作製する場合、具体的には、金製バンプ等の厚膜を作製する場合は、メッキ法でバンプを作製するのが主流である。
メッキ法により金製バンプを作製する場合、基板表面に導電性を与えるために、基板表面に金属製の下地膜(シードメタル)を形成させてから、金をメッキする。シードメタルを陰極として、メッキ法により金製バンプを形成する場合、金メッキ後にバンプ隙間にあるシードメタルを除去する必要がある。ここで、シードメタルをエッチングで除去する場合は、バンプの金もエッチング液に接することとなる。
従って、シードメタルとしても金を使用すると、シードメタルをエッチングで除去する際に、バンプの金の一部も溶けて、バンプの形状が変化してしまう可能性がある。そして、シードメタルとしては、シードメタルとその下地膜との組み合わせ、電気特性面等で優れたものが求められつつある。
ところで、金は、王水又はヨウ素/ヨウ化物塩系の水溶液でエッチングすることができる。しかしながら、王水系エッチング液は、腐食性が激しく、事前に混合させることも難しく、実用的ではない。そこで、金をエッチングする際には、ヨウ素とヨウ化カリウム等のヨウ化物塩を混合した水溶性エッチング液を用いるエッチング法が主流となりつつある(特許文献1参照)。
パラジウム等の貴金属元素は、シリコン系基板上の下地膜として用いられるチタンとの相性がよい。また、「パラジウム等の貴金属元素/チタン下地膜/シリコン系基板」の積層板は、電気特性の点でも優れている。しかしながら、パラジウム等の貴金属元素もヨウ素/ヨウ化物塩系の水溶性エッチング液でエッチングされることが知られている(非特許文献1参照)。
特開昭49−123132号公報 30TH ELECTRONIC COMPONENTS CONFERENCE,pp.539-545 "ETCHING GOLD-PALLADIUM METALLIZATION ON HYBRID MICROCIRCUITS"
発明の概要
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものである。
即ち、本発明は、金とパラジウム等の貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物について、パラジウム等の貴金属元素のみを選択的にエッチングするためのエッチング液及びエッチング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。この結果、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素が接触する場合において、ヨウ素/ヨウ化物塩系のエッチング液において、ヨウ化物塩とヨウ素との比率を変えることにより、意外にも、金よりイオン化電位の低い貴金属元素のみを選択的にエッチングできる領域が存在することを見出し、本発明に至った。
本発明は以下を要旨とするものである。
本発明のエッチング液は、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物のパラジウムを選択的にエッチングするためのエッチング液であって、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含み、ヨウ素に対するヨウ化物塩のモル濃度比率が9.5以上であることを特徴とする。
本発明のエッチング方法は、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含むエッチング液を用いる貴金属元素のエッチング方法であって、ヨウ素に対するヨウ化物塩濃度を調整することにより、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングすることを特徴とする。
また、本発明のエッチング方法は、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素をエッチングする方法であって、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含み、ヨウ素に対するヨウ化物塩のモル濃度比率が9.5以上であるエッチング液を用いてエッチングを行うことを特徴とする。
実施例1〜3及び比較例1、2、6の結果をまとめて示すグラフである。 実施例1、4及び比較例1、2で用いた積層膜のテストピースを示す斜視図である。 実施例2、3及び比較例6で用いた積層膜のテストピースを示す斜視図である。 比較例3〜5の結果をまとめて示すグラフである。
詳細な説明
本発明によれば、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングすることができる。
従って、本発明によれば、金よりイオン化電位の低い貴金属元素をシードメタルとして用い、その上に金メッキすることにより、金メッキ製バンプの形状を損なうことなく、金よりイオン化電位の低い貴金属元素製シードメタルを選択的にエッチングすることが可能である。即ち、本発明の方法により、金よりなる電極又は接点を工業的に有利に作製することが可能となる。また、バンプの金もヨウ素/ヨウ化物塩系エッチング液を用いてエッチングすることができるため、バンプの金とシードメタルの金よりイオン化電位の低い貴金属元素の両方を同種のエッチング液でエッチングできることから、薬液管理上も好ましい。
