JP4072709B2 - エアバッグ用基布およびそれを用いたエアバッグ - Google Patents

エアバッグ用基布およびそれを用いたエアバッグ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエアバッグ用基布に関する。さらに詳しくは、低い通気性、剛軟性、軽量性を兼ね備えたエアバッグ用基布に関する。
【0002】
【従来の技術】
エアバッグは、自動車の乗員保護用安全装置として、近年その普及が著しく広がっている。
【0003】
エアバッグ用基布に対する要求項目としては、衝撃時にスムーズに膨脹するだけの低い気体透過性ならびに機械的強度を有することが必要である。さらに、膨脹時に人体、特に顔面を擦過などで傷つけないことや、コンパクトに収納できること、さらには、長期間車体に設置している間の寸法変化がないことなども必要である。
【0004】
現在開発されている代表的なエアバック用基布は、単糸繊度4d〜7d、総繊度440〜1100dtexの丸断面をしたナイロン糸条で構成された基布や、さらにこれらにクロロプレンやシリコンなどの樹脂をコーティングしたもの(以下コート品と称する。)が使われている。しかしながら、樹脂でコーティングしたものは440dtex以上の太い糸を使うために機械的特性は維持され、またコーティングにより通気性などには効果を発揮するが、剛軟性、軽量性については十分改良されたものはない。
【0005】
しかるに最近では、軽量・コンパクト性・コストをより意識して、布帛表面に樹脂をコーティングしない布帛も提案されている。しかしながら、樹脂をコーティングせずに気体の通気性を抑えるためには、布帛を高密度に織る必要があり、目付けが増えた結果、布帛の柔軟性はほとんど改善されない。
【0006】
一方、前記[0004]の問題点を解決するために、すなわち十分に低い通気性を維持ために例えば特開平10−194063号公報には、315dにシリコンコートをして布帛の柔軟性を高めることが記載されている。しかし、まだ、単糸繊度も4.4dと太く、経緯方向の剛軟度の差もあり、収納性、軽量性など十分とはいえるものでなかった。
【0007】
一方、前記[0005]の問題点を解決するために、すなわち十分に低い通気性を維持し、かつ布帛の柔軟性を高めるために、布帛を構成する繊維の単糸繊度をより細くする方法が考えられ、実際に数多く提案されている。
【0008】
例えば特開昭64−41438号公報には、おりたたみ性を重視し、単糸繊度3d以下の繊維よりなるエアバッグ用基布が提案されている。
【0009】
また、特開平4−2835号公報には、ポリエチレンテレフタレートより構成されたノンコートのエアバッグ用基布が、軽量で薄いという特徴のもと通気量が0.5cm3 /sec/ cm2 以下、650psi以上の破裂強度、300ポンドの引張強度、40ポンドの台形片引裂強度を有する織布が提案されている。
【0010】
さらに、特開平4−214437号公報においては、ポリエチレンテレフタレートなる4dtex以下、総繊度250〜400dtexのノンコート布帛が提案されている。
【0011】
しかしながら、上述の提案はいずれもノンコートタイプであり、コートすることの効果としての通気性と経緯方向の均一性な剛軟性の両方を兼ね備えた基布にはなっていない。またこれらの糸は、通常の丸断面の糸を意識したものであり、異形断面糸や中空糸の使用は未だ試みられていない。
【0012】
これら丸断面糸の場合は、単糸繊度を細くすることで柔軟性はある程度改善されるものの、通気性を考慮するとある程度の布帛厚みが必要となり、重量的にはほとんど改善されない結果となる。
【0013】
また、単純に単糸繊度を小さくする方法では、一般に紡糸・製織時に毛羽・糸切れを発生しやすいという問題が生じる。特にエアバッグの分野においては、コストの面から、製織時に糊付けや撚りを施すことを行わないため、上記問題点が非常に大きなトラブルの原因となってくる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来の技術における問題点を解決し、コートタイプのエアバッグ用基布において、機械的特性はもちろんのこと、低い気体透過性と優れた剛軟性を有し、かつ布帛全体の軽量化および経緯方向の剛軟度の差を小さくし、その結果、収納性、衝撃時衝突エネルギー軽減を可能としたエアバッグ用基布を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明のエアバッグ用基布は、基布を構成するフィラメントが、単糸断面の偏平度が1.3以上3.3以下、中空率が5〜55%の中空扁平断面糸からなり樹脂液をコートしたことを特徴とする。
