JPH09272718A - プロピレン系ランダム共重合体及びそれからなるフィルム - Google Patents

プロピレン系ランダム共重合体及びそれからなるフィルム

Info

Publication number
JPH09272718A
JPH09272718A JP8247655A JP24765596A JPH09272718A JP H09272718 A JPH09272718 A JP H09272718A JP 8247655 A JP8247655 A JP 8247655A JP 24765596 A JP24765596 A JP 24765596A JP H09272718 A JPH09272718 A JP H09272718A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
propylene
copolymer
mol
random copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8247655A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3569738B2 (ja
Inventor
Yasushi Seta
寧 瀬田
Riyouichi Tsunori
良一 津乗
Satoshi Nakatsuka
聡 中塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Petrochemical Co Ltd filed Critical Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority to JP24765596A priority Critical patent/JP3569738B2/ja
Priority to US08/955,450 priority patent/US6130305A/en
Publication of JPH09272718A publication Critical patent/JPH09272718A/ja
Priority claimed from US08/955,450 external-priority patent/US6130305A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3569738B2 publication Critical patent/JP3569738B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い剛性・低温ヒートシール性のバランスを
発揮し、ラミネートや共押出した積層フィルムの基材層
として非常に優れたプロピレン系ランダム共重合体及び
それからなるフィルムを提供することを目的とする。 【解決手段】 プロピレンとエチレンのランダム共重合
体であって、エチレン単位の含有量(χ)が、0.2 〜
4 wt%、共重合体のMIが、4 〜12 g/10min、沸騰
ジエチルエーテル抽出量(E)とχが式(1) の関係を満
たす、 E ≦ 0.25 χ+1.1 ・・・(1) 示差走査型熱量計で測定した融点(Tm)とχが式
(2) の関係を満たす、 Tm≦ 165− 5χ ・・・(2) 及びPPP連鎖部のアイソタクチックトライアッド分
率が98.0 mol%以上であるプロピレン系ランダム共重合
体及びこれを製膜してなるフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレン系共重
合体及びそれからなるフィルムに関するものである。さ
らに詳しくは、プロピレンとエチレンの二元ランダム共
重合体及びそれを成形したフィルムに関するもので、特
にラミネートや共押出した積層フィルムの基材層として
好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】結晶性ポリプロピレン二軸延伸フィルム
(OPP)は、その優れた剛性、透明性及び防湿性等を
生かして広く包装用フィルムとして使用されている。し
かし、OPPはヒートシール性に難点があり、従来から
ヒートシール性に優れた樹脂をシーラント層として、そ
の片面ないし両面にラミネートした積層フィルムとして
広く使用されてきた。
【0003】また、Tダイキャスト成形フィルムは、パ
ンの包装などに広く使用されているが、しばしばヒート
シール性に優れた樹脂をシーラント層として、その片面
ないし両面にラミネート、あるいは共押出した積層フィ
ルムにして使用することが行われている。積層フィルム
には、フィルムの巻き返し工程を支障なく行うためスリ
ップ性及びアンチブロッキング性を発現すること、製袋
及び内容物を充填した後の袋閉じ工程の生産性に直接関
係している低温ヒートシール性が良好であること及び外
観や透明性が良好であること等が重要である。また、近
年のフィルム加工は、生産性を上げるため大型成形機に
よる高速製膜化がなされているが、その場合においても
フィルム品質が低下したりしないことが要求される。
【0004】さらに、最近では、シーラント層は該層用
の樹脂が高価であること及び積層フィルム全体の剛性を
高くする目的とから薄くされる傾向にある。ところが、
非常に強いヒートシール強度が要求される場合には、シ
ーラント層の樹脂特性だけでなく、基材層の樹脂特性も
またヒートシール性に影響してくるため、基材層に少量
のエチレンもしくは1-ブテンなどを少量共重合させる試
みが行なわれている。しかしながら、従来の技術におい
ては共重合による樹脂の結晶性低下もまた大きく、剛性
は不充分なものになっている。
【0005】ところで、通常、フィルムは製膜されてか
ら、ヒートシールにより製袋、内容物が充填され、シー
ルされた後、さらに最終消費者が開封して内容物を取り
出し、包装用基材としての役割を終えるまでにかなりの
時間がある。そのため、通常考えられる時間及び温度条
件下において、そのフィルムの品質、特に耐衝撃性が低
下しないことが要求される。しかしながら、従来品で
は、耐衝撃性の低下や透明性の低下などの不良現象の発
生がみられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の発明
は、非常に高い剛性等のポリプロピレンのフィルムが本
来有する好ましい特性を損なうことなく、低温ヒートシ
ール性も兼ね備え、ラミネートや共押出した積層フィル
ムの基材層として非常に優れたプロピレン系ランダム共
重合体及びそれを用いてなるフィルムを提供することを
目的とするものである。
【0007】また、第2の発明は、上記の特性に加え、
経時変化の少ない、特に耐衝撃性の経時的低下の小さ
