JPH10152532A - プロピレン系ランダム共重合体の多層フィルム - Google Patents

プロピレン系ランダム共重合体の多層フィルム

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JPH10152532A
JPH10152532A JP31321196A JP31321196A JPH10152532A JP H10152532 A JPH10152532 A JP H10152532A JP 31321196 A JP31321196 A JP 31321196A JP 31321196 A JP31321196 A JP 31321196A JP H10152532 A JPH10152532 A JP H10152532A
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JP
Japan
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propylene
random copolymer
based random
mol
copolymer
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JP31321196A
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English (en)
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Yasushi Seta
寧 瀬田
Tokutaro Kimura
篤太郎 木村
Satoshi Nakatsuka
聡 中塚
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ポリプロピレンのフィルムが本来有する好まし
い特性をできるだけ損なうことなく、非常に高い剛性と
低温ヒートシール性のバランスを発揮する多層フィル
ム。 【解決手段】下記のプロピレン系ランダム共重合体(A)
からなる基材層の少なくとも片面に下記のプロピレン系
ランダム共重合体(B) からなる表層を有するプロピレン
系ランダム共重合体の多層フィルム。 (A) プロピレン系ランダム共重合体は、エチレン単位の含有
量(χa)が0.2 〜 4wt%、MIa が 4〜12g/10min 、沸
騰ジエチルエーテル抽出量(Ea(wt%))≦ 0.25 χa +
1.1 を満たし、融点(Tma( ℃))≦ 165− 5χa を満た
す。 (B) プロピレン系ランダム共重合体は、χb が 3〜10wt
%、MIb が 4〜12g/10min 、Eb(wt%) ≦ 0.25 χb
+1.1(χb=3 〜6 wt%) 又はEb ≦ 2.6 (χb=6 〜10wt
%) を満たし、Tma( ℃) ≦ 140 (χb=3 〜5 wt%) 又
はTmb≦ 165−5χb(χb=5 〜10wt%) を満たす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレン系ラン
ダム共重合体の多層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】結晶性プロピレン系重合体のフィルム
は、その優れた剛性、透明性及び防湿性等を生かして広
く包装用フィルムとして使用されている。しかし、プロ
ピレン単独重合体のフィルムは、製袋、及び内容物充填
後の袋閉じをヒートシールにより行う際、低温ヒートシ
ール性に大きな難点があるため、従来からヒートシール
性に優れた樹脂をシーラント層として、その片面ないし
両面にラミネートした積層フィルムとして広く使用され
ている。
【0003】低温ヒートシール性の改良手段としては、
従来よりエチレンや他のα−オレフィンを共重合させる
ことが広く行われてきたが、充分な低温ヒートシール性
を得るには多量のエチレンや他のα−オレフィンを共重
合させる必要があり、それに伴い、べとつき成分が多量
に副成するため、アンチブロッキング性の大幅な低下等
の問題が生じ、実用に耐えるものではなかった。また、
この問題解決として、べとつき成分を不活性溶媒中に溶
解させて除去するという方法も試みられているが、べた
つき成分の除去はできるものの所望の低温ヒートシール
性が得られていないのが現状である。
【0004】また、近年、ヒートシール層は該層用の樹
脂が高価であること、及び積層フィルム全体の剛性を高
くする目的から薄くされる傾向にあり、非常に強いヒー
トシール強度が要求される場合には、ヒートシール層の
樹脂特性だけでなく、基材層の樹脂特性も考慮する必要
がでてきた。そこで、基材層に少量のエチレン、1-ブテ
ン等を共重合させる試みが行われているが、従来技術に
おいては、共重合により樹脂の結晶性低下が大きく、剛
性が不充分で満足できるものとなっていない。
【0005】ところで、フイルムには、製袋及び内容物
を充填した後の袋閉じ工程の生産性に直接関係している
低温ヒートシール性が良好であることの他にも、フィル
ムの巻き返し工程を支障なく行うためスリップ性やアン
チブロッキング性を発現すること、及び外観や透明性が
良好であること等が要求されている。近年のフィルム加
工は、生産性を上げるため大型成形機による高速製膜化
が行われているので、この場合においてもフィルム品質
が低下しないことも要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリプロピ
レンのフィルムが本来有する好ましい特性をできるだけ
損なうことなく、非常に高い剛性と低温ヒートシール性
のバランスを発揮する多層フィルムの提供を目的とする
ものである。
【0007】
【課題を解決しようとする手段】本発明者らは上記課題
