明 細 書 電子錠の開錠方法 技術分野
本発明は開錠対象物、 例えば金庫の開錠を行う開錠方法に関する 景技
従来、 金庫の開錠方法として、 例えば特開昭 6 0— 1 2 8 7 6 4号公 報に開示されるものがある。 これは次のような方法である。 金庫収納員 は現場に行き、 公衆電話機から電話局の受付台に電話をする。 金庫収納 員と受付台の対応者は通話を行い、 通話の中で金庫収納員はプッシュポ タンダイヤルを利用して I D番号を送出するか、 又は音声により喑号を 伝える。 次に受付台の対応者は I D番号又は暗号を照合し、 正規である ことが判明したならば公衆電話機にロック開放指令を送出すると同時 に今回の I D番号又は暗号を無効とし新しい I D番号又は暗号を設定 する。 このロック開放指令により公衆電話機のロック Aの機構は開放さ れ、 金庫収納員は合鍵を使用してロック Bの機構を開放する。 以上で金 庫が開錠する。
しかしながら、 上記のような従来の開錠方法では、 金庫を開錠するた めに専用のオペレー夕が必要で省力化が図れないという問題点があつ た。 また、 1つの I D番号を知ることができれば、 単独者が開錠をする ことが可能であり、 セキュリティの確保に限界があった。
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、 開錠対象物側のシステムを 無人化して省力化が可能であり、 しかも高いセキュリティを確保するこ とができる開錠方法を提供することを目的とする。
本発明の開錠方法は、 無線により識別符号を送受信可能な開錠対象物 と、 無線により識別符号を送受信可能な複数の電子鍵装置とを有し、 複
数の識別符号を使用して開錠対象物で開錠操作が行われることを特徴 とする。
このような開錠方法において、 複数の電子鍵装置は、 開錠対象物から 送信された識別符号を出発識別符号として、 受信した識別符号が正しい 場合に異なる識別符号を送信することを連鎖的に繰り返し、 開錠対象物 は最終電子鍵装置から送信された識別符号を受信してそれが正しい場 合に開錠操作が行われる。
他の例として、 複数の電子鍵装置は、 開錠対象物から送信された識別 符号を出発識別符号として、 受信した識別符号が正しい場合に異なる識 別符号を送信することを連鎖的に繰り返し、 開錠対象物はそれら複数の 電子鍵装置から送信された複数の識別符号を受信してそれらが正しい 場合に開錠操作が行われる。
さらに他の例として、 複数の電子鍵装置は、 開錠対象物から送信され た識別符号を出発識別符号として、 受信した識別符号が正しい場合に、 かつ検出した生体的特徴から電子鍵装置所有者が正規の所有者と認め た場合に異なる識別符号を送信することを連鎖的に繰り返し、 開錠対象 物は最終電子鍵装置から送信された識別符号を受信してそれが正しい 場合に開錠操作が行われることを特徴とする。 図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明による開錠方法の第 1の実施の形態を説明するため に第 1の金庫装置を示す構成図。
第 2図は、 第 1の金庫装置における開錠動作を詳細に示すフロ一チヤ ート。
第 3図は、 本発明による開錠方法の第 2の実施の形態を説明するため に第 2の金庫装置を示す構成図。
第 4図は、 第 2の金庫装置における開錠動作を詳細に示すフローチヤ ート。
第 5図は、 本発明による開錠方法の第 3の実施の形態を説明するため
に第 3の金庫装置を示す構成図。
第 6図は、 第 3の金庫装置における開錠動作を詳細に示すフローチヤ 一卜。 発明の実施の形態
次に添付図面を参照して本発明による開錠方法の実施の形態を詳細 に説明する。 第 1図は本発明の開錠方法の第 1の実施の形態を説明する ために第 1の金庫装置を示す構成図である。 この第 1の金庫装置は、 金 庫 1 0と、第 1の電子鍵装置 2 0と、第 2の電子鍵装置 3 0とからなる。 電子鍵装置の個数はセキュリティの高さによって容易に増減できるが、 ここでは 2個とする。
金庫 1 0は、 送受信部 1 1と、 制御部 1 2と、 施錠 · 開錠機構部 1 3 と、 メモリ 1 4とを有する。 メモリ 1 4には、 識別符号 (以下 I Dとい う) として " A " と " C " とが記憶される。 そして、 この金庫 1 0は、 メモリ 1 4に記憶された I D = Aを常に I D 1 として送受信部 1 1よ り送信している。 一方、 送受信部 1 1で I Dが受信され、 その I Dが " C " であることがメモリ 1 4に記憶された I D = Cとの比較で制御 部 1 2で判別されると、 制御部 1 2により施錠 · 開錠機構部 1 3が操作 されて、 金庫 1 0の開錠が行われる。
