明 細 書 カード処理装置 技術分野
本発明は、 I Cカードに対して情報の読み取りまたは書き込みを行うカード処 理装置に関する。 背景技術
従来のカード処理装置は、 カードが揷入口から揷入されると、 ローラを回転さ せることにより、 当該カードを装置内部へ搬送する。 そして、 カード処理装置は、 読み取りヘッドを用いて、 カードに記録された情報を読み取る、 または、 書き込 みヘッドを用いて、 カードに情報を書き込む。 その後、 カード処理装置は、 ロー ラを逆回転させることにより、 カードを揷入口から排出する。
現金自動取引処理装置のような上位装置に取り付けられているカード処理装置 では、 不正を働こうとする者が、 意図的にカードをカード処理装置内に詰まらせ ようとして、カード処理装置に対して何らかの細工を施す場合がある。 この場合、 現金自動取引処理装置の利用者がカード処理装置の揷入口にカードを揷入すると、 カードがカード処理装置内に詰まってしまう。 このような異常が発生すると、 利 用者は異常を解消してもらうために、 現金自動取引処理装置が設置されている場 所を離れて、 係員の居る所へ行く。 すると、 その隙に不正を働こうとする者がェ 具等を用いてカード処理装置内に詰まったカードを取り出して持ち去り、 その後 カードを悪用するという問題が生じる。
上記のような問題を解決するために、 特開 2 0 0 1— 2 2 2 6 8 6号公報 (以 下、 特許文献 1という) に記載されているカード処理装置では、 カードの詰まり を検出したときに、 ゴム状のパッドまたは先端の尖ったニードルからなる圧接部 材をカード面に圧接させる。 これにより、圧接部材としてパッドを用いた場合は、 パッドとカード面との間の強い摩擦力によって、 カードの移動が阻止されて、 力 一ドが揷入口から取り出せなくなる。 また、 圧接部材としてニードルを用いた場
合は、 ニードルの先端がカード面に食い込むことによって、 カードの移動が阻止 されて、 カードが挿入口から取り出せなくなる。
上記のことに加えて、 特許文献 1には、 圧接部材をカードに設けられた磁気ス トライプ以外の場所を圧接するように配置することで、 磁気ストライプの損傷を 回避して磁気データを保護することが記載されている。 また逆に、 圧接部材をカ ードの磁気ストライプに圧接するように配置することで、 磁気ストライプを損傷 させて磁気データを破壊することが記載されている。
カード処理装置には、 特許文献 1に記載されているような、 カード面に磁気ス トライプが設けられた磁気カードを処理可能な装置以外に、 カード面の所定位置 に I C接点が設けられた I Cカードを処理可能な装置がある。 この I Cカードを 処理可能なカード処理装置に、 特許文献 1の技術を適用した場合、 挿入口から I Cカードが挿入された後に、 異常発生により圧接部材で I Cカードの I C接点の 設けられた部分を圧接すると、 I Cカードが揷入口側へ引っ張られたときに、 圧 接部材が I C接点上に引っ掛からずに滑ってしまい、 I Cカードが揷入口から取 り出されるおそれがある。 これは、 I Cカードの I C接点が、 銅やニッケルや金 等の金属から構成されていて、 エンボス部分等の I C接点以外の部分よりも硬く て滑り易いため、 I C接点に圧接部材としてパッドを圧接させても、 I C接点と パッ ドとの間に強い摩擦力が生じないからである。 また、 I c接点に圧接部材と してニードルを圧接させても、 ニードル力 S I C接点に食い込まないからである。 なお、磁気ストライプの設けられた部分は、 I C接点よりも軟らかくて滑り難い。 本発明は、 上記問題点を解決するものであって、 その課題とするところは、 I Cカードが揷入口から取り出されるのを確実に阻止することが可能なカード処理 装置を提供することにある。 発明の開示
本発明では、 カード面の所定位置に I C接点が設けられた I Cカードを挿入す る揷入口と、 揷入口から挿入された I Cカードの I C接点に接触して、 当該 I C カードから情報を読み取るまたは当該 I Cカードへ情報を書き込む I C接点へッ ドと、 揷入された I Cカードの揷入口からの取り出しを阻止するために、 当該 I
Cカードのカード面を押圧する押圧機構とを備えたカード処理装置において、 押 圧機構が I Cカードのカード面を押圧する位置と、 I C接点へッドが I Cカード のカード面に接触する位置とが、 I Cカードの挿入方向に対して平行な一直線上 に並ばないようにしている。
上記構成において、 I C接点ヘッドは、 I Cカードに対して情報の読み取りお ょぴ書き込みの両方を行うものであってもよいし、 いずれか一方を行うものであ つてもよい。 カード処理装置は、 カード処理装置の内部で I Cカードが詰まった 場合や、 カード処理装置へ衝撃が与えられた場合等のような、 カード処理を困難 にする異常が発生したときに、 押圧機構で I Cカードのカード面を押圧する。 上述したように、 押圧機構が I Cカードを押圧する位置と、 I C接点ヘッドが I Cカードに接触する位置とが、 カードの揷入方向に対して平行な一直線上に並 ばないようにしたことで、 I Cカードを押圧するときに、 押圧機構で I Cカード の I C接点以外の部分を的確に押圧することができる。 I Cカードの I C接点以 外の部分は、 I C接点よりも軟らかくて滑り難いため、 当該部分を押圧機構で押 圧することにより、 押圧機構と I Cカードとの間に強い摩擦力が生じ、 I Cカー ドが揷入口から取り出されるのを確実に阻止することが可能となる。
また、 本発明の一実施形態として、 押圧機構が I cカードのカード面を押圧す る位置と、 I Cカードが正規の姿勢でまたは誤った姿勢で揷入口から揷入された 後に当該 I Cカードの I C接点が通過する位置とが、 I Cカードの揷入方向に対 して平行な一直線上に並ばないようにしてもよレ、。
上記のようにすることで、 I Cカードが正規の姿勢で揷入口から挿入された場 合だけでなく、 I Cカードが前後を逆にしてまたは表裏を逆にして等のように誤 つた姿勢で揷入口から挿入された場合にも、 押圧機構で I Cカードの I C接点以 外の部分を的確に押圧することができるので、 I Cカードが揷入口から取り出さ れるのを確実に阻止することが可能となる。
本発明によれば、 押圧機構で I Cカードの I C接点以外の部分を的確に押圧す ることができるので、 押圧機構と I Cカードとの間に強い摩擦力が生じ、 I C力 一ドが揷入口から取り出されるのを確実に阻止することが可能となる。
図面の簡単な説明
図 1は、 カード処理装置の内部の概略構造を示す図である。
図 2は、 カード処理装置の電気的構成を示すプロック図である。
図 3は、 カード処理の概略を示すフローチャートである。
図 4は、 カード処理の詳細を示すフローチャートである。
図 5は、 カード処理の詳細を示すフローチャートである。
図 6は、 カード処理の詳細を示すフローチャートである。
図 7は、 カード処理の詳細を示すフローチャートである。
図 8カード処理の詳細を示すフローチヤ一トである。
図 9カード処理装置におけるカードの位置を示す図である。
図 1 0は、 カード処理装置におけるカードの位置を示す図である。 図 1 1は、 カード処理装置におけるカードの位置を示す図である。 図 1 2は、 カード処理装置に設けられた押圧機構を示す図である。 図 1 3は、 カード処理装置に設けられた押圧機構を示す図である。 図 1 4は、 接触状態の偏心カムとカードと台の拡大図である。
図 1 5は、 カード処理装置に設けられた押圧機構を示す図である。 図 1 6は、 固定状態の偏心カムとカードと台の拡大図である。
図 1 7は、 押圧機構を図 1 3の矢印方向から見た図である。
図 1 8は、 偏心カムの外周にゴムを取り付けた状態の拡大図である。 図 1 9は、 偏心カムの外周に凹凸を設けた状態の拡大図である。
図 2 0は、 偏心カムの側面にゴムを取り付けた状態を示す図である。 図 2 1は、 偏心カムの側面にゴムを取り付けた状態を示す図である。 図 2 2は、 偏心カムに刃を取り付けた状態を示す図である。
図 2 3は、 偏心カムから刃を外した状態を示す図である。
図 2 4は、 カード処理装置の概略平面図である。
図 2 5は、 固定具が設けられた押圧機構を示す図である。
