WO1999028164A1

WO1999028164A1 - Coussin pneumatique de securite leger

Info

Publication number: WO1999028164A1
Application number: PCT/JP1998/005364
Authority: WO
Inventors: Yoshinori Kami; Tadao Kanuma
Original assignee: Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha; Nihon Plast Co., Ltd.
Priority date: 1997-11-28
Filing date: 1998-11-30
Publication date: 1999-06-10
Also published as: EP1033292B1; DE69840685D1; US6283507B1; EP1033292A1; EP1033292A4

Description

糸田軽量エアバッグ技術分野

本発明は、自動車の衝突時、乗員を保護するためのエアバッグに係わり、軽量でコンパク卜に収納できるエアバッグに関するものである。背景技術

近年、乗員保護用安全装置としてエアパッグシステムが普及してきており、運転席用から助手席用、側突保護用（サイドバッグ）、後部座席用と装着部位も増えてきている。

しかるに搭載されるエアバッグの部位、数量が増えるにつれエアバッグシステムの軽量化、コンパクト化が要求され始め、シスムの各部品は小型化、軽量化を目指して設計されてきている。ェアバッグの袋体も、ノンコート化、バッグ容量の低減などにより軽量化が図られて来ている。

エアバッグを展張するためのガスを発生するィンフレーターもェァバッグ同様小型化、軽量化が求められており、ガス発生剤の収納容積も狭くなり、少ないガス発生剤を有効に活用するため、ェアバッグ本体の基布は極めて高い気密性が要求される。そのため、ノンコートのエアバッグ用基布は、気密性を高く、すなわち通気性を低滅するために、従来使用されていた工業用織物より更に織密度を高くすることが行われてきたが、織物が粗硬になり、織物の重量が増加する傾向にあった。

これらの課題を回避しつつ、エアバッグの軽量化を図るため、ェアバッグ本体を構成する織物に細い糸を用いて織物目付を少なくすることも検討されている。すなわち、従来使用されていた 8 4 0デニールより細い 4 2 0デニールを用いた織物から構成されたェアバッグが実用化されており、更に、特開平 3— 1 3 7 2 4 5号公報には、 3 0 0〜 4 0 0デシテックス（ 2 7 0〜 3 6 0デニール）の原糸を使ったエアバッグ用ノンコ一ト織物が提案されている。しかし、これらの細デニールを使った織物はノンコートバッグとして使用する場合は、通気度を低下させるために高密度織物とする必要があり、極めて粗硬となるだけでなく、引裂強力など織物自体の機械特性も低下し、バッグの軽量化、コンパクト化という点からは顕著な効果は認められない。そこで、もっと細デニールの原糸を使って、極端に軽い織物を作成し、エアバッグの軽量化を更に進めるという提案がなされている。 U S P 5 4 8 2 3 1 7には、 4 5デニールから 1 4 0デニールまでのナイロン 6 6を使用した織物を用いたェアバッグが記載されている。これらの織物の目付は、従来のエアバッグ用織物の半分、又はそれ以下で軽量化の観点からは従来のレベルを超えている。しかし、織物自体の機械特性が従来のエアバッグ用織物よリ不足しているため、上記発明のエアバッグは外周形状を矩形とし、外周部の縫製を無くすことで袋体の耐圧性を確保しようとするものである。しかし、矩形バッグは展開時に四角の角部が形成され、角部の乗員への接触などの影響も考えられる。また、本特許には展開時に衝撃的な力が最も大きく作用するィンフレーター取付口の強度確保がなされておらず、実用的な性能の点から機械特性の不足が懸念される。

一方、前記した小型化されたインフレ一ターは、内部構造やガス発生剤の燃焼特性などから、発生するガスの温度が高くなるものもあった。

そこで、細い糸を用いた織物に耐熱性を付与するための被覆加工を施すことも検討されている。

例えば、特開平 1 0— 1 9 4 0 6 3号公報には、 3 0 0〜4 0 0 デニールの糸から成り、カバ一フアクター 1 5 0 0〜 2 5 0 0である織物の表面にシリコーンゴムを 3 0〜 5 0 g / ^l塗布することにより、比較的細い糸を使った織物の機械特性を改良し、耐熱性を付与することが提案されている。

また、特開平 4— 3 5 2 8 4 3号公報には、従来用いられている糸の強度より 5 0 %以上高い、強度 1 5 g /デニール以上である 1 0 0〜 5 0 0デニールの糸条よりなるカバ一ファクタ一が 1 0 0 0〜 2 0 0 0の織物の少なくとも片面に 1 0〜 9 0 g / m 'のゴムまたは樹脂層を配したエアバッグ用生地も提案されている。後者の技術は、細い糸で構成された織物の強力不足を高強度の糸を用いることで補ない、かつ比較的多量の被覆材を織物に施し、気密性ならびに耐熱性を確保するものである。しかし、これらの発明は、いずれもエアバッグ用基布に関するものであり、エアバッグとして実用するための製袋方法については何ら示唆されておらず、細い糸を使用して織物の目付を低下させても被覆材の量も比較的多いため、本発明の目的とする軽量でコンパク卜に収納できるエアバッグを得ることはできない。発明の開示

本発明は、第 1の課題として、従来のエアバッグより更に軽く、コンパク卜に収納でき、かつ堅牢な袋体構造とりわけ強固な取付口を保有したエアバッグを提供するものであり、更には第 2の課題としてィンフレーターから発生するガスを有効にエアバッグ展張に活用することができ、かつインフレ一ターからの熱ガスに対しても優れた耐熱性を有するエアバッグを提供するものである。

本発明者は、細い糸を用いた特定の織物構造をもつ薄い織物をェアバッグとして実用化するための縫製法に関し鋭意工夫を行った結果、特定の縫製条件を適用することにより前記第 1の課題を解決することができた。

また、本発明になる織物に極めて少量の耐熱性エラス卜マーを付与したエアバッグ用基布と上記縫製条件とを組み合わせることにより前記第 2の課題を解決することができた。

すなわち、本発明は、

( I ) 複数の部材を縫合して構成されてなるエアバッグであって、このエアバッグの本体が、デニールが 1 5 0デニール未満の原糸を用いた、カバーファクターが 2 1 0 0以上である織物により構成され、エアバッグ本体に係わる縫合部の少なくとも一部が下記 ( 1 ) 式 { ( 1 A) 式および（ 1 B) 式 } に示す縫糸番手 Tならびに運針数 S (針センチメートル）の条件で縫製されていることを特徴とする軽量エアバッグ、