い、ラミネートや共押出した積層フィルムの基材層とし
て非常に優れたプロピレン系ランダム共重合体及びそれ
を用いてなるフィルムを提供することを目的とするもの
である。
【0008】
【課題を解決しようとする手段】本発明者らは上記課題
につき鋭意検討した結果、少量のエチレン単位を有する
立体規則性(アイソタクチック)プロピレン系ランダム
共重合及びそれからなるフィルムが上記課題を達成でき
ることを見出して本発明を完成するに至った。すなわ
ち、第1の発明は、以下の(I)及び(II)に示されるプ
ロピレン系ランダム共重合体及びそれを製膜してなるフ
ィルムであって、非常に高い剛性等のポリプロピレンの
フィルムが本来有する好ましい特性を損なうことなく、
低温ヒートシール性も兼ね備えた共重合体及びそれを用
いてなるフィルムを提供するものである。
【0009】(I)プロピレンとエチレンのランダム共重
合体であって、下記の〜を満足するプロピレン系ラ
ンダム共重合体。 共重合体中のエチレン単位の含有量(χ (wt%))が
0.2〜4 wt%である。 共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が
4 〜12 g/10minである。 沸騰ジエチルエーテル抽出量(E (wt%)) とχが
式(1) の関係を満たす。 E≦ 0.25 χ+1.1 ・・・(1) 示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))とχが
式(2) の関係を満たす。 Tm ≦ 165−5 χ ・・・(2) 13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタク
チックトライアッド分率(mm(mol%))が、98.0 mol%
以上である。
【0010】(II)プロピレン系ランダム共重合体のメ
ルトインデックス(MI(g/10min))と周波数分散測定に
より得られる周波数ω0 =100 rad/sec における緩和時
間τ (sec)が、式(3) の関係を満たす上記(I)に記載
のプロピレン系ランダム共重合体。 τ≦ 0.65 −0.025 MI ・・・(3)
【0011】また、第2の発明は、以下の(III)に示さ
れるプロピレン系ランダム共重合体及びそれを製膜して
なるフィルムであって、上記の特性に加え、経時変化の
少ない、特に耐衝撃性の経時的低下の小さい、ラミネー
トや共押出した積層フィルムの基材層として非常に優れ
たプロピレン系ランダム共重合体及びそれを製膜してな
るフィルムを提供するものである。
【0012】(III)プロピレンとエチレンのランダム共
重合体であって、下記の〜を満足するプロピレン系
ランダム共重合体。 共重合体中のエチレン単位の含有量(χ (wt%))が
1〜4 wt%である。 共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が
4 〜12 g/10minである。 沸騰ジエチルエーテル抽出量(E (wt%)) とχが
式(1) の関係を満たす。 E≦ 0.25 χ+1.1 ・・・(1) 示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))とχが
式(2) の関係を満たす。 Tm ≦ 165−5 χ ・・・(2)
【0013】 13C−NMRで測定したPPP連鎖部
のアイソタクチックトライアッド分率(mm(mol%))
が、98.0 mol% 以上である。 プロピレン系ランダム共重合体のメルトインデックス
(MI(g/10min))と周波数分散測定により得られる周波
数ω0 =100 rad/sec における緩和時間τ (sec)が、式
(3) の関係を満たす。 τ≦ 0.65 −0.025 MI ・・・(3)
【0014】なお、上記(I)及び(III) の共重合体のう
ち、共重合体中のエチレン含有量が3〜4 wt%であり、
示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))が 140℃以
下の範囲にあるものは、低温ヒートシール性に特に優れ
ていることから、ラミネートや共押出した積層フィルム
のシーラント層としても好適に用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明について、以下に詳細に説
明する。本発明の内、第1の発明のプロピレン系ランダ
ム共重合体は、プロピレンとエチレンをランダム共重合
したものであって、下記の〜を満足するものであ
る。
【0016】 プロピレン系ランダム共重合体中のエ
チレン単位の含有量(χ (wt%))が0.2 〜4 wt%、好ま
しくは0.5 〜3.5 wt%である。χが0.2 wt%未満の場合
はヒートシール温度を充分に低くすることができない
し、結晶性が高くなり過ぎるため、特に製膜速度を高速
化した場合に耐衝撃性が低下する。χが 4 wt %を超え
る場合は、剛性が低下し、べとつき成分が多くなりアン
チブロッキング性が低下する。
【0017】 プロピレン系ランダム共重合体のメル
トインデックス(MI(g/10min))が4 〜12 g/10min、好
ましくは 5〜10g/10min である。MIが4 g/10min 未満
の場合は透明性、フィルムインパクトが低下する。MI
が12 g/10minを超える場合は成形不良が起こりやすくな
る。
【0018】 沸騰ジエチルエーテル抽出量(E (wt
%))とχが式(1) の関係を満たす。 E≦ 0.25χ+1.1 ・・・(1) Eがこの範囲より多くなるとアンチブロッキング性が低
下する。また、ヒートシール温度を充分に低くすること
ができない。好ましくは、 E≦ 0.20χ+1.1 ・・・(1) ’ である。
【0019】 示差走査型熱量計で測定した融点(T
m(℃))とχが式(2) の関係を満たす。 Tm ≦ 165− 5χ ・・・(2) Tm がこの範囲よりも高くなるとヒートシール温度を充
分に低くすることができない。好ましくは、 Tm ≦ 162− 5χ ・・・(2) ’ である。
【0020】 13C−NMRで測定したPPP部のア
イソタクチックトライアッド分率(mm(mol%))が、9
8.0 mol% 以上、好ましくは98.5 mol% 以上である。m
mが98.0 mol% 未満では、べとつき成分が多くなりアン
チブロッキング性が低下する。また、結晶性が低下し、
剛性が低くなる。さらに共重合量に対する融点降下が小
さくなり、充分にヒートシール温度を低くすることがで
きない。
【0021】また、上記の共重合体において、そのメル
トインデックス(MI)と周波数ω 0 =100 rad/sec に
おける周波数分散測定により得られる緩和時間τ(sec)
