明 細 書 脈波解析装置、 およびこの装置を用いた診断装置 技 術 分 野
この発明は、 生体から検出した脈波を表わすパラメータやデータ等に基づいて、 該生体について種々の診断を行なう診断装置、 および、 この診断の行なう際に生 体から検出した脈波を解析して、 脈波を表わすパラ メ ータやデータ等を生成する 脈波解析装置に関する。 背 景 技 術
伝統的な医学、 例えば、 中国医学においては、 橈骨動脈に沿って被験者の腕の 三箇所 (寸、 関、 尺) に診断者の指を押 し当て、 これによ つて脈診を行う方法 (寸ロ法) が知られている。 また、 圧電素子を用いて、 寸ロ法による診断を自動 的に行う脈診器も提案されている (特公昭 5 7 — 5 2 0 5 4号公報) 。 さ らに、 これら圧電素子の押圧力を均等にすべく、 空気圧によ って圧電素子を押圧する技 術も知られている (特開平 4 — 9 1 3 9号公報) 。
—方、 イ ン ドにおいては、 古来よりァーュルヴヱーダと称する伝承医学が知ら れている。 その概要を第 3図 (A ) , ( B ) を参照して説明する。
まず、 診察者は、 被験者の腕の橈骨動脈に沿う部分に自らの指を軽く押し当て る。 こ こで、 診断箇所は第 3図 (A ) に示す三点であり、 それぞれヴァータ (V ) 、 ピッ ク ( P ) およびカバ (K ) と称し、 中国医学で言う寸、 関および尺と近似し ている。 すなわち、 診察者は、 第 3図 (A ) において、 ヴァ一タ (V ) に第二指、 ピッ タ ( P ) に第三指、 カパ (K ) に第四指を押し当て、 種々の深さにおける脈 を診断する。
次に、 診察者は、 第 3図 ( B ) に示すように一本の指あたり 「 4」 のポイ ン ト 1 ~ 4 において、 被験者の脈の性状や強さを診断し、 病状を判定する。 従って、 三本の指について、 診断ポィ ン トは合計 「 1 2」 箇所になる。
このよ うな、 寸ロ法ゃァ一ュルヴ二一ダ等の脈診は優れた診断技術である、 と
の定評があるが、 診察者の感覚と経験とから患者の症状を診断する ものであるた め、 いずれもその技術の取得が困難である。 特に、 ァーュルヴユ ーダ法による脈 診を正確に行なうには、 長年の修練を積まなければならないという事情がある。 以上のよ うに、 脈波は、 生体の状態を表わす指標と して非常に有用なものであ り、 優れた診断技術を提供する可能性を秘めている。 脈波から生体に関する情報 を引き出し、 これに基づく客観的かつ正確な診断を行なう こ とができれば、 医療 技術の飛躍的進歩がもたらされるであろう。 発 明 の 目 的
本発明は、 上記事情に鑑みてなされたものであり、 以下の装置を提供する こ と を目的と している。
( 1 〉 検出した脈波に基づいて、 熟練した医師と同様な診断を行なう診断装置。
( 2 ) 生体の状態を忠実に反映するとともに、 生体の状態に関する客観的な診 断を可能するパラ メ ー タやデータ等を、 生体から検出した脈波を解析して取得す る脈波解析装置。
( 3 ) 検出した脈波に基づいて、 生体の状態に関して、 客観的な診断を行なう 診断装置。 発 明 の 開 示
これら目的のために、 本発明による診断装置は、 生体から得られた脈波を表わ す情報から当該脈波の波形パラ メ 一タを生成する解析部と、 前記波形パラ メ 一タ に基づいて前記生体の状態を診断する診断部とから構成される。
よ り詳細には、 本発明における解析部は、 生体から検出した脈波を解析する こ とにより、 次の波形パラ メ ー タを生成する。
( 1 ) 生体動脈系の中枢部から末梢部までをシ ミ ユ レ一 ト した電気回路を構成 する各素子の値 (循環動態パラ メ ー タ )
( 2 ) 脈波波形の歪
( 3 ) 脈波波形のピーク点 (変曲点) 、 あるいはその発生タイ ミ ン グ
( ) 脈波の時系列デー タ の ス ぺ ク ト ル
そ して、 本発明において診断項目となるものは、 後述する実施例および請求の 範囲に記載されているよ うに、 種々のものがある。 図面の簡単な説明
第 1 図は、 本発明の第 1 実施例による診断装置の構成を示すブロ ッ ク図であり、 第 2図は、 同診断装置における脈波センサの要部を示す平面図であり、 第 3図 (A ) は、 ァ一ュルヴ ダ法を説明する被験者側の平面図であり、 第 3図 ( B ) は、 ァ一ュルヴ ダ法を説明する診断者側の平面図であり、 第 4図 ( A ) は、 同実施例による検出脈波の例を示すグラ フであり、
第 4図 ( B ) は、 同実施例による検出脈波の例を示すグラ フであり、
第 4図 ( C ) は、 同実施例による検出脈波の例を示すグラ フであり、
第 5図 ( A ) は、 同実施例による検出脈波の例を示すグラ フであり、
第 5図 ( B ) は、 同実施例による検出脈波の例を示すグラ フであり、
第 5図 ( C ) は、 同実施例による検出脈波の例を示すグラ フであり、
第 6図は、 同実施例による検出脈波の例を示すグラ フであり、
第 7図は、 同実施例による検出脈波の例を示すグラ フであり、
第 8図は、 同実施例による検出脈波の例を示すグラ フであり、
第 9図は、 同実施例による検出脈波の例を示すグラ フであり、
第 1 0図は、 本発明の第 2実施例による循環動態パラ メータを算出する脈波解 析装置の構成を示すプロ ッ ク図であり、
第 1 1 図は、 同実施例における脈波検出装置および 1 回拍出量測定器を用いた 測定態様を示す図であり、
第 1 2図は、 同実施例において生体の動脈系のモデルと して用いる電気回路を 示す回路図であり、
第 1 3図は、 生体の大動脈起始部の血圧波形、 および左室内の血圧波形を示す 図であり、
第 1 4図は、 上記大動脈起始部の血圧波形をモデリ ングした電気信号の波形を 示す波形図であり、
第 1 5図は、 同実施例の動作を示すフ ローチ ャー トであり、
第 1 6図は、 同実施例の動作を示すフローチヤ一 トであり、 第 1 7図は、 同実施例の動作を示すフ ローチ ャー トであり、
第 1 8図は、 同実施例の動作を示すフ ローチ ャー トであり、
第 1 9図は、 同実施例の動作を示すフ ローチ ャー トであり、
第 2 0図は、 同実施例の平均化処理により得られた橈骨動脈波形を例示する波 形図であり、
第 2 1 図は、 同実施例の演算処理により得られた橈骨動脈波形と平均化処理に より得られた橈骨動脈波形とを重ね表示した波形図であり、
第 2 2図は、 同実施例の平均化処理により得られた橈骨動脈波形を例示する と と もに該波形に適用する処理の内容を説明する図であり、
第 2 3図は、 大動脈起始部の血圧波形をモデリ ングした別の電気信号を示す波 形図であり、
第 2 4図は、 同実施例における脈波センサを示す斜視図であり、
第 2 5図は、 同実施例の脈波検出装置を示すプロ ッ ク図であり、
第 2 6図は、 同実施例において生体の動脈系のモデルと して用いる電気回路の 拡張態様を示す回路図であり、
第 2 7図は、 本発明の第 3実施例による、 脈波波形の歪みにより診断を行なう 診断装置を示すプロ ッ ク図であり、
第 2 8図は、 同実施例による脈波検出の方法を説明する図であり、
第 2 9図は、 この診断装置の他の態様を示すブロ ッ ク図であり、
第 3 0図は、 この診断装置のさ らに他の態様を示すブロ ッ ク図であり、 第 3 1 図 ( A ) は、 一般的な平脈波の代表的な波形図であり、
第 3 1 図 ( B ) は、 一般的な滑脈波の代表的な波形図であり、
第 3 1 図 ( C ) は、 一般的な弦脈波の代表的な波形図であり、
第 3 2図は、 歪率 d と 3脈波の関係を示す図であり、
第 3 3図は、 中枢部血管抵抗 R。と歪率 d との関係を示す図であり、 第 3 4図は、 末梢部血管抵抗 R pと歪率 d との関係を示す図であり、 第 3 5図は、 血液の慣性 L と歪率 d との関係を示す図であり、
第 3 6図は、 コ ンプラ イ ア ンス C と歪率 d との関係を示す図であり、
第 3 7図は、 中枢部血管抵抗 R cと 3脈波との関係を示す図であり、
第 3 8図は、 末梢部血管抵抗 R Pと 3脈波との関係を示す図であり、
第 3 9図は、 血液の慣性 L と 3脈波との関係を示す図であり、
第 4 0図は、 コ ンプラ イ ア ン ス C と 3脈波との関係を示す図であり、 第 4 1 図は、 歪算出器の他の構成を示す図であり、
第 4 2図は、 本発明の第 4実施例であるス ト レ ス評価装置に使用する脈波を例 示する図であり、
第 4 3図は、 同実施例において使用する心身疲労度問診表を示す図であり、 第 4 4図は、 同実施例の第 1 態様によるス ト レ ス評価装置の構成を示すブロ ッ ク図であり、
第 4 5図は、 同実施例の第 2態様によるス ト レ ス評価装置の構成を示すプロ ッ ク図であり、
第 4 6図は、 同態様におけるパラ メータ抽出部の構成例を示すプロ ッ ク図であ り、
第 4 7図は、 同態様における ピーク情報メ モ リ の記憶内容を示す図であり、 第 4 8図は、 同態様における波形メ モ リ に記憶された橈骨動脈波形を例示する 図であり、
第 4 9図は、 同実施例の第 3態様によるス ドレ ス評価装置におけるス ト レ ス . レベル表示を説明する図であり、
第 5 0図は、 本発明の第 5実施例による脈波解析装置の構成を示すブロ ッ ク図 であり、
第 5 1 図は、 同実施例における周波数解析部の構成を示すプロ ッ ク図であり、 第 5 2図は、 同実施例における波形抽出記憶部から周波数解析部への波形引き 渡しタイ ミ ングを説明する図であり、
第 5 3図は、 同実施例における波形抽出記憶部内の動作を示すタィ ムチ ャ ー ト であり、
第 5 4図は、 同実施例における高速再生部の動作を説明する図であり、 第 5 5図は、 同実施例における高速再生部の動作を説明する図であり、 第 5 6図は、 同実施例における高速再生部および正弦波発生器の動作を説明す
る図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 図面を参照して本発明を実施するための種々の最良の実施例について説 明する。 これらの実施例はいずれも、 被験者から検出した脈波に基づいて、 診断 - 解析を行なう ものである。
本発明の最良な形態は、 当業者が本発明を容易に実施し得るようにするため、 第 1 章〜第 5章の各章に分けて説明される。
すなわち、 第 1 章では、 本願発明の特徴である脈波に基づく診断を行うエキス パー ト システムの実施例を説明し、 本発明の根底にある技術的思想を当業者が容 易に理解できるよ う にした。 次に、 脈波に基づく生体 (被験者たる人体) の診断、 すなわち、 脈波がかく かく しかじかであるから生体の状態がかく かく しかじかで ある、 という診断を行うためには、 何等かのパラ メ一タによって脈波を定量化し、 も し く は脈波から推定される生体内部の状態を特定する必要が生じる。 しかも、 そのようなパラ メ一タは生体の状態をより良く反映する ものでなければならない。 第 2章および第 3章では、 このようなパラ メータ と して循環動態パラメータを 採り上げ、 この循環動態パラ メータを得るための手段についてその実施例を提示 する と共に循環動態パラ メータ等に基づく診断装置の実施例を提示している。 また、 第 4章では、 生体から検出した脈波から有用な情報を引出し、 この情報 に基づいて診断を行う装置の実施例を説明している。 そ して、 この第 4章では、 ある診断項目が与えられた場合に、 どのようにして本願発明に基づく診断装置を 構築してゆく かを当業者が容易に理解し得るよ うに説明を工夫した。 すなわち、 第 4章は、 本願発明の実施例の説明に止ま らず、 本願発明に係る診断装置を当業 者が構築するために方法をも説明しており、 当業者は、 この第 4章を読むこ とに より、 第 4章に開示のス ト レス診断装置等以外の多種多様な診断項目に対応した 本願発明による診断装置を構築し得る ものである。
そ して、 第 5章では、 それまでの各章に開示または示唆された各種診断装置を さらに高性能なものにするための脈波解析装置を説明した。 各章の概要は以上の 通りである。
第 1 章 : 診断装置
まず、 こ の第 1 章においては、 本発明の第 1 実施例による診断装置について説 明する。 この診断装置は、 生体 (例えば被験者の人体) の脈波を表すデータ と生 体の状態を表すデータ との関係を表すデータを予め記憶させておき、 生体から実 際に検出された脈波のデータが、 生体の状態を表わすどのデータに対応している かにより、 診断を行なう ものである。
以下、 この第 1章においては、 第 1実施例について説明する。 第 1 - 1 章 : 第 1 実施例の構成
第 2図は、 こ の実施例で用いられる脈波セ ンサの平面図である。
第 2図において、 8 1 ~ 8 4 は細帯状の歪ゲー ジであり、 ゴム手袋 5 の指腹部 分において、 長さ方向に平行に配置されている。 なお、 ゴム手袋 5 の厚さは約 「 2 0 0 jw m」 であり、 歪ゲージ 8 1 ~ 8 4 をゴム手袋 5 に固着する手段と して は一般のゲ一ジ用接着剤を用いてよい。
こ こで、 歪ゲ一ジ 8 1 ~ 8 4 の詳細について説明する。 歪ゲ一ジ 8 1 〜 8 4 は、 薄ゲー ジであり、
ゲージ率 「 2. 1 」 、
抵抗 「 1 2 0 Ω」 、
幅 ( D) 「 2. 8 mm」 、
長さ ( L ) 「 9. 4 mm」 、
厚さ 「 1 5 〃 m」
である。 また、 歪ゲージ 8 1 〜 8 4全体の幅 (M) は、 診断者の指を被験者の 腕に軽く押し当てた場合の接触幅に対応して、 約 「 1 2 mm」 に設定されている c したがって、 各ゲージ間の間隔 ( S ) は約 「 0. 2 7 m m」 になる。
また、 歪ゲージ 8 1 ~ 8 4 は、 それぞれ第 3図 ( B ) に示すァ一ュル ヴ ユ ーダ の測定点 1 ~ 4 に対応する。
次に、 上記歪ゲージ 8 1 〜 8 4 を用いた診断装置の構成を第 1 図を参照して説 明する。
図において、 歪ゲージ 8 1 と抵抗器 1 2 とは直列に接続され、 電源 1 1 によつ て所定の直流電圧 Eが印加されている。 従って、 歪ゲージ 8 1 の両端には、 抵抗 比に応じた電圧 V iが発生する。 1 3 は直流遮断フ ィ ルタであり、 電圧 V iの直流 成分を除去して出力する。
直流遮断フ ィ ルタ 1 3 の出力信号は増幅器 1 4 を介して増幅され、 遮断周波数 力 i 「.2 0 H z」 の低域通過フ'ィ ルタ 1 5 を介して出力される。 なお、 第 2図は歪ゲ —ジ 8 1 に対する回路のみを示すが、 他の歪ゲージ 8 2〜 8 4 についても同様の 回路がそれぞれ設けられている。
次に、 低域通過フ ィ ルタ 1 5 の出力電圧 Vo は、 A/D変換器 2 0 によ ってデ イ ジタ ル信号に変換された後に、 マイ ク ロコ ン ピ ュータ 2 1 に供給される。 マイ ク ロ コ ン ピ ュータ 2 1 は、 C P U 2 4、 R O M 2 2、 R A M 2 3 および表示装置 D Pによつて構成されており、 また、 外部記憶部と してデータベース 2 6 を有し ている。 R O M 2 2 には、 C P U 2 4の動作を規定するプロ グラ ムが格納され、 R A M 2 3 にはワーキ ングエ リ ア等が設定される。 2 5 は、 キーボー ド等から構 成される入力装置であり、 C P U 2 4 に対し、 各種コ マ ン ドやメ ッ セー ジを入力 する。 3 0 は、 レ コーダであり、 C P U 2 4から供給される波形データを、 所定 の用紙にプリ ン ト ァゥ トする。 第 1 - 2章 : 第 1 実施例の動作
この第 1 実施例には、 動作モー ドと して、 学習モ一 ドおよび診断モー ドの 2つ のモー ドがある。 そこで、 第 1 実施例の動作について、 これら 2つのモー ドに分 けて説明する。 第 1 — 2 - 1 章 : 学習モー ド
この学習モー ドは、 脈波を表すパラ メータ (波形パラ メータ) と、 生体の状態 を表すデータ (すなわち診断結果) との関係を記憶させるためのモー ドである。 上記構成において、 診断者はゴム手袋 5 を片手に装着し、 被験者のヴァータ (V ) に第二指、 ピッ タ ( P ) に第三指、 カパ ( K ) に第四指をそれぞれ押し当 てる。
この状態において、 被験者の脈動に応じて合計 「 1 2」 の歪ゲ一ジから各々電 圧 V iが出力される。 これら電圧 V iは、 対応する直流遮断フ ィ ルタ 1 3 によって 直流成分が除去され、 さ らに各々対応する増幅器 1 4、 低域通過フ ィ ルタ 1 5 お よび AZD変換器 2 0 を介してマイ ク ロ コ ン ピュータ 2 1 に供袷される。 このよ う に して供給された波形は、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 2 1 において解析され、 その 特徴を示すパラ メータが算出される。 これらのパラ メータは、 一時的に R AMに 格納される。
この実施例では、 パラ メータ と して、 脈波を構成する各周波数成分の振幅を用 いる。 すなわち、 各波形について高速フー リ エ変換によるパワースぺク ト ル解析 を行い (高速フー リ ヱ変換プロ グラ ムは予め R O M 2 2 または R A M 2 3 に予め 格納しておく ) 、 各周波数についての振幅 (パワー) をパラ メータ と して用いる。 なお、 本発明では、 第 2章以下に説明するよ う に、 脈波を表わすパラ メ ータ に は、 様々なものがあり、 これらパラ メータを用いても良い。
次に、 診断者は、 算出されたパラ メータに対応する診断結果を教師データ と し て入力装置 2 5から入力する。 この場合の診断結果は、 診断者の触覚による もの、 表示装置に表示された波形の観察による もの、 あるいはそれら双方による もので もよ く、 さ らには、 全く別な手法、 たとえば、 西洋医学的な所見による ものでも よい。 診断結果の入力は、 入力装置 2 5から病名や症状を直接示す言葉を入力し てもよ く、 また、 それらを示すコー ドを入力してもよい。
診断者から診断結果が入力されると、 C P U 2 4 は R AM 2 3 に一時記憶され ていたパラ メータ と組にしてデータベース 2 6 に格納する。
次に、 この学習モー ドについて、 具体的な症状毎に例をと つて説明する。
( 1 ) 慢性鼻炎
この例において被験者は 2 8歳の男性であり、 西洋医学的所見において慢性鼻 炎であると診断されている。
上記被験者から測定された脈波を、 レコーダ 3 0 によ って記録した結果を、 第 4 図 ( A ) ~ ( C ) に示す。 こ こで、 同図 ( A ) の縦方向のスケールは、 同図 ( B ) , ( C ) のスケールの 2倍になっている。 なお、 これは、 波形が振り切れ
WO 94/15526 - 1ϋ - PCT/JP94/00011 てしま うのを防止する という測定上の都合による ものである。 従って、 ヴァ一夕 (V) における波形の振幅は、 他の波形に比べて大であるこ とが判る。 さ らに、 ヴァータ (V) に係る第 4図 (Α) の測定結果に着目すると、 第 1 , 第 2 ポイ ン トにおける脈波の振幅は、 第 3, 第 4 ポ イ ン トにおける振幅と比較してきわめて 大である こ とが判る。
一方、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 2 1 は、 各波形について高速フ一 リ ェ変換による パワースぺク ト ル解析を行い、 その結果をパラ メ ータ と して R AM 2 3 に記憶さ せる。
と こ ろで、 脈波に第 4図に示すような特徴が現れた場合、 ァーュルヴュ一ダに おいては、 鼻咽頭に障害があるとの脈診所見がなされる。 なお、 このよ うな脈波 が見られた場合には、 統計的に鼻、 喉あるいは気管支等に障害を持つ確率の高い 旨の報告 (.Visualization and Quantitative Analysis of the Pulse Diagnosis in AYURVEDA: K. Kodama, H. Kasahara, The proceeding of the 4th world co ngress holistic approach - hea 1 th for all in Bangalore, India, 1991) が さ れている。
そこで、 診断者は、 レ コーダ 3 0 の出力結果ゃデイ ス プレイ D Pの画面に表示 された波形を目視するこ とにより、 または触覚によるァ一ュルヴヱーダの所見に より、 あるいは西洋医学的な所見に基づいて、 診断結果である 「慢性鼻炎」 の語 またはこれを示すコー ドを入力装置 2 5 を用いて入力する。
次に、 C P U 2 4 は、 入力された診断結果と R A M 2 3 に一時記憶されていた ノ、'ラ メ 一夕 とを組に してデータベース 2 6 に記憶させる。