( 1 ) ( 1 A) 1 0 <T≤ 6 0

( I B) 2≤T/ S≤ 8

(II) 複数の部材を縫合して構成されてなるエアバッグであって、このエアバッグの本体が、デニールが 1 5 0デニール未満の原糸を用いた目付けが 1 4 0 g/m²以下の織物により構成され、ェァバッグ本体に係わる縫合部の少なくとも一部が下記（2) 式

{ ( 2 A) 式および（ 2 B) 式 } を満足する縫糸番手 Tならびに運針数 S (針ノセンチメートル）の条件で縫製されていることを特徴とする軽量エアバッグ、

( 2 ) ( 2 A) 2 0≤ T≤ 60

( 2 B) 2≤ T/ S≤ 8

(III) カバーファクタ一が 2 1 00以上である織物によりェアバッグの本体を構成した、前記 (II) 記載の軽量エアバッグ、

(IV) 対向した基布の周縁部を縫合して袋体となされたエアバッグであって、このエアバッグの周縁部の縫合条件は、（ 1 ) 式または（ 2) 式のいずれかを満足するように縫合された、前記（ I ) 乃至（III) のいずれかに記載の軽量エアバッグ、

(V) インフレ一タ取付口を備え、かつその周辺部に補強布が（ 1 ) 式または（ 2) 式を満足するように縫付固定された、前記（ I ) 乃至（III) のいずれかに記載の軽量エアバッグ、

(VI) 排気口を備え、かつその周辺部に補強布が（ 1 ) 式または ( 2) 式を満足するように縫付固定された、前記（ I ) 乃至

(III) のいずれかに記載の軽量エアバッグ、

(VII) 吊紐を備え、その吊紐はエアバッグ本体基布に（ 1 ) 式または（2) 式を満足するように縫付固定された、前記（ I ) 乃至

(III) のいずれかに記載の軽量エアバッグ、

(VIII) 吊紐'を備え、その吊紐は袋体に補助布を介して縫付固定され、前記補助布はエアバッグ本体基布に（ 1 ) 式または（ 2) 式を満足するように縫付固定された、前記（ I ) 乃至（III) のいずれかに記載の軽量エアバッグ、

(IX) 袋体のィンフレータ取付口周辺部への補強布の縫付固定は、袋体を構成する織物とィンフレータ取付口周辺部に固定する補強布とをそれぞれ織物の糸軸方向を一致して重ね合わせ縫い付け、ィンフレータ取付口の中心を通る補強布の糸軸線上又は該糸軸線と平行な線上にインフレータ固定用の開孔部を設けた、前記（V) 記載の軽量エアバッグ、

(X) エアバッグの本体を構成する織物に付着量 1 O g/m²以下の耐熟性エラス卜マーを付与した、前記（ I ) ，（II) ， (III) および（IX) のいずれかに記載の軽量エアバッグ、

に関する。図面の簡単な説明

図 1は、エアバッグの袋体の一部を構成するィンフレーター取付口を備えた円形布の実施例を示す説明図である。

図 2は、同上円形布と縫製される別の円形布の説明図である。図 3は、袋体のィンフレーター取付口周辺の補強布の説明図である。

図 4は、円形布のインフレ一ター取付口周辺への補強布 A、 Bの縫い付け固定の説明図である。

図 5は、補強布の糸軸とィンフレーターへの固定用ボルト孔の位置関係の説明図である。

図 6は、エアバッグの概念図である。発明を実施するための最良の形態

本発明のエアバッグは、 1 50デニール未満の細い糸を用いた、カバーファクタ一が 2 1 00以上の高密度織物から構成される。使用する糸が細い程、薄くて軽い織物が得られるが、細くなり過ぎると織物の機械'特性が不足し、本発明の縫製条件を適用してもェアバッグとしての実用性に欠ける。したがって、本発明の糸は、 1 5 0 デニール未満、好ましくは 6 0デニール以上 1 5 0デニール未満、より好ましくは 1 0 0デニール以上 1 5 0デニール未満とすればよい。 1 5 0デニール以上の糸を用いると、目的とするエアバッグの軽量、コンパク卜性が十分なレベルに達することができない。

また、織物のカバーファクタ一は 2 1 0 0以上、より好ましくは 2 2 0 0〜 2 6 0 0、更に好ましくは 2 2 5 0〜 2 6 0 ◦の範囲がよい。

ここで、織物のカバ一ファクター（C F) は、織物構造の緻密さを示す指数で、織物の経糸および緯糸のデニール（D_wおよび D_F) と織物の経密度および緯密度（N_wおよび N_F) から求められる。

カバーファクターが 2 1 0 0未満の場合、織物は軽くなるものの、引張強力などの機械特性が不足し、エアバッグとしての気密性が不足する。また、 2 6 0 0以上の場合は、織物が粗硬になり、逆に引裂き強力などの機械特性が低下し、織物の重量も増加する。

本発明になる織物の目付は、 1 4 0 g /m²以下であることが望ましく、好ましくは 8 0 g/m²〜 1 4 0 g / ²、より好ましくは 1 0 0 g Zm²〜 l 4 0 g /m²の範囲とすればよい。 1 4 0 g/ m²以上の場合は、本発明の目的とする更なる軽量化、コンパクト性を達成することができない。

また、本発明には、付着量 1 0 gZm²以下の耐熱性エラストマ —を付与した織物を用いてもよい。側突保護用のサイドバッグなどの高度な気密性を求められる場合や、使用するインフレ一ターの出力、ガス温度などの特性によってコート織物がエアバッグに求められる特性をより好ましく満足できる場合に用いればよい。

従来、エアバッグ用基布の気密性や耐熱性を高めるため、コーテイング加工などが行われてきたが、適用される織物は、カバーファクタ一が 2 0'0 0以下の低〜中密度の織密度であり、付与されるゴムまたは樹脂の塗布量も 2 0 gZm²〜 1 0 0 gZm²の範囲のものが多く、得られた基布の重量や厚さも大きいものになった。

