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発泡用プロ ピレ ン系共重合体、 その発泡粒子及び発泡体
技術分野
本発明は、 発泡用プロ ピレン系共重合体、 その発泡粒子及び発泡体 に関し、 さ らに詳しく は、 剛性などの機械物性に優れるとと もに、 一 次発泡性及び二次発泡性の向上したアイ ソタ クチッ クプロ ピ レ ン—ェ チ レ ンラ ンダム共重合体からなる発泡用プロ ピレン系共重合体、 それ から得られた発泡粒子及び該発泡粒子を発泡成形してなる発泡体に関 する ものである。
背景技術
結晶性ポ リ プロ ピレ ン系樹脂を基材とする発泡体は、 一般に ( 1 ) 緩衝性に優れること、 ( 2 ) 熱伝導率が低い上、 耐熱温度がポ リェチ レ ン発泡体に比べてはるかに高く 、 温度安定性が良好であること、 ( 3 ) 耐薬品性に優れるこ と、 ( 4 ) 機械加工, プレス加工, 真空成形 などが容易であること、 ( 5 ) 腰が強く 、 強度が大きいことなどの特 徴を有することから、 例えば緩衝材, 包材, バンパーコア材, フ ロー ト材, 断熱材などと して賞用されている。
この結晶性ポ リ プロ ピ レ ン系樹脂発泡体の製造方法と しては、 一般 に下記の方法が好ま し く採用されている。 すなわち、 まず、 分散剤を 含有する水性媒体中に樹脂粒子を分散させ、 加熱, 加圧下に物理発泡 剤を導入して、 樹脂粒子に該発泡剤を含浸させたのち、 樹脂粒子を水 性媒体と共に大気圧下に放出 し、 一次発泡させて発泡粒子を調製する 。 次いで、 この発泡粒子を金型内で、 通常水蒸気により加熱、 加圧処 理して二次発泡させ、 所望形状の発泡体に成形するといつた方法が用 いられている。
このような発泡方法においては、 一次発泡及び二次発泡のいずれに
おいても、 できるだけ低い温度で、 所望倍率の発泡粒子や、 高発泡で しかもボイ ドの少ない品質の良好な発泡体を製造することが工業的な 面から望ま しい。
と ころで、 結晶性プロ ピ レ ン一エチ レ ンラ ンダム共重合体は、 ェチ レ ン単位含有量が多く なると、 一般に剛性が低下する傾向があり、 し たがって、 剛性を高く するには、 エチ レ ン単位含有量を低く抑える必 要がある。 しかしながら、 従来の結晶性プロ ピレン一エチレンラ ンダ ム共重合体の場合、 エチ レ ン単位含有量が低く なると一次発泡及び二 次発泡において、 加熱温度が高く なるのを免れず、 設備上の問題が生 じ、 工業的に不利となる。
発明の開示
本発明は、 このような状況下で、 剛性などの機械的物性に優れると と もに、 一次発泡性及び二次発泡性が良好で、 従来の結晶性ポリ プロ ピレ ン系樹脂に比べて、 低い温度で一次発泡及び二次発泡が可能な発 泡用結晶性ポリプロ ピレン系樹脂、 それから得られた発泡粒子及び発 泡体を提供することを目的とする ものである。
本発明者らは、 前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、 特定の性状を有するプロ ピレンとエチ レ ンとのラ ンダム共重合体が、 剛性などの機械物性に優れ、 かつ一次発泡性及び二発泡性が良好であ ることを見出した。 本発明は、 かかる知見に基づいて完成したもので ある。
すなわち、 本発明は、 プロ ピレンとエチレンとのラ ンダム共重合体 であって、 ( 1 ) エチレン単位含有量 〔 x (重量 〕 が 0. 2〜 1 0 重量%であること、 ( 2 ) メノレ トイ ンデッ クス 〔M I ( 2 3 0 °C , 荷 重 2 1 6 0 g ) 〕 力く 1 〜 1 6 g / l 0分であること、 ( 3 ) 沸騰ジェ チルエーテル抽出量 〔 E (重量%) 〕 と X とが、 式 ( I )
E≤ 0. 2 5 x + 1. 1 · · · ( I )
の関係を満たすこと、 ( 4 ) 示差走査型熱量計で測定した融点 〔Tm (°C) 〕 と xとが、 式 ( I I )
Tm≤ l 6 5 - 5 x · · · ( I I )
の関係を満たすこと、 及び ( 5 ) 13 C— N M Rの測定により求めた P P P連鎖部のアイ ソタクチッ ク トライア ツ ド分率が 9 8モル%以上で あることを特徴とする発泡用プロ ピレン系共重合体、 並びに、 プロ ピ レンとエチレンとのラ ンダム共重合体であって、 前記 ( 1 ) 〜 ( 5 ) の性状を有するとと もに、 さ らに ( 6 ) 周波数分散測定により得られ る周波数 ω。 = 1 0 ϋ r a d / s e cにおける緩和時間て ( s e c ) と M I とが、 式 ( I I I )
て ≤ 8 0 — 0. 4 2 x l o g M I · · · ( I I I ) の関係を満たすこ とを特徴とする発泡用プロ ピレン系共重合体を提供 する ものである。