本発明の技術は、半導体又は液晶関連のデバイス分野及びその周辺分野における「金製バンプとパラジウム製等のシードメタル」に限らず、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが接触している積層膜のような物であれば、どのような物でもエッチング対象となり得る。
以下に本発明のエッチング液及びエッチング方法の実施の形態を詳細に説明する。
[本発明に係るエッチング機構]
<貴金属元素のヨウ素/ヨウ化物塩系エッチング液によるエッチング速度>
本発明者らは、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物における金よりイオン化電位の低い貴金属元素の選択的エッチング液を開発するに当たり、ヨウ素/ヨウ化物塩系エッチング液による金及びパラジウムのエッチング速度について、検討を行った。具体的には、金膜及びパラジウムの膜を、各々、ヨウ素/ヨウ化物塩のモル比が異なるヨウ素/ヨウ化物塩系エッチング液に浸漬し、そのエッチング速度を調べた。しかしながら、金及びパラジウムは、どちらも、エッチング液中のヨウ素/ヨウ化物塩のモル比が高くなると、エッチング速度が上がり、金に対してパラジウムのエッチング速度だけを上げる組成は見つけられなかった。
<金よりイオン化電位の低い貴金属元素の選択的エッチング機構>
ところが、金とパラジウムの一部を接触させた状態でヨウ素/ヨウ化物塩系エッチング液でエッチングすると、意外なことに、エッチング液中のヨウ素/ヨウ化物塩のモル比が高くなるのに伴い、パラジウムのエッチング速度は上がるのに対し、金のエッチング速度は下がった。
この傾向は金とパラジウムとが接触した場合にのみ起こる現象で、特に、その接触面積が大きいほど顕著であった。
金とパラジウムが接触した状態であると、何故、このような現象が起こるのかは不明であるが、本発明のエッチング液におけるエッチング機構は、以下の様に推定される。
一般に、エッチング機構は、エッチング対象物の酸化工程と、酸化により生成した酸化物の溶解工程との2つの要素で構成される。
パラジウムは、pH<1(王水)の領域では、カチオンとして溶解する。一方、本発明のヨウ素/ヨウ化物塩系エッチング液は、pH≧1であることから、パラジウムは、2価のアニオン(MPdI(M:1価のカチオン))として溶解していると推定される。また、金もパラジウムと同様に、本発明のエッチング液のpH領域では、アニオン(MAuI(M:1価のカチオン))として溶解していると推定される。
一般的に、金属がアニオンとして溶解する場合のエッチング速度は、酸化律速では無く、生成した酸化物の溶解律速であることが多い。そして、エッチング液に塩を添加すると、エッチング速度が上がる場合があることも知られている。そこで、金もパラジウムも、単独で存在する場合は、アニオン溶解型でエッチングが進むために、エッチング液中のヨウ化物塩/ヨウ素のモル比の上昇に伴い、エッチング速度が上がる傾向になったと推定される。
しかしながら、金とパラジウムとを接触させた場合には、エッチング液中のヨウ化物塩/ヨウ素のモル比の上昇に伴い、金のエッチング速度は下がる。従って、金とパラジウムとを接触させた場合には、上記の推定エッチング機構とは、全く異なる現象が起きると考えられる。
本発明者らは、これが電喰と呼ばれる現象の影響によるものと推定した。pH=0における金のイオン化電位は、1.498Vである。また、pH=0におけるパラジウムのイオン化電位は、0.987Vである。即ち、金とパラジウムとでは、パラジウムの方が金よりイオン化電位が低い。そこで、本発明者らは、金とパラジウムとが接触する系では、電喰作用により、パラジウムの方がエッチングされ易いと推定した。
電喰とは、二種の異なる金属が同時に電解質溶液に接触したとき、金属間の電位差によりイオン化傾向の強い(イオン化電位が低い)金属から弱い(イオン化電位が高い)金属に電子が移動し、電子を失ったイオン化傾向の強い(イオン化電位が低い)金属原子がイオンとして溶液中に溶け出すことにより、金属が腐食する現象をいう。即ち、イオン化電位の低い金属が酸化作用によりエッチングされると(酸化雰囲気)、残った電子は、接触面を通じてイオン化電位の高い金属に流れる。この結果、この電子を貰ったイオン化電位が高い金属は、還元雰囲気となり、エッチングが抑制される。ここで、エッチング液が水溶液系である場合は、通常、金の表面で、電子(e)はHと反応して、水素ガスを発生する。しかしながら、本発明のエッチング液では、水素が発生する電位より、ヨウ素がヨウ素イオンに還元される電位の方が高いため、金の表面では、ヨウ素が還元されてヨウ素イオンとなり(I+2e→2I)、溶解反応が進んでいると推定される。
電喰が目に見えるか否かは、エッチングによる電子の移動量の多寡で決まる。本発明のエッチング液の場合、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比が小さいと、パラジウムのエッチング速度が小さく、電子の移動量が少ないために、電喰が生じていても目視では確認し難い。ところが、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比が高くなると、パラジウムのエッチング速度が大きくなり、残余電子の金への移動量も多くなり、金は還元雰囲気となって、エッチングが抑制されるものと推定される。
