JP3284735B2 - エアバッグ用基布 - Google Patents

エアバッグ用基布

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JP3284735B2 JP03954894A JP3954894A JP3284735B2 JP 3284735 B2 JP3284735 B2 JP 3284735B2 JP 03954894 A JP03954894 A JP 03954894A JP 3954894 A JP3954894 A JP 3954894A JP 3284735 B2 JP3284735 B2 JP 3284735B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエアバッグ用基布に関す
る。さらに詳しくは、低い通気性、柔軟性、軽量性を兼
ね備えた優れたエアバッグ用基布に関する。
【0002】
【従来の技術】エアバッグは、自動車の乗員保護用安全
装置として、近年その普及が著しく広がっている。
【0003】エアバッグ用基布に対する要求項目として
は、まず第一に、衝撃時にスムーズに膨脹するだけの低
い気体透過性ならびに機械的強度を有することが必要で
ある。さらに、膨脹時に人体、特に顔面を擦過などで傷
つけないことや、コンパクトに収納できること、さらに
は、長期間車体に設置している間の寸法変化がないこと
なども必要である。
【0004】現在開発されている代表的なエアバック用
基布は、単糸繊度4d〜7d、総繊度400D〜100
0Dのナイロン糸条で構成された基布や、さらにこれら
にクロロプレンやシリコンなどの樹脂をコーティングし
たもの(以下コート品と称する。)が使われている。
【0005】しかるに最近では、軽量・コンパクト性・
コストをより意識して、布帛表面に樹脂をコーティング
しない布帛が提案されている。
【0006】しかしながら、樹脂をコーティングせずに
気体の通気性を抑えるためには、布帛を高密度に織る必
要があり、目付けが増えた結果、布帛の柔軟性はほとん
ど改善されない。
【0007】一方、前記問題点を解決するために、すな
わち十分に低い通気性を維持し、かつ布帛の柔軟性を高
めるために、布帛を構成する繊維の単糸繊度をより細く
する方法が考えられ、実際に数多く提案されている。
【0008】例えば特開昭64−41438号公報に
は、おりたたみ性を重視し、単糸繊度3d以下の繊維よ
りなるエアバッグ用基布が提案されている。
【0009】また、特開平4−2835号公報には、ポ
リエチレンテレフタレートより構成されたノンコートの
エアバッグ用基布が、軽量で薄いという特徴のもと通気
量が0.5cm3 /sec/ cm2 以下、650psi以上の破
裂強度、300ポンドの引張強度、40ポンドの台形片
引裂強度を有する織布が提案されている。
【0010】さらに、特開平4−214437号公報に
おいては、ポリエチレンテレフタレートなる4dtex
以下、総繊度250〜400dtexのノンコート布帛
が提案されている。
【0011】しかしながら、上述の提案はいずれも通常
の丸断面の糸を意識したものであり、異形断面糸の使用
は未だ試みられていない。
【0012】これら丸断面糸の場合は、単糸繊度を細く
することで柔軟性はある程度改善されるものの、通気性
を考慮するとある程度の布帛厚みが必要となり、重量的
にはほとんど改善されない結果となる。
【0013】また、単純に単糸繊度を小さくする方法で
は、一般に紡糸・製織時に毛羽・糸切れを発生しやすい
という問題が生じる。特にエアバッグの分野において
は、コストの面から、製織時に糊付けや撚りを施すこと
を行わないため、上記問題点が非常に大きなトラブルの
原因となってくる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来の技術における問題点を解決し、ノンコートのエ
アバッグ用基布において、機械的特性はもちろんのこ
と、低い気体透過性と優れた柔軟性を有し、かつ布帛全
体の軽量化を可能にすることで、収納性、衝撃時衝突エ