が式(3) τ≦ 0.65 −0.025 MI ・・・(3) 、好ましくは、式(3) ’ τ≦ 0.63 −0.025 MI ・・・(3) ’ の関係を満たすものは、特に製膜速度を高速化した場合
のフィルムインパクトや透明性の面でさらに好適であ
る。
【0022】上記のプロピレン系ランダム共重合体又は
それを用いてなるフィルムは、ポリプロピレンのフィル
ムが本来有する好ましい特性を損なうことなく、非常に
高い剛性−低温ヒートシール性のバランスを有する。ま
たアンチブロッキング性が極めて良好である。さらに耐
衝撃性、スリップ性、透明性にも優れる。また製膜速度
を高速化してもフィルム品質の低下が小さい。
【0023】本発明の内、第2の発明のプロピレン系ラ
ンダム共重合体は、プロピレンとエチレンをランダム共
重合したものであって、下記の〜を満足するもので
ある。
【0024】 プロピレン系ランダム共重合体中のエ
チレン単位の含有量(χ (wt%))が1 〜4 wt%、好まし
くは1.5 〜4.0 wt%である。χが1wt %未満の場合はフ
ィルムインパクトの経時的低下が起こりやすくなる。χ
が 4 wt %を超える場合は、剛性が低下し、べとつき成
分が多くなりアンチブロッキング性が低下する。 プロピレン系ランダム共重合体のメルトインデック
ス(MI(g/10min))が4 〜12 g/10min、好ましくは 5〜
10g/10min である。MIが4 g/10min 未満の場合は透明
性、フィルムインパクトが低下する。MIが12 g/10min
を超える場合は成形不良が起こりやすくなる。
【0025】 沸騰ジエチルエーテル抽出量(E (wt
%))とχが式(1) の関係を満たす。 E≦ 0.25χ+1.1 ・・・(1) Eがこの範囲より多くなるとアンチブロッキング性が低
下する。また、ヒートシール温度を充分に低くすること
ができない。好ましくは、 E≦ 0.20χ+1.1 ・・・(1) ’ である。
【0026】 示差走査型熱量計で測定した融点(T
m(℃))とχが式(2) の関係を満たす。 Tm ≦ 165− 5χ ・・・(2) Tm がこの範囲よりも高くなるとヒートシール温度を充
分に低くすることができない。好ましくは、 Tm ≦ 162− 5χ ・・・(2) ’ である。
【0027】 13C−NMRで測定したPPP部のア
イソタクチックトライアッド分率(mm(mol%))が、9
8.0 mol% 以上、好ましくは98.5 mol% 以上である。m
mが98.0 mol% 未満では、べとつき成分が多くなりアン
チブロッキング性が低下する。また、結晶性が低下し、
剛性が低くなる。さらに共重合量に対する融点降下が小
さくなり、充分にヒートシール温度を低くすることがで
きない。
【0028】 共重合体において、そのメルトインデ
ックス(MI)と周波数ω0 =100rad/sec における周
波数分散測定により得られる緩和時間τ(sec)が式(3) τ≦ 0.65 −0.025 MI ・・・(3) 、好ましくは、式(3)'’ τ≦ 0.60 −0.025 MI ・・・(3)'’ の関係を満たすものである。この関係を満たさないもの
は、製膜速度を高速化した場合にフィルムインパクトの
低下が起こりやすい。
【0029】上記のプロピレン系ランダム共重合体又は
それを用いてなるフィルムは、ポリプロピレンのフィル
ムが本来有する好ましい特性を損なうことなく、高い剛
性−低温ヒートシール性のバランスを有する。また、ア
ンチブロッキング性が極めて良好であり、耐衝撃性、ス
リップ性、透明性にも優れ、製膜速度を高速化してもフ
ィルム品質の低下が小さい。さらに、耐衝撃性 (フィル
ムインパクト) の経時的低下が小さいという特長を有す
る。
【0030】本発明のプロピレン系ランダム共重合体
は、以下に示すようにして製造することができるが、こ
れに限定されるものではない。製造に使用する触媒とし
ては、マグネシウム、チタン、及びハロゲンを必須成分
とする固体触媒成分、有機アルミニウム化合物等の有機
金属化合物触媒成分、及び有機ケイ素化合物等の電子供
与体化合物触媒成分から形成することができるが、代表
的なものとして、以下のような触媒成分が使用できる。
固体触媒成分の好ましい担体となるものは、金属マグネ
シウムとアルコールとハロゲン及び/又はハロゲン含有
化合物から得られる。この場合、金属マグネシウムは、
顆粒状、リボン状、粉末状等のマグネシウムを用いるこ
とができる。また、この金属マグネシウムは、表面に酸
化マグネシウム等の被覆が生成されていないものが好ま
しい。アルコールとしては、炭素数1〜6の低級アルコ
ールを用いるのが好ましく、特に、エタノールを用いる
と、触媒性能の発現を著しく向上させる上記担体が得ら
れる。
【0031】ハロゲンとしては、塩素、臭素、又はヨウ
素が好ましく、特にヨウ素を好適に使用できる。また、
ハロゲン含有化合物としては、MgCl2 、MgI2
好適に使用できる。アルコールの量は、金属マグネシウ
ム1モルに対して好ましくは2〜100モル、特に好ま
しくは5〜50モルである。
【0032】ハロゲン又はハロゲン含有化合物の使用量
は、金属マグネシウム1グラム原子に対して、ハロゲン
原子又はハロゲン含有化合物中のハロゲン原子が、0.
0001グラム原子以上、好ましくは0.0005グラ
ム原子以上、さらに好ましくは、0.001グラム原子
以上である。ハロゲン及びハロゲン含有化合物はそれぞ
れ1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用しても
よい。金属マグネシウムとアルコールとハロゲン及び/
又はハロゲン含有化合物との反応方法は、例えば、金属
マグネシウムとアルコールとハロゲン及び/またはハロ
ゲン含有化合物とを、還流下(約79℃)で水素ガスの
発生が認められなくなるまで(通常20〜30時間)反
応させて、担体を得る方法である。これは、不活性ガス
(例えば窒素ガス、アルゴンガス)雰囲気下で行うこと
が好ましい。得られた担体を次の固体触媒成分の合成に
用いる場合、乾燥させたものを用いてもよく、また濾別
後ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄したものを用いてもよ
い。
【0033】また、この担体は粒状に近く、しかも粒径
分布がシャープである。さらには、粒子一つ一つをとっ
てみても、粒形度のばらつきは非常に小さい。この場
合、下記の式(4)で表される球形度(S) が 1.60 未
満、特に 1.40 未満であり、かつ下記の式(5)で表さ
れる粒径分布指数(P) が 5.0 未満、特に 4.0 未満で
あることが好ましい。
【0034】S=(E1 /E2 )2 ・・・ (4) (ここで、E1 は粒子の投影の輪郭長、E2 は粒子の投