本発明では、細い糸を高密度に織った織物を用いることで樹脂加ェなどの手段を採らずに低通気性の基布を得ることができるが、更に 1 0 g/m'以下、好ましくは 2 g/m²〜 8 gZm²の極めて少量の耐熱性エラス卜マ一を付与することにより、従来のコ一ティング基布と同等の不通気性と耐熱性を保有することができる。更に、少量の耐熱性エラストマ一は、細い糸の高密度織物の機械特性、特に引裂き強力を改良する上で有効である。付着量が 1 0 gZm²以上では基布の気密性、機械特性の向上の点では十分であるが、エアバッグの軽量化、コンパク卜性の点からは好ましくない。

本発明において、極めて肝要なことは、細い糸を用いて高密度に製織した軽くて薄い織物に、特定の縫製条件を用いてエアバッグを製造することである。

すなわち、本発明における縫製条件は、縫糸番手 Tを 1 0ぐ

6 0、好ましくは 2 0 T 6 0の範囲にすることである。更に、運針数 S (針 Zc m) と縫糸番手 Tとの関係を 2 TZS 8の範囲にすることである。

従来、エアバッグに使用されている基布は、 3 1 5デニール以上の太い糸を用いた、 1 7 0〜 1 8 0 g/m²以上の目付を持った比較的しっかりした織組織の織物であり、この基布を裁断して得られる各種パーツを縫い合わせ袋体を構成する際には、 1 0番手以下、すなわち、 7 50デニール以上の縫糸番手である太い縫糸を用いて縫製していた。又、縫製時に使用するミシン針も縫糸に対応した太いミシン針を使用していた。

しかし、本発明に使用される 1 50デニール未満の原糸を用いた柔軟な織物を縫製する場合、従来と同様の縫製法では、基布を損傷する恐れがあった。特に、従来の 3 1 5デニール以上の原糸を構成する単糸は、単糸デニールが 3デニール以上であり、 1本、 1本の糸が比較的太いものであるのに対し、 1 50デニール未満の原糸の単糸は、 2デニールあるいはそれ以下の細い場合であることが多く、太い縫糸番手とそれに対応した太いミシン針を用いて縫製すると、単糸がミシン針の先端により傷付いたり、太い番手の縫糸が貫通することにより、織物に無理やり大きな縫目穴を形成する傾向にある。一方、エアバッグのィンフレーター取付口周辺を補強布で補強、固定する部位、特にインフレ一ターに固定するための又はインフレ —ターに固定するための支持金具取付用のボルト孔又はスリッ卜に近接し、かつ取付口よリ遠い側に位置する縫目にはバッグ展開時に瞬時に大きな負荷が発生する。

本発明になる細い原糸を用いた、軽くて柔軟な織物を従来通リの縫製法により袋体を作成した場合、ミシン針により破損を受けた糸や大きな縫目穴が発端となってインフレ一ター取付口周辺部や場合によっては本体外周部が展開時の衝撃力により破損する恐れがあつた。

本発明は、すでに述べたように、デニールが 1 5 0デニール未満、カバーファクタ一が 2 1 0 0以上または目付が 1 4 0 g/m '以下の、極めて薄くて柔軟な織物でもエアバッグ展開時の衝撃に耐え得るよう、特定の縫製法により縫製されたエアバッグに関するものである。

本発明になる縫製条件は、縫糸番手 τまたは縫糸番手 Tと運針数 S (針 Zc m) の適性範囲を特定したものであり、下記に示す（ 1 ) 式または（ 2) 式のいずれかを満足するものである。

( 1 ) ( 1 A) 1 0 <T≤ 6 0

( I B) 2≤ T/ S≤ 8

または

( 2) ( 2 A) 2 0 <T≤ 6 0

( 2 B) 2 <T/ S≤ 8

図 6に示すものは、エアバッグの概念図であり、本発明は、図 6 における本体基布の外周、取付口補強布並びに排気孔補強布、吊紐固定などの縫合部の運針数とその縫糸番手を重要な要件とするものである。

本発明でば、エアバッグ本体の外周、排気孔の補強布、インフレ —ター取付口の補強布あるいは吊紐の固定など、エアバッグの縫合部の少なくとも一部に使用する縫糸の縫糸番手 Tを、 1 0<T

6 0、好ましくは 2 0 T≤ 6 0、更に好ましくは 2 0≤T 5 0 の範囲にすることが必要である。 1 0番手より小さい番手、即ち、太い縫糸では、織物に大きな縫い目穴を形成することになり、 6 0 番手より大きい番手、即ち、細い縫糸では縫い合わせ部の補強効果が小さい。ここでいう縫糸番手とは、 J I S L— 2 5 1 0、 L一 2 5 1 1、及び L一 2 5 1 2に規定される化合繊縫糸と呼ぶ縫糸の番手を示し、フィラメント糸縫糸の場合は、番手とデニールの関係は、概略以下のとおりであり、 1 0番手が 7 4 0〜8 6 0デニール、 2 0番手が 6 0 0〜7 2 0デニ一ル、 3 0番手が 4 0 0〜4 8 0デニール、 4 0番手が 2 7 0〜 3 3 0デニール、 5 0番手が2 0 0〜 24 0デニール、 6 0番手が 1 4 0〜 1 7 0デニールである。紡績糸縫糸の場合は前記各 J I Sに記載の数値表のデシテックスから換算すればよい。

又、本発明では、縫糸番手 Tに対する適正な運針数 S (針ノ c m) を用いることにより、最適な縫目強力を得ることができる。即ち、 2≤T/ S≤ 8 , 好ましくは 3 T/S≤ 7 となるように縫糸番手 Tに対する運針数 S (針/ c m) を特定することが肝要である。

