JP3049987B2 - 脈波解析装置 - Google Patents

脈波解析装置

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JP3049987B2
JP3049987B2 JP5051072A JP5107293A JP3049987B2 JP 3049987 B2 JP3049987 B2 JP 3049987B2 JP 5051072 A JP5051072 A JP 5051072A JP 5107293 A JP5107293 A JP 5107293A JP 3049987 B2 JP3049987 B2 JP 3049987B2
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pulse wave
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和彦 天野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、脈診に用いて好適な
脈波解析置に関する。
【0002】
【従来の技術】循環器系の状態を診断する場合、最も一
般的に測定されるのが血圧や心拍数である。しかし、さ
らに詳しい診断を行うためには血管の粘性抵抗やコンプ
ライアンス(粘弾性)といった循環動態パラメータを測
定することが必要となる。従来、このような循環動態パ
ラメータを測定するためには、大動脈起始部と切痕部の
圧力波形及び血流量を測定する必要があり、その測定法
としては、動脈にカテーテルを挿入し直接測定する方法
または超音波等で間接的に測定する方法があった。
【0003】一方、中国医学においては、橈骨動脈に沿
って被験者の腕の三箇所(寸、関、尺)に診断者の指を
押し当て、これによって脈診を行う方法(寸口法)が知
られている。また、圧電素子を用いて、寸口法による診
断を自動的に行う脈診器も提案されている(特公昭57
−52054号公報)。さらに、これら圧電素子の押圧
力を均等にすべく、空気圧によって圧電素子を押圧する
技術も知られている(特開平4−9139号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、動脈に
カテーテルを挿入する方法によれば、侵襲的な大がかり
な装置を必要とするという問題があった。一方、超音波
等で間接的に循環動態パラメータを測定する方法によれ
ば、血管内の血流を非侵襲的に観測することができが、
この方法は熟練を要するものであり、また、測定のため
の装置も大掛かりなものとなってしまうという問題があ
った。
【0005】一方、特公昭57−52054号公報ある
いは特開平4−9139号公報に開示された脈診器にあ
っては、単に脈波を測定することは可能であるが、その
測定結果に基づいて循環動態パラメータを求め得るもの
ではない。さらに、これら脈診器は、センサによる計測
と、診断者の触覚に基づく診断とを同時に行うことが不
可能であるという問題があった。
【0006】この発明は上述した事情に鑑なみてなされ
たものであり、安価な構成であり、かつ、非侵襲的に循
環動態パラメータの評価をすることができる脈波解析装
置を抵抗することを目的としている
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の構成にあっては、被験者の橈骨動
脈波を検出する複数の脈波センサと、人体の動脈系の中
枢部から末梢部に至る系を模した電気回路の各素子の値
を算出する手段であって、大動脈起始部の圧力波に対応
した電気信号を与えたときに該電気回路における複数の
節点から得られる出力信号波形が前記複数の脈波センサ
から得られる各橈骨動脈波に対応した波形となるように
該電気回路の各素子の値を算定する評価手段とを具備す
ることを特徴としている。
【0008】また、請求項2に記載の構成にあっては、
診察者の指に装着される薄膜部材と前記薄膜部材に固着
された薄状の圧力検出手段とからなり、前記圧力検出手
段により患者の橈骨動脈波を検出する脈波センサと、人
体の動脈系の中枢部から末梢部に至る系を模した電気回
路の各素子の値を算出する手段であって、大動脈起始部
の圧力波に対応した電気信号を与えたときに該電気回路
から得られる出力信号波形が前記橈骨動脈波に対応した
波形となるように該電気回路の各素子の値を算定する評
価手段と、前記評価手段による前記電気回路の各素子の
算定結果を記録する記録手段と、を具備し、前記脈波セ
ンサが前記動脈波を繰り返し検出すると共に前記評価手
段が前記脈波センサにより検出される動脈波に基づき前
記電気回路の各素子の値を繰り返し算定することを特徴
としている。
【0009】また、請求項3に記載の構成にあっては、
診察者の指に装着される薄膜部材と前記薄膜部材に固着
された薄状の圧力検出手段とからなり、前記圧力検出手
段により患者の橈骨動脈波を検出する脈波センサと、前
記患者の1回拍出量を検出する1回拍出量検出手段と、
人体の動脈中枢部から末梢部に至る系を模したモデルと
して、前記動脈系中枢部での血液粘性による血管抵抗に
対応した第1の抵抗、前記動脈系中枢部での血液の慣性
に対応したインダクタンス、前記動脈中枢部での血管の
粘弾性に対応した静電容量、および前記末梢部での血管
抵抗に対応した第2の抵抗とを有し、1対の入力端子間
に前記第1の抵抗およびインダクタンスからなる直列回
路と前記静電容量および第2の抵抗からなる並列回路と
が順次直列に介挿されてなる四要素集中定数モデルを想
定し、前記入力端子間に大動脈起始部の圧力波に対応し
た電気信号を与えたときに前記静電容量および第2の抵
抗の両端から前記動脈波に対応した電気信号が得られる