図 2 6は、 固定具が設けられた押圧機構を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明のカード処理装置を実施するための形態について説明する。 図' 1は、本発明を適用したカード処理装置 1の内部の概略構造を示す図である。 本カード処理装置 1は、 接触式の I Cカードと磁気カードとをそれぞれ処理可能 である。 挿入検出センサ 1 7は、 カード 2が揷入口 3に揷入されたことを検出す る。 カード 2には、 情報が記録されている。 カード 2が磁気カードの場合には、 カード表面の所定位置に磁気ストライプが備わっていて、 当該磁気ストライプに 磁気情報が記録されている。 カード 2が接触式の I Cカードの場合には、 カード 表面の所定位置に I C接点が備わっていて、 内部に I C接点と接続された I Cチ ップが備わっていて、 当該 I Cチップに情報が記録されている。
揷入検出センサ 1 7がカード 2の揷入を検出すると、 シャツタ 1 4が開く。 こ れにより、 カード 2がカード処理装置 1の内部に搬送可能となる。 カード 2が搬 送される搬送路 5は、 一点鎖線で示されている。 搬送路 5は、 揷入口 3および上 下のローラ 4によって構成されている。 モータが駆動することにより、 ローラ 4 が回転する。 挿入口 3から挿入されたカード 2がローラ 4に当接すると、 ローラ 4が回転して、 カード 2がカード処理装置 1の内部へ搬送される。 カード検出セ ンサ 6、 7、 8は、 それぞれの位置におけるカード 2の有無を検出する。 カード 2の揷入後、 カード検出センサ 6がカード 2を検出している状態からカード 2を 検出しない状態になると、 シャツタ 1 4が閉じる。
挿入されたカード 2が磁気カードであった場合には、 磁気カードの搬送中に、 磁気へッド 1 5が、 磁気カードの磁気情報を読み取ったり、 磁気カードに磁気情 報を書き込んだりする。 挿入されたカード 2が I Cカードであった場合には、 力 ード 2を所定の位置まで搬送する。 そして、 I C接点ヘッド 1 6を降下させるた めのソレノィドが駆動することにより、 I C接点へッド 1 6が降下して I Cカー ドの I C接点に接触する。 そして、 I C接点へッド 1 6が、 I Cカードから情報 を読み取ったり、 I Cカードに情報を書き込んだりする。 読み取りまたは書き込 みが終了すると、 I C接点へッド 1 6を降下させるためのソレノィドが駆動を停 止することにより、 I C接点ヘッド 1 6が上昇して I C接点から離れる。 上記の ようにカード 2に対する情報の読み取りまたは書き込みが終了すると、 ローラ 4 が逆回転して、 カード 2が揷入口 3へ向けて搬送される。 そして、 カード検出セ
ンサ 6がカード 2を検出していない状態からカード 2を検出した状態になると、 シャツタ 1 4が開く。 これにより、 カード 2が、 挿入口 3の外にローラ 4によつ て搬送される。
上記のカード処理装置 1で生じるカード異常の一例として、 揷入口 3に何らか の細工がされて、 カード 2の挿入時または排出時に、 カード 2が搬送路 5の内部 に詰まってしまった場合を想定する。 ローラ 4を回転しようとしているにもかか わらず、 ローラ 4が回転していない場合に、 カード処理装置 1は、 カード 2が力 一ド検出センサ 6の位置で詰まっていることを検出する。 カード処理装置 1が、 カード 2の詰まりを検出すると、偏心カム用ソレノィド 1 3が駆動する。すると、 偏心力ム 1 0がねじりコィルばね 1 2の弾性力により回転軸 1 1を中心に時計回 りに回転し、 偏心カム 1 0の外周がカード 2に接触して、 カード 2の表面を押圧 する。 図 1は、 偏心カム 1 0とカード 2とが接触した状態を示している。 偏心力 ム 1 0とカード 2との間に摩擦力が発生しているため、 カード 2が揷入口 3から 外に引き抜かれることを阻止している。 偏心カム用ソレノイド 1 3、 偏心カム 1 0、 およびねじりコイルばね 1 2等から構成される押圧機構の詳細については、 後述する。
図 2は、 カード処理装置 1の電気的構成を示すブロック図である。 C P U 2 0 は、 図 2に示されているカード処理装置 1の各部を制御したり各部から情報を取 得したりする。カード処理装置 1に挿入されたカード 2が磁気カードの場合には、 磁気ヘッド 1 5が、 磁気カードの磁気ストライプに接触して、 磁気ストライプか ら磁気情報を読み取ったり、 磁気ストライプに磁気情報を書き込んだりする。 力 ード処理装置 1に挿入されたカード 2が I Cカードの場合には、 I C接点へッド 1 6が、 I Cカードの I C接点に接触して、 I C接点を介して I Cカードの I C チップから情報を読み取ったり、 I Cチップに情報を書き込んだりする。
モータ 2 5が駆動することにより、 それに機構的に接続されているローラ 4が 回転する。上下のローラ 4の間にカード 2が存在すると、カード 2が搬送される。 ロータリエンコーダ 2 6は、 モータ 2 5の回転数を検出する。 カード検出センサ 6、 7、 8は、 カード処理装置 1の搬送路 5での所定の位置に、 カード 2が存在 するか否かを検出する。 揷入検出センサ 1 7は、 揷入口 3にカード 2が存在する
か否かを検出する。 センサ 6、 7、 8、 1 7は、 カード 2の存在を検出すると、 OF F状態から ON状態に切り替わる。 シャツタ用ソレノイド 27は、 シャツタ 14を開け閉めする。 偏心カム用ソレノイド 1 3は、 偏心カム 10を回転させる ために駆動する。 接点へッド用ソレノィド 28は、 I C接点へッド 1 6を上下に 移動させる。 '
ROM21は、 CPU 20の動作プログラムを記憶している。 RAM22は、 各部を制御する制御パラメータ、 磁気へッド 1 5や I C接点へッド 1 6などの各 部から取得した情報を一時的に記憶する。 さらに、 RAM22は、 磁気ヘッド 1 5または I C接点へッド 16によつ.てカードに書き込む情報を一時的に記憶する。 通信部 24は、 カード処理装置 1の上位装置に接続されている。 上位装置の例と して、 カード処理装置が取り付けられている現金自動取引処理装置がある。 通信 部 24は、 カード 2から読み取った情報や力ード 2が詰まつたこと等を示す障害 情報等を上位装置に送信する。 また、 通信部 24は、 上位装置からカード 2に書 き込む情報や処理対象のカード 2の種類情報等を受信する。
次に、 カード 2がカード処理装置 1に揷入された後、 カード処理装置 1が、 情 報の読み取りおよび書き込みを行ってからカード 2を排出するまでの処理につい て説明する。 また、 挿入時や排出時に、 カード 2が詰まった場合のカード取り出 し阻止処理について説明する。
図 3は、 カード処理装置 1のカード処理の概略を示すフローチヤ一トである。 ステップ S 1において、 CPU 20.は、 通信部 24を介してカード 2の種類を上 位装置から受信する。 ここでは、 カード 2の種類として、 磁気カードおよび接触 式 I Cカードを想定している。 次にステップ S 2において、 CPU 20は受信し たカード 2の種類が磁気カードであるか否かを判定する。 磁気カードであると判 定した場合には、 ステップ S 3において、 CPU 20は、 磁気カードの取り込み 処理と、 磁気カードからの磁気情報の読み取り処理とを行う。 そして、 ステップ S 4において、 CPU 20は、 磁気カードへの磁気情報の書き込み処理を行う。 そして、 ステップ S 5において、 CPU 20は、 カード 2の排出処理を行う。 ス テツプ S 3、 S 4、 S 5のカード処理の詳細については、 後述する。
一方、 ステップ S 2において、 受信したカード 2の種類が磁気カードでないと
判定した場合には、 ステップ S 6において、 CPU 20は、 受信したカード 2の 種類が接触式 I Cカードであるか否かを判定する。 I Cカードであると判定した 場合は、 ステップ S 7において、 CPU 20は、 I Cカードの取り込み処理と、 I Cカードからの情報の読み取り処理と、 I Cカードへの情報の書き込み処理と を行う。 その後、 ステップ S 5において、 CPU 20は、 カード 2の排出処理を 行う。 ステップ S 7のカード処理の詳細については、 後述する。
また、 ステップ S 6において、 受信したカード 2の種類が I Cカードでないと 判定した場合には、 CPU20は、 ステップ S 7の各処理を行わずに、 ステップ S 5に進み、 カード 2の排出処理を行う。 これは、 想定した磁気カードまたは I Cカードのいずれでもないため、 カード処理を行うことができないからである。 図 4は、 図 3におけるステップ S 3の磁気カード取り込み処理おょぴ磁気カー ド読み取り処理の詳細を示すフローチャートである。 ステップ S 20において、 CPU20は、 揷入検出センサ 1 7が揷入口 3へのカード 2の挿入を検出したか 否かを判定する。 図 9 (A) は、 揷入口 3にカード 2が揷入された状態を示して いる。 図 9 (A) において、 カード 2の左側の部分は図示が省略されている。 力 ード 2の先端が、 挿入検出センサ 1 7に達していないため、 シャツタ 14は閉じ ている。