T/Sが 2よリ小さいと縫目が密になり、縫い合わせ部が粗硬となるだけでなく、縫製の為の工数も増える。又、 TZ Sが 8より大きいと、縫目が粗になり過ぎ、適性な縫目強力を確保することができない。本発明の縫製に用いるミシン針は、従来のエアバッグに用いられている針番手 2 0番手以上の太い針より、 2 0番手以下の細いミシン針、例えば 1 8番手、 1 6番手などを用いるとよい。又、針の先端部の丸い、ボールボイン卜型と呼ぶミシン針を用いると更に効果的である。又、本発明になる縫目仕様は、使用する織物、ノッグ仕様、要求される取付口強度などに応じて選定すればよく、例えば、本縫い、二重環縫い、片伏せ縫い、オーバーロック縫い、安全縫い、千鳥縫い、扁平縫いなどがあり、これらの組合せでも良い。本発明において、使用する縫糸が、上糸、下糸などで糸番手の異なる場合は、いずれの縫糸も本発明の関係式（ 1 ) 式または（ 2 ) 式の関係を満足することが望ましいが、上糸又は下糸などいずれか一方のみが（ 1 ) 式または（ 2 ) 式の関係を満足すればよい。本発明に使用する縫糸は、一般に化合繊縫糸と呼ばれるものや工業用縫糸として使用されているものの中から適宜選定すればよく、例えばナイロン 6、ナイロン 6 6、ポリエステル、ビニロン、ァラミド、フッ素系、カーボン、ガラスなどがぁリ、紡績糸、フィラメント合撚糸、フィラメント樹脂加工糸のいずれでもよい。

更に、本発明は、エアバッグの外周を特定の縫製条件で縫製したエアバッグである。縫目仕様は、本縫い、二重環縫い、片伏せ縫い、オーバ一ロック縫い、安全縫い、千鳥縫い、扁平縫いなどから適宜選定すればよい。又、縫製条件は、本発明の前記（ 1 ) 式または ( 2 ) 式を満足するようにすればよい。

本発明のィンフレーター取付口に補強布を固定する場合、特定の縫製条件で縫製することにより、エアバッグの破裂強度を高めることができる。

本発明のエアバッグに設けられた排気孔に補強布を設ける場合にも、特定の縫製条件で縫製することが好ましい。又、エアバッグの初期突出抑制と展開形状の早期安定のために設ける吊り紐を、袋体本体に縫い付け固定する場合も特定の縫製条件で縫製することが好ましい。更に、本発明になるエアバッグの他の部材、例えば、熟ガスの偏向布、防炎布などの固定の縫製についても、本発明の前記関係式を満足することが好ましい。

本発明の好ましい態様として、袋体を構成する織物と、そのインフレーター取付口周辺に固定する補強用織物（補強布）とをそれぞれの織物の糸軸方向を一致させて重ね合せ縫い付け、インフレータ —取付口の中心を通る補強用織物の糸軸線上、又は該糸軸線と平行な線上に、ィンフレーター固定用の開口部を設けたことを特徴とするエアバッグがある。

袋体の織物と、取付口補強布に用いる織物のそれぞれの織物の糸軸方向を一致させて縫い付け、かつインフレータ一取付口の中心を通る補強用織物の糸軸線上又は該糸軸線と平行な線上にィンフレーター固定用の開口部を設けることにより、バッグ展開時に大きな衝撃力の発生する取付口の強さを向上することができる。ここで、ィンフレータ—固定用の開口部とは、ィンフレーター取付け用ボル卜孔、ィンフレーター取付のために使用される固定金具用のボルト孔及び/又はスリツ卜を含むものとする。

本発明のエアバッグの取付口形状は、円、長円、楕円、正方形、長方形、菱形など、通常、使われている形状から選べばよく、特に限定するものではない。

本発明になるエアバッグのインフレータ一取付口周辺の補強に用いられる補強布は、袋体に用いられたものと同じ織物でも良いが、別途、準備した補強用織物、例えばナイロン 6 6の 8 4 0デニ—ル、 4 2 0デニール又は 3 1 5デニールなどを用いて作成された本発明のエアバッグ用織物より厚手織物の単独又は複数枚を用いても良い。ここでいう、補強布は、インフレ一ターから噴出する熱ガスを ¾断するための防炎布を含むものとし、補強布に耐熱性を付与するために、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの耐熱性樹脂、耐熱性ゴムなどを塗布してもよいし、ァラミド繊維などの耐熟性繊維を用いた布を使用してもよい。

本発明になるエアバッグの適用部位は、運転席、助手席、サイド

(インフレ一タブルカ一テンを含む）、後部席など通常、使用されているエアバッグの中から適宜選定すればよく、エアバッグの袋体の裁断形状も、円形、長円形、楕円形、矩形、多角形、あるいはこれらの組合せなど、いずれでもよく、要望される展開形状を満足するものであればよい。

本発明の織物の製造は、通常の工業用織物を製織するのに用いられる各種織機から適宜選定すればよく、例えば、シャトル織機、ゥオータージェット織機（W J L ) 、エアージェット織機（ A J L ) 、レビア織機、プロジェクタィル織機などから選べばよい。織物の組織も、平織、斜子織（バスケット織）、緩織、格子織（リップ * ストップ織）あるいはこれらの複合組織など、いずれでも良く、場合によっては、ドビー装置ゃジャカード装置などを織機に併用して各種変則組織としても良い。

本発明のエアバッグを構成する織物は、ィンフレーターの性能、エアバッグの容量、使用部位などによっては、耐熟性エラス卜マ一を付与して不通気性加工を行ってもよいし、全く不通気性加工を施さないノンコート織物でもよい。ノンコート織物の場合、精練、乾燥、熱セットなどを行えばよく、然セット温度などの条件は、通気性、機械特性などを考慮して選定すればよい。

また、この織物を構成する繊維糸条は特に限定するものではなく、例えば、ナイロン 6、ナイロン 6 6、ナイロン 4 6、ナイロン 6 1 0、ナイロン 6 1 2などの単独、またはこれらの共重合、混合により得られるポリアミド繊維；ポリエチレンテレフタレート、ポリ卜リメチレンテレフタレ一ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの単独、またはこれらの共重合、混合により得られるポリエステル繊維、パラフエ二レンテレフタルアミド、およびこれと芳香族エーテルとの共重合体などに代表されるァラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ビニロン繊維、超高分子量ポリエチレンなどのポリオレフィン繊維、塩化ビニル系および塩化ビ二リデン系繊維、ポリテトラフルォロエチレン系を含むフッ素系繊維、ポリサルフォン（P S ) 繊維、ポリフエ二レンサルフアイド系繊維（P P S ) 、ポリエーテルエーテルケトン系（P E E K ) 繊維、ポリイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、高強力レーヨンを含むセルロース系繊維、アクリル系繊維、炭素繊維、ガラス繊維、シリコーンカーバイド（ S i C ) 繊維、アルミナ繊維、などから適宜選定すれば良いが、場合によっては、スチールに代表される金属繊維などの無機繊維を含んでもよい。