【0016】
本発明のエアバック用基布は、さらに、その構成フィラメント糸が、偏平度1.3以上3.3以下、中空率が5〜55%の中空扁平断面糸からなるフィラメント糸が、総繊度165dtex以上550dtex以下、単糸繊度0.11dtex以上7.7dtex以下、強度6.6CN/dtex以上、伸度12.0%以上のマルチフィラメントであること、布帛の1.27cmの圧力降下での通気量が1.2cm3 /sec/ cm2 以下であること、また、ポリアミドフィラメントであることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の最大の特徴は、エアバッグ用基布を構成するフィラメントの単糸断面が、通常の丸断面ではなく特定の偏平度を有し、かつ中空断面であることにある。一定以上の偏平度を有する異形断面糸を用いると、織物としたときに単糸断面の長径が織物平面上で該平面に平行に配置されることになる。その結果、織物の厚み方向に対して単位表面積あたりの隙間が減少し、同等繊度の丸断面を使用し織り密度が同等である場合に比較し、通気量が抑制されることになる。また、同等の通気量に設計しようとすると総繊度を減少させることが可能となる。
【0018】
本発明における単糸断面の偏平度とは、単糸断面形状を楕円に近似した際、その長径と短径の比:短径/長径で定義される。その断面は厳密に楕円である必要はなく、全体の偏平性に影響を与えない範囲で一部に突起や窪みを有していても差し支えない。このような場合にもその全体の外形を損ねないような楕円に近似し、偏平度を算出すればよい。
【0019】
本発明の効果を得るためには、上記偏平度が3.5以下、より好ましくは2.5以下であることが必要である。特に断面としては楕円形が好ましい。3.5以上であると、例え偏平断面であっても、織物としたときに単糸断面はランダムに位置しがちとなり、布帛厚み方向の空隙が大きくなる。また、長径どうし、短径どうしが同一方向に向く確率も小さくなってしまう。従って、本発明の、通気量軽減や軽量化といった効果が得られなくなる。一方、偏平度が3.5を越えてあまりにも大きくなり過ぎると、製糸性、製織性が悪化し、ケバ等も生じやすくなり好ましくない。また、紡糸工程でのノズルの管理も複雑なものとなる。
【0020】
本発明の如く偏平度が3.5未満であれば、偏平度1即ち丸断面よりも繊維外周が大きくなり、表面積が増加し、同じコート液を塗布したとしても、塗布された樹脂層の厚みを小さくすることが可能となり、より柔軟性を維持するとともに剛軟度が増加する。さらに驚くべきことに、経緯方向の剛軟度もほぼ等しくなり、その差は経/緯の比として10%以下となり、より収納性が向上する。
【0021】
上記に示したように断面が扁平であると同時に、更に本発明における単糸断面の中空率とは、単糸断面の中空の部分の面積が単糸断面の面積全体に占める割合を意味する。中空部分の形状は円形であっても、それ以外の形状であってもよく、中空であればよい。中空率は5〜55%、好ましくは、5〜35%、さらに好ましくは5〜25%である。5%以下であれば、通常の円断面と効果は同じであり、55%を超えると逆にかさ高となり、かえって収納性が悪くなる。
【0022】
図1に本発明における代表的な中空扁平断面の例を記載する。もちろん、これらは代表例であって何等これに制限されるものではない。中空率は、中空部分の面積S1を断面の面積S2で割った値に100をかけた割合で表される。
【0023】
本発明におけるエアバッグ用基布を構成するフィラメント糸は、好ましくは総繊度165dtex以上550dtex以下、より好ましくは275dtex以上385dtex未満であり、また好ましくは単糸繊度0.11以上7.7dtex以下、より好ましくは1.1dtex以上5.5dtex未満のマルチフィラメント糸である。総繊度が550dtexを越えると布帛の厚みが厚くなり、柔軟性および軽量性が損なわれてしまうため好ましくない。逆に、総繊度が165dtex未満であると、いかに高密度に織ったとしても布帛の機械的強度が弱く、膨脹時に破裂してしまうため好ましくない。一方、単糸繊度は、7.7dtexより太いと、本発明における偏平度2.5以下の偏平糸を用い、かつ総繊度を抑えても柔軟性はそれほど改善されない。逆に単糸繊度が0.11dtex未満と細くなると紡糸が困難となり、また本発明の偏平の効果が小さくなってしまい好ましくない。また中空の効果も発現しない。