また、 本発明は、 前記プロ ピレン系共重合体を用いてなる発泡粒子 及びこの発泡粒子を発泡成形してなる発泡体をも提供するものである 発明を実施するための最良の形態
本発明の発泡用プロ ピレン系共重合体は、 プロ ピレンとエチレンと のラ ンダム共重合体であって、 以下に示す性状を有する。
まず、 ( 1 ) ェチレン単位含有量 〔 x (重量%) 〕 が 0. 2〜 1 0重 量%の範囲にあることが必要である。 このエチレン単位含有量が 0. 2 重量%未満では一次発泡性及び二次発泡性に劣り、 1 0重量%を超え ると得られる発泡体の剛性や耐熱性が低下する。 一次発泡性, 二次発 泡性及び発泡体の剛性および耐熱性などの面から、 好ま しいエチレン 単位含有量は 0. 3〜 8. 0重量%の範囲である。 なお、 上記エチレン単
位含有量の測定方法については、 後述する。
また、 ( 2 ) メノレ トイ ンデッ クス 〔 M I ( 2 3 0 °C , 荷重 2 1 6 0 g ) 〕 が 1〜 1 6 gZ l 0分の範囲にあるこ とが必要である。 この M I が上記範囲を逸脱すると一次発泡性及び二次発泡性が不充分となる 。 なお、 この M I は、 J I S K 7 2 1 0 に準拠し、 温度 2 3 0 °C、 荷重 2 1 6 0 gの条件で測定した値である。
さ らに、 ( 3 ) 沸騰ジェチルエーテル抽出量 〔E (重量%) 〕 前記 X とが、 式 ( I )
E≤ 0. 2 5 X + 1. 1 · · · ( I )
の関係を満たすべきである。 Eの値がこの範囲より多く なると、 発泡 粒子及び発泡体がベとつく という不都合が生じる。
なお、 この沸騰ジェチルエーテル抽出量の測定方法については、 後 述する。
次に、 ( 4 ) 示差走査型熱量計で測定した融点 〔Tm (°C) 〕 と前 記 X とが、 式 ( I I )
Tm≤ l 6 5 - 5 x · · · ( I I )
の関係を満たすことが必要である。 T mの値がこの範囲より高く なる と一次発泡及び二次発泡における加熱温度が高く なり、 本発明の目的 が達せられない。
なお、 この Tmの測定方法については後述する。
また、 ( 5 ) 13C— NMRの測定により求めた P P P連鎖部のアイ ソタクチッ ク トライアツ ド分率が 9 8モル%以上であることが必要で ある。 このアイ ソタクチッ ク トライアツ ド分率が 9 8モル%未満では 結晶性が低く、 得られる発泡体の剛性などの機械物性が不充分であり 、 本発明の目的が達せられない。 なお、 このアイ ソタクチッ ク トライ ア ツ ド分率とは、 任意の連続する 3つのプロ ピレン単位で構成される
炭素一炭素結合による主鎖に対し、 側鎖である 3つのメ チル基がいず れも同方向に位置する立体構造の割合を指し、 13C— NMR測定によ り算出することができる。 この算出方法については後述する。
本発明のプロ ピレン系共重合体と しては、 特に、 前記 ( 1 ) 〜 ( 5 ) の性状を有するとと もに、 さ らに、 ( 6 ) 周波数分散測定により得 られる周波数 ω。 = 1 0 ° r a d Z s e cにおける緩和時間て ( s e c ) と前記 M I とが、 式 ( I I I )
て ≤ 0. 8 0— 0.4 2 x l o gM I · · · ( I I I )
の関係を満たすものが好適である。 緩和時間てがこの範囲より長いと 、 一次発泡性及び二次発泡性が不充分である。
なお、 この て の測定方法については後述する。
このよ う なプロ ピレ ン系共重合体の製造方法と しては、 前記要件を 満たすプロ ピ レ ン一エチ レ ンラ ンダム共重合体が得られる方法であれ ばよ く 、 特に制限されず、 様々な方法を用いるこ とができる。 例えば ( a) マグネ シウム, チタ ン及びハロゲン原子を必須成分とする固体 触媒成分、 (b) 有機アル ミ ニウ ム化合物などの有機金属化合物触媒 成分及び ( c) 有機ゲイ素化合物などの電子供与性化合物触媒成分か らなる触媒系の存在下、 プロプレンとエチレンとをラ ンダム共重合さ せることにより、 製造することができる。
前記 ( a) 固体触媒成分において、 好ま しい担体となる ものは、 金 属マグネシウムとアルコールとハロゲン及び/又はハロゲン含有化合 物から得られる。 この場合、 金属マグネシウムは、 顆粒状, リ ボン状 , 粉末状等のものを用いることができる。 また、 この金属マグネシゥ ムは、 表面に酸化マグネシムゥム等の被覆が生成されていないものが 好ま しい。
アルコールと しては、 炭素数 1〜 6の低級アルコールを用いるのが
好ま し く 、 特に、 エタノ ールを用いると、 触媒性能の発現を著し く 向 上させる担体が得られる。
ハロゲンと しては、 塩素, 臭素, 又はヨウ素が好ま しく 、 特にヨウ 素を好適に使用できる。 また、 ハロゲン含有化合物と しては、 M g C 1 2 、 M g 1 2 が好適に使用できる。