につき鋭意検討した結果、以下に示すような特定の特性
を有するプロピレン系ランダム共重合体(A) 及び(B) を
それぞれ基材層、少なくとも片面の表層とする多層フィ
ルムが上記の目的を達成できることを見出して、本発明
を完成するに至った。 (1)下記のプロピレン系ランダム共重合体(A) からな
る基材層の少なくとも片面に下記のプロピレン系ランダ
ム共重合体(B) からなる表層を有することを特徴とする
プロピレン系ランダム共重合体の多層フィルム。(A) プロピレン系ランダム共重合体 下記の(A-1) 〜(A-5) を満足する (A-1) 共重合体中のエチレン単位の含有量(χa(wt%))
が0.2 〜 4wt%である (A-2) 共重合体のメルトインデックス(MIa(g/10mi
n)) が 4〜12g/10min である (A-3) 沸騰ジエチルエーテル抽出量(Ea(wt%))とχが
式(1) の関係を満たす Ea ≦ 0.25 χa +1.1 ・・・(1) (A-4) 示差走査型熱量計で測定した融点(Tma( ℃))と
χが式(2) の関係を満たす Tma ≦ 165− 5χa ・・・(2) (A-5) 13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタ
クチックトライアッド分率(mm分率a(mol %))が、98
mol% 以上であるプロピレン系ランダム共重合体(B) 下記の(B-1) 〜(B-5) を満足する (B-1) 共重合体中のエチレン単位の含有量(χb(wt%))
が 3〜10wt%である (B-2) 共重合体のメルトインデックス(MIb(g/10mi
n)) が 4〜12g/10min である (B-3) 沸騰ジエチルエーテル抽出量(Eb(wt%))とχが
式(3) 又は(4) の関係を満たす Eb ≦ 0.25 χb +1.1 (χb=3 〜6 wt%) ・・・(3) Eb ≦ 2.6 (χb=6 〜10wt%) ・・・(4) (B-4) 示差走査型熱量計で測定した融点(Tma( ℃))と
χが式(5) 又は(6) の関係を満たす Tmb ≦ 140 (χb=3 〜5 wt%) ・・・(5) Tmb ≦ 165− 5χb (χb=5 〜10wt%) ・・・(6) (B-5) 13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタ
クチックトライアッド分率(mm分率b(mol %))が、98
mol% 以上である (2)プロピレンとエチレンのランダム共重合体(B) か
らなる表層をとプロピレン系ランダム共重合体(A) から
なる基材層の厚み比(表層/基材層)が0.005〜
0.5の範囲にある上記(1)に記載のプロピレン系ラ
ンダム共重合体の多層フィルム。 (3)プロピレン系ランダム共重合体(A) が以下の(A-
6) を満足する上記(1)又は(2)に記載のプロピレ
ン系ランダム共重合体の多層フィルム。 (A-6) 共重合体のメルトインデックス(MIa(g/10mi
n)) と周波数分散測定により得られる周波数ω0 =10
0 rad/sec における緩和時間τ(sec) が式(7) の関係を
満たす τ≦ 0.65 −0.025 MIa ・・・(7)
【0008】
【発明の実施の形態】本発明について、以下に詳細に説
明する。本発明のプロピレン系ランダム共重合体の多層
フィルムは、プロピレン系ランダム共重合体(A) からな
る基材層の少なくとも片面にプロピレンとエチレンのラ
ンダム共重合体(B) からなる表層を有することを特徴と
するものである。
【0009】このプロピレン系ランダム共重合体(A)
は、下記の(A-1) 〜(A-5) を満足するものである。 (A-1) 共重合体中のエチレン単位の含有量(χa(wt%))
が0.2 〜 4wt%、好ましくは、0.5 〜 3.5wt%である。
χa が0.2 wt%未満では、基材層の低温融解性が不充分
となり、特に表層が薄い場合に低温シートシール性が低
下する。また、結晶性が高くなり過ぎるため、特に製膜
速度を高速化した場合に透明性、フィルムインパクトが
不充分となる。一方、χa が 4 wt %を超えると、剛性
が低下し、その影響により、アンチブロッキング性も低
下する。 (A-2) 共重合体のメルトインデックス(MIa(g/10mi
n)) が 4〜12g/10min 、好ましくは、5 〜10 g/10minで
ある。MIa が 4 g/10min 未満では、透明性、フィル
ムインパクトが低下する場合がある。一方、MIa が 1
2g/10minを超えると、成形不良が起こりやすくなる。
【0010】(A-3) 沸騰ジエチルエーテル抽出量(Ea
(wt%))とχが式(1) の関係を満たすものである。 Ea ≦ 0.25 χa +1.1 ・・・(1) Ea がこの範囲よりも多くなると、この共重合体(A) が
外層の場合、アンチブロッキング性が低下する。好まし
くは、 Ea ≦ 0.2 χa +1.1 ・・・(1)' である。
【0011】(A-4) 示差走査型熱量計で測定した融点
(Tma( ℃))とχが式(2) の関係を満たすものである。 Tma ≦ 165− 5χa ・・・(2) Tmaがこの範囲よりも高くなると基材層の低温融解性が
不充分となり、表層を薄くした場合に特に低温シートシ
ール性が低下する。好ましくは、 Tma ≦ 162− 5χa ・・・(2)' である。
【0012】(A-5)13 C−NMRで測定したPPP連鎖
部のアイソタクチックトライアッド分率(mm分率a(mo
l %))が、98 mol%以上、好ましくは、98.5 mol%以上
のものである。mm分率a が98 mol%未満では、べたつ
き成分が多くなり、アンチブロッキング性が低下する。
また、結晶性が低下し、それに伴い剛性も低下する。さ