【0024】
単糸繊度が1.6dtexより細いフィラメントを得るには、公知の海島型複合紡糸法を使用することが有効である。この場合、島成分の断面が中空偏平となるような口金を用いればよい。
【0025】
さらに、本発明におけるエアバッグ用基布を構成するフィラメント糸は、好ましくは強度6.6CN/dtex以上、より好ましくは7.5〜9.3CN/dtexであり、好ましくは、伸度12.0%以上、より好ましくは14.0%以上の特性を有する。前述の繊度構成において、エアバッグ用基布として要求される機械的特性、特に衝撃強度、引き裂き強度および破裂強度を満足させるためには上記強伸度特性が好ましい条件となる。上記値より低いとこれら機械的特性が得られにくく好ましくない。
【0026】
本発明に使用される該コーティング膜は、付加型シリコーンゴムコーティング剤を溶剤で希釈することなく、1〜60g/m2好ましくは、5〜30g/m2の塗工量で塗布することにより形成される。繊度が165〜550dtexの異形断面というフィラメント糸からなる基布からなるものであれば、薄く軽量で、折り畳み易く、収納性に優れたエアバッグ用基布とすることができる。また、フィラメント糸を扁平断面にすることで、塗工量も1〜30g/m2という薄いコーティング膜でガスリークを防止することができる。このため、従来のコートタイプのものと比べて軽量化が可能となる。表面平滑性に優れたものとなると共に、より一層エアバッグのコンパクト化が可能となる。
【0027】
しかも、本発明では、コーティング剤として付加型シリコンゴムコーティング剤が良く、熱加硫シリコンゴム、室温加硫シリコンゴム、水溶性エマルジョンシリコンゴムなどでも効果はある。従来から知られているクロロプレン系コート剤、ウレタン系コート剤でもよいが、好ましくはシリコン系で、特に偏平糸からなる基布の場合は、シリコン系が良い。表面張力の関係で塗布後、基布全体にしみわたる速度が速い。
【0028】
また、このコーティング剤の粘度としては1〜200Pa・sの粘度がよく、好ましくは、1〜100Pa・sの粘度がよい。ナイフコータで塗布することにより、塗工量1〜30g/m2の薄く、かつ均質なコーティング膜を容易に形成することができる。また表面の粘着性の小さくタック性も2以上、好ましくは3以上となり収納性がさらに良好になる。
ここで、タック性とは、10cm×10cmの大きさのサンプル2枚を採取し、樹脂面を重ね合わせて5kgの荷重をのせ、80℃の乾燥機中に1時間放置後、試料の重ね合わせた部分の剥離状態を観察し、下記のランク付け評価をおこない、ランク付けした測定値であり、2以上が基布を折りたたんで放置後の広げた時の剥離性を意味する。
3:タックがなく、剥離する。
2:剥離するがベタつく。
1:樹脂が接着して、剥離しない部分がある。
【0029】
さらに本発明におけるエアバッグ用基布は、好ましくは布帛の1.27cmの圧力降下での通気量が1.2cm3 /sec/ cm2 以下、より好ましくは0.7cm3 /sec/ cm2 以下であればよい。ここにおいて該布帛の通気量は、JIS−L1096−6.27A法に準じて測定した値である。すなわち、水柱1.27cmの圧力下においての試験片を通過する空気量を求めたものである。上記通気量が1.2cm3/sec/ cm2 を越えると、エアバッグ用基布としての高い信頼性の瞬時の展開能が軽減してしまい好ましくない。
【0030】
上述した気体通気量を得るためには、通常の丸断面糸を用いた場合、カバーファクタとしてはおおよそ1700以上が必要で、それだけ高い総繊度や高い織り密度が必要であったが、本発明のエアバッグ用基布においては前記カバーファクタが1600でも低い通気量を達成することが可能となる。
【0031】
本発明におけるエアバッグ用基布を構成するフィラメントとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12などのポリアミド、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンなど公知のポリマを用いることができる。中でも、耐熱性や寸法安定性、製糸性、機械的強度などを考慮するとポリエステルやポリアミドが好ましく、ナイロン6,6がより好ましい。もちろんこれらの共重合体でもよい。