ように前記四要素集中定数モデルの各定数を特定する手
段であり、前記1回拍出量に基づいて前記インダクタン
スの値を算出し、該インダクタンスの値、前記動脈波形
の角周波数および減衰率に基づいて前記第1の抵抗、イ
ンダクタンス、静電容量および第2の抵抗の各値を算出
し、これらの算出結果を循環動態パラメータとして出力
するパラメータ評価手段とを具備し、前記大動脈起始部
の圧力波に対応した電気信号として脈波の1拍の長さに
対応した周期tPを有する周期波形e(t)を使用する
ことを特徴としている。
【0010】
【作用】請求項1に記載の構成にあっては、複数の脈波
センサによって被験者の複数箇所(例えば、寸、関、
尺)の橈骨動脈を検出すると、評価手段によって電気回
路の各素子の値が算出され、これによって被験者の循環
動態パラメータが算定される。また、複数の脈波センサ
は、動脈血管を狭窄させたときの血管壁圧の場所による
違いを捉えることができる。
【0011】また、請求項2に記載の構成にあっては、
被験者の循環動態パラメータを長時間に渡って連続的に
採取することができる。
【0012】また、請求項3に記載の構成にあっては、
動脈系の電気的モデルとして構成の簡単な四要素集中常
数モデルを使用しており、また、1回拍出量または血流
量の測定結果により該モデルのインダクタンスの値を算
出するので、循環動態パラメータを簡単な演算処理によ
り算定する事ができる。また、大動脈起始部の圧力波を
所定の周期波形によってモデリングしているので、さら
に簡単な演算処理により循環動態パラメータを算定する
ことができる。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照し、本発明の実施例を説明
する。 <実施例の構成>図1はこの発明の一実施例による脈波
解析装置の構成を示すブロック図である。この装置は、
非侵襲的なセンサにより人体から得られた情報に基づ
き、人体の動脈系の循環動態パラメータを評価する。な
お、本実施例において取扱う循環動態パラメータの具体
的内容については後述する。
【0014】図1において、1は脈波検出装置、2は1
回拍出量測定器である。これらのうち、脈波検出装置1
は、図2に示すように、診断者の手に装着された脈波セ
ンサS1を介して橈骨動脈波形を検出すると共に被験者
の上腕部に装着されたカフ帯S2を介して被験者の血圧
を検出する。そして、橈骨動脈波形を血圧によって校正
し、その結果得られる校正された橈骨動脈波形を電気信
号(アナログ信号)として出力する。
【0015】脈波検出装置1が出力するアナログ信号
は、A/D変換器3に入力され、所定のサンプリング周
期毎にデジタル信号に変換される。また、1回拍出量測
定器2は、図2に示すようにカフ帯S2に接続されてお
り、このカフ帯S2を介して心臓から1回の拍により流
出される血液の量である1回拍出量を測定し、その測定
結果を1回拍出量データ(デジタル信号)として出力す
る。この種の1回拍出量測定器2としては、いわゆる収
縮期面積法により測定を行う装置を使用することができ
る。
【0016】ここで、脈波センサS1の詳細を図15を
参照して説明する。図において51は手術用のゴム手袋
であり、その第二指、第三指および第四指の各第一節の
指腹部に歪ゲージ52〜54が接着されている。歪ゲー
ジ52〜54は薄ゲージであり、ゲージ率「170」、
抵抗「2kΩ」、幅「0.5mm」、長さ「4mm」で
ある。各歪ゲージ52〜54は、「4mm×11mm」
のフレキシブルな薄板ベース上に固定されており、該薄
膜ベースとともにゴム手袋51に接着されている。
【0017】次に、脈波検出装置1の構成を図16を参
照して説明する。図において68は周知の血圧計であ
り、カフ帯S2を介して被験者の血圧を測定し出力す
る。61は定電流源であり、歪ゲージ52に定電流を供
給する。これにより、歪ゲージ52の両端には、その物
理的な歪に応じた電圧Vgが発生する。この電圧VgはD
Cアンプ62を介して増幅され、直流遮断回路63と平
均化回路65とに供給される。ここで、DCアンプ62
から出力される電圧は、「V0+Vd+ΔV」として表現
することができる。ここで、電圧V0は診断者がゴム手
袋51を手に装着した際に発生する電圧であり、電圧V
dは診断者の指を被験者の腕に押圧した際の押圧力によ
って発生する電圧である。また、電圧ΔVは、被験者の
脈圧によって生ずる交流電圧である。
【0018】直流遮断回路63にあっては、電圧V0
dおよびΔVのうち直流成分たる前二者が除去され、
交流成分たる電圧ΔVすなわち脈波信号が出力される。
この脈波信号は、遮断周波数が「20Hz」の低域遮断
フィルタ64を介して雑音が除去された後、A/Dコン
バータ3を介してマイクロコンピュータ4に供給され
る。一方、平均化回路65にあっては、電圧(V0+Vd
+ΔV)の極大値が検出され、一の極大値が発生した後
に次の極大値が発生するまでを一周期として、数周期に
わたって電圧(V0+Vd+ΔV)が平均化される。これ
によって、交流成分たる電圧ΔVが除去され、直流成分
たる電圧(V0+Vd)が出力される。また、66はレベ
ル記憶回路であり、スイッチ66aが押下されると、そ
の時点における平均化回路65の出力電圧レベルを記憶
し、以後記憶したレベルの電圧を継続的に出力する。ま
た、67は減算器であり、平均化回路65の出力電圧か
らレベル記憶回路66の出力電圧を減算し、減算結果を
出力する。
【0019】図16の構成において、診断者がゴム手袋
51を装着すると、DCアンプ62からは電圧V0が出
力される。この状態でスイッチ66aを押下すると、電
圧V0がレベル記憶回路66に記憶される。次に、ゴム
手袋51を装着したまま被験者の腕に指先を押圧する