従って、金とパラジウムとが接触した系をヨウ素/ヨウ化物塩系のエッチング液でエッチングする場合、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比が高い程、パラジウムのエッチング速度が大きく、金のエッチング速度が小さくなって、パラジウムの選択的なエッチングが達成できると推定される。
即ち、金とパラジウムとが接触している系で、金に対するパラジウムの選択的なエッチングを達成するためには、ヨウ素/ヨウ化物塩系のエッチング液のヨウ化物塩/ヨウ素のモル比を制御することが極めて重要であると推定される。
[エッチング液]
本発明のエッチング液は、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含む。
<ヨウ素>
本発明において、金、パラジウム等の金よりイオン化電位の低い貴金属元素(以下、単に「貴金属元素」と称す場合がある。)をエッチングする際の金、パラジウム等の酸化速度は、ヨウ素濃度に大きく依存している。通常、本発明のエッチング液中のヨウ素濃度が高いほど、本発明のエッチング液による貴金属元素のエッチング速度は大きくなる。
金に対して、パラジウム等の金よりイオン化電位が低い貴金属元素の選択エッチング性を出すためには、金よりイオン化電位が低い貴金属元素の本来のエッチング速度を、ある程度確保する必要がある。この点から、本発明のエッチング液におけるヨウ素濃度は、高い方が好ましい。但し、ヨウ素濃度によりパラジウム等の貴金属元素のエッチング速度を制御する際は、パラジウム等の貴金属元素の層のサイドエッチングの影響も考慮するのが好ましく、この点からは、ヨウ素濃度は、低い方が好ましい。また、ヨウ素濃度の設定に際しては、後述のヨウ化物塩濃度との関係等も含めた最適範囲を選ぶのが最も好ましい。
このような観点から、本発明のエッチング液のヨウ素濃度は、下限が、通常1重量%、好ましくは2重量%で、上限が、通常10重量%、好ましくは5重量%、更に好ましくは4重量%である。ヨウ素濃度が上記下限以上であると、酸化作用によるエッチング速度が大きい点で好ましく、また、上記上限以下であると、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比を大きくしやすく、金に対する選択エッチング性の点からも好ましい。
<ヨウ化物塩>
本発明のエッチング液で用いるヨウ化物塩としては、本発明のエッチング液においてカチオンとして作用するヨウ化物塩であればよい。即ち、本発明のエッチング液で用いるヨウ化物塩は、本発明のエッチング液に溶解できるヨウ化物塩であれば特に制限はない。ヨウ化物塩の価数は、1価でも2価でも良い。ヨウ化物塩としては、具体的には、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム及びヨウ化アンモニウム等が挙げられる。これらのヨウ化物塩は1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
本発明のエッチング液は、そのヨウ化物塩の濃度が高いほど、ヨウ素が溶解し易く、エッチング後の残留ヨウ素量も少なくすることができるので好ましい。また、本発明のエッチング液は、そのヨウ化物塩の濃度が低いほど、ヨウ化物塩が溶解しやすく、エッチング後の残留ヨウ化物塩の量も少なくすることができるので好ましい。そして、本発明のエッチング液におけるヨウ化物塩濃度は、上述の通り、ヨウ素に対するモル比が適当な値になるよう選択することが重要である。
本発明のエッチング液のヨウ化物塩濃度は、下限が、通常1重量%、好ましくは5重量%、上限が、通常40重量%、好ましくは30重量%であるのが好ましい。また、本発明のエッチング液におけるヨウ素とヨウ化物塩との合計濃度は、下限が、通常2重量%、好ましくは7重量%、上限が、通常50重量%、好ましくは35重量%であるのが好ましい。ヨウ素とヨウ化物塩との合計濃度が上記下限以上であると、エッチング速度が大きい点で好ましく、また、上記上限以下であると、エッチング液に接触させる際(基板をエッチング液に浸けたり、取り出したりする際)のエッチング量が少ない点、及び、経済性の点で好ましい。
<ヨウ化物塩/ヨウ素モル比>
本発明のエッチング液においては、上述の通り、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物をエッチングする際に、金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングできるようヨウ化物塩濃度を調整することが極めて重要である。ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比は、具体的には、下限が好ましくは9.5であり、更に好ましくは10.0であり、特に好ましくは11であり、上限が好ましくは15であり、更に好ましくは13であり、特に好ましくは12である。
ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比は、高い方が「金のエッチング速度」より「金よりイオン化電位の低い貴金属元素のエッチング速度」が大きくなり、選択エッチング性が高まる点で好ましい。一方、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比が低い方が、エッチング液のヨウ素濃度が高い場合でもエッチング液のヨウ化物濃度の絶対値が飽和溶解度以下となりやすく、また、使用する薬品量から見た経済性の点でも有利である。特に、後述するように、本発明のエッチング液が更にアルコールを含み、ヨウ化物塩の溶解度が下がった場合は、アルコールを含まない場合に比べて、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比は、低めの方が好ましい。
また、本発明のエッチング液のヨウ化物塩/ヨウ素のモル比は小さいほど、上述の電喰が起こりにくい。例えば、金製バンプの下のシードメタル層をエッチングする場合、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比は小さい方が、サイドエッチングが起こりにくく、バンプの形状を維持しやすい。即ち、バンプが崩れる、バンプが倒れるといったことが無い。
なお、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比の好適な範囲は、エッチングしたい貴金属(金よりイオン化電位の低い貴金属)とエッチングしたくない物質(金)の種類、形状(厚み等)、両者の接触状態(接触面積等)、エッチング条件(エッチング温度等)などに応じて変わる。そこで、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比は、これらを考慮した上で、適当な組成を選択する必要がある。例えば、パラジウム上に金製バンプを作製する場合は、バンプの大きさ(面積)や間隔が変われば、金とパラジウムの面積比率や接触面積が変わる。金層とパラジウム層の接触面積が大きいほど、電子の移動が容易となり、パラジウムの選択エッチング性が高まる傾向にあるため好ましい。
ここで、ヨウ素/ヨウ化物塩水溶液に更にアルコールを加えると、ヨウ化カリウムの溶解度は小さくなるため、ヨウ化カリウム/ヨウ素のモル比の上限値は低下する傾向にある。逆に、高温であるなど、ヨウ化カリウムの溶解度が高い条件では、高いヨウ化カリウム/ヨウ素のモル比も可能となる。
特に、本発明のエッチング液を半導体又は液晶関連のデバイス分野での微細配線作製などで使用する場合は、エッチング液中の不純物が少ないのが好ましい。そこで、本発明のエッチング液で用いる水は、高純度であるものが好ましい。特に、導電性イオンが少ないものが好ましい。具体的には、比抵抗が1MΩ・cm以上の水が好ましい。比抵抗値10数MΩ・cm以上の超純水が特に好ましい。
<アルコール>
本発明のエッチング液は、更にアルコールを含んでいることが好ましい。エッチング液中にアルコールが含まれていると、エッチング液中のヨウ素の溶解性が高くなる。
具体的には、ヨウ素の水に対する溶解度は、20℃で0.03g/100cm(国際化学物質安全性カードのヨウ素の項(ICSC番号0167))であるが、例えば、ここで、ヨウ化カリウムが存在すると、ヨウ化カリウムがKIとなり、ヨウ素はI の状態で水に溶解し易くなる。
また、オクタノールの水に対する分配係数(logPow=2.49:同上国際化学安全物質情報)の如く、ヨウ素は、水よりアルコールに分配されやすい。
従って、ヨウ素系エッチング液にアルコールが含まれていると、エッチング液の表面張力が小さくなり、エッチング対象物に対する濡れ性が高くなり、エッチング対象物の形状が複雑な場合でも狭隙部までエッチング液が浸透しやすくなる。
アルコールとしては、水への溶解性が高いものが好ましい。アルコールの価数は、1価でも2価以上の多価でも良いが、ヨウ素との反応性から1価が好ましい。また、アルコールの炭素数は、1〜4が好ましい。即ち、アルコールとしては、炭素数1〜4の1価のアルコール又はジオールが好適である。アルコールの好適例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びグリコールエーテル類等が挙げられる。これらのアルコールは1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
本発明のエッチング液中のアルコールの好適な濃度は、エッチング対象物の表面にレジストが存在するか否かによっても異なる。アルコールは、本発明のエッチング液での必須成分ではないので、その濃度の下限は、当然0重量%であるが、アルコールを用いる場合の下限は、アルコールの配合効果が発現しやすいことから1重量%であるのが好ましい。