【0032】
特にポリアミド系繊維については、各々その性質を損ねない範囲で、曳糸性を高めるなどの目的で、共重合成分を含んでいても何等差し支えない。例えば、ポリアミド系繊維とし、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン4・6、およびナイロン6とナイロン6・6の共重合体、ナイロンにポリアルキレングリコール、ジカルボン酸やアミンなどを共重合したポリアミド系繊維が好ましいが、この限りではない。
【0033】
次に、本発明にかかるエアバッグ用基布に用いられるマルチフィラメントの製造方法について以下に説明する。
【0034】
本発明に用いられるポリマーは、通常、溶融紡糸法により口金より紡出される。紡糸条件は用いるポリマにより異なり、ポリマーの粘性や熱特性等により適当な条件を選択すればよい。一般には、ポリマの熱による劣化を防ぐために、紡糸機内におけるポリマの滞留時間は短いほど好ましく、通常10分以内、好ましくは1〜5分以内である。たとえば、ポリエチレンテレフタレートやポリヘキサメチレンアジパミドの繊維の場合、紡糸温度は、280℃〜310℃の範囲であり、口金直下には10〜100cmの長さで、200℃〜350℃、相対湿度85%に制御された加熱筒を用い、吐出糸条は該加熱筒内を通過させる。加熱筒の長さおよび温湿度条件は、得られる糸条の繊度、偏平度やフィラメント数により最適化されうる。該加熱筒は、溶融ポリマの固化を遅らせ、高強度を発現させるために必要である。
【0035】
なお、高温での熱劣化を防止する目的で、必要に応じて加熱筒内雰囲気を高温不活性ガスでシールすることは何等差し支えない。
【0036】
本発明における単糸断面の偏平度が3.5以下、中空率5〜55%の中空偏平糸を得るには、種々の方法が可能である。異形口金孔よりポリマを吐出させる直接製糸法により目的とする中空偏平糸を得ることもできるし、また、前述の複合紡糸法を用いて2種以上のポリマを同時にC型形孔を有する口金を使用し、少なくとも1成分を除去することで目的の中空偏平糸を得ることも可能である。製糸の容易さや工程の容易さからはC型形孔を有する口金を使用することが好ましい。
【0037】
紡出糸条は、上記高温雰囲気中を通過した後冷風で走行糸の片面を冷却固化され、ついで油剤が付与されたあと、紡糸速度を制御する引取りロールで引き取られる。
【0038】
引取りロールに引き取られた未延伸糸条は、通常連続して延伸するが、一旦巻き取った後別工程で延伸することも可能である。紡糸速度は、通常2000m/min以下で行われ、延伸は常法の熱延伸が採用される。延伸は、2段以上の多段延伸が好ましく、延伸倍率は未延伸糸の複屈折、延伸温度、および多段延伸する際の延伸比配分等によって変化させるが、1.5〜6.0倍、好ましくは2.0〜5.5倍であればよい。
【0039】
次いで、該延伸糸は熱固定されるが、熱固定時の張力および温度を変化させることはなんら差し支えない。
【0040】
さらに、延伸工程および熱固定工程においては、走行糸条に交絡をかけてもよい。交絡は、エア交絡など公知の方法が採用でき、例えばエア交絡の場合、用いる糸条の繊度や張力に応じて、エアの圧力を適宜変更する事で高い交絡度を達成することができる。必要に応じ、得られた糸に熱固定処理を施してもよい。
【0041】
以上の方法によって、単糸断面が偏平度3.5以下中空率5〜55%の偏平中空形状であるフィラメントからなり、総繊度165dtex以上550dtex以下、単糸繊度0.11dtex以上7.7dtex以下、強度6.6CN/dtex以上、伸度12.0%以上のマルチフィラメント糸が得られる。
【0042】
上記マルチフィラメント糸を用い、エアバッグ用基布を作製するには、得られたマルチフィラメント糸をそのまま経糸および緯糸に用い通常の方法で製織すればよい。このとき、特に撚糸したり、糊づけする必要はない。組織は、平織り、斜織りなど限定されないが、製造の容易さなどから平織りが好ましい。またエアバッグ用基布としての総合特性から等方性織物が好ましい。織り密度は、用いるフィラメントの総繊度に応じて、前述のように通気量が1.2cm3 /sec/ cm2 以下になるように設定すればよい。