挿入検出センサ 1 7がカード 2の揷入を検出すると、 CPU 20は、 次のステ ップ S 21に進む。 ステップ S 21において、 CPU 20は、 シャツタ用ソレノ イド 27を駆動する。これにより、シャツタ 14が搬送路 5を開放する。図 9 (B) は、 挿入検出センサ 17が、 カード 2の存在を検出したことによって、 シャツタ 14が開き、 搬送路 5を開放した状態を示している。 また、 カード処理装置 1の 内部に、 カード 2力 さらに揷入された状態を示している。 そして、 図 4のステ ップ S 22において、 。?1120カ モータ 25の正転駆動を開始する。 モータ 25が正転駆動することにより、 モータ 25に接続されている各ローラ 4は、 力 ード 2をカード処理装置 1の内部に搬送する方向に回転する。 図 9においては、 ローラ 4は、 カード 2を右側に搬送しょう.とする。 実施の形態で用いられる磁気 ドは、 F 2 F方式 (T o F r e q u e n c y C o h e r e n t P h a s e En c o d i n g)で磁気情報が記録されている。 F 2 F方式の磁気カードの
場合、 磁気カードを一定速度で搬送することにより、 磁気へッド 15は磁気カー ドの磁気情報を読み取る。 そこで、 CPU 20は、 モータ 25を一定速度で回転 するように制御する。 ロータリエンコーダ 26が出力するモータ 25の回転数を 用いたフィードパック制御によって、 CPU 20は、 モータ 25の回転速度を一 定に保つ。 後述する図 4のステップ S 28において、 CPU20がモータ 25の 駆動を停止するまで、 C PU 20は、 モータ 25を一定速度で連続して正転駆動 するよう制御する。
ステップ S 23において、 CPU20は、 ロータリエンコーダ 26が、 モータ 25の回転数を定期的に出力しているか否かを判定する。例えば、 CPU20力 モータ 25に駆動指令を送信することに対応して、 ロータリエンコーダ 26がモ ータ 25の回転を検出しているか否かを判定している。 ロータリエンコーダ 26 が回転数を定期的に出力していれば、 磁気カードは、 一定速度で搬送されている ことになる。 定期的に出力していなければ、 または出力がなければ、 カード 2が 詰まっていることになる。 すなわち、 ステップ S 23は、 カード 2が詰まってい るか否かを判定している。 カード 2が詰まっていなければ、 ステップ S 24に進 む。 カード 2が詰まっていれば、 ステップ S 29に進む。 そして、 ステップ S 2 4において、 CPU 20は、 一定速度で搬送されている磁気カードの磁気ストラ イブから磁気ヘッド 1 5によって磁気情報を読み取る。 CPU20は、 読み取つ た磁気情報を RAM 22に記憶させる。 ステップ S 24の処理は、 モータ 25の 駆動が停止するまで、 連続して行われる。
ステップ S 25において、 CPU 20は、 カード検出センサ 6がカード 2の存 在を検出したか否かを判定する。 カード検出センサ 6が、 カード 2を検出した場 合には、 ステップ S 23の処理に戻る。 カード検出センサ 6がカード 2を検出し 続けている間は、 CPU20は、 カード 2が詰まっているか否かを判定し続けて いる。 すなわち、 ステップ S 23、 S 24、 S 25の処理を繰り返すことによつ て、 カード検出センサ 6の位置において、 カード 2が詰まっているか否かを判定 している。 図 10 (A) は、 カード検出センサ 6が、 カード 2を検出したときの カード 2の位置を示している。 また、 磁気ヘッド 1 5が磁気カードに接触し、 磁 気ストライプの磁気情報を読み取つている状態を示している。
図 4のステップ S 2 5において、 カード検出センサ 6がカード 2を検出しなく なった場合には、 カード 2力 挿入口 3を通過し、 カード処理装置 1の内部に取 り込まれている状態である。 この場合、 C P U 2 0は、 ステップ S 2 6に進み、 シャツタ用ソレノイ ド 2 7の駆動を停止する。 これにより、 シャツタ 1 4が閉じ る。 図 1 0 ( B ) は、 カード検出センサ 6が、 カード 2を検出しなくなったとき のカード 2の位置を示している。 また、 シャツタ用ソレノイ ド 2 7の駆動が停止 し、 シャツタ 1 4が閉じている状態を示している。 図 4のステップ S 2 6でシャ ッタ用ソレノイド 2 7の駆動を停止する処理は、 図 4の処理全体において、 一度 だけ行われる。
シャツタ用ソレノイド 2 7の駆動を停止すると、 ステップ S 2 7において、 C P U 2 0は、カード検出センサ 8がカード 2の存在を検出したか否かを判定する。 カード検出センサ 8の位置にカード 2が存在することは、 カード 2全体が磁気へ ッド 1 5を通過したことを意味する。 図 1 1 (A) は、 カード 2の先端が、 カー ド検出センサ 8の位置に到達している状態を示している。 また、 カード 2の後端 、 磁気ヘッド 1 5を通過した状態を示している。 カード検出センサ 8がカード 2の存在を検出すると、 ステップ S 2 8において、 C P U 2 0は、 モータ 2 5の 駆動を停止する。 これにより、 各ローラ 4の回転が停止し、 カード 2の搬送が停 止する。 そして、 C P U 2 0は、 通信部 2 4を介して、 R AM 2 2に記憶されて いる磁気情報を上位装置へ送信する。 これにより、 磁気カードの磁気情報の読み 取り処理が終了する。
一方、 ステップ S 2 7において、 カード検出センサ 8がカード 2の存在を検出 していない場合には、磁気へッド 1 5と磁気カードとは接触している状態である。 言い換えると、まだ磁気カードの磁気情報読み取りが完了していない状態である。 この場合、 C P U 2 0は、 ステップ S 2 3の処理に戻り、 モータ 2 5の駆動によ るカード 2の搬送および磁気へッド 1 5による磁気カードの磁気情報の読み取り 処理を続ける。
不正を働こうとする者が、 カード処理装置 1に何らかの細工を施し、 カード 2 が搬送路 5に詰まるようにしたとする。 カード 2が詰まつたときのカード 2の位 置を図 1 1 ( B ) に示す。 この場合、 C P U 2 0力 モータ 2 5を駆動し続けて
いるにもかかわらず、 ロータリエンコーダ 2 6力 モータ 2 5の回転を検出しな レ、。 このため、 C P U 2 0は、 図 4のステップ S 2 3において、 ロータリエンコ ダ 2 6がモータ 2 5の回転数を定期的に出力していないと判定する。 そして、 ステップ S 2 9において、 C P U 2 0は、 カード取り出し阻止処理を行う。 ステ ップ S 2 9のカード処理の詳細については、 後述する。 その後、 C P U 2 0は、 図 3に示されるカード処理を強制的に終了 (異常終了) する。
図 4で示したフローチャートでは、 ステップ S 2 3で説明したように、 ロータ リエンコーダ 2 6が定期的に回転数を出力しないときに、 カード取り出し阻止処 理を行うようにした。 これ以外に、 ロータリエンコーダ 2 6が定期的に回転数を 出力せず、かつ、カード検出センサ 6がカード 2の存在を検出する場合に限って、 カード取り出し阻止処理を行うようにしてもよい。 後者のようにすると、 カード 2がカード検出センサ 6の位置に存在するときに限って、 カード取り出し阻止処 理を行うことができる。
図 5は、 図 4におけるステップ S 2 9のカード取り出し阻止処理の詳細を示す フローチャートである。 ステップ S 3 0において、 C P U 2 0は、 偏心カム用ソ レノィド 1 3を駆動させる。すると、偏心カム 1 0が回転軸 1 1を中心に回転し、 偏心カム 1 0の外周がカード 2に接触して、 カード 2の表面を押圧する。 これに より、 カード 2が揷入口 3から取り出されることを阻止する。 押圧機構の詳細に ついては、 後述する。 そして、 ステップ S 3 1において、 C P U 2 0は、 通信部 2 4を介して、 カード 2が搬送路 5に詰まった旨の障害情報を上位装置に連絡す る。
図 6は、 図 3におけるステップ S 4の磁気カードの書き込み処理の詳細を示す フローチャートである。 図 3のステップ S 3の処理が終了した時点では、 磁気力 ードは、 図 1 1 (A) に示されるように、 搬送路 5の右端に停止している。 磁気 カードを搬送路 5の揷入口 3側に戻すため、 ステップ S 4 0において、 C P U 2 0は、 モータ 2 5の逆回転駆動を開始する。 すると、 モータ 2 5に接続されてい る各ローラ 4は、 磁気カードを挿入口 3側に搬送するように回転する。 磁気カー ドが揷入口 3側に搬送されると、 ステップ S 4 1において、 カード検出センサ 6 が磁気カードの存在を検出する。 このため、 ステップ S 4 2において、 C P U 2