と、平均化回路65から電圧(V0+Vd)が出力される
から、減算器67を介して、押圧力に対応する電圧Vd
が出力される。また、これと同時に、直流遮断回路6
3、低域遮断フィルタ64を順次介して脈波に対応する
電圧ΔVが出力される。さらに、脈波センサS1は薄い
ゴム手袋51と歪ゲージ52〜54とによって構成され
ているから、診断者は自らの触覚に基づく診断を同時に
行うことが可能である。なお、上記構成要素61〜67
は、歪ゲージ52に対応して設けられたものであるが、
歪ゲージ53,54に対応して同様のものが設けられて
いる。
【0020】マイクロコンピュータ4は、キーボード5
から入力されるコマンドに従い、以下列挙する各処理を
行う。 A/D変換器3を介して得られる橈骨動脈波形の時系
列デジタル信号を内蔵の波形メモリに取り込む脈波読取
処理 上記波形メモリに取り込んだ寸、関、尺に係る橈骨動
脈波形を拍毎に平均化し1拍に対応した橈骨動脈波形を
求める平均化処理 1回拍出量データを取り込む処理 上記1拍に対応した橈骨動脈波形を表す数式を求め、
この数式に基づき被験者の動脈系に対応した電気的モデ
ルの各パラメータを算出するパラメータ算出処理 パラメータ演算処理により得られたパラメータを循環
動態パラメータとして図示しない出力装置(例えばプリ
ンタ、ディスプレイ装置等)を介して出力する出力処理 なお、これらの処理の詳細については本実施例の動作説
明の際に詳述する。
【0021】 <本実施例において採用した電気的モデルについて>A.四要素集中定数モデル 本実施例では、動脈系の電気的モデルとして四要素集中
定数モデルを採用する。この四要素集中定数モデルは、
人体の循環系の挙動を決定する要因のうち、動脈系中枢
部での血液による慣性、中枢部での血液粘性による血管
抵抗(粘性抵抗)、中枢部での血管のコンプライアンス
(粘弾性)及び末梢部での血管抵抗(粘性抵抗)の4つ
のパラメータに着目し、これらを電気回路としてモデリ
ングしたものである。図3に四要素集中定数モデルの回
路図を示す。以下、この四要素集中定数モデルを構成す
る各素子と上記各パラメータとの対応関係を示す。 インダクタンスL:動脈系中枢部での血液の慣性 〔dy
n・s2/cm5〕 静電容量C:動脈系中枢部での血管のコンプライアンス
(粘弾性)〔cm5/dyn〕 なお、コンプライアンスとは血管の軟度を表わす量であ
り、粘弾性のことである。 電気抵抗Rc:動脈系中枢部での血液粘性による血管抵
抗〔dyn・s/cm5〕 電気抵抗Rp:動脈系末梢部での血液粘性による血管抵
抗〔dyn・s/cm5〕 また、この電気回路内の各部を流れる電流i,iP,ic
は、各々対応する各部を流れる血流〔cm3/s〕に相当す
る。また、この電気回路に印加される入力電圧eは大動
脈起始部の圧力〔dyn/cm2〕に相当する。そして、静電
容量Cの端子電圧vP は、橈骨動脈部での圧力〔dyn/cm
2〕に相当するものである。
【0022】B.四要素集中定数モデルおよびその応答特性の近似式 次に図3に示す四要素集中定数モデルの挙動についての
理論的説明を行う。まず、図3に示す四要素集中定数モ
デルにおいては、下記微分方程式が成立する。 e=Rci+L(di/dt)+vp ・・・・(1) ここで、電流iは、 i=ic+ip =C(dvp/dt)+(vp/Rp) ・・・・(2) と表すことができるから、上記式(1)は下記式(3)
のように表すことができる。 e=LC(d2p/dt2)+{RcC+(L/Rp)}(dvp/dt) +(1+(Rc/Rp))vp ・・・・(3) 周知の通り、上記式(3)によって示されるような2次
の定係数常微分方程式の一般解は、上記式(3)を満足
する特殊解(定常解)と、下記微分方程式を満足する過
渡解との和によって与えられる。 0=LC(d2p/dt2)+{RcC+(L/Rp)}(dvp/dt) +(1+(Rc/Rp))vp ・・・・(4)
【0023】ここで、微分方程式(4)の解は次のよう
にして得られる。まず、微分方程式(4)の解として下
記式(5)によって表される減衰振動波形を仮定する。 vp=Aexp(st) ・・・・(5) この式(5)を式(4)に代入すると、式(4)は次の
ように表されることとなる。 {LCs2+(RcC+(L/Rp))s+(1+(Rc/Rp))}vp=0 ・・・・(6) そして、上記式(6)をsについて解くと、 s={−(RcC+(L/Rp)) ±√((RcC+(L/Rp))2−4LC(1+(Rc/Rp)))}/2LC ・・・・(7) となる。式(7)において (RcC+(L/Rp))2<4LC(1+(Rc/Rp)) ・・・・(8) である場合には第2項の根号√の中が負となり、この場
合、sは以下のように表される。 s={−(RcC+(L/Rp)) ±j√(4LC(1+(Rc/Rp))−(RcC+(L/Rp))2)}/2LC =−α±jω ・・・・(9) α=(RcC+(L/Rp))/2LC =(L+RpcC)/2LCRp ・・・・(10) ω={√(4LC(1+(Rc/Rp))−(RcC+(L/Rp))2)}/2LC ・・・・(11) ここで、 A1=LC ・・・・(12) A2=(L+RCPC)/Rp ・・・・(13) A3=(RC+RP)/Rp ・・・・(14) とおくと、上記式(10)および(11)は以下のよう
に表すことができる。 α=A2/2A1 ・・・・(15) ω=√{(A3/A1)−α2} ・・・・(16) このようにしてsの値が確定し、上記微分方程式(4)
を満足する解が得られる。以上の知見に基づき、本実施
例においては、四要素集中定数モデルの応答波形に含ま
れる減衰振動成分を近似する式として上記式(5)を用
いることとした。