らに、共重合量に対する融点降下が小さくなり、充分に
融点を低くすることができない。
【0013】このプロピレン系ランダム共重合体(A)
は、下記の(A-6) を満足するものが好ましい。 (A-6) 共重合体のメルトインデックス(MIa(g/10mi
n)) と周波数分散測定により得られる周波数ω0 =10
0 rad/sec における緩和時間τ(sec) が式(7) の関係を
満たすものである。 τ≦ 0.65 −0.025 MIa ・・・(7) τがこの範囲よりも大きいと、特に製膜速度を高速化し
た場合に透明性、フィルムインパクトが低下しやすい。
好ましくは、 τ≦ 0.63 −0.025 MIa ・・・(7) である。
【0014】一方、プロピレン系ランダム共重合体(B)
は、下記の(B-1) 〜(B-5) を満足するものである。 (B-1) 共重合体中のエチレン単位の含有量(χb(wt%))
が 3〜10wt%、好ましくは、3.5 〜9 wt%である。χb
が 3 wt %未満では、表層として充分な低温シートシー
ル性を発揮することができない。一方、χb が 9 wt %
を超えると、表層の剛性が低下して、基材層との剛性差
が大きくなり、巻き取り時に皺が発生する等の成形不良
現象が起きやすくなる。また、べとつき成分が多くなり
アンチブロッキング性が低下する傾向がある。
【0015】(B-2) 共重合体のメルトインデックス(M
Ib(g/10min)) が 4〜12g/10min 、好ましくは、5 〜10
g/10min である。MIb が 4 g/10min未満では、透明
性、フィルムインパクトが低下する場合がある。一方、
MIb が 12g/10minを超えると、成形不良が起こりやす
くなる。 (B-3) 沸騰ジエチルエーテル抽出量(Eb(wt%))とχが
式(3) 又は(4) の関係を満たすものである。 Eb ≦ 0.25 χb +1.1 (χb=3 〜6 wt%) ・・・(3) Eb ≦ 2.6 (χb=6 〜10wt%) ・・・(4) Eb がこの範囲よりも多くなるとアンチブロッキング性
が低下する。また、表層として、充分な低温ヒートシー
ル性を発揮できなくなる。好ましくは、 Eb ≦ 0.2 χb +1.1 (χb=3 〜6 wt%) ・・・(3) Eb ≦ 2.3 (χb=6 〜10wt%) ・・・(4) である。
【0016】(B-4) 示差走査型熱量計で測定した融点
(Tma( ℃))とχが式(5) 又は(6) の関係を満たすもの
である。 Tmb ≦ 140 (χb=3 〜5 wt%) ・・・(5) Tmb ≦ 165− 5χb (χb=5 〜10wt%) ・・・(6) Tmbがこの範囲よりも高くなると表層として充分な低温
ヒートシール性を発揮することができない。好ましく
は、 Tmb ≦ 140 (χb=3 〜4 wt%) ・・・(5) Tmb ≦ 160− 5χb (χb=4 〜10wt%) ・・・(6) である。
【0017】(B-5)13 C−NMRで測定したPPP連鎖
部のアイソタクチックトライアッド分率(mm分率b(mo
l %))が、98 mol% 以上、好ましくは、98.5 mol%以上
のものである。mm分率b が98 mol%未満では、べたつ
き成分が多くなり、アンチブロッキング性が低下する。
また、結晶性が低下し、それに伴い剛性も低下する。さ
らに、共重合量に対する融点降下が小さくなり、充分に
融点を低くすることができない。
【0018】本発明のプロピレン系ランダム共重合体の
多層フィルムは、プロピレンとエチレンのランダム共重
合体(B) からなる表層をとプロピレン系ランダム共重合
体(A) からなる基材層の厚み比(表層/基材層)が0.
005〜0.5の範囲にあるものが好ましい。さらに好
ましくは、0.01〜0.2の範囲のものである。この
比が0.5を超えるものは、フィルム全体の剛性が不充
分となりやすい。一方、0.005未満では、成形が難
しくなり、充分な低温ヒートシール性を発揮しにくくな
る。
【0019】本発明のプロピレン系ランダム共重合体
(A) 及び(B) は、以下に示すような特定の触媒成分の組
み合わせにおいて、特定のエチレン供給量及び水素供給
量を選択することではじめて製造方法できたものである
が、これに限定されるものではなく、上記のプロピレン
系ランダム共重合体(A) 及び(B) が得られる製造方法で
あればいずれでもよい。製造に使用できる触媒として
は、マグネシウム、チタン、及びハロゲンを必須成分と
する固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)、及
び特定の有機ケイ素化合物(c)から形成される触媒であ
り、代表的なものとして、以下のような触媒成分が使用
できる。
【0020】(a)固体触媒成分 固体触媒成分の好ましい担体となるものは、金属マグネ
シウムとアルコールとハロゲン及び/又はハロゲン含有
化合物から得られる。この場合、金属マグネシウムは、
顆粒状、リボン状、粉末状等のマグネシウムを用いるこ
とができる。また、この金属マグネシウムは、表面に酸
化マグネシウム等の被覆が生成されていないものが好ま
しい。アルコールとしては、炭素数1〜6の低級アルコ
ールを用いるのが好ましく、特に、エタノールを用いる
と、触媒性能の発現を著しく向上させる上記担体が得ら
れる。
【0021】ハロゲンとしては、塩素、臭素、又はヨウ
素が好ましく、特にヨウ素を好適に使用できる。また、
ハロゲン含有化合物としては、MgCl2 、MgI2
好適に使用できる。アルコールの量は、金属マグネシウ
ム1モルに対して好ましくは2〜100モル、特に好ま
しくは5〜50モルである。
【0022】ハロゲン又はハロゲン含有化合物の使用量
は、金属マグネシウム1グラム原子に対して、ハロゲン
原子又はハロゲン含有化合物中のハロゲン原子が、0.