0は、 シャツタ用ソレノィド 27を駆動する。 これにより、 シャツタ 14が開く。 したがって、 磁気カードが挿入口 3まで搬送され、 以降の処理において、 磁気力 一ドの先端から磁気情報を書き込むことができるようになる。 このときの磁気力 ードの位置が図 10 (A) に示されている。 なお、 カード処理装置 1の搬送路 5 を長くすることで、 シャツタ 14を開けることなく、 磁気カードの先端から磁気 情報を書き込むことができるような位置に磁気カードを搬送することができる。 図 6のステップ S 43において、 揷入検出センサ 1 7が磁気カードの存在を検 出すると、 ステップ S 44において、 CPU 20は、 モータ 25の正転駆動を開 始する。 そして、 ステップ S 45において、 CPU20は、 上位装置から通信部 24を介して、 磁気カードに書き込む情報を受信し、 RAM22に記憶する。 続 いて、 CPU20は、 RAM22に記憶されている情報に基づいて、 搬送中の磁 気カードに対して、 磁気ヘッド 15により磁気情報を書き込む。 磁気情報の書き 込みは、 CPU20が書き込み信号を磁気ヘッド 1 5に与えている期間だけ、 連 続的に行われる。 ステップ S 46において、 カード検出センサ 6が磁気カードを 検出しなくなった場合、 シャツタ 14の位置に磁気カードは存在していない。 し たがって、 ステップ S 47において、 CPU20は、 シャツタ用ソレノイド 27 の駆動を停止する。 これにより、 シャツタ 14が閉じる。 このときのカード 2の 位置が、 図 10 (B) に示されている。 そして、 磁気カードが搬送されつづけ、 ステップ S 48において、カード検出センサ 8が磁気カードの存在を検出すると、 ステップ S 49において、 CPU 20は、 モータ 25の駆動を停止する。 これに より、 各ローラ 4の回転が停止し、 磁気カードの搬送が停止する。 このときの磁 気カードの位置が、 図 1 1 (A) に示されている。 この後、 CPU20は、 磁気 カードへの磁気情報の書き込み処理を終了し、 図 3のステップ S 5の処理に進ん で、 I Cカードの排出処理を行う。 なお、 上述した CPU 20が上位装置から磁 気カードに書き込む情報を受信する時期については、 ステップ S 45の磁気へッ ド 1 5による書き込み開始前であればいつでもよい。
図 7は、 図 3におけるステップ S 5のカード排出処理の詳細を示すフローチヤ ートである。 図 3のステップ S 4の処理が終了した時点では、 カード 2は、 図 1 1 (A) に示されるように、 搬送路 5の右端に停止している。 カード 2を搬送路
5の揷入口 3側に戻し、 カード 2を排出するため、 図 7のステップ S 6 0におい て、 C P U 2 0は、 モータ 2 5の逆回転駆動を開始する。 これにより、 モータ 2 5に接続されている各ローラ 4は、 カード 2を揷入口 3側に搬送するように回転 する。 モータ 2 5の駆動は、 後述するステップ S 6 5において、 モータ 2 5の駆 動が停止するまで、 連続して行われる。
カード 2力 挿入口 3側に搬送され、 ステップ S 6 1において、 カー.ド検出セ ンサ 6がカード 2の存在を検出したときには、 搬送されたカード 2は、 揷入口 3 に近づいている。 そこで、 ステップ S 6 2において、 C P U 2 0は、 シャツタ用 ソレノイド 2 7を駆動する。 これにより、 シャツタ 1 4が開き、 搬送路 5のカー ド 2を挿入口 3から排出することができるようになる。
ステップ S 6 3において、 C P U 2 0は、 ロータリエンコーダ 2 6がモータ 2 5の回転数を定期的に出力しているか否かを判定する。 これにより、 前述のステ ップ S 2 3と同様に、 C P U 2 0は、 カード 2がカード検出センサ 6の位置にお いて、 詰まっているか否かを判定することができる。
ステップ S 6 3において、 C P U 2 0力 ロータリエンコーダ 2 6がモータ 2 5の回転数を定期的に出力していないと判定した場合には、 すなわちカード 2が 詰まっていると判定した場合には、 C P U 2 0は、 ステップ S 2 9のカード取り 出し阻止処理を、 前述した図 5のフローチャートに従って実行する。 実行後、 C P U 2 0は、 カード処理を異常終了する。
一方、 図 7のステップ S 6 3において、 C P U 2 0力 ロータリエンコーダ 2 6がモータ 2 5の回転数を定期的に出力していると判定した場合には、 すなわち カード 2が搬送路 5において詰まっていないと判定した場合には、 ステップ S 6 4において、 C P U 2 0は、 カード検出センサ 6がカード 2を検出してから所定 時間経過したか否かを判定する。 このとき、 カード 2は、 排出されるために、 口 ーラ 4の回転により一定速度で揷入口 3に向けて搬送されている。 したがって、 カード 2の排出方向における先端がカード検出センサ 6の位置を通過してから、 排出方向におけるカード 2の後端が、 最も揷入口 3に近いローラ 4を通過するま での時間はあらかじめ決まっている。 そこで、 この時間を上述した所定時間に設 定している。 カード処理装置 1にカード 2が詰まるなどの異常が発生していない
場合は、 所定時間経過すれば、 カード 2は、 すべての口 ラ 4を通過した後なの で、 ステップ S 6 5において、 CPU 20は、 モータ 25の駆動を停止する。 そ して、 各ローラ 4の回転が停止する。 これにより、 カード 2の搬送が停止する。 所定時間が経過していなければ、 カード 2は、 すべてのローラ 4を通過していな いので、 CPU 20はローラ 4によるカード 2の搬送を続ける。
上記では、 時間を計測することによって、 モータ 2 5の駆動を停止したが、 こ れ以外に、 搬送路におけるカード検出センサの数を増やして、 カード 2が所定の 位置を通過したときに、 モータ 25の駆動を停止するようにしてもよい。
ステップ S 6 5において、 CPU 20がモータ 2 5の駆動を停止すると、 ステ ップ S 6 6において、 CPU 20は、 挿入検出センサ 1 7がカード 2の存在を検 出したか否かを判定する。 ステップ S 66'において、 挿入検出センサ 1 7がカー ド 2の存在を検出しないと判定した場合は、 揷入口 3にカード 2が存在しない状 態を示している。 すなわち、 何ら障害が発生せずに、 利用者が、 カード 2を取り 出した状態を示している。 この場合、 ステップ S 6 7において、 CPU 20は、 シャツタ用ソレノィド 2 7の駆動を停止する。 これにより、シャツタ 1 4が閉じ、 カード排出処理が終了する。
図 8は、 図 3におけるステップ S 7の I Cカード取り込み処理、 I Cカード読 み取り処理、および I Cカード書き込み処理の詳細を示すフローチャートである。 図 3のステップ S 2の処理が終了した時点では、 カード 2は、 図 9 (A) に示さ れるように、 挿入口 3にカード 2の先端が揷入されている状態である。
図 8のステップ S 70において、 CPU20は、 揷入検出センサ 1 7力 S I C力 一ドの揷入を検出したか否かを判定する。 挿入検出センサ 1 7が I Cカードの揷 入を検出していると、 ステップ S 7 1において、 CPU20は、 シャツタ用ソレ ノイド 2 7を駆動する。 これにより、 シャツタ 1 4が開き、 I Cカードをカード 処理装置 1の内部に揷入することができるようになる。 そして、 ステップ S 7 2 において、 CPU 20は、 モータ 2 5の正転駆動を開始する。 これにより、 モー タ 25に接続されている各ローラ 4が、 I Cカードを揷入口 3からカード処理装 置 1の内部に搬送するように回転する。
ステップ S 7 3において、 CPU20は、 ロータリエンコーダ 26がモータ 2
5の回転数を定期的に出力しているか否かを判定する。 これにより、 前述のステ ップ S 23と同様に、 CPU 20は、 I Cカードがカード検出センサ 6の付近に おいて、 詰まっているか否かを判定することができる。
ステップ S 7 3において、 CPU 20が、 ロータリエンコーダ 26がモータ 2 5の回転数を定期的に出力していないと判定した場合には、 すなわちカード 2が 詰まっていると判定した場合には、 CPU 20は、 ステップ S 29のカード取り 出し阻止処理を、 前述した図 5のフローチャートに従って実行する。 実行後、 C PU20は、 カード処理を異常終了する。