【0024】次に大動脈起始部の圧力波形のモデリング
を行う。一般に大動脈起始部の圧力波形は図4のような
波形である。そこで、この圧力波形を図5に示す三角波
で近似することにする。図5において近似波形の振幅と
時間をEo、Em、tP、tP1とすると、任意の時間tに
おける大動脈圧eは次式で表わされる。Eoは最低血圧
(拡張期血圧)、Eo+Emは最高血圧(収縮期血圧)で
あり、tPは一拍の時間、tP1は大動脈圧の立ち上がり
からその圧力が最低血圧値になるまでの時間である。 0≦t<tP1の区間: e=Eo+Em(1−(t/tP1)) ・・・・(17) tP1≦t<tPの区間: e=Eo ・・・・(18) そして、上記(17)式および(18)式によって表さ
れる電気信号eを図4の等価回路に入力した時の応答波
形vp(橈骨動脈波に対応)を本実施例においては以下
のように近似する。0≦t<tP1の区間: vP=Emin+B(1−t/tb) +Dm1exp(−αt)sin(ωt+θ1) ・・・・(19) tP1≦t<tPの区間: vP=Emin +Dm2・exp{−α(t−tP1)}・sin{ω(t−tP1)+θ2} ・・・・(20) 上記式(19)における右辺第3項および上記式(2
0)における右辺第2項が既に説明した減衰振動部分
(上記式(5)に対応するもの)であり、これらの項に
おけるαおよびωは上記式(15)および(16)によ
り与えられる。
【0025】C.四要素集中モデルの各パラメータと橈
骨動脈波形との関係 以下、上記式(19)および(20)における各定数の
うち既に確定したαおよびω以外のものについて検討す
る。まず、上記式(17)および(19)を上記微分方
程式(3)に代入すると、下記の式(21)が得られ
る。 E0+Em(1−(t/tp1)) =(1+(Rc/Rp))(Emin+B) −(B/tb)(RcC+(L/Rp))t +{LC(α2−ω2)Dm1−αDm1(RcC+(L/Rp))+Dm1(1+(Rc /Rp))}exp(−αt)sin(ωt+θ1) +{ωDm1(RcC+(L/Rp))−2LCαωDm1}exp(−αt)cos (ωt+θ1) ・・・・(21) この式(21)が成立するためには以下の条件が必要で
ある。 E0+Em=(1+(Rc/Rp))(Emin+B) =E0+A3B−(B/tb)A2 ・・・・(22) Em/tp1=(B/tb)(1+(Rc/Rp)) =B/(tb3) ・・・・(23) LC(α2−ω2)−α(RcC+(L/Rp))+(1+Rc/Rp)=0 ・・・・(24) RcC+(L/Rp)=2LCα ・・・・(25) なお、上記式のうち式(24)および(25)はαおよ
びωを拘束するものであるが、既に式(15)および
(16)により得られたαおよびωは当然のことながら
これらの式を満足する。一方、上記式(18)および
(20)を上記微分方程式(3)に代入すると、下記の
式(26)が得られる。 E0 =(1+(Rc/Rp))Emin +{LC(α−ω2)Dm2−α(RcC+(L/Rp))Dm2+(1+(Rc/R
p ))Dm2}exp(−α(t−tp1))sin(ω(t−tp1)+θ2) +{ω(RcC+(L/Rp))Dm2−2LCαωDm2}exp(−α(t−tp1 ))cos(ω(t−tp1)+θ2) ・・・・(26) この式(26)が成立するためには上記式(23)、
(24)が成立することに加え、下記式(27)が成立
することが必要である。 E0=(1+(Rc/Rp))Emin =A3min ・・・・(27)
【0026】以上のようにして得られた微分方程式
(3)が成立するための条件式( 22)〜(25)、
(27)に基づき、式(19)および(20)における
各定数を算定する。まず、Eminは上記式(27)よ
り、 Emin =EO/A3 ・・・・(28) 次に式(23)よりBは、 B=(tbm)/(tP13) ・・・・(29) となる。次に上記式(22)に上記式(29)を代入し
bについて解くと、 tb=(tP13+A2)/A3 ・・・・(30) となる。
【0027】そして、残った定数D1m、D2m、θ1およ
びθ2は、橈骨動脈波形vpがt=0,tp1,tpにおい
て連続性を維持し得るような値、すなわち、下記条件a
〜dを満足する値が選ばれる。 a.式(19)のvp(tp1)と式(20)のv
p(tp1)とが一致すること b.式(20)のvp(tp)と式(19)のvp(0)
とが一致すること c.式(19)および式(20)のt=tp1における微
分係数が一致すること d.式(19)のt=0での微分係数および式(20)
のt=tpにおける微分係数が一致することすなわち、
1mおよびθ1は、 D1m=√{(D11 2+D12 2)}/ω ・・・・(31) θ 1 =tan -1 (D 11 /D 12 ・・・・(32) なる値が選ばれる。ただし、上記各式において、 11 =(v 01 −B−E min )ω ・・・・(33) 12 =(v 01 −B−E min )α+(B/t b )+(i 01 /C)・・・(34) であり、v01とi01はt=0におけるvP c の初期値
である。また、D2mおよびθ2は、 D2m=√(D21 2+D22 2)/ω ・・・・(35) θ 2 =tan -1 (D 21 /D 22 ・・・・(36) なる値が選ばれる。ただし、上記各式において 21 =(v 02 −E min )ω ・・・・(37) 22 =(v 02 −E min )α+(i 02 /C) ・・・・(38) であり、v02 02 はt=tP1でのvP c の初期値で
ある。このようにして式(19)および(20)の各定
数が得られた。
【0028】さて、式(16)の角周波数ωから逆算す