第 1の電子鍵装置 2 0は第 1開錠者 2 0 aが所有する。 この第 1の電 子鍵装置 2 0は、 送受信部 2 1と、 判別部 2 2と、 メモリ 2 3とを有す る。 メモリ 2 3には、 I Dとして " A " と " B " とが記憶される。 そし て、 この第 1の電子鍵装置 2 0は、送受信部 2 1で I Dを受信したとき、 その I Dが " A " であることがメモリ 2 3に記憶された I D = Aとの 比較で判別部 2 2により判別されると、 メモリ 2 3に記憶された I D = Bが I D 2として送受信部 2 1から送信される。 すなわち、 第 1の電子 鍵装置 2 0は、 金庫 1 0から正規の I D ( I D = A ) を受信すると、 I D 2として I D = Bを送信する。
第 2の電子鍵装置 3 0は第 2開錠者 3 0 aが所有する。 この第 2の電
子鍵装置 3 0は、 第 1の電子鍵装置 2 0と同様に送受信部 3 1と、 判別 部 3 2と、 メモリ 3 3とを有するが、 メモリ 3 3には I Dとして " B " と " C " とが記憶される。 そして、 この第 2の電子鍵装置 3 0は、 送受 信部 3 1で I Dを受信したとき、 その I Dが " B " であることがメモリ 3 3に記憶された I D = Bとの比較で判別部 3 2により判別されると、 メモリ 3 3に記憶された I D = Cが I D 3として送受信部 3 1から送 信される。 すなわち、 第 2の電子鍵装置 3 0は、 第 1の電子鍵装置 2 0 から正規の I D ( I D = B ) を受信すると、 I D 3として I D = Cを送 信する。
なお、 送受信部 1 1, 2 1, 3 1は全て例えば、 マスター (サーバー) とスレーブ (クライアント) 間で近距離の双方向無線通信システムで行 う。 周波数帯域は、 特別な免許を必要とせず、 ほぼ全世界で共通に使用 できる I S M ( 2 . 4 G H z帯) を利用する。 この無線通信システムで は、 特定の端末を識別できるように端末識別番号がそれぞれ個別に割り 当てられる。 端末識別番号は書き換えができないように、 不揮発性メモ リにストアされる。
また、 データの通信を行う前に、 通信相手が通信エリア内に入ったこ とを検出する機能を持つ。 そして通信相手を検出した後、 接続相手を選 択或いは接続相手として適しているか判断し、 データの通信を行うため に接続処理 (呼び出し) を行う。
検出する側をマスターとすると、 マスター側は検出及び接続ポタンを 持つ。 ユーザーが検出ポタンを押すことによって、 マスタ一は検出信号 を送信し、 応答信号の受信を待つ。 検出される側 (スレーブ) は検出信 号を受信するために、周期的に受信動作を行い、検出信号を受信したら、 自分の端末識別番号を応答信号として送り返す。
そして、 マスター側は応答信号の受信に成功したら、 端末識別番号を 例えば表示器等を設け表示する。 ユーザーが接続を望む場合は、 接続相 手を選択し接続ポタンを押すことで、 マスターは接続処理に入り、 デ一 夕の通信を開始する。
本実施例はマスターと複数のスレーブとの通信、 マスターを中心とし たリンクを構成する。
通信接続を開始すると、 マスタ一はスレーブに対して一時的なァドレ スを割り当てる。 スレーブは、 受信したアドレスから自分宛であるかど うかを判断し、 自分宛の場合はデ一夕を取り込み、 自分宛でない場合は 破棄する。 マスターとスレーブのデータ通信が行われている間でも、 上 記通信エリア内の端末検出 ·接続手順を行うことにより、 スレーブを随 時追加できる。 また、 データ通信終了時にはスレーブに割り当てた一時 的なアドレスを放棄することができる。 このように、 時分割にスレーブ の追加 ·放出を繰り返すことによって、 数多くの端末と通信が可能とな る。
このような装置における金庫 1 0の開錠動作を第 2図のフローチヤ —トを参照して説明する。 金庫 1 0は常に I D 1として I D = Aを送信 する (ステップ S l )。 この I D 1を第 1の電子鍵装置 2 0が受信する (ステップ S 2 )。 すると、 第 1の電子鍵装置 2 0は、 受信した I D 1 が I D = Aであるか、 すなわち金庫 1 0からの正規の I Dであるか判別 する (ステップ S 3 )。 そして、 I D 1が I D = Aであると判別される と、 第 1の電子鍵装置 2 0は I D 2として I D = Bを送信する (ステツ プ S 4 )。 この I D 2を第 2の電子鍵装置 3 0が受信する (ステップ S 5 )。 