( 2 ) 肝障害例 ( i )
この例において、 被験者は 2 8歳の男性であり、 肝障害 ( G T O 「 4 2」 , G P T 「 6 3」 ) を有している。
上記被験者の脈波測定結果を第 5図 ( A) ~ ( C ) に示す。 なお、 同図 ( A) 〜 ( C ) のスケールは同一である。 これらの図によれば、 第三指のピッ タ ( P ) における波形の振幅が他の指における振幅と比較して大であるこ とが判る。 次に、 第 5図 ( B ) の拡大図を第 6 図に示す。 第 6図においては、 第 2 ポ イ ン ト におけ
る振幅が他のポイ ン 卜における振幅と比較して大であるこ とが判る。
マイ ク ロ コ ン ピュ ー タ 2 1 は、 上述した場台 ( 1 ) と同様にして、 各波形につ いて高速フ 一 リ ヱ変換によるパワース ぺク トル解析を行い、 その結果をパ ラ メ 一 タと して R A M 2 3 に記憶させる。
ところで、 ァ一ュルヴ -―ダの診断によれば、 上記症例に対して、 肝臓または 胃腸の障害が有る、 との所見がなされる。
そ こで、 診断者は、 上述の場合と同様にして、 波形や触覚によるァーュルヴュ ーダの所見や西洋医学的な所見に基づいて、 診断結果である 「肝臓の障害」 の語 またはこれを示すコ ー ドを入力装置 2 5 を用いて入力する。
次に、 C P U 2 4 は、 入力された診断結果と R A M 2 3 に一時記憶されていた パラ メータ とを組にしてデータベー ス 2 6 に記憶させる。
( 3 ) 肝障害例 ( i i )
次に、 別の肝障害例について診断を行った。 被験者は 2 4歳の男性であり、 肝 障害 ( G T O 「 3 6」 , G P T 「 5 2」 ) を有している。
この被験者においても、 ピッ タ ( P ) における波形の振幅が他の指における振 幅と比較して犬であった。 こ のピッ タ ( P ) における脈波測定結果を第 7図に示 す。 同図においては、 第 2 ポイ ン トにおける振幅が他のポイ ン ト における振幅と 比較して大である こ とが判る。 従って、 こ の肝障害例においても、 上記肝障害例 ( 1 ) と同様の結果が得られた。
この場合にも、 コ ンピュータ 2 4 のパラメータ算出および診断者による診断結 果の入力は上述と同様に行われる。 ただし、 第 5図と第 7図との波形は若干異な るので、 パラ メ一タは肝障害例 ( 1 ) の場合とはやや異なる。 これは同じ診断結 果となる ものであっても、 取り得るパラ メ ータ には有る程度幅が生じるためであ り、 臨床例を多く重ねる こ と によ っ てその範囲の信頼性は増していく。
( 4 ) 心臓異常例 ( i )
この例において、 被験者は 2 6歳の男性であり、.心室性期外収縮による不整脈 がー時間に数個みられる。
上記被験者の脈波測定結果によれば、 第三指のピ ッ タ ( P ) における波形の振 幅が他の指における振幅と比較して大であった。 次に、 第 8図にピッ タ ( P ) に おける脈波測定結果を示す。 第 8図においては、 第 3 ポ イ ン ト における振幅が他 のボイ ン トにおける振幅と比較して大であるこ とが判る。
ところで、 ァーュルヴユーダの診断によれば、 上記症例に対して、 心臓に異常 が有る、 との所見がなされる。 従って、 こ の診断例においても、 C P U 2 4が算 出したパラメータに対し、 ァ一ュルベーダあるいは西洋医学的所見により診断結 果を入力し、 両者の組合わせをデータベー ス 2 6 に記憶させ、 脈波に対する症状 を学習させる。
( 5 ) 心臓異常例 ( i i )
次に、 心臓異常例 ( i ) の再現性を確認すべく、 別の心臓異常例について診断 を行った。 被験者は 3 8歳の男性であり、 心室性期外収縮による不整脈が一時間 に数個みられる。
こ の被験者においても、 第三指のピッ タ ( P ) における波形の振幅が他の指に おける振幅と比較して大であった。 次に、 第 9図にピッ タ ( P ) における脈波測 定結果を示す。 第 9図においては、 第 3 ポイ ン トにおける振幅が他のポイ ン トに おける振幅と比較して大であることが判る。
この場合にも、 コ ン ピュータ 2 4のパラメータ算出および診断者による診断結 果の入力は上述と同様に行われ、 その組み合わせがデータベー ス に記憶される。 第 1 — 2 _ 2章 : 診断モ一 ド
次に、 診断モー ドについて説明する。 こ の診断モー ドは、 被験者から脈波を検 出し、 こ の脈波を表わすパラ メ ー タを算出し、 こ のパラ メ ー タ に対応する診断結 果をデータベー ス 2 6から読み出して、 診断を行なうモー ドである。
まず、 診断者は、 入力装置 2 5 を操作して、 C P U 2 4 に対し診断モー ドに入 るこ とを指示する。 そ して、 学習モー ドの場合と同様にして、 診断者はゴム手袋 5を片手に装着し、 被験者のヴァータ ( V ) に第二指、 ピッ タ ( P ) に第三指、 カパ ( K ) に第四指をそれぞれ押し当てる。
この結果、 各指の歪ゲージから各々電圧 V iが 出力され、 直流遮断フ ィ ルタ 1 3、 増幅器 1 4、 低域通過フ ィ ルタ 1 5 および A Z D変換器 2 0 を介してマイ ク 口 コ ン ピュ ー タ 2 1 に供給される。 次に、 マ イ ク ロ コ ン ピュ ータ 2 1 は、 供給さ れた波形の特徴を示すパラ メータを算出し、 R A M 2 3 に一時的に格納する。 そ して、 C P U 2 4 は、 データベー ス 2 6内から、 R A M 2 3内に一時記憶したパ ラメータ と一致するパラ メ一タ、 または、 最も近いパラ メータをサーチ し、 該当 するパラメータに組み合わされている診断結果を読み出し、 表示装置 D Pに表示 する。 この場合、 一致するパ ラ メータが無く、 これに最も近いパラ メータに対応 する診断結果を表示する ときは、 その旨の表示も併せて行う。 このよ うなメ ッセ ージは、 予め R 0 M内に文字情報と して記憶させておき、 適宜読み出して表示す る o
以上のよ うにして、 表示装置 D Pには、 「慢性鼻炎」 、 「肝障害」 、 「心臓異 常害」 等の診断結果が教師データ と して表示される。 したがって、 診断者は表示 結果に基づいて、 当該被検者の診断を行う こ と ができ る。
と こ ろで、 本実施例において、 上記学習モー ドにおいて、 ァ一ュルヴヱーダの 熟練者が感覚に基づく所見による診断結果を教師データ と して、 予め入力してお いた場合には、 診断モー ドにおいてはァーュルヴユーダの初心者であっても、 熟 練者と同等の診断を行なう ことができる利点が得られる。 第 1 一 3章 : 変形例
第 1 実施例は、 上記構成の診断装置に限定される ものではなく、 例えば以下の ように種々の変形が可能である。 変形例 (i )
第 1 実施例では、 脈波に関するパラ メータ と して、 フ 一 リ ヱ解析によるス ぺ ク トルを用いたが、 これに代えて、 動脈系をシ ミ ュ レー ト した電気的モデルの各素 子の値を採用しても良い。 こ の技術については、 次の第 2章において詳細に説明 する。
変形例 (i i )
また、 脈波を表わすパラ メ ータ と しては、 離散的なフー リ エ変換によるパワー スぺク ト ルでもよ く、 最大エ ン ト ロ ピ一法と呼ばれる手法によって求められるパ ワースベク ト ルでもよい。 また、 後述する第 4章において説明する ピーク情報を 用いても良い。 変形例 (i i i )
上述した第 1実施例においては、 橈骨動脈波を用いたが、 これに代えて、 脳波 や指尖脈波のパラ メータを求めるよ う に して も良く、 また、 指尖脈波の加速度波 のパラ メ ータを求めるよ う に してもよい。 要するに、 生体の状態を反映する波動 であれば、 本発明に適用することができる。 変形例 (i v )
と こ ろで、 ァー ュルヴュ一ダ等の伝承医学においては、 既に多量の診断データ が蓄積されている。 従って、 これらを直ちに利用して臨床化を急ぐのであれば、 測定ポ イ ン ト数を伝承医学のそれに合わせる方が有利な場合もある。 従って、 歪 ゲージの数は、 複数であれば 「 4」 以下にしてもよい。 例えばチべッ 卜における 伝承医学においては、 一本の指あたり 「 2」 の測定ポイ ン トを有する ことが知ら れている。 従って、 かかる伝承医学に基づいて脈診を行場合は、 ゲージ数を 「 2」 にしてもよい。 変形例 (V )
第 1 図に示す回路においては、 歪ゲージ 8 1 の両端に現れる電圧 V iを直接測定 する こ とにより脈波を検出したが、 歪ゲージ 8 1 を一辺とするブリ ッ ジ回路を構 成し、 このプリ ッ ジ回路の対角に現れる電圧を検出するこ とにより脈波を検出し てもよい。 すなわち、 歪ゲージ 8 1 と、 これと同一の抵抗温度係数を有する三つ の薄膜状抵抗器とをゴム手袋 5 に固着してブリ ッ ジ回路を構成する こ とによ って、 体温等による温度 ド リ フ トを補正する こ とができ、 感度も向上させるこ とが可能 である。
変形例 (v i )
第 1 図に示す回路においては、 歪ゲージ 8 1 に連続的に電流を供給したが、 歪 ゲージ 8 1 に供給する電流は断続的なものであってもよい。 すなわち、 第 1 図の 回路によれば、 電圧 V i の周波数成分のうち最終的に脈波と して検出される もの は 「 2 0 H z」 以下の成分のみであるから、 例えば 「 4 0 H z」 の周波数でサ ンプ リ ン グした結果によっても充分に脈波を再現するこ とが可能である。 こ のよ う に、 歪ゲージ 8 1 に供給する電流を断続的なものにすると、 消費電力を低減させるこ とが可能であるから、 特に携帯用機器に用いて好適である。 変形例 (v i i )
上述した第 1 実施例においては、 診断モ一 ドにおいて算出されたパラ メ一夕 と データベー ス 2 6内のパ ラ メータ との一致が検索されたが、 これに代えて、 例え ば、 データベー ス 2 6内の各パラ メータについて上限と下限の各しきい値を設定 しておき、 診断モ一 ド時において算出されたパラメータがこの範囲に入れば、 デ 一夕 べ一 ス 2 6 内のパ ラ メ ータ に該当すると してその診断結果を出力する よ う に してもよい。 また、 データベー ス 2 6 の内データは、 同一のパラ メータに対して 新たな診断結果の入力があった際には更新されるが、 近傍の値のパラ メータが新 たに入力された場合には、 上記しきい値を更新するよう にしてもよい。 変形例 (v i i i )
上述した第 1 実施例においては、 脈波のパラ メータを算出して、 記憶や比較を 行うようにしたが、 メモ リ容量の増大や比較処理時間の増大が問題にならない場 合には、 波形そのものを記憶し、 かつ、 比較するよ うに構成するこ と もできる。 変形例 U x )
診断結果とと もに、 あるいは診断結果に代えて、 被験者の症状に応じた治療法 を表示するよ うにしてもよい。 本実施例においては、 被験者の症状に応じた治療 法を教師データ と して出力するよ うにしても良い。
これは、 学習モー ドの際に、 診断結果とと もに (あるいは診断結果に代えて) 治 療法を入力するようにする こ とで容易に実施するこ とが可能である。 以上、 この第 1 章においては、 本願発明の基本構成となる診断装置について、 説明した。 以下の第 2章〜第 5章では、 脈波を表わすパラ メータをその生成方法 と と もに説明する。 第 2章 : 循環動態パラ メ 一タを算出する脈波解析装置
循環器系の状態を診断する場合に、 最も一般的に測定されるのが血圧や心拍数 である。 しかし、 さ らに詳しい診断を行うためには血管の粘性抵抗ゃコ ンプライ ア ン ス (粘弾性) といった循環動態パラ メータを測定する こ とが必要となる。 従来、 このような循環動態パラ メータを測定するためには、 大動脈起始部と切 痕部の圧力波形及び血流量を測定する必要があり、 その測定法と しては、 動脈に カ テーテルを挿入し直接測定する方法または超音波等で間接的に測定する方法が あった。
しかしながら、 カテーテルを挿入する方法は、 侵襲的な大掛かりな装置を必要 とする という問題があった。 一方、 超音波等で間接的に測定する方法によれば、 血管内の血流を非侵襲的に観測するこ とができるが、 この方法は熟練を要する も のであり、 また、 測定のための装置も大掛かりなものとなってしま う という問題 力 ϊあった。
そこで、 本発明者は、 このよ うな問題に鑑み、 生体の動脈系を電気回路によ り シ ミ ュ レー ト して、 非侵襲的に循環動態パラ メータを算出する脈波解析装置を発 明した。
よ り詳細には、 この脈波解析装置は、 生体の動脈系の中枢部から末梢部に至る 系を電気回路 (以下、 電気的モデルという) によ ってシ ミ ュ レー ト し、 さ らに、 この動脈系中枢部での圧力波形をシ ミ ュ レー ト した電気信号を該電気的モデルに 入力したとき、 該電気的モデルから出力される出力信号波形が、 実際に生体の末 梢部から検出された圧力波形と対応するように、 該電気回路の各素子の値を算出 し、 循環動態パラ メ ータ のそれぞれと対応させて出力する ものである。
WO 94/15526 - 1 ? · PCT/JP94/00011 なお、 算出したパラ メータを上記第 1 実施例の波形パラ メータ と して適用でき るのは、 いうまでもない。
この脈波解析装置では、 実際に生体の末梢部から検出される圧力波形と して橈 骨動脈波形を採用し、 また、 動脈系中枢部での圧力波形と して大動脈起始部の圧 力波形を採用する。
また、 この実施例では、 「大動脈起始部での圧力波形が、 生体の状態にあま り 依存せずほぼ一定であり、 中枢部から末梢部に至る動脈系が、 主に生体の状態に 依存すること」 が前提となるが、 これについては、 本発明者によ り実験的に確認 されている。
以下、 この章では、 本発明の第 2実施例による脈波解析装置について説明する。 第 2 - 1 章 : 第 2実施例の構成
第 1 0図は、 この第 2実施例による脈波解析装置の構成を示すブロ ッ ク図であ る o
この装置は、 非侵襲的なセ ンサにより生体から得られた情報に基づき、 生体の 動脈系の循環動態パラ メ ータを評価する。 なお、 本実施例において取扱う循環動 態パラ メ ータの具体的内容については後述する。
第 1 0図において、 2 0 1 は脈波検出装置、 2 0 2 は 1 回拍出量測定器である。 これらのうち、 脈波検出装置 2 0 1 は、 第 1 1 図に示すよ う に、 診断者の手に装 着された (あるいは被験者の手首に装着された) 脈波セ ンサ S 1 を介して橈骨動 脈波形を検出すると共に被験者の上腕部に装着された力フ帯 S 2 を介して被験者 の血圧を検出する。 そ して、 橈骨動脈波形を血圧によ って校正し、 その結果得ら れる校正された橈骨動脈波形を電気信号 (アナログ信号) と して出力する。
脈波検出装置 2 0 1 が出力するアナ ロ グ信号は、 A Z D変換器 2 0 3 に入力さ れ、 所定のサ ンプリ ング周期毎にデジタ ル信号に変換される。 また、 1 回拍出量 測定器 2 は、 第 1 1 図に示すよう にカ フ帯 S 2 に接続されており、 このカ フ帯 S 2を介して心臓から 1 回の拍により流出される血液の量である 1 回拍出量を測定 し、 その測定結果を 1 回拍出量データ (デジタ ル信号) と して出力する。 この種 の 1 回拍出量測定器 2 0 2 と しては、 いわゆる収縮期面積法によ り測定を行う装
置を使用するこ とができ る。
こ こで、 脈波セ ンサ S 1 の詳細を第 2 4図を参照して説明する。
図において、 2 5 1 は手術用のゴム手袋であり、 その第二指、 第三指および第 四指の各第一節の指腹部に歪ゲージ 2 5 2〜 2 5 4が接着されている。 歪ゲージ 2 5 2〜 2 5 4 は薄ゲージであり、 ゲージ率 「 1 7 0」 、 抵抗 「 2 kQ」 、 幅 「 0 5 mm」 、 長さ 「 4 mm」 である。 各歪ゲージ 2 5 2〜 2 5 4 は、 「 4 mm x l l mm」 のフ レキ シブルな薄板ベース上に固定されており、 該薄膜ベース と と も にゴム手袋 2 5 1 に接着されている。
次に、 脈波検出装置 2 0 1 の構成を第 2 5図を参照して説明する。
図において、 2 6 8 は周知の血圧計であり、 カ フ帯 S 2 を介して被験者の血圧 を測定し出力する。 2 6 1 は定電流源であり、 歪ゲージ 2 5 2 に定電流を供給す る。 これによ り、 歪ゲージ 2 5 2 の両端には、 その物理的な歪に応じた電圧 V , が発生する。 この電圧 V , は D Cアンプ 2 6 2 を介して増幅され、 直流遮断回路 2 6 3 と平均化回路 2 6 5 とに供給される。 こ こで、 D Cア ンプ 2 6 2から出力 される電圧は、 ( V。+ V。+ A V) と して表現するこ とができる。 こ こで、 電圧 V。は診断者がゴム手袋 2 5 1 を手に装着した際に発生する電圧であり、 電圧 V . は診断者の指を被験者の腕に押圧した際の押圧力によって発生する電圧である。 また、 電圧 Δ νは、 被験者の脈圧によって生ずる交流電圧である。
直流遮断回路 2 6 3 にあっては、 電圧 V。、 V。および A Vのうち直流成分たる 前二者が除去され、 交流成分たる電圧 Δ Vすなわち脈波信号が出力される。 この 脈波信号は、 遮断周波数が 「 2 0 Hz 」 の低域遮断フ ィ ルタ 2 6 4 を介して雑音 が除去された後、 A, Dコ ンバータ 2 0 3 (第 1 0図参照) を介してマイ ク ロ コ ンピュータ 2 0 4 に供袷される。
一方、 平均化回路 2 6 5 にあっては、 電圧 ( V。十 V d+ A V) の極大値が検出 され、 一の極大値が発生した後に次の極大値が発生するまでを一周期と して、 数 周期にわたって電圧 ( V D+ V。十 Δ ν) が平均化される。 これによつて、 交流成 分たる電圧 Δ Vが除去され、 直流成分たる電圧 (V。+ V a) が出力される。 また、 2 6 6 はレベル記憶回路であ り、 スィ ッ チ 2 6 6 aが押下される と、 その時点に おける平均化回路 2 6 5 の出力電圧レベルを記憶し、 以後記憶したレベルの電圧
を継続的に出力する。 また、 2 6 7 は減算器であり、 平均化回路 2 6 5 の出力電 圧からレベル記憶回路 2 6 6 の出力電圧を減算し、 減算結果を出力する。
第 2 5図に示す構成において、 診断者がゴム手袋 2 5 1 を装着すると、 D Cァ ンプ 2 6 2からは電圧 V。 が出力される。 この状態でス ィ ッ チ 2 6 6 a を押下す る と、 電圧 V。 がレべル記憶回路 2 6 6 に記憶される。 次に、 ゴム手袋 2 5 1 を 装着したまま被験者の腕に指先を押圧すると、 平均化回路 2 6 5 から電圧 ( V 。
+ V d ) が出力されるから、 減算器 2 6 7 を介して、 押圧力に対応する電圧 V « が出力される。 また、 こ れと同時に、 直流遮断回路 2 6 3、 低域遮断フ ィ ルタ 2 6 4 を順次介して脈波に対応する電圧 Δ Vが出力される。 さ らに、 脈波セ ンサ S 1 は薄いゴム手袋 5 1 と歪ゲージ 5 2〜 5 4 とによって構成されているから、 診 断者は自らの触覚に基づく診断を同時に行う こ とが可能である。 なお、 上記構成 要素 2 6 1〜 2 6 7 は、 歪ゲージ 2 5 2 に対応して設けられたものであるが、 歪 ゲージ 2 5 3, 2 5 4 に対応して同様のものが設けられている。
第 1 0図に示したマ イ ク ロ コ ン ピュ ータ 2 0 4 は、 牛一ボー ド 2 0 5から入力 されるコ マ ン ドに従い、 以下列挙する各処理を行う。
( 1 ) A Z D変換器 3 を介して得られる橈骨動脈波形の時系列デジタル信号を内 蔵の波形メ モ リ に取り込む脈波読取処理
( 2 ) 上記波形メ モ リ に取り込んだ寸、 関、 尺に係る橈骨動脈波形を拍毎に平均 化し 1 柏に対応した橈骨動脈波形を求める平均化処理
( 3 ) 1 回拍出量データを取り込む処理
( 4 ) 上記 1柏に対応した橈骨動脈波形を表す数式を求め、 こ の数式に基づき被 験者の動脈系に対応した電気的モデルの各パラ メ ー タを算出するパラメータ 算出処理
( 5 ) パラ メータ演算処理によ り得られたパラ メータを、 循環動態パラ メータ と して図示しない出力装置 (例えばプリ ンタ、 ディ スプレイ装置等) を介して 出力する出力処理
なお、 これらの処理の詳細については本実施例の動作説明の際に詳述する。 第 2 _ 1 — 1 章 : 本実施例において採用した電気的モデル
( 1 ) 4つの素子からなる集中定数回路
本実施例は、 動脈系をシ ミ ュ レー ト した電気的モデルと して、 第 1 2図に示す ような、 四つの素子からなる集中定数回路を採用する。 この電気的モデルは、 生 体の循環系の挙動を決定する要因のうち、
動脈系中枢部での血液による慣性、