これらの繊維糸条には紡糸性や加工性、材質の耐久性を改良するために通常使用されている各種の添加剤、例えば耐熟安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、 '凝水剤、铌油剤、酸化チタンなどの隠べい剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤、などの一種または二種以上を使用してもよい。また、場合によっては、加撚、嵩高加工、捲縮加工、捲回加工などの加工を施してもよい。

更に、糸条は、長繊維のフィラメント、短繊維の紡績糸、これらの複合糸など、特に限定しない。

本発明の好ましい態様として、付着量 1 0 g Z m²以下の耐熱性エラストマ一を付与した織物を用いても良い。

耐熟性エラス卜マーの付与方法は、 1 ) コーティング法（ナイフ、キス、リバースなど）、 2 ) 浸漬法、 3 ) 印捺法（スクリーン、口ール、ロータリーなど）などの加工法によればよく、耐熱性エラストマ一も、溶剤系、ェマルジヨン系、水溶液系、微粉末系などいずれでも良い。

本発明に用いられる耐熱性エラストマ一は、前記加工法が適用できる材料であれば良く、例えば、シリコーン系、フッ素系、塩素系、ポリウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、クロルスルフォン系、フエノール系、アクリル系、などの一種または二種以上の混合物、あるいは共重合物などの中から適宜選定すれば良いが、織物の機械特性改良、耐熱性などの点からシリコーン系、フッ素系、ポリウレタン系が特に好ましい。

耐熱性エラス卜マーは、織物の少なくとも一方の表面、織物の間隙部あるいは繊維糸条の間隙の一部または全部など、いずれに介在させても良い。

また、耐熟性エラス卜マ一には基布との密着性を向上するための各種前処理剤、接着向上剤などを添加しても良いし、予め織物表面にプライマー処理などの前処理を施してもよい。更に、該ェラストマーに耐熱性、老化防止性、耐酸化性などを付与するための加工剤を添加してもよい。該エラストマ一の物理特性を向上させるため、エラス卜マーを織物に付与した後、乾燥、架橋、加硫などを熟風処理、接触熱処理、高エネルギー処理（高周波、電子線、紫外線）などにより行っても良い。

耐熱性エラス卜マーの付与は、インフレ一ターの性能、エアバッグの容量、使用部位などに応じて行えばよく、ノンコ一卜織物から成るエアバッグの一部に該エラス卜マ一を付与した織物を併用しても良い。

実施例

以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。実施例の中で、エアバッグ並びに織物の性能評価は以下の方法によった。

( 1 ) 引裂強力

J I S L— 1 09 6 (6. 1 5. 1 A— 1法 =シングルタング法）に準じて、織物の引裂強力を評価した。測定は、経方向、緯方向それぞれ N = 3の平均値とした。

( 2) 縫目強力

J I S L— 1 0 9 3 (6. 1法 =グラブ法）に準じて、表 1 及び表 3はィンフレーター取付口の補強布固定、表 2は外周縫合の縫製仕様により織物の縫目強さを評価した。測定は、織物の経方向のみ行い、 N= 5の平均値とした。

(3) 展開試験

運転席用ィンフレーター A、 Bの 2種（非ァザィド型、 6 0リットルの最高タンク圧 Aは 1 8 5 k p a、 Bは 2 0 0 k p a) 、固定金具、樹脂製カバ一を使用し、バッグを折り畳みモジュールに組み込み、 8 5°Cで 4時間予熱後、展開試験を行い、バッグの最大内圧を求め、展開後のバッグの損傷状態を観察した。

実施例 1

ナイロン 6 6繊維 1 2 0 d / 1 0 2 f (原糸強度 6. 5 g/d) を用いて、織物密度経 1 1 4本/吋、緯 9 6本ノ吋の平織物を製織した。この織物を精練、熟セットし、経 1 1 5本ノ吋、緯 9 6本/ 吋のノンコート織物を得た。織物の目付は 1 2 6 111²であった。次に、ノンコー卜織物から、図 1、 2に示す外径 7 2 0 mmの円形布（ 1， 2) を 2枚裁断し、一方の円形布 1の中央部にインフレーター取付口として 0 7 0 mmの開口を設け、更に排気孔として ø 3 5 mmの円形穴を 2ケ所設けた。一方、インフレ一ター取付口の補強布用に、ナイロン 6 6繊維 4 20 dZ7 0 f を用いて、平織物 A、 Bを製織し、精練、熱セットした。得られた平織物 Aは、織 W 1 4

15

物密度経、緯いずれも 5 3本吋でノンコート織物として使用し、平織物 Bは、織物密度、経、緯いずれも 4 6本 Z吋で、シリコーンゴムを 4 0 g/m'塗布して、コート織物として使用した.。平織物 A、 Bから、インフレ一ター取付口の補強布片として、図 3に示す外径 2 2 0 mm, 内径 7 0 mmのドーナツ状布を各 1枚ずつ裁断した。

円形布 1の中央部に平織物 Aから裁断したノンコート補強布片 A を図 4の右側に示すように、円形布と補強布のそれぞれの糸軸方向を合わせて重ね、縫目径 0 1 9 5 mm (外層）、 0 1 3 5 mm (中層）の部位で縫い合わせた、縫糸は、上糸、下糸ともナイロン 6 6 糸の 3 0番糸を用い、運針数 6針 mの本縫いで 1 6番手のミシン針により縫い合わせた。更に、その上に、平織物 Bから裁断した前記図 3に示したものと同一の形状、構造のコート補強布 B (図 4 左側）を補強布 Aと同様に糸軸方向を合せて重ね、縫目径 0 7 6 m m (内層）で縫い合わせた。縫糸は、上糸、下糸ともナイロン 6 6 系の 5番糸を用い、運針数 4. 5針 Z c mの本縫いで 2 3番手のミシン針により縫い合わせた。更に、排気孔の補強布片として、平織物 Aから外径 φ 6 5 mm, 内径 φ 3 5 mmのドーナツ状布を 2枚裁断し、円形布 1の排気孔に、それぞれ 1枚ずつ重ね合わせて、縫目径 0 5 0 mmで縫い合わせた。縫糸は上糸、下糸ともナイロン 6 6 糸の 3 0番糸を用い、運針数 4針/ c mの本縫いで 1 6番手のミシン針により縫い合わせた。