アルコール濃度の上限は、50重量%が好ましく、35重量%が更に好ましく、20重量%が特に好ましい。アルコール濃度が上記上限以下であると、上述の通り、ヨウ化物塩の溶解度が高く、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比が高めやすい。また、エッチング対象物の表面にレジストが存在する場合でも、これを溶解させてしまう危険性が低い。エッチング対象物にレジストが存在しない場合は、レジストが存在する場合より、アルコール濃度の上限は高めでよいが、それでも、水より多く存在しないようにするのが好ましい。
<pH>
本発明のエッチング液のpHは、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含み、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングできれば特に制限は無い。本発明のエッチング液は、上述の好ましいヨウ化物塩/ヨウ素のモル比にすると、通常、pH5.0〜6.0となる。
<その他の成分>
本発明のエッチング液は、ヨウ素、ヨウ化物塩、水、アルコール以外の成分を、本発明の優れた効果を大幅に妨げない範囲であれば、含んでいても良い。本発明のエッチング液に含まれていてもよいその他の成分としては、例えば、上記のアルコール以外の有機溶剤等が挙げられる。
<エッチング対象物>
本発明に係るエッチング対象物は、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが直接接触しているものである。
一般的に、不純物を含むと金属は硬くなる。このため、半導体又は液晶デバイス分野等での電極や接点用には、純度の高い金属が用いられる。即ち、エッチング対象物を構成する金は、純度が高い方が好ましい。具体的には、純度99.8重量%以上の純金が好ましい。
貴金属元素とは、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムである。本発明に係るエッチング対象物を構成する金よりイオン化電位の低い貴金属元素は、ヨウ素/ヨウ化物塩水溶液系のエッチング液でエッチング可能な貴金属元素である。上記の貴金属元素の内、金よりイオン化電位が低いのは、金以外の7種の貴金属元素である。この内、パラジウムが特に好ましい。
本発明に係るエッチング対象物を構成する金よりイオン化電位の低い貴金属元素は、純パラジウム等の高純度貴金属が好ましい。具体的には、貴金属元素濃度が99.8重量%以上であるのが好ましい。
また、本発明に係るエッチング対象物を構成する金よりイオン化電位の低い貴金属元素は、金属状態であるのが好ましい。
本発明に係るエッチング対象物では、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが「直接接触」している。この金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが「直接接触」していることは、本発明の効果を得る上で極めて重要である。金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素との接触面積は、製造されるデバイスの構造により異なり、特に制限は無いが、接触面積が大きいほど本発明の効果が高い。
ガラス基板やシリコン基板等の基板上に貴金属層を形成する場合は、基板上に、基板と貴金属層の両方に対して密着性のある下地膜を設けた上に、貴金属層を形成してもよい。この下地膜としては、一般的に、チタンタングステン合金、チタン、クロム、ニッケル金属等が用いられることが多い。従来、金製バンプに対する下地膜としては、金原子の移動溶解が少ないチタンタングステン合金が使用されていた。しかし、チタンタングステン合金は硬い。これに対し、下地膜の上に貴金属製のシード層を形成してから金製バンプを形成すると、下地膜が金層と接しない。そこで、金原子の移動を考慮せずに、下地膜の種類を選択することが可能になるものである。シードメタル層がある場合の下地膜としては、例えば、軟らかく、シリコンとの密着性も良く、安価なチタンなどが挙げられる。
本発明に係るエッチング対象物は、金及び金よりイオン化電位の低い貴金属元素が接触していれば、各層の形状や大きさは、特に制限されず、用途に応じて、適当な形状及びサイズの積層体とすればよい。以下、半導体又は液晶デバイス分野等で金製の電極又は接点を作製する場合を例として、その好ましい形状を説明する。
この場合、金層の厚さは、デバイスの種類等によっても異なるが、通常1〜30μm程度である。金よりイオン化電位の低い貴金属元素層の厚さは、デバイスの種類等によっても異なるが、通常10〜500nm程度である。金よりイオン化電位の低い貴金属元素製の層は、金層をメッキ法により形成するためのシード層である。そこで、導電性を十分に得る観点からは、その厚さは上記下限値以上が好ましいが、厚いほどコストがかかるため、経済的な観点からは薄い方が好ましい。チタン等の下地膜の厚さは、デバイスの種類等によっても異なるが、通常10〜500nm程度である。上記下限値以上であると、基板との絶縁性の点で好ましく、また、上記上限以下であるとコスト面で好ましい。
<エッチング方法>