ネルギー軽減を可能としたエアバッグ用基布を提供する
ものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、本発明のエアバッグ用基布は、基布を構成する
フィラメントが、強度7.5g/d以上、伸度12.0
%以上であり、単糸断面の偏平度が1.5以上の異形断
面糸であり、かつ長径どうし、短径どうしが同一方向に
向くことを特徴とするノンコートエアバッグ用基布であ
【0016】本発明のエアバック用基布は、さらに、そ
の構成フィラメント糸が、偏平度1.5以上の異形断面
糸からなるフィラメント糸が、総繊度180D以上45
0D以下、単糸繊度0.1d以上7.0d以下、強度
7.5g/d以上、伸度12.0%以上のマルチフィラ
メントであること、布帛の1.27cmの圧力降下での通
気量が1.2cm3 /sec/ cm2 以下であること、また、ポ
リエステルフィラメントであることが好ましい。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明の最大の特徴は、エアバッグ用基布
を構成するフィラメントの単糸断面が、通常の丸断面で
はなく特定の偏平度を有いる異形断面であることにあ
る。一定以上の偏平率を有する異形断面糸(以下、単に
偏平糸という)を用いると、織物としたときに単糸断面
の長径が織物平面上で該平面に平行に配置されることに
なる。その結果、織物の厚み方向に対して単位表面積あ
たりの隙間が減少し、同等繊度の丸断面を使用し織り密
度が同等である場合に比較し、通気量が抑制されること
になる。また、同等の通気量に設計しようとすると総繊
度を減少させることが可能となり、厚みの薄い軽量な基
布とすることができるのである。
【0019】本発明における単糸断面の偏平度とは、単
糸断面形状を楕円に近似した際、その長径と短径の比で
定義する。その断面は厳密に楕円である必要はなく、全
体の偏平性に影響を与えない範囲で一部に突起や窪みを
有していても差し支えない。このような場合にもその全
体の外形を損ねないような楕円に近似し、偏平度を算出
すればよい。
【0020】本発明の効果を得るためには、上記偏平率
が1.5以上、より好ましくは2.0以上であることが
必要である。1.5未満であると、例え偏平断面であっ
ても、織物としたときに単糸断面はランダムに位置しが
ちとなり、布帛厚み方向の空隙を減少する程度は小さ
い。また、長径どうし、短径どうしが同一方向に向く確
率も小さくなってしまう。従って、本発明の、通気量軽
減や軽量化といった効果が得られなくなる。一方、偏平
度が6.0を越えるようにあまりにも大き過ぎると、製
糸性、製織性が悪化し、ケバ等も生じやすくなり好まし
くない。
【0021】図1に本発明における代表的な異形断面の
例を記載する。もちろん、これらは代表例であって何等
これに制限されるものではない。
【0022】本発明におけるエアバッグ用基布を構成す
るフィラメント糸は、好ましくは総繊度180D以上4
50D以下、より好ましくは250D以上400D未満
であり、また好ましくは単糸繊度0.1d以上7.0d
以下、より好ましくは1.0d以上5.0d以下未満の
マルチフィラメント糸である。総繊度が450Dを越え
ると布帛の厚みが厚くなり、柔軟性および軽量性が損な
われてしまうため好ましくない。逆に、総繊度が180
D未満であると、いかに高密度に織ったとしても布帛の
機械的強度が弱く、膨脹時に破裂してしまうため好まし
くない。一方、単糸繊度は、7.0dより太いと、本発
明における偏平度1.5以上の偏平糸を用い、かつ総繊
度を抑えても柔軟性はそれほど改善されない。逆に単糸
繊度が0.1d未満と細くなると紡糸が困難となり、ま
た本発明の偏平の効果が小さくなってしまい好ましくな
い。
【0023】単糸繊度が1.5dより細いフィラメント
を得るには、公知の海島型複合紡糸法を使用することが
有効である。この場合、島成分の断面が偏平となるよう
な口金を用いればよい。
【0024】さらに、本発明におけるエアバッグ用基布
を構成するフィラメントは、強度7.5g/d以上、好
ましくは8.5〜10.5g/dであり、伸度12.0