動脈系中枢部での血液粘性による血管抵抗 (粘性抵抗) 、
動脈系中枢部での血管のコ ン プラ イ ア ン ス (粘弾性) 、 および 動脈系末梢部での血管抵抗 (粘性抵抗)
の 4つのパラ メ ータ に着目し、 これらを電気回路と してモデリ ングしたもので ある。
以下、 この集中定数回路を構成する各素子と上記各パラ メータ との対応関係を 示す。
ィ ンダク タ ン ス L : 動脈系中枢部での血液の慣性 〔dyn . s2/cm6]
静電容量 C : 動脈系中枢部での血管のコ ン プ ラ イ ア ン ス (粘弾性)
〔 cmVdyn]
なお、 コ ンプラ イ ア ンス とは血管の钦度を表わす量であり、 粘弾性のこ とであ る 0
電気抵抗 R。 : 動脈系中枢部での血液粘性による血管抵抗
[ dyn - s/cms〕 電気抵抗 : 動脈系末梢部での血液粘性による血管抵抗
L dyn · s/cnT J
また、 この電気的モデル内の各部を流れる電流 i , i P, i 。は、 各々対応する 各部を流れる血流 〔cm3/s 〕 に相当する。 また、 この電気的モデルに印加される 入力電圧 e ( t ) は、 大動脈起始部の圧力 Uyn/CIn2〕 に相当する。 そ して、 静 電容量 Cの端子電圧 v P は、 橈骨動脈部での圧力 〔dyn/cm2〕 に相当する ものであ る。
( 2 ) 電気的モデルおよびその応答特性の近似式
次に第 1 2図に示す電気的モデルの応答特性についての理論的説明を行う。
まず、 第 1 2図に示す電気的モデルにおいては、 下記微分方程式が成立する。 e ( t ) = R c i + L ( d i / d t ) + v P · · · ( 1 ) こ こで、 電流 i は、
i = i + i p
= C ( d v p/ d t ) + ( v P/ R„) · · · ( 2 ) と表すこ とができるから、 上記式 ( 1 ) は下記式 ( 3 ) のように表すこ とができ る。
e ( t ) = L C ( d 2 v p/ d t 2) + { R c C + ( L / R p) } ( d v / d t )
+ ( 1 + ( R c/ R ) ) v p
• · · ( 3 ) 周知の通り、 上記式 ( 3 ) によって示されるよ うな 2次の定係数常微分方程式 の一般解は、 上記式 ( 3 ) を満足する特殊解 (定常解) と、 下記微分方程式を満 足する過渡解との和によって与えられる。
0 = L C ( d 2 p/ d t 2) + { R C + ( Lノ R p) } ( d v P/ d t )
+ ( 1 + ( R R p) ) v p
• · · ( 4 ) こ こで、 微分方程式 ( 4 ) の解は次のよ う に して得られる。 まず、 微分方程式 ( 4 ) の解と して下記式 ( 5 ) によって表される減衰振動波形を仮定する。 v p= A ' e x p 、 s t ) · · · ( 5 ) この式 ( 5 ) を式 ( 4 ) に代入すると、 式 ( 4 ) は次のように表されるこ と と なる。
{ L C s 2 + ( R C + ( L /R P) ) s + ( 1 + ( R c/ R p) ) } v P= 0
• · · ( 6 ) そして、 上記式 ( 6 ) を s について解く と、
s = { - ( R c C + ( L /R P) )
土 ( ( R C C + ( L / R p) ) 2— 4 L C ( 1 + ( R c/ R p) ) ) } / 2 L C
• · · ( 7 ) となる。 式 ( 7 ) において
( R C + ( L / R p) ) 2く 4 L C ( 1 + ( R c/ R
• · · ( 8 ) である場台には第 2項の根号の中が負となり、 この場合、 s は以下のよ う に表 れ
s = { - ( R c C + ( L / R p) )
土 j ( 4 L C ( 1 + ( R =/ R ) - ( R c C + ( L / R p) ) 2) } / 2 L C =一 a土 j ω
• · · ( 9 ) a = ( R c C + ( L/R P) ) / 2 L C
= ( L + R p R c C ) / 2 L C R p
• ( 1 0 ) ω ( 4 L C ( 1 + (R c/ R p)) ― ( R c C + ( L / R P)) 2) 2 L C
■ ( 1 1 ) こ こで、
A , = L C • ( 1 2 )
A 2= ( L + R c R p C ) / R • ( 1 3 ) A = ( R c+ R ) / R p • ( 1 4 ) とおく と、 上記式 ( 1 0 ) および ( 1 1 ) は以下のよ うに表すことができる。
a = A 2/ 2 A! · · · ( 1 5 ) ω = { ( A 3/ A ,) - 2} · · · ( 1 6 ) このよ う に して s の値が確定し、 上記微分方程式 ( 4 ) を満足する解が得られ る。 以上の知見に基づき、 本実施例においては、 電気的モデルの応答波形に含ま れる減衰振動成分を近似する式と して上記式 ( 5 ) を用いるこ と と した。
次に大動脈起始部の圧力波形のモデリ ングを行う。 一般に大動脈起始部の圧力 波形は第 1 3図のような波形である。 そ こで、 この圧力波形を第 1 4図に示す三 角波で近似することにする。
第 1 4図において近似波形の振幅と時間を E。、 E„、 t p、 t P lとすると、 任意 の時間 t における大動脈圧 e ( t ) は次式で表わされる。 E。は最低血圧 (拡張期 血圧) 、 E。十 E raは最高血圧 (収縮期血圧) であり、 t Pは 1 柏の時間、 t p lは大 動脈圧の立ち上がりからその圧力が最低血圧値になるまでの時間である。
0 ≤ t < t , ,の区間 :
e ( t ) = E。+ E ra ( l - ( t t p . ) ) ( 1 7 ) t P , t < t pの区間 :
e ( t ) = E。 - - ' ( 1 8 ) これらの式において、 E。は最低血圧 (拡張期血圧) 、 E。十 E mは最高血圧 (収 縮期血圧) であり、 t Pは 1 柏の時間、 t plは大動脈圧の立ち上がりからその圧力 が最低血圧値になるまでの時間である。
そして、 上記 ( 1 7 ) 式および ( 1 8 ) 式によって表される電気信号 e ( t ) を第 1 2図に示した電気的モデルに入力した時の応答波形 V P (橈骨動脈脈波に対 応) を本実施例においては以下のように近似する。
0 ≤ t < t P ,の区間 :
v E mI n+ B ( 1 - t / t „)
+ D m i e x p (— a t ) s i n ( ω t + θ i )
( 1 9 ) t , < ,の区間 :
= E m,
+ D ra! e x p {― ( s i n { ω ( t - i ) + Θ 2)
• · · ( 2 0 ) 上記式 ( 1 9 ) における右辺第 3項および上記式 ( 2 0 ) における右辺第 2項 が既に説明した減衰振動成分 (上記式 ( 5 ) に対応する もの) であり、 これらの 項における aおよび ωは上記式 ( 1 5 ) および ( 1 6 ) により与えられる。
( 3 ) 電気的モデルの各素子の値と橈骨動脈波形との関係
以下、 上記式 ( 1 9 ) および ( 2 0 ) における各定数のうち既に確定した aお よび ω以外のものについて検討する。
まず、 上記式 ( 1 7 ) および ( 1 9 ) を上記微分方程式 ( 3 ) に代入する と、 下記の式 ( 2 1 ) が得られる。
Ε E m ( 1 - ( t / t )
= ( 1 + ( R c R ) ) ( E mi n+ B )
一 ( B / t ( R c C + ( L / R p) ) t
+ { L C ( a 2 - ω 2) D B l - D m l ( R c C + ( L / R P) ) + D m l ( 1 + ( R c/ R ) ) } e x p ( - a t ) s i n ( ω t + θ , )
+ { ω D m l ( R c C + ( L / R p) ) - 2 L C a w D m l} e x ( - a t ) c o s ( ω t + Θ ,)
( 2 1 ) この式 ( 2 1 ) が成立するためには以下の条件が必要である,
E。十 E m= ( 1 + ( R c/ R p) ) ( E ral。+ B )
= E 。+ A a B — ( B / t „) A 2 ( 2 2 ) E m/ t p, = ( B / t b) ( 1 + ( R c R P) )
= B / ( t b A 3) ' · · ( 2 3 ) L C ( a 2 - ω 2) - a ( R c C + ( L / R P) ) + ( 1 + R c/ R P) = 0
• · · ( 2 4 )
R c C + ( L / R ) = 2 L C a · • ·· · ( 2 5 ) なお、 上記式のう ち式 ( 2 4 ) および ( 2 5 ) は aおよび ωを拘束する もので ある力;'、 既に式 ( 1 5 ) および ( 1 6 ) により得られた aおよび ωは当然のこ と ながらこれらの式を満足する。
一方、 上記式 ( 1 8 ) および ( 2 0 ) を上記微分方程式 ( 3 ) に代入すると、 下記の式 ( 2 6 ) が得られる。
Ε 0
+ { L C ( a 2 - ω 2) D m2- a ( R c C + ( L / R p) ) D m2 + ( 1 + ( R c/ R p) ) D m 2} e x p ( - a ( t - t P l) ) s i n ( ω ( t - t 5 l) + Θ 2)
+ { ω ( R c + ( L / R p) ) Ό m2 - 2 L C a ω Ό m 2) e x p ( - a ( t - t p l) ) c o s ( ω ( t — t p i ) + Θ 2)
• · · ( 2 6 ) この式 ( 2 6 ) が成立するためには上記式 ( 2 3 ) 、 ( 2 4 ) が成立する こ と に加え、 下記式 ( 2 7 ) が成立する こ とが必要である。
E 。= ( l + ( R cZ R P) ) E ra l n
= A ,Ε… · · · ( 2 7 ) 以上のよ うにして得られた微分方程式 ( 3 ) が成立するための条件式 ( 2 2 ) 〜 ( 2 5 ) 、 ( 2 7 ) に基づき、 式 ( 1 9 ) および ( 2 0 ) における各定数を算 定する。
まず、 E m l,は上記式 ( 2 7 ) より、
E mI n= E 0/ A 5 · · · ( 2 8 ) 次に式 ( 2 3 ) より Bは、
B = ( t „ E m) / ( t pl A 3) · · · ( 2 9 ) となる。
次に上記式 ( 2 2 ) に上記式 ( 2 9 ) を代入し t bについて解く と、
"= ( t P lA 3+ A 2) /A 3 · · · ( 3 0 ) となる。
そ して、 残った定数 D lm、 D 2ra、 0 ,ぉょび 0 2は、 橈骨動脈波形 V pが t = 0, t P l, t Pにおいて連続性を維 : .得るよ うな値、 すなわち、 下記条件 ( a ) 〜 ( d ) を満足する値が選ばれる。
( a ) 式 ( 1 9 ) の v P ( t P l) と式 ( 2 0 ) の v p ( t p l) とが一致するこ と
( b ) 式 ( 2 0 ) の v p ( t p) と式 ( 1 9 ) の v P ( 0 ) とがー致するこ と
( c ) 式 ( 1 9 ) および式 ( 2 0 ) の t = t p lにおける微分係数が一致する こ と ( d ) 式 ( 1 9 ) の t = 0での微分係数および式 ( 2 0 ) の t = t p における微 分係数が一致する こと
すなわち、 D , mおよび 0 ,は、
D lm= " { ( D! !2+ D 12 2) } / ω · · · ( 3 1 )
Θ ! = tan"1 Ώ n Ώ 12 ■ · · ( 3 2 ) なる値が選ばれる。 ただし、 上記各式において、
D u= ( V o i- B - E ml n) ω · · · ( 3 3 )
D 12= ( v 01— B - E ral n) a + ( BZ t 。) + ( i 0 i C ) . · · ( 3 4 ) であり、 v o ,と i 。 ,は t = 0 における v pと i rの初期値である。
また、 D 2mおよび 0 2は、
D 2m= f ( D 21 2+ D 22 2 ) / ω · · · ( 3 5 )
= tan- 1 D , D 22 · · · ( 3 6 ) なる値が選ばれる。 ただし、 上記各式において
D 2 , = ( V E m l n) ω · · · ( 3 7 )
D 22= ( v 02- E + ( i 。2/ C ) ■ · · ( 3 8 ) であり、 v 02と i 。"ま t = t p lでの v Pと i の初期値である。 このよ うにして式 ( 1.9 ) および ( 2 0 ) の各定数が得られた。
さて、 式 ( 1 6 ) の角周波数 ωから逆算することにより、 中枢部での血管抵抗 R は、
R c = { L - 2 R p T ( L C ( 1 - ω 2 L C ) ) } / C R ρ · . · ( 3 9 ) となる。 こ こで、 R が実数でかつ正となる条件は、
4 R p2 C / { 1 + ( 2 ω R p C ) " ≤ L ≤ 1 / ω 2 C · · · ( 4 0 ) である。 一般に R Ρのオーダは 1 0 3 (dyn · s/cni6) 程度、 Cは 1 0— 4 ( cm Vdyn) 程度であり、 また、 ωは脈波に重畳している振動成分の角周波数であるから 1 0 (rad/s) 以上であるとみてよい。 このため、 式 ( 4 0 ) の下限はほぼ 1 Z ω 2 C とみなせる。 そこで、 Lを簡略化のため近似的に、
L = 1 / ( ω 2 C ) · · · ( 4 1 ) とおく と、 R cは、
R c= L / ( C R ρ) · ■ · ( 4 2 ) となる。 また、 式 ( 4 1 ) および ( 4 2 ) の関係より式 ( 1 5 ) の減衰定数 a は、
= I / ( C R ) · · · ( 4 3 ) となる。 ( 4 1 ) 式〜 ( 4 3 ) 式の関係を用いて、 α と ω及び四素子の値のい ずれか 1 つ、 例えば血液の慣性 Lを用いて残りの素子の値を表わすと、
R = a L · · · ( 4 4 )
R ρ = ω 2 L / α · · · ( 4 5 )
C = 1 / ( ω 2 L ) · · · ( 4 6 ) となる。 上式 ( 4 4 ) 〜 ( 4 6 ) より、 電気的モデルの素子の値 R c, R Pおよ び Cは、 α、 ωおよび Lが得られる こ とにより確 するこ とが明らかである。 こ こで、 α と ωは、 橈骨動脈波の実測波形から得るこ とができる。 一方、 Lは
1 回拍出量 S Vに基づいて算出する こ とができる。 以下、 1 回拍出量 S Vに基づ く Lの算出手順について説明する。 まず、 大動脈起始部の圧力波の平均値 E。,は 以下の式 ( 4 7 ) により与えられる。
E 0 1 = { E 。 t p+ ( t P l E mZ 2 ) } Z t p · · · ( 7 ) 一方、 R R 、 α、 ωおよび L間には下記式 ( 4 8 ) が成立する。
R c+ R p= a L + ( ω 2 L / α ) = ( a 2 + ω 2) L / a · ■ · ( 4 8 ) そ して、 気的モデルを流れる平均電流、 すなわち、 上記 Ε 01を ( R c+ R P) によ って除算したものは、 拍動により動脈を流れる血流の平均値 ( S V / t p) に相当するから下記式 ( 4 9 ) が成立する。
S V/ t p= 1333.22 x { a / ( a 2 + ω 2) L t p} x { E。 t P+ ( E n t p l/ 2 ) }
• · · ( 4 9 ) なお、 上記式 ( 4 9 ) における 1333.22は圧力値の単位を mmHgから dyn/cm2に換 算するための比例定数である。
このよ うにして得られた式 ( 4 9 ) を Lについて解く こ とによ り、 1 回拍出量 S Vから Lを求めるための式 ( 5 0 ) が以下の通り得られる。 ,
L = 1333. 22 X { / ( α 2 + ω 2) S V } x { E 。 t P+ ( E m t l/ 2 ) }
- - - ( 5 0 ) なお、 血流量を測定する こ と によ り上記式 ( 4 9 ) 中の平均電流 ( 1 Z t J { E 。 t p+ ( t p l E m/ 2 ) } に相当する値を求め、 この結果に基づきイ ンダク タ ン ス Lを算出してもよい。 血流量を測定する装置と しては、 イ ン ピー ダ ン ス法 による もの、 ド ッ プラー法による もの等が知られている。 また、 ド ッ プラー法に よる血流量測定装置には、 超音波を利用したもの、 レーザを利用したもの等があ る。
( 4 ) 電気的モデルの発展形
次に、 第 1 2図に示す電気的モデルを発展させ、 寸、 関、 尺におけるそれぞれ の圧力変化を考慮する と、 第 2 6図に示すモデルが得られる。
図において、 大動脈起始部, 尺, 関および寸における圧力はそれぞれ電圧 e 。 ( t ) , e , ( t ) , e ( t ) および e 3 ( t ) によ って表され、 各電圧検出端
の間においては、 血液の慣性を示すイ ンダク タ ン ス L ,〜 L 3と、 血管の各部のコ ンプライ ア ン スを示す静電容量 と、 血管の各部の抵抗を示す電気抵抗 R c l〜 R c 3とが接続されている。
なお、 第 1 2図における電気抵抗 R Pは、 測定対象となる動脈系末梢部よ り さ ら に末梢の血管抵抗を示すものである。 従って、 第 2 6図に示すモデルにあっては、 各電圧検出端よ り も後段に位置する回路の合成ィ ンピーダンスが第 1 2図におけ る電気抵抗 R。 に相当する。 例えば、 第 2 6図において、 一点鎖線 A — A ' よ り も右側の部分の合成ィ ンピーダンスを近似して電気抵抗 R » とすると、 第 2 6図 の発展モデルは、 第 1 2図のモデルと同様になる。
従って、 第 2 6図におけるモデルあっては、 第 1 2図に示すモデルと同様の手 法によって、 各素子の値を求めるこ とが可能である。 すなわち、 最初に一点鎖線 A - A ' よ り も右側の部分の合成イ ン ピーダンスを近似して電気抵抗 R p とする と、 上述した手法により、 e 。 ( t ) および e , ( t ) の波形に基づいて各パラ メ ータ R c ,、 L ,および C ,が求められる。 次に、 e , ( t ) および e ( t ) の波形 に基づいて各パラ メ ータ R c 2、 L 2および C 2が求められ、 e 2 ( t ) および e 3 ( t ) の波形の基づいて各パラ メータ R 、 L 3 R p 3および C aが求められる。 と こ ろで、 上述の説明においては、 電圧 e , ( t ) 〜 e 3 ( t ) に相当する各部 の圧力波形がそのまま検出できる ものと した。 しカゝし、 実際には被験者の血管に おいて発生した圧力波形は、 歪ゲージ 2 5 2〜 2 5 4 (第 2 4図参照) によって 検出される前に、 被験者の筋肉、 脂肪、 皮膚等を介して伝搬されつつ変形される。 そこで、 より厳密な測定を行うならば、 圧力波形の変形を考慮する必要がある。 この場合、 第 2 6図に示すような圧力波変形回路 2 7 0〜 2 7 2 を設けると好適 であろう と思われる。 回路 2 7 0 において、 2 7 3 は電圧ホロ ヮ回路、 2 7 4, 2 7 5 は電気抵抗、 2 7 6 はコ ンデンサである。 こ こで、 電気抵抗 2 7 4, 2 7 5 は被験者の動脈の 「尺」 に相当する部分からから歪ゲージ 2 5 4 に至るまでの 圧力損失をシ ミ ュ レー ト しており、 電気抵抗 2 7 5 およびコ ンデンサ 2 7 6 は周 波数特性、 すなわち高周波部における減衰をシ ミ ュ レー ト している。 また、 電圧 ホロ ワ回路 2 7 3 は、 筋肉、 脂肪、 皮膚等の状態が動脈自体に与える影響は小さ いと考えられるため、 電気抵抗 2 7 4 の前段に設けたものである。
このモデルにおいては、 電圧 e , ( t ) が 圧力波変形回路 2 7 0 によ って変形 され、 電圧 e ( t ) と して検出される。 従って、 電圧 ( t ) の波形を正し く求めるためには、 圧力波変形回路 2 7 0 における各素子の定数を求める必要が ある。 これは、 被験者の腕に各種の周波数や波形を有する音波を印加し、 その音 波の損失や変形を検出することによつて容易に求めることが可能である。 すなわ ち、,圧力波変形回路 2 7 0 の回路構成は、 第 1 2図のモデルと同様であるから、 同様の手法によって各素子の値が求められる。 なお、 圧力波変形回路 2 7 0 にお ける各値は固定的なものではな く、 診断者が脈診を行う際の指の押圧力によつて 変動する ものであるから、 被験者の腕に音波を印加する際に、 種々の押圧力を加 え、 押圧力と各定数とを対応させて記録しておく と好適である。