本発明のエッチング方法は、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含むエッチング液を用いる貴金属元素のエッチング方法であって、ヨウ素に対するヨウ化物塩濃度を調整することにより、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングすることを特徴としている。即ち、本発明のエッチング方法は、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含むエッチング液を用いて、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングできれば特に制限はない。
本発明のエッチング方法としては、上述の好ましい液組成のエッチング液でエッチングするのが好ましい。
エッチング方法としては、浸漬法、スプレー法、スピン法等何れの方法でエッチングを行ってもよい。また、エッチングに用いる装置にも、特に制限はない。浸漬法でエッチングする場合は、撹拌は、一般的には、ゆっくりとした上下浸漬遥動程度のもので十分である。即ち、撹拌は、拡散律速領域を外せる程度に強く、エッチングの面内均一性が良好となる程度の強さであるのが好ましい。
エッチング処理時の温度についても、本発明のエッチング液が均一溶液状態になれば、特に制限はない。エッチング温度の下限は、通常10℃、好ましくは20℃で、上限は通常50℃、好ましくは35℃、更に好ましくは25℃である。エッチング温度が上記上限以下であると、金のエッチング速度が速くなりすぎず、エッチングの選択性の点で好ましい。
エッチング時間は、所望量のエッチングが行えるように適宜決定されればよい。半導体又は液晶デバイス分野等で金製の電極又は接点を作製する場合を例とすると、エッチング時間は、通常、2〜10分程度である。
本発明のエッチング液中に含まれるヨウ素は、酸化剤であるため、エッチング終了後は、エッチング対象物上の残存ヨウ素を十分に除去するのが好ましい。溶存ヨウ素をリンス洗浄する場合、ヨウ化カリウム等のヨウ素を溶解できるヨウ化物塩水溶液又はアルコール水溶液にて洗浄した後に、水洗浄をするのが、K、I 、I等の残存物を低減できることから好ましい。
なお、本発明のエッチング液によるエッチング速度は、金よりイオン化電位の低い貴金属元素のエッチング速度が10mg/hr以上であるのが好ましく、11mg/hr以上であるのが更に好ましく、25mg/hr以下であるのが好ましい。また、「金のエッチング速度」に対する「金よりイオン化電位の低い貴金属元素のエッチング速度」の比は、0.8以上であるのが好ましく、1.0以上であるのが更に好ましく、1.2以上であるのが特に好ましい。そして、「金のエッチング速度」に対する「金よりイオン化電位の低い貴金属元素のエッチング速度」の比は、「金」と「金よりイオン化電位の低い貴金属元素」とが接していなかった場合に比べて、2.0倍以上となっているのが好ましく、2.5以上であるのが更に好ましく、3.0以上であるのが特に好ましく、4.0以上であるのが最も好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
金膜としては、厚み0.10mmの金の平膜10cm四方角(石福金属興業株式会社製。純度99.9重量%)を用いた。パラジウム膜としては、厚み0.10mmのパラジウムの平膜10cm四方角(石福金属興業株式会社製。純度99.9重量%)を用いた。
単膜テスト用の試料としては、上記の各膜を1.00cm×1.00cmに切り取ったものをテストピースとして用いた。
積層膜テスト用の試料(接触面積小)としては、上記金膜及びパラジウム膜を、各々、1.00cm×1.00cmに切り取り、これを断面が「人」字型となるように一体化させたテストピース3を用いた(図2参照)。即ち、金膜1の上部2.5mmを折り返し、折り返した部分にパラジウム膜2を挟み込んで、両面から加圧して圧着させた。上側が合体した金膜1とパラジウム膜2の裾を広げ、テストピース3を作製した。
積層膜テスト用の試料(接触面積大)としては、金膜を1.00cm×1.25cmに切り取ったものと、パラジウム膜を1.00cm×1.00cmに切り取ったものを、以下の手順で、断面が「μ」字型となるように一体化させたテストピース6を用いた(図3参照)。金膜4の上部2.5mmを折り返し、折り返した部分にパラジウム膜2を挟み込み、両面から加圧して圧着させた。上側が合体した金膜4とパラジウム膜2の裾を広げ、断面が「人」字型の積層体を作製した。パラジウム膜5の上部2.5mmを折り返し、折り返した部分に金膜4の折り返したのと逆側を挟み込んで、両面から加圧して圧着させた。上側が合体した金膜4とパラジウム膜5の裾を広げ、断面が「μ」字型となるような形で一体化させたテストピース6を作製した。
テストピース3とテストピース6は、金膜がエッチング液に接する面積が実質的に同じ(1.00cm×1.00cm)である。テストピース6では、金膜1は、パラジウム膜と2点で接触している。また、テストピース6では、金膜とパラジウム膜の接触面積がテストピース3の場合の2倍である。
エッチング速度(mg/hr)は、金膜又はパラジウム膜の単位時間あたりの重量減少量から算出した。具体的には、エッチング前/後の金膜又はパラジウム膜の重量を精密天秤にて測定し、差分をエッチング量とした。なお、エッチング後の重量は、エッチング後に水洗、乾燥後の重量とした。また、積層膜の場合の各膜の重量は、テストピースの圧着部分を外して、測定した。