%以上、好ましくは14.0%以上の特性を有する。前
述の繊度構成において、エアバッグ用基布として要求さ
れる機械的特性、特に衝撃強度、引き裂き強度および破
裂強度を満足させるためには上記強伸度特性が好ましい
条件となる。上記値より低いとこれら機械的特性が得ら
れにくく好ましくない。
【0025】さらに本発明におけるエアバッグ用基布
は、好ましくは布帛の1.27cmの圧力降下での通気量
が1.2cm3 /sec/ cm2 以下、より好ましくは0.7cm
3 /sec/ cm2 であればよい。ここにおいて該布帛の通気
量は、JIS−L1096−6.27A法に準じて測定
した値である。すなわち、水柱1.27cmの圧力下に
おいての試験片を通過する空気量を求めたものである。
上記通気量が1.2cm3/sec/ cm2 を越えると、エアバ
ッグ用基布としての高い信頼性の瞬時の展開能が軽減し
てしまい好ましくない。
【0026】上述した気体通気量を得るためには、通常
の丸断面糸を用いた場合、カバーファクタとしてはおお
よそ2000以上が必要で、それだけ高い総繊度や高い
織り密度が必要であったが、本発明のエアバッグ用基布
においては前記カバーファクタが2000未満、場合に
よっては1500程度でも低い通気量を達成することが
可能となる。
【0027】本発明におけるエアバッグ用基布を構成す
るフィラメントとしては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、
ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン1
2などのポリアミド、ポリエチレンやポリプロピレンな
どのポリオレフィンなど公知のポリマを用いることがで
きる。中でも、耐熱性や寸法安定性、製糸性、機械的強
度などを考慮するとポリエステルやポリアミドが好まし
く、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
【0028】なお、使用するポリマは、各々その性質を
損ねない範囲で、曳糸性を高めるなどの目的で、共重合
成分を含んでいても何等差し支えない。例えば、ポリエ
チレンテレフタレートの場合、製糸性、柔軟性を高める
目的で、10モル%以下の割合で5−ソジュウムスルホ
イソフタル酸を共重合するなどが挙げられるが、この限
りではない。
【0029】次に、本発明にかかるエアバッグ用基布に
用いられるマルチフィラメントの製造方法について以下
に説明する。
【0030】本発明に用いられるポリマは、通常、溶融
紡糸法により口金より紡出される。紡糸条件は用いるポ
リマにより異なり、ポリマの粘性や熱特性等により適当
な条件を選択すればよい。一般には、ポリマの熱による
劣化を防ぐために、紡糸機内におけるポリマの滞留時間
は短いほど好ましく、通常10分以内、好ましくは1〜
5分以内である。たとえば、ポリエチレンテレフタレー
トやポリヘキサメチレンアジパミドの繊維の場合、紡糸
温度は、285℃〜310℃の範囲であり、口金直下に
は10〜100cmの長さで、200℃〜350℃に温度
制御された加熱筒を用い、吐出糸条は該加熱筒内を通過
させる。加熱筒の長さおよび温度条件は、得られる糸条
の繊度やフィラメント数により最適化されうる。該加熱
筒は、溶融ポリマの固化を遅らせ、高強度を発現させる
ために必要である。
【0031】なお、高温での熱劣化を防止する目的で、
必要に応じて加熱筒内雰囲気を高温不活性ガスでシール
することは何等差支えない。
【0032】本発明における単糸断面の偏平度が1.5
以上の異形断面の偏平糸を得るには、種々の方法が可能
である。異形口金孔よりポリマを吐出させる直接製糸法
により目的とする偏平糸を得ることもできるし、また、
前述の複合紡糸法を用いて2種以上のポリマを同時に吐
出した後、少なくとも1成分を除去することで目的の偏
平糸を得ることも可能である。製糸の容易さや工程の容
易さからは異形孔を有する口金を使用することが好まし
くなる。通常1.5以上の偏平度を有する楕円断面を得
るためには、縦横比2.0以上の長方形孔を用いればよ
