WO2002053657A1

WO2002053657A1 - Composition de revetement a base d'eau pour papier peint et papier peint

Info

Publication number: WO2002053657A1
Application number: PCT/JP2001/011447
Authority: WO
Inventors: Minoru Aki; Toshiaki Yagi; Katsura Torii; Takashi Fukae; Kimiyuki Suesada; Koji Midori; Shoichi BODA
Original assignee: Otsuka Kagaku Kabushiki Kaisha; Aswan Corporation; Nicca Chemical Co., Ltd.; BODA, Yoko
Priority date: 2000-12-27
Filing date: 2001-12-26
Publication date: 2002-07-11
Also published as: CN1489624A; JP2002206073A; CN1221616C; JP4863180B2

Description

壁紙用水性塗料及び壁紙技術分野

本発明は、壁紙用水性塗料及び壁紙に関する。

明背景技術田住宅環境の整備が著しく進むとともに、住宅品質確保促進法の施行もあいまつて、建造物のロングライフ化ひいては内装部材のロングライフ化が強く望まれている。特に、最近の住宅モデルでは、エントランス部分からの吹き抜け空間や、それに続くリビングやダイニングの大空間部分の壁面を、施工当初の品質に維持及び保守するのは容易なことではない。

建造物の内装部材を保護する目的で、二酸化チタン等の光触媒を含む塗料からなる被覆層を設けた壁紙が提案されている。この様な壁紙は、内装部材を保護してロングライフ化に寄与するだけでなく、光触媒が室内の蛍光灯や白熱電球等によってもその効果である抗菌性能や脱臭性能を発現するので、居住空間の環境浄化にも有効である。

従来、光触媒含有壁紙用塗料としては、光触媒、無機バインダー、無機充填剤、合成樹脂等の有機バインダ一等を含むものが提案されている。

より具体的には、例えば、特開平 1 0— 1 8 3 0 2 3号公報には、ダイァセトン（メタ）アクリルアミド等の力ルポニル基含有 α，）3—エチレン性不飽和モノマー及び必要に応じて前記以外のェチレン性不飽和モノマーを乳化重合させてなる共重合体エマルシヨン、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、クェン酸トリヒドラジド、ナフトェ酸テトラヒドラジド等のヒドラジン誘導体、活性アルミナ、活性白土、ゼォライト等の顔料成分及び二酸化チタン等の光触媒を含有する光触媒含有塗料が記載されている。

特開平 1 0— 1 8 0 9 4 3号公報には、二酸化チタン等の光触媒と水ガラス、アルミノ珪酸塩、アルカリ金属珪酸塩、リン酸塩、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等のバインダーとを含む光触媒含有塗料が記載されている。

特開平 1 0— 2 5 1 5 6 5号公報には、二酸化チタン等の光触媒及び、（メ夕）アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の力ルポキシ基含有重合性不飽和モノマーとメチル（メタ）ァクリレート、ェチル（メタ）ァクリレート、スチレン等のその他の重合性不飽和モノマーとの共重合体を含有する光触媒含有塗料が記載されている。

特開平 1 0— 2 6 4 2 8 3号公報には、二酸化チタン等の光触媒、熱可塑性樹脂（アクリル樹脂、スチレン一アクリル共重合体、スチレン一ブタジエン共重合体、エチレン一酢酸ビニル共重合体等）の水性ェマルジヨン、皮膜成形性無機物 (コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、サボナイト、ヘクトライト、力オリナイト、セピオライト等）、コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子ェマルジヨン等のパンィダ一等を含む光触媒含有塗料が記載されている。

特開平 1 1— 1 3 8 6 8 6号公報には、 2種の光触媒含有塗料が記載されており、一方は、金属酸化物ゾルと酸化チタンゾルとを含有するものであり、もう一方は、シリカゾル、モノアルキルトリメ卜キシシラン又はその加水分解生成物及び酸化チタンゾルを含有するものである。

特開平 1 1 _ 2 7 9 4 4 6号公報には、コロイダルシリカ、アルミナゾル、サポナイト、ヘクトライト、セピオライト等の無機系バインダー、二酸化チタン等の光触媒、ポリビニルアルコール及び、水系ラテックスや水系ェマルジヨン等の有機系バインダーを含有する光触媒含有塗料が記載されている。

