JP6159619B2 - ヤーン - Google Patents
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Description
即ち、グランドパッキンと、ポンプなどの流体機器のシャフト(軸)との滑りに重要な摩擦(摩擦係数)をある程度小さいものにすることや、グランド部やシャフトとの馴染み性に重要な柔軟性のあることなどが、ヤーンを形成する繊維(有機繊維)に求められる。
限界酸素指数が21〜30を呈する繊維sを加撚してなることを特徴とするものである。
前記限界酸素指数が22〜26であることを特徴とするものである。
前記繊維sは、その繊維断面を互いに平行な2本の直線L1,L2で挟んだ状態における前記2本の直線L1,L2どうしの間隔の最大値aを最小値bで除した値である扁平率fが1.1〜2と定義されるものが含まれていることを特徴とするものである。
前記扁平率fが1.4〜1.6に定義されていることを特徴とするものである。
前記繊維sは、その断面形状に1箇所以上の凹部1を有するものが含まれていることを特徴とするものである。
前記凹部1の深さhが0.4μm以上あることを特徴とするものである。
前記繊維sは、アクリル系繊維を有していることを特徴とするものである。
前記アクリル系繊維が、アクリロニトリル酢酸ビニル共重合体繊維であることを特徴とするものである。
そして、繊維の限界酸素指数が30以下であることにより、柔軟性に富むものとすることができる。従って、このヤーン用いてグランドパッキンとした場合は、シャフトなどの対摺動物への馴染み性が良好となり、漏洩の少ない優れたシール性を得ることができる利点がある。
この場合、請求項2のように、限界酸素指数が22〜26であれば、請求項1の構成による前記作用効果をより強化することができるヤーンを提供することができる。
従って、1.1≦f≦2のものが存在すれば、前述の作用効果であるv「含浸材が保持され易くなる」やz「シールに必要な応力の確保や維持」を得ることができる。そして、1.1≦f≦2のものが50%以上存在すれば、前記作用効果v,zが明確に得られるため好ましい。
この場合、請求項4のように、1.4≦f≦1.6とすれば、前記作用効果v,zを強化することが可能である。
この場合、請求項6のように、含浸材の保持のし易さの点から、凹部の深さは0.4μm以上あれば好ましい。そして、0.6μm以上あればより好都合である。
実施形態1によるヤーンは、LOIが21〜30を呈する繊維を加撚してなることを特徴としている。即ち、繊維のLOIの値eは、21≦e≦30である。
LOI値eが、21≦e≦30である繊維としては、アクリル繊維、アクリル系繊維、レーヨン、セルロース、麻、綿、ポリビニルアルコールが挙げられる。
アクリル繊維は、アクリロニトリルを50重量%以上含有するポリマーからなるものを含む。ポリマーは、アクリロニトリルを50重量%以上含有するならば、アクリロニトリルと、アクリロニトリルと共重合可能な不飽和モノマーとのコポリマーであってもよい。
実施形態1によるヤーンを構成する繊維(単繊維)sは、図1,図2に示すように、その繊維断面を互いに平行な2本の直線L1,L2で挟んだ状態における2本の直線L1,L2どうしの間隔の最大値aを最小値bで除した値である扁平率f=1.1〜2と定義されるものが含まれている。
即ち、図2に示すそら豆状の断面形状を持つ繊維sの場合、互いに平行な2直線L1,L2で挟まれる間隔のうち、最大の値がaであり、最小値がbである。そして、この場合の扁平率f=(a/b)である。
上述の扁平率fとして、1.1≦f≦2のものが存在しておれば、前記作用効果v,zを得ることができるとともに、1.1≦f≦2のものが50%以上存在しておれば、前記作用効果v,zを明確に得ることができて好都合である。
例えば、ヤーンYを構成する繊維数が100本である場合は、扁平率fが1.1≦f≦2であるものが50本以上含まれている。なお、扁平率fは、f=1.4〜1.6に定義されていれば、より好都合である。
繊維sの断面形状がひょうたん型を呈するなど、凹部1が2箇所以上あっても良い。図2に示すように、凹部1の深さhは、含浸材を有効に凹部1で保持させる点から、h≧0.4μmであることが望ましい。より好ましくはh≧0.6μmであるのが望ましい。
τ={(x−y)/x}×100(単位:%)
で表すことができ、実施品の含浸率は、τ=45〜50%であった。
上記含浸後に、炭化水素系潤滑剤を同様に含浸させても良い。
図3に漏洩試験装置Aを示す。漏洩試験装置Aは、漏洩試験部分2、軸受3、回転継手4、トルク検出部5、軸受6、伝動ベルト7、原動機(モーター)8、漏洩測定部9などを試験枠22に図示のように配置して構成されている。
漏洩試験部分2、図4に示すように、流体入口10、シール装置Bを備えるシールボックス11、及び流体出口12などを有して構成されている。13は、タンク14内の流体(水など)を流体入口10に供給する供給流路16に介装されるポンプである。
漏洩測定部9は、図3に示すように、シール装置Bから漏れてくる流体を受止めて貯留可能な貯め容器9Aと、貯め容器ごと漏れ出た流体の重さを測る重量計9Bとを有して構成されている。なお、図3,4における垂下するような破線は、漏れ流体の落下経路を模式的に示したものである。