そして、補強布片が縫い合わされた円形布 1の中央部に穴径 φ 5. 5 mmのインフレ一ター取付用ボルト孔を開孔した。開孔した位置は、図 5に示すように円形布 1及び補強布の糸軸方向とした。更に円形布 1 (図 1 ) と 2 (図 2) を、それぞれの糸軸を 4 5° ずらした位置で重ね合わせ、外周径から 2 0 mm内側を縫い合わせた。縫糸は、上糸がナイロン 6 6糸の 8番糸、下糸がナイロン 6 6 糸の 3 0番糸を用い、運針数 5針 Z c mの二重環縫い（二列）で 1 8番手のミシン針により縫い合わせた。

得られたエアバッグを取付口から反転し、展開試験に供した。又、 J I S L- 1 09 3に準じて、円形布に使用した織物同志を用い、インフレーター取付口の中層及び外層と同じ縫製条件で試料を作成し、縫目強力を測定した。その結果を表 1に示す。

展開後のバッグは、インフレ一ター取付口、外周部いずれも破損などは認められなかった。又、縫目強力も高いレベルにあった。

比較例 1

実施例 1において、インフレーター取付口の中層と外層の縫い合わせを

( 1 ) ナイロン 6 6糸の 8番糸を用い、運針数 3. 5針ノ c mの本縫い、ミシン針は 2 2番手

( 2) ナイロン 6 6糸の 8 0番糸を用い、運針数 9針 mの本縫い、ミシン針は 1 2番手

の 2条件で行った以外は、実施例 1に準じて、エアバッグと縫目強力測定用の試料を作成した。実施例 1 と同様に各試験に供した。その結果を表 1に示す。

条件（ 1 ) は、縫目強力は高いが、織物が破断した。バッグの展開試験は取付口の外層縫目からバッグ袋体が破損した。

条件（ 2) は、縫目強力が低く、縫糸が切断した。バッグ展開試験は、取付口の中層及び外層縫目の縫糸が切断し、補強布とバッグ袋体が分離した結果、やはり縫目付近から袋体が破断した。

実施例 2

ナイロン 6 6繊維 1 4 0 d/8 4 f (原糸強度 8. 0 g/d) を用いて、織物密度が経、緯いずれも 9 9本/吋の平織物を製織した。この織物を精練、熟セットし、織密度が経、緯いずれも 9 9. 5本 Z吋のノンコー卜織物を得た。織物の目付は 1 3 8 g/m²であつた。

この織物をエアバッグの袋体として用い、インフレータ一取付口の中層、外層の縫目を、縫糸を上糸、下糸ともナイロン 6 6糸の 2 0番糸、 1 8番手のミシン針を用い、運針数 4. 5針 Zc mの本縫いとした以外は、実施例 1に準じてエアバッグ及び縫目強力測定用の試料を作成した。なお、実施例 2においては、吊り紐として（吊り紐については図 6参照）平織物 Bのバイアス方向から幅 8 0 mm、長さ 6 0 0 mm の短冊状で、両端と中央に縫付部として、 1 2 O mmの膨らみを持たせた布片を裁断して、吊り紐の中央部を円形布 2の中央に重ね合わせて、ナイロン 6 6糸の 3 0番糸を用い、運針数 6針 c mの本縫いで、円形に 0 1 0 0 mm、 ø 9 0 mmの二列で縫い付け、吊り紐の両端は、外周縫製後に円形布 1に縫い付けた、織物 Aから採取した図 3 ( 2 ) に示す形状の 2枚の補強布の上下に延設された耳部に挾み、ナイロン 6 6糸の 8番手を用いて、本縫いして運針数 3. 5針/ c mで縫い付け固定した。実施例 1 と同様に試験し、その結果を表 1に示す。

展開後のバッグは、インフレ一ター取付口、外周部いずれも破損などは認められなかった。又、縫目強力も高いレベルにあった。比較例 2

実施例 2において、インフレータ一取付口の中層、外層の縫目を縫糸を上糸、下糸ともナイロン 6 6糸の 3 0番糸、 1 6番手のミシン針を用い、運針数 3. 5針/ c mの本縫いとした以外は、実施例 2に準じて、エアバッグおよび縫目強力測定用の試料を作成した。実施例 2と同様に試験した結果は表 1の通りである。

1

00

備考：展閒験にはィンフレーク Αを使 fflした _c

実施例 3

ナイロン 6 6繊維 1 4 0 d/6 8 f (原糸強度 8. 2 g/d) を用いて、織物密度が経および緯いずれも 9 0本/吋の平織物を製織した。この織物を精練、熱セットし、経 9 3本 /"吋、緯 9 1本吋のノンコー卜織物を得た。織物の目付は 1 2 2 gZm²であった。次に、ノンコート織物から、図 1、 2に示す外径 ø 7 2 0 mmの円形布（ 1 , 2) を 2枚裁断し、一方の円形布 1の中央部にインフレーター取付口として 7 O mmの開口を設け、更に排気孔として 3 5 mmの円形穴を 2ケ所設けた。一方、インフレ一ター取付口の補強布用に、ナイロン 6 6繊維 4 2 0 dZ7 0 f を用いて、平織物 A、 Bを製織し、精練、熱セッ卜した。得られた平織物 Aは、織物密度経、緯いずれも 5 3本/吋のノンコ一ト織物として使用し、平織物 Bは、織物密度、経、緯いずれも 4 6本ノ吋で、シリコーンゴムを 4 0 gZni²塗布して、コート織物として使用した。平織物 A、 Bから、インフレ一ター取付口の補強布片として、図 3に示す外径 ø 2 20 mm, 内径 φ 7 0 mmのドーナツ状布を各 1枚ずつ裁断した。