すると、 第 2の電子鍵装置 3 0は、 受信した I D 2が I D = Bで あるか、 すなわち第 1の電子鍵装置 2 0からの正規の I Dであるか判別 する (ステップ S 6 )。 そして、 I D 2が I D = Bであると判別される と、 第 2の電子鍵装置 3 0は I D 3として I D = Cを送信する (ステツ プ S 7 )。 この I D 3を金庫 1 0が受信する (ステップ S 8 )。 すると、 金庫 1 0は、 受信した I D 3が I D = Cであるか、 すなわち第 2の電子 鍵装置 3 0からの正規の I Dであるか判別する (ステップ S 9 )。 そし て、 I D 3が I D = Cであると判別されると、 金庫 1 0で制御部 1 2に より施錠 ·開錠機構部 1 3が操作されて開錠が行われる (ステップ S 1 0 )。
以上のように上記の装置によると、 第 1開錠者 2 0 aおよび第 2開錠 者 3 0 aが所有する第 1の電子鍵装置 2 0および第 2の電子鍵装置 3 0 を持ち寄って複数の I Dを使用してそれらが正しく送受信された場合 にのみ金庫 1 0で開錠が行われる。 したがって、 セキュリティが高い。 また、 機密性の高さによって電子鍵装置の数を容易に増減でき、 適切な セキュリティの保持が可能である。 さらに、 金庫 1 0側のシステムは無 人化することができ、 省力化を図ることができる。
第 3図は本発明の開錠方法の第 2の実施の形態を説明するために第 2の金庫装置を示す構成図である。 この第 2の金庫装置では、 第 1の電 子鍵装置 2 0が送信した I D 2と第 2の電子鍵装置 3 0が送信した I D 3の両方を金庫 1 0が受信して、 これら I D 2と I D 3が I D = Bおよ び I D = Cであると判別されたとき、 すなわち、 金庫 1 0が第 1および 第 2の電子鍵装置 2 0 , 3 0の両方から正規の I Dを受信したとき、 金 庫 1 0の制御部 1 2で施錠 ·開錠機構部 1 3を操作して金庫 1 0の開錠 が行われる。 その他は第 1図の第 1の金庫装置と同様であり、 図中同一 部分には第 1図と同一符号を付す。 なお、 金庫 1 0のメモリ 1 4には、 第 1および第 2の電子鍵装置 2 0, 3 0から受信した I D 2と I D 3が "B" および "C" であることを判別するために比較用の I D "B " および "C" が記憶される。
この第 1の金庫装置における詳細な開錠動作が第 4図のフローチヤ一 トに示されている。 これを説明すると、 金庫 1 0は常に I D 1として I D = Aを送信する (ステップ S 2 1 )。 この I D 1を第 1の電子鍵装置 2 0が受信する (ステップ S 2 2)。 すると、 第 1の電子鍵装置 2 0は、 受信した I D 1が I D=Aであるか、 すなわち金庫 1 0からの正規の I Dであるか判別する (ステップ S 2 3)。 そして、 1 01が 10=八で あると判別されると、 第 1の電子鍵装置 2 0は I D 2として I D = Bを 送信する (ステップ S 2 4)。 この I D 2を第 2の電子鍵装置 3 0が受 信する (ステップ S 2 5)。 同時に I D 2は金庫 1 0で受信され、 金庫 1 0のメモリ 1 4に記憶される (ステツプ S 2 6 )。 第 2の電子鍵装置
3 0は、 受信した I D 2が I D = Bであるか、 すなわち第 1の電子鍵装 置 2 0からの正規の I Dであるか判別する (ステップ S 2 7 )。そして、 I D 2が I D = Bであると判別されると、 第 2の電子鍵装置 3 0は I D 3として I D = Cを送信する (ステップ S 2 8 )。 この I D 3を金庫 1 0が受信し (ステップ S 2 9 )、 I D 3を金庫 1 0のメモリ 1 4に記憶 する (ステップ S 3 0 )。 同時に、 金庫 1 0は、 メモリ 1 4に記憶した I D 3が I D = Cであるか、 かつステップ S 2 6でメモリ 1 4に記憶し た I D 2が I D = Bであるか、 すなわち第 1および第 2の電子鍵装置 2 0 , 3 0から正規の I Dを受信したか判別する (ステップ S 3 1 )。 そ して、 I D 2が I D = B、 I D 3が I D = Cであると判別されると、 金 庫 1 0で制御部 1 2により施錠 ·開錠機構部 1 3が操作されて開錠が行 われる (ステツプ S 3 2 )。
このような第 2の金庫装置によれば、 第 1の電子鍵装置 2 0と第 2の 電子鍵装置 3 0からの両方の I Dを金庫 1 0が受信するようにしたの で、 セキュリティをより高くすることができる。
