明細書
4輪駆動車の駆動力配分制御装置及び駆動力配分方法 技術分野
本発明は、 4輪駆動車の駆動力配分制御装置及び駆動力配分方法に関するもの である。
4輪駆動車に適用される駆動システムには、 4輪駆動と 2輪駆動とを適宜切り 換えるパートタイム駆動システムと、 常時 4輪を駆動するフルタイム駆動システ ムと、 必要に応じて 4輪駆動状態と 2輪駆動状態との間を遷移するスタンバイ駆 動システムとがある。 スタンバイ駆動システムでは、 主駆動輪が内燃機関に直接 連結され、 副駆動輪がカップリングを介して内燃機関に接続される。 カップリン グは、 主駆動輪と副駆動輪との駆動力の配分比、 すなわち、 トルク配分比を路面 状況や走行状態などに応じて調整する。 カップリングは、 第 1 トルク配分モード 及ぴ第 2トルク配分モードを含む複数のトルク配分モードで制御される。 スタンバイ駆動システムでは、 内燃機関に設けられたスロッ トルバルブのスロ ットル開度を検出するスロットルセンサの検出値、 回転速度センサの検出値がそ れぞれの判定閾値と比較される。 それぞれの検出値が対応する判定閾値未満のと きには第 1 トルク配分モードでカップリングが制御され、 それぞれの検出値が対 応する判定閾値以上のときには第 2トルク配分モードでカツプリングが制御され る。 第 1 トルク配分モードは、 エンジンのトルクが主に主駆動輪に与えられる。 第 2 トルク配分モードでは、 第 1 トルク配分モードと比較して主駆動輪と副駆動輪 とへのトルクの配分が均等に近くなる。 4輪駆動車がカーブを曲がるとき、 又は
運転者がァクセルぺダルを踏み込んだときには、 路面と車輪との間のトラクショ ンを高めるべく、 カップリングのトルク配分モードが、 第 1 トルク配分モードか ら第 2 トルク配分モードに変更される。 そして、 4輪駆動車が第 2 トルク配分モ ードで走行している状態で、 カーブを曲がっておらず、 且つアクセルペダルの沓 み込み量が変化していないときに、 カップリングのトルク配分モードが、 第 2 ト ルク配分モードから第 1 トルク配分モードに変更される。
4輪駆動車が山岳路を走行する、 あるいは、 スラローム走行を行うと、 第 1 ト ルク配分モードと第 2 トルク配分モードとの切り換えが頻繁に行われる。 このよ うに、 トルク配分モードの切り換えが頻繁に行われると、 車両挙動変化 (切り換 えショック) が頻繁に発生し、 乗り心地が損なわれてしまう。 発明の開示
本発明の目的はトルク配分の過度の変化を抑制し得る 4輪駆動車の駆動力配分 制御装置及ぴ駆動力配分方法を提供することにある。 上記の目的を達成するために、 本発明は 4輪駆動車の駆動力配分制御装置を提 供する。 車両は、 駆動源と、 その駆動源が発生するトルクによって駆動される前 輪及び後輪と、 前輪及び後輪へのトルク配分を変更可能なカツプリングとを備え る。 駆動力配分制御装置は、 カップリングを制御するコントローラを備える。 該 コントローラは、 車両の走行状態を示す走行パラメータに応じて、 第 1 トルク配 分モード及ぴ第 2 トルク配分モードから選択されたトルク配分モードでカップリ ングを制御する。 第 2トルク配分モードでは第 1 トルク配分モードよりも前輪及 び後輪へのトルク配分が均等に近い。 コントローラは、 第 2 トルク配分モードが 選択されたとき、 その第 2 トルク配分モードの継続時間を設定し、 その継続時間 が経過するまでは、 走行パラメータに関係なく、 第 2 トルク配分モードでのカツ プリングの制御を継続する。
本発明はまた、 以下の 4輪駆動車の駆動力配分制御方法を提供する。 車両は、 駆動源と、 その駆動源が発生するトルクによって駆動される前輪及び後輪と、 前 輪及び後輪へのトルク配分を変更可能なカツプリングとを備える。 駆動力配分制 御方法は、 車両の走行状態を示す走行パラメータに応じて、 第 1 トルク配分モー ド及ぴ第 2トルク配分モードから選択されたトルク配分モードでカップリングを 制御するステップであって、 第 2 トルク配分モードでは第 1 トルク配分モードよ りも前輪及び後輪へのトルク配分が均等に近いことと、 第 2 トルク配分モードが 選択されたとき、 その第 2トルク配分モードの継続時間を設定するステップと、 継続時間が経過するまでは、 走行パラメータに関係なく、 第 2トルク配分モード での前記力ップリングの制御を継続するステップとを含む。 図面の簡単な説明
本発明を、 本発明の目的及び特徴とともにより良く理解するため、 添付図面と ともに以下の代表的な実施の形態の記載を参照する。
図 1は本発明を具体化した第 1実施形態における 4輪駆動車の概略構成図であ る。