影面積に等しい円の周長を示す。) P=D90 /D10 ・・・ (5) (ここで、D90は重量累積分率が90%に対応する粒子
径をいう。すなわち、D90で表される粒子径より小さい
粒子群の重量和が全粒子総重量和の90%であることを
示している。D10も同様である。)
【0035】固体触媒成分の製造のため、上記の担体に
少なくともチタン化合物を接触させる。このチタン化合
物としては、一般式(6) TiX1 n (OR1 4-n ・・・(6) (式中、X1 はハロゲン原子、特に塩素原子が好まし
く、R1 は炭素数1〜10の炭化水素基、特に直鎖また
は分岐鎖のアルキル基であり、R1 が複数存在する場合
にはそれらは互いに同じでも異なってもよい。nは0〜
4の整数である。)で表されるチタン化合物を用いるこ
とができる。具体的には、Ti(O−i−C
3 7 4 、Ti(O−C4 9 4 、TiCl(O−
2 5 3 、TiCl(O−i−C3 7 3 、Ti
Cl(O−C4 9 3 、TiCl2 (O−C49
2 、TiCl2 (O−i−C3 7 2 、TiCl4
を挙げることができるが、特にTiCl4 が好ましい。
【0036】固体触媒成分は、上記の担体にさらに電子
供与性化合物を接触させて得られる。この電子供与性化
合物としては、芳香族ジカルボン酸ジエステルが好まし
く、特にフタル酸ジ−n−ブチルが好ましい。また、上
記の担体にチタン化合物と電子供与性化合物を接触させ
る際に、四塩化ケイ素等のハロゲン含有ケイ素化合物を
接触させるとよい。
【0037】上記の固体触媒成分は、公知の方法で調製
することができる。例えば、ペンタン、ヘキサン、ペプ
タン又はオクテン等の不活性炭化水素を溶媒に、上記の
担体、電子供与性化合物及びハロゲン含有ケイ素化合物
を投入し、攪拌しながらチタン化合物を投入する方法で
ある。通常は、マグネシウム原子換算で担体1モルに対
して電子供与性化合物は、0.01〜10モル、好まし
くは0.05〜5モルを加え、また、マグネシウム原子
換算で担体1モルに対してチタン化合物は、1〜50モ
ル、好ましくは2〜20モルを加え、0〜200℃に
て、5分〜10時間の条件、好ましくは30〜150℃
にて30分〜5時間の条件で接触反応を行えばよい。な
お、反応終了後は不活性炭化水素(例えば、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタン)で、生成した固体触媒成分を洗浄す
るのが好ましい。
【0038】また、触媒成分の内、有機金属化合物触媒
成分としては、有機アルミニウム化合物を好適に用いる
ことができる。この有機アルミニウム化合物としては、
一般式(7) AlR2 n 2 3-n ・・・(7) (式中、R2 は炭素数1〜10のアルキル基、シクロア
ルキル基またはアリール基であり、X2 はハロゲン原子
であり、塩素原子または臭素原子が好ましい。nは1〜
3の整数である。)で表される化合物が広く用いられ
る。具体的には、トリアルキルアルミニウム化合物、例
えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウ
ムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリ
ド、ジエチルアルミニウムモノエトキシド、エチルアル
ミニウムセスキクロリド等が挙げることができる。これ
らは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0039】さらに、触媒成分の内、重合系に供する電
子供与性化合物成分としては、有機ケイ素化合物が好ま
しく、特にジシクロペンチルジメトキシシランが好まし
い。上記の固体触媒成分は、前処理してから、重合に用
いるとよい。例えば、ペンタン、ヘキサン、ペプタン又
はオクテン等の不活性炭化水素を溶媒に、上記の固体触
媒成分、有機金属化合物触媒成分及び電子供与性化合物
成分を投入し、攪拌しながら、プロピレンを供給し、反
応させる。また、通常、有機金属化合物触媒成分は、固
体触媒成分中のチタン原子1モルに対して0.01〜1
0モル、好ましくは0.05〜5モルを加え、電子供与
性化合物成分は、固体触媒成分中のチタン原子1モルに
対して0.01〜20モル、好ましくは0.1〜5モル
を加えるとよい。プロピレンは、大気圧よりも高いプロ
ピレンの分圧下で供給し、0〜100℃にて、0.1〜
24時間前処理するとよい。なお、反応終了後は不活性
炭化水素(例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン)で、
前処理したものを洗浄するのが好ましい。
【0040】重合条件は、特に制限されず、公知の方法
と同様の条件を用いることができる。例えば、大気圧よ
りも高いプロピレンの分圧下で、−80〜150℃の温
度下で、製造することができる。好ましくは、20〜1
50℃の温度下で、プロピレンの分圧は大気圧〜40 k
g/cm2 G の範囲である。また、通常、有機金属化合物媒
成分は、固体触媒成分中のチタン原子1モルに対して
0.1〜400モル、好ましくは1〜200モルを加
え、電子供与性化合物成分は、固体触媒成分中のチタン
原子1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは1
〜50モルを加えるとよい。
【0041】また、所望のエチレン含量及び分子量とな
るようにエチレン供給量及び水素供給量をそれぞれ調節
する。なお、エチレン含量は重合装置内のエチレン濃度
だけでなく水素濃度の影響も受ける。また、分子量も水
素濃度だけでなくエチレン濃度の影響も受ける。
【0042】本発明のプロピレン系ランダム共重合体に
は、常用される酸化防止剤、中和剤、スリップ剤、アン
チブロッキング剤または耐電防止剤などを必要に応じて
配合することができる。また、本発明のプロピレン系ラ
ンダム共重合体は、溶融押出成形法によりフィルムに製
膜できる。例えば、Tダイキャスト製膜法において、引
取速度が50 m/minまたはこれ以上の高速製膜条件におい
ても、厚みが 10 〜500 μm のフィルムの製膜に好適に
使用できる。また、前述した好ましい特性を有すること
から、共押出製膜法による積層フィルムの製造に際し
て、その少なくとも一層成分としても好適に使用でき
る。製膜法は大型製膜機により高速製膜が実施されるT
ダイキャスト製膜法が好ましいが、特にこれに限らず、
溶融押出成形法によりフィルムを製造する方法であれ
ば、どのような製膜法においても本発明のプロピレン系
ランダム共重合体は好適に使用できる。
【0043】以上のように、本発明は、立体規則性(ア
イソタクチック)プロピレン重合体にエチレン単位を入
れた場合とその立体規則性を乱した場合を比較すると、
結晶性の低下については両者に大きな差は生じないが、