第 5図は本発明の開錠方法の第 3の実施の形態を説明するために第 3の金庫装置を示す構成図である。 この第 3の金庫装置では、 第 1の電 子鍵装置 2 0と第 2の電子鍵装置 3 0の両方にセンサ 2 4 , 3 4が付加 される。 第 1の電子鍵装置 2 0に付加されたセンサ 2 4は、 第 1の電子 鍵装置 2 0の所有者の生体的特徴 (例えば指紋) を 出して、 第 1の電 子鍵装置 2 0の所有者が正規の所有者 (第 1開錠者 2 0 a ) であるかを 検出する。 詳細には、 センサ 2 4から得られた情報と、 予めメモリ 2 3 に記憶してある正規所有者の生体的特徴の情報とを判別部 2 2で比較 して、 第 1の電子鍵装置 2 0の所有者が正規の所有者であるかを検出す る。 そして、 第 1の電子鍵装置 2 0は、 上記のようにして所有者が正規 の所有者であると判別され、 かつ受信した I Dが金庫 1 0からの正規の I D ( I D = A ) であるとき、 I D 2として I D二 Bを送信する。
同様に、 第 2の電子鍵装置 3 0に付加されたセンサ 3 4は、 第 2の電 子鍵装置 3 0の所有者の生体的特徴 (例えば指紋) を検出して、 第 2の
電子鍵装置 3 0の所有者が正規の所有者 (第 2開錠者 3 0 a) であるか を検出する。 詳細には、 センサ 34から得られた情報と、 予めメモリ 3 3に記憶してある正規所有者の生体的特徴の情報とを判別部 3 2で比 較して、 第 2の電子鍵装置 3 0の所有者が正規の所有者であるかを検出 する。 そして、 第 2の電子鍵装置 3 0は、 上記のようにして所有者が正 規の所有者であると判別され、 かつ受信した I Dが第 1の電子鍵装置 2 0からの正規の I D ( I D = B) であるとき、 I D 3として I D = Cを 送信する。 第 3の金庫装置のその他の構成は第 1図の第 1の金庫装置と 同一であり、 図中同一部分には第 1図と同一符号を付す。
この第 3の金庫装置における詳細な開錠動作が第 6図のフローチヤ ートに示されている。 これを説明すると、 金庫 1 0は常に I D 1として I D = Aを送信する (ステップ S 4 1 )。 この I D 1を第 1の電子鍵装 置 2 0が受信する (ステップ S 42)。 すると、 第 1の電子鍵装置 2 0 は、 受信した I D 1が I D = Aであるか、 すなわち金庫 1 0からの正規 の I Dであるか判別する (ステップ S 43 )。 そして、 I D 1が I D二 Aであると、 第 1の電子鍵装置 2 0はさらにセンサ 24からの情報を基 に所有者が正規の所有者であるか判別する(ステップ S 44)。そして、 所有者も正規の所有者であると判別されると、 第 1の電子鍵装置 2 0は I D 2として I D = Bを送信する (ステップ S 4 5)。 この I D 2を第 2の電子鍵装置 3 0が受信する (ステップ S 46)。 すると、 第 2の電 子鍵装置 30は、 受信した I D 2が I D = Bであるか、 すなわち第 1の 電子鍵装置 2 0からの正規の I Dであるか判別する (ステップ S 47)。 そして、 I D 2が I D = Bであると、 第 2の電子鍵装置 3 0はさらにセ ンサ 34からの情報を基に所有者が正規の所有者であるか判別する (ス テツプ S 48)。そして、所有者も正規の所有者であると判別されると、 第 2の電子鍵装置 3 0は 103として 10 =(:を送信する (ステップ S 49)。 この I D 3を金庫 1 0が受信する (ステップ S 5 0 )。 すると、 金庫 1 0は、 受信した I D 3が I D==Cであるか、 すなわち第 2の電子 鍵装置 3 0からの正規の I Dであるか判別する (ステップ S 5 1 )。 そ
して、 I D 3が I D = Cであると判別されると、 金庫 1 0で制御部 1 2 により施錠 · 開錠機構部 1 3が操作されて開錠が行われる (ステップ S 5 2 )。
このような第 3の金庫装置によれば、 第 1および第 2の電子鍵装置 2 0, 3 0で所有者が正規かということも判断して第 1および第 2の電子 鍵装置 2 0 , 3 0から I Dを送信するようにしたので、 よりセキユリテ ィが高まる。
なお、以上の実施の形態は、金庫を開錠する場合について説明したが、 本発明の開錠方法は、 出入口扉など他の開錠対象物を開錠する場合にも 勿論利用できる。
以上詳細に説明したように本発明の開錠方法によれば、 無線と複数の 識別符号を使用して開錠することにより、 開錠対象物側のシステムを無 人化して省力化が可能であり、 しかもセキュリティを高めることができ る。