アルコールの量は、 金属マグネシウム 1 モルに対して好ま しく は 2 〜 1 0 0 モル、 特に好ま しく は 5〜 5 0 モルである。
ハロゲン又はハロゲン含有化合物の使用量は、 金属マグネシウム 1 グラム原子に対して、 ハロゲン原子又はハロゲン含有化合物中のハロ ゲン原子が、 0. 0 0 0 1 グラム原子以上、 好ま し く は 0. 0 0 0 5 グラ ム原子以上、 さ らに好ま しく は、 0. 0 0 1 グラム原子以上である。 ハ ロゲン及びハロゲン含有化合物はそれぞれ一種を単独で使用 してもよ く 、 二種以上を併用 してもよい。
金属マグネシゥムとアルコールとハロゲン及び Z又はハ口ゲン含有 化合物との反応は、 例えば、 金属マグネ シウムとアルコールとハロゲ ン及び/又はハロゲン含有化合物とを、 還流下 (例えばエタ ノ ールの 場合約 7 9 °C ) で水素ガスの発生が認められなく なるまで (通常 2 0 〜 3 0 時間) 行なうのがよい。 この反応は、 不活性ガス (例えば窒素 ガス、 アルゴンガス) 雰囲気下で行なう こ とが好ま しい。
得られた担体を次の固体触媒成分の合成に用いる場合、 乾燥させた ものを用いてもよ く 、 また濾別後ヘプタ ン等の不活性溶媒で洗浄した ものを用いてもよい。
このようにして得られた担体は粒状に近く 、 しかも粒径分布がシャ ープである。 さ らには、 粒子一つ一つをと つてみても、 粒径のばらつ きは非常に小さい。 この場合、 下記の式 ( I V ) で表される球形度 ( S ) が 1. 6 0未満、 特に 1. 4 0未満であり、 かつ下記の式 (V ) で表
される粒径分布指数 ( P) が 5. 0未満、 特に 4. 0未満であるこ とが好 ま しい。
S = ( E 1 / E 2 ) 2 · · · ( I V)
(ここで、 E 1 は粒子の影の輪郭長、 E 2 は粒子の投影面積に等しい 円の周長を示す。 )
P二 D 9 0 /D 1 0 - - - (V)
(ここで、 D 9 0 は重量累積分率が 9 0 %に対応する粒子径をいう。 すなわち、 D 9 0で表される粒子径より小さい粒子群の重量和が全粒 子総重量和の 9 0 %であることを示している。 D 1 0 も同様である。 )
( a ) 固体触媒成分は、 このようにして得られた担体に、 少なく と も チタ ン化合物を接触させるこ とにより、 調製するこ とができる。
このチタ ン化合物と しては、 一般式 (V I )
T i X 1 „ (O R 1 ) 4 - „ · · · (V I )
(式中、 X ' はハロゲン原子、 特に塩素原子が好ま しく 、 R 1 は炭素 数 1 〜 1 0の炭化水素基、 特に直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、 R 1 が複数存在する場合にはそれらは互いに同じでも異なっていても よい。 nは 0〜 4の整数である。 ) で表される化合物を用いるこ とが できる。 具体的には、 T i (0 - i - C 3 H 7 ) T i ( Ο - C 4 Η 9 ) 4 , T i C l (0 - C 2 Η 5 ) 3 , T i C l (0 - i C 3 H 7 ) 3 , T i C l ( 0 - C 4 H 9 ) 3 , T i C 1 2 ( 0 - C 4 H 9 ) 2 , T i C 1 2 ( 0 - i - C 3 H 7 ) 2 , T i C 1 4 などを挙げるこ とができるが、 これらの中で、 特に T i C l 4 が好ま しい。 これらの チタ ン化合物は単独で用いてもよ く 、 二種以上を組合せて用いてもよ い。
この固体触媒成分は、 前記担体にチタ ン化合物と共に、 場合により
電子供与性化合物を接触させて調製してもよい。 この電子供与性化合 物と しては、 芳香族ジカルボン酸ジエステルが好ま しく 、 特にフタル 酸ジ— n—プチルが好ま しい。
また、 前記の担体にチタ ン化合物と場合により電子供与性化合物を 接触させる際に、 さ らに四塩化ゲイ素などのハロゲン含有ゲイ素化合 物を接触させるとよい。
この固体触媒成分は、 公知の方法、 例えばペンタ ン, へキサン, へ ブタ ン, オク タ ンなどの不活性炭化水素溶媒中に、 前記担体、 場合に より電子供与性化合物及びハロゲン含有ゲイ素化合物を投入し、 攪拌 しながらチタ ン化合物を投入するこ とにより調製するこ とができる。 この際、 電子供与性化合物は、 マグネ シウ ム原子換算で担体 1モルに 対し、 通常 0. 0 1〜 1 0モル、 好ま しく は、 0. 0 5〜 5モルの割合で 加え、 チタ ン化合物は、 マグネシウム原子換算で担体 1モルに対し、 通常 1〜 5 0モル、 好ま しく は 2〜 2 0モルの割合で加える。
また、 反応温度及び反応時間は、 通常 0〜 2 0 0 °Cの範囲で 5分〜