円形布 1の中央部に平織物 Aから裁断したノンコー卜補強布片 A を図 4に示すように、円形布と補強布のそれぞれの糸軸方向を合わせて重ね、縫目径 Φ 1 9 5 mm (外層）、 1 3 5 mm (中層）の部位で縫い合わせた。縫糸は、上糸、下糸ともナイロン 6 6糸の 2 0番糸を用い、運針数 5針 Zc mの本縫いで 1 8番手のミシン針により縫い合わせた。更に、その上に、平織物 Bから裁断した前記図 3に示したものと同一の形状、構造のコ一ト補強布 Bを補強布 A と同様に糸軸方向を合わせて重ね、縫目径 φ 7 6 mm (内層）で縫い合わせた。縫糸は、上糸、下糸ともナイロン 6 6系の 5番糸を用い、運針数 4. 5針/ c mの本縫いで 2 3番手のミシン針により縫い合わせた。

更に、排気孔の補強布片として、平織物 Aから外径 φ 6 5 mm、内径 3 5 mmのドーナツ状布を 2枚裁断し、円形布 1の排気孔に、それぞれ 1枚ずつ重ね合わせて、縫目径 Φ 5 0 mmで縫い合わせた。縫糸は上糸、下糸ともナイロン 6 6糸の 3 0番糸を用い、運針数 4 針/ c mの本縫いで 1 6番手のミシン針により縫い合わせた。

そして、補強布片が縫い合わされた円形布 1の中央部に穴径 ø 5. 5 m mのインフレータ一取付用ボルト孔を開孔した。開孔した位置は、図 5に示すように円形布 1及び補強布の糸軸方向とした。

更に円形布 1 (図 1 ) と 2 (図 2) をそれぞれの糸軸を 4 5° ずらした位置で重ね合わせ、図 6に示すように外周径から 2 0 mm内側を縫い合わせた。縫糸は、上糸、下糸がナイロン 6 6糸の 2 0番糸を用い、運針数 5針 Z c mの二重環縫い（二列）で 1 8番手のミシン針により縫い合わせた。

得られたエアバッグを取付口から反転し、展開試験に供した。展開後のバッグは、インフレ一ター取付口、外周部いずれも破損などは認められなかった。又、縫目強力も高いレベルにあった。比較例 3

実施例 3において、円形布 1 と 2の外周部の縫合せを、

( 1 ) ナイロン 6 6糸の 8番手を用い、運針数 3. 5針 c mの二重環縫い（二列）、ミシン針は 2 2番手

( 2) ナイロン 6 6糸の 8 0番手を用い、運針数 9針 Zc mの二重環縫い（二列）、ミシン針は 1 2番手

の 2条件で行った以外は、実施例 1に準じて、エアバッグと縫目強力測定用の試料を作成し、実施例 1 と同様に各試験に供した。その結果を表 2に示す。

条件（ 1 ) は展開試験では、外周縫目からバッグの本体が破損した。

条件（ 2) はバッグ展開試験では外周縫目の縫糸が切断した。比較例 4

実施例 3において、エアバッグ本体の織物として、織密度が経、緯いずれも 8 8本 Z吋で、目付けが 1 1 6 gZm^zのノンコート織物を用いた以外は、実施例 3に準じてエアバッグを作成し、実施例 3と同様に試験した。その結果を表 2に示す。

カバ一ファクターが 2 1 0 0以下の場合、織物の機械強力が不足するため、縫目強力が低く、展開試験ではインフレ一ター取付口の外層縫目から本体基布が破損した。

CM

実施例 4

ナイロン 6 6繊維 1 4 0 d/6 8 f (原糸強度 8. 2 g/d) を用いて、織物密度が経 9 2本/吋、緯 9 6本吋の平織物を製織し、この織物を精練、熱セットし、経 9 6本吋、緯 9 8本/吋のノンコート織物を得た。織物のカバ一ファクタ一は 2 2 9 5、目付けは 1 34 g/m²であった。次いで、シリコーンゴムの溶剤溶液をコ —ティング（ロールコ一タ一法）によりノンコート織物の片面に塗布し、乾燥、熟処理しコート織物を得た。シリコーンゴムの塗布量は S gZm' (固型分換算）であった。

次に、コート織物から、図 1、 2に示す外径 ø 7 2 0 mmの円形布（ 1. 2) を 2枚裁断し、一方の円形布 1の中央部にインフレ一ター取付口として 0 7 0 m mの開口を設け、更に排気孔として ø 3 0 mmの円形穴を 2ケ所設けた。一方、インフレ一ター取付口の補強布用に、ナイロン 6 6繊維 4 2 0 d Z7 0 f を用いて、平織物 A、 Bを製織し、精練、熱セットした。得られた平織物 Aは、 ^物密度経、緯いずれも 5 3本吋のノンコート織物として使用し、平織物 Bは、織物密度、経、緯いずれも 4 6本/吋で、シリコーンゴムを 4 0 g/m²塗布して、コート織物として使用した。平織物 A、 Bから、インフレ一ター取付口の補強布片として、図 3に示す外径 0 2 2 0 mm, 内径 07 0 mmのドーナツ状布を各 1枚ずつ裁断した。

円形布 1の中央部に平織物 Aから裁断したノンコ一ト補強布片 A を図 4に示すように、円形布と補強布のそれぞれの糸軸方向を合わせて重ね、縫目径 ø 1 9 8 mmと φ 1 9 2 mm (外層）、 0 1 3 5 mm (中層）の部位で縫い合わせた。縫糸は、上糸、下糸ともナイロン 6 6糸の 2 0番糸を用い、運針数 5針 c mの本縫いで 1 8番手のミシン針により縫い合わせた。更に、その上に、平織物 Bから裁断した前記図 3に示したものと同一の形状、構造のコート補強布 Bを補強布 Aと同様に糸軸方向を合わせて重ね、縫目径 Φ 7 6 mm

(内層）で縫い合わせた。縫付け条件は、中層および外層に準じた。更に、排気孔の補強布片として、平織物 Aから外径 φ 6 0 mm、内径 φ 3 0 mmのドーナツ状布を 2枚裁断し、円形布 1の排気孔に、それぞれ 1枚ずつ重ね合わせて、縫目径 04 5 mmで縫い合わせた。縫糸は上糸、下糸ともナイロン 6 .6糸の 3 0番糸を用い、運針数 5 針/ c mの本縫いで 1 6番手のミシン針により縫い合わせた。