図 2は図 1の 4輪駆動車のカツプリングの制御に係る回路構成図である。
図 3は 4輪駆動車の走行時におけるモード切換制御のフローチャートである。 図 4は 4輪駆動車の走行時の各種処理を示したタイミングチャートである。 図 5は第 2実施形態における 4輪駆動車の走行時におけるモード切換制御のフ ローチャートである。
図 6は第 2実施形態における 4輪駆動車の走行時におけるモード切換制御のフ ローチャートである。
図 7は第 2実施形態における 4輪駆動車の走行時の各種処理を示したタイミン グチヤートである。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の第 1実施形態を図 1〜図 4に従って説明する。
図 1に示すように、 4輪駆動車 1は、 駆動源としての内燃機関 2と、 トランス アクスル 3とを備えている。 トランスアクスル 3は、 トランスミッション 3 a、 フロントディファレンシャノレ 3 b及びトランスファ 3 cを有している。 前記フロ ントディファレンシャル 3 bは一対のフロントアクスル 4 a , 4 bと連結される c 一対のフロントアクスル 4 a, 4 bにはそれぞれ左側及ぴ右側の前輪 5 a, 5 b が連結されている。 内燃機関 2の駆動力は、 トランスミッション 3 a、 フロントディファレンシャ ル 3 b及ぴ一対のフロントアクスル 4 a , 4 bを介して両前輪 5 a, 5 bに伝達 される。 前記トランスファ 3 cはプロペラシャフト 6に連結され、 そのプロペラシャフ ト 6はカップリング 7に連結されている。 従って、 内燃機関 2の駆動力 (トル ク) は、 トランスミッション 3 a、 トランスファ 3 c及ぴプロペラシャフ ト 6を 介して力ップリング 7に伝達される。 カツプリング 7はドライブピニオンシャフ ト 8を介してリアディファレンシャル 9に連結され、 そのリアディファレンシャ ル 9は一対のリアアクスル 1 0 a , 1 0 bに連結されている。 一対のリアアクス ル 1 0 a , 1 0 bには、 それぞれ両後輪 1 1 a , 1 1 bが連結されている。 前輪 5 a , 5 bはカツプリング 7を介することなくエンジン 2に連結される主駆動輪 であり、 後輪 1 1 a, 1 1 bは、 カツプリング 7を介してエンジン 2に連結され る副駆動輪である。 カップリング 7は、 湿式多板式の電磁クラッチ機構を備える。 同電磁: 機構は、 電磁コイル 7 a (図 2参照) と互レ、に接離可能な複数のクラッチ板を有 している。 そして、 後記する電子制御装置 (E C U) 2 1からの制御信号 (指令 値) に応じた量の電流が電磁コイル 7 aに供給される。 電磁コイル 7 aに供給さ れた電流の量に応じた力で各クラッチ板は互いに摩擦係合し、 ドライブピニオン
シャフト 8にプロペラシャフト 6の駆動力が伝達される。 プロペラシャフト 6からドライプピニオンシャフト 8に伝達される駆動力は、 クラッチ板の摩擦係合力によって決まり、 摩擦係合力が大きいほど大きい。 その 摩擦係合力は電磁コイル 7 aに供給される電流量に応じて変化し、 これにより、 両前輪 5 a, 5 bと両後輪 1 1 a, 1 1 bとの間の拘束力、 すなわち、 トルクの 配分比が変更される。 次に、 カツプリング 7を制御する伝達制御回路の電気的構成について説明する c 図 2に示すように、 伝達制御回路は、 4輪駆動車の駆動力配分制御装置として の E CU 21を備えている。 ECU2 1は、 CPU22、 ROM23、 RAM 2 4及び入出力回路 25を備えている。 CPU 22は、 ROM23に記憶された各 種プログラムにしたがってカップリング 7を制御、 即ち、 電磁コイル 7 aに電流 を供給するための各種演算処理を実行する。 ROM23は、 カップリング 7の電 磁コイル 7 aに電流を供給するための各種プログラム、 各種のデータ及び各種の マップを格納している。 RAM24は、 前記 CPU 22の演算処理結果を一時記 憶する、 あるいは、 各種のデータを記憶する。 前記 ROM23に格納される各種プログラムは、 制御プログラム、 モード切換 プログラムを含む。 制御プログラムは、 カップリング 7のトルク配分モードのた めのプログラム、 すなわち、 第 1 トルク配分モードのための制御プログラムと、 第 2 トルク配分モードのための制御プログラムとを含む。 各制御プログラムでは、 車両の走行状態に応じて前記電磁コイル 7 aに供給される電流値が算出される。 その算出された電流値に基づき、 入出力回路 25を介して電磁コイル 7 aに電流 が供給される。