以上、 橈骨動脈波および 1 回拍出量と電気的モデルの各素子の値との関係につ いて説明した。 本実施例におけるマイ ク ロ コ ン ピュータ 2 0 4 (第 1 0図参照) は、 以上説明した関係に基づき電気的モデルの各素子の値の演算を行う。 第 2 - 2章 : 第 2実施例の動作
第 1 5図〜第 1 9図は、 この脈波解析装置の動作を示すフ ローチ ヤ一 トである。 また、 第 2 0図は、 平均化処理により得られた橈骨動脈波形を示す波形図であり、 第 2 1 図は、 パラ メ ータ算出処理により得られた橈骨動脈波形 W 2 と平均化処理 によ り得られた橈骨動脈波形 W 1 とを対比した波形図である。 以下、 これらの図 を参照し本実施例の動作を説明する。 第 2 — 2 — 1章 : 通常の算出処理
( 1 ) 脈波読取処理
循環動態パラ メ ータを算出するに際し、 診断者は、 第 1 1 図に示すよ う にカ フ 帯 S 2 を被験者に装着し、 診断者の手に脈波セ ンサ S 1 を装着し、 スィ ツチ 2 6 6 a (第 2 5図参照) を押下し、 測定指示をキーボー ド 2 0 5から入力する。 マ イ ク 口コ ン ピュータ 2 0 4 はこのコ マ ン ドに応答し、 まず、 測定指示を脈波検出 装置 2 0 1 へ送る。 この結果、 脈波検出装置 2 0 1 によ り、 歪ゲー ジ 2 5 2 ~ 2 5 4 を介して橈骨動脈波が検出され、 この橈骨動脈波を表す時系列デジタ ル信号
が Aノ D変換器 2 0 3から出力され、 一定時間 (約 1 分間) に亙ってマイ ク ロ コ ン ピュー夕 2 0 4 に取り込まれる。 このよ う に してマイ ク ロ コ ン ピュータ 2 0 4 に複数拍分の橈骨動脈波形の時系列デジタル信号が取り込まれる。
( 2 ) 平均化処理
次にマイ ク ロ コ ン ピュータ 2 0 4 は、 このよ う にして取り込んだ複数拍に対応 した橈骨動脈波形を 1 拍毎ごとに重ね合わせて 1 分間での 1 拍当たりの平均波形 を求め、 この平均波形を橈骨動脈波形の代表波形と して内蔵のメ モ リ に格納する (以上、 ステ ッ プ S 1 ) 。 また、 これと同時に減算器 2 6 7 (第 2 5 図参照) を 介して検出された押圧力も平均化しておく。 第 2 0図にこのよ うにしてメ モ リ に 格納された橈骨動脈波形の代表波形 W 1 を例示する。
( 3 ) 1 回拍出量データ取込処理
上記平均化処理が終了すると、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 2 0 4 は 1 回拍出量測定 器 2 0 2 へ測定指示を送る。 この結果、 1 回拍出量測定器 2 0 2 によ り被験者の
1 回拍出量が測定され、 その結果を示す 1 回拍出量データが、 マイ ク ロ コ ン ビュ 一夕 2 0 4 に取り込まれる (ステ ッ プ S 2 ) 。
( 4 ) パラ メ 一タ算出処理
次にマイ ク ロ コ ン ピュータ 2 0 4 の処理はステップ S 3 に進み、 第 1 6図およ び第 1 7図にフローを示すパラ メータ算出処理ルーチンが実行される。 また、 こ のルーチ ンの実行に伴い、 寸、 関、 尺の各部の波形毎に第 1 8図にフ ローを示す a , ω算出ルーチ ンが実行される (ステップ S 1 0 9、 S I 1 7 ) 。 さ らに、 こ の α, ω算出ルーチ ンの実行に伴い、 第 1 9図にフ ローを示す ω算出ルーチ ンが 実行される (ステ ッ プ S 2 0 3 ) 。 なお、 説明の簡素化のため、 これらのルーチ ンにあっては、 第 2 6図のモデルにおける電圧 e , ( t ) 〜 e 3 ( t ) に相当する 圧力波形が歪ゲージ 2 5 2 - 2 5 4から直接られる ものと した。
以下、 これらのルーチ ンの処理内容について説明する。
まず、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 2 0 4 は、 メ モ リ に取り込んだ 1 拍分の橈骨動脈
波形について、 血圧が最大となる第 1 ポイ ン ト P 1 に対応した時間 t , および血 圧値 y , と、 第 1 ポイ ン トの後、 血圧が一旦落込む第 2 ポイ ン トに対応した時間 t 2および血圧値 y 2と、 2番目のピーク点である第 3 ボイ ン ト P 3 に対応した時 間 t ,および血圧値 y ,を求める。 また、 メ モ リ に取り込んだ橈骨動脈波形につい て 1 柏の時間 t P、 最低血圧値 E m l n ( ( 3 ) 式と ( 4 ) 式の第 1 項に相当) を求 める (ステップ S 1 0 1 ) 。 以上の処理により、 パ ラ メ一タ演算処理に必要な各 データ と して以下例示する ものが得られる。
第 1 ポイ ン ト t ! = 0. 1 0 4 (s) y = 1 2 3. 4 (mmHg) 第 2 ポイ ン ト t = 0. 2 6 4 (s) y = 9 3. 8 (mniHg) 第 3 ポ イ ン ト t = 0. 3 8. ( s) y = 1 0 3. 1 (mraHg) 1 柏の時間 t „= 0. 7 8 4 (s)
最低血圧 E m l D= 8 7. 7 (ininHg)
1 回拍出量データ S V = 1 0 3. 1 9 ( cc/beat)
なお、 第 2 ボイ ン ト P 2 と第 3 ボイ ン ト P 3 を区別する こ とが困難ななだらか な脈波の場合には、 第 2 と第 3 ポイ ン トの時間を
t = 2 t S = 3 t
と してその点の血圧値を決定する。
そ して、 計算の簡略化のため、 第 2 2図に示す A点の血圧値 y。を用いて y ,〜 y 3の正規化処理を行い (ス テ ッ プ S I 0 2、 S I 0 3 ) 、 Bの値を
( y 。Z 2 ) - 0. 1
に初期設定する ( ス テ ッ プ S 1 0 4 ) 。
そ して、 次の手順で B、 t b、 a , ωの最適値を求める。
( a ) まず、 Bを y 。/ 2 ~ y。の範囲で変化させる と同時に t bを t / 2 ~ t pの 範囲で変化させ ( + 0. 1 間隔) 、 各 Bおよび t bについて
V p ( t , ) - y i, v p ( t 2) - y 2) v p ( t a) - y 3
が最小となる α、 ωを求める。
( b ) 次に ( a ) での処理において求めた B、 t b、 α、 ωの中で
ν ( t ! ) - y , , ν ( t 2) - y 2, ν ( t 3) - y
が最小となる B、 t b、 α、 ωを求める。
( c ) ( b ) の処理において求めた B、 t bを基準にして、
B ± 0. 0 5、 t b± 0. 0 5
の範囲で上記 ( a ) および ( b ) を再び実行する。
( d ) 上記 ( a ) 〜 ( c ) の処理の際、 αは 3〜 1 0 の範囲を 0. 1 間隔で変化 させ、 各 αについて最適な ωを算出する。 ωは、 各 αにおいて、
d V p ( t 2) / d t = 0
となる点を二分法を用いて求めた (第 1 9図参照) 。 なお、 上記各処理にお いて V Pの値を演算するに際し式 ( 3 3 ) の初期値 V。,は零とする。
このような処理によ り以下例示するよ うに各データが決定される。
a = 4. 2 ( s—リ 、 ω = 2 4. 3 2 5 ( rad/s)
B = 2 7. 2 (mmHg) 、 t „= 0. 6 0 2 ( s)
( e ) そ して、 t p l、 E ra、 E。を式 ( 2 8 ) 〜 ( 3 0 ) 、 ( 4 4 ) 〜 ( 4 6 ) に 基づいて算出する (ステッ プ S I 2 3、 S I 2 4 ) 。 この結果を以下例示す る ものが得られる。
t p, - 0. 5 8 8 ( s)
E m = 2 7. 4 (mmHg)
E。 = 9 0. 3 (mmHg)
( f ) そ して、 式 ( 5 0 ) を用い、 1 回拍出量から Lの値を算出し (ステ ッ プ S 1 2 5 ) 、 残りのパラ メータ値を式 ( 4 4 ) ~ ( 4 6 ) によ り求める (ステ ップ S 1 2 6 ) 。 この結果、 以下例示するパラ メ ータが得られる。
L = 7. 0 2 1 (dyn - s2/cm6)
C = 2. 4 0 7 X 1 0 4 ( cmVdyn)
R = 2 9. 5 (dyn - s/cm
R p = 9 8 9. 2 ( dyn - s/cm5)
また、 直流的な (平均的な) 総末梢血管抵抗 T P Rを以下のよ うに して算
出する。
T P R = R C+ R P= 1 0 1 8. 7 (dyn - s/cmB)
となる。
( 5 ) 出力処理
以上説明したパ ラ メ一タ算出処理が終了する と、 マ イ ク ロ コ ン ピュータ 2 0 4 は 、 C . R cおよび R ,を出力装置から出力する (ス テ ッ プ S 4 ) 。 すなわち、 寸、 関、 尺の各部の波形毎にそれぞれ上記処理を行う ことにより、 第 2 6図に示 す各パ ラ メータ L ,〜 L 3、 C ,~ C a. R c ,〜 R c 3および R P 3が得られる。 確認のため、 算出したパラ メ ー タ で式 ( 4 0 ) を計算すると、
6. 9 6 9 ≤ L≤ 7. 0 2 1
となり、 式 ( 4 1 ) の近似は妥当であるといえる。 また、 第 2 1 図に示す通り、 算出したパラ メータを用いて計算した橈骨動脈波形と実測波形 ( 1 分間の平均波 形) とは非常によ く一致している といえる。 第 2 — 2 _ 2章 : 連続算出
本実施例による装置は、 タイマ (図示略) を備えており、 こ のタイ マを使用す るこ とにより長時間に渡つて連続的に循環動態パラ メータを測定する こ とができ る。 この連続測定を行う場合、 診断者は連続測定の指示を牛一ボー ド 2 0 5 から 入力する。 この結果、 第 1 5図におけるステッ プ S 4 (出力処理) が終了した後、 タイ マがセッ ト され、 タイ マにより一定時間が計時された後、 再び、 ス テ ッ プ S 1 から実行が開始され、 循環動態パ ラ メータが算出され ( ス テ ッ プ S 3 ) 、 記録 紙または記憶媒体等に記録される ( ス テ ッ プ S 4 ) 。 こ のよ うにして一定時間間 隔で循環動態パラ メ一タの連続的算出が行われる。
さ らに、 診断者は、 タイ マが一定時間を計時する毎に指の押圧力を適宜変更し てもよい。 すなわち、 一般的な脈診においては診断者は指の押圧力を適宜変更し ながら診断を行い様々な情報を収集するから、 本実施例の装置を動作させながら このような脈診を行ってもよい。 これによつて、 種々の押圧力に応じたデータを
収集する こ とが可能になる。 第 2 - 3章 : 変形例
上記第 2実施例は、 上記構成の脈波解析装置に限定される ものではな く、 例え ば、 以下のように種々の変形が可能である。 変形例 (i )
1 回拍出量 S Vの測定を行わず、 Lは所定の値を仮定し、 橈骨動脈波形のみに より循環動態パラ メ ータを求める。 演算精度が低下するのを補うため、 第 2 1 図 に示すよ う に、 演算により得られた橈骨動脈波形と、 測定により得られた橈骨動 脈波形とを重ね表示するモニタを設ける と共に診断者が L の値を設定し得るよ う にしてもよい。 このよ う に構成した場合、 診断者は試行錯誤によ り、 実測による 橈骨動脈波形と演算による橈骨動脈波形とを一致させるように Lを最適値に設定 する こ とができ る。 変形例 (Π )
大動脈起始部の圧力波形のモデルと して、 三角波ではなく、 第 2 3 図に示すよ うな台形波を使用する。 この場合、 三角波に比べて実際の圧力波形に近いので、 より正確に循環動態パラ メータを求めることができる。 変形例 (i i i )
上記第 2実施例においては、 循環動態パラ メータを数式を用いた演算によ り求 めたが、 各循環動態パラ メ 一タを所定範囲内で変化させたときのモデルの各応答 波形を回路シ ミ ユ レ一タ等によ ってシ ミ ユ レー シ ョ ン し、 実測の橈骨動脈波形と 最もよ く一致する循環動態パラ メ一タを選択して出力するようにしてもよい。 こ の場合、 動脈系の電気的モデルおよび大動脈起始部の圧力波形のモデルと してよ り実際に近い複雑なものを使用するこ とができ、 測定精度がさ らに向上する。 変形例 (i v )
橈骨動脈波および 1 回拍出量の測定箇所は、 第 1 1 図に示す箇所に限定される ものではない。 例えば、 ゴム手袋 2 5 1 に血圧セ ンサを装着するこ とによ り、 手 首において橈骨動脈波形および 1 回拍出量の両方を測定してもよい。 この場合、 被験者は腕をま く らな く ても済むので被験者の負担が軽減される。
同様に、 1 回拍出量測定器は、 脈診が行われる腕の反対側の腕や手、 指に設け てもよい。 変形例 (V )
上記実施例にあっては、 説明の簡素化のため、 第 2 6図に示した電気モデルに おける電圧 e , ( t ) ~ e 3 ( t ) に相当する圧力波形が歪ゲージ 2 5 2 ~ 2 5 4 から直接得られる ものと したが、 圧力波変形回路 2 7 0 〜 2 7 2 を含めたモデル を用いて診断してもよいこ とは言うまでもない。 第 3章 : 脈波波形の歪みによ り診断を行なう診断装置
次に、 本発明の第 3実施例による装置について説明する。 この装置は、 まず、 生体から検出した脈波波形の歪を求める。
脈波波形の歪は、 脈波波形の形態と、 当然のこ とながら密接な関係がある。 脈 波波形の形態は、 生体の状態と後述する関係があるので、 脈波波形の歪を算出す ることにより、 生体の状態を診断するこ とができる。
また、 脈波波形の歪は、 第 2章において詳述した循環動態パラ メ ータのそれぞ れに対しても、 後述するよ うな相関関係がある。 したがって、 歪を算出するこ と により、 循環動態パラ メータの各々についても求めるこ とができ、 これに基づい ても診断を行なう こ とができ る。
以下、 本章では、 脈波波形の歪と、 脈波の形態 Z循環動態パラ メ ータ との関係 について説明し、 次に、 これらの関係を利用して診断を行なう第 3実施例につい て、 その変形例と と もに説明する。 第 3 — 0章 : 歪と脈波の形態/循環動態パラ メータ との関係
この装置について具体的な説明をする前に、 脈波波形の歪と、 脈波波形の形態
'循環動態バラ メータ との関係について、 発明者によって得られた知見について、 図を参照しながら説明する。
この第 3実施例において、 歪率 dを下記のよ う に定める。 脈波をフー リ エ解析 したと きに得られ 基本波の振幅を Q ,、 第 2調波の振幅を Q 2, · · ·, 第 n調 波の振幅を とする。 この場合、 歪率 dは
d = ( Q 2 2 + Q + · · · + Q ) Z Q ,
である。 第 3 _ 0 — 1 章 : 歪と形態との関係
まず、 脈波波形の形態について説明する。 脈波の形態と しては、 平脈、 滑脈、 弦脈の他に、 多く の形態がある。 第 3 1 図は、 これらのうちの代表的な平脈、 滑 脈、 弦脈の形態を示す。
平脈は、 「平人」 すなわち正常な健康人の脈波波形の形態であり、 波形例を第 3 1 図 ( ) に示す。 この波形例は、 3 4才男性の脈波のものである。 平脈はゆ つたり と して緩和であり、 リ ズムが一定で乱れが少ないこ とが特徴である。
滑脈は、 血流状態の異常に原因する もので、 痰飲、 食滞、 実熱などの病気で脈 の往来が非常に流利、 円滑になつて生じる。 滑脈の代表的波形を第 3 1 図 ( B ) に示す。 この波形例は、 2 8才男性の脈波のものである。 滑脈の波形は、 急に立 ち上がつた後すぐに下降し、 その切れ込みが深いと同時にその後の 2番目の峰が 通常よ り もかなり高いのが特徴である。
弦脈は、 血管壁の緊張度の上昇に原因する もので、 肝胆病、 諸痛、 痰飲などの 病気の際に現れる。 これは、 自律神経系の緊張で血管壁が緊張し、 弾力性が減少 し、 拍出された血液の拍動の影響が現われにく く なつたことに原因すると考えら れる。 代表的波形例を第 3 1 図 ( C ) に示す。 この波形例は、 3 6才男性の脈波 のもである。 弦脈の波形は、 急激に立ち上がった後すぐに下降せず、 高圧の状態 がー定時間持続するのが特徴である。 なお、 第 3 1 図のグラ フでは、 縦軸が血圧 B P ( mmH g) で、 横軸が時間 (秒) である。
上述した脈波の形状から大略の見当は予測できる。
次に、 歪と形態との関係について説明する。 第 3 2図に、 歪と平脈、 滑脈、 弦
脈との関係を示す。 この図は、 平脈 3 5例、 滑脈 2 1 例、 弦脈 2 2症例について 解析した結果である。
第 3 2図において、 平脈の歪は、 0. 9 0 7 を平均と して、 上下に 0. 0 5 3 程度の偏差を持つ。
滑脈の歪は、 平脈の歪より大き く、 1. 0 1 3 を平均と して、 上下に 0. 1 4 8の偏差を持つ。
弦脈の歪は、 三者のうち最も小さ く、 0. 7 3 4 を平均と して、 上下に 0. 0 6 4程度の偏差を持つ。
また、 平脈、 滑脈および弦脈の歪の大小関係を、 t検定で検定した結果、 危険 率が 0. 0 5以下で有為差が認められている。 第 3 — 0 — 2章 : 歪と循環動態パラ メ ータ との関係
次に、 脈波波形の歪と、 第 2 — 1 — 1 章において詳述した循環動態パラ メータ との関係について説明する。
第 3 3 図〜第 3 7図に、 歪率 d と各循環動態パラ メ ータ との関係をそれぞれ示 す。 これらの関係は、 1 2 0症例について求めたものである。
第 3 3図は、 中枢部血管抵抗 R。と歪率 d との関係を示す。 両者の関係式を求め ると、
R c = 5 8. 6 8 d -°- 3 9 4
で表され、 相関 r は
r = - 0. 8 0 7
である。
第 3 4図は、 末梢部血管抵抗 R Pと歪率(1 との関係を示す。 両者の関係式を求め ると、
R p= 2 3 2 1. 3 e— 0. e i sa
で表され、 相関 r は
r = - 0. 4 1 8
である。
第 3 5図は、 慣性 L と歪率 d との関係を示す。 両者の関係式を求める と、
L = i 6 2. 8 e _z- 586 d
で表され、 相関 r は
r = - 0. 7 7 4
である。
第 3 6図は、 コ ンプラ イ ア ン ス C と歪率 d と の関係を示す。 両者の関係式を求 めると、
C = ( - 1. 6 0 7 + 3. 3 4 2 d ) X 1 0 "4
で表され、 相関 r は
r = 0. 7 6 4 である。 第 3 — 0 — 3章 : 循環動態パラ メ ータ と脈波波形の形態との関係
参考までに、 循環動態パラメータ と脈波波形の形態との関係について確認す ¾。 第 3 7図から第 4 0図に、 各循環動態パラメ一タ と滑脈、 平脈、 弦脈の 3脈と の関係を示す。
第 3 7図は、 中枢部血管抵抗 R。 と 3脈の関係を示す。 滑脈の血管抵抗が最も 小さ く ( 4 7. 0 4 8 ± 1 8. 1 7 0 dyn-s/cm6) 、 次に、 平脈の血管抵抗が小 さ く ( 9 2. 0 3 7 ± 3 6. 4 9 4 dyn-s/cm5) 、 弦脈の血管抵抗が最も大きい ( 2 2 6. 0 9 3 ± 6 1. 1 3 5 dyn-s/ctn6) 0
第 3 8図は、 末梢部血管抵抗 R P と 3脈の関係を示す。 滑脈の血管抵抗が最も 小さ く ( 1 1 8 2. 1 ± 1 7 6. 7 dyn-s/cm5) 、 次に、 平脈の血管抵抗が小さ く ( 1 3 8 6. 5 ± 2 2 8. 3 dyn-s/cm5) 、 弦脈の血管抵抗が最も大きい ( 1 5 8 3. 0 ± 2 5 1. 0 dyn-s/cm5) 0
第 3 9図は、 血液の慣性 L と 3脈の関係を示す。 滑脈の慣性が最も小さ く ( 1 0. 3 3 7 ± 2. 6 0 9 dyn · s ein 6 ) 、 次に、 平脈の慣性が小さ く ( 1 6. 4 1 4 ± 4. 6 0 4 dyn-sVcm6 ) 、 弦脈の慣性が最も大きい ( 2 7. 5 5 0 ± 5. 3 9 3 dyn-s cm6) o
第 4 0 図は、 コ ンプラ イ ア ンス C と 3脈との関係を示す。 滑脈のコ ンプラ イ ア ンスが最も大き く ( ( 2. 0 3 0 ± 0. 5 5 4 ) x l O —* cmB/dyn) 、 次に、 平 脈のコ ンプラ イ ア ンスが大き く ( ( 1. 3 8 7 ± 0. 3 1 1 ) x l 0 — 4 cra6/dyn) .