1 0時間程度、 好ま し く 3 0〜 1 5 0 °Cの範囲で 3 0分〜 5時間程度 ある。
なお、 反応終了後は不活性炭化水素 (例えば、 n—へキサン、 n— ヘプタ ンなど) で生成した固体触媒成分を洗浄するのが好ま しい。
また、 (b) 触媒成分の有機金属化合物と しては、 有機アルミニゥ ム化合物を好適に用いるこ とができる。
この有機アルミニウム化合物と しては、 一般式 (V I I )
A I R2 m X 2 · · · (V I I )
(式中、 R2 は炭素数 1〜 1 0のアルキル基, シク ロアルキル基又は ァ リ ール基であり、 X2 はハロゲン原子であり、 塩素原子または臭素 原子が好ま しい。 mは 1〜 3の整数である。 ) で表される化合物が広
く用いられる。 具体的には、 ト リ アルキルアル ミ ニウム化合物、 例え ば、 ト リ メ チルアル ミ ニウム, ト リ ェチルアル ミ ニウ ム, ト リ イ ソブ チルアル ミ ニウムなど、 さ らにはジェチルアル ミ ニウムモノ ク ロ リ ド
, ジイ ソブチルアル ミ ニウムモノ ク ロ リ ド, ジェチルアル ミ ニウムモ ノ エ トキシ ド, ェチルアルミ ニウムセスキク ロ リ ド等を挙げる こ と力く できる。 これらは、 一種を単独で用いてもよく 、 二種以上を併用 して もよい。
さ らに、 ( C ) 触媒成分と して、 重合系に供する電子供与性化合物 と しては、 有機ゲイ素化合物が好ま し く 、 特にジ シク ロペンチルジメ トキシシラ ンが好ま しい。
前記の固体触媒成分は、 前処理してから、 重合に用いるとよい。 例 えば、 ペンタ ン, へキサン, ヘプタ ン又はオク タ ン等の不活性炭化水 素を溶媒に、 上記の固体触媒成分、 有機金属化合物及び電子供与性化 合物を投入し、 攪拌しながら、 プロ ピ レ ンを供給し、 反応させる。 ま た、 有機金属化合物は、 固体触媒成分中のチタ ン原子 1 モルに対して 、 通常 0. 0 1 〜 1 0 モル、 好ま し く は 0. 0 5〜 5 モルを加え、 電子供 与性化合物は、 固体触媒成分中のチタ ン原子 1 モルに対して、 通常 0. 0 1 〜 2 0 モル、 好ま し く は 0. 1 〜 5 モルを加える とよい。 プロ ピ レ ンは、 大気圧より も高いプロ ピレ ン分圧下で供給し、 0〜 1 0 0 °c程 度にて、 0. 1 〜 2 4 時間程度処理するとよい。 なお、 反応終了後は不 活性炭化水素 (例えば、 nへキサン、 n—ヘプタ ンなど) で、 前処理 したものを洗浄するのが好ま しい。
重合条件は、 特に制限されず、 公知の方法と同様の条件を用いるこ とができる。 例えば、 大気圧より も高いプロ ピレ ン及びエチ レ ンの分 圧下で、 通常一 8 0〜 1 5 0 °Cの温度下で重合することができる。 好 ま しく は、 2 0〜 1 5 0 °Cの温度下で、 プロ ピレ ン及びエチ レ ンの分
圧は大気圧〜 4 0 k g / c m 2 Gの範囲である。 また、 有機金属化合 物は、 固体触媒成分中のチタ ン原子 1 モルに対して、 通常 0. 1 〜 4 0 0 モル、 好ま しく は ! 〜 2 0 0 モルを加え、 電子供与化合物は、 固体 触媒成分中チタ ン原子 1 モルに対して、 通常 0. 1 〜 1 0 0 モル、 好ま し く は 1 〜 5 0 モルを加えるとよい。
また、 所望のェチレン単位含有量及び分子量となるようにエチ レ ン 供給量及び水素供給量をそれぞれ調節する。 なお、 エチレ ン単位含有 量は重合装置内のエチレン濃度だけでなく水素濃度の影響も受ける。 また、 分子量も水素濃度だけでなく 、 エチレン濃度の影響も受ける。 このようにして、 プロ ピレン一エチレンラ ンダム共重合体からなる 本発明の発泡用プロ ピ レ ン系共重合体が得られる。 立体規則性 (アイ ソタクチッ ク) プロ ピレン重合体にェチレン単位を導入した場合とそ の立体規則性を乱した場合を比較すると、 結晶性の低下については両 者に大きな差は生じないが、 融点の低下については前者の方が後者よ り もかなり大きい。 本発明は、 この知見に基づき、 プロ ピ レ ン単位連 鎖部の立体規則性を高く し、 そこ にエチ レ ンをラ ンダム共重合させる ことにより、 高い結晶性を有し、 かつ低い融点を有するプロ ピレン系 ラ ンダム共重合体を得ることができた。 また、 共重合性が良いため、 少ない共重合量で効果的に融点を低く することができた。 その結果、 本発明の発泡用プロ ピレン系共重合体は、 一次発泡性及び二次発泡性 に優れたものとなる。
次に、 本発明の発泡粒子について説明する。
本発明の発泡粒子は、 前記のようにして得られた本発明の発泡用プ ロ ピレ ン系共重合体を使用 して製造されるが、 この際、 本発明の目的 が損なわれない範囲で、 所望により、 該発泡用プロ ピレ ン系共重合体