いがこの限りではない。
【0033】紡出糸条は、上記高温雰囲気中を通過した
後冷風で冷却固化され、ついで油剤が付与されたあと、
紡糸速度を制御する引取りロールで引き取られる。
【0034】引取りロールに引き取られた未延伸糸条
は、通常連続して延伸するが、一旦巻き取った後別工程
で延伸することも可能である。紡糸速度は、通常200
0m/min以下で行われ、延伸は常法の熱延伸が採用
される。延伸は、2段以上の多段延伸が好ましく、延伸
倍率は未延伸糸の複屈折、延伸温度、および多段延伸す
る際の延伸比配分等によって変化させるが、1.5〜
6.0倍、好ましくは2.0〜5.5倍であればよい。
【0035】次いで、該延伸糸は熱固定されるが、熱固
定時の張力および温度を変化させることはなんら差し支
えない。
【0036】さらに、延伸工程および熱固定工程におい
ては、走行糸条に交絡をかけることができる。交絡は、
エア交絡など公知の方法が採用でき、例えばエア交絡の
場合、用いる糸条の繊度や張力に応じて、エアの圧力を
適宜変更する事で高い交絡度を達成することができる。
【0037】必要に応じ、得られた糸に熱固定処理を施
してもよい。
【0038】一方、特に単糸繊度が細いフィラメントを
作製するために、複合紡糸法を採用する場合には、延伸
後もしくは後述の布帛作製後に少なくとも1成分を除去
することで本発明における偏平糸とすることができる。
【0039】以上の方法によって、単糸断面が偏平度
1.5以上の偏平形状であるフィラメントからなり、総
繊度180D以上450D以下、単糸繊度0.1d以上
7.0d以下、強度7.5g/d以上、伸度12.0%
以上のマルチフィラメント糸が得られる。
【0040】上記マルチフィラメント糸を用い、エアバ
ッグ用基布を作製するには、得られたマルチフィラメン
ト糸をそのまま経糸および緯糸に用い通常の方法で製織
すればよい。このとき、特に撚糸したり、糊づけする必
要はない。組織は、平織り、斜織りなど限定されない
が、製造の容易さなどから平織りが好ましい。またエア
バッグ用基布としての総合特性から等方性織物が好まし
い。織り密度は、用いるフィラメントの総繊度に応じ
て、前述のように通気量が1.2cm3 /sec/ cm2 以下に
なるように設定すればよい。
【0041】得られたエアバッグ用基布は、構成する総
繊度、単糸繊度、織物の打ち込み本数にも因るが、基布
として引張強力が150Kg/3cm 以上、引裂強力が20
kgf以上、カンチレバー法による柔軟性評価が100mm
以下のように、柔軟性、軽量性および低い通気性を同時
に兼ね備えることができる。
【0042】本発明のエアバッグ用基布は、偏平度1.
5以上の偏平糸を用いているので、同等繊度の丸断面糸
構成の基布に比較し柔軟性をより高めたり、気体の通気
量をより抑えたりすることができる。また、同等の低い
通気性を得ようとした場合、総繊度もしくは織り密度を
より軽減でき、薄くて軽量な布帛とすることが可能とな
る。
【0043】本発明におけるエアバッグ用基布は、必要
に応じ、本発明の特性を損ねない範囲で基布に公知の方
法で、精練、熱セット、さらには片面もしくは両面にカ
レンダー加工を施すことは何等差し支えない。
【0044】また本発明は、エアバッグ用基布として、
量、柔軟、低通気度の両立といった特性をより引き出
すために、ノンコート品として用いる。
【0045】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。本文もしくは実施例中の各物性は、次のようにして
測定した。
【0046】(1)固有粘度IV オストワルド粘度計を用いて、オルソクロロフェノール
100mlに対し、試料3gを溶解した溶液の相対粘度
ηrを25℃で測定し、次の近似式によりIVを算出し
た。 IV=0.0242ηr+0.2634 (ただし、ηr=(t×d)/(to ×do )、 t:
溶液の落下時間(秒)、to :オルソクロルフェノール
の落下時間(秒、 d:溶液の密度(g/cc)、 d
o :オルソクロルフェノールの密度(g/cc)であ
る。)
【0047】(2)原糸の引張強度、破断伸度: JI