一方、 ステップ S 7 3において、 CPU2 C^S、 ロータリエンコーダ 2 6がモ ータ 2 5の回転数を定期的に出力していると判定した場合には、 すなわち、 カー ド 2が搬送路 5において詰まっていないと判定した場合には、 ステップ S 74に おいて、 CPU 20は、 カード検出センサ 7が I Cカードの存在を検出したか否 かを判定する。 I Cカードの揷入方向において、 I Cカードの先端が、 カード検 出センサ 7の位置に到達したときに、 I Cカードの接点が、 I C接点へッド 1 6 の位置に到達しているように、 カード検出センサ 7が設けられている。
ステップ S 74において、 カード検出センサ 7が I Cカードを検出しない場合 には、 CPU20は、 ステップ S 73に戻り、 I Cカードが詰まっているかどう かを判定する。 カード検出センサ 7が I Cカードを検出した場合には、 ステップ S 7 5において、 CPU 20は、 シャツタ用ソレノイド 2 7の駆動を停止する。 これにより、 シャツタ 1 4が閉まる。 そして、 ステップ S 7 6において、 CPU 20は、モータ 25の駆動を停止する。 これにより、各ローラ 4の回転が停止し、 I Cカードの搬送が停止する。 このとき、 I Cカードの接点は、 I C接点へッド 1 6に対向して位置している。
ステップ S 7 7において、 CPU 20は、 接点ヘッド用ソレノイド 2 8を駆動 することにより、 I C接点ヘッド 1 6を降下させる。 これにより、 I C接点へッ ド 1 6が I Cカードの I C接点に接触する。 そして、 ステップ S 78において、 CPU20は、 I Cカードの I Cチップから情報を読み取る。 CPU20は、 読 み取った情報を RAM 2 2に記憶する。 そして、 CPU 20は、 通信部 24を介 して、 RAM2 2に記憶されている情報を上位装置に送信する。 この後、 CPU
2 0は、 通信部 2 4を介して、 書き込み情報を上位装置から受信する。 また、 C P U 2 0は、 受信した当該情報を R AM 2 2に記憶する。 そして、 ステップ S 7 9において、 C P U 2 0は、 R AM 2 2に記憶した書き込み情報を I Cカードの I Cチップに書き込む。 書き込みが終了すると、 ステップ S 8 0において、 C P U 2 0は、 接点へッド用ソレノイド 2 8の駆動を停止することにより、 I C接点 ヘッド 1 6を上昇させる。 これにより、 I C接点ヘッド 1 6が I Cカードの I C 接点から離れる。 この後、 C P U 2 0は、 図 3のステップ S 5の処理に進み、 I Cカードの排出処理を行う。
次に、 カード処理装置 1に設けられた押圧機構の詳細について、 図 1 2〜図 2 6を用いて説明する。
図 1 2および図 1 3は、 カード処理装置 1の挿入口 3近傍に設けられた押圧機 構を示す図である。 図中、 (A) は同押圧機構の側面図、 (B ) は同押圧機構の平 面図を示している。 なお、 (B ) ではカード 2、挿入口 3、 およびシャツタ 1 4等 の図示を省略している。 図 1 2は、 偏心カム用ソレノィド 1 3が駆動していない 状態を示している。 偏心カム 1 0は、 回転軸 1 1 .を中心に回転するように設けら れている。 また、 図 1 2 (A) に示すように、 偏心カム 1 0は、 回転軸 1 1に対 して偏心している。 偏心カム 1 0のカード 2に面する側の外周 9は、 略円弧状に 形成されている。 このため、 偏心カム 1 0の回転軸 1 1から外周 9までの距離は 一定ではない。 偏心カム 1 0の外周 9には、 回転軸 1 1からの距離が、 搬送路 5 を搬送されるカード 2に接触しない長さ L 1である外周部分 9 aと、 搬送路 5を 搬送されるカード 2に接触する長さ L 2である外周部分 9 bとが含まれている。 図 1 2 (A) の状態では、 外周部分 9 aが搬送路 5に対して向いているので、 外 周部分 9 aはカード 2に接触していない。 然るに、 後述するように偏心カム 1 0 を回転軸 1 1を中心に時計回りに回転させることにより、 外周部分 9 bを搬送路 5に対して向けると、 図 1 3 (A) に示すように外周部分 9 bがカード 2の表面 に接触する。
回転軸 1 1には、 ねじりコイルばね 1 2が取り付けられている。 ねじりコイル ばね 1 2は、 偏心カム 1 0を時計回りに回転させるように偏心カム 1 0に力を加 えている。 これは、 ねじりコイルばね 1 2の下端部が、 偏心カム 1 0に係ってい
るからである。一方、ねじりコイルばね 1 2の上端部は、壁 3 4に当たっている。 図 1 2 ( B ) に示すように、 偏心カム用ソレノイド 1 3の可動鉄芯 5 4の先端 には、 ピン 1 8が取り付けられている。 また、 可動鉄芯 5 4の周りにはコイルば ね 5 5が設けられている。 コイルばね 5 5は、 ピン 1 8に偏心カム用ソレノイド 1 3から離れる方向の力を加えている。 ピン 1 8には、 偏心カム 1 0の上部を支 持する支持具 9 7が取り付けられている。 支持具 9 7は、 梁 8 4、 ローラ 8 7、 およびコイルばね 8 8等から構成されている。 梁 8 4は、 回転軸 8 6を中心に回 転する。 回転軸 8 6は、 図示しない板や棒等の部材を介して壁 3 4に固定されて いる。 回転軸 8 6の周りにはコイルばね 8 8が設けられている。 コィノレばね 8 8 の一端は、梁 8 4から突出した爪 9 0に当たっている。 コイルばね 8 8の他端は、 図示しない板や棒等の部材を介して壁 3 4に固定された爪 8 9に当たっている。 梁 8 4の中央には、 円柱 8 3が設けられている。 円柱 8 3は、 ピン 1 8に設けら れた溝 8 5に挿入されている。梁 8 4の左側には、 ローラ 8 7が設けられている。 ローラ 8 7は、 回転軸 9 2を中心に回転することができる。 また、 ローラ 8 7は、 偏心カム 1 0の上部に取り付けられたブロック 9 1に接触している。 このため、 ねじりコイルばね 1 2の弾性力により偏心カム 1 0が回転軸 1 1を中心に時計回 りに回転しようとしても、 偏心カム 1 0の回転は阻止される。
偏心カム用ソレノイド 1 3が駆動すると、 可動鉄芯 5 4が、 偏心カム用ソレノ イド 1 3の内部に引き込まれる。 すると、 図 1 2 ( B ) において、 ピン 1 8の溝 8 5が上方に移動して、 溝 8 5の端が円柱 8 3に当たり、 円柱 8 3も上方に移動 する。 これにより、 図 1 2 ( B ) において、 梁 8 4が回転軸 8 6を中心に時計回 りに回転する。 このとき、 コィ ま'ね 8 8の弾"生力によって、 梁 8 4に対して、 反時計回り方向の力が働いている。 偏心カム用ソレノイド 1 3の駆動力は、 コィ ルばね 8 8の弾性力とコイルばね 5 5の弾性力とを合計した力よりも大きい。 梁 8 4が回転軸 8 6を中心に回転しょうとするとき、 ローラ 8 7が回転軸 9 2を中 心に回転する。 このため、 ローラ 8 7とブロック 9 1との間に発生する摩擦力は 小さい。
図 1 2 (A) において、 偏心カム 1 0は、 ねじりコイルばね 1 2の弾性力によ り回転軸 1 1を中心として時計回りに回転しようとしている。 ねじりコイルばね
1 2の弾性力は、 偏心カム 1 0からブロック 9 1とローラ 8 7を経由して、 梁 8 4に働いている。 図 1 2 (A) の状態では、 図 1 2 ( B ) からも分かるように、 ブロック 9 1、 ローラ 8 7、 および回転軸 8 6は、 ほぼ一直線上に並んでいる。 このため、 梁 8 4に働く力は、 すべて回転軸 8 6に働き、 回転軸 8 6で打ち消さ れる。 また、 溝 8 5と円柱 8 3との間には、 隙間が設けられている。 このため、 ねじりコイルばね 1 2の弾性力は、 ピン 1 8に働いていない。 したがって、 ねじ りコイルばね 1 2の弾性力は、 偏心カム用ソレノィド 1 3には働かない。 すなわ ち、 偏心カム 1 0が回転軸 1 1を中心に回転しょうとする力が、 偏心カム用ソレ ノィド 1 3の駆動に悪影響を与えない。