【0043】
得られた基布の表面に上記した特性をもつ樹脂をグラビアコーティングや捺染などがあり、布帛内部に樹脂を付与する方法としてはディッピングなどがあり、その手段は限定されないが、樹脂を積層又は付与した布帛の通気度が1.2cm3 /sec/ cm2 以下を満足するように決められる。
【0044】
コート布帛の特性を十分に発現するためには60g/m2以下であることが好ましい。樹脂付与量が30g/m2をこえると重く剛直な布帛となり本発明の目的を達し得なくなる。
【0045】
得られたエアバッグ用基布は、構成する総繊度、単糸繊度、織物の打ち込み本数にも因るが、基布として引張強力が150Kg/3cm 以上、引裂強力が20kgf以上、カンチレバー法による柔軟性評価が100mm以下のように、柔軟性、軽量性および低い通気性を同時に兼ね備えることができる。
【0046】
本発明のエアバッグ用基布は、偏平度2.5以下の偏平糸を用いているので、同等繊度の丸断面糸構成の基布に比較し柔軟性、剛軟度をより高めたり、気体の通気量をより抑えたりすることができ収納性が向上する。また、同等の低い通気性を得ようとした場合、総繊度もしくは織り密度をより軽減でき、薄くて軽量な布帛とすることが可能となる。
【0047】
本発明におけるエアバッグ用基布は、必要に応じ、本発明の特性を損ねない範囲で基布に公知の方法で、精練、熱セット、さらには片面もしくは両面にカレンダー加工を施すことは何等差し支えない。
【0048】
また本発明は、エアバッグ用基布としてノンコート品、コート品どちらにも有効であるが、軽量、柔軟、低通気度の両立といった特性をより引き出すためには、コートタイプ品として用いることがより好ましい。
【0049】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本文もしくは実施例中の各物性は、次のようにして測定した。
【0050】
(1)原糸の引張強度、破断伸度: JIS−L−1017に準拠した。
【0051】
(2)布帛の柔軟性(剛軟度): JIS−L−1096(45度カンチレバー法)で測定した。
【0052】
(3)基布の引張強力: JIS−K−6328(ストリップ法)に準拠し、試料幅3cmで測定した。結果は、布帛の経方向の値と緯方向の値の平均値で示した。
【0053】
(4)引裂強力: JIS−K−6328(トラペゾイド法)に準拠し、試料幅2.54cmで測定した。結果は、布帛経方向の値と緯方向の値の平均値で示した。
【0054】
(5)扁平度:顕微鏡にて断面を撮影し、長径、短径を測定してその比を求めた。
【0055】
(6)中空率:顕微鏡にて断面を撮影し、中空部分と全体の面積を求めてその比を求めた。
【0056】
(5)布帛のカバーファクタ: カバーファクタKは下記式により算出した。
K=Nw ×Dw 0.5 +NF ×DF 0.5(ただし、Nw :経糸密度(本/吋)、
w :経糸繊度(デニール)、 NF:緯糸密度(本/吋)、 DF :緯糸繊度(デニール)である。)
【0057】
(6)タック性:10cm×10cmの大きさのサンプル2枚を採取し、樹脂面を重ね合わせて5kgの荷重をのせ、80℃の乾燥機中に1時間放置後、資料の重ね合わせた部分の剥離状態を観察し、下記のランク付け評価をおこなった。
3:タックがなく、剥離する。
2:剥離するがベタつく。
1:樹脂が接着して、剥離しない部分がある。
【0058】
【実施例】
[実施例1]ナイロン6・6チップを通常の溶融紡糸法により、単孔の形状がタテ・ヨコ比1.3の長方形状である、ホール数72のC型口金を用いて紡糸した。紡糸温度は298℃であり、口金直下には、長さ300mm、温度300℃の加熱筒を用い、紡糸速度は620m/minとした。
【0059】
紡出糸を、巻き取ることなく引き続き220℃の温度で5.4倍に延伸熱処理した後、エア交絡をかけながら3.0%の弛緩率でリラックス処理を施し、347dtex、72フィラメントの延伸糸を得た。
【0060】
得られたフィラメントは、その単糸断面が中空率5%、偏平度1.3の偏平糸であり、物性は単糸繊度4.8dtex、強度7.9CN/dtex、伸度14.9%であった。
【0061】
次いで、上記フィラメントを経糸、および緯糸に用い、織密度経52本/吋、緯50本/吋の平織りを作製した。