上記した従来の光触媒含有壁紙用塗料は主に粉末状の二酸化チタンを含有するものであり、確かに、脱臭や抗菌という機能的な面に関しては優れた効果を発揮し得る。しかしながら、壁紙が内装部材の保護と共に室内の装飾を目的として使用されるものであるのに対し、従来の二酸化チタン等の光触媒含有塗料からなる被覆層を形成した壁紙は装飾性に乏しく、高級な質感及び美観に欠ける。また、従来の光触媒含有塗料からなる被覆層は、白色度がやや低く、しかも長期間の経過により白色度が更に低下するという欠点をも有している。

またこれら従来の二酸化チタン等の光触媒含有塗料はポリオレフィン系壁紙用基材に適用した場合は深く美しいエンボス模様を形成することはできなかった。また国際公開公報第 9 8 / 4 3 7 3 3号には、単斜晶系二酸化チタン繊維とテ卜ラェチルオルソシリケ一ト縮合物とからなる光触媒含有壁紙用塗料が記載されている（実施例 5 )。しかしながら、この塗料では、深みのあるエンボス模様を被覆層表面に形成できない。該国際公報には、繊維状単斜晶系二酸化チタンとどのような成分とを組み合わせれば、装飾性に優れ、特に深みのあるエンボス模様を被覆層表面に形成できるかという点についての教示はない。

本発明の目的は、内装部材の保護機能或いは脱臭や抗菌性能だけでなく、装飾性、白色度、質感及び美観に優れた新規な光触媒含有水性塗料を提供することにある。発明の開示

本発明は、繊維状単斜晶系二酸化チタン、反応性シリコーン化合物及びポリビニルアルコールを有効成分とする壁紙用水性塗料に係る。

また本発明は、シート又はフィルム状の壁紙用基材に、上記の壁紙用水性塗料からなる被覆層を設けたことを特徴とする壁紙に係る。

本発明の壁紙用水性塗料からなる被覆層は、従来の光触媒含有塗料からなる被覆層と同等又はそれ以上の内装部材の保護機能、消臭性能、抗菌性能及び有機汚れの分解性能を有し、更にその表面に極めて良好なエンボス模様が形成され、白色度が高く、長期間保存しても白色度の低下が著しく少ないといった、優れた装飾性を示し、高級な質感を有する。また本発明の光触媒含有塗料はポリオレフィン系壁紙用機材に適用した場合にも深く美しいエンボス模様を形成することができる。

上記のように本発明の出願前には、特定の繊維状単斜晶系二酸化チタンを光触媒成分とし、これにバインダーとして反応性シリコーン化合物を用い、更にェンボス模様形成効果を更に高める作用を有するものとして、ポリビニルアルコールを配合した壁紙用塗料は全く存在せず、また上記のような優れた効果を奏するものとは全く予測もされなかつた。

本発明の壁紙用水性塗料は、必須成分として、繊維状単斜晶系二酸化チタン、反応性シリコーン化合物及びポリビエルアルコールを含有し、これらの成分の適量を水に分散させたものである。

繊維状単斜晶系二酸化チタンは公知の繊維状二酸化チタンであり、例えば、国際公開公報 9 8 / 4 3 7 3 3号等に記載されている。単斜晶系二酸化チタンには、塗料の製造工程でサンドミル等による微粒子化工程が不要であり、凝集性が少なく、口一夕リースクリーン適応が可能で、プリント柄の形成も可能であるといつた利点もある。

繊維状単斜晶系二酸化チタンの大きさは特に制限されないが、通常平均繊維径 0. 0 1 - 1 m程度、好ましくは 0. 0 5〜 0. 5 m程度、平均繊維長 0. 5〜 l O O ^ m程度、好ましくは 3〜5 0 m程度、アスペクト比（平均繊維長 Z平均繊維径） 5以上、好ましくは 1 0以上のものを使用すればよい。

繊維状単斜晶系二酸化チタンの配合量は特に制限されず、その大きさ、他成分の種類や配合量等の種々の条件に応じて広い範囲から適宜選択すればよいが、光触媒としての機能を十分に発揮させること、被覆層表面に形成されるエンボス模様をより明瞭な深みのあるものとすること、被覆層の白色度を良好にすること、被覆層にひび割れが生じるのを防ぐこと等を考慮すると、通常、本発明の水性塗料全量の 3〜3 0重量％、好ましくは 5〜2 0重量％とすればよい。