S−L−1017に準拠した。
【0048】(3)布帛の柔軟性(剛軟度): JIS
−L−1096(45度カンチレバー法)で測定した。
【0049】(4)基布の引張強力: JIS−K−6
328(ストリップ法)に準拠し、試料幅3cmで測定し
た。結果は、布帛の経方向の値と緯方向の値の平均値で
示した。
【0050】(5)引裂強力: JIS−K−6328
(トラペゾイド法)に準拠し、試料幅2.54cmで測定
した。結果は、布帛経方向の値と緯方向の値の平均値で
示した。
【0051】(6)布帛のカバーファクタ: カバーフ
ァクタKは下記式により算出した。 K=Nw ×Dw 0.5 +NF ×DF 0.5 (ただし、Nw :経糸密度(本/吋)、 Dw :経糸繊
度(デニール)、 NF:緯糸密度(本/吋)、
F :緯糸繊度(デニール)である。)
【0052】
【実施例】
[実施例1]IV=1.2のポリエチレンテレフタレー
トチップを通常の溶融紡糸法により、単孔の形状がタテ
・ヨコ比3.8の長方形状である、ホール数160の口
金を用いて紡糸した。紡糸温度は300℃であり、口金
直下には、長さ300mm、温度300℃の加熱筒を用
い、紡糸速度は600m/minとした。
【0053】紡出糸を、巻き取ることなく引き続き22
0℃の温度で5.5倍に延伸熱処理した後、エア交絡を
かけながら3.0%の弛緩率でリラックス処理を施し、
315D、120フィラメントの延伸糸を得た。
【0054】得られたフィラメントは、その単糸断面が
偏平度2.2の偏平糸であり、物性は単糸繊度2.2
d、強度8.8g/d、伸度14.7%であった。
【0055】次いで、上記フィラメントを経糸、および
緯糸に用い、織密度経56本/吋、緯55本/吋の平織
を作製した。
【0056】[実施例2]単孔の形状がタテ・ヨコ比
5.5の長方形状である、ホール数144の口金を用
い、総繊度420D、単糸繊度2.9d(フイラメント
数144)の延伸糸を得た。得られたフィラメントは単
糸断面の偏平度が2.8であり、その物性は強度9.0
g/d、伸度14.5%であった。
【0057】次いで、上記フィラメントを経糸、および
緯糸に用い、織密度経48本/吋、緯49本/吋の平織
を作製した。
【0058】[実施例3]島成分としてIV=1.20
のポリエチレンテレフタレートチップを、海成分として
IV=0.70である5−ナトリウムスルホイソフタル
酸を5.0%モル共重合したポリエチレンテレフタレー
トを用い、公知の海島型複合紡糸法により2成分溶融複
合紡糸を行った。口金は60ホール、1本の複合繊維中
の島数は16、海島比は島/海=90/10とした。こ
のとき島成分と海成分の合流時における島成分の吐出孔
形状は、その長径と短径の比が2.0の楕円形状である
ものを使用した。紡糸温度は290℃とし、口金直下に
は、長さ300mm、温度320℃の加熱筒を配し、紡糸
速度は600m/min とした。
【0059】次いで、該紡出糸を巻取ることなく引続き
2段延伸により、トータル延伸倍率5.5倍、最終延伸
ロール温度215℃で延伸熱処理した後、3.0%の弛
緩率でリラックス処理を施し、総繊度280D、60フ
ィラメントの海島型複合延伸糸を得た。紡糸、延伸にお
いては、目立った糸切れ・毛羽もなく、安定な紡糸が可
能であった。
【0060】得られたフィラメントの物性は、複合糸と
して単糸繊度4.67dであり、強度8.4g/d、伸
度17.0%であった。該繊維の海成分をカチオン染料
で染色後走査型電子顕微鏡にて繊維断面観察したところ
きれいな海島構造が形成されていることが認められた。
【0061】次いで、上記フィラメント糸を経糸及び緯
糸に用い、織密度 経61本/吋、緯60本/吋の平織
を作製した。
【0062】次いで、該布帛を弛緩状態で1%硫酸沸騰
水溶液で60分処理した後、80℃の水酸化ナトリウム
水溶液中を通過させ、海成分である5ナトリウムスルホ
イソフタル酸を共重合したポリエステルを除去した。
【0063】次いで、該布帛は常法により、乾燥・熱セ
ットを施しエアバッグ用基布とした。
【0064】得られた基布の織り密度は、経62本/