ることにより中枢部での血管抵抗Rcは、 c ={L−2R P √(LC(1−ω 2 LC))}/CR P ・・・(39) となる。ここで、Rcが実数でかつ正となる条件は、 4R P 2 C/{1+(2ωR P C) 2 }≦L≦1/ω 2 ・・・・(40) である。一般にRPのオーダは103(dyn・s/cm5)程
度、Cは10-4(cm5/dyn)程度であり、また、ωは脈
波に重畳している振動成分の角周波数であるから10
(rad/s)以上であるとみてよい。このため、式(4
0)の下限はほぼ1/ω2Cとみなせる。そこで、Lを
簡略化のため近似的に、 L=1/(ω2C) ・・・・(41) とおくと、Rcは、 Rc=L/(CRP) ・・・・(42) となる。また、式(41)および(42)の関係より式
(15)の減衰定数αは、 α=1/(CRP) ・・・・(43) となる。(41)式〜(43)式の関係を用いて、αと
ω及び四定数のいずれか1つ、例えば血液の慣性Lを用
いて残りのパラメータを表わすと、 Rc=αL ・・・・(44) RP=ω2L/α ・・・・(45) C=1/(ω2L) ・・・・(46) となる。上式(44)〜(46)より、モデルのパラメ
ータはα、ωおよびLが得られることにより確定するこ
とは明らかである。
【0029】ここで、αとωは橈骨動脈波の実測波形か
ら得ることができる。一方、Lは1回拍出量SVに基づ
いて算出することができる。以下、1回拍出量SVに基
づくLの算出手順について説明する。まず、大動脈起始
部の圧力波の平均値E01は以下の式(47)により与え
られる。 E01={E0p+(tp1m/2)}/tp ・・・・(47) 一方、Rc、Rp、α、ωおよびL間には下記式(48)
が成立する。 Rc+Rp=αL+(ω2L/α)=(α2+ω2)L/α ・・・・(48) そして、四要素集中定数モデルを流れる平均電流、すな
わち、上記E01をRc+Rpによって除算したものは、拍
動により動脈を流れる血流の平均値(SV/tp)に相
当するから下記式(49)が成立する。 SV/tp =1333.22(1/tp){E0p+(tp1m/2)}(α2+ω2)/(αL) ・・・・(49) なお、上記式(49)における1333.22は圧力値の単位
をmmHgからdyn/cm2に換算するための比例定数である。
このようにして得られた式(49)をLについて解くこ
とにより、1回拍出量SVからLを求めるための式(5
0)が以下の通り得られる。 L =1333.22{E0p+(tp1m/2)}(α2+ω2)/(α・SV) ・・・・(50) なお、血流量を測定することにより上記式(49)中の
平均電流(1/tp){E0p+(tp1m/2)}に相
当する値を求め、この結果に基づきインダクタンスLを
算出してもよい。血流量を測定する装置としては、イン
ピーダンス法によるもの、ドップラー法によるもの等が
知られている。また、ドップラー法による血流量測定装
置には、超音波を利用したもの、レーザを利用したもの
等がある。
【0030】D.四要素集中モデルの発展形 次に、図3に示すモデルを発展させ、寸、関、尺におけ
るそれぞれの圧力変化を考慮すると、図17に示すモデ
ルが得られる。図において、大動脈起始部,尺,関およ
び寸における圧力はそれぞれ電圧e0,e1,e2および
3によって表され、各電圧検出端の間においては、血
液の慣性を示すインダクタンスL1〜L3と、血管の各部
のコンプライアンスを示す静電容量C1〜C3と、血管の
各部の抵抗を示す電気抵抗Rc1〜Rc3とが接続されてい
る。
【0031】なお、図3における電気抵抗Rpは測定対
象となる動脈系末梢部よりさらに末梢の血管抵抗を示す
ものである。従って、図17に示すモデルにあっては、
各電圧検出端よりも後段に位置する回路の合成インピー
ダンスが図3における電気抵抗Rpに相当する。例え
ば、図17において、一点鎖線A−A’よりも右側の部
分の合成インピーダンスを近似して電気抵抗Rpとする
と、図17のモデルは図3のモデルと同様になる。
【0032】従って、図17におけるモデルあっては、
図3に示すモデルと同様の手法によって、各回路定数を
求めることが可能である。すなわち、最初に一点鎖線A
−A’よりも右側の部分の合成インピーダンスを近似し
て電気抵抗Rpとすると、上述した手法により、e0およ
びe1の波形に基づいて各パラメータRc1、L1およびC
1が求められる。次に、e1およびe2の波形に基づいて
各パラメータRc2、L2およびC2が求められ、e2およ
びe3の波形の基づいて各パラメータRc3、L3、Rp3
よびC3が求められる。
【0033】ところで、上述の説明においては、電圧e
1〜e3に相当する各部の圧力波形がそのまま検出できる
ものとした。しかし、実際には被験者の血管において発
生した圧力波形は、歪ゲージ52〜54(図15参照)
によって検出される前に、被験者の筋肉、脂肪、皮膚等
を介して伝搬されつつ変形される。
【0034】そこで、より厳密な測定を行うならば、圧
力波形の変形を考慮する必要がある。この場合、図17
に示すような圧力波変形回路70〜72を設けると好適
であろうと思われる。回路70において、73は電圧ホ
ロワ回路、74,75は電気抵抗、76はコンデンサで
ある。ここで、電気抵抗74,75は被験者の動脈の
「尺」に相当する部分からから歪ゲージ54に至るまで
の圧力損失をシミュレートしており、電気抵抗75およ
びコンデンサ76は周波数特性すなわち高周波部におけ
る減衰をシミュレートしている。また、電圧ホロワ回路
73は、筋肉、脂肪、皮膚等の状態が動脈自体に与える
影響は小さいと考えられるため、電気抵抗74の前段に
設けたものである。
【0035】このモデルにおいては、電圧e1が圧力波