本発明において反応性シリコーン化合物は、主にバインダーとして用いられる。反応性シリコーン化合物としては、ゴム状弾性皮膜を形成し得るシリコーン系樹脂であれば特に制限はなく、公知のものを何れも使用でき、その中でも、ヒドロキシル化ポリジオルガノシロキサンが好ましい。ヒドロキシル化ポリジオルガノシロキサン中に含まれる有機基としては特に制限はないが、炭素数 7以下の脂肪族又は芳香族の一価炭化水素基が一般的である。炭素数 7以下の一価炭化水素基の具体例としては、メチル、ェチル、プチル、へキシル、フエ二ル等を挙げることができる。好ましいヒドロキシル化ポリジオルガノシロキサンは、その分子中の有機基の総数の少なくとも 5 0 %がメチル基であるものである。また、ヒドロキシル化ポリジオルガノシロキサンの重量平均分子量（以下「Mw」と記す）についての制限はないが、抗張力と破断時に伸びのある弾性皮膜を得ること、乳化安定性が良好であること等を考慮すると、通常 Mwが 5 0 0 0以上、好ましくは 3 0 0 0 0〜 1 0 0 0 0 0 0程度のものを使用すればよい。反応性シリコーン化合物は 1種を単独で使用でき又は 2種以上を併用できる。

反応性シリコーン化合物は、乳化物の形態で使用するのが好ましい。反応性シリコーン化合物の乳化物は、公知の方法に従い、反応性シリコーン化合物のモノマ一に乳化剤を添加して乳化重合を行うか、反応性シリコーン化合物に乳化剤を添加することにより得られる。乳化剤としては、ァニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤等の 1種又は 2種以上を適宜選択して使用できる。乳化剤の添加量は特に制限されず、得ようとする乳化物に要求される特性等に応じて広い範囲から適宜選択すればよいが、乳化安定性や弾性皮膜形成性等が良好な乳化物を得るためには、乳化反応系に対して通常 1〜 5重量％程度、好ましくは 2〜 3重量％程度とすればよい。

反応性シリコーン化合物の配合量は特に制限されず、反応性シリコーン化合物の種類、他成分の種類や配合量、得られる水性塗料に要求される性能等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、繊維状単斜晶系二酸化チタンに光触媒機能を十分に発揮させること、耐水性、繊維状単斜晶系二酸化チタンの固着性及び湿摩擦堅牢度の良好な被覆層を形成すること等を考慮すると、本発明の水性塗料全量の 3〜 3 0重量％ (固形分）、好ましくは 5〜 2 0重量％とすればよい。本発明では、反応性シリコーン化合物からなる弾性皮膜をより強靭なものにするために、反応性シリコーン化合物又はその乳化物に、コロイドシリカ、交差結合剤、硬化触媒等の 1種又は 2種以上を添加しても良い。コロイドシリカとしては、 0. 0 0 1〜0. 0 5 mの粒径を有するナトリウムイオン等で安定化された水性コロイドシリカが挙げられ、交差結合剤としてはアルコキシシラン、メチルハイドロジエンポリシロキサンが挙げられる。硬化触媒としては反応性シリコーン化合物に解重合等の悪影響を与えないジアルキル錫ジァシレートを代表とする金属脂肪酸塩、有機過酸化物、無機過酸化物等が挙げられる。

本発明の水性塗料のもう一つの必須成分であるポリビニルアルコールは、主に、繊維状単斜晶系二酸化チタンが示すエンボス模様を形成する効果を更に高める作用を有する。これらポリビニルアルコールのうちゲン化度が 7 0〜1 0 0 %のものが好ましい。ポリビニルアルコールの配合量も、他成分の種類や配合量、得られる塗料組成物に要求される性能等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、耐水性特に湿摩擦堅牢度が高く、成膜性やエンボス模様形成性の良好な被覆層を得るためには、本発明の水性塗料全量の 0. 5〜5重量％ (固形分）、好ましくは 1〜 3重量％とすればよい。

本発明の壁紙用水性塗料には、その好ましい特性を更に向上させるために、高融点ポリエチレンワックス乳化物、増粘剤、非イオン界面活性剤、消泡剤等の 1 種又は 2種以上を配合することができる。