カード処理装置 1がカード 2の詰まりを検出したとき、 上述したように偏心力 ム用ソレノイド 1 3が駆動する。 図 1 3は、 偏心カム用ソレノィド 1 3が駆動し た状態を示している。 図 1 3 ( B ) において、 可動鉄芯 5 4およびピン 1 8が上 側に移動している。 溝 8 5の移動により、 円柱 8 3が上側に移動している。 円柱 8 3の移動により、梁 8 4力 回転軸 8 6を中心として時計回りに回転している。 ローラ 8 7がブロック 9 1から外れているため、 偏心カム 1 0力 ねじりコイル ばね 1 2の弾性力により回転軸 1 1を中心に回転し、 図 1 3 ( B ) において、 偏 心カム 1 0の上部が右側に移動している。 このとき、 コイルばね 8 8の弾性力に より梁 8 4が反時計回りに回転しょうとする。 し力 し、 コイルばね 8 8の弾性力 により、 プロック 9 1の側面とローラ 8 7とが接触して、 梁 8 4の回転を妨げて いる。 図 1 3 (A) に示すように、 偏心カム 1 0が回転軸 1 1を中心に時計回り に回転することにより、偏心力ム 1 0の外周部分 9 bが搬送路 5に対して向力い、 外周部分 9 bがカード 2の表面に接触する。 このとき、 偏心カム 1 0からカード 2の表面に対して押圧力が働いている。 この押圧力がカード 2に対して十分働く ように、 台 3 2がカード 2を下から支えている。 台 3 2でカード 2を支えること により、 カード 2のたわみが防止される。
偏心カム 1 0がカード 2の表面に接触することで、 上記の押圧力とともに、 力 ード 2と偏心カム 1 0の外周部分 9 bとの間で大きな摩擦力が働く。 このため、 不正を働こうとする者が、 揷入口 3から、 工具などを使用して、 詰まったカード 2を引き抜こうとしても容易に抜くことができない。 図 1 3 (A) に示すように、
偏心カム 1 0の外周部分 9 bがカード 2の表面に接触している状態を便宜的に、 接触状態と呼ぶ。
図 1 3における接触状態の偏心カム 1 0とカード 2と台 3 2の拡大図を図 1 4 に示す。 偏心カム 1 0の外周部分 9 bがカード 2の表面に接触している。 偏心力 ム 1 0の押圧力により、 カード 2がたわまないように、 台 3 2力 カード 2を下 から支えている。
図 1 3 (A) の接触状態において、 不正を働こうとする者が、 さらに大きな力 をかけてカード 2を揷入口 3から引き抜こうとした場合を想定する。 この場合、 カード 2を大きな力で引き抜こうとすることで、 カード 2と偏心カム 1 0との間 の摩擦力により、偏心カム 1 0が回転軸 1 1を中心にさらに時計回りに回転する。 すると、 カード 2に接触している外周部分 9 bは、 カード 2を引き抜こうとする 方向とほぼ同じ方向に移動することになる。 このとき、 カード 2を引き抜こうと する力で、 偏心カム 1 0を回転させているので、 偏心カム用ソレノイ ド 1 3は、 偏心カム 1 0に対して力を加えていない。 この状態を図 1 5に示す。
図 1 5において、 偏心カム 1 0は、 回転軸 1 1に対して偏心しているため、 図 1 3 (A) において、 カード 2に接触している外周部分 9 bよりもさらに回転軸 1 1からの距離 L 2 ' が長い外周部分 9 b ί カード 2に接触する。 距離 L 2 ' は、 距離 L 2よりも長い。 これにより、 さらに大きな押圧力が偏心カム 1 0から カード 2の表面に働き、 偏心カム 1 0とカード 2との間の摩擦力もさらに大きく なる。 このため、 ますます、 カード 2を引き抜くことが困難になる。
図 1 5に示すように、 カード 2を引き抜こうとしたことで、 カード 2がわずか に左側に移動している。 また、 偏心カム 1 0が時計回りに回転して壁 3 4に当た つている。 偏心カム 1 0が壁 3 4に当たることで、 偏心カム 1 0の時計回りの回 転が妨げられ、 偏心カム 1 0がカード 2の表面から離れることが防止される。 図 1 5に示すように、 偏心カム 1 0の外周部分 9 b, 、 カード 2の表面に押し込 まれて接触している状態を便宜的に、 固定状態と呼ぶ。
図 1 5における固定状態の偏心カム 1 0とカード 2と台 3 2の拡大図を図 1 6 に示す。 偏心カム 1 0の外周部分 9 b, がカード 2の表面に接触し、 偏心カム 1 0がカード 2に対して食い込んでいる。 このため、 カード 2を引き抜こうとする
と、カード 2につられて、偏心カム 1 0が移動し、時計回りに回転しようとする。 しかしこのとき、 図 1 5に示したように、 偏心カム 1 0が壁 3 4に当たっている ので、 偏心カム 1 0は回転しない。 よって、 カード 2を引き抜くことが困難であ る。 このため、 カード 2を無理に引き抜こうとした場合には、 カード 2が損傷す る。
偏心カム 1 0がカード 2に接触している状態において、停電が発生したとする。 停電により、偏心カム用ソレノィド 1 3の駆動が停止する。このとき、図 1 3 ( B ) に示したように可動鉄芯 5 4の周囲に取り付けられたコイルばね 5 5は伸張する。 このため、 コイルばね 5 5の弾性力によって、 図 1 3 (B ) においてピン 1 8が 下方に移動し、 梁 8 4が反時計回りに回転しょうとする。 しかし、 ブロック 9 1 の存在によって、 梁 8 4は回転することができない。 したがって、 偏心カム 1 0 は、 ねじりコイルばね 1 2の力によって、 カード 2に接触し続けることになる。 よって、 停電が発生したとしても、 カード 2の抜き取りを阻止しようとする状 態が維持される。 つまり、 押圧機構が一旦動作すると、 ねじりコイルばね 1 2 の力でその状態を保つようにしているため、 停電が発生したとしても、 その影 響を受けない。
図 1 7は、 押圧機構を図 1 3 (A) の矢印方向から見た図である。 本図では、 前述した支持具 9 7を簡略化して示している。 偏心カム 1 0は、 ねじりコイルば ね 1 2の弾性力によって生じるカード 2への押圧力に、 耐えられる厚みを有して いる。 偏心カム 1 0の厚みを増すことにより、 偏心カム 1 0の外周部分 9 bと力 ード 2との摩擦を大きくすることができる。 偏心カム 1 0は、 回転軸 1 1に回転 可能に取り付けられている。 回転軸 1 1ば、 取り付け板 3 5に取り付けられてい る。 偏心カム用ソレノイド 1 3は、 取り付け板 3 6に取り付けられている。 取り 付け板 3 5、 3 6は、 壁 3 4に取り付けられている。 偏心カム 1 0を見やすくす るために、 図 1 2および図 1 3では、 取り付け板 3 5、 3 6を省略している。 台 3 2は、 カード 2がたわまないように、 偏心カム 1 0より厚く形成されている。 偏心カム 1 0の外周 9にゴム等の滑りにくい材質のものを取り付けることによ り、 偏心カム 1 0とカード 2との間の摩擦力を大きくすることができる。 図 1 8 は、 偏心カム 1 0の外周 9にゴム 4 0を取り付けた場合の外周 9およぴ外周 9に
接触するカード 2の拡大図である。
また、 偏心カム 1 0の外周 9に凹凸を設けることにより、 偏心カム 1 0の凸部 力 カード 2の表面に食い込み、 偏心カム 1 0とカード 2との間の摩擦力を大き くすることができる。 図 1 9は、 偏心カム 1 0の外周 9に凹凸 4 1を設けた場合 の外周 9および外周 9に接触するカード 2の拡大図である。 接触状態から固定状 態に変化したときに偏心力ム 1 0がカード 2に接触した外周 9の長さより、 凹凸 4 1の間隔が小さいことが好ましい。
また、 偏心カム 1 0の外周 9に設けた凹凸の近傍にゴムを取り付けることによ り、 カード 2との間の摩擦力をより大きくすることができる。 図 2 0およぴ図 2 1は、偏心カム 1 0と偏心カム 1 0の側面に取り付けたゴム 6 0を示す図であ る。 図 2 1は、 偏心カム 1 0およびゴム 6 0を図 2 0の太矢印方向から見た状 態を示している。 ゴム 6 0は、 偏心カム 1 0の外周 9より下側に突き出ている。 このため、 図 2 0では、 ゴム 6 0の背後に外周 9が隠れている。 なお、 外周 9 には、 鋸の刃状の凹凸が設けられている。 これにより、 カード 2に最初に接触 するのは、 ゴム 6 0である。 ゴム 6 0は、 カード 2との間で、 大きな摩擦力を 発生させる。 このため、 ゴム 6 0がカード 2の表面に接触した状態で、 カード 2を引き抜こうとすると、 カード 2の移動につられて、 ゴム 6 0と一緒に偏心 カム 1 0が回転する。 そして、 偏心カム 1 0は、 偏心しているため、 ゴム 6 0 および偏心カム 1 0はカード 2の表面を押し付ける。 すると、 ゴム 6 0はその 弾性のためにへこみ、 外周 9の凹凸の凸部がカード 2の表面に食い込む。 これ により、 押圧機構が動作した後、 カード 2を引き抜こうとするとき、 ゴム 6 0 が取り付けられた偏心カム 1 0がカード 2の移動に追従しやすくなる。 この結 果、 確実に偏心カム 1 0が時計回りに回転し、 カード 2の取り出しを防止する ことができる。