弦脈のコ ンプラ イ ア ンスが最も小さい ( ( 0. 8 1 9 ± 0. 2 0 7 ) ) X 1 0 "4 cmVdyn) o
コ ンプラ イ ア ンスについてのみ大小関係の順序が逆になつている力 、 コ ンブラ ィア ン スの逆数をとれば大小関係は、 全ての動態パラ メータについて同一順序と なる。 また、 前記した動態パラ メ ータ と 3脈の大小関係については、 t検定で、 危険率が 0. 0 5以下で有為差が認められている。 第 3 — 1章 : 歪によ り脈波の形態を求め、 この形態により診断を行なう装置 次に、 この第 3実施例による診断装置 (i) について説明する。 この診断装置 (i) は、 検出した脈波から、 この脈波の歪を求め、 さ らに、 この歪から脈波の 形態を求め、 この形態によ り診断を行なう。
第 2 7図は、 この実施例の構成を示すプロ ッ ク図である。 第 2 7 図において、
3 1 1 は脈波検出器であり、 第 2 8図にその検出方法について示す。
第 2 8図において、 S 1 は手首に装着された圧力セ ンサで、 橈骨動脈波形を検 出する。 S 2 は上腕部に装着されたカ フ帯で、 血圧を検出する。 脈波検出装置 3
1 1 は橈骨動脈波形を血圧によって校正し、 脈波をアナ口グ電気信号と して出力 する。
第 2 7図に戻り、 3 1 3 は、 脈波検出器 3 1 1 から出力されたアナ口グ電気信 号をデジタ ル信号に変換する AZD変換器である。 3 1 4 は歪算出器であり、 フ —リ ヱ解析器 3 1 5 と歪演算器 3 1 7 とから構成されている。 フー リ ヱ解析器 3 1 5 はマイ コ ン等で構成されており、 フー リ エ解析用のプロ グラ ムは R O M等の メ モ リ に格納されている。 また、 フー リ エ解析器 3 1 5 は、 0変換器 3 1 3 から出力されるデジタル信号をフ一リ ヱ解析し、 基本波の振幅 Q , 、 第 2調波の 振幅 Q 2、 · · ·、 第 n調波の振幅 Q -を出力する。 「 n」 は、 高調波の振幅の大 きさを考慮して適宜定める。
歪演算器 3 1 7 は、 フー リ エ解析器 3 1 5から出力される振幅 Q ,, Q 2, · · · , Q , に基づいて歪率 dを算出する。 歪率 d は、
d = vT ( Q 2 2+ Q 3 2+ · · · + Q n2) / Q i
から求める。 3 1 9 は形態判定器で、 歪算出器 3 1 4から算出される歪率 d に
基づいて形態の判定を行う。 形態の判定は、 例えば、
1 . 1 6 1 > d > 0 . 9 6 0
ならば滑脈と判定し、
0 . 9 6 0 > d > 0 . 8 5 4
ならば平脈と判定し、
0 . 7 9 8 > d > 0 . 6 7 0
なら弦脈と判定する。 形態判定器 3 1 9 は、 前記判定結果又は判定不能を出力 する。 3 2 1 は出力装置であり、 形態判定器 3 1 9 の出力結果を表示し、 印字出 力を行う。
こ の とき、 第 1 章において説明した診断装置に、 脈波波形の形態に対応して生 体の状態を表わすデータを予めデータベー ス 2 6内に記憶させておき、 こ の第 3 実施例の形態判定器 3 1 9 による判定結果に対応するデータを読み出すよう にす れば、 脈波の歪に基づいて診断を行なう こ と も可能である。 第 3 — 2章 : 歪によ り循環動態パラメ一タを求め、 こ れらパラ メータにより診断 を行なう装置
次に、 この第 3実施例による診断装置 (Π ) について説明する。 この診断装置 ( i i ) は、 検出した脈波から、 この脈波の歪を求め、 さ らに、 こ の歪から循環動 態パラ メ 一タ を求め、 これらのパラ メ ータ によ り診断を行なう。
第 2 9図は、 この変形例の構成を示すブロ ッ ク図である。 第 2 9図において、 第 2 7図で説明したと同じ構成部分については同一の番号を付して、 その説明を 省略する。
こ の図において、 3 2 3 は循環動態パラ メータ算出器であり、 歪算出器 3 1 4 から算出される歪率 d に基づいて中枢部血管抵抗 R c, 末梢部血管抵抗 R P , 血液 の慣性 Lおよび血管壁のコ ンプライ ア ン ス Cを算出する。 循環動態パラ メ 一タ算 出器 3 2 3 によるパラ メータ算出は、 次の関係式によって行われる。 すなわち、 中枢部血管抵抗 R。は、
R 5 8 . 6 8 d - ° ' 3 9 4
から算出し、 末梢部血管抵抗 R Pは、
R 2 3 2 1. 3 e—。· S 15a
から算出し、 慣性 Lは、
L = 1 6 2. 8 e "2· 586 d
から算出し、 コ ンプラ イ ア ンス Cは、
C = ( - 1. 6 0 7 + 3. 3 4 2 d ) x 1 0 "4
から算出する。 なお、 各パラ メータ値の単位は、 2 — 1 — 1 章において説明し た通りである。
このよ う に、 各関係式を用いれば、 第 2章において説明した脈波解析装置を用 いる こ とな く、 循環動態パラ メ ータを算出する こ とができ る。 この関係式を用い て算出した循環動態パラ メ ータ も、 第 1 実施例に適用できるのは、 いう までもな い。
さ らに、 循環動態パラ メータ算出器 3 2 3 は、 関係式を用いて算出した循環動 態パラ メータに基づいて脈波形態を判別しても良い。 例えば、
中枢部血管抵抗 R cが 2 8. 8 7 8〜 6 5. 2 1 8で,
末梢部血管抵抗 R «>が 1 0 0 5. 4〜 1 3 5 8. 5で,
血液の慣性 Lが 7. 6 4 7 - 1 2. 9 9 4で、 かつ、
血管壁のコ ンプラ イ ア ンス Cが ( 1. 4 7 6〜 2. 5 8 4 ) X 1 0 の場合は滑脈と判定し、
中枢部血管抵抗 R cが 5 5. 5 4 3〜 1 2 8. 5 3 1 で,
末梢部血管抵抗 F が 1 1 5 8. 2〜 1 6 1 4. 8で,
血液の慣性 Lが 1 1. 8 1 0 ~ 2 1. 0 1 8で、 かつ、
血管壁のコ ンプラ イ ア ンス Cが ( 1. 0 7 6〜 1. 6 9 8 ) X I 0 の場合は平脈と判定し、
中枢部血管抵抗 R cが 1 6 4. 9 5 8〜 2 8 7. 2 2 8で,
末梢部血管抵抗 R が 1 3 3 2. 0 - 1 8 3 4. 0で,
血液の慣性 Lが 2 2. 1 5 7〜 3 2. 9 4 3で、 かつ、
血管壁のコ ンプラ イ ア ンス Cが ( 0. 6 1 2〜 1. 0 2 6 ) X 1 0 ~4 の場合は弦脈と判定する。
3 2 1 は出力装置であ り、 循環動態パラ メ ータ算出器 3 2 3 によ る循環動態パ
ラ メ ータの値と判定結果とを出力する。
このよ う にして判定した脈波波形の形態も、 上記第 1 実施例による診断装置に 適用できるのは、 いう までもない。 第 3 — 3聿 : 歪によ り脈波形態および動態パラ メ 一タを求め、 これらにより診断 を行なう装置
次に、 この第 3実施例の診断装置 ( iii) について説明する。 この診断装置 (iii) は、 検出した脈波から、 この脈波の歪を求め、 さ らに、 この歪から脈波 形態および循環動態パラ メ 一タを求め、 これらによ り診断を行なう。
第 3 0図は、 この診断装置 (iii) の構成を示すブロ ッ ク図である。 第 3 0図 において、 診断装置 ( i) (第 2 7図参照) および診断装置 ( ii) (第 2 9図参 照) で説明したと同じ構成部分については同一の番号を付して、 その説明を省略 する。
3 2 5 は総合判定器であり、 形態判定器 3 1 9 の判定結果と、 循環動態パラ メ ータ算出器 3 2 3 による循環動態パラ メ ータの算出結果に基づく判定結果とを総 合的に判断して、 脈波波形の形態を出力する。
総合判定器 3 2 5 は、 例えば、 形態判定器 3 1 9 による判定結果と、 動態パラ メータ算出器 3 2 3 による動態パラ メータとをテーブルと して予めメ モ リ に格納 しておいて、 そのテーブルを参照するよ う に して もよい。
また、 出力結果と して、 脈波波形の形態を出力してもよい。 出力装置 3 2 1 は、 形態判定器 3 1 9 の判定結果、 動態パラ メータ算出器 3 2 3 の算出結果、 総合判 定器 3 2 5 の判定結果等を印刷し、 表示する。 これによつて、 医師等のこの装置 の使用者は、 被験者の脈波又は脈波に関するデータを知るこ とができる。
あるいは、 形態判定器 3 1 9 により判定された形態と循環動態パラ メ ータ算出 器 3 2 3 によ り算出された循環動態パラ メ一タ とを、 第 1 実施例における波形パ ラメ一タ と して適用して診断を行なっても良い。 なお、 歪の定義と して, ( Q 2+ Q 3 + · · · + Q n) 等を用いてもよいし. 更に別の形で定義しても同様の結果が得られる。 例えば、 第 4 1 図に示す構成に
WO 94/15526 - 4 a - PCT/JP94/00011 よっても歪率 dを求める こ とができる。 即ち、 脈波を口一パスフ ィ ルタ 3 5 1、 ハイパスフ ィ ルタ 3 5 4 に入力して、 低周波信号成分 V 1 と高周波成分 V 2 を出 力させる。 前記各出力信号 v l , V 2を整流回路 3 5 2、 3 5 5で整流し、 さ ら に平滑回路 3 5 3、 3 5 6 で平滑して直流信号 w 1, w 2 を得る。 前記直流信号 w 1 , w 2を割算回路 3 5 7 で割算して、
d = w 2 / w 1
で表わせる歪率 dを得るよ う に構成しても良い。
この第 3実施例において、 歪は、 上述した定義に限られる ものではない。 歪の 定義と して, 別の形式で定義しても良い。 第 4章 : ス ト レ ス レベル . 生理的年齢診断装置
最近、 ス ト レ スや疲労が、 成人病やいわゆる過労死などの原因の 1 つと して注 目を浴びてきている。 ス ト レ スや疲労の状態を捉えるこ とができれば、 適切な予 防策を早期に実施するこ と によ り成人病の進行や突然死などを未然に防止するこ とが可能となる。
しかしながら、 従来、 ス ト レス、 疲労等を検出するこ とができる検査方法は少 なく、 また、 これらの数少ない検査方法も簡便に実施する こ とができる ものでは なかった。 例えば血液や尿に含まれる力テコ ラ ミ ンゃ コ ルチゾ一ルなどの含有量 を生理的ス ト レ ス の指標と して測定する方法があるが、 こ の方法は採血や特殊な アツセィ法が必要であり、 毎日実施し得るような簡便な検査方法ではない。 また、 副腎皮質ホ ルモ ン代謝産物の尿中濃度をス ト レ ス の指標と して測定する方法もあ るが、 この方法も採尿が必要であるため簡便な方法とは言えず、 また、 検査方法 と しての信頼性も未だ確立されていない。 また、 心理的ス ト レ ス の確立された測 定手段と しては B & M社のキラ リ ス システムなる問診表があつたが、 この問診表 は問いが 8 1 項目もあり、 問診の際の被験者および診断者の負担が大きいという 問題があった。 また、 ス ト レ ス レベルの他、 自己の生理的年齢が何才であるかを 簡便に診断するこ とが可能な装置が望まれていた。
そこで、 本発明者は、 このよ うな問題に鑑み、 診断に使用する波形パラ メータ と して脈波波形のピ一ク点に関する情報を選んで、 各種ス ト レ ス レベルおよび生
理的年齢の診断を行う診断装置を発明した。
もちろん、 本発明に係る診断装置の診断項目は ス ト レ ス レベルおよび生理的年 齢に限定される ものではなく、 診断に使用する波形パラ メータ も、 開示のものに 限定される ものではない。 他の診断項目についても、 以下説明するのと全く 同様 なアプローチに従い、 適切な診断装置を構成するこ とが可能である。
また、 この装置により得られた脈波波形のピー ク点に関する情報は、 第 1 章で 説明した診断装置の波形パラ メータ と して適用できる。
以下、 こ の章では、 本発明の第 4実施例による診断装置について説明する。 第 4 一 0章 : 事前検討
本願発明者は、 ス ト レ ス レベル等を診断する装置を設計するに際し、 以下の事 前検討を行った。 第 4 一 0 - 1章 : 代用特性の採取
被験者および診断に多大なる負担を課すことなく ス ト レ ス レベルを診断するた めには、 ス ト レ ス レベルを反映するパラ メ 一夕 であ っ て、 血漿力 テ コ ラ ミ ン値等 に代る ものを得る必要がある。 本発明者は、 脈波波形の形状が生理的ス ト レ ス、 生理的年齢または心理的ス ト レ ス によって変化するこ と に着目 し、 こ の脈波の形 状を ス ト レ ス診断に使用するパラ メ ー タ の候補と して選択した。 そ して、 被験者 5 3名について、 橈骨動脈を測定し、 脈波の形状を特定する波形パラ メ ー タ と し て、 次の情報、 すなわち脈波波形のピーク点 (変曲点) に関する情報を採取した C
( 1 ) 1柏に対応した脈波が立ち上がつてから (以下、 こ の立ち上がり時刻を脈 波開始時刻という) 、 次の柏に対応した脈波が立ち上がりを開始するまでの 時間 t 6
( 2 ) 脈波内に順次現れる極大点 P ,、 極小点 P 2、 極大点 P 3、 極小点 P 4および 極大点 P 5の血圧値 y , ~ y 6
( 3 ) 脈波開始時刻以後、 上記各点 P 1 ~ P Bが現れるまでの経過時間 t , ~ t 6
(以上、 第 4 2図参照) また、 本願発明者は、 ス ト レ ス レベルが高ま った場合には自覚症状が現れる こ
とに着目し、 第 4 3図に示す心身疲労度問診表を用いて心身疲労度を測定した。 この心身疲労度問診表の各問いは、 ス ト レス レべルが高く なつた場合に顕著とな る各症状が自覚症状と して認められるか否かを被験者に問う ものである。 被験者 は、 これらの問いに対し、 「いいえ」 「時に」 「たいてい」 「いつも」 のうちい ずれか 1 つを回答と して選択する。 こ こで、 各回答には、
「いいえ」 が 0点、
「時に」 力 1点、
「たいてい」 が 2点、
「いつも」 が 3点
という具合に、 問いに対して肯定的な回答、 すなわち、 症状に関する自覚の度 合いが高い回答程、 高得点が割り当てられている。 被験者の選択した各回答の得 点の合計得点が心身疲労度 Mとなる。 第 4 — 0 — 2章 : ス ト レ ス レベルの基準値の採取
生理的ス ト レス については従来よ り血漿力テコ ラ ミ ン値がス ト レ ス指標と して 定評がある。 そこで、 被験者 5 3名について血液中の血漿ァ ドレナ リ ン濃度 A D ( ng/m l ) および血漿ノ ルア ド レナ リ ン濃度 N A ( ng/m l ) を測定し、 各被験者の 生理的ス ト レス レベルの基準値と した。
また、 心理的ス ト レ ス については、 8 1項目からなる問診表 ( B & M社 キ ラ リ ス シ ス テム) を用いて各被験者に対し問診を行い、 それらの結果を各被験者の 心理的ス ト レ ス レベルの基準値 M S と した。 第 4 一 0 - 3章 : 相関分析
本願発明者は、 第 4 _ 0 — 1 章において各被験者から得られた波形パラ メータ と、 第 4 一 0 — 2章において得られた生理的ス ト レ ス レベルおよび心理的ス ト レ ス レベルと の相関関係の分析を行った。
( 1 ) 生理的ス ト レ ス
まず、 血漿カテコ ラ ミ ン値と波形パラ メータ との相関分析を行ったと ころ、 相
関係数 r の高い関係式と して以下に示すものが得られた。
N A (ng/ml) = - 0.44 ( t 5 - t , ) + 1.07
重相関係数 r = 0. (確率 p < 0.000001, F値 F = 25.42)
…… ( 5 1 ) こ のよ う に して生理的ス ト レス レべルの指標と して確立された血漿ノ ルァ ド レ ナ リ ン値を波形パラ メ ータ t !および t sに基づいて推定する こ とができ る こ とが 確認きれた。 本実施例においては、 上記式 ( 5 1 ) の右辺の演算を行う こ とによ り生理的ス ト レ ス レベルを算出する。
また、 波形パラ メ 一タのみならず心身疲労度 Mをも含めて相関分析を行つたと ころ、 以下の関係式が得られた。
N A (ng/ral) = 0.46M + 0.24 ( y i t ,)
r = 0.51 ( pく 0.000001, F = 12.47)
······ ( 5 2 ) こ のよ う に心身疲労度 Mをもパラ メ ー タ に含める と、 生理的ス ト レ ス レ ベルの 推定値がより正確なものとなる こ とが確認された。 本実施例においては、 心身疲 労度 Mが得られる場合には、 上記式 ( 5 2 ) の右辺を演算するこ とによ り生理的 ス ト レ ス レベルを算出する。
( 2 ) 心理的ス ト レ ス
心理的ス ト レ ス レべルの基準値 M S と、 波形パラ メータおよび心身疲労度 Mと の相関分析を行ったと ころ、 相関係数の高い関係式と して以下のものが得られた c
M S = 0.45M + 0.29 { ( t 4- t 0 / t 6} - 14.83
r = 0.56 ( p < 0.000001 , F = 21.61)
…… ( 5 3 ) 本実施例においては、 上記式 ( 5 3 ) の右辺の演算を行う こ とによ り心理的ス ト レ ス レベ ルを算出する。
( 3 ) 生理的年齢
さ らに被験者の年齢 Yと波形パラ メータとの間の相関関係を調査したと こ ろ、
両者の間にも相関関係のある こ とが分かつた。
Y = - 33.74 ( t ) + 61.6" ,/ ϊ 6 - 8.0678 ( t 6- ) / t β+ 33.324 r = 0.56 ( p < 0.00000, F = 12.609)
······ ( 5 4 ) このよ う に、 脈波波形の変曲点に関する情報は、 脈波を採取した被験者のス ト レス レベルおよび生理的年齢と相関関係を有するので、 この情報を第 1章で説明 した診断装置の波形パラ メータ と して適用できることがわかる。 第 4 — 1章 : 診断装置 (i)
次に第 4実施例に係る診断装置 (i) の具体的構成について説明する。
こ の診断装置は、 生理的ス ト レ ス レベル、 心理的ス ト レ ス レベルおよび生理的 年齢の診断を、 パラ メ ータを入力する こ とによ り行なう。 第 4 一 1 一 1章 : 診断装置 (i) の構成
第 4 4図に、 この診断装置の構成を示す。 同図において、 4 0 1 はマイ ク ロ コ ンピュータであり、 本装置を構成する各部の動作を制御する と と もに上記式 ( 5 2 ) 、 ( 5 3 ) および ( 5 4 ) に従って生理的ス ト レ ス レベル、 心理的ス ト レ ス レベルおよび生理的年齢の診断を行う。 4 0 2 は牛一ボー ドであり、 マイ ク ロ コ ンピュータ 4 0 1 に対するコマ ン ドおよび診断のためのパラ メータの入力手段と して用いられる。 4 0 3 は F D D (フ ロ ッ ピ一ディ ス ク駆動装置) であり、 被験 者の数が多い場合を考慮して設けられたパラ メータ入力手段である。 診断者は、 この F D D 4 0 3 に対し、 各被験者のパラメータを記憶した F Dを装着する こ と によ り、 全被験者のパラ メータを一括してマイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 へ与える ことができる。 なお、 本装置に入力するパラ メ ータを保存する手段は、 F D等の 磁気ディ スク に限定される ものではな く、 例えば光磁気ディ スク等でもよい。
4 0 4 は C R T等による表示装置であり、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 により 出力される診断者に対するメ ッ セージ、 ス ト レ ス レベルの診断結果等が表示され る。 4 0 5 は、 ス ト レ ス レベル等の診断結果および診断に使用したパラ メータを 被験者別に時系列的 (年月 日、 時刻等毎) に記憶するために設けられた大容量記
憶装置である。 4 0 6 は、 ス ト レス レベル等の診断結果を出力するための印刷装 置である。 第 4一 1 一 2章 : 診断装置 (i ) の動作
この診断装置の電源が投入される と、 マイ ク ロコ ン ピュータ 4 0 1 により初期 化処理が行われ、 キーボ一 ド 4 0 2 または F D D 4 0 3 のいずれによ りパラ メ一 タ入力を行うかの選択を促すメ ニ ュ ー画面が表示装置 4 0 4 に表示される。 診断 者はキーボー ド 4 0 2からのコマ ン ド入力によ り所望の入力形態を選択する。
( 1 ) パラ メ 一夕入力