高融点ポリエチレンワックス乳化物は、主に、本発明の水性塗料により形成される被覆層の乾摩擦堅牢度を向上させるのに寄与する。また、繊維状単斜晶系二酸化チタンの光触媒機能を阻害することがないという利点をも有する。高融点ポリエチレンワックスとしては特に制限されず、通常融点が 1 0 0 °C以上及び重量平均分子量が 5 0 0〜1 0 0 0 0程度のエチレン重合体を乳化して使用できる。また、高融点ポリエチレンワックスとしては各種の市販品をも使用でき、例えば、三井ハイワックス（三井化学製)、ダイヤレン 3 0 (三菱化学製)、日石レクスポレール（日石三菱製)、サンワックス（三洋化成製)、ポリレッツ（中国精油製)、ネオワックス（ヤスハラケミカル製）、 A Cポリエチレン (ァライド ·シグナル社製)、ェポレン（イーストマン ·ケミカル社製）、へキストワックス（クラリアント社製）、 A -W a X (B A S F社製）、ポリワックス（ペトロラト社製）、商品名：エスコマ一（ェクソンケミカル社製）等を挙げることができる。高融点ポリエチレンワックスは 1種を単独で使用でき又は 2種以上を併用できる。高融点ポリエチレンワックス乳化物の配合量は固形分として、本発明塗料全量の 0. 5 〜3重量％、好ましくは 1〜2重量％程度とすればよい。

増粘剤は、本発明の水性塗料のコーティング特性を向上させるのに好適である。増粘剤としては公知のものを使用でき、例えば、高重合アマ二油等の重合油類、水添ヒマシ油、金属石鹼類（特に、アルミニウム、鉛、希土類、カルシウム、亜鉛等の石鹼類）、ダイマー酸類、高融点ポリエチレンワックス以外のポリエチレン類、無機増粘剤（ベントナイト、シリカ等）、アルギン酸類、セルロース誘導体、ポリアクリレート及びポリメタクリレートのアル力リ塩等を挙げることができる。増粘剤は 1種を単独で使用でき又は 2種以上を併用できる。増粘剤の配合量は特に制限されず、他成分の種類や配合量等に応じてその機能を発揮し得る量を適宜選択すればよいが、通常本発明の水性塗料全量の 3重量％程度以下、好ましくは 0. 5〜2重量％程度とすればよい。

非ィォン界面活性剤は、繊維状単斜晶系二酸化チタンの濡れ性を向上させるのに有効である。非イオン界面活性剤としても公知のものを使用でき、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテル、アルキルァリールホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシェチレンポリオキシプロピルアルキルェ一テル等のエーテル型、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリ才キシェチレンエーテル等のエーテルエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコ一ルエステル、ショ糖エステル等のエステル、脂肪酸アル力ノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリォキシエチレンアルキルアミン等の含窒素界面活性剤等を挙げることができる。非イオン界面活性剤は 1種を単独で使用でき又は 2種以上を併用できる。非イオン界面活性剤の配合量は特に制限されず、他成分の種類や配合量等に応じてその機能を発揮し得る量を適宜選択すればよいが、通常本発明の水性塗料全量の 3重量％程度以下、好ましくは 0. 5〜2重量％程度とすればよい。

消泡剤は、本発明の水性塗料の泡切れ性を向上させる。消泡剤としては公知のものを使用でき、例えば、 H L Bの低い界面活性剤、炭素数 6〜1 0程度までのアルコール、パインオイル、シリコン等を挙げることができる。

本発明の壁紙用水性塗料には、その好ましい特性を損なわない範囲で、従来から塗料用として知られている添加剤の 1種又は 2種以上を配合することができる。該添加剤としては、例えば、従来の有機バインダ一や無機バインダー、本発明で用いる二酸化チタン以外の光触媒、浮き防止剤、色分れ防止剤、ガスチェッキング防止剤、乳化剤、湿潤剤、分散剤、 p H調整剤、無機顔料、有機顔料、造膜助剤、凍結防止材、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防食剤、防黴剤、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤等を挙げることができる。