ECU21は、 モード切換プログラムに従い、 一定時間毎に 4輪駆動車 1の走 行状態を判定し、 判定結果に基づいて、 カップリング 7のトルク配分モードを前
記第 1 トルク配分モードと前記第 2 トルク配分モードとの間で切り換える。 走行状態を示す走行パラメータは、 本実施形態では、 図示しないステアリング ホイールの操舵角 θ、 及び図示しないスロットルパルプのスロットル開度 Thで ある。 前記 ROM 23に格納される各種マップは第 1及び第 2 トルク配分モードにそ れぞれ対応するマップを含む。 各マップは、 前輪 5 a, 513及び後輪1 1 &, 1 1 bのトルク配分が走行状態に適した値となるよう、 電磁コイル 7 aに供給され る電流のデューティ比を決定するためのマップである。 第 1 トルク配分モードでは、 前記走行条件に応じて、 前輪と後輪とのトルク配 分比が、 100 : 0から、 その 100 : 0と 50 : 50との間の所定比率までの 間で変更される。 第 2 トルク配分モードでは、 前記走行条件に応じて、 前輪と後 輪とのトルク配分比が、 50 : 50力 ら、 その 50 : 50と 100 : 0との間の 所定比率までの間で変更される。 第 2 トルク配分モードでは、 第 1 トルク配分モ ードと比較して前輪 5 a, 5 b及び後輪 1 1 a, 1 1 bへのトルクの配分が均等 に近くなる。 同一の走行状態において、 第 2 トルク配分モードでカップリング 7 が制御される場合には、 第 1 トルク配分モードでカップリング 7が制御される場 合よりも、 前輪 5 a, 5 b及び後輪 1 1 a, 1 1 bへのトルクの配分が均等に近 づく。 カップリング 7が第 1 トルク配分モードで制御される場合と第 2 トルク配 分モードで制御される場合とを比較した場合、 トランスアクスル 3のトランスフ ァ 3 cにかかる負荷は、 両後輪 l l a, 1 1 bへのトルクの配分が小さくなる分 だけ第 1 トルク配分モードのほうが小さい。
CPU 22は、 入出力回路 25を介してスロットル開度センサ 32と接続され、 同スロットル開度センサ 32から検出信号を入力する。 スロットル開度センサ 3 2は、 スロットルバルブに設けられ、 且つ、 同バルブの開度を検出する。 CPU
2 2は、 スロットル開度センサ 3 2からの検出信号に基づいてその時々のスロッ トルバルブの開度 (スロッ トル開度 Th) を算出する。
C PU2 2は車速 Vを演算する。 この車速 Vは、 スリ ップの少ない両後輪 1 1 a, 1 1 bの回転速度の平均値を算出することにより得られる。 CPU 2 2は、 車速 Vとスロッ トル開度 Th (%) とからなる 2次元マップ (閾値設定マップ) を参照して、 現在の車速 Vに対応するスロッ トル開度閾値 T 1を算出する。 前記 マップは ROM 2 3に予め記憶されている。 なお、 スロッ トル開度閾値 T 1は、 スロットルバルブの開度の大きさを判断する値である。
CPU 2 2は、 入出力回路 2 5を介して各前後輪 5 a, 5 b, 1 1 a , l i b の車輪の回転速度を検出する車輪速度センサ 3 3 a〜3 3 dと接続されている。 C P U 2 2は、 車輪速度センサ 3 3 a〜 3 3 dからの検出信号を入力し、 各検出 信号に基づいて、 各前後輪 5 a , 5 b, 1 1 a, 1 1 1)の回転速度 1^ VF R, VRL, VRRを算出する。
CPU 2 2は、 両前輪 5 a , 5 1?の回転速度 1, VFRから平均前輪回転 速度 VFN (= (VFL+VFR) / 2) を求めるとともに、 両後輪 1 1 a , 1 l bの回転速度 VRL, VRRから平均後輪回転速度 VRN (= (VRL+VR R) /2) を算出する。 即ち、 平均後輪回転速度 VRNは前記車速 Vに相当する。 さらに、 CPU 2 2は、 平均前輪回転速度 V FNと平均後輪回転速度 VRNとか ら回転速度差 ΔΝ (= I VFN-VRN | ) を算出する。
CPU2 2は、 入出力回路 2 5を介して操舵角センサ 34と接続されている。 CPU 2 2は、 操舵角センサ 34からの検出信号を入力する。 操舵角センサ 34 は、 図示しないステアリングホイールに設けられ同ステアリングホイールの操舵 角 Θ を検出する。 CPU 2 2は、 操舵角センサ 34からの検出信号に基づいて ングホイールの操舵角 Θを算出する。