0001グラム原子以上、好ましくは0.0005グラ
ム原子以上、さらに好ましくは、0.001グラム原子
以上である。ハロゲン及びハロゲン含有化合物はそれぞ
れ1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用しても
よい。金属マグネシウムとアルコールとハロゲン及び/
又はハロゲン含有化合物との反応方法は、例えば、金属
マグネシウムとアルコールとハロゲン及び/またはハロ
ゲン含有化合物とを、還流下(約79℃)で水素ガスの
発生が認められなくなるまで(通常20〜30時間)反
応させて、担体を得る方法である。これは、不活性ガス
(例えば窒素ガス、アルゴンガス)雰囲気下で行うこと
が好ましい。得られた担体を次の固体触媒成分の合成に
用いる場合、乾燥させたものを用いてもよく、また濾別
後ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄したものを用いてもよ
い。
【0023】また、この担体は粒状に近く、しかも粒径
分布がシャープである。さらには、粒子一つ一つをとっ
てみても、粒形度のばらつきは非常に小さい。固体触媒
成分の製造のため、上記の担体に少なくともチタン化合
物を接触させる。
【0024】このチタン化合物としては、一般式(8) TiX1 n (OR1 4-n ・・・(8) (式中、X1 はハロゲン原子、特に塩素原子が好まし
く、R1 は炭素数1〜10の炭化水素基、特に直鎖また
は分岐鎖のアルキル基であり、R1 が複数存在する場合
にはそれらは互いに同じでも異なってもよい。nは0〜
4の整数である。)で表されるチタン化合物を用いるこ
とができる。具体的には、Ti(O−i−C
3 7 4 、Ti(O−C4 9 4 、TiCl(O−
2 5 3 、TiCl(O−i−C3 7 3 、Ti
Cl(O−C4 9 3 、TiCl2 (O−C49
2 、TiCl2 (O−i−C3 7 2 、TiCl4
を挙げることができるが、特にTiCl4 が好ましい。
【0025】固体触媒成分は、上記の担体にさらに電子
供与性化合物を接触させて得られる。この電子供与性化
合物としては、芳香族ジカルボン酸ジエステルが好まし
く、特にフタル酸ジ−n−ブチルが好ましい。また、上
記の担体にチタン化合物と電子供与性化合物を接触させ
る際に、四塩化ケイ素等のハロゲン含有ケイ素化合物を
接触させるとよい。
【0026】上記の固体触媒成分は、公知の方法で調製
することができる。例えば、ペンタン、ヘキサン、ペプ
タン又はオクテン等の不活性炭化水素を溶媒に、上記の
担体、電子供与性化合物及びハロゲン含有ケイ素化合物
を投入し、攪拌しながらチタン化合物を投入する方法で
ある。通常は、マグネシウム原子換算で担体1モルに対
して電子供与性化合物は、0.01〜10モル、好まし
くは0.05〜5モルを加え、また、マグネシウム原子
換算で担体1モルに対してチタン化合物は、1〜50モ
ル、好ましくは2〜20モルを加え、0〜200℃に
て、5分〜10時間の条件、好ましくは30〜150℃
にて30分〜5時間の条件で接触反応を行えばよい。な
お、反応終了後は不活性炭化水素(例えば、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタン)で、生成した固体触媒成分を洗浄す
るのが好ましい。
【0027】(b)有機アルミニウム化合物 この有機アルミニウム化合物としては、一般式(9) AlR2 n 2 3-n ・・・(9) (式中、R2 は炭素数1〜10のアルキル基、シクロア
ルキル基またはアリール基であり、X2 はハロゲン原子
であり、塩素原子または臭素原子が好ましい。nは1〜
3の整数である。)で表される化合物が広く用いられ
る。具体的には、トリアルキルアルミニウム化合物、例
えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウ
ムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリ
ド、ジエチルアルミニウムモノエトキシド、エチルアル
ミニウムセスキクロリド等が挙げることができる。これ
らは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。これらの中では、トリエチルアルミニウム、ト
リイソブチルアルミニウムが好ましい。
【0028】(c)有機ケイ素化合物 有機ケイ素化合物としては、ジシクロペンチルジメトキ
シシランを好ましく用いることができる。上記の固体触
媒成分は、前処理してから、重合に用いる。例えば、ペ
ンタン、ヘキサン、ペプタン又はオクテン等の不活性炭
化水素を溶媒に、上記の固体触媒成分、有機アルミニウ
ム化合物及び有機ケイ素化合物を投入し、攪拌しなが
ら、プロピレンを供給し、反応させる。また、通常、有
機アルミニウム化合物は、固体触媒成分中のチタン原子
1モルに対して0.01〜10モル、好ましくは0.0
5〜5モルを加え、有機ケイ素化合物は、固体触媒成分
中のチタン原子1モルに対して0.01〜20モル、好
ましくは0.1〜5モルを加えるとよい。プロピレン
は、大気圧よりも高いプロピレンの分圧下で供給し、0
〜100℃にて、0.1〜24時間前処理するとよい。
なお、反応終了後は不活性炭化水素(例えば、n−ヘキ
サン、n−ヘプタン)で、前処理したものを洗浄するの
が好ましい。
【0029】重合条件は、特に制限されず、公知の方法
と同様の条件を用いることができる。例えば、大気圧よ
りも高いプロピレンの分圧下で、−80〜150℃の温
度下で、製造することができる。好ましくは、20〜1
50℃の温度下で、プロピレンの分圧は大気圧〜40 k
g/cm2 G の範囲である。また、通常、有機アルミニウム
化合物は、固体触媒成分中のチタン原子1モルに対して
0.1〜400モル、好ましくは1〜200モルを加
え、有機ケイ素化合物は、固体触媒成分中のチタン原子