そして、補強布片が縫い合わされた円形布 1の中央部に穴径 φ 5. 5 mmのィンフレーター取付用ボルト孔を開孔した。開孔した位置は、図 5に示すように円形布 1及び補強布の糸軸方向とした。

更に円形布 1 (図 1 ) と 2 (図 2) をそれぞれの糸軸を 4 5° ずらした位置で重ね合わせ、図 6に示すように外周径から 2 0 mm内側を縫い合わせた。縫糸は、上糸、下糸がナイロン 6 6糸の 2 0番糸を用い、運針数 5針 c mの二重環縫い（二列）で 1 8番手のミシン針により縫い合わせた。

得られたエアバッグを取付口から反転し、展開試験に供した。

展開後のバッグは、インフレ一ター取付口、外周部いずれも破損などは認められなかった。又、引裂強力、縫目強力も高いレベルにあった。

実施例 5

実施例 4において耐熟性エラストマ一を付与しないノンコート織物をエアバッグ本体基布に用いた以外は、全て実施例 4に準じてェァバッグを作成し、性能評価を行った。結果を表 3に示す。

縫目強力も高く、バッグの最大内圧はやや低いものの、バッグの損傷はなかった。

実施例 6

実施例 4において、エアバッグ用織物として、経糸にナイロン 6 6繊維 8 0 d / 6 8 f 、緯糸に 1 2 0 d / 1 0 2 f (原糸強度はいずれも 8. 4 g/d) を用いて、織物密度が経 1 6 2本 Z吋、緯 8 8本/吋であるノンコ一卜平織物（カバ一ファクター 24 1 3、目付け 1 1 2 g/m²) にシリコーンゴムの付着量を 4 gZm²とし、ィンフレーター取付口補強布の縫付け固定の最遠縫目の本数を 3列 (縫目径 0 1 9 8、 1 9 2 , 1 8 6 ) とし、運針数 6. 5針/ c mとした以外は、実施例 4に準じてエアバッグと縫目強力測定用試料を作成した。実施例 4と同様に各試験に供した。その結果を表 3に示す。縫目強度も高く、展開試験も問題がなかった。

比較例 5

比較例 4において、織物の気密性が得られるまで実施例 4に準じてノンコート織物の片面にシリコーンゴムをナイフコーティングにより塗布した。塗布量 3 0 g Z m 'であった。比較例 4に準じてェァバッグを試作し、性能評価を行った。評価結果を表 3に示す。

[¾3]

表 3

C CJ1

備考： ¾開¾験にはィンフレータ Bを使した。

産業上の利用の可能性

以上説明したように、本発明により、エアバッグの縫合部、とりわけィンフレーター取付口周辺への補強布の縫製条件を選択することにより、軽量でありながら、展開時の衝擊力に十分に耐え安全性、信頼性の高いエアバッグを得ることができる。

また、エアバッグ本体に供する織物に少量の耐熱性エラス卜マーを付与することにより極めて高い気密性、耐熟性、機械特性を保有したエアバッグを提供することができる。

Claims

言青求の範囲

1. 複数の部材を縫合して構成されてなるエアバッグであって、このエアバッグの本体が、デニールが 1 5 0デニール未満の原糸を用いた、カバーファクターが 2 1 0 0以上である織物により構成され、エアバッグ本体に係わる縫合部の少なくとも一部が下記

( 1 ) 式 { ( 1 A) 式および（ I B) 式 } に示す縫糸番手 Tならびに運針数 S (針/センチメートル）の条件で縫製されていることを特徴とする軽量エアバッグ。

( 1 ) ( 1 A) 1 0 <T 6 0

( I B) 2≤ T/ S≤ 8

2. 複数の部材を縫合して構成されてなるエアバッグであって、このエアバッグの本体が、デニールが 1 5 0デニール未満の原糸を用いた目付けが 1 4 0 gZm'以下の織物により構成され、エアバッグ本体に係わる縫合部の少なくとも一部が下記（ 2 ) 式

{ ( 2 A) 式および（ 2 B) 式 } を満足する縫糸番手 Tならびに運針数 S (針/センチメートル）の条件で縫製されていることを特徴とする軽量エアバッグ。

( 2 ) ( 2 A) 2 0≤T≤ 6 0

( 2 Β) 2≤T/ S≤ 8

3. カバ一フアクターが 2 1 0 0以上である織物によリエアバッグの本体を構成した、請求項 2記載の軽量エアバッグ。

4. 対向した基布の周縁部を縫合して袋体となされたエアバッグであって、このエアバッグの周縁部の縫合条件は、（ 1 ) 式または

( 2) 式のいずれかを満足するように縫合された、請求項 1乃至 3のいずれかに記載の軽量エアバッグ。

5. インフレ一タ取付口を備え、かつその周辺部に補強布が（ 1 ) 式または（ 2) 式を満足するように縫付固定された、請求項 1乃至 3のいずれかに記載の軽量エアバッグ。

6. 排気口を備え、かつその周辺部に補強布が（ 1 ) 式または（ 2 ) 式を満足するように縫付固定された、請求項 1乃至 3のいずれかに記載の軽量エアバッグ。

7. 吊紐を備え、その吊紐はエアバッグ本体基布に（ 1 ) 式または

( 2 ) 式を満足するように縫付固定された、請求項 1乃至 3のいずれかに記載の軽量エアバッグ。

8. 吊紐を備え、その吊紐は袋体に補助布を介して縫付固定され、前記補助布はエアバッグ本体基布に（ 1 ) 式または（ 2) 式を満足するように縫付固定された、請求項 1乃至 3のいずれかに記載の軽量エアバッグ。

9. 袋体のインフレ一タ取付口周辺部への補強布の縫付固定は、袋体を構成する織物とィンフレータ取付口周辺部に固定する補強布とをそれぞれ織物の糸軸方向を一致して重ね合わせ縫い付け、ィンフレータ取付口の中心を通る補強布の糸軸線上又は該糸軸線と平行な線上にィンフレータ固定用の開孔部を設けた、請求項 5記載の軽量エアバッグ。

1 0. エアバッグの本体を構成する織物に付着量 1 0 gZm²以下の耐熱性エラストマ一を付与した、請求項 1、 2、 3および 9のいずれかに記載の軽量エアバッグ。