変形回路70によって変形され、電圧e1’として検出
される。従って、電圧e1の波形を正しく求めるために
は、圧力波変形回路70における各素子の定数を求める
必要がある。これは、被験者の腕に各種の周波数や波形
を有する音波を印加し、その音波の損失や変形を検出す
ることによって容易に求めることが可能である。すなわ
ち、圧力波変形回路70の回路構成は、図3のモデルと
同様であるから、同様の手法によって各定数が求められ
る。なお、圧力波変形回路70における各定数は固定的
なものではなく、診断者が脈診を行う際の指の押圧力に
よって変動するものであるから、被験者の腕に音波を印
加する際に、種々の押圧力を加え、押圧力と各定数とを
対応させて記録しておくと好適である。
【0036】以上、橈骨動脈波および1回拍出量と四要
素集中定数モデルの各素子の値との関係について説明し
た。本実施例におけるマイクロコンピュータ4は以上説
明した関係に基づき四要素集中定数モデルの各素子の値
の演算を行う。
【0037】<実施例の動作> 図6〜10はこの脈波解析装置の動作を示すフローチャ
ートである。また、図11は平均化処理により得られた
橈骨動脈波形を示す波形図、図12はパラメータ算出処
理により得られた橈骨動脈波形W2と平均化処理により
得られた橈骨動脈波形W1とを対比した波形図である。
以下、これらの図を参照し本実施例の動作を説明をす
る。
【0038】A.通常の測定処理 脈波読取処理 循環動態パラメータの評価を行うに際し、診断者は図2
に示すようにカフ帯S2を被験者に装着し、診断者の手
に脈波センサS1を装着し、スイッチ66a(図16参
照)を押下し、測定指示をキーボード5から入力する。
マイクロコンピュータ4はこのコマンドに応答し、ま
ず、測定指示を脈波検出装置1へ送る。この結果、脈波
検出装置1により、歪ゲージ52〜54を介して橈骨動
脈波が検出され、この橈骨動脈波を表す時系列デジタル
信号がA/D変換器3から出力され、一定時間(約1分
間)に亙ってマイクロコンピュータ4に取り込まれる。
このようにしてマイクロコンピュータ4に複数拍分の橈
骨動脈波形の時系列デジタル信号が取り込まれる。
【0039】平均化処理 次にマイクロコンピュータ4はこのようにして取り込ん
だ複数拍に対応した橈骨動脈波形を1拍毎ごとに重ね合
わせて1分間での1拍当たりの平均波形を求め、この平
均波形を橈骨動脈波形の代表波形として内蔵のメモリに
格納する(以上、ステップS1)。また、これと同時に
減算器67(図16参照)を介して検出された押圧力も
平均化しておく。図11にこのようにしてメモリに格納
された橈骨動脈波形の代表波形W1を例示する。
【0040】1回拍出量データ取込処理 上記平均化処理が終了すると、マイクロコンピュータ4
は1回拍出量測定器2へ測定指示を送る。この結果、1
回拍出量測定器2により被験者の1回拍出量が測定さ
れ、その結果を示す1回拍出量データがマイクロコンピ
ュータ4に取り込まれる(ステップS2)。
【0041】パラメータ算出処理 次にマイクロコンピュータ4の処理はステップS3に進
み、図7および図8にフローを示すパラメータ算出処理
ルーチンが実行される。また、このルーチンの実行に伴
い、寸、関、尺の各部の波形毎に図9にフローを示す
α,ω算出ルーチンが実行され(ステップS109、S
117)、このα,ω算出ルーチンの実行に伴い、図1
0にフローを示すω算出ルーチンが実行される(ステッ
プS203)。なお、説明の簡素化のため、これらのル
ーチンにあっては、図17のモデルにおける電圧e1
3に相当する圧力波形が歪ゲージ52〜54から直接
得られるものとした。以下、これらのルーチンの処理内
容について説明する。
【0042】まず、マイクロコンピュータ4は、メモリ
に取り込んだ1拍分の橈骨動脈波形について、血圧が最
大となる第1ポイントP1に対応した時間t1および血
圧値y1と、第1ポイントの後、血圧が一旦落込む第2
ポイントに対応した時間t2および血圧値y2と、2番目
のピーク点である第3ポイントP3に対応した時間t3
および血圧値y3を求める。また、メモリに取り込んだ
橈骨動脈波形について1拍の時間tP、最低血圧値Emin
((3)式と(4)式の第1項目に相当)を求める(ス
テップS101)。以上の処理により、パラメータ演算
処理に必要な各データとして以下例示するものが得られ
る。
【0043】第1ポイント:t1=0.104(s)、y
1=123.4(mmHg) 第2ポイント:t2=0.264(s)、y2=93.8
(mmHg) 第3ポイント:t3=0.38.(s)、y3=103.
1(mmHg) 1拍の時間:tP=0.784(s) 最低血圧:Emin=87.7(mmHg) 1回拍出量データ:SV=103.19(cc/beat) なお、第2ポイントP2と第3ポイントP3を区別する
ことが困難ななだらかな脈波の場合には、第2と第3ポ
イントの時間をt2=2t1、t3=3t1としてその点の
血圧値を決定する。そして、計算の簡略化のため、図1
3に示すA点の血圧値yoを用いてy1〜y3の正規化処
理を行い(ステップS102、S103)、Bの値を
(yo/2)−0.1に初期化する(ステップS10
4)。
【0044】そして、次の手順でB、tb、α、ωの最
適値を求める。 a.まず、Bをy0/2〜y0の範囲で変化させると同時
にtbをtp/2〜tpの範囲で変化させ(+0.1間
隔)、各Bおよびtbについてvp(t1)−y1,vp
(t2)−y2,vp(t3)−y3が最小となるα、ωを
求める。 b.aにおいて求めたB、tb、α、ωの中でv
p(t1)−y1,vp(t2)−y2,vp(t3)−y3
最小となるB、tb、α、ωを求める。 c.bにおいて求めたB、tbを基準にして、B±0.