融点の低下については前者の方が後者よりもかなり大き
いという知見に基づき、PPP連鎖部の立体規則性を高
くし、そこにエチレンをランダム共重合させることによ
り、高い結晶性を有し、かつ低い融点を有するプロピレ
ン系ランダム共重合体を得ることができた。また、共重
合性が良いため、少ない共重合量で効果的に融点を低く
できた。また、本発明のプロピレン系ランダム共重合体
は、フィルムのブロッキング原因物質であるべとつき成
分(沸騰ジエチルエーテル可溶成分として評価)が少な
い。
【0044】その結果、上記のプロピレン系ランダム共
重合体を用いてなるフィルムは、ポリプロピレンのフィ
ルムが本来有する好ましい特性を損なうことなく、非常
に高い剛性−低温ヒートシール性のバランスを有する。
また、アンチブロッキング性が極めて良好であり、耐衝
撃性、スリップ性、透明性にも優れ、製膜速度を高速化
してもフィルム品質の低下が小さい。さらに、耐衝撃性
の経時変化も小さいものが得られる。
【0045】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。まず、樹脂特性の評価方法、フィルム
の製膜方法及びフィルムの品質の評価方法について、説
明する。 (ア)樹脂特性の評価方法 1) 共重合体中のエチレン単位の含有量(χ(wt%)) エチレン含有量は以下の条件にて300 μm 厚のシートを
作成し、日本分光製FT/IR5300を用い718 、73
3 cm-1の吸光度から次式により計算した。
【0046】 ・シート成形条件 プレス温度:220 ℃ ; 加・冷圧時の圧締圧: 50 kg/cm2G 余熱:5 min ; 加圧:5 min ; 冷圧:3 min ・IR測定条件 積算回数: 20 回 ; 分解能:4 cm-1 エチレン含量(χ(wt%)) χ1 =0.599 ×(A733 /d・l)−0.161 ×( A718 /d・l) χ2 =0.599 ×(A718 /d・l)−0.161 ×(A733 /d・l) χ=0.809 ×(χ1 +χ2 ) 但し、A718 :718 cm-1の吸光度、A733 :733 cm-1の吸光度、 d:0.9 、l:試料の厚さ。
【0047】 2) メルトインデックス(MI(g/10min) ) JIS K7210に従い、温度230 ℃、荷重2160gで
測定した。 3) 沸騰ジエチルエーテル抽出量(E(wt%)) 1 mmφメッシュパスの大きさに粉砕したペレットを円筒
濾紙に3 g 、抽出溶剤のジエチルエーテルを平底フラス
コに160 ml入れ、リフラックス頻度を1 回/5min 程度
にしてソックスレー抽出器で 10 時間抽出する。抽出
後、ジエチルエーテルをエバポレーターで回収し、さら
に真空乾燥器で、恒量になるまで乾燥し、その重量から
沸騰ジエチルエーテル抽出量を求めた。
【0048】4) 示差走査型熱量計で測定した共重合体
の融点(Tm ( ℃)) 示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製 DSC7)
を用いて、あらかじめ試料 10 mgを窒素雰囲気下230 ℃
で3 min 溶融した後、 10 ℃/minで 40 ℃まで降温す
る。この温度で3 min 保持した後、 10 ℃/minで昇温さ
せて得られた融解吸熱カーブの最大ピークのピークトッ
プを融点とした。
【0049】5) 13C−NMRで測定した共重合体、及
びフィルムのPPP連鎖部のアイソタクチックトライア
ッド分率(mm (mol %)) プロピレン系共重合体のPPP連鎖部のアイソタクチッ
クトライアッド分率は、共重合体分子鎖のPPP連鎖に
おけるトライアッド単位のアイソタクチック分率 であ
り、13C−NMRスペクトルから求めることができる。
プロピレン単独重合体の場合は、次の式(a) でそれを計
算できる。
【0050】
【数1】 但し、Imm、Imr及びIrrは、13C−NMRスペ
クトルでメチル炭素領域をmm、mr及びrrの3領域
に区分けしたときの、それぞれの領域のピーク強度を示
す。mm領域は化学シフトで21.4〜22.2pp
m、mr領域は化学シフトで20.6〜21.4pp
m、rr領域は化学シフトで19.8〜20.6ppm
である。プロピレン系ランダム共重合体の場合は、エチ
レン単位に隣接するプロピレン単位のメチル炭素の吸収
位置がエチレン単位により影響を受ける。具体的には、
EPE連鎖中のプロピレン単位のメチル炭素の吸収ピー
クは、rr領域に現れ、PPE連鎖の中央のプロピレン
単位のメチル炭素の吸収ピークはmr領域に現れる。こ
のEPE連鎖中のプロピレン単位のメチル炭素の吸収ピ
ーク強度は、Tδδ(33.3ppm)のピーク強度で
代用ができる。また、このPPE連鎖中のプロピレン単
位のメチル炭素の吸収ピーク強度は、Sαγ(38.0
ppm)のピーク強度で代用ができる。
【0051】そこで、プロピレン系ランダム共重合体の
PPP連鎖のアイソタクチックトライアッド分率を求め
るには、次の式(b) を用いる。
【0052】
【数2】 13C−NMRスペクトルは、日本電子社製のJNM−E
X400型NMR装置を用いて測定した。測定条件は、
以下のとおりである。 試料濃度 : 220mg/NMR溶媒 3 ml NMR溶媒 : 1,2,4- トリクロロベンゼン/重ベンゼン(90/10vol%) 測定温度 : 130℃ パルス幅 : 45° パルス繰返し時間 : 4 秒 積算回数 : 4000 回
【0053】6) 緩和時間τ レオメトリクス社製回転型レオメーターにおいて、コー
ンプレート(直径25.0mm 、コーンアングル 0.10 ラジ
アン)を用い、温度175 ℃において周波数分散測定を行
なったときの周波数ω0 =100 rad/sec における緩和時
間τ (sec) であり、以下のようにして、計算した。複
素弾性率G* (iω) を応力σ* とひずみγ* によりσ*
/γ* で定義したとき、G* (iω) は、 G* (iω) =σ* /γ* =G'(ω) +iG"(ω) であり、τ (ω) は、 τ (ω) =G'(ω) /ωG"(ω) 但し、ω:周波数 (rad/sec) 、G' :貯蔵弾性率、
G" :損失弾性率 である。
【0054】(イ)フィルムの製膜方法 以下の実施例及び比較例で得たプロピレン系ランダム共
重合体及びプロピレン重合体のペレットから、三菱重工
製 75 mmφ成形機を用い、膜厚 30 μm 又は25μm のフ
ィルムを以下の成形条件で製膜した (膜厚は押出量で調
整した) 。 加工温度 :265 ℃ チルロール温度: 25 ℃ 引取速度 :150 m/min
【0055】(ウ)フィルムの品質の評価方法 フィルムの品質は全て試料を温度23±2 ℃、湿度50±10
%で、 16 時間以上状態調節した後、同じ温度、湿度条