本発明の壁紙用水性塗料は、水、上記 3種の必須成分及び必要に応じての他の成分のそれぞれ適量を一般的な攪拌機等を用いて混合することにより製造できる。壁紙基材としては公知のものをいずれも使用でき、例えば、上質紙、ダラシン紙、トレーシングペーパー、和紙、キャスト紙、コーテッド紙等の天然パルプ紙、含浸紙、ラミネート紙、不織布、織物、編物、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ一ト、ボリメチルメタクリレート、ポリカーボネー卜、ポリオレフイン類（ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリプテン、エチレン— 酢酸ビニル共重合体、エチレン一アクリル酸共重合体、ォレフィン系熱可塑性ェラストマー等)、変性ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、 A B S樹脂等の合成樹脂からなるシート、石膏ボ一ド、合板、パーテイクルポ一ド等を挙げることができる。これらの 1種又は 2種を積層したものを壁紙基材として用いてもよい。これらの壁紙基材用シート又はボードには、必要に応じて、例えば、粉末状無機充填材、可塑剤、発泡剤、安定剤、滑剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の公知の添加剤の 1種又は 2種以上が含まれていてもよい。粉末状無機充填材としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化パリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化第一鉄、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ、二酸化チタン、珪酸マグネシウム等を挙げることができる。可塑剤としては、例えば、ジォクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸エステル、塩素化パラフイン、エポキシ、ポリエステル、アジピン酸エステル等を挙げることができる。発泡剤としては、例えば、ァゾジカルボンアミド、ァゾビスイソブチロニトリル等のァゾ系、トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系、ジニトロペンタメチレンテトラミン等のニトロソ系等を挙げることができる。安定剤は発泡剤と共に使用され、発泡温度の制御に用いられるものであり、カドミウム ·バリウム ·亜鉛混合物等の複合系、鉛系、錫系、カルシゥム系等を挙げることができる。滑剤としては、例えば、パラフィン、低分子ポリオレフイン、ステアリン酸、ステアリン酸エステル、ステアリルアルコール、ワセリン、脂肪酸のポリダリコールエステル等を挙げることができる。顔料としては、例えば、ァゾレーキ系、キナクリドン系、フタロシアニン系等の有機顔料、クロムチタン、ベンガラ等の無機顔料等を挙げることができる。酸化防止剤としては、例えば、フエノール系、リン系、ヒンダードフエノール系等を挙げることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフエノン系等を挙げることができる。難燃剤としては、例えば、ホスファゼン系、リン系、フッ素樹脂系等を挙げることができる。

更に本発明では、光触媒を含む被覆層と壁紙基材との間に、接着性樹脂からなる接着層（アンカーコート層）を設けてもよい。該接着性樹脂としては公知のものを使用でき、例えば、エチレンビニルアセテート樹脂（E VA樹脂）等を挙げることができる。

本発明の壁紙用水性塗料を用いて壁紙を製造するに際しては、公知の方法が採用できる。例えば、本発明の塗料組成物を、コーティング（ナイフコート、グラビアコート、スクリーンコート、彫刻ロールコート、フレキソコート等によるコ一ティング）、塗布（ローラー、スプレー、刷毛、モップ、スポンジ、ウェス等による塗布）、ディッピング等の公知の方法に従って、シート状又はフィルム状の壁紙基材に塗布し、乾燥し、壁紙用エンボス加工を施せばよい。エンボス加工の前に、壁紙基材の発泡や柄プリント（盛り上げ印刷）を行ってもよい。また、本発明の塗料組成物を成形加工してフィルムに成形し、該フィルムを壁紙基材にラミネート加工してもよい。ラミネート加工は公知の方法に従って実施でき、例えば、熱ロールを利用して 6 0〜 2 0 0 °Cの温度下に行えばよい。または、溶融押出しダイ、 Tダイ、多層同時押出しダイ等を用いてもよい。この様にして形成される被覆層の塗布量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常片面で 2〜3 0 g /m²程度、好ましくは 5〜2 0 g /m²程度とすればよい。本発明の壁紙用水性塗料からなる被覆層の表面に良好な深みのあるエンボス模様を形成するには、特別な操作を施す必要が無く、従来の一般的な壁紙用ェンポス加工を行えばよい。

この様にして得られる本発明の壁紙は、その表面に深みのあるエンボス模様が形成され、装飾性に富み、高級な質感を有する。それとともに、従来から確認された効果である光触媒機能、特に消臭 '脱臭性能、抗菌性能、有機汚れの分解性能を十二分に発揮する。

本発明の壁紙用水性塗料からなる被覆層の表面に良好な深みのあるエンボス模様を形成するには、特別な操作を施す必要が無く、従来の一般的な壁紙用ェンポス加工を行えばよい。発明を実施するための最良の形態