1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは1〜5
0モルを加えるとよい。また、エチレン含量及び分子量
は、重合装置内のエチレン及び水素の両方の影響を受け
るが、エチレン含量は、主にエチレン供給量で調節し、
共重合体の分子量は、主に水素供給量で調節し、所望の
エチレン含量及び分子量となるように選定する必要があ
る。
【0030】以上のようにして製造することで、PPP
連鎖部の立体規則性を高くし、そこにエチレンをランダ
ムに共重合させることが可能となり、高い結晶性を示
し、かつ低い融点を有するプロピレン系ランダム共重合
体が得られる。共重合性が良好なため、少ない共重合量
で効果的に融点を低くできる。また、組成分布が狭いも
のとなり、フィルムのブロッキング原因であるべとつき
成分(沸騰ジエチルエーテル可溶分として評価)が少な
いものが得られる。本発明のプロピレン系ランダム共重
合体(A) 及び(B) は、常用される添加剤、具体的には酸
化防止剤、中和剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤
又は耐電防止剤などを必要に応じて配合することができ
る。本発明のプロピレン系ランダム共重合体の多層フィ
ルムは、基材層及び表層をそれぞれ別に製膜した後、公
知のドライラミネート法により積層してもよいし、公知
の共押出製膜法により同時に製膜してもよい。
【0031】本発明のプロピレン系ランダム共重合体
(A) 及び(B) は、それぞれ基材層及び表層(機能的には
ヒートシール層)として、例えば、Tダイキャスト製膜
法においては、引取速度が50m/min又はこれ以上
の高速製膜条件で、厚み10〜500μmのフィルムを
好適に製膜することができる。採用できる製膜法として
は、大型製膜機による高速製膜が可能なTダイキャスト
製膜法が好ましいが、これに限定されるものではなく、
溶融押出成形法によりフィルムを製造できる方法であれ
ばいすれでもよい。
【0032】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。まず、樹脂特性の評価方法、フィルム
の製膜方法及びフィルムの品質の評価方法について、説
明する。 (ア)樹脂特性の評価方法 1) 共重合体中のエチレン単位の含有量(χa 、χb (w
t%)) エチレン含有量は以下の条件にて300 μm 厚のシートを
作成し、日本分光製FT/IR5300を用い718 、73
3 cm-1の吸光度から次式により計算した。 ・シート成形条件 プレス温度:220 ℃ 加・冷圧時の圧締圧:50 kg/cm2G 余熱:5 min ;加圧:5 min ;冷圧:3 min ・IR測定条件 積算回数: 20 回 ; 分解能:4 cm-1 エチレン含量(χa 、χb (wt%)) χ1 =0.599 ×(A733 /d・l)−0.161 ×( A718
/d・l) χ2 =0.599 ×(A718 /d・l)−0.161 ×(A733
/d・l) χ=0.809 ×(χ1 +χ2 ) 但し、A718 :718 cm-1の吸光度、 A733 :733 cm-1の吸光度、 d:0.9 、l:試料の厚さ。
【0033】2) メルトインデックス(MIa 、MIb
(g/10min)) JIS K7210に従い、温度230 ℃、荷重2160gで
測定した。 3) 沸騰ジエチルエーテル抽出量(Ea 、Eb (wt%)) 1 mmφメッシュパスの大きさに粉砕したペレットを円筒
濾紙に3 g 、抽出溶剤のジエチルエーテルを平底フラス
コに160 ml入れ、リフラックス頻度を1 回/5min 程度
にしてソックスレー抽出器で 10 時間抽出する。抽出
後、ジエチルエーテルをエバポレーターで回収し、さら
に真空乾燥器で、恒量になるまで乾燥し、その重量から
沸騰ジエチルエーテル抽出量を求めた。
【0034】4) 示差走査型熱量計で測定した共重合体
の融点(Tma、Tmb (℃)) 示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製 DSC7)
を用いて、あらかじめ試料 10 mgを窒素雰囲気下230 ℃
で3 min 溶融した後、 10 ℃/minで 40 ℃まで降温す
る。この温度で3 min 保持した後、 10 ℃/minで昇温さ
せて得られた融解吸熱カーブの最大ピークのピークトッ
プを融点とした。
【0035】5) 13C−NMRで測定した共重合体、及
びフィルムのPPP連鎖部のアイソタクチックトライア
ッド分率(mm分率a 、mm分率b (mol%)) プロピレン系共重合体のPPP連鎖部のアイソタクチッ
クトライアッド分率は、共重合体分子鎖のPPP連鎖に
おけるトライアッド単位のアイソタクチック分率 であ
り、13C−NMRスペクトルから求めることができる。
プロピレン単独重合体の場合は、次の式(I) でそれを計
算できる。
【0036】
【数1】
【0037】但し、Imm、Imr及びIrrは、13
−NMRスペクトルでメチル炭素領域をmm、mr及び
rrの3領域に区分けしたときの、それぞれの領域のピ
ーク強度を示す。mm領域は化学シフトで21.4〜2
2.2ppm、mr領域は化学シフトで20.6〜2
1.4ppm、rr領域は化学シフトで19.8〜2
0.6ppmである。
【0038】プロピレン系ランダム共重合体の場合は、
エチレン単位に隣接するプロピレン単位のメチル炭素の
吸収位置がエチレン単位により影響を受ける。具体的に
は、EPE連鎖中のプロピレン単位のメチル炭素の吸収
ピークは、rr領域に現れ、PPE連鎖の中央のプロピ
レン単位のメチル炭素の吸収ピークはmr領域に現れ
る。このEPE連鎖中のプロピレン単位のメチル炭素の
吸収ピーク強度は、Tδδ(33.3ppm)のピーク
強度で代用ができる。また、このPPE連鎖中のプロピ
レン単位のメチル炭素の吸収ピーク強度は、Sαγ(3
8.0ppm)のピーク強度で代用ができる。そこで、
プロピレン系ランダム共重合体のPPP連鎖のアイソタ