前者の入力形態を選択した場合、 診断者はキーボー ド 4 0 1 によ り、 被験者の 識別情報と、 診断に必要なパラ メータ、 すなわち、 波形パラ メ ータおよび上述し た疲労度問診表により求めた心身疲労度と、 これらのパラ メ ータの採取年月 日を 順次入力する。 これらの情報は、 マイ ク ロコ ン ピュータ 4 0 1 内のバ ッ フ ァ メ モ リ に順次取り込まれる。
また、 後者の入力形態を選択した場合、 診断者は各被験者の識別情報、 ス ト レ ス レベル等の診断に必要なパラメータおよびこれらのパラ メ一夕の採取年月 曰の 記億された F Dを F D D 4 0 3 に装着し、 F Dによるパラ メ ータの入力を指示す るコマン ドをキ一ボー ド 4 0 2から入力する。 この結果、 F D内の各被験者に対 応した情報が F D D 4 0 3 を介しマイ ク ロコ ン ピュータ 4 0 1 内のバ ッ フ ァ メ モ リ に順次取り込まれる。
( 2 ) ス ト レ ス レベル等の診断
上記パラ メータ入力が終了すると、 上記算出式 ( 5 2 ) 、 ( 5 3 ) および ( 5 4 ) にバ ッ フ ァ メ モ リ内の各被験者のス ト レ ス診断のためのパラ メーダを代入し、 各被験者の生理的ス ト レ ス レベル、 心理的ス ト レ ス レベルおよび生理的年齢を求 める。 このようにして求められた各被験者の生理的ス ト レ ス レベル、 心理的ス ト レス レベルおよび生理的年齢はバ ッ フ ァ メ モ リ に一旦蓄積される。 また、 各被験 者のス ト レ ス レベルおよびこれらのス ト レス レベルの算出に使甲されたノ、 'ラ メ一
タは、 被験者別に表示装置 4 0 4 に表示される。
( 3 ) 診断結果の保存
診断が終了した時点において、 診断者が診断結果の保存の指示をキーボー ド 4 0 2 から与えると、 バ ッ フ ァ メ モ リ内の各被験者に対応した情報が大容量記憶装 置 4 0 5へ順次書き込まれる。 さ らに詳述する と、 本実施例においては ス ト レ ス レベル等の診断結果および診断に使用した情報を被験者別に区分して記憶するよ うにしており、 バ ッ フ ァ メモ リから読み出される各被験者に関する情報は、 大容 量記憶装置 4 0 5内に既に記憶された各被験者に対応した情報の後に追加される。
( 4 ) 診断結果の印刷
診断者がキーボ一 ド 4 0 2から診断結果を出力すべきコマ ン ドを入力すると、 バ ッ フ ァ メモ リ内の各被験者の識別情報およびス ト レ ス レベルがマ イ ク 口 コ ン ピ 夕 4 0 1 を介して印刷装置 4 0 2 に送られ、 それらの印刷が行われる。 また、 診断者が特定の被験者の識別情報を入力する とと もに、 ス ト レ ス レベルの時系列 表示をすべきコマ ン ドを入力すると、 マイ ク ロコ ン ピュータ 4 0 1 により当該被 験者に対応した過去所定回数分の診断により得られたス ト レ ス レベルおよびス ト レス レベル診断用パラ メ ータ の採取年月 日が大容量記憶装置 4 0 5から読み出さ れ、 ス ト レ ス レベルの時間的変化を表すグラ フ の印刷データがマイ ク ロ コ ン ピュ 一夕 4 0 1 によ り生成され、 印刷装置 4 0 6 に送られる。 この結果、 当該被験者 についての ス ト レス レベルの時間的変化の様子が印刷装置 4 0 6 によ り印刷され る。 第 4 _ 2章 : 診断装置 (i i )
このス ト レ ス診断装置 (i i ) は、 被験者の脈波を測定する手段およびこの脈波 から波形パラ メ ー タを検出するための手段を、 診断装置 (i ) に付加し、 被験者 からの波形パラ メータ採取およびス ト レ ス診断を同時に実施し得るよ うにしたも のである。
WO 94/15526 - 5 C - PCT/JP94/00011 第 4 — 2 - 1 章 : 診断装置 (Π ) の構成
第 4 5図は、 この診断装置の構成を示すブロ ッ ク図である。 なお、 こ の図にお いて、 第 4 4図に示される構成と対応する部分には同一の符号を付けてその説明 を省略する。
第 4 5図において、 4 1 1 は脈波検出装置であり、 被験者の手首に装着される 圧力セ ンサ (図示略) を介して橈骨動脈波形を検出し脈波信号 (アナ ロ グ信号) と して出力する。 4 1 2 はノ、"ラ メ 一タ抽出部であり、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 による制御の下、 ス ト レス レベルの診断に必要な波形パラメータを、 脈波検出 装置 4 1 1 による脈波信号から抽出するための信号処理を行う。
また、 4 1 3 はマウ スであ り、 パラ メ ータ抽出部 4 1 2 による こ とな く波形パ ラメータを手操作によって指定する際の指定手段と してマイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 に接続されている。
こ こで、 パラ メ ー タ抽出部 4 1 2 の詳細構成について第 4 6図を参照して説明 する。
第 4 6図において、 5 0 1 は A Z D (アナ ロ グ/デジタ ル) 変換器であり、 脈 波検出装置 4 1 1 によ っ て出力される脈波信号を一定周期のサ ンプリ ン グク ロ ッ ク ø に従ってデジタ ル信号に変換して出力する。
5 0 2 はロ ーパス フ ィ ルタであり、 A / D変換器 5 0 1 から順次出力されるデ ジ夕ル信号に対し、 所定のカ ツ トォフ周波数以上の成分を除去する処理を施し、 その結果を波形値 Wと して順次出力する。 5 0 3 は、 R A M (ラ ンダムアク セス メ モ リ) によ って構成される波形メ モ リ であ り、 ロ ーパス フ ィ ル夕 5 0 2 を介し て供給される波形値 Wを順次記憶する。
5 1 1 は波形値ア ド レ ス カ ウ ン タであり、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 から波 形採取指示 S T A R Tが出力されている期間、 サ ンプ リ ン グク ロ ッ ク ¾6をカ ウ ン ト し、 そのカ ウ ン ト結果を波形値 Wを書き込むべき波形値ァ ド レ ス A D R 1 と し て出力する。
5 1 2 はセ レ ク タであり、 マ ニ ュ アルモー ド信号 M A Nが出力されていない場 合には波形値ア ド レ ス カ ウ ン タ 5 1 1 が出力する波形値ア ド レ ス A D R 1 を選択 して波形メ モ リ 5 0 3 のァ ド レ ス入力端へ供給し、 マニ ュ ア ルモー ド信号 M A N
が出力されている場合にはマイ ク ロ コ ンピュー夕 1 が出力する読み出しァ ド レ ス A D R 4 を選択して波形メ モ リ 5 0 3 のァ ド レ ス入力端へ供給する。
5 2 1 は微分回路であり、 口 一パス フ ィ ルタ 5 0 2から順次出力される波形値 Wの時間微分を演算して出力する。 5 2 2 は零ク ロ ス検出回路であり、 波形値 W が極大値または極小値となるこ と によ り波形値 Wの時間微分が 「 0」 となった場 合に零ク ロ ス検出パルス Zを出力する。 5 2 3 はピークァ ド レ ス カ ウ ンタであり、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 から波形採取指示 S T A R Tが出力されている期間、 零ク ロ ス検出パルス Zをカ ウ ン ト し、 そのカ ウ ン ト結果をピ一 ク ア ド レ ス A D R 2 と して出力する。 5 2 4 は移動平均算出回路であり、 現時点までに微分回路 5 2 1 から出力された過去所定個数分の波形値 Wの時間微分値の平均値を算出し、 その結果を現時点に至るまでの脈波の傾斜を表す傾斜情報 S L P と して出力する。 5 2 5 は後述する ピー ク情報を記憶するために設けられたピーク情報メモ リであ る o
マ イ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 は、 以上説明した各要素からの出力情報に基づい て次の制御を行う。
( 1 ) ピーク情報の編集
パラ メータ抽出部 4 1 2内の微分回路 5 2 1 および零ク ロ ス検出回路 5 2 2 によ っ て脈波のピー ク点が検出される毎に以下列挙する情報を求め、 ピーク情報と してピーク情報メ モ リ 5 2 5 に書き込む。
( 1 ) 一 1 : 波形値ァ ド レ ス A D R 1
口 一パス フ ィ ルタ 5 0 2 か ら出力される波形値 Wが極大値ま たは 極小値とな っ た時点で波形値ア ド レ ス カ ウ ンタ 5 1 1 か ら出力され ている書き込みア ド レ ス A D R 1、 すなわち、 極大値または極小値 に相当する波形値 Wの波形メ モ リ 5 0 3 における書き込みァ ド レ ス である。
( 1 ) — 2 : ピー ク種別 B Z T
上記波形値ァ ド レ ス A D R 1 に書き込まれた波形値 Wが極大値 T ( Top ) であるか極小値 B ( Bo t t om ) であるかを示す情報である。 ( 1 ) - 3 : 波形値 W
上記極大値または極小値に相当する波形値である。
( 1 ) — 4 : ス ト ローク S T R K
直前のピーク値から当該ピーク値に至るまでの波形値の変化分で ある。
( 1 ) - 5 : 傾斜情報 S L P
当該ピーク値に至るまでの過去所定個数分の波形値の時間微分の 平均値である。
また、 マ イ ク ロ コ ン ピ ュータ 4 0 1 は、 ス ト レ ス レべ ル診断時に、 次に述べる 動作モ一 ドとなる。
( a ) 自動診断モ一 ド
ピーク情報メ モ リ 5 2 5 の記憶内容を読み出して波形パ ラ メ ー タを作成し、 上記第 1 実施例と同様なス ト レ ス レベルの診断を行う。
( ) マ ニ ュ ア ル指定モ ー ド
波形メ モ リ 5 0 3 に記憶された脈波を表示装置 4 0 4 に表示させ、 使用者 のマ ウ ス操作によって指定される脈波のピーク点を検出し、 この結果に基づ いて波形パラ メ ー タ の算出およびス ト レ ス レベルの診断を行う。 第 4 一 2 — 2章 : 診断装置 (ii) の動作
次に、 この診断装置 (ii) の動作について、 上記動作モー ドに分けて説明する c
( a ) 自動診断モー ド
( a ) - 1 : 波形およびそのピーク情報の採取
まず、 ス ト レ ス レベ ルを求めるべきコマ ン ドがキ一ボー ド 4 0 2 を介して与え られる と、 マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 4 0 1 により波形採取指示 S T A R Tが出力さ れ、 パ ラ メ 一夕抽出部 4 1 2内の波形値ア ド レ ス カ ウ ン タ 5 1 1 およびピーク ァ ド レ ス カ ウ ン タ 5 2 3 の リ セ ッ ト が解除される。
この結果、 波形値ア ド レ ス カ ウ ンタ 5 1 1 によりサ ンプ リ ン グク ロ ッ ク <6の力 ゥ ン トが開始され、 そのカ ウ ン ト値が波形値ア ド レ ス A D R 1 と してセ レ ク タ 5 1 2 を介して波形メ モ リ 5 0 3 に供給される。 そ して、 脈波検出装置 4 1 1 によ
つて検出された橈骨動脈波形が A Z D変換器 5 0 1 に入力され、 サ ンプリ ングク ロ ッ ク ø に従ってデジタル信号に順次変換され、 口一パス フ ィ ルタ 5 0 2 を介し 波形値 Wと して順次出力される。 このよ う に して出力された波形値 Wは、 波形メ モ リ 5 0 3 に順次供給され、 その時点において波形値ア ドレス A D R 1 によって 指定される記憶領域に害込まれる。
以上の動作により第 4 8図に例示する橈骨動脈波形に対応して、 一連の波形値 Wが波形メ モ リ 5 0 3 に蓄積される。
一方、 上記動作と並行し、 ピーク情報の検出およびピーク情報メ モ リ 5 2 5へ の書込が以下説明するよ う に して行われる。
まず、 ローパス フ ィ ルタ 5 0 2 から出力される波形値 Wの時間微分が微分回路 5 2 1 によ つて演算され、 この時間微分が零ク 口 ス検出回路 5 2 2 および移動平 均算出回路 5 2 4 に入力される。 移動平均算出回路 5 2 4 は、 このよ う に して波 形値 Wの時間微分値が供給される毎に過ま所定個数の時間微分値の平均値 (すな わち、 移動平均値) を演算し、 演算結果を傾斜情報 S L P と して出力する。 こ こ で、 波形値 Wが上昇中も し く は上昇を終えて極大状態となっている場合は傾斜情 報 S L P と して正の値が出力され、 下降中も し く は下降を終えて極小状態となつ ている場合は傾斜情報 S L P と して負の値が出力される。
そ して、 例えば、 極大点 に対応した波形値 Wが、 口一パスフ ィ ルタ 5 0 2 から出力されると、 時間微分と して 「 0」 が微分回路 5 2 1 から出力され、 零ク ロス検出回路 5 2 2から零ク ロ ス検出パルス Zが出力される。
この結果、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 により、 その時点における波形値ァ ド レスカ ウ ンタ 5 1 1 のカ ウ ン ト値たる波形値ア ド レス A D R 1、 波形値 W、 ピ一 クア ドレスカ ウ ンタのカ ウ ン ト値たる ビーク ア ド レス A D R 2 (この場合、 A D R 2 = 0 ) および傾斜情報 S L Pが取り込まれる。 また、 零ク ロ ス検出信号 Zが 出力される こ とによ って ピーク ァ ドレスカ ウ ンタ 5 2 3 のカ ウ ン ト値 A D R 2 力; 「 2 」 になる。
そ して、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 は、 取り込んだ傾斜情報 S L P の符号に 基づいてピーク種別 B Z Tを作成する。 この場合のよ う に極大値 P ,の波形値 Wが 出力されている時にはその時点において正の傾斜情報が出力されているので、 マ
ィ ク ロ コ ンピュ一タ 4 0 1 はピーク情報 B/Tの値を極大値に対応したものとす る。 そして、 マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 4 0 1 は、 ピー ク ア ド レ ス カ ウ ン タ 5 2 3力 ら取り込んだピー ク ア ド レ ス A D R 2 (この場合、 A D R 2 = 0 ) をそのまま書 込ア ド レ ス A D R 3 と して指定し、 波形値 W、 こ の波形値 Wに対応した波形値ァ ド レ ス A D R 1、 ピー ク種別 B/T、 傾斜情報 S L Pを第 1 回目のピー ク情報と してピーク情報メ モ リ 1 2 '5 に書き込む。 なお、 第 1 回目のピーク情報の書き込 みの場合は、 直前のピーク情報がないためス ト ロ一ク情報の作成および書き込み は行わない。
その後、 第 4 8図に示す、 極小点 P 2 に対応した波形値 Wが、 口 一パス フ ィ ル 夕 5 0 2から出力されると、 上述と同様に零ク ロ ス検出パルス Zが出力され、 書 込ア ド レ ス A D R 1、 波形値 W、 ピー ク ア ド レ ス A D R 2 ( = 1 ) 、 傾斜情報 S L P ( < 0 ) がマ イ ク ロ コ ン ピュ ータ 1 によ り取り込ま れる。 そ して、 マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 4 0 1 によ り、 上記と同様、 傾斜情報 S L Pに基づいてピー ク種別 B Z T ( こ の場合、 ボ ト ム B ) が決定される。 ま た、 マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 4 0 1 により ピークア ド レ ス A D R 2 より も 「 1 」 だけ小さいア ド レ スが読み出しァ ド レ ス A D R 3 と してピーク情報メ モ リ 1 2 5 に供給され、 第 1 回目に書き込ま れた波形値 Wが読み出される。 そ して、 マイ ク ロコ ン ピュータ 4 0 1 により、 口 —パス フ ィ ルタ 5 0 2から今回取り込んだ波形値 Wと、 ピー ク情報メ モ リ 5 2 5 から読み出した第 1 回目の波形値 Wとの差分が演算され、 ス ト ローク情報 S T R Kが求められる。 そ して、 このようにして求められた ピーク種別 BZT、 ス ト 口 ーク情報 S T R Kが他の情報 A D R 1、 W、 S L P と共に第 2回目のピーク情報 と してピーク情報メ モ リ 1 2 5 のピークァ ド レ ス A D R 3 = 1 に対応した記憶領 域に書き込まれる。 以後、 ピー ク点 P 3、 P <、 …が検出された場合も同様の動作 力 '行われる。
そ して、 所定時間が経過すると、 マ イ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 によ り波形採取 指示 S T A R Tの出力が停止され、 波形値 Wおよびピーク情報の採取が終了する c
( a ) — 2 : 波形パラ メ ー タ抽出
波形パラ メータの抽出に先立ち、 ピーク情報メ モ リ 5 2 5 に記憶された各情報
のうち波形パラ メータの採取を行う 1 波長分の波形に対応した情報を特定するた めの処理が、 マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 4 0 1 によ り行われる。
まず、 ビーク情報メモ リ 5 2 5から各ピーク点 Pい P 2、 …に対応した傾斜情 報 S L Pおよびス ト ローク情報 S T R Kが順次読み出される。 次いで、 各ス ト 口 —ク情報 S T R Kの中から正の傾斜に対応したス ト ローク情報 (すなわち、 対応 する傾斜情報 S L Pが正の値となっているもの) が選択され、 これらのス ト 口一 ク情報の中から値の大きなもの上位所定個数がさ らに選択される。 そ して、 選択 されたス ト ローク情報 S T R Kの中から中央値に相当する ものが選択され、 波形 パラ メー タ の抽出を行うべき 1 波長分の脈波の立ち上がり部、 例えば第 4 8図に おいて符号 S T R K Mによって示した立ち上がり部のス ト ローク情報 S T R Kが 求められる。 そ して、 当該ス ト ローク情報のピークア ド レ ス よ り も 「 1 」 だけ前 の ピー クア ドレス、 すなわち、 波形パラ メ ー タ の抽出を行うべき 1 波長分の脈波 の開始点 P 6 のピークア ド レ スが求められる。
次にマ イ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 により ピーク情報メ モ リ 5 2 5 に記憶された 上記 1 波長分の脈波に対応した各ピーク情報を参照し、 上記算出式 ( 5 1 ) 〜 ( 5 4 ) に代入すべき各パラ メータを算出する。 例えば次の通りである。
y . : ビーク点 P 7 に対応する波形値を y ,とする。
t , : ピーク点 P 7 に対応する波形値ア ド レ スか ら ピー ク点 P β に対応 する波形値ァ ド レ スを差し引き、 その結果に対してサンプリ ングク ロ ッ ク øの周期を乗じて t ,を算出する。
t 〜 t β : 上記 t iと同様、 対応する各ピーク点間の波形値ァ ド レ ス差に基 づいて演算する。
そ して、 このようにして得られた各パラメ一タ をノ、'ッ フ ァ メ モ リ に蓄積する。
( b ) マニュアル指定モー ド
こ の診断装置 (i i ) は、 上記 ( a ) 自動診断モー ドの他、 牛一 ボー ド 4 0 2 の 操作によりマ二ユアル指定モー ドを設定するこ と も可能である。 こ のマ ニ ュ アル 指定モ一 ドが設定された場合、 診断者はマウ ス操作によ り波形パラ メータの算出 に必要な脈波のピーク点を指定する ことができる。 すなわち、 次の通りである。
マニュ アル指定モ一 ドにおいては、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 によ って波形 採取指示 S T A R Tが所定時間出力された後、 マ ニ ュ ア ルモ一 ド信号 M A Nが出 力される。 そして、 「 0」 から順次増加する読出ア ドレス A D R 4がマイ ク ロコ ンピュー夕 4 0 1 によ って出力され、 セ レク タ 5 1 2 を介して波形メ モ リ 5 0 3 に供給される。 このよ う に して波形メ モ リ 5 0 3 に記憶された橈骨動脈波形が読 み出され、 表示装置 4 0 4 に表示される。