以下に実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。

実施例 1〜 8及び比較例 1〜 4

1. 壁 t£用水性塗料の作成

撹拌機を用いて、 1リットルのステンレス容器に水にポリオキシエチレンアルキルエーテル (I-ILB = 10. 5、以下「P〇Eアルキルエーテル」という）を溶解した。更に下記に示す二酸化チタンを添加して 30分間混合し、続いて反応性シリコーン化合物のェマルジョン及びポリビニルアルコール水溶液を添加して 30分間混合した。最後に非イオン系増粘剤（商品名：ネオステッカー N、日華化学製）にて粘度 4000〜5000mPa ' sに調整後、壁紙用水性塗料を製造した。

各成分は具体的には次のものを使用した。また各成分の配合割合（重量部）は表 1〜3に示す通りである。

(1) 二酸化チタン

二酸化チタン A：単斜晶系繊維状二酸化チタン（商品名： MTW— 500、大塚化学製、平均繊維径 0. 3 m、平均繊維長 10 m、ァスぺクト比 33)

二酸化チタン B ：単斜晶系繊維状二酸化チタン（商品名： MTW— 200、大塚化学製、平均繊維径 0. l m、平均繊維長 3 zm、アスペクト比 3 0 )

二酸化チタン C：粒子状二酸化チタン（商品名： ST— 01、石原産業製、平均粒子径 7 nm)

二酸化チタン D：粒子状二酸化チタン（商品名： ST— 41、石原産業製、平均粒子径 0. 2 τη)

(2) 反応性シリコーン化合物のェマルジョン

シリコーンェマルジヨン Ε ：ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、 ΡΟΕ アルキルエーテルを用いて乳化重合した重量平均分子量（Mw) 約 3 5 0 0 0 0 の末端ヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン約 40重量％を含むシリコーンェマルジョン

シリコーンェマルジヨン F：上記シリコーンェマルジヨン E 7 00重量部、 S i 0₂を約 3 0重量％含有し且つナトリウムイオンで安定化した比重 1. 2 1 の水性コロイドシリカ 2 50重量部、及びジォクチル錫ジラウレート 5 0重量部を混合したシリコーンェマルジョン

シリコーンェマルジヨン G：ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、 POE アルキルエーテルを用いて乳化重合した重量平均分子量（Mw) 約 2 0 0, 0 0 0の末端メチル化ポリジメチルシロキサン約 40重量％を含むシリコーンェマルジョン

(3) ポリピニルアルコール（PVAと略す）

？水溶液^!：ゲン化度 9 0 %のポリビニルアルコール 2 0重量％水溶液 ( 4 %水溶液粘度 30 mP a · s )

PVA水溶液 I ：ケン化度 7 5%のポリビニルアルコール 2 0 %水溶液 (4% 水溶液粘度 1 5mP a · s) '表 1

：表 2 実施例

5 6 7 8 水 490 470 450 480

PO£アルキルェ一テル 10 10 10 10 酸化チタン A 100 100

酸化チタン B 50 100 シリコーン乳化物 E 300 250 シリコーン乳化物 F 250 250

PVATK^¾H 100 100 100.

PVAzK^ifl 100

非イオン系増粘剤 50 70 90 60 塗料粘度 (mPa · s) 4500 4100 4600 5000 表 3

2. 壁紙の作成

厚さ 0. 1 25 mmの紀州製紙（株）製壁紙用原紙にエチレンビニルァセテト樹脂（EVA) コート層を設けた基材に、上記で得られた水性塗料を辻井式自動捺染機によりスクリーンコーティング（# 700ベタ）し、予備乾燥（1 0 0°CX 1分間）後、 1 5 or:でエンボス加工を施し、本発明の壁紙及び比較用壁紙を作成した。

試験例 1

実施例 1 8及び比較例 1 4で得られた壁紙の各種性能を、次に示す方法に従って評価した。更に比較例 5として、水性塗料を塗工しない壁紙用基材そのものについても同じ性能試験を実施した。結果を表 4 5に示す。

(1) 汚れ分解性（褪色性）

メチレンブルー（MB) のエタノール溶液（l O p pm) を刷毛塗りし、 6 0°CX 1時間乾燥させた試料を J I S L— 0824に準じ、カーボン ·フエド ·ォ ·メーターにて 63°CX 20時間照射し、 UV光照射前後の試料の b値 (青色度）をミノルタ CM— 3700 d測色機を用いて測定し、下記計算式に基づいて退色度を算出した。