【0062】
上記で得られた基布を精練、乾燥後、樹脂(ポリジメチルシロキサン)50(重量%)、触媒(白金触媒)、トルエン47.2(重量%)からなるシリコンゴム(固形分50%、粘度10000cps)をグラビアコーティング(メッシュ密度40mesh/in、メッシュ深度150μm)し、乾燥100℃、熱処理150℃×30分を行ったコート基布を得た。樹脂付着量は10g/m2であった。
【0063】
[実施例2、3]中空率5%、偏平度を1.8、3.3となる様にした以外は実施例1と同じ方法で、コートされた基布を得た。コート量は6,10g/m2であった。
【0064】
[比較例1、2、3、4]については、実施例1、2、3と同じ方法としたが、偏平度、シリコンの塗布は表1の如くとした。
【0065】
[実施例4]については、フィラメント数、中空率を変える以外は実施例1に従った。
【0066】
[実施例5、6、7]については、総繊度、単糸繊度、扁平度、中空率、コート量を変えた。
【0067】
上記実施例1〜7および比較例1〜4の原糸物性および布帛特性を表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0004072709
【0069】
表1より明らかなように、本実施例中のサンプルは、同等繊度構成で同等の織密度を有する丸断面糸使いの布帛に比較し、柔軟性および気体透過性が低く、かつ剛軟度の経緯方向の差も10%以下であり、エアバッグ用基布として優れていることがわかる。また、このことは同等通気量に設計した場合、本発明の偏平断面糸使いの基布は、総繊度、コート剤の塗布量を減少、あるいは織り密度を減少させることが可能なことを示しており、丸断面糸使いの場合に比較し、軽量化ひいてはより柔軟化かつ収納性の向上を達成することが可能であることがわかる。
【0070】
【発明の効果】
本発明に係るエアバッグ用布帛は、フィラメントとして単糸断面が中空率5〜55%、偏平度3.5以下の偏平糸を用いているため、機械的特性はもちろんのこと、低い気体透過性と優れた柔軟性を有し、かつコート剤の塗布量も減らすことが可能となり、布帛全体の軽量化を図ることができ、収納性、衝撃時衝突エネルギー軽減を可能としたエアバッグ用基布が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中空偏平糸の断面の例
【符号の説明】
a 長径
b 短径
S1 全体の面積
S2 中空の部分の面積

Claims (7)

  1. エアバッグ用基布を構成するフィラメントが、単糸断面の偏平度が1.3以上3.3以下、中空率が5〜55%の中空扁平断面糸であり、JIS−L−1096(45度カンチレバー法による)経緯方向の剛軟度の差が10%以下である、樹脂をコーティングしたことを特徴とするエアバッグ用基布。
  2. 経、緯方向の剛軟度がいずれも70mm以下でかつ、かつその比が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ用基布。
  3. エアバッグ用基布を構成するフィラメント糸が、総繊度150dtex以上550dtex以下、単糸繊度0.11dtex以上7.7dtex以下のマルチフィラメント糸であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
  4. エアバッグ用基布を構成するフィラメント糸が、強度6.6CN/dtex以上、伸度12.0%以上の特性を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
  5. エアバッグ用基布の1.27cmの圧力降下での通気量が、1.2cm3 /sec/ cm2 以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
  6. エアバッグ用基布を構成するフィラメントがポリアミド系、ポリエステル系フィラメントであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
  7. タック性が3以上で、折りたたんだ時に粘着しないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
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