吋、緯61本/吋であり、該布帛を構成するフィラメン
トは複合繊維が細繊度化され、該織物を分解して測定し
た機械的強度は、総繊度250D、フィラメント数96
0本、単糸繊度0.26dであり、その単糸断面は偏平
度2.0の楕円であった。また、該糸の強度は7.8g
/d、伸度は23.4%であった。
【0065】[比較例1および比較例3]実施例1およ
び3においてポリマの吐出孔を丸断面とした以外は同条
件で紡糸を行い延伸糸を得た。次いで、同様の打ち込み
本数で製織を行った。
【0066】[比較例2]実施例2において、ポリマの
吐出孔をタテ・ヨコ比1.2の長方形の吐出孔とした以
外は同条件で紡糸を行い延伸糸を得た。得られた延伸糸
の単糸断面は偏平度1.1であった。次いで、同様の打
ち込み本数で製織を行った。
【0067】上記実施例1〜3および比較例1〜3の原
糸物性および布帛特性を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1より明らかなように、本実施例中のサ
ンプルは、同等繊度構成で同等の織密度を有する丸断面
糸使いの布帛に比較し、柔軟性および気体透過性が低
く、エアバッグ用基布として優れていることがわかる。
また、このことは同等通気量に設計した場合、本発明の
偏平断面糸使いの基布は、総繊度を減少、あるいは織り
密度を減少させることが可能なことを示しており、丸断
面糸使いの場合に比較し、軽量化ひいてはより柔軟化を
達成することが可能であることがわかる。
【0070】
【発明の効果】本発明に係るエアバッグ用布帛は、フィ
ラメントとして単糸断面が偏平度1.5以上の異形断面
糸を用いているため、機械的特性はもちろんのこと、低
い気体透過性と優れた柔軟性を有し、かつ布帛全体の軽
量化を図ることができ、収納性、衝撃時衝突エネルギー
軽減を可能としたエアバッグ用基布が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる偏平な異形断面糸の断面形状を
模式的に例示する繊維横断面図である。
【符号の説明】
a:長径、 b:短径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−201650(JP,A) 特開 平4−214437(JP,A) 特開 平4−2835(JP,A) 特開 平3−325342(JP,A) 特開 平4−325341(JP,A) 特開 平4−193647(JP,A) 特開 平3−234838(JP,A) 特開 昭63−12737(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/00 - 27/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エアバッグ用基布を構成するフィラメント
    が、強度7.5g/d以上、伸度12.0%以上であ
    り、単糸断面の偏平度が1.5以上の異形断面糸で
    り、かつ長径どうし、短径どうしが同一方向に向くこと
    を特徴とするノンコートエアバッグ用基布。
  2. 【請求項2】エアバッグ用基布を構成するフィラメン
    、総繊度180D以上450D以下、単糸繊度0.1
    d以上7.0d以下のマルチフィラメントであることを
    特徴とする請求項1記載のエアバッグ用基布。
  3. 【請求項3】エアバッグ用基布の1.27cmの圧力降
    下での通気量が、1.2cm3/sec/cm2以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ用基布。
  4. 【請求項4】エアバッグ用基布を構成するフィラメント
    がポリエステルフィラメントであることを特徴とする請
    求項1記載のエアバッグ用基布。
  5. 【請求項5】異形断面糸の単糸断面偏平度が1.5〜
    6.0であることを特徴とする請求項1記載のエアバッ
    グ用基布。
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