に対し、 発泡核剤を始め、 公知の各種添加剤や他の熱可塑性樹脂を配 合して樹脂組成物を調製し、 この ものを用いてもよい。
上記発泡核剤と しては、 例えばタルク, シ リ カ, ゲイ酸カルシウム , 炭酸カルシウム, 酸化アル ミ ニウム, 酸化チタ ン, 酸化亜鉛, ゲイ ソゥ土, ク レイ, 炭酸水素ナ ト リ ウム, 硫酸バリ ウム, ベン トナイ ト , ステア リ ン酸塩などが挙げられる。 これらは単独で用いてもよ く 、 二種以上を組み合わせて用いてもよい。 その配合量は、 発泡用プロ ピ レ ン系共重合体 1 0 0重量部に対し、 通常 0. 0 1 〜3. 0重量部の範囲 で選ばれる。
また、 公知の各種添加剤と しては、 例えば熱安定剤, 酸化防止剤, ヒ ンダー ドア ミ ン系光安定剤, 紫外線吸収剤, 無機フ ィ ラーや有機フ イ ラ一などの強化剤, 滑剤, 帯電防止剤, 難燃剤, 着色剤, 離型剤な どが挙げられる。
本発明においては、 まず、 前記の発泡用プロ ピ レ ン系共重合体及び 必要に応じて用いられる各種添加成分を混合して溶融混練し、 樹脂組 成物を調製したのち、 ペレツ ト化して樹脂粒子を作製する。 この樹脂 粒子と しては、 径が 0. 2 5 〜 2 m m程度で L Z D比が 1 〜 3程度の大 きさのものが有利である。
この樹脂粒子を作製する方法と しては特に制限はなく 、 公知の方法 を用いることができる。 例えば、 押出機を用いて溶融混練したのち、 押出機先端に取付けた微小穴を有する口金より糸状に押出し、 引取り 機を備えた切断機で上記サイズに切断して樹脂粒子を作製する方法、 あるいはニーダーゃミ キサーなどの混練機で混練し、 粉砕機により粉 砕して樹脂粒子を作製する方法などを用いることができる。
次に、 このようにして得られた樹脂粒子を一次発泡させて発泡粒子 を調製する。 この発泡粒子の調製方法と しては特に制限はなく 、 従来
公知の方法を用いることができるが、 本発明においては、 分散媒発泡 方法が好ま しく用いられる。 この分散媒発泡方法は、 通常、 次のよう にして実施される。 すなわち、 密閉し開放できる圧力容器に、 分散媒 , 分散剤及び前記樹脂粒子を仕込み、 さ らに物理発泡剤を導入し、 攪 拌下に、 圧力容器の外部又は内部からの加熱で昇温し、 発泡剤が樹脂 粒子に有効に含浸する温度まで、 圧力容器内部の温度を上げ、 一定時 間保持する。 次いで、 圧力容器内部より も低圧の雰囲気に圧力容器を 開放して、 圧力容器内容物を容器外に放出するこ とにより、 発泡粒子 力 得られる。
分散媒と しては、 水などの水性媒体が好ま し く 、 また、 分散剤は樹 脂粒子の容器内での融着防止のために用いられるものであり、 分散媒 へ実質上溶解しない無機又は有機の高融点物である。 その具体例と し ては、 酸化アル ミ ニウム, 炭酸カルシウ ム, 炭酸マグネ シウム, 炭酸 亜鉛, 塩基性第三リ ン酸カルシウム, カオリ ン, マイ力, タルクなど が挙げられるが、 これらの中で、 酸化アル ミ ニウム, 塩基性第三リ ン 酸カルシウム及びカオリ ンが好ま しい。 この分散剤は、 単独で用いて もよ く 、 二種以上を組み合わせて用いてもよい。 また、 その使用量は
、 通常樹脂粒子 1 0 0重量部に対し、 0. 0 1 〜 3. 0重量部の範囲で選 ばれる。 また、 必要に応じて、 ドデシルベンゼンスルホン酸ナ ト リ ウ ムゃォレイ ン酸ナ ト リ ウムなどの界面活性剤を併用 してもよい。
一方、 物理発泡剤と しては、 不活性ガス, 飽和脂肪族炭化水素, 飽 和脂環式炭化水素, 芳香族炭化水素, ハロゲン化炭化水素, エーテル , ケ ト ンなどが用いられる。 この物理発泡剤の具体例と しては、 メ タ ン ; ェタ ン ; プロノ、。ン ; ノ ノレマルブタ ン ; イ ソブタ ン ; ノ ルマルペン タ ン ; イ ソペンタ ン ; ネオペンタ ン ; シク ロペンタ ン ; ノ ルマルへキ サン ; 2 —メ チルペンタ ン ; 3 —メ チルペンタ ン ; 2 , 2 — ジメ チル
ブタ ン ; 2, 3 — ジメ チルブタ ン ; メ チルシ ク ロプロパン ; 1, 1 一 ジメ チノレシク ロプロ ノくン ; シ ク ロへキサン ; メ チノレシク ロペンタ ン ; ェチルシク ロブタ ン ; 1, 1, 2 — ト リ メ チルシク ロプロパン ; ベン ゼン ; 塩化メ チル ; モノ ク ロ ロ ジフルォロェタ ン ; ジク ロ ロ ジフルォ ロ メ タ ン ; ジメ チルエーテル ; 2 -エ トキンエタ ノ ール ; アセ ト ン ; メ チルェチルケ ト ン ; ァセチルアセ ト ン ; L P G ; 二酸化炭素 ; 窒素 ; 空気などが挙げられる。 これらは単独で用いてもよ く、 二種以上を組 み合せて用いてもよい。 またその使用量は、 樹脂粒子 1 0 0重量部に 対し、 通常 3〜 6 0重量部の範囲で選ばれる。