件下にて、測定を行った。
【0056】7) ヒートシール特性 JIS K−1707に準拠して測定した。融着条件を
以下に記す。なお、ヒートシールバーの温度は表面温度
計により較正されている。シール後、室温で一昼夜放置
し、その後室温で剥離速度を 200 mm/min にしてT型剥
離法で剥離強度を測定した。ヒートシール温度は剥離強
度が300 g/15mmになる温度をシール強度−剥離強度曲線
から計算して求めた。 シール時間:2 sec シール面積:15×10 mm シール圧力:5.3 kg/cm2 シール温度:ヒートシール温度を内挿できように数点。
【0057】8) 引張弾性率 JIS K7127に準拠した引張試験により測定し
た。測定条件は以下のとおりとした。また、50℃、60℃
及び70℃でそれぞれ1週間保管した後の引張弾性率も同
様にして測定した。 クロスヘッド速度 : 500 mm/min 測定方向 :マシン方向(MD方向) ロードセル : 10 kg
【0058】9) アンチブロッキング性 重ね合わせた二枚のフィルムについて以下の4つの条件
で密着させた後の引剥強度により評価した。 条件1 温度:60℃ 時間: 3 hr 荷重: 36 g/cm2 条件2 温度:50℃ 時間: 1週間 荷重: 15 g/cm2 条件3 温度:60℃ 時間: 1週間 荷重: 15 g/cm2 条件4 温度:70℃ 時間: 1週間 荷重: 15 g/cm2
【0059】引剥試験の条件は次のとおりである。 テストスピード : 20 mm/min ロードセル : 2 kg
【0060】10) スリップ性 フィルムを張ったスレットを、フィルムを張ったガラス
板の上に静置した後、ガラス板を傾けていきスレットが
滑り出したときの傾き角θのtanで評価する。東洋精
機製作所製の摩擦角測定機を用い、以下の条件にて測定
した。 測定面 :金属ロール面/金属ロール面 傾斜速度 :2.7 °/sec スレッド重量 :1 kg スレッド断面積:65 cm2 面間圧力 :15 g/cm2
【0061】11) 透明性(ヘイズ) JIS K7105に従い測定した。また、50℃、60℃
及び70℃でそれぞれ1週間保管した後の透明性(ヘイ
ズ)も同様にして測定した。 12) 耐衝撃性(フィルムインパクト) 東洋精機製作所製フィルムインパクトテスターにおいて
1/2 インチ衝撃ヘッドを用いた衝撃破壊強度により評価
した。また、50℃、60℃及び70℃でそれぞれ1週間保管
した後の耐衝撃性(フィルムインパクト)も同様にして
測定した。
【0062】〔実施例1〕 (1)マグネシウム化合物の調整 攪拌機付き反応槽(内容積500 リットル) 窒素ガスで充分に
置換し、エタノール 97.2 kg、ヨウ素640 g 、及び金属
マグネシウム6.4 kgを投入し、攪拌しながら還流条件下
で系内から水素ガスの発生が無くなるまで反応させ、固
体状反応生成物を得た。この固体状反応生成物を含む反
応液を減圧乾燥させることにより目的のマグネシウム化
合物(固体触媒の担体)を得た。 (2)固体触媒成分の調整 窒素ガスで充分に置換した攪拌機付き反応槽(内容積50
0 リットル)に、前記マグネシウム化合物(粉砕していない
もの) 30 kg、精製ヘプタン(n−ヘプタン)150 リット
ル、四塩化ケイ素 4.5 リットル 、及びフタル酸ジ−n−ブ
チル 5.4 リットル を加えた。系内を 90 ℃に保ち、攪拌し
ながら四塩化チタン144 リットルを投入して110 ℃で2 時間
反応させた後、固体成分を分離して 80 ℃の精製ヘプタ
ンで洗浄した。さらに、四塩化チタン228 リットルを加え、
110 ℃で2 時間反応させた後、精製ヘプタンで充分に洗
浄し、固体触媒成分を得た。
【0063】(3)前処理 内容積500 リットルの攪拌機付き反応槽に精製ヘプタン230
リットルを投入し、前記の固体触媒成分を 25 kg、トリエチ
ルアルミニウムを固体触媒成分中のチタン原子に対して
1.0 mol/mol 、ジシクロペンチルジメトキシシランを1.
8 mol/mol の割合で供給した。その後、プロピレンをプ
ロピレン分圧で 0.3 kg/cm2Gになるまで導入し、 25 ℃
で4 時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分を精製
ヘプタンで数回洗浄し、更に二酸化炭素を供給し 24 時
間攪拌した。 (4)重合 内容積200 リットルの攪拌機付き重合装置に前記処理済の固
体触媒成分を成分中のチタン原子換算で3 m mol/hrで、
トリエチルアルミニウムを4 m mol/ kg-PPで、ジシクロ
ペンチルジメトキシシランを1 m mol/ kg-PPでそれぞれ
供給し、重合温度 80 ℃、重合圧力(全圧)28kg/cm2G
でプロピレンとエチレンを反応させたこの時、重合装置
内のエチレン濃度を、0.7 mol %、水素濃度を、3.4 mo
l %とし、所望のエチレン含有量及び分子量となるよう
にした。
【0064】(5)添加剤処方 こうして得たプロピレン系共重合体パウダーに以下の添
加剤を処方し、混練機にて押出造粒した。 1) 酸化防止剤 チバガイギー社製のイルガノックス1010:1000 ppm 及びチバガイギー社製のイルガフォス 168:1000 ppm 2) 中和剤 ステアリン酸カルシウム:1000 ppm 3) アンチブロッキング剤 シリカ系:2000 ppm 4) スッリプ剤 エルカ酸アミド:1000 ppm こうして得たプロピレン系ランダム共重合体ペレットの
樹脂特性を上記の(ア)の方法で評価した。また、上記
の(イ)の方法で製膜し、そのフィルム品質は(ウ)の
方法で評価した。その結果は第2表に示す。
【0065】〔実施例2、3〕重合時のエチレン濃度及
び水素濃度を第1表のように設定して、エチレン含量及
び分子量を調節した以外は全て実施例1と同様にして行
なった。その結果は第2表に示す。
【0066】〔比較例1〕重合時にエチレンを供給せ
ず、プロピレン単独で重合を行った以外は実施例1と同
様にして行なった。その結果は第2表に示す。
【0067】〔比較例2〕フタル酸ジ−n−ブチルの代
わりにフタル酸ジエチルを、ジシクロペンチルジメトキ
シシランの代わりにシクロヘキシルメチルジメトキシシ
ランを使用し、重合装置内のエチレン濃度を 1.5 mol
%、水素濃度を 3.6 mol%として行った以外は実施例1
と同様にして行なった。その結果は第2表に示す。
【0068】〔比較例3〕フタル酸ジ−n−ブチルの代
わりにフタル酸ジエチルを、ジシクロペンチルジメトキ
シシランの代わりにシクロヘキシルメチルジメトキシシ
ランを使用し、重合時にシクロヘキシルメチルジメトキ
シシランを0.1 mmol/kg-PPで供給し、さらにエチレンを