診断者は、 マウ ス 4 1 3 を操作するこ とによ って表示装置 4 0 4 におけるカー ソ ル表示位置を移動させ、 表示装置 4 0 4に表示された脈波の開始点、 終了点、 脈波の各極大点、 各極小点に順次カー ソ ルを表示させ、 ク リ ッ ク入力を行う。 マ イ ク 口 コ ン ピュータ 4 0 1 は、 このようなマウ ス操作を検出するこ とによって、 診断者によって指定された脈波の開始点、 終了点、 脈波の各極大点、 各極小点の 座標値に相当するデジタル信号を波形メモ リ 4 0 3内から読み出し、 この読み出 した情報から必要な波形パラ メ ータ (上記式 ( 5 2 ) および ( 5 3 ) 参照) を抽 出しバッ フ ァ メ モ リ に蓄積する。
( c ) 心身疲労度の入力
上記 ( a ) あるいは ( b ) のモー ドでの処理により波形パラメータの採取が完 了する と、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 は、 キーボー ドまたはマウス操作によつ て行われる診断者の指示に応答し、 表示装置 4 0 4 に第 4 3図に示す心身疲労度 問診表を表示させる。 次いで診断者は、 この表示された問診表に従って被験者に 対して問診を行い、 マウ ス 4 1 3 を操作するこ とによ り被験者の回答をマイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 へ入力する。 こ こで、 問診は対話形式入力、 すなわち、 問診 表の各問を 1 問ずつ表示あるいは音声と して出力し、 これに対する回答を被験者 がキ—ボ— ド等によりマイ ク ロコ ン ピュータ 4 0 1 に入力する形式を採ってもよ い。 マイ ク ロ コ ン ピュータ 4 0 1 は、 このようにして入力される回答に基づいて 心身疲労度を算出し、 その結果をバッ フ ァ メ モ リ に書き込む。
このよ う に してス ト レス診断に必要なすべての情報がバッ フ ァ メ モ リ に用意さ れた。 マイ ク ロ コ ン ピュ一夕 4 0 1 は、 ノ、'ッ フ ァ メモ リ に記憶された情報に基づ いてス ト レス診断を行い、 以後、 第 4 一 1章で述べた診断装置 (i ) と同様、 診
断者の指示に従い、 その結果の出力、 記憶等を行う。
この診断装置では、 ス ト レ ス診断を行なう こ とができるのはもちろん、 脈波を 継続して検出し脈波の波形パラ メータをその採取年月日と と もに記憶する こ とに よって、 脈波の時系列的な、 リ ズミ カルな変動についても求める こ とができる。 第 4·一 3章 : 診断装置 (iii)
次に、 第 3実施例に係る診断装置 (iii) について説明する。 この診断装置 (i ii) は、 第 4一 2章で説明した診断装置 (ii) に加え、 ス ト レ ス レベルの表示手 段と してカ ラー表示器 (図示せず) を有している。 本装置 (ii) におけるマイ ク 口 コ ン ピュータ 4 0 1 は、 生理的ス ト レ ス レベルおよび心理的ス ト レ ス レベルを 演算した後、 第 4 8図に例示するテーブルに従って表示色を決定し、 この表示色 を力 ラ一表示器に表示させる。
また、 生理的ス ト レ ス レベル、 心理的ス ト レ ス レベルおよび生理的年齢を求め、 これを色表示するよ うにしても良い。 この場合、 第 4 9図に示すよ うな 2次元テ —ブルでな く 、 生理的ス ト レス レベル、 心理的ス ト レス レベルおよび生理的年齢 の各組合せに対応した色を定義した 3次元テーブルを使用し表示色を決定する。 本実施例によれば、 生理的ス ト レ ス レベルおよび心理的ス ト レ ス レベル とを総 合したス ト レ ス レベルを力 ラー表示器の表示色により示されるので、 ス ト レ ス レ ベルの数値に対する判断基準を有しない一般人であっても、 視覚的に容易に自己 のス ト レ ス レベルを確認することができる。
本装置 (iii) は、 医師等の診 者の手を煩わすこ となく被験者自身が自己のス ト レ ス レベルを診断する、 無人診断シ ス テム と して有用である。 第 4 一 4章 : 変形例
第 4実施例は、 以上説明した診断装置 (i) 〜 (iii) の他、 以下列挙する変化 例にて実施する こ とが可能である。 変形例 (iv)
上記各診断装置 (i) ~ (iii) では、 波形パラ メ ータおよび心身疲労度の両方
WO 94/15526 - h& - PCT/JP94/00011 をパラ メ ー タ と して使用して生理的ス ト レス と心理的ス ト レ ス の両方を診断する ようにしたが、 上記式 ( 5 1 ) または ( 5 4 ) に従って波形パラ メ ータ のみに基 づき生理的ス ト レス レベルのみ、 あるいは生理的年齢のみ一方を診断するように 構成してもよい。 この場合、 心身疲労度の入力の手間が省けるので診断装置と し て使いやすいものになる。 変形例 (V )
上記各診断装置 (i ) 〜 (i i i ) では、 被験者の橈骨動脈波に基づいてス ト レ ス レベルを診断するようにしたが、 橈骨部から指間部に至るまでの箇所の動脈波を 測定し、 こ の動脈波に基づいてス ト レ ス レベルを診断するよ うにしてもよい。 変形例 (v i )
第 4 一 3章で述べた診断装置 (i i i ) ではス ト レ ス レベル等を表示色によ り視 認させる.構成を採ったがス ト レ ス レベルの表現手段は、 こ れに限定される もので はない。
例えば、 視覚を通じて被験者にス ト レス レベルを認識させる場合は表示色の濃 淡により ス ト レ ス レベル等を表現してもよく、 ス ト レ ス レベルを説明する文字情 報を表示してもよい。 また、 視覚に限らず聴覚に訴えるス ト レ ス レベル等の表現 方法を採ってもよい。 例えば、 音の高さ、 大きさ、 音色をス ト レ ス レベル等に応 じて変化させ、 被験者に聞かせるこ とが考えられる。 また、 ス ト レ ス レベル等の 診断結果を説明する音声を出力してもよ く、 ズト レ ス レベルが低いと きには明る い曲、 ス ト レ ス レベルが高いと きには重苦しい曲という具合にス ト レ ス レベル等 に応じた音楽を提供するよう に してもよい。 以上、 この第 4章では、 ス ト レ ス レベル ' 生理的年齢を診断する装置について 説明したが、 この実施例に係る各装置を構築する際に行ったのと全く 同様な検討 を行う こ とによ り、 他の診断項目についての診断を行う装置を構築する こ とが可 能である。
この場合、 波形パラ メータは、 脈波が有するパラ メータのうち診断項目に対し
最も強い相関を有する ものを使用すればよい。
例えば、 第 2章において取り上げた循環動態パラ メータや、 第 1 章において取 り上げた脈波のス ぺ ク ト ル等を診断のための波形パラ メ ータ と して使用してもよ い。
また、 診断に使用する波形パラ メータを取得するための手段は、 第 1 〜第 4実 施例に開示のものに限定される ものではなく、 必要な波形パラ メ ータを得るのに 適した手段を選択すればよい。
例えば循環動態パラ メ ータを求める方法には、 第 2章において説明したよ うに 電気回路のシ ミ ュ レ一 シ ョ ンによ り求める方法と、 第 3章において説明したよう に脈波の歪から求める方法があるが、 いずれの方法を採用するかは、 必要な処理 速度、 演算精度等を考慮して適宜選択すればよい。
また、 上述した通り、 ス ト レ ス レベルの診断においては心身疲労度をも考慮し た方が精度のよい診断を行う ことができる。 これと同様に、 診断項目によっては、 被験者の自覚症状をも考慮して診断を行った方が好ま しい場合がある。 このよう な診断項目については、 自覚症状を入力するための手段を診断装置に設け、 かか る手段により入力される自覚症状と脈波の波形パラメータ との両方に基づいて診 断を行うようにすればよい。
また、 診断項目によっては、 単に病名等を出力するのみではな く、 症状がどの 程度重いかを定量的に求めて出力するこ とが望まれる場合がある。 この場合も、 上記ス ト レス レベルの診断と同様、 症状の程度 ( こ の第 4実施例ではス ト レ ス レ ベル) を、 色、 濃度、 文字といった視覚情報あるいは音楽、 音声といった聴覚情 報によって表現し出力するとよい。
また、 診断項目によっては、 一定期間毎に繰り返し診断を行うようにしてもよ い。 第 5章 : 脈波のス ぺ ク ト ルを検出する脈波解析装置
近年、 脈診が注目を浴びており、 これに伴って脈波に基づいて生体の健康状態 を探ろう とする研究が盛んに行われるようになつてきた。 一般的な波形の解析手 法と して、 F F T等の周波数解析があり、 この種の周波数解析技術を用いた脈波
の周波数解析が検討されている。
と ころで、 脈波の波形を脈波を構成する個々の 1 波 1 波は、 同じ形状ではな く 時々刻々 と変化する ものであり、 さ らに各波の波長も一定ではない。 このような カオ ス的な振舞をする脈波を非常に周期の長い波形とみなしてフー リ エ変換等を 行う手法が考えられる。 この種の手法は、 脈波のスぺク ト ルを詳細に求めるこ と ができるが、 演算量が膨大なものとなるため、 時々刻々 と発生する脈波のスぺク トルを迅速に求めるような用途には不向きである。 脈波を構成する 1 波 1 波の特 徴を表わす波形パラ メータを連続的に求めるこ とができれば、 生体に関しより多 く の情報を得るこ とができるが、 かかる要求に応えた装置は従来なかつた。
したがって、 次に述べる本発明の第 5実施例に係る脈波解析装置では、 上述し た事情に鑑みてなされたものであり、 脈波の解析を迅速に行う こ とができ、 しか も、 脈波を構成する 1 波 1 波について波形パラ メータを解析する こ とができる。 さらに、 この第 5実施例によれば、 これなでに第 1 章〜第 5章において説明した 各装置をよ り高性能にすることができる。
以下、 この章では、 本発明の第 5実施例による脈波解析装置について説明する。 第 5 - 1 章 : 脈波解析装置 (i )
この脈波解析装置 (i ) は、 拍単位で脈波のスぺク ト ルを演算する。 第 5 - 1 一 1 章 : 脈波解析装置 (i ) の構成
第 5 0図は、 本発明の第 5実施例に係る脈波解析装置 (i ) の構成を示すプロ ッ ク図である。 同図に示すようにこの脈波解析装置 (Π は、 脈波検出部 6 0 1 、 入力部 6 0 2、 出力部 6 0 3、 波形抽出記憶部 6 0 4、 周波数解析部 6 0 5 およ びこれらの制御を行うマイ ク ロコ ンピュータ 6 0 6 によって構成されている。 脈波検出部 6 0 1 は、 歪ゲージ等によって構成されており、 患者の橈骨動脈部 等に押し当てられ、 その圧力を検出し脈波信号 (アナロ グ信号) と して出力する c 入力部 6 0 2 は、 マイ ク ロコ ン ピ ュータ 6 0 6 に対するコマ ン ド入力のために設 けられた手段であり、 例えばキーボー ド等によって構成されている。 出力部 6 0 3 は、 プリ ンタ、 表示装置等によつて構成されており、 これらの装置はマイ ク 口
コ ン ピュ ー タ 6 0 6 による制御の下、 患者から得た脈波のスぺク トルの記録、 表 示等を行う。 波形抽出記憶部 6 0 4 は、 マイ ク ロ コ ン ピュ ー タ 6 0 6 によ る制御 の下、 脈波検出部 6 0 1 から出力される脈波信号を順次記憶すると と もに、 こ の 脈波信号における切り換わり点、 すなわち、 ある拍に対応した脈波から次の柏に 対応した脈波への切り換わり点を表す情報を抽出して記憶する ものであり、 第4 6図に示したパラ メ ータ抽出部 4 1 2が転用して用いられる。
周波数解析部 6 0 5 は、 波形抽出記憶部 6 0 4 に記憶された脈波信号を各拍単 位で繰り返し高速再生し、 各拍毎に脈波を構成するスぺク トルを求めて出力する ものであり、 第 5 1 図にその詳細な構成を示す。 周波数解析部 6 0 5 によ り求め られた各拍毎の脈波のスぺク ト ルはマ イ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 によ り取り込ま れ、 出力部 6 0 3から出力される。 第 5 - 1 一 1 一 1 章 : 波形抽出記憶部 6 0 4 の構成
波形抽出記憶部 6 0 4 には、 第 4 6図に示したパラ メ 一タ抽出部 4 1 2 を用い ることができ、 こ のパラ メ一タ抽出部 4 1 2 の各種信号もそのまま用いるこ とが できる。 説明の重複を避けるために、 波形抽出記憶部 6 0 4の説明は省略する。 ただし、 第 4 6図におけるマニ ュ ア ルモー ド信号 M A Nは、 説明のため、 その名 称をセ レク ト信号 S 1 1 と し、 マイ ク ロ コ ン ピュ ータ 4 0 1 は、 その符号を 6 0 6 とする。 第 5 - 1 一 1 一 2章 : 周波数解析部 6 0 5の構成
次に第 5 1 図を参照して周波数解析部 6 0 5 の詳細構成について説明する。 こ の周波数解析部 6 0 5 は、 波形抽出記憶部 6 0 4 の波形メ モ リ 5 0 3 からマイ ク ロコ ンピュータ 6 0 6 を介し脈波の波形値 W Dを拍単位で受け取り、 こ の受け取 つた波形値 W Dを繰り返し高速再生し、 各拍毎に周波数解析を行って脈波を構成 するス ペク ト ルを演算する。 また、 この周波数解析部 6 0 5 は、 まず、 脈波の基 本ス ぺ ク ト ルを、 次いで第 2調波ス ぺ ク ト ルを、 〜という具合に脈波を構成する 各ス ぺ ク ト ルを時分割で演算する。
マイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 は、 こ の周波数解析部 6 0 5 に 1 拍分の脈波の最
初の波形値 WDを出力する際、 同期信号 S Y N Cおよびその柏に含まれる波形値 WDの個数 Nを出力すると と も に、 セ レ ク ト信号 S 1 2 を切り換える。 また、 マ イ ク 口コ ン ピュータ 6 0 6 は、 1 拍分の波形値 WDを出力している間、 各波形値 WDの引き渡しに同期し、 「 0」 ~ 「 N— 1 」 まで変化する書込みァ ド レ ス A D R 5 を順次出力する。
ッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 および 7 0 2 は、 こ のよ う に してマ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 6 0 6から出力される波形値 WDを蓄積するために設けられたメ モ リ である。 分 配器 7 2 1 は、 波形抽出記憶部 6 0 4からマ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 6 0 6 を介し供 給される脈波の波形値 W Dを、 バ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 または 7 0 2 の う ちセ レ ク ト信号 S 1 2 によ り指定された方へ出力する。
また、 セ レ ク タ 7 2 2 は、 ッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 または 7 0 2 の う ち セ レ ク ト 信号 S 1 2 によ り指定されたバ ッ フ ァ メ モ リ を選択し、 そのバ ッ フ ァ メ モ リ か ら 読み出される波形値 WHを後述する高速再生部 7 3 0 へ出力する。 セ レ ク タ 7 1 1 および 7 1 2 は、 書込みァ ド レ ス A D R 5 または高速再生部 7 3 0 が発生する 読み出しァ ド レ ス A D R 6 (後述) をセ レク ト信号 S 1 2 に従つて選択し、 バッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 および 7 0 2へ各々供袷する。
以上説明した分配器 7 2 1、 セ レ ク タ 7 2 2 7 0 1 および 7 0 2がセ レ ク ト 信号 S 1 2 に基づいて切り換え制御されるこ とによ り、 バ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 に データ書込みが行われている間はバ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 2からデータが読み出され て高速再生部 7 3 0へ供給され、 バ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 2 にデー タ書込みが行われ ている間はバ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 からデータが読み出されて高速再生部 7 3 0へ 供給される。
高速再生部 7 3 0 は、 バ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 および 7 0 2 から各拍に対応した 波形値を読み出す手段であり、 読み出しア ド レ ス A D R 6 を 「 0」 「 N— 1 」 (ただし、 「 N」 は読み出すべき波形値の個数) の範囲で変化させて出力する。 さらに詳述する と、 こ の高速再生部 7 3 0 は、 ある柏に対応した各波形値 W Dが —方のバッ フ ァ メ モ リ に書き込まれている期間、 上記読み出しァ ド レ ス A D R 6 を発生し、 その柏の前の柏に対応した全波形値 W Dを他方のバッ フ マ メ モ リから 複数回に亙って繰り返し読み出す。 その際、 1柏に対応した全波形値 WDは、 常
に一定の期間内に全てが読み出されるように読出しア ドレス A D R 6 の発生が制 御される。 1 拍相当の全波形値を読み出す期間は、 検出しょ う とするス ぺ ク ト ル の次数に対応して切り換えられ、
基本波ス ぺク ト ルを検出する際には T、
第 2調波ス ぺ ク ト ルの場合は 2 Τ、
第 3調波ス ぺク ト ルの場合は 3 Τ、 というように切り換えられる。 また、 高速再生部 7 3 0 は、 補間器を内蔵して おり、 バ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 または 7 0 2から読み出した波形値 W Hを補間し、 所定のサンプリ ング周波数 m / T ( mは所定の整数) の波形値と して出力する。 バ ン ドパス フ ィ ルタ 7 5 0 は、 通過帯域の中心周波数が所定値 1 Z Tであるバ ン ドパス フ ィ ルタである。 正弦波発生器 7 4 0 は、 周波数可変の波形発生器であ り、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 によ る制御の下、 検出すべきス ぺ ク トルの次数 に対応し、 周期が T、 2 Τ、 3 Τ、 4 Τ、 5 Τ、 6 Τ の各正弦波を順次出力する。 スぺク ト ル検出部 7 6 0 は、 バン ドパス フ ィ ルタ 7 5 0 の出力信号レベルに基づ いて脈波の各ス ぺク ト ルの振幅 Η , ~ Η 6を検出すると と もに、 バン ドパス フ ィ ル 夕 7 5 0 の出力信号の位相と、 正弦波発生器 7 4 0が出力する正弦波の位相との 差に基づいて各ス ぺ ク ト ルの位相 0 ,〜 0 βを検出する。 第 5 - 1 一 2章 : 脈波解析装置 )
以下、 第 5 0図〜第 5 1 図 (第 4 6図も含む) に示した脈波解析装置 (i ) の 動作について説明する。
まず、 入力部 6 0 2から周波数解析開始のコマン ドが入力される と、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 によ り波形採取指示 S T A R Tが出力され、 波形抽出記憶部 6 0 4内の波形値ア ド レ ス カ ウ ンタ 5 1 1 およびピークア ド レ ス カ ウ ンタ 5 2 3 の リ セッ 卜が解除される。
( a ) 波形分割
この結果、 波形値ァ ド レ ス カ ウ ン タ 5 1 1 によ り サ ンプ リ ン グク ロ ッ ク 0 の力
ゥ ン トが開始され、 波形抽出記憶部 6 0 4 は、 第 4 — 2 - 2章の ( a ) - 1 項で 述べたパラ メ ータ抽出部 4 1 2 と同様の動作をする。
すなわち、 波形抽出記憶部 6 0 4 は、 第 4 8図に例示する橈骨動脈波形に対応 した一連の波形値 Wが波形メ モ リ 5 0 3 に蓄積する一方、 上記動作と並行し、 ピ ーク点 Pい P P , についてのピーク情報の検出およびピーク情報メ モ リ 5 2 5へ.の書込を行なう。 .