クチックトライアッド分率を求めるには、次の式(II)を
用いる。
【0039】
【数2】
【0040】13C−NMRスペクトルは、日本電子社製
のJNM−EX400型NMR装置を用いて測定した。
測定条件は、以下のとおりである。 試料濃度 : 220mg/NMR溶媒 3 ml NMR溶媒 :1,2,4-トリクロロベンゼン/重ベン
ゼン(90/10vol%) 測定温度 : 130℃ パルス幅 : 45° パルス繰返し時間 : 4 秒 積算回数 : 4000 回
【0041】6) 緩和時間τ レオメトリクス社製回転型レオメーターにおいて、コー
ンプレート(直径25.0mm 、コーンアングル 0.10 ラジ
アン)を用い、温度175 ℃において周波数分散測定を行
なったときの周波数ω0 =100 rad/sec における緩和時
間τ (sec) であり、以下のようにして、計算した。複
素弾性率G* (iω) を応力σ* とひずみγ* によりσ*
/γ* で定義したとき、G* (iω) は、 G* (iω) =σ* /γ* =G'(ω) +iG"(ω) であり、τ (ω) は、 τ (ω) =G'(ω) /ωG"(ω) 但し、ω:周波数 (rad/sec) 、G' :貯蔵弾性率、
G" :損失弾性率 である。
【0042】(イ)多層フィルムの製膜方法 プロピレン系ランダム共重合体(A) 及び(B) のペレット
を3層Tダイ共押出キャスト成形機により、フィルム全
体厚みが 30 μm (全吐出量:80kg/hr、引取速
度:70m/min)となるように以下の条件にて製膜
した。なお、成形機には、表層/基材層/表層に対
応して、それぞれ50mmφ/65mmφ/40mmφの押出機が設
けてあり、ダイス出口樹脂温度はそれぞれ260℃、チ
ルロール温度は23℃、コロナ処理密度は38W/m2
/minとした。 (a) 層構成: (B) /(A) /(B) (層比=1/5/1) スクリュー回転数(表層/基材層/表層): 30
/ 130 / 40(rpm) (b) 層構成: (B) /(A) /(B) (層比=1/10/1) スクリュー回転数(表層/基材層/表層): 20
/ 150 / 25(rpm)
【0043】(ウ)フィルムの品質の評価方法 フィルムの品質は全て試料を温度23±2 ℃、湿度50±10
%で、 16 時間以上状態調節した後、同じ温度、湿度条
件下にて、測定を行った。 7) ヒートシール特性 JIS K−1707に準拠して測定した。融着条件を
以下に記す。なお、ヒートシールバーの温度は表面温度
計により較正されている。シール後、室温で一昼夜放置
し、その後室温で剥離速度を 200 mm/min にしてT型剥
離法で剥離強度を測定した。ヒートシール温度は剥離強
度が300 g/15mmになる温度をシール強度−剥離強度曲線
から計算して求めた。 シール時間:2 sec シール面積:15×10 mm シール圧力:5.3 kg/cm2 シール温度:ヒートシール温度を内挿できように数点 シール面 :表層(プロピレン系ランダム共重合体
(B))同士
【0044】8)引張弾性率 JIS K7127に準拠した引張試験により測定し
た。測定条件は以下のとおりとした。 クロスヘッド速度 : 500 mm/min 測定方向 :マシン方向(MD方向) ロードセル : 10 kg
【0045】9)アンチブロッキング性 重ね合わせた二枚のフィルムについて以下の条件で密着
させた後の引剥強度により評価した。 密着条件: 温度:60℃, 時間: 3 hr, 荷重: 36 g/cm2 引剥試験の条件は次のとおりである。 テストスピード : 20 mm/min ロードセル : 2 kg 測定面はコロナ処理面/コロナ処理面、及び非処理面/
非処理面の2条件とした。
【0046】10) スリップ性 フィルムを張ったスレットを、フィルムを張ったガラス
板の上に静置した後、ガラス板を傾けていきスレットが
滑り出したときの傾き角θのtanで評価する。東洋精
機製作所製の摩擦角測定機を用い、以下の条件にて測定
した。 傾斜速度 :2.7 °/sec スレッド重量 :1 kg スレッド断面積:65 cm2 面間圧力 :15 g/cm2 測定面はコロナ処理面/コロナ処理面、及び非処理面/
非処理面の2条件とした。 11) 透明性(ヘイズ及びグロス) JIS K7105に従い測定した。 12) フィルムインパクト 東洋精機製作所製のフィルムインパクトテスターにおい
て、1/2 インチ衝撃ヘッドを用いた衝撃破壊強度により
評価した。
【0047】〔実施例1〕 〔1〕プロピレン系ランダム共重合体(A) (1)マグネシウム化合物の調整 攪拌機付き反応槽(内容積500 リットル) 窒素ガスで充分に
置換し、エタノール 97.2 kg、ヨウ素640 g 、及び金属
マグネシウム6.4 kgを投入し、攪拌しながら還流条件下
で系内から水素ガスの発生が無くなるまで反応させ、固
体状反応生成物を得た。この固体状反応生成物を含む反
応液を減圧乾燥させることにより目的のマグネシウム化
合物(固体触媒の担体)を得た。 (2)固体触媒成分の調整 窒素ガスで充分に置換した攪拌機付き反応槽(内容積50
0 リットル)に、前記マグネシウム化合物(粉砕していない
もの) 30 kg、精製ヘプタン(n−ヘプタン)150 リット
ル、四塩化ケイ素 4.5 リットル 、及びフタル酸ジ−n−ブ
チル 5.4 リットル を加えた。系内を 90 ℃に保ち、攪拌し
ながら四塩化チタン144 リットルを投入して110 ℃で2 時間
反応させた後、固体成分を分離して 80 ℃の精製ヘプタ
ンで洗浄した。さらに、四塩化チタン228 リットルを加え、
110 ℃で2 時間反応させた後、精製ヘプタンで充分に洗
浄し、固体触媒成分を得た。
【0048】(3)前処理 内容積500 リットルの攪拌機付き反応槽に精製ヘプタン230
リットルを投入し、前記の固体触媒成分を 25 kg、トリエチ
ルアルミニウムを固体触媒成分中のチタン原子に対して
1.0 mol/mol 、ジシクロペンチルジメトキシシランを1.