供給せず、プロピレン単独で重合を行った以外は実施例
1と同様にして行なった。その結果は第2表に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】〔実施例4、5〕重合時のエチレン濃度及
び水素濃度を第1表のように設定して、エチレン含量及
び分子量を調節した以外は実施例1と同様にして共重合
体ペレットを得た。また、フィルム厚みを25μm とし、
保管後の評価項目を追加した以外は実施例1と同様にし
て樹脂特性の評価、製膜及びフィルム品質の評価を行っ
た。その結果は第3表に示す。
【0072】〔比較例4〕比較例1のペレットから25μ
m 厚みのフィルムを製膜し、保管後の評価項目を追加し
た以外は比較例1と同様にして樹脂特性の評価、製膜及
びフィルム品質の評価を行った。その結果は第3表に示
す。
【0073】〔比較例5〕フタル酸ジ−n−ブチルの代
わりにフタル酸ジエチルを、ジシクロペンチルジメトキ
シシランの代わりにシクロヘキシルメチルジメトキシシ
ランを使用し、重合装置内のエチレン濃度を 1.5 mol
%、水素濃度を 3.5 mol%として行った以外は実施例1
と同様にして共重合体ペレットを得た。また、フィルム
厚みを25μmとし、保管後の評価項目を追加した以外は
実施例1と同様にして樹脂特性の評価、製膜及びフィル
ム品質の評価を行った。その結果は第3表に示す。
【0074】〔比較例6〕比較例3のペレットから25μ
m 厚みのフィルムを製膜し、保管後の評価項目を追加し
た以外は比較例3と同様にして樹脂特性の評価、製膜及
びフィルム品質の評価を行った。その結果は第3表に示
す。
【0075】
【表3】
【0076】
【発明の効果】本発明の内、第1の発明により、高い結
晶性を有し、かつ低い融点を有するプロピレン系ランダ
ム共重合体を提供することができる。また、これを用い
てなるフィルムは、ポリプロピレンのフィルムが本来有
する好ましい特性を損なうことなく、非常に高い剛性−
低温ヒートシール性のバランスを発揮し、ラミネートや
共押出した積層フィルムの基材層として非常に優れた特
性を有するものである。
【0077】また、第2の発明は、上記の特性に加え、
経時的変化の少ない、特に耐衝撃性(フィルムインパク
ト)の経時変化が小さいという特長を有するプロピレン
系ランダム共重合体を提供することができる。また、こ
れを用いてなるフィルムも、ラミネートや共押出した積
層フィルムの基材層として非常に優れた特性を有するも
のである。さらに、本発明によれば、上記のような好ま
しい特性を有することから積層フィルムの基材層や単層
フィルムとしても使用できる。
【0078】一方、本発明によれば、1-ブテンその他の
炭素数4 以上のα−オレフィンを用いる必要はなく、エ
チレンとプロピレンの二元ランダム共重合体にて上記の
品質のフィルムを得ることができるため、モノマーコス
トを低減することができる。さらに共重合量が少なく、
容易に製造ができる範囲においてフィルム品質に望まし
い効果を加えることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレンとエチレンのランダム共重合
    体であって、下記の〜を満足するプロピレン系ラン
    ダム共重合体。 共重合体中のエチレン単位の含有量(χ (wt%))が
    0.2〜4 wt%である 共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が
    4 〜12 g/10minである 沸騰ジエチルエーテル抽出量(E(wt %))とχが式
    (1) の関係を満たす E≦ 0.25 χ+1.1 ・・・(1) 示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))とχが
    式(2) の関係を満たす Tm ≦ 165− 5χ ・・・(2) 13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタク
    チックトライアッド分率(mm(mol%))が、98.0 mol%
    以上である
  2. 【請求項2】 共重合体のメルトインデックス(MI(g
    /10min))と周波数分散測定により得られる周波数ω0
    100 rad/sec における緩和時間τ (sec)が、式(3) の関
    係を満たす請求項1に記載のプロピレン系ランダム共重
    合体。 τ≦ 0.65 −0.025 MI ・・・(3)
  3. 【請求項3】 プロピレンとエチレンのランダム共重合
    体であって、下記の〜を満足するプロピレン系ラン
    ダム共重合体。 共重合体中のエチレン単位の含有量(χ (wt%))が
    1〜4 wt%である 共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が
    4 〜12 g/10minである 沸騰ジエチルエーテル抽出量(E(wt %))とχが式
    (1) の関係を満たす E≦ 0.25 χ+1.1 ・・・(1) 示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))とχが
    式(2) の関係を満たす Tm ≦ 165− 5χ ・・・(2) 13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタク
    チックトライアッド分率(mm(mol%))が、98.0 mol%
    以上である 共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))と
    周波数分散測定により得られる周波数ω0 =100 rad/se
    c における緩和時間τ (sec)が、式(3) の関係を満たす τ≦ 0.65 −0.025 MI ・・・(3)
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のプロピ
    レン系ランダム共重合体を製膜してなるフィルム。
JP24765596A 1996-02-05 1996-09-19 プロピレン系ランダム共重合体の製造方法 Expired - Fee Related JP3569738B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24765596A JP3569738B2 (ja) 1996-02-05 1996-09-19 プロピレン系ランダム共重合体の製造方法
US08/955,450 US6130305A (en) 1996-09-19 1997-10-21 Propylenic copolymer and its film