[実施例1]
100cmのビーカーに、ヨウ素3重量%、ヨウ化カリウム23.6重量%(ヨウ化カリウム/ヨウ素モル比12)及びn−プロパノール30.0重量%の水溶液(超純水を使用)よりなるエッチング液を50cm入れた。25℃の恒温浴の中にビーカーごとセットして、温度を安定化させた。
このビーカー内のエッチング液をスターラーで撹拌した。その中に、テストピース3を入れた。浸漬時間は、ストップウォッチを用いて計測した。所定時間浸漬後に、テストピースを取り出し、超純水にてディップ法で5分間洗浄後、金膜とパラジウム膜に分けた後、各金属膜を常温でエアーブロー下で3分間乾燥させた。重量変化からエッチング速度(mg/hr)を算出した。
その結果、パラジウム膜のエッチング速度は、21.3mg/hrであり、金膜のエッチング速度は6.0mg/hrであった。金膜のエッチング速度より、パラジウム膜のエッチング速度が大きかった。即ち、後述の比較例3に対して、明らかに、パラジウムのエッチングが促進され、金のエッチングが抑制されていた。
[比較例1]
エッチング液として、ヨウ素3重量%、ヨウ化カリウム17.7重量%(ヨウ化カリウム/ヨウ素モル比9)及びn−プロパノール30.0重量%の水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、エッチングを実施した。
パラジウム膜のエッチング速度は、8mg/hrであり、金膜のエッチング速度は14.5mg/hrであった。金膜のエッチング速度は、パラジウム膜のエッチング速度より大きかった。
[比較例2]
エッチング液としてヨウ素3重量%、ヨウ化カリウム11.8重量%(ヨウ化カリウム/ヨウ素モル比6)及びn−プロパノール30.0重量%の水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、エッチングを実施した。
パラジウム膜のエッチング速度は2.8mg/hrであり、金膜のエッチング速度は13.0mg/hrであった。金膜のエッチング速度は、パラジウム膜のエッチング速度より大きかった。
[比較例3]
テストピースとして、金膜とパラジウム膜の単膜を各々独立の状態で、エッチング液に入れたこと以外は、実施例1と同様にしてエッチングを実施した。
パラジウム膜のエッチング速度は14.0mg/hrであり、金膜のエッチング速度は23.6mg/hrであった。金膜のエッチング速度は、パラジウム膜のエッチング速度より大きかった。
[比較例4]
比較例1と同じエッチング液を用いて、比較例3と同じテストピースを用いて、エッチングを実施した。
パラジウム膜のエッチング速度は8.2mg/hrであり、金膜のエッチング速度は24.3mg/hrであった。金膜のエッチング速度は、パラジウム膜のエッチング速度より大きかった。
[比較例5]
比較例2と同じエッチング液を用いて、比較例3と同じテストピースを用いて、エッチングを実施した。
パラジウム膜のエッチング速度は3.0mg/hrであり、金膜のエッチング速度は18.2mg/hrであった。金膜のエッチング速度は、パラジウム膜のエッチング速度より大きかった。
[実施例2]
テストピースとして、テストピース6を用いた以外は、実施例1と同様にしてエッチングを実施した。
パラジウム膜2のエッチング速度は20.0mg/hrで、金膜4のエッチング速度は2.0mg/hrであった。パラジウム膜のエッチング速度は、実施例1と同程度であったが、金膜のエッチング速度は、実施例1よりかなり低下していた。即ち、金膜とパラジウム膜との接触面積が大きいと、金膜のエッチング速度が低下することが分かった。
[実施例3]
エッチング液として、ヨウ素3重量%、ヨウ化カリウム19.7重量%(ヨウ化カリウム/ヨウ素モル比10)及びn−プロパノール30.0重量%の水溶液を用いた以外は、実施例2と同様にしてエッチング液を実施した。
パラジウム膜2のエッチング速度は11.0mg/hr、金膜4のエッチング速度は9.0mg/hrであった。金膜のエッチング速度より、パラジウム膜のエッチング速度が大きかった。
[比較例6]
比較例1と同じエッチング液を用い、実施例2と同じテストピースを用いて、エッチングを実施した。
パラジウム膜2のエッチング速度は8.0mg/hr、金膜4のエッチング速度は12.0mg/hrであった。金膜のエッチング速度は、パラジウム膜のエッチング速度より大きかった。
[実施例4]
エッチング液として、ヨウ素2.5重量%、ヨウ化カリウム19.7重量%(ヨウ化カリウム/ヨウ素モル比12)及びn−プロパノール30.0重量%の水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、エッチング液を実施した。
パラジウム膜のエッチング速度は12.8mg/hr、金膜のエッチング速度は7.0mg/hrであった。金膜のエッチング速度より、パラジウム膜のエッチング速度が大きかった。
以上の結果を、表1、図1及び図4にまとめて示す。
Figure 2008026542
以上の結果から、次のことが分かる。