この一次発泡の条件と しては、 通常加熱温度は 1 2 5〜 1 6 0 °Cの 範囲であり、 一方、 圧力は 2 0〜 5 0 k g / c m 2 G程度である。 ま た、 発泡させるために、 容器内容物を放出する際の低圧部は大気圧以 下でもよいが、 通常はコス ト的に有利な大気圧下に放出される。
このよ うにして得られた発泡粒子は、 平均気泡径が、 通常 1 0〜 5 0 0 z m程度であり、 またそのかさ密度は、 一次発泡条件などにより 異なるが、 通常は 0. 0 0 9〜0. 3 g / c m 3 程度である。
次に、 本発明の発泡体は、 前記発泡粒子を金型内に充填し、 金型内 に加熱媒体を導入して、 該発泡粒子を二次発泡させるとと もに、 加熱 融着させることにより、 製造される。 この際、 加熱媒体と しては、 通 常 2〜 4 k g / c m 2 G程度の水蒸気が用いられる。
このようにして得られた発泡体は、 表面及び内部にボイ ドが少なく 、 良好な品質を有し、 また、 発泡倍率は、 通常 3〜 1 0 0倍程度であ o
本発明の発泡体は、 所望により常法に従って、 非発泡の熱可塑性樹 脂, 繊維強化熱可塑性樹脂, 繊維強化熱硬化性樹脂と積層させてもよ く 、 あるいは各種金属と積層させてもよい。
【実施例】
次に、 本発明を実施例により さ らに詳細に説明するが、 本発明は、 これらの例によってなんら限定される ものではない。
なおプロ ピレ ン系共重合体の物性は、 下記の方法に従って測定した
<プロ ピレ ン系共重合体の物性〉
( 1 ) エチ レ ン単位の含有量 〔 χ (重量部%) 〕
下記の条件で厚さ 3 0 0 mの シー ト作製し、 日本分光社製 F T I R 5 3 0 0 を用い、 7 1 8 c m 1及び 7 3 3 c m 1の吸光度から エチ レ ン単位の含有量 〔 x (重量部%) 〕 を算出 した。
X =0. 5 9 9 X (A d L ) - 0. 1 6 1 x ( A d
L )
X =0. 5 9 9 x ( A 1 8 d ' L ) -0. 1 6 l x (A d
L )
X =0. 8 0 9 X ( x , + x 2 )
( A a : 7 1 8 c m の吸光度、 A 73 7 3 3 c m 1の吸光度 d = 0. 9、 L : 試料の厚さ)
• シ一 ト成形条件
プレス温度 : 2 2 0 °C
加 · 冷却時の成形圧 : 5 0 k g / c m G
予熱 : 5分
加圧 : 5分
冷却 : 3分
• I R測定条件
積算回数 : 2 0回
分解能 : 4 c m— 1
( 2 ) メ ノレ トイ ンデッ クス 〔M I〕 ( gZ l O分)
J I S K 7 2 1 0 に準拠し、 温度 2 3 0 °C, 荷重 2 1 6 0 gの条 件で測定した。
( 3 ) 沸騰ジェチルエーテル抽出量 〔E (重量部 〕
1 m m øメ ッ シュパスの大きさに粉砕したペレツ トを円筒濾紙に 3 g、 抽出溶剤のジェチルェ一テルを平底フラスコに 1 6 0 ミ リ リ ッ ト ル入れ、 リ フラ ッ クス頻度を 1 回 Z 5分程度にしてソ ッ クスレー抽出 器で 1 0時間抽出する。 抽出後、 ジェチルェ一テルをエバポレータ一 で回収し、 さ らに真空乾燥器で、 恒量になるまで乾燥し、 その重量か ら沸騰ジェチルエーテル抽出量を求めた。
( 4 ) 示差走査型熱量計で測定した共重合体の融点 〔Tm (°C) 〕 示差走査型熱量計 (パーキンエルマ一社製、 D S C 7 ) を用いて、 あらかじめ試料 1 O m gを窒素雰囲気下 2 3 0 °Cで 3分間溶融した後 、 1 0 °CZ分で 4 0 °Cまで降温する。 この温度で 3分間保持した後、 1 o°cz分で昇温させて得られた融解吸熱カーブの最大ピークのピ一 ク ト ップを融点 (Tm) と した。
( 5 ) 13C— NMRで測定した P P P連鎖部のアイ ソタクチッ ク トラ ィ ア ツ ド分率 〔 m m (モル% ) 〕
プロ ピ レ ン系共重合体のプロ ピレ ン単位連鎖部のアイ ソタクチッ ク トライアツ ド分率 (mm) は、 共重合体分子鎖のプロ ピレ ン単位連鎖 における トライアツ ド単位のァイ ソタクチッ ク分率であり、 13C— N MRスぺク トルから求めることができる。
プロ ピレ ン単独重合体の場合は、 次の式 ( a ) でそれ計算できる。 mm (モル%) = C I mm/ ( I mm+ I m r + I r r ) 〕 x 1 0 0 · · · ( a )
但し、 I mm、 I m r及び I r r は、 ' 3 C — N M Rスペク トルでメ チル炭素領域を mm、 m r及び r rの 3領域に区分けしたときの、 そ れぞれの領域のピーク強度を示す。 mm領域は化学シフ 卜で 2 1. 4〜 22. 2 p p m、 m r領域は化学シフ トで 2 0. 6〜 2 1. 4 p p m、 r r 領域は化学シフ トで 1 9. 8〜 2 0. 6 p p mである。