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1850396 1996-02-05
JP8-18503 1996-02-05
JP24765596A JP3569738B2 (ja) 1996-02-05 1996-09-19 プロピレン系ランダム共重合体の製造方法
US08/955,450 US6130305A (en) 1996-09-19 1997-10-21 Propylenic copolymer and its film

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09272718A true JPH09272718A (ja) 1997-10-21
JP3569738B2 JP3569738B2 (ja) 2004-09-29

Family

ID=27282230

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24765596A Expired - Fee Related JP3569738B2 (ja) 1996-02-05 1996-09-19 プロピレン系ランダム共重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3569738B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999001486A1 (fr) * 1997-07-01 1999-01-14 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Copolymere propylenique expansible, ses particules et mousses expansees
JP2001064330A (ja) * 1999-06-24 2001-03-13 Ube Ind Ltd カレンダー成形用ポリプロピレン系樹脂、樹脂組成物およびこの成形物
EP1867662A2 (en) 1998-06-25 2007-12-19 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Propylene polymer and composition containing the same, molded object and laminate comprising these, and processes for producing propylene polymer and composition containing the same

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999001486A1 (fr) * 1997-07-01 1999-01-14 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Copolymere propylenique expansible, ses particules et mousses expansees
EP1867662A2 (en) 1998-06-25 2007-12-19 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Propylene polymer and composition containing the same, molded object and laminate comprising these, and processes for producing propylene polymer and composition containing the same
JP2001064330A (ja) * 1999-06-24 2001-03-13 Ube Ind Ltd カレンダー成形用ポリプロピレン系樹脂、樹脂組成物およびこの成形物

Also Published As

Publication number Publication date
JP3569738B2 (ja) 2004-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR910008846B1 (ko) 적층 폴리프로필렌 필름
JPS61248740A (ja) ポリプロピレン多層フイルム
CA2592013A1 (en) Polyolefin compositions and permeable films therefrom
JP3569739B2 (ja) プロピレン系ランダム共重合体の製造方法
JP5206395B2 (ja) ポリプロピレン系共重合体、およびそれからなるフィルム
EP0719829B1 (en) Polypropylene composition and laminated and oriented film therefrom
JP3569737B2 (ja) プロピレン系ランダム共重合体の製造方法
JP4204676B2 (ja) プロピレン系樹脂並びにそれを用いたフィルム及び積層体
US6649725B2 (en) Propylenic copolymer, and its film
JPH09272718A (ja) プロピレン系ランダム共重合体及びそれからなるフィルム
JP3569740B2 (ja) プロピレン系ランダム共重合体並びにそれを用いたフィルム及び積層体
US6106938A (en) Polypropylene composition and laminated and oriented film therefrom
JP3235055B2 (ja) プロピレン系ランダム共重合体の多層フィルム
JP4759235B2 (ja) ポリプロピレン系積層フィルム
JPH10130336A (ja) プロピレン系ランダム共重合体及びそれからなるフィルム
US6130305A (en) Propylenic copolymer and its film
US6420021B1 (en) Propylenic copolymer, and its film
JPH10152532A (ja) プロピレン系ランダム共重合体の多層フィルム
JPH0527546B2 (ja)
US4291140A (en) Novel propylene copolymers
JPH1160639A (ja) プロピレン系ランダム共重合体並びにそれを用いたフィルムおよび積層体
JP2533321B2 (ja) ポリプロピレン積層フィルム
JPH10231369A (ja) ポリプロピレン延伸フィルム
JP4514248B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物及びそのフィルム
JPH0481507B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040518

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20040525

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040525

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080702

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090702

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090702

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100702

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100702

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110702

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120702

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120702

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120702

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130702

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130702

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees