JPH0978391A - エアバッグ用高密度織物 - Google Patents

エアバッグ用高密度織物

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JPH0978391A
JPH0978391A JP7226687A JP22668795A JPH0978391A JP H0978391 A JPH0978391 A JP H0978391A JP 7226687 A JP7226687 A JP 7226687A JP 22668795 A JP22668795 A JP 22668795A JP H0978391 A JPH0978391 A JP H0978391A
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Tadao Shibayama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基布強度、バースト圧等の基布品質上の問題
がなく、かつ、剛軟度を小さくし、耐衝撃性及び低通気
性に優れるエアバッグ用高密度織物を提供する。 【解決手段】 合成フィラメント糸(ポリアミド繊維)
からなる経糸及び緯糸により構成される高密度織物。経
糸及び緯糸の糸デニールが互いに実質的に等しく、かつ
緯糸を構成する単糸のデニールが経糸を構成する単糸の
デニールより小さい。経糸及び緯糸の糸デニールは25
0〜450デニール、糸強度が7.0g/d以上である
ことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安全を確保するた
めの衝撃吸収エアバッグ用高密度織物に関するものであ
る。更に詳しくは、織物基布の剛軟度を小さくすると同
時に低通気化を目的としたものであり、エアバッグとし
た場合にバッグ展開時、乗員の衝撃をより吸収し、顔面
の挫傷を軽減するエアバッグ用高密度織物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車輌に於ける乗員の安全確保
の観点より、エアバッグシステムが普及されつつある。
エアバッグは事故等の衝突、衝撃により車輌のセンサー
がキャッチし、ガス発生器より高温高圧ガスによってエ
アバッグを急速に展開させ、乗員を拘束すると同時に乗
員のショックを軽くする。エアバッグ内の発生ガスを抜
くため、反顔面側に細孔を設けたり、又は織密度を小さ
くする方法がとられているものは一般的であるが、更に
はエアバッグ基布に使用される糸の太さ(デニール)を
小さくすることにより、基布の剛軟度を小さくし、顔面
に優しい基布が開発されてきている。このような基布の
製織工程に於いて、経糸の織張力に対し、緯糸の飛走張
力(解舒張力)が高くなり、このため基布構造を拡大す
る緯糸のうねりが経糸に対して小さい。更に基布を解反
し、糸特性をみると経糸に対し緯糸はモジュラスが大き
く、且つクリンプ率が小さくなっており、結果として、
基布の幅(緯糸)方向と長さ(経糸)方向とで剛軟度が
大きく異なる。この剛軟度差については、糸のデニール
を小さくしても顕著な差が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
した従来技術の問題点を改良し、基布強度、バースト圧
等の基布品質上の問題がなく、かつ、剛軟度を小さく
し、耐衝撃性および低通気性に優れるエアバッグ用高密
度織物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、即ち、本発明のエアバッグ用高密度織物は、合
成フィラメント糸からなる経糸及び緯糸により構成され
る高密度織物であって、経糸及び緯糸の糸デニールが互
いに実質的に等しく、かつ緯糸を構成する単糸のデニー
ルが経糸を構成する単糸のデニールより小さいことを特
徴とするものである。
【0005】本発明の高密度織物において、経糸及び緯
糸の糸デニールが250〜450デニールであることが
好ましい。また、経糸及び緯糸の強度が7.0g/d以
上であることが好ましい。さらに、合成フィラメント糸
がポリアミド繊維よりなることが好ましい。
【0006】以下、本発明について詳しく説明する。
【0007】本発明で言う合成フィラメント糸とは、熱
可塑性樹脂からなる糸であって、エアバッグとした時の
基布品質(基布強度、バースト圧等)に問題が生じなけ
ればいかなるものでも良いが、例えば、ナイロン6、ナ
イロン66、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6
とナイロン66の共重合体等のポリアミド、およびポリ
エステルからなる糸が挙げられる。これらの糸には、熱
安定性を向上させるために酸化防止剤が含まれていても
良い。又生産性向上のための増粘剤、滑剤等を含んでい
てもよい。
【0008】本発明の高密度織物を構成する経糸及び緯
糸の糸デニールは、互いに実質的に等しく、かつ緯糸を
構成する単糸のデニールが経糸を構成する単糸のデニー
ルより小さいものである。ここで、経糸及び緯糸の糸デ
ニールが、互いに「実質的に等しい」とは、経糸又は緯
糸の一方の糸デニールを基準として、他方の糸デニール
が−3%〜+3%の範囲に入ることを示す。このよう
に、経糸及び緯糸の糸デニールを互いに実質的に等しく
することにより、基布の通気性及び強力等のバラツキが
小さくなり、基布品質が安定する。また、緯糸を構成す
る単糸のデニールを、経糸を構成する単糸のデニールよ
り小さくすることにより、基布の幅方向と長さ方向の剛
軟度の差を小さくし低通気化の効果が生じる。一般に、
緯糸を構成する単糸のデニールを、経糸を構成する単糸
のデニールに対して1デニール以上小さいものとするこ
とにより、基布の剛軟度及び通気性に効果が生じるが、
この差が1デニール以下では、剛軟度は期待できない。
2デニール以上の差があることが好ましい。
【0009】本発明において、経糸及び緯糸の糸デニー
ルを250〜450デニールとすることが好ましい。糸
デニールが250デニール未満であると、基布目付は軽
量化するが展開時のバースト圧(破裂圧)が低くなり、
このため乗員の安全確保の面で問題が生じるので好まし
くない。一方、450デニールを越えると、基布強度は
良くなるがエアバッグの軽量、コンパクト化の高機能化
の面及び基布目付の増量によりコストパーフォマンスが
悪くなるので好ましくない。より好ましい経糸及び緯糸
の糸デニールは300〜420デニールである。
【0010】また、本発明において、経糸及び緯糸の強
度は7.0g/d以上が好ましい。強度が7.0g/d
未満であると、展開時のバースト圧(破裂圧)が低くな
り、このため乗員の安全確保の面で問題が生じるので好
ましくない。より好ましい強度は8.0g/d以上であ
る。
【0011】さらに、本発明において、合成フィラメン
ト糸としてポリアミド繊維を採用する場合には、ポリエ
ステルに比べ次の特徴が出るので好ましい。すなわち、
熱保有量が大きい、原糸強伸度が大きく、延伸性が
優れる(後加工通過性および基布品位が良い)、比重
が小さい(軽量コンパクト化)、およびモジュラスが
低い(ソフト化)である。但し従来ポリエステル繊維も
熱特性が比較的不利であったが、今後は低温インフレー
ターの開発が採用されることにより、エアバッグとして
装着可能になる。
【0012】また、ポリアミド繊維を用いる場合、特に
下記特性を満足するものを用いることは、本発明の目的
を達成する上で好ましい。すなわち: 1.相対粘度:≧2.5 2.繊度:≧250デニール 3.強度:≧7.0g/d 4.切断伸度:≦30% 5.熱水収縮率:≧5% ポリアミド繊維の強度を7.0g/d以上とすることに
より、基布の強力を向上させることができる。そして、
糸強度7.0g/dの糸を得るためには、相対粘度(9
8%硫酸、20℃)として2.5以上が必要である。よ
り好ましい強度は8.0g/d以上であり、より好まし
い相対粘度は3.0以上である。また、ポリアミド繊維
の繊度は250デニール以上が好ましく、より好ましく
は300デニール以上である。220デニール以下にな
ると、エアバッグに形成した時、展開時のバースト圧
(破裂圧)が低くなり、安全性の観点より問題が生じる
ので好ましくない。また、切断伸度は30%以下とする
ことが基布の強力を向上させる点から好ましく、より好
ましくは25%以下である。熱水収縮率は5%以上とす
ることが基布の低通気化の点から好ましく、より好まし
くは8.0%以上である。
【0013】本発明のエアバッグ用高密度織物は、通常
ノンコート基布であり、一般に経糸及び緯糸の密度は4
0本/インチ以上で、目付は180〜250g/m2
あり、厚みは0.20〜0.40mm、通気性は0.5
cc/sec/cm2 以下である。
【0014】本発明のエアバッグ用高密度織物は、透過
布、未透過布の高密度織物として用いることができる。
【0015】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0016】なお、実施例における糸条および織物の諸
性能評価は次のように行なった。
【0017】(糸強度)JIS L1017(7−5)
により行なった。
【0018】(織密度)JIS L1096(6.6)
により行なった。
【0019】(引張強力および引張伸度)JIS L1
096 6.12−1A法により行なった。引張強力
は、次のように評価した。 ◎:非常に良い ○:良い △:やや悪い ×:悪い
【0020】(通気性)JIS L1096 6.2
7.1A法により行ない、次のように評価した。 ◎:非常に良い ○:良い △:やや悪い ×:悪い
【0021】(剛軟度)JIS L1096 6.1
9.1A法(45°カンチレバー法)により行ない、次
のように評価した。 ◎:非常に良い ○:良い △:やや悪い ×:悪い
【0022】(目付)JIS L1096 6.4.2
により行ない、次のように評価した。 ◎:非常に良い ○:良い △:やや悪い ×:悪い