また、 偏心カム 1 0にカード 2と接触する凹凸の付いた刃を取り外し可能に設 けることにより、 偏心カム 1 0自体の磨耗を防ぐことができる。 図 2 2および図 2 3は、 偏心カム 1 0と凹凸の付いた刃 1 0 8を示す図である。 図 2 2 (A) は 刃 1 0 8が取り付けられた偏心カム 1 0の側面図を示し、 図 2 2 ( B ) は刃 1 0 8が取り付けられた偏心カム 1 0の正面図を示している。 板 1 1 5が偏心力
ム 1 0に取り付けられている。 板 1 1 5の先端には、 刃 1 0 8が設けられてい る。 刃 1 0 8は、 鋸の刃状の凹凸で構成されている。 ネジ 1 0 1によって、 板 1 1 5が偏心カム 1 0に取り付けられている。 ネジ 1 0 1が緩まないように、 ネジ 1 0 1と板 1 1 5との間に板 1 1 6が挟まれている。
図 2 3は、 偏心カム 1 0から刃 1 0 8を外した状態を示している。 偏心カム 1 0の下側に、 ねじ穴 1 0 3と、 円柱 1 0 5、 1 0 6が設けられている。 図 2 3において、 円柱 1 0 5、 1 0 6は紙面の上側に突き出ている。 板 1 1 5およ び板 1 1 6に円柱 1 0 5が揷入される穴 1 1 3、 1 0 9が設けられている。 板 1 1 5およぴ板 1 1 6に円柱 1 0 6が揷入される穴 1 1 1、 1 1 0が設けられ ている。 これにより、 カード 2と板 1 1 5とが接触したときに、 その摩擦力に より、 板 1 1 5がネジ 1 0 1を中心に回転することを防止している。 板 1 1 6 は、 板 1 1 5を刃 1 0 8の部分を除いて覆っている。 これにより、 板 1 1 6は、 刃 1 0 8が付いている板 1 1 5を補強している。
偏心カム 1 0と刃 1 0 8が設けられている板 1 1 5とを分解できるように したことで、 板 1 1 5の刃 1 0 8が欠けた場合や摩耗した場合に、 板 1 1 5の みを取り替えることができる。 偏心カム 1 0全体を取り替えることに比べて、 板 1 1 5の取り替えの方が容易である。 また、 偏心カム 1 0と刃 1 0 8が付い ている板 1 1 5の材質を異なるものにすることができる。 例えば、 刃 1 0 8に 硬化処理を施すことができる。 これにより、 刃 1 0 8の厚さを薄くでき、 刃 1 0 8がカード 2の表面に押し込まれやすくなる。
図 2 4は、 カード処理装置 1の概略平面図である。 本図では、 カード処理装置 1の内部に備わる偏心カム 1 0、 磁気ヘッド 1 5、 および I C接点ヘッド 1 6を 破線で示している。 また、 本図に示すカード 2は、 表面 2 aの所定位置に I C接 点 2 cが設けられた接触式の I Cカードである。 当該カード 2において、 I C接 点 2 cが設けられる位置は、 規格等で規定されている。
図 2 4において、 偏心カム 1 0の外周部分 9 b、 9 b ' がカード 2のカード面 2 a、 2 bを押圧する位置 P 1と、 I C接点ヘッド 1 6がカード 2のカード面 2 a、 2 bに接触する位置 P 3とは、 カード 2の揷入方向 Fおよび引抜方向 Bに対 して平行な一直線上に並んでいない。 つまり、偏心カム 1 0は、 押圧位置 P 1力
I C接点へッド 1 6の接触位置 P 3とカード 2の挿入方向 Fに対して平行な一直 線上に並ばないように配置されて回転軸 1 1に取り付けられている。
図 2 4 (A) に示すように、 カード 2力 表面 2 aを上方に向け、 I C接点 2 cからの距離が近い前端部 2 f をカード処理装置 1に向けた正規の姿勢で挿入口 3に揷入された場合、 カード 2がローラ 4 (図 1 ) によって搬送されることによ り、 I C接点 2 cが P 2位置を通過する。 また、 図 2 4 ( B ) に示すように、 力 ード 2が、 後端部 2 gをカード処理装置 1に向けた誤った姿勢で揷入口 3に揷入 された場合、 カード 2がローラ 4によって搬送されることにより、 I C接点 2 c が P 2位置を通過する。 また、 図 2 4 ( C ) に示すように、 カード 2が、 裏面 2 bを上方に向けた誤った姿勢で挿入口 3に揷入された場合、 カード 2がローラ 4 によって搬送されることにより、 I C接点 2 cが P 2位置を通過する。 さらに、 図 2 4 (D ) に示すように、 カード 2力 裏面 2 bを上方に向け、 後端部 2 gを カード処理装置 1に向けた誤った姿勢で挿入口 3に挿入された場合、 カード 2が ローラ 4によって搬送されることにより、 ' I C接点 2 cが P 2位置を通過する。 カード 2が、 図 2 4 (A) 〜 (D) に示すいずれの姿勢で挿入されても、 偏心力 ム 1 0の押圧位置 P 1と、 カード 2の I C接点 2 cが通過する位置 P 2は、 カー ド 2の挿入方向 Fに対して平行な一直線上に並んでいない。 つまり、 偏心カム 1 0は、 押圧位置 P 1が、 I C接点 2 cの通過位置 P 2と、 カード 2の挿入方向 F に対して平行な一直線上に並ばないように配置されて回転軸 1 1に取り付けられ ている。
上述したように偏心カム 1 0が配置されていることにより、 カード 2が図 2 4 (A) 〜 (D ) に示すいずれかの姿勢で揷入口 3に挿入された後に、 偏心カム用 ソレノィド 1 3が駆動すると、 ねじりコイルばね 1 2の弾性力により偏心カム 1 0がカード 2に接触して、カード 2の I C接点 2 c以外の部分を的確に押圧する。 I Cカードの I C接点 2 c以外の部分 (エンボス部分等) は、 I C接点よりも軟 らかくて滑り難いため、 当該部分を偏心カム 1 0で押圧することにより、 偏心力 ム 1 0がカード 2上で滑ることはなく、 偏心カム 1 0とカード 2との間に強い摩 擦力が生じる。 このため、 偏心カム 1 0でカード 2を押圧した後に、 不正を働こ うとする者が、 カード 2を無理に引き抜こうとしても、 カード 2が揷入口 3から
取り出されることが阻止される。 また、 カード 2の I C接点 2 cが偏心カム 1 0 に傷つけられて損傷することはない。
例えば図 1 3に示したような押圧機構が動作した状態、 すなわち偏心カム 1 0がカード 2に接触した状態を解除するには、係員等がカード処理装置 1を覆 つている覆いを外し、 図 1 3 (A) においてレバー 1 9を左下方向に引けばよ い。 これにより、 偏心カム 1 0が回転軸 1 1を中心に反時計回りに回転する。 すると、 偏心カム 1 0の右上部が左側に移動するので、 コイルばね 8 8の力に より、 梁 8 4が、 反時計回りに回転して、 図 1 2 ( B ) に示したようにピン 1 8に対して垂直な状態に戻る。 この後、 係員等がレバー 1 9を離すことにより、 偏心カム 1 0がねじりコイルばね 1 2の力により、 時計回りに回転しようとす る。 しかし、 プロック 9 1とローラ 8 7とが接触しているので、 偏心カム 1 0 は、 時計回りに回転しない。 よって、 偏心カム 1 0力 図 1 2 (A) に示した ようにカード 2から離れた状態で停止する。 これにより、 係員等は、 詰まった カード 2を取り除くことができる。
一方、 図 1 3に示した状態において、 カード 2をカード処理装置 1の内部に 押し込もうとすると、 カード 2は、 容易に押し込まれる。 また、 ローラ 4によ りカード処理装置 1の内部への取り込みを試みることができる。 これは、 偏心 カム 1 0を時計回りに回転させようとする力は、 ねじりコイルばね 1 2が発生 する力だけだからである。
図 1 5に示した固定状態になったときに偏心カム 1 0の位置を固定する固定 具を設けることにより、 カード処理装置 1の外部からカード 2を押したり弓 Iい たりしても、 カード 2を移動させないようにすることができる。 図 2 5および 図 2 6は、 固定具 1 3 4が設けられた押圧機構を示す図である。 図中、 (A) は 同押圧機構の側面図、 (B ) は同押圧機構の正面図を示している。 なお、 (A)、 ( B ) では、 支持具 9 7、 偏心カム用ソレノイ ド 1 3、 コイルばね 1 2等の図 示を省略している。 また、 (B ) では、 壁 3 4、 シャツタ 1 4、 揷入口 3等の 図示を省略している。 また、 本図に示す偏心カム 1 0には、 図 2 2および図 2 3で説明した刃 1 0 8が取り付けられている。
図 2 5は、 偏心カム用ソレノィド 1 3が駆動していない状態を示している。 壁
34には、 台 1 30が取り付けられている。 台 1 30の回転軸 1 38を中心に 回転するように、 固定具 1 34が取り付けられている。 固定具 1 34は、 偏心 カム 1 0の位置を固定する。 図 25 (B) において、 固定具 1 34の左側には、 爪 1 3 7が設けられている。 固定具 1 34の上側には、 爪 1 35が設けられて いる。 固定具 1 34の右側の爪 1 33には、 コイルばね 1 3 1の一端が取り付 けられている。 図 25 (B) において、 右側の爪 1 3 3は、 紙面から上方向に 突き出ている。 突き出ている右側の爪 1 33にコイルばね 1 3 1の先端に設け られている輪が掛けられている。 コイルばね 1 3 1の他端は、 台 1 30の穴 1 32に取り付けられている。 図 25 (B) において、 コイルばね 1 3 1の他端 のコイルは紙面の下側に突き出ている。 突き出たコイルが穴 1 32に引っかけ られている。 このため、 コイルばね 1 3 1の弾性力により、 固定具 1 34を反 時計回り方向に回転しょうとする力が、 固定具 1 34に働いている。 固定具 1 34の左辺 1 39は、 レバー 1 9に当たっている。 このため、 固定具 1 34の 回転は、 図 25 (B) に示される状態で停止している。 図 25 (B) において、 レバー 1 9はハッチングで示されている。
カード処理装置 1が、 カード 2の詰まりを検出すると、 偏心カム用ソレノィ ド 1 3を駆動する。 なお、 図 25においては、 偏心カム用ソレノイド 1 3は図 示されていない。 偏心カム用ソレノイド 1 3が駆動すると、 図 25 (A) にお いて、 偏心カム 1 0が、 回転軸 1 1を中心に時計回り方向に回転する。 そして、 外周 9に設けられている刃 1 08がカード 2に接触する。 このときの状態を図 2.6に示す。
図 26において、 刃 1 08がカード 2に接触している。 カード 2を引き抜こ うとすると、 刃 1 08とカード 2との摩擦力により、 偏心カム 1 0が、 さらに 時計回りに回転しょうとする。 これにより、 偏心カム 1 0は、 偏心しているた め、 刃 1 08がさらにカード 2に押し付けられる。 これにより、 カード 2が抜 き取られることを防止している。
偏心カム 1 0が時計回りに回転したため、 図 26 (A) において、 偏心カム 1 0のレバー 1 9が右上に移動している。 このため、 図 26 (B) に示すよう に、 レバー 1 9が固定具 1 34の左辺 1 39から外れている。 よって、 固定具
1 3 4がコイルばね 1 3 1の弾性力により、 反時計回り方向に回転軸 1 3 8を 中心に回転する。 そして、 上側の爪 1 3 5とレバー 1 9が接触する位置で、 固 定具 1 3 4の回転が停止する。 これにより、 レパー 1 9が、 下側に移動できな くなる。 .
上側の爪 1 3 5とレパー 1 9が接触する状態において、 カード処理装置 1の 揷入口 3からカード 2をさらに挿入させた場合を考える。 このとき、 カード 2 と刃 1 0 8との摩擦力により、偏心カム 1 0が反時計回りに回転しようとする。 このとき、 図 2 6 (A) において、 レバー 1 9は、 左下に移動しょうとする。 しかし、 固定具 1 3 4の爪 1 3 5とレバー 1 9とが接触しているため、 偏心力 ム 1 0は、 反時計回りに回転することができない。 これにより、 カード処理装 置 1の外部から、 カード 2を押したとしても、 偏心カム 1 0が回転しないため、 カード 2は移動しない。 一方、 カード 2を引いたときには、 カード 2と刃 1 0 8との摩擦力により、 偏心カム 1 0が時計回りに回転し、 刃 1 0 8がさらに、 カード 2の表面に対して押し付けられる。 このため、 カード 2を抜くことがで きない。
よって、 カード処理装置 1の外部から偏心カム 1 0によって、 固定状態にな つたカードを引いたり押したりしても、 カード 2は、 移動することがない。 こ れにより、 カード処理装置 1内に詰まったカード 2が持ち去られるのを防止す ることができる。
偏心カム 1 0が固定された状態を解除するには、 図 2 6 ( B ) において、 固 定具 1 3 4の爪 1 3 7を上側に持ち上げ、 時計回りに回転させる。 そして、 図 2 6 (A) において、 レバー 1 9を押し下げ、 偏心カム 1 0を反時計回りに回 転させる。 すると、 前述したように偏心カム用ソレノィド 1 3の先端に取り付 けられた支持具 9 7が偏心カム 1 0に接触し、 偏心カム 1 0の位置が固定され て、 図 2 5に示す状態に戻る。 このとき、 図 2 5 (A) に示すように、 刃 1 0 8は、 カード 2の表面から、 持ち上がつている。
レパー 1 9と固定具 1 3 4の爪 1 3 5との間の摩擦力を増やすために、 爪 1 3 5の外周 1 3 6に鋸状の刃を設けることができる。 また、 爪 1 3 5の外周 1 3 6にゴムを取り付けることができる。
以上説明したように、カード 2が搬送路 5に詰まる等の異常を検出したときに、 偏心カム用ソレノィド 1 3を駆動することにより、 ねじりコイルばね 1 2の弾性 力で偏心カム 1 0を回転させてカード 2に接触させることができ、 偏心カム 1 0 でカード 2を押え付けてカード 2の移動を阻止することが可能となる。 つまり、 偏心カム用ソレノィド 1 3とねじりコイルばね 1 2によりひとたび力を加えるこ とで、 偏心カム 1 0でカード 2のカード面 2 a、 2 bを押圧し、 カード 2が揷入 口 3から取り出されるのを阻止することが可能となる。 この結果、 不正を働こう とする者が、 詰まったカード 2を持ち去って悪用するという犯罪が防止される。 また、図 2 4に示したように、偏心カム 1 0がカード 2を押圧する位置 P 1と、 I C接点ヘッド 1 6がカード 2に接触する位置 P 3とが、 カード挿入方向 Fに対 して平行な一直線上に並ばないようにしたことで、 挿入されたカード 2が I C力 ードであっても、 異常を検出したときに、 偏心カム 1 0で I Cカードの I C接点 2 c以外の部分を的確に押圧することができる。 このため、 偏心カム 1 0と I C カードとの間に強い摩擦力が生じ、 I Cカードが揷入口 3から取り出されるのを 確実に阻止することが可能となる。 また、 I Cカードの I C接点 2 cが偏心カム 1 0によって損傷するのを回避することができる。 この結果、 後に係員が押圧機 構を解除して異常のあった I Cカードを取り除くと、 取り除いた I Cカードに対 して I C接点 2 cを介して情報の読み取りや書き込みが行え、 当該 I Cカードを 再ぴ利用することが可能となる。
さらに、 図 2 4に示したように、 偏心カム 1 0がカード 2を押圧する位置 P 1 と、 カード 2の I C接点 2 cが通過する位置 P 2とが、 カード揷入方向 Fに平行 な一直線上に並ばないようにしたことで、 ' I Cカードが正規の姿勢で挿入口 3か ら揷入された場合だけでなく、 I Cカードが前後逆または表裏逆のように誤った 姿勢で揷入口 3から挿入された場合にも、 偏心カム 1 0で I Cカードの I C接点 2 c以外の部分を的確に押圧することができる。 このため、 I Cカードが揷入口 3から取り出されるのを確実に阻止することが可能となる。
本発明は、 以上述べた実施形態以外にも種々の形態を採用することができる。 例えば、 以上の実施形態では、 偏心カム 1 0を回転させて、 偏心カム 1 0の外周 部分 9 b、 9 b ' でカード 2のカード面 2 a、 2 bを押圧する押圧機構を例に挙
げたが、 本発明,はこれのみに限定するものではない。 これ以外に、 押圧機構とし ては、 例えば先端の尖った棒状部材をカードのカード面に対して垂直に移動させ て、 当該棒状部材の先端でカード面を突き刺すように押圧したり、 先端の平坦な 柱状部材をカードのカード面に対して斜めに移動させて、 当該柱状部材の先端で カード面を押圧したりするようにしてもよい。 つまり、 押圧機構としては、 所定 の押圧部材でカードの I C接点以外の部分を押圧して、 カードの挿入口からの取 り出しを阻止することが可能な機構であればよい。
また、 以上の実施形態では、 接触式の I Cカードと磁気カードとを処理可能 なカード処理装置 1に本発明を適用したが、 本発明は、 接触式の I Cカード専 用の装置、 磁気ストライプ付き接触式 I cカードを処理可能な装置、 接触 ·非 接触併用型の I cカードを処理可能な装置等、 各種のカード処理装置に適用す ることが可能である。