23は、シール用流体の入口側のジャケット温度を測る第3温度計であり、24は、シール用流体の出口側のジャケット温度を測る第4温度計である。また、グランドパッキンgの温度(パッキン温度)を測る第5温度計25も装備されている。
グランドパッキンgの応力緩和については、図5に示す応力緩和試験機Cを用いた。この応力緩和試験機Cは、グランドパッキンgを装着するためのパッキン装着部27を備える機枠26、パッキン押圧部28、押圧ボルト29などを有して構成されている。
複数の押圧ボルト29に架設される押圧板30に、パッキン押圧部28の上部28aが球面接触されており、環状のパッキン装着部27に装填されている単数又は複数のグランドパッキンgをリング状の押え部28bを介して押圧する構造とされている。
応力緩和率σは、24時間後の締付応力をqとすれば、
σ=p−q/p
で表される。
グランドパッキンgの摩擦試験機Dについて簡単に説明する。
摩擦試験機Dは、図6に示すように、試験フレーム31に、支持枠32及びアーム33が立設され、かつ、それら32,33の間に、ステンレス材などの金属材製で円柱状の回転ドラム(回転軸)34を枢支して摩擦試験機Dが構成されている。回転ドラム34は、図外の駆動源により、軸心34a回りにおける図示の矢印(白抜き矢印)方向に回転駆動可能である。
使用する繊維sは、アクリル系繊維又はアクリル繊維を用い、その繊維直径は18(14〜20)μmである。使用繊維のLOIの測定は、JIS K 7201−2「プラスチック−酸素指数による燃焼性の試験方法−第2部:室温における試験」に従って行った。
そして、その紐状パッキンを2点ロール或いは4点ロールを用いて、一辺の長さが14.5mmである断面正方形の角紐状のグランドパッキンgとし、所定の長さに切断した。
摩擦試験においては、錘37を1kgとし、回転ドラム34を3000rpmで回転させたときの回転ドラム34の回転力値、即ちトルク(トルク値)を計測した。その結果を図7の表と図8のグラフとに示す。
この結果から、LOI値e≧22では摩擦が小さくなり、ポンプ動力への負担が軽減されるグランドパッキンgになることが見出された。LOI値eが大きくなるに連れて、繊維の炭化度が増し、回転ドラム34との摩擦係数が減少したものと推測される。
これらのことから、LOI値eは、21≦e≦30であるのが望ましく、より好ましくは、22≦e≦26であると言えよう。
そして、e>30である繊維を加撚してなるヤーンは柔軟性に乏しいことが判った。柔軟性に乏しいと弾性率が高く、パッキンを構成した場合には塑性変形し難いものとなる。
即ち、柔軟性に乏しいと、角紐状グランドパッキン(紐角パッキン)の断面形状を保持し難くなり、丸みを帯びてしまう。また、ポンプのシャフトへの馴染み性に劣るため、漏洩量(単位時間当たりの漏洩量)が多くなってしまう。
そして、e≧22ではさらに良好な滑り性を有するグランドパッキンとなるヤーンを提供することができる。
e≦30であれば、必要となる柔軟性を有するグランドパッキンを構築できるヤーンとすることが可能になる。即ち、角紐状グランドパッキンを構成した場合、断面形状の保持が可能となって丸みを帯びないようにすることができる。
そして、e≦26では、グランドパッキンは適度な柔軟性を有するものとなり、ポンプのグランド部や回転軸などのシール対象との馴染み性がさらに良好になり、漏洩量がより少なくなる。
扁平率fは、f<1.1の場合、潤滑性及びシール性(目詰め材)付与のための含浸材が付着し難くなる。
扁平率fは、f>2の場合、過度に柔軟性を有する。即ち、曲率の小さな部分に応力が集中し、容易に塑性変形してしまうため、グランドパッキンとしたときの応力緩和が大きくなってしまう。
凹部1(図2参照)がない断面形状の場合は、潤滑性及びシール性(目詰め材)付与のための含浸材が定着し難くなってしまう。
a 直線どうしの間隔の最大値
b 直線どうしの間隔の最小値
f 扁平率
h 凹部の深さ
s 繊維
L1,L2 互いに平行な2本の直線
Claims (8)
- グランドパッキンに用いられるヤーンであって、
限界酸素指数が21〜30を呈する繊維を加撚してなるヤーン。 - 前記限界酸素指数が22〜26である請求項1に記載のヤーン。
- 前記繊維は、その繊維断面を互いに平行な2本の直線で挟んだ状態における前記2本の直線どうしの間隔の最大値を最小値で除した値である扁平率が1.1〜2と定義されるものが含まれている請求項1又は2に記載のヤーン。
- 前記扁平率が1.4〜1.6に定義されている請求項3に記載のヤーン。
- 前記繊維は、その断面形状に1箇所以上の凹部を有するものが含まれている請求項1〜4の何れか一項に記載のヤーン。
- 前記凹部の深さが0.4μm以上ある請求項5に記載のヤーン。
- 前記繊維は、アクリル系繊維を有している請求項1〜6の何れか一項に記載のヤーン。
- 前記アクリル系繊維が、アクリロニトリル酢酸ビニル共重合体繊維である請求項7に記載のヤーン。
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