プロ ピレン系ラ ンダム共重合体の場合は、 エチレン単位 ( E ) に隣 接するプロ ピレン単位 ( P ) のメ チル炭素の吸収位置がエチレン単位 により影響を受ける。 具体的には、 E P E連鎖中のプロ ピレン単位の メ チル炭素の吸収ピークは、 r r領域に現れ、 P P E連鎖の中央のプ ロ ピレン単位のメ チル炭素の吸収ピークは m r領域に現れる。
この E P E連鎖中の、 プロ ピレン単位のメ チル炭素の吸収ピーク強 度は、 T 5 (5 ( 3 3. 3 p p m) のピーク強度で代用ができる。 また、 この P P E連鎖中のプロ ピレン単位のメ チル炭素の吸収ピーク強度は 、 S α γ ( 3 8. 0 p p m) のピーク強度で代用ができる。
そこで、 プロ ピレン系ラ ンダム共重合体の P P P連鎖のアイ ソタク チッ ク トライア ツ ド分率を求めるには、 次の式 ( b ) を用いる。
mm (モル%) = [ I mm/ 〔 ( I mm + I m r - S a r ) + ( I r r - T 5 <5 ) ] } X 1 0 0 · · · ( b )
1 3 C — N M Rスぺク トルは、 日本電子社製の J N M— E X 4 0 0 型 N M R装置を用いて測定した。 測定条件は、 以下のとおりである。
試料濃度 : 2 2 0 m g ZN M R溶媒 3 m 1
N M R溶媒 : 1 , 2, 4 — ト リ ク ロ口ベンゼン/重ベンゼン
( 9 0 / 1 0 V 0 1 %)
測定温度 1 3 0。C
パルス 4 5 °
パルス繰返し時間 : 4秒
積算回数 : 4 0 0 0 回
( 6 ) 緩和時間 τ
レオメ ト リ クス社製回転型レオメ ータ一において、 コーンプレー ト (直径 25. 0 mm、 コー ンアングル 0. 1 0 ラ ジア ン) を用い、 温度 1
7 5 °Cにおいて周波数分散測定を行った際の周波数 ω 1 0 r a d / s e c における緩和時間て ( s e c ) であり、 以下のようにして 算出した。
複素弾性率 G * ( i ω) を応力ひ * とひずみァ * により σ * /ァ * で定義した場合、 G * ( ί ω) は、
G * ( ΐ ω) = σ * / * = G' (ω) + i G" (ω)
であり、 τ ( ω ) は
τ (ω) = G ' ( ω ) / ω G" (ω)
ただし、 ω : 周波数 ( r a d Z s e c ) 、 G' (ω) : 貯蔵弾性率 、 G" (ω) : 損失弾性率である。
また、 樹脂粒子の一次発泡における発泡性及び発泡粒子の二次発泡 における発泡成形性は、 下記の方法に従って評価した。
<樹脂粒子の一次発泡における発泡性〉
( 1 ) 発泡性 1
かさ密度を 0. 0 4 5 gZ c m3 に設定し、 このかさ密度になる発泡 温度を比較例 1 を基準に評価した。
( 2 ) 発泡性 2
比較例 1 を基準に、 かさ密度を 0. 0 4 5 g / c m 3 の時のセルの均 一性を評価した。 ここで◎は比較例 1 に比べて均一性が良好であるこ とを示し、 〇は比較例 1 と同等であることを示す。
ぐ発泡粒子の二次発泡における発泡成形性 >
( 1 ) 二次発泡性
下記の判定基準に従い、 二次発泡性を評価した。
〇 : 発泡体表面に金型形状が転写されており、 発泡体の表面及び内部 にボイ ドが少なく 、 製品と して問題がない。
X : 発泡体表面及び内部のボイ ドが多く 、 製品と して使用不可
( 2 ) 成形性
下記の方法に従い、 成形可能な最低温度を測定し、 成形性を評価し た。
一次発泡粒子を 3 0 0 X 3 0 0 5 m mの金型に充填したのち、 2 〜 4 k g Gの水蒸気圧力にて、 二次発泡させて発泡成形体を作製し、 評価した。
( 3 ) 圧縮特性
( 2 ) で作成した発泡成形体を J I S K 6 7 6 7 により、 圧縮硬 さを測定し、 評価した。
実施例 1 〜 6
( 1 ) マグネ シウム化合物の調製
内容積 5 0 0 リ ツ トルの攪拌機付き反応槽を窒素ガスで充分に置換 し、 エタノール 9 7. 2 k g、 ヨウ素 6 4 0 g、 及び金属マグネシウム 6. 4 k gを投入し、 攪拌しながら還流条件下で系内から水素ガスの発 生が無く なるまで反応させ、 固体状反応生成物を得た。 この固体状反 応生成物を含む反応液を減圧乾燥させることにより 目的のマグネシゥ ム化合物 (固体触媒の担体) を得た。
( 2 ) 固体触媒成分の調製
窒素ガスで充分に置換した内容積 5 0 0 リ ツ トルの攪拌機付き反応 槽に、 前記 ( 1 ) で得られたマグネ シウム化合物 (粉砕していないも の) 3 0 k g、 精製ヘプタ ン ( n —ヘプタ ン) 1 5 0 リ ッ トル、 四塩