【0023】[実施例]相対粘度=3.0のポリアミド
(NY−66)チップを溶融紡糸法により、ノズルホー
ル数136及び68ノズルをそれぞれ使用し紡糸した。
紡糸温度は290°℃で、ノズル直下には低複屈折糸を
得るため加熱筒を設け(280℃)、ローラーで油剤付
与し、紡糸速度600m/分の速度で捲き連続的に延伸
した。又後加工通過性を良くするため、捲取る前にエア
ーによる交絡度を付与し、420d/136f、及び4
20d/68fの糸をそれぞれ製糸した。得られた糸特
性は、420d/68fについては、糸強度9.6g/
d、切断伸度23%、交絡度18であり、420d/1
36fについては、糸強度9.8g/d、切断伸度21
%、交絡度25であった。経糸として上記420d/6
8fの糸、緯糸として420d/136fの糸をそれぞ
れ使用し、緯密度46本/インチ、経密度46本/イン
チでウォタージェットルームで平織で製織し、精練加工
を実施した。
【0024】[比較例1]実施例で得られた420d/
68fを経糸及び緯糸として使用し、緯密度46本/イ
ンチ、経密度46本/インチでウォタージェットルーム
で平織で製織し、精練加工を実施した。
【0025】[比較例2]比較例2は、経糸及び緯糸が
450デニールを越え、糸強度9.8g/dの場合であ
る。実施例の条件下で500d/68fの糸を製糸し
た。得られた糸特性は、糸強度9.8g/d、切断伸度
22%、交絡度18であった。この糸を経糸および緯糸
に使用し、緯密度46本/インチ、経密度46本/イン
チでウォタージェットルームで平織で製織し、精練加工
を実施した。
【0026】[比較例3]比較例3は、経糸及び緯糸の
糸強度7.0g/dの場合である。実施例の条件下で4
20d/68fの糸を製糸した。得られた糸特性は、糸
強度7.0g/d、切断伸度32%、交絡度18であっ
た。この糸を経糸および緯糸に使用し、緯密度46本/
インチ、経密度46本/インチでウォタージェットルー
ムで平織で製織し、精練加工を実施した。
【0027】[比較例4]比較例4は、経糸及び緯糸が
210デニールで、糸強度9.8g/dの場合である。
実施例の条件下で210d/36fの糸を製糸した。得
られた糸特性は、糸強度9.8g/d、切断伸度21
%、交絡度28であった。この糸を経糸および緯糸に使
用し、緯密度77.1本/インチ、経密度77.1本/
インチでウォタージェットルームで平織で製織し、精練
加工を実施した。
【0028】[比較例5]極限粘度=1.1のポリエチ
レンテレフタレートチップ(ES)を溶融紡糸法によ
り、ノズルホール数68ノズルを使用し紡糸した。紡糸
温度は300°℃で、ノズル直下には低複屈折糸を得る
ため加熱筒を設け(350℃)、ローラーで油剤付与
し、紡糸速度500m/分の速度で捲き連続的に延伸
し、420d/68fの糸を製糸した。得られた糸特性
は、糸強度8.5g/d、切断伸度18%、交絡度10
であった。この糸を経糸及び緯糸に使用し、緯密度46
本/インチ、経密度46本/インチでウォタージェット
ルームで平織で製織し、精練加工を実施した。
【0029】表1に、以上得られた各高密度織物の評価
結果を示す。
【0030】
【表1】 表1より、実施例の高密度織物は、剛軟度が小さく、か
つ引張強力、通気性等の諸性能にも優れるものであり、
エアバッグ用基布として非常に好適である。一方、比較
例1のものは、通気性、剛軟度にやや劣り、比較例2の
ものは、引張強力、通気性には優れるが、剛軟度、目付
に劣る。また、比較例3のものは、通気性にやや劣ると
共に引張強力に劣る。比較例4のものは、通気性、目付
には優れるが、引張強力、剛軟度に劣る。比較例5のも
のは、いずれの性能も劣る。
【0031】
【発明の効果】本発明の高密度織物は、上述のように、
剛軟度が小さく、かつ低通気度等の基布としての品質に
優れており、エアバッグ用高密度織物として非常に好適
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成フィラメント糸からなる経糸及び緯
    糸により構成される高密度織物であって、経糸及び緯糸
    の糸デニールが互いに実質的に等しく、かつ緯糸を構成
    する単糸のデニールが経糸を構成する単糸のデニールよ
    り小さいことを特徴とする、エアバッグ用高密度織物。
  2. 【請求項2】 経糸及び緯糸の糸デニールが250〜4
    50デニールである、請求項1に記載のエアバッグ用高
    密度織物。
  3. 【請求項3】 経糸及び緯糸の強度が7.0g/d以上
    である、請求項1または2項に記載のエアバッグ用高密
    度織物。
  4. 【請求項4】 合成フィラメント糸がポリアミド繊維よ
    りなる、請求項1〜3項のうちいずれか1項に記載のエ
    アバッグ用高密度織物。
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