こ こで、 マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 6 0 6 は、 ス ト ロー ク情報 S T R Kが所定値以 上の場合、 具体的には脈波の立ち上がり部 (例えば第 4 8図における S T R K M ) に相当する とみな してよい程度の大きなス ト ロ一クである場合、 そのス ト ローク の始点たる極小値の波形値ァ ド レ ス (例えば第 4 8図においては S T R K Mの始 点 P 6 ) を ピー ク情報メ モ リ 5 2 5 から読み出し、 内蔵のシフ ト レ ジ ス タ に書き 込む。
( ) 波形引き渡し
以上の動作と並行し、 マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 6 0 6 は、 波形抽出記憶部 6 0 4 内の波形メ モ リ 5 0 3から波形値を順次読み出し、 波形データ W Dと して周波数 解析部 5へ引き渡す。
以下、 第 5 2図および第 5 3図を参照し こ の動作を説明する。
第 5 3図に示すように、 セ レ ク ト信号 S 1 1 は、 ク ロ ッ ク øに同期して切り換 えられ、 また、 これに同期して波形メ モ リ 5 0 3 における書き込みモー ドノ読み 出しモ一 ドのモー ド切り換えが行われる。
第 5 2図において、 ある柏に対応した 1拍分の脈波 W の波形値が、 波形メ モ リ 5 0 3 に入力される場合、 まず、 その柏に対応した脈波の最初の極小値が入力 された時点で零ク ロ ス検出信号 Zが発生され、 その波形値ァ ド レ ス A D R 1 = A 。 が、 ビーク情報メ モ リ 5 2 5 に書き込まれる (第 5 S図参照) 。 その後、 極大 値 (ァ ド レ ス A , ) が波形抽出記憶部 6 0 4内に入力されると、 再び零ク ロ ス検 出信号 Zが発生され (第 5 3図参照) 、 こ の極大値と直前の極小値 (ァ ド レ ス A 。) との間のス ト ロークが所定値以上である場台には、 極小値のア ド レ ス A 。 が、 マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 6 0 6内のシ フ ト レ ジ ス タ (図示略) に書き込まれる。 こ
のよ う に して書き込まれた波形値ア ド レ スは、 その後、 2拍相当遅れてシフ ト レ ジス夕から出力され、 周波数解析部 6 0 5 に引き渡すべき 1 拍分の波形値 WDの 開始ァ ドレス と してマイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 に取り込 れる。
すなわち、 第 5 2図において、 ある拍に対応した脈波 WD の極大値のァ ドレス W,が シフ ト レジスタに書き込まれる と、 それ以前に同シフ ト レジス タ に書き込 まれた 2拍前の脈波 の開始ア ド レス (最初の極小値のア ド レ ス) がシフ ト レジスタから出力され、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 により検知される。
この時点でマイ ク 口 コ ン ピュータ 6 0 6 は、 上記シフ ト レジスタの内容を参照 し、 脈波 Wn-2 の最初の極小値の波形値ア ド レスからその次の脈波 Wn—, の最初 の極小値の波形値ア ド レスに致るまでの差分、 すなわち、 1拍分の脈波 Wn-,に 含まれる波形値の個数 Nを求め、 同期信号 S Y N C と共に周波数解析部 6 0 5 へ 出力する。 また、 同期信号 S Y N Cに同期してセ レ ク ト信号 S 1 2が切り換えら れ、 分配器 7 2 1、 セ レク タ 7 1 1 および 7 1 2、 セ レク タ 7 2 1 の内部接続状 態が、 例えば第 5 1 図において実線によって示した状態とされる。
そ して、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 は、 読み出しア ド レス A D R 4 を脈波 W の最初の極小値の波形値ァ ドレスから順次増加させ、 セ レク タ 5 1 2 を介し て波形メ モ リ 5 0 3 へ供給する。 こ こで、 読み出しア ドレス A D R 4 は書き込み ア ド レス A D R 1 より も速い速度 (例えば 2倍の速度) で変化させる。 これは、 脈波 Wn の次の柏の脈波 Wn+ 1 の極大値が波形抽出記憶部 6 0 4 に入力される前 に、 脈波 の前の脈波 Wn-2に対応した全波形値が読み出されるよ うにするた めである。 このよ う に して脈波 Wn の波形メ モ リ 5 0 3への蓄積と並行し、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 によ り その 2拍前の脈波 Wn 2 の波形値 W Dが波形メ モ リ 5 0 3から読み出されて周波数解析部 5へ引き渡され、 分配器 7 2 1 を介して バッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 へ順次供給される。
このよ う に して波形値 W Dがバッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 へ順次供給されるのに同期 し、 書込みァ ド レ ス A D R 5が 「 0」 〜 「 N 1 」 まで順次増加され、 この書込 みア ド レ ス A D R 5 は、 セ レク タ 7 1 1 を介しノ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 へ供袷され る。 こ の結果、 バ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 のア ド レ ス 「 0」 〜 「 N 1 」 の各記憶領 域に脈波 Wn 2 に対応した各波形値 WDが蓄積される。
( c ) 高速再生
一方、 上記動作と並行し、 高速再生部 7 3 0 によ り読み出しア ド レ ス A D R 6 が出力され、 セ レ ク タ 7 1 2 を介しバ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 2 へ供給される。 こ の結 果、 脈波 Wn-2の 1 拍前の脈波 に対応した各波形値 WDがバッ フ ァ メ モ リ 7 0 2から読み出され、 セ レ ク タ 7 2 2 を介して高速再生部 7 3 0へ取り込まれる。 こ こで、 バ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 2内の脈波 W B - 3 に対応した各波形値 W Dは、 バ- ッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 内に脈波 Wn-2 に対応した各波形値が蓄積されるより も高速 度で複数回に亙って繰り返し読み出される。 その際、 脈波 Wn— 3 に対応した波形 値 W Dは、 一定の期間 T内に全てが読み出されるよ う に読出しァ ド レ ス A D R 6 の増加速度が制御される。 すなわち、 高速再生部 7 3 0 は、 バ ッ フ ァ メ モ リ 7 0 2 から読み出すべき波形値 W Dの個数が、 第 5 4図に例示するよ う に大きな値 「N 1 」 である場合には、 高速度で読み出しア ド レ ス A D R 6 を増加させ、 逆に 第 5 5図に例示するように小さな値 「 N 2」 である場合には、 低速度で読み出し ア ド レ ス A D R 6 を増加させ、 一定期間 T内に読み出しア ド レ ス A D R 6力 「 0」 ~ 「 N 1 — 1 」 または 「 0」 〜 Γ Ν 2 — 1 」 の区間を変化するようにする。
そ して、 こ のよ うにして順次読み出される波形値 WDは、 高速再生部 7 3 0内 において補間演算が施され、 一定のサ ンプリ ン グ周波数 mノ Tの波形値 WHとな つてバ ン ドノ、。ス フ ィ ルタ 7 5 0 へ供給される。
( d ) ス ぺ ク ト ル検出
バン ドパス フ ィ ルタ 7 5 0 は、 波形値 W Hによ る時系列デー タ の う ち周波数が 1 ZTである信号を選択して通過させ、 スペク ト ル検出部 7 6 0 に供給する。 一 方、 正弦波発生器 7 4 0 は、 第 5 6図に示すよ う に周期が Tである正弦波を発生 し ス ぺ ク ト ル検出部 7 6 0 へ供給する。
ス ぺ ク ト ル検出部 7 6 0 は、 バン ドパス フ ィ ル夕 7 5 0 の出力信号レベルを数 波に亙って検出し、 その代表値を脈波 Wn-3 の基本波ス ぺク ト ルの振幅 H ,と して 出力し、 バン ドパス フ ィ ルタ 7 5 0 の出力信号の位相と正弦波発生器 7 4 0から 出力される正弦波の位相との位相差を数波に亙って検出し、 その代表値を脈波 W
WO 94/15526 - S7 - PCT/JP94/00011
,の基本波ス ぺ ク ト ルの位相 e ,と して出力する。 各代表値は、 例えば基本波ス ベク ト ルを出力する直前での各波に対応した出力信号レベルおよび位相差の移動 平均値を算出する。
次に高速再生部 7 3 0 は、 一定期間 2 T内に脈波 W--s の全ての波形値が読み 出されるように、 読み出しア ドレス A D R 6 の増加速度を上記基本波スベク ト ル の検出の場合の 1 2 にし、' 脈波 Wn- 3に対応した波形値 WHを繰り返し読み出し. バン ドパス フ ィ ルタ 7 5 0 へ供給する (第 5 6図参照) 。
そ して、 波形値 WHからなる時系列データのうち周波数が 1 Z Tの信号、 すな わち、 脈波 Wn-3 の第 2調波に対応した信号がバン ドパス フ ィ ルタ 7 5 0 を通過 してス ペク ト ル検出部 7 6 0 に供給される。 この結果、 ス ペ ク ト ル検出部 7 6 0 によ り脈波 Wn-3の第 2調波スペク ト ルの振幅 H 2が検出されて出力される。
一方、 正弦波発生器 7 4 0 は、 周期が 2 Tである正弦波を発生してス ペ ク ト ル 検出部 7 6 0 へ供袷する (第 5 6図参照) 。 この結果、 ス ペ ク ト ル検出部 7 6 0 によ り脈波 Wn-3の基本波ス ぺク ト ルの位相 0 2が出力される。
以後、 読み出しァ ド レ ス A D R 6 の増加速度が基本波スぺク トルの場合の 1 Z 3、 1 / 4 , 1 / 5、 1 6 と順次切り換えられるとと もに、 これに合せて正弦 波発生器 7 4 0 によ り発生する正弦波の周期が 3 T、 4 Τ、 5 Τ、 6 Τと順次切 り換えられ、 上記と同様な動作が行われ、 第 3〜第 6 ま での調波ス ぺク ト ルの振 幅 Η 3〜 Η βおよび位相 θ 3〜 Θ がス ぺ ク トル検出部 7 6 0から出力される。
このようにして求められた脈波 Wn-a の各ス ぺ ク ト ルはマイ ク ロコ ン ピュータ 6 0 6 に取り込まれる。 そ して、 マイ ク ロコ ン ピュータ 6 0 6 により脈波 Wn— 3 に対応した波形値 W Dの個数 Nと、 ク ロ ッ ク の周期 τ を用いて基本波の周波数 f = lノ (Ν · て ) とが演算され、 上記ス ペ ク ト ルと と もに、 出力部 6 0 3から 出力される。
その後、 脈波 Wnより も 1 拍後の脈波 WD+ 1が立ち上がり、 最初の極大値が波形 抽出記憶部 6 0 4内に入力されると、 マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ 6 0 6 によ り同期信 号 S Y N Cが発生される とと もに、 脈波 Wn 2 に含まれる波形値 W Dの個数 Nが 出力される。 また、 セ レ ク ト信号 S 1 2が反転され、 分配器 7 2 1、 セ レ ク タ 7 1 1 および 7 1 2、 セ レ ク タ 7 2 1 の内部接続状態が第 5 1 図において破線によ
つて示した状態とされる。 そ して、 脈波 W n + 1 の波形メ モ リ 5 0 3 への蓄積と並 行し、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 によりその 2拍前の脈波 W n , の波形値 W D が波形メ モ リ 5 0 3から読み出されて周波数解析部 6 0 5 へ引き渡され、 分配器 7 2 1 を介してバッ フ ァ メ モ リ 7 0 2へ順次供袷される。
—方、 この動作と並行し、 高速再生部 7 3 0 によ り脈波 の 1 拍前の脈波 W„- 2 に対応した各波形値 W Dがバッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 から読み出され、 高速再 生部 7 3 0 により補間されて波形値 W Hと して出力される。 そ して、 この脈波 W „- 2 に対応した波形値 W Hに対し脈波 W a - 3 と同様な処理が施され、 そのスぺク ト ルが求められる。
以後、 順次到来する各脈波について上記と同様な処理が行われ、 各脈波のスぺ ク トルが連続して求められ、 出力部 6 0 3から個々の柏に対応した波形パラ メ 一 夕 と して出力される。 第 5 - 2章 : 脈波解析装置 (i i )
第 5 — 1 章で述べた脈波解析装置 (i ) は、 波形メ モ リ 5 0 3 に蓄積された波 形データを拍単位で再生し各拍単位で脈波のスぺク ト ルを演算した。 これに対し、 この脈波解析装置 (i i ) は、 本発明人が、 第 2章において提案した手法を使用し、 患者から得られた脈波に基づいて患者の循環動態をシ ミ ュ レー ト した電気的モデ ルの各素子の値を求め、 この結果を状態表示パラ メ 一タ と して使用する。
こ こで、 電気的モデルは、 生体の循環系の挙動を決定する要因のうち、 動脈系 中枢部での血液による慣性、 中枢部での血液粘性による血管抵抗 (粘性抵抗) 、 中枢部での血管のコ ンプラ イ ア ンス、 および末梢部での血管抵抗 (粘性抵抗) の 4つのパラ メ ータ に着目 し、 これらを電気回路と してモデリ ングした ものである c 詳細については、 第 2 — 1 章で述べたとおりである。
この脈波解析装置 (i i ) において、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 は、 各拍に対 応した波形データをバッ フ ァ メ モ リ 7 0 1 , 7 0 2 に順次書き込む一方、 書き込 みを行っていない方のバッ フ ァ メモ リから 1拍相当の波形データをセ レク タ 7 2 2を介して読み出す。 そ して、 大動脈起始部の圧力波に対応した電気信号を与え たと きの上記電気的モデルの動作をシ ミ ユ レー シ ョ ン し、 バッ フ ァ メ モ リ 7 0 1
または 7 0 2から読み出された波形データ相当の出力波形が得られるよ うに電気 的モデルの各素子の値を算定し、 この算定結果を波形パラ メータ と して出力する。 なお、 この電気的モデルの各素子の値は、 各素子の値を変化させつつ動作のシ ミ ユ レー ショ ンを繰り返すこ とによ り試行錯誤的に求める こ と もでき るが、 第 2章 において説明された手法を用いても良いし、 第 3章において説明したように脈波 の歪から求めるようにしてもよい。 第 5 - 3章 : 変形例
第 5実施例は、 以上説明した脈波解析装置 (i) (ii) の他、 以下列挙する 変形例にて実施するこ とが可能である。 変形例 (iii)
第 5 _ 1 章で述べた脈波解析装置 (i) は、 ドウ ユアによつて脈波の周波 数解析を実行したが、 これに限定される ものではな く、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6が実行するソ フ ト ウ ユアにより周波数解析を行つてもよい。 また、 周波数解 折の方法は D F T (離散フー リ ェ変換) 、 F F T (高速フー リ エ変換) など種々 のものが適用可能である。 変形例 (iv)
第 5 — 1章および 5 - 2章で述べた脈波解析装置 ( i) , (ii) は、 各柏に対 応した波形パラ メ ータの各々が得られた時点で出力したが、 波形パラ メ ータ の出 力の仕方は、 これに限定される ものではない。 例えばマイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6が所定拍数分の波形パラ メ ータの加算平均値を演算し出力するよう に してもよ い。
また、 マイ ク ロ コ ン ピュータ 6 0 6 が過去所定拍数分の波形パラ メ ータの加算 平均値、 すなわち、 波形パラ メ ータ の移動平均値を演算し、 リ アルタ イ ムに出力 するよ うにしてもよい。 変形例 (V)
各脈波解析装置 (i ) 、 ( ϋ ) は、 橈骨動脈の解析を行なったが、 解析対象は 橈骨動脈のみに限定される ものではなく、 例えば指尖脈波等、 他の動脈脈波の解 折に適用してもよい。 変形例 (v i )
脈波の波形パラ メータ と しては、 各脈波解析装置 (i ) 、 ( ϋ ) に挙げられた もの以外に多様なものが考えられるが、 診断のために利用する場合には、 その診 断にと つて最適な波形パラ メ 一タを採用しても良い。
例えば、 こ のパラ メータには、 先に第 4章で述べた、 脈波に表われる ピーク点 の振幅値および位相がある。 これら ピーク点に関する情報を、 各柏に対応した脈 波から求め、 ス ト レ ス レベルの診断に使用するよ うにしても良い。 なお、 本発明における 「生体」 とは、 診断対象あるいは解析対象となる被験者 の生体を指すが、 人間に限られず、 動物の生体であっても良い。
また、 この発明は、 上述した第 1 〜第 5実施例に限定されるこ となく、 この発 明の思想を逸脱しない範囲で適宜変形して実施するこ とができる。