ィ匕ゲイ素 4. 5 リ ッ トル、 及びフタル酸ジ一 n—ブチル 5. 4 リ ッ トルを 加えた。 系内を 9 0 °Cに保ち、 攪拌しながら四塩化チタ ン 1 4 4 リ ツ トルを投入して 1 1 0 °Cで 2 時間反応させた後、 固体成分を分離して 8 0 °Cの精製ヘプタ ンで洗浄した。 さ らに、 四塩化チタ ン 2 2 8 リ ッ トルを加え、 1 1 0 °Cで 2 時間反応させた後、 精製ヘプタ ンで充分に 洗浄し、 固体触媒成分得た。
( 3 ) 前処理
内容積 5 0 0 リ ッ トルの攪拌機付き反応槽に精製へプタ ン 2 3 0 リ ッ トルを投入し、 前記 ( 2 ) で得られた固体触媒成分を 2 5 k g、 卜 リエチルアルミニウムを固体触媒成分中のチタ ン原子に対して 1. O m o 1 /m o 1 、 ジシク ロペンチルジメ トキシシラ ンを 1. 8 m o 1 /m o l の割合で供給した。 その後、 プロ ピレンをプロ ピレン分圧で 0. 3 k g / c m2 Gになるまで導入し、 2 5 °Cで 4 時間反応させた。 反応 終了後、 固体触媒成分を精製ヘプタ ンで数回洗浄し、 更に二酸化炭素 を供給し 2 4 時間攪拌した。
( 4 ) 重合
内容積 2 0 0 リ ッ トルの攪拌機付き重合装置に前記 ( 3 ) で得られ た処理済の固体触媒成分を成分中のチタ ン原子換算で 3 mm o l / h rで、 ト リェチルァノレミ ニゥムを 4 mm o l Z k g— P Pで、 ジシク 口ペンチルジメ トキシシラ ンを l mm o l Z k g— P Pでそれぞれ供 給し、 重合温度 8 0 °C、 重合圧力 (全圧) 2 8 k g/ c m2 Gでプロ ピレンとエチレンを反応させた。 この際、 重合装置内のエチレン濃度 及び水素濃度を所定量にし、 所望のェチレン単位含有量及び分子量と なるようにした。
得られたプロピレン一エチレンラ ンダム共重合体の物性を、 重合時 のガス組成とともに第 1 表に示す。
( 5 ) 発泡
上記 ( 4 ) で得られたプロ ピレン—エチレンラ ンダム共重合体 1 0 0重量部に対し、 酸化防止剤 (ィルガノ ッ クス 1 0 1 0 : チバガイ キー社製) 0. 1重量部及びタルク 0. 0 5重量部を添加し、 9 0 mm ø 単軸押出機により、 径 1 mm, 長さ 3 mmの樹脂粒子を作製した。
次に内容積 1 リ ッ トルの攪拌機付き密閉容器に、 水 3 0 0重量部、 分散剤としての微粒状酸化アルミニゥム 1 重量部及び上記樹脂粒子 1 0 0重量部を仕込み、 攪拌下に 1 2 5〜 1 6 0 °Cに加熱したのち、 ジ クロロ ジフルォロメ タ ン 2 0重量部を導入し、 窒素ガスにより 4 0 k gZcm2 Gの圧力で 2 0分間加圧保持したのち、 同圧力を保持しな がら、 容器の一端を開放し、 樹脂粒子と水とを大気圧下に放出し、 一 次発泡させ、 発泡粒子を調製した。 この際、 一次粒子のかさ密度を 0. 0 4 5 g/ c m3 に設定した。 樹脂粒子の一次発泡における発泡性を 第 2表に示す。
次に、 上記発泡粒子に、 1. 5 k gZ c m 2 Gの粒子内圧を空気で保 持させ、 この粒子を 3 0 0 X 3 0 0 X 5 0 mmの金型に充塡したのち 、 2. 0〜4. O k g / c m2 Gの水蒸気圧力にて二次発泡成形させ、 発 泡体を製造した。 発泡粒子の二次発泡における発泡成形性を第 2表に 示す。
比較例 1及び 2
従来の T i C 1 3 系触媒を用い、 6 0 °Cでスラ リ ー重合を行い、 プ ロ ピレン一エチレンラ ンダム共重合体を製造した。 この共重合体の物 性を第 1表に示す。
次に、 実施例と同様にして発泡粒子を調製し、 さ らに発泡体を製造 した。 樹脂粒子の一次発泡における発泡性、 及び発泡粒子の二次発泡 における発泡成形性を第 2表に示す。
比較例 3
従来の T i C 1 3 系触媒を用い、 7 0 °Cで気相重合を行い、 プロ ピ レ ン一エチ レ ンーブテン一 1 ラ ンダム共重合体を製造した。 この共重 合体の物性を第 1 表に示す。
次に、 実施例と同様にして発泡粒子を調製し、 さ らに発泡体を製造 した。 樹脂粒子の一次発泡における発泡性、 及び発泡粒子の二次発泡 における発泡成形性を第 2表に示す。
第 1 表
1) 重合時ガス組成:ガスクロマトグラフィ一分析による
第 1 表 - 2
1) 重合時ガス組成:ガスクロマトグラフィ一分析による
第 2表
産業上の利用可能性
本発明の発泡用プロ ピレン系共重合体は、 ァイ ソタクティ シティの 高いプロ ピレ ン一エチ レ ンラ ンダム共重合体であって、 剛性などの機 械物性に優れる上、 一次発泡性及び二次発泡性が良好であり、 従来の 結晶性プロ ピレ ン系共重合体に比べて、 低い温度で一次発泡及び二次 発泡が可能で、 工業的に有利である。
本発明の発泡体は、 例えば緩衝材, 包材, バンパーコア材, フ ロー ト材, 断熱材などと して好適に用いられる。