05、tb±0.05の範囲で上記a、bを再び実行す
る。
【0045】d.上記a〜cの処理の際、αは3〜10
の範囲を0.1間隔で変化させ、各αについて最適なω
を算出する。ωは、各αにおいて、dvp(t2)/dt
=0となる点を二分法を用いて求めた(図10参照)。
なお、上記各処理においてvpの値を演算するに際し式
(33)の初期値vo1は零とする。 このような処理により以下例示するように各データが決
定される。 α=4.2(s-1) 、ω=24.325(rad/s) B=27.2(mmHg)、tb=0.602(s)
【0046】f.そして、tP1、Em、Eoを式(28)
〜(30)、(44)〜(46)に基づいて算出する
(ステップS123、S124)。この結果を以下例示
するものが得られる。 tP1=0.588(s) m =27.4 (mmHg) Eo=90.3(mmHg)
【0047】g.そして、式(50)を用い、1回拍出
量からLの値を算出し(ステップS125)、残りのパ
ラメータ値を式(44)〜(46)により求める(ステ
ップS126)。この結果、以下例示するパラメータが
得られる。 L=7.021(dyn・s2/cm5) C=2.407×10-4(cm5/dyn) RC=29.5(dyn・s/cm5) RP=958.2(dyn・s/cm5) また、直流的な(平均的な)総末梢血管抵抗TPRを以
下のようにして算出する。 TPR=RC+RP=1018.7(dyn・s/cm5) となる。
【0048】出力処理 以上説明したパラメータ算出処理が終了すると、マイク
ロコンピュータ4はL、C、RCおよびRPを出力装置か
ら出力する(ステップS4)。すなわち、寸、関、尺の
各部の波形毎にそれぞれ上記処理を行うことにより、図
17に示す各パラメータL1〜L3、C1〜C3、RC1〜R
C3およびRP3が得られる。
【0049】確認のため、算出したパラメータで式(4
0)を計算すると、 6.969≦L≦7.021 となり、式(41)の近似は妥当であるといえる。ま
た、図12に示す通り、算出したパラメータを用いて計
算した橈骨動脈波形と実測波形(1分間の平均波形)と
は非常によく一致しているといえる。
【0050】B.連続測定 本実施例による装置は、タイマ(図示略)を備えてお
り、このタイマを使用することにより長時間に渡って連
続的に循環動態パラメータを測定することができる。こ
の連続測定を行う場合、診断者は連続測定の指示をキー
ボード5から入力する。この結果、図6におけるステッ
プS4(出力処理)が終了した後、タイマがセットさ
れ、タイマにより一定時間が計時された後、再び、ステ
ップS1から実行が開始され、循環動態パラメータが測
定され(ステップS3)、記録紙または記憶媒体等に記
録される(ステップS4)。このようにして一定時間間
隔で循環動態パラメータの連続的測定が行われる。
【0051】さらに、診断者は、タイマが一定時間を計
時する毎に指の押圧力を適宜変更してもよい。すなわ
ち、一般的な脈診においては診断者は指の押圧力を適宜
変更しながら診断を行い様々な情報を収集するから、本
実施例の装置を動作させながらこのような脈診を行って
もよい。これによって、種々の押圧力に応じたデータを
収集することが可能になる。
【0052】<変形例>本発明は以上説明した態様の
他、以下列挙する態様にて実施することが可能である。 (1)1回拍出量SVの測定を行わず、Lは所定の値を
仮定し、橈骨動脈波形のみにより循環動態パラメータを
求める。演算精度が低下するのを補うため、図12に示
すように演算により得られた橈骨動脈波形と測定により
得られた橈骨動脈波形を重ね表示するモニタを設けると
共に診断者がLの値を設定し得るようにしてもよい。こ
のように構成した場合、診断者は試行錯誤により、実測
による橈骨動脈波形と演算による橈骨動脈波形とを一致
させるようにLを最適値に設定することができる。
【0053】(2)大動脈起始部の圧力波形のモデルと
して、三角波ではなく、図14に示すような台形波を使
用する。この場合、三角波に比べて実際の圧力波形に近
いので、より正確に循環動態パラメータを求めることが
できる。
【0054】(3)上記実施例においては、循環動態パ
ラメータを数式を用いた演算により求めたが、各循環動
態パラメータを所定範囲内で変化させたときのモデルの
各応答波形を回路シミュレータ等によってシミュレーシ
ョンし、実測の橈骨動脈波形と最もよく一致する循環動
態パラメータを選択して出力するようにしてもよい。こ
の場合、動脈系の電気的モデルおよび大動脈起始部の圧
力波形のモデルとしてより実際に近い複雑なものを使用
することができ、測定精度がさらに向上する。
【0055】(4)橈骨動脈波および1回拍出量の測定
箇所は図2に示す箇所に限定されるものではない。例え
ばゴム手袋51に血圧センサを装着することにより、手
首において橈骨動脈波形および1回拍出量の両方を測定
してもよい。この場合、被験者は腕をまくらなくても済
むので被験者の負担が軽減される。同様に、1回拍出量
測定器は、脈診が行われる腕の反対側の腕や手、指に設
けてもよい。
【0056】(5)上記実施例にあっては、説明の簡素
化のため、図17のモデルにおける電圧e1〜e3に相当
する圧力波形が歪ゲージ52〜54から直接得られるも
のとしたが、圧力波変形回路70〜72を含めたモデル
を用いて診断してもよいことは言うまでもない。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
構成にあっては、複数の脈波センサによって被験者の複
箇所(例えば、寸、関、尺) の撓骨動脈波を検出す
ると、評価手段によって電気回路の各素子の値が算出さ
れることから、安価な構成で、かつ、非侵襲的に循環動
態パラメータの評価を行うことが可能である。また、請
求項2に記載の構成にあっては、被験者の循環動態パラ
メータを長時間に渡って連続的に採取することができ
る。また、請求項3の記載の構成にあっては、動脈系の
電気的モデルとして構成の簡単な四要素集中常数モデル
を使用しており、また、1回拍出量または血流量の測定
結果により該モデルのインダクタンスの値を算出するの