エッチング液のヨウ素濃度とアルコール濃度を一定にした場合、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比を増大させると、パラジウムのエッチング速度は、金とパラジウムとが接触しているかに関わらず、増大している。一方、金のエッチング速度は、金とパラジウムとが接触していない場合は、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比の増大に伴い、増大するが、金とパラジウムとが接触している場合は、ヨウ化物塩/ヨウ素のモル比の増大に伴い、減少する。
即ち、金とパラジウムが接触している場合は、パラジウムのエッチング速度がある程度高くなると、パラジウムから金への接触面を通じての電子移動が多くなり、金が還元雰囲気となって、金のエッチングが抑制されたと推定される。
本発明によれば、このように、金とパラジウムとが接触し、且つ、パラジウムのエッチング速度が大きい系で、パラジウムの選択的なエッチングを達成することができる。
なお、現在、半導体又は液晶関連のデバイス分野及びその周辺分野における「金製バンプ」は非常に小さく、金製バンプ間同士の間隔も狭い。このため、上記実施例の場合よりも、金とパラジウムとの接触面積が大きく、パラジウムのエッチング深さも短い。従って、上記実施例より電喰の影響が出やすく、より顕著な選択エッチング性が得られるものと考えられる。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
なお、本出願は、2006年8月28日付で出願された日本特許出願(特願2006−230701)に基づいており、その全体が引用により援用される。

Claims (17)

  1. 金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングするためのエッチング液であって、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含み、ヨウ素に対するヨウ化物塩のモル濃度比率が9.5以上であることを特徴とする、エッチング液。
  2. 前記金よりイオン化電位の低い貴金属元素がパラジウムである、請求項1に記載のエッチング液。
  3. 前記エッチング液のヨウ素に対するヨウ化物塩のモル濃度比率が15以下である、請求項1に記載のエッチング液。
  4. 前記ヨウ化物塩がヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム及びヨウ化アンモニウムよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載のエッチング液。
  5. 前記エッチング液が更にアルコールを含む、請求項1に記載のエッチング液。
  6. 前記アルコールが炭素数1〜4のアルコールである、請求項5に記載のエッチング液。
  7. 前記アルコールが1価のアルコールである、請求項5に記載のエッチング液。
  8. 前記アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項5に記載のエッチング液。
  9. ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含むエッチング液を用いる貴金属元素のエッチング方法であって、ヨウ素に対するヨウ化物塩濃度を調整することにより、金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングすることを特徴とするエッチング方法。
  10. 金と金よりイオン化電位の低い貴金属元素とが互いに接触してなるエッチング対象物の金よりイオン化電位の低い貴金属元素を選択的にエッチングする方法であって、ヨウ素、ヨウ化物塩及び水を含み、ヨウ素に対するヨウ化物塩のモル濃度比率が9.5以上であるエッチング液を用いてエッチングを行うことを特徴とする、エッチング方法。
  11. 前記金よりイオン化電位の低い貴金属元素がパラジウムである、請求項9又は10に記載のエッチング方法。
  12. 前記エッチング液のヨウ素に対するヨウ化物塩のモル濃度比率が15以下である、請求項10に記載のエッチング方法。
  13. 前記ヨウ化物塩がヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム及びヨウ化アンモニウムよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項9又は10に記載のエッチング方法。
  14. 前記エッチング液が更にアルコールを含む、請求項9又は10に記載のエッチング方法。
  15. 前記アルコールが炭素数1〜4のアルコールである、請求項14に記載のエッチング方法。
  16. 前記アルコールが1価のアルコールである、請求項14に記載のエッチング方法。
  17. 前記アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項14に記載のエッチング方法。
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