CPU 22は、 入出力回路 25を介して、 カツプリング 7の電磁コイル 7 aに 電流を供給する駆動回路 35に接続されている。 CPU 22は、 同 CPU 22が 算出した値の電流を電磁コイル 7 aに供給すべく、 デューティ比制御信号を駆動 回路 35に出力する。 駆動回路 35は、 デューティ比制御信号に基づいて駆動さ れ、 CPU 22が算出した値の電流を電磁コイル 7 aに供給する。
CPU22は、 第 1及ぴ第 2 トルク配分モードにそれぞれ対応する前記マップ を使って、 前記算出したスロッ トル開度 Th、 回転速度差 ΔΝ、 車速 V、 及び操 舵角 Θ の大きさに基づき、 電磁コイル 7 aに供給すべき電流の目標値のデュー ティ比を決定する。 CPU 22は、 決定されたデューティ比に応じたデューティ 比制御信号を入出力回路 25を介して駆動回路 35に出力する。 図 3は、 CPU 22が定時割込みで処理するモード切り換え制御プログラムの フローチヤ一トである。 ステップ S 101において、 CPU 22は、 スロットル開度センサ 32、 車輪 速度センサ 33 a〜33 d、 操舵角センサ 34からの検出信号に基づいて、 スロ ットル開度閾値 T l、 スロットル開度 Th、 回転速度差 ΔΝ、 車速 V、 及ぴ操舵 角 Θ を算出する。 また、 CPU 22は、 ROM 23に予め記憶された操舵角閾 値 T 2を読み込む。 操舵角閾値 T 2は、 ステアリングホイールの操舵角の大きさ を判断する値である。 次に、 ステップ S 1 02において、 CPU 22は、 スロットル開度判定フラグ の設定処理、 すなわち、 スロッ トル開度 Thとスロッ トル開度閾値 T 1との大小 関係を判定する。 スロッ トル開度 T hの値がス口ットル開度閾値 T 1よりも大き い場合、 CPU 22は、 4輪駆動車 1が加速を行っていると判断してスロッ トル 開度判定フラグの値を 1にセットする。 一方、 スロットル開度 Thの値がスロッ
P 漏雇 423 トル開度閾値 Tl以下である場合、 CPU22は、 スロットル開度判定ブラグの 値を 0にリセットする。 スロットル開度判定フラグが更新される直前の値は、 ス 口ットル開度履歴フラグとして置き換えられる。
'S 102において、 CPU22はまた、 操舵角判定フラグの設定処理、 すなわち、 操舵角 Θ の値と操舵角閾値 T 2との大小関係を判定する。 操舵角 Θ の値が操舵角閾値 T 2よりも大きい場合には、 CPU 22は、 ステアリングホイ ールの操舵角が大きいと判断して操舵角判定フラグを 1にセットする。 一方、 操 舵角 Θ の値が操舵角閾値 T 2以下である場合には、 CPU 22は、 操舵角判定 フラグの値を 0にリセットする。 操舵角判定フラグの値が更新される直前の値は、 操舵角履歴フラグの値として置き換えられる。 ステップ S 103では、 CPU 22は、 ステアリングホイールの操舵が開始さ れたか、 或いは 4輪駆動車 1が加速を開始したか否かを判定する。 ステップ S 1 03において YE Sの場合、 すなわち、 スロットル開度判定フラグ及ぴ操舵角判 定フラグのうち少なくとも一方が 1へ変更されたとき、 言い換えれば、 走行パラ メータが所定の判定条件を満たしたとき、 CPU 22は第 2 トルク配分モードを 選択し、 処理をステップ S 1 04へ移行する。 ステップ S 1 03において N〇の 場合、 すなわち、 スロットル開度判定フラグ及び操舵角判定フラグの両方とも 0 に変更されたとき、 CPU 22は、 処理をステップ S 105へ移行する。 例えば、 図 4の (2) 、 (5) 、 (7) 、 (9) は、 スロットル開度履歴フラグがリセッ トされていると共にスロットル開度判定フラグがセットされているときである。 すなわち、 図 4の (2) 、 (5) 、 (7) 、 (9) は、 スロッ トル開度判定フラ グが 1に変更されたときを示す。 一方、 例えば、 図 4の (3) 、 (8) 、 (1 0) は、 操舵角判定フラグがリセットの状態で、 スロットル開度履歴フラグがセ ットされていると共にスロットル開度判定フラグがリセットされているときであ る。 すなわち、 図 4の (3) 、 (8) 、 (10) は、 スロッ トル開度判定フラグ 及び操舵角判定フラグが 0であるときを示す。