8 mol/mol の割合で供給した。その後、プロピレンをプ
ロピレン分圧で 0.3 kg/cm2Gになるまで導入し、 25 ℃
で4 時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分を精製
ヘプタンで数回洗浄し、更に二酸化炭素を供給し 24 時
間攪拌した。 (4)重合 内容積200 リットルの攪拌機付き重合装置に前記処理済の固
体触媒成分を成分中のチタン原子換算で3 m mol/hrで、
トリエチルアルミニウムを4 m mol/ kg-PPで、ジシクロ
ペンチルジメトキシシランを1 m mol/ kg-PPでそれぞれ
供給し、重合温度 80 ℃、重合圧力(全圧)28kg/cm 2
G でプロピレンとエチレンを反応させた。この時、重合
装置内のエチレン濃度を、0.7 mol %、水素濃度を、3.
4 mol %とし、所望のエチレン含有量及び分子量となる
ようにした。なお、エチレン濃度及び水素濃度は、ガス
クロマトグラムによる重合装置内のガス部の組成分析値
である。
【0049】(5)添加剤処方 こうして得たプロピレン系共重合体パウダーに以下の添
加剤を処方し、混練機にて押出造粒した。 1) 酸化防止剤 チバガイギー社製イルガノックス1010:1000 ppm 及びチバガイギー社製イルガフォス 168:1000 ppm 2) 中和剤 ステアリン酸カルシウム:1000 ppm 3) アンチブロッキング剤 シリカ系:2000 ppm 4) スッリプ剤 エルカ酸アミド:1000 ppm
【0050】〔2〕プロピレン系ランダム共重合体(B) 上記のプロピレン系ランダム共重合体(A) の(4)の重
合時に、重合装置内のエチレン濃度を、2.4 mol %、水
素濃度を、5.5 mol %とした以外は同様にして、プロピ
レン系ランダム共重合体(B) を製造した。こうして得た
プロピレン系ランダム共重合体(A) 及び(B) のペレット
の樹脂特性を上記の(ア)の方法で評価した。また、上
記の(イ)の方法で(a) 層構成を製膜し、そのフィルム
品質は(ウ)の方法で評価した。その結果は第1表に示
す。
【0051】〔実施例2〕上記の(イ)の方法で(b) 層
構成 を製膜した以外は、実施例1と同様にして行なっ
た。その結果は第1表に示す。 〔実施例3〕実施例1の〔1〕プロピレン系ランダム共
重合体(A) の(4)の重合時に、重合装置内のエチレン
濃度を、1.2 mol %、水素濃度を、4.3 mol %とした以
外は実施例1と同様にして、プロピレン系ランダム共重
合体(A) を製造した。また、実施例1の〔1〕プロピレ
ン系ランダム共重合体(A) の(4)の重合時に、重合装
置内のエチレン濃度を、2.9 mol %、水素濃度を、5.6
mol %とした以外は実施例1と同様にして、プロピレン
系ランダム共重合体(B) を製造した。
【0052】〔実施例4〕上記の(イ)の方法で(b) 層
構成 を製膜した以外は、実施例3と同様にして行なっ
た。その結果は第1表に示す。 〔比較例1〕実施例1の〔1〕プロピレン系ランダム共
重合体(A) の製造において、フタル酸ジ−n−ブチルの
代わりにフタル酸ジエチルを、ジシクロペンチルジメト
キシシランの代わりにシクロヘキシルメチルジメトキシ
シランを使用し、重合時のエチレン濃度 1.5 mol%、及
び水素濃度 3.5 mol%に設定した以外は実施例1と同様
にしてプロピレン系ランダム共重合体を製造した。この
ものを実施例1の〔1〕プロピレン系ランダム共重合体
(A) の代わりに使用した以外は、実施例1と同様にし
た。その結果は第2表に示す。 〔比較例2〕上記の(イ)の方法で(b) 層構成 を製膜
した以外は、比較例1と同様にして行なった。その結果
は第2表に示す。
【0053】〔比較例3〕実施例1の〔1〕プロピレン
系ランダム共重合体(A) の製造において、フタル酸ジ−
n−ブチルの代わりにフタル酸ジエチルを、ジシクロペ
ンチルジメトキシシランの代わりにシクロヘキシルメチ
ルジメトキシシランを使用し、重合時にシクロヘキシル
メチルジメトキシシランを 0.1 m mol/kg-PPで供給し、
エチレンを供給せず、プロピレン単独で重合を行った以
外は実施例1と同様にしてプロピレン重合体を製造し
た。このものを実施例1の〔1〕プロピレン系ランダム
共重合体(A) の代わりに使用した以外は、実施例1と同
様にした。その結果は第2表に示す。 〔比較例4〕上記の(イ)の方法で(b) 層構成 を製膜
した以外は、比較例3と同様にして行なった。その結果
は第2表に示す。
【0054】〔比較例5〕実施例1の〔1〕プロピレン
系ランダム共重合体(A) の製造において、フタル酸ジ−
n−ブチルの代わりにフタル酸ジエチルを、ジシクロペ
ンチルジメトキシシランの代わりにシクロヘキシルメチ
ルジメトキシシランを使用し、重合時のエチレン濃度
2.6 mol%、及び水素濃度 3.3 mol%に設定した以外は
実施例1と同様にしてプロピレン系ランダム共重合体を
製造した。このものを実施例1の〔2〕プロピレン系ラ
ンダム共重合体(B) の代わりに使用した以外は、実施例