で、循環動態パラメータを簡単な演算処理により算定す
る事ができる。また、大動脈起始部の圧力波を所定の周
期波形によってモデリングしているので、さらに簡単な
演算処理により循環動態パラメータを算定することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例による脈波解析装置の構
成を示すブロック図である。
【図2】 同実施例における脈波検出装置1および1回
拍出量測定器2を用いた測定態様を示す図である。
【図3】 同実施例において人体の動脈系のモデルとし
て用いる基本的な四要素集中定数モデルを示す回路図で
ある。
【図4】 人体の大動脈起始部の血圧波形を示す図であ
る。
【図5】 上記大動脈起始部の血圧波形をモデリングし
た波形を示す波形図である。
【図6】 同実施例の動作を示すフローチャートであ
る。
【図7】 同実施例の動作を示すフローチャートであ
る。
【図8】 同実施例の動作を示すフローチャートであ
る。
【図9】 同実施例の動作を示すフローチャートであ
る。
【図10】 同実施例の動作を示すフローチャートであ
る。
【図11】 同実施例の平均化処理により得られた橈骨
動脈波形を例示する波形図である。
【図12】 同実施例の演算処理により得られた橈骨動
脈波形と平均化処理により得られた橈骨動脈波形とを重
ね表示した波形図である。
【図13】 同実施例の平均化処理により得られた橈骨
動脈波形を例示すると共に該波形に適用する処理の内容
を説明する図である。
【図14】 大動脈起始部の血圧波形の別のモデルを示
す波形図である。
【図15】 脈波センサS1の斜視図である。
【図16】 同実施例の脈波検出装置1のブロック図で
ある。
【図17】 同実施例において人体の動脈系のモデルと
して用いる四要素集中定数モデルを示す回路図である。
【符号の説明】
1 脈波検出装置(評価手段) 4 マイクロコンピュータ(評価手段) 51 ゴム手袋(脈波センサ、薄膜部材) 52 歪ゲージ(脈波センサ、圧力検出手段) 65 平均化回路(直流成分検出手段) 63 直流遮断回路(交流成分検出手段) 66 レベル記憶回路(記憶手段) 67 減算器(減算手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−43927(JP,A) 特開 昭61−162932(JP,A) 特開 平4−33638(JP,A) 実開 昭55−34820(JP,U) 特表 平4−506160(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/022 - 5/0295

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験者の橈骨動脈波を検出する複数の脈
    波センサと、 人体の動脈系の中枢部から末梢部に至る系を模した電気
    回路の各素子の値を算出する手段であって、大動脈起始
    部の圧力波に対応した電気信号を与えたときに該電気回
    における複数の節点から得られる出力信号波形が前記
    複数の脈波センサから得られる各橈骨動脈波に対応した
    波形となるように該電気回路の各素子の値を算定する評
    価手段と を具備することを特徴とする脈波解析装置。
  2. 【請求項2】 診察者の指に装着される薄膜部材と前記
    薄膜部材に固着された薄状の圧力検出手段とからなり、
    前記圧力検出手段により患者の橈骨動脈波を検出する脈
    波センサと、 人体の動脈系の中枢部から末梢部に至る系を模した電気
    回路の各素子の値を算出する手段であって、大動脈起始
    部の圧力波に対応した電気信号を与えたときに該電気回
    路から得られる出力信号波形が前記橈骨動脈波に対応し
    た波形となるように該電気回路の各素子の値を算定する
    評価手段と、 前記評価手段による前記電気回路の各素子の算定結果を
    記録する記録手段と、 を具備し、 前記脈波センサが前記動脈波を繰り返し検出すると共に
    前記評価手段が前記脈波センサにより検出される動脈波
    に基づき前記電気回路の各素子の値を繰り返し算定する
    ことを特徴とする脈波解析装置。
  3. 【請求項3】 診察者の指に装着される薄膜部材と前記
    薄膜部材に固着された薄状の圧力検出手段とからなり、
    前記圧力検出手段により患者の橈骨動脈波を検出する脈
    波センサと、 前記患者の1回拍出量を検出する1回拍出量検出手段
    と、 人体の動脈中枢部から末梢部に至る系を模したモデルと
    して、前記動脈系中枢部での血液粘性による血管抵抗に
    対応した第1の抵抗、前記動脈系中枢部での血液の慣性
    に対応したインダクタンス、前記動脈中枢部での血管の
    粘弾性に対応した静電容量、および前記末梢部での血管
    抵抗に対応した第2の抵抗とを有し、1対の入力端子間
    に前記第1の抵抗およびインダクタンスからなる直列回
    路と前記 静電容量および第2の抵抗からなる並列回路と
    が順次直列に介挿されてなる四要素集中定数モデルを想
    定し、前記入力端子間に大動脈起始部の圧力波に対応し
    た電気信号を与えたときに前記静電容量および第2の抵
    抗の両端から前記動脈波に対応した電気信号が得られる
    ように前記四要素集中定数モデルの各定数を特定する手
    段であり、前記1回拍出量に基づいて前記インダクタン
    スの値を算出し、該インダクタンスの値、前記動脈波形
    の角周波数および減衰率に基づいて前記第1の抵抗、イ
    ンダクタンス、静電容量および第2の抵抗の各値を算出
    し、これらの算出結果を循環動態パラメータとして出力
    するパラメータ評価手段と、 を具備し、 前記大動脈起始部の圧力波に対応した電気信号として脈
    波の1拍の長さに対応した周期tPを有する周期波形e
    (t)を使用することを特徴とする脈波解析装置。
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