退色度（％) = (X/Y) X 100

X： MB着色後の b値一 U V光照射後の b値

Y： MB着色後の b値— MB着色前の b値

(2) 摩擦堅牢度

J I S L— 0849に準じ、学振型摩擦試験機を用いて、乾式摩擦 25回、湿式摩擦 2回（荷重 200 g) 後の塗工面の状態を判定した。良好： 5級〜不良： 1級。

(3) 塗工性

塗工時にハジキゃ塗りムラ等が発生するか否かを目視で観察した。

3級：均一に塗工され、ハジキゃ塗りムラが観察されない。

2級：わずかにハジキゃ塗りムラが観察される。

1級：ハジキゃ塗りムラが強く、不均一である。

(4) 折り曲げ時のひび割れ性

壁紙を 180度に折り曲げてひび割れが発生するか否かを目視で観察した。ひび割れの評価は以下の通りである。なお、表 3には、単に「ひび割れ性」と示した。

3級：ひび割れが全く発生しない

2級：表面にわずかにひび割れが発生

1級：深くひび割れが発生

(5) 意匠性

エンボス加工後の壁紙表面の白度及び、エンボス模様のシャープ性にて意匠性を次の通り評価した。 '

白度：ミノルタ CM— 3700 d測色機を用いて、ハン夕一 ·ホワイト .インデックス（H.W. I.) を測定した。ここで、 HW I値が大きい程、髙白度を意味する。

シャープ性：下記の基準で目視判定を行った。

3級：柄際が深く、模様が鮮明である。

2級：柄際、模様共に中庸である。

1級：柄際が浅く、模様が不鮮明である。

(6) 光触媒凝集性

作成した水性塗料を # 1600紗にて濾過し、二酸化チタンの凝集物の発生度合を観察し、次の通り評価した。

3級：凝集物が全く発生しない。

2級：凝集物が少量発生。

1級：凝集物が大量に発生。

表 4― 汚れ細生摩擦堅牢度

塗工性

b値褪色度乾式湿式

1 70.5 4-5 4-5 3

2 76.6 4-5 4-5 3

3 88.0 4 4 3

4 76.4 4-5 4-5 3

施

5 76.0 5 5 3

例

6 76. 2 5 5 3

7 70.3 4-5 4-5 3

8 75. 6 4-5 4-5 3

1 80. 8 (黄変） 4 4 1

比 2 62. 5 4 4 1

較 3 75.2 3 3 2

例 4 75.8 2 . 1 3

5 30. 9 1 4 表 5

表 4 5から、本発明の壁紙は、従来の壁紙よりも白色度が高く、且つその表面に深みのあるエンボス模様が形成されているので、著しく優れた装飾性を示すことが明らかである。更に本発明の壁紙は、汚れ分解性等の光触媒機能にも優れていることが判る。産業上の利用可能性

本発明の壁紙用水性塗料からなる被覆層は、従来の光触媒含有塗料からなる被覆層と同等又はそれ以上の内装部材の保護機能、消臭性能、抗菌性能及び有機汚れの分解性能を有し、更にその表面に極めて良好なエンボス模様が形成され、白色度が高く、長期間保存しても白色度の低下が著しく少ないといった、優れた装飾性を示し、高級な質感を有する。

また本発明の光触媒含有塗料はポリオレフイン系壁紙用機材に適用した場合にも深く美しいエンボス模様を形成することができる。

Claims

請求の範囲

1 . 繊維状単斜晶系二酸化チタン、反応性シリコーン化合物及びポリビニルアルコールを有効成分とする壁紙用水性塗料。

2 . 繊維状単斜晶系二酸化チタン 3〜3 0重量％、反応性シリコーン化合物 3〜 3 0重量％及びポリビニルアルコール 0. 5〜 5重量％を含有する請求の範囲第 1項に記載の壁紙用水性塗料。

3 . 反応性シリコーン化合物がヒドロキシル化ポリジオルガノシロキサンの乳化物である請求の範囲第 1項又は第 2項記載の壁紙用水性塗料。

4 . ポリビニルアルコールのケン化度が 7 0〜1 0 0 %である請求の範囲第 1項又は第 2項記載の壁紙用水性塗料。

5 . シート又はフィルム状の壁紙用基材に、請求の範囲第 1項の壁紙用水性塗料からなる被覆層を設けたことを特徴とする壁紙。

6 . 壁紙用基材がポリオレフィン系基材である請求の範囲第 5項記載の壁紙。