1と同様にした。その結果は第2表に示す。 〔比較例4〕上記の(イ)の方法で(b) 層構成 を製膜
した以外は、比較例5と同様にして行なった。その結果
は第2表に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本発明のプロピレン系ランダム共重合体
の多層フィルムは、基材層に高い結晶性と剛性を有し、
またある程度の低温融解性等を有するものを用い、また
基材層の少なくとも片面の表層に優れた低温ヒートシー
ル性、アンチブロッキング性、スリップ性等を有するも
のを用いることで、従来にない高いレベルで剛性と低温
ヒートシール性とがバランスし、良好な耐衝撃強度、ア
ンチブロッキング性、スリップ性、透明性等の好ましい
特性を有するフィルムを提供できる。
【0058】また、表層のヒートシール層を薄くしても
良好な低温ヒートシール性を示すことから層比の適用範
囲も広くできる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のプロピレン系ランダム共重合体(A)
    からなる基材層の少なくとも片面に下記のプロピレン系
    ランダム共重合体(B) からなる表層を有することを特徴
    とするプロピレン系ランダム共重合体の多層フィルム。(A) プロピレン系ランダム共重合体 下記の(A-1) 〜(A-5) を満足する (A-1) 共重合体中のエチレン単位の含有量(χa(wt%))
    が0.2 〜 4wt%である (A-2) 共重合体のメルトインデックス(MIa(g/10mi
    n)) が 4〜12g/10min である (A-3) 沸騰ジエチルエーテル抽出量(Ea(wt%))とχが
    式(1) の関係を満たす Ea ≦ 0.25 χa +1.1 ・・・(1) (A-4) 示差走査型熱量計で測定した融点(Tma( ℃))と
    χが式(2) の関係を満たす Tma ≦ 165− 5χa ・・・(2) (A-5) 13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタ
    クチックトライアッド分率(mm分率a(mol %))が、98
    mol% 以上であるプロピレン系ランダム共重合体(B) 下記の(B-1) 〜(B-5) を満足する (B-1) 共重合体中のエチレン単位の含有量(χb(wt%))
    が 3〜10wt%である (B-2) 共重合体のメルトインデックス(MIb(g/10mi
    n)) が 4〜12g/10min である (B-3) 沸騰ジエチルエーテル抽出量(Eb(wt%))とχが
    式(3) 又は(4) の関係を満たす Eb ≦ 0.25 χb +1.1 (χb=3 〜6 wt%) ・・・(3) Eb ≦ 2.6 (χb=6 〜10wt%) ・・・(4) (B-4) 示差走査型熱量計で測定した融点(Tma( ℃))と
    χが式(5) 又は(6) の関係を満たす Tmb ≦ 140 (χb=3 〜5 wt%) ・・・(5) Tmb ≦ 165− 5χb (χb=5 〜10wt%) ・・・(6) (B-5) 13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタ
    クチックトライアッド分率(mm分率b(mol %))が、98
    mol% 以上である
  2. 【請求項2】プロピレンとエチレンのランダム共重合体
    (B) からなる表層をとプロピレン系ランダム共重合体
    (A) からなる基材層の厚み比(表層/基材層)が0.0
    05〜0.5の範囲にある請求項1に記載のプロピレン
    系ランダム共重合体の多層フィルム。
  3. 【請求項3】プロピレン系ランダム共重合体(A) が以下
    の(A-6) を満足する請求項1又は2に記載のプロピレン
    系ランダム共重合体の多層フィルム。 (A-6) 共重合体のメルトインデックス(MIa(g/10mi
    n)) と周波数分散測定により得られる周波数ω0 =10
    0 rad/sec における緩和時間τ(sec) が式(7) の関係を
    満たす τ≦ 0.65 −0.025 MIa ・・・(7)
JP31321196A 1996-02-05 1996-11-25 プロピレン系ランダム共重合体の多層フィルム Pending JPH10152532A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005305782A (ja) * 2004-04-20 2005-11-04 Japan Polypropylene Corp ポリプロピレン系の二軸延伸複層フィルム
JP2005305767A (ja) * 2004-04-20 2005-11-04 Japan Polypropylene Corp ポリプロピレン系二軸延伸複層フィルム

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