CPU 22はタイマを備えている。 タイマは、 スロットル開度判定フラグ及ぴ 操舵角判定フラグのうちいずれかのフラグが 0にリセットされてから別のフラグ が 1にセットされるまでの間の時間である時間カウンタ tmをカウントする。 な お、 時間カウンタ tmの値は、 前記両フラグのうちいずれかのフラグがリセット されてから別のフラグがセットされる場合以外では 0である。 なお、 図 4は、 前記操舵角判定フラグ及び前記ス口ットル開度判定フラグのセ ット状態、 及びリセット状態の時間変化を示す。 また、 図 4は、 後述する判定時 間 L t、 時間カウンタ tm及ぴこれらの走行パラメータに応じて対応するトルク 配分モードを示す。 なお、 判定時間 L tの初期値は 0である。 ステップ S 1 04において、 CPU 22は、 現在の判定時間 L tに 0よりも大 きい所定の加算値 Xを加算したものを、 最新の判定時間 L tとして更新する。 さ らに、 CPU 22は時間カウンタ tmの値を 0にリセットする (図 4の (2) 、 (4) 、 (5) 、 (7) 、 (9) 参照) 。 なお、 CPU22は、 最新の判定時間 L tの値が、 ROM23に記憶された 0よりも大きい第 1上限値 Mlを越えるよ うであればその判定時間 L tの値を第 1上限値 M 1の値に設定する。 この場合も、 CPU 22は、 時間カウンタ tmの値を 0にリセットする (図 4の (1 1) 参 照) 。 なお、 前記加算値 Xの大きさは一定ではなく変数であっても良い。 即ち、 ステップ S 1 04において、 CPU 22は、 スロットル開度判定フラグ 及び操舵角判定フラグのうち少なくともいずれか一方がリセット状態からセット 状態へ変更された場合に、 判定時間 L tを積算するとともに、 時間カウンタ tm の値を 0にリセットする。 ステップ S 1 05において、 CPU22'は、 前記スロットル開度判定フラグ及 び前記操舵角判定フラグのうち少なくともいずれか一方が、 今現在、 1にセット
されているか否かを判定する。 言い換えれば、 ステップ S 105では、 CPU2 2は、 今現在、 4輪駆動車 1が加速中であるか、 又はステアリングホイールが操 舵されている最中であるか否かを判定する。 ステップ S 1 05において YE Sの 場合、 すなわち、 4輪駆動車 1が加速中である場合や、 ステアリングが操舵され ている最中である場合、 CPU 22は第 2 トルク配分モードでカツプリング 7を 制御すべく、 処理をステップ S 1 0 6へ移行する (図 4の (2) 、 (4) 、
(5) 、 (7) 、 (9) 参照) 。 一方、 ステップ S 1 05において NOの場合に は、 CPU 22は処理をステップ S 107へ移行する (図 4の (1) 、 (3) 、
(6) 、 (8) 、 (10) 〜 (1 2) 参照) 。 ステップ S 106において、 CPU 22は、 第 2 トルク配分モードのマップに 基づいてカツプリング 7の制御を行い、 ー且このプログラムを終了する。 ステップ S 107では、 C PU 22は、 現在の時間カウンタ t mの値に 0より も大きいカウント値 bを加算したものを、 最新の時間カウンタ tmの値として更 新し、 処理をステップ S 108へ移行する。 ステップ S 108において、 CPU 22は、 最新の時間カウンタ t mの値が最 新の判定時間 L tの値以上であるか否かを判定する。 即ち、 ステップ S 1 08で は、 CPU 22は、 4輪駆動車 1が加速を行わなくなつてから、 又はステアリン グホイールが動かされなくなつてから所定時間 (継続時間) が経ったか否かを判 定する。 ステップ S 108において YE Sの場合、 すなわち、 最新の時間カウン タ t mの値が最新の判定時間 L tの値以上である場合には、 C P U 22は、 処理 をステップ S 109へ移行する (図 4の (1) 、 (1 1) 、 (1 2) 参照) 。 一 方、 ステップ S 108において NOの場合、 すなわち、 最新の時間カウンタ tm の値が最新の判定時間 L tの値よりも小さい場合、 C PU 22は処理をステップ S 1 06へ移行する (図 4の (3) 、 (6) 、 (8) 、 (1 0) 参照) 。
0305423 本実施形態では、 判定時間 L tが 0であるときは、 時間カウンタ t mはカウン トされていない。 ステップ S 1 09では、 CPU 22は、 最新の時間カウンタ tm及び最新の判 定時間 L tの値をともに 0ヘリセットし、 処理をステップ S 1 10へ移行する。 ステップ S 1 1 0において、 CPU 22は、 第 1 トルク配分モードでカツプリ ング 7を制御し、 一旦このプログラムを終了する。 本実施形態は、 以下のような利点を有する。 スロッ トル開度判定フラグ及ぴ操舵角判定フラグのセット状態及びリセット状 態が交互に繰り返されるとき、 即ち、 4輪駆動車 1が加減速を繰り返すとき、 或 いは 4輪駆動車 1力 カープを曲がる走行状態と直線を走る走行状態とが交互に 繰り返されるときに、 CPU 22は、 前輪 5 a, 5 )及ぴ後輸1 1 &, l i bの トルク配分が均等に近い第 2 トルク配分モードが優先して行われるようにカップ リング 7を制御する。 従って、 CPU22を備えた ECU2 1は、 前輪 5 a , 5 b及び後輪 1 l a, 1 1 bのトルク配分の過度の変化を抑制し、 その結果、 車両 挙動変化を少なくできる。 また、 車両挙動変化を少なくできるため、 運転者は乗 り心地を損なうことがない。 操舵角判定フラグ及ぴスロットル開度判定フラグのうちのいずれか一方がリセ ット状態からセット状態へ変更されたとき、 C P U 22は、 現在の判定時間 L t に加算値 Xを加算させて最新の判定時間 L tを設定する。 最新の時間カウンタ t mが最新の判定時間 L tに到達するまで、 C PU 22は第 2 トルク配分モードで カップリング 7を制御する。 このため、 例えば、 4輪駆動車 1が加減速を頻繁に 繰り返す状態である、 或いは、 4輪駆動車 1がスラローム走行を頻繁に繰り返す 状態が続くときには、 判定時間 L tが長くなり、 よって、 前輪 5 a , 5 b及ぴ後
輪 1 1 a, 1 1 bのトルク配分が均等に近い第 2 トルク配分モードでカップリン グ 7を制御することができる。 そのため、 前輪5 a, 5 b及ぴ後輪 l l a, 1 1 bのトルク配分比の過度の変化を抑制することができる。 以下、 本発明を具体化した第 2実施形態を図 5〜図 7に従って説明する。 なお、 本実施形態の E C U 21を備えた 4輪駆動車 1の場合、 装置構成は図 1〜図 4の 実施形態と同じであり、 トルク配分用の制御プログラムのみが図 1〜図 4の実施 形態と異なる。 本実施形態では、 タイマは、 スロッ トル開度判定フラグ及び操舵角判定フラグ のうちのいずれかがセットされた時点からの時間を示す時間カウンタ t mをカウ ントする。 時間カウンタ tmの初期値は 0に設定されている。 図 5及び図 6は、 C P U 22が定時割込みで処理するモード切り換え制御プロ グラムのフローチヤ一トである。 ステップ S 201及ぴステップ S 202において、 CPU 22は、 図 3におけ るステップ S 101及ぴステップ S 1 02と同様の処理をそれぞれ行う。 次に、 ステップ S 203において、 CPU22は、 スロットル開度判定フラグ 及び操舵角判定フラグのうちの何れかのフラグが今現在、 1にセットされている か否かを判定する。 ステップ S 203において YE Sの場合、 即ち、 前記両フラ グのうちの何れか一方が 1にセットされている場合には、 CPU 22は、 処理を ステップ S 204へ移行する。 ステップ S 203において NOの場合、 C P U 2 2は、 処理をステップ S 208へ移行する。 例えば、 図 7の (2) 、 (5) 、
(7) 、 (8) 、 (11) は、 両フラグのうちの何れか一方のフラグが今現在、 1にセッ トされている状態を示す。 一方、 例えば、 図 7の (3) 、 (4) 、
(6) 、 (9) 、 (12) は、 両フラグとも 0にリセットされている状態を示す。
なお、 図 7は、 両フラグの値、 時間カウンタ tm、 後述する定常走行判定、 及 びこれらの走行パラメータに応じたトルク配分モードを示す。 処理がステップ S 203からステップ S 204へ移行される場合は、 4輪駆動 車 1は、 今現在、 第 2 トルク配分モードでカップリング 7を制御することが必要 である走行状態である。 一方、 処理がステップ S 203からステップ S 208へ 移行される場合には、 4輪駆動車 1は、 今現在、 第 2 トルク配分モードでカップ リング 7を制御することは必ずしも必要ではない走行状態である。 ステップ S 204において、 CPU 22は、 現在の時間カウンタ t mに対して、 0より大きい所定の加算値 cを加算したものを、 最新の時間カウンタ t mとして 更新し、 処理をステップ S 205へ移行する。 両フラグのうちのいずれかが最初 に 1にセットされた場合、 CPU 22は初期値 0の時間カウンタ tmに前記加算 値 cを加算し、 最新の時間カウンタ tmを設定する。 最新の時間カウンタ tmの 値が、 ROM23に記憶された 0よりも大きい第 2上限値 M2を越えるようであ れば、 C P U 22は、 最新の時間力ゥンタ t mの値を第 2上限値 M 2の値に変更 して力 ら、 処理を図 6に示すステップ S 205へ移行する (図 7の (8) 参照) 。 なお、 加算値 cは変数であっても良い。 なお、 本実施形態における判定時間 L tは、 時間カウンタ t mの値が 0を越え てから再ぴ 0に戻るまでの時間の長さを示す。 ステップ S 205において、 C PU 22は最新の時間カウンタ t mの値が 0力 否かを判定する。 ステップ S 205において YE Sの場合、 すなわち、 時間カウ ンタ t mの値が 0である場合には、 CPU 22は処理をステップ S 206へ移行 する (図 7の (1) 、 (4) 、 (1 0) 、 (1 3) 、 (14) 参照) 。 一方、 ス テツプ S 205において NOの場合、 CPU 22は処理をステップ S 207へ移
行する (図 7の (2) 、 (3) 、 (5) 〜 (9) 、 (1 1) 、 (1 2) 参照) 。 ステップ S 206において、 CPU 22は、 第 1 トルク配分モードでカツプリ ング 7を制御し、 ー且このプログラムを終了する。 一方、 ステップ S 207において、 CPU 22は、 第 2 トルク配分モードで力 ップリング 7を制御し、 ー且このプログラムを終了する。 なお、 処理がステップ S 203からステップ S 204を介してステップ S 205へ移行された場合には、 処理はステップ S 207へ必ず移行する。 ステップ S 203からステップ S 20 4を介してステップ S 205へ移行したということは、 両フラグのうちの少なく とも一方が 1にセットされている走行状態、 すなわち、 4輪駆動車 1が今現在第 2 トルク配分モードを必要とする走行状態であり、 このため、 処理はステップ S 207へ必ず移行する。 図 5に示すように、 ステップ S 203において NOの場合、 CPU 22は、 処 理をステップ S 208に移行する。 ステップ S 208において、 CPU 22は、 今現在、 第 2 トルク配分モードでカップリング 7を制御しているか否かを判定す る。 ステップ S 208において YE Sの場合、 すなわち、 今現在、 第 2 トルク配 分モードでカップリング 7が制御されている場合、 CPU 22は、 処理をステツ プ S 209へ移行する (図 7の (3) 、 (6) 、 (9) 、 (1 2) 、 (1 3) 参 照) 。 一方、 ステップ S 208において N〇の場合には、 CPU22はステップ S 205を介して処理をステップ S 206へ移行する (図 7の (1) 、 (4) 、 (10) 、 (1 ) 参照) 。 図 5のステップ S 208力、ら図 6のステップ S 205へ移行した場合、 CPU 22は、 今現在、 第 1 トルク配分モードでカップリング7を制御している状態で あり、 時間カウンタ tmの値は必ず 0である。 処理はステップ S 208からステ ップ S 205へ移行した場合には、 CPU 22は、 処理をステップ S 206へ必
0305423 ず移行する。
—方、 図 5のステップ S 208において YESの場合、 今現在、 第 2 トノレク酉己 分モードでカップリング 7を制御している状態の場合、 CPU 22は、 処理をス テツプ S 209に移行する。 ステップ S 209において、 CPU 22は 4輪駆動 車 1が定常走行を行っているか否かを判定する。 定常走行とは、 4輪駆動車 1が 直線の道を定速で走るような状態を示す。 C P U 22は、 前記回転速度差 ΔΝ、 前記車速 V、 前記スロットル開度 Th、 及び前記操舵角 Θ (走行状態の走行パラ メータ) の値が対応する所定の閾値より小さい場合、 4輪駆動車 1が定常走行で あると判定する。 ステップ S 209において YE Sの場合、 すなわち、 4輪駆動車 1が定常走行 を行っている場合には、 CPU22は処理をステップ S 21 1へ移行する (図 7 の (1 3) 参照) 。 ステップ S 209において NOの場合、 CPU 22は処理を ステップ S 21 0へ移行する (図 7の (3) 、 (6) 、 (9) 、 (1 2) 参照) 。 ステップ S 21 1において、 CPU 22は時間カウンタ 1:111を0にリセットし、 ステップ S 205を介して処理をステップ S 206へ移行する。 処理がステップ S 209からステップ S 21 1へ移行する場合には、 時間カウンタ t mの値は 0 とはなっておらず、 本来ならば CPU 22は第 2 トルク配分モードでカップリン グ 7を制御すべきである。 しかしながら、 図 7の (1 3) 、 (14) に示す状態、 すなわち、 4輪駆動車 1が定常走行を行っている状態では、 CPU22は、 今現 在、 第 2 トルク配分モードを必要としない状態であると判断し、 特別に第 2 トル ク配分モードから第 1 トルク配分モードに切り換え、 第 1 トルク配分モードで力 ップリング 7を制御する。 ステップ S 210では、 CPU 22は、 現在の時間カウンタ t mの値から 0よ りも大きい減算値 dを減算したものを、 最新の時間カウンタ tmとして更新する。
従って、 スロッ トル開度判定フラグ及び操舵角判定フラグがリセットされた時点 の時間カウンタ t mの値から、 継続時間である所定期間かけて減算値 d分づっ減 じられる。 本実施形態での判定時間 L tは、 スロッ トル開度判定フラグ及ぴ操舵角判定フ ラグのうちのいずれかのセットが継続する時間の長さ分と、 そのセット状態がリ セット状態に変更された時点の時間カウンタ t mの値から時間カウンタ t mの値 が 0になるまでの所定時間 (継続時間) の長さ分とを含む (図 7参照) 。 前記加算値 cの大きさは前記減算値 dの大きさよりも大きい。 C P U 2 2は、 現在の時間カウンタ t mの値が 0未満であればその値を 0に更新してから、 処理 をステップ S 2 0 5へ移行する。 C P U 2 2はステップ S 2 0 5における判定に 基づき、 処理をステップ S 2 0 6又はステップ S 2 0 7へ移行、 即ち、 第 1 トル ク配分モード又は第 2 トルク配分モードでカップリング 7を制御し、 ー且このプ ログラムを終了する。 本実施形態は、 以下のような利点を有する。
C P U 2 2は、 両フラグのうちいずれかがセットされた時点から時間カウンタ t mの値が 0に戻るまでとの間の時間に相当する判定時間 L tの間は、 第 2 トル ク配分モードでカップリング 7を制御する。 つまり、 4輪駆動車 1が加減速を必 要とする走行状態のとき、 或いは、 4輪駆動車 1がスラローム走行を必要とする 走行状態のとき、 不用意に第 1 トルク配分モードに変更されることなく、 第 2 ト ルク配分モードでカップリング 7を制御することができる。 従って、 本実施形態 においても、 トルク配分比の過度の変化を抑制することができる。
4輪駆動車 1が定常走行を行っている場合、 C P U 2 2は、 第 1 トルク配分モ 一ドでカップリング 7を制御する。 従って、 C P U 2 2は、 必要以上に第 2 トル
P 漏菌 23 ク配分モードでカップリング 7を制御することなく、 低燃費の走行を確保できる。 なお、 上記実施形態は以下のような実施形態に変更されてもよい。 図 1〜図 7の各実施形態において、 第 2 トルク配分モードを、 前輪と後輪との トルク配分比が 5 0 : 5 0で固定されたモードとしてもよレ、。 逆に、 第 1 トルク 配分モードを、 前輪と後輪とのトルク配分比が 1 0 0 : 0で固定されたモードと
図 1〜図 7の各実施形態は、 フロント内燃機関 ' リアドライブ (F R) 方式も しくはリア内燃機関 · リアドライブ (R R ) 方式の 4輪駆動車に具体化されても よい。 図 1〜図 7の各実施形態において、 乾式多板式の電磁クラツチ機構に変更して もよい。 また、 トルク配分を制御可能な他のカップリング (油圧式、 電磁式、 モ ータ等) に変更してもよい。 図 1〜図 4の実施形態において、 C P U 2 2は、 図 5〜図 7の実施形態で用い た定常走行判定を行うようにしてもよい。 この場合においても、 C P U 2 2は 4 輪駆動車 1が定常走行を行っていると判定した際には、 第 1 トルク配分モードで カツプリング 7を制御する。 図 1〜図 4の実施形態において、 前記判定時間 L tに加算値 Xを加えて判定時 間 tの値を変更する代わりに、 前記判定時間 L tの値は常に一定となるように 設定されてもよい。 図 1〜図 7の各実施形態において、 スロッ トル開度 T h及ぴ操舵角 Θ に加え て、 回転速度差 ΔΝ及び車速 Vの走行状態走行パラメータのうち少なくとも 1つ
P 画裏 423 の走行パラメータの大きさに基づいてカツプリング 7を制御してもよい。 図 1〜図 7の各実施形態において、 次に示す 4輪駆動車において、 C P U 2 2 の制御に応じてトルク配分を変更するようにしてもよい。 即ち、 この 4輪駆動車 は、 車両に備えられるセンタディファレンシャルに電子制御多板クラッチを備え ている。 トルク配分は、 センタディファレンシャルによって決まる所定の比から、 多板クラッチが完全に摩擦係合した前輪:後輪のトルク配分比が5 0 : 5 0まで の間で任意に設定可能である。